JP2012185045A - 基材表面性状の検知方法及び基材表面性状の検知装置 - Google Patents

基材表面性状の検知方法及び基材表面性状の検知装置 Download PDF

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淳 谷口
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Abstract

【課題】基材上に設けられたシラノール基を有する化合物の結合状態を、非破壊かつ非接触にて簡易に検知する基材表面性状の検知方法及び検知装置を提供する。
【解決手段】シラノール基を有する化合物が付与された基材の化合物付与面に平行偏光又は垂直偏光のいずれかを選択して光を入射し、前記基材から出射した光より平行偏光と垂直偏光とを検出し、検出された各偏光を100cm−1〜1800cm−1の範囲で分光分析して得られる振動スペクトルから、基材上に付与された前記化合物中の構造部分のピークを分離することにより、前記基材上に存在する前記化合物の結合状態を検知する。
【選択図】なし

Description

本発明は、基材表面性状の検知方法及び基材表面性状の検知装置に関する。
従来から、基板に吸着等して付着する化合物の結合状態を評価する手法として、例えば、ラマン散乱分光法や、赤外吸収分光法、和周波発生法、電子エネルギー損失分光法等の各種分光法が知られており、種々の分野で広く利用されている。
その一例として、電子ビームの照射によって作製されたモールドを用いるナノインプリントリソグラフィーが知られている(例えば、特許文献1参照)。これは、ナノオーダーのデザインルールが作製可能な技術であり(例えば、非特許文献1参照)、モールドのパターン面には、一般に離型剤が付与されている。このナノインプリントリソグラフィーは、ナノメートルサイズのパターンが描かれているモールド(型)を、基体上に配されたレジストに押し付けてその型を転写し、微細パターンを形成するものである。また、レジスト材料として、熱可塑性樹脂が広く用いられている。
具体的には、モールド押付による微細パターンの転写は、まず、ガラス転移温度以上の温度にレジストを昇温してから、モールドをレジストに押し付け、そのままの状態でレジストを降温して固める。次いで、レジストからモールドを剥離する。このようにして、基体上にパターンが形成される。離型剤は、モールドのパターン面に存在してレジストとの剥離を助けている。
ナノインプリントリソグラフィーにおいては、製品の精度が製造に用いられるモールド自体の精度で決まるため、モールド(型)は最も重要なものの1つと位置づけられている。そのため、モールドには、それ自体の精度が求められるほか、製品の量産に耐えるような耐熱性、耐久性なども要求される。
一般に、モールドのパターンが描かれた転写面には、転写後の剥離が容易に行なえるように離型剤が付与されているが、金属やガラスなどの無機材料を用いた基材表面との結合性、レジストの剥離性、耐水性などの観点から、離型剤にはいわゆるシランカップリング剤と称される化合物が広く用いられている。ところが、離型剤は、転写を繰り返すうちに剥がれ易くなり、その程度がある閾値を超えると剥離性が悪くなり、製品の精度に支障を来たすおそれがある。そのため、モールド自体の耐久性を長期に亘り維持できることが求められるが、その耐久性を実際の離型剤の分子構造に基づいて簡易に評価できる手法が提案されていないのが実情である。
従来から、シランカップリング剤など、基板に吸着等して付着する化合物の結合状態を評価する手法として、上記のように例えばラマン散乱分光法や赤外吸収分光法等の各種分光法が知られている。ところが、これまで行なわれてきた評価の例は、いずれも極単純なモデル分子を対象としたものしかなく、工業分野で実際に使用されている化合物を想定した評価は行なわれていない。すなわち、工業分野で使用される例えば下記式(1)で表されるシランカップリング剤では、
(CH−Si(Y)−(R)3−n (n=0〜3) ・・・(1)
Y:反応性官能基
R:加水分解性基
例えば剥離性を有する官能基が−(CFCFで表されるパーフルオロカーボンや−(CFCFO)−で表されるパーフルオロポリエーテルである等、上記モデル分子に比べはるかに長鎖でかつ複雑なものが殆どであり、このような化合物に対しての評価までは実現できていない。
特開2002−192500号公報
S. Y. Chou, P. R. Krauss, and P. J. Renstrom: "Imprint of sub-25 nm vias and trenches in polymers", Appl. Phys. Lett. 67 pp. 3114- 3116 (1995) 3114
しかしながら、例えばナノインプリントリソグラフィーを代表例にとれば、例えばモールドに付された離型剤の、基材−カップリング剤間の結合状態、カップリング剤間の結合状態などが定量的に評価できれば、耐久性を予測できるほか、所期の精度が保持された製品の量産が安定的に行なえることが期待される。また、これら結合状態を例えばリアルタイムに把握することで、生産性の向上、製品性能の向上が図られる。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、基材上に設けられたシラノール基を有する化合物の結合状態を、非破壊かつ非接触にて簡易に検知する基材表面性状の検知方法及び基材表面性状の検知装置を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は、以下の通りである。即ち、第1の発明は、
