JP2012145461A - 車両方向特定装置及び車両方向特定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の車両が存在する環境下でも、車両の存在する方向を特定することができる車両方向特定装置を提供する。
【解決手段】複数の車両音検知マイク101及び102と、検知された周囲音に基づいて、複数の所定の時間区分のそれぞれ及び複数の所定の周波数帯域のそれぞれの組み合わせである分析区間毎に周囲音の音圧を分析する周波数分析部103と、第1の周波数帯における周波数軸上のピークの数をもとに車両の台数を特定する台数特定部105と、第2の周波数帯における周囲音について、分析区間毎に、周囲音の音源方向を特定する音源方向特定部104と、特定された音源方向の、分析区間における分布及び台数特定部105で特定された台数をもとに、台数の車両について、車両が存在する方向を特定する車両方向特定部106を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両音によって車両の存在を特定する車両特定装置等に関する。特に、複数台の車両が存在する場合、車両音が混合してしまう状況下においても、台数を特定し、車両の方向を特定する車両方向特定装置等に関する。
従来技術として、車両音の複数のマイクへの到達時間差から車両の存在する方向を特定する手法がある(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
実開平5−92767号公報
「ドライバ支援のための走行音による接近車両検知システム」(日本音響学会誌62巻3号(2006)、pp.265−274)
しかしながら、従来技術の構成では、複数の車両が近接して存在する場合、それら複数の車両からの車両音が混合してしまい、台数を精度よく特定することが困難である(非特許文献1、pp.271)。つまり、複数の車両が存在する状況下では、混合した車両音の方向が検出されてしまい、ドライバに混乱を生じさせうる。また、特に車両が複数存在する状況において、もし、一方の車両のみ検知し、他方の車両が検知できなかった場合、一方の車両が通過し、ドライバは安心して交差点へ侵入するために、検知できなかった他方の車両との衝突の危険性が生じる場合がある。よって、複数の車両を検知する必要が生じる。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、複数の車両が近接する場合において、それら複数の車両の車両音が混合してしまう状況下でも、一台の車両として誤って車両の存在する方向を特定してしまうという不具合を回避することができる車両方向特定装置等を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のある局面に係る車両方向特定装置は、車両音を用いて車両が存在する方向を特定する車両方向特定装置であって、前記車両音を含む周囲音を検知する複数の車両音検知マイクと、前記複数の車両音検知マイクで検知された周囲音に基づいて、複数の所定の時間区分のそれぞれ及び複数の所定の周波数帯域のそれぞれの組み合わせである分析区間毎に前記周囲音の音圧を分析する周波数分析部と、前記周波数分析部による分析に基づいて、第1の周波数帯における周波数軸上のピークであって、予め定められた音圧より大きい音圧のピークを特定し、特定したピークの数をもとに前記車両の台数を特定する台数特定部と、前記周波数分析部による分析に基づいて、前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯における周囲音について、前記複数の車両音検知マイクに前記周囲音が到達する時間の差又は前記複数の車両音検知マイクでの音圧の比を算出することにより、前記分析区間毎に、前記周囲音の音源方向を特定する音源方向特定部と、前記音源方向特定部で特定された音源方向の、前記分析区間における頻度分布及び前記台数特定部で特定された前記台数をもとに、前記台数の車両について、前記車両が存在する方向を特定する車両方向特定部とを備える。
この構成によると、単に車両の方向を特定するのではなく、車両の台数を特定し、特定した車両の台数について、車両が存在する方向が特定される。よって、複数の車両が近接する場合において、それら複数の車両の車両音が混合してしまう状況下でも、一台の車両として誤って車両の存在する方向を特定してしまうという不具合が回避される。つまり、所定の周波数帯の車両音をもとに車両台数を特定し、台数をもとに車両方向を精度よく特定することが可能となる。
好ましくは、前記車両方向特定部は、前記分析区間毎に得られた前記周囲音の方向について、予め分割された方向の区分ごとの頻度を算出することにより、前記音源方向の頻度分布を算出し、算出した前記頻度分布の代表値に対応する方向が、前記台数の車両が存在する方向として特定する構成としている。具体的には、前記車両方向特定部は、前記音源方向特定部で算出された前記頻度分布の代表値が1つである場合には、当該代表値に対応する方向が、前記台数の車両が存在する方向を合成した方向とみなして、前記台数の車両について、前記車両が存在する方向を特定する構成としてもよい。これにより、音源方向の頻度分布に基づいて車両の方向が特定されるので、高い精度で複数の台数の車両についての方向が特定される。
ここで、前記車両方向特定部は、前記代表値に対応する方向を、前記台数特定部で特定された車両の台数の数にベクトル的に分離することで、前記台数の各車両の方向を特定してもよい。つまり、前記車両方向特定部は、前記台数特定部で特定された車両の台数が一台の場合は、前記代表値に対応する方向を当該車両が存在する方向として特定し、前記台数特定部で特定された車両の台数が複数台の場合は、前記代表値に対応する方向を用いて当該複数台の車両が存在する方向を特定してもよい。これにより、複数の台数の車両が特定された場合であっても、複数の台数の車両のそれぞれについて、車両が存在し得る方向が特定され、より安全運転が支援される。
また、さらに、前記周波数分析部による分析に基づいて、前記第1の周波数帯における周波数軸上のピークのそれぞれについて、位相の時間経過に伴う変化を示す位相曲線を算出する位相曲線算出部を備え、前記台数特定部は、前記位相曲線算出部で算出された位相曲線の形状をもとに前記位相曲線算出部で算出された位相曲線をグループ化し、得られたグループの数を、前記車両の台数として、特定してもよい。具体的には、前記位相曲線算出部は、前記位相曲線として、近似計算によって二次曲線を算出し、前記台数特定部は、前記位相曲線算出部で算出された前記二次曲線の二次の係数の類似性を用いて、前記位相曲線算出部で算出された位相曲線をグループ化してもよい。これにより、周波数スペクトルのピークだけではなく、そのピークの位相曲線の形状の類似性を用いて車両の台数が特定されるので、一台の車両から生じる周波数スペクトルのピークが複数であっても、車両の加減速の状態における類似性も判断された上で車両の台数が特定され、複数の車両が接近している状況等の複雑な状況においても、より正確に車両の台数が特定される。
ここで、さらに、前記周波数分析部による分析によって得られた位相と、前記位相曲線算出部で算出された位相曲線上の位相との誤差を算出し、算出した誤差をもとに、前記周波数分析部による分析によって得られた領域から、車両音に対応する領域を抽出する車両音抽出部を備え、前記台数特定部は、前記車両音抽出部で抽出された車両音の領域における前記位相曲線を用いて、前記車両の台数を特定するのが好ましい。これにより、車両の走行状態(定速、加減速)に近い位相の変化を示す周波数スペクトルの領域、つまり、風などの雑音を除く車両音の領域だけを用いて車両の台数が特定され、より正確に車両の台数が特定される。
また、前記第1の周波数帯は、前記第2の周波数帯よりも低い周波数帯であって、前記車両のエンジン音の周波数を含む構成としたり、前記第2の周波数帯は、前記車両のタイヤ走行音の周波数を含む構成としたりするのが好ましい。これにより、車両のエンジン音を含む低い周波数帯で車両の台数を特定することで、スペクトログラムにおける車両のエンジン音に特有の筋(ピーク)に着目した車両の台数特定が行われ、高精度に車両が特定される。また、車両のタイヤ走行音を含む高い周波数帯で音源方向を特定することで、スペクトログラムにおける車両の走行音に特有のパワーの広がり応じた、頻度分布を用いた音源方向の特定が行われ、高精度に車両の存在する方向が特定される。
また、さらに、前記車両方向特定部で特定された方向を通知する通知部を備えるもよい。これにより、当該車両方向特定装置のユーザに対して他車両が存在する方向が通知され、車両搭載型の車両方向特定装置が実現される。
なお、本発明は、このような特徴的な処理部を備える車両方向特定装置として実現することができるだけでなく、車両方向特定装置に含まれる特徴的な処理部をステップとする車両方向特定方法として実現したり、車両方向特定方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータ(CPU、マイクロプロセッサ等)に実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)等の非一時的な記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは言うまでもない。
本発明によると、特に、複数の車両が近接する場合において、車両音が混合してしまう状況下でも、車両の存在する方向を特定することができる車両方向特定装置等が提供される。よって、複数の車両が同じ方向に存在する場合や左右に存在する場合でも、それぞれの検知方向が運転者に通知することができ、安全運転が支援される。
本発明の実施の形態1における車両方向特定装置の構成を示すブロック図である。 車両音を説明するための図である。 音源の方向の特定方法を説明するための図である。 音源の方向の特定方法を説明するための図である。 所定の分析区間での音源方向を説明するための図である。 車両の台数の特定方法を説明する図である。 車両の存在する方向を通知する一例を説明するための図である。 車両の存在する方向を通知する一例を説明するための図である。 本実施の形態1の車両方向特定装置の動作を示すフローチャートである。 図9におけるステップS104の詳細を示すフローチャートである。 図9におけるステップS105の詳細を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2における車両方向特定装置の構成を示すブロック図である。 車両音を説明する図である。 本発明における位相を説明する図である。 本発明における位相を説明する図である。 本発明における位相を説明する図である。 車両音を説明する図である。 車両音と位相の関係を説明する図である。 車両音と位相の関係を説明する図である。 車両音と音圧を説明する図である。 位相曲線の算出方法を説明する図である。 位相曲線の算出方法を説明する図である。 位相曲線の算出方法を説明する図である。 車両の台数の特定方法を説明する図である。 本実施の形態2における車両方向特定装置の動作を示すフローチャートである。 図25におけるステップS402の詳細を示すフローチャートである。 図25におけるステップS402の別の詳細を示すフローチャートである。 所定の時間幅内における位相曲線の形状を用いて車両台数の特定を行う方法を説明する図である。 本実施の形態2の変形例における車両方向特定装置の構成を示すブロック図である。 車両音と雑音を説明する図である。 車両音と雑音の位相曲線を説明する図である。 車両音の抽出方法を説明する図である。 抽出された車両音の例を示す図である。
以下、本発明に係る車両方向特定装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係る車両方向特定装置について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における車両方向特定装置108の構成を示すブロック図である。
