JP2012184214A - 金属含有ポリペプチド水溶液 - Google Patents

金属含有ポリペプチド水溶液 Download PDF

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Abstract

【課題】 アルミニウム等金属含有コラーゲンの実用化において、機能発現可能な形態が粉末形態、繊維形態、あるいはコラーゲンを直接塗布し不溶化した加工形態のものに限られているなど、コラーゲン加工上の技術的制約による適用形態、ひいては適用対象品、すなわち製品形態が限定されるという問題、またこのような加工によるコストアップの問題もあり、金属含有コラーゲンの実用化上の改良が求められていた。
【解決手段】 ポリペプチド濃度範囲が0.00001〜6重量%、金属濃度が0.025〜0.5重量%、もしくは0.000002〜0.02重量%の範囲である水溶液は、不溶化を引き起こすことなく安定に水に溶解した状態を保った水溶液となり、噴霧処理での種々形態の物品への抗菌、抗アレルゲン性能機能付与を可能にした。
【選択図】 なし

Description

本発明は、抗菌、抗アレルゲン性能を有する金属含有ポリペプチド水溶液およびこの製造方法に関する。
アルミニウム等金属を含有するポリペプチドが抗菌、抗アレルゲン性能を発揮することについては、ポリペプチドとしてコラーゲンを用いた検討における粉末形態(特許文献1参照)、繊維形態(特許文献2参照)、で報告されている。
すなわち、粉末形態では、粉末を溶剤系あるいは非溶剤系樹脂、たとえば溶剤系ではウレタン樹脂、非溶剤系では水系アクリル樹脂に粉末を分散させた後、キャスト法やグラビアコーティング法で塩ビ等の樹脂シートに塗布する工程でシート加工した形態のものやパディング法で繊維にコーティング加工した形態のもの、また粉末をエラストマー樹脂に練り込み、押し出し成型加工することで作製したシート形態のものなど種々形態のもので抗菌、抗アレルゲン性能等の機能発揮が確認されている。
また繊維形態では、コラーゲン水溶液を湿式紡糸、溶融紡糸、電界防止したものをアルミニウム塩で不溶化する工程を入れて作製した繊維の形態で種々機能発揮が確認されており、またコラーゲン水溶液をそのまま繊維あるいは織布、不織布などシートに塗布しそのままアルミニウム塩で不溶化した形態のものでも明確に抗菌、抗アレルゲン性能の発揮が確認されている。
国際公開2007−142097号公報 国際公開2009−35052号公報
以上、アルミニウム等金属含有コラーゲンを用いた製品開発において、機能発現可能な形態が粉末形態、繊維形態、あるいはコラーゲンを直接塗布し不溶化した加工形態のものに限られているなど、コラーゲン加工上の技術的制約による適用形態、ひいては適用対象品、すなわち製品形態が限定されるという課題があった。特に粉末形態では粉末固着のためにバインダーを用いる必要があり、それによる粉末カバーのためアレルゲンとの接触障害が起こり想定する抗アレルゲン性能が発揮されないという問題があった。またバインダーとして用いる樹脂などコラーゲン以外に用いる素材や加工工程自体に起因するコストアップの課題もあり、実用化上の大きな障害となっている。
粉末を水溶液に分散させて噴霧(スプレー)する手法の可能性についても粉末を安定に水溶液に分散させることは難しく、またミクロンオーダーの粉末を安定に噴霧することはノズル詰りの問題もあり、現実的には実用化が難しい状況である。
本発明は以下の構成を有するものである。
1). 抗菌および抗アレルゲン性能を有する金属含有ポリペプチド水溶液。
2). ポリペプチドがコラーゲンである1)に記載の金属含有ポリペプチド水溶液。
3). 金属がアルミニウム、ジルコニウム、銀、銅、亜鉛、チタンから選ばれることを特徴とする1)又は2)に記載の金属含有ポリペプチド水溶液。
4). ポリペプチド濃度が0.00001〜6重量%で、金属濃度が0.025〜0.5重量%、もしくは0.000002〜0.02重量%の範囲である1)〜3)のいずれかに記載の金属含有ポリペプチド水溶液。