<1> シラノール基を有する化合物が付与された基材の化合物付与面に平行偏光又は垂直偏光のいずれかを選択して光を入射し、前記基材から出射した光より平行偏光と垂直偏光とを検出し、検出された各偏光を100cm−1〜1800cm−1の範囲で分光分析して得られる振動スペクトルから、基材上に付与された前記化合物中の構造部分のピークを分離することにより、前記基材上に存在する前記化合物の結合状態を検知する、基材表面性状の検知方法である。
<2> 前記基材の前記化合物付与面に、平行偏光と垂直偏光とを交互に切り換えて入射する前記<1>に記載の基材表面性状の検知方法である。
<3> 前記分光分析は、赤外反射吸収分光法(IRRAS)、多重全反射赤外吸収法(ATR−IR)、又はラマン散乱分光法により行なう前記<1>又は前記<2>に記載の基材表面性状の検知方法である。
<4> 前記分光分析は、100cm−1〜600cm−1の範囲で行なう前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の基材表面性状の検知方法である。
<5> 前記シラノール基を有する化合物は、シラノール基とフルオロアルキル基又はフルオロエーテル基(好ましくは、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基)とを有する化合物である前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の基材表面性状の検知方法である。
次に、第2の発明は、
<6> シラノール基を有する化合物が付与された基材の化合物付与面に平行偏光又は垂直偏光のいずれかを選択して光照射する照射手段と、前記照射手段により光が入射された前記基材から出射した光より平行偏光と垂直偏光とを検出する検出手段と、検出された各偏光を100cm−1〜1800cm−1の範囲で分光分析して得られる振動スペクトルから、基材上に付与された前記化合物中の構造部分のピークを分離するピーク分離手段と、を備え、前記基材上に存在する前記化合物の結合状態を検知する、基材表面性状の検知装置である。
<7> 前記照射手段は、基材の前記化合物付与面に、平行偏光と垂直偏光とを交互に切り換えて入射する前記<6>に記載の基材表面性状の検知装置である。
<8> 前記ピーク分離手段は、赤外反射吸収分光法(IRRAS)、多重全反射赤外吸収法(ATR−IR)、又はラマン散乱分光法により分光分析を行なう前記<6>又は前記<7>に記載の基材表面性状の検知装置である。
<9> 前記ピーク分離手段は、100cm−1〜600cm−1の範囲で分光分析を行なう前記<6>〜前記<8>のいずれか1つに記載の基材表面性状の検知装置である。
<10> 前記シラノール基を有する化合物は、シラノール基とフルオロアルキル基又はフルオロエーテル基(好ましくは、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロポリエーテル基)とを有する化合物である前記<6>〜前記<9>のいずれか1つに記載の基材表面性状の検知装置である。
本発明によれば、基材上に設けられたシラノール基を有する化合物の結合状態を、非破壊かつ非接触にて簡易に検知する基材表面性状の検知方法及び基材表面性状の検知装置を提供することができる。
シランカップリング剤中におけるフルオロアルキル基のC−F結合、シラノール基のSi−O結合の基材に対する伸縮振動の向きを説明するための図である。 ATR−IRの原理を説明するための概念図である。 ATR−IRを利用した本実施形態の検知装置の構成例を示す概略断面図である。 データ解析ソフトウエアでの処理によりスペクトルを得る流れ図である。 IRRASを利用した本実施形態の検知装置の構成例を示す概略断面図である。 IRRASの原理を説明するための概念図である。 PM−IRRASを利用した本実施形態の検知装置の構成例を示す概略構成図である。 ATR−IRによる計測(800〜1800cm−1)で得られたスペクトルとそれに対応する置換基を示す図である。 ATR−IRによる計測を低波数領域(100〜600cm−1)で計測して得られたスペクトルとそれに対応する置換基を示す図である。 PM−IRRASによる計測で得られたスペクトルとそれに対応する置換基を示す図である。
以下、本発明の基材表面性状の検知方法について詳細に説明し、該説明を通じて、本発明の基材表面性状の検知装置についてもその詳細を述べることとする。
本発明の基材表面性状の検知方法は、シラノール基を有する化合物が付与された基材の化合物付与面に平行偏光又は垂直偏光のいずれかを選択して光を入射し(以下、これを「照射工程」ともいう。)、光が入射された前記基材から出射した光より平行偏光と垂直偏光とを検出し(以下、これを「検出工程」ともいう。)、検出された各偏光を100cm−1〜1800cm−1の範囲で分光分析して得られる振動スペクトルから、基材上に付与された前記化合物中の構造部分のピークを分離する(以下、これを「分離工程」ともいう。)ことにより、基材上に存在するシラノール基を有する化合物の結合状態を検知する構成としたものである。
