JP2012170236A - 太陽光発電出力のリアルタイム推定方法、装置およびプログラム - Google Patents

太陽光発電出力のリアルタイム推定方法、装置およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】配電系統に連系される太陽光発電の出力電力を少ないセンサで従来よりも簡単にリアルタイムで推定する。
【解決手段】太陽光発電出力のリアルタイム推定方法は、配電系統100に接続された複数の太陽光発電装置PV1〜PV3および複数の負荷装置LD1〜LD6よりも上流側に設けられた観測地点50bにおいて、有効電力および無効電力を時系列的に測定するステップと、日の出から日没までの間で設定された分析時刻が到来する度に、到来した現分析時刻までの所定の分析期間内の複数の測定時刻に観測地点50bで測定されたデータに対して独立成分分析を行なうステップと、独立成分分析によって算出された各測定時刻における複数の太陽光発電装置PV1〜PV3全体の出力電力の推定値に基づいて、現分析時刻または現分析時刻から所定時間後における複数の太陽光発電装置PV1〜PV3全体の出力電力を推定するステップとを備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、配電系統に連系された太陽光発電の現時点の出力、さらには現時点よりも所定時間後の出力をリアルタイムで推定する方法、装置およびプログラムに関する。
低炭素社会の実現へ向けて分散型電源(DG:Dispersed Generation)、とりわけ太陽光発電(PV:Photo-Voltaic power generation)が注目を浴びている。配電系統には今後、台数・容量ともに多くのPVが連系されることが予想される。このような状況で系統運用を適切に行なうためには、配電系統内に設置されたPVの現時刻の出力電力を精度良く把握する必要がある。さらには、現時刻から所定時間後のPV出力を予測できることが望ましい。
大容量のDGに関しては連系箇所数が少ないので、出力電力を把握するために個別にセンサを設置することができる。一方、PVに関しては、小容量の装置が極めて多数連系されるので、個別にセンサを設置するような方法をとることは困難である。
このような状況において、少なくとも配電系統内に接続されたPV全体の出力電力と負荷全体の消費電力とを分離してリアルタイムで把握することが望まれている。たとえば、PVが連系された配電系統で地絡事故が発生したために、配電系統への送電が停止された場合にこのような情報が必要となる。この場合、事故復旧過程の再送電時にはPVは配電系統から切り離されているので、PVを除いた配電系統全体で負荷電力を正確に把握できていないと、電力融通配電系統において過負荷を生じるなど適切に電力を事故系統に供給できなくなるからである。
さらに、安定的な電力供給を実現するために、現時点から所定時間後のPV全体の出力電力の予測ができることが望ましい。たとえば、現在、実用化に向けて開発が進められている二次電池を用いた電力貯蔵装置において充放電を適切に行なうためには、PV全体の出力電力の予測が必要である。
上記のような理由で、できるだけ少ないセンサを用いて配電系統内に設けられたPV全体の現時点の出力電力を推定する方法、さらには、現時点よりも所定時間後のPV全体の出力電力を予測する方法が求められている。この課題に関して、たとえば、以下の文献に記載された先行技術が知られている。
特開2009−50064号公報(特許文献1)は、太陽光発電設備が設置されている需要家が連系する区間の実際の負荷量を、全ての太陽光発電設備の発電量を計測することなく一部の太陽光発電設備の発電量の計測値のみを用いて、実時間で推定可能な配電系統状態推定装置を開示する。具体的に、配電系統状態推定装置は、需要家の電力量と一部の太陽光発電設備の発電量を収集するデータ収集手段と、太陽光発電設備の発電量の関係を与える発電量相関モデルデータと、発電量相関モデルデータと収集された一部の太陽光発電設備の発電量とを用いて、他の収集していない太陽光発電設備の発電量を推定する太陽光発電量推定手段とを備える。ここで、発電量相関モデルデータは、2つの太陽光発電設備の発電量の過去実績値を用いて求める相関関係である。
長居らは、日射量予測情報を利用した、短時間先のPV出力の推定手法を提案している(「日射量10分予測値を用いた短時間先PV発電所出力推定手法」、電力技術・電力系統技術合同研究会資料、電気学会、2010年9月、PE-10-87,PSE-10-86(非特許文献1)参照)。この推定手法で利用する日射量予測情報では、正10分ごとに2時間先までの日射量の10分平均値が提供される。PV出力の予測値は、20分前から2時間前までに発表された各日射量予測値を入力情報とした重回帰分析によって計算される。重回帰式の重み係数は、過去の実際の日射量予測情報とPV出力実績値との関係を教師データとして、最小二乗法によって求められる。
特開2009−50064号公報
長居達哉、他7名、「日射量10分予測値を用いた短時間先PV発電所出力推定手法」、電力技術・電力系統技術合同研究会資料、電気学会、2010年9月、PE-10-87,PSE-10-86
上記の特開2009−50064号公報(特許文献1)に開示された推定方法には、配電系統内の太陽光発電設備の情報を予め把握するのに多大の労力を要するといった課題や、系統構成や接続負荷の変更に対応するために情報管理の負担が生じるといった課題がある。
上記の長居らによって報告された推定手法では、日射量予測情報の精度が十分でないと、PV出力の推定精度が低くなってしまうという問題や、教師データとしてPV出力実績値が必要であるのでデータ収集に労力を要するといった課題がある。
この発明の目的は、配電系統に連系された複数の太陽光発電装置全体の現時点での出力または現時点よりも所定時間後の未来における出力を少ないセンサで従来よりも簡単に推定することができる方法、装置およびプログラムを提供することである。
