JP2012205465A - 振動発電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱的安定性が高く、単位面積当たりの発電量が大きい振動発電素子を提供する。
【解決手段】本発明によれば、第1電極と、第1電極に間隔をおいて対向する第2電極と、
第1電極の、第2電極側に設けられた誘電体と、誘電体を有する第1電極を第2電極に対して平行に振動可能に支持する支持体とを備え、前記誘電体が自発分極を有する単結晶の酸化亜鉛である振動発電素子が提供される。
【選択図】図1

Description

この発明は、振動発電素子に関し、特に静電誘導型の振動発電素子に関する。
近年、再生可能なエネルギー技術やスマートグリッド技術が注目されている。例えば、再生可能なエネルギー技術として、圧電素子や太陽電池、熱電素子、電磁誘導などを利用して、運動エネルギーや光エネルギー、熱エネルギーなどを電力に変換するエネルギー・ハーベスティング(環境発電)技術が知られている。
これらのエネルギー・ハーベスティング技術のうち、製品に振動が伝わるような製品分野(例えば、回転機構を有する自動車分野や人が持ち運ぶ携帯機器分野)でエレクトレット方式(静電圧変換にエレクトレットを使用する方式)の振動発電素子が開発されている。例えば、振動子と、誘電分極板と、背面電極と、振動子(振動板)と背面電極間に振動面の変動に伴い誘導される誘導電荷測定手段とを備える機械電気変換素子が知られている(特許文献1参照)。このような振動発電素子は、携帯機器等のセンサーで消費される電力を供給する手段としてその活用が期待されている。
特開2007−298297号公報
「マイクロ振動型エレクトレット発電器のための高性能フッ素ポリマーの開発」、日本機械学会No08−09 第3回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集、2008年6月19日
しかし、従来の振動発電素子は、エレクトレットとして、アモルファスフッ素樹脂(例えば、旭硝子製CYTOP(登録商標))に電子を打ち込んだ材料を利用するものであるため、熱的安定性が低い(約150℃が限界)。このため、自動車分野での使用に適さない。また、単位面積当たりの発電量が小さく(例えば、1cm当たり10μW程度)、機器のセンサーを駆動するような電力を供給するには不十分である。このため、熱的安定性が高く、単位面積当たりの発電量が大きい振動発電素子の開発が望まれている。
この発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、熱的安定性が高く、単位面積当たりの発電量が大きい振動発電素子を提供するものである。
この発明によれば、第1電極と、第1電極に間隔をおいて対向する第2電極と、第1電極の、第2電極側に設けられた誘電体と、誘電体を有する第1電極を第2電極に対して平行に振動可能に支持する支持体とを備え、前記誘電体が自発分極を有する単結晶の酸化亜鉛である振動発電素子が提供される。
この発明は、前記誘電体が酸化亜鉛で構成されているので、従来のアモルファスフッ素樹脂を利用した静電誘導型の振動発電素子と比較して、熱的安定性が高い。また、前記誘電体が自発分極を有する単結晶の酸化亜鉛で構成されているので、酸化亜鉛の自発分極により誘起される電荷量が大きい。このため、単位面積当たりの発電量が大きい振動発電素子が提供される。従って、この発明によれば、熱的安定性が高く、単位面積当たりの発電量が大きい振動発電素子が提供される。
本発明の一実施形態に係る振動発電素子の上面図である。 図1におけるA−A線断面図である。 本発明の一実施形態に係る振動発電素子において、SOI基板にZnO層を形成した状態を説明するための断面図である。 本発明の一実施形態に係る振動発電素子において、SOI基板にZnO層を形成した場合の層構成を説明するための断面図である。 本発明の一実施形態に係る振動発電素子のZnO層の作用を説明するための概念図である。 本発明の一実施形態に係る振動発電素子の作用を説明するための概念図である。図6において、(1)は振動発電素子の電極が互いに正面を向いたときの図であり、(2)は振動発電素子の電極が左右にずれたときの図である。 本発明の実施形態に係る振動発電素子の製造方法を説明するための工程図である。 本発明の他の実施形態に係る振動発電素子の上面図である。 本発明の他の実施形態に係る振動発電素子の断面図である。 走査型ブローブ顕微鏡で実施例のZnO層を観察したときの、その表面の状態を示す図である。図10において、(1)が表面形状像、(2)が振幅像、(3)が位相像である。また(4)はZnO層と基板の構成を説明するための断面図である。
