以下、例示的な実施形態について説明する。
《発明の実施形態1》
図1は、本実施形態1に係るレンズ鏡筒の、斜め前方からの斜視図であり、図2は、レンズ鏡筒の、斜め後方からの斜視図であり、図3は、レンズ鏡筒の、縦断面図である。
[1.レンズ鏡筒100の構成]
本実施形態では、レンズ鏡筒100における遮蔽構造について説明する。この遮蔽構造は、撮像素子支持構造1の一部となっている。
レンズ鏡筒100は、デジタルスチルカメラやビデオムービー等の撮像装置に用いられる。レンズ鏡筒100は、その内部にズームレンズやフォーカスレンズ等の各種レンズを有する光学系と、入射する光を電気信号に変換して出力する撮像素子110を備えている。被写体からの光線は、前記光学系を介して、撮像素子110に光学像として結像される。撮像素子110は、CCD(Charge Coupled Device)センサ又はCMOS(Complementary metal−oxide Semiconductor)センサで構成される。
レンズ鏡筒100は、沈胴タイプである。詳しくは、レンズ鏡筒100は、第1鏡筒121と、第1鏡筒121を収容する第2鏡筒122と、第2鏡筒122を収容する第3鏡筒123と、第3鏡筒123を収容する固定鏡筒124とを有している。固定鏡筒124は、概ね、カメラ本体(図示省略)内に収納されている。撮影をする場合には、第1鏡筒121が第2鏡筒122に対して繰り出されたり、第2鏡筒122が第3鏡筒123に対して繰り出されたり、第3鏡筒123が固定鏡筒124に対して繰り出されたりする。一方、撮影しない場合には、第1鏡筒121が第2鏡筒122に収納され、第2鏡筒122が第3鏡筒123に収納され、第3鏡筒123が固定鏡筒124に収納される。こうして、非撮影時には、レンズ鏡筒100は、カメラ本体内に収納される。
レンズ鏡筒100の光学系は、光学像を取り込むためのレンズ群と、ズーム用のレンズ群と、フォーカス用のレンズ群とを有している。これらのレンズ群は、各種レンズ枠やカム枠に保持され、光軸A方向に移動可能に構成されている。撮影時には、各々のレンズ群の間隔が調整され、光学像のズームやフォーカスが調整される。これらのレンズ群を通過した被写体からの光線が光学像として撮像素子110に結像される。
ズーム用のレンズ群は、ズームレンズ131〜136によって構成されている。このズームレンズ131〜136は、ズームモータユニットによって、光軸A方向に駆動される。また、フォーカス用のレンズ群は、フォーカスレンズ137によって構成されている。このフォーカスレンズ137は、フォーカスモータユニットによって光軸A方向に駆動される。
レンズ鏡筒100には、撮像素子支持構造1が含まれている。図4は、レンズ鏡筒の撮像素子周辺部の分解斜視図であり、図5は、防塵シートの正面図であり、図6は、図3の囲み部VIにおける拡大断面図である。撮像素子支持構造1は、図3〜図5に示すように、光軸Aが貫通する第1開口部150を有するマスターフランジ155と、マスターフランジ155に取り付けられる取付板160と、取付板160に支持され、光軸A方向を向いて見たときに第1開口部150内に位置する撮像素子110と、第1開口部150における、マスターフランジ155と撮像素子110との間の隙間を遮蔽する防塵シート170とを備えている。尚、以下の説明においては、説明の便宜上、光軸A方向における被写体側を前側とし、その反対側を後側とする。また、背面とは、後側の面を意味する。
マスターフランジ155は、略板状の部材である。第1開口部150は、マスターフランジ155の略中央に貫通形成されている。第1開口部150は、略長方形状をしている。詳しくは、第1開口部150は、互いに平行な一組の直線状の長辺と、互いに平行な一組の直線状の短辺とを有している。第1開口部150の4つの角部は、丸まっている。また、マスターフランジ155の背面側には、取付板160をネジ止めするための3つのネジ孔(図示省略)が設けられている。このマスターフランジ155が第1部材を構成する。
撮像素子110は、板状の部材である。撮像素子110は、第1開口部150よりも小さい長方形状をしている。撮像素子110は、取付板160を介してマスターフランジ155に間接的に取り付けられる。この撮像素子110は、第2部材を構成する。
