以下,本実施の形態について,図を用いて説明する。
〔実施の形態1〕
図1は,本実施の形態1による電力センシングシステムの構成例を示す図である。
電力センシングシステムは,家庭や企業のオフィスなどで使用される電気機器の消費電力を測定し,管理するシステムである。図1に示す電力センシングシステムは,例えば企業のオフィスで従業者が使用する情報機器30の消費電力を計測し,管理するシステムの例であるものとする。オフィスに電力センシングシステムを導入することにより,例えばオフィスで使用される情報機器30の消費電力の計測結果を解析して無駄な電力使用を見つけ出し,それを解消することでオフィスの省電力化を図ることができる。
図1に示す電力センシングシステムは,管理装置10,情報機器30,電力測定部40,電力系50,ネットワーク60,アウェアネスサーバ70,ネットワーク80を有する。
管理装置10は,電力センシングシステムを管理する装置であり,計測された消費電力の管理や解析などを行う。
情報機器30は,ノートPC(Personal Computer )などの情報処理機能を持つ電気機器である。以下では,消費電力の計測対象の電気機器として,主に情報機器30の例について説明する。情報機器30は,移動が可能であり,外部の電源がない場所でも使用できるように,バッテリが内蔵されている。バッテリは,充電が可能な電池である。
電力測定部40は,情報機器30に供給される電力,すなわち情報機器30による消費電力を測定する。電力測定部40は,例えば情報機器30のプラグを差し込むコンセントなど,情報機器30に電力を供給する電力系50に配置される。本実施の形態では,情報機器30に内蔵された電源であるバッテリに対して,コンセントなどの情報機器30外の電力供給部を,外部電源と呼ぶものとする。
なお,本実施の形態では,特定の電気機器に電力を供給する特定の電力供給部が,あらかじめ決められているものとする。例えば,図1に示す情報機器30は,原則として,その利用者の座席に設置された電力供給部である特定のコンセントから,電力の供給を受けることになっている。利用者の座席に設置された特定のコンセントには,電力測定部40が設置されている。なお,情報機器30を移動して使用する際には,例外として,移動先の場所のコンセントから電力の供給を受けてもよいことになっているものとする。
アウェアネスサーバ70は,オフィス内の電気機器の稼動状況を監視するアウェアネスシステムの管理サーバである。アウェアネスサーバ70は,アウェアネス情報記憶部71を備える。アウェアネス情報記憶部71は,アウェアネス情報を記憶する,コンピュータがアクセス可能な記憶部である。アウェアネス情報は,アウェアネスシステム管理下の各電器機器の稼動状況を記録する情報である。
アウェアネスシステムにおいて,例えば,情報機器30は,起動時や停止時に,アウェアネスサーバ70に対して起動や停止を示す通知を送る。また,情報機器30は,稼動中に,定期的にアウェアネスサーバ70に対して自身の稼動を示す通知を送る。
アウェアネスサーバ70は,情報機器30から起動を示す通知を受けると,アウェアネス情報記憶部71に記憶されたアウェアネス情報の該当情報機器30のレコードに“稼動中”を記録する。また,アウェアネスサーバ70は,情報機器30から停止を示す通知を受けると,アウェアネス情報記憶部71に記憶されたアウェアネス情報の該当情報機器30のレコードに“稼動停止”を記録する。また,情報機器30からの稼動を示す通知が所定時間以上続いた場合に,アウェアネスサーバ70は,アウェアネス情報記憶部71に記憶されたアウェアネス情報の該当情報機器30のレコードを“稼動停止”に更新する。
なお,アウェアネスシステムは,例えば,情報機器30からのメールサーバへのアクセス状況を監視し,一定時間ごとにアクセスが行われている場合に,情報機器30が稼動しているものと判断するシステムでもよい。このように,情報機器30の稼動状況を監視するアウェアネスシステムの設計は,任意である。
管理装置10と,電力測定部40とは,LAN(Local Area Network)等のネットワーク60を介して通信を行う。また,管理装置10,情報機器30,アウェアネスサーバ70は,LAN等のネットワーク80を介して通信を行う。図1に示す電力センシングシステムでは,ネットワーク60とネットワーク80とは別のネットワークとなっているが,ネットワーク60とネットワーク80とが1つの同じネットワークであってもよい。
なお,図1に示す電力センシングシステムでは,消費電力計測の対象となる電気機器が情報機器30の1台しか示されていないが,実際には,オフィス内の複数の電気機器が消費電力計測の対象となっているものとする。
管理装置10は,電力センシングの対象となる情報機器30による消費電力量を算出する消費電力量算出機構(図示省略)を備える。消費電力量算出機構では,電力測定部40による情報機器30の消費電力の計測結果から,情報機器30の消費電力量が求められる。
ただし,情報機器30が電力測定部40が設置されていないコンセントに電源接続されて使用された期間については,その消費電力が計測できないので,消費電力量を求めることができない。本実施の形態による管理装置10は,情報機器30による電力の消費が計測されなかった期間について,情報機器30による消費電力量を推定する機構である計測外消費電力量推定部101を備える。なお,計測外消費電力量推定部101が,上述の消費電力量算出機構(図示省略)の一部であってもよい。
計測外消費電力量推定部101は,電力測定部40での電力の計測結果で情報機器30による電力の消費が計測されなかった期間について,その電力測定部40が配置された電源外で情報機器30により消費された電力量を推定する。計測外消費電力量推定部101は,電力取得部110,稼動状況取得部111,計測外稼動期間特定部112,蓄電状況推定部113,消費電力量推定部114,情報記憶部200を備える。
電力取得部110は,外部電源から電気機器に供給された電力の計測結果を取得する。図1に示す例において,電力取得部110は,消費電力の計測対象である情報機器30について,電力測定部40による消費電力の計測結果を取得する。取得された計測結果の情報は,情報記憶部200に記憶される。
稼動状況取得部111は,電気機器の稼動状況を取得する。図1に示す例において,稼動状況取得部111は,消費電力の計測対象である情報機器30の稼動状況を,アウェアネスサーバ70から取得する。取得された稼動状況の情報は,情報記憶部200に記憶される。
計測外稼動期間特定部112は,取得された計測結果で電気機器による電力の消費が計測されなかった期間において,電気機器が稼動している期間を示す計測外稼動期間を,取得された電気機器の稼動状況から特定する。図1に示す例において,計測外稼動期間特定部112は,取得された電力測定部40による消費電力の計測結果から,情報機器30による電力の消費が計測されなかった時間帯である計測外時間帯を特定する。計測外稼動期間特定部112は,取得された情報機器30の稼動状況から,計測外時間帯で情報機器30が稼動している期間を,計測外稼動期間として特定する。
蓄電状況推定部113は,取得された計測結果で電気機器による電力の消費が計測された期間における,電気機器が有する電池の蓄電状況を,取得された計測結果から推定する。図1に示す例において,蓄電状況推定部113は,取得された電力測定部40による消費電力の計測結果から,情報機器30による電力の消費が計測された時間帯である計測時間帯を特定する。蓄電状況推定部113は,取得された電力測定部40による消費電力の計測結果から,計測時間帯における情報機器30が有するバッテリの充電量や,計測時間帯の開始時のバッテリの蓄電量,計測時間帯の終了時のバッテリの蓄電量などの蓄電状況を推定する。
消費電力量推定部114は,特定された計測外稼動期間と推定された蓄電状況とから,取得された計測結果で電気機器による電力の消費が計測されなかった期間における電気機器による消費電力量を推定する。図1に示す例において,消費電力量推定部114は,特定された情報機器30の計測外稼動期間と,推定された情報機器30が有するバッテリの蓄電状況とから,計測外時間帯における情報機器30による外部電源からの消費電力量を推定する。以下では,計測外時間帯における情報機器30による外部電源からの消費電力量を,計測外消費電力量と呼ぶ。推定された計測外消費電力量は,情報記憶部200に記憶される。
情報記憶部200は,あらかじめ設定された情報,取得された情報,計測外消費電力量を推定する過程で得られる情報,計測外消費電力量の推定結果の情報などを記憶する,コンピュータがアクセス可能な記憶部である。
図2は,本実施の形態による管理装置を実現するハードウェアの構成例を示す図である。
図1に示す本実施の形態の管理装置10は,例えば,CPU(Central Processing Unit )2,主記憶となるメモリ3,記憶装置4,通信装置5,媒体読取・書込装置6,入力装置7,出力装置8等を備えるコンピュータ1によって実現される。記憶装置4は,例えばHDD(Hard Disk Drive )などである。媒体読取・書込装置6は,例えばCD−R(Compact Disc Recordable )ドライブやDVD−R(Digital Versatile Disc Recordable )ドライブなどである。入力装置7は,例えばキーボードやマウスなどである。出力装置8は,例えばディスプレイなどである。
図1に示す管理装置10が備える各機能部は,コンピュータ1が備えるCPU2,メモリ3等のハードウェアと,ソフトウェアプログラムとによって実現することが可能である。コンピュータ1が実行可能なプログラムは,記憶装置4に記憶され,その実行時にメモリ3に読み出され,CPU2により実行される。
コンピュータ1は,可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り,そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また,コンピュータ1は,サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに,逐次,受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。さらに,このプログラムは,コンピュータ1で読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
図3は,本実施の形態1による情報記憶部の構成例を示す図である。
情報記憶部200は,機器・コンセント対応情報記憶部201,計測結果情報記憶部202,稼動状況情報記憶部203,外部接続機器消費電力情報記憶部204,電池利用機器消費電力情報記憶部205,電池容量情報記憶部206,定数管理情報記憶部207,変数管理情報記憶部208,計測外消費電力量推定結果記憶部209を備える。
