しかしながら、携帯電話および音声出力装置の機能に関しては、さらに検討すべき課題が多い。
本発明の課題は、上記に鑑み、使用の容易な機能を有する携帯電話および圧電素子制御装置を提供することにある。
上記課題を達成するため、本発明は、軟骨伝導振動源と前記軟骨伝導振動源の振動を耳軟骨に当接する携帯電話上部に導く振動伝導体とを含む軟骨伝導振動部を有する携帯電話を提供する。これによって、耳軟骨の良好な音声情報伝達能力を活用し、押圧や耳挿入の不快感なしに、通常の通話状態に近い使用感にて使用可能な携帯電話を提供することができる。さらに、上記のような軟骨伝送振動部の構成によれば、振動伝導体によって軟骨伝導振動源の振動を所望の位置に導けるとともに、軟骨伝導振動源そのものについてもレイアウトの自由度が高まり、スペースに余裕のない携帯電話に軟骨伝導振動部を実装するのに有用である。
本発明の具体的な特徴によれば、軟骨伝導振動源および振動伝導体は、携帯電話外壁から突出しないよう構成される。これによって、軟骨伝導振動部の配置による違和感のある突出部なしに携帯電話の機能と美観を損なわない形状を実現することができる。より具体的な特徴によれば、振動伝導体端部は、携帯電話の耳側上部角に配置される。これによって、耳軟骨への自然な当接を達成でき、携帯電話外壁から突出しない軟骨伝導振動部の配置を実現することができる。さらに具体的な特徴によれば、振動伝導体端部は、携帯電話の耳側上部角のうち使用姿勢における傾斜下側の角に配置される。これによって、携帯電話を手にもって耳に当てる通常の通話状態に近い姿勢によって、通話者本人にとっても傍目にも違和感がない状態で軟骨伝導振動部を耳軟骨に当接することができる。この姿勢は耳珠への接触に好適であり、また耳珠は特に軟骨伝導効果が高いので二重に好適である。
本発明の他の具体的な特徴によれば、振動伝導体端部の両端が携帯電話の耳側上部の両角に配置される。この構成は、耳軟骨との接触効果を高める上で、好適である。例えば、振動伝導体端部の両端はそれぞれ右耳使用か左耳使用かに応じてそのうちの1つを適宜耳軟骨に当接させることができ、携帯電話の左右の持ち替えに容易に対応することができる。
本発明の他の特徴によれば、耳軟骨に当接する軟骨伝導振動部と、重力加速度検知部と、重力加速度検知部が携帯電話の静止状態を検知するとき軟骨伝導振動部の振動を禁止する制御部とを有する携帯電話が提供される。これによって、例えば携帯電話が軟骨伝導振動部を下側にして机等に置かれた時、不用意に軟骨伝導部が振動して不快な音を発することを防止できる。
上記本発明の具体的な特徴によれば、携帯電話は軟骨伝導振動部への近接物の有無を検知するセンサを有し、制御部は、センサによる近接物の検知に応じて軟骨伝導振動部を振動させるとともに、重力加速度検知部が携帯電話の静止状態を検知するときはセンサによる近接物の検知にかかわらず軟骨伝導振動部の振動を禁止する。近接物の有無を検知するセンサは、携帯電話が耳に当てられたことを検知して軟骨伝導振動部を振動させるようにするための有用な構成であるが、例えば携帯電話が机等に置かれた時、これを耳への当接と誤認して軟骨伝導振動部を振動させる可能性がある。ここにおいて、上記の具体的な特徴は、このような誤認に基づく軟骨伝導部の振動によって不快な音が発生するのを防止できる。
本発明の他の特徴によれば、耳軟骨に当接する軟骨伝導振動部と、音声入力部と、音声入力部から入力される音声情報を位相反転する位相反転部と、位相反転部により位相反転された音声情報を振動伝導部から出力する制御部とを有する携帯電話が提供される。これによって、軟骨伝導振動部を耳軟骨に当接させた状態での携帯電話による会話における自分の声に基づく違和感を適宜コントロールすることができる。
上記本発明の具体的な特徴によれば、携帯電話は音質調整部を有し、制御部は、音質調整部によって音質調整されるとともに位相反転部により位相反転された音声情報を振動伝導部から出力する。これによって携帯電話による会話における自分の声に基づく違和感をより適切にコントロールすることができる。
上記本発明の他の具体的な特徴によれば、携帯電話は耳軟骨への前記軟骨伝導振動部の当接状態を検知する当接状態検知部を有し、制御部は、当接状態検知部の検知状態に応じ、位相反転部により位相反転された音声情報を前記振動伝導部から出力するか否か決定する。これによって、自分の声に基づく違和感を携帯電話の耳軟骨への当接状態に応じてより適切にコントロールすることができる。
より具体的な特徴によれば、当接状態検知部は、携帯電話の耳軟骨への当接によって耳穴が塞がれ耳栓骨導効果が生じる状態で前記軟骨伝導振動部が耳軟骨に当接していることを検知し、制御部は、前記耳栓骨導効果が生じる状態で軟骨伝導振動部が耳軟骨に当接していることの検知に応じ、位相反転部により位相反転された音声情報を振動伝導部から出力する。耳穴を塞ぐことによって生じる耳栓骨導効果は、振動伝導部からの音声情報をさらに大きな音で伝えるとともに環境騒音を遮断する一挙両得の受話状況を実現する。しかしながらその一方で、耳栓骨導効果は声帯からの骨導による自分の声の違和感を伴う。上記の特徴は、このような自分の声の違和感の緩和に有用である。
本発明の他の特徴によれば、圧電素子を含み被伝導体に当接することで圧電素子の振動を伝達する伝導振動部と、圧電素子に伝導振動情報を出力する信号出力部と、伝導振動部への被伝導体の接触圧変化を圧電素子により検知する圧力検知部とを有する圧電素子制御装置が提供される。このような構成により、圧電素子を接触振動の出力素子および接触圧力センサとして兼用でき、種々の状況に応じた伝導振動出力が可能となる。このような圧電素子制御装置は、被伝導体を耳軟骨とする携帯電話として構成し、圧電素子が感知する圧力変化により耳軟骨への軟骨伝導振動部の当接状態を検知するのに好適である。
上記のように、本発明によれば、軟骨伝導を利用した有用な携帯電話および携帯電話等に好適な入出力兼用型の圧電素子制御装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例1を示す斜視図である。図1において、携帯電話1は、表示部5等を有する上部7と、テンキーなどの操作部9および操作者の口から発音される音声をひろうマイク等の送話部23を有する下部11からなり、上部7がヒンジ部3によって下部11の上に折り畳み可能に構成される。上部7には、操作者の耳に音声を伝えるイヤホン等の受話部13が設けられ、下部11の送話部23とともに電話機能を構成している。また、上部7には、携帯電話1をテレビ電話として利用する場合において表示部5を見ている操作者の顔を写すことができるとともに、自分撮りの際にも利用される内側カメラ17が配置されている。さらに、上部7には、携帯電話1が通話のために耳に当接していることを検知するための近接センサを構成する一対の赤外光発光部19、20および耳からの赤外反射光を受光する共通の赤外光近接センサ21が設けられている。なお、図1では図示しないが、上部7の背面には背面カメラが設けられており、携帯電話1の背面側にあって表示部5でモニタされる被写体を撮影することができる。
上部7にはさらに、内側(耳に当たる側)の上部角において、耳珠の接触するための圧電バイモルフ素子等からなる右耳用振動部24および左耳用振動部26が設けられている。これらの右耳用振動部24および左耳用振動部26は、携帯電話外壁から突出してデザインを害さないよう構成されるが、携帯電話外壁の角に設けられることにより、効果的に耳珠に接触する。これによって、受話部13からの音声による受話と併せて、耳珠の軟骨からの骨伝導にて受話が可能となる。なお、上記特許文献2に開示されているように、耳珠は、耳乳様突起、外耳口後部軟骨面、耳珠およびもみ上げ部等の耳軟骨構成の中で最も大きな聴感が得られるとともに押し付け圧力を増大させたときの低音部の上昇が他の位置よりも大きくなることが知られている。この知見については特許文献2に詳述されているのでこれを参照することができる。
携帯電話1は、これを右耳に当てたとき図1において時計方向に若干回転し、図1において右下がりの状態となる。そしてこのような携帯電話耳側上端の傾斜下側角に右耳用振動部24を設けることにより、振動部を携帯電話外壁から突出させることなく右耳用振動部24を自然に右耳の耳珠に接触させることができる。この状態は、通常の通話状態に近い姿勢であり、通話者本人にとっても傍目にも違和感がない。なお、受話部13は右耳用振動部24近傍にあるので、耳珠軟骨経由の音声情報と外耳道経由の音声情報がともに耳に伝わることになる。このとき、異なった発音対と経路により同じ音声情報が伝えられることになるので、お互いが打ち消しあうことがないよう、両者間の位相調整が行われる。
一方、携帯電話1を左耳に当てたときは、携帯電話1が図1において反時計方向に若干回転し、図1において左下がりの状態となる。そして、右耳の場合と同様にして、携帯電話耳側上端の傾斜下側角に左耳用振動部26が設けられている状態となり、左耳用振動部26を自然に左耳の耳珠に接触させることができる。この状態が、通常の通話状態に近い姿勢であること、および受話部13が左耳用振動部26近傍にあって耳珠軟骨経由の音声情報と外耳道経由の音声情報がともに耳に伝わるので、両者間の位相調整が行われることは、右耳の場合と同様である。
なお、上記近接センサにおける一対の赤外光発光部19、20は時分割で交互に発光しているので、共通の赤外光近接センサ21はいずれの発光部からの赤外光による反射光を受光しているのか識別可能であり、これによって右耳用振動部24および左耳用振動部26のいずれが耳珠に当たっているのか判断可能である。これによって、携帯電話がいずれの耳で使用されているかが判別でき、耳珠が当接している方の振動部を振動させて他方をオフとすることが可能である。しかしながら、携帯電話1の耳への当て方や耳の形の個人差にはバラツキがあるので、実施例1では、さらに後述のように加速度センサを内蔵し、この加速度センサによって検知される重力加速度によって、携帯電話1がどちらに傾いているのかを検知して、傾斜下側角にある方の振動部を振動させて他方をオフとするよう構成している。以上の右耳使用および左耳使用については、各仕様状態に即した図示により再度説明する。
