JP2012226271A - 照明装置及び投射型映像表示装置 - Google Patents

照明装置及び投射型映像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】スペックルノイズが目立つことなく、偏光方向の揃った照明光を出射する照明装置、投射型映像表示装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る照明装置は、コヒーレント光を出射する光源と、光源から出射したコヒーレント光を異なる方向に分離する偏光分離部と、偏光分離部により分離されたコヒーレント光を走査する光走査部と、偏光分離部で分離された何れか一方のコヒーレント光の光路に配置され、偏光分離部で分離されたコヒーレント光の偏光方向を揃える波長板と、光走査部で走査された走査光を拡散し、各点から出射される拡散光が被照明領域を重ねて照明する光拡散素子と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザー光などのコヒーレント光を使用する照明装置、及び、コヒーレント光を用いてマイクロディスプレイを照明し、スクリーン上に映像を投射する投射型映像表示装置に関するものである。
光源からの照明光を、液晶やMEMSなどの光変調素子(マイクロディスプレイ)を用いて映像化し、スクリーンに投影するプロジェクタ(投射型映像表示装置)が知られている。このようなプロジェクタでは、その光源に高圧水銀ランプなどの白色光源を用いたものが知られており、液晶などの2次元光変調素子を照明し得られた画像を投射光学系で拡大してスクリーン上に映像を投射している。
しかしながら、高圧水銀ランプなどの高輝度放電ランプは、寿命が比較的短くプロジェクタなどに利用した場合、頻繁にランプを交換する必要がある。また、装置自体が大型化してしまうという欠点もある。さらには、環境負荷の観点から水銀を使用する高圧水銀ランプの仕様は好ましいものとはいえない。このような欠点を解消するため、レーザー光を光源として使用するプロジェクタも提案されている。半導体レーザーは、高圧水銀ランプなどと比較して高寿命であり、また、装置全体の小型化を図ることも可能である。
このように、プロジェクタの次世代光源として期待されているレーザー光は直進性に優れるため、LEDなどと比較しても光入射効率の向上を図ることができると考えられる。しかしながら、レーザー光を光源として用いた場合、コヒーレンスの高さに起因するスペックルノイズが発生し、映像を見難くしてしまう欠点がある。
スペックルノイズは、コヒーレントなレーザー光を光源とした場合、照射対象表面の微少凹凸からの散乱光が干渉することで生ずる斑点状のノイズであって、プロジェクタで発生した場合には画質劣化の原因となるのみならず、観察者に対して生理的不快感をもたらすこともある。このスペックルノイズを低減するため、レーザー光が通過する拡散板を振動させる、レーザースペクトルの波長スペクトルを拡大する、レーザー光の照射対象となるスクリーン自体を振動させるなど、各種試みが行われている。このようなスペックルノイズ低減の試みとして、特許文献1には、コヒーレント光が通過する拡散素子を回転運動させることで、スペックルノイズの低減を図る無スペックル・ディスプレイ装置が開示されている。
特開平6−208089号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるスペックルノイズ低減方法では、拡散素子到達前に生じていたスペックルノイズ(干渉パターン)は平均化できるものの、拡散中心からスクリーンへの入射光線角度はスクリーン上のいずれの点においても不変であるため、スクリーン各点の光散乱特性も一定となり、結果としてスクリーン上で発生するスペックルノイズの除去効果は殆ど得られないという問題があった。
このような、コヒーレント光を原因として生ずるスペックルは、コヒーレント光を光源
として使用するプロジェクタ(投射型映像表示装置)のみならず、コヒーレント光を使用する様々な照明装置において問題となっている。
ところで、光源に使用されるレーザーは、種類・状況によっては特定の振動方向の偏光成分に揃っていない、もしくは揃っていても振動方向が一定でない場合がある。例えば、ブリュースターウィンドウのないガスレーザー(偏光成分が揃っていない)や、面発光レーザー(ランダム偏光:偏光は揃っているが振動方向が変化する)等が挙げられる。このようなレーザーを光源に用いた場合、入射偏光が揃っている必要がある液晶パネルやLCOSなどの光変調素子、また、偏光成分ごとに視差画像を表示する3Dディスプレイ等の用途では光利用効率の低下、もしくは偏光成分のクロストークによる画質の低下等、様々な問題が生じる可能性がある。