図1において、車両方向特定装置108は、自車両の周辺に存在する複数の他車両の車両音をもとに他車両が存在する方向を特定し、通知する装置であって、車両音検知マイク101及び102と、周波数分析部103と、音源方向特定部104、台数特定部105と、車両方向特定部106と、通知部107とを含む。なお、図1において、矢印線の横の記載は、その矢印線で伝達される主なデータを示す。また、通知部107は、車両方向特定装置108の必須の構成要素ではないが、備えられることが好ましいので(オプション的な構成要素なので)、点線枠で示されている。以下、他のブロック図についても同様である。
車両音検知マイク101及び102は、車両音を含む周囲音を検知するマイクロホン、つまり、他車両のエンジン音、モーター音、走行音等、他車両から発せられる車両音を含む周囲音を検知するマイクロホンであり、音情報(例えば、図1に示されるようなWAV形式の音声データ)を出力する。車両音検知マイク101及び102として自車両に搭載されたマイクロホンを用いる場合、風切り音などの雑音も同時に検知されるため、車両音検知マイク101及び102は、車両音と雑音の混合音を検知する。車両音検知マイク101及び102は、自車両に搭載される場合には、それぞれが、自車両の前方の左側及び右側に離して設けられるのが好ましい。車両音検知マイク101及び102を用いて、地面に水平で、かつ、様々な方向から到来してくる周囲音の到達時間の差、あるいは、音圧の差によって、車両音の音源の方向を特定し易くするためである。
周波数分析部103は車両音検知マイク101及び102で検知された周囲音を周波数分析する処理部である。例えば周囲音に対してフーリエ変換処理を施し、その周囲音の周波数信号、振幅と位相などを求める。なお、周波数分析部103が行うフーリエ変換処理は、高速フーリエ変換、離散コサイン変換、又はウェーブレット変換などの別の周波数変換方法による周波数変換でも良い。より詳しくは、この周波数分析部103は、車両音検知マイク101及び102で検知された周囲音に基づいて、複数の所定の時間区分のそれぞれ及び複数の所定の周波数帯域のそれぞれの組み合わせである分析区間毎に、周囲音の音圧を分析する。その詳細については後述する。
図2は、車両音検知マイク101及び102で検知された車両のエンジン音を周波数分析部103で周波数分析した結果を示すスペクトログラムである。縦軸は周波数、横軸は時間を表している。このスペクトログラムにおける濃淡は周波数信号のパワー(つまり、音圧)の大きさを示しており、濃い部分はパワーが大きい部分を示す。図2(a)は、800Hzから1200Hzの周波数帯のスペクトログラムを示す図である。車両の走行に伴い、発せられる音の代表的なものとしては、エンジン音、及び、車両のタイヤと路面との摩擦による走行音(タイヤ走行音)がある。それらの音のうち、図2(a)は、タイヤ走行音のスペクトログラムを示している。つまり、800Hzから1200Hz(この周波数帯域を「高い周波数帯」とも呼ぶ)の周波数帯域では、特にタイヤ走行音がよく検出される。図2(a)では、パワーの強い部分が一面に(広い範囲にわたって)検出されていることが分かる。
図2(b)は、20Hzから100Hz(この周波数帯域を「低い周波数帯」とも呼ぶ)の周波数帯のスペクトログラムを示す図である。この周波数帯域で検出される音は、主に、エンジン音である。車両音のうち、このエンジン音は、エンジンやマフラーが周期的に振動することにより発せられる音である。したがって、図2(b)において濃い筋が見られるように、この周波数帯でのスペクトログラムは、正弦波等と同様に、一定の周波数成分を有していることがわかる。
本実施の形態では、これらの高い周波数帯と、低い周波数帯をそれぞれ用い、車両を検知する。具体的には、高い周波数帯で車両の方向を特定し、低い周波数帯で車両の台数を特定する。高い周波数帯で車両の方向を特定するのは、図2(a)に示されるように、高い周波数帯では、スペクトログラムにおいて、パワーの強い領域が広く分布しているために、後述するように、頻度分布を用いた車両方向の特定を高精度で行うことができるからである。一方、低い周波数帯で車両の台数を特定するのは、図2(b)に示されるように、低い周波数帯では、スペクトログラムにおいて、エンジン音に基づく筋(ピーク)が現れるために、後述するように、ピークの個数に対応した車両台数の特定を高精度で行うことができるからである。なお、「低い周波数帯」は本発明に係る「第1の周波数帯」の一例であり、「高い周波数帯」は本発明に係る「第2の周波数帯」の一例である。
音源方向特定部104は、周波数分析部103による分析における高い周波数帯での周囲音について、車両音検知マイク101及び102に周囲音が到達する時間の差又は車両音検知マイク101及び102での音圧の比を算出することにより、分析区間毎に、周囲音の音源方向を特定する処理部である。
図3は、音源方向特定部104による、他車両の存在する方向の特定方法を説明するための図である。ここでは、車両音検知マイク101及び102に周囲音が到達する時間の差を用いて他車両の存在する方向を特定する方法を説明している。図3に示すように、自車両のバンパーの左右に車両音検知マイク101及び102が設置されている。当該車両音検知マイク101及び102に車両音が到達したとき、自車両の進行方向に対する他車両の存在する方向によって音の到達する時間に差が生じる。車両音検知マイク101及び102の間隔をd(m)とする。他車両が自車両の進行方向に対して方向θ(ラジアン)から検出されるとする。車両音検知マイク101及び102間での到達時間差をΔt(s)とし、音速をc(m/s)とすると、方向θ(ラジアン)は以下の式で表すことができる。
しかしながら、車両音で車両の存在する方向を特定しようとした場合、必ずしも精度よく方向が特定できるとは限らず、方向に所定の誤差を有するのが一般的である。さらに、2台車両が近接して走行している場合、2台各々から発せられた車両音なのか、1台の音が誤差で広範囲に検出されているのか、判断が困難となる。
図4は、複数台の車両が存在する場合を説明する図である。自車両に対し、前方右側に2台の他車両が接近しているのが分かる。この場合、各々の車両音が自車両に到達することとなるが、実際には車両音の到達方向には誤差を有するため、1台の車両音なのか、2台の車両音なのか判断が困難となる。
図5(a)は、音源方向特定部104により他車両の存在する方向を特定した結果を説明するための図である。具体的には、図5(a)は、図4に示すように、右側に車両が2台存在し、2台が通過していくまでの所定時間の分析結果、つまり、進行方向に向かって右側に存在する2台の車両が正面に走行してくるまでの時間におけるスペクトログラムである。図5(a)において、縦軸は周波数、横軸は時間を表している。例えば分析区間は、周波数を5Hz間隔、時間を100ms間隔で区分して得られる区間等としている。各分析区間において、音源方向特定部104により、他車両が存在する方向が算出されている。例えば、音源方向特定部104は、音圧が所定の閾値以上の場合、タイヤ走行音と判断することとし、車両音の方向を特定する。図5(a)では、音源の方向が特定された部分を黒い塗りつぶしで示している。
例えば、分析区間1071では、音源方向として、自車両に対して右60度(右をプラス、左をマイナスとする)と算出されている。分析区間1072では、音源方向として、自車両に対して右65度と算出されている。このように黒く塗りつぶされた各分析区間それぞれに音源方向が算出されていることとなる。そして、車両方向特定部106は、所定時間幅(例えば400ms)ごとに、分析区間における音源方向の分布、つまり、音源方向の頻度分布を算出する。図5(b)は0秒から400msの間の音源方向の頻度分布を示す図である。横軸は音源の方向、縦軸は頻度を表している。ここで、頻度とは、該当する音源方向の区間に属する方向として算出された分析区間の個数である。横軸の刻みは、例えば、5度である。
例えば、図5(b)の場合、右35度から右85度まで、頻度が分散している。この図5(b)は、実際は、図4に示すように2台の車両が右側に存在する状況に対応する頻度分布であり、例えば、約右45度と、約右75度の方向に2台の車両が位置する場合の頻度分布である。
ところで、音の到達時間差で音源方向を特定する場合、必ずしも正確な音源方向が算出されるとは限らず、このように音源方向に幅をもった分布形状となってしまう。また、1台であっても幅をもった分布となるし、2台が近接する場合は重複するため、このように分布からでは1台なのか2台なのか判断できない。
図5(c)は、図5(b)の頻度分布が得られた時から時間が経過したとき、つまり、400msから800msの間の音源方向の頻度分布を示す図である。この時間では、例えば、2台の車両は、走行が進んで自車両に接近し、それぞれ、約右15度と、右45度に位置する。しかし、この時間では、図5(c)に示されるように、頻度分布は、正面0度から右65度までの幅の頻度を有する分布となり、自車両に接近してきた車両が1台なのか2台なのか判断できないこととなる。
図5(d)は、図5(c)の頻度分布が得られた時からさらに時間が経過したとき、つまり、800msから1200msの間の音源方向の頻度分布を示す図である。この時間では、例えば、2台の車両は、走行が進んで、1台は自車両の正面を向かって右から左に通過した結果、約左15度に位置し、もう1台は右15度に位置する。しかし、この時間では、図5(d)に示されるように、頻度分布は、左30度から右30度までの幅に頻度を有する分布となる。
なお、図5(b)から図5(c)そして図5(d)への推移をみると、自車両の進行方向に向かって右から左へ音源が移動したことが分かるが、他車両が1台なのか、2台なのか判断するのは困難である。
ここで、他車両が1台だけ存在すると仮定し、例えば、頻度分布の中央に1台の他車両がいると判断するとする。すると、ユーザは、1台の車両が接近してくると誤解し、その1台の車両が自車両の正面を通過後、安心して交差点へ侵入し、後から来る別の車両との関係で危険性が生じる。また、仮に他車両が2台存在すると仮定し、実際は1台のみであった場合、当該1台の車両が自車両の正面を通過しても、ユーザはもう1台来ると誤解してしまい、スムーズな運転を妨げてしまう。そこで、本実施の形態における車両方向特定装置108は、低い周波数帯を用い、車両の台数を特定し、精度よく車両の存在する方向を特定する。そのために、本実施の形態における車両方向特定装置108は、特徴的な構成要素として、台数特定部105を備える。
その台数特定部105は、周波数分析部103による分析に基づいて、低い周波数帯における周波数軸上のピークであって、予め定められた音圧より大きい音圧のピークを特定し、特定したピークの数をもとに他車両の台数を特定する処理部である。つまり、台数特定部105は、周波数分析部103で分析された周波数のうち、20Hzから100Hz等の低い周波数帯を用いて車両の台数を特定する。
図6は、台数特定部105による車両の台数の特定方法を説明する図である。図6(a)は車両が1台の場合に周波数分析部103で得られるスペクトログラムである。横軸は時間、縦軸は周波数を表している。20Hzから100Hz等の低い周波数帯では、前述の通りエンジン音が検出される。エンジン音は、正弦波のような一定の音色の波形を有し、特定の周波数にパワーを有する。図6(a)において一筋の黒い部分が見られる。この部分がエンジン音であり、所定のパワーを有している。図6(d)は、図6(a)のスペクトログラムにおける、ある時間の周波数スペクトルである。横軸は周波数、縦軸は音圧(dB)を表している。ここでは、50Hzにピークを有していることが分かる。