上部7にはさらに、環境騒音を拾うよう外側(耳に当たらない背面側)に配置され、かつ右耳用振動部24と左耳用振動部26の振動の伝導防止手段が施された環境騒音マイク38が設けられる。この環境騒音マイク38はさらに操作者の口から発音される音声を拾う。環境騒音マイク38が拾った環境騒音および操作者自身の声は位相反転された上で右耳用振動部24および左耳用振動部26にミキシングされ、受話部13経由の音声情報に含まれる環境騒音および操作者自身の声をキャンセルして通話相手の音声情報を聞き取りやすくする。この機能の詳細は後述する。
図2は、右耳用振動部24と左耳用振動部26の機能を示す携帯電話1の側面図であり、図2(A)は、右手に携帯電話1を持って右耳28を当てている状態を示す。一方、図2(B)は、左手に携帯電話1を持って左耳30に当てている状態を示す。なお、図2(A)は、顔の右側面から見た図であり、図2(B)は、顔の左側面から見た図なので、携帯電話1はそれぞれ背面側(図1の裏側)が見えている。なお、携帯電話1と右耳28および左耳30との関係を図示するため、携帯電話1は一点鎖線にて示している。
図2(A)に示すように、携帯電話1は、これを右耳に当てたとき図2において反時計方向(図1と裏表の関係)に若干傾き、図2において左下がりの状態となる。そして耳用振動部24はこのような携帯電話耳側上端の傾斜下側角に設けられているので、これを自然に右耳の耳珠32に接触させることができる。すでに述べたように、この状態は、通常の通話状態に近い姿勢であり、通話者本人にとっても傍目にも違和感がない。一方、図2(B)に示すように、携帯電話1は、これを左耳に当てたとき図2において時計方向(図1と裏表の関係)に若干傾き、図2において右下がりの状態となる。そして耳用振動部26はこのような携帯電話耳側上端の傾斜下側角に設けられているので、これを自然に左耳の耳珠34に接触させることができる。この状態においても、右耳の場合と同様、通常の通話状態に近い姿勢であり、通話者本人にとっても傍目にも違和感がない。
図3は、実施例1のブロック図であり、同一部分には図1と同一番号を付し、必要のない限り、説明は省略する。携帯電話1は、記憶部37に記憶されるプログラムに従って動作する制御部39によって制御される。記憶部37はまた、制御部39の制御に必要なデータを一時記憶するとともに、種々の測定データや画像も記憶することができる。表示部5の表示は制御部39の制御に基づき表示ドライバ41の保持する表示データに基づいて行われる。表示部5は表示バックライト43を有しており、周囲の明るさに基づいて制御39がその明るさを調節する。
受話部13および送話部23を含む電話機能部45は、制御部39の制御下にある電話通信部47により、無線電話回線に接続可能である。スピーカ51は、制御部39の制御により着信音や種々の案内を行うとともにテレビ電話時の相手の声を出力する。このスピーカ51の音声出力は、右耳用軟骨伝送振動部24および左耳用軟骨伝送振動部26から出力されることはない。テレビ電話の際は、軟骨伝導振動部が耳に当てられる可能性がないからである。また、画像処理部53は、制御部39に制御されてテレビ電話用内側カメラ17および背面主カメラ55によって撮像される画像を処理し、これらの処理結果の画像を記憶部37に入力する。
上記のように、近接センサにおける一対の赤外光発光部19、20は制御部39の制御に基づき時分割で交互に発光している。従って、共通の赤外光近接センサ21によって制御部39に入力される赤外反射光は、いずれの発光部からの赤外光による反射光識別可能である。制御部39は赤外光発光部19、20の両者から反射光が検知されるときは、これらを相互比較し、右耳用振動部24および左耳用振動部26のいずれが耳珠に当たっているのか判断する。さらに加速度センサ49は、検知される重力加速度の向きを検知する。この検知信号に基づき、制御部39は、携帯電話1が図2(A)および図2(B)のいずれの状態で傾いているのか判断し、図2で説明したように傾斜下側角にある方の振動部を振動させて他方をオフとする。
携帯電話1はさらに、制御部39からの音声情報に位相調整を行い、右耳用振動部24および左耳用振動部26に伝達するための位相調整ミキサー部36を有する。より詳細に説明すると、この位相調整部36は、受話部13から発生して外耳道から鼓膜経由で伝わる音声情報と右耳用振動部24または左耳用振動部26から発生して耳珠軟骨経由で伝わる同じ音声情報がお互い打ち消しあうことがないよう、制御部39から受話部13に伝達される音声情報を基準にして、制御部39からの音声情報に位相調整を行い、右耳用振動部24および左耳用振動部26に伝達する。なお、この位相調整は、受話部13と右耳用振動部24および左耳用振動部26との間の相対調整なので、制御部39から右耳用振動部24および左耳用振動部26に伝達される音声情報を基準にして、制御部39から受話部13に伝達される音声情報の位相を調整するよう構成してもよい。この場合、スピーカ51への音声情報も受話部13への音声情報と同位相で調整する。
なお、位相調整ミキサー部36は上記のような受話部13からの音声情報と右耳用振動部24または左耳用振動部26からの同じ音声情報がお互い打ち消しあうことがないようにする第1の機能を有する他、環境騒音マイク38との協働による第2の機能を有する。この第2の機能では、環境騒音マイク38が拾う環境騒音および操作者自身の声が位相調整ミキサー部36によって位相反転された上で右耳用振動部24または左耳用振動部26の音声情報にミキシングされ、これによって、受話部13経由の音声情報に含まれる環境騒音および操作者自身の声をキャンセルして通話相手の音声情報を聞き取りやすくする。なお、このとき、受話部13からの音声情報と右耳用振動部24または左耳用振動部26からの音声情報の伝達ルートの違いにかかわらず環境騒音および操作者自身の声が効果的に打ち消されるよう、第1の機能に基づく位相調整も加味してミキシングが行われる。
図4は、図2の実施例1における制御部39の動作のフローチャートである。なお、図4のフローは主に右耳用振動部24および左耳用振動部26の機能を説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示しており、一般的な携帯電話の機能等、図4のフローに表記していない制御部39の動作も存在する。図4のフローは、携帯電話1の操作部9による主電源のオンでスタートし、ステップS2で初期立上および各部機能チェックを行うとともに表示部5における画面表示を開始する。次いでステップS4では、右耳用振動部24および左耳用振動部26の機能をオフにしてステップS6に移行する。ステップSでは、メール操作やインターネット操作、その他諸設定並びにダウンロード済のゲームなど電波を使わない操作(以下、「非通話操作」と総称する)の有無をチェックする。そしてこれらの操作があればステップS8に進んで非通話処理を実行し、ステップS10に至る。なお、非通話操作では、携帯電話1の上部7における受話部13や右耳用振動部24および左耳用振動部26の機能を耳に当てて行う機能を想定していない。一方、ステップS6で非通話操作が検知されないときは直接ステップS10に移行する。
ステップS10では、携帯電波による通話が着信中であるか否かのチェックを行う。そして通話着信中でなければステップS12に進み、携帯電話1からの通話発呼に対する相手からの応答が合ったか否かチェックする。そして応答が検知されるとステップS14に進む。一方、ステップS10で携帯電波による通話が着信中であることが検知されたときはステップS16に移行し、携帯電話が開かれているかどうか、つまり上部7が下部11に重なって折り畳まれている状態から図1のように開かれた状態になっているかをチェックする。そして携帯電話が開かれていることが検知できなければステップS10に戻り、以下、ステップS10とステップS16を繰り返して携帯電話が開かれるのを待つ。なおこの繰り返しで携帯電話が開かれないまま通話の着信が終了すればフローはステップS10からステップS12に移行する。一方、ステップS16で携帯電話が開かれていることが検知されるとステップS14に進む。ステップS14では、送話部23および受話部13をオンしてステップS18に移行する。ステップS18では通話がテレビ電話か否かをチェックし、テレビ電話でなければステップS20に移行してこの時点で通話が断たれているか否か確認して通話断でなければステップS22に移行する。
ステップS22では、赤外光近接センサ21が耳の当接を検知しているか否かチェックし、当接の検知があればステップS24に進む。一方、ステップS22で、赤外光近接センサ21が耳の当接を検知しないときはステップS14に戻り、以下、ステップS14およびステップS18から22を繰り返してステップS22における近接センサの検知を待つ。ステップS24では、加速度センサ49の検知信号に基づき、図2(A)に示すような右耳通話状態の傾斜が生じているかどうかチェックする。そして該当すればステップS26に進み、右耳用軟骨伝導振動部24をオンしてステップS28に移行する。一方、ステップS24で、右耳通話状態の傾斜が生じていることが検知できないときは、加速度センサ49の検知信号が図2(B)に示すような左耳通話状態傾斜を検出していることを意味するからステップS30に進み、左耳用軟骨伝導振動部26をオンしてステップS28に移行する。
なお上記図4のフローの説明では、赤外光近接センサ21が検出する赤外反射光が赤外光発光部19によるものか20によるものかを問わずステップS24に進み、ステップS24では加速度センサ49の信号により右耳通話状態傾斜であるか否かの検知を行うよう説明した。しかしながら、赤外光近接センサ21によっても右耳通話状態傾斜であるか否かの検知が可能なので、ステップS24において加速度センサ49の信号に代え、赤外光発光部19の発光タイミングにおける赤外光近接センサ21の出力が赤外光発光部20の発光タイミングにおけるものより大きければ右耳通話状態傾斜と判断するよう構成してもよい。また、ステップS24において、加速度センサの信号と赤外光発光部19、20の発光タイミングにおける赤外光近接センサ21の出力比較結果とを総合して右耳通話状態傾斜であるか否かの判断をするよう構成してもよい。
