JP2012169896A - マルチバンドアンテナ - Google Patents

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健児 林
Hiroshi Okamoto
浩志 岡本
Tatsuro Ayaka
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Abstract

【課題】 LTEを含めた周波数帯に対応可能であり、VSWR帯域において優れ、もって複数の送受信系に対応可能なマルチバンドアンテナを提供する。
【解決手段】 一端側が給電点に接続され他端側が開放端の第1の素子と、一端側が前記給電点と接続し、他端側が開放端であり、前記第1の素子よりも素子長さが短く、かつ前記第1の素子と略同方向に並んで伸びる第2の素子とを備え、第1の端子の開放端に至るまでに前記第1の素子と前記第2の素子との間を接続する接続部を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、無線装置に用いられるアンテナ回路に関し、特には複数の互いに異なる周波数帯において利用可能なマルチバンドアンテナに関するものである。
携帯電話等の無線通信装置の急速な普及に応じて通信システムが使用する周波数帯域も多岐に亘るようになり、特に最近では、デュアルバンド方式、トリプルバンド方式、クワッドバンド方式のように複数の送受信帯域に対応した携帯電話が多くなってきた。例えば、GSM850/900帯、DCS帯、PCS帯、UMTS帯の通信システムに対応した携帯電話では、GSM850/900帯が824〜960MHz、DCS帯が1710〜1850MHz、PCS帯が1850〜1990MHz、及びUMTS帯が1920〜2170MHz帯の周波数帯を使用するので、これらの複数の周波数帯域に対応可能なアンテナ(マルチバンドアンテナ)が必要である。
アンテナを構成するアンテナの要素[放射素子、放射電極、放射線路(単に線路とも呼ばれる)]は通常基本周波数での共振(基本モード)と、高次の周波数での共振(高次モード)とを有する。例えば、直列共振で動作するアンテナでは、基本モードは1/4波長であり、高次モードは3/4波長である。また、並列共振であれば、基本モードは1/2波長であり、高次モードは3/2波長である。
一つのアンテナ要素でマルチバンドアンテナを構成する場合、直列共振による基本モードの共振を例えばGSM850/900帯で得るとすると、DCS帯等は高次モードの共振に対応することになる。しかし、DCS帯、PCS帯及びUMTS帯はGSM帯の約2〜2.5倍の周波数であり、複数の周波数帯域が1:3の関係にないので、単純には高次モードの共振に対応できない。並列共振による場合もまた高次モードの共振に対応するのは難しい。また高次モードの共振では、VSWR(電圧定在波比)が得られる帯域幅が狭い。
GSM850/900帯の周波数帯域幅は136MHzであり、中心周波数は892MHzであるので、比帯域幅は約15.3%〔136MHz/892MHz〕である。またDCS帯、PCS帯、及びUMTS Band1帯の周波数帯域幅は460MHzであり、中心周波数は1940MHzであるので、比帯域幅は約23.7%〔460MHz/1940MHz〕である。このような周波数帯では、一つのアンテナ要素による共振によりインピーダンス整合を得るのは難しく、その帯域幅も十分に確保できない。
このような問題に対して、本発明者は特許文献1において図12に示すマルチバンドアンテナを提案した。このマルチバンドアンテナは、要素E2、E3を含み並列共振モードで動作する第1の放射素子と、要素E1、E2で構成され直列共振モードで動作する第2の放射素子と、要素E1、E3で構成され直列共振モードで動作する第3の放射素子とを備えるものである。なお図中、符号211は第2の放射素子に誘起される共振電流を、符号222は第3放射素子に誘起される共振電流を、第3の放射素子に誘起される共振電流を示す。
第1の放射素子による並列共振の第1の周波数は、第2の放射素子による直列共振の第2の周波数よりも相対的に高周波数に設定されおり、第3の放射素子による直列共振の第3の周波数は前記第1の周波数よりも相対的に高周波数に設定される。
第1の周波数をアンテナの動作周波数帯域内とし、第2、第3の周波数を帯域外に設定することで、直列共振モードの共振と並列共振モードの共振との間に遷移的に生じるVSWR劣化のピーク周波数を所望の周波数帯域外(低周波側)とし、更に第2の周波数を、アンテナの動作周波数の下限近傍に設定する。主共振として並列共振を用いることで、基本モードでのインピーダンス整合可能な周波数を広帯域とするとともに、利得の低下も防いでいる。また更に要素を加えることで、DCS帯、PCS帯及びUMTS帯の高周波帯にも対応可能としている。