一方、図6(b)、図6(c)は車両が2台の場合に周波数分析部103で得られるスペクトログラムである。横軸は時間、縦軸は周波数を表している。エンジン音が一筋の線として見られるのが分かる。しかし、図6(b)、図6(c)では、車両が2台であるので、2本の筋が見えることが分かる。エンジン音は車両によって異なり、またエンジンの回転数も異なることが多いため、車両が2台等、複数存在する場合、台数分の音色として検出される。ここでは黒い筋として見られている。図6(e)、図6(f)は、それぞれ、図6(b)、図6(c)のスペクトログラムにおける、ある時間の周波数スペクトルである。横軸は周波数、縦軸は音圧(dB)を表している。図6(e)では45Hzと70Hzにピークを有していることが分かる。図6(f)では40Hzと75Hzにピークを有していることが分かる。
そこで、本実施の形態では、台数特定部105は、所定の閾値(本実施の形態では、例えば、−48dBとする)以上の音圧をもつピークの数を車両の台数として特定する。台数特定部105は、図6(d)のように所定の閾値以上の音圧をもつピーク数が1つの場合には、車両が1台存在すると特定し、図6(e)や図6(f)のように所定の閾値以上の音圧をもつピーク数が2つの場合には、車両が2台存在すると特定する。
車両方向特定部106は、音源方向特定部104で特定された各分析区分の方向の分布と、前記台数特定部105で特定された台数をもとに、台数特定部105で特定された台数の車両について、車両の存在する方向を特定する処理部である。ここで、「台数特定部105で特定された台数の車両について、車両の存在する方向を特定する」とは、台数特定部105で特定された台数の車両のそれぞれについて車両が存在する方向を特定することだけでなく、台数特定部105で特定された台数の車両が存在する方向を合成した一つの方向を特定することも含まれる。
本実施の形態では、車両方向特定部106は、分析区間毎に得られた周囲音の方向について、予め分割された方向の区分ごとの頻度(当該区分に属する方向として特定された分析区間の数)を算出することにより、音源方向の頻度分布を算出し、算出した頻度分布の代表値に対応する方向が、台数特定部105で特定された台数の車両が存在する方向として特定する。つまり、車両方向特定部106は、音源方向特定部104で算出された頻度分布の代表値が1つである場合には、当該代表値に対応する方向が、台数特定部105で特定された台数の車両が存在する方向を合成した方向とみなして、台数特定部105で特定された台数の車両について、車両が存在する方向を特定する。より詳しくは、車両方向特定部106は、頻度分布の代表値に対応する方向を、台数特定部105で特定された車両の台数の数にベクトル的に分離することで、その台数の各車両の方向を特定する。以下、具体例を用いて、車両方向特定部106の処理を説明する。
図7(a)、(b)、(c)は、前述の図5(b)から(d)に示す各時間における方向の頻度分布を示す図である。横軸は音源の方向、縦軸は頻度を表している。
本実施の形態では、台数特定部105において1台の車両が存在すると特定された場合は、車両方向特定部106は、音源方向の頻度分布の代表値に対応する方向(例えば、頻度分布の平均値)をその1台の車両が存在する方向と特定する。一方、台数特定部105において2台の車両が存在すると特定された場合、車両方向特定部106は、例えば、頻度分布の代表値に対応する方向(例えば、頻度分布の平均値)に、予め定められた角度である+15度と、−15度を加えて得られる2つの方向をその2台の車両の方向と特定する。例えば、いま、台数特定部105によって、図6(e)に示すように、低い周波数帯において、閾値以上の2つのピークが検出され、台数特定部105によって2台の他車両が存在すると特定されているものとする。
このような状況において、図7(a)の頻度分布が得られた場合、車両方向特定部106は、頻度分布の代表値に対応する方向(例えば、頻度分布の平均値)として、右60度と算出する。そこで、車両方向特定部106は、この代表値に対応する方向である右60度をベクトル的に2つの方向に分離するために、右60度に、+15度と、−15度のそれぞれを加えて得られる右75度と、右45度を、2台の各車両の方向と特定する。
時間が経過し、図7(b)の頻度分布が得られた場合、車両方向特定部106は、頻度分布の代表値に対応する方向(例えば、頻度分布の平均値)として、右45度と算出する。そこで、車両方向特定部106は、同様にして、この代表値に対応する方向である右45度に+15度と、−15度のそれぞれを加えて得られる右60度と、右30度を、2台の各車両の方向と特定する。
なお、車両音で車両の存在する方向を特定しようとした場合、必ずしも精度よく方向が特定できるとは限らず、方向に所定の誤差を有するのが一般的である。例えば、車両が右60度の方向に1台存在する場合であっても、実環境下では必ずしも60度の方向のみから音が到達するとは限らず、前後に分散するのが一般的である。そこで本実施の形態では、車両方向特定部106は、1台の他車両が存在する場合は、頻度分布における代表値に対応する方向を、その車両が存在する方向として特定している。なお、頻度分布の代表値としては、平均値に限らず、中央値、中心値やピーク値を用いることとしてもよいのは言うまでもない。
また、本実施の形態では、車両が2台存在する場合は、頻度分布の代表値に対応する方向を中心として、+15度の位置、及び−15度の位置のそれぞれに2台の車両が存在すると特定している(つまり、頻度分布の代表値に対応する方向をベクトル的に2つの方向に分離している)。一般的に車道では、車両が複数台存在する場合、その複数台が全く同じ位置に存在することはなく、2台が多少の車間距離を有しつつ走行する。そこで、この状況を考慮し、本実施の形態では、車両方向特定部106は、頻度分布の代表値を中心として+15度の位置、及び−15度の位置のそれぞれに車両が存在すると特定することとしている。なお、音源方向の頻度分布の代表値から2台の音源方向を算出する手法はこれに限ったものではない。角度ではなく、距離としてもよい。さらに車速を考慮し、2台の車両間を調整することとしてもよい。例えば、一般的に車速が速い場合、車間距離を十分広げることも多い。例えば、2台の車両の距離を、時速40km/hの場合は20m、60km/hの場合は30mと仮定し、両車両の位置を算出することとしてもよい。
さらに、ここでは2台の車両が存在する場合を説明したが、3台等、2台以上の複数台の車両が存在する場合も同様である。例えば、3台の車両が存在する場合、頻度分布の代表値と、その前後15度の合計3つの方向に、3台の車両が存在すると判断するなどが考えられる。あるいは、頻度分布における代表値と、前後20m等、距離を用いて3台の車両の位置を特定することとしてもよい。
さらに時間が経過し、図7(c)の頻度分布が得られた場合、車両方向特定部106は、頻度分布の代表値に対応する方向(例えば、頻度分布の平均値)として、正面0度と算出する。そこで、車両方向特定部106は、この代表値である正面0度に、予め定められた角度である+15度と、−15度を加えて得られる右15度と、左15度をその2台の各車両の方向と特定する。
通知部107は、車両方向特定部106で特定された車両の方向をユーザに通知する処理部である。ここでは、通知部107は、例えば、カーナビゲーションシステムの画面等、画像として車両の存在及びその方向を通知する表示制御部及び表示部等である。
図7(d)は、図7(a)に対応する状況での通知部107による通知の一例である。右75度と、右45度に車両が存在すると特定されているため、通知部107は、自車両に対し、交差点に向かって当該2つの方向に、斜線で示す円で他車両の存在を通知している。同様に、時間が経過し、図7(e)の場合、つまり、図7(b)に対応する状況では、通知部107により、右60度と、右30度に他車両が存在することが通知されている。さらに時間が経過し、図7(f)の場合、つまり、図7(c)に対応する状況では、通知部107により、交差点に向かって右15度と、左15度の両サイドに他車両の存在を示す円が示されており、通知されている。
図8は、台数特定部105において、車両が1台と特定された場合を説明する図である。例えば、いま、台数特定部105によって、図6(d)のように、閾値以上のピークが1つであり、1台の他車両が存在すると特定されたとする。
図8(a)、(b)、(c)は、このような状況下での、各時間における音源方向の頻度分布を示す図である。横軸は音源の方向、縦軸は頻度を表している。1台の車両が存在する場合であっても、音源の方向には誤差を有し、2台の車両が存在するときと区別がつかないほど分散してしまう。しかし、本実施の形態では、台数特定部105によって、低い周波数帯によって1台と特定されているため、車両方向特定部106は、例えば、頻度分布の代表値を車両の方向として特定する。
具体的には、図8(a)の頻度分布が得られた場合、車両方向特定部106は、頻度分布の代表値に対応する方向(例えば、頻度分布の平均値)として、右60度と算出する。そこで、車両方向特定部106は、この代表値である右60度を車両の方向と特定する。図8(b)の頻度分布が得られた場合、車両方向特定部106は、頻度分布の代表値に対応する方向(例えば、頻度分布の平均値)として、右45度と特定する。さらに時間が経過し、図8(c)の頻度分布が得られた場合、車両方向特定部106は、頻度分布の代表値に対応する方向(例えば、頻度分布の平均値)として、正面0度と特定する。
図8(d)は、図8(a)に対応する状況での通知部107による通知の一例である。ここでは、右60度に車両の存在を示す、斜線の楕円が描かれ、他車両の存在が通知されている。同様に、時間が経過し、図8(e)の場合、つまり、図8(b)に対応する状況では、通知部107により、右45度に他車両が通知されている。さらに時間が経過し、図8(f)の場合、正面と通知されている。
本実施の形態における車両方向特定装置108の動作フローを、図9、図10、図11を用いて説明する。なお、図9は、本実施の形態1の車両方向特定装置108の動作を示すフローチャートである。図10は、図9におけるステップS104の詳細を示すフローチャートである。図11は、図9におけるステップS105の詳細を示すフローチャートである。
まず、車両音検知マイク101及び102は、車両音を検知する(ステップS101)。周波数分析部103は、検知音の周波数分析を行う(ステップS102)。具体的には、分析区間毎に周囲音の音圧を分析するために、所定時間ごとに各周波数のパワーと位相を算出する。
そして、音源方向特定部104は、周波数分析部103における分析区間のうち、高い周波数帯を用いて、所定の周波数及び時間区間ごと、つまり、分析区間ごとに、位相差、つまり、車両音検知マイク101及び102への周囲音の到達時間の差をもとに、音源方向を特定する(ステップS103)。
次に、台数特定部105は、周波数分析部103における分析区間のうち、低い周波数帯を用いて、他車両の台数を特定する(ステップS104)。なお、本実施の形態では、ステップS103の後にステップS104を行っているが、ステップS103とステップS104とでは用いられる周波数帯が異なるので、ステップS102の後にステップS103とステップS104との並列処理を行うこととしてもよい。
図10は、車両の台数の特定(図9のステップS104)の詳細フローである。まず、台数特定部105は、第1の周波数帯に属する分析区間のそれぞれについて、以下の処理を行う(ステップS201)。つまり、本実施の形態では、台数特定部105は、20Hzから100Hzの低い周波数帯で車両の台数を特定する。そのために、台数特定部105は、まず、周波数分析部103で得られた低い周波数帯に属する一つの分析区間の周波数スペクトルに対してピークサーチを行う(ステップS202)。なお、ピークサーチは、例えば、20Hzから次の離散的な周波数(例えば25Hz)を参照し、それらの周波数における音圧(パワー)の差分を算出し、低い側の周波数から高い側の周波数へ向けて音圧が増加していたら次の処理を行ない、逆に減少していたらその周波数(低い側の周波数、つまり、20Hz)がピークとなる。
