JP2012148961A - シリカガラスルツボの製造方法 - Google Patents

シリカガラスルツボの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】内表面の状態(ルツボ内表面特性)などが適切に制御されたシリカガラスルツボを製造する。
【解決手段】回転するモールド10内で、シリカ粉末からなるシリカ粉層11を複数本の炭素電極13によるアーク放電で加熱熔融し、シリカガラスルツボを製造する方法であって、上記シリカ粉層11の複数箇所について、加熱熔融時における最適熔融温度を予め求めておく予備工程と、上記複数箇所の加熱熔融時の実温度を測定する温度測定工程と、上記最適熔融温度になるように、上記複数箇所の上記実温度を制御する温度制御工程とを有するシリカガラスルツボの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコン単結晶の引き上げに好適に使用されるシリカガラスルツボの製造方法に関する。
シリコン単結晶の製造には、シリカガラスルツボ(以下、単にルツボという場合もある。)を用いたチョクラルスキー法(CZ法)が採用されている。CZ法では、シリカガラスルツボ内にシリコン多結晶原料を熔融したシリコン融液が貯留される。そして、シリコン単結晶の種結晶をシリコン融液に浸漬して徐々に引き上げることで、種結晶を核としてシリコン単結晶を成長させている。
このようなCZ法に用いられるシリカガラスルツボは、シリカ粉を回転モールド内に供給してシリカ粉層を形成し、このシリカ粉層を炭素電極のアーク放電により加熱熔融する、いわゆる回転モールド法により製造されている。回転モールド法において、アーク熔融された部分は、2000℃を超えるほどの高温となる。
また、こうして製造されるシリカガラスルツボは、多数の気泡を含む外層と透明な内層とからなる二層構造とされている。ここで、内層の表面(単結晶の引上げ時にシリコン融液と接している内表面の特性は、引き上げられるシリコン単結晶の特性が左右し、最終的なシリコンウェーハの収率にも影響を及ぼすことが知られている。
具体的には、例えば、シリカガラスルツボを用いて単結晶を引き上げる際に、シリコン融液の液面に波が発生し、種結晶の適確な浸漬による種付けが困難となることがあった。この場合、シリコン単結晶の引上げができなくなったり、あるいは、単結晶化が阻害されたりするという問題があった。この現象は、湯面振動と呼ばれ、最近のシリコン単結晶の大口径化に伴って、さらに発生し易くなってきている。また、このような湯面振動現象は、シリカガラスルツボの内表面の状態と関係していることが知られている。このような事情を背景として、例えば、特許文献1に記載されているような対応をすることが知られている。
また、φ300mm以上、φ450mm程度のウェーハに対応して、シリコン単結晶の大口径化が要求されるに伴い、単結晶の引上げ作業が長時間化し、1400℃以上のシリコン融液にルツボ内表面が長時間接触するようになってきている。そのために、次のような問題が顕在化している。
すなわち、引き上げ作業が長時間化すると、ルツボ内表面がシリコン融液と接触する時間も長時間化する。その結果、ルツボ内表面がシリコン融液と反応して、ルツボ内表面の表面位置あるいは表面から浅い層に結晶化が起こり、褐色のクリストバライトがリング状に現れることがある。以下、このリング状物をブラウンリングという。このブラウンリング内は、クリストバライト層が無いか、有ったとしても大変薄い層であるが、操業時間の経過とともにブラウンリングはその面積を拡大し、互いに融合しながら成長を続け、遂にはその中心部が浸食され、不規則なガラス溶出面となる。
このようなガラス溶出面から微少ガラス片が脱落すると、シリコン単結晶に転位が起こり易くなり、単結晶引き上げの歩留まり(収率)に支障をきたすことになる。特に、φ300mm以上の大口径のウェーハを製造するためのシリコン単結晶を成長させるには、CZ法の操業を100時間を超えて行う必要があり、上記ガラス溶出面の出現が顕著となる。
このようなブラウンリングは、ガラス表面の微細な傷、原料粉の溶け残りである結晶質残留部分、ガラス構造の欠陥などを核として発生すると考えられている。そのため、ブラウンリングの数を減らすためには、ルツボの内表面の状態を良好に保ったり、結晶質残留成分を無くすために、ルツボ製造工程において原料粉末を熔融する時間を高温、長時間化したり、特許文献2、3に示されているように、内表面を形成する原料粉として非晶質である合成粉を使用したりすることが考えられる。
特開2002−154894号公報 特許第2811290号公報 特許第2933404号公報