本発明は、シラノール基を有する化合物が付与された基材を被検体として、基材表面におけるその化合物の結合状態を検知するものである。本発明における「基材表面」とは、いわゆる基材面のみをさすのではなく、基材面に存在するシラノール基を有する化合物を含む厚みを有する部分の全体をさす。
本発明においては、入射光に偏光を用いると共に、平行偏光又は垂直偏光を入射して出てきた光より検出された平行偏光と垂直偏光とから、100cm−1〜1800cm−1の範囲で分光分析を行なうことで、化合物中の置換基の伸縮振動や変角振動(例えばC-Fの変角振動:200cm-1)に伴なう双極子モーメントの変化の向き、すなわちシラノール基を有する化合物が付された基材に対して垂直方向又は平行方向の振動モードを示す振動スペクトルを得る。得られた振動スペクトルを、既知の置換基毎のスペクトルに照らし、振動スペクトル中に現れた強度ピークを、基材上に付与された化合物中の構造部分(置換基)に対応させて分離する。これにより、基材上に存在している「シラノール基を有する化合物」の結合状態が検知されることになる。
−照射工程−
本発明における照射工程では、シラノール基を有する化合物が付与された基材の化合物付与面に平行偏光又は垂直偏光のいずれかを選択して光を入射する。
本発明では、光の入射に偏光を用い、化合物の構造部分(置換基の種類等)に応じて平行偏光又は垂直偏光を選択する。偏光を用いて化合物の構造部分ごとの伸縮振動や変角振動に伴なう双極子モーメントの変化の向きを捉えることができる。
シラノール基を有する化合物は、分子中に少なくともシラノール基を有する化合物であれば特に制限されるものではなく、例えば、
(CH−Si(Y)−(R)3−n ・・・(1)
で表される化合物が知られている。前記一般式(1)において、Yはフルオロアルキル基、フルオロエーテル基等、又はこれらを含む基などの反応性官能基を表し、Rはアルコキシ基、アルコキシカルボニル基などの加水分解性基を表す。また、nは0〜3の整数を表す。
本発明においては、Yは、離型作用の付与に適する基が好適であり、パーフルオロアルキル基やパーフルオロポリエーテル基が好ましい。
計測に用いる光の波長のスケールに対して充分平坦な基材面に対し、シラノール基を有する化合物が(例えば離形剤として)凹凸や欠陥なく密に結合された場合、基材面に対して平行な伸縮振動を持つC−F結合を有するフルオロアルキル基やフルオロエーテル基は、本発明における計測上、基材面に対して垂直な伸縮振動を持つシラノール基と基材との結合との選択性を発揮する上で好適な基である。
上述のように理想的に離型剤が基材に対して結合している場合は、フルオロアルキル基やフルオロエーテル基の分離が期待される。逆に、基材が、用いる光の波長(数ミクロン)に対して無視できない凹凸がある場合(一般に波長の1/10程度以上)や、離型剤が斜めに結合して、フルオロアルキル基の伸縮振動が基材に対して垂直方向にも振動の成分を持つときは、離型剤の結合状態の基材に対する角度分布の情報が得られる。
Yがフルオロアルキル基を表す場合、アルキルの炭素数は、特に制限されるものではなく、1〜40が適当な範囲である。中でも、Yは、後述のように、フルオロアルキル部位とSi原子との間にビフェニレン基などの2価の芳香族基を含む場合、比較的耐熱性が高い点から、アルキルの炭素数は1〜15が好ましい範囲である。また、Yがフルオロエーテル基を表す場合、炭素数は、特に制限されるものではなく、5〜30の範囲が適当な範囲である。
Rで表されるアルコキシ基、アルコキシカルボニル基のアルキル部位は、加水分解のしやすさの点から、炭素数は1〜3程度が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などであってもよい。
前記シラノール基を有する化合物の例としては、基材上に付与されたときに化合物同士が結合して密な構造をとり機械的強度が高められる点で、トリアルコキシシランが好ましく、さらに離型作用を付与する観点からは、パーフルオロアルキル基やパーフルオロポリエーテル基を含むパーフルオロアルキルトリアルコキシシラン(例:パーフルオロアルキルトリメトキシシラン、パーフルオロアルキルトリエトキシシラン等)やパーフルオロポリエーテルトリアルコキシシランが好ましい。
前記パーフルオロアルキルトリアルコキシシランは、アルコキシ部位がメトキシ又はエトキシであってもよく、パーフルオロアルキル部位とSi原子との間に、2価の芳香族基(例:フェニレン、ビフェニレンなど)や、炭素数が2〜10のアルキレン基(例:エチレン、プロピレンなど)等、又はこれら2つ以上が結合した基が含まれてもよい。
これらの中でも、特に離型作用の付与に適する点で、パーフルオロアルキルトリアルコキシシランやパーフルオロポリエーテルアルコキシシランが好ましく、例えば、パーフルオロブチルトリメトキシシラン、パーフルオロヘキシルトリエトキシシラン、パーフルオロポリエーテルトリメトキシシラン、パーフルオロポリエーテルトリエトキシシラン、下記の化合物a〜bなどであってもよい。