この発明の静電誘導型の振動発電素子は、第1電極と、第1電極に間隔をおいて対向する第2電極と、第1電極の、第2電極側に設けられた誘電体と、誘電体を有する第1電極を第2電極に対して平行に振動可能に支持する支持体とを備え、前記誘電体が自発分極を有する単結晶の酸化亜鉛である。
ここで、単結晶の酸化亜鉛は、自発分極を有するが、単結晶で構成され、その結晶軸が揃っている。このため、第1電極に設けられた酸化亜鉛は、第1電極面内で同一方向に自発分極を有し、酸化亜鉛内で分極が相殺されない。従って、その自発分極により、効果的に電荷が誘起される。
また、前記支持体が基板と弾性体とからなり、第1電極が前記基板に搭載される形態であってもよいし、前記支持体が基板と弾性体とからなり、第2電極が前記基板に搭載される形態であってもよい。
以下、この発明の実施形態について説明する。
この発明の実施形態において、前記構成に加え、前記誘電体がエピタキシャル成長により形成されてもよいし、自発分極の方向が揃った配向膜により形成されてもよい。
このような形態であれば、酸化亜鉛は、自発分極の向きがそろい、酸化亜鉛内で分極が相殺されない。従って、その自発分極により、効果的に電荷が誘起される。
また、この発明の実施形態において、前記構成に加え、前記支持体が基板と弾性体とからなり、第1電極が前記基板に搭載され、前記基板がSOI基板であってもよい。
ここで、SOI(Silicon on Insulating substrate)基板は、絶縁体層上にシリコン層(例えば、単結晶層)を形成された基板をいい、例えば、酸化シリコン膜上に単結晶シリコン層が形成された基板が該当する。いわゆるSIMOX法や貼り合わせで形成された基板であってもよい。
一般に半導体回路やセンサー等の素子の多くは、SOI基板を用いて製造される。このため、このような形態であれば、センサー等の素子と一体的に振動発電素子を製造できる。従って、素子間を繋ぐ配線を縮小したり削除したりすることができる。これにより、その製造コストや重量を小さくできる。また、例えば振動発電素子で発電された電力のロスをより小さくできる。
なお、ここでいう弾性体には、例えば、弾性を有する樹脂で形成された樹脂層や樹脂で形成されたばねが該当する。
また、この発明の実施形態において、前記構成に加え、前記SOI基板の最上層がシリコン層であるが、酸化亜鉛を成長させることによりSiO2膜が界面に形成される。その上に配向性が高く自発分極の向きが揃った酸化亜鉛を成長させた結晶であってもよい。また、アモルファスの電極上にも同様の酸化亜鉛を成長させた結晶でもよい。
このような形態であれば、上記で説明したように、センサー等の素子と一体的に振動発電素子を製造できる。また、前記誘電体が配向性良く自発分極が揃い、前記SiO2層上やアモルファスの電極上に形成されているので、前記誘電体を構成する酸化亜鉛はその自発分極により、効果的に電荷が誘起される。
前記誘電体を構成する酸化亜鉛にイオン等が付着すると、酸化亜鉛の自発分極が打ち消されることがあるが、この発明の実施形態において、前記構成に加え、第1及び第2電極と前記支持体とを収容する容器をさらに備え、前記容器の内側が真空又は不活性ガスで満たすことによって、振動発電素子の発電効率量をより向上させることができる。
次に、図面を用いて、実施形態に係る、静電誘導型の振動発電素子について説明する。
〔実施形態1〕
図1は、本発明の一実施形態に係る振動発電素子の上面図である。また、図2は、図1におけるA−A線断面図である。さらに、図3は、本発明の一実施形態に係る振動発電素子において、SOI基板にZnO層を形成した状態を説明するための断面図であり、図4は、本発明の一実施形態に係る振動発電素子において、SOI基板にZnO層を形成した場合の層構成を説明するための断面図である。
図1及び図2に示すように、この発明の実施形態に係る振動発電素子は、第1Cr電極20と、ZnO層30と、第1Cr電極20と対向して設けられた第2Cr電極40とを備えている。また、これらの構成は、シリコン基板10又は耐熱ガラス基板50に形成され、シリコン基板10と耐熱ガラス基板50とがスペーサ70により所定の間隔を隔てて略平行に配置されている。