ステップS28では通話状態が断たれか否かをチェックし、通話が断たれていなければステップS24に戻って、以下ステップS28で通話断が検知されるまでステップS24からステップS30を繰り返す。これによって通話中の右耳通話状態と左耳通話状態の間の携帯電話の持ち替えに対応する。一方、ステップS28で通話断が検知されるとステップS32に移行し、オン状態にある右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26および受話部13ならびに送話部23をオフしてステップS34に移行する。一方、ステップS12で通話発呼応答が検知されないときは直ちにステップS34に移行する。また、ステップS18でテレビ電話であることが検知されたときはステップS36のテレビ電話処理に移行する。テレビ電話処理では、テレビ電話用内側カメラ17による自分の顔の撮像、スピーカ51による相手の声の出力、送話部23の感度切換、表示部5における相手の顔の表示などが行われる。そして、このようなテレビ電話処理が終了すると、ステップS38に進んでスピーカ51および受話部13ならびに送話部23をオフしてステップS34に移行する。また、ステップS20において通話断が検知されたときもステップS38に移行するがこのときは元々スピーカ51がオンされていないので受話部13と送話部23をオフしてステップS34に移行する。
ステップS34では、主電源のオフ操作の有無がチェックされ、オフ操作があればフローを終了する。一方、ステップS34で主電源オフ操作が検知されないとき、フローはステップS6に戻り、以下ステップS6からステップS38を繰り返す。以上のように、右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26は、携帯電話1が開かれていないとき、携帯電話1が通話状態にないとき、通話状態であってもテレビ電話通話であるとき、および通常通話状態であっても携帯電話1が耳に当てられていないときにおいてオンになることはない。但し、右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26が一度オン状態となったときは、右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26とのオンオフ切り換えを除き、通話断が検知されない限り、これがオフとなることはない。
図5は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例2を示す斜視図である。実施例2においても発明の趣旨は共通しているので、対応する部分には実施例1と同一の番号を付し、説明を省略する。実施例2の携帯電話101は、上部と下部に分離された折り畳み方ではなく、可動部のない一体型のものである。従って、この場合における「上部」とは分離された上部を意味するものではなく、一体構造の上方の部分を意味するものとする。
また、実施例1では、携帯電話1が折りたたまれたとき、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26は上部7と下部11の間に挟まれたて収納された形となるのに対し、実施例2では右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26が常に携帯電話101の外壁に露出している形となる。実施例2においても、図3の内部構造および図4のフローチャートが基本的に流用可能である。但し、上記の構造の違いに関連し、図4のフローチャートのステップS16が省略され、ステップS10で通話着信中であることが確認されたときは直接ステップS14に移行する。
図6は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例3を示す斜視図である。実施例3においても発明の趣旨は共通しているので、対応する部分には実施例1と同一の番号を付し、説明を省略する。実施例3の携帯電話201は、上部107が下部に111に対してスライド可能な構造のものである。実施例3の構造では、上部107を下部111に重ねた状態では、上下関係はなくなるが、実施例3における「上部」とは携帯電話201を伸ばした際に上に来る部分を意味するものとする。
実施例3では、図6のように上部107を伸ばして操作部9を露出させた状態でフル機能が使用可能であるとともに、上部107を下部111に重ねて操作部9が隠れる状態とした場合でも着信応答や通話などの基本機能が使用可能である。実施例3でも、図6のように携帯電話201を伸ばした状態および上部107を下部111に重ねた状態のいずれにおいても、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26が常に携帯電話201の外壁に露出している形となる。実施例3においても、図3の内部構造および図4のフローチャートが基本的に流用可能である。但し、上記のように実施例3は、上部107を下部111に重ねた状態でも通話可能であるので、実施例2と同様にして、図4のフローチャートのステップS16が省略され、ステップS10で通話着信中であることが確認されたときは直接ステップS14に移行する。
上記本発明の種々の特徴の実施は上記の実施例に限られるものではなく、他の実施形態においても実施可能である。例えば、上記実施例では、持ち替えや使用者が変わることによる右耳使用時および左耳使用時の両者に対応するため、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26を設けているが、軟骨伝導の際には右耳のみまたは左耳のみの使用を前提とする場合は軟骨伝導振動部を一つにしてもよい。
また、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26は本来右耳および左耳の耳珠にそれぞれと当接することを前提に設けられているが、特許文献2に開示されているように、耳乳様突起や外耳口後部軟骨面など耳珠以外の耳軟骨構成においても軟骨伝導は可能なので、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26の両者を例えば右耳使用時において右耳軟骨の適当箇所を同時に押し付けて使用してもよい。この意味で、2つの軟骨伝導振動部24および26は必ずしも右耳用および左耳用に限るものではない。この場合は、実施例のように2つの軟骨伝導振動部24および26のいずれか一方のみをオンするのに代えて、両者を同時にオンする。
さらに、上記実施例では、受話部13および右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26を同時にオンするようにしているが、右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26をオンするときは受話部13をオフするよう構成してもよい。この場合、音声情報の位相調整は不要となる。
図7は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例4を示す斜視図である。実施例4においても発明の趣旨は共通しているので、対応する部分には実施例1と同一の番号を付し、説明を省略する。実施例4の携帯電話301は、実施例2と同様にして上部と下部に分離された折り畳み方ではなく、可動部のない一体型のものである。また、GUI(グラフィカル・ユーサ・インタフェース)機能を備えた大画面205を有するいわゆるスマートフォンとして構成されている。実施例4においても、「上部」とは分離された上部を意味するものではなく、一体構造の上方の部分を意味するものとする。なお、実施例4においては、テンキーなどの操作部9は大画面205上に表示され、大画面205に対する指のタッチやスライドに応じてGUI操作される。
実施例4における軟骨伝導振動機能は、圧電バイモルフ素子等からなる軟骨伝導振動源225と振動伝導体227を有する軟骨伝導振動ユニットが担う。軟骨伝導振動源225は、振動伝導体227の下部に接触して配置され、振動伝導体227にその振動を伝える。軟骨伝導振動源225は、実施例1から3と同様にして携帯電話外壁(図7では正面)から突出してデザインを害さないよう構成されるが、軟骨伝導振動源225の振動が振動伝導体227により側方に伝達され、その両端224および226を振動させる。振動伝導体227の両端224および226は耳珠と接触する携帯電話301の上部7の内側角に位置するので、実施例1から3と同様にして携帯電話外壁から突出することなく効果的に耳珠に接触する。このように、振動伝導体227の右端部224および左端部226はそれぞれ、実施例1でいう右耳用振動部24および左耳用振動部26を構成する。
なお、振動伝導体227はその右端224および左端226だけで振動するのではなく全体で振動しているので、実施例4では、携帯電話301の内側上端辺のどこを耳軟骨に接触させても音声情報を伝達することができる。このような軟骨伝導振動ユニットの構成は、振動伝導体227によって軟骨伝導振動源225の振動を所望の位置に導けるとともに、軟骨伝導振動源225そのものを携帯電話301の外壁に配置する必要がないので、レイアウトの自由度が高まり、スペースに余裕のない携帯電話に軟骨伝導振動ユニットを実装するのに有用である。