この発明は一局面において太陽光発電出力のリアルタイム推定方法であって、配電系統に接続された複数の太陽光発電装置および複数の負荷装置よりも上流側に設けられた観測地点において、有効電力および無効電力を時系列的に測定するステップと、日の出から日没までの間で設定された分析時刻が到来する度に、到来した現分析時刻までの所定の分析期間内の複数の測定時刻において観測地点で測定された有効電力および無効電力のデータを用いた独立成分分析によって、各測定時刻における複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値を算出するステップと、現分析時刻までの分析期間内の各測定時刻における複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に基づいて、現分析時刻または現分析時刻から所定時間後における複数の太陽光発電装置全体の出力電力を推定するステップとを備える。
好ましい実施の一形態において、上記の推定するステップは、現分析時刻までの分析期間内の複数の測定時刻のうち最終の測定時刻における複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値を、現分析時刻における複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に決定するステップを含む。
好ましくは、上記の推定するステップは、さらに、現分析時刻までに到来した複数の分析時刻における複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に対して、晴天時の日射強度の変化を表わす近似曲線をフィッティングするステップと、フィッティングされた近似曲線を用いて現分析時刻から所定時間後における複数の太陽光発電装置全体の出力電力を推定するステップとを含む。
好ましい実施の他の形態において、上記の推定するステップは、現分析時刻までの分析期間内の複数の測定時刻における太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に対して、晴天時の日射強度の変化を表わす近似曲線をフィッティングするステップと、フィッティングされた近似曲線を用いて現分析時刻から所定時間後における複数の太陽光発電装置全体の出力電力を推定するステップとを含む。
好ましい実施のさらに他の形態において、上記の推定するステップは、現分析時刻までの分析期間内の複数の測定時刻における太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に対して、晴天時の日射強度の変化を表わす近似曲線をフィッティングするステップと、フィッティングされた近似曲線の現分析時刻における値を、現分析時刻における複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に決定するステップとを含む。
上記の実施の各形態において、好ましくは、全ての分析時刻において分析期間の長さが同じである。
もしくは、全ての分析時刻において分析期間の最初の時刻が同じである。
もしくは、現分析時刻までの分析期間の最初の時刻は、現分析時刻の1つ前の分析時刻である。
この発明は他の局面において太陽光発電出力のリアルタイム推定方法であって、配電系統に接続された複数の太陽光発電装置および複数の負荷装置よりも上流側に設けられた第1の観測地点、ならびに複数の太陽光発電装置および複数の負荷装置よりも下流側に設けられた第2の観測地点において、有効電力および無効電力を時系列的に測定するステップと、日の出から日没までの間で設定された分析時刻が到来する度に、到来した現分析時刻までの所定の分析期間内の複数の測定時刻において第1および第2の観測地点でそれぞれ測定された有効電力のデータを測定時刻ごとに互いに減算したデータと、第1および第2の観測地点でそれぞれ測定された無効電力のデータを測定時刻ごとに互いに減算したデータとを用いた独立成分分析によって、各測定時刻における複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値を算出するステップと、現分析時刻までの分析期間内の各測定時刻における複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に基づいて、現分析時刻または現分析時刻から所定時間後における複数の太陽光発電装置全体の出力電力を推定するステップとを備える。
この発明はさらに他の局面において太陽光発電出力のリアルタイム推定装置であって、測定部と、データ処理部とを備える。測定部は、配電系統に接続された複数の太陽光発電装置および複数の負荷装置よりも上流側に設けられた観測地点において有効電力および無効電力を時系列的に測定する。データ処理部は、日の出から日没までの間で設定された分析時刻が到来する度に、到来した現分析時刻までの所定の分析期間内の複数の測定時刻において観測地点で測定された有効電力および無効電力のデータを用いた独立成分分析によって、各測定時刻における複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値を算出する。そして、データ処理部は、現分析時刻までの分析期間内の各測定時刻における複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に基づいて、現分析時刻または現分析時刻から所定時間後における複数の太陽光発電装置全体の出力電力を推定する。
この発明はさらに他の局面において太陽光発電出力のリアルタイム推定プログラムである。このプログラムは、配電系統に接続された複数の太陽光発電装置および複数の負荷装置よりも上流側に設けられた観測地点において時系列的に測定された有効電力および無効電力のデータを取得するステップと、日の出から日没までの間で設定された分析時刻が到来する度に、到来した現分析時刻までの所定の分析期間内の複数の測定時刻において観測地点で測定された有効電力および無効電力のデータを用いた独立成分分析によって、各測定時刻における複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値を算出するステップと、現分析時刻までの分析期間内の各測定時刻における複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に基づいて、現分析時刻または現分析時刻から所定時間後における複数の太陽光発電装置全体の出力電力を推定するステップとをコンピュータに実行させる。
この発明によれば、配電系統に連系された複数の太陽光発電装置全体の現時点での出力または現時点よりも所定時間後の未来における出力を少ないセンサで従来よりも簡単に推定することができる。