本発明は、コヒーレント光を光源とした場合に生ずるスペックルを抑制するとともに、偏光方向の揃った照明光を出射する照明装置、及び、このような照明光を表示映像形成のために使用する投射型映像表示装置を提供することを目的としている。
本発明に係る照明装置は、
コヒーレント光を出射する光源と、
前記光源から出射したコヒーレント光を異なる方向に分離する偏光分離部と、
前記偏光分離部により分離されたコヒーレント光を走査する光走査部と、
前記偏光分離部で分離された何れか一方のコヒーレント光の光路に配置され、前記偏光分離部で分離されたコヒーレント光の偏光方向を揃える波長板と、
前記光走査部で走査された走査光を拡散し、各点から出射される拡散光が被照明領域を重ねて照明する光拡散素子と、を備えたことを特徴とする。
さらに本発明に係る照明装置において、前記偏光分離部は、入射光を偏光の振動方向に応じて分離する複屈折性を有するデバイスであることを特徴とする。
さらに本発明に係る照明装置において、前記複屈折性を有するデバイスは、光が入出射する面のうち少なくとも一面が、コヒーレント光の光軸と垂直な面から傾斜している複屈折性結晶素子であることを特徴とする。
さらに本発明に係る照明装置において、前記複屈折性を有するデバイスは、2枚の透明基板間に複屈折性材料を封入し、
光が入射する側の透明基板の前記複屈折性材料側の面上に、コヒーレント光の光軸と垂直な面から傾斜した傾斜面を有するプリズムがアレイ状に配置されたデバイスであることを特徴とする。
さらに本発明に係る照明装置において、前記複屈折性を有するデバイスは、2枚の透明基板間に複屈折性材料を封入し、
光が入射する側の透明基板の前記複屈折性材料側の面上に、コヒーレント光の光軸と垂直な面から傾斜した傾斜面を有するプリズムがアレイ状に配置されたデバイスであることを特徴とする。
さらに本発明に係る照明装置において、前記光拡散素子は、ホログラムであることを特徴とする。
さらに本発明に係る照明装置において、前記ホログラムは、第2の光拡散素子の像を記録したものであることを特徴とする。
さらに本発明に係る照明装置において、前記ホログラムは、透過型ホログラム、反射型ホログラムの何れかであることを特徴とする。
さらに本発明に係る照明装置において、前記光拡散素子は、拡散板であることを特徴とする。
さらに本発明に係る照明装置において、前記光拡散素子は、レンズアレイであることを特徴とする。
また本発明に係る投射型映像表示装置は、
コヒーレント光を出射する光源と、
前記光源から出射したコヒーレント光を異なる方向に分離する偏光分離部と、
前記偏光分離部により分離されたコヒーレント光を走査する光走査部と、
前記偏光分離部で分離された何れか一方のコヒーレント光の光路に配置され、前記偏光分離部で分離されたコヒーレント光の偏光方向を揃える波長板と、
像が形成される像形成領域を有する光変調素子と、
前記光走査部で走査された走査光を拡散し、各点から出射される拡散光が前記像形成領域を重ねて照明する光拡散素子と、
前記光変調素子の像をスクリーンに投影する投射光学系と、を備えることを特徴とする。
本発明の照明装置によれば、光走査部でコヒーレント光を走査することで、光拡散素子の各点からの拡散光は、被照明領域を時間的に異なる角度で照射することとなり、被照明領域で発生するスペックルを時間的に変化させ、観察者に不可視の状態とさせることが可能となる。さらに、本発明の投射型映像表示装置では、スクリーンに対しても時間的に異なる角度で照射することで、スクリーン上で発生するスペックルを効果的に抑制することができる。
さらに、偏光分離部と波長板を用いて偏光成分を揃えることで、光変調素子やホログラムなど、偏光選択性を有する光学素子での光利用効率の向上を図ると共に、クロストークなどの画質劣化を抑制することが可能となる。また偏光変換はレーザービームの状態で行うことができるため光学系の小型化を図ることが可能となる。
本発明の実施形態に係る照明装置を備えた投射型映像表示装置の構成を示す図 本発明の実施形態に係る照明装置の構成を示す図 本発明の実施形態に係る照明装置で使用するホログラム作成の様子を示す図 本発明の実施形態に係る光走査の様子を示す図 本発明の他の実施形態に係る光走査の様子を示す図 本発明の実施形態に係る偏光分離部の一例を示す図 本発明の実施形態に係る偏光分離部の一例を示す図 本発明の実施形態に係る偏光分離部の一例を示す図 他の実施形態に係る照明装置(集光光学系無し)を備えた投射型映像表示装置の構成を示す図 他の実施形態(集光光学系無し)における照明領域を示す図 他の実施形態に係る照明装置を備えた投射型映像表示装置の構成を示す図 他の実施形態に係る照明装置の構成を示す図 他の実施形態に係る照明装置で使用するホログラム作成の様子を示す図
