JP2012184902A - 産業用加熱システムとその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の産業用加熱システムは、取り入れた外気を加熱する第1の熱交換器と、加熱室の排気又は加熱室の排熱を回収した作動媒体を圧縮して第1の熱交換器に供給する圧縮機と、を有するヒートポンプ装置と、第1の熱交換器で生成された加熱空気を加熱する第2の熱交換器と、第2の熱交換器に作動媒体として蒸気を供給するボイラ装置と、圧縮機及びボイラ装置を駆動制御する制御装置と、を有し、制御装置は、圧縮機の入口温度に対して、当該産業用加熱システムの一次エネルギー、運転コスト、及びCO2排出量から選ばれる一つの目標パラメータが最小となる圧縮機の出口温度を設定した検定曲線を用いて圧縮機の出力を制御し、圧縮機の出口温度と、加熱室の入口温度とに基づいてボイラ装置の出力を制御することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
また本発明によれば、外気や加熱室排気の温度が変動した場合でも、一次エネルギー、運転コスト、及びCO2排出量から選ばれる一つの目標パラメータを最小にした状態で運転条件を設定することができる産業用加熱システムの制御方法が提供される。
加熱システム(産業用加熱システム)S1は、図1に示すように、加熱室12と、圧縮機14と、動力回収機16と、第1の熱交換器18と、第2の熱交換器19と、ボイラ装置BLRと、制御装置70とを備えている。圧縮機14と動力回収機16と第1の熱交換器18とがヒートポンプ装置HPが構成する。制御装置70は、加熱システムS1の全体を統括的に制御する。
なお、加熱システムS1の構成は、設計要求に応じて適宜変更可能である。
加熱対象物120は、産業部品や産業材料である。例えば、加熱室12において、産業部品又は産業材料の少なくとも一部が乾燥処理される。あるいは、加熱室12において、産業部品又は産業材料の少なくとも一部が熱処理(例えば、熱硬化処理など)される。なお、汚泥、紙、木材、樹脂、薬剤、薬品、砂、家庭ごみ、産業ごみ、工芸品、工芸材料、電気部品、電気機器、塗装物、産業用衣類、機械部品、機械製品、食料、食材、食料品など、様々な物体を加熱対象物120とすることができる。
動力回収機16からの排気は、本実施形態の場合、排気部Bの排気管を介して外部に放出される。排気部Bの排気管には、必要に応じて、ポンプなどの流体駆動部、バルブなどの流量制御部(不図示)、フィルタなどの排出ガス処理装置を設けることもできる。
次に、本実施形態の加熱システムS1に備えられた制御装置について説明する。
本実施形態の加熱システムS1では、制御装置70により、ヒートポンプ装置HPとボイラ装置BLRの出力比が適切に制御され、加熱システムS1全体の一次エネルギーを最小化した状態で運転することができる。そして、制御装置70の形態としては、検定曲線を用いて上記出力比を設定する構成と、加熱システムS1の各部の温度情報等に基づいた演算処理により上記出力比を設定する構成とが挙げられる。以下、検定曲線を用いる構成を第1形態、演算処理を用いる構成を第2形態として説明する。
図2は、制御装置70に備えられる検定曲線の一例を示すグラフである。図2のグラフの横軸は圧縮機入口温度、縦軸は圧縮機出口温度である。
図2に示す検定曲線は、加熱システムS1の一次エネルギーが最小となるときの圧縮機14の入口温度と出口温度の関係を示すものとして作成されている。第1形態の制御装置は、図2に示す検定曲線に基づいてヒートポンプ装置HP及びボイラ装置BLRを制御し、一次エネルギーが最小化された状態で加熱システムS1を運転する。
上記の動作により、ヒートポンプ装置HPとボイラ装置BLRの出力比が、加熱システムS1全体で一次エネルギーを最小化するように設定され、加熱システムS1の運転条件が最適化される。
検定曲線の作成は、圧縮機14の入口温度に対して複数の出口温度を設定し、設定した出口温度毎に加熱システムS1の一次エネルギーを算出することで、上記入口温度に対して一次エネルギーが最小となる出口温度を探索する過程を、複数の入口温度に対して実行することにより行う。以下、さらに具体的に説明する。
