JP2012158616A - Ablキナーゼ阻害 - Google Patents

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Abstract

【課題】野生型AblキナーゼおよびAblキナーゼの変異型を含むAblキナーゼを阻害する方法を提供すること。
【解決手段】本発明はAbIキナーゼの阻害に関する。本発明は、野生型AblキナーゼおよびAblキナーゼの変異型を含むAblキナーゼを阻害する方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、T315I変異を有するAblキナーゼを阻害する方法を提供する。1つの実施形態において、本発明は、化合物IとAblキナーゼとの接触を含むAblキナーゼを阻害する方法を提供する。特定の実施形態では、Ablキナーゼは、Ablキナーゼの抑制を必要とする患者の体内にあり、この方法は治療効果のある量の化合物Iを前記患者に投与することを含む。
【選択図】なし

Description

(発明の分野)
本発明はAbIキナーゼの阻害に関する。
(発明の背景)
慢性骨髄性白血病(CML)は造血幹細胞の悪性障害であり、該障害は100,000人あたり1〜2人に影響があり、成人の白血病全体の約15%を占めている。
イマチニブは、CMLの第一線治療法であり、イマチニブの主要な作用メカニズムは、Bcr−Abl融合たんぱく質のチロシン・キナーゼ活性の阻害によるものであることが証明されている。慢性期CML患者の約90%が、イマチニブに反応し、これらの患者の約50%が細胞発生を示している(血球カウント数の正常化およびフィラデルフィア染色体の喪失)。残りの50%は血液学的反応(フィラデルフィア染色体を保持する血球カウント数の正常化)を示すが、最終的には多くが薬剤に対する一次抵抗に関連した造血要素の再増殖を再発する。(非特許文献1:非特許文献2)。
この疾患の進行した芽球期では、イマチニブへの反応は、患者の約60%まで低減するが、これらの患者のほとんどすべては最後には再発する(非特許文献2)。抵抗は、通常、BCR−Ablたんぱく質の点変異の選択により生じる。その中で、最も普通の変異は、T315I変異であり、これが変異集団の約20%を占めている。その結果、CMLおよびALL(急性骨髄性白血病)のコミュニティーを通じて、Bcr−Abl阻害剤を識別する基に対し、かなりの興味があり、該阻害剤はこれらの変異、特にT315I変異体の活性をブロックすることができる。今までに、7つのAbl阻害剤が臨床試験まで到達している。これらの内6つは、基質結合ポケットに対してATPと競合することにより作用する。これらは、通常、野生型Ablおよび多発性Ablの変異に対して良好な活性を示す一方、いずれもT315I変異体の阻害は示さない。ONO12380は、Ablキナーゼ活性の非ATP競合阻害剤であり、T315I変異体を阻害することが知られている唯一の化合物である。
イマチニブに対する抵抗は、2つのメカニズムの1つ、即ち遺伝子増幅の結果としてのBcr−Ablの過剰発現、またはより頻繁にあるが、Ablキナーゼ・ドメイン内の特定の点変異体の選択、のいずれかにより生じると報告されている(非特許文献2)。結晶学的研究により活性化ループが閉鎖立体構造内にある場合、このような化合物が不活性キナーゼ立体構造に結合し、安定化するので、イマチニブがキナーゼのATPポケットに結合することが証明された(非特許文献3)。今までに、30以上の点変異体が確認されており、これらの変異体は、たんぱく質と阻害剤との間の相互作用を直接混乱させるか、またはキナーゼの開いた立体構造を安定化することによりイマチニブに対する抵抗力を与える。これは、通常、構成酵素の活性化およびイマチニブ結合に必要な重要な親油性ポケットに欠けているたんぱく質立体構造を生じる(非特許文献4)。最も普通の変異の1つは、残基315におけるスレオニンのイソロイシンへの変化(T315I)であり、これはBcr−Abl変異の15〜20%を占めている。Il−3依存性BaF3細胞系におけるT315I変異体の形質移入は、マイトジェンがない場合は増殖を促進し、細胞にイマチニブに対する抵抗力を与える(細胞における>10μM対0.6μMの生存細胞数のIC50は野生型Bcr−Ablで形質移入した)(非特許文献2)。
多数のBcr−Abl阻害剤が確認され、CMLの臨床試験でテストされている(表1を参照のこと)。これらの阻害剤は、通常、野生型Bcr−Ablおよび多数のイマチニブ耐性変異の両方に対して効能の向上を示すが、この一般的なT315I変異体に対して活性があると報告された阻害剤はない(非特許文献5)。イマチニブ耐性CMLで普通観察されるこの特定の変異は、Ablキナーゼを周知の薬剤のすべてに対して耐性にして臨床テストを進行させるので、このデータは非常に有意な所見を表している(表1)。
Figure 2012158616
表1.イマチニブ耐性CMLにおいて現在追跡されている小分子たんぱく質キナーゼ阻害剤(非特許文献5)。
Cancer Cell,2002,2,99 Cancer Cell,2002,2,117 Science,2000,289,1938 Cancer Cell,2005,7,129 Haematologica,2005,90,534
したがって、Ablキナーゼ、Ablキナーゼの変異型、およびAblキナーゼのT315I変異型を阻害することができる化合物を求めるニーズがある。
(発明の概要)
本発明は、キナーゼの変異型を含むAblキナーゼの阻害に関する。1つの実施形態では、本発明はT315I変異を有するAblキナーゼの阻害に関する。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
化合物IとAblキナーゼとを接触させることを包含する、前記Ablキナーゼを阻害する方法。
(項目2)
前記Ablキナーゼが野生型キナーゼである、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記Ablキナーゼが、該Ablキナーゼの変異型である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記Ablキナーゼの前記変異型がT315I変異体である、項目3に記載の方法。
(項目5)
治療上有効量の化合物I、または薬学的に許容できる前記化合物Iの塩を患者に投与することを包含する、前記患者においてCMLを処置する方法。
(項目6)
治療上有効量の化合物I、または薬学的に許容できる前記化合物Iの塩を患者に投与することを包含する、前記患者においてALLを処置する方法。
(項目7)
Ablキナーゼの阻害を必要とする患者において、該Ablキナーゼを阻害する方法であって、治療上有効量の化合物Iを患者に投与することを包含する、方法。
(項目8)
