JP2012177161A - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザーまたは電子ビーム照射を用いて、フォルステライト被膜を有する仕上げ焼鈍済みの方向性電磁鋼板に、平坦化焼鈍後に磁区細分化処理を施すに際し、レーザーまたは電子ビーム照射に伴う絶縁被膜の損傷を回避することで、鋼板の鉄損低減、層間抵抗の確保および鋼板外観の維持を実現する方法を提供する。
【解決手段】平坦化焼鈍処理を施す際に、リン酸塩およびシリカを主体とする絶縁コーティング処理を施すものとし、その際、上記処理温度を850℃以上、かつ焼鈍炉内における鋼板に対する付与張力を10MPa以下とし、その後、該鋼板の圧延方向と交差する向きにレーザーまたは電子ビームを照射する磁区細分化処理を施す。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザーまたは電子ビームを照射する磁区細分化処理を施すことにより鉄損を改善した方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
方向性電磁鋼板は、主にトランスの鉄心として利用され、磁化特性に優れていること、特に鉄損が低いことが求められている。
そのためには、鋼板中の二次再結晶粒を、(110)[001]方位(いわゆる、ゴス方位)に高度に揃えることや、製品鋼板中の不純物を低減することが重要である。しかしながら、結晶方位を制御することや、不純物を低減することは、製造コストとの兼ね合い等で限界がある。そこで、鋼板の表面に対して物理的な手法で不均一性を導入し、磁区の幅を細分化して鉄損を低減する技術、すなわち磁区細分化技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、最終製品板にレーザーを照射し、鋼板表層に線状の高転位密度領域を導入し、磁区幅を狭くすることで、鋼板の鉄損を低減する技術が提案されている。また、特許文献2には、電子ビームの照射により磁区幅を制御する技術が提案されている。
上記したレーザーまたは電子ビーム照射による磁区細分化処理は、仕上げ焼鈍を施して、さらに絶縁被膜の焼付けを兼ねた平坦化焼鈍を施した後に行われることが多い。
このような磁区細分化処理を行った場合は、電子ビーム等のビーム径を小さく、出力を絞った条件に制御することで、鋼板に付与された絶縁被膜の損傷を最小限に抑制している。
特公昭57−2252号公報 特公平6−72266号公報
しかしながら、近年の二次再結晶粒の方位集積度の先鋭化という要求によって、磁区細分化処理前における磁区幅は、一層広がる傾向にある。そして、この磁区幅の拡大は、磁区細分化のための入射エネルギーを、一段と高くしている。
すなわち、従来の方法で電子ビームを照射し磁区細分化を施した材料は、その磁区細分化処理による絶縁被膜の損傷が避けられない。そこで、再び皮膜をコーティングする必要が生じるため、再コーティングに伴う生産性の低下およびコストアップなどの問題が生じる。
本発明は、上記した現状に鑑み開発されたもので、レーザーまたは電子ビーム照射を用いて、平坦化焼鈍後に磁区細分化処理を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、レーザーまたは電子ビーム照射に伴う絶縁被膜の損傷を回避することで、鋼板の鉄損低減、層間抵抗の確保および鋼板外観の維持を実現する方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記した課題を解決するために、その方途を鋭意究明したところ、レーザーあるいは電子ビームの照射に先立ち、平坦化焼鈍と同時に絶縁コーティングを行い、かつ平坦化焼鈍での、均熱温度を高めることおよび炉内における鋼板に対する付与張力を低下させることが、絶縁被膜の損傷回避に極めて有効であることを知見し、本発明を完成するに到った。
本発明は上記知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.フォルステライト被膜を有する仕上げ焼鈍済みの方向性電磁鋼板に、平坦化焼鈍処理を施す際に、リン酸塩およびシリカを主体とする絶縁コーティング処理を施すものとし、その際、上記平坦化焼鈍処理温度を850℃以上、かつ焼鈍炉内における鋼板に対する付与張力を10MPa以下とし、その後、該鋼板の圧延方向と交差する向きにレーザーまたは電子ビームを照射する磁区細分化処理を施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、レーザーあるいは電子ビームを用いた磁区細分化処理に伴なう絶縁被膜の損傷を効果的に回避して、低鉄損、高層間抵抗でかつ外観にも優れた方向性電磁鋼板を得ることができる。
