JP2012167964A - 超音波入射法 - Google Patents
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Abstract
【課題】くさび中での超音波減衰量が小さく、ナトリウム中での最適な超音波屈折角を得ることができる超音波入射法を提供する。
【解決手段】超音波発生器で発生させた縦波の超音波を横波の超音波にモード変換する超音波入射法であって、縦波の超音波12Aを所定の角度cでくさび10に入射させ、くさび10を構成する面Cの境界面の点16で縦波の超音波を反射させて横波の超音波12Bにモード変換した後、予め定めた角度bで横波の超音波12Bをくさび10の外部にある物質へ入射させる。
【選択図】図4
【解決手段】超音波発生器で発生させた縦波の超音波を横波の超音波にモード変換する超音波入射法であって、縦波の超音波12Aを所定の角度cでくさび10に入射させ、くさび10を構成する面Cの境界面の点16で縦波の超音波を反射させて横波の超音波12Bにモード変換した後、予め定めた角度bで横波の超音波12Bをくさび10の外部にある物質へ入射させる。
【選択図】図4
Description
本発明は、原子力発電プラントの大口径配管を流れる流体の流量を測定するための超音波入射法に関するものである。
原子力発電プラントの高温、高放射能下の配管など、人が近づいて点検することができない配管内を流れる流体の流速と配管断面積の積から容易に流体の流量を測定できるものとして、超音波式流量計が多く用いられている。
例えば特許文献1には、超音波ビームの一部を測定対象に当接するくさびのコーナ部で反射させる構造を有する超音波トランスデューサと、この超音波トランスデューサの送受信動作を流量測定状態及び劣化監視状態に応じて適宜切換える切換器と、この切換器により劣化監視状態に切換えられている上記超音波トランスデューサの上記くさびのコーナ部で反射される超音波ビームのエコーレベルにより超音波トランスデューサの劣化判定を行なうレベル比較部とを備える超音波式流量計が提案されている。
また特許文献2には、所定の繰り返し周波数の超音波パルスを超音波トランスデューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ入射させるとともに、被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された超音波エコーを受信する超音波送受信手段と、受信した超音波エコーから測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流速分布測定手段と、前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段と、被測定流体に係る流体配管の外壁面に対して前記超音波トランスデューサを固定するためのくさびとを備えた超音波流量計が提案されている。
「くさび」とは、超音波トランスデューサをクランプオンするとともに、その超音波トランスデューサから発振される超音波の入射角度αを決定するために用いられるものである。ここで入射角度αとは、超音波トランスデューサから発振される超音波の入射角度、すなわち流体配管の管壁への垂線に対してなす角度である。
特許文献1に記載の超音波式流量計は、超音波振動子で発生した超音波ビームを所定の角度で配管中に伝播させるためのくさびの構成については開示されているが、くさびの材質や超音波ビームの入射角度に関しては記載されていない。
また特許文献2に記載の超音波流量計は、超音波トランスデューサとくさびの構成については開示されているが、横波のみを発振させる超音波トランスデューサの構成や、くさびにおける縦波と横波とのモード変換および超音波の入射角に関しては記載されていない。
現在、大口径配管に適用する超音波流量計としてナトリウム中で最適な超音波屈折角を得るために銀のくさびを用いたものがあるが、超音波は銀中での減衰が非常に大きいという問題がある。
また銀のくさびを配管に取り付ける際は銀のくさびを配管に押し付けて配管に密着させて設置するため、経年変化により銀のくさびが変形するおそれがあるという問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、くさび中での超音波減衰量が小さく、ナトリウム中での最適な超音波屈折角を得ることができる超音波入射法を提供することを課題とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の超音波入射法は、超音波発生器で発生させた縦波の超音波を横波の超音波にモード変換する超音波入射法であって、縦波の超音波を所定の角度でくさびに入射させ、くさびを構成する面内部で縦波の超音波を反射させて横波の超音波にモード変換した後、予め定めた角度で横波の超音波をくさびの外部にある物質へ入射させることを特徴とする。