実施例4は、さらに2つの機能が追加されている。ただ、これらの機能は実施例4に特有のものではなく、実施例1から3にも適用可能である。追加機能の一つは、軟骨伝送振動部の誤動作を防止するためのものである。実施例1から4のいずれにおいても、赤外光発光部19および20と赤外光近接センサ21により携帯電話が耳に当てられたことを検知しているが、例えば実施例1において携帯電話の内側を下にして机等においた場合近接センサの検知があるので、携帯電話が耳に当てられたものと誤認し、図4のフローのS22からステップS24に進むおそれがある。そしてステップS24で検知される右耳通話状態傾斜にも該当しないので、フローがステップS30に進み左耳用軟骨伝導振動部が誤ってオンになる可能性がある。軟骨伝導振動部の振動エネルギーは比較的大きいので、このような誤動作があると、机との間で振動騒音を生じる可能性がある。実施例4ではこれを防止するため、加速度センサ49により水平静止状態を検知し、該当すれば、軟骨伝導振動源225の振動を禁止するよう構成している。この点の詳細については後述する。
次に、実施例4における二つ目の追加機能について説明する。本発明の各実施例は、右耳用振動部24または左耳用振動部26(実施例4では、振動伝導体227の右端部224または左端部226)を右耳または左耳の耳珠に接触させることにより音声情報を伝えるが、接触圧を高めて耳珠で耳穴を塞ぐことによって耳栓骨導効果を生じ、さらに大きな音で音声情報を伝えることができる。さらに耳珠で耳穴を塞ぐことにより環境騒音を遮断されるので、このような状態での使用は、不要な環境騒音を減じて必要な音声情報を増加させる一挙両得の受話状況を実現し、例えば駅騒音下での通話等に好適である。耳栓骨導効果が生じているときは、声帯からの骨導による自分の声も大きくなるとともに左右の聴感覚バランスが崩れる違和感を生じる。実施例4では、このような耳栓骨導効果発生中の自分の声の違和感を緩和するため、送話部23から拾った自分の声の情報の位相を反転させて振動伝導体228に伝え、自分の声をキャンセルするよう構成している。この点の詳細についても後述する。
図8は、実施例4のブロック図であり、同一部分には図7と同一番号を付す。また、実施例1から3と共通する部分が多いので対応する部分にはこれらの各部と同一の番号を付す。そして、これら同一または共通部分については、特に必要のない限り、説明を省略する。実施例4では、電話機能部45を若干詳細に図示しているが、構成は実施例1から3と共通である。具体的に述べると、相当し、図8の受話処理部212とマイク213が、図3の受話部13に相当し、図8の送話処理部222とマイク223が、図3の送話部23に相当する。一方、図7の軟骨伝導振動源225と振動伝導体227は、図8で軟骨伝導振動ユニット228としてまとめて図示している。送話処理部222は、マイク223から拾った操作者の音声の一部をサイドトーンとして受話処理部212に伝達し、受話処理部212は電話通信部47からの通話相手の声に操作者自身のサイドトーンを重畳してイヤホン213に出力することによって、携帯電話301を耳に当てている状態の自分の声の骨導と気導のバランスを自然な状態に近くする。
送話処理部222は、さらにマイク223から拾った操作者の音声の一部を音質調整部238に出力する。音質調整部238は、軟骨伝導振動ユニット228から出力して蝸牛に伝えるべき自分の声の音質を耳栓骨導効果発生時に声帯から体内伝導で蝸牛に伝わる操作者自身の声に近似した音質に調整し、両者のキャンセルを効果的にする。そして、位相反転部240はこのようにして音質調整された自分の声を位相反転して位相調整ミキサー部236に出力する。位相調整ミキサー部236は、押圧センサ242の検知する押圧が所定で携帯電話301により耳穴が耳珠で塞がれている状態に該当するときは、制御部239からの指示により位相反転部240からの出力をミキシングして軟骨伝導振動ユニット228を駆動する。これによって、耳栓骨導効果発生中の過度の自分の声がキャンセルされ、違和感の緩和が図られる。このとき、サイドトーン相当分の自分の声はキャンセルせずに残すようキャンセルの程度が調節される。一方、押圧センサの検出する押圧が低い場合は、耳穴が耳珠で塞がれておらず耳栓骨導効果が生じていない状態に該当するので、位相調整ミキサー部は制御部239の指示に基づき、位相反転部240からの自声位相反転出力のミキシングを行わない。なお、図8において、音質調整部238と位相反転部240の位置は逆転して構成してもよい。さらに、音質調整部238および位相反転部240は、位相調整ミキサー部236内の機能として一体化してもよい。
図9は、実施例4において右の耳珠に携帯電話301が当てられている状態を示す要部概念ブロック図であり、耳栓骨導効果発生中の自分の声のキャンセルについて説明するものである。また、図9は、押圧センサ242の具体的実施例についても図示しており、軟骨伝導振動部225が圧電バイモルフ素子であることを前提に構成されている。なお、同一部分については図7および図8と同一番号を付し、特に必要のない限り、説明を省略する。
図9(A)は、耳珠32が耳穴232を塞がない程度に携帯電話301が耳珠32に当てられている状態を示す。この状態では、受話処理部212からの通話相手の音声情報に基づき位相調整ミキサー部236が軟骨伝導振動部225を駆動している。押圧センサ242は、位相調整ミキサー部236と軟骨伝導振
動部225を結ぶ信号線に現れる信号をモニタしており、振動伝導体227への押圧に応じて加えられる軟骨伝導振動部(圧電バイモルフ素子)225への歪に基づく信号変化を検知するよう構成される。このように、耳珠32に接触することにより音声情報を伝える軟骨伝導振動部225を圧電バイモルフ素子で構成すると、その圧電バイモルフ素子自体を耳珠32への押圧センサとしても兼用することができる。押圧センサ242は、さらに、位相調整ミキサー部236と受話処理部212を結ぶ信号線に現れる信号をモニタしている。ここに現れる信号は、耳珠32への押圧の影響を受けないので、押圧判定のための参照信号として利用することができる。
上記のように、図9(A)では耳珠32が耳穴232を塞がない状態にあり、押圧センサ力242の判定する押圧が小さいので、この判定に基づき、制御部239は位相反転部240からの位相反転自声を軟骨伝導振動部225にミキシングしないよう位相調整ミキサー部236に指示する。一方、図9(B)は、矢印302の方向に携帯電話301が耳珠32をより強く押し、耳珠32が耳穴232を塞いでいる状態を示す。そして、この状態では、耳栓骨導効果が発生している。押圧センサ力242は、所定以上の押圧の増加検出に基づいて耳穴が塞がれたものと判定し、この判定に基づいて制御部239は位相反転部240からの位相反転自声を軟骨伝導振動部225にミキシングするよう位相調整ミキサー部236に指示する。以上のようにして、耳栓骨導効果発生中の自声の違和感が緩和される。逆に、押圧センサ242によって、図9(B)の状態から所定以上の押圧の減少が検出されると、図(A)ののように耳穴が塞がれない状態になったものと判定され、位相反転自声のミキシングが停止される。なお、押圧センサ242は、押圧の絶対量および押圧の変化方向に基づいて、図9(A)と図9(B)の間の状態遷移を判定する。なお、両者の声がない無音状態においては、押圧センサ242は耳には聞こえない押圧モニタ信号を直接骨伝導振動部225に直接印加することで、押圧を検知する。
図10は、図8の実施例4における制御部239の動作のフローチャートである。なお、図10のフローは図4における実施例1のフローと共通するところが多いので、対応部分には同一のステップ番号を付し、必要のない限り説明を省略する。図10も、主に軟骨伝導振動ユニットの機能を説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示している。従って、図4の場合と同様、一般的な携帯電話の機能等、図10のフローに表記していない制御部239の動作も存在する。図10において図4と異なる部分は太字で示しているので、以下これらの部分を中心に説明する。
ステップS42は、図4のステップS6およびステップS8をまとめたもので、ステップS42の非通話処理の中に、非通話操作なしで次のステップに直行する場合も含めて図示しているが、その内容は図4のステップS6およびステップS8と同じである。また、ステップS44は、図4のステップS10およびステップS12をまとめたもので、相手側からの着信であるか自分からの発信であるかを問わず両者間の通話状態の有無をチェックするステップとして図示しているが、その内容は、図4のステップS6およびステップS8と同じである。なお、実施例4では携帯電話301を開閉する構成はないので、図4のステップS16に相当するステップは含まない。
ステップS46は、実施例4における一つ目の追加機能に関するもので、携帯電話301が所定時間(例えば、0.5秒)手持ち状態から離れて水平状態で静止しているかどうかをチェックする。そして、ステップS22により近接センサの検知があったときに、ステップS46でこのような水平静止状態でないことが確認された場合に初めてステップS48に移行し、軟骨伝導振動源225をオンする。一方、ステップS46で水平静止状態が検知されたときはステップS50に進み、軟骨伝導振動源225をオフしてステップS14に戻る。なお、ステップS50は後述するフローの繰り返しにおいて、軟骨伝導振動源がオンの状態でステップS46に至り、水平静止状態が検知されたときに対応するもので、軟骨伝導振動源がオフの状態でステップS50に至ったときはなにもせずにステップS14に戻る。
ステップS52は、実施例4における二つ目の追加機能に関するもので、携帯電話301を耳珠32に強く押し当てて耳穴232を塞ぐことによる耳栓骨導効果が生じているかどうかをチェックするものである。具体的には図9に示したように押圧センサ242による所定以上の押圧変化の有無およびその方向によりこれをチェックする。そして耳栓骨導効果が生じる状態であることが検知されたときはステップS54に進み、自分の声の位相反転信号を軟骨伝導振動源225に付加してステップS58に移行する。一方、ステップS52で耳栓骨導効果が生じない状態であることが検知されたときはステップS56に移行し、自分の声の位相反転信号の軟骨伝導振動源225への付加をなくしてステップS58に移行する。ステップS58では通話状態が断たれか否かをチェックし、通話が断たれていなければステップS22に戻って、以下ステップS58で通話断が検知されるまでステップS22およびステップS46からステップS58を繰り返す。これによって通話中の耳栓骨導効果の発生および消滅に対応する。
