JP2012206151A - シリコン鋳造炉の温度測定機構及びこれを備えたシリコン鋳造炉 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリコンを貯留する坩堝と、前記坩堝を収容する炉と、前記炉内に不活性ガスを供給する供給管4と、を有するシリコン鋳造炉に設けられ、シリコンの温度を測定するシリコン鋳造炉の温度測定機構1であって、シリコンの温度を測定する放射温度計5が、前記供給管4内に配設されていることを特徴とする。
【選択図】図4
Description
すなわち、シリコン鋳造炉の炉内には、坩堝内のシリコンから生じたSiO(一酸化ケイ素)が存在しており、該SiOが放射温度計のレンズに付着して該レンズがくもり、シリコン温度を精度よく安定して測定することができなかった。また、鋳造終了毎に放射温度計のレンズを清掃する手間が生じていた。
すなわち、本発明は、シリコンを貯留する坩堝と、前記坩堝を収容する炉と、前記炉内に不活性ガスを供給する供給管と、を有するシリコン鋳造炉に設けられ、シリコンの温度を測定するシリコン鋳造炉の温度測定機構であって、シリコンの温度を測定する放射温度計が、前記供給管内に配設されていることを特徴とする。
また、本発明のシリコン鋳造炉は、前述のシリコン鋳造炉の温度測定機構を備えたことを特徴としている。
すなわち、放射温度計による温度の測定(検出)は、シリコンの実際の温度変化に対する追従性に優れており、高精度かつ迅速にシリコンの温度を検出できる。また、放射温度計と製品(シリコン)との接触はないから、製品へのコンタミネーションの問題は生じず、よって製品を高品位に製造できる。
一方、例えば従来の温度測定機構として熱電対を用い、該熱電対を坩堝内のシリコンに直接的に、又はさや管等に収め間接的に入れて測定する場合、コンタミネーションの問題が懸念され、また測定にタイムラグが生じる可能性があるから、製造される製品の品質を確保できないおそれがある。
すなわち、供給管からは、炉内に向けてArガス等の不活性ガスが吹き出しており、炉内のSiOが当該供給管内に流入することが抑制されている。これにより、供給管内の放射温度計とSiOとの接触が防止されるから、当該放射温度計のレンズにSiOが付着することが防止されている。従って、この放射温度計は、シリコンの温度を精度よく測定できるのみならず、安定して測定できるのである。
また本発明によれば、放射温度計のレンズがSiOにより汚れることはないから、従来のように鋳造終了毎にレンズを清掃する手間も生じない。
本実施形態のシリコン鋳造炉10は、例えば太陽電池の発電素子、半導体装置部品などに用いられる多結晶シリコン(柱状晶シリコン)のシリコンインゴットを製造する装置であり、坩堝2内に貯留されたシリコン溶湯Sを下方から上方に向けて一方向に凝固させ鋳造するものである。
また、シリコン鋳造炉の温度測定機構1は、前記供給管4と、前記放射温度計5と、を有している。
炉3は、鋼材等からなり、耐圧気密に構成されているとともに、少なくとも一部が開閉可能な容器状に形成されている。また、炉3には、図示しない真空ポンプ(減圧手段)が接続されており、炉3内を真空雰囲気(減圧雰囲気)にできるように構成されている。
桶7は、カーボン等からなり、有底筒状に形成されているとともに、坩堝2が貯留するシリコンSの体積以上の容積を有する。
上部ヒータ11及び下部ヒータ12は、例えば、棒状をなす複数のカーボンヒータであり、坩堝2内のシリコンSを効率よく均一に加熱するように配列されている。
尚、以下の説明では、供給管4の軸O方向(上下方向)に沿う下側を先端側と言い、上側を基端側と言うことがある。また、供給管4の軸Oに垂直な方向を径方向と言い、軸Oを中心に周回する方向を周方向と言うことがある。
尚、供給管4内の放射温度計5は、該供給管4が下方に駆動された状態において、断熱容器6の天壁部よりも上方(すなわち断熱容器6外)に配置されることが好ましい。
また、供給管4は、支持筒14に接続され、該支持筒14に不活性ガスを送入するガス接続部31と、支持筒14に接続され、該支持筒14内を通る放射温度計5の配線部を気密に貫通させるとともに、炉3内と外部(炉3外)との連通を遮断するように構成された気密構造32と、を有している。
すなわち、放射温度計5による温度の測定(検出)は、シリコンSの実際の温度変化に対する追従性に優れており、高精度かつ迅速にシリコンSの温度を検出できる。また、放射温度計5と製品(シリコンS)との接触はないから、製品へのコンタミネーションの問題は生じず、よって製品を高品位に製造できる。
