JP2012179027A - 2環状シトシン誘導体含有人工二本鎖核酸 - Google Patents

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Abstract

【課題】HIVなどの変異しやすく多様性の高いウイルスに対しても優れたRNA干渉効果を発揮し、またヌクレアーゼ耐性及び細胞内導入効率の高い、人工二本鎖核酸の提供。
【解決手段】特定の塩基配列において1〜数個の塩基が置換、欠失もしくは付加された塩基配列からなる標的塩基配列の少なくとも15塩基の連続する塩基配列に相補的な塩基配列を含む15〜30塩基長のアンチセンス鎖核酸と、当該アンチセンス鎖核酸に相補的な塩基配列を含む15〜30塩基長のセンス鎖核酸とからなり、かつアンチセンス鎖またはセンス鎖中の少なくとも1個のシトシンを2環状シトシン誘導体に置換した人工二本鎖核酸。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヌクレアーゼによる酵素分解に対して耐性を有する人工二本鎖核酸、及び該人工二本鎖核酸を含む医薬組成物に関する。
HIV(Human Immunodeficiency Virus:ヒト免疫不全ウイルス)は、エイズ(AIDS:Acquired Immunodeficiency Syndrome:後天性免疫不全症候群)の原因となるレトロウイルスである。HIVは、ヘルパーT細胞、マクロファージ、樹状細胞といったCD4陽性細胞群を標的とし、これら免疫担当細胞を破壊し、免疫不全症を引き起こす。従って、エイズの治療又は予防のために、生体内のHIVを根絶するか又はその増殖を抑制する薬剤の開発が重要である。
HIVは、2分子のRNA遺伝子を殻内に有し、更にその殻は外皮タンパク質で覆われている。RNAにはウイルス特有の複数の酵素(HIVプロテアーゼ、逆転写酵素、インテグラーゼなど)がコードされている。HIVは宿主細胞に吸着/侵入後、脱殻を起こし、細胞質内にRNAとインテグラーゼ等の複合体を放出する。該RNAから逆転写酵素によりDNAが転写され、完全長の二本鎖DNAが生成する。該DNAは宿主細胞核内に移行し、インテグラーゼにより宿主細胞DNAに組み込まれる。組み込まれたDNAは宿主細胞のポリメラーゼによってmRNAに変換され、該mRNAからはウイルス形成に必要な種々のタンパク質が合成され、最終的にウイルス粒子が形成され、出芽・遊離する。
HIVのライフサイクルにおいて、HIVプロテアーゼは前駆体タンパク質(preprotein)を切断し、逆転写酵素、インテグラーゼ、構造タンパク質などを生成する役割を果たしており、HIVの感染・増殖に必須である。そのためHIVプロテアーゼは抗ウイルス剤開発のターゲットとして注目されている。
これまでに多くのHIVプロテアーゼ阻害剤が開発されており、例えば、インジナビル、サキナビル、ネルフィナビル、リトナビル、ロピナビル、アタザナビル、ホスアンプリナビル、ダルナビル等が既に日本において承認されている。しかしながらHIVの遺伝子は変異しやすく、薬剤耐性を有する変異株が出現するため、これらの薬剤は根本的なエイズ治療薬とはなっていない。
HIVの増殖を抑制するための、HIV特異的siRNAについても知られている(特許文献1)。しかしながら、そのようなsiRNAは予め設定した一定の条件に基づいて設計されており、その基準から外れる分子は自動的に除外されるため、効果的にRNA干渉を引き起こす分子全てが開示されている訳ではない。したがってsiRNAを利用したエイズ治療薬のさらなる研究開発が引き続き重要である。
またsiRNAは通常天然成分で構成されているため、細胞内、培養液中、または生体内に存在するヌクレアーゼによって速やかに分解されるという問題がある。それらのヌクレアーゼが存在する状況下でsiRNAの有効濃度を長期的に維持することは困難である。
siRNAの化学的な修飾は、天然型のsiRNAにはない機能を持たせる有効な手法であり、siRNAの安定性の向上などのための手段として検討されている。例えば、ヌクレアーゼ耐性、細胞導入率、RNA干渉効果を高めたsiRNAとして、センス鎖に芳香族化合物を結合させたsiRNAや、アンチセンス鎖の5’末端部分のヌクレオチドの2’位を様々な官能基で修飾したsiRNAが知られている(特許文献2及び3)。またホスホロチオエートなどの修飾オリゴヌクレオチドに関する特許が、米国Alnylam社やIsis Pharmaceuticals社によって多数取得されている。これらの化学修飾は、RNA分子のリン酸ジエステルとリボース部分を構造変換したもの、あるいはRNA鎖の末端に化学物質を結合させたものである。
特開2008−306962号 特開2009−106165号 国際公開第2004/090105号パンフレット
本発明の目的は、HIVなどの変異しやすく多様性の高いウイルスに対しても優れたRNA干渉効果を発揮し、またヌクレアーゼ耐性及び細胞内導入効率の高い、人工二本鎖核酸を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、天然型二本鎖核酸中のシトシンを2環状シトシンに置換した人工二本鎖核酸が、高いヌクレアーゼ耐性及び細胞導入効率を示すことを見出した。さらにHIVプロテアーゼをコードするRNA配列(特にHIV変異株間で高度に保存された塩基配列)を標的とする天然型二本鎖核酸中のシトシンを2環状シトシンに置換した人工二本鎖核酸が、HIVプロテアーゼに対して優れたRNA干渉効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下に示す通りである。
[1]配列番号41もしくは42で表される塩基配列からなる標的塩基配列または配列番号41もしくは42で表される塩基配列において1〜数個の塩基が置換、欠失もしくは付加された塩基配列からなる標的塩基配列の少なくとも15塩基の連続する塩基配列に相補的な塩基配列を含む15〜30塩基長のアンチセンス鎖核酸と、当該アンチセンス鎖核酸に相補的な塩基配列を含む15〜30塩基長のセンス鎖核酸とからなり、アンチセンス鎖またはセンス鎖中の少なくとも1個のシトシンを2環状シトシン誘導体に置換した人工二本鎖核酸。
[2]標的塩基配列が、GAA GCU CUA UUA GAU ACA GGA GCA GAU GAU ACA(配列番号1)で表される塩基配列からなる標的塩基配列または配列番号1で表される塩基配列の13位〜21位の塩基配列(GAUACAGGA)を除く塩基配列において1〜数個の塩基が置換、欠失もしくは付加された塩基配列からなる標的塩基配列であり、当該センス鎖核酸が連続する9塩基GAUANAGGA(ただしNはシトシンまたは2環状シトシン誘導体であってもよい)を含む少なくとも15塩基の連続する標的塩基配列を含む、[1]に記載の人工二本鎖核酸。
[3]二本鎖核酸がsiRNAである、[1]または[2]に記載の人工二本鎖核酸。
[4]標的塩基配列が下記のいずれかで表される塩基配列又は下記のいずれかで表される塩基配列において塩基配列(GAUACAGGA)を除く塩基配列の1〜数個の塩基に置換、欠失もしくは付加が導入された塩基配列である、[1]〜[3]のいずれかに記載の人工二本鎖核酸:
AGC UCU AUU AGA UAC AGG A(配列番号2);
GCU CUA UUA GAU ACA GGA G(配列番号3);
CUC UAU UAG AUA CAG GAG C(配列番号4);
UCU AUU AGA UAC AGG AGC A(配列番号5);
CUA UUA GAU ACA GGA GCA G(配列番号6);
UAU UAG AUA CAG GAG CAG A(配列番号7);
AUU AGA UAC AGG AGC AGA U(配列番号8);
UUA GAU ACA GGA GCA GAU G(配列番号9);
UAG AUA CAG GAG CAG AUG A(配列番号10);
AGA UAC AGG AGC AGA UGA U(配列番号11);及び
GAU ACA GGA GCA GAU GAU A(配列番号12)。
[5]下記のいずれかから選択される、[1]〜[4]のいずれかに記載の人工二本鎖核酸:
(a)配列番号13〜23のいずれかで表される塩基配列を含むアンチセンス鎖核酸と該核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列を含むセンス鎖核酸とからなる二本鎖核酸;