入口温度Tcmpinは、圧縮機14の入口部に温度計を設置して計測してもよいし、加熱室12の出口部122に設置した温度計により加熱室12の排気温度を測定し、かかる排気温度からの温度低下分(図1では0℃)を差し引いて求めてもよい。なお、吸気部Aから取り入れられる外気の温度も取得する。
なお、本実施形態では、第1の熱交換器における圧力損失がなく、動力回収機16の出口側は大気であるから、ptbnin=pcmpout、ptbnout=pamb(大気圧)として計算を実施することができる。
なお、ヒートポンプ装置HP中に無視できない熱損失や圧力損失がある場合には、下記式(k)に繰り入れて計算を実施する。
先の第1形態では、一次エネルギーが最小となる入口温度Tcmpinと出口温度Tcmpoutとの関係を予め設定した検定曲線を用いる場合について説明したが、制御装置70が、上記検定曲線の作成と同様の演算処理を実行する演算装置を備える構成とすることもできる。
すなわち、圧縮機14の入口温度Tcmpinが与えられたときに、先に示したステップ1〜10の演算を実行することにより、加熱システムS1の一次エネルギーが最小となる出口温度Tcmpoutを探索する目標値探索計算を実施する演算装置を備えた構成である。
第2形態のように演算装置を備えた構成とすることで、入口温度Tcmpinに対してより正確に出口温度Tcmpoutを計算することができ、より最適な状態で加熱システムS1を運転することが可能となる。
上記実施形態では、動力回収機16を備えた構成としたが、熱交換器を用いて排熱を回収する方式のヒートポンプを備えた構成としてもよい。図4は、排熱回収型のヒートポンプ装置HPを備えた加熱システム(産業用加熱システム)S2を示す図である。
第3の熱交換器20は、加熱室12の排気が流通する高温側流路20aと、ヒートポンプ装置HPの作動媒体が流通する低温側流路20bとを有する。加熱室12の排気は、高温側入口部203を介して高温側流路20aに導入され、高温側出口部204から外部へ排出される。作動媒体は、低温側入口部201を介して低温側流路20bに導入され、低温側出口部202から外部へ排出される。
Claims (6)
- 外気を取り入れて加熱空気を生成し、当該加熱空気を加熱室に供給する産業用加熱システムであって、
取り入れた外気を加熱する第1の熱交換器と、前記加熱室の排気又は前記加熱室の排熱を回収した作動媒体を圧縮して前記第1の熱交換器に供給する圧縮機と、を有するヒートポンプ装置と、
前記第1の熱交換器で生成された加熱空気を加熱する第2の熱交換器と、前記第2の熱交換器に作動媒体として蒸気を供給するボイラ装置と、前記圧縮機及び前記ボイラ装置を駆動制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記圧縮機の入口温度に対して、当該産業用加熱システムの一次エネルギー、運転コスト、及びCO2排出量から選ばれる一つの目標パラメータが最小となる前記圧縮機の出口温度を設定した検定曲線を用いて前記圧縮機の出力を制御し、
前記圧縮機の出口温度と、前記加熱室の入口温度とに基づいて前記ボイラ装置の出力を制御することを特徴とする産業用加熱システム。 - 外気を取り入れて加熱空気を生成し、当該加熱空気を加熱室に供給する産業用加熱システムであって、
取り入れた外気を加熱する第1の熱交換器と、前記加熱室の排気又は前記加熱室の排熱を回収した作動媒体を圧縮して前記第1の熱交換器に供給する圧縮機と、を有するヒートポンプ装置と、
前記第1の熱交換器で生成された加熱空気を加熱する第2の熱交換器と、前記第2の熱交換器に作動媒体として蒸気を供給するボイラ装置と、前記圧縮機及び前記ボイラ装置を駆動制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記圧縮機の出口温度を設定するパラメータ設定動作と、
前記圧縮機の入口温度及び設定した前記出口温度に基づいて前記圧縮機の圧力及び消費動力を計算する圧縮機演算動作と、
前記第1の熱交換器の伝熱計算により、前記第1の熱交換器の作動媒体の出口温度と、前記第1の熱交換器の出口における前記加熱空気の温度とを計算する熱交換器演算動作と、
前記圧縮機の消費動力に基づいて前記ヒートポンプ装置の一次エネルギーを算出するヒートポンプエネルギー演算動作と、
