JP2012201625A - 炎症性疾患用栄養組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】炎症性腸疾患等の炎症性疾患の病態改善効果が優れ、患者の体タンパク質を維持することができ、栄養状態の改善に有用な炎症性疾患用栄養組成物を提供する。
【解決手段】ヒトの必須アミノ酸で構成され、アルギニン以外のヒトの非必須アミノ酸を含まないことを特徴とするアミノ酸組成物を含有する炎症性疾患用栄養組成物。ヒトの必須アミノ酸は、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、システイン及びチロシンからなることが好ましい。また、前記アミノ酸組成物はアルギニンを含有することが好ましい。本発明の炎症性疾患用栄養組成物は、前記アミノ酸組成物以外に、油脂、糖質、ビタミン、ミネラルを含有することが好ましく、糖質として、オリゴ糖を含有し、ビタミンC、D及びEを高値で含有することがさらに好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、炎症性疾患用栄養組成物に関する。さらに詳しく言うと、本願発明は、炎症性疾患の治療、予防、寛解導入・維持に有効な栄養組成物に関する。
クローン病及び潰瘍性大腸炎を二大疾患とする炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)は、慢性の難治性疾患であり、特定疾患として指定されている。日本での患者数は10万人を超え、なおも増加傾向にある。
本疾患の病因は未だ特定されていないが、免疫機構に関与するものと考えられている。すなわち、特定の腸内細菌や食餌抗原が、炎症の発症部位である腸管上皮から組織内部へ侵入し、過剰な炎症反応が引き起こされるというメカニズムが指摘されている。免疫系が攪乱されて、腸管上皮周辺を中心に自己を攻撃し、腸管に炎症が発症するというものである。炎症性腸疾患は、通常は、炎症症状の急性憎悪・再燃(炎症の悪化)と寛解(炎症の緩和)を繰り返す。炎症症状の急性増悪・再燃の際には、患者は一般に、食事摂取が不十分であったり、消化吸収障害や、炎症部位からのタンパク質の漏出、さらには炎症による発熱等が認められたりするため、低栄養状態に陥ることが多い。
そのため、治療方針としては、速やかに炎症症状を緩和(寛解導入)し、再燃を予防(寛解維持)することにより、患者のQOLを高めることに主眼が置かれている。
本疾患の治療方法には、薬物療法、栄養療法、手術がある。薬物療法では、免疫抑制剤、副腎皮質ステロイド剤、分子生物学的製剤(抗体医薬)、アミノサリチル酸製剤等が主に使用されている。しかし、これらの既存医薬では、重篤な副作用が報告されており、安全性に問題がある。しかも、効果の減弱が生じやすく、薬剤耐性が生じやすいものが多い。さらに、これらの既存医薬は、経口投与できず、自宅では投与できないなどの問題もあった。
また、手術は、病変部の切除や狭窄形成術等が行われているが、再発率が高いなどの問題がある。
栄養療法としては、タンパク質をその構成分子の混合物として与える成分栄養が行われている。タンパク質はアミノ酸混合物として配合されるが、その配合量は、栄養価の高い卵白アルブミンのアミノ酸組成をもとに調整が行われている(非特許文献1〜3参照)。
一方、ホエイタンパク質加水分解物の全アミノ酸組成物を、炎症性疾患である肝不全患者の栄養療法において使用することが検討されている(特許文献1)。
ホエイタンパク質は、必須アミノ酸と非必須アミノ酸の含有バランスに優れ、卵白アルブミンなどよりもさらに栄養的価値が高い旨の評価もある(非特許文献4)。
しかしながら、これらの文献に記載されているアミノ酸組成物は、必須アミノ酸及び非必須アミノ酸の両者を含む全アミノ酸からなる組成物である。これらの栄養療法は薬物療法に比べて安全性が高く、患者の栄養状態も改善しうるものの、その抗炎症効果は不十分であった。
このような状況下で、炎症性腸疾患等の炎症性疾患に対する抗炎症作用が優れ、患者の栄養状態の改善も可能で、既存の医薬のような副作用の心配がなく、薬剤耐性も生じず、経口投与が可能で、しかもコストが安い炎症性疾患用栄養組成物が求められている。
特開2004−99563号公報
Elemental diet as primary treatment of acute Crohn’s desease: a controlled trial, British Medical Journal (1984) Vol.288 1859-1862. Nutritional Management of inflammatory bowel disease, Gastroenterology Clinics of North America (1989) Vol.17, No.1, 129-157. Therapeutic efficacy of cyclic home elemental enteral alimentation in Crohn’s disease, Journal of Gastroenterology (1995) 30 (Suppl VIII) 91-94. 山口真ら、ホエイタンパク質及びホエイペプチドの特長と抗炎症作用,Milk Science (2005) Vol.54,No.3 123-127
したがって、本発明は、炎症性腸疾患等の炎症性疾患の抗炎症作用及び病態改善効果が優れ、しかも、患者の体タンパク質を維持することができ、栄養状態の改善に有用な炎症性疾患用栄養組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、ヒトの非必須アミノ酸を含まず、ヒトの必須アミノ酸のみを含むアミノ酸組成物を栄養組成物に配合することにより、優れた炎症性疾患の病態改善効果を有する栄養組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
また、前記アミノ酸組成物にアルギニンを加えたアミノ酸組成物を栄養組成物に配合することにより、さらに優れた炎症性疾患の病態改善効果を有する栄養組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
さらに、前記栄養組成物に、フラクトオリゴ糖を配合し、ビタミンC、D及びEを高値で配合することにより、一層優れた炎症性疾患効果を有する栄養組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の炎症性腸疾患用栄養組成物を提供するものである。
(1) ヒトの必須アミノ酸で構成され、アルギニン以外のヒトの非必須アミノ酸を含まないことを特徴とするアミノ酸組成物を含有する炎症性疾患用栄養組成物。
(2) ヒトの必須アミノ酸が、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、システイン及びチロシンからなることを特徴とする前記記載の炎症性疾患用栄養組成物。
(3) アミノ酸組成物が、当該アミノ酸組成物中、ヒスチジンを0.8〜24.4重量%(フリーのアミノ酸として:以下同じ)、イソロイシンを1.9〜50.4重量%、ロイシンを3.6〜75.2重量%、リジンを1.7〜68.8重量%、メチオニンを0.6〜38.0重量%、システインを0.1〜42.0重量%、フェニルアラニンを0.1〜55.6重量%、チロシンを0.1〜43.6重量%、スレオニンを1.5〜54.4重量%、トリプトファンを0.4〜16.4重量%及びバリンを2.3〜53.6重量%を含有することを特徴とする前記記載の炎症性疾患用栄養組成物。
(4) アミノ酸組成物が、当該アミノ酸組成物中、ヒスチジンを3.5〜6.1重量%(フリーのアミノ酸として:以下同じ)、イソロイシンを7.7〜12.6重量%、ロイシンを14.7〜18.8重量%、リジンを6.9〜17.2重量%、メチオニンを2.4〜9.5重量%、システインを0.6〜10.5重量%、フェニルアラニンを6.1〜13.9重量%、チロシンを5.6〜10.9重量%、スレオニンを6.1〜13.6重量%、トリプトファンを1.9〜4.1重量%及びバリンを9.3〜13.4重量%を含有することを特徴とする前記炎症性疾患用栄養組成物。