機器・コンセント対応情報記憶部201は,消費電力の計測対象の電気機器と,該電気機器と電源接続されるコンセントとの対応が記録された機器・コンセント対応情報を記憶する記憶部である。
図4は,本実施の形態による機器・コンセント対応情報記憶部に格納されるデータの構成例を示す図である。
図4に示す機器・コンセント対応データ251は,機器・コンセント対応情報記憶部201に記憶された機器・コンセント対応情報の一例である。図4に示す機器・コンセント対応データ251は,機器ID,コンセントID等の情報を持つ。機器IDは,消費電力の計測対象の電気機器を一意に識別する識別情報である。コンセントIDは,コンセントを一意に識別する識別情報である。
なお,本実施の形態では,コンセントIDが割り当てられているコンセントには,電気機器に供給された電力を計測する電力測定部40が設置されているものとする。すなわち,本実施の形態では,コンセントIDは,コンセントに設置された電力測定部40の識別情報となる。
計測結果情報記憶部202は,電力測定部40による電力の計測結果が記録された計測結果情報を記憶する記憶部である。
図5は,本実施の形態による計測結果情報記憶部に格納されるデータの構成例を示す図である。
図5に示す計測結果データ252は,計測結果情報記憶部202に記憶された計測結果情報の一例である。特に,図5に示す計測結果データ252は,機器IDが“E001”の電気機器についての計測結果情報の例である。図5に示す計測結果データ252は,計測時刻,計測電力等の情報を持つ。計測時刻は,電力測定部40によりコンセントで消費された電力が計測された時刻である。計測電力は,電力測定部40による電力の測定結果である。
電力取得部110は,電力測定部40による電力の測定結果を計測結果情報に記録する際に,機器・コンセント対応情報を参照し,電気機器と,その電気機器が対応付けられた電力測定部40による電力の計測結果とを対応付ける。
稼動状況情報記憶部203は,電気機器の稼動状況が記録された稼動状況情報を記憶する記憶部である。
図6は,本実施の形態による稼動状況情報記憶部に格納されるデータの構成例を示す図である。
図6に示す稼動状況データ253は,稼動状況情報記憶部203に記憶された稼動状況情報の一例である。特に,図6に示す稼動状況データ253は,機器IDが“E001”の電気機器についての稼動状況情報の例である。図6に示す稼動状況データ253は,時刻,機器稼動状況等の情報を持つ。時刻は,電気機器の稼動状況が得られた時刻である。機器稼動状況は,電気機器の稼動状況である。
稼動状況取得部111,目的とする電気機器の機器IDでアウェアネスサーバ70にアクセスし,アウェアネス情報記憶部71に記憶されたアウェアネス情報から,目的とする電気機器の稼動状況を取得する。
図7は,本実施の形態によるアウェアネス情報記憶部に格納されるデータの構成例を示す図である。
図7に示す機器状態管理データ75は,アウェアネス情報記憶部71に記憶されたアウェアネス情報の一例である。図7に示す機器状態管理データ75は,機器ID,稼動状況等の情報を持つ。機器IDは,電気機器を一意に識別する識別情報である。稼動状況は,電気機器の稼動状況である。稼動している電気機器の稼動状況は,“稼動中”となり,稼動していない電気機器の稼動状況は,“稼動停止”となる。
外部接続機器消費電力情報記憶部204は,外部接続機器消費電力が記録された外部接続機器消費電力情報を記憶する記憶部である。外部接続機器消費電力は,電気機器が外部電源に接続されて使用されている際に,電気機器の稼動によって消費される電力を示す。例えば,内部にバッテリを有する情報機器30が稼動状態でコンセントに電源接続されている場合に,そのコンセントの電力測定部40による電力の計測結果には,外部接続機器消費電力以外に,情報機器30が内蔵するバッテリへの充電で消費される電力が含まれる。
図8は,本実施の形態による外部接続機器消費電力情報記憶部に格納されるデータの構成例を示す図である。
図8に示す外部接続機器消費電力データ254は,外部接続機器消費電力情報記憶部204に記憶された外部接続機器消費電力情報のデータ構造の一例である。図8に示す外部接続機器消費電力データ254は,機器ID,外部接続機器消費電力等の情報を持つ。機器IDは,電気機器を一意に識別する識別情報である。外部接続機器消費電力は,設定された電気機器の外部接続機器消費電力を示す。外部接続機器消費電力データ254に記録される外部接続機器消費電力は,例えば,情報機器30のカタログに記載された定格消費電力などである。
電池利用機器消費電力情報記憶部205は,電池利用機器消費電力が記録された電池利用機器消費電力情報を記憶する記憶部である。電池利用機器消費電力は,電気機器が内部に有する電池を利用して稼動する際に消費される電力である。例えば,情報機器30は,内部のバッテリに蓄電された電力を利用して稼動する際には,ディスプレイの明るさを落とすなど,電力の消費を抑えて稼動を行う。そのため,本実施の形態による電池利用機器消費電力は,外部接続機器消費電力より小さい値となる。
図9は,本実施の形態による電池利用機器消費電力情報記憶部に格納されるデータの構成例を示す図である。
図9に示す電池利用機器消費電力データ255は,電池利用機器消費電力情報記憶部205に記憶された電池利用機器消費電力情報のデータ構造の一例である。図9に示す電池利用機器消費電力データ255は,機器ID,電池利用機器消費電力等の情報を持つ。機器IDは,電気機器を一意に識別する識別情報である。電池利用機器消費電力は,設定された電気機器の電池利用機器消費電力を示す。電池利用機器消費電力データ255に記録される電池利用機器消費電力は,例えば,情報機器30のカタログに記載されたバッテリ利用時の定格消費電力などである。
電池容量情報記憶部206は,電気機器が有する電池の容量が記録された電池容量情報を記憶する記憶部である。
図10は,本実施の形態による電池容量情報記憶部に格納されるデータの構成例を示す図である。
図10に示す電池容量データ256は,電池容量情報記憶部206に記憶された電池容量情報のデータ構造の一例である。図10に示す電池容量データ256は,機器ID,電池容量,設定日時の情報を持つ。機器IDは,電気機器を一意に識別する識別情報である。電池容量は,設定された電気機器の電池容量を示す。電池容量データ256に記録される電池容量は,例えば,情報機器30のカタログに記載されたバッテリの電池容量などである。設定日時は,電池容量の設定日時である。電池容量の設定が更新される場合には,設定日時は,最新の更新日時となる。
定数管理情報記憶部207は,計測外消費電力量推定部101による処理で使用する定数が記録された定数管理情報を記憶する記憶部である。
図11は,本実施の形態による定数管理情報記憶部に格納されるデータの構成例を示す図である。
図11に示す定数管理データ257は,定数管理情報記憶部207に記憶された定数管理情報の一例である。図11に示す定数管理データ257は,定数名,値等の情報を持つ。定数名は,設定された定数の名称である。値は,設定された定数の値である。
図11に示す定数管理データ257において,測定間隔は,電力取得部110が電力測定部40から電力の測定結果を取得する時間間隔である。
図11に示す定数管理データ257において,電源接続有無判定電力と電源接続有無判定時間とは,電力測定部40による電力の計測結果が電気機器による消費電力の計測結果であるか否かの判定に用いる閾値である。
図11に示す定数管理データ257において,満充電判定電力は,電気機器が有する電池が満充電の状態であるか否かを判定する閾値である。
変数管理情報記憶部208は,計測外消費電力量推定部101による処理の過程で変化する変数を記録する変数管理情報を記憶する記憶部である。
図12は,本実施の形態による変数管理情報記憶部に格納されるデータの構成例を示す図である。
図12に示す変数管理データ258は,変数管理情報記憶部208に記憶された変数管理情報の一例である。図12に示す変数管理データ258は,変数名,値等の情報を持つ。変数名は,計測外消費電力量推定部101による処理の過程で,随時値が更新される変数の名称である。値は,随時更新される変数の値である。
図12に示す変数管理データ258において,計測外稼動期間は,計測外消費電力量を推定する対象の計測外時間帯において,電気機器が稼動している期間を示す変数である。
図12に示す変数管理データ258において,充電量は,計測時間帯において,電気機器が有する電池に充電された電力量を示す変数である。
図12に示す変数管理データ258において,充電時間は,計測時間帯において,電気機器が有する電池への充電が行われた時間量を示す変数である。なお,充電時間は,後述の実施の形態2で使用する変数である。
図12に示す変数管理データ258において,満充電フラグは,電気機器が有する電池が満充電の状態であるか否かを示すフラグである。
図12に示す変数管理データ258において,プラグアウト蓄電量は,計測外消費電力量を推定する対象の計測外時間帯の開始時に,電気機器が有する電池に蓄電されている電力量の推定結果を示す。プラグアウト蓄電量は,計測外消費電力量を推定する対象の計測外時間帯直前の計測時間帯の終了時に,電気機器が有する電池に蓄電されている電力量の推定結果であるとも言える。
図12に示す変数管理データ258において,プラグイン蓄電量は,計測外消費電力量を推定する対象の計測外時間帯の終了時に,電気機器が有する電池に蓄電されている電力量の推定結果を示す。プラグイン蓄電量は,計測外消費電力量を推定する対象の計測外時間帯直後の計測時間帯の開始時に,電気機器が有する電池に蓄電されている電力量の推定結果であるとも言える。
図12に示す変数管理データ258において,蓄電量差は,計測外時間帯の開始時のプラグアウト蓄電量と,計測外時間帯の終了時のプラグイン蓄電量との差分を示す変数である。
図12に示す変数管理データ258において,充電消費電力は,バッテリへの充電で消費される電力を示す変数である。なお,充電消費電力は,後述の実施の形態2で使用する変数である。
計測外消費電力量推定結果記憶部209は,推定された計測外消費電力量を記憶する記憶部である。
上述の消費電力量算出機構(図示省略)は,電気機器の消費電力量の算出を行う際に,計測外時間帯については,計測外消費電力量推定結果記憶部209に記憶された計測外消費電力量を用いる。
図13は,情報機器の稼動状況と電力測定部による電力の計測結果との関係を説明する図である。
図13において,上図と下図とは,それぞれ,同日における,消費電力の計測対象である情報機器30の稼動状況と,その情報機器30の電源接続に割り当てられた特定のコンセントに設置された電力測定部40による電力の計測結果を示す。
図13の上図において,ハッチングで示された時間帯は,情報機器30が稼動中の時間帯である。