防塵シート170は、弾性及び遮光性のあるプラスチック製の薄板で構成されている。防塵シート170は、略長方形状の枠状に形成されている。具体的には、防塵シート170は、4つの角部170a,170a,…と、4つの辺部170b,170b,…とを有している。すなわち、防塵シート170は、略長方形状の外周形状を有すると共に、中央に略長方形状の第2開口部175を有している。防塵シート170の外周形状は、マスターフランジ155の第1開口部150よりも大きい。また、第2開口部175は、撮像素子110よりも小さい。防塵シート170の第2開口部175の開口縁部は、撮像素子110の前面の周縁部に両面テープ180を介して接着される。また、防塵シート170の前面には、第2開口部175を覆うようにフィルタガラス190が両面テープ180を介して接着される。この防塵シート170が遮蔽部材を構成する。
取付板160は、板状の部材である。取付板160には、ビス162,162,…が挿通される3つの貫通孔161,161,…が設けられている。また、取付板160には、撮像素子110が接着されている。この取付板160が取付部材を構成する。
取付板160をビス162,162,…を介してマスターフランジ155に取り付けると、光軸A方向を向いて見たときに、撮像素子110はマスターフランジ155の第1開口部150内に位置する。そして、防塵シート170は、マスターフランジ155の背面側から、第1開口部150の開口縁150aに当接している。このとき、防塵シート170は、第1開口部150の開口縁150aの全周に亘って当接している。撮像素子110は第1開口部150よりも小さいため、第1開口部150においては、マスターフランジ155と撮像素子110との間に隙間が形成される。しかし、この隙間は、防塵シート170により遮蔽される。こうして、この隙間からレンズ鏡筒100の内部に塵、埃等の異物が侵入することを抑制している。
ここで、3つのビス162,162,…の締め付け量をそれぞれ調整することによって、撮像素子110の光軸Aに対する傾きを調整することができる。すなわち、マスターフランジ155のネジ孔、取付板160の貫通孔161,161,…及びビス162,162,…が傾き調整機構を構成する。
[2.防塵シート170の構成]
ここで、防塵シート170の構成について詳細に説明する。防塵シート170の各角部170aには、外縁から内方に向かって第1スリット171が形成されている。各第1スリット171は、第2開口部175の角部に向かって延びている。防塵シート170をマスターフランジ155に設置した状態において、第1スリット171は、少なくとも、第1開口部150(図5において一点鎖線で図示)内まで延びている。また、防塵シート170の各辺部170bには、第2スリット172が形成されている。第2スリット172は、第1スリット171と繋がっている第2スリット172aと、第1スリット171と繋がっていない第2スリット172bとを含んでいる。第2スリット172a,172bは、互いに繋がっていないものの、一直線上に並んでいる。尚、第2スリット172aと第2スリット172bとを区別しないときには、単に「第2スリット172」と称する。この第2スリット172は、防塵シート170をマスターフランジ155に設置した状態において、撮像素子110(図5において一点鎖線で図示)よりも外側で且つ第1開口部150の内側(即ち、第1開口部150におけるマスターフランジ155と撮像素子110との間の隙間)に位置し、第1開口部150の開口縁150aに沿って延びている。ここで、「沿って」とは、開口縁150aなどの対象となる部分に対して平行である必要はなく、対象となる部分と実質的に同じ方向に延びることを意味する。詳しくは、第2スリット172は、第1開口部150の開口縁150aのうち直線状の部分150b,150b,…に沿って延びている。ここで、「直線状」とは、厳密に直線である必要はなく、実質的に直線となった形状を意味する。すなわち、多少、湾曲した形状であっても細く延びる形状であればよい。さらに詳しくは、図6に示すように、マスターフランジ155の背面においては、第1開口部150の開口縁150aが面取りされて、光軸Aに対して傾斜した面で構成されている。すなわち、マスターフランジ155の背面において、第1開口部150の開口縁150aは、或る程度の幅を有した傾斜面150cで構成されている。この場合、防塵シート170は、第1開口部150の開口縁150aとしての傾斜面150cに当接することになる。そして、第2スリット172は、傾斜面150cにおける内周縁(図6においては下側の縁部)のうち直線状の部分に沿って延びていることが好ましい。