前記基材としては、特に制限されるものではなく、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)等の金属材料、石英、ガラス、半導体などから場合に応じて選択すればよい。
光を入射する際には偏光を用いるが、ここで用いる偏光には平行偏光と垂直偏光があり、平行偏光又は垂直偏光は、シラノール基を有する化合物中の目的とする置換基の伸縮振動の方向(基材に対して垂直方向か平行方向か)に対応して選択される。
偏光の入射に用いる光源には、赤外光などが好適である。
また、平行偏光及び垂直偏光は、赤外光などを偏光子を通過させることにより照射することが可能である。
このとき、平行偏光と垂直偏光とを交互に連続的に切り換えて入射することができる。例えば、後述するPM−IRRASによる計測などの際、平行偏光と垂直偏光とを交互に切り換えて入射することによって、例えば等方的な膜が、基材の化合物付与面のさらに上に設けられている場合でも、平行偏光と垂直偏光のシグナルの差分をとることでそれをキャンセルして基材に対して垂直な向きを持った成分のみを分離検出することが可能になる。また、モニタリングすれば、リアルタイムでの検知が行なえる。
被照射対象となる基材の化合物付与面は、上記のようなシラノール基を有する化合物を含む溶液やエマルジョンを塗布する等によって形成することができる。塗布による場合、バーコーター等を用いて塗布液を基材上に塗布する塗布法、塗布液中に基材を浸漬する浸漬法等のいずれでもよい。化合物付与面は、基材面に厚みのある層が形成されてもよい。
化合物付与面に偏光が入射されると、基材面から出射する光を受光するが、塗布等により基材面にある程度厚みのある膜が形成されている場合、図3に示すように偏光は膜の表面から深さdのしみ込みを伴ないながら出射する光を受光する。これにより、目的とする膜の、厚みのある部分の全体における化合物の結合状態を捉えることができる。例えば離型剤としてシランカップリング剤を溶剤に溶解した溶液が基材に塗布された塗膜では、ATRの場合は、エバネセント波の染み込み深さ分内(1ミクロン以内、図3のdp、信号が強い領域は数百nm以内)における離型剤の結合状態が掴め、長期使用時における耐久性の予測などが行なえる。
−検出工程−
本発明における検出工程では、前記照射工程で光が入射された基材から出射した光より、平行偏光と垂直偏光とを検出する。
光の検出は、光検出が可能な赤外分光器を用いて行なえるが、干渉計と、光の強度を検出する検出器とを備えるものが好適に用いられる。
前記赤外分光器は、Thermo Fisher Scientific社製のNicolet 6700、同8700などが好適に用いられる。
前記検出器は、波数領域に応じて選択すればよく、例えば、下記表に示す検出器などが挙げられる。検出は、検出器で取り込まれた光の強度を得ることができる。
なお、上記表中、例えば、DLaTGS/PEは、L−アラニンでドープされた硫酸三グリシン(DLaTGS)がポリエチレンで保護されたものを意味し、MCTは、水銀カドミウム・テルル化合物を意味する。
ATR−IRによる計測では、DLaTGS/KBr又はDLaTGS/PEがより好適に用いられる。
−分離工程−
本発明における分離工程では、前記検出工程で検出された各偏光を100cm−1〜1800cm−1の範囲で分光分析して得られる振動スペクトルから、基材上に付与された「シラノール基を有する化合物」中の構造部分のピークを分離する。
この工程では、検出工程で得られた平行偏光と垂直偏光とに対して、例えば、全反射赤外吸収法(Attenuated total reflection-infrared spectroscopy;ATR−IR)、赤外反射吸収分光法(Infrared Reflection absorption Spectroscopy;IRRAS)、偏光変調赤外反射吸収分光法(Polarization Modulation Infrared Reflection absorption Spectroscopy;PM−IRRAS)、ラマン散乱分光法、などの方法で分光分析を施すことによって、基材に対して平行又は垂直方向の置換基部位の振動を捉え、振動スペクトルに変換する。
このとき、分光分析は、100cm−1〜1800cm−1の範囲で行なわれる。この範囲で基材に対して垂直又は平行方向の伸縮振動もしくは変角振動を振動スペクトルとして表すことで、既知の基準スペクトルとの対比により、基材面に存在している「シラノール基を有する化合物」由来の構造(置換基部位)に対応するピークが分かる。
具体的には、図4に示されるように、得られた各偏光を試料に通し、所定の検出器で検出して得られたインターフェログラムに対して、アポダイゼーション処理を施して誤差を補正した後、フーリエ変換を行なって各周波数[cm−1]に分離することにより、振動スペクトルが得られる。この処理は、データ解析ソフトウエアが組み込まれたコンピュータに検出器が電気的に接続され、分光器の検出器で検出して得られたインターフェログラムに対して行なえるようになっている。データ解析ソフトウエアとしては、例えばOMNICソフトウエア(ver.7.2a)を使用することができる。