シリコン基板10は、ZnO層30と基板との間の絶縁性を確保するため、その表面が絶縁膜で被覆されている(図3参照。図3では、絶縁膜はシリコン酸化膜32である)。このシリコン基板10は、耐熱ガラス材料(例えば、パイレックス(登録商標))で構成されてもよく、振動発電素子の電荷を確保できる程度に絶縁性があれば、その表面に絶縁膜を設けなくてもよい。
また、シリコン基板10は、図3及び図4に示すように、SOI基板15で構成されてもよい。例えば、シリコン酸化膜11が形成され、このシリコン酸化膜11上に形成された単結晶シリコン22を有するシリコン基板10で構成されてもよい。このような構成であれば、単結晶シリコン22で半導体トランジスタやセンサー等を形成することができ、この実施形態の振動発電素子を半導体トランジスタやセンサー等と一体的に形成できる。このような構成はいわゆるSOI構造であり、周知のSIMOX(サイモックス:Silicon implanted oxide)法や貼り合せSOI(bonding SOI)により製造できる。
なお、この実施形態では、ZnO層30と基板との間の絶縁性を確保するため、SOI基板15上にシリコン酸化膜32が形成されているが(図3及び図4参照)、例えば、図4に示すSOI基板15上に直接ZnO層30を形成してもよい。
また、シリコン基板10は、板状に形成され、図1及び図2で示すように、樹脂性のばね60が設けられて、この基板表面方向に振動可能に構成されている。すなわち、シリコン基板10は、耐熱ガラス基板50にスペーサ70を介して固定された固定部10Aと、振動部10Bとで構成され、固定部10Aと振動部10Bとが樹脂性のばね60で連結されている。
ばね60は、ヤング率が小さく降伏ひずみが大きい材料であればよく、この実施形態ではパリレン(parylene)樹脂で形成されている。このようなばねは、シリコン基板10に深溝をエッチングにより形成した後、形成された溝を埋めるようにパリレンを成膜し、その後上記深溝の反対側からエッチングすることによりばねを形成することができる。上記深溝を鋳型にして振動に適した構造(例えば、コイルばね、板ばね)を形成できる。
また、ばね60は振動方向を考慮して配置される。例えば、シリコン基板10の振動部10Bの端部に少なくとも2箇所設けられ、固定部10Aの端部に接続される。図1に示す実施形態の場合、図1のA−A線方向(X方向)に振動部10Bが振動するようにA−A線上の端部に2箇所配置している。このように振動発電素子が変換する振動に応じて適宜その位置を決定する。例えば、図1に示すY方向の端部に配置してもよい。
一方、耐熱ガラス基板50は、スペーサ70を介してシリコン基板10の固定部10Aを一定の位置に規制するとともに、シリコン基板10と略平行に対向する。この耐熱ガラス基板50には、例えば、コーニングガラス社のパイレックスガラス(Pyrex glass:登録商標)を用いる。この基板にはガラスのほか、シリコン基板を用いてもよいが、耐熱ガラス基板50と対向して配置され、ばね60により振動する基板(この実施形態ではシリコン基板10)と、その機械特性の違いを考慮してその材料を選択する。
なお、スペーサ70は、耐熱ガラス基板50とシリコン基板10を略平行に保つため、好ましくは、その大きさ(厚み)が均一に形成される(例えば、スペーサ70は図1及び2の左右で同じ厚みに形成されるとよい)。例えば、スペーサ70には所定の粒径のガラスビーズを用いる。
第1Cr電極20は、図1及び図2に示すように、シリコン基板10の振動部10B上に形成され、後述するZnO層30に誘起された電荷を集める機能を果たす。その機能から、第1Cr電極20の位置は、シリコン基板10の振動部10Bの振動と連動して動作する位置であればよく、例えば、第1Cr電極20は、シリコン基板10の振動部10Bに固定され、振動部10Bと同じ振動をするように構成される。その形状は特に限定されないが、図1に示すように、櫛歯状に形成するとよい。櫛歯を構成する電極間の隙間を振動部10Bの振幅の最大量に対応させることにより、後述するZnO層30に誘起された電荷を集めやすくなる。