では、本発明の実施形態に係る照明装置、及び、投射型映像表示装置について図面を参照しつつ説明を行う。図1は、本発明の実施形態に係る照明装置を備えた投射型映像表示装置の構成を示す図である。なお、以下に説明する図面は、模式的に示した図であって、実際の形状、寸法、配置とは異なる場合もある。
本実施形態の投射型映像表示装置10は、照明装置20と、映像を形成するための光変調素子31、光変調素子31で形成された映像をスクリーン41に投射する投射光学系32を備えている。なお、図では、映像が投影されるスクリーン41面をX−Y平面、それに直交する軸をZ軸としている。スクリーン41には、スクリーン41で反射された映像を観察する反射型スクリーン、あるいは、スクリーン41を透過した映像を観察する透過型スクリーンどちらを使用することもできる。
本実施形態の照明装置20は、光源11、偏光分離部12、λ/2波長板13(波長板)、集光光学系14、光走査部15、ホログラム21(光拡散素子)を有して構成されている。
光源11は、コヒーレント光としてのレーザー光を出射する半導体レーザー装置など各種レーザー装置が使用される。偏光分離部12は、複屈折性を有する光学デバイスであって、入射光を偏光の振動方向に応じて分離する。本実施形態では、光源11から出射される偏光成分が揃っていないコヒーレント光L0を、s偏光成分のコヒーレント光と、s偏光成分と振動方向が90°ずれたp偏光成分のコヒーレント光に分離して異なる方向に出射する。この偏光分離部12には、各種形態のものを利用することができるが、詳細は後で説明する。
λ/2波長板13(波長板)は、偏光分離部12から出射される2つのコヒーレント光の偏光方向を揃えるために配置されたものであって、2本に分離されたコヒーレント光のどちらか一方の光路中に配置される。本実施形態では、偏光分離部12から出射された一方のコヒーレント光の光路中に配置されている。なお、この1/2波長板13を偏光分離部12の出射面に貼り付けることとしてもよい。λ/2波長板13と偏光分離部12を一体化することで、部品点数の数を少なくするとともにレイアウトの簡素化が図られている。
λ/2波長板13を透過したコヒーレント光L1は、偏光分離部12から出射されたもう一方のコヒーレント光L1’と偏光方向が揃えられる。このとき偏光方向は、後の光路中に配置される光変調素子31の偏光方向に一致させておくことが好ましい。さらに、光拡散素子21として偏光選択特性を有するホログラムを使用する場合には、その偏光方向も考慮した偏光方向とすることが好ましい。このように偏光方向が揃った2つのコヒーレント光L1、L1’は、その光路中に集光光学系14が配置されており、光走査部15の1点に集光するように構成されている。
光走査部15は、回動中心Raを中心として反射面を回動させることのできるミラーデバイスであって、ポリゴンミラー、ガルバノスキャナ、MEMSスキャナのような可動ミラーを機械的に回動させるミラーデバイスが用いられる。この他、音響光学効果スキャナのような屈折率を変調させるものなど各種形態を採用することができる。
λ/2波長板13を透過した一方のコヒーレント光L1と他方のコヒーレント光L1’は、集光光学系14で集光され、光走査部15の反射面に入射されることとなるが、この
とき、両コヒーレント光L1、L1’を、光走査部15が回動運動する場合において位置変動が少ない反射面上の1点(以下、「基準点」とも呼ぶ)に集光させることが好ましい。このような基準点に両コヒーレント光L1、L1’を入射させることで、各コヒーレント光L1、L1’による光拡散素子21の走査範囲は異なることとなるが、このように共通の基準点を設けることで光拡散素子21の設計が容易になる。具体的には、光拡散素子21にホログラムを使用する場合、ホログラム作成時に使用した参照光の集光位置を、光走査部15の基準点に設定することが可能となり、記録されているホログラム再生像を確実に得ることも可能となる。