以上に説明した各実施例の種々の特徴は個々の実施例に限られるものではなく、適宜他の実施例の特徴と入れ換えたり組合せたりすることができる。例えば、図10における実施例4のフローチャートでは、図4の実施例1のフローチャートにおける右耳用軟骨伝導振動部と左耳用軟骨伝導振動部との切り換えの構成がないが、実施例10の軟骨伝導振動ユニット228の構成として実施例1のような右耳用軟骨伝導振動部24と左耳用軟骨伝導振動部を採用し、ステップS22およびステップS46からステップS58のループの繰り返しの中で、耳栓骨導効果の発生および消滅への対応に加え、図4のステップS24からステップS26に準じた機能による右耳通話状態と左耳通話状態の間の携帯電話の持ち替えへの対応も併せて行うよう構成してもよい。また、図10の実施例4における水平静止状態のチェックと軟骨伝導振動ユニットのオフ機能を、実施例1から実施例3に追加することも可能である。さらに、実施例1から3において、実施例4のような軟骨伝導振動ユニッを採用することも可能である。
しかしながら、携帯電話および音声出力装置の機能に関しては、さらに検討すべき課題が多い。
本発明の課題は、上記に鑑み、使用の容易な機能を有する携帯電話および音声出力装置を提供することにある。
上記課題を達成するため、本発明は、携帯電話上部に、耳軟骨に当接する軟骨伝導振動部を設けた携帯電話を提供する。これによって、耳軟骨の良好な音声情報伝達能力を活用し、押圧や耳挿入の不快感なしに、通常の通話状態に近い使用感にて使用可能な携帯電話を提供することができる。
本発明の具体的な特徴によれば、軟骨伝導振動部は、携帯電話外壁から突出しないよう構成される。これによって、軟骨伝導振動部の配置による違和感のある突出部なしに携帯電話の機能と美観を損なわない形状を実現することができる。
より具体的な特徴によれば、軟骨伝導振動部は、携帯電話の耳側上部角に配置される。これによって、耳軟骨への自然な当接を達成でき、携帯電話外壁から突出しない軟骨伝導振動部の配置を実現することができる。
さらに具体的な特徴によれば、軟骨伝導振動部は、携帯電話の耳側上部角のうち使用姿勢における傾斜下側の角に配置される。これによって、携帯電話を手にもって耳に当てる通常の通話状態に近い姿勢によって、通話者本人にとっても傍目にも違和感がない状態で軟骨伝導振動部を耳軟骨に当接することができる。この姿勢は耳珠への接触に好適であり、また耳珠は特に軟骨伝導効果が高いので二重に好適である。
本発明の他の具体的な特徴によれば、軟骨伝導振動部は、携帯電話上部に2つ設けられる。この構成は、耳軟骨との接触効果を高める上で、好適である。例えば、2つの軟骨伝導振動部は、右耳使用か左耳使用かに応じてそのうちの1つが振動させるよう構成され左右の持ち替えに対応することができる。
上記本発明のさらに具体的な特徴によれば、2つの軟骨伝導振動部のいずれに耳が接触しているかを検知するセンサが携帯電話上部に設けられ、2つの軟骨伝導振動部は、このセンサの出力に応じてそのうちの1つが振動させられる。これに代えて、重力加速度検知部を設け、2つの軟骨伝導振動部は、重力加速度検知部の検知する重力加速度の方向に応じてそのうちの1つが振動させられる。さらに、携帯電話持ち替えの検知には上記を併用してもよい。
上記本発明の他の特徴によれば、テレビ電話機能を有する携帯電話において、テレビ電話機能が動作しているとき軟骨伝導振動部の機能が禁止される。これによって、携帯電話を耳に当てることのない状態において軟骨伝導振動部が無意味に機能するのを防止することができる。
上記本発明のさらに他の特徴によれば、折り畳み構造を有し、軟骨伝導振動部が折り畳み状態において耳軟骨に当接不能となる位置に配置される場合、折り畳み状態において軟骨伝導振動部の機能が禁止される。これによって、携帯電話を耳に当てることができない状態において軟骨伝導振動部が無意味に機能するのを防止することができる。
本発明の他の特徴によれば、音声出力部と、骨伝導振動部と、音声出力部と骨伝導振動部に同時に音声情報を出力する制御部と、音声出力部と骨伝導振動部に出力する音声信号の位相を相対調整する位相調整部とを有する音声出力装置が提供される。これによって、外耳道からの空気振動と骨伝導という2系統によって同じ音声情報が伝達されることによる不都合を防止することができる。
本発明の他の特徴によれば、骨伝導振動部と、環境騒音マイクと、軟骨伝導振動部に環境騒音マイクから拾った音声情報を位相反転させて出力する位相調整部とを有する音声出力装置が提供される。これによって、外耳道からの空気振動によって伝えられる有用音声情報と環境騒音のうち環境騒音をキャンセルすることが可能となる。
上記のように、本発明によれば、軟骨伝導を利用した有用な携帯電話および音声出力装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例1を示す斜視図である。図1において、携帯電話1は、表示部5等を有する上部7と、テンキーなどの操作部9および操作者の口から発音される音声をひろうマイク等の送話部23を有する下部11からなり、上部7がヒンジ部3によって下部11の上に折り畳み可能に構成される。上部7には、操作者の耳に音声を伝えるイヤホン等の受話部13が設けられ、下部11の送話部23とともに電話機能を構成している。また、上部7には、携帯電話1をテレビ電話として利用する場合において表示部5を見ている操作者の顔を写すことができるとともに、自分撮りの際にも利用される内側カメラ17が配置されている。さらに、上部7には、携帯電話1が通話のために耳に当接していることを検知するための近接センサを構成する一対の赤外光発光部19、20および耳からの赤外反射光を受光する共通の赤外光近接センサ21が設けられている。なお、図1では図示しないが、上部7の背面には背面カメラが設けられており、携帯電話1の背面側にあって表示部5でモニタされる被写体を撮影することができる。
上部7にはさらに、内側(耳に当たる側)の上部角において、耳珠の接触するための圧電バイモルフ素子等からなる右耳用振動部24および左耳用振動部26が設けられている。これらの右耳用振動部24および左耳用振動部26は、携帯電話外壁から突出してデザインを害さないよう構成されるが、携帯電話外壁の角に設けられることにより、効果的に耳珠に接触する。これによって、受話部13からの音声による受話と併せて、耳珠の軟骨からの骨伝導にて受話が可能となる。なお、上記特許文献2に開示されているように、耳珠は、耳乳様突起、外耳口後部軟骨面、耳珠およびもみ上げ部等の耳軟骨構成の中で最も大きな聴感が得られるとともに押し付け圧力を増大させたときの低音部の上昇が他の位置よりも大きくなることが知られている。この知見については特許文献2に詳述されているのでこれを参照することができる。
携帯電話1は、これを右耳に当てたとき図1において時計方向に若干回転し、図1において右下がりの状態となる。そしてこのような携帯電話耳側上端の傾斜下側角に右耳用振動部24を設けることにより、振動部を携帯電話外壁から突出させることなく右耳用振動部24を自然に右耳の耳珠に接触させることができる。この状態は、通常の通話状態に近い姿勢であり、通話者本人にとっても傍目にも違和感がない。なお、受話部13は右耳用振動部24近傍にあるので、耳珠軟骨経由の音声情報と外耳道経由の音声情報がともに耳に伝わることになる。このとき、異なった発音対と経路により同じ音声情報が伝えられることになるので、お互いが打ち消しあうことがないよう、両者間の位相調整が行われる。
一方、携帯電話1を左耳に当てたときは、携帯電話1が図1において反時計方向に若干回転し、図1において左下がりの状態となる。そして、右耳の場合と同様にして、携帯電話耳側上端の傾斜下側角に左耳用振動部26が設けられている状態となり、左耳用振動部26を自然に左耳の耳珠に接触させることができる。この状態が、通常の通話状態に近い姿勢であること、および受話部13が左耳用振動部26近傍にあって耳珠軟骨経由の音声情報と外耳道経由の音声情報がともに耳に伝わるので、両者間の位相調整が行われることは、右耳の場合と同様である。
なお、上記近接センサにおける一対の赤外光発光部19、20は時分割で交互に発光しているので、共通の赤外光近接センサ21はいずれの発光部からの赤外光による反射光を受光しているのか識別可能であり、これによって右耳用振動部24および左耳用振動部26のいずれが耳珠に当たっているのか判断可能である。これによって、携帯電話がいずれの耳で使用されているかが判別でき、耳珠が当接している方の振動部を振動させて他方をオフとすることが可能である。しかしながら、携帯電話1の耳への当て方や耳の形の個人差にはバラツキがあるので、実施例1では、さらに後述のように加速度センサを内蔵し、この加速度センサによって検知される重力加速度によって、携帯電話1がどちらに傾いているのかを検知して、傾斜下側角にある方の振動部を振動させて他方をオフとするよう構成している。以上の右耳使用および左耳使用については、各仕様状態に即した図示により再度説明する。
上部7にはさらに、環境騒音を拾うよう外側(耳に当たらない背面側)に配置され、かつ右耳用振動部24と左耳用振動部26の振動の伝導防止手段が施された環境騒音マイク38が設けられる。この環境騒音マイク38はさらに操作者の口から発音される音声を拾う。環境騒音マイク38が拾った環境騒音および操作者自身の声は位相反転された上で右耳用振動部24および左耳用振動部26にミキシングされ、受話部13経由の音声情報に含まれる環境騒音および操作者自身の声をキャンセルして通話相手の音声情報を聞き取りやすくする。この機能の詳細は後述する。