次に、台数特定部105は、当該ピークを有する周波数のパワーが所定の閾値以上か否かを判断する(ステップS203)。閾値以上の場合(ステップS203のYes)、台数をインクリメントする(ステップS204)という処理を、分析する周波数の区間の最大値(100Hz)まで(つまり、低い周波数帯に属する全ての分析区間について)、繰り返して実施する(ステップS205)。
次に、このようにして特定された車両の台数を用い、車両方向特定部106は、特定された台数の車両について、車両の方向を特定する(図9のステップS105)。
図11は車両方向特定(図9のステップS105)の詳細フローである。まず、車両方向特定部106は、音源方向特定部104で特定された分析区間ごとの音源方向について、音源方向ごとに、例えば、5度の音源方向の区間ごとに、頻度分布を算出する(ステップS301)。つまり、車両方向特定部106は、各音源方向の区間について、音源方向の区間に属する音源方向として算出された分析区間の個数を集計することにより、音源方向の頻度分布を算出する。
次に、車両方向特定部106は、得られた音源方向の頻度分布をもとに、音源方向の代表値を算出する(ステップS302)。そして、車両方向特定部106は、台数特定部105で特定された車両の台数に応じて、車両方向を算出する(ステップS303)。例えば、台数特定部105で特定された車両の台数が2台の場合、車両方向特定部106は、当該代表値に対応する方向を中心とする+15度及び−15度の方向を、その2台の車両の方向として特定する(ステップS304)。
一方、台数特定部105で特定された車両の台数が1台の場合、車両方向特定部106は、当該代表値に対応する方向を、その1台の車両の方向として特定する(ステップS305)。
最後に、通知部107は、車両方向特定部106で特定された車両の方向をユーザに通知する(図9のステップS106)。
以上のように、本実施の形態によれば、車両方向特定装置108は、単に他車両の方向を特定するのではなく、他車両の台数を特定し、特定した他車両の台数について、他車両が存在する方向を特定している。よって、複数の車両が近接する場合において、それら複数の車両の車両音が混合してしまう状況下でも、一台の車両として誤って車両の存在する方向を特定してしまうという不具合が回避される。
なお、本実施の形態では、車両音検知マイクは2つとして説明しているが、本発明における車両音検知マイクの個数は、これに限ったものではなく、3つ以上であってもよい。これにより、特定される音源方向の精度が向上する。また、本実施の形態では、高い周波数帯と低い周波数帯における周囲音を同じ車両音検知マイクで検出しているが、本発明は、これに限ったものではない。周波数帯によっては折り返し現象が生じるため、利用する周波数帯ごとに、異なる車両音検知マイクを用い、それらの車両音検知マイクの設置間隔を調整することとしてもよい。さらには、本実施の形態では、高い周波数帯で音源方向を検知しているので、低い周波数帯では、音源方向の検出精度は必要なく、車両の台数だけ算出できればよいため、車両音検知マイクの設置間隔として、高い周波数帯に適した間隔としてもよい。また、低い周波数帯では、車両の台数だけ算出できればよいため、一つの車両音検知マイクでもよいし、雑音対策として、高い周波数帯を検知する車両音検知マイクと異なる設置位置に設けるなどの手法を用いてもよい。
また、本実施の形態では、音源方向の特定方法として、複数の車両音検知マイクに周囲音が到達する時間の差が用いられたが、本発明は、このような音源方向の特定方法に限られず、複数の車両音検知マイクでの音圧の比(あるいは、音圧の差)を用いてもよい。例えば、車両の右側及び左側に車両音検知マイクを取り付けた場合には、音源の方向(つまり、位置)によって、音源からそれぞれの車両音検知マイクまでの伝播距離が異なり、音源から2つの車両音検知マイクのそれぞれに到達する音の減衰量が異なってくるので、それぞれの車両音検知マイクで検知された音圧の比(あるいは、音圧の差)から、音源方向を特定することができる。具体的な実現手法として、車両の右側及び左側に取り付けた車両音検知マイクにおける音圧の比(あるいは、音圧の差)と、音源方向との対応関係を予めキャリブレーションによって算出しておく。そして、実際に2つの車両音検知マイクで検知した音圧の比(あるいは、音圧の差)について、キャリブレーションで得られている関係と照合することで、音源方向を特定することができる。このような手法で音源方向を特定する場合であっても、上記実施の形態と同様に、高い周波数帯での周囲音を用いて音源方向を特定するのが好ましい。
本実施の形態に示す発明により、特に、複数の車両が近接する場合において、車両音が混合してしまう状況下でも、車両音を抽出して車両の存在する方向を特定することができる。また、複数の車両が同じ方向に存在する場合や左右に存在する場合でも、それぞれの検知方向を運転者に通知することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る車両方向特定装置について説明する。
前記実施の形態1では、低い周波数帯を用いて台数を特定し、高い周波数帯で音源の方向を特定し、特定した車両の台数と音源方向をもとに車両の存在する方向を特定した。本実施の形態では、さらに位相の時間経過に伴う変化を位相曲線として算出し、当該位相曲線をもとに、より精度よく台数を特定する手法について説明する。
図12は、本実施の形態2における車両方向特定装置208の構成を示すブロック図である。前記実施の形態1と同様の構成要素には同じ符号を付与し、説明を省略する。
前記実施の形態1の構成に加え、本実施の形態では、位相曲線算出部109が加わる。位相曲線算出部109は、周波数分析部103で分析された信号の位相情報をもとに、低い周波数帯における周波数軸上のピーク(筋)のそれぞれについて、位相の時間経過に伴う変化を示す位相曲線を算出する処理部である。
ところで、周囲に存在する車両が1台であっても、周波数分析部103で分析される音圧が、複数の周波数帯にピークを有する場合もある。
例えば、図13(a)は、周囲に存在する車両が1台の場合に周波数分析部103で得られるスペクトログラムの例を示している。横軸は時間、縦軸は周波数を表している。前述と同様に、ここでは、エンジン音が検出されている。しかし、車両が1台であっても、二筋の黒い部分が見られる。図13(c)は、図13(a)のスペクトログラムにおける、ある時間の周波数スペクトルである。横軸は周波数、縦軸はパワー(dB)を表している。ここでは、当該時刻では、50Hzと90Hzにピークを有していることが分かる。このように、1台の車両音の周波数スペクトルであっても、周波数スペクトルに現れるピークとしては、必ずしも一つのピークとは限らず、複数のピークが現れる場合がある。なお、本図では、周波数スペクトルは、2本のピークを有するが、3本や4本等、複数を有する場合もある。さらにそのピークが、楽器などのように倍音に位置する複数のピークとは限らず、車両ごとに任意の位置にパワーを有する場合が多い。したがって、このようなケースでは、単に周波数スペクトルにおけるピークの個数からは、周囲に存在する車両が1台なのか2台なのか等、車両の台数を正確に特定することは困難となる。
さらに、複数台の車両が存在する場合、周波数帯やパワーだけでは、複数台の車両が存在するか否かの区別がより困難となる。
例えば、図13(b)は、車両が2台存在する場合に周波数分析部103で得られるスペクトログラムの例を示している。横軸は時間、縦軸は周波数を表している。実際は1台の車両が一定の速度で走行し、その後方から別の1台の車両が加速し、その一定速度で走行している車両に接近している様子、つまり、2台の車両が接近している状況を示すスペクトログラムである。ここでは、4本の筋の黒い部分が見られる。図13(d)は、図13(b)のスペクトログラムにおける、ある時間の周波数スペクトルである。横軸は周波数、縦軸はパワー(dB)を表している。ここでは、当該時刻では、40Hz、65Hz、85Hz、125Hzにピークを有していることが分かる。このように、1台の車両が存在する場合であっても、周波数スペクトルは、ピークを4本有する場合もあり、そのために、単にピークの個数からは、車両が1台で存在するのか、それとも2台や4台等、複数台存在するのかの特定が困難となる。
特に車両が複数存在する状況において、複数台の車両が接近している状況下、もし、1台の車両が存在すると誤判定し、1台の車両のみをユーザに通知し、他方の車両の接近を通知できなかった場合、一方の車両が自車両の正面を通過し、ドライバは安心して交差点へ侵入してしまうので、検知できなかった他方の車両とその後、衝突してしまう可能性が多いにある。よって、複数台の車両を精度よく特定し、通知する必要が生じる。
さらに、実環境下では、風雑音等や反射や回折等によって車両音がかき消されることもある。加えて、車両検知においては瞬時に車両の存在を特定して通知する必要も生じる。
そこで、本実施の形態では、車両方向特定装置208は、周波数分析部103によって周波数分析された情報のうち、音圧(パワー)だけでなく、さらに位相の情報を用いて車両の台数を特定する。
ここで、図14を用いて本発明で用いる「位相」の定義を行う。図14(a)には、入力されたエンジン音の波形の例が模式的に示されている。横軸は時間を表しており、縦軸は振幅を表している。ここでは、エンジンの回転数が時刻(時間の経過)に対して一定であり、エンジン音の周波数が変化しない場合のエンジン音の波形の例が示されている。
また、図14(b)には、フーリエ変換を用いて周波数分析を行う場合の基底波形である所定の周波数fの正弦波(ここではエンジン音の周波数と同じ値を所定の周波数fとしている)が示されている。横軸と縦軸は図14(a)と同じである。この基底波形と、入力された音(つまり、混合音)との畳み込み演算を行うことで、周波数信号(より、特定的には、位相)を求める。この例では、基底波形を時間軸方向に移動させずに固定し、その基底波形と、入力されたエンジン音との畳み込み演算を行うことで、時刻ごとの周波数信号(位相)を求めている。
この処理で求めた結果を図14(c)に示す。横軸は時間を表しており、縦軸は位相を表している。この例では、エンジンの回転数が時刻に対して一定であり、入力したエンジン音の周波数が時刻に対して一定である。このため、所定の周波数fでの位相は一定である、言い換えると、「加速度的に増加又は加速度的に減少」はしていない。なお、この例では、回転数が一定であるエンジン音の周波数と同じ値を所定の周波数fとしたが、エンジン音の周波数よりも小さい値を所定の周波数fとした場合には、そのような周波数fの基底波形を用いた畳み込み演算によって得られる位相は一次関数的に増加する。また、エンジン音の周波数よりも大きい値を所定の周波数fとした場合には、そのような周波数fの基底波形を用いた畳み込み演算によって得られる位相は一次関数的に減少する。いずれの場合も(基底波形の周波数、つまり、所定の周波数fがエンジン音の周波数と同じ、より小さい、及び、より大きい場合も)、所定の周波数fでの位相は、一次関数で表現される変化を示し、加速度的に増加又は加速度的に減少はしていない。
なお、音声信号分野や高速フーリエ変換(FFT)などでは、基底波形を時間軸方向にずらしながら畳み込み演算を行うのが一般的である。この基底波形を時間軸方向にずらしながら畳み込み演算を行う場合は、後に位相を補正することで本発明で定義する位相へと変換することが可能である。以下、図を用いて説明する。そこで、本実施の形態では、基底波形を時間軸方向に移動させずに固定し、その基底波形と、入力されたエンジン音との畳み込み演算で得られる位相を、補正後位相とも呼ぶ。