前記Ablキナーゼが変異体Ablキナーゼである、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記変異体AblキナーゼがT315I変異体である、項目8に記載の方法。
(項目10)
T315I Abl変異が患者に存在するかどうかを判断し、前記T315I Abl変異が存在する場合、化合物Iを前記患者に投与することを包含する、治療方法。
(発明の詳細な説明)
本発明は、野生型AblキナーゼおよびAblキナーゼの変異型を含むAblキナーゼを阻害する方法を提供する。特定の実施形態では、本発明はT315I変異を有するAblキナーゼを阻害する方法を提供する。
本出願人は、化合物I(VX−680、またはMK−0457とも呼ばれる)が、それぞれ、30および42nMの阻害定数を有する、野生型キナーゼ活性とT315I変異体との両方の強力な阻害剤であることを実証した。化合物Iは、現在臨床試験のフェーズIにあるたんぱく質キナーゼのAuroraファミリーの強力な小分子阻害剤である。化合物Iは、テストした60以上の他のたんぱく質キナーゼに対し、選択性が優れているが、Flt−3(急性骨髄性白血病において構造的に普通に活性化された受容体チロシン・キナーゼ)に対してのみ強力な交差反応性を有する(Cell Mol Life Sci,2004,61,2932;Mini Rev Med Chem,2004,4,255)。化合物Iは、インビトロでアポトーシス細胞死、AMLおよび結腸癌の異種移植片動物モデル(それぞれ、HL−60およびHct166)における、よく耐えられる用量にてビボで腫瘍緩解を引き起こす(Nat Med,2004,10,262)。
Figure 2012158616
化合物Iは、組み換え精製Ablキナーゼの非常に強力な阻害剤であり、キナーゼ活性は30nMの阻害定数(Ki)を有する。これは、0.6nMのAurora−A、18nMのAurora−B、4.6nMのAurora−C、および30nMのFlt−3の各Kiと同等である(Nat Med,2004,10,262)。化合物Iは、イマチニブに結合したAblの立体構造を連想するAurora−Aの立体構造に結合する。
したがって、本発明の1つの実施形態は化合物IとAblキナーゼとの接触を含むAblキナーゼを阻害する方法を提供する。
特定の実施形態では、Ablキナーゼは、Ablキナーゼの抑制を必要とする患者の体内にあり、この方法は治療効果のある量の化合物Iを前記患者に投与することを含む。
本発明は、CMLの患者を処置する方法も提供し、この方法は治療効果のある量の化合物I、または治療上許容できる化合物Iの塩を前記患者に投与することを含む。
本発明は、ALLの患者を処置する方法も提供し、この方法は治療効果のある量の化合物I、または治療上許容できる化合物Iの塩をその患者に投与することを含む。
さらに、化合物Iは最も普通のイマチニブ耐性Abl変異体(T315I)の非常に強力な阻害剤である。組み換えたんぱくに対する非常に強力な阻害作用が、42nMの推定Kiに対応する70nMのIC50を測定した場合に観察され(残留酵素活性は、Kmに関する17μMの値を用いてタイトな結合の阻害に関するMorrisonの式に再適合した)、これは観察された野生型Ablに対する阻害作用と同等である。
化合物Iは患者にインビボで有効であることも証明されている(実施例7を参照のこと)。
したがって、本発明の特定の実施形態では、Ablキナーゼは野生型キナーゼである。他の実施形態では、AblキナーゼはAblキナーゼの変異型である。さらに他の実施形態では、Ablキナーゼの変異型はT315I変異体である。
本発明は、T315I Abl変異が患者(特に、CMLまたはALLの患者)に存在するかどうかを判断するステップ、T315I Abl変異が存在するならば、化合物Iをその患者に投与するステップを含む治療方法も提供する。
化合物Iは、一般的スキームおよび本明細書の実施例により合成してよい(引用により本明細書に組み込まれている国際公開第04/000833号も参照のこと)。さらに、化合物Iは当業者に周知の方法により合成してよい。
Figure 2012158616
別の実施形態では、本発明は化合物Iおよび薬学的に許容できる担体、アジュバントまたは媒体を含む薬剤組成物を提供する。
「薬学的に許容できる担体、アジュバントまたは媒体」は、これらと処方される化合物の薬理学的活性を破壊しない毒性のない担体、アジュバントまたは媒体を意味している。本発明の組成物において使用してよい薬学的に許容できる担体、アジュバントまたは媒体には、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清たんぱく質、ホスフェート類などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウムなどの塩類または電解質、亜鉛塩類、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニル・ピロリドン、セルロース質物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を含むがこれらに限定されない。
化合物Iの薬学的に許容できる塩類には、薬学的に許容できる無機および有機の酸および塩基から導かれた塩類がある。適切な酸の塩類の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシルスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミスルフェート、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸潮、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、蓚酸塩、パルモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、こはく酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩がある。それ自身は薬学的に許容できないが、蓚酸のように化合物Iおよび化合物Iの薬学的に許容できる酸付加塩類を取得する場合に中間体として有用な塩類の調製に使える酸もある。
適切な塩基から導かれた塩類には、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN(C1−4アルキル)の塩類がある。本発明は、化合物Iの塩基性窒素含有基の4級化も想定している。このような4級化により、水溶性または油溶性または分散性の産物が得られる。
化合物Iの特定の塩類の実施例については、国際公開第04/000833号を参照のこと。
