JP2012224594A - 環状シトルリン化グルコース−6−リン酸イソメラーゼペプチドおよび関節リウマチ症診断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】関節リウマチ症(RA)の診断のための新規技術の提供。
【解決手段】グルコース−6−リン酸イソメラーゼの部分ペプチドを環状シトルリン化したペプチドを作製し、RA患者血清においてこのペプチドに対する自己抗体をスクリーニングした結果、自己抗体が顕著に検出された。生体から採取した血清等の試料中の環状シトルリン化GPIペプチドに対する抗体を検出することにより、関節リウマチ症の診断を行うことが可能となった。
【選択図】なし
【解決手段】グルコース−6−リン酸イソメラーゼの部分ペプチドを環状シトルリン化したペプチドを作製し、RA患者血清においてこのペプチドに対する自己抗体をスクリーニングした結果、自己抗体が顕著に検出された。生体から採取した血清等の試料中の環状シトルリン化GPIペプチドに対する抗体を検出することにより、関節リウマチ症の診断を行うことが可能となった。
【選択図】なし
Description
本発明は、関節リウマチ症特異的抗原ペプチドおよび該抗原ペプチドを利用した関節リウマチ症の診断方法等に関する。より詳しくは、グルコース−6−リン酸イソメラーゼの部分ペプチドを環状シトルリン化して得た関節リウマチ症特異的抗原ペプチド等に関する。
関節リウマチ症(rheumatoid arthritis:RA)は、関節内腔を覆う滑膜の炎症と増殖による関節痛や関節腫脹を主な特徴とする自己免疫疾患である。日本における罹患率は、50歳以上の中年期において約1%とされている。RAの発症機序は、未だ十分に解明されていない。
RAの診断は、米国リウマチ学会や日本リウマチ学会の診断基準に基づいて行われる。具体的には、関節の炎症などの臨床所見や、手の関節のX線所見、血液検査によるリウマトイド因子やC反応性タンパク質の陽性等の指標から判断される。
RAに対する血液中のバイオマーカーとしては、前述のリウマトイド因子やC反応性タンパク質の他に、自己抗体が利用されている。その中でも、近年、環状シトルリン化ペプチド(CCP)やシトルリン化α−エノラーゼペプチド−1(CEP−1)等のシトルリン化ペプチドに対する自己抗体が報告されている(非特許文献1参照)。シトルリン化は、アミノ酸のアルギニンがシトルリンに置換される反応である。RA患者において、シトルリン化の基質となるタンパク質は、フィブリノゲン、ビメンチン、コラーゲン、α−エノラーゼなど複数存在する(非特許文献2−5参照)。特許文献1および特許文献2では、複数あるいは単一のタンパク質に由来するシトルリン化ペプチドに対する自己抗体を利用したRAの診断方法が開示されている。
グルコース−6−リン酸イソメラーゼ(glucose−6−phosphate isomerase、GPI)は、558アミノ酸からなる、分子量63kDaの、解糖系の酵素である。自己抗体誘導性の関節炎の動物モデルとして知られるK/BxNマウスでは、GPIの一部のペプチドが自己抗原として同定されている(非特許文献6参照)。また、特許文献3では、関節炎誘発原性ペプチドとして、GPIの一部のアミノ酸配列が開示されている。
van Venrooij WJ et. al., Clin Rev Allergy Immunol (2008) 34:36-39
Wegner N et. al., Immunol Rev (2010) 233:34-54
Vander Cruyssen B et. al., Arthritis Res Ther(2006) 8:R122
Snir O et. al., Ann Rheum Dis (2009) 68:736-743
Lundberg K et. al., Arthritis Rheum (2008) 58:3009-3019
Matsumoto I et. al., Science (1999) 286:1732-1735
本発明は、RAの診断のための新規技術を提供することを主な目的とする。
本発明者は、GPIの部分ペプチドを環状シトルリン化したペプチドを作製し、RA患者血清おける自己抗体をスクリーニングした。その結果、RA患者において環状シトルリン化GPIペプチドに対する自己抗体が顕著に検出されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、まず、環状シトルリン化GPIペプチドを提供する。
この環状シトルリン化GPIペプチドは、RA患者に特異的に見出された環状シトルリン化GPIペプチドに対する自己抗体を検出するための抗原として利用できる。
