JP2012201742A - ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】加工性、ウエットグリップ性及び発熱特性がバランスよく向上したタイヤが得られるゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ジエン系ゴム100質量部に対し、スチレン‐無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体及びスチレン−マレイン酸イミド共重合体の中から選択された1種又は2種以上0.5〜20質量部、及びシリカを30〜120質量部含有するゴム組成物を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、主としてタイヤに用いられるゴム組成物に関するものであり、より詳細にはタイヤトレッド用に好適に用いられる加工性が向上したゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
タイヤトレッド用等に用いられるゴムの加工性を向上させるためには、従来、プロセスオイルや可塑剤、加工助剤などを添加する方法が用いられている。しかし、これらの方法では、発熱特性や操縦安定性、耐摩耗性などが悪化するという問題が生じる。
これに対し、無水マレイン酸やその共重合体を用いることにより、ゴムの加工性その他の性能を向上させる試みがなされている。
例えば特許文献1では、タイヤトレッド用ゴム組成物において、加工性、ウエット制動性等の向上のために変性ロジンを用いることが提案され、その変性剤の一つとして無水マレイン酸が挙げられている。
また、特許文献2には、成形加工性等の向上のために、スチレン−無水マレイン酸共重合体とポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルとの反応生成物を使用することが開示されている。
さらに、特許文献3〜5には、スチレン−無水マレイン酸樹脂のエステル化物を特定の窒素吸着比表面積を有するカーボンブラックとともに、タイヤトレッド用等のゴム組成物に添加することが記載されている。
しかし、これらの従来技術によっても、加工性、ウエットグリップ性及び発熱特性の全てをバランスよく所望のレベルまで向上させるには至っていない。
特開平9−328579号公報 特開平7−228785号公報 特開2010−132012号公報 特開2010−132011号公報 特開2010−132718号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、加工性、ウエットグリップ性及び発熱特性がバランスよく向上したタイヤが得られるゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明のゴム組成物は、上記の課題を解決するために、ジエン系ゴム100質量部に対し、スチレン‐無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体及びスチレン−マレイン酸イミド共重合体の中から選択された1種又は2種以上0.5〜20質量部、及びシリカ30〜120質量部を含有するものとする。
本発明の空気入りタイヤは、上記本発明のゴム組成物を用いて得られたものとする。
本発明のゴム組成物によれば、上記のように、ジエン系ゴムにスチレン−無水マレイン酸エステル共重合体等をシリカと共に配合したものとすることで、加工性、ウエットグリップ性及び発熱特性のいずれもがバランスよく向上したタイヤが得られる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明で使用可能なジエン系ゴムとしては、各種天然ゴム(NR)、各種ポリイソプレンゴム(IR)、各種スチレンブタジエンゴム(SBR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)等が挙げられ、これらはいずれか1種を用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。好ましくは、スチレンブタジエンゴム、各種ポリブタジエンゴムを用いる。
本発明で用いるスチレン−無水マレイン酸共重合体は、例えば下記式(1)で表されるものである。
Figure 2012201742
式(1)中、mは好ましくは1〜8であり、nは好ましくは8〜12である。
スチレン−無水マレイン酸共重合体は、スチレンを無水マレイン酸と公知の方法でラジカル共重合することにより得られる。また、市販品を利用することもでき、例としては、サートマー・ジャパン(株)製のSMA3000、SMA1000、SMA2000、EF30、EF40、EF60、EF80等が挙げられる。
次に、スチレン−マレイン酸エステル共重合体は、上記スチレン−無水マレイン酸共重合体の無水マレイン酸ユニットの一部又は全部がエステル化された化合物であり、例えば下記式(2)で表されるものである。
Figure 2012201742
式(2)中、RはCxHyOzを表し、xは1〜10であり、yは3〜21であり、zは0または1である。mは好ましくは1〜8であり、nは好ましくは8〜12である。
スチレン−マレイン酸エステル共重合体は、上記スチレン−無水マレイン酸共重合体にアルコールを反応させて得られ、反応原料であるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。また、市販品を利用することもでき、例としては、サートマー・ジャパン(株)製のSMA1440、SMA3840、SMA17352、SMA2625等が挙げられる。
さらに、スチレン−マレイン酸イミド共重合体は、上記スチレン−無水マレイン酸共重合体の無水マレイン酸ユニットの一部又は全部がイミド化された化合物であり、例えば下記式(3)で表されるものである。
Figure 2012201742
式(3)中、mは好ましくは1〜8であり、nは好ましくは8〜12である。
スチレン−マレイン酸イミド共重合体は、上記スチレン−無水マレイン酸共重合体にアミンを反応させることにより得られ、アミンの例としてはアルキルアミン類等が挙げられる。また、市販品を利用することもでき、例としてはサートマー・ジャパン(株)製のSMA3000I、SMA1000I、SMA2000I等が挙げられる。
本発明では、これらスチレン‐無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体又はスチレン−マレイン酸イミド共重合体を、補強性充填剤としてのシリカと所定の割合で併用することにより、タイヤの加工性、ウエットグリップ性及び発熱特性をバランスよく向上させることができる。これらの共重合体は、スチレンに由来する部分がゴムとの親和性に優れ、かつマレイン酸に由来する部分がシリカとの親和性に優れるために、シリカの分散性を向上させる効果を有すると考えられる。
これらスチレン‐無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体及びスチレン−マレイン酸イミド共重合体は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよく、その配合量としては、ジエン系ゴム100質量部に対して0.5〜20質量部が好ましく、より好ましくは1.5〜10質量部配合する。この配合量は、2種以上の共重合体を使用する場合はその総量とする。これら共重合体の配合量が0.5質量部未満であると、所望の加工性向上効果が得られず、一方、20質量部を超えると、発熱特性が悪化するようになる。