5). 0.00002〜12重量%の範囲のポリペプチド溶液と、金属濃度が0.05〜1重量%、もしくは0.000004〜0.04重量%の範囲の金属濃度の金属塩溶液を混合することによる1)〜4)のいずれかに記載の金属含有ポリペプチド水溶液の製造方法。
噴霧用として実用化可能なレベルの水分散性、すなわちポリペプチドを含む添加物すべてが噴霧用途使用に支障の無いレベルの溶解状態を確保した金属含有ポリペプチド水溶液の製造を可能にする。
金属含有ポリペプチド水溶液の抗アレルゲン性能評価 金属含有ポリペプチド水溶液の抗アレルゲン性能評価−2 金属含有ポリペプチド水溶液の抗アレルゲン性能評価−3
以下の説明では、ポリペプチド溶液としてコラーゲン可溶化物、また処理に用いた金属は金属塩の形態で、アルミニウム塩を用いた例を記載しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
金属含有ポリペプチド水溶液のポリペプチドとしては、コラーゲン以外に、ゼラチン、ゼラチンを分解したポリペプチド、さらにコラーゲン、ゼラチン、ゼラチンを分解したポリペプチドの加熱あるいは化学処理による修飾物など、金属塩で不溶化できるもの、または金属を分子内に保持できるものであり、水溶化できるものであれば特に限定なく用いることができる。
金属含有ポリペプチド水溶液の作製には金属塩を用いることができる。用いることが出来る金属塩としては、強酸との塩、例えば、硫酸、硝酸塩、塩化物を用いることができる。本願発明の金属含有ポリペプチド水溶液の金属としては、具体的にはアルミニウム、ジルコニウム、銀、銅、亜鉛、チタンをあげることができる。なかでも、アルミニウム、ジルコニウム、銅、特にはアルミニウムが好ましい。これらの金属の少なくとも1種を用いることが好ましい。
アルミニウム塩としては、次の式、Al(OH)nCl3-n、又はAl2(OH)2n(SO43-n(式中、nは0.5〜2.5である)で表される塩基性塩化アルミニウム又は塩基性硫酸アルミニウムを挙げることができ好ましい。 具体的には、例えば硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ミョウバン等が用いることができる。これらのアルミニウムは単独で又は2種以上混合して用いることができる。
本願発明の金属含有ポリペプチドを基材に塗布することにより、抗菌、抗アレルゲン機能を有するものと成すことが出来る。塗布する方法としては特に限定はないが、はけ等で塗布する方法、スプレーして塗布する方法、基材を金属含有ポリペプチド水溶液に浸積する方法等が採用できるが、操作性や塗布量の調整が容易である面からスプレー法が好ましい。
抗菌、アレルゲン機能は、沈殿を生成しない範囲ではポリペプチドと金属の濃度が高い方がそれらの機能がより高く発現する傾向を有する。しかし、ある濃度範囲のペプチド濃度と金属濃度の組み合わせで、沈降物が生じたり、不溶物が分散不良となり良好な水溶液が得難い傾向がある。特にスプレー法を用いて塗布する場合、用いる水溶液がスプレーできる状態であることが必要であり、沈降物が生じたり、不溶物が分散不良であるような水溶液は避けることが好ましい。
噴霧(スプレー)用として実用化可能なレベルの水分散性、すなわちポリペプチドを含む添加物すべてが噴霧用途使用に支障の無いレベルの溶解状態を確保した金属含有ポリペプチド水溶液の製造のための溶媒としては水が好ましい。金属含有ポリペプチド水溶液中の金属およびポリペプチドの濃度が低いと、噴霧面の金属含有ポリペプチドの残存が少なく、黒いものに噴霧した場合でも残存物による外観上の影響が少ないが抗菌性能が低下する傾向にある。
また同濃度が高いと、噴霧面の金属含有ポリペプチドの残存が多く、噴霧面の触感に影響を及ぼし、さらに黒いものに噴霧した場合、残存物による外観上の影響が少なくない。しかしながら噴霧面の抗菌性能は高い状態である。
また金属含有ポリペプチドのポリペプチドが高分子のものであるほど、噴霧後、乾燥させることでより安定な膜を形成し、水系の溶剤などによる洗浄操作に対するより高い耐性を獲得する傾向にある。安定な膜形成を必要とする用途ではこの点を考慮しより高分子のポリペプチドを用いることが望ましい。