各平坦化焼鈍温度における外観と層間抵抗値とを示したグラフである。 平坦化焼鈍温度を820℃および880℃とした場合の、炉内張力と電子ビーム照射後の鉄損値との関係を示したグラフである。
以下、本発明の方法について、詳しく説明する。
本発明では、仕上げ焼鈍を経たフォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板に、平坦化焼鈍を絶縁コーティング処理と併せて施し、ついで鋼板の圧延方向と交差する向きにレーザーあるいは電子ビームを照射する磁区細分化処理を施すに当り、平坦化焼鈍の温度を高め、かつ焼鈍炉内における鋼板に対する付与張力(以下、単に炉内張力という)を低減することで、レーザーまたは電子ビーム照射に伴う絶縁被膜の損傷を回避して、鋼板の鉄損低減を実現することに特徴がある。
そこで、以下、絶縁被膜の損傷に対する平坦化焼鈍条件の影響について調査した結果に基づいて、本発明を詳しく説明する。
Siを3.3質量%含み、二次再結晶が完了した仕上焼鈍済みのフォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板コイルを用いて、平坦化焼鈍の均熱温度(以下、単に平坦化焼鈍温度という)を変化させる実験を行った。その際、均熱時間は10sとし、炉内張力は8.8MPa(0.9kgf/mm2)の一定値とした。
ついで、平坦化焼鈍後のサンプルについて、電子ビームを圧延方向に対し直角方向に走査し、加速電圧:150kV、ビーム電流値:0.5mA、ビーム径:0.2mmおよびビーム走査速度:5m/sの各条件で、圧延方向に6mmピッチで照射した。この時の絶縁被膜の損傷程度を、目視による外観および層間抵抗値で評価した。
図1に、各平坦化焼鈍温度における外観の評価結果と層間抵抗値の測定結果とを示す。図1に示したように、平坦化焼鈍温度を高めることによって、電子ビームの照射痕も消滅し、層間抵抗値も増大して、皮膜の損傷が軽減することが分かる。なお、目視検査により行った鋼板外観の評価基準は、後述する実施例と同様である。
次に、平坦化焼鈍時の炉内張力の影響を調査するために、平坦化焼鈍温度を820℃および880℃に高めた場合について、炉内張力を変化させる実験を行った。その際、平坦化焼鈍温度を変更する実験と同様の条件で、電子ビームを照射した。
図2に、平坦化焼鈍温度を820℃および880℃とした場合の、炉内張力と電子ビーム照射後の鉄損値との関係を示す。同図に示したとおり、平坦化焼鈍温度を880℃とした場合、炉内張力が10MPa以下になると、急激に鉄損値が低減している。これは、炉内張力が高い場合、平坦化焼鈍を高温化するとクリープ変形により鉄損の劣化が増大するものの、炉内張力が低い場合には、むしろ平坦化焼鈍を高温化する方が鋼板内部の歪が有効に解放されて鉄損が改善されるものと考えている。
本発明における平坦化焼鈍には、二次再結晶が完了した鋼板に対し、高温の焼鈍炉内において、コロイダルシリカとリン酸塩を主体とした絶縁コーティングを行って絶縁被膜を形成し、鋼板と絶縁被膜との熱膨張差を利用して鋼板に張力を付与することで、鋼板の鉄損を低減させるという重要な役割がある。
また、本発明におけるリン酸塩被膜の存在形態としては、通常の平坦化焼鈍温度である800〜840℃の範囲の場合、SiO2-MgO-P2O5系の非晶質被膜であり、850℃以上に高温化すると、一部のリン酸塩が結晶化した被膜となる。この結晶化被膜が、絶縁被膜全体の剛性を高め、レーザーあるいは電子ビーム照射に伴なう熱歪に、耐性を生じさせるものと考えている。
なお、本発明における絶縁コーティングは、コロイダルシリカとリン酸塩を主体として行われるが、リン酸塩としては具体的には、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウムなどが挙げられる。また、その比率は、リン酸塩の含有量として30〜70質量%程度が好ましい。無水クロム酸も被膜の安定性を高めるために添加することが可能であり、その場合、10質量%以下程度が好ましい。さらに、コーティング液の塗布量は10.0〜15.0g/m2の範囲が好ましい。