しかしながら、品質の良好なシリコン単結晶を生産性よく安定に製造できるような、内表面の状態などが適切に制御されたシリカガラスルツボを製造する技術は、従来確立されていなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、内表面の状態(ルツボ内表面特性)などのルツボ特性が適切に制御されたシリカガラスルツボの製造方法の提供を課題とする。
本発明者らは、内表面の状態などが適切に制御されたシリカガラスルツボを得る方法について鋭意検討した結果、このようなルツボは、シリカ粉層の複数箇所について、アーク放電により加熱熔融している際の最適熔融温度を予め求めておき、これら複数箇所の実温度(実測温度)がそれぞれ最適熔融温度になるように、これらの実温度を制御しながら、シリカ粉層を加熱熔融することによって製造可能であることを見いだした。
本発明のシリカガラスルツボの製造方法は、回転するモールド内でシリカ粉層を複数本の炭素電極によるアーク放電で加熱熔融し、シリカガラスルツボを製造する方法であって、
上記シリカ粉層の高さ位置が異なる複数箇所について、加熱熔融時における最適熔融温度を予め求めておく予備工程と、
上記複数箇所の加熱熔融時の実温度を測定する温度測定工程と、
上記最適熔融温度になるように、上記複数箇所の上記実温度を制御する温度制御工程とを有する。
上記最適熔融温度および上記実温度は、上記複数箇所の内表面の温度であることが好適である。
上記最適熔融温度を経時的に求めておき、上記実温度を経時的に制御することが好適である。
上記複数箇所のうちの少なくとも1つは、シリカガラスルツボのコーナー部に相当する箇所であることが好適である。
本発明によれば、熔融状態にあるシリカ粉層について、その複数箇所の各実温度をリアルタイムでそれぞれの最適熔融温度に制御でき、そのため、シリカ粉層の熔融状態を適切に制御することができる。その結果、たとえば内表面の状態などのルツボ特性が適切に制御されたシリカガラスルツボを製造することができる。
本発明では、シリカ粉層はモールドの回転軸を中心として回転しながら加熱熔融する。「複数箇所」とは、実際には、高さ位置が異なる同心円状の「複数の円周部」に相当する。
後述するように、最適熔融温度を求める際や、加熱熔融時の実温度を測定する場合には、温度測定部として、被測定物からの放射エネルギーを検出して温度を測定する放射温度計が好適に使用される。放射温度計を固定して、回転しているシリカ粉層の複数箇所の温度を測定した場合には、自ずと、スポット的な一箇所ではなく、円周部について、温度が測定されることとなる。
また、最適溶融温度とは、品質の良好なシリコン単結晶を生産性よく安定に製造可能な良好なルツボ特性を備えたルツボを製造できた際の温度データから経験的に得られた温度、または、シミュレーションなどの計算的手法により求められる好適な温度などである。
また、ルツボ特性とは、例えばルツボ内表面におけるガラス化状態、ルツボの厚さ方向における気泡分布及び気泡の大きさ、OH基の含有量、不純物分布、表面の凹凸、これらのルツボ高さ方向における分布状態などであって、この石英ガラスルツボで引き上げたシリコン単結晶の特性に影響を与える要因である。
シリカガラスルツボはシリコン融液と接触する唯一の部材としてシリコン単結晶の歩留まりや品質を決定する重要な部材である。ルツボ厚さ方向における気泡分布及び気泡の大きさによって、シリコン単結晶引き上げ時に気泡が破裂してシリコン融液中にガラス片が混入し、シリコン単結晶インゴットに付着したときに多結晶化する可能性がある。シリカガラスルツボは、OH基の含有量によっては、結晶化してクリストバライトを発生させやすくなり、シリカガラスルツボから剥離したクリストバライトがシリコン単結晶端に付着してシリコン単結晶を多結晶化させる可能性がある。また、シリカが低粘度化して変形する可能性もある。不純物が存在すると、この不純物が、結晶引き上げの過程でシリカガラスルツボ内表面における斑点状のクリストバライトの形成を促進してしまう。このように形成されたクリストバライトは、ルツボから離脱してシリコン融液内に落ち込み、引き上げられる単結晶の単結晶化率を低下させる。
特に、23インチ(58.4cm)〜40インチ(116cm)の大口径ルツボにおいては、熔融時に内表面温度にムラが発生し、その結果、ルツボの内表面の状態に面内分布が生じることがあった。本発明によれば、複数箇所の実温度がそれぞれ最適熔融温度になるように制御できるため、このような温度ムラの発生を防止し、周方向に均一な内表面特性を有するシリカガラスルツボを製造することが可能となる。
本発明において、上記最適熔融温度および上記実温度が上記複数箇所の特に内表面の温度であると、製造されるシリコン単結晶の特性に大きな影響を与えるルツボの内表面の状態を特に好適に制御できる。