このように構成された防塵シート170は、マスターフランジ155に設置したときに、マスターフランジ155の第1開口部150の開口縁150aに押し付けられ、撮像素子110が接着されている中央部が周縁部よりも前方へ突出するように変形する。このとき、防塵シート170に発生する捻れや撓みは、第1及び第2スリット171,172によって吸収される。これにより、防塵シート170とマスターフランジ155との間の隙間を抑制することができると共に、防塵シート170と撮像素子110及びフィルタガラス190との剥離を抑制することができる。
つまり、本実施形態のように、防塵シート170をマスターフランジ155に押し付け、中央部が周縁部よりも前方へ突出するように防塵シート170が変形する構成においては、防塵シート170には捻れや撓みが生じてしまう。その結果、防塵シート170に皺が発生する。特に、本実施形態では、防塵シート170の外周縁は自由端であるため、防塵シート170と第1開口部150の開口縁150aとの当接部において皺が生じ易く、防塵シート170と第1開口部150の開口縁150aとの当接部に隙間が発生してしまう虞がある。また、防塵シート170の弾性による反発力が大きい場合には、防塵シート170と撮像素子110又はフィルタガラス190との間の接着が剥がれる虞もある。
それに対して、本実施形態では、第1及び第2スリット171,172によって、防塵シート170の捻れや撓みを吸収することができる。詳しくは、第1スリット171が防塵シート170の外縁から内方に向かっているため、中央が前方に突出するように防塵シート170が変形する際に、防塵シート170のうち、第1スリット171を挟んで両側の部分が互いに重なり合って、防塵シート170の皺を吸収することができる。ここで、第1開口部150は方形状をしているため、防塵シート170が前述の如く変形する際には、防塵シート170のうち第1開口部150の角部に相当する部分に応力が集中し易く、変形も集中し易い。それに対して、第1スリット171は、第1開口部150の角部を通って第1開口部150の内方へ向かって延びているため、防塵シート170のうち第1開口部150の角部に相当する部分の応力集中を緩和することができ、防塵シート170の変形も抑制することができる。その結果、防塵シート170と第1開口部150の角部との間における隙間の発生を抑制することができる。また、防塵シート170と撮像素子110又はフィルタガラス190との間の剥離も抑制することができる。
さらに、第1スリット171には、第2スリット172aが繋がっているため、防塵シート170のうち第1スリット171を挟んだ両側の部分が互いに重なるように容易に変形することができる。つまり、第1スリット171の機能を第2スリット172aによって補助することができ、防塵シート170のうち第1開口部150の角部に相当する部分の応力集中を緩和して、防塵シート170の皺の発生を抑制することができる。
また、撮像素子110が取付板160に押圧されることにより防塵シート170の中央部が前方に押し出されるが、このときの防塵シート170の変形を第2スリット172で吸収することができる。すなわち、防塵シート170の中央部が前方に押し出されても、第2スリット172が開くことによって、防塵シート170のうち第2スリット172よりも外側の部分は、中央部ほどは前方に押し出されない。それにより、防塵シート170のうち第2スリット172よりも外側の部分に発生する皺が抑制される。その結果、防塵シート170と第1開口部150の開口縁150aとの当接部における隙間の発生を抑制することができる。
尚、第2スリット172が開くことにより防塵シート170に隙間が形成されるが、第2スリット172を設けない場合に防塵シート170と第1開口部150の開口縁150aとの当接部において発生する隙間に比べると、第2スリット172の隙間は小さい。詳しくは、防塵シート170は、第2スリット172よりも内側の部分が前方に、第2スリット172よりも外側の部分が後方にずれるように変形する。この変形は、防塵シート170の厚み方向への変形であると共に、防塵シート170は或る程度の厚みを有する。そのため、第2スリット172の内側と外側の部分のずれ量が防塵シート170の厚み以下の場合は、第2スリット172に隙間は形成されない。第2スリット172の内側と外側の部分のずれ量が防塵シート170の厚みより大きくても、第2スリット172に形成される隙間は当該ずれ量ほど大きくはなく、防塵シート170の厚みの分だけ小さくなる。