(b)配列番号13〜23のいずれかで表される塩基配列からなるアンチセンス鎖核酸と、該核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列からなるセンス鎖核酸とからなる二本鎖核酸;
(c)配列番号13〜23のいずれかで表される塩基配列の5’末端および/または3’末端において1〜4塩基削除された塩基配列(ただし塩基配列UNNUGUAUN(Nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す)を含む)からなるアンチセンス鎖核酸と、該核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列からなるセンス鎖核酸とからなる二本鎖核酸;
(d)配列番号13〜23のいずれかで表される塩基配列からなるアンチセンス鎖核酸と、配列番号24〜34から選ばれる塩基配列からなるセンス鎖核酸(ここで、センス鎖の配列番号n(nは13〜23である)に対してアンチセンス鎖の配列番号はn+11である)とからなる二本鎖核酸;
(e)(d)の二本鎖核酸の少なくとも一方の鎖において、塩基配列GAUANAGGA及びUNNUGUAUN(Nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す)を除く塩基配列において1〜数塩基が置換、欠失もしくは付加され、かつウイルス由来タンパク質の発現抑制活性を有する二本鎖核酸;ならびに
(f)(a)〜(e)のいずれかに記載の二本鎖核酸において、アンチセンス鎖核酸および/またはセンス鎖核酸の3’末端または5’末端にヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドを1〜4個付加した二本鎖核酸。
[6]2環状シトシン誘導体が下記式(I)で表される、[1]〜[5]のいずれかに記載の人工二本鎖核酸:
Figure 2012179027

[7]2環状シトシン誘導体を含むヌクレオチドの糖部分がデオキシリボースまたはリボースである、[1]〜[6]のいずれかに記載の人工二本鎖核酸。
[8]ウイルス由来タンパク質の発現抑制活性を有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の人工二本鎖核酸。
[9]ウイルス由来タンパク質がヒト免疫不全ウイルス由来プロテアーゼである、[8]に記載の人工二本鎖核酸。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の人工二本鎖核酸を含有する医薬組成物。
[11]ウイルス増殖の抑制用である、[10]に記載の医薬組成物。
[12]ウイルスがヒト免疫不全ウイルスである、[11]に記載の医薬組成物。
本発明の人工二本鎖核酸に含まれる2環状シトシン誘導体は、該人工二本鎖核酸の塩基対形成能を向上させると共に、ヌクレアーゼによる酵素分解に対する耐性を付与する。そのためウイルス由来タンパク質をコードする標的遺伝子に対して効果的にRNA干渉を引き起こすことができ、該ウイルスの増殖を抑制しうる。また本発明の医薬組成物は、従来のsiRNAよりも高い安定性を有するため、用量および/または投与回数の低減を図ることができる。
図1は、人工siRNAによるHIV−PR発現の阻害効果を示す。HIV−PRを発現するプラスミド及びGFPを発現するプラスミド、ならびにsiRNAを、HeLa細胞に導入した(上パネル)。トランスフェクトした各細胞におけるHIV−PR活性を測定し、siRNAでトランスフェクトしていない細胞におけるHIV−PR発現を100として、HIV−PRの発現(%)を算出した。 図2は、RNA分解酵素に対する本発明の人工siRNAの安定性を示す。天然型siRNA(菱形)、3'-biC(四角)及び5'-biC(三角)の存在量を経時的に測定し、反応開始時の存在量を100として、残存率(%)を算出した。各試料について3連で実験を行ない、結果を平均値±標準偏差で表した。
定義
二本鎖核酸とは、センス鎖とアンチセンス鎖とがハイブリダイズした二本鎖領域を有する核酸分子であり、RNA、DNA、又はRNAとDNAのキメラ分子であり得る。
RNAは、それぞれがリン酸基及び窒素を含む塩基(典型的には、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)またはウラシル(U))に結合した糖リボースを含むリボヌクレオチドのポリマーである。DNAは、それぞれがリン酸基及び窒素を含む塩基(典型的には、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)またはチミン(T))に結合した糖デオキシリボースを含むデオキシリボヌクレオチドのポリマーである。RNA中のUは、DNAにおいてはTに一義的に読み替えることができる。RNAとDNAのキメラ分子とは、RNA分子中の一部のリボヌクレオチドがデオキシリボヌクレオチドである分子、又はDNA分子中の一部のデオキシリボヌクレオチドがリボヌクレオチドである分子をいう。これらの核酸分子の配列は、特に明記されない限り、5’末端から3’末端の方向に左から右へ、核酸分子上の塩基の配列として表される。
RNAは、DNAと同様に、相補水素結合を形成することができる。それゆえRNAは、二本鎖(dsRNA)、一本鎖(ssRNA)または一本鎖オーバーハングを有する二本鎖でありうる。オーバーハングは、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の末端における1〜数個のヌクレオチドの付加により形成されるものであり、他方の鎖と塩基対を形成しない領域である。
またRNAは、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)およびスモールヘアピンRNA(shRNA)を含み、それぞれが細胞内で特定の役割を果たしている。本明細書に用いられる場合、用語「RNA」は、これらのすべてを含む。
siRNAは、タンパク質発現に特異的に干渉するそれらの能力に因んで名付けられた約10塩基長から約30塩基長までの二本鎖RNA分子を指す。
RNA干渉(RNAi)とは、siRNAなどのRNAi誘導性核酸により仲介される、遺伝子発現(タンパク質合成)の配列特異的又は遺伝子特異的抑制を指す。特定の理論又は作用様式に限定されないが、RNAiは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)によりmRNAを分解すること、および転写されたmRNAの翻訳を阻害することを含みうる。また遺伝子の転写を抑制するゲノムDNAのメチル化も含み得る。RNAiにより引き起こされる遺伝子発現の抑制は、一過性であっても、長期間持続してもよい。
RNAi誘導性核酸とは、細胞内に導入されることにより、RNA干渉を誘導し得るポリヌクレオチドをいい、好ましくはRNAまたはRNAとDNAのキメラ分子である。
人工二本鎖核酸とは、センス鎖またはアンチセンス鎖中に少なくとも1つの人工的な修飾を有する二本鎖核酸をいう。人工的な修飾の例としては、ホスホロチオエート型、ボラノフォスフェート型DNA/RNAなどのリン酸骨格を修飾したもの;2’−OMe修飾RNA、2’−F修飾RNAなどの2’修飾ヌクレオチド;LNA(Locked Nucleic Acid)やENA(2'-O,4'-C-Ethylene-bridged nucleic acids)などのヌクレオチドの糖分子を架橋した修飾ヌクレオチド;PNA(ペプチド核酸)、モルフォリノヌクレオチドなどの基本骨格が異なる修飾ヌクレオチド;5−フルオロウリジン、5−プロピルウリジン、2環状シトシン誘導体(後述)などの塩基修飾型ヌクレオチド等が挙げられる。
2環状シトシン誘導体含有人工二本鎖核酸
本発明の人工二本鎖核酸は、ウイルス由来タンパク質をコードする遺伝子中に存在する塩基配列を標的とする。
ウイルス由来のタンパク質は、任意のウイルスの感染または増殖に必要なウイルス由来のタンパク質であってよい。ウイルスとしては、レトロウイルス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトTリンパ球向性ウイルス−1(HTLV−1))などのRNAウイルス及びDNAウイルスが挙げられる。ウイルス由来のタンパク質は、好ましくはHIV由来のタンパク質であり、より好ましくはHIV由来のプロテアーゼ(HIV−PR)である。
現在までにHIVの2つの異なるファミリー、すなわち、HIV−1およびHIV−2が明らかにされている。したがって本明細書中で用いられる場合、HIV−PRには、HIV−1由来のプロテアーゼ及びHIV−2由来のプロテアーゼの両方が含まれる。