特開2010−288175号
最近ではマルチバンドアンテナが対応すべき周波数帯はLTE帯にも広がっている。例えば、LTE Band13帯は746〜787MHz、LTE Band14帯は758〜798MHz、LTE Band7帯は2500〜2690MHz帯の周波数帯を使用する。なおLTE、GSMは商標あるいは登録商標である。
マルチバンドアンテナに要求される対応周波数帯域は広がる一方である。特許文献1のマルチバンドアンテナは広帯域の周波数に対応可能なものであるものの、LTEを含めた基本モードの周波数帯に対応するには、並列共振モードでの主共振ではVSRW帯域が十分でないと言う問題がある。
また主共振である第1の放射素子による基本モードでの並列共振の周波数は、第2の放射素子と第3の放射素子を構成する要素の長さ等によって調整される。当然に要素の長さを変えれば、2つの直列共振の周波数も変化する。
例えば、第2の放射素子による直列共振を利用し、LTE周波数帯域内の第2の周波数に共振を設けることも可能であるが、調整が難しいとともに、主共振や高次モードにおいて所望のVSWRが得られる周波数帯域が狭くなる問題がある。この為、従来のマルチバンドアンテナでは、LTEを含めた周波数帯に対応させることは困難であった。
そこで本発明では、LTEを含めた周波数帯に対応可能であり、VSWR帯域において優れ、もって複数の送受信系に対応可能なマルチバンドアンテナを提供することを目的とする。
本発明は、複数の送受信系に対応するマルチバンドアンテナであって、一端側が給電点に接続され他端側が開放端の第1の素子と、一端側が前記給電点と接続し、他端側が開放端であり、前記第1の素子よりも素子長さが短く、かつ前記第1の素子と略同方向に並んで伸びる第2の素子と、一端側が前記給電点と接続し、他端側が開放端であり、前記第2の素子よりも素子長さが短く、かつ少なくとも一部が前記第2の素子と略同方向に並んで伸びる第3の素子と、前記給電点側に前記第1〜第3の素子を直接又はインピーダンス素子を介し接地する短絡線路を備え、第1の端子の開放端に至るまでに前記第1の素子と前記第2の素子との間を接続する接続部を有することを特徴とするマルチバンドアンテナである。
本発明によれば、GSM850/900帯やDCS帯、PCS帯及びUMTS帯の高周波帯はもとより、LTEを含めた周波数帯においてVSWR帯域特性に優れ、もって複数の送受信系に対応可能なマルチバンドアンテナを容易に提供することが出来る。
本発明のマルチバンドアンテナの一構成例を説明する為の図である。 本発明のマルチバンドアンテナの第1〜第4の周波数における動作を説明する為の図である。 本発明のマルチバンドアンテナの第5の周波数における動作を説明する為の図である。 本発明のマルチバンドアンテナの第6〜第9の周波数における動作を説明する為の図である。 本発明のマルチバンドアンテナの第10の周波数における動作を説明する為の図である。 本発明のマルチバンドアンテナの第11の周波数における動作を説明する為の図である。 本発明のマルチバンドアンテナの他の構成例を説明する為の図である。 本発明のマルチバンドアンテナの金属板による構成例を示す外観斜視図である。 本発明のマルチバンドアンテナの金属板による他の構成例を示す外観斜視図である。 本発明のマルチバンドアンテナのVSWRの周波数特性を示す図である。 本発明の他のマルチバンドアンテナのVSWRの周波数特性を示す図である。 従来のマルチバンドアンテナの構成を説明する為の図である。
本発明のマルチバンドアンテナの基本構造を、図1を用いて説明する。
このマルチバンドアンテナ1は、第1の素子el1と第2の素子el2と第3の素子el3とを備え、各素子は共通の給電回路200からの給電により励振され、複数の共振を生じることで、複数の送受信系に対応可能なものである。
本実施例において、第1の素子el1は要素a、d、e、fからなり、第2の素子el2は要素b、e、fからなり、第3の素子el3は要素c、g、fからなる。また短絡線路は要素hとなる。短絡線路はインピーダンス素子を介して接地しても良い。
要素aは要素bと比べて僅かに長くなるように設定される。要素aと要素bとの長さの差は実質的に第1の素子el1と第2の素子el2との長さの差となる。
そして、第1の端子el1の開放端に至るまでに前記第1の素子el1と前記第2の素子el2との間を接続する接続部Sbを有する。前記接続部Sbとの接続点によって、要素aは要素a1、a2に、要素bは要素b1、b2に分けられる。
各素子の主要部は、理想的にはグランド面GNDと略平行に配置され、それぞれ同じ方向に向って伸びる様に構成される。