図2は、右耳用振動部24と左耳用振動部26の機能を示す携帯電話1の側面図であり、図2(A)は、右手に携帯電話1を持って右耳28を当てている状態を示す。一方、図2(B)は、左手に携帯電話1を持って左耳30に当てている状態を示す。なお、図2(A)は、顔の右側面から見た図であり、図2(B)は、顔の左側面から見た図なので、携帯電話1はそれぞれ背面側(図1の裏側)が見えている。なお、携帯電話1と右耳28および左耳30との関係を図示するため、携帯電話1は一点鎖線にて示している。
図2(A)に示すように、携帯電話1は、これを右耳に当てたとき図2において反時計方向(図1と裏表の関係)に若干傾き、図2において左下がりの状態となる。そして耳用振動部24はこのような携帯電話耳側上端の傾斜下側角に設けられているので、これを自然に右耳の耳珠32に接触させることができる。すでに述べたように、この状態は、通常の通話状態に近い姿勢であり、通話者本人にとっても傍目にも違和感がない。一方、図2(B)に示すように、携帯電話1は、これを左耳に当てたとき図2において時計方向(図1と裏表の関係)に若干傾き、図2において右下がりの状態となる。そして耳用振動部26はこのような携帯電話耳側上端の傾斜下側角に設けられているので、これを自然に左耳の耳珠34に接触させることができる。この状態においても、右耳の場合と同様、通常の通話状態に近い姿勢であり、通話者本人にとっても傍目にも違和感がない。
図3は、実施例1のブロック図であり、同一部分には図1と同一番号を付し、必要のない限り、説明は省略する。携帯電話1は、記憶部37に記憶されるプログラムに従って動作する制御部39によって制御される。記憶部37はまた、制御部39の制御に必要なデータを一時記憶するとともに、種々の測定データや画像も記憶することができる。表示部5の表示は制御部39の制御に基づき表示ドライバ41の保持する表示データに基づいて行われる。表示部5は表示バックライト43を有しており、周囲の明るさに基づいて制御39がその明るさを調節する。
受話部13および送話部23を含む電話機能部45は、制御部39の制御下にある電話通信部47により、無線電話回線に接続可能である。スピーカ51は、制御部39の制御により着信音や種々の案内を行うとともにテレビ電話時の相手の声を出力する。このスピーカ51の音声出力は、右耳用軟骨伝送振動部24および左耳用軟骨伝送振動部26から出力されることはない。テレビ電話の際は、軟骨伝導振動部が耳に当てられる可能性がないからである。また、画像処理部53は、制御部39に制御されてテレビ電話用内側カメラ17および背面主カメラ55によって撮像される画像を処理し、これらの処理結果の画像を記憶部37に入力する。
上記のように、近接センサにおける一対の赤外光発光部19、20は制御部39の制御に基づき時分割で交互に発光している。従って、共通の赤外光近接センサ21によって制御部39に入力される赤外反射光は、いずれの発光部からの赤外光による反射光識別可能である。制御部39は赤外光発光部19、20の両者から反射光が検知されるときは、これらを相互比較し、右耳用振動部24および左耳用振動部26のいずれが耳珠に当たっているのか判断する。さらに加速度センサ49は、検知される重力加速度の向きを検知する。この検知信号に基づき、制御部39は、携帯電話1が図2(A)および図2(B)のいずれの状態で傾いているのか判断し、図2で説明したように傾斜下側角にある方の振動部を振動させて他方をオフとする。
携帯電話1はさらに、制御部39からの音声情報に位相調整を行い、右耳用振動部24および左耳用振動部26に伝達するための位相調整ミキサー部36を有する。より詳細に説明すると、この位相調整部36は、受話部13から発生して外耳道から鼓膜経由で伝わる音声情報と右耳用振動部24または左耳用振動部26から発生して耳珠軟骨経由で伝わる同じ音声情報がお互い打ち消しあうことがないよう、制御部39から受話部13に伝達される音声情報を基準にして、制御部39からの音声情報に位相調整を行い、右耳用振動部24および左耳用振動部26に伝達する。なお、この位相調整は、受話部13と右耳用振動部24および左耳用振動部26との間の相対調整なので、制御部39から右耳用振動部24および左耳用振動部26に伝達される音声情報を基準にして、制御部39から受話部13に伝達される音声情報の位相を調整するよう構成してもよい。この場合、スピーカ51への音声情報も受話部13への音声情報と同位相で調整する。
なお、位相調整ミキサー部36は上記のような受話部13からの音声情報と右耳用振動部24または左耳用振動部26からの同じ音声情報がお互い打ち消しあうことがないようにする第1の機能を有する他、環境騒音マイク38との協働による第2の機能を有する。この第2の機能では、環境騒音マイク38が拾う環境騒音および操作者自身の声が位相調整ミキサー部36によって位相反転された上で右耳用振動部24または左耳用振動部26の音声情報にミキシングされ、これによって、受話部13経由の音声情報に含まれる環境騒音および操作者自身の声をキャンセルして通話相手の音声情報を聞き取りやすくする。なお、このとき、受話部13からの音声情報と右耳用振動部24または左耳用振動部26からの音声情報の伝達ルートの違いにかかわらず環境騒音および操作者自身の声が効果的に打ち消されるよう、第1の機能に基づく位相調整も加味してミキシングが行われる。
図4は、図2の実施例1における制御部39の動作のフローチャートである。なお、図4のフローは主に右耳用振動部24および左耳用振動部26の機能を説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示しており、一般的な携帯電話の機能等、図4のフローに表記していない制御部39の動作も存在する。図4のフローは、携帯電話1の操作部9による主電源のオンでスタートし、ステップS2で初期立上および各部機能チェックを行うとともに表示部5における画面表示を開始する。次いでステップS4では、右耳用振動部24および左耳用振動部26の機能をオフにしてステップS6に移行する。ステップSでは、メール操作やインターネット操作、その他諸設定並びにダウンロード済のゲームなど電波を使わない操作(以下、「非通話操作」と総称する)の有無をチェックする。そしてこれらの操作があればステップS8に進んで非通話処理を実行し、ステップS10に至る。なお、非通話操作では、携帯電話1の上部7における受話部13や右耳用振動部24および左耳用振動部26の機能を耳に当てて行う機能を想定していない。一方、ステップS6で非通話操作が検知されないときは直接ステップS10に移行する。
ステップS10では、携帯電波による通話が着信中であるか否かのチェックを行う。そして通話着信中でなければステップS12に進み、携帯電話1からの通話発呼に対する相手からの応答が合ったか否かチェックする。そして応答が検知されるとステップS14に進む。一方、ステップS10で携帯電波による通話が着信中であることが検知されたときはステップS16に移行し、携帯電話が開かれているかどうか、つまり上部7が下部11に重なって折り畳まれている状態から図1のように開かれた状態になっているかをチェックする。そして携帯電話が開かれていることが検知できなければステップS10に戻り、以下、ステップS10とステップS16を繰り返して携帯電話が開かれるのを待つ。なおこの繰り返しで携帯電話が開かれないまま通話の着信が終了すればフローはステップS10からステップS12に移行する。一方、ステップS16で携帯電話が開かれていることが検知されるとステップS14に進む。ステップS14では、送話部23および受話部13をオンしてステップS18に移行する。ステップS18では通話がテレビ電話か否かをチェックし、テレビ電話でなければステップS20に移行してこの時点で通話が断たれているか否か確認して通話断でなければステップS22に移行する。
ステップS22では、赤外光近接センサ21が耳の当接を検知しているか否かチェックし、当接の検知があればステップS24に進む。一方、ステップS22で、赤外光近接センサ21が耳の当接を検知しないときはステップS14に戻り、以下、ステップS14およびステップS18から22を繰り返してステップS22における近接センサの検知を待つ。ステップS24では、加速度センサ49の検知信号に基づき、図2(A)に示すような右耳通話状態の傾斜が生じているかどうかチェックする。そして該当すればステップS26に進み、右耳用軟骨伝導振動部24をオンしてステップS28に移行する。一方、ステップS24で、右耳通話状態の傾斜が生じていることが検知できないときは、加速度センサ49の検知信号が図2(B)に示すような左耳通話状態傾斜を検出していることを意味するからステップS30に進み、左耳用軟骨伝導振動部26をオンしてステップS28に移行する。
なお上記図4のフローの説明では、赤外光近接センサ21が検出する赤外反射光が赤外光発光部19によるものか20によるものかを問わずステップS24に進み、ステップS24では加速度センサ49の信号により右耳通話状態傾斜であるか否かの検知を行うよう説明した。しかしながら、赤外光近接センサ21によっても右耳通話状態傾斜であるか否かの検知が可能なので、ステップS24において加速度センサ49の信号に代え、赤外光発光部19の発光タイミングにおける赤外光近接センサ21の出力が赤外光発光部20の発光タイミングにおけるものより大きければ右耳通話状態傾斜と判断するよう構成してもよい。また、ステップS24において、加速度センサの信号と赤外光発光部19、20の発光タイミングにおける赤外光近接センサ21の出力比較結果とを総合して右耳通話状態傾斜であるか否かの判断をするよう構成してもよい。