前記第1の熱交換器から出力される前記加熱空気を前記加熱室の入口温度にまで昇温するために必要な前記ボイラ装置の一次エネルギーを算出するボイラエネルギー演算動作と、
前記ヒートポンプ装置及び前記ボイラ装置のそれぞれの一次エネルギーに基づいて、当該産業用加熱システムの一次エネルギー、運転コスト、及びCO2排出量から選ばれる一つの目標パラメータを算出する目標パラメータ算出動作と、
を前記圧縮機の出口温度を変化させつつ繰り返し実行することにより、前記目標パラメータが最小となる前記圧縮機の出口温度を探索し、当該探索動作により取得された前記圧縮機の出口温度に基づいて前記圧縮機の出力を制御するヒートポンプ装置制御動作と、
取得された前記圧縮機の出口温度と、前記加熱室の入口温度とに基づいて前記ボイラ装置の出力を制御するボイラ装置制御動作と、
を実行することを特徴とする産業用加熱システム。 - 前記制御装置は、外気温又は前記加熱室の出口温度が変化したときに、前記ヒートポンプ装置及び前記ボイラ装置の出力制御を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の産業用加熱システム。
- 前記制御装置は、前記圧縮機の出口温度、出口圧力、又は前記第1の熱交換器から出力される前記加熱空気の温度を調整パラメータとして前記圧縮機の出力制御を実行することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の産業用加熱システム。
- 加熱対象物を収容する加熱室と、取り入れた外気を加熱する第1の熱交換器と前記加熱室の排気又は前記加熱室の排熱を回収した作動媒体を圧縮して前記第1の熱交換器に供給する圧縮機とを有するヒートポンプ装置と、前記第1の熱交換器で生成された加熱空気を加熱する第2の熱交換器と、前記第2の熱交換器に作動媒体として蒸気を供給するボイラ装置と、を有する産業用加熱システムの制御方法であって、
前記圧縮機の入口温度に対して、当該産業用加熱システムの一次エネルギー、運転コスト、及びCO2排出量から選ばれる一つの目標パラメータが最小となる前記圧縮機の出口温度を設定した検定曲線を用いて前記圧縮機の出力を制御するステップと、
前記圧縮機の出口温度と、前記加熱室の入口温度とに基づいて前記ボイラ装置の出力を制御するステップと、
を有することを特徴とする産業用加熱システムの制御方法。 - 加熱対象物を収容する加熱室と、取り入れた外気を加熱する第1の熱交換器と前記加熱室の排気又は前記加熱室の排熱を回収した作動媒体を圧縮して前記第1の熱交換器に供給する圧縮機とを有するヒートポンプ装置と、前記第1の熱交換器で生成された加熱空気を加熱する第2の熱交換器と、前記第2の熱交換器に作動媒体として蒸気を供給するボイラ装置と、を有する産業用加熱システムの制御方法であって、
前記圧縮機の出口温度を設定するパラメータ設定ステップと、
前記圧縮機の入口温度及び設定した前記出口温度に基づいて前記圧縮機の圧力及び消費動力を計算する圧縮機演算ステップと、
前記第1の熱交換器の伝熱計算により、前記第1の熱交換器の作動媒体の出口温度と、前記第1の熱交換器の出口における前記加熱空気の温度とを計算する熱交換器演算ステップと、
前記圧縮機の消費動力に基づいて前記ヒートポンプ装置の一次エネルギーを算出するヒートポンプエネルギー演算ステップと、
前記第1の熱交換器から出力される前記加熱空気を前記加熱室の入口温度にまで昇温するために必要な前記ボイラ装置の一次エネルギーを算出するボイラエネルギー演算ステップと、
前記ヒートポンプ装置及び前記ボイラ装置のそれぞれの一次エネルギーに基づいて、当該産業用加熱システムの一次エネルギー、運転コスト、及びCO2排出量から選ばれる一つの目標パラメータを算出する目標パラメータ算出ステップと、
を前記圧縮機の出口温度を変化させつつ繰り返し実行することにより、前記目標パラメータが最小となる前記圧縮機の出口温度を探索し、当該探索動作により取得された前記圧縮機の出口温度に基づいて前記圧縮機の出力を制御するヒートポンプ装置制御ステップと、
取得された前記圧縮機の出口温度と、前記加熱室の入口温度とに基づいて前記ボイラ装置の出力を制御するボイラ装置制御ステップと、
を有することを特徴とする産業用加熱システムの制御方法。
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