本発明の組成物は、経口、非経口、即ち、吸入スプレー、局所的、即ち、直腸、鼻、頬から口腔に、膣、または埋め込み容器を介して投与してよい。本明細書で使われている用語「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内および頭蓋内の注射または注入の技法を含む。これらの組成物は、経口、腹腔内または静脈内に投与するのが好ましい。本発明の組成物の無菌注入形態は、水性または油性の懸濁液でよい。これらの懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて当業者に周知の技法により処方してよい。無菌の注入製剤は、例えば、1,3−ブタンジオール溶液として、毒性のない非経口的に許容できる希釈剤または溶媒中の無菌の注入可能な溶液または懸濁液であってもよい。用いてよい許容できる媒体および溶媒の中には、水、リンガー溶液および塩化ナトリウム等張溶液がある。さらに、無菌の固定油は、通常、溶媒または懸濁媒体として使われる。
このために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む無菌性の固定油が使われる。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の薬学的に許容できる油、特にこれらのポリオキシエチル化体として、注入物質の調製において有用である。これらの油の溶液または懸濁液は、カルボキシメチル・セルロースまたは類似の分散剤などの長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含んでもよく、これらの分散剤はエマルジョンおよび懸濁液を含む薬学的に許容できる剤形の処方に通常使用される。Tween、Spanおよび他の乳化剤または生体利用効率エンハンサーなどの通常使われる他の界面活性剤は、薬学的に許容できる固体、液体の製造に使われ、あるいは他の剤形が製剤のためにも使われる。
本発明の薬学的に許容できる組成物は、カプセル、錠剤、水性懸濁液または溶液を含むがこれらに限定されない経口的に許容できる剤形として経口投与してよい。経口投与する錠剤の場合、普通に使われる担体には乳糖およびとうもろこしの澱粉がある。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も、通常、添加される。カプセルを経口投与する場合、有用な希釈剤には乳糖および乾燥とうもろこしの澱粉がある。経口投与で使用するために水性懸濁液が必要な場合は、活性成分は乳化剤および懸濁液と併用される。望ましいならば、特定の甘味剤、着香剤または着色剤も添加してよい。
一方、本発明の薬学的に許容できる組成物は、直腸投与のために坐薬の形で投与してよい。これらは、適切な刺激性のない賦形剤と薬剤とを混合して調製することができ、該賦形剤は室温で固体であるが、直腸の温度では液体であり、したがって、直腸で溶けて薬物を放出することになる。この種の物質には、ココアバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールがある。
本発明の薬学的に許容できる組成物は、特に処置の標的が、眼、皮膚、または下部消化管の疾患を含み、局所塗布により容易に接近できるエリアまたは臓器を含む場合は、局所的に投与してもよい。適切な局所製剤は、これらのエリアまたは臓器の各々について容易に調製される。
下部消化管の局所塗布は、直腸坐薬製剤(上を参照のこと)または適切な浣腸製剤にて行うことができる。局所経皮貼布も使用してよい。
局所塗布では、薬学的に許容できる組成物は、1つまたはそれ以上の担体中に懸濁または溶解された活性成分を含む適切な軟膏として処方することができる。化合物Iの局所投与のための担体は、鉱油、液体ペトロラタム、白色ペトロラタム、プロピレン・グリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン・コンパウンド、乳化ワックスおよび水を含むがこれらに限定されない。一方、薬学的に許容できる組成物は、1つまたはそれ以上の薬学的に許容できる担体に懸濁または溶解された活性成分を含む適切なローションまたはクリームとして処方することができる。適切な担体は、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステル・ワックス、セテアリール・アルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水を含むがこれらに限定されない。
眼科で使用する場合、薬学的に許容できる組成物は、等張性でpHを調節した無菌の食塩水中で微細な懸濁液として、または好ましくは、等張性でpHを調節した無菌の食塩水溶液として処方してよい。塩化ベンジルアルコニウムなどの保存剤は入れてもよいし、入れなくてもよい。一方、眼科で使用する場合、薬学的に許容できる組成物は、ペトロラタムなどの軟膏として処方してもよい。
本発明の薬学的に許容できる組成物は、鼻エアロゾルまたは吸入により投与してもよい。この種の組成物は、薬学的製剤の技術分野において周知の技法により調製され、ベンジルアルコール、または他の適切な保存剤、生物学的利用率を高めるための吸収促進剤、フッ化炭素、および/または他の普通の可溶化剤または分散剤を用いて、食塩水溶液として調製してもよい。
本発明の薬学的に許容できる組成物は、経口投与するために処方されるのが最も好ましい。
一方、本発明の薬学的に許容できる組成物は静注用に処方される。
単一剤形として組成物を作るために担体物質と併用してよい化合物Iの量は、処置を受ける宿主、特定の投与モードにより変わる。0.01−100mg/kg(体重)/日の用量の化合物がこれらの組成物を受け入れる患者に投与できるように組成物を処方するのが好ましい。
化合物I(VX−680またはMK−0457とも呼ばれる)の20mg/mL乳酸製剤は、次のステップに従って調製してもよい。即ち、2.0gの乳酸(L−乳酸、D−乳酸またはラセミ混合物のいずれか)を100mLの容積のフラスコに計りとり、20mg/mLの濃度の乳酸水溶液を調製する。次いで、200mgの化合物Iを10mLの容積のフラスコに計りとり、約8mLの20mg/mLの乳酸溶液を10mLの容積のフラスコに添加する。次いで、適切な量の砂糖を添加する(例えば、所望のトニシティーによって15mg/mL、50mg/mLまたは100mg/mL)。薬剤がすべて溶解するまでこの溶液を撹拌する。20mg/mLの乳酸溶液を用いてこの溶液を10mLの容積にし、可溶化を助長するのに必要なpHに調節する。
化合物Iの20mg/mL乳酸製剤(大規模製造)は、次のステップに従って調製してもよい。バッチ重量の80%に等しい注入用の水を適切な混合容器に入れる。20mg/mLに等しい簡易検査に必要な量の乳酸(L−乳酸、D−乳酸またはラセミ混合物のいずれか)を添加し、確実に均一になるまで混合する。遊離塩基の20mg/mLに等しい化合物Iを該容器に添加し、混合し、溶解する。適切な量の砂糖(例えば、所望のトニシティーによって15mg/mL、50mg/mLまたは100mg/mL)を該容器に添加し、混合し、溶解する。必要に応じて、pHを調節する。注射用の水を用いてそのバッチを最終重量に合わせる。無菌フィルターでろ過し、ろ過した製剤を適切な無菌受器に集める。適切に分類したエリアにおいて無菌技法を用いて適切な小瓶に製剤を入れて、栓をする。キャップをし、要求に応じて産物を最終的に滅菌する。該製剤を適切な温度条件で貯蔵する。