このように光走査部15で反射された2本のコヒーレント光L1、L1’は、走査光Laとなり、光拡散素子21の入射面上を時間的に位置を変えつつ走査する。図2は、本発明の実施形態に係る照明装置20の構成を示す図であって、光拡散素子21による照明の様子を示した図である。実際には、光走査部15では入射角度の異なる2本のコヒーレント光L1、L1’が反射されることとなるが、各図では説明を容易にするため、どちらか1本のコヒーレント光について時刻t1、t2における光線のみが示されている。本実施形態では、偏光分離部12で分離されたコヒーレント光L1、L1’は、異なる光路をとるが、光走査部15の基準点で反射され、光拡散素子21上の各点では同じ入射角度で入射するため支障はない。
ここで光走査部15による走査光にて走査される光拡散素子21について説明する。光拡散素子21は、走査光Laが入射されることで被照明領域、本実施形態の場合においては、光変調素子31の像形成領域全体を照明する光学素子であって、本実施形態では透過型ホログラムが用いられている。光拡散素子21としてホログラムを採用したことで、走査光Laの入射位置に因らず、常に同一の再生像を得ることが可能となり、被照明領域となる光変調素子31全体をムラ無く照明することができる。また、ホログラムに入射させる走査光Laのビーム断面形状、あるいは、その入射角度などに自由度を持たせることができ、装置のレイアウトなどを自在なものとすることができる。
なお、光拡散素子21には、このようなホログラムに限ることなく、各点から出射される拡散光が被照明領域を照明できる光学素子であればよく、各点から出射される拡散光が被照明領域全体を照明することが好ましい。例えば、微細なレンズがアレイ状に配列されて構成されたレンズアレイ、あるいは、オパールガラス、すりガラス、樹脂拡散板など、いわゆる通常の拡散板を用いてもよい。なお、本発明における光拡散素子における「拡散」とは、入射光を所定の方向に角度的に拡げて出射することを指し、回折光学素子やレンズアレイ等によう拡散角が十分に制御された場合のみならず、オパールガラス等の散乱粒子により出射角を拡げる場合も含まれるものとする。
本実施形態で使用する光拡散素子21としての透過型ホログラムは、記録された再生像として拡散板像22iを再生する。図2に示されるように、光走査部15で走査されたコヒーレント光L1は、回動する光走査部15で反射され、走査光Laとなり光拡散素子21の入射面上を往復して走査する。図にはある時刻t1、t2についての走査光La(t1)、La(t2)の様子が示されている。本実施形態の光拡散素子21は、所定の入射角を有する光(再生照明光)に対して、再生像を形成する透過型ホログラムが用いられている。光走査部15にて走査される走査光Laは、何れの走査位置においても、この透過型ホログラムに対する再生照明光となるように設定されている。なお、本実施形態で使用する透過型ホログラムの作成については後で説明する。
図2に示されるように、時刻t1のときの走査光La(t1)は、光拡散素子21にて再生光としての照明光Lb(t1)を出射し拡散板像22iを形成する。また、時刻t2のときの走査光La(t2)は、光拡散素子21にて照明光Lb(t2)を出射し、同じ
拡散板像22iを形成する。このように走査光Laが走査されることで、光拡散素子21の何れの入射位置を照射するときにも拡散板像22iが形成される。この拡散板像22iが被照明領域全体を含むように位置させることで、何れの走査位置においても被照明領域全体を均一に照明することが可能となる。
図3は、本発明の実施形態に係る照明装置で使用される透過型ホログラムを記録(作成)する際の構成(干渉露光)を示す図である。拡散板2の背面側からレーザー光を照射し、前方に拡散した物体光Obをホログラム記録材料24の一方の面から入射させる。その際、拡散板22の各点からの拡散光(物体光Ob)は、ホログラム記録材料24の少なくとも使用領域全面を照明するよう拡散させる。
そして、ホログラム記録材料24の同じ面から、集光光学系23にて集光した参照光Rが照射される。集光光学系23の焦点位置Aは、使用時の光走査部15による基準点と一致するように配置されている。物体光Obと参照光Rを同時に入射させ、ホログラム記録材料24中で干渉させる。なお、物体光Obと参照光とは干渉性を有する必要がある。そのため、同一の光源から発振されたレーザー光を分割して一方を物体光Ob、他方を参照光Rとして使用することなどが考えられる。
ホログラム記録材料24は加熱、紫外線照射等の後処理を経て面上の各点において、同じ位置に拡散板像を再生する透過型ホログラム21が作成される。また、記録時に用いられる物体光Obの照射には、オパールガラスやすりガラスといった拡散板22のみならず、レンズアレイなど、各点からの拡散光が使用領域全面を照明できる光学素子(光拡散素子21と峻別できるよう「第2の光拡散素子」と呼ぶ)を用いることとしてもよい。なお、本実施形態では、物体光Obと参照光Rとを干渉させることで干渉縞の記録(干渉露光)を行うこととしたが、計算機にて計算された干渉縞を直接、ホログラム記録材料21に記録する、いわゆる計算機合成ホログラムを採用するものであってもよい。