この環状シトルリン化GPIペプチドは、配列番号1〜3で示されるアミノ酸配列を有するGPIペプチドを環状シトルリン化して得たものとでき、より具体的には配列番号17〜19で示されるアミノ酸配列において配列に含まれるアルギニンのうち少なくとも1つ以上がシトルリンに置換されたアミノ酸配列を有するものとされることが好ましい。このうち、特に配列番号18で示されるアミノ酸配列において配列に含まれアルギニンが全てシトルリンに置換されたアミノ酸配列を有するものとされることが特に好ましい。
この環状シトルリン化GPIペプチドは、RA患者に特異的に見出された環状シトルリン化GPIペプチドに対する自己抗体を検出するための抗原として利用できる。
この環状シトルリン化GPIペプチドは、配列番号1〜3で示されるアミノ酸配列を有するGPIペプチドを環状シトルリン化して得たものとでき、より具体的には配列番号17〜19で示されるアミノ酸配列において配列に含まれるアルギニンのうち少なくとも1つ以上がシトルリンに置換されたアミノ酸配列を有するものとされることが好ましい。このうち、特に配列番号18で示されるアミノ酸配列において配列に含まれアルギニンが全てシトルリンに置換されたアミノ酸配列を有するものとされることが特に好ましい。
また、本発明は、環状シトルリン化GPIペプチドを含む関節リウマチ症診断試薬を提供する。
さらに、本発明は、生体から採取した試料中の環状シトルリン化GPIペプチドに対する抗体を検出する手順を含む、関節リウマチ症診断方法も提供する。
この関節リウマチ症診断方法では、前記手順において、経時的に生体から採取した試料や関節リウマチ症に対する治療前後に生体から採取した試料を用いることにより、関節リウマチ症の活動性や治療効果を評価することが可能である。
この関節リウマチ症診断方法では、前記手順において、経時的に生体から採取した試料や関節リウマチ症に対する治療前後に生体から採取した試料を用いることにより、関節リウマチ症の活動性や治療効果を評価することが可能である。
本発明において、生体から採取される試料には、血清、血漿、滑液などが含まれる。
本発明により、RAの診断のための新規技術が提供される。
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。なお、説明は以下の順序で行う。
1.試料中の抗環状シトルリン化GPIペプチド抗体の検出方法
2.環状シトルリン化GPIペプチド
3.環状シトルリン化GPIペプチドの作成方法
4.抗環状シトルリン化GPIペプチド抗体を利用したRA活動性の診断評価
5.抗環状シトルリン化GPIペプチド抗体を利用したRA治療効果の診断評価
6.HLA−DRB1共有エピトープのアリル数
1.試料中の抗環状シトルリン化GPIペプチド抗体の検出方法
2.環状シトルリン化GPIペプチド
3.環状シトルリン化GPIペプチドの作成方法
4.抗環状シトルリン化GPIペプチド抗体を利用したRA活動性の診断評価
5.抗環状シトルリン化GPIペプチド抗体を利用したRA治療効果の診断評価
6.HLA−DRB1共有エピトープのアリル数
本発明者らは、GPIの部分ペプチドを環状シトルリン化したペプチドを作製し、RA患者および健常者(HS)、全身性エリテマトーデス(SLE)患者、シェーグレン症候群(SS)患者の血清中の自己抗体をスクリーニングした。その結果、RA患者において環状シトルリン化GPIペプチド(以下、「CCG」と称する)に対する自己抗体が顕著に検出されることを見出した。抗CCG抗体のRA患者に対する特異性は、公知の環状シトルリン化ペプチドに対する抗体である抗CEP−1抗体や抗CCP抗体に比べて同等以上であった。また、HLA−DRB1の共有エピトープのアリルを持つ検体で、抗CCG抗体の陽性率が高い傾向にあった。さらに、抗CCG抗体の濃度は、RAの活動性の変化を反映して変化した。以上の知見から、血清等の試料中の抗CCG抗体を検出することにより、RAを高感度かつ高精度に診断できることが明らかとなった。
1.試料中の抗環状シトルリン化GPIペプチド抗体の検出方法
抗CCG抗体は、CCGを用いた免疫学的方法によって検出できる。具体的には、酵素結合免疫吸着測定法(Enzyme−linked immunosorbent assay(ELISA))やウエスタンブロット法、ドットブロット法などが使用可能である。抗体の検出は、アルカリフォスファターゼを利用した呈色反応による検出や西洋ワサビペルオキシダーゼ等の酵素、フレオロレセインやローダミン等の蛍光団、ヨウ素、硫黄等の放射性同位体による検出によって行うことができる。なお、CCGは、抗CCG抗体検出のための抗原として、ELISA等のための試薬とともにRAの診断試薬を構成する。
抗CCG抗体は、CCGを用いた免疫学的方法によって検出できる。具体的には、酵素結合免疫吸着測定法(Enzyme−linked immunosorbent assay(ELISA))やウエスタンブロット法、ドットブロット法などが使用可能である。抗体の検出は、アルカリフォスファターゼを利用した呈色反応による検出や西洋ワサビペルオキシダーゼ等の酵素、フレオロレセインやローダミン等の蛍光団、ヨウ素、硫黄等の放射性同位体による検出によって行うことができる。なお、CCGは、抗CCG抗体検出のための抗原として、ELISA等のための試薬とともにRAの診断試薬を構成する。
