JP2012175794A - 電力変換器の故障診断方法、及び故障診断装置 - Google Patents

電力変換器の故障診断方法、及び故障診断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】より簡便に電力変換器の故障診断を可能とすることを目的としている。
【解決手段】上流側若しくは下流側に変換器用変圧器4が配置された電力変換器2の故障を診断する電力変換器2の故障診断方法である。上記変換器用変圧器4から発生する騒音の騒音スペクトルに、基本周波数BSの奇数倍のピーク周波数が含まれている場合に、上記電力変換器2が故障していると判定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電力社間で周波数を変換して送電する際に使用されたり、大型モータを駆動する際に電力の周波数を変換したりするために使用される電力変換器の故障診断の技術である。
従来、電力変換器の異常診断は、変換器の波形分析など、変換器を停止させて模擬出力による解析手法で行うことが一般的であった。
また、変換器の異常による設備トラブルを抑止するため、制御回路を多重化させ、部分的に故障が発生すれば多重化した予備にて運用継続し、故障信号を出力して交換を促すなどの対策が取られてきた(非特許文献1参照)。
また、特許文献1には、コンバータのリアクタの振動を振動計手段で計測し、取得した振動データに基づきコンバータの異常を検知することが記載されている。
特開2010−74876号公報
「大容量インバータ制御システムの高信頼化方式」 T.IEE Japan,vol.111−D,No.5,’91
従来の変換器の故障診断技術は、制御器の破損による出力信号の変化を検出するため、機器を停止させた上に模擬入力を入れる必要がある。このため、診断のために変換器その他の機器の停止による機会損失が発生するほか、電気回路の離線など工事が発生する。また、電圧印加テストなどで感電しないように気をつけて実施する必要があった。
特許文献1に記載の技術であっても、リアクタに加速度センサを直接取り付ける等して当該リアクタの振動を直接取得する必要があり、工事も必要であった。
本発明は、上記のような点に着目したもので、より簡便に電力変換器の故障診断を可能とすることを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、上流側若しくは下流側に変換器用変圧器が配置された電力変換器の故障を診断する電力変換器の故障診断方法であって、
上記変換器用変圧器から発生する騒音の騒音スペクトルに、変換器用変圧器に入出力する電力の周波数である基本周波数の奇数倍のピーク周波数が含まれている場合に、上記電力変換器が故障していると判定することを特徴とする。
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、基本周波数の10倍以上の周波数であって予め設定したバンド幅の周波数帯に基づき、上記奇数倍調波が含まれているか判定することを特徴とする。
次に、請求項3に記載した発明は、上流側若しくは下流側に変換器用変圧器が配置された電力変換器の故障を診断する電力変換器の故障を診断する電力変換器の故障診断装置であって、
上記変換器用変圧器から発生する騒音を集音するマイクと、上記マイクが集音した音を周波数解析して、変換器用変圧器に入出力する電力の周波数である基本周波数の奇数倍のピーク周波数が存在するか否かを判定する異常判定部と、を備えることを特徴とする。
次に、請求項4に記載した発明は、請求項3に記載した構成に対し、上記異常判定部は、基本周波数の10倍以上の周波数であって予め設定したバンド幅の周波数帯に、上記基本周波数の奇数倍のピーク周波数が存在するか否かを判定することを特徴とする。
本発明によれば、変換器用変圧器から発する騒音に基づき変換器の異常診断を実施する。すなわち、躯体内の機器に非接触で且つ間接的に変換器の異常を診断できる。
更に、変換器用変圧器から発生する騒音の騒音スペクトルのピーク周波数の周波数によって、変換器の状態を診断するので、簡便に診断が可能となる。
また、請求項2又は請求項4に係る発明によれば、雑音による誤差を低減できるので、より信頼性をもって電力変換器の故障診断が可能となる。
電力の送電の例を示す図である。 本発明に基づく実施形態に係る電力変換器の故障診断装置の構成を説明する図である。 騒音スペクトルの例を示す図である。 変圧器の外形を示す図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(本実施形態の前提)