この発明が適用される配電系統100の構成を模式的に示す図である。 この発明の実施の形態1によるPV出力のリアルタイム推定方法を示すフローチャートである。 分析期間の設定方法について説明するための図である。 この発明の実施の形態2によるPV出力のリアルタイム推定方法を示すフローチャートである。 図4のステップS5,S6をさらに説明するための図である。 この発明の実施の形態3によるPV出力のリアルタイム推定方法を示すフローチャートである。 図6のステップS5,S7をさらに説明するための図である。 この発明の実施の形態4によるPV出力のリアルタイム推定方法を示すフローチャートである。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
<実施の形態1>
[配電系統の構成]
図1は、この発明が適用される配電系統100の構成を模式的に示す図である。
図1を参照して、太陽光発電装置(PV装置)PV1〜PV3および負荷装置LD1〜LD6は、変電所20から引き出された配電線30に接続される。PV装置PV1〜PV3の出力電力は負荷装置LD1〜LD6へ供給される。PV装置PV1〜PV3の出力電力が負荷装置LD1〜LD6の消費電力よりも少ない場合は、不足分の電力が変電所20から配電線30を通じて負荷装置LD1〜LD6に供給される(順潮流)。PV装置PV1〜PV3の出力電力が負荷装置LD1〜LD6の消費電力よりも多い場合は、余剰電力が配電線30を通じて変電所20側へ流れる(逆潮流)。
配電線30上の観測地点50a,50bには、電力計2a,2bがそれぞれ設置される。電力計2aは観測地点50aにおいて有効電力および無効電力を時系列的に測定し、電力計2bは観測地点50bにおいて有効電力および無効電力を時系列的に測定する。なお、この明細書で、「時系列的に」とは「所定のサンプリング周期で連続して」の意味であるが、サンプリング周期は一定である必要はなく、時間帯ごとに異なるサンプリング周期を用いても構わない。
この明細書における電力の極性について説明する。電力計2a,2bで測定される有効電力の極性については、逆潮流の場合を正とし、順潮流の場合を負とする。無効電力の極性については、逆潮流で遅れ力率の場合を正とし、逆潮流で進み力率の場合を負とし、順潮流で遅れ力率の場合を負とし、順潮流で進み力率の場合を正とする。負荷装置LD1〜LD6で消費される有効電力の極性を負とする。負荷装置LD1〜LD6の無効電力の極性については、遅れ力率の場合を負とし、進み力率の場合を正とする。PV装置PV1〜PV3から出力される有効電力の極性を正とする。PV装置PV1〜PV3の無効電力の極性については、遅れ力率の場合を正とし、進み力率の場合を負とする。
電力計2bは、配電損失を無視すれば、観測地点50bよりも下流側に接続されたPV装置PV1〜PV3の発電電力と負荷装置LD1〜LD6の消費電力との合算値を計測する。電力計2aは、配電損失を無視すれば、観測地点50aよりも下流側に接続されたPV装置PV1の発電電力と負荷装置LD1〜LD3の消費電力との合算値を計測する。したがって、電力計2bで測定された有効電力および無効電力と電力計2aで測定された有効電力および無効電力との測定時刻ごとの差をそれぞれ求めれば、観測地点50aおよび50bの間に接続されたPV装置PV2,PV3の発電電力と負荷装置LD4〜LD6の消費電力との合算値を検出することができる。
コンピュータ3は、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)に対応するデータ処理部4と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などに対応する記憶部5と、インターフェース(I/F)部6,7とを含む。データ処理部4、記憶部5、インターフェース部6,7は内部バス11で相互に接続される。
インターフェース部6は、信号伝送路9を介して電力計2a,2bと接続され、電力計2a,2bで測定された有効電力および無効電力のデータを受信する。受信したデータは記憶部5に記憶される。
データ処理部4は、日の出から日没までの間で設定された分析時刻が到来する度に、到来した現分析時刻において負荷装置LD1〜LD6全体で消費される有効電力(「負荷有効電力」とも称する)とPV装置PV1〜PV3の全体から出力される有効電力(「PV出力」とも称する)とを、独立成分分析(ICA:Independent Component Analysis)を応用して推定する。具体的には、まず、データ処理部4は、現分析時刻までの所定の分析期間内の複数の測定時刻において測定された有効電力および無効電力のデータに基づいて、各測定時刻における負荷有効電力の推定値とPV出力の推定値とをICAを用いて算出する。そして、データ処理部4は、算出されたPV出力の推定値に基づいて、現分析時刻におけるPV出力の推定値を決定する。
さらに実施の形態2で説明するように、データ処理部4は、現分析時刻までの分析期間内の複数の測定時刻におけるPV出力の推定値に基づいて、現分析時刻から所定時間後(たとえば、数分〜数10分後)のPV出力を予測する。データ処理部4は、現分析時刻における推定値および現分析時刻より所定時間後の未来における推定値(予測値)を、インターフェース部7を介して表示装置8(たとえば、液晶ディスプレー)に出力する。電力計2a,2b、コンピュータ3、および表示装置8などによってこの発明のPV出力推定装置1が構成される。以下、上記のPV出力の推定方法について詳しく説明する。
[配電系統モデルの定式化]
図1の配電系統100において、PVは日射によって出力が決まるので、配電系統100に連系されたPV装置PV1〜PV3はまとめて1つの装置として取扱うことができる。したがって、配電系統100内の複数のPV装置PV1〜PV3をまとめたPVの出力波形(PV出力の時系列データ)と複数の負荷装置LD1〜LD6をまとめた負荷電力波形(負荷電力の時系列データ)とは、ICAにおける独立成分とみなすことができる。
観測地点50bで計測された有効電力Ptotalは、配電損失を無視すれば、PV装置全体から出力された有効電力Pdgと負荷全体で消費される有効電力Ploadとの合算値であるので、
total(t)=Pdg(t)+Pload(t) …(1)