注射用無菌水を用いて再構成するために、凍結乾燥した粉末製剤は次のようなステップに従って調製すればよい。注射用水、即ちUSPの最終バッチ重量の約90%を、風袋を計った清浄な撹拌容器に入れる。特定量のマニトール、即ちUSPを添加し、少なくとも15分間撹拌して溶解させる。特定の量の化合物Iの硫酸塩を添加し、少なくとも30分間撹拌し溶解させる。注入水、即ちUSPを最終バッチ重量に加える。この典型的な処方では、最終バッチの組成は次のような比率になっている。
Figure 2012158616
このようにして調製した溶液を22℃へ冷却し、0.22μmの滅菌フィルターでろ過して、適切な滅菌容器に入れる。冷凍乾燥して白色粉末を形成する。
化合物I硫酸塩(乾燥粉末)は、次のようなステップに従って調製してもよい。化合物Iのエタノール溶液に70℃で(遊離塩基7mg/ml)に、1当量の濃硫酸を添加する。反応混合物をこの温度で10分間撹拌する。冷却後、ろ過して沈殿を集め、真空オーブン中50℃で一晩乾燥する。
当然のことながら、個々の患者の用量および処置計画は、用いた化合物の活性、年齢、体重、総合的な健康状態、性別、食事、投与回数、排出回数、薬剤の組み合わせ、担当医の判断、および処置される疾患の重篤度を含む種々の要因に左右される。組成物中の本発明の化合物の量は、該組成物中の個々の化合物により変動する。
例えば、化合物Iは、1日につき800mgまで投与することができる。化合物Iは、1日1回(QD)、あるいは1日2回(BID)または3回(TID)など1日の用量を複数回に分割して投与することができる。化合物Iは、800mgまで、例えば、200mg、300mg、400mg、600mgまたは800mg、の1日総用量にて投与することができ、1日総用量は1日1回または上で説明したように複数回に分けて投与することができる。
さらに、投与は、連続的、即ち毎日、または断続的に行うことができる。本明細書で使われている用語「断続的」または「断続的に」は、規則的または不規則的な間隔にて停止および開始することを意味している。例えば、化合物Iの断続的な投与は、1週につき1〜6日投与することを意味、またはサイクルで投与(2〜8週連続して毎日投与し、次いで1週間まで投与しない休止期間がある)または隔日投与を意味してよい。
化合物Iは、25〜4000mg/mの間の1日総用量にて患者に投与してよい。1つの実施形態では、処置プロトコルは、約200mg〜約600mgの範囲の1日総用量にて、1日に1回、2回または3回、連続的に投与(即ち、毎日)することを含む。
別の実施形態では、処置プロトコルは、約200mg〜約600mgの範囲の1日総用量にて、1日に1回、2回または3回、1週に3〜5日断続的に投与することを含む。
別の特定の実施形態では、化合物Iは、400mgの用量にて1日1回または200mgの用量にて1日2回連続的に投与する。
別の特定の実施形態では、化合物Iは、1週に3日、400mgの用量にて1日1回または200mgの用量にて1日2回断続的に投与する。
別の特定の実施形態では、化合物Iは、1週に4日、400mgの用量にて1日1回または200mgの用量にて1日2回断続的に投与する。
別の特定の実施形態では、化合物Iは、1週に5日、400mgの用量にて1日1回または200mgの用量にて1日2回断続的に投与する。
別の特定の実施形態では、化合物Iは、600mgの用量にて1日1回、300mgの用量にて1日2回または200mgの用量にて1日3回連続的に投与する。
別の特定の実施形態では、化合物Iは、1週に3日、600mgの用量にて1日1回、300mgの用量にて1日2回または200mgの用量にて1日3回断続的に投与する。
別の特定の実施形態では、化合物Iは、1週に4日、600mgの用量にて1日1回、300mgの用量にて1日2回または200mgの用量にて1日3回断続的に投与する。
別の特定の実施形態では、化合物Iは、1週に5日、600mgの用量にて1日1回、300mgの用量にて1日2回または200mgの用量にて1日3回断続的に投与する。
さらに、化合物Iは、二三週間連続的に上で説明したスケジュールのいずれかに従って投与し、次いで休止期間をとってよい。例えば、化合物Iは、2〜8週間上で説明したスケジュールのいずれか1つに従って投与し、次いで1週間休止するか、または1週間に3〜5日300mgの用量にて1日に2回投与してよい。別の特定の実施形態では、化合物Iは、2週間連続して1日に3回投与し、次いで、1週間休止する。
患者は、1日につき3〜1500mg/m、例えば、1日につき約3、30、60、90、180、300、600、900、1200または1500mg/m、供給するのに十分な量の化合物Iを静脈内に投与される。このような量は、多数の適切な方法、例えば、多量の低濃度化合物Iを1つの長期間の間または1日に数回投与されてよい。この程度の量は、1またはそれ以上の連続した日数の間、断続した日々または1週(7日間)あたりにこれらを組み合わせた方法で投与できる。
代わりに、低容積で高濃度の化合物Iを、短期間、例えば、1日またはそれ以上の日数について1日に1度、連続的に、断続的に、または1週(7日間)につきこれらの組み合わせで、投与することができる。例えば、1日につき300mg/mの用量を、1つの処置につき連続5日間、合計1500mg/mを投与することができる。別の投与計画では、連続日数はやはり5日で、2週か3週連続して処置し、処置全体では3000mg/mおよび4500mg/mを投与することができる。
ある実施形態では、化合物Iは、サイクル継続期間14−21日または21−28日毎に、24−64mg/m/hrにて5日間連続注入する間に静注することができる。別の実施形態では、化合物Iは、サイクル継続期間14−21日または21−28日毎に、6−12mg/m/hrにて5日間連続注入する間に静注することができる。別の実施形態では、化合物Iは、サイクル継続期間14−21日または21−28日毎に、8−10mg/m/hrにて5日間連続注入する間に静注することができる。別の実施形態では、化合物Iは、14−21日毎に32−200mg/m/hrにて24時間注入する間に静注することができる。別の実施形態では、化合物Iは、14−21日毎に32−64mg/m/hrにて24時間注入する間に静注することができる。別の実施形態では、化合物Iは、14−21日毎に8−12mg/m/hrにて48時間注入する間に静注することができる。別の実施形態では、化合物Iは、14−21日毎に32−200mg/m/hrにて6時間注入する間に静注することができる。