図15は位相に対する補正方法を説明する図である。図15(a)には、入力されたエンジン音の波形の例が模式的に示されている。横軸は時間を表しており、縦軸は振幅を表している。
また、図15(b)には、フーリエ変換を用いて周波数分析を行う場合の基底波形である所定の周波数fの正弦波(ここではエンジン音の周波数と同じ値を所定の周波数fとしている)が示されている。横軸と縦軸は図15(a)と同じである。この基底波形と入力された音(つまり、混合音)との畳み込み演算を行うことで、周波数信号(より、特定的には、位相)を求める。この例では、基底波形を時間軸方向に移動させながら、その基底波形と、入力されたエンジン音との畳み込み演算を行うことで、時刻ごとの周波数信号(位相)を求めている。
この処理で求めた結果を図15(c)に示す。横軸は時間を表しており、縦軸は位相を表している。入力されたエンジン音の周波数は周波数fであるため、周波数fでの位相のパターンは、1/fの時刻の周期で規則的に繰り返される右肩上がりの傾斜となる。そこで、算出された位相ψ(t)に対して、規則的に繰り返される位相を補正することで、図15(d)に示すような、補正後の位相(ψ´(t)=mod2π(ψ(t)−2πft)(fは分析周波数))が得られる。つまり、基底波形を時間軸方向にずらしながら畳み込み演算を行うことによって位相を算出する場合であっても、位相補正を行うことにより、図14(c)に示す、本発明で定義される位相へと変換することが可能となる。
本実施の形態では、図14に示す位相、つまり、補正後の位相を用いる。また、説明の便宜のため、図15で算出した、基準波形を時間軸方向にずらしつつ算出する位相を補正前位相、補正をした後の位相を「補正後位相」と呼ぶ。そして、本実施の形態で用いる「位相」は「補正後位相」ということになる。
図16は、実際の車両から発せられたエンジン音のスペクトログラムである。車両1台が速度(エンジンの回転数)を変えながら走行した車両音のスペクトログラムである。横軸は時間、縦軸は周波数を表している。エンジン音が一筋の線として見られるのが分かる。なお、実際は車両1台であっても、図13に示すように、2本の筋になったり、3本になったり等、車両特有の音色を有することもあるが、ここでは説明の便宜のため、1筋の線となる区間を例として用いる。
図16の点線の円501、502及び503に示すように、エンジン音は、回転数が変化することで、スペクトログラムにおける筋(ピーク)の周波数が部分的に時刻に応じて変化していることが分かる。
ここで、スペクトログラムにおける筋(ピーク)の周波数の変化に着目すると、周波数がランダムに変化したり、離散的に飛んだりすることはほとんどなく、所定の時間間隔でみると、所定の増減を示していることが分かる。例えば、図16における区間Aでは、右肩下がりに筋(ピーク)の周波数が減少していることが分かる。この区間ではエンジンの回転数は減少しており車両は減速している。図16における区間Bでは、右肩上がりに筋(ピーク)の周波数が増加していることが分かる。この区間ではエンジンの回転数は増加しており車両は加速している。また、図16における区間Cでは、筋(ピーク)の周波数は、ほぼ一定の周波数で推移していることが分かる。この区間Cでは、エンジンの回転数は一定であり車両は定速走行している。
ここで、エンジンの回転数の増減とエンジン音の位相との関係について説明する。
図17(a)は、図16に示されるスペクトログラムの区間Cだけを示す図である。図17(b)は、図16の区間Cにおける、エンジンの回転数が一定のときのエンジン音の波形を模式的に示した図である。ここでは、エンジン音の周波数をfとする。図17(c)は基底波形を示す図である。ここでは基底波形の周波数をエンジン音の周波数fと同じ値にしている。図17(d)は、基底波形に対するエンジン音の位相を示す図である。エンジンの回転数が一定であるエンジン音は、図17(b)に示す正弦波のように、一定の周期を有する。このため、図17(d)に示すように、所定の周波数fでの位相は、時間変化に対して一定であり、つまり、加速度的に増加又は加速度的に減少はしない。
なお、対象とする音が一定の周波数であり、基底波形の周波数が対象とする音の周波数よりも低い場合、位相は徐々に遅れることとなる。しかし、減少量は一定となるため、位相の形状は線形的に減少することとなる。一方、対象とする音が一定の周波数であり、基底波形の周波数が対象とする音の周波数よりも高い場合、位相は徐々に早くなる。しかし、その増加量は一定となるため、位相の形状は線形的に増加することとなる。
図18(a)は、図16に示されるスペクトログラムの区間Bだけを示す図である。図18(b)は、図16の区間Bにおける、エンジンの回転数が増加して車両が加速するときのエンジン音の波形を模式的に示した図である。このときエンジン音の周波数は時間とともに増加する。図18(c)は基底波形を示す図である。例えば、基底波形の周波数はfとする。図18(d)は、基底波形に対するエンジン音の位相を示す図である。エンジン音は正弦波のように周期性を有しつつ、徐々に周期が高くなる波形を有することから(図18(b))、図18(d)に示すように、基底波形に対するエンジン音の位相は、時間変化に対して加速度的に増加する。
図19(a)は、図16に示されるスペクトログラムの区間Aだけを示す図である。図19(b)は、図16の区間Aにおける、エンジンの回転数が減少して車両が減速するときのエンジン音の波形を模式的に示した図である。このときエンジン音の周波数は時間とともに減少する。図19(c)は基底波形を示す図である。例えば、基底波形の周波数はfとする。図19(d)は、基底波形に対するエンジン音の位相を示す図である。エンジン音は正弦波のように周期性を有しつつ、徐々に周期が低くなる波形を有することから(図19(b))、図19(d)に示すように、基底波形に対するエンジン音の位相は、時間変化に対して加速度的に減少する。
したがって、図17(d)、図18(d)及び図19(d)に示すように、基底波形に対するエンジン音の位相を用いて、位相の時間変化に対する加速度的な増減を求めることで、エンジンの回転数の増減、すなわち車両の加減速を判定することができ、さらに、車両の加減速を利用することで、この差で(言い換えると、車両の加減速の同一性を利用することで)車両の台数を精度よく特定することが可能となる。
また、本実施の形態では、短時間で大きく変化する位相の性質を利用することで、スペクトルのパワーでは精度よく特定できない車両の台数を精度よく特定できる。
さらに、実環境下等、雑音などで瞬間的にしか検知できない車両音であっても、短時間のデータで瞬時に車両の台数を特定することが可能となる。よって、周囲に存在する車両の台数を精度よく短時間で運転者に知らせることができる。
図12の位相曲線算出部109は、音圧が所定の閾値以上の周波数信号の位相(ψ´(t)とする)を用いて、時間経過に伴い位相が変化する位相形状(つまり、位相曲線の形状)を算出する処理部である。例えば、位相曲線算出部109は、閾値処理を行い、つまり、閾値以上の音圧を有する所定の周波数帯及び所定の時間を、車両音が検出されている周波数帯及び時間であると考えて選択し、当該選択された周波数帯及び時間における車両音の位相曲線の形状を算出することとなる。また、本実施の形態では、位相曲線算出部109は、時間経過に伴う変化を示す位相曲線を、例えば、二次曲線として計算する。
以下では、閾値処理で選択された周波数帯域について説明を行う。また、ここでは、周波数帯域の中心周波数と基底波形の周波数とが一致する場合を例にして説明を行う。つまり、分析周波数(基底波形の周波数)fに対して位相(ここでは、補正後位相ψ´(t)(=mod2π(ψ(t)−2πft))における周波数fが増加するか否かを判定することになる。なお、本実施の形態において、周波数分析部103は、図14に示す、いわゆる基底波形を時間軸方向にずらさない周波数分析とし、得られる位相は補正後位相ψ´(t)(=mod2π(ψ(t)−2πft))を用いる。
図20は、周囲音(ここでは、エンジン音)に対する周波数分析におけるパワーと位相について説明する図である。図20(a)は図16と同様に、車両のエンジン音をDFT(Discrete Fourier Transform)分析したスペクトログラムである。
図20(b)は、DFT分析の概念を示す図である。例えばエンジンの回転数が増加して加速している区間である時刻t1から、所定の時間窓幅の所定の窓関数(ハニング窓)を用いて、複素空間上に周波数信号601を表したものである。周波数f1、f2、f3等、各周波数の振幅と位相が示されている。周波数信号601の長さが振幅の大きさ(パワー)を示し、周波数信号601と実軸とのなす角が位相を示している。そして、時間シフトを行いながら各時刻における周波数信号を求めることとなる。ここで、一般的にスペクトログラムは各時刻における各周波数のパワーを示すのみであり、位相については省略されている。図16や図20(a)に示すスペクトログラムも同様に、DFT分析したパワーの大きさのみを表示したものである。
周波数信号の位相ψ(t)及び大きさ(パワー)P(t)は、周波数信号の実部をx(t)と表し、周波数信号の虚部をy(t)と表すと、
及び
である。ここでの記号tは周波数信号の時刻を表している。
図20(c)には、図22(a)において、エンジンの回転数が増加して加速している区間(t1〜tn)である周波数(例えば周波数f4)のパワーの時間変動が示されている。横軸は時間軸である。縦軸は周波数信号の大きさ(パワー)を表している。図20(c)より、パワーの変動はランダムであり、増加や減少を観測することはできない。この図20(c)に示すように、一般的にスペクトログラムは位相情報を省略し、パワーのみで信号の変化を表す。このため、エンジン音の音圧の変化を観測するためには、十分に長い時間(数秒)の音信号を必要とする。さらに、風などの雑音を含む場合、音圧の変化はノイズに埋もれてしまうため、観測が困難となる。このため、パワーに関する情報のみから瞬時に車両の台数を特定し、運転者に短時間に知らせる必要がある安全運転支援などのアプリケーションに利用することが、従来困難であった。
図20(d)には、図20(a)において、エンジンの回転数が増加して加速している区間の所定の周波数間(f4から(f4+Δf)へと回転数が増加しているとする)での音のパワーの時間変動が示されている。横軸は時間軸である。縦軸は周波軸であり、斜線で塗りつぶした部分902を一定のパワーを有する区間として表している。図20(d)より、周波数の変動はランダムであり、エンジンの回転数の増加や減少を観測することはできないことが分かる。この図20(d)に示すように、一般的にスペクトログラムでは位相情報を省略し、パワーのみで信号の変化を表すため、エンジン音の周波数の変化を観測するためには、十分に長い時間(数秒)の音信号を必要とする。さらに、風などの雑音を含む場合、周波数変化はさらにノイズに埋もれてしまうため、観測が困難となる。
そこで、本実施の形態では、台数特定部105は、エンジン音の位相に着目し、その位相の時間変化(つまり、位相曲線の形状)をもとに、車両ごとにグループ化(つまり、位相曲線をグループ化)し、車両の台数を特定する。
上記エンジン音の回転数の増減と、位相の時間変化との関係を数式で表すと以下の関係式で表すことができる。
図16等に示すようにエンジン音の周波数の変化は、周波数がランダムに変化したり、離散的に飛んだりすることはほとんどなく、所定の時間間隔でみると、所定の増減を示していることが分かる。したがって、この増減を、例えば、下記の式4で示すような、
一次の区分線形で近似する。具体的には所定の時間区間で見た場合、時刻tにおける周波数f(t)は、初期値fから時刻tに比例(比例係数A)して増減する線分で線形近似できると考えられる。
そして、周波数f(t)を上記式4で表した場合、時刻tにおける位相ψ(t)は、