標的塩基配列は、配列番号41又は42で表される塩基配列からなる標的塩基配列であり得る。配列番号41で表される塩基配列は、HIV−1由来のプロテアーゼをコードする遺伝子(HIV−1ゲノム(アクセッション番号:M19921(2010年5月24日更新))の2253位〜2549位)の配列である。配列番号42で表される塩基配列は、HIV−2由来のプロテアーゼをコードする遺伝子(ヒトに感染したHIV−2のpolタンパク質をコードする遺伝子(アクセッション番号:GU012505)の塩基配列(ただし該遺伝子中のTは、RNAにおいてはUに一義的に読み替えられている)の1位〜297位)の配列である。
また標的塩基配列は、配列番号41又は42で表される塩基配列において1〜数個(具体的には1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1又は2個)の塩基が置換、欠失もしくは付加された塩基配列からなる標的塩基配列であり得る。このような塩基配列としては、様々なHIV−1変異株由来のプロテアーゼやHIV−2変異株由来のプロテアーゼをコードする遺伝子の配列が挙げられるが、これらに限定されない。
標的塩基配列は、好ましくは、GAA GCU CUA UUA GAU ACA GGA GCA GAU GAU ACA(配列番号1)で表される塩基配列からなる標的塩基配列または配列番号1で表される塩基配列の13位〜21位の塩基配列(GAUACAGGA)を除く塩基配列において1〜数個の塩基が置換、欠失もしくは付加された塩基配列からなる標的塩基配列である。
配列番号1で表される配列は、配列番号41で表される配列の部分配列であり、当該配列の5’末端から61位〜93位(HIV−1ゲノムの2313位〜2345位)に位置する。また配列番号1で表される配列は、配列番号42で表される配列の部分配列であり、当該配列の5’末端から61位〜93位に位置する。配列番号1で表される配列の5’末端から13位〜21位の塩基配列(GAUACAGGA)は、少なくとも9種のHIV−1の変異株の間で完全に保存されている(D.S. Dauber et al. Journal of Virology, 2002, 76 (3), 1359-1368)。このことはこの保存領域がHIV−PRの機能または発現に重要であることを示唆する。そのため、この保存された配列を含む塩基配列を標的とすることで、RNA干渉に対する耐性株の発生を特に効果的に抑えることが可能である。一方、配列番号1で表される配列の5'末端から1位〜12位の塩基配列および22位〜33位の塩基については、各HIV−1変異株又はHIV−2変異株の配列に合せて、1〜数個(具体的には1〜4個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1又は2個)の塩基が置換、欠失もしくは付加されうる。例えば、配列番号1で表される配列の5'末端から28位のグアニンはアデニンに置換されうる。以上のような標的塩基配列は、HIV−1及びHIV−2以外の他のウイルス由来タンパク質をコードする遺伝子にも存在していてもよい。
より好ましくは、本発明の人工二本鎖核酸の標的塩基配列は、配列番号1で表される塩基配列の部分配列であって、下記のいずれかで表される配列または下記のいずれかで表される塩基配列において塩基配列GAUACAGGAを除く塩基配列の1〜数個(具体的には1〜4個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1又は2個)の塩基に置換、欠失もしくは付加が導入された塩基配列である(下線は標的塩基配列中の保存領域を示す):
AGC UCU AUU AGA UAC AGG A(配列番号2);
GCU CUA UUA GAU ACA GGA G(配列番号3);
CUC UAU UAG AUA CAG GAG C(配列番号4);
UCU AUU AGA UAC AGG AGC A(配列番号5);
CUA UUA GAU ACA GGA GCA G(配列番号6);
UAU UAG AUA CAG GAG CAG A(配列番号7);
AUU AGA UAC AGG AGC AGA U(配列番号8);
UUA GAU ACA GGA GCA GAU G(配列番号9);
UAG AUA CAG GAG CAG AUG A(配列番号10);
GA UAC AGG AGC AGA UGA U(配列番号11);及び
GAU ACA GGA GCA GAU GAU A(配列番号12)。
本発明の人工二本鎖核酸に含まれる2環状シトシン誘導体は、本発明者らによって修飾塩基として新たに開発されたものであり、シトシンと同様にグアニンと塩基対を形成し、且つ7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−2(3H)−オン構造を含む修飾塩基である。2環状シトシン誘導体は、具体的には下記式(I)の構造を有する。
Figure 2012179027
2環状シトシン誘導体は、シトシンと同様に、3つの水素結合によりグアニンとの間で塩基対を形成することができる。いかなる理論にも拘束されないが、2環状シトシン誘導体は、シトシンと比較して、二重結合がさらに導入されたことで隣接する核酸塩基との追加のスタッキング相互作用を有し、炭化水素が追加されたことで疎水性相互作用が増加し、環化したことで強固な塩基対合のための固定された構造を有している。そのため2環状シトシン誘導体とグアニンの塩基対は、シトシンとグアニンの塩基対よりも安定であり得、安定な二本鎖核酸の形成に寄与しうる。
2環状シトシン誘導体(式(I)の塩基など)を含むリボヌクレオチドは、例えば、5−ヨードウリジンを出発材料として下記実施例1に記載の手順1)→2)→3)→4)→5)→6)→7)→8)で合成することができる。また、最終産物の収率は低下するものの、より簡単な経路として、実施例1に記載の手順を変更した下記手順1)→2)→6)→4)→7)→8)で合成することもできる。
Figure 2012179027
また2環状シトシン誘導体(式(I)の塩基など)を含むデオキシリボヌクレオチドは、例えば、5−ヨード2’−デオキシウリジンを出発材料として下記実施例1に記載の手順から2’水酸基への保護基の導入工程を除いた手順1)→2)→6)→7)→8)で合成することができる。2環状シトシン誘導体を含むヌクレオチドは、これら以外の手順で合成してもよい。
2環状シトシン誘導体を含む人工二本鎖核酸は、2環状シトシン誘導体を含むヌクレオチドと天然型のヌクレオチドを用いて、公知の化学合成を用いる方法(例えば市販のDNA/RNA自動合成装置を用いたホスホロアミダイト法、ホスホロチオエート法、ホスホトリエステル法など)により合成することができる。
2環状シトシン誘導体は、センス鎖またはアンチセンス鎖のいずれか一方にのみ含まれていてもよく、両方に含まれていてもよい。2環状シトシン誘導体が含まれる位置も特に限定されない。
人工二本鎖核酸中に含まれる2環状シトシン誘導体の総数は、1個以上であれば特に限定されず、センス鎖またはアンチセンス鎖中のグアニンと相補的な塩基(即ちシトシン)の全てが2環状シトシン誘導体であってもよい。好ましくは、人工二本鎖核酸中に含まれる2環状シトシン誘導体の総数は1〜16個である。
2環状シトシン誘導体を含むヌクレオチドの糖部分は、リボースであってもデオキシリボースであってもよい。オリゴヌクレオチド合成の原料として取り扱いの容易さの観点から、該糖部分は好ましくはデオキシリボースである。
本発明の人工二本鎖核酸は、少なくとも1つの2環状シトシン誘導体を含むが、他の修飾も含みうる。他の修飾としては、例えば上記人工二本鎖核酸の定義に記載した修飾が挙げられるがそれらに限定されない。
本発明の人工二本鎖核酸をウイルスが原因の疾患の予防または治療剤に用いる場合、該人工二本鎖核酸は、該ウイルス受容体と結合するリガンドとコンジュゲートしていてもよい。このようなリガンドとのコンジュゲートは、患者の生体内の器官、組織または細胞に存在する標的ウイルスへの該人工二本鎖核酸の送達を効率よく行なうために有用でありうる。例えばHIV−1が標的ウイルスである場合、人工二本鎖核酸の3’末端または5’末端に、T細胞上のCD4表面タンパク質に結合することができるHIV−1表面抗原を付着させることにより、標的ウイルスへの高効率の送達を行ないうる(Kilby JM and Eron JJ, New England J. of Medicine, 348(22):2228-2238 (2003))。
