本発明は、入射光を電気に変換する光電変換領域を有する超高効率型光電変換装置に関するものである。
近年、化石燃料の枯渇と石油消費で発生する二酸化炭素による地球温暖化が地球規模の課題となっている。公的機関の石油需要見通しに依ると、特にアジア、中東の石油需要量は膨らむ一方である。世界の電力発電量も増加を続けている。一般に地球の人口増大に対して、エネルギー資源は残り少ないと言われている。そのような中、地球温暖化の環境改善に向けて導入が進む新エネルギーの中で、現在、最も重要な技術と考えられているのが太陽光発電である。
これまで太陽光発電は、エネルギー変換効率が低いことから家庭用や小規模での運用が主であった。太陽電池は、クリーンエネルギーの主役として家庭用だけでなく公的施設への導入も拡大している。さらに、大規模な太陽光発電所の設置計画も公表されている。また、再生可能エネルギーの活用を軸とした環境未来都市構想も提唱されてきている。太陽光発電は再生可能エネルギーであり、太陽光発電の需要拡大が見込まれている。
従来の光電変換領域を有する太陽電池は、太陽光を出来るだけ多く太陽電池内部に取り込もうとして太陽電池表面にピラミッド断面形あるいは上下逆ピラミッド断面形の凹凸(テクスチャー)を設けている。しかし、まだ電力会社から購入する電気を代替するほどの経済性には至っていない。太陽エネルギーの電気への変換効率の向上への取り組みが望まれている。現在の太陽エネルギーの電気への変換効率はおおよそ次である。多接合型太陽電池の集光時セル変換効率は50%程。非集光時で40%程である。多結晶Si型太陽電池セルの光電変換効率は高いもので19%程である。一般的に結晶シリコン型は15%程、薄膜シリコン型は10%程、化合物型は10%程、有機薄膜型は数%程、色素増感型は数%程である。
光電変換装置には太陽電池、イメージセンサー等がある。図2はそのような光電変換装置の一例である表面凹凸付き結晶系太陽電池の従来例を示す断面図である。1は裏面電極層、2は酸化膜、3はp型半導体、4はp+拡散層、5はn型半導体、6はn+拡散、7は透明電極層(ITO電極膜等)、8は取り出し電極である。
図2に例示のように従来の太陽電池は太陽電池表面にピラミッド断面形あるいは上下逆ピラミッド断面形の凹凸(テクスチャー)を該太陽電池表面の平板方向に繋がる様に設けている。
先行技術文献と本願発明との対比について説明する。
先行技術文献全体として言えることは、該先行技術文献のいづれについても本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。前記括れについての定義と、前記太陽光入射方向についての詳しい説明は、段落[0012]に記載する。
個別の先行技術文献について本願発明と対比すると、特許文献1には薄膜太陽電池についてP型単結晶シリコン板の上に凹凸形状を形成する提案がされている。凹凸は発電層への斜め入射で光の進む距離が長くなり、光の閉じ込めが良好に行われるとしている。特許文献1に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。また、本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献2には透光性絶縁基板上に凹凸を有する光透性樹脂層と、透明導電膜と、非晶質半導体層と、裏面電極層とを順次積層してなる薄膜太陽電池について、前記凹凸は、互いに平行な線状に配設されており、透光性基板側から入射した光は、透明導電膜と非晶質半導体層との界面で散乱を起こし、非晶質半導体層での光の光路長が増加するという提案がなされている。特許文献2に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献3には入射光を電荷に変換する光電変換領域を有する固体光電子装置において光電変換領域の上方部に下側からの光に対して反射機能を持つ反射膜を形成してなり、光電変換領域に入射した光(電磁波)が光電変換領域・反射膜間にて反射を繰り返すように構成されてなることを特徴とする固体光電子装置という提案がなされている。光電変換領域の上面と下面の少なくとも一方を互いに異なる向きをもった複数面で構成したことを特徴としている。特許文献3に記載の凹凸はV字またはU字あるいは半円形を形成するが太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。また、本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献4には複数の光電変換セルが所定の距離を隔てて複数配置され、隣接する光電変換セル同士を電気的に直列に接続した光電変換装置において、隣接する第1の領域間に挟まれる領域を第2の領域とした場合に、第2の領域は、絶縁性透明基板の第2の領域に入射する光の進路を光電変換層の方向に変えるように形成された構成を有する光電変換装置という提案がなされている。