(5) アミノ酸組成物が、さらに、アルギニンを含有することを特徴とする前記炎症性疾患用栄養組成物。
(6) アミノ酸組成物が、当該アミノ酸組成物中、ヒスチジンを0.8〜24.4重量%(フリーのアミノ酸として:以下同じ)、イソロイシンを1.9〜50.4重量%、ロイシンを3.6〜75.2重量%、リジン1.7〜68.8重量%、メチオニン0.6〜38.0重量%、システインを0.1〜42.0重量%、フェニルアラニンを0.1〜55.6重量%、チロシンを0.1〜43.6重量%、スレオニンを1.5〜54.4重量%、トリプトファンを0.4〜16.4重量%、バリンを2.3〜53.6重量%及びアルギニンを1.1〜63.6重量%を含むことを特徴とする前記炎症性疾患用栄養組成物。
(7) アミノ酸組成物が、当該アミノ酸組成物中、ヒスチジンを3.5〜6.1重量%(フリーのアミノ酸として:以下同じ)、イソロイシンを7.7〜12.6重量%、ロイシンを14.7〜18.8重量%、リジンを6.9〜17.2重量%、メチオニンを2.4〜9.5重量%、システインを0.6〜10.5重量%、フェニルアラニンを6.1〜13.9重量%、チロシンを5.6〜10.9重量%、スレオニンを6.1〜13.6重量%、トリプトファンを1.9〜4.1重量%、バリンを9.3〜13.4重量%及びアルギニンを4.7〜15.9重量%を含むことを特徴とする前記炎症性疾患用栄養組成物。
(8) アミノ酸組成物以外に、油脂、糖質、ビタミン及びミネラルを含有することを特徴とする前記症性疾患用栄養組成物。
(9) 油脂が、天然油脂または合成油脂であることを特徴とする請求項8記載の炎症性疾患用栄養組成物。
(10) 天然油脂が、大豆油、コーン油、パーム油、エゴマ油、キャノーラ油、サフラワー油、ひまわり油、ごま油、米油、オリーブ油、ぶどう種子油及び魚油からなる群から選ばれる1または2以上であることを特徴とする前記炎症性疾患用栄養組成物。
(11) 合成油脂が、中鎖脂肪酸トリグリセリドであることを特徴とする前記炎症性疾患用栄養組成物。
(12) 糖質が、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクツロース及びイヌリンからなる群から選ばれる1または2以上を含むことを特徴とする前記炎症性疾患用栄養組成物。
(13) ミネラルが、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リン、塩素、鉄、マンガン、銅、ヨウ素、亜鉛、セレン、クロム及びモリブデンからなる群から選ばれる1または2以上であることを特徴とする請求項8記載の炎症性疾患用栄養組成物。
(14) ビタミンが、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB及びビタミンCからなる群から選ばれる1または2以上であることを特徴とする前記炎症性疾患用栄養組成物。
(15) アミノ酸組成物を、栄養組成物全体のエネルギーあたり、1.25〜12.5g/100kcal栄養組成物含有することを特徴とする前記炎症性疾患用栄養組成物。
(16) 栄養組成物全体のエネルギーあたり、アミノ酸組成物を1.25〜12.5g/100kcal栄養組成物、油脂を0.1〜3.6g/100kcal栄養組成物及び糖質を4.4〜23.5g/100kcal栄養組成物含有することを特徴とする前記炎症性疾患用栄養組成物。
(17) フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクツロース及びイヌリンから選ばれる1または2以上を、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.1〜5.0g/100kcal栄養組成物含有することを特徴とする前記炎症性疾患用栄養組成物。
(18) 栄養組成物全体のエネルギーあたり、ビタミンC(アスコルビン酸)を1.10〜110mg/100kcal栄養組成物、ビタミンDを0.10〜5.6 μg/100kcal栄養組成物、ビタミンE(α-トコフェロールとして)を0.10〜100 mg/100kcal栄養組成物含有することを特徴とする前記炎症性疾患用栄養組成物。
(19) 炎症性疾患が、炎症性腸疾患であることを特徴とする前記炎症性疾患用栄養組成物。
(20) 炎症性腸疾患が、クローン病または潰瘍性大腸炎であることを特徴とする前記炎症性疾患用栄養組成物。
(21) 炎症性疾患の治療、予防、寛解の導入または維持のために使用できることを特徴とする前記炎症性疾患用栄養組成物。
本発明の炎症性疾患用栄養組成物は、炎症性腸疾患などの炎症性疾患の病態改善効果が非常に優れ、しかも、体タンパク質の維持等、患者の栄養状態の改善に有用である。
試験例1における組成物A〜Eの試験結果を示すグラフである。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の炎症性疾患用栄養組成物は、ヒトの必須アミノ酸で構成され、アルギニン以外のヒトの非必須アミノ酸を含まないアミノ酸組成物を含有することを特徴とするものである。
すなわち、本発明の栄養組成物において使用される「アミノ酸組成物」は、
1)「ヒトの必須アミノ酸」で構成される場合と、
2)「ヒトの必須アミノ酸」と「アルギニン」で構成される場合
がある。本発明の栄養組成物におけるアミノ酸組成物は、1)及び2)の両方の場合において、アルギニン以外のヒトの非必須アミノ酸を含まないことを特徴とする。
なお、本明細書全体において、「ヒトの必須アミノ酸」及び「ヒトの非必須アミノ酸」について、「ヒトの」を省略して、単に、「必須アミノ酸」及び「非必須アミノ酸」と記載する場合がある。
本発明で使用するアミノ酸組成物の組成の由来等は特に限定されない。
たとえば、乳カゼイン、乳ホエイ、卵黄、卵白アルブミン、大豆タンパク質等を構成する全アミノ酸組成から、ヒトの必須アミノ酸の組成比(構成比)を抽出し、その組成比に基づいて各アミノ酸を配合した必須アミノ酸組成物を用いることができる。アルギニンは含有しても、含有していなくてもよいが、アルギニンを含有する場合には、さらに優れた効果が得られる。
これらのタンパク質のうち、乳ホエイを構成する全アミノ酸組成物に含まれるヒトの必須アミノ酸組成比からなる必須アミノ酸組成物、またはそれにアルギニンを加えた組成物は特に好ましい。
なお、上記の乳は、牛乳であるが、ヤギ乳、ヒトの母乳など牛以外の哺乳類の乳でもよい。
本発明において、「ヒトの必須アミノ酸」とは、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、システイン及びチロシンである。
これらのアミノ酸は、L−型のアミノ酸を指し、塩等の形態をとっていてもよい。塩等の例としては、L−ヒスチジン塩酸塩、L−リジン塩酸塩、N−アセチル−L−システイン、L−シスチン、N−アセチル−L−トリプトファン等が挙げられる。また、アルギニンについては、L−アルギニン塩酸塩等が挙げられる。
本発明の炎症性疾患用栄養組成物に含まれるアミノ酸組成物における各必須アミノ酸の好ましい配合量は、アルギニンを含まない場合、当該アミノ酸組成物中、ヒスチジン0.8〜24.4重量%(フリーのアミノ酸として:以下同じ)、イソロイシン1.9〜50.4重量%、ロイシン3.6〜75.2重量%、リジン1.7〜68.8重量%、メチオニン0.6〜38.0重量%、システイン0.1〜42.0重量%、フェニルアラニン0.1〜55.6重量%、チロシン0.1〜43.6重量%、スレオニン1.5〜54.4重量%、トリプトファン0.4〜16.4重量%及びバリン2.3〜53.6重量%である。