本発明において、上記予備工程では、上記最適熔融温度を経時的に求めておき、上記温度制御工程では、上記実温度を経時的に制御することにより、より確実に、内表面の状態などのルツボ特性が適切に制御されたシリカガラスルツボを製造することができる。重要な時点において最適熔融温度を求め、その時点において温度制御を行ってもよい。この場合でも、本発明の効果は得られる。
本発明において、上記複数箇所のうちの1つが、シリカガラスルツボのコーナー部に相当する箇所であると、シリカガラスルツボの製造において、より精密に、シリカ粉層の熔融状態を制御することができる。
ルツボは、底部と壁部とコーナー部との3つのゾーンに区分され、コーナー部とは、例えば円筒状である壁部と、一定曲率半径を有する底部との間に位置し、これらをなめらかに接続する部分を意味する。言い換えれば、ルツボ内表面に沿って底部の中心から開口部上端に向かって、底部において設定された曲率半径が変化し始めた部分から壁部における曲率半径(円筒状の場合は無限大)になる部分までが、コーナー部である。
本発明者らは、シリカ粉層の底部の中心から、シリカ粉層の開口部上端に至る径方向において、図3に示すように、位置B、位置B−R、位置R、位置R−W、位置W1、位置W2の6箇所の内表面について温度測定を行った。
ここで位置Bは成形体の底部の中心(回転軸上)である。位置B−Rは、底部とコーナー部との境界と、位置Bとの中間付近である。位置Rは、コーナー部のうち、底部との境界付近の位置である。位置R−Wは、コーナー部のうち、壁部との境界付近の位置である。位置W1は、コーナー部と壁部との境界と、開口部上端との中間付近である。位置W2は、開口部上端付近である。
なお、位置Xと位置Yの中間付近とは、位置Xと位置Yの中間位置から、距離X−Yに対する比が±5%となる長さの範囲を意味する。その結果、測定された温度がばらつき、標準偏差が大きかったのは、図4に示すように、位置R−Wおよび位置Rであった。
この結果から、コーナー部について、最適熔融温度を求めておき、この部分がその最適熔融温度になるように実温度を制御することによって、より精密にシリカ粉層の熔融状態を制御することが可能となる。
コーナー部、特にコーナー部のうち壁部との境界付近では、加熱熔融時に、壁部からは重力で熔融ガラスがたれやすく、底部からはモールドの回転による遠心力で熔融ガラスが寄ってきやすいため、厚み寸法が設定値よりも大きくなる傾向がある。そのため、コーナー部、特に壁部との境界付近の位置について、最適熔融温度を予め求めておき、その部分の実温度が最適熔融温度になるように制御することにより、ルツボの厚さを制御することが可能となる。
本発明は、複数箇所、すなわち、2箇所以上について、最適熔融温度を求め、実温度を制御するものである。対象とする箇所の数が増えるほど、精度は向上するが、手間、コストが増加する。従って、対象とする箇所の数は、精度と、手間、コストの兼ね合いにより決定する。
シリカガラスルツボ製造装置の一実施形態を示す模式正面図である。 図1のシリカガラスルツボ製造装置が具備する炭素電極を示す模式平面図(a)、模式側面図(b)である。 シリカ粉層の温度測定位置を示す模式図である。 シリカ粉層の温度測定位置による温度のばらつきを示すグラフであり、標準偏差を示すグラフ(a)、測定された温度を示すグラフ(b)である。 コーナー部に相当する箇所についての最適熔融温度の経時変化を示すグラフである。 ガラスの分光透過率と波長との関係を示すグラフである。 シリカガラスルツボ製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。 シリカガラスルツボ製造装置の他の一実施形態を示す模式正面図である。 本発明に係るシリカガラスルツボ製造方法の一実施形態における炭素電極の高さ位置の変化を示すグラフである。
以下、本発明に係るシリカガラスルツボの製造方法について、製造に好適に使用されるシリカガラスルツボ製造装置の一実施形態を図示し、詳細に説明する。
図1は、シリカガラスルツボ製造装置1の一実施形態を示す模式正面図である。
このシリカガラスルツボ製造装置1は、300kVA〜12,000kVAの出力範囲で、複数の炭素電極13によるアーク放電によって、非導電性対象物であるシリカ粉末からなるシリカ粉層11を加熱熔融する高出力の装置である。
このシリカガラスルツボ製造装置1は、図1に示すように、モールド10を有する。モールド10は、図示しない回転部によって回転可能とされ、カーボンからなる略椀状の内面形状を有するものとされ、この椀型の内面形状がルツボ外形と類似するものとされて、製造するシリカガラスルツボの外形を規定するものである。このモールド10内に、原料粉末としてシリカ粉末を所定厚さに吹き付けて堆積することによりシリカ粉末が供給されることにより、シリカ粉末からなるシリカ粉層11が形成される。