例えば後述するように、例えばATR−IRを利用して図8に示される結果が得られ、基材上に塗布等して付与された「シラノール基を有する化合物」由来の構造の検出が行なえる。
ここで、例えば図1に示すように、シラノール基を有する化合物として前記化合物a又はbのように、末端にパーフルオロアルキル基を有する化合物を用いた場合、シロキサン構造(基材の表面方向のネットワーク構造)を形成するSi−O−由来の伸縮振動(Si−O伸縮振動)と、フルオロアルキル基のC−F結合由来の伸縮振動(C−F伸縮振動)とは、いずれも基材面に平行方向の伸縮振動を持つため、中赤外域など、伸縮振動の信号強度の強い周波数域(図1では800cm−1〜1800cm−1)で分光すると、両者の振動スペクトルは重なり領域を有しているために、ピークの分離が行なえない場合がある。
このような場合のピーク分離性を高める観点から、100cm−1〜600cm−1の範囲で分光分析を行なうことが好ましい。100cm−1〜600cm−1の領域で分光することで、化合物中の各置換基に由来するピークの重なり領域が低減された振動スペクトルが得られ、より詳細で精度の高い結合状態を検知することが可能になる。
ここで、上記した分光分析法のうち、ATR−IR、IRRAS、PM−IRRASを利用した実施形態を例にさらに詳細に説明する。
(1)ATR−IR
ATR−IRを利用して基材の表面性状を検知する実施形態を図3を参照して具体的に説明する。本発明におけるATR−IRは、1回の全反射によるものであってもよいし、多重全反射によるもの(多重全反射赤外吸収法)であってもよい。ここで、多重全反射赤外吸収法を例にATR−IRの原理を略説する。多重全反射赤外吸収法は、図2に示すように、試料に高屈折率のプリズムを密着し、プリズムに全反射のための臨角以上の入射角θで光を入射し、プリズムと試料との界面で全反射させたときに、滲み出す赤外光(エバネッセント波)の吸収を評価する方法である。ATR−IRでは、測定が簡易であり、表面のみを選択的に測定することが可能である。
図3は、ATR−IRによる計測を行なう本実施形態の検知装置を示す概略図である。
本実施形態の検知装置は、図3に示されるように、中心部が開口した円盤状(不図示)の試料台11と、試料台11の開口部12に配設されたプリズム13と、赤外光を発する照射手段の例である、光源14、及び光源14とプリズム13との間に配され、赤外光から偏光を得るための偏光子15と、プリズム13に入射した偏光が被検サンプル20の試料面で反射して出射した光を取り込む検出手段の例として分光器の検出器16と、少なくとも検出器16と電気的に接続されたピーク分離手段の例である処理部(コンピュータ:PC)25とを備えている。検知装置には、検出器(ディテクタ)と干渉計を有する分光器が備えられている。ここでは、偏光子15を設けた例を示したが、必ずしも偏光子15が設けられていなくてもよい。分光器には、例えば、Nicolet 6700(Thermo Fisher Scientific社製)が好適に用いられる。
本実施形態の検知装置では、基材21の片側に屈折率ηの試料22が塗布された被検サンプル20が、試料台11の開口部に配設されたプリズム(屈折率ηのダイアモンド単結晶、但し、η>η)と密着させて配置される。光源14からの赤外光が偏光子15を通過してプリズム13に偏光が入射すると、プリズムと試料との界面で全反射して出てきた光は検出器16で受光され、しみ込み深さ内に存在する試料のみを測定できるようになっている。検出器16でインターフェログラムとして検出された光は、処理部(PC)25に取り込まれる。取り込まれたインターフェログラムに対して、処理部25のソフトウエアを起動して、図4に示すようにアポダイゼーション処理を施し誤差を補正した後、フーリエ変換処理を行なって各波数[cm−1]に分離される。このように数学的処理を施すことによって、振動スペクトルが得られる。
(2)IRRAS
IRRASを利用して基材の表面性状を検知する実施形態を図5を参照して具体的に説明する。IRRASは、図6(A)のように平衡偏光が入射したときには、定常波を形成して基材に対して垂直方向の振動の感度が増強される一方、図6(B)のように垂直偏光が入射したときは、入射光と反射光との電場ベクトルが互いに打ち消し合うことから、平行偏光が入射し、基材面に対して垂直方向の双極子モーメントを持つ置換基の伸縮振動を選択的に測定するのに適している。
図5は、IRRASによる計測を行なう本実施形態の検知装置を示す概略図である。
本実施形態の検知装置は、図5に示されるように、試料台11と、赤外光を発する光源14と、光源14と試料台11との間に配され、赤外光を平行偏光とするための偏光子15と、被検サンプル20の試料面で反射して出射した光を受光する分光器の検出器16と、少なくとも検出器16と電気的に接続された処理部(コンピュータ:PC)25とを備えている。検知装置には、検出器(ディテクタ)と干渉計を有する分光器が備えられている。ここでは、偏光子15を設けた例を示したが、必ずしも偏光子15が設けられていなくてもよい。分光器には、例えば、Nicolet 6700(Thermo Fisher Scientific社製)が好適に用いられる。