第1の素子el1は第2の素子el2と近接して配置されており、要素a、d、e、f、g、hによって第1の周波数f1で並列共振する第1の放射素子を構成する。その合計長さは、実質的に第1の周波数f1の波長λ1の略1/4となっている。
要素b、e、f、g、hによって第2の周波数f2で並列共振する第2の放射素子を構成する。その合計長さは、実質的に第2の周波数f2の波長λ2の略1/4となっている。
要素a2、i、b1、e、f、g、hによって第3の周波数f3で並列共振する第3の放射素子を構成する。その合計長さは、実質的に第3の周波数f3の波長λ3の略1/4となっている。
要素b2、i、a1、e、f、g、hによって第4の周波数f4で並列共振する第4の放射素子を構成する。その合計長さは、実質的に第4の周波数f4の波長λ4の略1/4となっている。
図2に示す様に、第1の放射素子には共振電流e1が誘起され、第2の放射素子には共振電流e2が誘起され、第3の放射素子には共振電流e3が誘起され、第4の放射素子には共振電流e4が誘起される。これ等の放射素子による共振周波数は近接しており、VSWRの周波数特性では、あたかも一つの共振の様に見える。複数の共振が異なる周波数に生じているため、VSWRの周波数特性は広帯域化する。ここで現れるVSWRのピークをピークaとする。
理想状態では第3の素子el3側は高インピーダンスであり、給電側からは見えないので点線で示している。
図3は第5の周波数f5での共振状態を示す図である。周波数f5は前記第1の周波数f1の2倍を超える周波数に設定される。第3の素子el3は第5の放射素子として機能し、構成要素c、f、g、hに共振電流e5が誘起される。第3の素子el3は第5の周波数f5で共振する波長λ5の略1/4の長さに形成されており、開放端側で電流が最小となるような直列共振モードの電流分布となる。この共振でのVSWRのピークをピークbとする。
理想状態では第1の素子el1、第2の素子el2は高インピーダンスであり、給電側からは見えないので点線で示している。第5の周波数f5が、第1の素子el1や第2の素子el2が共振し得る高次の共振周波数と近い周波数であれば、各素子にも高次直列共振の共振電流が誘起される場合があるが、主共振による電流よりも小さい。
図4は第6の周波数f6〜第9の周波数f9での共振状態を示す図である。第1の放射素子〜第2の放射素子には、第1〜第4の放射素子による高次直列共振モードの共振電流e6〜e7が誘起される。これ等の放射素子による共振周波数もまた近接しており、VSWRの周波数特性では、あたかも一つの共振の様に見える。複数の共振が異なる周波数に生じているため、VSWRの周波数特性は広帯域化する。ここで現れるVSWRのピークをピークcとする。
理想状態では第3の素子el3は高インピーダンスであり、給電側からは見えないので点線で示している。第3の素子el3が第2の素子el2と結合する場合には、直列共振の共振電流が誘起される場合があるが、主共振による電流よりも小さい。
図5は第10の周波数f10での共振状態を示す図である。第2の放射素子に高次直列共振モードの共振電流e10が誘起される。
理想状態では第1の素子el1、第3の素子el3は高インピーダンスであり、給電側からは見えないので点線で示すが、第1の放射素子による高次直列共振や第3の放射素子の直列共振による共振電流が誘起される場合もある。その場合の共振電流は主共振による電流よりも小さい。この共振でのVSWRのピークをピークdとする。
図6は第11の周波数f11での共振状態を示す図である。第1の素子と第2の素子の構成要素a2、b2、b1、e、fによって第11の周波数f11で並列共振する第6の放射素子を構成する。その合計長さは、実質的に第11の周波数f11の波長λ11の略1/2となっている。この共振でのVSWRのピークをピークeとする。
理想状態では第1の素子el1の一部と、第3の素子el3は高インピーダンスであり、給電側からは見えないので点線で示すが、第1の放射素子による高次直列共振や第3の放射素子の直列共振による共振電流が誘起される場合もある。その場合の共振電流は主共振による電流よりも小さい。
なお本実施態様では、第1の素子el1、第2の素子el2は直線状であり、同方向に伸長するが、曲線や蛇行させて構成することが出来る。また屈曲させて、先端側を同じ方向に伸長する様に折り返しても良い。更に折り返された第2の素子el2の先端側を第3の素子el3と結合可能なように対向させても良い。
このような構成によれば、マルチバンドアンテナを小型に構成することが出来る。また、第2の素子el2と第3の素子el3の経路での共振を利用して、広帯域のマルチバンドアンテナとすることが出来る。