図2の光拡散素子21で再生される拡散板像22iは、図1において光変調素子31の像形成領域全体を照明するように位置される。図1において光変調素子31の像形成領域は、XY平面に2次元的に位置している。本実施形態では、光走査部15には、入射角度が異なる2本のコヒーレント光L1、L1’が入射することとなるが、両コヒーレント光L1、L1’の光走査部15での基準点を、ホログラム作成時の焦点位置Aと一致させておくことで、どちらのコヒーレント光L1、L1’によっても同じ拡散板像22iを形成させることが可能となる。
マイクロディスプレイなどの光変調素子31は、光拡散素子21からの照明光Lbにて照明され、画素毎に照明光を透過して映像を形成する。このとき照明光Lbの偏光方向は、偏光分離部12、λ/2波長板13にて偏光方向が揃えられており、この偏光方向を光変調素子31で使用される偏光方向と一致させておくことで、光変調素子31での光利用効率の向上、そして画質の向上を図ることが可能となる。
光変調素子31で変調された変調光Lcは、投射光学系32で拡大され映像再生光Ldとしてスクリーン41上に投射され、反射、あるいは、透過される映像を観察者に観察させる。このときスクリーン41の面上に投射されたコヒーレント光は互いに干渉することでスペックルを生じさせる。しかしながら、本実施形態では、光走査部15によってコヒーレント光が走査されるため、結果としてスクリーン41に投射する映像再生光Ldを経時的に変化させ、このスペックルを極めて効果的に目立たなくしている。
例えば、図1に示されるスクリーン上の点P1においては、時刻t1における映像再生光Ld(t1)と、時刻t2における映像再生光Ld(t2)が異なる入射角度で照射さ
れることとなる。図に示す他の点P2や図示しない他の点においても同様であって、映像再生光Ldは、入射角度を時間的に変化させつつスクリーン41上に映像を投射する。したがって、ごく短い時間ではスクリーン上に形成されるスペックルも、映像再生光Ldが時間によって異なる入射角度で照射されることで平均化され、スクリーン41に投射される像を観察する観察者には十分に目立たない状態となる。
観察者によって観察されるスペックルには、このようにスクリーン41上でのコヒーレント光の散乱を原因として発生するスペックルだけではなく、投射型映像表示装置10の各種光学素子上で発生するものもある。このスペックルは、光変調素子31を介してスクリーン41に投影されることで観察者に観察される。本実施形態では、走査光Laが光拡散素子21を走査することで、被照明領域としての光変調素子31の像形成領域を照明する。すなわち被照明領域を、光拡散素子21の各点からの拡散光が時間的に分離されるように照明することで、光拡散素子21より前の位相情報をキャンセルするとともに光拡散素子21の各点からの拡散光同士が干渉することも防ぐことができ、投射型映像表示装置10の各種光学素子で発生するスペックルを十分に目立たない状態とすることが可能となる。
以上、本発明の実施形態に係る照明装置、投射型映像表示装置について説明したが、この照明装置にて使用する各種構成の実施形態について説明する。前述の実施形態では、光走査部15の走査形態については詳細を説明しなかったが、光走査部15の走査は、1次元的、2次元的走査どちらを利用してもよい。何れの場合においても光拡散素子21上の各点からの拡散光が被照明領域全体を十分に照明できることが必要とされる。
図4には、1次元的に走査を行う光走査部15の実施形態が示されている。この形態では、光源部11から出射されたコヒーレント光は、1軸方向に共振振動する光走査部15の反射面上で反射し、光拡散素子21上をライン上に往復して走査する。光拡散素子21としてホログラムを用いた場合には、何れの走査位置においても拡散板像22iが形成される。このような実施形態では、走査領域がライン状で済むため、光拡散素子21を小型化することができる。ライン状の走査で十分に被照明領域を得るためには、ホログラムを用いることが好ましい。
図5には、2次元的に走査を行う光走査部15の実施形態が示されている。この形態では、光源部11からのコヒーレント光は、2軸方向で共振振動する光走査部15の反射面上で反射し、光拡散素子21上を2次元的に走査する。この実施形態においても光拡散素子21からの拡散光は、被照明領域全体を十分に照明するものとなっており、特にホログラムを用いた場合には、被照明領域に合わせた形状の拡散板像22iを形成することが可能であり光の利用効率が高められる。このような実施形態は、オパールガラスのような通常の拡散板を用いた場合に有効である。各点からの拡散光の照度分布が一定でない場合であっても照度の平均化を図り、被照明領域全体を均一に照明することが可能となる。