また、第1Cr電極20は、電極として機能すればよいので、その材料は特に限定されない。この実施形態のように、Crを材料としてもよいが、AlやTiを材料としてもよい。
なお、図3では、電極を省略して膜構成を示している。また、図4では、電極が形成される層はSOI基板15の単結晶シリコン22である。この層上かつシリコン酸化膜32上に電極を形成する。
ZnO層30は、振動により電荷が誘起される層として機能する層であり、自発分極の方向が揃ったZnOである。この実施形態では、CVD法により第1Cr電極20上にZnOを配向性良く、かつ自発分極の方向を揃えて成長させる。この層の機能について図を用いて説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係る振動発電素子のZnO層の作用を説明するための概念図である。図5に示すように、ZnO層30は下側の表面から上側の表面に向かって分極している。図5に矢印で示すように、ZnO層30はその分極の方向が下側から上側に向かって揃っており、かつ左右方向においても均一に分極している。ZnOが配向性良く成長し、成長方向が均一であれば、自発分極の方向が均一に生じる。このため、ZnO層30内で分極が相殺される現象が生じにくい。従って、ZnOを配向性良く、かつ自発分極の方向を揃えて成長させることにより、分極が効率的に行われ、ZnO層30は振動により電荷が誘起される層として、より効果的に機能することになる。
また、ZnOは、結晶構造に由来して自発分極を起こす性質を有するので、上記で説明した分極は、自発分極により生じる。このため、従来のアモルファスフッ素樹脂(例えば、旭硝子製CYTOP(登録商標))のように、ZnO層30に電子を打ち込む必要がない。従来のアモルファスフッ素樹脂の場合、その構造(電子を打ち込む構造)により熱的安定性が十分でなかったが、この実施形態のZnO層30の場合、例えば1000℃という高温でも熱的に安定である。従って、自動車分野での使用(例えば、乗用車の室内やエンジン周辺での使用)であっても、この実施形態の振動発電素子は安定して振動を電力に変換できる。
また、ZnOは、その自発分極により誘起される電荷が大きい。例えば、従来の旭硝子製CYTOP(登録商標)は0.1μC/cm2であるところ、ZnOは3.0〜5.0μC/cm2もの電荷を誘起する。この電荷量は従来の30〜50倍に相当し、振動発電素子の発電量に換算すると、900〜2500倍に達する(ここで、電荷量は表面電位に比例し、発電量は表面電位の二乗に比例するとして換算した)。このため、この実施形態の振動発電素子は従来比で約1000倍以上の発電量を得ることができる。
このようなZnO層30は、第1Cr電極20上にその電極とほぼ同じ大きさに形成する。例えば、図1に示すように、第1Cr電極20の櫛歯部分の大きさとほぼ同じ大きさに形成する(図3において長鎖線で示すZnO層30を参照)。その厚さは特に制限されないが、自発分極の向きが揃っている状態が良い。
第2Cr電極40は、第1Cr電極20と同様に、第1Cr電極20及びZnO層30と対向して、振動によりZnO層30に誘起された電荷を集める機能を果たす。このような機能を果たすため、第2Cr電極40は、振動発電素子が振動しない状態で、第1Cr電極20とほぼ同じ大きさに形成する。例えば、図1に示すように、第1Cr電極20を櫛歯状に形成した場合、櫛歯を構成する電極間の隙間を振動部10Bの振幅の最大量に対応させて第1Cr電極20の電極幅とほぼ同じ幅で形成する。
また、第2Cr電極40は、第1Cr電極20と同様に、電極として機能すればよいので、その材料は特に限定されない。例えば、Crのほか、CuやAlを材料としてもよい。第2Cr電極40を形成する基板(例えば、耐熱ガラス基板50)に形成しやすい材料を選択するとよい。
次に、この実施形態の振動発電素子の動作について説明する。図6は、本発明の一実施形態に係る振動発電素子の作用を説明するための概念図である。図6において、(1)は振動発電素子の電極が互いに正面を向いたときの図であり、(2)は振動発電素子の電極が左右にずれたときの図である。
ここで、図6では、図1のZnO層と第1Cr電極の組合せに相当する構成を「電極」と表現し、第2Cr電極に相当する構成を「対向電極」と表現している。