図13の下図において,太実線が情報機器30の電源接続に割り当てられた特定のコンセントに設置された電力測定部40による電力の計測結果のグラフを示している。なお,実際の消費電力は,凹凸がある歪なグラフとなるが,図13の下図に示す例では,消費電力のグラフが,実際にグラフを近似した滑らかな直線と曲線とで表現されている。
図13の下図において,“in”は,情報機器30のプラグが特定のコンセントに差し込まれた時刻を示し,“out”は,情報機器30のプラグが特定のコンセントから引き抜かれた時刻を示している。以下では,情報機器30のプラグがコンセントに差し込まれることをプラグインと呼び,情報機器30のプラグがコンセントから引き抜かれることをプラグアウトと呼ぶ。
図13に示す例において,情報機器30の利用者は,原則として,オフィスの自席における特定のコンセントに,情報機器30の電源接続を行うことになっている。
例えば,利用者は,8:30にオフィスに出勤すると,情報機器30を特定のコンセントにプラグインし,情報機器30の電源をONする。図13に示すように,情報機器30の稼動状況が“稼動中”となり,特定のコンセントに設置された電力測定部40による計測結果で,情報機器30による電力の消費が計測される。
その後,利用者は,12:00から休憩に入るため,情報機器30の電源をOFFにし,情報機器30を特定のコンセントからプラグアウトする。図13に示すように,情報機器30の稼動状況が“稼動停止”となり,特定のコンセントに設置された電力測定部40による計測結果で,情報機器30による電力の消費が計測されなくなる。
休憩が終わると,利用者は,会議室で行われる会議に出席する。利用者は,情報機器30を会議室に持ち込み,会議室のコンセントに情報機器30をプラグインし,情報機器30の電源をONする。図13の上図に示すように,情報機器の稼動状況が“稼動中”となる。図13の下図において,太破線は,会議室のコンセントで情報機器30が消費した電力の変遷を示す。しかし,会議室のコンセントには,電力測定部40が設置されていないので,情報機器30の消費電力は計測されない。
会議室では,利用者は,情報機器30を稼動中のまま,15:00にコンセントから情報機器30をプラグアウトする。その後,15:30に,利用者は,情報機器30の電源をOFFにする。図13に示すように,情報機器30の稼動状況が“稼動停止”となる。コンセントに電源接続されていない15:00〜15:30の間,情報機器30は,内蔵されたバッテリの蓄電電力を利用して稼動している状態である。
利用者は,16:30に会議室から自席に戻ると,再び情報機器30を特定のコンセントにプラグインし,情報機器30の電源をONする。図13に示すように,情報機器30の稼動状況が“稼動中”となり,特定のコンセントに設置された電力測定部40による計測結果で,情報機器30による電力の消費が計測される。
利用者は,19:30に情報機器30の電源をOFFにし,情報機器30を特定のコンセントからプラグアウトして,オフィスから退勤する。
図13に示す例において,8:30〜12:00の時間帯と,16:30〜19:30の時間帯は,電力測定部40によって,情報機器30による電力の消費が計測された時間帯である。本実施の形態では,電力測定部40によって情報機器30による電力の消費が計測される時間帯を,計測時間帯と呼ぶ。
これに対して,図13に示す例において,12:00〜16:30の時間帯は,電力測定部40によって,情報機器30による電力の消費が計測されなかった時間帯である。本実施の形態では,電力測定部40によって情報機器30による電力の消費が計測されない時間帯を,計測外時間帯と呼ぶ。
また,本実施の形態では,計測外時間帯において,情報機器30が稼動している期間を計測外稼動期間と呼ぶ。図13に示す例では,12:00〜16:30の計測外時間帯において,13:30〜15:30の時間帯で情報機器30が稼動している。13:30〜15:30の時間間隔,すなわち2時間が,計測外稼動期間となる。なお,計測外時間帯において,複数の情報機器30の稼動時間帯がある場合には,それら複数の累積時間が計測外稼動期間となる。
図13に示すように,計測時間帯については,電力測定部40が設置されたコンセントで情報機器30の消費電力が計測できるので,情報機器30の消費電力量を求めることができる。しかし,計測外時間帯における情報機器30の消費電力量が含まれていないため,計測時間帯における情報機器30の消費電力のみから情報機器30の消費電力量を求めても,得られた情報機器30の消費電力量の精度は低くなってしまう。
このような問題の対処法としては,例えば,計測外時間帯で情報機器30が稼動している計測外稼動期間について,その情報機器30の定格消費電力に相当する電力が消費されているものとして消費電力量を算出する方法が考えられる。しかし,この方法では,計測外時間帯における情報機器30の稼動で,外部電源を利用せずに,計測時間帯に充電されたバッテリの蓄電電力を利用している場合に,消費電力量を二重に計算してしまうという問題がある。バッテリに充電された電力量については,すでに計測時間帯に計測された消費電力から算出される消費電力量に含まれている。
本実施の形態による管理装置10の計測外消費電力量推定部101は,計測外時間帯における情報機器30の利用状況を考慮することで,計測外時間帯に情報機器30が外部電源から消費した電力量すなわち計測外消費電力量の推定を,高精度で行う。
計測外消費電力量推定部101は,計測外時間帯における情報機器30の推定に,該計測外時間帯前後の計測時間帯における情報機器30の蓄電状況を用いる。
図14は,計測外時間帯開始時のバッテリの状況と計測外時間帯終了時のバッテリの状況とを説明する図である。
例えば,図13に示す例において,12:00〜16:30の計測外時間帯について,計測外消費電力量を推定する。
計測外時間帯の開始時刻12:00は,情報機器30が特定のコンセントからプラグアウトされた時刻である。図14の左図は,この計測外時間帯の開始時,すなわち特定のコンセントからのプラグアウト時の情報機器30が有するバッテリの蓄電状況を示している。上述したように,本実施の形態では,計測外時間帯の開始時すなわち計測時間帯の終了時のバッテリの蓄電量を,プラグアウト蓄電量と呼ぶ。
計測外時間帯の終了時刻16:30は,情報機器30が特定のコンセントにプラグインされた時刻である。図14の右図は,この計測外時間帯の終了時,すなわち特定のコンセントへのプラグイン時の情報機器30が有するバッテリの蓄電状況を示している。上述したように,本実施の形態では,計測外時間帯の終了時すなわち計測時間帯の開始時のバッテリの蓄電量を,プラグイン蓄電量と呼ぶ。
ここでは,図14に示すように,プラグアウト時のバッテリは,満充電の状態であるものとする。すなわち,図14に示すように,太枠で示されるバッテリの電池容量が,プラグアウト蓄電量となる。これに対して,プラグイン蓄電量は,図14に示すように,バッテリの電池容量から減った状況となっている。
図14に示すように,計測外時間帯の開始時から終了時までの間にバッテリの蓄電量が減っている場合には,バッテリの自然放電が微小であると仮定すれば,計測外稼動期間中に,情報機器30がバッテリの蓄電電力を利用して稼動する期間が含まれると推定される。このとき,本実施の形態1では,計測外消費電力量推定部101は,プラグアウト蓄電量とプラグイン蓄電量との蓄電量差から,情報機器30がバッテリの蓄電電力を利用して稼動する期間を推定する。
計測外稼動期間において,情報機器30がバッテリの蓄電電力を利用して稼動すると推定された期間以外の期間が,情報機器30が外部電源に接続されて使用された期間であると推定される。このとき,計測外消費電力量推定部101は,情報機器30が外部電源に接続されて使用されたと推定された期間における情報機器30の稼動による消費電力量を算出し,該当計測外時間帯における計測外消費電力量の推定結果とする。
図14に示す例とは逆に,計測外時間帯の開始時から終了時までの間にバッテリの蓄電量が増えている場合には,計測外稼動期間に情報機器30が外部電源に接続されて使用されたために,バッテリに充電されたものと推定される。プラグアウト蓄電量とプラグイン蓄電量との蓄電量差が,バッテリに対する充電量である。このとき,本実施の形態1では,計測外消費電力量推定部101は,計測外稼動期間における情報機器30の稼動による消費電力量と,プラグアウト蓄電量とプラグイン蓄電量との蓄電量差とを合わせて,該当計測外時間帯における計測外消費電力量の推定結果とする。
このように,本実施の形態1による計測外消費電力量推定部101は,計測外時間帯前後のプラグアウト蓄電量とプラグイン蓄電量との関係から,計測外消費電力量を推定している。プラグアウト蓄電量とプラグイン蓄電量は,計測時間帯におけるバッテリの充電量から推定できる。
図15は,外部電源接続時の情報機器の消費電力とバッテリの蓄電量との関係を説明する図である。
一般に,モバイル機器などの情報機器30に搭載されるリチウムイオン電池への充電は,電池の出力電圧が一定値になるまでは一定の電流で,それ以降は一定の電圧で行うように,情報機器30の内部で制御される。このような充電方式は,定電流定電圧充電方式と呼ばれる。
図15(A)は,外部電源に接続された情報機器30による消費電力と,情報機器30のバッテリの蓄電量との例を示す。図15(A)において,太実線は情報機器30による消費電力のグラフであり,太破線は,バッテリの蓄電量のグラフである。図15(A)に示す例では,情報機器30のプラグイン時におけるバッテリの蓄電量が0であるものとする。また,バッテリへの充電は,定電流定電圧充電方式により行われるものとする。
なお,実際の消費電力のグラフや蓄電量のグラフは,凹凸がある歪なグラフとなるが,図15に示す例では,消費電力のグラフや蓄電量のグラフが,実際にグラフを近似した滑らかな直線と曲線とで表現されている。
図15(A)に示すように,情報機器30による消費電力は,プラグイン時から降下開始点までは,一定の電力となる。この間,バッテリの蓄電量は,図15(A)に示すように,直線的に増加する。
降下開始点以降は,図15(A)に示すように,情報機器30による消費電力は減少し,水平安定点まで減少量を減らしながら特定の値に漸近する。この間,バッテリの蓄電量は,図15(A)に示すように,増加量を減らしながら電池容量に漸近する。
図15(A)に示すように,水平安定点において,情報機器30による消費電力は,特定の値に収束し,以後プラグアウト時までその値が維持される。また,図15(A)に示すように,バッテリの蓄電量は水平安定点で電池容量に達し,バッテリは満充電の状態となる。
図15(A)において,水平安定点以降はバッテリが満充電の状態であるので,水平安定点からプラグアウトまでの特定の消費電力の値が,外部電源接続時の情報機器30の稼動による消費電力,すなわち外部接続機器消費電力となる。
図15(B)は,外部電源接続時の消費電力量における外部接続機器消費電力量と充電量との関係を示す。図15(B)の太実線は,図15(A)に示す情報機器30による消費電力のグラフである。