別の実施形態では、化合物Iは、14−21日毎に32−64mg/m/hrにて6時間注入する間に静注することができる。別の実施形態では、化合物Iは、14−21日毎に32−200mg/m/hrにて3時間注入する間に静注することができる。別の実施形態では、化合物Iは、14−21日毎に32−64mg/m/hrにて3時間注入する間に静注することができる。
複数の実施形態では、投与計画は併用してもよい。ある実施形態では、化合物Iは、2週間毎に5日程度注入する第1の特定サイクルの用量レベルまたは投与速度にて投与してよく、3ヶ月程度の初期投与期間が過ぎると、次いで、維持療法のために毎月1日の注入程度の第2特定サイクルによる投与が続く。
通常、約1.0mg/mL〜約10mg/mLの間、例えば、2.0mg/mL、3.0mg/mL、4.0mg/mL、5.0mg/mL、6.0mg/mL、7.0mg/mL、8.0mg/mL、9.0mg/mLおよび10mg/mLの濃度の化合物Iを含む静注用製剤を調製してよく、上で説明した用量を実現する量として投与してよい。1つの実施例では、その日の総用量が約300〜約1500mg/mの間になるように十分な容積の静注製剤を患者に1日で投与することができる。
化合物Iの特定の用量および処方計画の1つまたはそれ以上のいずれかは、併用療法で使用されるべき抗がん剤、抗増殖剤、化学療法剤またはBcr−Abl阻害剤の1つまたはそれ以上のいずれかにも適用できる。
その上、抗がん剤、抗増殖剤、化学療法剤またはBcr−Abl阻害剤の特定の用量および処方計画は、さらに、変動し、最適用量、投薬計画および投薬のルートは、使用される特定の抗がん剤、抗増殖剤、化学療法剤またはBcr−Abl阻害剤に基づいて決められるであろう。
もちろん、化合物Iの投薬ルートは、抗がん剤、抗増殖剤、化学療法剤またはBcr−Abl阻害剤の投薬ルートとは無関係である。ある実施形態では、化合物Iの投与は経口投与である。別の実施形態では、化合物Iの投与は静注である。したがって、これらの実施形態によると、化合物Iは経口投与または静注され、第2の薬剤(抗がん剤、抗増殖剤、化学療法剤またはBcr−Abl阻害剤)は、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮的に、舌下、筋肉内、直腸、気管支を経て、鼻内、リポソームと共に、吸入により、膣内に、眼球内、カテーテルまたはステントによる局所供給により、皮下、adiposal内、関節内、髄腔内に投与されるか、または放出の遅い剤形として投与される。
さらに、化合物Iおよび抗がん剤、抗増殖剤、化学療法剤またはBcr−Abl阻害剤は、同じ投与モード、即ち両方の薬剤を例えば、経口投与、静注により投与してよい。しかし、化合物Iを1つの投与モード、例えば、静注により投与すること、および抗がん剤、抗増殖剤、化学療法剤またはBcr−Abl阻害剤を、別の投与モード、例えば、経口投与または上述の投与モードのいずれか1つにより投与することも本発明の範囲内にある。
第1の処置操作、化合物Iの投与は、1)第2処置操作、即ち、抗がん剤、抗増殖剤、化学療法剤またはBcr−Abl阻害剤の投与前、2)抗がん剤、抗増殖剤、化学療法剤またはBcr−Abl阻害剤による処置の後、3)抗がん剤、抗増殖剤、化学療法剤またはBcr−Abl阻害剤による処置と同時に、または4)これらの処置の組み合わせで起こりうる。例えば、総処置期間は、化合物Iについて決めることができる。抗がん剤、抗増殖剤、化学療法剤またはBcr−Abl阻害剤は、化合物Iによる処置の開始前または後に投与することができる。さらに、抗がん剤、抗増殖剤、化学療法剤またはBcr−Abl阻害剤による処置は、化合物I投与期間に投与することができるが、化合物I処置期間全体にわたり行う必要はない。
化合物Iは、抗がん剤、抗増殖剤、化学療法剤またはBcr−Abl阻害剤の作用と共に、がんの処置に有効な用量を実現する投与計画に従って投与することができる。
化合物Iの投与の具体的な実施例については、実施例7を参照のこと。
特定の状態、処置または予防されるべき疾患により、その状態を処置または予防するために通常投与される追加の薬剤が、本発明の組成物中に存在してもよい。一部の実施形態では、追加の薬剤を必要とする患者を処置するために、追加の薬剤は化合物Iと同時に投与してもよいし、または化合物Iと逐次的に投与してもよい。一部の実施形態では、追加の薬剤を必要とする患者に、第1の処置操作において化合物Iの第1の量を投与し、次いで第2の処置操作において第2の量の追加の薬剤を投与する。一部の実施形態では、該追加の薬剤は、抗がん剤、抗増殖剤、化学療法剤またはBcr−Abl阻害剤から選択される。第1および第2の処置は、共に、治療上有効量を含む。
一部の実施形態では、化合物Iの投与は経口投与である。他の実施形態では、化合物Iの投与は静注である。本明細書で使われている追加の薬剤は、特定の疾患または状態を処置または予防するために通常投与され、「処置される疾患または状態に対して適切」であるとされている。
例えば、化学療法剤または他の抗増殖剤は、増殖疾患およびがんを処置するために化合物Iと併用されてよい。周知の化学療法剤の実施例には、Gleevec(商標)、アドリアマイシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、トポテカン、タクソール、インターフェロン、および白金誘導体を含むがこれらに限定されない。
本発明の独創的な抗癌剤と併用されてよい他の治療法または抗癌剤には、外科手術、放射線療法(ほんの少し例を挙げると、ガンマ線、中性子ビーム放射線療法、電子ビーム放射線療法、プロトン療法、近接照射療法、および2〜3例を挙げると体系的放射性同位元素)、内分泌療法、生物反応修飾物質(2〜3例を挙げると、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子(TNF))、発熱療法と凍結療法、副作用を弱める薬剤(例えば、制吐薬)、およびアルキル化薬(メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イフォスファミド)、代謝拮抗物質(メトトレキサート)、プリン拮抗薬およびピリミジン拮抗薬(6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、シタラビル、ゲムシタビン)、紡錘体毒(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオマイシン、ミトマイシン)、ニトロソウレア(カルムスチン、ロムスチン)、無機イオン(シスプラチン、カルボプラチン)、酵素(アスパラギナーゼ)、およびホルモン(タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、およびメゲストロール)、Gleevec(商標)、アドリアマイシン、デキサメタゾン、およびシクロホスファミドを含むがこれらに限定されない他の承認された化学療法薬がある。最近の癌の治療に関するより総合的な論議については、http://www.nci.nih.gov/、http://www.fda.gov./cder/cancer/druglistframe.htmのFDAが承認した腫瘍学の薬剤のリスト、およびメルクマニュアル17版1999を参照のこと。なお、これらの内容は引用により本明細書に組み込まれている。