2.環状シトルリン化GPIペプチド
CCGを構成するアミノ酸配列は、ヒトGPIタンパク質のアミノ酸配列(配列番号33)において少なくとも1以上のアルギニンを含む部分配列であればよい。CCGのアミノ酸配列におけるアミノ酸残基数も特に限定されない。アミノ酸残基数は多いほど、CCGの抗原性を高めることができるが、一方で合成のための手間やコストが増大する。このため、CCGのアミノ酸配列におけるアミノ酸残基数は、10〜30程度が好ましく、20前後が特に好ましい。「表1」には、アミノ酸残基数を19とした場合のCCGを構成し得るアミノ酸配列を例示する。
CCGを構成するアミノ酸配列は、ヒトGPIタンパク質のアミノ酸配列(配列番号33)において少なくとも1以上のアルギニンを含む部分配列であればよい。CCGのアミノ酸配列におけるアミノ酸残基数も特に限定されない。アミノ酸残基数は多いほど、CCGの抗原性を高めることができるが、一方で合成のための手間やコストが増大する。このため、CCGのアミノ酸配列におけるアミノ酸残基数は、10〜30程度が好ましく、20前後が特に好ましい。「表1」には、アミノ酸残基数を19とした場合のCCGを構成し得るアミノ酸配列を例示する。
表1に示すCCGのうち、特にCCG−1およびCCG−2は、これらに対する抗体がRA患者において高い特異性をもって検出されたことから特に有用である。また、CCG−2およびCCG−3は、これらに対する抗体がRA患者において高い頻度で検出されるため有用である。
3.環状シトルリン化GPIペプチドの作成方法
環状シトルリン化ペプチドの作成は、化学合成法や遺伝子組換え等の定法によって作製することができる。化学合成法は、固相合成法および液相合成法のいずれによっても良い。作製後、ペプチドのアミノ末端とカルボキシル末端に付加したシステインを用いて、ジスルフィド結合によって環状化ペプチドとする。
環状シトルリン化ペプチドの作成は、化学合成法や遺伝子組換え等の定法によって作製することができる。化学合成法は、固相合成法および液相合成法のいずれによっても良い。作製後、ペプチドのアミノ末端とカルボキシル末端に付加したシステインを用いて、ジスルフィド結合によって環状化ペプチドとする。
遺伝子組換え技術を用いた抗原ペプチドの作成は、抗原ペプチドに対応する部分のDNA配列の両端にシステインに対応するコドンの配列を加えたオリゴを挿入したベクターを適当な宿主細胞にトランスフェクトすることにより行う。宿主細胞は、原核細胞であれば大腸菌や枯草菌、真核細胞であれば、脊椎動物、昆虫、酵母等の細胞が挙げられる。ベクターは、宿主細胞に応じた各種のものが利用できる。
産生されたペプチドは、その物理的性質や化学的性質を利用した公知の分離操作法によって分離・精製することが可能である。例えば、透析や限外膜ろ過や、分子サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、等の各種クロマトグラフィーを単独あるいは組み合わせることで、高収率で精製度の高いペプチドを得ることができる。また、ペプチドの精製を容易にするために、標識をN末端かC末端に結合させても良い。代表的な標識ペプチドには、本実施例に示したGSTの他、ヒスチジンリピート、FLAG、mycペプチド、GFPポリペプチドなどが挙げられる。
精製されたペプチドは、アルギニンをシトルリンに置換する酵素であるペプチジルアルギニンデイミナーゼを用いて、シトルリン化を行う。この場合においても、最終的に、ペプチドの両末端にあるシステインを結合して、環状化ペプチドとする。
4.抗環状シトルリン化GPIペプチド抗体を利用したRA活動性の診断評価
抗CCG抗体はRA患者において特異的に検出されたことから、抗CCG抗体の検出によればRAの診断を行うことが可能となる。さらに、血清等の試料中の抗CCG抗体の濃度とRAの活動性に相関が認められたことから、経時的に血清等の試料を採取し、ELISAなどの定量的検出方法を使用することで、RAの活動性の評価を行うことが可能である。
抗CCG抗体はRA患者において特異的に検出されたことから、抗CCG抗体の検出によればRAの診断を行うことが可能となる。さらに、血清等の試料中の抗CCG抗体の濃度とRAの活動性に相関が認められたことから、経時的に血清等の試料を採取し、ELISAなどの定量的検出方法を使用することで、RAの活動性の評価を行うことが可能である。
5.抗環状シトルリン化GPIペプチド抗体を利用したRA治療効果の診断評価
また、血清等の試料中の抗CCG抗体の濃度は、RAに対する治療前に対し治療後で有意に低下し、治療前後のRAの活動性に相関したことから、治療前後で血清等の試料を採取し、ELISAなどの定量的検出方法を使用することで、RAに対する治療の効果を評価することも可能である。