では、本発明の実施形態に係る偏光分離部12の各種形態について説明する。以下に説明する偏光分離部12は、何れも入射光を偏光の振動方向に応じて分離する複屈折性を有するデバイスである。このような複屈折性を有するデバイスでは、従来の偏光ビームスプリッター(キューブ型)などと比較して、加工や配置の点などにおいて優位性があり、小型の光学系において期待できる。
図6は、本発明の実施形態に係る偏光分離部12の一例を示す図であって、この例では、複屈折性結晶素子161を使用したものとなっている。複屈折結晶素子161は、入射面あるいは出射面のうち少なくとも一面、図6に示す場合においては、出射面が入射光の光軸と垂直な面から傾斜している楔形形状を有している。光源11から出射されたコヒー
レント光L0を、その光軸と垂直な入射面に入射させることで、傾斜した射出面からは、s偏光成分のコヒーレント光とp偏光成分のコヒーレント光が出射される。本実施形態では、s偏光成分側にλ/2波長板13を配置することで、偏光方向の揃った2本のコヒーレント光L1、L1’を得ている。
図7は、本発明の実施形態に係る偏光分離部12の一例を示す図であって、この例では、2枚の透明基板162aと162b間に液晶を封入したデバイスで構成されている。2枚の透明基板162は、透明なガラスやプラスチック等で構成される。この2枚の透明基板162の間には、液晶を封入するためのシール材163が設けられている。このシール材163は、透明基板162間の距離の規定するものとしても機能している。
入射側の透明基板162bの液晶側の面上には、入射光の光軸と垂直な面から傾斜した傾斜面を有するプリズムがアレイ状に形成されている。このプリズムアレイ164は、インプリントなどで作成されたUV硬化樹脂や、エッチングで作成されたガラスなどで形成されている。このプリズムアレイ164と出射側の透明基板162aとの間には液晶が封入されている。封入される液晶は、透明基板162などに形成された配向膜、あるいは、図示しない電極から印加される電界によって、透明基板162の壁面と平行に配向されている。
このように配向された液晶は、偏光方向によって異なる屈折率を有する複屈折性(屈折率異方性)を有するものであって、例えば、s偏光の偏光成分に対してはプリズムアレイ164の屈折率npと略同じ常光屈折率noを、また、p偏光の偏光成分に対してはプリズムアレイ164の屈折率npと異なる異常光屈折率neとなるように設定されている。したがって、光源11から出射されたコヒーレント光L0について、s偏光成分は、プリズムアレイ164と液晶の界面を直進して透過し、p偏光成分は、界面にて屈折して異なる方向に出射される。前述の実施形態と同様、s偏光成分側にλ/2波長板13を配置することで、偏光方向の揃った2本のコヒーレント光L1、L1’が得られる。
本実施形態では、複屈折性材料として、位置方向に配向した液晶を用いることとしたが、この形態に限られるものではなく、例えば、アモルファス高分子、低分子ガラス状化合物、両親媒性化合物など各種材料を使用することができる。
図8は、本発明の実施形態に係る偏光分離部12の一例を示す図であって、本実施形態の偏光分離部12においても、図7の実施形態と同様、複屈折性効果を利用したものとなっている。前実施形態と同様、2枚の透明基板162a、162bの間にはシール材163を介した空間が形成されている。この空間には、液晶分子を多く含む液晶リッチ層166Aと、ポリマー材料を多く含むポリマーリッチ層166Bが、コヒーレント光の光軸に対して傾斜して形成されている。
液晶リッチ層166Aは、偏光方向によって異なる屈折率を有する複屈折性を有するものであって、s偏光の偏光成分に対してはポリマーリッチ層166Bの屈折率npと略同じ常光屈折率noを、また、p偏光の偏光成分に対してはポリマーリッチ層166Bの屈折率npと異なる異常光屈折率neとなるように設定されている。したがって、光源11から出射されたコヒーレント光L0について、s偏光成分は、液晶リッチ層166Aとポリマーリッチ層166Bの界面を直進して透過し、p偏光成分は、界面にて回折して異なる方向に出射される。この場合においても、s偏光成分側にλ/2波長板13を配置することで、偏光方向の揃った2本のコヒーレント光L1、L1’が得られる。