本発明の人工二本鎖核酸は、前記標的塩基配列に相補的な塩基配列を含むアンチセンス鎖核酸と当該アンチセンス鎖核酸に相補的な塩基配列を含むセンス鎖核酸とからなる(ただしシトシンは2環状シトシン誘導体であってもよい)。本明細書において「相補的な」とは、二本鎖の二重鎖形成部の塩基対の総数に対する塩基間のA:U又はT、G:C又は2環状シトシン誘導体の塩基対合の割合が高いことを意味し、約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、更に好ましくは約95%以上、最も好ましくは100%の相補性を有することをいう。
本発明の人工二本鎖核酸は、標的塩基配列と相互作用するように、即ち標的塩基配列に結合するのに十分な相補性を有するように、当業者に公知の方法により設計されてもよい。例えば、siRNA、miRNA、shRNAなどについての様々な設計ソフトウエアまたはアルゴリズムを用いて、前記標的塩基配列から適切な二本鎖核酸の塩基配列を選択することができる。
前記センス鎖核酸の長さは、連続する9塩基GAUANAGGA(ただしNはシトシンまたは2環状シトシン誘導体であってもよい)を含む少なくとも15塩基長であれば特に限定されず、例えば15〜30塩基長、15〜25塩基長、17〜23塩基長、19〜21塩基長である。したがって前記センス鎖核酸の長さは、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30塩基長であり得る。
本明細書中、二本鎖核酸の長さは、オーバーハング(overhang)を含まない二本鎖領域の長さで表す。よって、二本鎖核酸がsiRNAの場合、二本鎖核酸の長さは、二本鎖核酸の二重鎖形成部の塩基対数を表す。例えば、19塩基長の二本鎖核酸は、19個の連続した塩基対を形成して共にアニールする2つの逆向きのRNA鎖を含み、各鎖は3’末端又は5’末端(好ましくは3’末端)にオーバーハングを有していてもよい。
オーバーハングの長さは変わりうるが、好ましくは、1〜数塩基長(例、1、2、3または4塩基長)であり、より好ましくは2塩基長である。またオーバーハングに含まれるヌクレオチドは特に限定されず、標的塩基配列(センス鎖の場合)又はそれに相補的な配列(アンチセンス鎖の場合)を形成してもよいが、そのような配列でなくてもよい。オーバーハングに含まれるヌクレオチドは修飾ヌクレオチド(例えば上記人工二本鎖核酸の定義に記載した修飾ヌクレオチド)であってもよい。一具体例として、オーバーハングは、TTの塩基配列からなるジヌクレオチドである。
本発明の人工二本鎖核酸における二本鎖構造は、連結されていないセンス鎖とアンチセンス鎖で構成されていてもよいし(siRNA、miRNAなど)、一つのRNAのステムループ構造によって与えられてもよい(shRNAなど)。したがって本発明の人工二本鎖核酸としては、例えばsiRNA、miRNA、shRNAなどが挙げられるが、転写抑制活性が強いことから、好ましくはsiRNAである。
一実施形態において、本発明の人工二本鎖核酸は、下記のいずれかから選択されるアンチセンス鎖とセンス鎖とからなる二本鎖核酸である:
(a)配列番号13〜23のいずれかで表される塩基配列を含むアンチセンス鎖核酸と該核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列を含むセンス鎖核酸とからなる二本鎖核酸;
(b)配列番号13〜23のいずれかで表される塩基配列からなるアンチセンス鎖核酸と、該核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列からなるセンス鎖核酸とからなる二本鎖核酸;
(c)配列番号13〜23のいずれかで表される塩基配列の5’末端および/または3’末端において1〜4塩基削除された塩基配列(ただし塩基配列UNNUGUAUN(Nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す)を含む)からなるアンチセンス鎖核酸と、該核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列からなるセンス鎖核酸とからなる二本鎖核酸;ならびに
(d)配列番号13〜23のいずれかで表される塩基配列からなるアンチセンス鎖核酸と、配列番号24〜34から選ばれる塩基配列からなるセンス鎖核酸(ここで、アンチセンス鎖の配列番号n(nは13〜23である)に対してセンス鎖の配列番号はn+11である)とからなる二本鎖核酸。
Figure 2012179027
別の実施形態において、本発明の人工二本鎖核酸は、以下の二本鎖核酸でありうる:
(e)前記(d)の二本鎖核酸の少なくとも一方の鎖において、塩基配列GAUANAGGA及びUNNUGUAUN(Nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す)を除く塩基配列において1〜数塩基(例えば1〜4個、1〜3個、1又は2個)が置換、欠失もしくは付加され、かつウイルス由来タンパク質の発現抑制活性を有する二本鎖核酸。
ウイルス由来タンパク質の発現抑制活性の有無は種々の公知の試験方法(例、ノーザン分析、ウェスタン分析、RTPCR、発現プロファイリングなど)により評価することができる。該発現抑制活性の有無は、例えば、標的塩基配列を含むmRNAの切断の検出や、該ウイルス由来タンパク質が酵素である場合にはその酵素活性測定などによっても評価することができる。これらの試験は、インビトロまたはインビボの当該分野において公知の実験系を用いて行なうことができる。
さらに別の実施形態において、本発明の人工二本鎖核酸は、オーバーハングを有していてもよく、この場合以下の二本鎖核酸である:
(f)前記(a)〜(e)のいずれかに記載の二本鎖核酸において、アンチセンス鎖核酸および/またはセンス鎖核酸の3’末端または5’末端にヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドを1〜4個(例、1、2、3または4個)付加した二本鎖核酸。
好適なヌクレオチドの付加としては、TTの塩基配列からなるジヌクレオチドの付加が挙げられる。
本発明の人工二本鎖核酸は、標的塩基配列を有する遺伝子に対してRNA干渉効果を有し、その結果該遺伝子又は該遺伝子産物の発現を抑制しうる。本発明の人工二本鎖核酸は、好ましくはウイルス由来タンパク質(好ましくはヒト免疫不全ウイルス由来プロテアーゼ(HIVプロテアーゼ))の発現抑制活性を有する。発現抑制活性の有無は、種々の公知の試験方法(例、ノーザン分析、ウェスタン分析、RTPCR、発現プロファイリングなど)により評価することができる。該発現抑制活性の有無は、例えば、標的塩基配列を含むmRNAの切断の検出や、該ウイルス由来タンパク質が酵素である場合にはその酵素活性測定などによっても評価することができる。これらの試験は、インビトロまたはインビボの当該分野において公知の実験系を用いて行なうことができる。
本発明の人工二本鎖核酸は、標的塩基配列を有する遺伝子又はその遺伝子産物の発現を抑制しうるため、該遺伝子の機能の解析に有用である。また本発明の人工二本鎖核酸により発現が抑制されるウイルス由来タンパク質がウイルスの増殖に重要な役割を果たしている場合(例えば、ウイルス由来タンパク質がHIVプロテアーゼである場合)、その発現抑制活性を有する本発明の人工二本鎖核酸は、ウイルスの増殖を抑制しうるため、ウイルスが原因の疾患の予防または治療剤の製造に有用である。
本発明の人工二本鎖核酸を含有する医薬組成物
さらに本発明は、上記本発明の人工二本鎖核酸を含有する医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、ウイルス由来タンパク質の発現を抑制しうるため、好ましくはウイルス増殖の抑制用の医薬組成物である。より好ましくは、本発明の医薬組成物はヒト免疫不全ウイルス増殖の抑制用である。
本発明の医薬組成物の投与量は、有効成分の種類もしくは活性、投与対象となる動物種、投与対象の病気の重篤度、薬物受容性、体重、年齢等によって異なるが、通常、成人1日あたり有効成分量として約0.0001〜約1000mg/kgが例示され、好ましくは1〜500mg/kgである。場合によっては、これ以下でも十分であるし、また逆にこれ以上の用量を必要とすることもある。また1日1回〜数回投与することもでき、1日〜数日の間隔をおいて投与することもできる。