また、血清等の試料中の抗CCG抗体の濃度は、RAに対する治療前に対し治療後で有意に低下し、治療前後のRAの活動性に相関したことから、治療前後で血清等の試料を採取し、ELISAなどの定量的検出方法を使用することで、RAに対する治療の効果を評価することも可能である。
ここで、RAの治療としては、ステロイド性、非ステロイド性の治療の他、TNFαの阻害剤や他の免疫抑制薬を用いた治療などがある。RAの活動性の評価は、「DAS−28CRP」等の公知の指標や臨床所見と組み合わせることで、より精度を高められる。
6.HLA−DRB1共有エピトープのアリル数
実施例において後述するように、抗CCG抗体の濃度と、HLA−DRB1共有エピトープのアリル数との間に関連が認められたことから、抗CCG抗体の検出とアリル数の検出とを組み合わせることで、より高い精度でRAの診断を行うことが可能である。
実施例において後述するように、抗CCG抗体の濃度と、HLA−DRB1共有エピトープのアリル数との間に関連が認められたことから、抗CCG抗体の検出とアリル数の検出とを組み合わせることで、より高い精度でRAの診断を行うことが可能である。
ゲノムDNAは、末梢血の白血球からフェノール−クロロホルムを用いた抽出やカラムを用いた精製により得ることができる。HLA−DRB1のジェノタイピングは、例えば配列特異的オリゴヌクレオチドプローブを用いたPCR法により行うことができ、この他にシークエンサーによる方法を用いても良い。
<1.対象および試料>
関節リウマチ症(RA)患者から血清、血漿、全血のそれぞれの試料を採取した。診断は、米国リウマチ学会の診断基準に従ってリウマチ専門医が行った。208人の日本人RA患者から試料を得た。RA患者の平均年齢は54歳(年齢範囲、16−84歳)で、76%が女性であった。対照群として、健常者(HS)174人からも血清を得た。HSの平均年齢は、27歳(年齢範囲、18−55歳)で、48%が女性であった。また、自己免疫疾患の対照群(疾患コントロール)として、101人の全身性エリテマトーデス(SLE)患者および101人のシェーグレン症候群(SS)患者からも試料を得た。SLE患者は全て、1997年のアメリカリウマチ学会の分類基準を満たしていた。また、SS患者は全て、厚生労働省のSSに対する診断基準を満たしていた。SSの診断基準は、4種類の臨床病理学的所見を包含し、1.抗SS−A抗体または抗SS−B抗体の存在、2.乾性角結膜炎、3.唾液分泌の機能不全、4.唾液腺または涙腺におけるリンパ球浸潤、の4項目のうち2以上の項目に当てはまる臨床所見に基づいて診断された。本実施例で対象とした患者では、RAとSLEまたはSSの両方を併発する例は含まれていない。全ての研究用試料は、患者および健常者の同意を得た上で、採取された。
関節リウマチ症(RA)患者から血清、血漿、全血のそれぞれの試料を採取した。診断は、米国リウマチ学会の診断基準に従ってリウマチ専門医が行った。208人の日本人RA患者から試料を得た。RA患者の平均年齢は54歳(年齢範囲、16−84歳)で、76%が女性であった。対照群として、健常者(HS)174人からも血清を得た。HSの平均年齢は、27歳(年齢範囲、18−55歳)で、48%が女性であった。また、自己免疫疾患の対照群(疾患コントロール)として、101人の全身性エリテマトーデス(SLE)患者および101人のシェーグレン症候群(SS)患者からも試料を得た。SLE患者は全て、1997年のアメリカリウマチ学会の分類基準を満たしていた。また、SS患者は全て、厚生労働省のSSに対する診断基準を満たしていた。SSの診断基準は、4種類の臨床病理学的所見を包含し、1.抗SS−A抗体または抗SS−B抗体の存在、2.乾性角結膜炎、3.唾液分泌の機能不全、4.唾液腺または涙腺におけるリンパ球浸潤、の4項目のうち2以上の項目に当てはまる臨床所見に基づいて診断された。本実施例で対象とした患者では、RAとSLEまたはSSの両方を併発する例は含まれていない。全ての研究用試料は、患者および健常者の同意を得た上で、採取された。
<2.GPIタンパク質の作成>
リコンビナントヒトGPI(rhGPI)は,ヒトGPI遺伝子のcDNAをpGEX−4T3プラスミド(ファルマシア)にクローニングし、大腸菌を用いて、glutathione S-transferase(GST)融合タンパクとして発現させた。発現させたGST融合rhGPIは、gultathione-sepharoseカラム(ファルマシア)を用いて精製した。rhGPIのタンパク質量と精製度は、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって調べた。また、ウサギ由来の天然のGPI(rabGPI)は、ウサギの筋肉から精製された市販品(シグマ)を用意した。