なお、本明細書において、「フリーのアミノ酸として」は、正味のアミノ酸重量を示し、塩等を形成している場合には、その分を除いてという意味である。
本発明の炎症性疾患用栄養組成物に含まれるアミノ酸組成物における各必須アミノ酸のさらに好ましい配合量は、アルギニンを含まない場合、当該アミノ酸組成物中、ヒスチジン3.5〜6.1重量%(フリーのアミノ酸として:以下同じ)、イソロイシン7.7〜12.6重量%、ロイシン14.7〜18.8重量%、リジン6.9〜17.2重量%、メチオニン2.4〜9.5重量%、システイン0.6〜10.5重量%、フェニルアラニン6.1〜13.9重量%、チロシン5.6〜10.9重量%、スレオニン6.1〜13.6重量%、トリプトファン1.9〜4.1重量%及びバリン9.3〜13.4重量%である。
また、アルギニンを含む場合、本発明の炎症性疾患用栄養組成物に含まれるアミノ酸組成物における各アミノ酸の好ましい配合量は、当該アミノ酸組成物中、フリー体換算で、ヒスチジン0.8〜24.4重量%(フリーのアミノ酸として:以下同じ)、イソロイシン1.9〜50.4重量%、ロイシン3.6〜75.2重量%、リジン1.7〜68.8重量%、メチオニン0.6〜38.0重量%、システイン0.1〜42.0重量%、フェニルアラニン0.1〜55.6重量%、チロシン0.1〜43.6重量%、スレオニン1.5〜54.4重量%、トリプトファン0.4〜16.4重量%、バリン2.3〜53.6重量%及びアルギニン1.1〜63.6重量%である。
アルギニンを含む場合、本発明の炎症性疾患用栄養組成物に含まれるアミノ酸組成物における各アミノ酸のさらに好ましい配合量は、当該アミノ酸組成物中、ヒスチジン3.5〜6.1重量%(フリーのアミノ酸として:以下同じ)、イソロイシン7.7〜12.6重量%、ロイシン14.7〜18.8重量%、リジン6.9〜17.2重量%、メチオニン2.4〜9.5重量%、システイン0.6〜10.5重量%、フェニルアラニン6.1〜13.9重量%、チロシン5.6〜10.9重量%、スレオニン6.1〜13.6重量%、トリプトファン1.9〜4.1重量%、バリン9.3〜13.4重量%及びアルギニン4.7〜15.9重量%である。
上記各アミノ酸の配合量の上限値及び下限値は、WHO/FAO/UNU2007に定められた必須アミノ酸必要量(アミノ酸評点パターン)の組成比や、乳カゼイン、乳ホエイ、卵黄、卵白アルブミン、大豆タンパク質等を構成する全アミノ酸組成中、アルギニン以外の非必須アミノ酸を除いた組成比の最大値及び最小値に基づいて算出した。
本発明の炎症性疾患用栄養組成物は、アミノ酸組成物以外に、その他の栄養成分を含有することが好ましい。しかしながら、アミノ酸組成物以外の成分は、患者の症状の程度や栄養状態に応じて、適宜省略することもできる。
なお、アミノ酸混合物以外の成分を含む場合、本発明の栄養組成物中におけるアミノ酸混合物の含有量は、特に限定されないが、栄養組成物全体のエネルギーあたり、1.25〜12.5g/100kcal栄養組成物とすることが好ましく、2.5〜7.5g/100kcal栄養組成物とすることがさらに好ましい。
なお、このように、本明細書において、本発明の栄養組成物中に含まれる各成分の量は、栄養組成物100kcalを基準とした場合に、含まれる量として示すことがある。
その他の栄養成分としては、油脂、糖質、ミネラル、ビタミン等が挙げられる。油脂、糖質、ミネラル及びビタミンは、栄養組成物中に通常含まれるものであればいずれのものであってもよい。
油脂としては、特に限定されず、大豆油、コーン油、パーム油、エゴマ油、キャノーラ油、サフラワー油、ひまわり油、ごま油、米油、ぶどう種子油及び魚油等の天然油脂の他、炭素数6〜12程度の中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等の合成油脂が挙げられる。
これらの中でも、天然油脂としては、大豆油、エゴマ油、キャノーラ油、オリーブ油、ぶどう種子油等が好ましい。また、合成油脂としては、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)が好ましい。MCTを構成する脂肪酸は、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸等の炭素数6〜12程度の中鎖脂肪酸であり、これら1種または2種以上からなる。MCTは、特に限定されないが、例えば、カプロン酸トリグリセリド、ジカプリル酸カプリン酸トリグリセリド、ラウリン酸カプリン酸カプリル酸トリグリセリド、カプリル酸トリグリセリド(トリカプリリン)等が挙げられ、これらの中でも、トリカプリリンは特に好ましい。
これらの油脂は、1種または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の栄養組成物中における油脂の含有量は、特に限定されないが、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.1〜3.6g/100kcal栄養組成物とすることが好ましく、0.5〜2.0g/100kcal栄養組成物とすることがさらに好ましい。
糖質としては、特に限定されず、例えば、デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクツロース、イヌリン、麦芽糖、ショ糖及びグルコース等が挙げられる。これらの糖質の中でも、デキストリン、マルトデキストリン、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクツロース、イヌリン、麦芽糖は好ましく、特にデキストリン、マルトデキストリン、フラクトオリゴ糖及び乳果オリゴ糖は好ましい。これらは、1種または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の栄養組成物中における糖質の含有量は、特に限定されないが、栄養組成物全体のエネルギーあたり、4.4〜23.5g/100kcal栄養組成物とすることが好ましく、13.0〜18.9g/100kcal栄養組成物とすることがさらに好ましい。
特に、糖質としてフラクトオリゴ糖または乳果オリゴ糖等を含有する場合には、栄養組成物の全体のエネルギーあたり、0.1〜5.0g/100kcal含有することが好ましく、1.0〜2.5g/100kcalとすることがさらに好ましい。フラクトオリゴ糖または乳果オリゴ糖等の含有量をこの範囲とすることにより、本発明の栄養組成物の炎症性疾患に対する病態改善効果が増大する。
ミネラルとしては、特に限定されず、例えば、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リン、鉄、マンガン、銅、ヨウ素、亜鉛、セレン、クロム、及びモリブデン等が挙げられる。これらは1種または2種以上を適宜組み合わせて、例えば、塩の形態として用いることができる。
ミネラルの配合量は特に限定されないが、栄養組成物全体のエネルギーあたり、1.5mg〜30.0g/100kcal栄養組成物とすることが好ましく、2.3g〜6.0g/100kcal栄養組成物とすることがさらに好ましい。
個々のミネラルの配合量も特に限定されないが、例えば、カルシウムの好ましい配合量は、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.65mg〜480mg/100kcal栄養組成物であり、6.5mg〜260mg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
マグネシウムの好ましい配合量は、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.4mg〜30mg/100kcal栄養組成物であり、4.0mg〜15mg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