各素子を構成する要素は、FR4(ガラスエポキシ樹脂基板)などのプリント基板に、エッチングなどの公知の手法によって低抵抗のCu薄板で形成する場合や、アルミナや他の誘電体セラミクス材料から成るセラミック基板に、印刷やエッチングなどの公知の手法によってAu,Ag,Cu等の良導体で形成することも出来る。また、Cuやリン青銅からなる導体薄板で構成しても良い。
加工は容易だが外力に対して容易に変形し難いリン青銅などの合金で要素を形成すれば、支持体に依らず自由な形状に形成することが可能となり好ましい。
またプリント基板やセラミック素体に形成した要素を、グランド面を有する他のプリント基板に実装して構成しても良いし、導体薄板と組み合わせて構成しても良い。
以下本発明に係るマルチバンドアンテナの実施例について説明する。
図7はマルチバンドアンテナの構成例を説明する為の図である。また、図8及び図9の斜視図に金属板による構成例を示す。このマルチバンドアンテナはポリカーボネート樹脂により支持されるが、図面上では省略している。外形寸法は幅を10mm、長さを46.5mm、高さを6.5mmとしている。
このマルチバンドアンテナは、接続点(給電点)Aを介して給電回路200と接続する第1の素子el1と、第2の素子el2と、第3の素子el3とを有し、プリント回路基板(図示せず)の一面側に立設されたリン青銅からなる厚み0.1mmの導体薄板で構成されている。
プリント回路基板は銅張両面導体基板(ガラスエポキシ基板)であるが、マルチバンドアンテナと重なる部位には、その両面にグランドパターンは形成されていない。
給電点Aに対して、第1の素子el1と第2の素子el2とが同じ方向に伸び、複数箇所で折り曲げられた後、端部は給電点A側に向う。その長さは、第1の素子el1を81.5mm、第2の素子el2を77.5mmとした。本実施例においては端部側に近接部が設けられ素子間の間隔は0.5mmとなっている。また他の部位では1.5mmの間隔をもって形成している。第1の素子el1と第2の素子el2は途中で接続されており、接続部Sbは、図8のマルチバンドアンテナでは、第1の素子el1の給電点Aから約51mm位置と、第2の素子el2の給電点Aから約40mm位置とを接続している。他の実施態様である図9に示すマルチバンドアンテナでは、第1の素子el1の給電点Aから約69mm位置と、第2の素子el2の給電点Aから約58mm位置とを接続している。
第1の素子el1と第2の素子el2の端部側に向かって第3の素子el3が形成される。その長さを30.5mmとした。端部は第2の素子el2に3方囲まれた領域にあり、隣り合う第2の素子el2との間隔を、第2の素子el2の端部側で1.9mm、給電点に近い側で2.0mmとした。
この様な構成により、VSWRのピークaをLTE Band13,14、GSM850/900帯に、ピークbをDCS/PCS帯に、ピークcをUMTS帯に、ピークdをLTE Band7帯に有するマルチバンドアンテナとした。
得られたマルチバンドアンテナを50Ωの同軸ケーブルを介してネットワークアナライザに接続し、VSWR特性を測定した。図10及び図11に600MHz〜3000MHzにおけるVSWR特性を示す。接続部bの位置によって、第6の放射素子によるVSWRのピークeの位置が変化した。
本発明のマルチバンドアンテナによれば、各共振が各送受信系の帯域内において発現し、かつ所定のVSWR値となる周波数帯域が広帯域であって、各送受信系の帯域をカバーする。さらに、第1の素子el1と第2の素子el2を繋ぐ接続部bの位置の調整によって、任意の周波数において共振を生じさせることができる。この為、更にマルチバンドアンテナが対応可能な送受信系を増やすことも可能である。
1 マルチバンドアンテナ
200 給電回路
el1 第1の素子
el2 第2の素子
el3 第3の素子

Claims (1)

  1. 複数の送受信系に対応するマルチバンドアンテナであって、
    一端側が給電点に接続され他端側が開放端の第1の素子と、一端側が前記給電点と接続し、他端側が開放端であり、前記第1の素子よりも素子長さが短く、かつ前記第1の素子と略同方向に並んで伸びる第2の素子と、一端側が前記給電点と接続し、他端側が開放端であり、前記第2の素子よりも素子長さが短く、かつ少なくとも一部が前記第2の素子と略同方向に並んで伸びる第3の素子と、前記給電点側に前記第1〜第3の素子を直接又はインピーダンス素子を介し接地する短絡線路を備え、
    第1の端子の開放端に至るまでに前記第1の素子と前記第2の素子との間を接続する接続部を有することを特徴とするマルチバンドアンテナ。
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