図15(A)において,情報機器30の消費電力をプラグイン時からプラグアウト時まですべて加算した値が,外部電源から情報機器30に供給された電力量,すなわち情報機器30による消費電力量となる。
図15(A)において,水平安定点以降の情報機器30の消費電力は,外部接続機器消費電力である。よって,情報機器30の消費電力量を,外部電源接続時の情報機器30の稼動による消費電力量,すなわち外部接続機器消費電力量と,バッテリの充電量とに分けると,図15(B)に示す通りとなる。
図15(B)に示すように,情報機器30の外部接続機器消費電力をプラグイン時からプラグアウト時まですべて加算した値が,外部接続機器消費電力量となる。また,情報機器30の消費電力から外部接続機器消費電力を引いた値が,バッテリへの充電電力となる。すなわち,図15(B)に示すように,情報機器30の消費電力から外部接続機器消費電力を引いた値をプラグイン時からプラグアウト時まですべて加算した値が,バッテリの充電量となる。
このように,情報機器30による消費電力,すなわち外部電源から情報機器30に供給された電力と,情報機器30の外部接続機器消費電力とから,プラグイン時からプラグアウト時までのバッテリの充電量を推定できる。
図16は,計測時間帯におけるバッテリの充電量とプラグアウト蓄電量,プラグイン蓄電量との関係を示す図である。
図16(A)は,情報機器30の特定の電源からのプラグアウト時に,バッテリが満充電であると推定される場合の,プラグアウト蓄電量の例を示す。図16(A)に示すように,プラグアウト時にバッテリが満充電であると推定される場合には,プラグアウト蓄電量は,充電開始時のプラグイン蓄電量に関係なく,バッテリの電池容量であると推定できる。
図16(B)は,情報機器30の特定の電源からのプラグアウト時に,バッテリが満充電でないと推定される場合の,プラグアウト蓄電量の例を示す。図16(B)に示すように,プラグアウト時にバッテリが満充電でないと推定される場合には,プラグアウト蓄電量は,充電開始時のプラグイン蓄電量によって変わる。
図16(B)に示すように,プラグイン蓄電量は,0〜電池容量−充電量の間のいずれかの値であることが推定される。このことから,プラグアウト蓄電量は,充電量〜電池容量までのいずれかの値であると推定できる。
本実施の形態1の計測外消費電力量推定部101は,バッテリが満充電でないと推定される場合において,プラグアウト蓄電量を,電池容量−充電量と電池容量との中間値であると推定する。このとき,推定されるプラグアウト蓄電量は,
プラグアウト蓄電量=電池容量/2+充電量/2
となる。
なお,バッテリが満充電でないと推定される場合において,情報機器30の利用者ごとの特徴に応じて,プラグアウト蓄電量の推定結果を変えるようにしてもよい。例えば,プラグアウト蓄電量を推定する式を,
プラグアウト蓄電量=電池容量×a+充電量×b,a+b=1
とする。外部電源の利用が多く,バッテリの充電を怠らない利用者の情報機器30については,aの値を大きく設定し,バッテリの利用が多い利用者の情報機器30については,bの値を大きく設定するようにすれば,利用者ごとの特徴に応じたプラグアウト蓄電量の推定も可能である。このように,バッテリが満充電でないと推定される場合におけるプラグアウト蓄電量の推定に関する設計は,任意である。
図16(C)は,バッテリが満充電であると推定される場合の,プラグイン蓄電量の例を示す。図16(C)に示すように,バッテリが満充電であると推定される場合には,充電開始時のプラグイン蓄電量は,バッテリの電池容量から充電量を差し引いた値であると推定できる。
図16(D)は,バッテリが満充電でないと推定される場合の,プラグイン蓄電量の例を示す。図16(D)に示すように,バッテリが満充電でないと推定される場合には,プラグイン蓄電量は,充電量によって変わる。図16(D)に示すように,プラグイン蓄電量は,0〜電池容量−充電量の間のいずれかの値であると推定できる。
本実施の形態1の計測外消費電力量推定部101は,バッテリが満充電でないと推定される場合において,プラグイン蓄電量を,電池容量−充電量の中間値であると推定する。このとき,推定されるプラグイン蓄電量は,
プラグイン蓄電量=(電池容量−充電量)/2
となる。
なお,バッテリが満充電でないと推定される場合において,情報機器30の利用者ごとの特徴に応じて,プラグイン蓄電量の推定結果を変えるようにしてもよい。例えば,プラグイン蓄電量を推定する式を,
プラグイン蓄電量=(電池容量−充電量)×c,0≦c≦1
とする。外部電源の利用が多く,バッテリの充電を怠らない利用者の情報機器30については,cの値を大きく設定し,バッテリの利用が多い利用者の情報機器30については,cの値を小さく設定するようにすれば,利用者ごとの特徴に応じたプラグイン蓄電量の推定も可能である。このように,バッテリが満充電でないと推定される場合におけるプラグイン蓄電量の推定に関する設計は,任意である。
以下,本実施の形態1の計測外消費電力量推定部101による計測外消費電力量推定全体処理の流れの例を説明する。
図17,図18は,本実施の形態1による計測外消費電力量推定部による計測外消費電力量推定全体処理フローチャートである。
図17,図18に示す計測外消費電力量推定全体処理フローチャートにおいて,図17に示すフローチャートは,主に計測外時間帯における処理のフローチャートであり,図18に示すフローチャートは,主に計測時間帯における処理のフローチャートである。
なお,図17,図18に示す計測外消費電力量推定全体処理フローチャートは,ある1台の消費電力の計測対象である情報機器30について,リアルタイムに実行される処理のフローチャートである。計測外消費電力量推定部101は,図17,図18に示す計測外消費電力量推定全体処理を,消費電力の計測対象である電力機器のすべてについて,それぞれ実行する。
また,図17,図18のフローチャートで使用される各定数については,特に記載がなければ,定数管理情報記憶部207に記憶された定数管理情報で管理された定数である。同様に,図17,図18のフローチャートで使用される各変数については,特に記載がなければ,変数管理情報記憶部208に記憶された変数管理情報で管理された変数である。このことは,図17,図18以外のフローチャートでも同様であるものとする。
また,実際の電力の測定結果には,ノイズが含まれている。そのため,一定の時間幅で電力の計測結果の平均をとるなどの処理が,一般に行われている。図17,図18に示すフローチャートでも特に言及されていないが,一定の時間幅で電力の計測結果の平均をとるなどの処理は,適宜実行されているものとする。このことは,図17,図18以外のフローチャートでも同様であるものとする。
計測外消費電力量推定部101は,起動時に,計測外稼動期間を0に初期化する(ステップS10)。
計測外消費電力量推定部101は,所定の測定間隔だけウェイトする(ステップS11)。
電力取得部110は,計測電力を取得する(ステップS12)。計測電力は,情報機器30に対応する電力測定部40による電力の計測結果である。取得された計測電力は,計測結果情報記憶部202に記憶される。
計測外消費電力量推定部101は,取得された計測電力が,所定の電源接続有無判定電力W1 以上であるかを判定する(ステップS13)。取得された計測電力が所定の電源接続有無判定W1 以上でない場合には(ステップS13のNO),計測外消費電力量推定部101は,ステップS15の処理に進む。
取得された計測電力が所定の電源接続有無判定W1 以上である場合には(ステップS13のYES),計測外消費電力量推定部101は,さらに電源接続有無判定電力W1 以上の計測電力が,所定の電源接続有無判定時間以上続いたかを判定する(ステップS14)。電源接続有無判定電力W1 以上の計測電力が所定の電源接続有無判定時間以上続かなかった場合には(ステップS14のNO),計測外消費電力量推定部101は,ステップS15の処理に進む。
稼動状況取得部111は,アウェアネスサーバ70から,情報機器30の稼動状況を取得する(ステップS15)。取得された稼動状況は,稼動状況情報記憶部203に記憶される。計測外稼動期間特定部112は,情報機器30が稼動中であるかを判定する(ステップS16)。情報機器30が稼動中であれば(ステップS16のYES),計測外稼動期間特定部112は,計測外稼動期間に測定間隔を加算する(ステップS17)。計測外消費電力量推定部101は,ステップS11の処理に戻る。
電源接続有無判定電力W1 以上の計測電力が所定の電源接続有無判定時間以上続いた場合には(ステップS14のYES),計測外消費電力量推定部101は,図18のステップS18の処理に進む。
ステップS13とステップS14の判定は,計測外時間帯から計測時間帯への移行の判定である。情報機器30が特定のコンセントに電源接続されていないときでも,ノイズにより,そのコンセントに設置された電力測定部40による電力の計測結果は,必ずしも0とはならない。本実施の形態1において,計測外消費電力量推定部101は,設定された電源接続有無判定電力W1 以上の電力の計測結果が,設定された電源接続有無判定時間以上続いたときに,電力の計測結果で情報機器30による電力の消費が計測されていると判定する。
蓄電状況推定部113は,満充電フラグが1であるかを判定する(ステップS18)。満充電フラグが1である場合には(ステップS18のYES),蓄電状況推定部113は,プラグアウト蓄電量をバッテリの電池容量とする(ステップS19)。満充電フラグが1でない場合には(ステップS18のNO),蓄電状況推定部113は,プラグアウト蓄電量をバッテリの電池容量と充電量との中間値とする(ステップS20)。バッテリの電池容量は,電池容量情報記憶部206に記憶されている。ステップS18〜ステップS20の処理は,前の計測時間帯におけるプラグアウト蓄電量を推定する処理である。
蓄電状況推定部113は,各変数を初期化する(ステップS21)。本実施の形態1のステップS21では,充電量が0に初期化され,満充電フラグが0に初期化される。
蓄電状況推定部113は,充電処理を行う(ステップS22)。充電処理は,計測時間帯における情報機器30のバッテリへの充電量を求める処理である。充電処理については,後述する。
計測外消費電力量推定部101は,所定の測定間隔だけウェイトする(ステップS23)。
電力取得部110は,計測電力を取得する(ステップS24)。取得された計測電力は,計測結果情報記憶部202に記憶される。
計測外消費電力量推定部101は,取得された計測電力が,所定の電源接続有無判定電力W1 以下であるかを判定する(ステップS25)。
取得された計測電力が所定の電源接続有無判定W1 以下でない場合には(ステップS25のNO),計測外消費電力量推定部101は,ステップS22の処理に戻る。