また、第2スリット172が開くことによって、防塵シート170のうち第2スリット172よりも内側の部分に皺が発生することも抑制される。その結果、防塵シート170と撮像素子110又はフィルタガラス190との間の剥離も抑制することができる。
さらに、第2スリット172のうち第2スリット172aは、第1スリット171と繋がっている。そのため、防塵シート170は、第2スリット172を挟む両側の部分がずれるように容易に変形することができる。つまり、第2スリット172の機能を第1スリット171によって補助することができる。
したがって、本実施形態によれば、撮像素子支持構造1は、光軸Aが貫通する第1開口部150を有するマスターフランジ155と、光軸A方向を向いて見たときに第1開口部150内に位置する状態でマスターフランジ155に間接的に取り付けられる撮像素子110と、第1開口部150におけるマスターフランジ155と撮像素子110との間の隙間を遮蔽する防塵シート170とを備えている。そして、防塵シート170は、スリットを有し、第1開口部150の開口縁150aに押し付けられた状態で配置されている。これにより、防塵シート170が第1開口部150の開口縁150aに押し付けられる構成であっても、防塵シート170に設けたスリットによって、防塵シート170の捻れや撓みが緩和される。その結果、遮蔽部材防塵シート170と第1開口部150の開口縁150aとの間の隙間を抑制することができる。
また、防塵シート170のスリットは、該防塵シート170の外縁から内方へ向かって延びる第1スリット171を含んでいる。これにより、防塵シート170のうち第1スリット171を挟む両側の部分が互いに重なり合って、防塵シート170の周縁部における捻れや撓みの発生を抑制することができる。
また、第1開口部150は、方形状であって、第1スリット171は、第1開口部150の角部に設けられている。防塵シート170は、第1開口部150の角部において応力が集中し易く、それにより、皺が発生し易い。それに対して、第1スリット171を第1開口部150の角部に設けることによって、第1開口部150の角部における防塵シート170の応力集中を抑制することができる。
また、防塵シート170のスリットは、前記防塵シート170のうち、第1開口部150の前記隙間に露出する部分において第1開口部150の開口縁150aに沿って延びる第2スリット172を含んでいる。防塵シート170の中央部が前方に押し出される場合であっても、前記の構成により、防塵シート170のうち、第2スリット172を挟む両側の部分の変形を抑制することができる。
さらに、第2スリット172を開口縁150aに実質的に平行に形成することによって、第2スリット172が開いて防塵シート170の変形を抑制する際に、防塵シート170に発生する捻れを低減することができる。すなわち、開口縁150aは防塵シート170を拘束する部分であるため、第2スリット172が開口縁150aに対して傾斜していると、第2スリット172が開くことによって防塵シート170の変形を抑制する際に、防塵シート170に多少の捻れが生じる虞がある。それに対して、第2スリット172を開口縁150aに実質的に平行に形成することによって、防塵シート170の変形を拘束する部分と第2スリット172とが平行でないことに起因する防塵シート170の捻れを抑制することができる。ただし、第2スリット172が開口縁150aに対して傾斜している場合であっても、第2スリット172が無い構成に比べると、防塵シート170の捻れを低減できる。尚、厳密には、防塵シート170を拘束しているのは、開口縁150aのうち防塵シート170が当接する部分である。本実施形態の場合は、それは、マスターフランジ155の背面における、開口縁150aを構成する傾斜面150cのうち、内周縁である。よって、第2スリット172は、傾斜面150cの内周縁に実質的に平行であることがより好ましい。
さらに、第1開口部150は、方形状であって、第2スリット172は、第1開口部150の開口縁150aのうち直線状の部分150bに沿って延びている。第1開口部150の開口縁150aは防塵シート170を拘束しており、第1開口部150の開口縁150aのうち直線状の部分150bは、開口縁150aの大部分を占めている。そこで、第2スリット172を直線状の部分150bに沿わせることによって、防塵シート170に発生する捻れや撓みを効果的に抑制することができる。