と表わされる。ただし、(t)は時間の関数であることを表わす。
観測地点50bで計測された無効電力Qtotalは、PVの無効電力Qdgを0、すなわちPV装置が力率1で運転されるように制御されていると仮定すれば、負荷の無効電力Qloadに等しい。すなわち、
total(t)=Qload(t) …(2)
と表わされる。通常、系統電圧が過昇にならなければPV装置は力率1で運転されるので、例外的な場合を除いて(2)式が成立するとしても差し支えない。
負荷の力率をrとすれば、負荷の無効電力Qloadと負荷の有効電力Ploadとは、
Figure 2012170236
の関係を有する。(3)式を(2)式に代入し、(1)式と併せて行列表現すると、
Figure 2012170236
のモデル式が得られる。なお、
Figure 2012170236
のように元信号ベクトルのPVの有効電力Pdgと負荷の有効電力Ploadとを(4)式と逆順に表わすこともできる。後述するように、ICAによる推定には順序の不定性があり、推定結果が(4)式でなく(5)式に対応している場合もあるので、注意を要する。
[ICAの適用]
以下、(4)式の左辺のベクトルを観測信号x(t)(観測信号ベクトルとも称する)と記載し、(4)式の右辺のベクトルを元信号s(t)(元信号ベクトルとも称する)と記載し、(4)式の右辺の2行2列の行列を混合行列Aと記載する。すなわち、(4)式は、
x(t)=A・s(t) …(6)
と表わされる。
ICAは、元信号ベクトルs(t)の各要素が互いに統計的に独立であるという条件を満足しているときに、混合行列Aに関する情報を一切用いることなく観測信号x(t)から元信号s(t)を推定する手法である。ただし、推定によって得られる元信号ベクトルの各要素の大きさと順序に関しては信号の独立性に影響を与えないので、これらは独立性の指標のみでは決定することができない。したがって、より一般的には、ICAは、ある行列W(復元行列と称する)を用いて、
y(t)=W・x(t) …(7)
によって計算される復元信号y(t)(復元信号ベクトルとも称する)の各要素が互いに統計的に独立になるように、復元行列Wを求める手法であると言える。このとき、復元行列Wが混合行列Aの逆行列として表わすことができれば、復元信号y(t)は元信号s(t)に完全に一致する。
本実施の形態の場合には、復元行列Wの逆行列W-1が(4)式の右辺の混合行列Aに等しいという条件を用いることによって、復元信号y(t)を元信号s(t)に一致するように補正することができる。
具体的には、復元信号y(t)の1番目の要素と2番目の要素に補正係数p,qをそれぞれ乗じて補正したとする。このとき、対角行列D=diag(p,q)を用いて、元信号s(t)は、
s(t)=D・y(t)=D・W・x(t) …(8)
と表わされる。(D・W)の逆行列(D・W)-1=W-1・D-1を(8)式の各項の左側から掛けると、
-1・D-1・s(t)=W-1・y(t)=x(t) …(9)
の関係が成立つ。(9)式を(6)式と対比すると、
-1・D-1=A …(10)
の関係が得られる。対角行列Dの逆行列D-1は、
-1=diag(1/p,1/q) …(11)
と表わされることをから、行列要素を用いて(9)式を書き直すと(12)式が得られる。ただし、(12)式において、復元行列Wの逆行列W-1の各要素をa,b,c,dとしている。
Figure 2012170236
(12)式によれば、a/p=1、b/q=1となるので、補正係数p,qは復元行列の逆行列W-1の1行目の要素a,bにそれぞれ等しい。W-1・D-1の2行1列目の要素c/pの絶対値は正確には0とならないが、非常に小さい値をとるため0に近似することができる。
ICAで推定された元信号ベクトルの各要素の順序は不定であるので、W-1・D-1が(4)式の右辺の行列ではなく、(5)式の右辺の行列に対応する場合もあり得る。この場合、行列要素を用いて表わすと、
Figure 2012170236
が得られる。(13)式によれば、a/p=1、b/q=1となるので、補正係数p,qは復元行列の逆行列W-1の1行目の要素a,bにそれぞれ等しい。(13)式のW-1・D-1の2行2列目の要素d/qの絶対値は正確には0とならないが、非常に小さい値をとるため0に近似することができる。
ここで、(12)式の対応関係が成立している場合、すなわち、c/p(=c/a)の絶対値がd/q(=d/b)の絶対値よりも小さい場合、(4)式から明らかなように復元信号の1番目の要素がPVの有効電力Pdgの推定データに対応し、復元信号の2番目の要素が負荷の有効電力Ploadの推定データに対応する。(13)式の対応関係が成立している場合、すなわち、c/p(=c/a)の絶対値がd/q(=d/b)の絶対値よりも大きい場合、(5)式から明らかなように復元信号の1番目の要素が負荷の有効電力Ploadの推定データに対応し、復元信号の2番目の要素がPVの有効電力Pdgの推定データに対応する。
以上をまとめると、図1のデータ処理部4は、復元信号y(t)の1番目の要素に復元行列の逆行列W-1の1行1列目の要素を補正係数として乗算するとともに復元信号y(t)の2番目の要素に復元行列の逆行列W-1の1行2列目の要素を補正係数として乗算する。さらに、データ処理部4は、復元行列の逆行列W-1の2行1列目の要素を1行1列目の要素で除した値の絶対値が2行2列目の要素を1行2列目の要素で除した値の絶対値よりも小さい場合に、復元信号の1番目の要素をPVの有効電力Pdgの推定データと判定し、逆に大きい場合に、復元信号の2番目の要素をPVの有効電力Pdgの推定データと判定する。
[観測信号の要素の順番を逆にした場合]
観測信号の要素の順番を(4)式、(5)式の左辺とは逆に、1番目の要素を無効電力Qtotalの測定データとし、2番目の要素を有効電力Ptotalの測定データと定義した場合について補足説明する。この場合、次の(14)式または(15)式が成立つ。
Figure 2012170236
(4)式、(5)式の場合と同様に、(14)式または(15)式の左辺の観測信号x(t)に対してICAを適用することによって復元行列Wと復元信号y(t)とが求められ、この復元信号y(t)の1番目および2番目の要素は補正係数p,qをそれぞれ乗じることによって補正される。対角行列D=diag(p,q)を用いると、W-1・D-1が(14)式の右辺の行列に対応する場合には、