特許文献4に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献5には絶縁透光性基板上に基板上に透明導電性材料からなる表面電極層と、バンドギャップの異なる光電変換層を基板面に垂直な方向に複数含む光電変換体と、裏面電極層と、を含むセルが複数配列して形成されるとともに、裏面電極層が形成される光電変換体側面は、側面の下部と表面電極層との交点を含み基板上に垂直に形成した面との間の距離が基板から離れるにしたがって大きくなるように形成されている光電変換装置という提案がなされている。特許文献5に記載の凹凸は本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献6には、太陽電池アセンブリは半導体層を積層した光電変換素子へ入射光を反射して集束させる反射凹面の底部又はその上部に、前記光電変換素子が配置され、前記光電変換素子に前記入射光が到達到達する途中に、その光の一部を波長変換する蛍光剤またはリン光材が配置されているという提案がなされている。特許文献6に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献7には導電性基板と該導電性基板の一主面に多数個接合され、表層に導電型の半導体部を有し、かつ表面が複数の凸部を有する凹凸構造を成した導電型の半導体部を有する結晶半導体粒子と、導電型の半導体部と部分的に接続された透光性導電層と、を備えた光電変換装置という提案がなされている。特許文献7に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献8には透明絶縁基板の表面に凹凸構造を有することを特徴とする薄膜太陽電池という提案がなされている。特許文献8に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献9には絶縁性透光基板上に透明導電膜からなる第1電極層と、半導体膜からなり光電変換を行う光電変換層と、光を反射する導電膜からなる第2電極層と、がこの従順で積層されてなる複数の光電変換セルが配設されるとともに、隣接する前記光電変換セル同士が電気的に直列接続された薄膜光電変換装置であって、前記絶縁性透光基板が略正多角形状を呈し、前記光電変換セルは、前記絶縁性透光基板の面内方向において前記絶縁性透光基板の略中心部から外周に向かって放射線状に配置された扇形の形状を呈すること、を特徴とする薄膜光電変換装置という提案がなされている。特許文献9に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献10には導電性の第1電極層と、この上に形成され、複数の微細孔が形成された誘電体基材および複数の微細孔を充填する金属材料からなる複数の微細金属体を備える金属充填誘電体層と、この上に形成され、光電変換材料からなる光電変換層と、この上に形成された導電性の第2電極とを有し、複数の微細金属体は、誘電体基材の微細孔を充填する充填部と、誘電体基材から光電変換層内に飛び出す突出部とを有し、充填部の他端において第1電極層に導電性の金属体であり、光電変換層は、突出部を覆うように誘電体基材上に形成され、前記微細金属体は前記第1電極層に接続される前記充填部の他端が、前記第1電極層に貫入する脚部を形成するものである光電変換デバイスという提案がなされている。特許文献10に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献11には透光性基板上に、透明導電膜からなる表面電極と、p型半導体層、i型半導体層、n型半導体層の順に積層された光電変換半導体層と、少なくとも光反射性金属電極を備える裏面電極とを順次形成した薄膜太陽電池において、前記透明導電膜が、前記透光性基板側からAl及びGaがドープされた第一の酸化亜鉛膜、Tiがドープされた酸化インジウム膜、Al及びGaがドープされた第二の酸化亜鉛膜の順に設けられた積層体で、前記第一の酸化亜鉛膜の前記酸化インジウム膜側の膜面が凹凸構造であることを特徴とする薄膜太陽電池という提案がなされている。特許文献11に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献12には絶縁性透光基板上に、透明導電膜からなる第1電極層と、非晶質半導体膜からなり光電変換を行う第1発電層と、微結晶質半導体膜からなり光電変換を行う第2発電層と、光を反射する導電膜からなる第2電極層と、がこの順で積層された薄膜太陽電池であって、前記第1電極層は、前記第1発電層側の表面に凹凸形状を有し、前記第1発電層は、前記第1電極層の凹凸形状に対応して前記第2発電層側に凹凸形状が形成され、その凸部の上面が前記絶縁性透光基板の面内方向と略平行な面とされていること、を特徴とする薄膜太陽電池という提案がなされている。特許文献12に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献13には太陽電池セルの受光面側に太陽電池セルを支持する透明電極を備えた太陽電池モジュールにおいて、上記透明基板の入光面側に、錐状の凹みあるいは錐状の突起が形成された光学指向性構造を備えた透明シートが積層されていることを特徴とする太陽電池モジュールという提案がなされている。特許文献13に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。
