JP2012170907A - 焼却灰の処理方法と処理設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭化水素を燃料として運転されるガスエンジン3からの340℃〜500℃の範囲のエンジン排ガスを反応装置2に供給し、そのエンジン排ガス中の炭酸ガスと焼却灰とを所定の処理時間反応させて、焼却灰に含まれる鉛と六価クロムを無害化する焼却灰の処理方法と、その処理方法を実施するための焼却灰の処理設備。
【選択図】図1
Description
従来、このようなエージング処理を実施するに際し、廃棄物焼却炉から排出される排ガスを反応装置に供給し、その廃棄物焼却炉からの排ガスに含まれる炭酸ガスと焼却灰とを反応装置で反応させて、焼却灰に含まれる鉛などの重金属を無害化する焼却灰の処理方法と、その処理方法を実施するための処理設備が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
すなわち、廃棄物焼却炉は、例えば、都市ゴミなどを焼却するためのものであり、その都市ゴミ中に生ゴミが多量に含まれていると、水分量が多くなって、単位重量当りの熱エネルギーが低下し、また、廃プラスチックなどが多量に含まれていると、逆に、単位重量当りの熱エネルギーが上昇し、その結果、排ガスの温度が大きく変動して安定したエージング処理を行うことが困難となる。
さらに、このようなゴミ質による排ガス温度の変動に加えて、排ガス中に含まれる酸素濃度や炭酸ガス濃度もゴミ質により大きく変動し、そのためにエージング処理が安定せず、焼却灰に含まれる重金属を安定して無害化することができないという問題があった。
炭化水素を燃料として運転されるガスエンジンからの340℃〜500℃の範囲のエンジン排ガスを前記反応装置に供給し、そのエンジン排ガス中の炭酸ガスと前記焼却灰とを所定の処理時間反応させて、前記焼却灰に含まれる鉛と六価クロムを無害化するところにある。
そして、そのガスエンジンからのエンジン排ガスの温度は、後述するデータから明らかなように、ほぼ340℃〜500℃の範囲内におさまり、エンジン排ガス中には、ほぼ8.8〜11.8体積%の酸素と5.2〜6.7体積%の炭酸ガスが含まれるリーンバーン状態と、酸素が含まれておらず、9.0〜11.0体積%の炭酸ガスが含まれるストイキ状態の場合があり、廃棄物焼却炉からの排ガスに比べて、排ガスの温度、酸素濃度、炭酸ガス濃度の全てにおいて、その変動範囲が遥かに小さくなる。
したがって、例えば、コジェネレーション設備に備えられるガスエンジンからのエンジン排ガスを有効に利用して、焼却灰に含まれる鉛や六価クロムを簡易な設備で安定して無害化することが可能となる。
このようにリーンバーン状態で運転される340℃〜490℃の範囲のエンジン排ガスを使用することにより、後の実験結果から明らかなように、少なくとも六価クロムについては、その溶出濃度を土壌環境基準値以下に抑えることができ、その結果、燃費抑制を図りながら、高い効率での定格運転が可能なリーンバーン状態での運転によるガスエンジンからのエンジン排ガスを利用して、焼却灰に含まれる六価クロムを無害化することができる。
このようにストイキ状態で運転される350℃〜500℃の範囲のエンジン排ガスを使用することにより、後の実験結果から明らかなように、鉛と六価クロムの両方につき、その溶出濃度を土壌環境基準値以下に抑えることが可能となる。
すなわち、廃棄物焼却炉からの焼却灰と炭酸ガスを含有する排ガスとを反応装置で反応させて焼却灰を処理する焼却灰の処理設備を構成するに、
これまで説明してきたガスエンジンを備え、そのガスエンジンからのエンジン排ガスを鉛と六価クロムを含む焼却灰が導入される反応装置に供給するガス供給路を備えさせることで、簡易な処理設備によって、焼却灰に含まれる鉛や六価クロムを安定して無害化することができる。
本発明による焼却灰の処理設備は、図1に示すように、都市ゴミなどの廃棄物を焼却する廃棄物焼却炉1と、廃棄物焼却炉1から排出される焼却灰、つまり、鉛や六価クロムを含む焼却灰と炭酸ガスを含有する排ガスとを反応させて焼却灰を処理する反応装置2と、廃棄物焼却炉1の立上げ運転時の発電や非常時の発電のために炭化水素を燃料としてリーンバーン状態で運転され、また、炭化水素を燃料としてストイキ状態でも運転されるガスエンジン3を備え、そのガスエンジン3から排出される340℃〜500℃の範囲のエンジン排ガスを反応装置2に供給するガス供給路4などを備えて構成されている。
そして、廃棄物焼却炉1から排出される焼却灰は、矢印で示すように、反応装置2に導入され、リーンバーン状態またはストイキ状態で運転されるガスエンジン3からのエンジン排ガスが、ガス供給路4を介して反応装置2に供給され、焼却灰に含まれる鉛や六価クロムが、エンジン排ガスに含有される炭酸ガスと所定の処理時間反応してエージング処理され、無害化された後に無害化灰として取り出される。
そのため、ガス供給路4とエンジン排ガス放出路6との接続箇所には切換えダンパ7が設けられるとともに、その切換えダンパ7を切換え制御する制御装置8が設けられ、ガスエンジン3からのエンジン排ガスが、ガス供給路4を介して反応装置2に供給される状態と、エンジン排ガス放出路6を介して大気へ放出される状態とに切換え操作可能に構成されている。