また、このモールド10には、その内表面に開口するとともに図示しない減圧部に接続された減圧通路12が内部に複数設けられ、シリカ粉層11内が減圧可能とされている。モールド10よりも上側の位置には、アーク放電部として、図示しない電力供給部に接続された炭素電極13が設けられ、この炭素電極13のアーク放電によりアーク火炎が発生し、シリカ粉末のシリカ粉層11が加熱熔融するようになっている。
炭素電極13は、例えば、交流3相(R相、S相、T相)のアーク放電を行うよう同形状の電極棒とされ、図1や図2に示すように、下方に頂点を有するような逆三角錐状となるように、それぞれの軸線13Lが角度θ1(例えば120°)をなすようにそれぞれが設けられている。電極の本数、配置状態、供給電力方式は上記の構成に限ることはなく、他の構成も採用することが可能である。
また、炭素電極13は、電極位置設定部20により、図中矢印Tで示すように上下動可能とされ、電極先端部13aの高さ位置(シリカ粉層11上端位置(モールド開口上端位置)からの高さ位置)Hの設定が可能とされている。同時に、炭素電極13は、電極位置設定部20により電極開度可変とされ、図中矢印Dで示すように電極間距離Dなどを設定可能とされているとともに、この電極位置設定部20により、モールド10との高さ以外の相対位置も設定可能となっている。
具体的には、電極位置設定部20は、図1に示すように、炭素電極13を、その電極間距離Dを設定可能として支持する支持部21と、この支持部21を水平方向に移動可能とする水平移動部と、複数の支持部21(すなわち、各炭素電極それぞれの支持部)およびその水平移動部を一体として上下方向に移動可能とする上下移動部とを有するものとされている。
支持部21においては、炭素電極13が角度設定軸22周りに回動可能に支持され、角度設定軸22の回転角度を制御する電極回転部を有している。
炭素電極13の電極間距離Dを調節するには、図1に矢印T3で示すように、電極回転部により炭素電極13の角度を制御するとともに、矢印T2で示すように、水平移動部により支持部21の水平位置を制御する。また、上下移動部によって支持部21の高さ位置を制御して、高さ位置Hを制御することが可能となる。
なお、図には左端の炭素電極13のみに支持部21等を示しているが、他の電極も同様の構成によって支持されており、個々の炭素電極13の高さも個別に制御可能とすることができる。
また、炭素電極13は、粒子径0.3mm以下、好ましくは0.1mm以下、さらに好ましくは0.05mm以下の高純度炭素粒子によって形成されて、その密度が1.30g/cm〜1.80g/cm、好適には1.30g/cm〜1.70g/cmのとき、電極各相に配置した炭素電極相互の密度差が0.2g/cm以下とされることができ、高い均質性を有している。
シリカガラスルツボ製造装置1は、モールド10で加熱熔融しているシリカ粉層11の内表面の複数箇所について、その実温度を測定する温度測定部(放射温度計Cam1,Cam2)を具備している。また、シリカガラスルツボ製造装置1は、温度測定部で測定された各箇所の実温度が、予め入力されている各箇所の最適熔融温度になるように実温度を制御する温度制御部を備えている。
本実施形態で温度測定部として具備している放射温度計Cam1,Cam2は、測定対象からの放射エネルギーを検出して温度を測定するものである。
放射温度計Cam1,Cam2は、図1に示すように、アーク放電を行う炉内と炉外とを分離する隔壁SSの外側に配置されている。そして、放射温度計Cam1,Cam2は、隔壁SSに設けられた窓部を覆うフィルタF1を通して、測定対象からの放射エネルギーを集光する光学系と、この光学系で集光した光のスペクトルを得る分光部と、前記スペクトルから測定対象についての光を検出する検出素子とを有し、この検出素子のアナログ出力又は設定部の設定信号等の必要な他の信号が入力されて所定の演算を行い温度を測定するための制御部に接続されている。
すなわち、放射温度計Cam1,Cam2はそれぞれ、シリカ粉層11の内表面からの放射エネルギー光をレンズ等の光学系を介して集光し、分光部によって前記光のスペクトルを得て、前記スペクトルから所定波長の光を検出素子で検出する。
検出素子のアナログ出力信号は、同期検出器で波長毎に分離され増幅器で増幅され、多チャンネル低分解能の小ビットのAD変換器を介して制御部(CPU)に入力されて所定の演算処理がなされ、所望の温度信号を得ることができる。この温度信号は、LCD表示器等の表示部に出力可能であるとともに、シリカガラスルツボ製造装置1の温度制御部に出力される。そして、温度制御部は、この情報から、予め入力されている最適熔融温度に実温度が沿うように、製造条件をリアルタイムで制御する。
この例では、放射温度計Cam1は、シリカ粉層11において、シリカガラスルツボのコーナー部に相当する箇所(位置R−W)の内表面の温度を測定し、放射温度計Cam2は、壁部に相当する箇所(位置W1)の内表面を測定するように設置されている。