この構成によれば、圧電素子で発生した縦波の超音波をくさびの面内部で反射させ、縦波から横波にモード変換して横波の超音波を所定の角度で配管に入射することができる。また超音波センサの圧電素子の配設位置およびくさびの形状だけで、銀のくさびを使用せずに大口径配管の内部を流れるナトリウム中での超音波の最適な屈折角を得ることができる。
本発明の超音波入射法の所定の角度は、縦波の超音波が反射するくさびを構成する面と直交する面に対してなす角度であり、55度以上75度以下であることが、好ましい。
この構成によれば、縦波の反射率が低く、横波の反射率が高い領域の範囲になるように縦波入射角を設定することで、効率的に横波を反射させることができる。
本発明の超音波入射法の予め定めた角度は、横波の超音波を外部にある物質の内部を流れる流体中で屈折させるための角度であることが、好ましい。
この構成によれば、銀のくさびを使用せずに大口径配管の内部を流れるナトリウム中での超音波の最適な屈折角を得ることができる。
本発明の超音波入射法の予め定めた角度は、45度であることが、好ましい。
この構成によれば、銀のくさびを使用せずに大口径配管の内部を流れるナトリウム中での超音波の最適な屈折角を得ることができる。
本発明の超音波入射法のくさびの材料は音響インピーダンスが、外部にある物質の材料の音響インピーダンスの0.9倍以上1.1倍以下の材料であることが、好ましい。
この構成によれば、銀のくさびを使用せずに大口径配管の内部を流れるナトリウム中での超音波の最適な屈折角を得ることができる。また、くさび中での超音波減衰量を小さくすることができる。
本発明の超音波入射法のくさびの材料は、外部にある物質と同じ材料であることが、好ましい。
この構成によれば、くさびと大口径配管の材料は同じなので、くさびと大口径配管との界面での屈折は起きないため、入射角の設定が容易にできる。また、くさび中での超音波減衰量を小さくすることができる。
本発明の超音波入射法の外部にある物質は、直径が1m以上の大口径配管であり、大口径配管の内部を流れる流体はナトリウムであることが、好ましい。
この構成によれば、直径が1m以上の大口径配管の内部を流れるナトリウムの流量を精度良く測定することができる。
本発明の超音波入射法によれば、くさび中での超音波減衰量が小さく、ナトリウム中での最適な超音波屈折角を得ることができる超音波入射法を提供することが可能となる。
以下に、本発明に係る超音波入射法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
以下の実施例では、高速増殖炉や次世代実証炉の冷却材配管に用いられる超音波流量計を例にして説明する。冷却材配管中を流れる流体としては液体ナトリウムを対象としている。
図1は、本発明の実施例に係る超音波流量計の概略構成図である。超音波流量計1は、一対の超音波センサ1A,1Bと超音波送受信部20,21と制御部22と流量演算部23と表示部24とを備えている。本実施例において、超音波センサ1A,1Bは、超音波の発振器(エミッション)とその超音波の反射波を受信する受信器(レシーバ)とが一体になった超音波送受信器(超音波トランスデューサ)として構成されている。この超音波送受信器は、縦波の超音波を発生する振動子を備えたものである。以下、超音波送受信器を超音波トランスデューサということがある。
超音波送受信部20,21は、超音波センサ1A,1Bに高電圧パルスを供給して超音波を発生させる超音波送信部と超音波センサ1A,1Bで得られた超音波を受信する超音波受信部とで構成されている。超音波送受信部20,21は、超音波センサ1Aが発信器の場合には、超音波センサ1Aに対して超音波送受信部20から高電圧パルスを伝送し、超音波を発生させて測定対象である配管2に伝播させると共に、受信器としての超音波センサ1Bで得られた超音波のエコーを超音波送受信部21へ伝送して受信させる。超音波送受信部21は、その受信タイミングを示す信号を流量演算部23へ送出する。
制御部22は、超音波流量計1全体を制御するものである。例えば、制御部22は、一対の超音波センサ1A,1Bの一方を超音波送信部として超音波を送信させ、他方を超音波受信部として超音波を受信させるように超音波送受信部20,21を制御する。制御部22は、超音波送受信部20,21で送受信した超音波の伝播時間を流量演算部23へ受け渡すように制御する。制御部22は、超音波送受信部20,21で送信・受信を切換えることにより、配管2内を流れる流体Xの流れの順方向(矢印方向)に超音波を伝播させた場合の時間データと流体Xの流れの逆方向(矢印と反対方向)に超音波を伝播させた場合の時間データとをサンプリングして超音波送受信部20,21に取得させ、流量演算部23に受け渡す。