ナトリウムの好ましい配合量は、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.3mg〜3000mg/100kcal栄養組成物であり、3.0mg〜1000mg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
カリウムの好ましい配合量は、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.13mg〜700mg/100kcal栄養組成物であり、13mg〜350mg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
リンの好ましい配合量は、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.4mg〜700mg/100kcal栄養組成物であり、4.0mg〜350mg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
鉄の好ましい配合量は、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.01mg〜12.0mg/100kcal栄養組成物であり、0.1mg〜6.0mg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
マンガンの好ましい配合量は、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.001mg〜3.0mg/100kcal栄養組成物であり、0.01mg〜1.5mg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
銅の好ましい配合量は、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.001mg〜3.0mg/100kcal栄養組成物であり、0.01mg〜1.5mg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
ヨウ素の好ましい配合量は、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.1μg〜500μg/100kcal栄養組成物であり、1μg〜250μg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
亜鉛の好ましい配合量は、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.005mg〜10mg/100kcal栄養組成物であり、0.05mg〜5mg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
セレンの好ましい配合量は、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.03μg〜70μg/100kcal栄養組成物であり、0.3μg〜35μg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
クロムの好ましい配合量は、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.002μg〜240μg/100kcal栄養組成物であり、0.02μg〜120μg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
モリブデンの好ましい配合量は、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.05μg〜140μg/100kcal栄養組成物であり、0.5μg〜70μg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
ビタミンとしては、特に限定されず、例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK等の脂溶性ビタミン、ビタミンB、ビタミンC等の水溶性ビタミン等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を適宜組み合わせて用いることができるが、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEは用いることが望ましい。
ビタミンAとしては、例えば、レチノール(ビタミンA)、3−デヒドロレチノール(ビタミンA)、レチナール、3−デヒドロレチナール、レチノイン酸及び3−デヒドロレチノイン酸の他、これらの酢酸エステル及びパルミチン酸エステル等の誘導体、並びにβ-カロテン等のプロビタミンAが挙げられる。
ビタミンDとしては、例えば、エルゴカルシフェロール(ビタミンD)、コレカルシフェロール(ビタミンD)の他、これらの硫酸エステル等の誘導体等が挙げられる。
ビタミンEとしては、例えば、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノールの他、これらの酢酸エステル、ニコチン酸エステル、リン酸エステル等の誘導体や、α−トコフェロール二ナトリウム等のこれらの塩が挙げられる。
ビタミンKとしては、例えば、フィトナジオン(ビタミンK)、メナキノン(ビタミンK)及びメナジオン(ビオタミンK)等が挙げられる。
ビタミンBとしては、例えば、チアミン(ビタミンB)、リボフラビン(ビタミンB)、ニコチン酸、ニコチン酸アミド(以上、ナイアシン;ビタミンB)、パントテン酸(ビタミンB)、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン(以上、ビタミンB)、ビオチン(ビタミンB)、葉酸(ビタミンB)、シアノコバラミン、アデノシルコバラミン、メチルコバラミン、スルフィトコバラミン、ヒドロキソコバラミン(以上、ビタミンB12)の他、これらの塩等が挙げられる。
ビタミンの配合量は、特に限定されないが、栄養組成物全体のエネルギーあたり、00.005mg〜1000mg/100kcal栄養組成物とすることが好ましく、1.0mg〜500mg/100kcal栄養組成物とすることがさらに好ましい。
個々のビタミンの配合量も特に限定されないが、たとえば、ビタミンAの配合量は、本発明の栄養組成物全体のエネルギーあたり、レチノール当量として1.0μg〜500μg/100kcal栄養組成物が好ましく、10.0μg〜300μg/100kcalがさらに好ましい。
ビタミンDの配合量は、本発明の栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.05μg〜12μg/100kcal栄養組成物が好ましく、0.1μg〜5.6μg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
ビタミンEの配合量は、本発明の栄養組成物全体のエネルギーあたり、α-トコフェロール当量として0.05mg〜150mg/100kcal栄養組成物が好ましく、0.10mg〜100mg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
ビタミンKの配合量は、本発明の栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.1μg〜100μg/100kcal栄養組成物が好ましく、1μg〜9μg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
ビタミンBの配合量は、本発明の栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.001mg〜40mg/100kcal栄養組成物が好ましく、0.01mg〜15mg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