1つの実施形態では、Bcr−Abl阻害剤は、増殖疾患および癌を治療するためにGleevec(商標)と併用してよい。
別の実施形態では、Bcr−Abl阻害剤は、増殖疾患および癌を処置するためにGleevec(商標)と併用してよく、該Bcr−Abl阻害剤は、SKI−606、BMS354825、AZD0530、AP23464、CGP76030およびAMN107から選択される。
別の実施形態では、野生型Ablキナーゼの阻害剤は、増殖疾患および癌を処置するためにGleevec(商標)と併用してよい。
別の実施形態では、変異体Ablキナーゼの阻害剤は、増殖疾患および癌を処置するためにGleevec(商標)と併用してよい。
別の実施形態では、T315I Ablキナーゼの阻害剤は、増殖疾患および癌を処置するためにSKI−606、BMS354825、AZD0530、AP23464、CGP76030、AMN107およびGleevec(商標)から選択されるBcr−Ablの阻害剤と併用してよい。
別の実施形態では、T315I Ablキナーゼの阻害剤は、CMLおよびALLを処置するためにSKI−606、BMS354825、AZD0530、AP23464、CGP76030、AMN107およびGleevec(商標)から選択されるBcr−Ablの阻害剤と併用してよい。
別の実施形態では、T315I Ablキナーゼの阻害剤は、増殖疾患および癌を処置するためにGleevec(商標)と併用してよい。
別の実施形態では、T315I Ablキナーゼの阻害剤は、増殖疾患および癌を処置するためにSKI−606、BMS354825、AZD0530、AP23464、CGP76030、AMN107およびGleevec(商標)から選択されるBcr−Ablの阻害剤と併用してよく、該T315I阻害剤は化合物Iである。
別の実施形態では、T315I Ablキナーゼの阻害剤は、CMLおよびALLを処置するためにSKI−606、BMS354825、AZD0530、AP23464、CGP76030、AMN107およびGleevec(商標)から選択されるBcr−Ablの阻害剤と併用してよく、該T315I阻害剤は化合物Iである。
別の実施形態では、T315I Ablキナーゼの阻害剤は、増殖疾患および癌を処置するためにGleevec(商標)と併用してよく、該T315I阻害剤は化合物Iである。
別の実施形態では、T315I Ablキナーゼの阻害剤は、CMLおよびALLを処置するためにGleevec(商標)と併用してよく、該T315I阻害剤は化合物Iである。
別の実施形態では、T315I Ablキナーゼの阻害剤は、CMLを処置するためにGleevec(商標)と併用してよく、該T315I阻害剤は化合物Iである。
別の実施形態では、化合物Iは、白血病を処置する場合、ダスチニブ(BMS354825)と併用してもよい。
別の実施形態では、化合物Iは、CMLを処置する場合、ダスチニブ(BMS354825)と併用してもよい。
別の実施形態では、化合物Iは、T315I CMLを処置する場合、ダスチニブ(BMS354825)と併用してもよい。
別の実施形態では、化合物Iは、ALLを処置する場合、ダスチニブ(BMS354825)と併用してもよい。
別の実施形態では、化合物Iは、フィラデルフィア+ALLを処置する場合、ダスチニブ(BMS354825)と併用してもよい。
別の実施形態では、化合物Iは白血病を処置する場合ニロチニブ(AMN107)と併用してよい。
別の実施形態では、化合物IはCMLを処置する場合ニロチニブ(AMN107)と併用してよい。
別の実施形態では、化合物IはT315I CMLを処置する場合ニロチニブ(AMN107)と併用してよい。
別の実施形態では、化合物IはALLを処置する場合ニロチニブ(AMN107)と併用してよい。
別の実施形態では、化合物Iはフィラデルフィア+ALLを処置する場合ニロチニブ(AMN107)と併用してよい。
本発明の組成物に存在する追加の薬剤の量は、唯一の薬剤としてその薬剤を含む組成物として通常投与される量と同じ程度になる。ここで開示した組成物中の追加の薬剤の量は、治療上唯一の活性な薬剤としてその薬剤を含む組成物中に通常存在する量の約50〜100%の範囲にあるのが好ましい。
化合物Iが追加の薬剤と併用されるならば、追加の薬剤は同じ(即ち、単一の)剤形または別の剤形として使用してよい。
本明細書で説明した発明をより完全に理解できるように、以下の実施例を説明する。当然のことであるが、これらの実施例は説明のためだけのものであり、いかなる方法においても、本発明を限定するものと解釈してはならない。
実施例1−4は、上の一般的スキームの化合物に関連する。
実施例1
4,6−ジクロロピリミジン−2−メチルスルホン(A):
Koppell et al,JOC,26,1961,792に記載の方法にほぼ類似した方法により、次のようにして調製した。ジクロロメタン(1L)の4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン(50g,0.26mol)の撹拌溶液に、0℃で、メタ−クロロパーオキシ安息香酸(143.6g,0.64mol)を20分かけて添加した。この溶液を室温まで加温し、4時間撹拌した。この混合物をジクロロメタン(1.5L)で希釈し、次いで、逐次的に50%Na/NaHCO溶液(2×200ml)、飽和NaHCO溶液(4×300ml)、および塩水(200ml)で処理し、乾燥(MgSO)した。溶媒は真空下で除去し、灰白色の固体を得、この固体をEtOAc(1L)に再溶解し、飽和NaHCO溶液(3×300ml)、および塩水(100ml)で逐次的に処理し、乾燥(MgSO)した。溶媒は真空下で除去し、標記化合物(A)を白色固体(55.6g,収率96%)として得た。
Figure 2012158616
実施例2
シクロプロパンカルボン酸[4−(4,6−ジクロロ−ピリミジン−2−イルスルファニル)−フェニル]−アミド(C):
t−ブタノール(300ml)中化合物A(10g,44.04mmol)およびシクロプロパンカルボン酸(4−メルカプト−フェニル)−アミド(B,8.51g,44.04mmol)の懸濁液を、排気によりガス抜きし、窒素を勢いよく流した。この混合物を窒素雰囲気下90℃で1時間撹拌し、次いで、真空下で溶媒を除去した。残留物を酢酸エチル(600ml)に溶解し、炭酸カリウムと塩化ナトリウムとを含む水溶液で洗浄した。有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥し、低容積になるまで濃縮し、結晶を析出させた。生成物Cは、無色の結晶(11.15g,74%)として集めた。