本発明の医薬組成物の投与対象としては、ヒトおよびヒトを除く哺乳動物が挙げられ、ヒトを除く哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等のげっ歯類やウサギ等の実験動物、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ等の家畜、イヌ、ネコ等のペット、サル、オランウータン、チンパンジー等の霊長類が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、本発明の人工二本鎖核酸のみを含有するものであってもよいが、通常は薬理学的に許容される1つまたはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られる任意の方法により製造した医薬製剤として投与される。
本発明の医薬組成物は、患者に対して経口的または非経口的に投与することができる。投与形態としては、経口投与、または気道内、直腸内、皮下、筋肉内もしくは静脈内などの非経口投与が挙げられる。また医薬組成物は、必要に応じて、薬理学的に許容される添加剤と共に、投与に適した剤型に製剤化される。経口投与に適した剤型としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などが挙げられ、非経口投与に適した剤型としては、例えば、注射剤、坐剤、噴霧剤、貼付剤、ローション剤、クリーム剤などが挙げられる。これらは当該分野で汎用されている通常の技術を用い、調製することができる。本発明の医薬組成物は、ウイルス増殖の抑制効果を奏する限りその投与経路および剤形は特に限定されない。
例えば、本発明の治療剤を注射剤として用いる場合、安定剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエンなど)、溶解補助剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、マクロゴール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油など)、懸濁化剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、乳化剤(例えば、ポリビニルピロリドン、大豆レシチン、卵黄レシチン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80など)、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、グルタミン酸、イプシロンアミノカプロン酸など)、粘稠剤(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性セルロース誘導体、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、マクロゴールなど)、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル類、エデト酸ナトリウム、ホウ酸など)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ホウ酸、ブドウ糖、プロピレングリコールなど)、pH調整剤(例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、酢酸など)、清涼化剤(例えば、l−メントール、d−カンフル、d−ボルネオール、ハッカ油など)、軟膏基剤(白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン、植物油(オリーブ油、椿油、落花生油など)など)などを添加剤として加えることができる。これら添加剤の添加量は、添加する添加剤の種類、用途などによって異なるが、添加剤の目的を達成し得る濃度を添加すればよい。
本発明の医薬組成物に含まれる二本鎖核酸と担体との配合比は、二本鎖核酸1重量部に対して担体1〜200重量部が適当である。好ましくは、二本鎖核酸1重量部に対して担体2.5〜100重量部、さらに好ましくは担体10〜20重量部である。
また本発明の医薬組成物は、リポソームの形態として製剤化することもできる。リポソームの形態にすることで、負に苛電した核酸分子を、負に荷電している細胞に高い親和力で取り込ませることができる。リポソームの調製は、一般的にはリン脂質または他の脂質を用いて、当該分野において公知の方法により行なうことができる。例えば、リポソームの調製は、LipofectinやLipofectamin(いずれもLife Technologies、California、USA)などの市販の試薬を用いて行なうことができる。
以下に実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明において使用する試薬や装置、材料は特に言及されない限り、商業的に入手可能である。
(DNA/RNA自動合成装置を用いた人工オリゴヌクレオチドの合成)
人工オリゴヌクレオチドの合成は、Applied Biosystems社の394 DNA/RNA Synthesizerを使用して、公知のホスホロアミダイト法に従い行った。天然核酸のホスホロアミダイト体は、情報に従い0.1 Mのアセトニトリル溶液として用いた。一方、2環状デオキシシチジンのホスホロアミダイト体は、0.15 Mのアセトニトリル溶液に調製して用いた。
(siRNAの調製)
互いに相補的なオリゴヌクレオチドを等濃度になるよう混和し、95℃で2分間加温した後、1℃/2.5分の温度勾配でアニーリングを行った。二本鎖siRNAの生成は、20%未変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動にて確認した。
(HeLa細胞の培養)
半径6 cmのシャーレにて、3x105個のHeLa細胞を、10%牛胎仔血清(FBS)、300 Uペニシリン及び300μgストレプトマイシンを含むMinimum essential medium(MEM)中で、5% CO2雰囲気下37℃で2日間培養した。細胞培養液を除去した後、10% FBSを含むペニシリン・ストレプトマイシン無添加のMEMを添加し、5% CO2雰囲気下37℃で更に1日間培養した。
(プラスミドの作製)
HIV−1由来のプロテアーゼ(HIV−PR;以下、実施例においてはHIV−PRとしてHIV−1由来のプロテアーゼを用いた)をコードする遺伝子を染色体に挿入したヒト胎児腎細胞株であるE-PR293(T. Fuse et al. Microbes Infect, 2006, 8, 1783-1789)のゲノムを鋳型として、5’-CAACAAGGACCAGCTAGCATGAAAATC(配列番号39)および5’-AGGAAGCTTTTAAAAATTTAAAGTGCAGCC(配列番号40)をプライマーに用いてPCRを行い、HIV−PRをコードする遺伝子領域を増幅した。反応液をアガロースゲル電気泳動で分離した後、PCR産物由来のバンドを切り取り、QIAEX II Gel Extraction Kit(QIAGEN, California、USA)で抽出した。PCR産物抽出液に制限酵素NheI及びHindIII(いずれもNew England Biolab、Massachusetts、USA)を添加し、37℃で1時間処理後、75℃で10分加熱した。反応液をアガロースゲル電気泳動で分離した後、目的のDNA断片由来のバンドを切り取り、QIAEX II Gel Extraction Kitで抽出した。一方、遺伝子発現用プラスミドであるpcDNA 3.1(New England Biolab、Massachusetts、USA)に制限酵素NheI及びHindIIIを添加し、37℃で1時間処理後、75℃で10分加熱した。この溶液に先のDNA断片抽出液及びligation high(Toyobo Biologics、Osaka、JAPAN)を添加し、16℃で1時間処理した。作製した組換えプラスミド溶液を大腸菌DH5α(New England Biolab、Massachusetts、USA)に形質転換し、LA寒天培地(1% 塩化ナトリウム、1% トリプトン、0.5% 酵母抽出物、50ug/mLアンピシリン)上で37℃で終夜培養した。形成した大腸菌コロニーからQIASpin Miniprep Kit(QIAGEN、California、USA)を用いてプラスミドDNAを抽出した後、DNAシークエンサー(Prism 3100-AvantGenetic Analyzer、Applied Biosystems、California、USA)で塩基配列を決定し、HIV−PRの配列を含むプラスミドDNAをpcDNA-HIV-PR 1として用いた。