取得された計測電力が所定の電源接続有無判定W1 以下である場合には(ステップS25のYES),計測外消費電力量推定部101は,電源接続有無判定電力W1 以下の計測電力が,所定の電源接続有無判定時間以上続いたかを判定する(ステップS26)。
電源接続有無判定電力W1 以下の計測電力が所定の電源接続有無判定時間以上続かなかった場合には(ステップS26のNO),計測外消費電力量推定部101は,ステップS23の処理に戻る。
ステップS25とステップS26の判定は,計測時間帯から計測外時間帯への移行の判定である。情報機器30が特定のコンセントに電源接続されているときでも,ノイズにより,そのコンセントに設置された電力測定部40による電力の計測結果が,0に近い値となる可能性がある。本実施の形態1において,計測外消費電力量推定部101は,設定された電源接続有無判定電力W1 以下の電力の計測結果が,設定された電源接続有無判定時間以上続いたときに,計測結果で情報機器30による電力の消費が計測されていないと判定する。
電源接続有無判定電力W1 以下の計測電力が所定の電源接続有無判定時間以上続いた場合には(ステップS26のYES),計測外消費電力量推定部101は,計測外消費電力量推定処理を実行し(ステップS27),図17のステップS28の処理に移る。計測外消費電力量推定処理は,計測外時間帯における情報機器30による消費電力量を推定する処理である。計測外消費電力量推定処理については,後述する。
計測外消費電力推定処理の実行後,計測外消費電力量推定部101は,計測外稼動期間を0に初期化し(ステップS28),ステップS15の処理に進む。
図19は,本実施の形態1の計測外消費電力量推定部による充電処理フローチャートである。
稼動状況取得部111は,アウェアネスサーバ70から,情報機器30の稼動状況を取得する(ステップS30)。取得された稼動状況は,稼動状況情報記憶部203に記憶された稼動状況情報に記録される。蓄電状況推定部113は,情報機器30が稼動中であるかを判定する(ステップS31)。
情報機器30が稼動中であれば(ステップS31のYES),蓄電状況推定部113は,取得された計測電力が,外部接続機器消費電力に所定の満充電判定電力W2 を加算した値以上であるかを判定する(ステップS32)。外部接続機器消費電力は,外部接続機器消費電力情報記憶部204に記憶されている。計測電力が外部接続機器消費電力に所定の満充電判定電力W2 を加算した値以上であれば(ステップS32のYES),蓄電状況推定部113は,充電量に計測電力から外部接続機器消費電力を引いた値を加算する(ステップS33)。計測電力が外部接続機器消費電力に所定の満充電判定電力W2 を加算した値以上でなければ(ステップS32のNO),蓄電状況推定部113は,満充電フラグを1に設定する(ステップS34)。
情報機器30の稼動中にバッテリが満充電の状態に近づくと,計測電力は,外部接続機器消費電力の値に漸近する。ステップS32の判定では,蓄電状況推定部113は,計測電力の値が外部接続機器消費電力の値に十分に漸近したかを判定している。
情報機器30が稼動中でなければ(ステップS31のNO),蓄電状況推定部113は,取得された計測電力が,所定の満充電判定電力W2 以上であるかを判定する(ステップS35)。計測電力が所定の満充電判定電力W2 以上であれば(ステップS35のYES),蓄電状況推定部113は,充電量に計測電力を加算する(ステップS36)。計測電力が所定の満充電判定電力W2 以上でなければ(ステップS35のNO),蓄電状況推定部113は,満充電フラグを1に設定する(ステップS37)。
情報機器30が稼動中でないときに,電力測定部40で情報機器30による電力の消費が計測されれば,情報機器30は非稼動で充電されている状態であると推定される。情報機器30の非稼動充電中にバッテリが満充電の状態に近づくと,計測電力は,0の値に漸近する。ステップS32の判定では,蓄電状況推定部113は,計測電力の値が0に十分に漸近したかを判定している。
図20は,本実施の形態1の計測外消費電力量推定部による計測外消費電力量推定処理フローチャートである。
図20のフローチャートに示す計測外消費電力量推定処理は,前の計測時間帯と今回の計測時間帯との間の計測外時間帯における情報機器30の計測外消費電力量を推定する処理である。
蓄電状況推定部113は,満充電フラグが1であるかを判定する(ステップS40)。満充電フラグが1である場合には(ステップS40のYES),蓄電状況推定部113は,プラグイン蓄電量をバッテリの電池容量から充電量を引いた値とする(ステップS41)。満充電フラグが1でない場合には(ステップS40のNO),蓄電状況推定部113は,プラグイン蓄電量をバッテリの電池容量から充電量を引いた値の半分とする(ステップS42)。バッテリの電池容量は,電池容量情報記憶部206に記憶されている。ステップS40〜ステップS42の処理は,今回の計測時間帯におけるプラグイン蓄電量を推定する処理である。
蓄電状況推定部113は,蓄電量差を算出する(ステップS43)。ここでは,蓄電量差は,
蓄電量差=プラグイン蓄電量−プラグアウト蓄電量
で算出されるものとする。この時点において,プラグイン蓄電量は,今回の計測時間帯におけるプラグイン蓄電量であり,プラグアウト蓄電量は,前の計測時間帯におけるプラグアウト蓄電量である。
消費電力量推定部114は,計測外稼動期間が0であるかを判定する(ステップS44)。
計測外稼動期間が0でなければ(ステップS44のNO),消費電力量推定部114は,蓄電量差が正値であるかを判定する(ステップS45)。
蓄電量差が正値であれば(ステップS45のYES),消費電力量推定部114は,計測外消費電力量を次の式(1)で推定する(ステップS46)。
Eo =Pa *T+Ed ・・・(1)
式(1)において,Eo は計測外消費電力量,Ed は蓄電量差,Tは計測外稼動期間,Pa は外部接続機器消費電力である。ステップS46の処理は,蓄電量差Ed が正値である場合の処理であるので,計測外稼動期間Tにおいて,外部電源から情報機器30のバッテリに対して蓄電量差Ed 分の充電が行われたと推定される。ここでは,消費電力量推定部114は,計測外消費電力量Eo を,計測外稼動期間Tにおける外部接続機器消費電力量(Pa *T)と,蓄電量差Ed との加算値と推定する。
蓄電量差が正値でなければ(ステップS45のNO),消費電力量推定部114は,計測外消費電力量を次の式(2)で推定する(ステップS47)。
Eo =Pa *(T+Ed *Pa /Pb ) ・・・(2)
式(2)において,Eo は計測外消費電力量,Ed は蓄電量差,Tは計測外稼動期間,Pa は外部接続機器消費電力,Pb は電池利用機器消費電力である。ステップS47の処理は,蓄電量差Ed が負値である場合の処理であるので,計測外稼動期間Tに,バッテリの蓄電電力を利用して情報機器30が稼動された期間が含まれているものと推定される。ここでは,消費電力量推定部114は,計測外消費電力量Eo を,計測外稼動期間Tからバッテリの蓄電電力を利用したと推定される期間(−Ed *Pa /Pb )を差し引いた期間(T+Ed *Pa /Pb )における外部接続機器消費電力量(Pa *(T+Ed *Pa /Pb ))と推定する。
計測外稼動期間が0であれば(ステップS44のYES),消費電力量推定部114は,蓄電量差が正値であるかを判定する(ステップS48)。
蓄電量差が正値であれば(ステップS48のYES),消費電力量推定部114は,計測外消費電力量Eo が蓄電量差Ed であると推定する(ステップS49)。ステップS49の処理は,計測外時間帯において情報機器30の稼動が確認されなかったときの,蓄電量差Ed が正値である場合の処理であるので,情報機器30が非稼動の状態で,外部電源から情報機器30のバッテリに対して蓄電量差Ed 分の充電が行われたと推定される。そのため,情報機器30のバッテリに対して充電された電力量である蓄電量差Ed が,計測外消費電力量Eo であると推定される。
蓄電量差が正値でなければ(ステップS48のNO),消費電力量推定部114は,計測外消費電力量E0 が0であると推定する(ステップS50)。ステップS50の処理は,計測外時間帯において情報機器30の稼動が確認されなかったときの,蓄電量差Ed が負値である場合の処理である。このような状況が起こるケースとしては,例えば,バッテリの充電が行われないまま長期間に渡って情報機器30が使用されなかったときに自然放電されるケースや,稼動状況を監視できない場所で情報機器30を使用したケースなどが考えられる。この場合には,情報機器30の計測外消費電力量Eo の推定は困難となる。この場合に,本実施の形態では,消費電力量推定部114は,計測外消費電力量Eo が0であると推定する。
以上説明したように,本実施の形態1による計測外消費電力量推定部101は,計測外時間帯前後の計測時間帯におけるバッテリの蓄電状況から,計測外稼動期間における情報機器30の利用状況を推定して,情報機器30の計測外消費電力量を推定する。これにより,精度が高い情報機器30の計測外消費電力量の推定が可能となる。
〔実施の形態2〕
バッテリを内蔵する情報機器30の使用ケースとしては,例えば,外部電源に接続した情報機器30の使用を優先するケースや,内蔵するバッテリに蓄電された電力を利用した情報機器30の使用を優先するケースなどがある。情報機器30の利用者には,外部電源に接続した情報機器30の使用を優先するケースが多い利用者もいれば,バッテリに蓄電された電力を利用した情報機器30の使用を優先するケースが多い利用者もいる。また,情報機器30の使用環境には,外部電源に接続した情報機器30の使用を優先するケースが多い環境もあれば,バッテリに蓄電された電力を利用した情報機器30の使用を優先するケースが多い環境もある。
本実施の形態2では,利用者や使用環境ごとの情報機器30の使用ケースを考慮して,より詳細に情報機器30の計測外消費電力量を推定する例を説明する。なお,前述の実施の形態1の例では,外部電源に接続した情報機器30の使用を優先しているものとして,情報機器30の計測外消費電力量の推定が行われている。
図21は,本実施の形態2による電力センシングシステムの構成例を示す図である。
図21に示す電力センシングシステムの構成は,図1に示す電力センシングシステムの構成とほとんど同じ構成であり,計測外消費電力量推定部102のみが異なる。ここでは,計測外消費電力量推定部102以外の構成については,説明を省略する。
計測外消費電力量推定部102は,図1に示す計測外消費電力量推定部101と同様に,電力取得部110,稼動状況取得部111,計測外稼動期間特定部112,蓄電状況推定部113,消費電力量推定部114,情報記憶部200を備える。
計測外消費電力量推定部102の情報記憶部200は,図3に示す情報記憶部200の構成に加えて,さらに利用ポリシ情報記憶部210を備える。利用ポリシ情報記憶部210は,利用ポリシが記録された利用ポリシ情報を記憶する。利用ポリシは,外部電源に接続した電気機器の使用と,バッテリの蓄電電力を利用した電気機器の使用との度合いを示す情報である。