流量演算部23は、超音波センサ1A,1Bの超音波送信部の送信状態と超音波受信部の受信状態とによって配管内を流れる流体Xの流速を測定し、測定した流速と配管内の断面積との積を演算して流体Xの流量を求める演算部である。流量演算部23は、超音波送受信部20により超音波センサ1Aに高電圧パルスを伝送して超音波を発生させたタイミングと超音波送受信部21により超音波センサ1Bで超音波を受信したタイミングとから配管2中の超音波の伝播に要した時間データを得る。流量演算部23は、順方向と逆方向との超音波の伝播時間差から配管2内を流れる流体Xの流速を測定する。流量演算部23は、測定したこの流速の値と予め測定しておくことが可能な配管2の内側の断面積とを積算することにより、配管2内を流れる流体Xの流量を算出する。
表示部24は、流量演算部23で求められた流量を表示出力する表示部である。2A,2Bは、測定対象である配管断面の管壁2A,2Bを表している。
図2は、本実施例に係る大口径配管の超音波流量計の測定系を説明する図である。本実施例の測定対象となる大口径配管2は、例えば、管壁の厚さT1,T2が17.5mm、外径φが1270mmの50B配管(JIS規格配管)で、材質が9Cr鋼である。大口径配管2の内部を流れる流体Xは約400度の高温のナトリウム(液体ナトリウム)で流れの方向は矢印方向である。超音波流量計1の超音波センサ1A,1Bは、軸対称に管壁2Aと対向した管壁2Bとに所定の距離を離して設置されている。
例えば、超音波センサ1Aから発生した主超音波3は、9Cr鋼の管壁2Aの内壁7に対してなす入射角αが約45度となるように予め設定されている。このように入射角αを予め設定することで入射した主超音波3は、管壁2Aの内壁7と流体Xとの境界で管壁2Aに対する垂線6に対してなす角度β(屈折角)が約33度で流体X中に入射する。この屈折角β約33度は流体Xの流量を計測するための最適な屈折角であり、9Cr鋼の管壁2Aの内壁7への入射角αと流体X中での屈折角βとの関係はスネルの法則より導き出すことができる。つまり流体Xの種類によって流量を計測するための最適な屈折角βが決まり、その屈折角βを得るために、例えば、上記9Cr鋼の管壁2Aの内壁7に対してなす入射角αがスネルの法則より求められて決定される。流体X中を伝播した主超音波4は、管壁2Bに対する垂線8に対してなす角度β(屈折角)が上記と同じく約33度で入射した後、流体Xと管壁2Bの内壁9との境界で管壁2Bの内壁9に対してなす入射角αが約45度となるように屈折して主超音波5は超音波センサ1Bで受信される。この場合も上述したように、流体X中での屈折角βと管壁2Bの内壁9への入射角αとの関係はスネルの法則より導き出すことができる。このように、超音波センサ1Aから発振された主超音波3が大口径配管2の内部を流れる流体X中を伝播することに要した時間データを取得する。次に、流体Xの流れに対して逆方向である超音波センサ1Bから超音波を発振し、超音波センサ1Aで受信した時間データを取得する。これら2回で取得した時間データの差分から、大口径配管2内を流れる流体Xの流速を測定することができる。
そして、測定したこの流速の値と予め測定しておくことが可能な大口径配管2内側の断面積とを積算することにより、配管2内を流れる流体Xの流量を測定することができる。本実施例によれば、大口径配管の内部を流れる流体の流量を精度良く測定することができる。
なお、大口径配管とは直径が約1m以上の配管のことをいうものとする。また大口径配管2の内部を流れる流体はナトリウムを例にしたが、これに限ることはなく他の流体でも良い。流体がナトリウムの場合屈折角βは約33度が最適であるが、流体の種類に対して最適な屈折角βが決まるので、流体と接触する物質への超音波入射角αはスネルの法則により決定されることになる。
次に、図3〜図6を参照しながら、本実施例に係る超音波流量計の超音波センサ及び超音波入射法について説明する。
図3は、従来の大口径配管2に適用した超音波センサの概略図である。この超音波センサを超音波トランスデューサということがある。図3に示す大口径配管2の超音波センサ1A,1Bは、超音波を発生する振動子として圧電素子30と発生した超音波を測定対象である大口径配管2に伝播させるくさび10とで構成される。