本実施形態の検知装置では、基材21の片側に試料22が塗布された被検サンプル20が、基材21が接するように試料台11に配置される。光源14からの赤外光が偏光子15を通過して偏光が照射されると、試料表面で反射した光は分光器の検出器16で受光されて測定されるようになっている。検出器16でインターフェログラムとして検出された光は、処理部(PC)25に取り込まれる。取り込まれたインターフェログラムに対して、処理部25のソフトウエアを起動して、前記ATR−IRの場合と同様に、各波数[cm−1]に分離することにより、振動スペクトルが得られる。
(3)PM−IRRAS
PM−IRRASを利用して基材の表面性状を検知する実施形態を図7を参照して具体的に説明する。PM−IRRASは、IRRASにおける偏光の照射を、平行偏光と垂直偏光とを交互に連続的に切り換えて行なう偏光変調方式としたものである。平行偏光と垂直偏光との切り換えは、光弾性変調器により所望の周波数で自動変調させることで行なえる。
本実施形態の検知装置は、図7に示すように、赤外光を発する光源32と、光源32から照射された赤外光を反射する反射ミラー34、36と、焦点ミラー38と、焦点ミラーで反射された赤外光から偏光を得るための偏光子40と、偏光を平行偏光と垂直偏光とに交互に切り換えるための光弾性変調器(PEM)42と、平行偏光又は垂直偏光が照射される被検サンプルを載置する試料台(被検サンプル)44と、被検サンプルから出射した光を集光するための集光レンズ46と、検出器48と、少なくとも検出器48と電気的に接続された処理部(コンピュータ:PC)50とを備えている。検知装置には、検出器(ディテクタ)と干渉計を有する分光器が備えられており、分光器として、例えば、Nicolet 8700(Thermo Fisher Scientific社製)が好適に用いられる。
本実施形態の検知装置では、光源32から赤外光が入射され、反射ミラー34、36を経由して焦点ミラー38に送られた赤外光は、焦点ミラー38から偏光子40を通って偏光とされた後、光弾性変調器(PEM)42によって所望の周波数で平行偏光と垂直偏光とに切り換えられるようになっている。平行偏光と垂直偏光とが交互に連続的に試料台に載置された被検サンプルの試料面に入射される。試料面で反射した光は、集光レンズで集光されて分光器の検出器48で受光し、測定されるようになっている。検出器48でインターフェログラムとして検出された光は、処理部(PC)50に取り込まれる。取り込まれたインターフェログラムに対して、処理部25のソフトウエアを起動して、前記ATR−IRの場合と同様に、各波数[cm−1]に分離することにより振動スペクトルが得られる。このとき、入射光が平行偏光と垂直偏光とに交互に切り換えられて入射されるため、化合物中の伸縮振動の向きが異なる置換基にそれぞれ対応するインターフェログラムが交互に得られる。そのため、伸縮振動の向きの異なる置換基に対応する振動スペクトルが交互に得られることになり、平行偏光に対する吸光度と垂直偏光に対する吸光度とをリアルタイムに差分することによって、シラノール基を有する化合物由来の構造の検出がリアルタイムに行なえる。
以上のように、本発明の基材表面性状の検知方法及び基材表面性状の検知装置によれば、非破壊、非接触としながら、基材表面の性状、例えばナノインプリントリソグラフィーで用いられるモールド(型)の転写面の離型剤の存在状態を、精度良く、しかも簡易・迅速に検知する検知システムを構築することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1):ATR−IR
−被検サンプルの作製−
(1)基材の準備
ATR結晶として用いるプリズム(ダイアモンド単結晶)と被検サンプルとの間の密着性を高めるために、撓りやすいNi箔基板(株式会社ニラコ社製、ニッケル箔(99%)、厚み50μm)を用いた。
(2)塗布(離型処理)
まず、上記で準備したNi箔基板を、アセトン((株)コードー製)中、及びエタノール(昭和製薬社製、一級、99.5%)中でそれぞれ15分間、卓上型超音波洗浄器(BRANSONIC 3510J−DTH、ブランソン・ジャパン社製)にて超音波洗浄を行なった。その後、乾燥させ、UVオゾンクリーナー UV/Ozone ProCleaner(BioForce Nanosciences,Inc.製)を用いてオゾン洗浄を1時間施した。
続いて、〔1〕下記の化合物aを、ノベックHFE−7300(3M社製のハイドロフルオロエーテル;1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ペンタン)とテトラヒドロフラン(THF;昭和製薬社製、一級、98.0%)との8:1(=HFE-7300:THF[質量比])混合溶液に溶解した0.1質量%溶液(C10溶液)と、〔2〕下記の化合物bをノベックHFE−7300(3M社製)に溶解した0.1質量%溶液(C溶液)と、をそれぞれ調製した。
洗浄後のNi箔基板を2枚用意し、C10溶液とC溶液とに24時間浸漬し、それぞれの溶液で離型処理を行なった。
離型処理が終了した後、リンス液(ノベックHFE−7300:THF(質量比)=8:1)で1分間、続いて純水で1分間、順次リンス処理を行なった。