(HIV-PR及び緑色蛍光タンパク質(GFP)発現プラスミド、並びにsiRNAのトランスフェクション)
トランスフェクションの1時間前に、GFPを発現するプラスミドDNA(pAcGFP(Clontech、California、USA))及びHIV-PRを発現するプラスミドDNA(pcDNA-HIV-PR 1)をそれぞれMEMに溶解し、5分間静置した。これらのプラスミド溶液を混合して5分間静置した後、Lipofectamin 2000(Life Technologies、California、USA)のMEM溶液を加えた。この溶液を5分間静置した後、siRNAのMEM溶液を、終濃度が1〜1000 nM(好ましくは20〜200 nM)となるように加え、更に20分間静置した。この溶液全量を上述のHeLa細胞培養液に添加して、細胞を5% CO2雰囲気下37℃で22時間培養した。細胞培養液を除去し、10% FBS、300 Uペニシリン及び300μgストレプトマイシンを含むMEMを添加して、5% CO2雰囲気下37℃で更に2日間培養した。
(細胞溶解とGFP発現量の測定)
トランスフェクションの後、細胞培養液を除去し、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した。トリプシン-EDTA溶液をシャーレに加え、顕微鏡で接着した細胞が浮遊するのを確認した後、10% FBSを含むMEMを加えた。この細胞懸濁液をチューブに移して5分間遠心分離し、上清を取り除いた。沈殿した細胞を10% FBSを含むMEMに懸濁させ、細胞数を計測した後、5分間遠心分離し、上清を取り除いた。沈殿した細胞をFBS未添加のMEMに懸濁させ5分間遠心分離し、上清を取り除いた。沈殿した細胞をFBS未添加のMEM 2 mLに懸濁させ、懸濁液1 mLを3分間遠心分離し、上清を除去した後、更に20秒間遠心分離して生じた上清を除去した。水をチューブに加えて細胞をよく懸濁させ、氷浴中で10分間超音波処理を施した。この操作を計3回30分間行った。細胞破砕液を20分間遠心分離して上清を回収し、更に20分間遠心分離した。得られた上清50μLを用いて、蛍光分光光度計により、発現したGFP量を測定した。遠心分離は、12000rpm、4℃の条件で行なった。
実施例1
DNA/RNA自動合成用の2環状シトシンを持つリボヌクレオチド前駆材料化合物の新規合成
Figure 2012179027
5−{3−[(トリフルオロアセチル)アミノ]プロプ−1−イン−1−イル}ウリジン (1)
窒素気流下、室温にて、5−ヨードウリジン(1.46 g、3.95 mmol)の無水DMF溶液(20mL)に、2,2,2−トリフルオロ−N−プロプ−2−イン−1−イルアセトアミド(1.92 g、12.6 mmol)、ヨウ化銅(I)(162 mg、0.85 mmol)、トリエチルアミン(1.11 mL、7.96 mmol)を順に加えた。ヨウ化銅(I)が溶解した後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(465 mg、0.40 mmol)を加え、室温にて終夜撹拌した。16時間後、反応液を減圧下溶媒留去した。残渣にメタノールを加え、室温にて1時間撹拌した。生じた白色沈殿を濾去し、濾液を減圧下溶媒留去した。残渣にアセトニトリルを加え、よく振盪しながら沸騰させ、さらに残渣を超音波破砕しながら室温まで冷却した後、冷蔵庫で終夜静置した。生じた淡黄色粉末を濾取し、アセトニトリルで洗浄した後真空乾燥を行い、化合物1をクリーム色粉末として得た(1.11 g、71%)。
5−{(1Z)−3−[(トリフルオロアセチル)アミノ]プロプ−1−エン−1−イル}ウリジン (2)
窒素気流下、-78℃にて、化合物1(397 mg、1.0 mmol)及びNiCl2(133 mg、1.0 mmol)のメタノール溶液(40 mL)に、NaBH4(46 mg、1.2 mmol)を1分ごと4回に分けて加え攪拌した。30分後、反応液を徐々に室温に戻しながら攪拌し、反応液の色が黒色に変化した時点でシリカゲル(400 mg)を加えた。反応液を減圧下溶媒留去して真空乾燥後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル→メタノール/酢酸エチル=2/8→メタノール/酢酸エチル=1/1)にて精製し、化合物2を白色泡状物質として得た(1.02 g、91%)。
3’,5’−O−(ジ−tert−ブチルシランジイル)−5−{(1Z)−3−[(トリフルオロアセチル)アミノ]プロプ−1−エン−1−イル}ウリジン (3)
窒素気流下、0℃にて、化合物2(946 mg、2.4 mmol)のDMF溶液(20 mL)に硝酸銀(1.22 g、7.2 mmol)を加え、攪拌しながらジ−tert−ブチルジクロロシラン(0.75 mL、3.6 mmol)を滴下し、15分間攪拌した。トリエチルアミン(1.1 mL、7.2 mmol)を加えて室温で5分間攪拌した後、反応液を酢酸エチル(80 mL)で希釈し、有機層を水(150 mL)で3回及び飽和食塩水(80 mL)の順に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン(DCM)=2/8→酢酸エチル/DCM=3/7)で精製し、化合物3を白色泡状物質として得た(889 mg、69%)。
2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−3’,5’−O−(ジ−tert−ブチルシランジイル)−5−{(1Z)−3−[(トリフルオロアセチル)アミノ]プロプ−1−エン−1−イル}ウリジン (4)
窒素気流下、室温にて、化合物3(597 mg、1.1 mmol)の無水DMF溶液(10 mL)に、イミダゾール(226 mg、3.3 mmol)及びtert−ブチルジメチルクロロシラン(250 mg、1.7 mmol)を順に加え、室温にて攪拌した。28時間後、tert−ブチルジメチル−クロロシラン(36 mg、0.2 mmol)を追加し、更に11時間攪拌した。反応液にメタノールを加え、反応液を減圧下溶媒留去し真空乾燥を行った。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/DCM=3/7)で精製し、化合物4を白色粉末として得た(469 mg、65%)。
2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−5−{(1Z)−3−[(トリフルオロアセチル)アミノ]プロプ−1−エン−1−イル}ウリジン (5)
窒素気流下、0℃にて、化合物4(247 mg、0.4 mmol)のTHF溶液(1.8 mL)に、10% HF-ピリジン(0.25 mL)を加え30分間攪拌した。反応液にピリジン(2.0 mL)を加えた後、DCMで希釈し、有機層を水で3回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30 mL)、飽和食塩水(30 mL)の順に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM→メタノール/DCM=1/99→メタノール/DCM=3/97→メタノール)にて精製し、化合物5を白色泡状物質として得た(161 mg、83%)。
2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−{(1Z)−3−[(トリフルオロアセチル)アミノ]プロプ−1−エン−1−イル}ウリジン (6)
窒素気流下、室温にて、化合物5(3.8 g、1.0 mmol)のピリジン溶液(70 mL)にN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(62.mg、0.5 mmol)及び4−4−ジメトキシトリチルクロライド(4.1 g、12.0 mmol)を順に加え、室温にて終夜攪拌した。反応液を減圧下溶媒除去して真空乾燥後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トリエチルアミン/DCM=1/199→トリエチルアミン/メタノール/DCM=1/10/189)にて精製し、化合物6を淡黄色泡状物質として得た(3.9 g、57%)。
3−(2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−5’−O−ジメトキシトリチル−β−D−リボフラノシル)−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−2(3H)−オン (7)