補強性充填剤としては、シリカを必須成分として含有し、本発明の目的を外れない範囲であれば、カーボンブラックをシリカと併用することもできる。
シリカとしては、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸),乾式シリカ(無水ケイ酸),ケイ酸カルシウム,ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも湿式シリカが好ましい。
シリカの配合量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して30〜100質量部とし、35〜80量部であることがより好ましい。また、カーボンブラックを併用する場合には、その配合量は、ゴム成分100質量部に対して50質量部未満とする。
また、本発明においては、シランカップリング剤を使用するのが好ましい。シランカップリング剤の種類は特に限定されず、タイヤ用ゴム組成物において一般に使用されるものを使用することができ、例としてはスルフィドシラン、メルカプトシラン等が挙げられる。より具体的には、日本ユニカー(株)製又はGE東芝シリコーン(株)製等のNXTシラン(3−オクタノイル−1−チオプロピルトリエトキシシラン)や、エボニック社製「VPSi−363」等が好適に用いられる。シランカップリング剤の含有量はシリカに対して5〜15質量%が好ましい。
本発明に係るゴム組成物には、上記各成分以外は、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加硫剤、加硫促進剤など、タイヤ用ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を適宜含有するものとすることができる。上記加硫剤としては、硫黄、硫黄含有化合物等が挙げられ、特に限定するものではないが、その配合量は上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。加硫促進剤としては、スルフェンアミド系等のタイヤ用ゴム組成物に通常用いられるものが特に限定なく使用でき、その配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。本ゴム組成物は、通常のバンバリーミキサーやニーダーなどのゴム用混練機を用いて、常法に従い混練することで調製される。
以上よりなるゴム組成物は、タイヤのトレッドゴムとして好適に用いることができ、このゴム組成物を、常法に従い、例えば140〜180℃で加硫成形することにより、タイヤを形成することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例・比較例]
下記表1に示す配合(特に示した以外は質量部)に従い、まず硫黄及び加硫促進剤を除く成分を添加混合し、次いで硫黄と加硫促進剤を添加混合して、タイヤ用ゴム組成物を調製した。表1中の各配合物の詳細は以下の通りである。
・スチレン−無水マレイン酸共重合体:サートマー・ジャパン(株)製「SMA3000」(式(1)におけるスチレン:無水マレイン酸=3:1、m=3、n=8〜12)
・スチレン−マレイン酸エステル共重合体:サートマー・ジャパン(株)製「SMA17352」(式(2)におけるスチレン:マレイン酸エステル=1:1、m=1、n=8〜12)
・スチレン−マレイン酸イミド共重合体I:サートマー・ジャパン(株)製「SMA3000I」(式(3)におけるスチレン:マレイン酸イミド=3:1、m=3、n=8〜12)
・スチレン−マレイン酸イミド共重合体II:サートマー・ジャパン(株)製「SMA1000I」(式(3)におけるスチレン:マレイン酸イミド=1:1、m=1、n=8〜12)
・石油系樹脂:EXXON製「エスコレッツ1102」
・SBR:ランクセス(株)製「VSL5025−0HM」
・BR:宇部興産(株)製「BR150B」
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製「ニップシールAQ」
・シランカップリング剤:エボニック・デグサ製社「Si69」
・カーボンブラック:三菱化学株式会社製「ダイアブラックN341」
・プロセスオイル:昭和シェル石油株式会社製「エキストラクト4号S」
・亜鉛華:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1号」
・老化防止剤:住友化学(株)製「アンチゲン6C」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS20」
・ワックス:日本精蝋(株)製「OZOACE0355」
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「5%油処理粉末硫黄」
・加硫促進剤:住友化学(株)製「ソクシノールCZ」
得られた各ゴム組成物について、加工性、ウエットグリップ性及び発熱特性を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
・加工性:JIS K6300に準拠して東洋精機(株)製ロータレスムーニー測定機を用い、未加硫ゴムを100℃で1分間予熱後、4分後のトルク値をムーニー単位で測定した値を示す。数値が小さい方が加工性が良好であることを意味する。
・ウエットグリップ性:東洋精機(株)製の粘弾性試験機を使用し、周波数10Hz,静歪10%,動歪1%,温度0℃で損失係数tanδを測定し、比較例1の値を100とした指数で示す。数値が大きい方がウエットグリップ性が良好であることを意味する。
・発熱特性:東洋精機(株)製の粘弾性試験機を使用し、周波数10Hz、静歪10%、動歪1%、温度60℃で損失係数tanδを測定し、比較例1の値を100とした指数で示す。数値が小さい方が発熱特性が良好であることを意味する。
Figure 2012201742
表1に示された結果から分かるように、スチレン‐無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体又はスチレン−マレイン酸イミド共重合体を所定量使用した実施例のものはいずれも、加工性、ウエットグリップ性及び発熱特性が従来のものより優れていたのに対し、これらの共重合体を使用せずにプロセスオイルを増量した比較例1、これらの共重合体に換えて石油系樹脂を用いた比較例3、及びスチレン‐無水マレイン酸共重合体を過剰量使用した比較例4は発熱特性が悪化する傾向が見られた。
発明のゴム組成物は、乗用車、ライトトラック、トラック、バス等の各種タイヤに用いることができる。

Claims (2)

  1. ジエン系ゴム100質量部に対し、
    スチレン‐無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体及びスチレン−マレイン酸イミド共重合体の中から選択された1種又は2種以上0.5〜20質量部、及び
    シリカ30〜120質量部を含有する
    ことを特徴とするゴム組成物。
  2. 請求項1に記載のゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
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