本発明は、ポリペプチドと金属の濃度が特定の場合に、水溶液には沈降物が認められず、かつ抗菌抗アレルゲン機能を有するポリペプチド水溶液と成すことができることを見いだした。
本発明の効果を有するにはポリペプチドと金属の濃度にはいくつかの特定の範囲が特に有効である。
まず、金属含有ポリペプチド水溶液のポリペプチド濃度としては、0.00001〜6重量%の範囲、好ましくは0.00002〜5.5重量%の範囲の場合、金属濃度としては、0.025〜0.5重量%、もしくは0.000002〜0.02重量%の金属含有ポリペプチド水溶液が好ましく、更には金属濃度としては、0.1〜0.5重量%、もしくは0.000002〜0.01重量%の金属含有ポリペプチド水溶が好ましい。但し、ポリペプチド濃度が2〜5.5重量%の範囲、さらには1〜6重量%の範囲において、金属濃度が0.002〜0.05重量%、さらには0.001〜0.1重量%の範囲を除いた範囲であることが好ましい。これらの除かれる範囲においては、金属含有ポリペプチド水溶液の安定性の面で効果が小さい傾向がある。
さらに抗菌性の効果を考慮すると金属含有ポリペプチド水溶液のポリペプチド濃度としては、0.00001〜6重量%の範囲、さらには0.00002〜5.5重量%の範囲の場合、金属濃度としては、0.025〜0.5重量%、もしくは0.000005〜0.02重量%の金属含有ポリペプチド水溶液が好ましく、更には金属濃度としては、0.1〜0.5重量%、もしくは0.00001〜0.01重量%の金属含有ポリペプチド水溶が好ましい。但し、ポリペプチド濃度が2〜5.5重量%の範囲、さらには1〜6重量%の範囲において、金属濃度が0.002〜0.05重量%、さらには0.001〜0.1重量%の範囲を除いた範囲であることが好ましい。これらの除かれる範囲においては、金属含有ポリペプチド水溶液の抗菌性の効果が小さい傾向がある。
また、ポリペプチド濃度として、0.2〜1重量%、更には0.1〜2重量%の範囲で、金属濃度としては、0.001〜0.01重量%、更には、0.0005〜0.02重量%の金属含有ポリペプチド水溶はやや抗菌性が低下する傾向がある。
本発明の金属含有ポリペプチド水溶液は、ポリペプチド溶液と金属塩溶液を混合することにより得ることができる。その際、0.00002〜12重量%のポリペプチド溶液と、金属濃度が0.05〜1重量%、好ましくは0.06〜0.5重量%、もしくは0.000004〜0.04重量%、好ましくは0.000004〜0.01重量%の範囲の金属塩溶液を混合することによって本発明の金属含有ポリペプチド水溶液を得ることができる。
抗菌機能とは、細菌あるいはカビに対する増殖抑制あるいは滅菌作用のことをいい、対象となる細菌、カビとして、次のようなものを挙げることができる。
すなわち菌としては、細菌と真菌に分類されるが、通常これらのいずれにも効果を有するような素材は少なく、このような機能を有するものが望まれている。一般に細菌の分類としては、以下に示すように細胞壁にペプチドグリカンを多量に持つグラム陽性菌、リポポリサッカライドを持つグラム陰性菌、及びその他の菌に大別される。
グラム陽性菌としては、更に、グラム陽性球菌とグラム陽性桿菌に大別される。グラム陽性球菌には、通性嫌気性および好気性球菌があり、属としては、ミクロコッカス属、スタフィロコッカス属、連鎖球菌属のストレプトコッカス属およびエンテロコッカス属があり、スタフィロコッカス属の黄色ぶどう球菌、メチシリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)、連鎖球菌属では化膿連鎖球菌、B群連鎖球菌、肺炎連鎖球菌、緑色連鎖球菌が病原菌として知られている。
グラム陽性桿菌には、コリネバクテリウム属、リステリア属、エリジペロスリックス属、バチルス属、マイコバクテリウム属に分類され、病原菌としてはコリネバクテリウム属のジフテリア菌、リステリア属のリステリア・モノサイトゲネス、エリジペロスリックス属のブタ丹毒菌、バチルス属の炭そ菌、セレウス菌、マイコバクテリウム属の結核菌が主なものである。
グラム陰性菌としては、グラム陰性桿菌が主なものである。
グラム陰性桿菌としては、好気性グラム陰性桿菌とグラム陰性通性嫌気性桿菌を挙げることができる。