ビタミンBの配合量は、本発明の栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.01mg〜50mg/100kcal栄養組成物が好ましく、0.33mg〜25mg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
ビタミンBの配合量は、本発明の栄養組成物全体のエネルギーあたり、ナイアシン当量として0mg〜200mg/100kcal栄養組成物が好ましく、0.1mg〜100mg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
ビタミンBの配合量は、本発明の栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.01mg〜240mg/100kcal栄養組成物が好ましく、0.1mg〜120mg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
ビタミンBの配合量は、本発明の栄養組成物全体のエネルギーあたり、ピリドキシンとして0.001mg〜20mg/100kcal栄養組成物が好ましく、0.005mg〜10mg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
ビタミンBの配合量は、本発明の栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.01μg〜560μg/100kcal栄養組成物が好ましく、0.1μg〜300μg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
ビタミンBの配合量は、本発明の栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.2μg〜240μg/100kcal栄養組成物が好ましく、2.0μg〜200μg/100kcalがさらに好ましい。
ビタミンB12の配合量は、本発明の栄養組成物全体のエネルギーあたり、シアノコバラミン相当量として0.01μg〜340μg/100kcal栄養組成物が好ましく、0.1μg〜170μg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
ビタミンCの配合量は、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.01mg〜220mg/100kcal栄養組成物が好ましく、1.1mg〜110mg/100kcal栄養組成物がさらに好ましい。
なお、上記の配合量において、ビタミンCの配合量を、栄養組成物全体のエネルギー中、0.01mg〜220mg/100kcal栄養組成物、特に、1.1mg〜110mg/100kcal栄養組成物とし、
ビタミンDの配合量を、0.05μg〜12μg/100kcal栄養組成物、特に、0.10μg〜5.6μg/100kcal栄養組成物とし、
ビタミンEの配合量を、0.05mg〜150mg/100kcal栄養組成物、特に、0.10mg〜100mg/100kcal栄養組成物、
とすることにより、炎症性疾患に対する病態改善効果をさらに優れたものとすることができる。
本発明の炎症性疾患用栄養組成物には、その他、賦形剤、乳化剤、安定化剤、pH調整剤、香料等の成分が含まれていてもよい。これらの種類は、特に限定されず、栄養組成物において通常使用されるものを適宜使用することができる。
本発明の炎症性疾患用栄養組成物の形態は、特に限定されず、通常の栄養組成物の形態であればいずれの形態とすることもできる。たとえば、ゼリー剤、液剤、粉末剤、固形剤等とすることができる。これらの中でもゼリー状とすることは好ましい。ゼリー状とする場合は、ゲル化剤(増粘剤)として、寒天、アルギン酸、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジェランガム、(グアーガム、還元麦芽糖水アメ、カルボキシメチルセルロースナトリウム)等を用いることが好ましい。
本発明の炎症性疾患用栄養組成物の投与経路は、特に限定されず、経口投与でもよいし、PEGチューブ等を用いた経腸投与でもよい。投与回数は、1日1回〜数回に分けて、適宜与えることができる。
本発明の炎症性疾患用栄養組成物は、炎症性腸疾患等の炎症性疾患の病態改善、すなわち、治療、予防及び寛解導入・維持等に有効である。
炎症性疾患としては、例えば、炎症性腸疾患、リウマチ、膠原病、アレルギー性疾患、細菌・ウイルスその他の感染症、肝不全等が挙げられる。これらの中でも、本発明の炎症性疾患用栄養組成物は、クローン病及び潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患に特に有効である。
また、本発明の炎症性疾患用栄養組成物は、栄養成分以外に、医薬を含んでいてもよい。その場合、医薬は炎症性疾患用の医薬であっても、その他の薬理的効果を有する医薬であってもよい。
本発明の炎症性疾患用栄養組成物の投与量は、病態改善に有効な量であれば、特に限定されない。たとえば、成人に対して、アミノ酸組成物換算で、0.001g〜1.5g/体重kg/日、好ましくは、0.1g〜1.0g/体重kg/日で投与することができる。投与量は、患者の年齢、体重、疾患の種類、症状の程度、性別等により、適宜増減することが可能である。また、投与方法は、特に限定されないが、経口投与、経管等による経腸投与は好ましい。投与回数は、1日1回〜適当な回数に分けることができる。
本発明の炎症性疾患用栄養組成物は、窒素源として全アミノ酸組成物を含有する従来の栄養組成物と比べて、炎症性疾患の治療や予防あるいは寛解導入・維持に非常に有効である。本発明の炎症性疾患用栄養組成物を使用すれば、薬物療法に頼らなくても、炎症性疾患の病態を改善することが可能である。
また、本発明のアミノ酸混合物を含有する炎症性疾患用栄養組成物は、既存の医薬等と比較のような副作用もなく、安全性が極めて高い。本発明の炎症性疾患用栄養組成物は、ヒトの必須アミノ酸で構成されるアミノ酸組成物またはそれにアルギニンを加えたアミノ酸組成物を有効成分とするため、患者の体タンパク質を維持することができ、栄養状態を改善することもできる。
以下、実施例及び試験例により、本発明をさらに、詳しく説明する。実施例及び試験例において、単に「%」と記載したものは「重量%」を示すものとする。
(実施例1〜4)
下記表1〜4に示す組成を有する栄養組成物を調製した。
表1に示す組成物は、アミノ酸として、全アミノ酸混合物を、20重量%(フリーのアミノ酸として)含有する組成物(Total AA20重量%:栄養組成物A)と、アミノ酸として、必須アミノ酸のみの混合物を、15重量%(フリーのアミノ酸として)含有する組成物(EAA15重量%:栄養組成物B)であり、栄養組成物Aを「比較例1」とし、栄養組成物Bを「実施例1」とする。
表2に示す組成物は、前記全アミノ酸混合物を、20重量%(フリーのアミノ酸として)含有する組成物(Total AA20重量%:栄養組成物A)と、アミノ酸として、必須アミノ酸のみの混合物を、20重量%(フリーのアミノ酸として)含有する組成物(EAA20重量%:栄養組成物C)である。栄養組成物Cを「実施例2」とする。
表3に示す組成物は、前記全アミノ酸混合物を、20重量%(フリーのアミノ酸として)含有する組成物(Total AA20重量%:栄養組成物A)と、アミノ酸として、必須アミノ酸とアルギニンを合計で15重量%(フリーのアミノ酸として)含有する組成物(EAA+Arg15重量%:栄養組成物D)である。栄養組成物Dを「実施例3」とする。