図3に示すガスエンジンA、B、Cはリーンバーン状態で、また、ガスエンジンDはストイキ状態で、それぞれ現実に稼動している4基のガスエンジンであり、それら4基のガスエンジンについて、ほぼ1年〜2年にわたって調べた結果である。
この図3を参照して、廃棄物焼却炉からの排ガスが、その酸素濃度(体積%)、炭酸ガス濃度(体積%)、および、排ガス温度(℃)の全てについて変動が比較的大きいのに対し、リーンバーン状態またはストイキ状態で運転されるガスエンジンからのエンジン排ガスは、A、B、C、Dの4基とも、その変動が比較的小さく、非常に安定しており、ここで、ストイキ状態で運転されるガスエンジンDにおいても、廃棄物焼却炉の場合と比較して、酸素濃度、炭酸ガス濃度、および、排ガス温度の変動幅が小さい。
実験に使用した装置は、図2に示すように、炭化水素を燃料としてリーンバーン状態またはストイキ状態で運転されるガスエンジンからのエンジン排ガスを供給するガスボンベ10、流量計11、温水中でバブリングさせて実際のエンジン排ガスと同程度の含水蒸気量にするための温水槽12、温水槽12からのエンジン排ガスを予熱するためのガス加熱部13を図示のように接続し、ガス加熱部13からのエンジン排ガスを反応装置(エージング炉)2に供給するように構成したもので、反応装置2内において、撹拌機により30rpmで撹拌しながら焼却灰とエンジン排ガスを反応させた。
そして、そのエンジン排ガスの温度をガス加熱部13により、リーンバーン状態では300℃〜500℃の範囲内で、ストイキ状態では350℃〜500℃の範囲内で、それぞれ50℃ずつ変化させながらエージング処理を行い、処理後の焼却灰について、環境庁告示46号溶出試験に基づいて鉛の溶出量を測定した。
また、ストイキ状態での結果が、図6(エージング処理時間が30分の場合と60分の場合でほとんど重なっているため、1本の実線で示してある)であり、この実験結果から、ストイキ状態では、エージング処理時間の如何にかかわらず、つまり、30分間であっても60分間であっても、排ガス温度が350℃〜500℃の範囲内であれば、土壌環境基準値以下に抑えることが可能であることが解る。
また、ストイキ状態での結果が、図7(エージング処理時間が30分の場合と60分の場合でほとんど重なっているため、1本の実線で示してある)であり、この実験結果から、ストイキ状態では、鉛の場合と同様に、エージング処理時間が30分間であっても60分間であっても、排ガス温度が350℃〜500℃の範囲内であれば、土壌環境基準値以下に抑えることが可能であることが解る。
したがって、炭化水素を燃料としてリーンバーン状態で運転されるガスエンジンからの340℃〜490℃の範囲のエンジン排ガスを反応装置に供給し、そのエンジン排ガス中の炭酸ガスと焼却灰とを所定時間反応させることにより、焼却灰に含まれる鉛と六価クロムのいずれか一方または両方を無害化することが可能となる。
したがって、炭化水素を燃料としてリーンバーン状態またはストイキ状態で運転されるガスエンジンからの350℃〜490℃の範囲のエンジン排ガスを反応装置に供給し、そのエンジン排ガス中の炭酸ガスと焼却灰とを60分間反応させれば、焼却灰に含まれる鉛と六価クロムの両方を無害化することが可能となる。
(1)エンジン排ガス中の炭酸ガスと焼却灰との反応時間は、先に示した30分または60分に限るものではなく、例えば、焼却灰に鉛のみ含まれる場合や六価クロムのみ含まれる場合など、処理対象となる焼却灰に応じて適宜設定することができる。
(2)ガスエンジンに関しては、先に示した廃棄物焼却炉の立ち上げ時の発電や、非常時の発電に使用するものに限らず、常用する各種の設備におけるガスエンジンを使用することもできる。
2 反応装置
3 ガスエンジン
4 ガス供給路
Claims (4)
- 廃棄物焼却炉からの焼却灰と炭酸ガスを含有する排ガスとを反応装置で反応させて焼却灰を処理する焼却灰の処理方法であって、
炭化水素を燃料として運転されるガスエンジンからの340℃〜500℃の範囲のエンジン排ガスを前記反応装置に供給し、そのエンジン排ガス中の炭酸ガスと前記焼却灰とを所定の処理時間反応させて、前記焼却灰に含まれる鉛と六価クロムを無害化する焼却灰の処理方法。 - 前記ガスエンジンからの排ガスが、リーンバーン状態で運転される340℃〜490℃の範囲のエンジン排ガスである請求項1に記載の焼却灰の処理方法。
- 前記ガスエンジンからの排ガスが、ストイキ状態で運転される350℃〜500℃の範囲のエンジン排ガスである請求項1に記載の焼却灰の処理方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の処理方法を実施するための焼却灰の処理設備であって、
炭化水素を燃料として運転されるガスエンジンを備え、そのガスエンジンからのエンジン排ガスを鉛と六価クロムを含む焼却灰が導入される反応装置に供給するガス供給路を備えている焼却灰の処理設備。
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