また、第1スリット171は、第2スリット172aと繋がっている。これにより、第1スリット171による防塵シート170の周縁部における皺の抑制を第2スリット172aで補助することがき、第2スリット172による防塵シート170の第2スリット172を挟む両側の部分の変形の抑制を第1スリット171で補助することができる。
さらに、第1スリット171は、第1開口部150の角部に設けられ、第2スリット172は、第1開口部150の開口縁150aのうち直線状の部分150bに沿って延びている。これにより、第1開口部150の角部における防塵シート170の応力集中を第1スリット171により抑制することができ、防塵シート170における直線状の部分150bに沿った部分の変形を第2スリット172により抑制することができる。
また、撮像素子支持構造1は、撮像素子110のマスターフランジ155に対する傾きを調整可能な傾き調整機構をさらに備えている。調整機構は、撮像素子110のマスターフランジ155への押し付け量を調整することによって、撮像素子110のマスターフランジ155に対する傾きを調整することができる。かかる構成では、撮像素子110のマスターフランジ155への押し付け量を調整することによって、防塵シート170のマスターフランジ155への押し付け量も変化する。それに対して、防塵シート170には前記スリット171,172が設けられているため、防塵シート170の押し付け量が変化しても、防塵シート170に捻れや撓みが発生することを抑制することができる。
《発明の実施形態2》
続いて、実施形態2について説明する。図7は、実施形態2に係る撮像素子支持構造の分解斜視図を、図8は、撮像素子支持構造の正面図を、図9は、図8のIX−IX線における断面図を示す。
実施形態2に係る撮像素子支持構造2は、撮像素子110及び防塵シート170等の配置が異なる。そこで、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
撮像素子支持構造2は、マスターフランジ155(図9においてのみ図示)と、マスターフランジ155に固定される取付板260と、取付板260に支持され、光軸A方向を向いて見たときに第1開口部150内に位置する撮像素子110と、第1開口部150における、マスターフランジ155と取付板260との間の隙間を遮蔽する防塵シート170とを備えている。
取付板260は、板状の部材である。取付板260には、ビス(図示省略)が挿通される3つの貫通孔261,261,…が設けられている。取付板260の中央には、前方に膨出する膨出部263が設けられている。膨出部263は、撮像素子110よりも大きく且つマスターフランジ155の第1開口部150よりは小さな略長方形状をしている。膨出部263の中央には、開口部264が貫通形成されている。この膨出部263は、背面側から撮像素子110が嵌め込まれ、撮像素子110の撮像面が開口部264を介して前方へ露出している。撮像素子110の前面における周縁部が、取付板260の膨出部263に対して背面側から接着されている。この取付板260が取付部材を構成する。
防塵シート170は、取付板260の膨出部263の前面に接着されている。防塵シート170の第2開口部175は、膨出部263よりも小さく、開口部264よりも大きい。防塵シート170の前面には、第2開口部175を覆うようにフィルタガラス190が両面テープを介して接着されている。
撮像素子110の背面には、フレキシブル基板280が取り付けられている。フレキシブル基板280と撮像素子110とは、電気的に導通している。
このように構成された取付板260をビスを介してマスターフランジ155に取り付ける。こうして、撮像素子110は、取付板260を介してマスターフランジ155に間接的に取り付けられている。この状態において、撮像素子110及び膨出部263は、光軸A方向を向いて見たときに、マスターフランジ155の第1開口部150内に位置する。そして、防塵シート170は、マスターフランジ155の背面側から、第1開口部150の開口縁150aに当接している。このとき、防塵シート170は、第1開口部150の開口縁150aの全周に亘って当接している。膨出部263は第1開口部150よりも小さいため、第1開口部150においては、マスターフランジ155と膨出部263との間に隙間が形成される。しかし、この隙間は、防塵シート170により遮蔽される。こうして、この隙間からレンズ鏡筒の内部に塵、埃等の異物が侵入することを抑制している。