圧電素子30は、例えば、2MHzで超音波を発振する。圧電素子30の材質は、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)を用いることができる。くさび10は、例えば、大口径配管2中を流れる流体が高温のナトリウムの場合に超音波の最適な入射角γが得られる銀であり、圧電素子30の面中心から垂直に進む主超音波(二点鎖線で表す)12が、配管2の管壁に対する垂線11に対してなす角度γ(屈折角γ)が53度となるように設定されている。この53度の角度は、くさび10が銀で超音波を入射する管壁2Aが9Cr鋼なので、スネルの法則より設定される角度である。
大口径配管2中を流れるナトリウムは使用温度が約400度と高温のため、普通の超音波流量計で使用される超音波の減衰が小さい樹脂製のくさびは、使用することができないため、金属である銀を使用している。超音波は銀中での減衰が非常に大きいため、上端部の超音波(破線)13Aから下端部の超音波(破線)13Bまでの全ての超音波が銀のくさび10の下面を介して大口径配管2に伝播されるようになっている。また大口径配管2の管壁2A,2Bに隙間無く密着させるために銀のくさび10は、管壁2A,2Bに押さえ付ける状態で設置される。このとき銀は強度が低いため、例えば通常運用の26ヶ月間押さえ付けられた状態で設置した場合、銀のくさびが変形するおそれがあった。
図4は、本実施例に係る超音波流量計の超音波センサを説明する図である。図4に示す本実施例の超音波センサ1A,1Bは、超音波を発生する振動子としての圧電素子30と発生した超音波を測定対象である大口径配管2に伝播させるくさび10とで構成される。この超音波センサ1A,1Bを超音波トランスデューサ1A,1Bということがある。本実施例の超音波センサ1A,1Bを構成するくさび10は、圧電素子30から発振した超音波が直進してくさび10を構成する面と交差する面を有する。超音波はくさび10と交差する面で反射して縦波から横波へとモード変換することが特徴である。
圧電素子30は、例えば、2MHzで発振する。圧電素子30の材質は、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)である。なお、圧電素子30の発振周波数と材質はこれに限ることはなく、測定対象の配管および配管中を流れる流体により適した圧電素子を適用することができる。
本実施例の圧電素子30で発生する超音波は、主に縦波といわれるものである。くさび10の材質は、大口径配管2中を流れる約400度の高温のナトリウムでも使用可能な金属材料である。好適に使用される金属材料としては、大口径配管2の材料と音響インピーダンスが同程度である材料が好ましい。さらに好適には、大口径配管2と同じ材質の材料であるのがより好ましい。音響インピーダンスが同程度とは、例えば、好ましくはプラスマイナス10%程度、より好ましくはプラスマイナス5%程度である。言い換えると大口径配管2の材料の音響インピーダンスの好ましくは0.9倍以上1.1倍以下、より好ましくは0.95倍以上1.05倍以下の材料である。
本実施例では、大口径配管2の材料が9Cr鋼であるため、くさび10の材質も9Cr鋼として説明する。上述したように圧電素子30で発生させた超音波を大口径配管2に伝播させるくさび10の材料を大口径配管2と同じ材料にした場合、くさび10と大口径配管2との界面で超音波が屈折して入射角が変わることがない。従って大口径配管2の管壁2Aへの超音波の入射角は、圧電素子30の配設位置とくさび10の形状だけで設計できることになる。本実施例では、くさび10から大口径配管2の管壁2Aへの超音波入射角を約45度と設定することで、大口径配管2中の流体であるナトリウム中での超音波屈折角を約33度とすることができる。なお管壁2Aへの超音波入射角とナトリウム中での超音波屈折角の関係は、スネルの法則から求めることができる。
なお、本実施例において、超音波は圧電素子30が発生するとしたが、これに限ることはなく、例えば電磁コイルなどを用いて超音波を発生させてもよい。
図4に示す、くさび10は、平面A,B,Cを有する。それぞれの平面A,B,Cが隣接する平面となす角は狭角である。このように、くさび10は、三角柱形状の構造体である。面Aには超音波発振子である圧電素子30が所定の位置に設けられている。面Bは、大口径配管2の管壁2Aに密着して接触する面である。面Cは圧電素子30で発生した主超音波12Aが面Cの境界面で反射する点16を有する面である。
圧電素子30で発生した縦波の主超音波12Aは、面Cの点16に対して入射角cで入射する。この入射角cは、面Cに対してなす角度である。入射した主超音波12Aは、点16で反射して横波の主超音波12Bとして管壁2Aの点14に入射角bで入射する。この入射角bは、面Bに対してなす角度である。なお、くさび10及び大口径配管2の材料は同一なので超音波は、面Bの界面での屈折は起こらない。このため主超音波12Bが管壁2Aに入射した時の管壁2Aに対する垂線11に対してなす角度は入射角bと同じ大きさである。主超音波12Aは点16で反射した時に縦波から横波にモード変換して横波の主超音波12Bとして点14から管壁2Aに入射する。