Figure 2012170236
が成立つ。(16)式によれば、c/p=1、d/q=1となるので、補正係数p,qは復元行列の逆行列W-1の2行目の要素c,dにそれぞれ等しい。さらに、(16)式の対応関係が成立している場合、すなわち、a/p(=a/c)の絶対値がb/q(=b/d)の絶対値よりも小さい場合、(14)式から明らかなように復元信号の1番目の要素がPVの有効電力Pdgの推定データに対応し、復元信号の2番目の要素が負荷の有効電力Ploadの推定データに対応する。
一方、W-1・D-1が(15)式の右辺の行列に対応する場合、
Figure 2012170236
が成立つ。(17)式によれば、c/p=1、d/q=1となるので、補正係数p,qは復元行列の逆行列W-1の2行目の要素c,dにそれぞれ等しい。さらに、(17)式の対応関係が成立している場合、すなわち、a/p(=a/c)の絶対値がb/q(=b/d)の絶対値よりも大きい場合、(15)式から明らかなように復元信号の1番目の要素が負荷の有効電力Ploadの推定データに対応し、復元信号の2番目の要素がPVの有効電力Pdgの推定データに対応する。
以上をまとめると、図1のデータ処理部4は、復元信号y(t)の1番目の要素に復元行列の逆行列W-1の2行1列目の要素を補正係数として乗算するとともに復元信号y(t)の2番目の要素に復元行列の逆行列W-1の2行2列目の要素を補正係数として乗算する。さらに、データ処理部4は、復元行列の逆行列W-1の1行1列目の要素を2行1列目の要素で除した値の絶対値が1行2列目の要素を2行2列目の要素で除した値の絶対値よりも小さい場合に、復元信号y(t)の1番目の要素をPVの有効電力Pdgの推定データと判定し、逆に大きい場合に、復元信号y(t)の2番目の要素をPVの有効電力Pdgの推定データと判定する。
[負荷力率の変化の問題]
(4)式のように想定したモデルにICAを適用する場合、混合行列Aは線形で時間的にも不変である必要がある。すなわち、(4)式に示す混合行列Aの2行2列目の要素に関して、負荷電力の有効電力Ploadと無効電力Qloadとが常に一定力率rの関係を保っていることが必要である。
配電系統負荷が全体として常に一定力率であることはないが、PVが出力している日射時間帯で負荷力率rは時間的に変化せずほぼ一定値(1.0〜0.95)になっている場合が多い。具体的に説明すると、住宅地域の負荷力率は、終日1.0に近い値でほぼ一定である。工場・商業地域の負荷は、1日の負荷曲線で見ると力率が大きく変化する。特に、工場・商業地域の負荷の立上がり・立下がりの時間帯(すなわち、朝方および夕方)では、負荷力率が大きく変化する。しかし、PVが出力している日射時間帯の大部分では、工場・商業地域の負荷力率は1.0に近い値でほぼ一定である。
PV出力をリアルタイムで推定する場合、現分析時刻までの所定の分析期間内の複数の測定時刻において測定された有効電力および無効電力のデータに対してICAが適用される。この場合、分析期間内で負荷力率が大きく変動するとICAによる波形の推定精度が低下することになるが、分析期間の長さをある程度短く設定すれば負荷力率の変動を小さく抑えることができる。しかしながら、余りに短い分析期間に設定するとデータのサンプル数が不足するためにかえって推定精度が劣化するのでその点も考慮して分析期間の長さが決定される。
ここで、図1の観測地点50a,50bで観測される力率は、負荷力率rではなく、測定された有効電力Ptotal(t)および無効電力Qtotal(t)に対応する力率であり、PV出力の力率の影響も含んでいる点に注意する必要がある。したがって、PV出力の力率が大きく変動すれば、負荷力率rが変化しなくても測定データの力率は大きく変化することになる。しかしながら、通常はそのようなことは起こり難い。前述のように、PV出力の力率は、系統電圧が電圧管理値内であれば1.0で一定であり、その時間帯では負荷力率rも1.0に近い実態であるので、測定データに対応する力率の変化には、負荷力率rの変化がそのまま現われていると考えてよい。仮に、系統電圧の上昇に伴いPV出力の力率が低下したとしても最大0.85までであり、その影響は軽微である。
[PV出力のリアルタイム推定の手順]
図2は、この発明の実施の形態1によるPV出力のリアルタイム推定方法を示すフローチャートである。PV出力のリアルタイム推定は、日の出から日没までの間で設定された分析時刻が到来する度に実行される。
図1、図2を参照して、ステップS1で、電力計2bは、観測地点50bにおいて有効電力および無効電力を時系列的に測定する。図1の場合、電力計2bは、配電損失を無視すれば、観測地点50bよりも下流側に接続されたPV装置PV1〜PV3の発電電力と負荷装置LD1〜LD6の消費電力との合算値を計測する。電力計2bの測定データは信号伝送路9を介してコンピュータ3に送信され、記憶部5に記憶される。
ステップS1で、電力計2a,2bによって観測地点50a,50bの各々における有効電力および無効電力を時系列的に測定してもよい。この場合、電力計2a,2bの各々で計測された有効電力の差および無効電力の差を算出することよって、2つの観測地点50a,50bの間に接続されたPV装置PV2,PV3の発電電力と負荷装置LD4〜LD6の消費電力との合算値を検出することができる。
次のステップS2で、データ処理部4は、分析時刻が到来していない場合にはステップS1に処理を戻し、分析時刻が到来した場合にはステップS3に処理を進める。
次のステップS3で、データ処理部4は、現分析時刻までの分析期間内の複数の測定時刻において観測地点50bで測定された有効電力および無効電力のデータを観測信号として用いたICAによって、復元信号を算出する。図3で説明するように、分析期間の設定の仕方は種々考えられる。データ処理部4は、算出した復元信号に基づいて、現分析時刻までの分析期間内の各測定時刻における負荷装置LD1〜LD6全体で消費される有効電力(負荷有効電力)の推定値とPV装置PV1〜PV3全体から出力される有効電力(PV出力)の推定値とを決定する。