例えば図1に示すように、発電所1において、所定周波数(図1では60Hz)の電力が発電されて送電される。このとき、発電電力を他の周波数の電力系統に送電する際には、直交変換器2A(電力変換器)で他の周波数の電力に変換した後に、他の電力系統に送電される。また、直流で送電する場合には、一度、電力変換器2Bで交流を直流に変換し、また電力変換器2Cで直流を交流に変換する方式もある。また、各産業設備においても、使用する駆動アクチュエータ3(図1では大型モータ)に応じて、電力変換器2Dで適切な周波数に変換した後に、電力を当該駆動アクチュエータに供給する。ここで、図1中、符号4は変圧器をそれぞれ示す。
ここで、電力変換器2は、交流を直流に変換したり、その逆の変換を行ったり、ある周波数を他の周波数に変換したり、ある直流電圧を他の直流電圧に変換する装置である。また、電力変換器2と変換器用変圧器4は、通常、別々に設計されるものである。
(本実施形態の構成)
次に、本実施形態の電力変換器2の故障診断装置の構成について説明する。
電力変換器2の故障診断装置は、図2に示すように、マイク10と、異常判定部12と、報知部13とを備える。
上記マイク10は、変圧器4から発生する騒音を集音する装置である。マイク10は、例えばAEセンサから構成する。そして、マイク10は、集音部を、変換器用変圧器4の躯体の外面に近接若しくは接触するように配置する。
符号11は、信号を増幅するAMPを示す。
異常判定部12は、図2に示すように、入力部12A、周波数解析部12B、ピーク値探索部12C、及び異常ピーク値検出部12Dを備える。
入力部12Aは、上記マイク10が集音した騒音信号を入力する。また、入力部12Aは、不図示の入力装置から基本周波数BS(系統周波数)を入力して設定する。
周波数解析部12Bは、入力部12Aが入力した騒音信号を、周波数解析の処理を実施して騒音スペクトル(周波数スペクトル)を求める。
ピーク値探索部12Cは、周波数解析部12Bが求めた騒音スペクトルのデータに対し、基本周波数BSの10倍以上の周波数であって予め設定したバンド幅の周波数帯に存在する、ピーク値を求める。
ここで、通常、電力会社からの電力は、基本周波数BS(系統周波数)が60Hz若しくは50Hzであるので、その両方の基本周波数BSの10倍以上の周波数として、600Hz以上に設定する。本実施形態では、上記バンド幅の周波数帯として、600〜700Hzの帯域を設定しておく。
ピーク値探索部12Cは、まず、上記騒音スペクトルにおける600Hzから700Hzまで、予め設定した周波数単位(例えば2Hz単位)で周波数をずらして、騒音スペクトルのデシベル値を順次、取得する。次に、取得したデジベル値の平均値を平均デシベル値として求める。次に、平均デシベル値の200%以上の周波数部分をピーク値として検出する。
ピーク値探索部12Cは、上記処理によって、例えば100Hz、200Hzなどの値としてピーク値を検出する。
異常ピーク値検出部12Dは、上記ピーク値探索部12Cが求めたピーク値に、入力部12Aが入力した基本周波数BSの奇数倍の周波数が存在するか否かを判定する。基本周波数BSの奇数倍の周波数が存在する場合には、変換器2が異常と判定して異常フラグをONとする。そうでない場合には、変換器2が異常でないと判定して異常フラグをOFFとする。なお、予め設定した数以上、基本周波数BSの奇数倍の周波数が存在する場合に、変換器2が異常と判定してもよい。
また、報知部13は、異常判定部12が異常フラグをONつまり変換器2が異常の場合には、その旨を表示や音によって報知する。
なお、上記異常判定部12や報知部13の装置を、異常判定する各電圧変換器2から離れたコントローラセンタなどに設けておき、複数の電力変換器2の異常判定を集中して管理するようにしても良い。
(動作その他について)
インバータシステムなどの電圧変換器2の故障のひとつに、素子の信号選択回路のトラブルによるスイッチングタイミングのずれによって発生するものがある。スイッチングがずれ、かつ変換器2が故障検出することなく当該変換器2が停止しなかった場合には、超低周波電圧成分が変換器用変圧器4に流出する。
その超低周波電圧成分が変圧器4に印加される場合、この低周波成分は直流成分と考えられ、直流成分が印加すると、変圧器4の騒音スペクトルが変化する。この変化分を測定することで、変換器2に接続された変換器2のスイッチングずれ故障の判別が可能となる。