リコンビナントヒトGPI(rhGPI)は,ヒトGPI遺伝子のcDNAをpGEX−4T3プラスミド(ファルマシア)にクローニングし、大腸菌を用いて、glutathione S-transferase(GST)融合タンパクとして発現させた。発現させたGST融合rhGPIは、gultathione-sepharoseカラム(ファルマシア)を用いて精製した。rhGPIのタンパク質量と精製度は、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって調べた。また、ウサギ由来の天然のGPI(rabGPI)は、ウサギの筋肉から精製された市販品(シグマ)を用意した。
<3.GPIペプチドの環状シトルリン化>
非特許文献5記載の方法に基づき、環状シトルリン化GPIペプチドを作製した。具体的には、配列表1〜3に示す、ヒトGPI由来の3種類の19アミノ酸からなるペプチド(ヒトGPI:12−30、70−88、91−109)を合成した。これらのペプチドは、シトルリン化残基によってアルギニンを置換し、アミノ末端とカルボキシル末端にそれぞれシステインを加え環状化を行って、環状シトルリン化GPIペプチド−1、2、3(CCG−1、2、3)とした。また、CEP−1ペプチドについても合成を行った。
非特許文献5記載の方法に基づき、環状シトルリン化GPIペプチドを作製した。具体的には、配列表1〜3に示す、ヒトGPI由来の3種類の19アミノ酸からなるペプチド(ヒトGPI:12−30、70−88、91−109)を合成した。これらのペプチドは、シトルリン化残基によってアルギニンを置換し、アミノ末端とカルボキシル末端にそれぞれシステインを加え環状化を行って、環状シトルリン化GPIペプチド−1、2、3(CCG−1、2、3)とした。また、CEP−1ペプチドについても合成を行った。
<4.シトルリル化ペプチドに対する自己抗体の測定>
RA患者およびHS、疾患コントロールにおける血清中のシトルリン化タンパク質およびペプチドに対する自己抗体を、酵素結合免疫吸着測定法(Enzyme−linked immunosorbent assay(ELISA))を用いて行った。
RA患者およびHS、疾患コントロールにおける血清中のシトルリン化タンパク質およびペプチドに対する自己抗体を、酵素結合免疫吸着測定法(Enzyme−linked immunosorbent assay(ELISA))を用いて行った。
前述の合成したペプチドCCG−1、2、3とCEP−1は10μg/mlの濃度に希釈し、96穴プレート(MaxiSorp、Nunc)にコートし、4℃で一晩置いた。PBSで3回洗浄の後、非特異的結合を阻害するために、5%ウシ血清アルブミン溶液をプレートに加え、1時間室温に置き、洗浄液(0.05% Tween20/PBS)によって3回洗浄した。RA患者(208人)およびHS(174人)、疾患コントロールの血清を、100倍希釈してプレートに加え、1時間室温に置いた。洗浄後、アルカリフォスファターゼを結合した、Fcフラグメントに特異的なヒト免疫グロブリンG(American Qualex)をプレートに、2000倍希釈の濃度で加え、室温に1時間置いた。洗浄後、AP反応溶液(9.6% ジエタノールアミン、0.25mM MgCl2、pH9.8)とAPの基質を含むタブレット(シグマ)を用いて発色させた。プレートは30分間室温に置き、吸光度(OD)は、プレート用分光光度計で波長405nmにおいて測定した。測定結果は、合成ペプチドをコートしていないウエル(50mM Na2CO3、pH9.6)のODを減算し、算出した。ODのカットオフ値(平均値+2標準偏差)は、HSのELISA反応から算出した。抗環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体の測定については、市販の抗CCP2ELISAキット(Cosmic Corporation)を使用した。当該抗CCP2ELISAキットに含まれる抗原には、複数のタンパク質由来のシトルリンを含むペプチドが使用されている。
抗CCG−1、2、3抗体、抗CEP−1抗体、抗CCP抗体のELISAの結果は、表2および図1にまとめた。抗CCG−1、2、3の抗体は、RA患者において、それぞれ8.7%、26.0%、19.7%の検体から検出された(図1A、1B、1C、表2)。抗CCG−2抗体と抗CCG−3抗体の濃度は、HSと比べ、RA患者で有意差が見られた(マンホイットニーのU検定による解析。それぞれP<0.001、P<0.01)。抗CCG−1抗体の濃度については、RA患者とHSの間で有意な差は見られなかった(P=0.153)。抗CCG−1、2、3抗体のRA患者での特異性は、HSと比較して、95.4%であった。一方、日本人RA患者における抗CEP−1抗体については、RA患者の47.1%について観察され、抗CEP−1抗体の濃度は、RA患者とHSの間で有意な差が見られた(P<0.001、図1D)。抗CCP抗体については、RA患者において、86.1%の検体が、陽性であった。