その後、リンス後のNi箔基板をホットプレート(HP−2SA、AZONE社製)上に置き、120℃で15分間ベーク処理を行なった。
以上のようにして、2種類の被検サンプルを作製した。C10溶液を用いて離型処理された被検サンプルをC10サンプル、C溶液を用いて離型処理された被検サンプルをCサンプルとする。
−ATR−IRによる計測−
上記で作製した被検サンプルのうち、C10サンプルを、図3に示すように離型処理された面(試料面)が試料台11と向き合うように試料台上に置き、下記の測定条件にて、ATR−IRによる計測を行なった。なお、ATR結晶として単結晶ダイヤモンドを選定した。単結晶ダイヤモンドの透過波数領域は、4500〜100cm−1である。なお、本実施例の測定では偏光子15は用いていない。
ATR−IRによる計測方法の詳細については、本明細書中で既述した方法により行なった。このとき、データ解析用ソフトウエアとして、OMNICソフトウエア(ver.7.2a)を用いた。検出器16でインターフェログラムとして検出された光は、処理部(PC)25に取り込み、取り込まれたインターフェログラムに対して、処理部25のソフトウエアで図4に示すような処理が施されてスペクトルを得た。スペクトルでは、アドバンスドATR補正を行なった。アドバンストATR補正は、「ピーク強度の相対的な変化」と「低波数側へのピークシフトによる線形のゆがみ」を正確に補正できるプログラムであり、以下に補正式と補正条件を示す。また、得られたスペクトルを図8に示す。
=測定条件=
・分光器 :Nicolet 6700(Thermo Fisher Scientific社製)
・検出器 :DLaTGS/KBr
(DLaTGS:L−アラニンでドープした硫酸三グリシン)
・積算回数 :32
・分解能 :4cm−1
・ゲイン :1
・ミラー速度:0.6329cm/sec
・赤外光のビーム径:約7.5mm
・ビームスプリッター:KBr/Ge(7400cm−1〜350cm−1
=補正条件=
・サンプルの屈折率:1.35
・ATR結晶 :Diamond
・入射角 :45.0
・反射回数 :1
前記補正式中、E=エバネッセント波の電場
α=サンプルの膜厚あたりの吸光係数
=赤外光の滲み込み深さ
λ=波長
θ=入射角
=ATRクリスタルの屈折率
=サンプルの屈折率
を表す。OMINCソフトウェア上において、前記補正式は中赤外(〜400cm−1)にカスタマイズされている。
図8に示されるように、C10サンプルの化合物aの構造中、シラノール基のSi−O−結合由来のSi−O伸縮振動と、フルオロアルキル基のC−F結合由来のC−F伸縮振動とを検出することができた。
但し、Si−O伸縮振動とC−F伸縮振動とは、いずれも基板面に平行方向の伸縮振動を持っているため、図8のように、1000〜1200cm−1付近に振動領域が重複しており、温度差によりピーク強度に多少の変化が現れていた。
更に、以下の実施例2において、フルオロアルキル基のC−F部位とシラノール基のSi−O部位の精密な分離、定量的な評価について実施検討を試みた。
(実施例2):ATR−IR
−被検試料の作製−
ATR−IRによる計測で化合物の各構造ごとのスペクトルをみるため、被検試料として、下記の合成スキームに沿ってステップ毎に生成した以下の生成物(1)〜(4)を準備した。
−ATR−IRによる計測−
図3に示す検知装置を用い、その試料台11の中心部に開口した開口部12に配設されたプリズム13の上に、上記の生成物(1)〜(4)を順次、粉末のまま載せ、下記の測定条件にて、ATR−IRによる計測を行なった。ATR−IRによる計測は、前記反応スキームで生成された生成物の順[(1)→(2)→(3)→(4)の順]に行なった。
なお、ATR結晶として単結晶ダイヤモンドを選定した。単結晶ダイヤモンドの透過波数領域は、4500〜100cm−1である。得られたスペクトルを図9に示す。
=測定条件=
・分光器 :Nicolet 6700(Thermo Fisher Scientific社製)
・検出器 :DLaTGS/PE
(DLaTGS:L−アラニンでドープした硫酸三グリシン)
・積算回数 :64
・分解能 :4cm−1
・ゲイン :1
・ミラー速度:0.6329cm/sec
・赤外光のビーム径:約7.5mm
・ビームスプリッター:Solid(700cm−1〜15cm−1
図9に示すように、出発物質に対してパーフルオロカーボンを導入することにより、500〜600cm−1、300cm−1、及び200cm−1付近にパーフルオロカーボンに由来のピークが現れていることが分かる。続いて、プロペンを導入するとことにより、500〜550cm−1の領域にプロペン由来のピークがみられ、さらにトリメトキシシラン部位を導入したときには、300〜500cm−1の領域に顕著なピークが現れた。このように、800〜1800cm−1の領域では精度の良い検出が困難であった分子構造、例えばフルオロアルキル基のC−F部位とシラノール基のSi−O部位とが混在する化合物の結合状態の精密な分離、定量的な評価が、100〜600cm−1の領域では可能であった。
(実施例3):PM−IRRAS