とあらわせる。ここで右辺の第3項のψは初期位相であり、第2項(2πft)は時刻tに比例して角周波数2πftだけ位相が進むことを示している。そして第1項(πAt)から、位相は二次曲線で近似できることを示している。よって、本実施の形態では、位相曲線算出部109は、位相曲線として、近似計算によって、二次曲線を算出する。
次に、基準波形を時間軸上でずらしつつ算出する位相(補正前位相)から、補正後位相を算出する手法について説明する。
なお、基底波形を時間軸上でずらしつつ、位相を算出する場合、図15(c)と図15(d)に示すように、位相ψ(t)を位相ψ´(t)=mod2π(ψ(t)−2πft)(fは分析周波数)に変換することで位相補正を行う必要がある。以下、詳細を説明する。
初めに、基準の時刻を決定する。図21(a)は、図20(a)における時刻t1からの所定時間区間における位相を示す図であって、図21(a)の黒丸印の時刻t0を基準の時刻に決定している。
次に、位相曲線算出部109は、位相を補正する周波数信号の複数の時刻を決定する。この例では、図21(a)の5個の白丸印の時刻(t1、t2、t3、t4、t5)を、位相を補正する周波数信号の時刻に決定している。
ここで、基準の時刻t0における周波数信号の位相を
と表すこととして、位相を補正する5個の時刻における周波数信号の位相を
と表すことにする。これらの補正する前の位相を図21(a)において×印で示してある。また、対応する時刻の周波数信号の大きさは
で表すことができる。
次に、図22に、時刻t2における周波数信号の位相を補正する方法を示す。図22(a)と図21(a)とは同じである。また、図22(b)は、1/f(fは分析周波数)の時間間隔で、等角速度で0〜2π(ラジアン)まで規則的に変化する位相を実線で表している。ここで、補正したあとの位相を
と表すことにする。図22(b)において、基準の時刻t0と時刻t2との位相を比較すると、時刻t2の位相は時刻t0の位相より
だけ大きい。そこで、図22(a)において、基準の時刻t0の位相ψ(t0)との時間差に起因する位相のずれを補正するために、時刻t2の位相ψ(t2)からΔψを差し引いてψ´(t2)を求める。これが位相補正後の時刻t2の位相である。このとき、時刻t0の位相は基準の時刻における位相であるので位相補正後も同じ値となる。具体的には、位相補正後の位相を
により求める。
位相補正したあとの周波数信号の位相を図21(b)に×印で示す。図21(b)の表示の方法は図21(a)と同様であるため説明を省略する。なお、基準波形を時間軸上でずらさずに位相を算出する場合は、この補正後位相が直接得られることとなる。
位相曲線算出部109は、位相(補正後位相)の時間変化を曲線(二次曲線である位相曲線)として算出する。まず、位相の形状を計算する際に用いる周波数信号を選択する。ここでは、分析の対象とする時刻をt0として、時刻t0と時刻t1、t2、t3、t4、t5とにおける周波数信号の位相から位相の形状を算出する。このとき、位相曲線を求めるときに用いた周波数信号は所定の値以上の個数(ここでは、時刻t0〜t5の6個の周波数信号)から構成されている。これは、位相距離を求めるために選択された周波数信号の個数が少ない場合に、位相の時間変化の規則性を判定することが困難になるので、それを回避するためである。ここでの所定の時間幅の時間長は、エンジン音の位相の時間変化の性質に基づいて決定することとしてもよい。例えば、加速や減速を頻繁に行う細街路エリアや交差点エリアでは位相の変化が激しいので分析区間を短くし、比較的定常走行を行うエリアでは分析区間を長くする等、使用するエリアによって変更することとしてもよい。また、分析する周波数帯で分析区間を変更することとしてもよい。例えば、200Hz以下などの低周波数の場合、分析区間を長くし、200Hz以上の比較的高い周波数帯では分析区間を短くする等、周波数帯に適した分析区間を適宜使用することとしてもよい。
そして、位相曲線算出部109は、選択した周波数信号の位相から、近似計算によって、位相曲線を算出する。位相曲線は例えば以下の二次多項式(式12)で近似して算出する。
図23は、位相曲線算出部109による位相曲線の算出処理を説明する図である。図23に示すように、位相曲線算出部109は、所定の数の点から二次曲線を算出する。本実施の形態では、位相曲線算出部109は、二次曲線を重回帰曲線として算出する。具体的には、位相曲線算出部109は、各時刻t(i=0,1,2,3,4,5)おける補正後の位相をψ´(t)とした場合、二次曲線Ψ(t)の各係数A、A、Aを、それぞれ、
に従って算出する。なお、上記式13、式14の右辺における各項目は
である。
台数特定部105は、位相曲線算出部109が算出した二次曲線である位相曲線をもとに(より具体的には、二次曲線の二次の係数の類似性(符号の同一性)を用いて)、位相曲線をグループ化し、得られたグループ数を、車両の台数として、特定する。
具体的には、台数特定部105は、位相曲線算出部109が算出した二次曲線の凸(とつ)の向きの同一性を利用することで、車両の同異を区別し、台数を正確に特定する。式12で得られた係数Aが正、すなわち、位相曲線が下に凸(とつ)の場合は、エンジンの回転数が増加しており、加速している車両と考えることができる。一方、係数Aが負、すなわち上に凸(とつ)の場合は、エンジンの回転数が減少して減速している車両と考えることができる。仮にエンジン音が2本(つまり、異なる周波数に位置する2つの筋(ピーク)が)検出され、それら2つのエンジン音について、このように位相曲線の凸の向きが異なる場合は、台数特定部105は、それら2つのエンジン音は異なる車両から発せられたエンジン音であり、2台の車両がいると判定することができる。一方、2つのエンジン音について、位相曲線の凸の向きが同じであれば、台数特定部105は、それら2つのエンジン音は同一の車両から発せられたエンジン音と考えることができ、1台の車両がいると特定することとなる。このようにして、台数特定部105は、位相曲線算出部109が算出した二次曲線である位相曲線の二次の係数の類似性(符号の同一性)を用いて、位相曲線をグループ化し、得られたグループ数を、車両の台数として、特定する。
図24は、台数特定部105による車両の台数の特定方法を説明する図である。図24(a)は図13(a)と同様、1台の車両が接近してくるときに車両音検知マイクで検出された実際の車両音のスペクトログラムである。ここでは、車両が1台ではあるが、音色を有しているため、所定の閾値以上の音圧のピークが90Hzと、50Hzの2箇所の周波数帯で検出されており、スペクトログラムでは2本の黒い筋として見えることが分かる。台数特定部105は、例えば、このように所定の周波数帯であって、所定の時間幅(ここでは例えば100msとする)の周波数信号の位相の形状をもとに台数を特定する。図24(a)において黒い四角で囲む領域は分析区間である。分析領域1は周波数90Hz、時間100msから200msまでの100ms間であり、分析領域2は周波数50Hz、時間100msから200msまでの100ms間である。当該分析区間1及び2での位相を、それぞれ、矢印で指し示す位相曲線の通りとする。つまり、位相曲線の形状は、分析領域1及び2ともに、下に凸の形状と算出されている。このようなケースでは、両分析領域1及び2での形状がともに下に凸と類似しているので、これら両分析領域1及び2に対応する2本の筋(ピーク)は1台の車両から発せられたエンジン音と考えられ、台数特定部105は、1台の車両が存在すると特定することとなる。一方、2台の車両の場合は、位相曲線の形状が異なるため、台数特定部105によって別車両と区別されることとなる。
一方、図24(b)は図13(b)と同様、2台の車両が接近してくるときに車両音検知マイクで検出された実際の車両音のスペクトログラムである。所定の閾値以上の音圧のピークが125Hz、85Hz、65Hz、40Hzの4箇所の周波数帯で検出されており、スペクトログラムでは4本の黒い筋として見えることが分かる。
分析領域1は周波数125Hz、分析領域2は周波数85Hz、分析領域3は周波数65Hz、分析領域2は周波数40Hzのそれぞれ時間100msから200msまでの100ms間の分析領域である。当該分析区間における車両音の位相をそれぞれ矢印で指し示す位相曲線の通りとする。分析領域1と分析領域3では、位相曲線は下に凸となっており、台数特定部105によって、これらの分析領域1及び3に対応する2本の筋(ピーク)が1台の車両と分類される。また、分析領域2と分析領域4では、位相曲線は上に凸となっており、これらの分析領域2及び4に対応する2本の筋(ピーク)が他方の1台の車両と分類される。よって、台数特定部105によって、合計2台の車両が存在すると特定されることとなる。
そして前記実施の形態1と同様、台数特定部105によって特定された台数を用いて、車両方向特定部106は、特定された台数の車両について、車両方向を特定することとなる。
図25、図26のフローチャートを用いて本実施の形態における車両方向特定装置208の動作フローを説明する。前記実施の形態1と同様のフローについては同様の符号を付与し、説明を省略する。なお、図25は、本実施の形態2における車両方向特定装置の動作を示すフローチャートである。図26は、図25におけるステップS402の詳細を示すフローチャートである。
本実施の形態では、音源方向特定部104が各周波数―時間領域(つまり、分析区間ごと)の音源方向を算出した後(ステップS103)、位相曲線算出部109が位相曲線を算出し(ステップS401)、当該位相曲線を用いて台数特定部105が台数を特定する(ステップS402)ステップが加わる。なお、音源方向の特定と(ステップS103)、位相曲線の算出(ステップS401)の順序は問わない、つまり、並列処理を行うこととしてもよい。
位相曲線の算出(ステップS401)では、位相曲線算出部109は、音圧等で選択された区間の位相の時間経過に伴う変化を位相曲線として算出する。つまり、位相曲線算出部109は、選択された区間の位相(補正後位相)から、式13、式14、式15を用いて、位相曲線を算出する。
次に、算出された位相曲線をもとに、台数特定部105は、車両の台数を特定する(ステップS402)。
図26は、台数特定部105による台数特定(ステップS402)の詳細フローである。まず、台数特定部105は、位相曲線の凸の向きを参照し(ステップS501)、凸の向きで処理を分岐させる(ステップS502)。つまり、位相曲線が上向き(上に凸)なら上向きに対応するフラグを立てる(ステップS503)。具体的には、台数特定部105は、式13の係数A2の値の正負を参照することとなる。
一方、位相曲線の凸の向きが下向きなら、台数特定部105は、下向きのフラグを立てる(ステップS504)。最後に、台数特定部105は、フラグの数を参照し、車両の台数を算出することとなる(ステップS505)。このように、台数特定部105は、位相曲線算出部109が算出した二次曲線である位相曲線の二次の係数の類似性を用いて、車両の台数を特定する。
なお、本実施の形態では2値処理(ステップS502〜S504)を行っているが、本発明に係る車両の台数の特定方法は、これに限ったものではない。例えば、図27に示される、図25におけるステップS402の別の詳細を示すフローチャートのように、係数A2の値及び所定の誤差閾値(k1、k2)をもとに、位相曲線の形状を3種類以上に分類し、車両の台数を特定することとしてもよい(ステップS601〜S606)。例えば、係数A2の値が2のものと(下に凸)、1のもの(下に凸ではあるが別車両となる)、そして−1(上に凸)の3台等、車両の台数に応じて位相曲線の形状を分類することも可能である。
このようにして台数特定部105によって車両の台数が特定された後は、実施の形態1と同様に、台数特定部105によって特定された台数を用いて、車両方向特定部106は、特定された台数の車両について、車両方向を特定する(ステップS105)。最後に、通知部107は、特定された台数に応じて、車両方向特定部106で特定された車両の方向を通知する(ステップS106)。