特開平11−40832号公報
特開平11−191632号公報
特開第2000−208747号公報
特開第2009−231499号公報
特開第2009−289817号公報
特開第2009−206212号公報
特開第2009−206469号公報
特開第2009−224427号公報
特開第2009−295943号公報
特開第2010−27794号公報
特開第2010−34230号公報
特開第2010−62302号公報
特開第2010−153570号公報
解決しようとする問題点は、従来の光電変換領域を有する太陽電池は、太陽光を出来るだけ多く太陽電池内部に取り込もうとして太陽電池表面にピラミッド断面形あるいは上下逆ピラミッド断面形の凹凸(テクスチャー)を設けているが、まだ電力会社から購入する電気を代替するほどの経済性には至っていない点である。前記の光電変換効率のように従来の凹凸付き太陽電池では大部分の光エネルギーは活用出来ていないという問題がある。
本発明はこのような問題点を解決すべく為されたものであり、入射光の閉じ込め作用に優れる形体の光電変換装置であり、一次太陽光入射単位面積当たりについて、より大きな出力エネルギーを得ることができる光電変換装置を提供することを目的とする。
ここで、本願発明における括れの定義について説明する。図3は本願発明の特徴である括れの定義を示した図である。日射量が最も多い本願装置の真上方向からの光入射を基準として、つまりn型半導体5に対して光入射基準方向11の位置関係となるように前記装置を設置し、太陽光の一般的光路変化である、前記光入射基準方向に対しての光入射角がプラス90度、マイナス90度の範囲を考慮に入れて、前記装置を使用想定する場合に、1次入射光を電子等の電荷に変換する光電変換領域を有する受光素子部に、1次入射光の進行方向に対して、前記光電変換領域、例えばn型半導体5が1次入射光の進行方向に沿って形を成す曲線において、前記曲線上に任意の2点、12、13を取る。前記2点、12、13を通る仮想の直線を設けると、点13を点12に限りなく近づけた時の極限が、点12における接線である。また、点12を点13に限りなく近づけた時の極限が、点13における接線である。前記点12、点13における接線の傾きについて、前記1次入射光側の点12の接線14の傾きを、正とすると、前記残りの本願装置の基板寄りの点13の接線15の傾きが負となるように設けてなる形を括れと定義する。本発明は、入射光を電気に変換する光電変換領域を有する光電変換装置において、超高効率光電変換を可能とするため、一次太陽光入射方向に対して括れ形成部9、および括れの下方側に形成してなる抉れ部10を設けてなる内壁を設けて、光電変換領域が前記括れ形体状に設けてなり、一次太陽光入射単位面積当たりの実効光電変換表面積をより大きく設けてなり、光路長をより大きく設けてなり、一次太陽光入射方向側に返す光をより少なくする形体で、前記入射光を光電変換することを主要な特徴とする。
請求項1の光電変換装置によれば、前記主要な特徴を備えているので、光の利用効率を高めることができる。
請求項1の光電変換装置によれば、一次太陽光入射単位面積当たりの実効光電変換表面積がより大きくなり、加えて、一次太陽光入射方向側に返す光をより少なくすることができるので、光の利用効率を高めることができる。従って、エネルギー変換効率が高くなることで、出力当たりの単価が改善され、出力の増加に伴って、経済性を高めることができる。
本発明光電変換装置の一つの実施例で、請求項1の例を示す断面図である。
光電変換装置の従来例を示す断面図である。
本発明光電変換装置の括れの定義を示す図である。
本発明は一次太陽光入射方向に対して光電変換領域に括れ形体を設けて、入射した光を入射元の方向に、より反射させないように構成されてなる。より具体的には、穴状の場合は、瓢箪形状に括れを設けてなる態様が好適である。前記瓢箪形状は複数段に積み上げるとさらに良い。前記瓢箪形状は複数段に積み上げる場合、前記各段毎に膜厚、抉れ形状、膜材料を変えて、広い範囲の波長の光を変換できるようにしても良い。前記瓢箪形状は複数段に積み上げる場合、前記各段は直列の電気接続の態様を形成すると好適である。前記瓢箪形状穴と、隣接する瓢箪形状穴の間の上層表面に凸形状を設ける場合は、球形、円錐形、多角錐等が良く、傾斜面の角度は大きく尖らす態様を形成すると好適である。
以下、本発明を図示実施例に従って説明する。図1は、穴形体を設けてなる本光電変換装置の一つの実施例である。本光電変換装置の大きな特徴はp型半導体3とn型半導体4の接合で形成される光電変換領域が括れ形体を設けてなることである。p型半導体3に括れ形成部9、および括れの下方側に形成してなる抉れ部10を形成する。ここで、抉れおよび括れの下方側に形成してなる抉れとは瓢箪形状穴を外側から見た時の形状による。次にp型半導体3とn型半導体4の接合を形成し、しかる後、n+拡散層と、透明電極層7を形成してなる。次にp型半導体3の裏面に酸化膜2と、p+拡散層4と、裏面電極層1を形成してなる。