一方、例えば従来の温度測定機構として熱電対を用い、該熱電対を坩堝2内のシリコンSに直接的に、又はさや管等に収め間接的に入れて測定する場合、コンタミネーションの問題が懸念され、また測定にタイムラグが生じる可能性があるから、製造される製品の品質を確保できないおそれがある。
図8及び図9において、前述したシリコン鋳造炉の温度測定機構1を用いたシリコンSの温度測定結果を、「放射温度計」のグラフとして示す。また、従来の温度測定機構を用いたシリコンSの温度測定結果として、1穴保護管で保護されたタングステンレニウム熱電対を、坩堝2内に配設したアルミナ又はサイアロン管からなるさや管に挿入してシリコンSの温度を測定したものを、「単管」のグラフとして示す。また、従来の温度測定機構を用いたシリコンSの温度測定結果として、2穴保護管で保護されたタングステンレニウム熱電対を、坩堝2内に配設したアルミナ又はサイアロン管からなるさや管に挿入してシリコンSの温度を測定したものを、「二重管」のグラフとして示す。
一方、「単管」のグラフ及び「二重管」のグラフにおいては、シリコンSの相転移にともなう測定温度の特徴的な変化は見受けられない。
一方、「単管」のグラフ及び「二重管」のグラフにおいては、シリコンSの相転移にともなう測定温度の特徴的な変化は見受けられない。
このように、本実施形態で説明した放射温度計5によれば、鋳造工程全体に亘って、シリコンSの相転移を精度よく迅速に検出できるのである。
すなわち、供給管4からは、炉3内に向けてArガス等の不活性ガスが吹き出しており、炉3内のSiOが当該供給管4内に流入することが抑制されている。これにより、供給管4内の放射温度計5とSiOとの接触が防止されるから、当該放射温度計5のレンズにSiOが付着することが防止されている。従って、この放射温度計5は、シリコンSの温度を精度よく測定できるのみならず、安定して測定できるのである。
また本実施形態によれば、放射温度計5のレンズがSiOにより汚れることはないから、従来のように鋳造終了毎にレンズを清掃する手間も生じない。
尚、放射温度計5は、測定距離と測定径に関係があり、前述したように芯ずれが生じない設置構造とすることが好ましいが、実際に放射温度計5がシリコンSの温度を測定しているかどうかを確認する目的で、放射温度計5からシリコンSの表面(湯面)に向けてレーザ光等を照射可能な構成とし、該放射温度計5の測定位置を目視で確認できるようにすることが望ましい。
2 坩堝
3 炉
4 供給管
4a 先端
5 放射温度計
10 シリコン鋳造炉
13 ノズル筒
14 支持筒
15 連結部
23 取付孔
24 流通孔
32 気密構造
O 供給管の軸
S シリコン
Claims (6)
- シリコンを貯留する坩堝と、前記坩堝を収容する炉と、前記炉内に不活性ガスを供給する供給管と、を有するシリコン鋳造炉に設けられ、シリコンの温度を測定するシリコン鋳造炉の温度測定機構であって、
シリコンの温度を測定する放射温度計が、前記供給管内に配設されていることを特徴とするシリコン鋳造炉の温度測定機構。 - 請求項1に記載のシリコン鋳造炉の温度測定機構であって、
前記供給管は、
先端から不活性ガスを吹き出すノズル筒と、
前記ノズル筒をその基端側で支持する支持筒と、
前記ノズル筒と前記支持筒とを内部連通状態で連結する連結部と、を有し、
前記放射温度計は、前記連結部に配設されていることを特徴とするシリコン鋳造炉の温度測定機構。 - 請求項2に記載のシリコン鋳造炉の温度測定機構であって、
前記連結部は、
前記供給管の軸方向に貫通して形成され、前記放射温度計が装着される取付孔と、
前記取付孔の周囲に配置され、前記供給管の軸方向に貫通して形成された複数の流通孔と、を有することを特徴とするシリコン鋳造炉の温度測定機構。 - 請求項2又は3に記載のシリコン鋳造炉の温度測定機構であって、
前記連結部は、前記ノズル筒の基端部に一体に形成されていることを特徴とするシリコン鋳造炉の温度測定機構。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリコン鋳造炉の温度測定機構であって、
前記供給管は、炉内と外部との連通を遮断するように構成された気密構造を有していることを特徴とするシリコン鋳造炉の温度測定機構。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のシリコン鋳造炉の温度測定機構を備えたことを特徴とするシリコン鋳造炉。
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