図6(1)に示すように、振動発電素子の電極(第1Cr電極及び第2Cr電極)が互いに正面に向き合うと、ZnO層に誘起される電荷が最大となる。このとき、第1Cr電極と第2Cr電極とが重畳しかつZnO層がこれらと重畳する面積に応じた電荷が第1Cr電極及び第2Cr電極に集まる。
次に、図6(2)に示すように、振動発電素子の振動部10Bが振動し(図6(2)では右に移動し)、これらの電極が左右にずれると、第1Cr電極、第2Cr電極及びZnO層が互いに重畳する面積が小さくなる。このため、上記の図6(1)で電極に集まった電荷は、電極から抵抗41又は配線21の方向に流れる。従って、図6の振動発電素子において矢印25の間に電流が流れる。
図6(1)に示す振動発電素子の電極が互いに正面に向き合う状態と図6(2)に示す振動発電素子の電極が左右にずれる状態とが繰り返されることにより、すなわち、振動発電素子の振動部10Bが振動することにより、振動発電素子に電流が流れる。このようにして、振動発電素子が動作して、振動を電力に変換する。
〔製造方法〕
次に、この実施形態に係る振動発電素子の製造方法を説明する。図7は、本発明の実施形態に係る振動発電素子の製造方法を説明するための工程図である。
まず、シリコン基板10の一方の面(図7における下面)に、シリコン酸化膜11、シリコン22、シリコン酸化膜32の順で成膜する(図7(1)参照)。次に、シリコン酸化膜11等が成膜された面と逆の面(図7における上面)に深溝61をエッチングにより形成する(図7(2)参照)。この深溝は、後述するパリレンのばね60の鋳型となる。次に、シリコン基板10の深溝が形成された面にパリレン62を成膜する(図7(3)参照)。これにより、形成された溝をパリレン62で埋める。次に、パリレン62が成膜された面と逆側の面(図7における下面)に、第1Cr電極20及びZnO層30を形成する(図7(4)参照)。ここで、深溝内側は、上記で説明した振動部10Bに相当し、深溝外側は、固定部10Aに相当する。次に、深溝61とその近傍における、パリレン62、シリコン基板10、シリコン酸化膜11、シリコン22及びシリコン酸化膜32をエッチングし、ばね60を作製する(図7(5)参照)。これにより、シリコン基板10は、固定部10Aとばね60に連結された振動部10Bで構成されることになる。これによりシリコン基板10側の加工が終了する。
一方で、ガラス基板50側では、その表面に第2Cr電極40を形成する。第2Cr電極40はシリコン基板10側の第1Cr電極20に対応する位置に配置する。ガラス基板50に第2Cr電極40を形成した後、ガラス基板50の第2Cr電極40が形成された面にスペーサ70を形成する。スペーサ70は、接着樹脂にガラスビーズ等を混入させて構成する。これによりガラス基板50側の加工が終了する。
次に、シリコン基板10側と耐熱ガラス基板50側の構造物の形成が終わると、これらの基板を接合する。すなわち、シリコン基板10と耐熱ガラス基板とを電極等の構造物が対向するように接合する(図7(6)参照)。上記で説明したスペーサ70の接着樹脂を硬化させることにより、実施形態1に係る振動発電素子が完成する。
なお、この実施形態では、シリコン基板10上に第1Cr電極20を形成する形態を説明したが、シリコン基板10をSOI基板15に替えて構成し、シリコン酸化膜でZnO層を挟む構成(すなわち、シリコン酸化膜、ZnO層、シリコン酸化膜の順で積層する構成)の場合、ZnO層をCVD法で成膜し、ZnO層上のシリコン酸化膜はスパッタ法により成膜する。
〔実施形態2及び3〕
ZnO層の自発分極は大気中のイオン等により打ち消され、振動発電素子に誘起された電荷が減少することがある。ZnO層における大気中のイオン等による電荷の減少を解決するため、ZnO層表面がさらされる雰囲気を調整してもよい。この実施形態について説明する。
図8は、本発明の他の実施形態に係る振動発電素子の上面図である。図8に示すように、この実施形態に係る振動発電素子は、実施形態1で説明した構成と各構成は同じであるものの、ZnO層表面がさらされる雰囲気が異なっている。すなわち、実施形態2に係る振動発電素子は、固定部10Aと振動部10Bとを連結する樹脂性のばね60が固定部10Aと振動部10Bの間の間隙を埋めるように配置されている。また、耐熱ガラス基板50にシリコン基板10の固定部10Aを固定するスペーサ70は、耐熱ガラス基板50とシリコン基板10の固定部10Aの外周部を囲むように配置されている。このため、耐熱ガラス基板50、シリコン基板10、樹脂性のばね60及びスペーサ70が、第1Cr電極20、第2Cr電極40、ZnO層を収容する、いわば容器を構成している。これにより、耐熱ガラス基板50とシリコン基板10との間の空間、ずなわち、ZnO層表面がさらされている空間が大気から隔離されるように構成されている。この実施形態では、この空間を真空にしているので、ZnO層の自発分極は大気中のイオン等により打ち消されにくい。このため、この実施形態では、ZnO層に誘起される電荷が減少しにくく、振動発電素子の発電効率量をより向上されることができる。