このような、穴形体を設けてなる本光電変換装置によれば、外部からの一次入射太陽光は、隣接する瓢箪形状穴の間の上層表面の光電変換層に入射して、前記太陽光は光電変換される。前記隣接する瓢箪形状穴の間の上層表面の横を通過した一次入射太陽光については、穴形体の内側の光電変換層に入射して、前記太陽光は光電変換される。前記太陽光の一部は反射を繰り返す。その際、穴形体に設けてなる括れ形成部9、および括れの下方側に形成してなる抉れ部10は反射光を閉じ込めて、一次太陽光入射方向側に返す光をより少なくする機能を果たす。というのは、きのこ柱形体に設けてなる括れ形成部9、および括れの下方側に形成してなる抉れ部10が入射光を前記抉れ部の奥側へ導く作用を生ぜしめるからである。
尚、太陽電池の製造プロセスは、蒸着、露光、蝕刻(エッチング)など、従来からの、半導体、液晶パネルの製造プロセスを踏襲しており、前記括れ形成部9、および括れの下方側に形成してなる抉れ部10を形成することは、CVD法や選択式露光、等方性エッチング等を駆使して形成することが出来る。次に詳しく説明する。シリコン系は結晶の状態により結晶シリコンと薄膜シリコンに分類できる。結晶シリコンは単結晶シリコンと多結晶シリコンに分類できる。薄膜シリコンは微結晶シリコンとアモルファス(非晶質)シリコンに分類できる。シリコン系の結晶型の違いはシリコンの結晶粒界面、つまり結晶欠陥の数の違いであり、結晶欠陥の少ない順に、単結晶シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、アモルファス(非晶質)シリコンとなる。一般的に前記結晶欠陥の数が少ない、および前記結晶欠陥に伴う不純物の数が少ないほど太陽電池の変換効率は高くなる。つまり、結晶欠陥が多いほど、電気が効率良く流れなくなる。本願発明の括れをどのように生成するかを詳しく説明する。本光電変換装置の基板にp型半導体3を使用する。結晶シリコン太陽電池は一般的に高純度シリコンインゴットからシリコンウエーハという薄い板状にしたものを使用する。薄膜シリコンの場合はシリコンウエーハもしくはガラス基板などが使用される。p型半導体3はホウ素原子をp型不純物として熱拡散により混ぜて作る。薄膜シリコンの場合は一般的にプラズマCVD(化学的気相成長法)装置を使用して、シランガスを放電により分解し、結晶シリコンやガラスなどの基板に化学的にシリコンを付着させる。次いで、ホウ素原子をp型不純物として熱拡散により混ぜて作り、p型半導体3を形成する。次に括れ形成について説明する。結晶シリコンでは、前記状態のp型半導体3の表面に、前記状態のp型半導体3の表面を薄く酸化した後、シリコンナイトライド膜をCVDで堆積する。次いでフォトリソグラフィを使用してパターンを形成した後に、シリコンナイトライド膜をウエットまたはドライエッチングする。レジストを除去し、残ったシリコンナイトライド膜をマスクにして、前記酸化膜をフッ酸でエッチングする。次いで異方性エッチングをするとV字的形状に形成される。一般的にはKOH−IPA系水溶液が知られている。残った酸化膜とシリコンナイトライド膜はウエットまたはドライエッチングする。この方法で隣接する瓢箪形状穴の間の上層表面凹凸形状を形成できる。次いでフォトリソグラフィを使用して前記V字的形状の開口パターンより小さいパターンをレジストで形成した後に、等方性エッチングのドライエッチングまたはウエットエッチングをする。エッチングが回り込むことによって、アンダーカット(サイドエッチング)が得られる。次いでレジストは除去する。次いで、フォトリソグラフィを使用して前記瓢箪形状穴形状の開口パターンより小さいパターンをレジストで形成した後に、等方性エッチングのドライエッチングまたはウエットエッチングをする。エッチングが回り込むことによって、アンダーカット(サイドエッチング)が得られる。次いでレジストは除去する。このようにして括れ形成部9および括れの下方側に形成してなる抉れ部10を得ることができる。p型半導体3に括れ形成部9および括れの下方側に形成してなる抉れ部10を得た後は、n型半導体5を作る。n型半導体5はリン元素をn型不純物として熱拡散により混ぜて作る。前記p型不純物、n型不純物濃度を微調整するときは、フォトリソグラフィを使用してパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクにしてホウ素イオンやリンイオンを使用してイオン注入を行う。前記イオン注入後に、p+拡散層4やn+拡散層6が得られる。その後に加熱アニールにより、結晶性を整えてpn接合ができる。p+拡散層4を作るためのリンイオン注入の実施順は、加熱アニールの前であれば良い。次に、光が当たるn型半導体5に、蒸着等を利用してITO等の透明電極層7をつける。次に、蒸着等を利用して全面にアルミニウムやAg等をつける。次いで、フォトリソグラフィを使用してパターンを形成し、次いで、ドライエッチング等で取り出し電極8を形成する。裏面については残していた酸化膜2に、フォトリソグラフィを使用してパターンを形成し、裏面からの電極取り出しのパターンを形成する。次いで、スクリーン印刷や蒸着を使用して、裏面電極層1を形成する。前記裏面電極層1については、一般的にアルミニウムやAg等の使用が知られている。