好気性グラム陰性桿菌の主な菌属として、Pseudomonas, Burkholderia, Rastonia, Legionella, Brucella, Bordetella, Alcaligenes, Francisellaなどが挙げられる。病原性を持つものとして、Pseudomonas属の緑膿菌、Legionella属のレジオネラ・ニューモフィラ、Brucella属のマルタ熱菌、ウシ流産熱菌、ブタ流産菌などが知られている。
グラム陰性通性嫌気性桿菌は、腸内細菌科、ビブリオ科、パスツレラ科に分類され、腸内細菌科はさらに大腸菌属、クレブシエラ属、セラチア属、プロテウス属、エルシニア属に分類され、病原性を持つものとして、大腸菌属ではO157などの大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、クレブシエラ属では肺炎桿菌、セラチア属では霊菌、プロテウス属ではProteus vulgaris, Proteus mirabilis、エルシニア属ではペスト菌が知られている。またビブリオ科はビブリオ属のコレラ菌、パスツレラ科はパスツレラ属のPasturella multocidaが病原性菌として知られている。
その他の菌としては、グラム陽性、陰性の両方が存在する菌群として、偏性嫌気性菌、らせん菌群があり、以下のような菌が知られている。
偏性嫌気性菌としては、偏性芽胞形成菌、偏性嫌気性グラム陽性無芽胞桿菌、偏性嫌気性グラム陰性無芽胞桿菌、嫌気性グラム陽性球菌、嫌気性グラム陰性球菌に分類され、病原菌としては、偏性芽胞形成菌の破傷風菌、ボツリヌス菌、ウエルシュ菌、ディフィシル菌があげられる。
らせん菌群としては、カンピロバクター属のC. fetus, C. jejuni, C. colitが病原菌として知られている。
上記の細菌が様々な病原菌において知られているが、特に、食中毒や院内感染でよく検出される以下、大腸菌、黄色ぶどう球菌、緑膿菌、MRSA、セレウス菌、肺炎桿菌は抗菌剤の対象菌として極めて重要なものであるといえる。
抗アレルゲン機能とは、アレルゲンを除去あるいは不活性化することをいい、アレルゲンとして主なものは以下のように分類される。すなわち、一般的アレルゲンとして、吸入性アレルゲンである室内塵(ハウスダスト。ヒョウダニの虫体や糞などが主)、皮屑(フケ。とくにイヌ、ネコなどのペットのフケなど)、花粉(スギ花粉、ヤシャブシ花粉、イネ科花粉、キク科花粉など)、真菌(カビのたぐい。とくにアルテルナリア)、昆虫(ユスリカ、ゴキブリ等)、刺咬性アレルゲン(蜂に刺されるなど)、食餌性アレルゲン(大豆、卵、牛乳など)、薬剤性アレルゲン(注射・内服。ペニシリンなど)などがあり、また職業性アレルゲン(吸入または接触性)として、動物の体成分・排泄物、植物性微細物質(小麦粉や木材加工の際の粉塵等)、薬剤(ペニシリンなど)がある。
これらのうちで代表的なものは、花粉症の原因となる花粉、通年性アレルギー性鼻炎や気管支喘息、アトピー性皮膚炎の原因となる室内塵(ハウスダスト)などである。とくに気管支喘息においては真菌も重要である。アナフィラキシーショックを起こしやすい等深刻な状態になりやすいのは、食品アレルギーにおける蕎麦や、蜂(の毒)などがよく知られている。
本願発明の金属含有ポリペプチドの抗アレルゲン性能は、上記アレルゲンに対する金属含有ポリペプチド自体の吸着効果および/または分解効果によるものであるが、対象とするアレルゲンに親和性を有する素材を選択することよってより大きな効果を有することができる。
(実施例1)金属濃度が高濃度範囲の金属含有ポリペプチド水溶液の作製と安定性の評価
硫酸アルミニウム水溶液480g(金属アルミニウム換算で4.24%の溶液、ラサ工業株式会社製)、クエン酸三ナトリウム二水塩40g(ナカライテスク社製)、NaOH42.4g(ナカライテスク社製)、水3768gを混合、溶解して作製したアルミニウム水溶液(原液)に等量の10重量%コラーゲンペプチド水溶液(焼津水産製コラーゲンペプチドを水に溶解したもの)、このコラーゲンペプチド水溶液を水で2倍、20倍、200倍、2000倍、20000倍、200000倍に希釈した液をそれぞれ添加、混合してそれぞれ金属含有ポリペプチド水溶液を得た。2日間室温で静置し沈殿形成の有無を観察することにより安定性を評価した。結果を表1に示した。