温度制御部は、シリカ粉層11の加熱熔融状態を変化させることによって、各箇所の実温度を制御する手段であり、電極位置設定部20に接続されている。この例の温度制御部は、炭素電極13に供給する電力、炭素電極13の位置状態、モールド10と炭素電極13との相対位置状態、モールド10の位置状態のいずれか少なくとも1つを変動させることにより、シリカ粉層11の加熱熔融状態を変化させ、各箇所の実温度を制御するものである。
ここで、炭素電極13の位置状態とは、これら複数の電極が互いになす角度である電極開度や電極先端部13aの水平方向離間状態あるいは電極先端部13aの高さ方向離間状態、および、複数の炭素電極13で形成されるアーク火炎の噴出方向として規定される電極中心方向の向きなどを意味する。
モールド10と炭素電極13との相対位置状態とは、モールド10の回転軸方向と炭素電極13の中心方向との相対位置関係、および、モールド10とアーク発生位置と見なせる電極先端部13aとの相対高さ位置関係(高さ)、モールド10とアーク発生位置と見なせる電極先端部13aとの相対水平方向位置関係(偏心等)を含むものとされる。
また、モールド10の位置状態とは、モールド10の回転軸の方向などを含むものとされる。
以下、このシリカガラスルツボ製造装置1を用いたシリカガラスルツボの製造方法について説明する。
まず、モールド10内のシリカ粉層11の内表面の複数箇所について、それぞれの最適熔融温度を予め求めておく予備工程を行う。
ここで最適熔融温度とは、経験的に、または、シミュレーションなどの計算的手法により求められるものである。例えば、多数のルツボに対して、ルツボを製造する際の加熱熔融時に、シリカ粉層11の内表面の複数箇所が経時的にどのような温度挙動を示すか、放射温度計Cam1,Cam2により温度データを取得する。一方、こうして製造された多数のルツボをそれぞれ用いて、CZ法によりシリコン単結晶1400℃以上の高温で引き上げる。そして、CZ法により品質の良好なシリコン単結晶を生産性よく安定に製造できたルツボについての上記温度データから、シリカ粉層11の加熱熔融時における経時的な最適熔融温度を経験的に、または、計算的手法により決定する。
各箇所の内表面の温度について最適熔融温度を前もって求めておき、後の温度制御工程でこの内表面の温度を制御するようにすると、製造されるシリコン単結晶の特性に大きな影響を与えるルツボの内表面の状態を特に好適に制御できる。
また、複数箇所の少なくとも一つがコーナー部があれば、シリカガラスルツボの製造において、より精密に、シリカ粉層11の熔融状態を制御することができる。例えば、複数個所の一つがコーナー部にあり、もう一つが壁部にある。
コーナー部は、図3および図4を示して先に説明したように、壁部と底部との間に位置する部分であり、シリカ粉層11の加熱熔融時における温度変動が大きい箇所であることが本発明者の検討により明らかとなっている。そのため、コーナー部を対象として最適熔融温度を予め求め、これに沿うようにその部分を温度制御することによって、一層、ルツボの内表面などの状態の精密な制御を行うことが可能となる。
また、コーナー部、特にコーナー部のうち壁部との境界付近は、アーク熔融工程において、壁部から重力で熔融部分が垂れ下がってきやすい部分であるとともに、底部からはモールド10の遠心力で熔融部分が寄ってきやすい部分である。そのため、コーナー部は、厚み寸法が設定値よりも大きくなりやすい部分である。したがって、コーナー部の最適熔融温度に沿うように温度制御することによって、特にルツボの厚み寸法も制御することも可能となる。
図5は、本実施形態のシリカガラスルツボの製造方法において、位置R−Wに相当する箇所の内表面について、時刻t0で電力供給を開始し(図7のS31)、時刻t3で電力供給を停止(図7のS33)した際における経時的な最適熔融温度を示すグラフである。
このグラフは、合計10個のルツボ(口径:914mm、36インチ)を製造した際に、位置R−Wに相当する箇所における加熱溶融時の経時的な温度データをそれぞれ取得し、これらの温度データと、得られた各ルツボを用いて実際にCZ法でシリコン単結晶を引き上げた際の歩留まりや、最終的なシリコンウェーハの収率などとの関係から、計算的手法により得られたものである。
なお、放射温度計Cam1,Cam2は、測定温度範囲が400〜2800℃であり、また、波長4.8〜5.2μmの放射エネルギーを検出して温度を測定するものであることが好適である。測定温度範囲が400〜2800℃であると、シリカ粉層11の加熱熔融時の温度が網羅される。上記の範囲より低い温度範囲の場合には、その温度がルツボ特性に与える影響は少ないため、温度を測定し、最適熔融温度を求める意味があまりない。一方、上記の範囲よりも高い範囲を測定範囲として設定してもよいが、現実的には、そのような温度でルツボ製造を行うことは無いと考えられる。