観測地点50a,50bの両方で測定されたデータを用いる場合には、データ処理部4は、観測地点50bで測定された有効電力のデータと観測地点50aで測定された有効電力のデータとの測定時刻ごとの差を計算する。データ処理部4は、さらに、観測地点50bで測定された無効電力のデータと観測地点50aで測定された無効電力のデータとの測定時刻ごとの差を計算する。データ処理部4は、計算した有効電力および無効電力の差のデータを観測信号として用いたICAによって復元信号を算出し、算出した復元信号に基づいて、現分析時刻までの分析期間内の各測定時刻における負荷有効電力の推定値とPV出力の推定値とを決定する。
次のステップS4で、データ処理部4は、現分析時刻までの分析期間内の複数の測定時刻のうち最終の測定時刻におけるPV出力の推定値を、現分析時刻におけるPV出力の推定値に決定する。データ処理部4は、さらに、現分析時刻までの分析期間内の最終の測定時刻における負荷有効電力の推定値を、現分析時刻における負荷有効電力の推定値に決定する。
以上のステップS1〜S4が繰り返されることによって、各分析時刻におけるPV出力の推定値が決定される。
図3は、分析期間の設定方法について説明するための図である。図3(A)〜(C)では、日の出時刻SRから日没時刻SSまでの間で設定された複数の分析時刻において、PV出力が推定されるとする。
図3(A)の場合には、全ての分析時刻t1,t2,t3,…において分析期間AT1,AT2,AT3,…の最初の時刻が同じである。したがって、分析期間AT1,AT2,AT3,…の各長さが分析時刻に応じて変更される。具体的に、1回目のPV出力の推定は分析時刻t1において実行され、日の出時刻SRから現分析時刻t1までの分析期間AT1内に観測地点で測定された有効電力および無効電力のデータに対してICAが適用される。同様に、分析時刻t2,t3においてそれぞれ2回目、3回目のPV出力の推定が行なわれる。2回目の推定では日の出時刻SRから現分析時刻t2までが分析期間AT2に設定され、3回目の推定では日の出時刻SRから現分析時刻t3までが分析期間AT3に設定される。図3(A)の場合には、分析期間の最初の時刻として日の出時刻SRが用いられているが、必ずしも日の出時刻SRに限定する必要はない。全ての分析時刻における分析期間の最初の時刻を同じにすることによって使用するデータ数が多くなるのでICAの推定精度が高くなるが、分析期間内で負荷力率の変動が大きくなると推定誤差が増大するので注意を要する。現在の分析時刻から次の分析時刻までの間隔を短くすることによって、ほぼ連続的にPV出力を推定することができる。
図3(B)の場合には、分析期間AT1,AT2,AT3,…の各々について、分析期間の最初の時刻は、現分析時刻の1つ前の分析時刻に設定される。すなわち、1回目のPV出力の推定では日の出時刻SRから現分析時刻t1までが分析期間AT1に設定され、2回目のPV出力の推定では前回の分析時刻t1から現分析時刻t2までが分析期間AT2に設定され、3回目のPV出力の推定では前回の分析時刻t2から現分析時刻t3までが分析期間AT3に設定される。図3(B)の場合には、分析期間AT1,AT2,AT3,…の各々の長さをある程度短く設定すれば負荷力率の変動を小さく抑えることができる。しかしながら、余りに短い分析期間に設定するとデータのサンプル数が不足するためにかえって推定精度が劣化するので、その点も考慮して分析期間の長さを決定する必要がある。
図3(C)の場合には、全ての分析時刻t1,t2,t3,…において分析期間AT1,AT2,AT3,…の長さが同じである。したがって、各分析期間の最初の時刻が分析時刻に応じて変更される。具体的に、1回目のPV出力の推定では日の出時刻SRから現分析時刻t3までが分析期間AT1に設定され、2回目のPV出力の推定では時刻t1から現分析時刻t4までが分析期間AT2に設定され、3回目のPV出力の推定では時刻t2から現分析時刻t5までが分析期間AT3に設定される。分析期間AT1,AT2,AT3の長さをある程度短く設定すれば負荷力率の変動を小さく抑えることができる。分析期間の時間窓を徐々にずらすようにすれば、図3(B)の場合と異なり連続的にPV出力を推定することができる。
<実施の形態2>
図4は、この発明の実施の形態2によるPV出力のリアルタイム推定方法を示すフローチャートである。実施の形態2では、図1のPV出力推定装置1を用いて、現分析時刻から所定時間後のPV出力を予測する方法が示される。PV出力の予測は、日の出から日没までの間で設定された分析時刻が到来する度に実行される。
図1、図4を参照して、図4のステップS1からステップS3までは図2と同じであるので説明を繰返さない。次のステップS5で、データ処理部4は、ステップS3で算出された現分析時刻までの分析期間内の複数の測定時刻におけるPV出力の推定値に対して、晴天時の日射強度の変化を表わす近似曲線をフィッティングする。そして、次のステップS6で、データ処理部4は、フィッティングされた近似曲線を用いて現分析時刻から所定時間後の未来のPV出力を推定する。その後、処理はステップS1に戻り、ステップS1からS6までが繰返されることによって、分析時刻が到来するごとにその時点での未来のPV出力の予測値が決定される。
晴天時の日射強度の日変化曲線は、正弦曲線:k・sin(t)(ただし、kは比例定数、tは時間を表わす)になることが知られている。図4のステップS5では、推定日当日の日の出時刻と日没時刻を通る正弦曲線k・sin(t)が、分析期間内の各測定時刻におけるPV出力の推定値に最もフィットするように最小二乗法を用いて振幅kが決定される。
実際のPV出力波形は、天候によっては晴天時の出力波形から崩れた種々の波形になる。実用的には雲の移動による細かい変動まで捉える必要はなく、平均的な日射に対応した連続波形を推定できれば十分であると考えられる。すなわち、上記のフィッティングは、大気圏外全天日射強度の変化に種々の減衰要因を乗じた任意の振幅の正弦曲線でのフィッティングを意味することになる。
図5は、図4のステップS5,S6をさらに説明するための図である。図5を参照して、現分析時刻CT(=t2)までの分析期間AT(時刻t1から時刻t2まで)内の各測定時刻において観測地点50bで測定された有効電力および無効電力のデータを用いてICAが実効された結果、各測定時刻におけるPV出力の推定値EVが算出されているとする。算出されたPV出力の推定値EVに対して、当日の日の出時刻SRと日没時刻SSを通る正弦曲線FCがフィッティングされる。フィッティング後の正弦曲線FCを用いて、現分析時刻CTよりも所定時間Δt後の時刻t3におけるPV出力の推定値EV3が決定される。