化合物6(1.8 g、2.7 mmol)のメタノール溶液(24 mL)に、28%アンモニア水溶液(24 mL)を加え、室温にて終夜攪拌した。反応液を減圧下溶媒除去して真空乾燥後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トリエチルアミン/メタノール/DCM=1/2/197→トリエチルアミン/メタノール/DCM=1/6/193→トリエチルアミン/メタノール/DCM=1/10/189)にて精製し、化合物7を淡黄色泡状物質として得た(1.28 g、84%)。
3−[2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−5’−O−ジメトキシトリチル−3’−O−(N,N−ジイソプロピル−β−シアノエチル−ホスホロアミジル)−β−D−リボフラノシル]−7,8−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−2(3H)−オン (8)
窒素気流下、室温にて、化合物7(227 mg、0.4 mmol)及びテトラゾール(21 mg、0.3 mmol)のDCM溶液(10 mL)に、2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(220μL、0.68 mmol)を滴下し、終夜攪拌した。反応液を減圧下溶媒除去して真空乾燥後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離、精製(トリエチルアミン/酢酸エチル/DCM=1/4.5/4.5)した。フラクションを30℃にて減圧下溶媒除去し、真空乾燥を行い、化合物8を淡黄色泡状物質として得た(222 mg、62%)。
実施例2
人工siRNAによるHIV−PR発現の阻害
実施例1の化合物8を用いて、表2に記載する人工siRNA(天然型siRNA、3'-biC、及び5'-biC)を合成した。
Figure 2012179027
ただし表2の配列中、小文字はリボヌクレオチドの塩基を、大文字はデオキシリボヌクレオチドの塩基を、Xは下記式(I)の塩基を表す。
Figure 2012179027
これらのsiRNAによるHIV−PR発現の阻害効果を、HIVプロテアーゼ(HIV-PR)及び緑色蛍光タンパク質(GFP)発現プラスミド、並びにこれらのsiRNAをトランスフェクトしたHeLa細胞を用いて以下のように評価した。
プラスミド及びsiRNA(終濃度20又は40 nMの天然型siRNA、3'-biC、又は5'-biC)でトランスフェクトしたHeLa細胞又はプラスミドのみでトランスフェクトしたHeLa細胞から、細胞溶解液を調製した。この細胞溶解液10 μLを、1.0 M塩化ナトリウム、1.0 mM エチレンジアミン四酢酸、2.5 % グリセロールを含む50 mM酢酸緩衝液(pH5.5)66 μLに加え、次いでHIV−PRの基質としてアセチル化したペプチド(Ac-SGIFLETS、Ac-ARVLFEAM、Ac-RKILFLDG、Ac-SQNYLIVQ(Sigma-Genosis、Hokkaido、JAPAN)、各2.5 mM)6 μLを加えた。37℃で2時間インキュベーション後、0.1 M 水酸化ナトリウム5 μL及び1xPBS 20 μLを加えてpH=7.0とし、次いで2.5 mM カテコール 100 μL、1.0 mM NaIO4 50 μL及び0.3 Mホウ酸緩衝液(pH 7.0)50 μLを加えて100℃で10分加熱することにより、生成したペプチド断片を蛍光体に変換した。この蛍光体を高速液体クロマトグラフィーによって分離し、蛍光検出した(HPLC分離条件:溶離液A=メタノール、溶離液B=0.1% トリフルオロ酢酸を含む水、溶離液C=250 mMホウ酸緩衝液(pH 7.0);Aを40分で15%から80%へ、Bを40分で80%から15%へ、Cは5%で一定。検出条件:励起波長400 nm、蛍光波長500 nm)。この検出値を、GFP量の測定値で標準化し、酵素活性レベルを算出した。
結果を図1に示す。siRNAでトランスフェクトしていない細胞におけるHIV−PR発現を100として、siRNAでトランスフェクトした細胞におけるHIV−PR発現を百分率で表した。3'-biC及び5'-biCはいずれも、天然型siRNAと同程度までHIV−PR発現を阻害した。即ち、siRNAに2環状シトシン誘導体を導入しても優れたRNA干渉効果が保持されることが示された。
実施例3
RNA分解酵素に対する人工siRNAの安定性評価
市販のRNA分解酵素I(RNase A (ナカライテスク株式会社、Kyoto、JAPAN))500 μg、75 mM 塩化ナトリウム及び1 mMエチレンジアミン四酢酸を含む10 mMリン酸緩衝液(pH7.5)49 μLに、人工siRNA(20 μM)1 μLを添加し、37℃にて反応させた。反応開始後0、10、20、30、60分後に反応液の一部(5μL)を2%ジエチルピロカーボネート水溶液5μLに加えて反応を停止させた。
これらの溶液を、20%未変性ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動し、CYBR GOLDにてゲルを染色した。得られた人工siRNA由来のバンドをゲルイメージング装置により検出し、バンド由来の蛍光強度から反応後の各時点における人工siRNAの残存率を算出した。
結果を図2に示す。天然型siRNAは反応開始から30分後には約10%しか残っていなかったが、人工siRNA(3'-biC及び5'-biC)は反応開始から30分後には約40%の残存率を示し、60分後でも残存率の更なる低下はみられなかった。従って、2環状シトシン誘導体を含む人工siRNAは、同じ塩基配列の天然型siRNAと比較して、優れたヌクレアーゼ耐性を有することが示された。
本発明の医薬組成物によれば、ウイルスの増殖を抑制することができ、ウイルスが原因の疾患の患者に新たな治療手段を提供することができる。
[配列番号13]
配列番号2で表される配列の相補配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号14]
配列番号3で表される配列の相補配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号15]
配列番号4で表される配列の相補配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号16]
配列番号5で表される配列の相補配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号17]
配列番号6で表される配列の相補配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号18]
配列番号7で表される配列の相補配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号19]
配列番号8で表される配列の相補配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号20]
配列番号9で表される配列の相補配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号21]
配列番号10で表される配列の相補配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号22]
配列番号11で表される配列の相補配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号23]
配列番号12で表される配列の相補配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号24]
配列番号2で表される配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号25]
配列番号3で表される配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号26]
配列番号4で表される配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号27]