(実施例2)金属濃度が低濃度範囲の金属含有ポリペプチド水溶液の作製と分散性評価
実施例1で作製したアルミニウム水溶液(原液)を水で100倍に希釈した液に、実施例1で用いた10重量%コラーゲンペプチド液を水で20倍、200倍、2000倍、20000倍、200000倍に希釈した液をそれぞれ等量添加、混合してそれぞれ金属含有ポリペプチド水溶液を得た。またアルミニウム水溶液(原液)を水で1000倍、10000倍、100000倍に希釈した液それぞれに等量の10重量%コラーゲンペプチド水溶液、および10重量%コラーゲンペプチド水溶液を水で2倍、20倍、200倍、2000倍、20000倍、200000倍に希釈した液を添加し、混合してそれぞれ金属含有ポリペプチド水溶液を得た。2日間室温で静置し沈殿形成の有無を観察することにより安定性を評価した。結果を表1に示した。
(実施例3)金属濃度が高濃度範囲の金属含有ポリペプチド水溶液の抗菌性能評価
実施例1の金属含有ポリペプチド水溶液2mlに4μlのLB培地(0.5%酵母エキスDifco社製、1%ポリペプチトンDifco社製、0.5%NaCl(ナカライテスク社製))を添加、さらに一晩培養した大腸菌を水で1000倍したもの2μlを添加し、一晩室温静置した後、100μlをLB寒天プレート培地(LB培地に寒天(和光純薬社製)を1.5%になるように添加しオートクレーブして作製)に塗布、一晩37℃で培養し出現したコロニー数を計測することで金属含有ポリペプチド水溶液中の生菌数を算出した。
このとき抗菌性能評価を行うため対照として、オートクレーブ滅菌した水2mlに上記と同様にLB培地、大腸菌添加した液の生菌数をLB寒天プレート培地に塗布することで算出した。結果を表2に示した。
(実施例4)金属濃度が低濃度範囲の金属含有ポリペプチド水溶液の抗菌性能評価
実施例2の金属含有ポリペプチド水溶液を用いた他は実施例3と同様に行い、結果を表2に示した。
(実施例5)金属濃度が高濃度範囲の金属含有ポリペプチド水溶液の抗アレルゲン性能
実施例1のアルミニウム水溶液(原液)1mlに5重量%コラーゲンペプチド水溶液0.5ml、アレルゲンとして0.2mg/mlのBSA(牛血清アルブミン)液0.5mlを添加、1時間室温静置した後、内5μlを、界面活性剤SDS(ソディウムドデシル硫酸)を含まない、Native−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析を実施した(図1:レーン4)。
比較対象として、上記組成でBSA液の代わりに水0.5ml添加したもの(図1:レーン2)、5重量%コラーゲンペプチド液の代わりに水0.5ml添加したもの(図1:レーン3)を同様に、Native−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析を行った。結果を図1に示した。レーン1はBSAマーカーである。
電気泳動分析の結果、BSAマーカーのレーン1(図1)ではモノマーおよびダイマーに相当するサイズのバンドが確認され、レーン2ではBSAが添加されていないのでBSAに相当するバンドはまったく見られなかった。レーン3ではやや薄いがBSAバンドが観察された。BSAバンドがレーン1に比べ薄い理由としてはアルミニウムによる会合作用でBSAが高分子側(上方)にシフトしたことによると推察できる。
レーン4のサンプルは、アルミニウム水溶液(原液)にコラーゲンペプチド液を添加したものでBSAのバンドが顕著に薄くなり、高分子側(BSAバンド上部)が広範囲に薄く染色されていることが確認された。これはBSAがコラーゲンペプチドと結合して高分子側にシフトしたものと推察できる。
(実施例6)金属含有ポリペプチド水溶液の抗アレルゲン性能評価−2
魚由来ゼラチン(FGL−250TS/新田ゼラチン株式会社製)の0.2重量%ゼラチン水溶液に、ゼラチン水溶液のそれぞれ1/2量(V/V)、1/100量(V/V)、1/1000量(V/V)および1/5000量(V/V)の実施例1のアルミニウム水溶液(原液)を添加し、金属アルミ濃度が異なる4種類の液を作製した。