<実施の形態3>
図6は、この発明の実施の形態3によるPV出力のリアルタイム推定方法を示すフローチャートである。実施の形態3では、図1のPV出力推定装置1を用いて現分析時刻におけるPV出力を推定する方法が示される。実施の形態1の場合との相違は、現分析時刻におけるPV出力を推定するために正弦関数によるフィッティングを用いる点にある。PV出力の推定は、日の出から日没までの間で設定された分析時刻が到来する度に実行される。
図1、図6を参照して、図6のステップS1からステップS5までは図4の場合と同じであるので説明を繰返さない。次のステップS7で、データ処理部4は、フィッティングされた近似曲線において、現分析時刻の値を現分析時刻におけるPV出力の推定値に決定する。その後、処理はステップS1に戻り、ステップS1からS7までが繰返されることにより、各分析時刻におけるPV出力の推定値が決定される。
通常、ICAによって算出されたPV出力の波形は、晴天時の場合には日射強度の日変化曲線(正弦波形)に近い形状になるが、PV出力の推定波形が正弦波形に細かな振動波形(高周波成分)が重畳した波形になる場合がある。この振動波形は、混合行列Aにおいて負荷力率一定の条件が満たされないために生じたものである。この振動成分の影響を除去するために、現分析時刻までの分析期間内の複数の測定時刻におけるPV出力の推定値に対して晴天時の日射強度の変化を表わす近似曲線(正弦曲線)をフィッティングする。フィッティングされた近似曲線上において求められた現分析時刻での値が現分析時刻におけるPV出力の推定値になる。
図7は、図6のステップS5,S7をさらに説明するための図である。図7を参照して、現分析時刻CT(=t2)までの分析期間AT(時刻t1から時刻t2まで)内の各測定時刻において観測地点50bで測定された有効電力および無効電力のデータを用いてICAが実行された結果、各測定時刻におけるPV出力の推定値EVが算出されているとする。算出されたPV出力の推定値EVに対して、当日の日の出時刻SRと日没時刻SSを通る正弦曲線FCがフィッティングされる。現分析時刻CTにおけるPV出力の推定値には、分析期間AT内の最終測定時刻におけるPV出力の推定値EV1でなく、フィッティング後の正弦曲線FCおいて現分析時刻CTでの値EV2が採用される。
現分析時刻において負荷装置全体で消費される有効電力(負荷有効電力)Ploadは、分析期間AT内の最終測定時刻に観測地点50bで測定された有効電力Ptotalのデータから、現分析時刻におけるPV出力の推定値EV2を差し引くことによって求められる。
<実施の形態4>
図8は、この発明の実施の形態4によるPV出力のリアルタイム推定方法を示すフローチャートである。実施の形態4では、図1のPV出力推定装置1を用いて、現分析時刻から所定時間後の未来のPV出力を予測する方法が示される。実施の形態2の場合との相違は、現分析時刻までの分析期間内の各測定時刻におけるPV出力の推定値でなく、現分析時刻までの各分析時刻におけるPV出力の推定値に対して正弦関数をフィッティングする点にある。PV出力の予測は、日の出から日没までの間で設定された分析時刻が到来したときに実行される。
図1、図8を参照して、図8のステップS1からステップS4までは、図2の場合と同じであるので説明を繰返さない。次のステップS8において、データ処理部4は、PV出力の予測を行なう場合には処理をステップS9に進め、PV出力の予測を行なわない場合には処理をステップS1に戻す。
次のステップS9で、データ処理部4は、現分析時刻までに到来した複数の分析時刻におけるPV出力の推定値に対して、晴天時の日射強度の変化を表わす近似曲線をフィッティングする。そして、次のステップS10で、データ処理部4は、フィッティングされた近似曲線を用いて現分析時刻から所定時間後のPV出力を推定する。その後、処理はステップS1に戻り、ステップS1からS10までが繰返されることによって、分析時刻が到来したときにPV出力の予測を行なう場合には、その時点での未来のPV出力の予測値が決定される。
<まとめ>
以上のとおり、この発明の実施の形態1,3によるPV出力のリアルタイム推定方法によれば、配電系統に連系された太陽光発電の現時点における出力を少ないセンサで従来よりも簡単に推定することができる。この発明の実施の形態2,4によるPV出力のリアルタイム推定方法によれば、配電系統に連系された太陽光発電の現時点よりも所定時間経過後の未来の出力を、少ないセンサで従来よりも簡単に予測することができる。
1 PV出力推定装置、2a,2b 電力計、3 コンピュータ、4 データ処理部、5 記憶部、20 変電所、30 配電線、50a,50b 観測地点、100 配電系統、A 混合行列、AT,AT1〜AT3 分析期間、D 対角行列、LD1〜LD6 負荷装置、PV1〜PV3 太陽光発電装置、Pdg PVの有効電力、Pload 負荷の有効電力、Ptotal 観測地点での有効電力、Qdg PVの無効電力、Qload 負荷の無効電力、Qtotal 観測地点での無効電力、W 復元行列、r 負荷力率、s 元信号、x 観測信号、y 復元信号。

Claims (11)

  1. 配電系統に接続された複数の太陽光発電装置および複数の負荷装置よりも上流側に設けられた観測地点において、有効電力および無効電力を時系列的に測定するステップと、
    日の出から日没までの間で設定された分析時刻が到来する度に、到来した現分析時刻までの所定の分析期間内の複数の測定時刻において前記観測地点で測定された有効電力および無効電力のデータを用いた独立成分分析によって、各測定時刻における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値を算出するステップと、
    現分析時刻までの分析期間内の各測定時刻における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に基づいて、現分析時刻または現分析時刻から所定時間後における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力を推定するステップとを備えた太陽光発電出力のリアルタイム推定方法。