上記の入射角は、例えば、入射角aは面Cと直交する面15に対してなす角度aであり、約65度である。入射角bは面Bに対してなす角度bであり、約45度である。入射角cは面Cに対してなす角度cであり、約25度である。この超音波入射角の設定法については後に詳細に説明する。
なお上述したように縦波の主超音波12Aが点16で反射して横波の主超音波12Bにモード変換する例を示したが、最初から圧電素子30で横波の超音波を発生させて主超音波12Bとして管壁2Aに対して入射角b(45度)で入射させても良い。この時はくさび10を使用しても良いし、使用しなくても良い。なお圧電素子30で直接横波を発生させるには、圧電素子30を横(薄い方向)方向に振動させることで発生させることが可能であるが、横波の発生方法については特に限定されるものではない。
上述した角度で、主超音波が反射して測定対象である大口径配管2の管壁2Aに入射するように後述する超音波入射法で超音波流量計1の超音波センサ1A,1Bを構成する。また、超音波センサ1A,1Bを圧電素子30とくさび10で構成する例を示したが、予め配管にくさび形状を形成しておき、圧電素子30を配管のくさび形状部分に直接取り付けて、超音波流量計1の超音波センサ1A,1Bとすることも可能である。
本実施例によれば、銀のくさびを使用せずに大口径配管中を流れるナトリウム中の超音波の最適な屈折角を得ることができる。また、くさび中での超音波減衰量を小さくすることができる。さらに、くさびと大口径配管の材料は同一なので、くさびと大口径配管との界面での屈折は起きないため、入射角の設定が容易にできる。
(他の実施例)
図5は、他の実施例に係る超音波流量計の超音波センサを説明する図である。図5に示す他の実施例の超音波センサ1A,1Bは、超音波を発生する振動子としての圧電素子30と発生した超音波を測定対象である大口径配管2に伝播させるくさび10とで構成される。この超音波センサ1A,1Bを超音波トランスデューサ1A,1Bともいうことがある。図5に示した他の実施例は、図4に示した実施例と超音波センサ1A,1Bと、くさび10の形状および圧電素子30の配設位置が違うだけで他の構成は同様であるため、同じ部分には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図5は、他の実施例に係る超音波流量計の超音波センサを説明する図である。図5に示す他の実施例の超音波センサ1A,1Bは、超音波を発生する振動子としての圧電素子30と発生した超音波を測定対象である大口径配管2に伝播させるくさび10とで構成される。この超音波センサ1A,1Bを超音波トランスデューサ1A,1Bともいうことがある。図5に示した他の実施例は、図4に示した実施例と超音波センサ1A,1Bと、くさび10の形状および圧電素子30の配設位置が違うだけで他の構成は同様であるため、同じ部分には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図5に示す、くさび10は、平面A,B,C,Dを有する。平面AとC、平面CとDがなす角は狭角で、平面AとB、平面CとDがなす角は鈍角である。このように、くさび10は、四角柱形状の構造体である。面Aには超音波発振子である圧電素子30が所定の位置に設けられている。圧電素子30の配設位置は、図4とは反対側で管壁2A側から超音波を発振する位置である。面Bは、大口径配管2の管壁2Aに密着して接触する面である。面Cは圧電素子30で発生した主超音波12Aが面Cの境界面で反射する点16を有する面である。
圧電素子30で発生した縦波の主超音波12Aは、面Cの点16に対して入射角cで入射する。この入射角cは、面Cに対してなす角度である。入射した主超音波12Aは、点16で反射して横波の主超音波12Bとして管壁2Aの点14に入射角bで入射する。この入射角bは、面Bに対してなす角度である。なお、くさび10及び大口径配管2の材料は同一なので超音波は、面Bの界面での屈折は起こらない。このため主超音波12Bが管壁2Aに入射した時の管壁2Aに対する垂線11に対してなす角度は入射角bと同じ大きさである。縦波の超音波12Aは点16で反射した時に縦波から横波にモード変換して横波の主超音波12Bとして点14から管壁2Aに入射する。
上記の入射角は、例えば、入射角aは面Cと直交する面15に対してなす角度aであり、約65度である。入射角bは面Bに対してなす角度bであり、約45度である。入射角cは面Cに対してなす角度cであり、約25度である。この超音波入射角の設定法については後に詳細に説明する。