実施例1において、「−被検サンプルの作製−」と同様の方法により被検サンプルを作製した後、作製した被検サンプルのうち、C10サンプルを、図7に示す光学系の試料台44にセットし、下記の測定条件及びPEMの設定条件にて、PM−IRRASによる計測を行なった。なお、入射角に対する検出器の角度は、83°に設定した。
PM−IRRASによる計測方法の詳細については、本明細書中で既述した方法により行なった。このとき、温度を常温から400℃まで変化させて行なった。また、データ解析用ソフトウエアとして、OMNICソフトウエア(ver.7.2a)を用いた。
検出器48でインターフェログラムとして検出された光は、処理部(PC)50に取り込まれ、インターフェログラムに対して、処理部50のソフトウエアで図4に示す処理を実行し、スペクトルを得た。このとき、平行偏光に対する吸光度と垂直偏光に対する吸光度とを基にリアルタイムに差分をとることによって、目的とする温度において化合物由来の構造の基材に対して垂直な成分のみの検出がリアルタイムに行なえた。得られたスペクトルを図10に示す。
=測定条件=
・分光器 :Nicolet 8700(Thermo Fisher Scientific社製)
・積算回数:128
・分解能 :4cm−1
・検出器 :MCT(水銀カドミウム・テルル化合物)
=PEMの設定条件=
・変調周波数:100KHz
・結晶 :ZnSe
・中心波数:1500cm−1
図10に示されるように、C10サンプルの化合物aの構造中、シラノール基のSi−O−結合由来のSi−O伸縮振動と、フルオロアルキル基のC−F結合由来のC−F伸縮振動とを検出することができた。
但し、実施例1の場合と同様に、Si−O伸縮振動とC−F伸縮振動とはいずれも基板面に平行方向の伸縮振動を持っているため、図10のように、1000〜1200cm−1付近に振動領域が重複していた。また、温度差によりピーク強度に多少の変化が現れていた。
本発明は、シラノール基を有する化合物が基材などの上に存在して該基材等との結合が生じているような分野において広く利用可能であり、例えば、シラノールを有する化合物を含有する塗膜や、撥水・撥油性を示す表面加工を行なう分野、ナノメートルオーダーのパターンが形成されたモールド(型)を用いてナノオーダーパターンを転写形成するナノインプリント技術の分野に好適に利用することができる。

Claims (10)

  1. シラノール基を有する化合物が付与された基材の化合物付与面に平行偏光又は垂直偏光のいずれかを選択して光を入射し、前記基材から出射した光より平行偏光と垂直偏光とを検出し、検出された各偏光を100cm−1〜1800cm−1の範囲で分光分析して得られる振動スペクトルから、基材上に付与された前記化合物中の構造部分のピークを分離することにより、前記基材上に存在する前記化合物の結合状態を検知する、基材表面性状の検知方法。
  2. 前記基材の前記化合物付与面に、平行偏光と垂直偏光とを交互に切り換えて入射する請求項1に記載の基材表面性状の検知方法。
  3. 前記分光分析は、赤外反射吸収分光法(IRRAS)、全反射赤外吸収法(ATR−IR)、又はラマン散乱分光法により行なう請求項1又は請求項2に記載の基材表面性状の検知方法。
  4. 前記分光分析は、100cm−1〜600cm−1の範囲で行なう請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の基材表面性状の検知方法。
  5. 前記シラノール基を有する化合物は、シラノール基とフルオロアルキル基又はフルオロエーテル基とを有する化合物である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の基材表面性状の検知方法。
  6. シラノール基を有する化合物が付与された基材の化合物付与面に平行偏光又は垂直偏光のいずれかを選択して光照射する照射手段と、
    前記照射手段により光が入射された前記基材から出射した光より平行偏光と垂直偏光とを検出する検出手段と、
    検出された各偏光を100cm−1〜1800cm−1の範囲で分光分析して得られる振動スペクトルから、基材上に付与された前記化合物中の構造部分のピークを分離するピーク分離手段と、
    を備え、前記基材上に存在する前記化合物の結合状態を検知する、基材表面性状の検知装置。
  7. 前記照射手段は、基材の前記化合物付与面に、平行偏光と垂直偏光とを交互に切り換えて入射する請求項6に記載の基材表面性状の検知装置。
  8. 前記ピーク分離手段は、赤外反射吸収分光法(IRRAS)、全反射赤外吸収法(ATR−IR)、又はラマン散乱分光法により分光分析を行なう請求項6又は請求項7に記載の基材表面性状の検知装置。
  9. 前記ピーク分離手段は、100cm−1〜600cm−1の範囲で分光分析を行なう請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の基材表面性状の検知装置。
  10. 前記シラノール基を有する化合物は、シラノール基とフルオロアルキル基又はフルオロエーテル基とを有する化合物である請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載の基材表面性状の検知装置。
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