表4に示す組成物は、表3に示す上記栄養組成物Dと、それと同じアミノ酸組成物を含む栄養組成物に、フラクトオリゴ糖(FOS)を添加し、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンCをその他の組成物よりも高配合とした組成物(EAA+Arg15重量%(フリーのアミノ酸として)+FOS+ビタミンC、D、E;栄養組成物E)である。栄養組成物Eを「実施例4」とする。
表1〜表3の各表において、栄養組成物Aと栄養組成物B、栄養組成物Aと栄養組成物C、栄養組成物Aと栄養組成物Dは、それぞれアミノ酸組成が異なるのみで、それ以外の成分(油脂、糖質、ミネラル、ビタミン、添加物)の種類及びそれらの含有量は基本的に同じであるが、アミノ酸の増量分は糖質であるデキストリンの配合量を減量することにより調整した。また、表4において、栄養組成物Dと栄養組成物Eのアミノ酸はほぼ同じであるが、栄養組成物Eは、糖質として、フラクトオリゴ糖(FOS)が配合され、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンCが栄養組成物Dよりも高値で配合された組成物であり、増量分はデキストリン配合量の減量により調整した。
なお、各表において、「Total AA」は、必須アミノ酸と非必須アミノ酸を含む全アミノ酸を示し、「EAA」は、必須アミノ酸を示す。また、各表において、「%」は、「重量%」を示すものとする。
各栄養組成物におけるアミノ酸組成物は、文献(Bovine Whey Proein (Heine WE, Klein PD, Reeds PJ. et al.(1991) The importance of alpha-lactalbumin in infant nutrition. J.Nutr.より引用)121(3):277-83.Review.より引用))に記載のアミノ酸組成に基づいて、乳ホエイの必須アミノ酸のみ(または、それにアルギニンを加えたもの)の組成比を求め、それに基づいて、市販のアミノ酸原料(協和発酵株式会社製)を混合し、調製したものである。
このようにして得たアミノ酸組成物と、表1〜4に示すアミノ酸組成物以外の各原料を用い、通常の栄養組成物(粉末)の調製方法により、各栄養組成物を得た。
Figure 2012201625
Figure 2012201625
Figure 2012201625
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(試験例1)
本試験例において用いるラットは、炎症性腸疾患モデルラットを、Morris G.P. et al: Gastroenterology, Vol.96,P795 (1989)に記載の方法に準じて作成した。
同文献に記載の方法とは、ラットまたはマウスにトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)をエタノールと共に注腸することにより、クローン病類似の肉芽腫形成を誘発させる方法である。その手法は、麻酔下にて、50%エタノールにTNBSを溶解させた溶液を肛門から約4cmの結腸内に投与するのが一般的である。
TNBSによる大腸炎症状は、投与4日後にピークを示し、血清中の抗TNBS抗体の上昇と共に、腸管内の潰瘍、陰窩の短縮及び粘膜固有層の肥厚、周囲組織への癒着を伴う持続的炎症が観察され、組織学的にも単核球の著明な浸潤と共に肉芽腫の形成が認められるクローン病類似の慢性大腸炎と考えられている。
本試験例においては、このモデルの改変モデルとして、TNBSを大腸ではなく、クローン病の炎症好発部位である小腸(回腸)に投与し(Ohta N, Tsujikawa T, Nakamura,T et al. (2003) J Gastroenterol. 38(2):127-33., Tsujikawa T, Ohta N, Nakamura T, et al. (1999) J Gastroenterol Hepatol. 14(12):1166-72.)、癒着、拡張、潰瘍、腸管壁厚など肉眼スコアによる評価を行った。
試験の手順は下記の通りとした。
(馴化)
Wistar系雄性ラット(体重200g程度)を7日間馴化させ、その間、AIN−93G食を与えた。
(TNBS感作)
馴化後、ラットにTNBS感作を行った。すなわち、ラットに、6mg/0.15ml/ラット(4%TNBS生理食塩水中)を0.15ml投与し、TNBS感作を行った。TNBS感作は、TNBSモデルの安定化(死亡率の低下など)に有効であると報告されている(Ishida T, Azuma T et al. (2010) Inflamm Bowel Dis. 16(1):87-95、森脇 和郎 等(2004)モデル動物の作製と維持 Life-science information center )。
(絶食)
TNBS投与前に、一時的に腸管内容物をなくすため、TNBS感作後4日目から2日間ラットを絶食させた。
(TNBS投与)
絶食後、ラットをペントバルビタールナトリウム(腹腔内投与、40mg/0.8ml/kg体重)にて麻酔後、開腹し、回盲弁から上流10cmの小腸部位周辺を腹腔外に引き出した。回盲弁上流10cmの部位から上流5cmの範囲に29G針つきシリンジを用いて、50%エタノール中120mg/ml TNBSを0.3ml/ラットの容量で小腸投与した。30分間静置後、腸管を腹壁内に戻し、切開した腹筋および皮膚を縫合して閉腹した。
(栄養組成物投与)
得られた試験例1のTNBS改変モデルラットを1群10匹とし、比較例1及び実施例1〜4で得られた各栄養組成物A〜Eを15g/日の用量で経口投与した。
なお、各アミノ酸組成物のラットへの投与は、TNBS小腸投与前7日から投与前2日までと、TNBS小腸投与後1日から投与後7日までとした。
(モデルの評価)
本試験例のTNBS改変モデルラットにおいては、TNBS小腸投与後7日経過後に、解剖を行い、小腸の癒着・拡張を調べ、病変の状態(ダメージ・スコア)の肉眼によるスコアリングを実施した。
さらに、潰瘍部分の面積(長径(mm)×短径(mm))、腸管壁の厚み(mm;回盲弁から上流20cmの最大肥厚部位)及び小腸重量(g/回盲弁から上流20cm)を計測した。なお、肉眼によるスコアリングは、下記肉眼スコア(1)〜(3)に基づいて判定した。
肉眼スコア(1)は、下記に示すように、Vilasecaらの方法(Dietary fish oil reduces progression of chronic inflammatory lesions in a rat model of granulomatous colitis.Vilaseca J, Salas A, Guarner F, Rodriguez R, Martinez M, Malagelada JR.Gut. 1990 May;31(5):539-44.)を改良したスコアリング方法によって判定した。
肉眼スコア(2)は、下記に示すように、Wallace(Assessment of the role of platelet-activating factor in an animal model of inflammatory bowel disease. Wallace JL, Braquet P, Ibbotson GC, MacNaughton WK, Cirino G. J Lipid Mediat. 1989 Jan-Feb;1(1):13-23.)らの方法を改良したスコアリング方法によって判定した。
肉眼スコア(3)は、下記に示すように、Caroline(Reactivation of hapten-induced colitis and its prevention by anti-inflammatory drugs. Appleyard Caroline B, Wallace JL. Am J Physiol. 1995 Jul;269(1 Pt 1):G119-25.)らによるスコアリング方法によって判定した。
肉眼スコア(1)