つまり、実施形態1では、防塵シート170がマスターフランジ155と撮像素子110との間の隙間を遮蔽していたのに対し、実施形態2では、防塵シート170は、マスターフランジ155と取付板260との間の隙間を遮蔽している。このような構成であっても、取付板260をマスターフランジ155に取り付けることによって、防塵シート170は、膨出部263が接着された中央部が周縁部よりも前方に突出するように変形する。このとき、防塵シート170に捻れや撓みが発生するが、これらの捻れや撓みは第1及び第2スリット171,172によって吸収される。これにより、防塵シート170とマスターフランジ155との間の隙間を抑制することができると共に、防塵シート170と膨出部263及びフィルタガラス190との剥離を抑制することができる。
したがって、本実施形態によれば、撮像素子支持構造2は、光軸Aが貫通する第1開口部150を有するマスターフランジ155と、マスターフランジ155に取り付けられる取付板260と、取付板260に取り付けられ、光軸A方向を向いて見たときに第1開口部150内に位置する撮像素子110と、第1開口部150におけるマスターフランジ155と取付板260との間の隙間を遮蔽する防塵シート170とを備えている。防塵シート170は、スリット171,172を有し、第1開口部150の開口縁に押し付けられた状態で配置されている。これにより、防塵シート170が第1開口部150の開口縁に押し付けられる構成であっても、防塵シート170に設けたスリット171,172によって、防塵シート170の捻れや撓みが緩和される。その結果、防塵シート170と第1開口部150の開口縁との間の隙間を抑制することができる。
《発明の実施形態3》
続いて、実施形態3について説明する。図10は、実施形態3に係る撮像素子の正面図を、図11は、撮像素子支持構造の、図10のXI−XI線における断面図を示す。
実施形態3に係る撮像素子支持構造3は、撮像素子がマスターフランジに直接取り付けられている点で、実施形態1と異なる。そこで、実施形態1と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
実施形態3に係る撮像素子310は、セラミック基板311と、セラミック基板311の一方の主面に設けられた半導体素子312と、中央に開口部313aを有する板状の樹脂パッケージ313と、樹脂パッケージ313の開口部313aを覆うカバーガラス314とを有している。
セラミック基板311は、略長方形状の板状の部材である。半導体素子312は、略長方形状をしており、光電変換機能を有する。
樹脂パッケージ313の開口部313aは、セラミック基板311よりも小さく且つ半導体素子312よりも大きな略長方形状をしている。樹脂パッケージ313には、背面側からセラミック基板311が取り付けられている。このとき、半導体素子312は、開口部313a内に位置している。カバーガラス314は、開口部313aを覆うように、樹脂パッケージ313の前面に取り付けられている。樹脂パッケージ313には、ビスが挿通される貫通孔313b,313bが貫通形成されている。これら貫通孔313b,313bに挿通されたビスを介して、撮像素子310がマスターフランジ155(図11においてのみ図示)に取り付けられる。この樹脂パッケージ313が取付部を構成する。
ここで、カバーガラス314の前面には防塵シート170(図11においてのみ図示)が接着されている。防塵シート170の構成は、実施形態1と同様である。防塵シート170の第2開口部175は、カバーガラス314よりも小さい。防塵シート170は、カバーガラス314の大部分が第2開口部175から露出するように、カバーガラス314の前面に接着される。
撮像素子310がマスターフランジ155に取り付けられた状態において、光軸A方向を向いて見たときに、カバーガラス314がマスターフランジ155の第1開口部150内に位置する。防塵シート170はマスターフランジ155の第1開口部150の開口縁150aに押し付けられ、撮像素子310が接着されている中央部が周縁部よりも前方へ突出するように変形する。このとき、防塵シート170の第1スリット(図示省略)は、第1開口部150の角部を通って、第1開口部150の内方へ延びている。また、防塵シート170の第2スリット(図示省略)は、撮像素子310よりも外側で且つ第1開口部150の開口縁150aよりも内側に位置し、該開口縁150aに沿って延びている。これら第1及び第2スリットによって、防塵シート170に発生する捻れや撓みが吸収される。これにより、防塵シート170とマスターフランジ155との間の隙間を抑制することができると共に、防塵シート170とカバーガラス314との剥離を抑制することができる。