配列番号5で表される配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号28]
配列番号6で表される配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号29]
配列番号7で表される配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号30]
配列番号8で表される配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号31]
配列番号9で表される配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号32]
配列番号10で表される配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号33]
配列番号11で表される配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号34]
配列番号12で表される配列に基づき合成された人工核酸。
nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号35]
HIV−PR発現の阻害用siRNAの合成センス鎖。
DNA/RNA結合分子
[配列番号36]
HIV−PR発現の阻害用siRNAの合成アンチセンス鎖。
DNA/RNA結合分子
[配列番号37]
HIV−PR発現の阻害用siRNAの合成アンチセンス鎖。
DNA/RNA結合分子
nは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号38]
HIV−PR発現の阻害用siRNAの合成アンチセンス鎖。
DNA/RNA結合分子
nは2環状シトシン誘導体を表す。
[配列番号39]
PCRプライマー
[配列番号40]
PCRプライマー

Claims (12)

  1. 配列番号41もしくは42で表される塩基配列からなる標的塩基配列または配列番号41もしくは42で表される塩基配列において1〜数個の塩基が置換、欠失もしくは付加された塩基配列からなる標的塩基配列の少なくとも15塩基の連続する塩基配列に相補的な塩基配列を含む15〜30塩基長のアンチセンス鎖核酸と、当該アンチセンス鎖核酸に相補的な塩基配列を含む15〜30塩基長のセンス鎖核酸とからなり、アンチセンス鎖またはセンス鎖中の少なくとも1個のシトシンを2環状シトシン誘導体に置換した人工二本鎖核酸。
  2. 標的塩基配列が、GAA GCU CUA UUA GAU ACA GGA GCA GAU GAU ACA(配列番号1)で表される塩基配列からなる標的塩基配列または配列番号1で表される塩基配列の13位〜21位の塩基配列(GAUACAGGA)を除く塩基配列において1〜数個の塩基が置換、欠失もしくは付加された塩基配列からなる標的塩基配列であり、当該センス鎖核酸が連続する9塩基GAUANAGGA(ただしNはシトシンまたは2環状シトシン誘導体であってもよい)を含む少なくとも15塩基の連続する標的塩基配列を含む、請求項1に記載の人工二本鎖核酸。
  3. 二本鎖核酸がsiRNAである、請求項1又は2に記載の人工二本鎖核酸。
  4. 標的塩基配列が下記のいずれかで表される塩基配列又は下記のいずれかで表される塩基配列において塩基配列(GAUACAGGA)を除く塩基配列の1〜数個の塩基に置換、欠失もしくは付加が導入された塩基配列である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の人工二本鎖核酸:
    AGC UCU AUU AGA UAC AGG A(配列番号2);
    GCU CUA UUA GAU ACA GGA G(配列番号3);
    CUC UAU UAG AUA CAG GAG C(配列番号4);
    UCU AUU AGA UAC AGG AGC A(配列番号5);
    CUA UUA GAU ACA GGA GCA G(配列番号6);
    UAU UAG AUA CAG GAG CAG A(配列番号7);
    AUU AGA UAC AGG AGC AGA U(配列番号8);
    UUA GAU ACA GGA GCA GAU G(配列番号9);
    UAG AUA CAG GAG CAG AUG A(配列番号10);
    AGA UAC AGG AGC AGA UGA U(配列番号11);及び
    GAU ACA GGA GCA GAU GAU A(配列番号12)。
  5. 下記のいずれかから選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の人工二本鎖核酸:
    (a)配列番号13〜23のいずれかで表される塩基配列を含むアンチセンス鎖核酸と該核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列を含むセンス鎖核酸とからなる二本鎖核酸;
    (b)配列番号13〜23のいずれかで表される塩基配列からなるアンチセンス鎖核酸と、該核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列からなるセンス鎖核酸とからなる二本鎖核酸;
    (c)配列番号13〜23のいずれかで表される塩基配列の5’末端および/または3’末端において1〜4塩基削除された塩基配列(ただし塩基配列UNNUGUAUN(Nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す)を含む)からなるアンチセンス鎖核酸と、該核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列からなるセンス鎖核酸とからなる二本鎖核酸;
    (d)配列番号13〜23のいずれかで表される塩基配列からなるアンチセンス鎖核酸と、配列番号24〜34から選ばれる塩基配列からなるセンス鎖核酸(ここで、センス鎖の配列番号n(nは13〜23である)に対してアンチセンス鎖の配列番号はn+11である)とからなる二本鎖核酸;
    (e)(d)の二本鎖核酸の少なくとも一方の鎖において、塩基配列GAUANAGGA及びUNNUGUAUN(Nはシトシンまたは2環状シトシン誘導体を表す)を除く塩基配列において1〜数塩基が置換、欠失もしくは付加され、かつウイルス由来タンパク質の発現抑制活性を有する二本鎖核酸;ならびに
    (f)(a)〜(e)のいずれかに記載の二本鎖核酸において、アンチセンス鎖核酸および/またはセンス鎖核酸の3’末端または5’末端にヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドを1〜4個付加した二本鎖核酸。
  6. 2環状シトシン誘導体が下記式(I)で表される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の人工二本鎖核酸:
    Figure 2012179027
  7. 2環状シトシン誘導体を含むヌクレオチドの糖部分がデオキシリボースまたはリボースである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の人工二本鎖核酸。
  8. ウイルス由来タンパク質の発現抑制活性を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の人工二本鎖核酸。
  9. ウイルス由来タンパク質がヒト免疫不全ウイルス由来プロテアーゼである、請求項8に記載の人工二本鎖核酸。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の人工二本鎖核酸を含有する医薬組成物。
  11. ウイルス増殖の抑制用である、請求項10に記載の医薬組成物。
  12. ウイルスがヒト免疫不全ウイルスである、請求項11に記載の医薬組成物。
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Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6015006889; Mol.Ther.,2006,14(6),p.883-92 *
JPN6015006891; 第26回日本薬学会九州支部大会講演要旨集,2009,p.122,1D-28 *

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