前記方法により形成した前記括れ形成部9、および括れの下方側に形成してなる抉れ部10を前記光電変換領域に設けることで、太陽光の入射方向から観察すると、本光電変換装置は、より黒体様に見えることになる。
本願発明によって、一次太陽光入射単位面積当たりの実効光電変換表面積をより大きく設けてなり、光路長をより大きく設けてなり、一次太陽光入射方向側に返す光をより少なくする形体にすることができる。
1・・・裏面電極層
2・・・酸化膜
3・・・p型半導体
4・・・p+拡散層
5・・・n型半導体
6・・・n+拡散層
7・・・透明電極層
8・・・取り出し電極
9・・・括れ形成部
10・・・括れの下方側に形成してなる抉れ部
11・・・光入射基準方向
12・・・光電変換領域が1次入射光の進行方向に沿って形を成す曲線における前記曲線上の任意の点
13・・・光電変換領域が1次入射光の進行方向に沿って形を成す曲線における前記曲線上の点12から少し離れた下方側の前記曲線上に位置する点
14・・・括れを定義するための点12における接線
15・・・括れを定義するための点13における接線
本発明は、入射光を電気に変換する光電変換領域を有する超高効率型光電変換装置に関するものである。
近年、化石燃料の枯渇と石油消費で発生する二酸化炭素による地球温暖化が地球規模の課題となっている。公的機関の石油需要見通しに依ると、特にアジア、中東の石油需要量は膨らむ一方である。世界の電力発電量も増加を続けている。一般に地球の人口増大に対して、エネルギー資源は残り少ないと言われている。そのような中、地球温暖化の環境改善に向けて導入が進む新エネルギーの中で、現在、最も重要な技術と考えられているのが太陽光発電である。
これまで太陽光発電は、エネルギー変換効率が低いことから家庭用や小規模での運用が主であった。太陽電池は、クリーンエネルギーの主役として家庭用だけでなく公的施設への導入も拡大している。さらに、大規模な太陽光発電所の設置計画も公表されている。また、再生可能エネルギーの活用を軸とした環境未来都市構想も提唱されてきている。太陽光発電は再生可能エネルギーであり、太陽光発電の需要拡大が見込まれている。
従来の光電変換領域を有する太陽電池は、太陽光を出来るだけ多く太陽電池内部に取り込もうとして太陽電池表面にピラミッド断面形あるいは上下逆ピラミッド断面形の凹凸(テクスチャー)を設けている。しかし、まだ電力会社から購入する電気を代替するほどの経済性には至っていない。太陽エネルギーの電気への変換効率の向上への取り組みが望まれている。現在の太陽エネルギーの電気への変換効率はおおよそ次である。多結晶Si型 太陽電池セルの光電変換効率は高いもので19%程である。一般的に結晶シリコン型は1 5%程、薄膜シリコン型は10%程である。
光電変換装置には太陽電池、イメージセンサー等がある。図2はそのような光電変換装置の一例である表面凹凸付き結晶系太陽電池の従来例を示す断面図である。1は裏面電極層、2は酸化膜、3はp型半導体、4はp+拡散層、5はn型半導体、6はn+拡散層、7は透明電極層(ITO電極膜等)、8は取り出し電極である。
図2に例示のように従来の太陽電池は太陽電池表面にピラミッド断面形あるいは上下逆ピラミッド断面形の凹凸(テクスチャー)を該太陽電池表面の平板方向に繋がる様に設けている。
先行技術文献と本願発明との対比について説明する。
先行技術文献全体として言えることは、該先行技術文献のいづれについても本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。前記括れについての定義と、前記太陽光入射方向についての詳しい説明は、段落[0012]に記載する。
個別の先行技術文献について本願発明と対比すると、特許文献1には薄膜太陽電池についてP型単結晶シリコン板の上に凹凸形状を形成する提案がされている。凹凸は発電層への斜め入射で光の進む距離が長くなり、光の閉じ込めが良好に行われるとしている。特許文献1に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。また、本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献2には入射光 を電荷に変換する光電変換領域を有する固体光電子装置において光電変換領域の上方部に下側からの光に対して反射機能を持つ反射膜を形成してなり、光電変換領域に入射した光(電磁波)が光電変換領域・反射膜間にて反射を繰り返すように構成されてなることを特徴とする固体光電子装置という提案がなされている。光電変換領域の上面と下面の少なくとも一方を互いに異なる向きをもった複数面で構成したことを特徴としている。特許文献 2に記載の凹凸はV字またはU字あるいは半円形を形成するが光電変換領域表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。