また、平坦化焼鈍を施す際には、鋼板に張力を付与することで、焼鈍時に発生する巻きぐせを矯正する作用を有する。
平坦化焼鈍前における鋼板表面には、フォルステライト被膜(フォルステライト(Mg2SiO4)を主体とした下地被膜)が形成されている。このフォルステライト被膜は、鋼板とリン酸塩やコロイダルシリカを主体とした絶縁被膜とを接着する、いわゆるバインダーの役割を果たしている。しかしながら、平坦化焼鈍を高温化した場合、焼鈍炉内で鋼板に付与される張力によって、鋼板がクリープ変形して伸長する。その際、フォルステライト被膜は、鋼板に比して、著しく変形が困難なセラミック質であるため、鋼板の伸長に追随できない。そのため、被膜が損傷して鋼板に及ぼす張力が減少し、鉄損が劣化してしまうことになる。
従って、平坦化焼鈍温度を高めた場合には、炉内張力を低減する必要があるものの、高温化により、鋼板の強度が低下するため、少ない張力で充分矯正することが可能である。
具体的には、焼鈍温度を850℃以上の高温とし、通板時の炉内張力を、通常より低い10MPa(1.02kgf/mm)以下に低減することで、磁区細分化処理時の絶縁被膜の損傷を防止し、かつ充分な皮膜密着性を確保して、磁区細分化効果を最大限に発揮することができる絶縁被膜を有する方向性電磁鋼板が得られる。なお、通常の通板時の焼鈍温度は、820℃程度、炉内張力は、12MPa(1.22kgf/mm)程度である。
本発明におけるフォルステライト被膜形成用の焼鈍分離剤としては、MgOを主体としていれば、特に制限はないがTiO2, MgSO4,SrSO4等を含むものが有利に適合する。
本発明において、レーザーあるいは電子ビーム照射を用いて、鋼板に与える歪は、鋼板の圧延方向と交差する向きに、連続または断続した線状で導入する。すなわち、本発明で線状とは、不連続(点線状)を含むものとする。なお、この線状の歪み導入領域は、例えば圧延方向に1mm以上20mm以下の間隔を置いて反復して形成することが好ましい。
本発明では、レーザーまたは電子ビームの照射を、仕上焼鈍と絶縁コーティング処理を兼ねた平坦化焼鈍の後に行う。ここに、方向性電磁鋼板の特徴であるゴス方位の二次再結晶粒を成長させるための仕上焼鈍や、絶縁コーティング処理(平坦化焼鈍)など、いずれも高温での熱処理が必要である。しかしながら、電子ビームの照射後にこのような高温処理を行うと、電子ビーム照射に起因した熱歪によって鋼板に付与された圧縮応力が高温処理によって解消されてしまい、磁区細分化効果が減じてしまうことになる。従って、本発明では、絶縁被膜形成等の高温処理をレーザーまたは電子ビーム処理前に実施する必要がある。
本発明で用いるレーザーの光源としては、従来公知の連続波レーザー、パルスレーザーのいずれでも良く、YAGレーザーやCOレーザー等、種類も問わない。また、照射痕は線状でも点状でも構わないが、これら照射痕の方向は、鋼板の圧延方向に対して、90°から45°をなす範囲の方向であることが好ましい。
なお、近年、使用されるようになってきたグリーンレーザーマーカーは、照射精度の面で特に好適である。
グリーンレーザーマーカーにおけるレーザーの出力は、単位長さ当たりの熱量として、5〜100J/m程度の範囲が好ましい。また、レーザービームのスポット径は0.1〜0.5mm程度の範囲とし、圧延方向の繰返し間隔は、1〜20mm程度の範囲とすることが好ましい。
また、電子ビーム照射では、例えば、照射位置でのビーム径を0.05〜1mmに収束させた電子ビームを、鋼板の幅方向(圧延方向と交差する方向)に走査して、線状に熱歪みを導入させる。電子ビームの出力は10〜2000W程度、走査速度は1〜100m/s程度として、さらに、単位長さ当たりの出力が1〜50J/m程度になるように調整し、線状に1〜20mm程度の間隔で照射するのが好適である。
また、磁区細分化処理を施した方向性電磁鋼板の鉄損は、二次再結晶の方位集積が高い方が、より小さいことが知られている。ここに、方位集積の目安としてB(800A/mで磁化した際の磁束密度)がよく用いられるが、本発明に用いる方向性電磁鋼板は、Bが1.88T以上、より好ましくは1.92T以上のものが好適である。
電磁鋼板の表面に形成される絶縁被膜(張力皮膜)は、前述したように、リン酸アルミニウムやリン酸マグネシウム等のリン酸塩とシリカとを主成分とする絶縁コーティング処理を行うことで、ガラス質の絶縁被膜とする。