計測外消費電力量推定部102において,電力取得部110,稼動状況取得部111,計測外稼動期間特定部112,蓄電状況推定部113については,図1に示す計測外消費電力量推定部101とほぼ同様であるので説明を省略する。
計測外消費電力量推定部102の消費電力量推定部114は,利用ポリシ情報に記録された利用ポリシに基づいて,外部電源に接続した電気機器の稼動と,バッテリの蓄電電力を利用した電気機器の稼動とを推定し,計測外稼動期間とバッテリの蓄電状況とから,電気機器の計測外消費電力量を推定する。
図22は,計測外稼動期間における情報機器の利用状況を説明する図である。
図22に示すように,計測外稼動期間は,情報機器30の状態によって,定常フェーズ,放電フェーズ,蓄電フェーズの3つのフェーズに分類することができる。
定常フェーズにおける情報機器30の状態は,情報機器30のバッテリが満充電の状態であり,外部電源からの供給電力で情報機器30が稼動している状態である。定常フェーズにおける情報機器30の消費電力は,情報機器30の外部接続機器消費電力である。
放電フェーズにおける情報機器30の状態は,バッテリの蓄電電力のみを利用して情報機器が稼動している状態である。放電フェーズでは,情報機器30の消費電力は0となり,時間の経過とともにバッテリの蓄電量が減少する。
蓄電フェーズにおける情報機器30の状態は,情報機器30のバッテリが満充電ではない状態であり,外部電源からの供給電力で情報機器30が稼動している状態である。蓄電フェーズにおける情報機器30の消費電力は,情報機器30の外部接続機器消費電力と,バッテリへの充電電力との合計値である。
ここで,図22に示すように,計測外稼動期間Tにおける定常フェーズの割合,放電フェーズの割合,蓄電フェーズの割合を,それぞれα,β,γとする。このとき,α,β,γの関係は,
α+β+γ=1 ・・・(3)
となる。定常フェーズの期間,放電フェーズの期間,蓄電フェーズの期間は,図22に示すように,それぞれα*T,β*T,γ*Tとなる。
蓄電量差Ed は,図22に示すように,蓄電フェーズにおける充電量(Pc *γ*T)と,放電フェーズにおける情報機器30の電池利用機器消費電力量(Pb *β*T)との差分となる。すなわち,蓄電量差Ed は,
Ed =Pc *γ*T−Pb *β*T ・・・(4)
となる。Pc はバッテリの充電電力を示し,Pb は情報機器30の電池利用機器消費電力を示す。
計測外消費電力量Eo は,図22に示すように,定常フェーズにおける情報機器30の外部接続機器消費電力量(Pa *α*T)と,蓄電フェーズにおける情報機器30の外部接続機器消費電力量(Pa *γ*T),充電量(Pc *γ*T)との合計となる。すなわち,計測外消費電力量Eo は,
Eo =Pa *α*T+(Pa +Pc )*γ*T ・・・(5)
となる。Pa は,情報機器30の外部接続機器消費電力を示す。
図23は,蓄電量差が正値である場合の計測外消費電力量を説明する図である。
図23(A)は,蓄電量差が正値であった場合に,利用者がバッテリの蓄電電力を優先的に利用して情報機器30を稼動したと仮定したときの,計測外稼動期間における情報機器30の状態を示す。
利用者がバッテリの蓄電電力を優先的に利用して情報機器30を稼動したと仮定すると,図23(A)に示すように,定常フェーズの期間(α*T)が0となる。すなわち,定常フェーズの割合αが0となる。このとき,上記の式(3),式(5)を整理すると,それぞれ,
β+γ=1 ・・・(6)
Eo =(Pa +Pc )*γ*T ・・・(7)
となる。
式(6)から,β=1−γとなるので,上記の式(4)を整理して変形すると,
Ed =Pc *γ*T−Pb *(1−γ)*T
=(Pc +Pb )*γ*T−Pb *T
(Pc +Pb )*γ*T=Ed −Pb *T
γ*T=(Ed −Pb *T)/(Pc +Pb ) ・・・(8)
となる。
式(7)と式(8)とから,
Eo =(Ed −Pb *T)*(Pa +Pc )/(Pc +Pb ) ・・・(9)
が得られる。
ここでは,利用者がバッテリの蓄電電力を優先的に利用して情報機器30を稼動したと仮定したときの計測外消費電力量をEb とする。すなわち,式(9)から,Eb は,
Eb =(Ed −Pb *T)*(Pa +Pc )/(Pc +Pb ) ・・・(10)
となる。
図23(B)は,蓄電量差が正値であった場合に,利用者が優先的に外部電源に接続して情報機器30を稼動したと仮定したときの,計測外稼動期間における情報機器30の状態を示す。
利用者が優先的に外部電源に接続して情報機器30を稼動したと仮定すると,図23(B)に示すように,放電フェーズの期間(β*T)が0となる。すなわち,放電フェーズの割合βが0となる。このとき,上記の式(3),式(4)を整理すると,それぞれ,
α+γ=1 ・・・(11)
Ed =Pc *γ*T ・・・(12)
となる。
式(11)と式(12)とから,上記の式(5)を整理すると,
Eo =Pa *α*T+(Pa +Pc )*γ*T
=Pa *(α+γ)*T+Pc *γ*T
=Pa *T+Ed ・・・(13)
が得られる。
ここでは,蓄電量差が正値であった場合に,利用者が優先的に外部電源に接続して情報機器30を稼動したと仮定したときの計測外消費電力量をEa1とする。すなわち,式(13)から,Ea1は,
Ea1=Pa *T+Ed ・・・(14)
となる。
利用者が優先的に外部電源に接続して情報機器30を稼動したと仮定した場合の利用ポリシBp を0とする。また,利用者がバッテリの蓄電電力を優先的に利用して情報機器30を稼動したと仮定した場合の利用ポリシBp を1とする。外部電源に接続した情報機器30の使用と,バッテリの蓄電電力を利用した情報機器30の使用との度合いを示す利用ポリシBp は,0≦Bp ≦1となる。
上記の式(10)と,式(14)とから,利用ポリシBp に応じた,蓄電量差が正値である場合の計測外機器消費電力量Eo は,
Eo =Ea1+Bp *(Eb−Ea1) ・・・(15)
で推定することができる。
図24は,蓄電量差が負値である場合の計測外消費電力量を説明する図である。
図24(A)は,蓄電量差が負値であった場合に,利用者がバッテリの蓄電電力を優先的に利用して情報機器30を稼動したと仮定したときの,計測外稼動期間における情報機器30の状態を示す。
図24(A)に示すように,利用者がバッテリの蓄電電力を優先的に利用して情報機器30を稼動したと仮定したときの,計測外稼動期間における情報機器30の状態は,図23(A)に示す蓄電量差が正値であった場合と同様である。すなわち,蓄電量差が負値であっても,利用者がバッテリの蓄電電力を優先的に利用して情報機器30を稼動したと仮定したときの計測外消費電力量をEb は,上記の式(10)によって得られる。
図24(B)は,蓄電量差が負値であった場合に,利用者が優先的に外部電源に接続して情報機器30を稼動したと仮定したときの,計測外稼動期間における情報機器30の状態を示す。
利用者が優先的に外部電源に接続して情報機器30を稼動したと仮定すると,図24(B)に示すように,蓄電フェーズの期間(γ*T)が0となる。すなわち,蓄電フェーズの割合γが0となる。このとき,上記の式(3),式(4),式(5)を整理すると,それぞれ,
α+β=1 ・・・(16)
Ed =−Pb *β*T ・・・(17)
Eo =Pa *α*T ・・・(18)
となる。式(16)から,β=1−αであるので,式(17)を整理して変形すると,
Ed =−Pb *(1−α)*T
=Pb *α*T−Pb *T
Pb *α*T=Ed +Pb *T
α*T=T+Ed /Pb ・・・(19)
式(19)から,上記の式(18)を整理すると,
Eo =Pa *(T+Ed /Pb )
=Pa T+Ed *Pa /Pb ・・・(20)
が得られる。
ここでは,蓄電量差が負値であった場合に,利用者が優先的に外部電源に接続して情報機器30を稼動したと仮定したときの計測外消費電力量をEa2とする。すなわち,式(20)から,Ea2は,
Ea2=Pa T+Ed *Pa /Pb ・・・(21)
となる。
利用者が優先的に外部電源に接続して情報機器30を稼動したと仮定した場合の利用ポリシBp を0とする。また,利用者がバッテリの蓄電電力を優先的に利用して情報機器30を稼動したと仮定した場合の利用ポリシBp を1とする。外部電源に接続した情報機器30の使用と,バッテリの蓄電電力を利用した情報機器30の使用との度合いを示す利用ポリシBp は,0≦Bp ≦1となる。
上記の式(10)と,式(21)とから,利用ポリシBp に応じた,蓄電量差が負値である場合の計測外機器消費電力量Eo は,
Eo =Ea2+Bp *(Eb−Ea2) ・・・(22)
で推定することができる。
図25は,本実施の形態2による利用ポリシ情報記憶部に格納されるデータの構成例を示す図である。
図25に示す利用ポリシデータ260は,利用ポリシ情報記憶部210に記憶された利利用ポリシ情報のデータ構造の一例である。図25に示す利用ポリシデータ260は,機器ID,利用ポリシ等の情報を持つ。機器IDは,電気機器を一意に識別する識別情報である。利用ポリシは,外部電源に接続した電気機器の使用と,バッテリの蓄電電力を利用した電気機器の使用との度合いを示す情報である。
図25に示す利用ポリシデータ260における利用ポリシは,値が0に近いほど外部電源に接続した電気機器の使用の度合いが高くなり,値が1に近いほどバッテリの蓄電電力を利用した電気機器の使用の度合いが高くなる。
以下,本実施の形態2の計測外消費電力量推定部102による計測外消費電力量推定全体処理の流れの例を説明する。
本実施の形態2の計測外消費電力量推定部102による計測外消費電力量推定全体処理は,図17,図18のフローチャートに示す,実施の形態1の計測外消費電力量推定部101による計測外消費電力量推定全体処理と同様である。ただし,図18のステップS21における変数の初期化では,計測外消費電力量推定部102は,充電量と満充電フラグとを0に初期化することに加えて,さらに充電時間を0に初期化する。
図26は,本実施の形態2の計測外消費電力量推定部による充電処理フローチャートである。
本実施の形態2の計測外消費電力量推定部102による充電処理は,図19のフローチャートに示す,実施の形態1の計測外消費電力量推定部101による充電処理に,充電時間を加算する処理(ステップS325およびステップS355)を加えたものである。
蓄電状況推定部113は,計測電力が外部接続機器消費電力に所定の満充電判定電力W2 を加算した値以上である場合に(ステップS32のYES),充電時間に測定間隔を加算する(ステップS325)。また,蓄電状況推定部113は,計測電力が所定の満充電判定電力W2 以上である場合に(ステップS35のYES),充電時間に測定間隔を加算する(ステップS355)。