抗CCG抗体の疾患特異性を明らかにするために、SLE患者(101人)やSS患者(101人)の血清についても、スクリーニングを行った。抗CCG−2抗体は、SLE患者とSS患者においては、陽性となった検体がなく、HSでは、0.6%であった(表2)。抗CCG−2抗体の特異性は、SLE患者、SS患者、およびHSと比較し、99.7%と算出された。さらに、抗CCG−1抗体の特異性は100%であったが、感度は8.7%であった。対照的に、抗CCG−3抗体は、HSで4.0%、SLE患者で10.9%、SS患者で22.8%の検体において陽性であった。抗CCG−3抗体の特異性は、HSおよび疾患コントロールと比較して89.1%であった。抗CEP−1抗体は、HSで1.2%、SLE患者で2.0%、SS患者で0%に陽性であった。抗CEP−1抗体の特異性は98.9%であった。抗CCP抗体は、HSで、1.2%、SLE患者で6.9%、SS患者で3.4%の検体が、それぞれ陽性であった。抗CCP抗体の特異性は97.3%であった。
本実施例において、RA患者では、合計40.9%の検体では、少なくともいずれか1種類のCCGに対して陽性であった。このことから、CCGはRAの診断に有用なペプチドであり、該ペプチドに対する自己抗体の検出によりRAの診断が可能であることが明らかとなった。また、CCGに対する抗体のうち、とりわけ抗CCG−1抗体および抗CCG−2抗体は、抗CEP−1抗体と抗CCP抗体に比べ、RA患者に対して、高い特異性を示した。
前述のELISAの結果が抗原特異的検出であることを確認するために、予め抗原と反応させた患者血清を用いてELISAを行った。
抗CCG−2抗体と抗CEP−1抗体が陽性であった血清を100倍に希釈し、0.1から300μg/mlの濃度に調整したCCG−2、CEP−1またはコントロールペプチド(CCG−1)と混合し、2時間保温した。検体は、CCG−1、CCG−2、CEP−1のそれぞれをコートしてあるプレートに加え、各ペプチドに対する抗体の結合は、ELISAによって測定した。結果、CCG−2とCEP−1で、ELISA測定前に添加した抗原濃度に依存的な阻害が観察された(図1F、1G)。対照的に、コントロールペプチド(CCG−1)を用いた場合、濃度依存的な阻害は検出されなかった。これは、抗CCG−2抗体および抗CEP−1抗体が、それぞれCCG−2とCEP−1のペプチドに対して特異的であることを示している。
<5.GPIタンパク質に対する自己抗体の測定>
RA患者血清における、GPIタンパク質に対する自己抗体と、抗CCG−1、2、3の関連を明らかにするために、RA患者(158人)およびHS(71人)の血清を用いて、抗rhGPI抗体および、抗rabGPI抗体に対するELISAを行った。
RA患者血清における、GPIタンパク質に対する自己抗体と、抗CCG−1、2、3の関連を明らかにするために、RA患者(158人)およびHS(71人)の血清を用いて、抗rhGPI抗体および、抗rabGPI抗体に対するELISAを行った。
抗GPI抗体の定量のために、rhGPIとrabGPIをそれぞれ、5μg/mlの濃度に希釈し、96穴プレートにコートした後、4℃に一晩置いた。洗浄液(0.05%Tween20/PBS)で2回洗浄し、非特異的な結合を阻害するためにBlock Ace(PBSで4倍希釈したもの)を用いた。3回洗浄の後、RA患者(158人)およびHS(71人)の血清は、プレートに添加し、2時間室温に置いた。洗浄後、アルカリフォスファターゼを結合した、Fcフラグメントに特異的なヒト免疫グロブリンG(American Qualex)をプレートに、1000倍希釈の濃度で加え、室温に1時間置いた。3回の洗浄の後、AP反応溶液(9.6% ジエタノールアミン、0.25mM MgCl2、pH9.8)とAPの基質を含むタブレット(シグマ)で発色させた。プレートは30分間室温に置き、ODは、プレート用分光光度計で、405nmにおいて測定した。測定結果は、GPIタンパク質をコートしていないコントロールのウエル(GSTとPBSをコートしたウエル)のODを減算し、算出した。ODのカットオフ値(平均値+2標準偏差)は、HSのELISA反応から算出した。
抗rhGPI抗体の濃度は、HSの血清においても、弱い反応が確認されたが(図2A)、RA患者(平均OD=1.038)とHS(平均OD=0.736)で有意に差が見られた(マンホイットニーのU検定による解析。P<0.01)。抗rabGPI抗体の濃度もまた、RA患者(平均OD=0.041)とHS(平均OD=0.015)の間で有意に差が見られた(P<0.01)(図2B)。RA患者の血清では、抗rhGPI抗体については、24.1%の検体で陽性であり、抗rabGPI抗体については、37.1%の検体で陽性であった。抗rhGPI抗体と抗rabGPIの両方について陽性であったのは、RA患者で13.9%であった。抗GPIタンパク質抗体陽性と陰性の個々の検体の中で、抗CCG抗体陽性について比較を行った。抗rhGPI抗体と抗rabGPI抗体に陽性である患者で、抗CCG-1抗体および抗CCG-2抗体、抗CCG−3抗体のいずれか1種類かあるいは全ての抗CCG抗体に陽性である検体数は、両方が陰性である検体数に対して高い割合の傾向にあった(図2C)。しかし、抗CCG抗体と抗GPIタンパク質抗体の両方で陽性と、両方陰性である検体数の間で、有意な差は見られなかった。また、抗CCG−2抗体および抗CCG−3抗体に陽性であるRA患者で、抗rhGPI抗体および抗rabGPI抗体の両方に陰性である検体が存在した(図2D)。この結果は、公知であるGPIタンパク質に対する自己抗体の測定に比べ、CCGを使用した場合、より高い精度のRAの診断が可能であることを示している。