ステップS28では通話状態が断たれか否かをチェックし、通話が断たれていなければステップS24に戻って、以下ステップS28で通話断が検知されるまでステップS24からステップS30を繰り返す。これによって通話中の右耳通話状態と左耳通話状態の間の携帯電話の持ち替えに対応する。一方、ステップS28で通話断が検知されるとステップS32に移行し、オン状態にある右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26および受話部13ならびに送話部23をオフしてステップS34に移行する。一方、ステップS12で通話発呼応答が検知されないときは直ちにステップS34に移行する。また、ステップS18でテレビ電話であることが検知されたときはステップS36のテレビ電話処理に移行する。テレビ電話処理では、テレビ電話用内側カメラ17による自分の顔の撮像、スピーカ51による相手の声の出力、送話部23の感度切換、表示部5における相手の顔の表示などが行われる。そして、このようなテレビ電話処理が終了すると、ステップS38に進んでスピーカ51および受話部13ならびに送話部23をオフしてステップS34に移行する。また、ステップS20において通話断が検知されたときもステップS38に移行するがこのときは元々スピーカ51がオンされていないので受話部13と送話部23をオフしてステップS34に移行する。
ステップS34では、主電源のオフ操作の有無がチェックされ、オフ操作があればフローを終了する。一方、ステップS34で主電源オフ操作が検知されないとき、フローはステップS6に戻り、以下ステップS6からステップS38を繰り返す。以上のように、右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26は、携帯電話1が開かれていないとき、携帯電話1が通話状態にないとき、通話状態であってもテレビ電話通話であるとき、および通常通話状態であっても携帯電話1が耳に当てられていないときにおいてオンになることはない。但し、右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26が一度オン状態となったときは、右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26とのオンオフ切り換えを除き、通話断が検知されない限り、これがオフとなることはない。
図5は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例2を示す斜視図である。実施例2においても発明の趣旨は共通しているので、対応する部分には実施例1と同一の番号を付し、説明を省略する。実施例2の携帯電話101は、上部と下部に分離された折り畳み方ではなく、可動部のない一体型のものである。従って、この場合における「上部」とは分離された上部を意味するものではなく、一体構造の上方の部分を意味するものとする。
また、実施例1では、携帯電話1が折りたたまれたとき、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26は上部7と下部11の間に挟まれたて収納された形となるのに対し、実施例2では右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26が常に携帯電話101の外壁に露出している形となる。実施例2においても、図3の内部構造および図4のフローチャートが基本的に流用可能である。但し、上記の構造の違いに関連し、図4のフローチャートのステップS16が省略され、ステップS10で通話着信中であることが確認されたときは直接ステップS14に移行する。
図6は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例3を示す斜視図である。実施例3においても発明の趣旨は共通しているので、対応する部分には実施例1と同一の番号を付し、説明を省略する。実施例3の携帯電話201は、上部107が下部に111に対してスライド可能な構造のものである。実施例3の構造では、上部107を下部111に重ねた状態では、上下関係はなくなるが、実施例3における「上部」とは携帯電話201を伸ばした際に上に来る部分を意味するものとする。
実施例3では、図6のように上部107を伸ばして操作部9を露出させた状態でフル機能が使用可能であるとともに、上部107を下部111に重ねて操作部9が隠れる状態とした場合でも着信応答や通話などの基本機能が使用可能である。実施例3でも、図6のように携帯電話201を伸ばした状態および上部107を下部111に重ねた状態のいずれにおいても、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26が常に携帯電話201の外壁に露出している形となる。実施例3においても、図3の内部構造および図4のフローチャートが基本的に流用可能である。但し、上記のように実施例3は、上部107を下部111に重ねた状態でも通話可能であるので、実施例2と同様にして、図4のフローチャートのステップS16が省略され、ステップS10で通話着信中であることが確認されたときは直接ステップS14に移行する。
上記本発明の種々の特徴の実施は上記の実施例に限られるものではなく、他の実施形態においても実施可能である。例えば、上記実施例では、持ち替えや使用者が変わることによる右耳使用時および左耳使用時の両者に対応するため、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26を設けているが、軟骨伝導の際には右耳のみまたは左耳のみの使用を前提とする場合は軟骨伝導振動部を一つにしてもよい。
また、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26は本来右耳および左耳の耳珠にそれぞれと当接することを前提に設けられているが、特許文献2に開示されているように、耳乳様突起や外耳口後部軟骨面など耳珠以外の耳軟骨構成においても軟骨伝導は可能なので、右耳用軟骨伝導振動部24および左耳用軟骨伝導振動部26の両者を例えば右耳使用時において右耳軟骨の適当箇所を同時に押し付けて使用してもよい。この意味で、2つの軟骨伝導振動部24および26は必ずしも右耳用および左耳用に限るものではない。この場合は、実施例のように2つの軟骨伝導振動部24および26のいずれか一方のみをオンするのに代えて、両者を同時にオンする。
さらに、上記実施例では、受話部13および右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26を同時にオンするようにしているが、右耳用軟骨伝導振動部24または左耳用軟骨伝導振動部26をオンするときは受話部13をオフするよう構成してもよい。この場合、音声情報の位相調整は不要となる。
図7は、本発明の実施の形態に係る携帯電話の実施例4を示す斜視図である。実施例4においても発明の趣旨は共通しているので、対応する部分には実施例1と同一の番号を付し、説明を省略する。実施例4の携帯電話301は、実施例2と同様にして上部と下部に分離された折り畳み方ではなく、可動部のない一体型のものである。また、GUI(グラフィカル・ユーサ・インタフェース)機能を備えた大画面205を有するいわゆるスマートフォンとして構成されている。実施例4においても、「上部」とは分離された上部を意味するものではなく、一体構造の上方の部分を意味するものとする。なお、実施例4においては、テンキーなどの操作部9は大画面205上に表示され、大画面205に対する指のタッチやスライドに応じてGUI操作される。
実施例4における軟骨伝導振動機能は、圧電バイモルフ素子等からなる軟骨伝導振動源225と振動伝導体227を有する軟骨伝導振動ユニットが担う。軟骨伝導振動源225は、振動伝導体227の下部に接触して配置され、振動伝導体227にその振動を伝える。軟骨伝導振動源225は、実施例1から3と同様にして携帯電話外壁(図7では正面)から突出してデザインを害さないよう構成されるが、軟骨伝導振動源225の振動が振動伝導体227により側方に伝達され、その両端224および226を振動させる。振動伝導体227の両端224および226は耳珠と接触する携帯電話301の上部7の内側角に位置するので、実施例1から3と同様にして携帯電話外壁から突出することなく効果的に耳珠に接触する。このように、振動伝導体227の右端部224および左端部226はそれぞれ、実施例1でいう右耳用振動部24および左耳用振動部26を構成する。
なお、振動伝導体227はその右端224および左端226だけで振動するのではなく全体で振動しているので、実施例4では、携帯電話301の内側上端辺のどこを耳軟骨に接触させても音声情報を伝達することができる。このような軟骨伝導振動ユニットの構成は、振動伝導体227によって軟骨伝導振動源225の振動を所望の位置に導けるとともに、軟骨伝導振動源225そのものを携帯電話301の外壁に配置する必要がないので、レイアウトの自由度が高まり、スペースに余裕のない携帯電話に軟骨伝導振動ユニットを実装するのに有用である。
実施例4は、さらに2つの機能が追加されている。ただ、これらの機能は実施例4に特有のものではなく、実施例1から3にも適用可能である。追加機能の一つは、軟骨伝送振動部の誤動作を防止するためのものである。実施例1から4のいずれにおいても、赤外光発光部19および20と赤外光近接センサ21により携帯電話が耳に当てられたことを検知しているが、例えば実施例1において携帯電話の内側を下にして机等においた場合近接センサの検知があるので、携帯電話が耳に当てられたものと誤認し、図4のフローのS22からステップS24に進むおそれがある。そしてステップS24で検知される右耳通話状態傾斜にも該当しないので、フローがステップS30に進み左耳用軟骨伝導振動部が誤ってオンになる可能性がある。軟骨伝導振動部の振動エネルギーは比較的大きいので、このような誤動作があると、机との間で振動騒音を生じる可能性がある。実施例4ではこれを防止するため、加速度センサ49により水平静止状態を検知し、該当すれば、軟骨伝導振動源225の振動を禁止するよう構成している。この点の詳細については後述する。
次に、実施例4における二つ目の追加機能について説明する。本発明の各実施例は、右耳用振動部24または左耳用振動部26(実施例4では、振動伝導体227の右端部224または左端部226)を右耳または左耳の耳珠に接触させることにより音声情報を伝えるが、接触圧を高めて耳珠で耳穴を塞ぐことによって耳栓骨導効果を生じ、さらに大きな音で音声情報を伝えることができる。さらに耳珠で耳穴を塞ぐことにより環境騒音を遮断されるので、このような状態での使用は、不要な環境騒音を減じて必要な音声情報を増加させる一挙両得の受話状況を実現し、例えば駅騒音下での通話等に好適である。耳栓骨導効果が生じているときは、声帯からの骨導による自分の声も大きくなるとともに左右の聴感覚バランスが崩れる違和感を生じる。実施例4では、このような耳栓骨導効果発生中の自分の声の違和感を緩和するため、送話部23から拾った自分の声の情報の位相を反転させて振動伝導体228に伝え、自分の声をキャンセルするよう構成している。この点の詳細についても後述する。