また、波長4.8〜5.2μmの放射エネルギーを検出して温度を測定するものであると、より正確な温度を測定することができる。図6は、分光透過率と波長との関係を示すグラフであって、このグラフにも示されているように、アーク放電中の炭素電極13から発生していると思われるCOの吸収帯は波長4.2〜4.6μmである。よって、COの吸収による温度測定への影響を排除するためには、この波長範囲を避ける必要がある。また、測定対象であるシリカガラスの表面温度を測定するためには、このシリカガラスの透過率が0となる必要があり、波長が4.8μm以上となる必要があることがわかる。また、シリカガラスルツボ製造の雰囲気となる大気中に含まれるHOの吸収帯は、波長5.2〜7.8μmであるため、これを避ける必要がある。
これらの点から、4.8〜5.2μmの放射エネルギーを検出して温度を測定することが好適である。
また、フィルタF1は、BaFまたはCaFからなることが好適である。のようなフィルタFは、ルツボ内表面から放射される波長範囲の光に対する透過率が高い。従って、温度測定に用いられる光の強度が低減されない。
また、BaFまたはCaFの透過率は、8.0μm〜14μmの波長範囲で低下するため、このような波長を測定波長としては用いないことにより、より正確に温度を測定することができる。
なお、温度測定時には、放射温度計と測定点とを結ぶ観測線が、炭素電極から100mm以上離間した状態とすることが好ましい。これにより、炭素電極付近で発生するアーク火炎からの影響と、電極輻射の影響とを低減して温度測定の正確性を向上することができる。ここで上記の範囲よりも電極に近づくと、温度測定の正確性が低減するため好ましくなく、また、炭素電極13からルツボ半径を超えて離間していると、ルツボ口径に対して設定距離が大きくなり所定の測定点の温度が測定できなくなる、または、測定点からの放射量が低減して放射温度計の出力が不足し正確な温度測定が行えなくなる傾向にある。
以上のようにして予備工程を行ったのち、実際に、回転モールド法により、ルツボを製造する。図7に製造工程のフローチャートを示す。
具体的には、まず、シリカ粉供給工程S1では、モールド10の内表面にシリカ粉を堆積することにより、シリカ粉層11を形成する。このような石英粉体からなるシリカ粉層11は、モールド10の回転による遠心力により、モールド10の内壁面に保持される。
ついで、電極初期位置設定工程S2においては、図1,図2に示すように、電極位置設定部20により、炭素電極13が下方に頂点を有するような逆三角錐状を維持し、かつ、それぞれの軸線13Lが角度θ1を維持しつつ、先端13aで互いに接触するように電極初期位置を設定する。同時に、高さ位置Hや、炭素電極13で形成される逆三角錐の中心軸とされる電極位置中心軸とモールド10の回転軸線との位置および角度からなるモールド−電極相対位置状態の初期状態を設定する。
ついで、アーク熔融工程S3では、炭素電極13の位置設定を行って、保持されたシリカ粉層11をアーク放電部で加熱熔融しつつ、減圧通路12を通じて減圧することにより、シリカガラス層を形成する。アーク熔融工程S3は、電力供給開始工程S31、電極位置調整工程S32、電力供給終了工程S33を有する。
電力供給開始工程S31においては、図示しない電力供給部から、上述したように設定される電力量として炭素電極13に電力供給を開始する。この状態では、アーク放電は発生しない。
電極位置調整工程S32においては、電極位置設定部20により、炭素電極13が下方に頂点を有するような逆三角錐状を維持するか、その角度を変更して、電極間距離Dを拡大する。これに伴って、炭素電極13間で放電が発生し始める。この際、各炭素電極13における電力密度が40kVA/cm〜1,700kVA/cmとなるように電力供給部により供給電力を制御する。さらに、電極位置設定部20により、角度θ1を維持した状態で、シリカ粉層11の熔融に必要な熱源としての条件を満たすように、電極の高さ位置Hなど、モールド10と炭素電極13との相対位置状態を設定する。このようにしてシリカ粉層11を加熱熔融する。
電力供給終了工程S33においては、シリカ粉層11の熔融が所定の状態になった後に、電力供給部による電力供給を停止する。
このアーク熔融によって、シリカ粉層11を加熱熔融し、シリカガラスルツボを製造することができる。
なお、アーク熔融工程S3においては、モールド10の回転状態を図示しない制御部により制御する。
そして、本実施形態では、このようなアーク熔融工程S3において、コーナー部に相当する箇所の内表面と、壁部に相当する箇所の内表面について、放射温度計Cam1,Cam2により加熱熔融時の各実温度を経時的に測定する温度測定工程と、予備工程で求められた各最適熔融温度になるように、これらの箇所の内表面の各実温度を経時的に制御する温度制御工程とを行う。