これ以外の処理については,図19のフローチャートに示す,実施の形態1の計測外消費電力量推定部101による充電処理と同様である。
図27は,本実施の形態2の計測外消費電力量推定部による計測外消費電力量推定処理フローチャートである。
本実施の形態2の計測外消費電力量推定部102による計測外消費電力量推定処理は,図20のフローチャートに示す,実施の形態1の計測外消費電力量推定部101による計測外消費電力量推定処理の一部を変更したものである。
本実施の形態2の計測外消費電力量推定処理では,蓄電状況推定部113が,バッテリの充電電力を算出する(ステップS435)。バッテリの充電電力は,例えば,
充電電力=充電量/充電時間
で求められる。この式で得られる充電電力は,計測時間帯の充電時間における実際の充電電力の平均値である。
また,本実施の形態2の計測外消費電力量推定処理では,計測外稼動期間が0でない場合(ステップS44のNO)の計測外消費電力量の推定に用いる式が,実施の形態1の計測外消費電力量推定処理とは異なる。
消費電力量推定部114は,蓄電量差が正値である場合に(ステップS45のYES),上記の式(15)を用いて,計測外消費電力量を推定する(ステップS46’)。また,消費電力量推定部114は,蓄電量差が正値でない場合に(ステップS45のNO),上記の式(22)を用いて,計測外消費電力量を推定する(ステップS47’)。
これ以外の処理については,図20のフローチャートに示す,実施の形態1の計測外消費電力量推定部101による計測外消費電力量推定処理と同様である。
本実施の形態2の計測外消費電力量推定部102により,利用者や使用環境ごとの情報機器30の使用ケースを考慮した,より精度が高い情報機器30の計測外消費電力量の推定が可能となる。例えば,営業職などバッテリ利用の機会が多い利用者の情報機器30については,利用ポリシBp の値を高く設定し,開発職など外部電源の接続が多い利用者の情報機器30については,利用ポリシBp の値を低く設定するなど,情報機器30の使用状況に応じた細かい対応が可能となる。
〔実施の形態3〕
情報機器30のメーカが発表する定格のバッテリの電池容量は,必ずしも正確な情報機器30のバッテリの電池容量とはならない。そのため,設定された電池容量がメーカ発表の定格のバッテリの電池容量である場合には,計測外消費電力量の推定結果の精度が低くなってしまう可能性がある。
また,使用や時間経過に応じてバッテリは劣化するため,バッテリの電池容量は,使用や時間経過に応じて減少する。最初に設定された電池容量をそのまま計測外消費電力量の推定に利用し続けると,バッテリの劣化に応じて,計測外消費電力量の推定結果の精度が低くなっていく。
本実施の形態3では,より正確なバッテリの電池容量を推定する例を説明する。
図28は,本実施の形態3による電力センシングシステムの構成例を示す図である。
図28に示す電力センシングシステムの構成は,図1に示す電力センシングシステムの構成とほとんど同じ構成であり,計測外消費電力量推定部103のみが異なる。ここでは,計測外消費電力量推定部103以外の構成については,説明を省略する。
計測外消費電力量推定部103は,図1に示す計測外消費電力量推定部101の構成に加えて,電池容量更新部115と,電池容量推定部116とを備える。計測外消費電力量推定部103において,電力取得部110,稼動状況取得部111,計測外稼動期間特定部112,蓄電状況推定部113,消費電力量推定部114については,図1に示す計測外消費電力量推定部101と同様であるので説明を省略する。
電池容量更新部115は,時間の経過に応じて,電池容量情報記憶部206に記憶された電池容量を,自動的に減らして更新する。電池容量を更新するタイミングと,電池容量を減らす量の設定は任意である。時間の経過に応じて設定された電池容量を減少させることで,実際のバッテリの電池容量の劣化に対応する。
電池容量推定部116は,電力の計測結果で電気機器による電力の消費が計測された期間におけるバッテリの充電量が,電池容量情報に記録されたバッテリの電池容量を超えたときに,電池容量情報に記録されたバッテリの電池容量を,充電量で更新する。実際のバッテリの充電量が,1回の計測時間帯におけるバッテリの充電量より低いことはない。バッテリの充電量が設定されたバッテリの電池容量を超えたときに,設定されたバッテリの電池容量を充電量で更新することで,低すぎる電池容量を修正することができる。
図29は,本実施の形態3の電池容量更新部による電池容量更新処理フローチャートである。
図29に示す電池容量更新処理は,時間の経過に応じて,随時実行される。
電池容量更新部115は,電池容量情報記憶部206に記憶された設定時刻を参照し,バッテリの電池容量が最後に更新された設定時刻から,所定時間が経過したかを判定する(ステップS60)
電池容量の設定時刻から所定時間が経過していれば(ステップS60のYES),電池容量更新部115は,電池容量情報記憶部206に記憶された電池容量を,所定量減少させる更新を行う(ステップS61)。このとき,電池容量更新部115は,電池容量情報記憶部206に記憶された設定時刻も更新する。
図30は,本実施の形態3の電池容量推定部による電池容量推定処理フローチャートである。
図30に示す電池容量推定処理は,例えば,図19に示す実施の形態1のフローチャートにおいて,満充電フラグを1に更新した処理(ステップS34,ステップS37)の後に実行される。
電池容量推定部116は,充電量が,電池容量情報記憶部206に記憶された電池容量を超えたかを判定する(ステップS70)。
充電量が電池容量情報記憶部206に記憶された電池容量を超えた場合には(ステップS70のYES),電池容量推定部116は,電池容量情報記憶部206に記憶された電池容量を,充電量で更新する(ステップS71)。
本実施の形態3の計測外消費電力量推定部103により,設定されたバッテリの電池容量を,実際のバッテリの電池容量により近い値に,随時更新することが可能となる。これにより,より精度が高い情報機器30の計測外消費電力量の推定が可能となる。
〔実施の形態4〕
情報機器30の外部接続機器消費電力は,情報機器30の利用環境によって変わる。例えば,情報機器30が備えるディスプレイの明るさを変更したり,情報機器30にオプション機器を接続するだけで,情報機器30の外部接続機器消費電力は変わってしまう。そのため,メーカが発表する情報機器30の定格消費電力は,必ずしも正確な情報機器30の外部接続機器消費電力とはならない。設定された外部接続機器消費電力がメーカ発表の定格消費電力のままである場合には,計測外消費電力量の推定結果の精度が低くなってしまう可能性がある。
本実施の形態4では,より正確な情報機器30の外部接続機器消費電力を推定する例を説明する。
図31は,本実施の形態4による電力センシングシステムの構成例を示す図である。
図31に示す電力センシングシステムの構成は,図1に示す電力センシングシステムの構成とほとんど同じ構成であり,計測外消費電力量推定部104のみが異なる。ここでは,計測外消費電力量推定部104以外の構成については,説明を省略する。
計測外消費電力量推定部104は,図1に示す計測外消費電力量推定部101の構成に加えて,外部接続機器消費電力推定部117を備える。また,計測外消費電力量推定部104の情報記憶部200は,図3に示す構成に加えて,外部接続時推定管理情報記憶部211を備える。
計測外消費電力量推定部104において,電力取得部110,稼動状況取得部111,計測外稼動期間特定部112,蓄電状況推定部113,消費電力量推定部114については,図1に示す計測外消費電力量推定部101と同様であるので説明を省略する。
外部接続機器消費電力推定部117は,電力の計測結果で電気機器による電力の消費が計測された期間であり,かつ電気機器が稼動する期間において,電力の計測結果から,時間の経過とともに計測される電力が減少する際に漸近する値を推定する。外部接続機器消費電力推定部117は,外部接続機器消費電力情報記憶部204に記憶された外部接続機器消費電力を,推定された漸近する値で更新する。
図15に示すように,計測される稼動中の情報機器30の消費電力は,バッテリが満充電の状態に近づくに従って,特定の値に漸近する。この漸近する値が,その時点における情報機器30の外部接続機器消費電力であると推定できる。外部接続機器消費電力推定部117は,このような計測される稼動中の情報機器30の消費電力が漸近する値を,外部接続機器消費電力の推定値として求める。
外部接続時推定管理情報記憶部211は,外部接続機器消費電力推定部117による処理で用いられる定数や変数の情報を管理する外部接続時推定管理情報を記憶する記憶部である。
図32は,本実施の形態4による外部接続時推定管理情報記憶部に格納されるデータの構成例を示す図である。
図32に示す外部接続時推定管理データ261は,外部接続時推定管理情報記憶部211に記憶された外部接続時推定管理情報の一例である。図32に示す外部接続時推定管理データ261は,定数名/変数名,値等の情報を持つ。定数名/変数名は,設定された定数の名称や,外部接続機器消費電力推定部117による処理の過程で,随時値が更新される変数の名称である。値は,設定された定数の値や随時更新される変数の値である。
図32に示す外部接続時推定管理データ261において,計測電力減少量判定電力は,計測電力減少量の判定に用いる閾値を示す。
図32に示す外部接続時推定管理データ261において,計測電力減少回数判定値は,計測電力の減少が続いた回数の判定に用いる閾値を示す。
図32に示す外部接続時推定管理データ261において,前回計測電力は,前回のタイミングで取得された計測電力を示す変数である。
図32に示す外部接続時推定管理データ261において,前回計測電力減少量は,前々回のタイミングで取得された計測電力から前回のタイミングで取得された計測電力への減少量を示す変数である。
図32に示す外部接続時推定管理データ261において,計測電力減少量は,前回のタイミングで取得された計測電力から今回のタイミングで取得された計測電力への減少量を示す変数である。
図32に示す外部接続時推定管理データ261において,計測電力減少回数は,計測電力の減少が続いた回数を示す変数である。
図33は,本実施の形態4の外部接続機器消費電力推定部による外部接続機器消費電力推定処理フローチャートである。
図33に示す外部接続機器消費電力推定処理は,例えば,図19に示す実施の形態1のフローチャートにおいて,情報機器30が稼動中であると判定された処理(ステップS31のYES)の直後に実行される。
外部接続機器消費電力推定部117は,今回の計測電力が前回計測電力より減少したかを判定する(ステップS80)。
今回の計測電力が前回の計測電力より減少していない場合には(ステップS80のNO),外部接続機器消費電力推定部117は,計測電力減少回数を0に初期化する(ステップS81)。外部接続機器消費電力推定部117は,計測電力減少量を0に初期化し(ステップS82),ステップS89の処理に進む。