上述した角度で主超音波が反射して測定対象である大口径配管2の管壁2Aに入射するように後述する超音波入射法で超音波流量計1の超音波センサ1A,1Bを構成する。また、超音波センサ1A,1Bを圧電素子30とくさび10で構成する例を示したが、予め配管にくさび形状を形成しておき、圧電素子30を配管のくさび形状部分に直接取り付けて、超音波流量計1の超音波センサ1A,1Bとすることも可能である。
本実施例によれば、銀のくさびを使用せずに大口径配管中を流れるナトリウム中の超音波の最適な屈折角を得ることができる。また、くさび中での超音波減衰量を小さくすることができる。さらに、くさびと大口径配管の材料は同一なので、くさびと大口径配管との界面での屈折は起きないため、入射角の設定が容易にできる。
(超音波入射法)
図6は、本実施例に係る超音波の縦波入射角度と縦波・横波の反射率との関係を表した図である。
図6は、本実施例に係る超音波の縦波入射角度と縦波・横波の反射率との関係を表した図である。
次に、図6を参照しながら、超音波入射法について説明する。図6に示した横軸は、超音波が物質に入射した時の縦波の入射角(度)を表している。縦軸は、縦波の入射角に対する縦波と横波の反射率を表している。
例えば、超音波が物質に入射して界面で反射した場合、超音波は縦波と横波とに分かれる。このように超音波が界面で反射した場合に縦波と横波とに分かれることが測定誤差の要因の一つとなっている。図4で示した本実施例の超音波センサ1A,1Bは、圧電素子30で発生した縦波の主超音波12Aは面Cの点16で反射した時に縦波から横波にモード変換して横波の主超音波12Bとして点14から管壁2Aに入射する。このように点16で反射した時に横波を取り出すために図6に示した、縦波入射角と横波・縦波反射率の関係を利用する。すなわち、実線で示した縦波の反射率が低く、破線で示した横波の反射率が高い領域の範囲になるように縦波入射角を設定することで、効率的に横波を反射させることが可能となる。
本実施例は、図6に示した両矢印および縦の2本の破線の間の範囲になるように縦波入射角を設定している。好適には縦波入射角が55度以上75度以下であり、さらに好適には60度以上70度以下であり、最も好適には65度である。
次に、縦波入射角の設定について図4を参照して説明する。縦波入射角に相当する角度は、図4に示した入射角aである。入射角aは面Cと直交する面15に対してなす角度aである。この入射角aを好適には55度以上75度以下、さらに好適には60度以上70度以下、最も好適には65度で設定することが、本実施例の超音波入射法である。
図4に示した、くさび10の形状と圧電素子30の配設位置とを設計する場合、上述した範囲に入射角aを設定すると入射角cが求められる。この入射角cから圧電素子30の配設位置を設定することができる。入射角bは管壁2Aへの超音波入射角なのでスネルの法則より求められる。つまり、本実施例では、大口径配管2中の流体であるナトリウム中での超音波屈折角を約33度と設定しているため、大口径配管2の管壁2Aからナトリウム中への超音波入射角は約45度と設定されることになる。ここで、くさび10と大口径配管2の材料は同一なので、くさび10と管壁2Aとの界面での屈折は起きないため、入射角bは45度と設定される。くさび10と大口径配管2の材料が異なる場合は、スネルの法則より入射角bを設定することができる。
以上が本実施例の超音波入射法による超音波センサ1A,1Bの構成の設定である。このように入射角a、入射角b、入射角cの関係を上述した超音波入射法により設定し、くさび10の形状を設計する。つまり、くさび10の三角形形状は、入射角a、b、cの角度を保ったままで、面AとBに挟まれた角度と面AとCに挟まれた角度と面BとCに挟まれた角度を、測定対象によって調節することができる。
また、図5に示した、くさび10の四角形形状も上記と同様に、入射角a、入射角b、入射角cの関係を上述したように設定し、くさび10の四角形形状を設計することができる。
本実施例の超音波入射法で設定したように超音波センサ1A,1Bの圧電素子30の配設位置およびくさび10の形状を構成することで、銀のくさび10を使用せずに大口径配管2中を流れるナトリウム中の主超音波の最適な屈折角を得ることができる。また銀を使わないので、くさび10中での超音波の減衰を小さくすることができると共に経年変化によるくさび10の変形を防止することができる。
なお上述した超音波入射法は、大口径配管中の流体がナトリウムである例で説明したが、これに限ることはなく、各種の流体に対して適用することができる。
(本実施例の効果)
上述したように、本実施例は、超音波センサのくさびに銀を使用することなく、くさびの材料を大口径配管の材料と音響インピーダンスが同程度である材料とすることで、くさびと管壁との界面で超音波が屈折して入射角が変わることがない。このため、管壁への超音波の入射角を、くさびの形状と圧電素子の配設位置だけで設計することができる。