癒着 0:なし
1:軽度(簡単に剥離できる)
2:重度(顕著なループまたは剥離困難)
拡張 0:なし
1:軽度
2:中程度
3:重度(狭窄を伴う)
潰瘍 0:なし
1:軽度(充血〜比較的小さく浅いもの)
2:重度(顕著な肥厚を伴い、広範囲にわたるもの)
肥厚 0:1.0mm以下
1:1.0〜2.0mm
2:2.0〜3.0mm
3:3.0mm以上
ダメージ・スコア:1匹毎に以上の判定値を合計し、10匹の平均値を求めた。
肉眼スコア(2)
スコア0:障害なし。
スコア1:充血。潰瘍なし。
スコア2:充血と大腸壁の肥厚。潰瘍なし。
スコア3:大腸壁の肥厚を伴わない潰瘍が1箇所
スコア4:2箇所以上の潰瘍または炎症。
スコア5:2箇所以上の比較的大きな潰瘍もしくは炎症。または1〜2cm程度の潰瘍もしくは炎症。
スコア6:2〜3cm程度の潰瘍または炎症。
スコア7:3〜4cm程度の潰瘍または炎症。
スコア8:4〜5cm程度の潰瘍または炎症。
スコア9:5〜6cm程度の潰瘍または炎症。
スコア10:6cm以上の潰瘍または炎症。
ダメージ・スコア:上記値の10匹の平均値を求めた。
肉眼スコア(3)
潰瘍 X:Wallaceのスコアによる数値を引用
癒着 0:癒着なし
1:軽度の癒着(癒着部位が簡単に剥がれる程度)
2:重度の癒着
糞便 0:通常便
1:下痢便(軟便、泥状便、水様便)
腸壁 Y:腸壁の厚さ(mm)
ダメージ・スコア:1匹毎に以上の判定値を合計し、10匹の平均値を求めた。
組成物A〜Eの各組成物を与えたラットのそれぞれの肉眼スコア(1)〜(3)の他、潰瘍部分の面積(mm;潰瘍長径×潰瘍短径)、腸管壁の厚み(mm;回盲弁から上流20cmの最大肥厚部位)及び病変部位を含む小腸重量(g/回盲弁から上流20cm)についても、1群10匹の平均値を求めた。結果を表5及び図1に示す。
Figure 2012201625
表5及び図1に示される結果から、アミノ酸として、全アミノ酸混合物を含有する栄養組成物Aを投与する場合(比較例1)と比較して、アミノ酸として、非必須アミノ酸を含まず、必須アミノ酸のみを含有する栄養組成物B及びCを投与する場合(実施例1〜2)では、腸管の癒着や拡張、潰瘍などの病態が大きく改善することが明らかとなった。
しかも、必須アミノ酸を20重量%(フリーのアミノ酸として)含有する実施例2の栄養組成物Cのみならず、アミノ酸の量が比較例1の組成物より少ない実施例1の栄養組成物B(15重量%(フリーのアミノ酸として))を投与した場合でも、比較例1より優れた治療効果が得られた。
また、必須アミノ酸に、アルギニンを添加した実施例3では、病態がさらに改善することが明らかとなった。実施例3では、特に潰瘍面積が非常に小さく、腸管壁の厚みや小腸重量が著しく減少しており、病態改善効果が顕著であると言える。
さらに、実施例3の栄養組成物とほぼ同じアミノ酸組成を有する組成物に、フラクトオリゴ糖を配合し、ビタミンC、D及びEを高値で配合した実施例4においては、さらに優れた結果が得られ、著しい炎症性腸疾患の病態改善効果が得られた。
以上の結果から、
1)本発明の炎症性疾患用栄養組成物は、アミノ酸として全アミノ酸組成物を用いる組成物よりも炎症性腸疾患に対する病態改善効果が優れていること、
2)必須アミノ酸にアルギニンを加えると、より優れた病態改善効果が得られること、
3)糖質としてフラクトオリゴ糖を配合し、ビタミンC、D及びEを高値で配合することにより、病態改善効果が一層優れたものとなること
が分かった。
(試験例2)
本試験例においては、一般的なマウス大腸炎(TNBS溶液を肛門から約4cmの結腸内に投与)を作製し、病変部位を含む腸管組織内の炎症性サイトカインの評価を実施した。
試験の手順は下記の通りとした。
(馴化)
SJL/J系雄性マウス(体重20g程度)を7日間馴化させ、その間、AIN−93G食を与えた。
(絶食)
TNBS投与前に、一時的に腸管内容物をなくすため、TNBS大腸投与の1日前の午後6時より1日間マウスを絶食させた。
(TNBS投与)
絶食後、マウスをイソフルラン(実験小動物用ガス麻酔システム;DSファーマバイオメディカル株式会社製)にてプレ麻酔後、腹圧を下げるため維持麻酔下で3分以上静置した。マウスの尾をもって逆さにし、50%エタノールに溶解したTNBS溶液を、4Fr栄養カテーテル(アトムメディカル株式会社製)を用いて、肛門部より4cm程度大腸管腔内に挿入し、ゆっくりと100μl注入し、そのままの状態で1分静置した。その後、TNBS漏洩を防ぐ目的で仰向けの状態で後足を上へ反らす姿勢をとり、維持麻酔の状態に戻し、5分静置した。
(栄養組成物投与)
絶食後、TNBSマウスを1群10匹とし、表1に示す栄養組成物Aと栄養組成物B及び表4に示す栄養組成物Eを経口投与した。
なお、アミノ酸組成物A、B及びEのマウスへの投与は、TNBS大腸投与前7日から投与前2日とTNBS大腸投与後1日から投与後7日までとした。
本試験例のTNBSマウスにおいては、TNBS大腸投与後4日経過後に解剖を行い、大腸を摘出し、病変部位を含む大腸組織中の炎症性サイトカインをELISA(R&Dsystems社製キット)にて解析した。
大腸組織は、TBST(Tris−Buffered Saline +1%Triton X−100+Protease inhibitor)中でホモジナイズした後、遠心操作(20,000×g、4℃、30分)により、上清をタンパク質抽出物として回収し、ELISAに供した。さらに、タンパク抽出物について、Bradford法によりタンパク質の総量を解析し、ELISAのデータをその値で除することにより、1mgタンパク質中のサイトカイン(TNF−α、インターロイキン−6及びインターロイキン−1a)の濃度で表した。TNF−αは、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−6(IL−6)と協調して働き、細胞の浸潤、接着分子の発現誘導、細胞死を誘導する炎症性サイトカインである。IL−6は、炎症の初期に産生され、細胞浸潤を惹起するケモカインの産生を誘導、接着分子の発現誘導を行なうサイトカインである。また、インターロイキン−1a(IL−1a)は、IL−6やTNF−α等の炎症性サイトカインの誘導を行ない、それ自身も好中球の誘導能を持つサイトカインである。したがって、栄養組成物を投与することによってこれらのサイトカインの量が減少すれば、炎症が抑制されていることが示される。
結果を表6に示す。
Figure 2012201625
表6に示される結果から明らかなように、アミノ酸として、全アミノ酸を含む栄養組成物A(比較例1)と比較して、非必須アミノ酸を含まず、必須アミノ酸のみからなるアミノ酸組成物を含有する組成物B(実施例1)においては、TNF−α、IL-6及びIL-1aともに量が減少した。
また、糖質として、フラクトオリゴ糖を含み、ビタミンC、D及びEを高値で含む組成物E(実施例4)においては、TNF−α、IL-6及びIL-1aの量がさらに減少した。
このことから、本発明の栄養組成物、すなわち、非必須アミノ酸を含まず、必須アミノ酸のみを含むアミノ酸組成物(組成物B及び組成物E)を投与することにより、IL−6、IL−1aの産生が抑制されることが分かる。特に、組成物Eでは、フラクトオリゴ糖を含み、ビタミンC、D及びEを高値で含むことにより、さらにこれらのサイトカインの産生が抑制されたことが分かる。
すなわち、本発明のアミノ酸組成物は、炎症性疾患の炎症抑制に有効であることが判明した。
本発明の炎症性疾患用栄養組成物は、クローン病や潰瘍性大腸炎に代表される炎症性腸疾患等の炎症性疾患の治療、予防及び寛解導入・維持に対して非常に有効である。また、患者の体タンパク質を維持することができ、栄養改善を図ることができる。また、本発明の炎症性疾患用栄養組成物は、既存薬物のような副作用の心配もなく、安価であり、医療費削減にも寄与し得る。

Claims (21)