以上のように、本実施の形態によれば、車両方向特定装置208は、単に他車両の方向を特定するのではなく、他車両の台数を特定し、特定した他車両の台数について、他車両が存在する方向を特定している。よって、複数の車両が近接する場合において、それら複数の車両の車両音が混合してしまう状況下でも、一台の車両として誤って車両の存在する方向を特定してしまうという不具合が回避される。
さらに、本実施の形態では、車両方向特定装置208は、同時刻における車両音の位相曲線の形状を用いて、車両の台数を特定した。具体的には、車両方向特定装置208は、図24(a)に示すように、同時刻における車両音の位相曲線の凸の向きを参照し、同じ向きであれば、それら複数の位相曲線は一台の車両から発せられた車両音に係る位相曲線であると特定し、位相曲線の凸の向きが異なれば、それら複数の位相曲線は別車両から発せられた車両音に係る位相曲線であるとして車両の台数を特定した。これによって、車両の加減速の状態における類似性も判断した上で車両の台数が特定され、複数の車両が接近している状況等の複雑な状況においても、より正確に、車両の台数が特定される。
なお、本発明に係る車両台数の特定方法は、これに限ったものではない。例えば、所定の時間幅を有し、所定の時間幅内における位相曲線の形状を用いて車両台数の特定を行うこととしても良い。
図28は、所定の時間幅内における位相曲線の形状を用いて車両台数の特定を行う方法を説明する図である。図28(a)は、図24(b)に示すスペクトログラムと同様である。車両2台が走行しているときに得られたスペクトログラムであり、閾値以上の車両音としては4本の筋として現れている。図24(b)に示されるように、実施の形態2では、ある同時刻の位相の形状をもとに車両の台数を特定した。図28(a)に示される方法では、同時刻ではなく、所定の時間幅内(ここでは、100ms〜500msの400ms内)で車両の台数を特定する。具体的には、分析領域1は、300msから400msの100ms間、分析領域2は、200msから300msの100ms間、分析領域3は、100msから200msの100ms間、分析領域4は、400msから500msの100ms間であり、それら分析領域1〜4のそれぞれについて、位相曲線の形状を算出する。そして、これらの位相曲線の形状を用いて車両の台数を特定する。具体的には、分析領域1と分析領域3では位相曲線の形状が上に凸、分析領域2と分析領域4では位相曲線の形状が下に凸であるため、複数台(2台)と特定する。
一般に、車両は、加減速を短時間のうちに頻繁に繰り返し行うことは少なく、ある所定時間内では加速のままであったり、減速のままであったりする。したがって、所定時間内における位相形状は類似する事が多い。また、実環境下におけるエンジン音は、周囲の雑音等の影響で必ずしも所定の閾値の音圧を有しているとは限らず、同時刻にすべての車両音が検出できない場合もある。したがって、同時刻の位相形状ではなく、所定時間幅内における位相曲線の形状をもとに車両の台数を特定することとしてもよい。これにより、より実環境下に即した車両台数の特定が可能となる。
また、スペクトログラムにおける同一の筋(ピーク)における時間の異なる複数の分析領域を用いて位相曲線の形状を判断することとしてもよい。図28(b)も、図28(a)や図24(b)に示すスペクトログラムと同様である。車両2台が走行しているときに得られたスペクトログラムであり、閾値以上の車両音としては4本の筋として現れている。図24(b)や図28(a)に示されるように、実施の形態2及びその変形例では、ある時刻の分析領域を用いて1台の車両の特定を行った。ここでは、所定の時間幅内(100ms〜500msの400ms内)の分析領域を用いて特定する。具体的には、分析領域1は、分析周波数を125Hz、時間100msから200msの100ms間、分析領域2は、分析周波数を125Hz、200msから300msの100ms間、分析領域3は、分析周波数を125Hz、400msから500msの100ms間であり、それら分析領域1〜3のそれぞれについて、位相曲線の形状を算出する。そして、これらの位相曲線の形状を用いて、一つの筋(ピーク)に対する位相曲線の形状(言い換えると、車両の加減速に関する状態)を算出する。具体的には、125Hzの分析区間(図28(b)における最も高い周波数帯の筋(ピーク)における3つの分析区間)である分析領域1、分析領域2、分析領域3では、位相曲線は、いずれも上に凸であるため、これらの分析領域1〜3に係る一つの筋(ピーク)では、この車両は加速状態にあると判断する。これにより、より信頼度が高い車両の状態を特定することができる。他方、周波数40Hzの分析区間(図28(b)における最も低い周波数帯の筋(ピーク)における3つの分析区間)では、位相曲線は、いずれも上に凸であるので(位相曲線の図示を省略)、以上のことから、125Hzの筋(ピーク)の車両音を発する車両と40Hzの筋(ピーク)の車両音を発する車両とは別車両であると判断する。これにより、より信頼度が高く、車両の区別をすることが可能となり、したがって台数についても、より高い精度で特定することが可能となる。
上記同様、車両は、加減速を短時間のうちに頻繁に繰り返し行うことは少なく、ある所定時間内では、特に位相曲線の凸の向きなど、位相曲線の形状が類似することが多い。しかし、実環境下におけるエンジン音は、周囲の雑音等の影響で位相が乱れ、形状に誤差を生じることとなる。そこで、ある瞬間の位相曲線の形状ではなく、所定時間内の位相曲線の形状をもとに当該車両の状態、例えば加速中であると判定することで、より高い信頼度で位相曲線の形状を特定することが可能となり、車両台数の特定の精度も向上する。
さらに、本実施の形態では、位相曲線の凸の向きで車両音(位相曲線)をグループ化し、車両台数の特定を行ったが、本発明に係る車両台数の特定はこれに限ったものではない。同じ加速中の状態にある車両であっても、複数台の車両が存在する場合、それらの車両から発せられる車両音の位相曲線について、凸の度合い(式12の二次の係数A2)が異なることとなる。そこで、凸の度合い(式12の二次の係数A2)でグループ化し、車両台数を特定することとしても良い。
また、本実施の形態では、位相曲線を二次曲線とし、その二次曲線の凸の向き(つまり、二次曲線の二次の係数の類似性(符号の同一性))でグループ化することで、車両台数の特定を行ったが、本発明に係る位相曲線のグループ化の方法はこれに限ったものではない。例えば、所定の位相曲線の形状を予め蓄積しておき、その形状との誤差でグループ化することとしてもよい。例えば、上に凸のある曲率を有した位相曲線(位相曲線1とする。)と、下に凸のある曲率を有する位相曲線(位相曲線2とする。)を蓄積しておく。そして、検知された車両音から得られた各時間における位相と、当該各位相曲線上の位相との誤差を算出し、誤差の小さい位相曲線を、その車両音の位相曲線として、当てはめる。そして位相曲線1と誤差が小さい分析区間を一つのグループ、位相曲線2との誤差が小さい分析区間を他の一のグループとして台数を特定することとしてもよい。これにより、近似曲線を算出する必要がなく、処理量の削減になり、瞬時に車両の台数を特定してユーザに通知する必要がある車載アプリケーションにも効果を奏する。
また、特定する車両の台数については、正確な台数でなくても、1台であるか、複数台であるかの区別であってもよい。これにより、車両が複数台存在するにもかかわらず、1台の車両が存在すると誤ってユーザに通知し、ドライバに誤解を生じさせることを防ぐという、安全走行支援の効果を奏することが可能となる。
さらに、本発明に係る車両の特定方法は上記手法に限ったものではなく、位相の時間経過に伴う位相曲線の形状をもとに分類し、車両の台数を特定する方法であれば、いかなる方法も、本願発明の思想を逸脱しない限り、当然本願発明に含まれる。
なお、前記実施の形態2では、車両音を周波数分析し、分析された位相から位相曲線を算出し、当該位相曲線をもとに車両の台数を特定していたが、本発明に係る車両の台数の特定方法は、これに限ったものではない。位相曲線をもとに風などの雑音との混合音から車両音を抽出し、抽出した車両音に基づいて車両の台数を特定してもよい。
図29は、位相曲線をもとに混合音から車両音を抽出し、抽出した車両音に基づいて車両の台数を特定する、実施の形態2の変形例における車両方向特定装置308の構成を示すブロック図である。本実施の形態と同様の構成要素には同様の符号を付与し、説明を省略する。
車両音抽出部110は、位相曲線算出部109で算出された位相曲線をもとに車両音を抽出する処理部である。つまり、車両音抽出部110は、は、周波数分析部103による分析によって得られた位相と、位相曲線算出部109で算出された位相曲線上の位相との誤差を算出し、算出した誤差をもとに、周波数分析部103による分析によって得られた領域から、車両音に対応する領域を抽出する。
ところで、本発明に係る車両方向特定装置を例えば車両に搭載し、実環境下で用いる場合、周囲の環境音や自車両の走行によって生じる風切り音等、雑音の影響が非常に大きくなる。
図30は車両音と雑音を説明する図である。図30(a)は、実環境下において車両音検知マイク101で検知された車両音と雑音をスペクトル分析した結果を示している。横軸は時間、縦軸は周波数を表している。黒色の濃い部分がパワーの高い部分を示す。図13や図16等と比較し、全体的に黒色になっていることが分かる。風などの雑音が大きく、エンジン音以外の部分もパワーが大きいことを示している。時刻t2はエンジン音部分であり、図30(b)は当該時間のパワーを示している。一方、時刻t3は雑音部分であり、図30(c)は当該時間のパワーを示している。パワーを比較すると、雑音もエンジンと同程度のパワーを有することもあり、例えばパワーの閾値だけでは車両音を精度よく抽出できない場合がある。そこで、本変形例では、位相曲線をもとに車両音をより精度よく抽出する。
図31は、車両音抽出部110による車両音の抽出方法を説明する図である。図31(a)は、図30(a)と同様に、混合音のスペクトログラムである。図31(b)は、図31(a)に示されたスペクトログラムのうち、ある車両のエンジン音の部分であって、減速をしている領域における位相の分析結果を示す。横軸は時間、縦軸は位相を表し、丸印は実際の各時間における位相(補正後位相)の値である。前記実施の形態2で示すように、位相曲線算出部109において、上に凸の二次曲線が算出されている。二次曲線を黒い点線で示している。ここで、車両音抽出部110は、当該領域が車両音か否かの判断をする。例えば当該二次曲線との誤差を算出し、誤差が所定の閾値以内である場合は当該領域が車両音を示しており、一方、誤差が所定の閾値以上の場合は当該領域が雑音を示していると判断する。誤差は、例えば、残差絶対値和によって算出する。すなわち、各実際の位相の値と、対応する時間における二次曲線の値と差の絶対値を加算して時間平均した値である。なお、誤差の評価方法としては、これに限ったものではなく、分析する領域が位相曲線と、どの程度ずれているかを示す指標であればいかなる評価方法であってもよい。
図31(b)に示された例の場合、位相の二次曲線と、実際の位相の値との誤差が小さく、車両音として抽出されることとなる。
一方、図31(c)は加速をしている領域での分析結果を示す。この領域では、位相曲線算出部109において下に凸の二次曲線が算出されている。図31(b)のケースと同様に、実際の位相と二次曲線との誤差が小さく、当該領域も車両音として抽出されることとなる。
さらに、図31(d)は定常走行をしている領域での分析結果を示す。位相曲線算出部109において二次の係数が0の直線が算出されている。こちらも、実際の位相と曲線(より厳密には、直線)との誤差が小さく、当該領域も車両音として抽出されることとなる。