<6.各種自己抗体間における相関解析>
抗CCG−1、2、3抗体および、抗GPIタンパク質抗体と、抗CEP−1抗体および抗CCP抗体と、の関連を解析するために、前述のELISAのOD値を用いて、相関解析を行った(図3)。
抗CCG−1、2、3抗体および、抗GPIタンパク質抗体と、抗CEP−1抗体および抗CCP抗体と、の関連を解析するために、前述のELISAのOD値を用いて、相関解析を行った(図3)。
抗CCG−1抗体は、抗CEP−1抗体(r=0.090、P=0.723)と、抗CCP抗体(r=0.101、P<0.141)の両方に対して、相関は認められなかった(図3A)。一方、抗CCG−2抗体は、抗CEP−1抗体に対して相関が認められた(r=0.313、P<0.001)。さらに、抗CCG−2抗体は、抗CCP抗体に対しても、相関が認められた(r=0.442、P<0.001)(図3B)。対照的に、抗CCG−3抗体は、抗CEP−1抗体と相関せず(r=0.090、P=0.183)、これに対して、抗CCP抗体とでは、相関していた(r=0.181、P<0.01)(図3C)。また、抗CEP−1抗体は、抗CCP抗体と相関していた(r=0.399、P<0.001)。これらの結果は、抗CCP−2抗体が抗CEP−1抗体および抗CCP抗体と関連していることを示唆している。
抗GPIタンパク質抗体と、抗CEP−1抗体および、抗CCP抗体との相関についても検証した。抗rhGPI抗体は、抗CEP−1抗体と相関していたが(r=0.206、P<0.01)、抗CCP抗体との相関は認められなかった(r=0.005、P=0.943)(図3D)。抗rabGPI抗体は、抗CEP−1抗体(r=0.072、P=0.367)と、抗CCP抗体(r=0.053、P=0.504)の両方で、相関が認められなかった(図3E)。抗CCG−2抗体と異なり、抗GPIタンパク質抗体は、抗CEP−1抗体および抗CCP抗体に対して明らかな相関は見られなかった。この結果は、前述のGPIタンパク質に対する自己抗体の測定の結果と合わせ、RA患者の診断マーカーとして、GPIのシトルリン化による翻訳後修飾が重要であることを示唆している。そして、抗CCG抗体の濃度は、他のシトルリン化ペプチドに対する自己抗体の濃度と組み合わせることで、確度の高いRAの診断方法を提供できることを示している。
<7.HLA−DRB1アリルと抗シトルリン化ペプチド抗体の関連>
HLA−DRB1の共有エピトープのアリルと、抗シトルリン化ペプチド抗体との関連を検証するために、RA患者におけるHLA−DRB1のジェノタイピングを行い、共有エピトープのアリルを同定した。
HLA−DRB1の共有エピトープのアリルと、抗シトルリン化ペプチド抗体との関連を検証するために、RA患者におけるHLA−DRB1のジェノタイピングを行い、共有エピトープのアリルを同定した。
HLA−DRB1アリルのジェノタイピングでは、ゲノムDNAを、147人のRA患者の末梢血の白血球から、QuickGene(富士フィルム)を用いて抽出した。HLA−DRB1のジェノタイピングは、WAKFlow HLA typing kit(湧永)を使用して、配列特異的オリゴヌクレオチドプローブPCR法にて行った。PCR産物は、ハイブリダイズを行い、Luminex−200 multi−analyze profiling system(xMAP;Luminex Coporation)で測定した。
HLA−DRB1の共有エピトープのジェノタイピングの結果、6種類のHLA−DRB1の共有エピトープ(DRB1*0101、*0401、*0405、*0410、*1001、*1406)が日本人RA患者において同定された。27.9%の検体は、共有エピトープのアリルを持っていなかった。51.0%の検体は、アリルを1個持っており、21.1%の検体では、アリルを2個持っていた。抗CCG−2、3抗体、抗CEP−1抗体および抗CCP抗体の濃度は、共有エピトープのアリルを持たないRA患者に比べ、アリルを持つRA患者の方で、高い傾向にあった(図4A)。抗CCP−2抗体、抗CEP−1抗体および抗CCP抗体は、HLA−DRB1の共有エピトープのアリルの存在の有無で有意差が見られた(フィッシャー直接検定およびカイ二乗検定による解析。それぞれ、P=0.0026、P<0.001、P<0.001)。これに対して、抗CCG−3抗体と抗GPIタンパク質抗体では、アリルの有無との間に有意差は認められなかった(図4B)。抗CCG−2抗体と抗CEP−1抗体が陽性である患者は、高い確率で、1個あるいは2個のHLA−DRB1の共有エピトープの対立遺伝子を持っていた(図4C)。これらの結果は、日本人のRA患者集団において、抗CCG−2抗体および抗CEP−1抗体と、HLA−DRB1の共有エピトープのアリル数とが、強く関連していることを示唆している。CCGに対する自己抗体の検出に、HLA−DRB1のアリル数を組み合わせることで、より早期で精度の高いRAの診断方法を提供することができる。