今回の計測電力が前回の計測電力より減少した場合には(ステップS80のYES),外部接続機器消費電力推定部117は,計測電力減少回数をカウントアップする(ステップS83)。外部接続機器消費電力推定部117は,前回計測電力と今回の計測電力とから,計測電力減少量を算出する(ステップS84)。ここで算出された値で,計測電力減少量が更新される。
外部接続機器消費電力推定部117は,算出された計測電力減少量が前回計測電力減少量以下であるかを判定する(ステップS85)。算出された計測電力減少量が前回計測電力減少量以下でなければ(ステップS85のNO),外部接続機器消費電力推定部117は,ステップS89の処理に進む。
算出された計測電力減少量が前回計測電力減少量以下であれば(ステップS85のYES),外部接続機器消費電力推定部117は,計測電力減少量が所定の計測電力減少量判定電力以下であるかを判定する(ステップS86)。計測電力減少量が所定の計測電力減少量判定電力以下でなければ(ステップS86のNO),外部接続機器消費電力推定部117は,ステップS89の処理に進む。
計測電力減少量が所定の計測電力減少量判定電力以下であれば(ステップS86のYES),外部接続機器消費電力推定部117は,計測電力減少回数が所定の計測電力減少回数判定値以上であるかを判定する(ステップS87)。計測電力減少回数が所定の計測電力減少回数判定値以上でなければ(ステップS87のNO),外部接続機器消費電力推定部117は,ステップS89の処理に進む。
計測電力減少回数が所定の計測電力減少回数判定値以上であれば(ステップS87のYES),外部接続機器消費電力推定部117は,外部接続機器消費電力情報記憶部204に記憶された外部接続機器消費電力を今回の計測電力で更新する(ステップS88)。
外部接続機器消費電力推定部117は,各変数を更新して(ステップS89),処理を終了する。ここでは,前回計測電力が今回の計測電力で更新され,前回計測電力減少量が計測電力減少量で更新される。
なお,ここでは,図33のフローチャートに示す処理によって,計測される情報機器30の消費電力が漸近する値を検出しているが,計測される情報機器30の消費電力の変化を指数関数などで近似して,漸近する値を検出するようにしてもよい。また,計測される情報機器30の消費電力の時系列値をサポートベクトルマシン(SVM:Support vector machine)に入力し,漸近する値を検出するようにしてもよい。
本実施の形態4の計測外消費電力量推定部104により,情報機器30の利用環境に応じた適切な外部接続機器消費電力を推定し,その推定結果で設定された外部接続機器消費電力を随時更新することが可能となる。これにより,より精度が高い情報機器30の計測外消費電力量の推定が可能となる。
〔実施の形態5〕
情報機器30の電池利用機器消費電力は,外部接続機器消費電力と同様に,情報機器30の利用環境によって変わる。そのため,メーカが発表する情報機器30のバッテリ利用時の定格消費電力は,必ずしも正確な情報機器30の電池利用機器消費電力とはならない。設定された電池利用機器消費電力がメーカ発表のバッテリ利用時の定格消費電力のままである場合には,計測外消費電力量の推定結果の精度が低くなってしまう可能性がある。
本実施の形態5では,より正確な情報機器30の電池利用機器消費電力を推定する例を説明する。
図34は,本実施の形態5による電力センシングシステムの構成例を示す図である。
図34に示す電力センシングシステムの構成は,図1に示す電力センシングシステムの構成とほとんど同じ構成であり,電力測定・制御部41と,計測外消費電力量推定部105のみが異なる。ここでは,電力測定・制御部41と,計測外消費電力量推定部105以外の構成については,説明を省略する。
電力測定・制御部41は,図1に示す電力測定部40の機能に加えて,設置されたコンセントによる電源の切断/接続を制御する機能を備える。
計測外消費電力量推定部105は,図1に示す計測外消費電力量推定部101の構成に加えて,電源制御部118と,電池利用機器消費電力推定部119とを備える。また,計測外消費電力量推定部105の情報記憶部200は,図3に示す構成に加えて,電池利用時推定管理情報記憶部212を備える。
計測外消費電力量推定部105において,電力取得部110,稼動状況取得部111,計測外稼動期間特定部112,蓄電状況推定部113,消費電力量推定部114については,図1に示す計測外消費電力量推定部101と同様であるので説明を省略する。
電源制御部118は,電力が計測される外部電源から電気機器への電力の供給を制御する。例えば,電源制御部118は,電力測定・制御部41に対して電源OFFや電源ONの制御信号を送り,電力測定・制御部41に,情報機器30に電力を供給する外部電源の切断/接続を行わせる。
電池利用機器消費電力推定部119は,電源制御部118により電気機器への電力の供給が一時的に切断された際に,電力測定・制御部41による電力の計測結果から,切断前後のバッテリの蓄電量の差を求める。電池利用機器消費電力推定部119は,求められた切断前後の蓄電量の差と切断の時間とから,新たな電池利用機器消費電力を推定する。電池利用機器消費電力推定部119は,電池利用機器消費電力情報記憶部205に記憶された電池利用機器消費電力を,推定された新たな電池利用機器消費電力で更新する。
電池利用時推定管理情報記憶部212は,電池利用機器消費電力推定部119による処理で用いられる定数や変数の情報を管理する電池利用時推定管理情報を記憶する記憶部である。
図35は,本実施の形態5による電池利用時推定管理情報記憶部に格納されるデータの構成例を示す図である。
図35に示す電池利用時推定管理データ262は,電池利用時推定管理情報記憶部212に記憶された電池利用時推定管理情報の一例である。図35に示す電池利用時推定管理データ262は,定数名/変数名,値等の情報を持つ。定数名/変数名は,設定された定数の名称や,電池利用機器消費電力推定部119による処理の過程で,随時値が更新される変数の名称である。値は,設定された定数の値や随時更新される変数の値である。
図35に示す電池利用時推定管理データ262において,切断時間は,電力測定・制御部41により外部電源から情報機器30への電源を意図的に切断する期間を示す定数である。
図35に示す電池利用時推定管理データ262において,電池利用分充電量は,意図的な電源の切断期間後の,情報機器30のバッテリへの充電量を示す変数である。
図36は,本実施の形態5の計測外消費電力量推定部による電池利用機器消費電力推定処理フローチャートである。
図36に示す外部接続機器消費電力推定処理は,所定のタイミングで,随時実行される。
計測外消費電力量推定部105は,情報機器30が稼動中であるかを判定する(ステップS90)。情報機器30が稼動中でなければ(ステップS90のNO),電池利用機器消費電力の推定は不可となる。
情報機器30が稼動中であれば(ステップS90のYES),計測外消費電力量推定部105は,電力取得部110により取得された計測電力が,所定の電源接続有無判定電力W1 以上であるかを判定する(ステップS91)。取得された計測電力が所定の電源接続有無判定電力W1 以上でなければ(ステップS91のNO),計測時間帯ではないので,電池利用機器消費電力の推定は不可となる。
取得された計測電力が所定の電源接続有無判定電力W1 以上であれば(ステップS91のYES),計測外消費電力量推定部105は,取得された計測電力が,外部接続機器消費電力に所定の満充電判定電力W2 を加算した値以上であるかを判定する(ステップS92)。計測電力が外部接続機器消費電力に所定の満充電判定電力W2 を加算した値以上であれば(ステップS92のYES),情報機器30のバッテリは満充電の状態ではないので,電池利用機器消費電力の推定は不可となる。
計測電力が外部接続機器消費電力に所定の満充電判定電力W2 を加算した値以上でなければ(ステップS92のNO),電源制御部118は,電力測定・制御部41に対する電源OFF制御を実行する(ステップS93)。電力測定・制御部41により,特定のコンセントに接続された情報機器30に対する電力供給が停止される。
計測外消費電力量推定部105は,所定の切断時間だけウェイトする(ステップS94)。
電源制御部118は,電力測定・制御部41に対する電源ON制御を実行する(ステップS95)。電力測定・制御部41により,特定のコンセントに接続された情報機器30に対する電力供給が再開される。
電力取得部110は,電力測定・制御部41による計測電力を取得する(ステップS96)。
電池利用機器消費電力推定部119は,電力取得部110により取得された計測電力が,外部接続機器消費電力に所定の満充電判定電力W2 を加算した値以上であるかを判定する(ステップS97)。
計測電力が外部接続機器消費電力に所定の満充電判定電力W2 を加算した値以上であれば(ステップS97のYES),電池利用機器消費電力推定部119は,電池利用分充電量に計測電力を加算する(ステップS98)。なお,電池利用分充電量は,本処理の開始時に,0に初期化されているものとする。電池利用機器消費電力推定部119は,所定の測定間隔だけウェイトし(ステップS99),ステップS96の処理に戻る。
計測電力が外部接続機器消費電力に所定の満充電判定電力W2 を加算した値以上でなければ(ステップS97のNO),電池利用機器消費電力推定部119は,電池利用機器消費電力を推定する(ステップS100)。電池利用機器消費電力は,
電池利用機器消費電力=電池利用分充電量/切断時間
で推定される。電池利用機器消費電力推定部119は,電池利用機器消費電力情報記憶部205に記憶された電池利用機器消費電力を更新する(ステップS101)。
本実施の形態5の計測外消費電力量推定部105により,情報機器30の利用環境に応じた適切な電池利用機器消費電力を推定し,その推定結果で設定された電池利用機器消費電力を随時更新することが可能となる。これにより,より精度が高い情報機器30の計測外消費電力量の推定が可能となる。
以上,本実施の形態について説明したが,本発明はその主旨の範囲において種々の変形が可能であることは当然である。
例えば,本実施の形態では,リアルタイムに取得された電力の計測結果や,情報機器30の稼動状況に基づいて,情報機器30の計測外消費電力量を算出する例を説明した。計測結果情報記憶部202に蓄積された電力の計測結果や,稼動状況情報記憶部203に蓄積された情報機器30の稼動状況に基づいて,後から情報機器30の計測外消費電力量を算出するようにしてもよい。
また,例えば,本実施の形態では,管理装置10とは別にアウェアネスサーバ70が存在する例を説明したが,管理装置10の内部にアウェアネスサーバ70の機能があってもよい。このとき,稼動状況取得部111は,情報機器30から稼動状況を取得する。