作成した金属アルミ濃度が異なるそれぞれの液、5mlに1時間、2cm角の不織布(ポリエステル製、目付け35g/m)を浸漬し、一晩風乾後、約200mlの水を用いた水洗を15分毎4回実施し、その後再度一晩風乾した。
風乾処理を行った不織布に0.2mg/mlのBSA液250μlを添加し、室温で30分後、上清を回収し、界面活性剤SDS(ソディウムドデシル硫酸)を用いた、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析を実施した(図−2のGel−1ではアルミニウム液量1/2、1/100、1/1000量、図−2のGel−2では1/5000量混合サンプルを分析)。比較対照として、(ゼラチン処理とアルミニウム処理をいずれもしていない)無加工の不織布および0.2重量%の魚ゼラチン水溶液で処理した不織布を用いた。
結果、図2に示すようにアルミニウムを添加したゼラチン水溶液で処理した不織布から回収した上清のBSA濃度(図2:レーン2〜4、6)は、無加工不織布から回収した上清(図2:レーン1、5)に比べ、有意な低下が観られた。一方、ゼラチン水溶液処理のみの不織布から回収した上清(図2:レーン7)ではほとんど濃度低下が観られなかった。
(実施例7)金属含有ポリペプチド水溶液の抗アレルゲン性能評価−3
0.4mg/mlのBSA液、5mlに2cm角の不織布(ポリエステル製、目付け35g/m)を浸漬、一晩風乾することでBSA固着不織布を作製した。魚由来ゼラチン(FGL−250TS/新田ゼラチン株式会社製)の0.2重量%ゼラチン水溶液、5mlにゼラチン水溶液のそれぞれ1/2量(V/V)および1/5000量(V/V)の実施例1のアルミニウム水溶液(原液)を添加した液を作成し、それぞれにBSA固着不織布を約15秒間浸漬した後、取り出した不織布を一晩風乾した。
風乾して得られた不織布に125μlの水を添加し、1分間揉み抽出処理した。抽出液を回収し、界面活性剤SDS(ソディウムドデシル硫酸)を用いた、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析した。比較対照として、BSA固着した不織布およびアルミニウム水溶液を添加していない0.2重量%のゼラチン水溶液で処理したBSA固着不織布を用いて抽出操作を行った抽出液を作成して用いた。
結果、図3に示すように、BSA固着不織布をアルミニウム水溶液を添加したゼラチン水溶液で処理した不織布の水抽出液中のBSA濃度は、電気泳動分析で検出できないほどの顕著な低下が観られた(図3:レーン2、3)。一方、BSA固着処理のみの不織布の水抽出液からは高い濃度のBSAが検出され(図3:レーン1)、BSA固着不織布をゼラチン水溶液で処理した不織布ではこれよりは少ないが有意な濃度のBSAが確認された(図3:レーン4)。本結果は、アルミニウム含有ゼラチンを塗布することで不織布に固着したBSAの溶出が抑制されたことを示すものであり、アレルゲンの溶出抑制効果に繋がるものである。
(実施例8)金属含有ポリペプチド水溶液の抗アレルゲン性能評価−4
市販の布用噴霧剤であるフィブリーズ液(以下、Fab液、P&G(ピーアンドジー)社製)を溶媒として用い作製した魚由来ゼラチン(FGL−250TS/新田ゼラチン株式会社製)の0.2重量%水溶液にゼラチン水溶液のそれぞれ1/2量(V/V)、1/100量(V/V)、1/1000量(V/V)のアルミニウム水溶液(原液)を添加し、金属アルミの濃度が異なる3種類の液を作製した。
作成したそれぞれの液、5mlに2cm角の不織布(ポリエステル製、目付け35g/m)を1時間浸漬し、一晩風乾後、約200mlの水を用いた水洗を15分毎4回実施し、その後再度一晩風乾した。風乾処理を行った不織布に0.2mg/mlのBSA液250μlを添加、室温で30分放置後、上清を回収し、界面活性剤SDS(ソディウムドデシル硫酸)を用いた、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析を実施した。比較対照として、無加工不織布および0.2重量%ゼラチン水溶液で処理した不織布の上清を用いた。