また、本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献3には複数の光電変換セルが所定の距離を隔てて複数配置され、隣接する光電変換セル同士を電気的に直列に接続した光電変換装置において、隣接する第1の領域間に挟まれる領域を第2の領域とした場合に、第2の領域は、絶縁性透明基板の第2の領域に入射する光の進路を光電変換層の方向に変えるように形成された構成を有する光電変換装置という提案がなされている。特許文献3に記載の凹凸は太陽電池 表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献4には絶縁透光性基板上に透明導電性材料からなる表面電極層と、バンドギャップの異なる光電変換層を基板面に垂直な方向に複数含む光電変換体と、裏面電極層と、を含むセルが複数配列して形成されるとともに、裏面電極層が形成される光電変換体側面は、側面の下部と表面電極層との交点を含み基板上に垂直に形成した面との間の距離が基板から離れるにしたがって大きくなるように形成されている光電変換装置という提案がなされている。特許文献4に記載の凹凸は本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献5には、太陽電池ア センブリは半導体層を積層した光電変換素子へ入射光を反射して集束させる反射凹面の底部又はその上部に、前記光電変換素子が配置され、前記光電変換素子に前記入射光が到達する途中に、その光の一部を波長変換する蛍光剤またはリン光材が配置されているという提案がなされている。特許文献5に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献6には導電性基板と該導電性基板の一主面に多数個接合され、表層に導電型の半導体部を有し、かつ表面が複数の凸部を有する凹凸構造を成した導電型の半導体部を有する結晶半導体粒子と、導電型の半導体部と部分的に接続された透光性導電層と、を備えた光電変換装置という提案がなされている。特許文献6に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献7には透明絶縁基板の表面に凹凸構造を有することを特徴とする薄膜太陽電池という提案がなされている。特許文献7に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献8には絶縁性透光基板上に透明導電膜からなる第1電極層と、半導体膜からなり光電変換を行う光電変換層と、光を反射する導電膜からなる第2電極層と、がこの順で積層されてなる複数の光電変換セルが配設されるとともに、隣接する前記光電変換セル同士が電気的に直列接続された薄膜光電変換装置であって、前記絶縁性透光基板が略正多角形状を呈し、前記光電変換セルは、前記絶縁性透光基板の面内方向において前記絶縁性透光基板の略中心部から外周に向かって放射線状に配置された扇形の形状を呈すること、を特徴とする薄膜光電変換装置という提案がなされている。特許文献 8に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。特許文献9には絶縁性透光基板 上に、透明導電膜からなる第1電極層と、非晶質半導体膜からなり光電変換を行う第1発電層と、微結晶質半導体膜からなり光電変換を行う第2発電層と、光を反射する導電膜からなる第2電極層と、がこの順で積層された薄膜太陽電池であって、前記第1電極層は、前記第1発電層側の表面に凹凸形状を有し、前記第1発電層は、前記第1電極層の凹凸形状に対応して前記第2発電層側に凹凸形状が形成され、その凸部の上面が前記絶縁性透光基板の面内方向と略平行な面とされていること、を特徴とする薄膜太陽電池という提案がなされている。特許文献9に記載の凹凸は太陽電池表面の平板方向に繋がってなる形状で 、本願発明の一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる光電変換装置とは異なる 。本願発明の様な一次太陽光入射方向に対して括れ形体を設けてなる言及は無い。
特開平11−40832号公報
特開第2000−208747号公報
特開第2009−231499号公報
特開第2009−289817号公報
特開第2009−206212号公報
特開第2009−206469号公報
特開第2009−224427号公報
特開第2009−295943号公報
特開第2010−62302号公報
解決しようとする問題点は、従来の光電変換領域を有する太陽電池は、太陽光を出来るだけ多く太陽電池内部に取り込もうとして太陽電池表面にピラミッド断面形あるいは上下逆ピラミッド断面形の凹凸(テクスチャー)を設けているが、まだ電力会社から購入する電気を代替するほどの経済性には至っていない点である。前記の光電変換効率のように従来の凹凸付き太陽電池では大部分の光エネルギーは活用出来ていないという問題がある。
本発明はこのような問題点を解決すべく為されたものであり、入射光の閉じ込め作用に優れる形体の光電変換装置であり、一次太陽光入射単位面積当たりについて、より大きな出力エネルギーを得ることができる光電変換装置を提供することを目的とする。