Figure 2012158616
実施例3
シクロプロパンカルボン酸{4−[4−クロロ−6−(5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルアミノ)−ピリミジン−2−イルスルファニル]−フェニル}アミド(D):
ジメチルホルムアミド(6ml)中化合物C(1.0g,2.94mmol)と3−アミノ−5−メチルピラゾール(314mg,3.23mmol)との混合物をジイソプロピルエチルアミン(0.614ml,3.53mmol)およびヨウ化ナトリウム(530mg,3.53mmol)で処理した。この混合物を窒素雰囲気下85℃で4時間撹拌し、室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈した。この溶液を水(×4)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、5mlまで濃縮し、結晶を析出させると、標記化合物D(920mg,78%)を無色の結晶として得た。
Figure 2012158616
実施例4
シクロプロパンカルボン酸{4−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−6−(5−メチル−2H−ピラゾール−3−イルアミノ)−ピリミジン−2−イルスルファニル]−フェニル}アミド(I):
化合物D(2.373g,5.92mmol)をN−メチルピペラジン(10ml)で処理し、この混合物を110℃で2時間撹拌した。過剰のN−メチルピペラジンを真空下除去し、残留物を酢酸エチルに溶解し、重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮した。残留物はメタノールから結晶を析出させ、所望の生成物I(1.82g,66%)の無色の結晶を得た。
Figure 2012158616
実施例5
Ablキナーゼ活性阻害アッセイおよび阻害定数Kiの測定
化合物は、標準連結酵素システムを用いてN−末端が切断された(Δ27)Ablキナーゼ活性を阻害する化合物の濃度について選別された(Fox et al.,Protein Sci.,7,pp.2249(1998))。反応は、100mMのHEPES(pH7.5),10mMのMgCl,25mMのNaCl,300μMのNADH,1mMのDTTおよび3%DMSOを含む溶液で行った。アッセイ中の最終基質濃度は、110μMのATP(ミズーリ州セントルイスのSigma Chemicals)および70μMのペプチド(カリフォルニア州サニーベールのAmerican Peptide,EAIYAAPFAKKK)であった。反応は、30℃および21nMのAblキナーゼで行った。連結酵素システムの成分の最終濃度は、2.5mMのホスホエノールピルベート、200μMのNADH、60μg/mlのピルベート・キナーゼおよび20μg/mlの乳酸脱水素酵素であった。
アッセイの緩衝原液は、ATPは例外であるが、上にリストしたすべての試薬および興味のあるテスト化合物を含むものを調製した。アッセイの緩衝原液(60μl)は、通常、0.002μM〜30μMの範囲にある最終濃度の興味のあるテスト化合物を2μl入れた96のウエル・プレートにて30℃で10分間培養した。通常、12ポイント・タイトレーションを、ドーター・プレートにおいてDMSOを用いたテスト化合物の連続希釈法(化合物原液1mMから)により調製した。反応は、5μlのATPを添加して開始した(最終濃度110μM)。反応速度は、30℃で10分以上Molecular Devices Spectramaxプレート・リーダー(カリフォルニア州サニーベール)を用いて得た。Ki値は、非線形回帰を用いて阻害剤濃度の関数として残りの速度データから決めた(カリフォルニア州サンディエゴ,Graphpad Software,Prism3.0)。
実施例6
変異体Ablキナーゼ(T315I)活性阻害アッセイおよび阻害定数IC50の測定
アップステート細胞シグナリング溶液におけるヒトAblのT315I変異体を阻害する化合物の能力について化合物を選別した(英国、ダンディー)。最終反応容積25μlにおいて、ヒトAbl(5〜10mU)T315I変異体を、pH7.0で8mMのMOPS、0.2mMのEDTA、50μMのEAIYAAPFAKKK、10mMの酢酸マグネシウム,[γ−33P−ATP](比活性度約500cpm/pmol,10mM最終アッセイ濃度)および0−4μnMの範囲の最終濃度の興味のあるテスト化合物と共に培養した。この反応は、MgATPミックスの添加により開始された。室温で40分間培養後、5μlの3%リン酸溶液を添加して反応を停止した。10μlの反応物をP30フィルターマット上にスポット状に配置し、75mMリン酸中で3度、メタノール中で1度洗浄し、乾燥し、シンチレーション計数した。阻害IC50値は、阻害剤濃度の関数としての残留酵素活性の非線形回帰分析から決めた(カリフォルニア州サンディエゴ,Graphpad Software,Prism3.0)。
実施例7
MK−0457(化合物IまたはVX−680とも呼ばれる)のフェーズIおよびIIの試験は、2005年6月に開始された。適格患者には、初めは難治性のAMLまたはALLの患者が含まれていた。患者は、2〜3週間間隔で5日のCIV注入で処置された。MK−0457の用量は、用量レベルにつき3名の患者集団について段階的に上げられた。1つの用量レベルにおいて最初の3名の患者がいずれも最初のサイクル用量限定毒性(DLT)を経験していないならば、3名の新たな患者を次のより高い用量レベルに入れた。3名の患者の内1名が第1サイクルのDLTを経験したならば、3名までより多い患者がそれと同じ用量レベルで開始することになる(合計N=6)。2名またはそれ以上が第1サイクルのDLTを経験したならば、その用量ではさらなる患者が開始することはない。MTD(6名の患者の内2名未満が第1サイクルのDLTを発現した最高の用量レベル)には到達しなかった。新しい各用量レベルは、現在の用量レベルにある患者がすべて注入した最後の日から最低14日観察された場合にのみ発生し始める。推奨されたフェーズII用量(RP2D)は、かなりの臨床活性がMTD未満で認められなければ、MTDであると考えられた。
キナーゼ・ドメインのBCR−ABLコドン221〜500のPCRをベースとするDNA配列が、変異の検出に使われた。このプロトコルは、MD Anderson Cancer(MDACC)Institutional Review Boardにより承認され、すべての患者は同意書を提示した。