<8.TNFαアンタゴニストの治療の前後における、シトルリル化ペプチドに対する自己抗体の測定>
RAの疾患の活動性とシトルリン化ペプチドに対する抗体との関連について検証するために、35人のRA患者について、TNFαのアンタゴニストによる治療の前後6か月における抗CCG−1、2、3抗体、抗CEP−1抗体および抗GPIタンパク質抗体の濃度の変動を調べた。
RAの疾患の活動性とシトルリン化ペプチドに対する抗体との関連について検証するために、35人のRA患者について、TNFαのアンタゴニストによる治療の前後6か月における抗CCG−1、2、3抗体、抗CEP−1抗体および抗GPIタンパク質抗体の濃度の変動を調べた。
TNFαアンタゴニストの治療を受けた35人の関節リウマチ症患者の内訳は、インフリキシマブ投与25人、エタネルセプト投与8人、アダリムマブ投与2人である。投与前と投与6か月後で、血清を採取した。35人の患者は、治療前に少なくとも、抗CCG−1、2、3と抗CEPのいずれか1種類の抗体に対して陽性であった。
35人のRA患者について、TNFαアンタゴニストによる治療前では、抗CCG−1、2、3抗体、抗CEP−1抗体、抗rhGPI抗体、抗rabGPI抗体は、それぞれ7人、23人、14人、29人、5人、8人の患者から検出された。
TNFαのアンタゴニストによる治療の後、図5に示すように、抗CCG−2抗体のみが、ODが1.237から0.906と、有意に低下していた(対応のあるt検定による解析。P<0.001)。抗CCG−1抗体の濃度については、有意な低下は見られなかった(OD 0.267から0.197、P=0.216)(図5A)。抗CCG−3抗体の濃度は、減少する傾向にあった(OD 0.565から0.396、P=0.133)(図5C)。しかし、抗CEP−1抗体は、治療の前後で変化が見られなかった(OD 0.866から0.861、P=0.957)(図5D)。抗GPIタンパク質抗体については、抗rhGPI抗体(図5E)と抗rabGPI抗体(図5F)で、治療の前後で、抗体の濃度に有意な低下は見られなかった(OD 2.236から2.235、P=0.98;OD 0.065から0.079、P=0.24)。なお、関節リウマチ症の活動性を評価する指標である「DAS−28CRP」の平均は、TNFαのアンタゴニストによる治療後、有意に低下しており、治療効果があったことが確認されている。
これらの結果は、抗CCG抗体、特に抗CCG−2抗体、の濃度が、抗CEP−1抗体とは異なり、TNFαのアンタゴニストによる治療によって減少することを示し、抗CCG−抗体がRAの活動性を評価するマーカーとして有用であることを示唆している。
本発明に係る環状シトルリン化GPIペプチドおよび関節リウマチ症診断方法によれば、RAを高感度かつ高精度に診断できる。従って、本発明は、RAの診断、治療効果の評価などのために有用である。
Claims (8)
- 環状シトルリン化グルコース−6−リン酸イソメラーゼペプチド。
- 配列番号1〜3で示されるアミノ酸配列を有するグルコース−6−リン酸イソメラーゼペプチドを環状シトルリン化して得た請求項1記載の環状シトルリン化グルコース−6−リン酸イソメラーゼペプチド。
- 配列番号17〜19で示されるアミノ酸配列において配列に含まれるアルギニンのうち少なくとも1つ以上がシトルリンに置換されたアミノ酸配列を有する請求項2記載の環状シトルリン化グルコース−6−リン酸イソメラーゼペプチド。
- 配列番号18で示されるアミノ酸配列において配列に含まれるアルギニンが全てシトルリンに置換されたアミノ酸配列有する請求項3記載の環状シトルリン化グルコース−6−リン酸イソメラーゼペプチド。
- 環状シトルリン化グルコース−6−リン酸イソメラーゼペプチドを含む関節リウマチ症診断試薬。
- 生体から採取した試料中の環状シトルリン化グルコース−6−リン酸イソメラーゼペプチドに対する抗体を検出する手順を含む、関節リウマチ症診断方法。
- 前記手順において、経時的に生体から採取した試料を用いる請求項6記載の関節リウマチ症診断方法。
- 前記手順において、関節リウマチ症に対する治療前後に生体から採取した試料を用いる、請求項7記載の関節リウマチ症診断方法。
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