一方、図31(e)は風雑音の領域での分析結果を示す。風雑音は、エンジン音と異なり、突発的なカルマン渦の重ねあわせによって生じる。そして、スペクトル上では、エンジン音と区別がつかない程度にパワーを有するものの、位相はエンジン音とは異なり、ばらばらとなる性質を有する。従って、算出された位相曲線との誤差は大きくなる。図31(e)を参照すると、位相曲線は算出されているが、その位相曲線と各値(実際の位相)との差は大きく、当該領域の位相の誤差は非常に大きいものとなる。
図32は、エンジン音と風雑音について、位相曲線との誤差を説明する図である。縦軸は誤差を度(位相差)で示している。実際に検知されたエンジンの誤差は10度であるのに対し、風雑音は50度という結果が得られた。そこで、例えば、誤差に閾値(例えば20度等)を設け、閾値を用いて、車両音を抽出することができる。
図33は、車両音抽出部110による車両音の抽出結果の例を説明する図である。図33(a)は、図31(a)と同様に、実際に検知されたエンジン音と風雑音の混合音のスペクトログラムである。図33(b)は、図33(a)に示されるスペクトログラムのうち車両音抽出部110で抽出されたエンジン音部分である。横軸は時間、縦軸は周波数を表している。抽出された領域を黒く塗りつぶして示している。雑音が除去され、エンジン音の部分のみが精度よく抽出されている。
なお、本実施の形態における台数特定部105は、車両音抽出部110で抽出された領域を用いて、前記実施の形態1で示す手法を用いて車両の台数を特定する。
このように、本変形例に係る車両方向特定装置によれば、位相曲線をもとに混合音から車両音を抽出し、抽出した車両音に基づいて車両の台数が特定され、特定された台数の車両について、車両が存在する方向が特定される。よって、風などの雑音が存在する実環境での使用に耐え得る車両方向特定装置が実現される。
以上、本発明に係る車両方向特定装置について、実施の形態及び変形例を用いて説明したが、本発明は、これらの実施の形態及び変形例に限定されるものではない。
たとえば、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記実施の形態及び上記変形例における構成要素をそれぞれ任意に組み合わせるとしても良い。
また、今回開示された実施の形態及び変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
また、上記実施の形態及び変形例における車両方向特定装置を構成する構成要素は、専用の電子回路等のハードウェアで実現されてもよいし、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムとして構成されても良い。RAMまたはハードディスクドライブには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、各システムまたは各装置は、その機能を達成する。ここで、コンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
さらに、上記実施の形態及び変形例における車両方向特定装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしても良い。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、例えば、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
さらにまた、上記実施の形態及び変形例における車両方向特定装置を構成する構成要素の一部または全部は、各システムまたは各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしても良い。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしても良い。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するものであってもよい。
また、本発明は、上記に示す方法であってもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであってもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であってもよい。
さらに、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu-ray Disc(登録商標))、半導体メモリなどに記録したものであってもよい。また、これらの非一時的な記録媒体に記録されている上記デジタル信号であってもよい。
また、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送してもよい。
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムに従って動作するものであってもよい。
また、上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記非一時的な記録媒体に記録して移送することにより、または上記プログラムまたは上記デジタル信号を、上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施してもよい。
本発明は、車両の方向を特定する装置として、特に、複数の車両が近接する場合において、車両音が混合してしまう状況下でも、複数の車両に対応して、車両の存在する方向を特定することができる車両方向特定装置等に利用可能である。
101、102 車両音検知マイク
103 周波数分析部
104 音源方向特定部
105 台数特定部
106 車両方向特定部
107 通知部
108、208、308 車両方向特定装置
109 位相曲線算出部
110 車両音抽出部

Claims (13)

  1. 車両音を用いて車両が存在する方向を特定する車両方向特定装置であって、
    前記車両音を含む周囲音を検知する複数の車両音検知マイクと、
    前記複数の車両音検知マイクで検知された周囲音に基づいて、複数の所定の時間区分のそれぞれ及び複数の所定の周波数帯域のそれぞれの組み合わせである分析区間毎に前記周囲音の音圧を分析する周波数分析部と、
    前記周波数分析部による分析に基づいて、第1の周波数帯における周波数軸上のピークであって、予め定められた音圧より大きい音圧のピークを特定し、特定したピークの数をもとに前記車両の台数を特定する台数特定部と、
    前記周波数分析部による分析に基づいて、前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯における周囲音について、前記複数の車両音検知マイクに前記周囲音が到達する時間の差又は前記複数の車両音検知マイクでの音圧の比を算出することにより、前記分析区間毎に、前記周囲音の音源方向を特定する音源方向特定部と、
    前記音源方向特定部で特定された音源方向の、前記分析区間における頻度分布及び前記台数特定部で特定された前記台数をもとに、前記台数の車両について、前記車両が存在する方向を特定する車両方向特定部と
    を備える車両方向特定装置。
  2. 前記車両方向特定部は、前記分析区間毎に得られた前記周囲音の方向について、予め分割された方向の区分ごとの頻度を算出することにより、前記音源方向の頻度分布を算出し、算出した前記頻度分布の代表値に対応する方向が、前記台数の車両が存在する方向として特定する
    請求項1記載の車両方向特定装置。
  3. 前記車両方向特定部は、前記音源方向特定部で算出された前記頻度分布の代表値が1つである場合には、当該代表値に対応する方向が、前記台数の車両が存在する方向を合成した方向とみなして、前記台数の車両について、前記車両が存在する方向を特定する
    請求項2記載の車両方向特定装置。
  4. 前記車両方向特定部は、前記代表値に対応する方向を、前記台数特定部で特定された車両の台数の数にベクトル的に分離することで、前記台数の各車両の方向を特定する
    請求項3記載の車両方向特定装置。
  5. 前記車両方向特定部は、前記台数特定部で特定された車両の台数が一台の場合は、前記代表値に対応する方向を当該車両が存在する方向として特定し、前記台数特定部で特定された車両の台数が複数台の場合は、前記代表値に対応する方向を用いて当該複数台の車両が存在する方向を特定する
    請求項3記載の車両方向特定装置。
  6. さらに、前記周波数分析部による分析に基づいて、前記第1の周波数帯における周波数軸上のピークのそれぞれについて、位相の時間経過に伴う変化を示す位相曲線を算出する位相曲線算出部を備え、
    前記台数特定部は、前記位相曲線算出部で算出された位相曲線の形状をもとに前記位相曲線算出部で算出された位相曲線をグループ化し、得られたグループの数を、前記車両の台数として、特定する
    請求項1記載の車両方向特定装置。
  7. 前記位相曲線算出部は、前記位相曲線として、近似計算によって二次曲線を算出し、
    前記台数特定部は、前記位相曲線算出部で算出された前記二次曲線の二次の係数の類似性を用いて、前記位相曲線算出部で算出された位相曲線をグループ化する
    請求項6記載の車両方向特定装置。
  8. さらに、前記周波数分析部による分析によって得られた位相と、前記位相曲線算出部で算出された位相曲線上の位相との誤差を算出し、算出した誤差をもとに、前記周波数分析部による分析によって得られた領域から、車両音に対応する領域を抽出する車両音抽出部を備え、
    前記台数特定部は、前記車両音抽出部で抽出された車両音の領域における前記位相曲線を用いて、前記車両の台数を特定する
    請求項6記載の車両方向特定装置。
  9. 前記第1の周波数帯は、前記第2の周波数帯よりも低い周波数帯であって、前記車両のエンジン音の周波数を含む
    請求項1記載の車両方向特定装置。
  10. 前記第2の周波数帯は、前記車両のタイヤ走行音の周波数を含む
    請求項9記載の車両方向特定装置。
  11. さらに、前記車両方向特定部で特定された方向を通知する通知部を備える
    請求項1記載の車両方向特定装置。
  12. 車両音を用いて車両が存在する方向を特定する車両方向特定方法であって、
    複数の車両音検知マイクで前記車両音を含む周囲音を検知する車両音検知ステップと、
    前記複数の車両音検知ステップで検知された周囲音に基づいて、複数の所定の時間区分のそれぞれ及び複数の所定の周波数帯域のそれぞれの組み合わせである分析区間毎に前記周囲音の音圧を分析する周波数分析ステップと、
    前記周波数分析ステップによる分析に基づいて、第1の周波数帯における周波数軸上のピークであって、予め定められた音圧より大きい音圧のピークを特定し、特定したピークの数をもとに前記車両の台数を特定する台数特定ステップと、
    前記周波数分析ステップによる分析に基づいて、前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯における周囲音について、前記複数の車両音検知マイクに前記周囲音が到達する時間の差又は前記複数の車両音検知マイクでの音圧の比を算出することにより、前記分析区間毎に、前記周囲音の音源方向を特定する音源方向特定ステップと、
    前記音源方向特定ステップで特定された音源方向の、前記分析区間における分布及び前記台数特定ステップで特定された前記台数をもとに、前記台数の車両について、前記車両が存在する方向を特定する車両方向特定ステップと
    を含む車両方向特定方法。
  13. 車両音を用いて車両が存在する方向を特定する車両方向特定装置のためのプログラムであって、
    請求項12記載の車両方向特定方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるプログラム。
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