  1. ヒトの必須アミノ酸で構成され、アルギニン以外のヒトの非必須アミノ酸を含まないことを特徴とするアミノ酸組成物を含有する炎症性疾患用栄養組成物。
  2. ヒトの必須アミノ酸が、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、システイン及びチロシンからなることを特徴とする請求項1に記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  3. アミノ酸組成物が、当該アミノ酸組成物中、ヒスチジンを0.8〜24.4重量%(フリーのアミノ酸として:以下同じ)、イソロイシンを1.9〜50.4重量%、ロイシンを3.6〜75.2重量%、リジンを1.7〜68.8重量%、メチオニンを0.6〜38.0重量%、システインを0.1〜42.0重量%、フェニルアラニンを0.1〜55.6重量%、チロシンを0.1〜43.6重量%、スレオニンを1.5〜54.4重量%、トリプトファンを0.4〜16.4重量%及びバリンを2.3〜53.6重量%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  4. アミノ酸組成物が、当該アミノ酸組成物中、ヒスチジンを3.5〜6.1重量%(フリーのアミノ酸として:以下同じ)、イソロイシンを7.7〜12.6重量%、ロイシンを14.7〜18.8重量%、リジンを6.9〜17.2重量%、メチオニンを2.4〜9.5重量%、システインを0.6〜10.5重量%、フェニルアラニンを6.1〜13.9重量%、チロシンを5.6〜10.9重量%、スレオニンを6.1〜13.6重量%、トリプトファンを1.9〜4.1重量%及びバリンを9.3〜13.4重量%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  5. アミノ酸組成物が、さらに、アルギニンを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  6. アミノ酸組成物が、当該アミノ酸組成物中、ヒスチジンを0.8〜24.4重量%(フリーのアミノ酸として:以下同じ)、イソロイシンを1.9〜50.4重量%、ロイシンを3.6〜75.2重量%、リジン1.7〜68.8重量%、メチオニン0.6〜38.0重量%、システインを0.1〜42.0重量%、フェニルアラニンを0.1〜55.6重量%、チロシンを0.1〜43.6重量%、スレオニンを1.5〜54.4重量%、トリプトファンを0.4〜16.4重量%、バリンを2.3〜53.6重量%及びアルギニンを1.1〜63.6重量%を含むことを特徴とする請求項1、2または5のいずれかに記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  7. アミノ酸組成物が、当該アミノ酸組成物中、ヒスチジンを3.5〜6.1重量%(フリーのアミノ酸として:以下同じ)、イソロイシンを7.7〜12.6重量%、ロイシンを14.7〜18.8重量%、リジンを6.9〜17.2重量%、メチオニンを2.4〜9.5重量%、システインを0.6〜10.5重量%、フェニルアラニンを6.1〜13.9重量%、チロシンを5.6〜10.9重量%、スレオニンを6.1〜13.6重量%、トリプトファンを1.9〜4.1重量%、バリンを9.3〜13.4重量%及びアルギニンを4.7〜15.9重量%を含むことを特徴とする請求項1、2、5または6に記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  8. アミノ酸組成物以外に、油脂、糖質、ビタミン及びミネラルを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の症性疾患用栄養組成物。
  9. 油脂が、天然油脂または合成油脂であることを特徴とする請求項8記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  10. 天然油脂が、大豆油、コーン油、パーム油、エゴマ油、キャノーラ油、サフラワー油、ひまわり油、ごま油、米油、オリーブ油、ぶどう種子油及び魚油からなる群から選ばれる1または2以上であることを特徴とする請求項9記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  11. 合成油脂が、中鎖脂肪酸トリグリセリドであることを特徴とする請求項9記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  12. 糖質が、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクツロース及びイヌリンからなる群から選ばれる1または2以上を含むことを特徴とする請求項8記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  13. ミネラルが、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リン、塩素、鉄、マンガン、銅、ヨウ素、亜鉛、セレン、クロム及びモリブデンからなる群から選ばれる1または2以上であることを特徴とする請求項8記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  14. ビタミンが、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB及びビタミンCからなる群から選ばれる1または2以上であることを特徴とする請求項8記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  15. アミノ酸組成物を、栄養組成物全体のエネルギーあたり、1.25〜12.5g/100kcal栄養組成物含有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  16. 栄養組成物全体のエネルギーあたり、アミノ酸組成物を1.25〜12.5g/100kcal栄養組成物、油脂を0.1〜3.6g/100kcal栄養組成物及び糖質を4.4〜23.5g/100kcal栄養組成物含有することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  17. フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクツロース及びイヌリンから選ばれる1または2以上を、栄養組成物全体のエネルギーあたり、0.1〜5.0g/100kcal栄養組成物含有することを特徴とする請求項12に記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  18. 栄養組成物全体のエネルギーあたり、ビタミンC(アスコルビン酸)を1.10〜110mg/100kcal栄養組成物、ビタミンDを0.10〜5.6 μg/100kcal栄養組成物、ビタミンE(α-トコフェロールとして)を0.10〜100 mg/100kcal栄養組成物含有することを特徴とする請求項14に記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  19. 炎症性疾患が、炎症性腸疾患であることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  20. 炎症性腸疾患が、クローン病または潰瘍性大腸炎であることを特徴とする請求項19に記載の炎症性疾患用栄養組成物。
  21. 炎症性疾患の治療、予防、寛解の導入または維持のために使用できることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の炎症性疾患用栄養組成物。
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