具体的には、最適熔融温度と実温度とのデータに基づいて、温度制御部が、炭素電極13に供給する電力、炭素電極13の位置状態、モールド10と炭素電極13との相対位置状態、モールド10の位置状態のいずれか少なくとも1つを変動させることにより、各箇所の実温度がいずれも最適熔融温度となるように調整しつつ、シリカ粉層11を加熱熔融する。
これにより、熔融状態にあるシリカ粉層11について、それぞれの箇所の内表面をリアルタイムでそれぞれの最適熔融温度に制御でき、シリカ粉層11の熔融状態を適切に制御しながら、加熱熔融することができる。その結果、ルツボ特性が適切に制御されたシリカガラスルツボを製造することができる。
ついで、冷却工程S4において、電力供給を停止した後のシリカガラスルツボを冷却する。その後に、取り出し工程S5において、シリカガラスルツボをモールド10から取り出す。その後、仕上げ工程S6として、高圧水を外周面噴射するホーニング処理、ルツボ高さ寸法を所定の状態にするリムカット処理、ルツボ内表面をフッ酸等により洗浄する洗浄処理を行う。
なお、本実施形態においては、放射温度計Cam1,Cam2をアーク炉の隔壁SSの外側に位置したが、図8に示すように、隔壁SSの内側に設けた遮蔽体SS1内部に収納することも可能である(放射温度計Cam2の図示は略している。)。この場合、遮蔽体SS1には、フィルタF1が設けられる。
以上説明したように、このようなシリカガラスルツボの製造方法によれば、熔融状態にあるシリカ粉層11について、その複数箇所の各実温度をリアルタイムでそれぞれの最適熔融温度に制御でき、そのため、シリカ粉層11の熔融状態を適切に制御することができる。その結果、たとえば内表面の状態などのルツボ特性が適切に制御されたシリカガラスルツボを製造することができる。
その際、特にシリカ粉層の内表面について、最適熔融温度を求め、実温度を測定し、制御すると、製造されるシリコン単結晶の特性に大きな影響を与えるルツボの内表面の状態を特に好適に制御できる。
また、予備工程では、最適熔融温度を経時的に求めておき、温度制御工程では、実温度を経時的に制御することにより、より確実に、内表面の状態などのルツボ特性が適切に制御されたシリカガラスルツボを製造することができる。
さらに、上述の複数箇所のうちの少なくとも1つが、シリカガラスルツボのコーナー部に相当する箇所であると、シリカガラスルツボの製造において、より精密に、シリカ粉層の熔融状態を制御することができる。
なお、シリカ粉には、内面層に対応して主として合成シリカ粉を使用し、外面層に対応して天然シリカ粉を使用することもできる。ここで、合成シリカ粉とは合成シリカからなるものを意味している。合成シリカは、化学的に合成・製造した原料であり、合成シリカ粉は非晶質である。合成シリカの原料は気体または液体であるため、容易に精製することが可能であり、合成シリカ粉は天然シリカ粉よりも高純度とすることができる。合成シリカの原料としては、四塩化ケイ素などの気体の原料由来とケイ素アルコキシドのような液体の原料由来がある。合成シリカ粉では、すべての金属不純物を0.1ppm以下とすることが可能である。
合成シリカ粉のうち、ゾル−ゲル法によるものではアルコキシドの加水分解により生成したシラノールが通常50〜100ppm残留する。四塩化ケイ素を原料とする合成シリカでは、シラノールを0〜1000ppmの広い範囲で制御可能であるが、通常塩素が100ppm程度以上含まれている。アルコキシドを原料とした場合には、塩素を含有しない合成シリカを容易に得ることができる。
ゾル−ゲル法による合成シリカ粉は、上述のように、熔融前には50〜100ppm程度のシラノールを含有している。これを真空熔融すると、シラノールの脱離が起こり、得られるシリカガラスのシラノールは5〜30ppm程度にまで減少する。なお、シラノール量は熔融温度、昇温温度等の熔融条件によって異なる。同じ条件で天然シリカガラスのシラノール量は5ppm未満である。
一般に合成シリカガラスは、天然シリカガラスよりも高温における粘度が低いと言われている。この原因の一つとしてシラノールやハロゲンがSiO四面体の網目構造を切断していることが挙げられる。
合成シリカガラスでは、光透過率を測定すると、波長200nm程度までの紫外線を良く透過し、紫外線光学用途に用いられている四塩化ケイ素を原料とした合成シリカガラスに近い特性であると考えられる。
合成シリカガラスでは、波長245nmの紫外線で励起して得られる蛍光スペクトルを測定すると、天然シリカガラスのような蛍光ピークは見られない。
天然シリカ粉とは天然シリカからなる粉を意味しており、天然シリカとは、自然界に存在する石英原石を掘り出し、破砕・精製などの工程を経て得られる原料であり、天然シリカ粉はα−石英の結晶からなる。天然シリカ粉ではAl、Tiが1ppm以上含まれている。またその他に金属不純物についても合成シリカ粉よりも高いレベルにある。天然シリカ粉はシラノールをほとんど含まない。天然シリカガラスのシラノール量は<50ppmである。