結果、表3に示すように、1/100量のアルミニウム水溶液を添加した溶液では明確なBSA濃度の低下が認められ、また1/1000量および1/2量のアルミニウム水溶液を添加した溶液では、有意な低下が認められた。これに対し、対照とした無加工不織布、Fab液処理不織布ではほとんど濃度低下が観られなかった。
(比較例1)金属濃度が中濃度範囲の金属含有ポリペプチド水溶液の作製と分散性評価
実施例1で作製したアルミニウム水溶液(原液)を水で10倍に希釈した液に等量の10%コラーゲンペプチド液、および10%コラーゲンペプチド液を水で2倍、20倍、200倍、2000倍、20000倍、200000倍にそれぞれ希釈した液を等量添加、混合、また同アルミニウム水溶液(原液)を水で100倍に希釈した液に等量の10%コラーゲンペプチド液、および10%コラーゲンペプチド液を水で2倍に希釈した液を等量添加し、混合したものをそれぞれ金属含有ポリペプチド水溶液とした。2日間室温で静置し沈殿形成有無を観察した。結果を表1に示した。
(比較例2)金属濃度が中濃度範囲の金属含有ポリペプチド水溶液の抗菌性評価
比較例1の金属含有ポリペプチド水溶液2mlに4μlのLB培地(0.5%酵母エキスDifco社製、1%ポリペプチトンDifco社製、0.5%NaCl(ナカライテスク社製))を添加、さらに一晩培養した大腸菌を水で1000倍したもの2μlを添加し、一晩室温静置した後、100μlをLB寒天プレート培地(LB培地に寒天(和光純薬社製)を1.5%になるように添加しオートクレーブして作製)に塗布、一晩37℃で培養し出現したコロニー数を計測することで金属含有ポリペプチド水溶液中の生菌数を算出し抗菌性能評価を行った。抗菌性能評価のための対照は実施例3で実施したものを用いた。結果を表2に示した。
図1
1.レーン1:BSA(bovine serum albumin)マーカー
2.レーン2:Al液+コラーケ゛ン
3.レーン3:Al液+BSA
4.レーン4:Al液+BSA+コラーケ゛ン
図2
1.レーン1:無加工不織布
2.レーン2:魚ゼラチン/1/1000量のアルミニウム溶液を混合した液で処理した不織布
3.レーン3:魚ゼラチン/1/100量のアルミニウム溶液を混合した液で処理した不織布
4.レーン4:魚ゼラチン/1/2量のアルミニウム溶液を混合した液で処理した不織布
5.レーン5:無加工不織布
6.レーン6:魚ゼラチンに1/5000量のアルミニウム溶液を混合した液で処理した不織布
7.レーン7:魚ゼラチンのみで処理した不織布
図3
1.レーン1:BSA固着処理/水抽出処理
2.レーン2:BSA固着処理/魚ゼラチンに1/2量のアルミニウム溶液を混合した液処理/水抽出処理
3.レーン3:BSA固着処理/魚ゼラチンに1/5000量のアルミニウム溶液を混合した液処理/水抽出処理
4.レーン4:BSA固着処理/水抽出処理/水抽出処理

Claims (5)

  1. 抗菌および抗アレルゲン性能を有する金属含有ポリペプチド水溶液。
  2. ポリペプチドがコラーゲンである請求項1に記載の金属含有ポリペプチド水溶液。
  3. 金属がアルミニウム、ジルコニウム、銀、銅、亜鉛、チタンから選ばれることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属含有ポリペプチド水溶液。
  4. ポリペプチド濃度が0.00001〜6重量%で、金属濃度が0.025〜0.5重量%、もしくは0.000002〜0.02重量%の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の金属含有ポリペプチド水溶液。
  5. 0.00002〜12重量%の範囲のポリペプチド溶液と、金属濃度が0.05〜1重量%、もしくは0.000004〜0.04重量%の範囲の金属濃度の金属塩溶液を混合することによる請求項1〜4のいずれかに記載の金属含有ポリペプチド水溶液の製造方法。
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