ここで、本願発明における括れの定義について説明する。図3は本願発明の特徴である括れの定義を示した図である。日射量が最も多い本願装置の真上方向からの光入射を基準として、つまりn型半導体5に対して光入射基準方向11の位置関係となるように前記装置を設置し、太陽光の一般的光路変化である、前記光入射基準方向に対しての光入射角がプラス90度、マイナス90度の範囲を考慮に入れて、前記装置を使用想定する場合に、1次入射光を電子等の電荷に変換する光電変換領域を有する受光素子部に、1次入射光の進行方向に対して、前記光電変換領域、例えばn型半導体5が1次入射光の進行方向に沿って形を成す曲線において、前記曲線上に任意の2点、12、13を取る。前記2点、12、13を通る仮想の直線を設けると、点13を点12に限りなく近づけた時の極限が、点12における接線である。また、点12を点13に限りなく近づけた時の極限が、点13における接線である。前記点12、点13における接線の傾きについて、前記1次入射光側の点12の接線14の傾きを、正とすると、前記残りの本願装置の基板寄りの点13の接線15の傾きが負となるように設けてなる形を括れと定義する。本発明は、入射光を電気に変換する光電変換領域を有する光電変換装置において、超高効率光電変換を可能とするため、一次太陽光入射方向に対してシリコン系材料を使用する括れ形成部9、および括れの下方側に形成してなる抉れ部10を設けてなる内壁を設けて、光電変換領域が前記括れ形体状に設けてなり、一次太陽光入射単位面積当たりの実効光電変換表面積をより大きく設けてなり、光路長をより大きく設けてなり、一次太陽光入射方向側に返す光をより少なくする形体で、前記入射光を光電変換することを主要な特徴とする。
請求項1の光電変換装置によれば、前記主要な特徴を備えているので、光の利用効率を高めることができる。
請求項1の光電変換装置によれば、一次太陽光入射単位面積当たりの実効光電変換表面積がより大きくなり、加えて、一次太陽光入射方向側に返す光をより少なくすることができるので、光の利用効率を高めることができる。従って、エネルギー変換効率が高くなることで、出力当たりの単価が改善され、出力の増加に伴って、経済性を高めることができる。
本発明光電変換装置の一つの実施例で、請求項1の例を示す断面図である。
光電変換装置の従来例を示す断面図である。
本発明光電変換装置の括れの定義を示す図である。
本発明は一次太陽光入射方向に対して光電変換領域に括れ形体を設けて、入射した光を入射元の方向に、より反射させないように構成されてなる。より具体的には、穴状の場合 は、瓢箪形状に括れを設けてなる態様が好適である。前記瓢箪形状穴と隣接する瓢箪形状 穴の間の上層表面に凸形状を設ける場合は、球形、円錐形、多角錐等が良く、傾斜面の角 度は大きく尖らす態様を形成すると好適である。
以下、本発明を図示実施例に従って説明する。図1は、穴形体を設けてなる本光電変換装置の一つの実施例である。本光電変換装置の大きな特徴はp型半導体3とn型半導体4の接合で形成される光電変換領域が括れ形体を設けてなることである。p型半導体3に括れ形成部9、および括れの下方側に形成してなる抉れ部10を形成する。ここで、括れおよび括れの下方側に形成してなる抉れとは瓢箪形状穴を外側から見た時の形状による。次にp型半導体3とn型半導体4の接合を形成し、しかる後、n+拡散層と、透明電極層7を形成してなる。次にp型半導体3の裏面に酸化膜2と、p+拡散層4と、裏面電極層1を形成してなる。
このような、穴形体を設けてなる本光電変換装置によれば、外部からの一次入射太陽光は、隣接する瓢箪形状穴の間の上層表面の光電変換層に入射して、前記太陽光は光電変換される。前記隣接する瓢箪形状穴の間の上層表面の横を通過した一次入射太陽光については、穴形体の内側の光電変換層に入射して、前記太陽光は光電変換される。前記太陽光の一部は反射を繰り返す。その際、穴形体に設けてなる括れ形成部9、および括れの下方側に形成してなる抉れ部10は反射光を閉じ込めて、一次太陽光入射方向側に返す光をより少なくする機能を果たす。というのは、穴形体に設けてなる括れ形成部9、および括れの下方側に形成してなる抉れ部10が入射光を前記抉れ部の奥側へ導く作用を生ぜしめるからである。
尚、太陽電池の製造プロセスは、蒸着、露光、蝕刻(エッチング)など、従来からの、半導体、液晶パネルの製造プロセスを踏襲しており、前記括れ形成部9、および括れの下方側に形成してなる抉れ部10を形成することは、CVD法や選択式露光、等方性エッチング等を駆使して形成することが出来る。次に詳しく説明する。シリコン系は結晶の状態により結晶シリコンと薄膜シリコンに分類できる。結晶シリコンは単結晶シリコンと多結晶シリコンに分類できる。薄膜シリコンは微結晶シリコンとアモルファス(非晶質)シリコンに分類できる。シリコン系の結晶型の違いはシリコンの結晶粒界面、つまり結晶欠陥の数の違いであり、結晶欠陥の少ない順に、単結晶シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、アモルファス(非晶質)シリコンとなる。