本実施形態の複屈折性材料についても液晶以外に各種材料を使用することができる。また、本実施形態の偏光分離部12の作成方法は、まず、複屈折性材料とモノマーからなる
混合物を透明基板162a、162b間にて封止しておき、干渉縞を露光させることで行われる。このとき、干渉縞の明部においてモノマーの光重合反応が始まり、液晶分子はその長軸方向を移動方向に配向させつつ、暗部に析出される(重合誘起相分離)こととなり、液晶リッチ層166Aとポリマーリッチ層166Bが形成されることとなる。
以上、3つの形態の偏光分離部12について説明したが、このような形態のみならず、異なる直線偏光成分に分離できるものであれば、各種形態を採用することができる。
図1で説明した照明装置20では、偏光分離部12で異なる方向に分離されたコヒーレント光L1、L1’を集光光学系14を用いて、光走査部15の基準点に集光させることとしていたが、集光光学系14を使用せず、分離されたコヒーレント光L1、L1’のそれぞれを光走査部15上の異なる点で反射させることとしてもよい。
図9は、このような実施形態の照明装置を示す図であって、ちょうど図2で説明した照明装置において、集光光学系14を除外した実施形態となっている。この実施形態において図2と同様の点については説明を省略する。
この実施形態では、偏光分離部12で分離された2本のコヒーレント光L1、L1’をそのまま光走査部15に入射させることとしている。このような形態では、光走査部15の反射面の2箇所において各コヒーレント光L1、L1’が反射されることとなる。そのため、光拡散素子21の各入射位置では、2本の走査光LaとLa’が異なる入射角度で入射されることとなる。そのため、角度選択性のあるホログラムを用いた場合には、光の利用効率が低下することがある。したがって、このような実施形態では、偏光分離部12で分離されるコヒーレント光の分離角度をできるだけ小さくすることや、偏光分離部12から光走査部15までの光路長を短くすることが好ましい。
また、このような場合、光拡散素子21として、レンズアレイや、オパールガラスなどの通常の拡散板などを用いたときには、光拡散素子21の各点における入射角度の違いによって照明領域にずれが生じる場合がある。そのため、図10に示すようにコヒーレント光Laが入射したときの光拡散素子21による照明領域22iと、コヒーレント光La’が入射したときの光拡散素子21による照明領域22i’がどちらも被照明領域としての光変調素子31の像形成領域全体を照明することが均一な照明を行う上で好ましい。
図1の実施形態では、透過型の光拡散素子21を使用したが、光拡散素子21としては反射型のものを用いることとしてもよい。図11〜図13は、光拡散素子21として反射型ホログラムを使用したときの実施形態であって、各図は、それぞれ図1〜図3の透過型のものと対応した図となっている。
図11は、投射型映像表示装置の構成を示す図であって、図12は、この投射型映像表示装置における照明装置部分を示した図である。本実施形態は、光拡散素子21として反射型ホログラムを使用したものとなっている。前述の実施形態と同様、光走査部15からの走査光Laは、光拡散素子21の入射面を時間的に位置を変えつつ走査を行う。反射型ホログラムでこの入射面が、反射面としても機能し、反射された再生像は、前実施形態と同様、被照明領域としての光変調素子31の像形成領域全体を照明する。光拡散素子21の何れの点を走査した場合にも、各点から出射される拡散光は、被照明領域を照明することで、被照明領域に対する入射角度を時間的に異ならせることが可能となる。したがって、前実施形態と同様、スクリーン41上で発生するスペックル、並びに、投射型映像表示装置10の各種光学素子で発生するスペックルを十分に目立たなくすることができる。
図13は、本実施形態で使用する反射型ホログラムを作成する際の構成(干渉露光)を
示した図である。拡散板2の背面側からレーザー光を照射し、前方に拡散した物体光Obをホログラム記録材料24の一方の面から入射させる。その際、拡散板22からの各点からの拡散光(物体光Ob)は、ホログラム記録材料24の少なくとも使用領域全面を照明するよう拡散させる。
そして、ホログラム記録材料24の他の面から、集光光学系23にて集光した参照光Rが照射される。集光光学系23の焦点位置Aは、使用時の光走査部15による照射光発散点(基準点)と一致するように配置されている。物体光Obと参照光Rを同時に入射させ、ホログラム記録材料24中で干渉させる。