  2. 前記推定するステップは、現分析時刻までの分析期間内の複数の測定時刻のうち最終の測定時刻における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値を、現分析時刻における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に決定するステップを含む、請求項1に記載の太陽光発電出力のリアルタイム推定方法。
  3. 前記推定するステップは、さらに、
    現分析時刻までに到来した複数の分析時刻における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に対して、晴天時の日射強度の変化を表わす近似曲線をフィッティングするステップと、
    前記フィッティングされた近似曲線を用いて現分析時刻から所定時間後における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力を推定するステップとを含む、請求項2に記載の太陽光発電出力のリアルタイム推定方法。
  4. 前記推定するステップは、
    現分析時刻までの分析期間内の複数の測定時刻における前記太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に対して、晴天時の日射強度の変化を表わす近似曲線をフィッティングするステップと、
    前記フィッティングされた近似曲線を用いて現分析時刻から所定時間後における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力を推定するステップとを含む、請求項1に記載の太陽光発電出力のリアルタイム推定方法。
  5. 前記推定するステップは、
    現分析時刻までの分析期間内の複数の測定時刻における前記太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に対して、晴天時の日射強度の変化を表わす近似曲線をフィッティングするステップと、
    前記フィッティングされた近似曲線の現分析時刻における値を、現分析時刻における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に決定するステップとを含む、請求項1に記載の太陽光発電出力のリアルタイム推定方法。
  6. 全ての分析時刻において分析期間の長さが同じである、請求項1に記載の太陽光発電出力のリアルタイム推定方法。
  7. 全ての分析時刻において分析期間の最初の時刻が同じである、請求項1に記載の太陽光発電出力のリアルタイム推定方法。
  8. 現分析時刻までの分析期間の最初の時刻は、現分析時刻の1つ前の分析時刻である、請求項1に記載の太陽光発電出力のリアルタイム推定方法。
  9. 配電系統に接続された複数の太陽光発電装置および複数の負荷装置よりも上流側に設けられた第1の観測地点、ならびに前記複数の太陽光発電装置および前記複数の負荷装置よりも下流側に設けられた第2の観測地点において、有効電力および無効電力を時系列的に測定するステップと、
    日の出から日没までの間で設定された分析時刻が到来する度に、到来した現分析時刻までの所定の分析期間内の複数の測定時刻において前記第1および第2の観測地点でそれぞれ測定された有効電力のデータを測定時刻ごとに互いに減算したデータと、前記第1および第2の観測地点でそれぞれ測定された無効電力のデータを測定時刻ごとに互いに減算したデータとを用いた独立成分分析によって、各測定時刻における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値を算出するステップと、
    現分析時刻までの分析期間内の各測定時刻における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に基づいて、現分析時刻または現分析時刻から所定時間後における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力を推定するステップとを備えた太陽光発電出力のリアルタイム推定方法。
  10. 配電系統に接続された複数の太陽光発電装置および複数の負荷装置よりも上流側に設けられた観測地点において有効電力および無効電力を時系列的に測定する測定部と、
    データ処理部とを備え、
    前記データ処理部は、日の出から日没までの間で設定された分析時刻が到来する度に、到来した現分析時刻までの所定の分析期間内の複数の測定時刻において前記観測地点で測定された有効電力および無効電力のデータを用いた独立成分分析によって、各測定時刻における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値を算出し、
    前記データ処理部は、現分析時刻までの分析期間内の各測定時刻における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に基づいて、現分析時刻または現分析時刻から所定時間後における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力を推定する、太陽光発電出力のリアルタイム推定装置。
  11. 配電系統に接続された複数の太陽光発電装置および複数の負荷装置よりも上流側に設けられた観測地点において時系列的に測定された有効電力および無効電力のデータを取得するステップと、
    日の出から日没までの間で設定された分析時刻が到来する度に、到来した現分析時刻までの所定の分析期間内の複数の測定時刻において前記観測地点で測定された有効電力および無効電力のデータを用いた独立成分分析によって、各測定時刻における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値を算出するステップと、
    現分析時刻までの分析期間内の各測定時刻における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力の推定値に基づいて、現分析時刻または現分析時刻から所定時間後における前記複数の太陽光発電装置全体の出力電力を推定するステップとをコンピュータに実行させる太陽光発電出力のリアルタイム推定プログラム。
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