JP2012188311A - 多孔質炭素 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メソ孔とこのメソ孔の外郭を構成する炭素質壁とを備えた多孔質炭素であって、比抵抗が1.0×102Ω・cm以下であることを特徴とする。また、上記炭素質壁は3次元網目構造を成すことが望ましく、比表面積は200m2/g以上1500m2/g以下であることが望ましく、上記メソ孔は開気孔であって、気孔部分が連続するような構成となっていることが望ましい。
【選択図】図1
Description
上記構成であれば、メソ孔が存在しているので、比表面積が小さくなるのを抑制でき、しかも、比抵抗が1.0×102Ω・cm以下と小さい。このように、比表面積がある程度大きな状態で比抵抗を低減することができれば、本発明の多孔質炭素を多様な分野で用いることができる。
ここで、本明細書においては、細孔径が2nm未満のものをミクロ孔、細孔径が2〜50nmのものをメソ孔と称することとする。
炭素質壁が3次元網目構造を成していれば、多孔質炭素の用途が弾力性を必要とする場合にも、本発明の多孔質炭素を適応することができる。また、本発明の多孔質炭素をガス吸着剤として用いる場合には、ガスの流れを阻害しないので、ガス吸着脳が向上し、更に、本発明の多孔質炭素を非水電解質電池の負極材料、キャパシタの電極材料として用いる場合には、リチウムイオン等の移動が円滑化する。
比表面積が200m2/g未満であると、気孔の形成量が不十分で、ガス吸着能が低下したり、三次元網目構造を形成し難いという問題がある。一方、比表面積は1500m2/g以下であることが望ましい。比表面積が1500m2/gを超えると、炭素質壁の形状が保てなくなることがある。
上記構成であれば、本発明の多孔質炭素をガス吸着剤として用いた場合に、ガスの流れが円滑になるので、よりガスを補足し易くなる。また、非水電解質電池の負極材料や、キャパシタの電極材料として用いる場合には、リチウムイオン等が円滑に移動する。
メソ孔の容量が0.2ml未満であると、相対圧力が高い場合のガス吸着能が低下するからである。
嵩密度が0.1g/cc未満であると、炭素壁の形状が保てなくなりことがある一方、嵩密度が1.0g/cc以下を超えると、メソ孔の形成が不十分で、ガス吸着能が低下したり、三次元網目構造を形成し難いという問題がある。
上記炭素質壁には層状構造を成す部分が存在することが望ましい。
本発明の多孔質炭素は、有機質樹脂を、酸化物(鋳型粒子)と溶液または粉末状態において湿式もしくは乾式混合し、混合物を非酸化雰囲気或いは減圧雰囲気で、たとえば500℃以上の温度で炭化した後、洗浄処理することで酸化物を取り除いて非晶質の多孔質炭素(炭素質焼成体)を作製し、しかる後、この非晶質の多孔質炭素を、非酸化雰囲気或いは減圧雰囲気で、非晶質の多孔質炭素が結晶化する温度以上(例えば、2000℃)で熱処理することにより得られる。
前記非晶質多孔質炭素は、大きさが略同等である多数のメソ孔を有しており、このメソ孔間に形成された炭素質壁におけるメソ孔に臨む位置には、ミクロ孔が形成されるような構造となっていることが好ましい。この非晶質の多孔質炭素の熱処理においては、多数のメソ孔が存在した状態は維持されており、しかも、炭素部分(炭素質壁)の少なくとも一部は層状構造を形成する。したがって、この熱処理により、結晶性の発達した多孔質炭素が得られることになる。
ここで、上記単位構造中に少なくとも一つ以上の窒素もしくはフッ素原子を含むポリイミドは、酸成分とジアミン成分との重縮合により得ることができる。但し、この場合、酸成分及びジアミン成分のいずれか一方又は両方に、一つ以上の窒素原子もしくはフッ素原子を含む必要がある。
具体的には、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を成膜し、溶媒を加熱除去することによりポリアミド酸膜を得る。次に、得られたポリアミド酸膜を200℃以上で熱イミド化することによりポリイミドを製造することができる。