天然シリカガラスでは、光透過率を測定すると、主に不純物として約1ppm含まれるTiのために波長250nm以下になると急激に透過率が低下し、波長200nmではほとんど透過しない。また245nm付近に酸素欠乏欠陥に起因する吸収ピークが見られる。
また、天然シリカガラスでは、波長245nmの紫外線で励起して得られる蛍光スペクトルを測定すると、280nmと390nmに蛍光ピークが観測される。これらの蛍光ピークは、ガラス中の酸素欠乏欠陥に起因するものである。
含有する不純物濃度を測定するか、シラノール量の違い、あるいは、光透過率を測定するか、波長245nmの紫外線で励起して得られる蛍光スペクトルを測定することにより、ガラス材料が天然シリカであったか合成シリカであったかを判別することができる。
本発明においては、原料粉末としてシリカ粉末を使用しているが、シリカ粉は、合成シリカ粉であっても天然シリカ粉であってもよい。天然シリカ粉は、石英粉であってもよく、水晶、珪砂等のシリカガラスルツボの原材料として周知の材料の粉であってもよい。また、シリカ粉は、結晶状態、アモルファス、ガラス状態の何れであってもよい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。また、上記実施形態に記載の構成を組み合わせて採用することもできる。
本発明の実施例として、口径610mm(24インチ)のルツボを10個製造し実験例Aとした。この際、図1に示す電極位置設定部20により、電極先端部13aの高さ位置Hを図9に示すように基準位置を経時変化させて設定した。時刻t0からt1までは高さ位置H1、時刻t2からt3までは高さ位置H2とするとともに、それぞれの高さ位置が、H1>H2となるように設定した。
同時に、図3に示す位置R−Wにおいてアーク熔融中の温度を測定し、位置R−Wに対して図5で示されるように予め設定した最適熔融温度(設定温度)に対し、測定温度が、±15℃とされる許容範囲となるように、高さ位置Hのび調整、および、供給電力の微調整をおこなった。同様にして、位置Rにおいても、測定温度による微調整をおこなった。
さらに、上記と同様の条件で、かつ、高さ位置設定のみで温度測定及び微調整をおこなわない状態でルツボを10個製造し、実験例Bとした。
このように製造したシリカガラスルツボにおいて、位置Rに対応するコーナー部において、その厚み寸法を測定した。
その結果、実験例Aにおいては、位置Rに対応するコーナー部厚み寸法が、規定値である12mm±0.5mmから外れたものはなかったのに対し、実験例Bにおいては、12.6mmが1個、12.8mmが1個、13mmが1個と、3個のルツボで規格よりも大きな値を有するものができた。
この結果から、温度制御の不均一性に起因すると思われる厚みのバラツキは、実験例Aのように、複数個所で温度測定・微調整をおこなうことで抑制できることが分かる。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
1...シリカガラスルツボ製造装置、
10...モールド
11...シリカ粉層
12...減圧通路
13...炭素電極
13a...電極先端部
13L...軸線
20...電極位置設定部
21...支持部
22...角度設定軸
Cam1,Cam2...放射温度計
SS...隔壁
F1...フィルタ
SS1...遮蔽体

Claims (4)

  1. 回転するモールド内で、シリカ粉層を複数本の炭素電極によるアーク放電で加熱熔融し、シリカガラスルツボを製造する方法であって、
    前記シリカ粉層の高さ位置が異なる複数箇所について、加熱熔融時における最適熔融温度を予め求めておく予備工程と、
    前記複数箇所の加熱熔融時の実温度を測定する温度測定工程と、
    前記最適熔融温度になるように、前記複数箇所の前記実温度を制御する温度制御工程とを有することを特徴とするシリカガラスルツボの製造方法。
  2. 前記最適熔融温度および前記実温度は、前記複数箇所の内表面の温度であることを特徴とする請求項1に記載のシリカガラスルツボの製造方法。
  3. 前記最適熔融温度を経時的に求めておき、前記実温度を経時的に制御することを特徴とする請求項1または2に記載のシリカガラスルツボの製造方法。
  4. 前記複数箇所のうちの少なくとも1つは、シリカガラスルツボのコーナー部に相当する箇所であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシリカガラスルツボの製造方法。
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