一般的に前記結晶欠陥の数が少ない、および前記結晶欠陥に伴う不純物の数が少ないほど太陽電池の変換効率は高くなる。つまり、結晶欠陥が多いほど、電気が効率良く流れなくなる。本願発明の括れをどのように生成するかを詳しく説明する。本光電変換装置の基板にp型半導体3を使用する。結晶シリコン太陽電池は一般的に高純度シリコンインゴットからシリコンウエーハという薄い板状にしたものを使用する。薄膜シリコンの場合はシリコンウエーハもしくはガラス基板などが使用される。p型半導体3はホウ素原子をp型不純物として熱拡散により混ぜて作る。薄膜シリコンの場合は一般的にプラズマCVD(化学的気相成長法)装置を使用して、シランガスを放電により分解し、結晶シリコンやガラスなどの基板に化学的にシリコンを付着させる。次いで、ホウ素原子をp型不純物として熱拡散により混ぜて作り、p型半導体3を形成する。次に括れ形成について説明する。結晶シリコンでは、前記状態のp型半導 体3の表面にフォトリソグラフィを使用して、露光の深さ方向のフォーカス位置をずらす ことで、レジストのパターンプロファイルが少々肩部が垂れる形状になることを利用して パターンを形成し、次にウエットまたはドライエッチングを行って、穴状を形成し、次い で、側壁保護エッチング等の側壁保護プロセスにより、エッチング内壁側面に保護膜をデ ポジションする。次いで、フォトリソグラフィを使用して前記開口より少々小さいレジス ト開口パターンを形成した後に、前記レジストパターンをマスクにして、前記エッチング 穴の下方をさらにドライエッチングする。次いで、前記下方をウエットまたはドライエッ チングを行うことで、瓢箪状穴を形成できる。等方性エッチングのドライエッチングまた はウエットエッチングを利用する。エッチングが回り込むことによって、アンダーカット (サイドエッチング)が得られる。次いでレジストは除去する。このようにして括れ形成 部9を得ることができる。薄膜シリコンの場合は、前記薄膜シリコンのp型半導体3を形 成後に前記結晶シリコンと同様に、エッチングを行って、括れ形成部9を得ることができ る。あるいは、前記プラズマCVD装置を使用して、シランガスを放電により分解し、結 晶シリコンやガラスなどの基板に、化学的にシリコンを付着させた後に、酸化膜またはシ リコンナイトライド膜を堆積する。次いで、フォトリソグラフィを使用してパターンを形 成した後に、前記パターンをマスクにして前記酸化膜または前記シリコンナイトライド膜 をドライエッチングすると、開口が得られる。次いで、前記と同様にエッチングすること で、瓢箪状穴を形成できる。p型半導体3に括れ形成部9および括れの下方側に形成して なる抉れ部10を得た後は、n型半導体5を作る。n型半導体5はリン元素をn型不純物 として熱拡散により混ぜて作る。前記p型不純物、n型不純物濃度を微調整するときは、 フォトリソグラフィを使用してパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクにして ホウ素イオンやリンイオンを使用してイオン注入を行う。前記イオン注入後に、p+拡散 層4やn+拡散層6が得られる。その後に加熱アニールにより、結晶性を整えてpn接合 ができる。p+拡散層4を作るためのリンイオン注入の実施順は、加熱アニールの前であ れば良い。次に、光が当たるn型半導体5に、蒸着等を利用してITO等の透明電極層7 をつける。次に、蒸着等を利用して全面にアルミニウムやAg等をつける。次いで、フォ トリソグラフィを使用してパターンを形成し、次いで、ドライエッチング等で取り出し電 極8を形成する。裏面については残していた酸化膜2に、フォトリソグラフィを使用して パターンを形成し、裏面からの電極取り出しのパターンを形成する。次いで、スクリーン 印刷や蒸着を使用して、裏面電極層1を形成する。前記裏面電極層1については、一般的 にアルミニウムやAg等の使用が知られている。
前記方法により形成した前記括れ形成部9、および括れの下方側に形成してなる抉れ部10を前記光電変換領域に設けることで、太陽光の入射方向から観察すると、本光電変換装置は、より黒体様に見えることになる。
本願発明によって、一次太陽光入射単位面積当たりの実効光電変換表面積をより大きく設けてなり、光路長をより大きく設けてなり、一次太陽光入射方向側に返す光をより少なくする形体にすることができる。
1・・・裏面電極層
2・・・酸化膜
3・・・p型半導体
4・・・p+拡散層
5・・・n型半導体
6・・・n+拡散層
7・・・透明電極層
8・・・取り出し電極
9・・・括れ形成部
10・・・括れの下方側に形成してなる抉れ部
11・・・光入射基準方向
12・・・光電変換領域が1次入射光の進行方向に沿って形を成す曲線における前記曲線上の任意の点
13・・・光電変換領域が1次入射光の進行方向に沿って形を成す曲線における前記曲線上の点12から少し離れた下方側の前記曲線上に位置する点
14・・・括れを定義するための点12における接線
15・・・括れを定義するための点13における接線