ホログラム記録材料24は加熱、紫外線照射等の後処理を経て面上の各点において、同じ位置に拡散板像を再生する反射型ホログラム21が作成される。なお、前実施形態と同様、物体光Obの照射には、オパールガラスやすりガラスといった拡散板22だけでなく、レンズアレイなど、各点からの拡散光が使用領域全面を照明できる光学素子(第2の光拡散素子)であればよい。また、この反射型ホログラムについても計算機合成ホログラムを使用することとしてもよい。
以上、本実施形態によれば、スペックルノイズが目立つことなく、偏光方向の揃った照明光を出射する照明装置、並びに、この照明装置にて光変調素子を照明することでスペックルノイズが目立たない映像を提供することのできる投射型映像表示装置を提供することが可能となる。
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
10…投射型映像表示装置
11…光源
12…偏光分離部
13…λ/2波長板
14…集光光学系
15…光走査部

161…複屈折結晶素子
162…透明基板
163…シール材
164…プリズムアレイ
165…液晶分子
166A…ポリマーリッチ層
166B…液晶リッチ層
17…λ/2波長板
20…照明装置
21…光拡散素子(ホログラム)
22i…拡散板像
23…集光光学系
24…ホログラム記録材料
31…光変調素子(マイクロディスプレイ)
31a…像形成領域
32…投射光学系
41…スクリーン

Claims (11)

  1. コヒーレント光を出射する光源と、
    前記光源から出射したコヒーレント光を異なる方向に分離する偏光分離部と、
    前記偏光分離部により分離されたコヒーレント光を走査する光走査部と、
    前記偏光分離部で分離された何れか一方のコヒーレント光の光路に配置され、前記偏光分離部で分離されたコヒーレント光の偏光方向を揃える波長板と、
    前記光走査部で走査された走査光を拡散し、各点から出射される拡散光が被照明領域を重ねて照明する光拡散素子と、を備えたことを特徴とする
    照明装置。
  2. 前記偏光分離部は、入射光を偏光の振動方向に応じて分離する複屈折性を有するデバイスであることを特徴とする
    請求項1に記載の照明装置。
  3. 前記複屈折性を有するデバイスは、光が入出射する面のうち少なくとも一面が、コヒーレント光の光軸と垂直な面から傾斜している複屈折性結晶素子であることを特徴とする
    請求項2に記載の照明装置。
  4. 前記複屈折性を有するデバイスは、2枚の透明基板間に複屈折性材料を封入し、
    光が入射する側の透明基板の前記複屈折性材料側の面上に、コヒーレント光の光軸と垂直な面から傾斜した傾斜面を有するプリズムがアレイ状に配置されたデバイスであることを特徴とする
    請求項2に記載の照明装置。
  5. 前記複屈折性を有するデバイスは、2枚の透明基板間に複屈折性材料を含む層と、モノマー材料もしくはポリマー材料を含む層が、コヒーレント光の光軸と垂直な面から傾斜して交互に積層されたデバイスであることを特徴とする
    請求項2に記載の照明装置。
  6. 前記光拡散素子は、ホログラムであることを特徴とする
    請求項1から請求項5の何れか1項に記載の照明装置。
  7. 前記ホログラムは、第2の光拡散素子の像を記録したものであることを特徴とする
    請求項6に記載の照明装置。
  8. 前記ホログラムは、透過型ホログラム、反射型ホログラムの何れかであることを特徴とする
    請求項6または請求項7に記載の照明装置。
  9. 前記光拡散素子は、拡散板であることを特徴とする
    請求項1から請求項5の何れか1項に記載の照明装置。
  10. 前記光拡散素子は、レンズアレイであることを特徴とする
    請求項1から請求項5の何れかに記載の照明装置。
  11. コヒーレント光を出射する光源と、
    前記光源から出射したコヒーレント光を異なる方向に分離する偏光分離部と、
    前記偏光分離部により分離されたコヒーレント光を走査する光走査部と、
    前記偏光分離部で分離された何れか一方のコヒーレント光の光路に配置され、前記偏光
    分離部で分離されたコヒーレント光の偏光方向を揃える波長板と、
    像が形成される像形成領域を有する光変調素子と、
    前記光走査部で走査された走査光を拡散し、各点から出射される拡散光が前記像形成領域を重ねて照明する光拡散素子と、
    前記光変調素子の像をスクリーンに投影する投射光学系と、を備えることを特徴とする
    投射型映像表示装置。
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