ここで、本発明者らは、実験によって、変換器用変圧器4に直流成分を重畳し、直流成分重畳により、変圧器4の騒音スペクトルがどのように変化するか確認した。
すなわち、一般的な商用周波数(基本周波数BS)下で使用する変圧器4は、変圧器4の鉄心の磁歪振動により、その騒音スペクトルは商用周波数の偶数倍となる。これに対し、直流成分が重畳した変圧器4は、図3に示すように、商用周波数の奇数倍の騒音スペクトルが発生することを確認した。図3中、△は、直流成分がないときのピーク値であり、■は直流成分が存在している場合のピーク値である。
以上のことから、変圧器4の騒音スペクトルに基本周波数BSの奇数倍のピーク値を検出できれば、その変圧器4に電気的に接続する電力変換器2の異常を検出することが可能となる。
このように、本発明の技術を適用することで、変換器2が簡易に診断可能となり、またオンライン監視システムの構築も可能である。これにより、これまで検出できなかった変換器2の故障も早期に発見できるようになることから、変換器2突発故障による機会損失、変換器2交換コストを低減して、変換器2の部分補修のみで対応が可能となる。
また、図3から分かるように、基本周波数BSの10倍以上(図3では500Hz以上)の周波数帯では、ばらつきが小さくなりノイズによる誤判断を防ぐことが可能となる。周波数帯の上限は特に無いが、周波数解析装置の上限値以下に設定すればよい。ただし、余り高く設定する必要も無いので、例えば基本周波数BSの100倍以下で設定すればよい。
また、本実施形態の異常判定では、変換器用変圧器4から発する騒音に基づき変換器2の異常診断を実施する。すなわち、非接触で且つ間接的に変換器2の異常を診断できる。
ここで、上記マイク10による集音について補足説明する。
電力用電圧器は、図4に示すように、鉄心を収容した変圧器本体の躯体4Aと、その変圧器本体の上方に配置されたコンサベータ20、変圧器本体内を冷却するラジエータ21が配置される。符号22は、ケーブルダクトを示す。
そして、上記マイク10は、変圧器本体の躯体4A外面に接触などによって配置すればよい。具体的には、マイク10が内部の鉄心(不図示)に向かうように、またマイク10で集音する音が大きくなるように、上記躯体外面に沿ってマイク10を移動させて適切な位置に当該マイク10を配置する。
また、変圧器4の使用環境の暗騒音(バックグラウンドノイズ)をキャンセル若しくは低減することが、故障診断の信頼性を向上させる点から好ましい。
例えば、変圧器4の外方やラジエータの音を集音する第2のマイク(不図示)を備え、その第2のマイクで拾った音の逆相データを上記マイク10で集音した音に重畳する。
1 発電所
2 電力変換器
4 変換器用変圧器
4A 躯体
10 マイク
12 異常判定部
12A 入力部
12B 周波数解析部
12C ピーク値探索部
12D 異常ピーク値検出部
13 報知部
20 コンサベータ
21 ラジエータ
BS 基本周波数

Claims (4)

  1. 上流側若しくは下流側に変換器用変圧器が配置された電力変換器の故障を診断する電力変換器の故障診断方法であって、
    上記変換器用変圧器から発生する騒音の騒音スペクトルに、変換器用変圧器に入出力する電力の周波数である基本周波数の奇数倍のピーク周波数が含まれている場合に、上記電力変換器が故障していると判定することを特徴とする電力変換器の故障診断方法。
  2. 基本周波数の10倍以上の周波数であって予め設定したバンド幅の周波数帯に基づき、上記奇数倍調波が含まれているか判定することを特徴とする請求項1に記載した電力変換器の故障診断方法。
  3. 上流側若しくは下流側に変換器用変圧器が配置された電力変換器の故障を診断する電力変換器の故障を診断する電力変換器の故障診断装置であって、
    上記変換器用変圧器から発生する騒音を集音するマイクと、
    上記マイクが集音した音を周波数解析して、変換器用変圧器に入出力する電力の周波数である基本周波数の奇数倍のピーク周波数が存在するか否かを判定する異常判定部と、
    を備えることを特徴とする電力変換器の故障診断装置。
  4. 上記異常判定部は、基本周波数の10倍以上の周波数であって予め設定したバンド幅の周波数帯に、上記基本周波数の奇数倍のピーク周波数が存在するか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載した電力変換器の故障診断装置。


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