《発明の実施形態4》
続いて、実施形態4について説明する。図12は、実施形態4に係る容器の分解斜視図を、図13は、実施形態4に係る容器の正面図を、図14は、容器の、図13のXIV−XIV線における断面図を示す。
実施形態4に係る容器400は、例えば、食品等を収容するものである。容器400は、箱410と蓋420とを備えている。また、容器400は、遮蔽構造4を備えている。
箱410は、内部に空洞を有する直方体状の部材である。直方体の相対向する一組の壁部410a,410bは、略正方形状に形成されている。そのうちの一方の壁部410aの中央には、略正方形状の開口部411が貫通形成されている。この箱410が第1部材を構成する。
蓋420は、箱410の壁部410aよりも大きな略正方形状の主壁部421と、主壁部421の周縁から垂直に延びる4つの周壁部422,422,…とを有している。主壁部421の中央には、蓋420の内方に陥没する陥没部423が形成されている。すなわち、陥没部423は、主壁部421から周壁部422が延びる方向と同じ方向に陥没している。陥没部423の断面は、開口部411よりも小さい略正方形状に形成されている。蓋420を箱410に設置した状態においては、陥没部423は開口部411の内方に位置する。この蓋420が第2部材を構成する。
ここで、箱410と蓋420との間には、防塵シート470が設けられている。防塵シート470は、弾性及び遮光性のあるプラスチック製の薄板で構成されている。防塵シート470は、箱410の壁部410aよりも小さく、開口部411よりも大きな略正方形状をしている。防塵シート470は、開口部411を覆うようにして箱410に設置される。この防塵シート470が遮蔽部材を構成する。
さらに詳しくは、防塵シート470の各角部470aには、外縁から内方に向かって第1スリット471が形成されている。防塵シート470を箱410に設置した状態において、各第1スリット471は、開口部411の角部に向かって延び、少なくとも、開口部411の内方まで延びている。また、防塵シート470には、各辺に沿った第2スリット472が形成されている。第2スリット472は、第1スリット471と繋がっている第2スリット472aと、第1スリット471と繋がっていない第2スリット472bとを含んでいる。第2スリット472a,472bは、互いに繋がっていないものの、一直線上に並んでいる。この第2スリット472は、防塵シート470を箱410及び蓋420の間に設置した状態において、蓋420の陥没部423よりも外側で且つ箱410の開口部411の内側に位置し、開口部411の開口縁411aに沿って延びている。詳しくは、第2スリット472は、箱410の壁部410aの外側の面における開口部411の開口縁411aのうち直線状の部分411bに沿って延びている。本実施形態では、第2スリット472は、該直線状の部分と平行に形成されている。
遮蔽構造4は、このように構成された、箱410と、蓋420と、防塵シート470とを備えている。以下、遮蔽構造4について詳しく説明する。
前記防塵シート470は、箱410の開口部411を塞ぐ位置に配置され、その状態で、蓋420が箱410に取り付けられる。このとき、防塵シート470は、蓋420の陥没部423によって箱410の開口部411の開口縁411aに押し付けられ、陥没部423が当接する中央部が周縁部よりも箱410の内方へ突出するように変形する。このとき、防塵シート470の第1スリット471は、開口部411の角部を通って、開口部411の内方へ延びている。また、防塵シート470の第2スリット472は、陥没部423よりも外側で且つ開口部411の開口縁411aよりも内側に位置し、該開口縁411aに沿って延びている。これら第1及び第2スリット471,472によって、防塵シート470に発生する捻れや撓みが吸収される。これにより、防塵シート470と箱410の開口部411との間の隙間を抑制することができる。
《その他の実施形態》
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