本発明では、絶縁被膜の剛性を高め、磁区細分化処理時の絶縁被膜の損傷を低減するために、平坦化焼鈍の温度を850℃以上とすることが必須である。より好ましくは、870℃以上である。平坦化焼鈍温度の上限については特に定めないが、高温になるほど鋼板のクリープ伸びを抑制するための張力値が小さくなり、鋼板の蛇行等の通板上の問題を生じることになる。従って、920℃以下とすることが好ましい。
また、鋼板のクリープ伸びを抑制し、絶縁コーティングの密着性を高めて良好な鉄損を得るために、平坦化焼鈍の炉内張力を10MPa以下とすることが必須である。ここに、平坦化焼鈍時の炉内張力の下限は特に定めないが、焼鈍温度が低いほど巻きぐせを矯正する能力が低下するため、炉内張力の下限は5MPa程度が好ましい。
本発明に係る方向性電磁鋼板は、従来公知の方向性電磁鋼板であればよい。例えば、Si:2.0〜8.0質量%を含む電磁鋼素材を用いればよい。
Si:2.0〜8.0質量%
Siは、鋼の電気抵抗を高め、鉄損を改善するのに有効な元素であるが、含有量が2.0質量%に満たないと十分な鉄損低減効果が達成できず、一方、8.0質量%を超えると加工性が著しく低下し、また磁束密度も低下するため、Si量は2.0〜8.0質量%の範囲とすることが好ましい。
ここで、Si以外の基本成分および任意添加成分について述べると次のとおりである。
C:0.08質量%以下
Cは、集合組織の改善のために添加をするが、0.08質量%を超えると製造工程中に磁気時効の起こらない50質量ppm以下までCを低減することが困難になるため、0.08質量%以下とすることが好ましい。なお、下限に関しては、Cを含まない素材でも二次再結晶が可能であるので特に設ける必要はない。
Mn:0.005〜1.0質量%
Mnは、熱間加工性を良好にする上で必要な元素であるが、含有量が0.005質量%未満ではその添加効果に乏しく、一方1.0質量%を超えると製品板の磁束密度が低下するため、Mn量は0.005〜1.0質量%の範囲とすることが好ましい。
ここで、二次再結晶を生じさせるために、インヒビターを利用する場合、例えばAlN系インヒビターを利用する場合であればAlおよびNを、またMnS・MnSe系インヒビターを利用する場合であればMnとSeおよび/またはSを適量含有させればよい。勿論、両インヒビターを併用してもよい。この場合におけるAl、N、SおよびSeの好適含有量はそれぞれ、Al:0.01〜0.065質量%、N:0.005〜0.012質量%、S:0.005〜0.03質量%、Se:0.005〜0.03質量%である。
さらに、本発明は、Al、N、S、Seの含有量を制限した、インヒビターを使用しない方向性電磁鋼板にも適用することができる。
この場合には、Al、N、SおよびSe量はそれぞれ、Al:100 質量ppm以下、N:50 質量ppm以下、S:50 質量ppm以下、Se:50 質量ppm以下に抑制することが好ましい。
上記の基本成分以外に、磁気特性改善成分として、次に述べる元素を適宜含有させることができる。
Ni:0.03〜1.50質量%、Sn:0.01〜1.50質量%、Sb:0.005〜1.50質量%、Cu:0.03〜3.0質量%、P:0.03〜0.50質量%、Mo:0.005〜0.10質量%およびCr:0.03〜1.50質量%のうちから選んだ少なくとも1種Niは、熱延板組織を改善して磁気特性を向上させるために有用な元素である。しかしながら、含有量が0.03質量%未満では磁気特性の向上効果が小さく、一方1.5質量%を超えると二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化する。そのため、Ni量は0.03〜1.5質量%の範囲とするのが好ましい。
また、Sn、Sb、Cu、P、CrおよびMoはそれぞれ磁気特性の向上に有用な元素であるが、いずれも上記した各成分の下限に満たないと、磁気特性の向上効果が小さく、一方、上記した各成分の上限量を超えると、二次再結晶粒の発達が阻害されるため、それぞれ上記の範囲で含有させることが好ましい。
なお、上記成分以外の残部は、製造工程において混入する不可避的不純物およびFeである。
本発明では、上記した成分組成になる鋼スラブを、方向性電磁鋼板の一般に従う工程を経て、二次再結晶焼鈍後に絶縁被膜を形成して方向性電磁鋼板とする。すなわち、スラブ加熱後に熱間圧延を施し、必要に応じて熱延板焼鈍を行ったのち、1回又は中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延にて最終板厚とし、その後、脱炭、一次再結晶焼鈍した後、例えばMgOを主成分とした焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶過程と純化過程を含む最終仕上げ焼鈍を施し、前述の操作を行った後、前述したように、例えばコロイダルシリカとリン酸マグネシウムなどのリン酸塩からなるコーティング液を塗布して焼付ければよい。