用量レベルは、10、14、18、20および28mg/m/hについて調べた。22名の評価可能な患者では、潜在的にMK−0457に起因する有害事象であるグレード3または4は認められなかった。研究で処置したT315I BCR−ABL変異を有する最初の患者は、53歳の男性で、2001年11月にPh染色体陽性のCMLと診断され、400×10/Lの白血球を示した。基線核型も、誘導染色体22を示した。この患者は、1日につき400mgのイマチニブを用いて処置を開始し、15ヶ月間の完全な血液学的反応(CHR)を達成した。2003年5月に、彼はCHRを失い、1日につき600mgのイマチニブを始めた。彼は細胞遺伝学的に大きな緩解を実現できなかった。2003年6月に、ヒドロキシウレアを追加したにも関わらず、白血球は430×10/Lであり、その患者についてMDACCに問い合わせた。核型は、少数の細胞で複数のPh染色体を示した。この患者は、治験中の治療法、即ち幹細胞の移植を辞退し、イマチニブ、ヒドロキシウレアおよびペグ化されたアルファインターフェロンによる治療を2005年3月まで受けた。この投薬計画では、白血球はコントロールできず、一定の細胞遺伝学的反応は得られなかった。この患者は加速期のCMLの状態でMDACCに戻され、2005年4月に600mgのニロチニブを1日2回投与される治療を開始した。この患者は、白血球が一時的に低下し、ヒドロキシウレアの用量を増やすことが必要になり、ニロチニブには明らかに反応しなかったので、これは2005年7月に中止した。この時点で、この患者はT315I bcr−abl変異を有することが初めて知らされた。次いで、この患者は、KOS−953(17−アリルアミノ−17−デメトキシ・ゲルダナマイシン)、HSP−90阻害剤を用いるプロトコルで処置された。(Georgakis
GV,Younes A:Heat−shock protein 90 inhibitors in cancer therapy:17AAG and beyond.Future Oncol 2005;1:273−81.)この患者は、イマチニブを伴うがヒドロキシウレアの用量を増やす必要があるKOS−903の4つの治療コースを受けたが、2005年10月にプロトコル治療を停止した。彼は、次いで、2005年11月に5日間毎日12mg/m/h CIVの用量にてMK−0457を用いた治療を開始した。サイクル1の11日目に、この患者は、白血球0.4×10/L、ヘモグロビン7.6g/dlおよび血小板カウント31×10/Lの汎血球減少症であった。これらのカウントは急速に回復し、2週間後のサイクル2の治療の1日目には、白血球77×10/L、ヘモグロビン12g/dlおよび血小板698×10/Lであった。最初の4サイクルにおいて、このパターンは各治療についてカウントの低下を伴い反復され、次いで、サイクル4の終わりには血小板カウントが>1000×10/Lになるまで着実に増加させた。なお、サイクル4の終わりには、アナグレリド0.5mgを1日2回追加した。サイクル6の治療は、2006年2月に5日間毎日16mg/m/h CIVの用量にて開始した。サイクル10は、2006年4月に5日間毎日20mg/m/h CIVの用量にて開始した。その時までに、この患者はアナグレリド治療のない場合正常な血小板カウント有していた。この時点で、その患者はヒドロキシウレアまたはアナグレリド治療がないと正常な完全血球算定を有する慢性期に戻っていた。正常な完全血球算定は、先行の3年間においては不可能であった。この患者は、3〜4週間の間隔でMK−0457の治療を続けている。T315Iクローンは、主としてPh染色体陽性であり続けている骨髄において優勢であり続けている。
試験的に処置したT315I bcr−abl変異を有する第2の患者は、33歳の女性で、1997年にPh陽性CMLを有すると診断されていた。彼女は初めヒドロキシウレアとアルファインターフェロンのみで6ヶ月間治療を受けた。1998年に、彼女はイマチニブによる治療を開始し、2005年8月まで毎日400〜800mgの用量を投与され、その時点で、彼女は明らかに永続性の血液学的完全緩解を得られず、ダサチニブを用いるプロトコルで処置された。一時的な反応の後、反応の欠如のために2005年10月に、彼女は試験の対象から外された。次いで、彼女は、難治性で加速期の疾患のニロチニブ・プロトコルによる治療の評価についてMDACCに問い合わせた。この時点で、この患者は、T315I BCR−ABL変異を有することが初めて知らされた。この患者は、2006年1月に5日間毎日16mg/m/h CIVの用量にてMK−0457を用いた治療を開始した。第1の患者の場合のように、最初は血液カウントが低下し、次いで、サイクル2の終わりまでには血小板カウントを、>1000×10/Lまで着実に増加させた。なお、サイクル2の終わりには、アナグレリド0.5mgを1日2回追加した。BCR−ABLのPCRをベースとするDNA配列を反復しても、サイクル1の治療の後ではT315I変異の存在はもはや検出されなかった。サイクル2の治療の後では、この患者は社会的な理由でもはやプロトコルを続けることはできず、彼女の家の近くの病院で細胞傷害性療法を試みることを望んだ。
T315I BCR−ABL変異を有する第3の患者は、63歳の男性で2003年12月にPh染色体陽性ALLであると診断されていた。彼は、標準導入療法への血液学的完全緩解を得たので、全身および髄腔内の両強化療法を受けた。細胞遺伝学的反応は得られず、2005年9月に明らかに再発した。次いで、彼は、1日2回70mgのダサチニブを投与されるプロトコル療法を始めた。彼は、2005年11月までに血液学的完全緩解および2倍体核型を得た。2006年1月に、血液学的および細胞遺伝学的反応が失われ、ダサチニブの用量は1日2回90mgに増やされた。この用量でこの患者は、再発性の比較的軽い消化管からの出血を起こし、2006年2月にダサチニブを止めた。次いで、この患者についてMDACCに問い合わせ、T315I BCR−ABL変異を有することが初めて判明した。この患者は、2006年3月に5日間毎日20mg/m/h CIVの用量にてMK−0457を用いた治療を開始した。試験開始時に、この患者は、真菌性肺炎にかかっており、81%の芽球と共に15×10/Lの白血球を有していた。2サイクルの治療の後、88%の好中球と共に1.6×10/Lの白血球を有し、芽球はなかった。真菌性肺炎は、好中球の回復と関連して全身性抗真菌性治療に反応し始め、さらに、MK−0457による治療が計画された。
本発明の多数の実施形態について説明したが、基本的な実施例を変えて、本発明の化合物および方法を用いる他の実施形態が得られることは明らかである。したがって、本発明の範囲は、実施例で示した具体的な実施形態によるよりも、添付した特許請求の範囲により規定されることは言うまでもない。

Claims (1)

  1. 明細書に記載の発明。
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