上述したように、本実施例は、超音波センサのくさびに銀を使用することなく、くさびの材料を大口径配管の材料と音響インピーダンスが同程度である材料とすることで、くさびと管壁との界面で超音波が屈折して入射角が変わることがない。このため、管壁への超音波の入射角を、くさびの形状と圧電素子の配設位置だけで設計することができる。
また、くさびに銀を使用しないため、くさび中での超音波の減衰を小さくすることができると共に経年変化によるくさびの変形を防止することができる。
また圧電素子で発生した縦波の超音波をくさびの面内部で反射させ、縦波から横波にモード変換して横波の超音波を所定の角度で配管に入射することができる。
また超音波センサの圧電素子の配設位置およびくさびの形状だけで、銀のくさびを使用せずに大口径配管中を流れるナトリウム中での超音波の最適な屈折角を得ることができる。
また縦波の反射率が低く、横波の反射率が高い領域の範囲になるように縦波入射角を設定することで、効率的に横波を反射させることができる。
また大口径配管内を流れる流体の流量を精度良く測定することができる。
1 超音波流量計
1A、1B 超音波センサ(超音波トランスデューサ)
2 大口径配管(配管)
2A、2B 管壁
3、4、5 主超音波
7、9 内壁
6、8、11 垂線
12、12A、12B 主超音波
14、16 点
15 面Cと直交する面
20、21 超音波送受信部
22 制御部
23 流量演算部
24 表示部
1A、1B 超音波センサ(超音波トランスデューサ)
2 大口径配管(配管)
2A、2B 管壁
3、4、5 主超音波
7、9 内壁
6、8、11 垂線
12、12A、12B 主超音波
14、16 点
15 面Cと直交する面
20、21 超音波送受信部
22 制御部
23 流量演算部
24 表示部
Claims (7)
- 超音波発生器で発生させた縦波の超音波を横波の超音波にモード変換する超音波入射法であって、
前記縦波の超音波を所定の角度でくさびに入射させ、前記くさびを構成する面内部で前記縦波の超音波を反射させて横波の超音波にモード変換した後、予め定めた角度で前記横波の超音波を前記くさびの外部にある物質へ入射させることを特徴とする超音波入射法。 - 前記所定の角度は、前記縦波の超音波が反射する前記くさびを構成する面と直交する面に対してなす角度であり、55度以上75度以下であることを特徴とする請求項1に記載の超音波入射法。
- 前記予め定めた角度は、前記横波の超音波を前記外部にある物質の内部を流れる流体中で屈折させるための角度であることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波入射法。
- 前記予め定めた角度は、45度であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の超音波入射法。
- 前記くさびの材料は、音響インピーダンスが、前記外部にある物質の材料の音響インピーダンスの0.9倍以上1.1倍以下の材料であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の超音波入射法。
- 前記くさびの材料は、前記外部にある物質と同じ材料であることを特徴とする請求項5に記載の超音波入射法。
- 前記外部にある物質は、直径が1m以上の大口径配管であり、前記大口径配管の内部を流れる流体はナトリウムであることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の超音波入射法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011027858A JP2012167964A (ja) | 2011-02-10 | 2011-02-10 | 超音波入射法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101928006B1 (ko) * | 2017-07-13 | 2018-12-12 | 한국표준과학연구원 | 초음파 유량 센서용 지그 조립체 |
CN115493662A (zh) * | 2022-11-21 | 2022-12-20 | 成都流体动力创新中心 | 航空航天用一体化超声波流量计及系统 |
-
2011
- 2011-02-10 JP JP2011027858A patent/JP2012167964A/ja not_active Withdrawn
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