すなわち、前記スリットは、前記の形状に限られるものではない。つまり、防塵シート170,470が変形するときに、スリットを挟んだ両側の部分が互いに重なったり、スリットが開いたりすることによって、防塵シート170,470の捻れや撓みを吸収することができる限りにおいては、スリットを任意の形状に形成することができる。例えば、第1及び第2スリット171,172は、防塵シート170のうち、第1開口部150と撮像素子110との隙間に露出する部分に形成されていればよい。
第1スリット171,471及び第2スリット172,472は、線状の切れ目で構成されているが、幅を有するスリットであってもよい。ただし、隙間を遮蔽するという観点からは、スリットの幅は可及的に狭いことが好ましい。
第1スリット171,471や第2スリット172,472の幅や長さは必要に応じて設定すればよい。
例えば、第1スリット171、471は、第1開口部150の角部又は開口部411の角部以外の部分を通過するように設けられていてもよい。
また、第2スリット172,472は、第1開口部150の開口縁150aの直線状の部分150b又は開口部411の開口縁411aのうち直線状の部分411bと平行でなくてもよい。
また、第2スリット172,472が第2スリット172a,472aと第2スリット172b,472bとに分割され、第2スリット172a,472aだけが第1スリット171,471に繋がっているが、これに限られるものではない。第2スリット172a,472aと第2スリット172b,472bとが一繋がりとなり、第2スリット172,472の全てが第1スリット171,471に繋がっている構成であってもよい。
さらに、第1スリット171,471及び第2スリット172,472の何れかを省略してもよい。
また、第1スリット171,471や第2スリット172,472に替えて、溝(防塵シートを貫通していない)としてもよい。その場合、第1スリット171,471の代わりに第1溝が形成され、第2スリット172,472の代わりに第2溝が形成される。
また、第1スリット171,471及び第2スリット172,472に形成される隙間は両面テープ等で塞いでもよい。これにより、第1スリット171,471や第2スリット172,472の隙間からの異物の侵入を抑制できる。
さらに、第1スリット171,471や第2スリット172,472の形状は、直線状に限られるものではない。第1スリット171,471や第2スリット172,472は、例えば、曲線状に形成されてもよく、ジグザグ形状に形成されてもよい。
また、第1開口部150の形状は、方形状に限られるものではない。同様に、開口部411の形状も、方形状に限られるものではない。第1開口部150及び開口部411は、円形状でもよく、方形以外の多角形状であってもよい。尚、第1開口部150が多角形状である場合には、第1スリット171,471は、多角形の角部近傍を通ることが好ましい。
さらに、防塵シート170,470の形状は、方形状に限られるものではない。防塵シート170,470は、円形状でもよく、方形以外の多角形状であってもよい。また、防塵シート170,470はそれぞれ、第1開口部150及び開口部411と同様の形状でなくてもよい。
また、防塵シート170,470は、弾性及び遮光性のあるプラスチック製の薄板で構成されているが、防塵シート170,470の材料は、前記実施形態に限られるものではない。
さらに、撮像素子110,310をマスターフランジ155に直接又は間接的に取り付ける構成は、前記実施形態に限られるものではない。撮像素子110,310をマスターフランジ155に直接又は間接的に取り付けられる限りにおいては、任意の構成を採用することができる。
また、前記実施形態では、遮蔽構造を撮像素子支持構造としてレンズ鏡筒100に用いた場合を説明したが、その他の機器の遮蔽構造にも適用できる。例えば、電子機器の筐体に設けられる表示部や操作部等の遮蔽構造に前記構成を適用することができる。つまり、電子機器においては、筐体に所定の開口部が設けられ、該開口部から表示部や操作部が外部に露出するように設けられる。この場合、筐体の開口部の開口縁と表示部又は操作部との間には隙間が形成される。この隙間を前記防塵シート170,470により遮蔽してもよい。例えば、表示部又は操作部に前記防塵シートを取り付け、該防塵シートを筐体の開口部の開口縁に内側から押し付けるように構成してもよい。