なお、本発明において、上述した工程や製造条件以外については、従来公知の、平坦化焼鈍後に、レーザーあるいは電子ビームを用いて磁区細分化処理を施す方向性電磁鋼板の製造方法を適宜用いることができる。
(実施例1)
Siを3.3質量%含有し、仕上げ焼鈍済み(二次再結晶完了)のフォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板のコイルを、表1に示す条件で平坦化焼鈍を行った。鋼板の板厚は0.23mmである。また、平坦化焼鈍では、リン酸マグネシウム:50質量部、無水クロム酸:10質量部およびコロイダルシリカ:40質量部からなるコーティング液を塗布して、絶縁コーティングを同時に行なった。なお、コーティング液の塗布量は10.0g/m2とした。
かくして得られた、方向性電磁鋼板のサンプルにコイルを連続的に送りながら、電子ビームを連続的に照射する磁区細分化処理を行った。電子ビームは、圧延直角方向に走査し、加速電圧:150kV、ビーム電流値:0.5mA、ビーム径:0.2mmおよびビーム走査速度:5m/sの条件で、圧延方向に6mmピッチで照射し、照射前後の鉄損W17/50をそれぞれ評価した。また、層間抵抗を、接触子を有する市販の層間抵抗試験機を用いてJIS C2550に準拠して測定した。なお、表中の∞とは、本実施例では、5000Ω・cmを超える抵抗を示したものを意味する。さらに、電子ビームの照射痕を目視検査で確認した。その評価は、照射痕が見えないものを○、不明瞭ながらも見えるもの(軽度)を△、はっきり明瞭に見えるものを×とした。
評価結果を表2に併記する。
Figure 2012177161
同表に示したとおり、平坦化焼鈍の条件が本発明の範囲を外れているNo.6および7は、電子ビーム照射後の鉄損が悪く、層間抵抗および外観に劣っている。これに対し、本発明の条件に従うNo.1〜5は、いずれも優れた鉄損が得られており、層間抵抗および外観も良好である。
(実施例2)
Siを3.3質量%含有し、仕上げ焼鈍済み(二次再結晶完了)のフォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板のコイルを、表2に示す条件で平坦化焼鈍を行った。鋼板の板厚は0.27mmである。また、平坦化焼鈍では、リン酸アルミニウム:60質量部、無水クロム酸:10質量部およびコロイダルシリカ:30質量部からなるコーティング液を塗布して、絶縁コーティングの形成も同時に行なった。なお、コーティング液の塗布量は12.0g/m2とした。
かくして得られた、方向性電磁鋼板のサンプルにコイルを連続的に送りながら、レーザービームを連続的に照射する磁区細分化処理を行った。
100Wのファイバーレーザーを用いて、圧延方向と直角方向に、板幅方向の走査速度:10m/s、圧延方向の照射ピッチ:5mm、照射幅:150μm、照射間隔:7.5mmで磁区細分化処理を行い、照射前後の鉄損W17/50、層間抵抗および外観をそれぞれ評価した。なお、層間抵抗および外観は実施例1と同様の手順で評価した。
評価結果を表2に併記する。
Figure 2012177161
同表に示したとおり、平坦化焼鈍の条件が本発明の範囲を外れているNo.6および7は、電子ビーム照射後の鉄損が悪く、層間抵抗および外観に劣っている。これに対し、本発明の条件に従うNo.1〜5は、いずれも優れた鉄損が得られており、層間抵抗および外観も良好である。

Claims (1)

  1. フォルステライト被膜を有する仕上げ焼鈍済みの方向性電磁鋼板に、平坦化焼鈍処理を施す際に、リン酸塩およびシリカを主体とする絶縁コーティング処理を施すものとし、その際、上記平坦化焼鈍処理温度を850℃以上、かつ焼鈍炉内における鋼板に対する付与張力を10MPa以下とし、その後、該鋼板の圧延方向と交差する向きにレーザーまたは電子ビームを照射する磁区細分化処理を施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
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