図8は、実施例4のブロック図であり、同一部分には図7と同一番号を付す。また、実施例1から3と共通する部分が多いので対応する部分にはこれらの各部と同一の番号を付す。そして、これら同一または共通部分については、特に必要のない限り、説明を省略する。実施例4では、電話機能部45を若干詳細に図示しているが、構成は実施例1から3と共通である。具体的に述べると、相当し、図8の受話処理部212とマイク213が、図3の受話部13に相当し、図8の送話処理部222とマイク223が、図3の送話部23に相当する。一方、図7の軟骨伝導振動源225と振動伝導体227は、図8で軟骨伝導振動ユニット228としてまとめて図示している。送話処理部222は、マイク223から拾った操作者の音声の一部をサイドトーンとして受話処理部212に伝達し、受話処理部212は電話通信部47からの通話相手の声に操作者自身のサイドトーンを重畳してイヤホン213に出力することによって、携帯電話301を耳に当てている状態の自分の声の骨導と気導のバランスを自然な状態に近くする。
送話処理部222は、さらにマイク223から拾った操作者の音声の一部を音質調整部238に出力する。音質調整部238は、軟骨伝導振動ユニット228から出力して蝸牛に伝えるべき自分の声の音質を耳栓骨導効果発生時に声帯から体内伝導で蝸牛に伝わる操作者自身の声に近似した音質に調整し、両者のキャンセルを効果的にする。そして、位相反転部240はこのようにして音質調整された自分の声を位相反転して位相調整ミキサー部236に出力する。位相調整ミキサー部236は、押圧センサ242の検知する押圧が所定で携帯電話301により耳穴が耳珠で塞がれている状態に該当するときは、制御部239からの指示により位相反転部240からの出力をミキシングして軟骨伝導振動ユニット228を駆動する。これによって、耳栓骨導効果発生中の過度の自分の声がキャンセルされ、違和感の緩和が図られる。このとき、サイドトーン相当分の自分の声はキャンセルせずに残すようキャンセルの程度が調節される。一方、押圧センサの検出する押圧が低い場合は、耳穴が耳珠で塞がれておらず耳栓骨導効果が生じていない状態に該当するので、位相調整ミキサー部は制御部239の指示に基づき、位相反転部240からの自声位相反転出力のミキシングを行わない。なお、図8において、音質調整部238と位相反転部240の位置は逆転して構成してもよい。さらに、音質調整部238および位相反転部240は、位相調整ミキサー部236内の機能として一体化してもよい。
図9は、実施例4において右の耳珠に携帯電話301が当てられている状態を示す要部概念ブロック図であり、耳栓骨導効果発生中の自分の声のキャンセルについて説明するものである。また、図9は、押圧センサ242の具体的実施例についても図示しており、軟骨伝導振動部225が圧電バイモルフ素子であることを前提に構成されている。なお、同一部分については図7および図8と同一番号を付し、特に必要のない限り、説明を省略する。
図9(A)は、耳珠32が耳穴232を塞がない程度に携帯電話301が耳珠32に当てられている状態を示す。この状態では、受話処理部212からの通話相手の音声情報に基づき位相調整ミキサー部236が軟骨伝導振動部225を駆動している。押圧センサ242は、位相調整ミキサー部236と軟骨伝導振動部225を結ぶ信号線に現れる信号をモニタしており、振動伝導体227への押圧に応じて加えられる軟骨伝導振動部(圧電バイモルフ素子)225への歪に基づく信号変化を検知するよう構成される。このように、耳珠32に接触することにより音声情報を伝える軟骨伝導振動部225を圧電バイモルフ素子で構成すると、その圧電バイモルフ素子自体を耳珠32への押圧センサとしても兼用することができる。押圧センサ242は、さらに、位相調整ミキサー部236と受話処理部212を結ぶ信号線に現れる信号をモニタしている。ここに現れる信号は、耳珠32への押圧の影響を受けないので、押圧判定のための参照信号として利用することができる。
上記のように、図9(A)では耳珠32が耳穴232を塞がない状態にあり、押圧センサ力242の判定する押圧が小さいので、この判定に基づき、制御部239は位相反転部240からの位相反転自声を軟骨伝導振動部225にミキシングしないよう位相調整ミキサー部236に指示する。一方、図9(B)は、矢印302の方向に携帯電話301が耳珠32をより強く押し、耳珠32が耳穴232を塞いでいる状態を示す。そして、この状態では、耳栓骨導効果が発生している。押圧センサ力242は、所定以上の押圧の増加検出に基づいて耳穴が塞がれたものと判定し、この判定に基づいて制御部239は位相反転部240からの位相反転自声を軟骨伝導振動部225にミキシングするよう位相調整ミキサー部236に指示する。以上のようにして、耳栓骨導効果発生中の自声の違和感が緩和される。逆に、押圧センサ242によって、図9(B)の状態から所定以上の押圧の減少が検出されると、図(A)ののように耳穴が塞がれない状態になったものと判定され、位相反転自声のミキシングが停止される。なお、押圧センサ242は、押圧の絶対量および押圧の変化方向に基づいて、図9(A)と図9(B)の間の状態遷移を判定する。なお、両者の声がない無音状態においては、押圧センサ242は耳には聞こえない押圧モニタ信号を直接骨伝導振動部225に直接印加することで、押圧を検知する。
図10は、
図8の実施例4における制御部239の動作のフローチャートである。なお、図10のフローは図4における実施例1のフローと共通するところが多いので、対応部分には同一のステップ番号を付し、必要のない限り説明を省略する。図10も、主に軟骨伝導振動ユニットの機能を説明するため、関連する機能を中心に動作を抽出して図示している。従って、図4の場合と同様、一般的な携帯電話の機能等、図10のフローに表記していない制御部239の動作も存在する。図10において図4と異なる部分は太字で示しているので、以下これらの部分を中心に説明する。
ステップS42は、図4のステップS6およびステップS8をまとめたもので、ステップS42の非通話処理の中に、非通話操作なしで次のステップに直行する場合も含めて図示しているが、その内容は図4のステップS6およびステップS8と同じである。また、ステップS44は、図4のステップS10およびステップS12をまとめたもので、相手側からの着信であるか自分からの発信であるかを問わず両者間の通話状態の有無をチェックするステップとして図示しているが、その内容は、図4のステップS6およびステップS8と同じである。なお、実施例4では携帯電話301を開閉する構成はないので、図4のステップS16に相当するステップは含まない。
ステップS46は、実施例4における一つ目の追加機能に関するもので、携帯電話301が所定時間(例えば、0.5秒)手持ち状態から離れて水平状態で静止しているかどうかをチェックする。そして、ステップS22により近接センサの検知があったときに、ステップS46でこのような水平静止状態でないことが確認された場合に初めてステップS48に移行し、軟骨伝導振動源225をオンする。一方、ステップS46で水平静止状態が検知されたときはステップS50に進み、軟骨伝導振動源225をオフしてステップS14に戻る。なお、ステップS50は後述するフローの繰り返しにおいて、軟骨伝導振動源がオンの状態でステップS46に至り、水平静止状態が検知されたときに対応するもので、軟骨伝導振動源がオフの状態でステップS50に至ったときはなにもせずにステップS14に戻る。
ステップS52は、実施例4における二つ目の追加機能に関するもので、携帯電話301を耳珠32に強く押し当てて耳穴232を塞ぐことによる耳栓骨導効果が生じているかどうかをチェックするものである。具体的には図9に示したように押圧センサ242による所定以上の押圧変化の有無およびその方向によりこれをチェックする。そして耳栓骨導効果が生じる状態であることが検知されたときはステップS54に進み、自分の声の位相反転信号を軟骨伝導振動源225に付加してステップS58に移行する。一方、ステップS52で耳栓骨導効果が生じない状態であることが検知されたときはステップS56に移行し、自分の声の位相反転信号の軟骨伝導振動源225への付加をなくしてステップS58に移行する。ステップS58では通話状態が断たれか否かをチェックし、通話が断たれていなければステップS22に戻って、以下ステップS58で通話断が検知されるまでステップS22およびステップS46からステップS58を繰り返す。これによって通話中の耳栓骨導効果の発生および消滅に対応する。
以上に説明した各実施例の種々の特徴は個々の実施例に限られるものではなく、適宜他の実施例の特徴と入れ換えたり組合せたりすることができる。例えば、図10における実施例4のフローチャートでは、図4の実施例1のフローチャートにおける右耳用軟骨伝導振動部と左耳用軟骨伝導振動部との切り換えの構成がないが、実施例10の軟骨伝導振動ユニット228の構成として実施例1のような右耳用軟骨伝導振動部24と左耳用軟骨伝導振動部を採用し、ステップS22およびステップS46からステップS58のループの繰り返しの中で、耳栓骨導効果の発生および消滅への対応に加え、図4のステップS24からステップS26に準じた機能による右耳通話状態と左耳通話状態の間の携帯電話の持ち替えへの対応も併せて行うよう構成してもよい。また、図10の実施例4における水平静止状態のチェックと軟骨伝導振動ユニットのオフ機能を、実施例1から実施例3に追加することも可能である。さらに、実施例1から3において、実施例4のような軟骨伝導振動ユニッを採用することも可能である。