また、ポリイミド前駆体の溶媒として用いる有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
更に、ポリイミド以外の樹脂としては、石油系タールピッチ、アクリル樹脂等40%以上の炭素収率を持つものが使用できる。
また、酸化物を取り除く洗浄液としては、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、酢酸、ギ酸など一般的な無機酸を使用し、2mol/l以下の希酸として用いるのが好ましい。また、80℃以上の熱水を使用することも可能である。
先ず、図1(a)に示すように、炭素前駆体としてのポリアミック酸樹脂(イミド系樹脂)1と、鋳型粒子としての酸化マグネシウム(MgO、平均結晶子径は100nm)2とを、90:10の重量比で混合した。次に、図1(b)に示すように、この混合物を窒素雰囲気中1000℃で1時間熱処理して、ポリアミック酸樹脂を熱分解させることにより炭素質壁3を備えた焼成物を得た。次いで、図1(c)に示すように、得られた焼成物を1mol/lの割合で添加された硫酸溶液で洗浄して、MgOを完全に溶出させることにより多数のメソ孔4を有する非晶質の多孔質炭素5を得た。最後に、この非晶質の多孔質炭素を、窒素雰囲気中2500℃で1時間熱処理して、多孔質炭素を得た。
このようにして作製した多孔質炭素を、以下、本発明炭素A1と称する。
非晶質の多孔質炭素を熱処理する際の温度を2000℃とした他は、上記実施例1と同様にして多孔質炭素を作製した。
このようにして作製した多孔質炭素を、以下、本発明炭素A2と称する。
本発明炭素A2のSTEM写真を図3に示す。図3から明らかなように、本発明炭素A2の炭素部分の少なくとも一部は層状を成しており、これによって、炭素部分の少なくとも一部の結晶性が発達していることがわかる。また、本発明炭素A2は3次元網目構造(スポンジ状のカーボン形状)を成し、更に、上記メソ孔は開気孔であって、気孔部分が連続するような構成となっていることが認められた。
非晶質の多孔質炭素を熱処理する際の温度を1400℃とした他は、上記実施例1と同様にして多孔質炭素を作製した。
このようにして作製した多孔質炭素を、以下、比較炭素Z1と称する。
非晶質の多孔質炭素を熱処理する際の温度を900℃とした他は、上記実施例1と同様にして多孔質炭素を作製した。
このようにして作製した多孔質炭素を、以下、比較炭素Z2と称する。
比較炭素Z2のSTEM(走査透過電子顕微鏡)写真を図4に示す。図4から明らかなように、比較炭素Z2の炭素部分の少なくとも一部は層状を成しており、これによって、炭素部分の少なくとも一部の結晶性が発達していることがわかる。また、比較炭素Z2は3次元網目構造(スポンジ状のカーボン形状)を成し、更に、上記メソ孔は開気孔であって、気孔部分が連続するような構成となっていることが認められた。
熱処理前の炭素材料として、非晶質の多孔質炭素に代えて活性炭(和光純薬工業株式会社製試薬)を用い、且つ、その活性炭を2000℃で熱処理した他は、上記実施例1と同様にして多孔質炭素を作製した。
このようにして作製した多孔質炭素を、以下、比較炭素Z3と称する。
熱処理前の炭素材料として、非晶質の多孔質炭素に代えて活性炭(和光純薬工業株式会社製試薬)を用い、且つ、その活性炭を1400℃で熱処理した他は、上記実施例1と同様にして多孔質炭素を作製した。
このようにして作製した多孔質炭素を、以下、比較炭素Z4と称する。
熱処理前の炭素材料として、非晶質の多孔質炭素に代えて活性炭(和光純薬工業株式会社製試薬)を用い、且つ、その活性炭を熱処理しなかった他は、上記実施例1と同様にして多孔質炭素を作製した。
このようにして作製した多孔質炭素を、以下、比較炭素Z5と称する。
上記本発明炭素A1、A2及び比較炭素Z1〜Z5における比抵抗を調べたので、その結果を表1に示す。実験は、各炭素とバインダーとしてのポリテトラフルオロエチレン
(デュポン社製テフロン(登録商標)6J)とを重量比で80:20の割合で物理的に混合したものに、溶剤としてのアセトンを添加し、シート状へと加工した。溶媒を乾燥させるため120℃で5時間乾燥させることにより 、100mm×100mm×1mmのシートを作製した。そして、このシートの比抵抗を、四端子法を用いて測定した。