なお、実施形態2では、上記空間を真空にする形態を挙げて説明したが、この空間を不活性ガスや絶縁性ガスで満たしてもよい。例えば、絶縁性ガスのSF6でこの空間を満たしてもよい。また、耐熱ガラス基板50とシリコン基板10との間の空間を樹脂性のばね60とスペーサ70を用いて隔離する形態を説明したが、振動発電素子が設置される設置箇所を真空にしたり不活性ガスのArや絶縁性ガスのSF6で満たしたりして大気から離隔してもよく、例えば、実施形態1に係る振動発電素子をチャンバー内に設置して使用してもよい。
以上の実施形態で示した種々の特徴は、互いに組み合わせることができる。1つの実施形態中に複数の特徴が含まれている場合、そのうちの1又は複数個の特徴を適宜抜き出して、単独で又は組み合わせて、本発明に採用することができる。例えば、図9は、本発明の他の実施形態に係る振動発電素子の断面図であるが、図9に示す形態のように、振動発電素子の耐熱ガラス基板50に固定部と振動部とを設けてもよい。
〔実施例〕
次に、この発明の実施形態に係るZnO層の実施例について説明する。この実施例では、基板にYSZを用い、このYSZ上にZnOを成膜した。成膜にはPLD法を用いた。成膜の条件は、ターゲット:ZnOセラミック、温度(Ts):600℃、O2分圧:1×10-5Torr、レーザー繰り返しレート:5Hz,レーザー出力:0.2J/cm2、レート:5nm/416ショットとした。この条件で成膜したZnO(膜厚:5nmおよび20nm)の走査型非線形誘電率顕微法による自発分極方向を測定したものを図10に示す。図10は図の下部にあるグラフは自発分極の方向の割合を示すものである。
図10において、(1)5nm、(2)が20nmである。また(3)はZnO層と基板の構成を説明するための断面図である。
図10に示すように、成膜されたZnOは、その自発分極が均一であり、プラス方向の分極しか観察されていない。従って、この図から、成膜されたZnOはすべて上方向を向いていることがわかる。
ZnOの自発分極の向きの制御方として、膜厚制御がある。この実施例では5nmの膜厚のZnO層を示したが、さらに厚い膜厚(例えば、20nm)でも自発分極の方向が揃っていた。しかし、5nmの膜厚のZnO層よりも20nmの膜厚のZnO層の方ではマイナス方向の自発分極の割合が増大している。このことから、この発明における実施形態におけるZnO薄膜は自発分極の向きにばらつきが生じない5nmの薄膜を用いる。
10 シリコン基板 (基板)
11 シリコン酸化膜
15 SOI基板(基板)
20 第1Cr電極(第1電極)
22 単結晶シリコン
30 ZnO層
31 シリコン酸化膜
32 シリコン酸化膜
40 第2Cr電極(第2電極)
50 耐熱ガラス基板
60 ばね(弾性体)

Claims (4)

  1. 第1電極と、
    第1電極に間隔をおいて対向する第2電極と、
    第1電極の、第2電極側に設けられた誘電体と、
    誘電体を有する第1電極を第2電極に対して平行に振動可能に支持する支持体とを備え、
    前記誘電体が自発分極を有する単結晶の酸化亜鉛である振動発電素子。
  2. 前記誘電体がエピタキシャル膜のように自発分極の方向が揃った結晶により形成される請求項1に記載の振動発電素子。
  3. 前記支持体が基板と弾性体とからなり、
    第1電極が前記基板に搭載され、
    前記基板がSOI基板である請求項1又は2に記載の振動発電素子。
  4. 第1及び第2電極と前記支持体とを収容する容器をさらに備え、
    前記容器の内側が真空又は不活性ガスもしくは絶縁性ガスで満たされている請求項1〜3のいずれか1つに記載の振動発電素子。
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