尚、比抵抗は小さいほど好ましいが、3.1×101Ω・cm以下となっている必要はなく、1.0×102Ω・cm以下であれば多様な分野で使用することができる。
上記本発明炭素A1、A2及び比較炭素Z1、Z2における圧力とN2吸着量との関係を調べたので、その結果を図5に示す。尚、実験方法は、比表面積測定装置(Bellsorp 18、(株)日本ベル)を用い窒素吸着法により測定した。試料は、約0.1gをセルに採取して装置の試料前処理部で、300℃で約5時間脱ガス処理をした後に測定した
上記本発明炭素A1、A2及び比較炭素Z1、Z2におけるBET比表面積と、メソ孔容量と、ミクロ孔容量とについて調べたので、その結果を表2に示す。尚、BET比表面積は、吸着等温線の結果からBET法を用いて算出した。また、メソ孔容量はBJH(Berret−Joyner−Halenda)法で調べた。更に、ミクロ孔容量はHK(Horbath-Kawazoe)法で調べた。
さらに、比較炭素Z3、Z4と、比較炭素Z5を比べてみると、熱処理により、ミクロ孔が著しく減少していることがわかる。これに対して、本発明炭素A2、比較炭素Z1、Z2を比べてみれば、メソ孔を有していることにより、熱処理温度が上昇しても、ミクロ孔の減少が抑制されていることがわかる。ただし、熱処理温度を2500℃まで上げた本発明炭素A1ではミクロ孔の減少が認められる。
以上の理由により、実験2のような結果となったものと考えられる。
以上のことから、本発明炭素A1、A2では、少なくとも一部の炭素を結晶化したにも関わらず、メソ孔を有していることにより多孔質状態が維持されるので、ガス吸着能等の炭素が有する利点をより十分に発揮することができると考えられる。
本発明炭素A1、A2、比較炭素Z2の嵩密度について調べたので、その結果を表3に示す。
本発明炭素A1、A2及び比較炭素Z2の気孔サイズ分布(メソ孔のサイズ分布)をBJH法で調べたので、その結果を図6〜図8(図6は本発明炭素A1、図7は本発明炭素A2、図8は比較炭素Z2)に示す。
図6〜図8から明らかなように、本発明炭素A1、A2及び比較炭素Z2におけるメソ孔のサイズのピークは3〜5nmであることから、熱処理温度の違いによって、メソ孔のサイズのピークは変化しないことがわかる。
本発明炭素A1と比較炭素Z2とのX線回折(線源はCuKα)を行ったので、その結果を図9に示す。
図9から明らかなように、本発明炭素A1では、ブラッグ角度(2θ±0.2°)=26.45°において、黒鉛のピーク(002面)が顕著にみられるのに対して、比較炭素Z2では、ブラッグ角度=26.45°において、黒鉛のピーク(002面)がみられないことが認められる。したがって、本発明炭素A1では炭素が黒鉛化しているが、比較炭素Z2では炭素が黒鉛化していないことがわかる。
尚、X線回折結果のピークの半値幅からシェラーの式を用いて微結晶サイズを求めたところ、微結晶径は約30nmであった。
2:酸化マグネシウム
3:炭素質壁
4:メソ孔
5:多孔質炭素
Claims (7)
- メソ孔とこのメソ孔の外郭を構成する炭素質壁とを備えた多孔質炭素であって、
比抵抗が1.0×102Ω・cm以下であることを特徴とする多孔質炭素。 - 上記炭素質壁は3次元網目構造を成す、請求項1に記載の多孔質炭素。
- 比表面積は200m2/g以上である、請求項1又は2に記載の多孔質炭素。
- 上記メソ孔は開気孔であって、気孔部分が連続するような構成となっている、請求項1〜3の何れか1項に記載の多孔質炭素。
- 上記メソ孔の容量は0.2ml/g以上である、請求項1〜4の何れか1項に記載の多孔質炭素。
- 嵩密度は0.1g/cc以上1.0g/cc以下である、請求項1〜5の何れか1項に記載の多孔質炭素。
- 上記炭素質壁には層状構造を成す部分が存在する、請求項1〜6の何れか1項に記載の多孔質炭素。
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