JP2012137544A - 駆動モジュール及び電子機器 - Google Patents

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彩子 野邉
Tetsuya Nobe
哲也 野邉
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Abstract

【課題】被駆動体の移動開始基準点の正確性の向上を図ることを目的とする。
【解決手段】支持体と、支持体に対して一定方向に沿って往復移動可能に設けられた被駆動体4と、被駆動体4を弾性保持するためのバイアスばね34と、被駆動体4に設けられた引掛部4D1に中間部が掛けられて両端部が保持部に保持された形状記憶合金ワイヤ10を有し、形状記憶合金ワイヤ10に電力を供給して形状記憶合金ワイヤ10を通電による発熱によって変形させることで、被駆動体4をバイアスばね34の復元力に抗して移動させる駆動手段と、を備えた駆動モジュールであって、保持部及び引掛部4D1のうちの少なくとも一方が、形状記憶合金ワイヤ10が通電によって変形することでバイアスばね34を弾性変形させることなく一定範囲で移動可能な可動部4Dに設けられている。
【選択図】図6

Description

本発明は、例えば光学系を駆動して焦点位置を調整したり、可動部材を駆動してアクチュエータとして用いたりするのに好適な駆動モジュール、及びその駆動モジュールを備える電子機器に関するものである。
従来から、形状記憶合金ワイヤを使用した駆動モジュールを搭載した小型の電子機器が種々提案されている。上記した形状記憶合金ワイヤは、外力を加えて変形させても、ある温度以上に加熱することで元の形状に回復する性質を持つ部材である。
この種の駆動モジュールとしては、従来、例えば下記特許文献1に示されているような、支持体と、支持体に対して一定方向に沿って往復移動可能に設けられた被駆動体と、被駆動体を弾性保持するばね部材と、被駆動体に係止された形状記憶合金ワイヤを有する駆動手段と、を備える構成が知られている。上記した形状記憶合金ワイヤの両端部は、支持体に固定されたワイヤ保持部によって保持され、また、形状記憶合金ワイヤの中間部は、被駆動体に形成されたガイド突起に下方から掛けられており、形状記憶合金ワイヤは、略V字状に屈曲された状態で取り付けられている。この駆動モジュールによれば、形状記憶合金ワイヤに対して通電を行うことで、その通電によるジュール熱によって形状記憶合金ワイヤが加熱されて収縮し、被駆動体がばね部材の復元力(バイアス力)に抗して上方に移動し、形状記憶合金ワイヤに対する通電を停止することで、ばね部材の復元力によって被駆動体が下方に移動する。
また、上記した駆動モジュールには、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗の指令値を設定して形状記憶合金ワイヤに対する通電を制御することで上記した駆動手段の駆動制御を行う制御手段が備えられている。この制御手段は、まず、形状記憶合金ワイヤの抵抗ピーク値(電気抵抗値の最大値)を検出し、その抵抗ピーク値を基準値とし、その基準値から所望の被駆動体の移動量に応じた電気抵抗値の変化幅を減算して指令値を生成する。そして、制御手段は、前記指令値と形状記憶合金ワイヤの電気抵抗の検出値とが一致するように形状記憶合金ワイヤに対する通電量を調整する。これにより、被駆動体を所望の移動量だけ移動させることができる。
特開2009−127578号公報
ところで、上記した構成の駆動モジュールでは、形状記憶合金ワイヤを取り付ける際、形状記憶合金ワイヤを張りすぎると被駆動体が浮いてしまうため、形状記憶合金ワイヤに若干の弛みを持たせた状態で、形状記憶合金ワイヤの両端部をワイヤ保持部に固定すると共に形状記憶合金ワイヤの中間部を被駆動体のガイド突起に掛けている。このため、上記した駆動モジュールでは、形状記憶合金ワイヤに対して無通電状態から入力電力を漸次増加させると、図11に示すように、まず、形状記憶合金ワイヤが加熱されて形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が単調増加する。そして、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値がピーク値(変態開始点)に達して形状記憶合金ワイヤが収縮し始めると、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が単調増加から単調減少に切り替わる。そして、形状記憶合金ワイヤの収縮によって形状記憶合金ワイヤの弛みは徐々に小さくなり、形状記憶合金ワイヤの弛みが無くなると、形状記憶合金ワイヤの収縮が停止し、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が単調減少から単調増加に切り替わる(極小点)。その後、形状記憶合金ワイヤが再び収縮してガイド突起が上向きに押圧され、被駆動体がばね部材の復元力(バイアス力)に抗して上方に移動すると、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が単調増加から単調減少に切り替わる(極大点)。その後、形状記憶合金ワイヤが限界まで収縮(変態終了点)すると、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値は単調減少から単調増加に切り替わる。
しかしながら、上記した構成の駆動モジュールでは、使用時の温度環境によっては入力電力値を独立変数とする電気抵抗値を表す関数における変態開始点と極小点とが近接して読み取りにくくなり、基準値を検出することができないおそれがある。詳しく説明すると、使用時の温度環境が高温である場合、形状記憶合金ワイヤに対する通電の前に形状記憶合金ワイヤが周囲温度によって収縮するおそれがあり、その場合、形状記憶合金ワイヤの弛み量が少なくなる。このような場合、入力電力値を独立変数とする電気抵抗値を表す関数における変態開始点と極小点とが近接することになるので、変態開始点や極小点が読み取りにくくなる。その結果、基準値が検出しにくくなり、被駆動体の移動開始基準点が誤設定されるおそれがある。
なお、この問題は、形状記憶合金ワイヤの取り付け時の弛み量を大きくすることで解消可能であるが、弛み量が大き過ぎると形状記憶合金ワイヤの中間部がガイド突起から外れやすくなるという問題が生じる。
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、形状記憶合金ワイヤを大きく弛ませることなく、入力電力値を独立変数とする電気抵抗値を表す関数における変態開始点や極小点の読み取りが容易であり、被駆動体の移動開始基準点の正確性の向上を図ることができる駆動モジュール及び電子機器を提供することを目的としている。
本発明に係る駆動モジュールは、支持体と、該支持体に対して一定方向に沿って往復移動可能に設けられた被駆動体と、該被駆動体を弾性保持するためのバイアスばねと、前記被駆動体に設けられた引掛部に中間部が掛けられて両端部が保持部に保持された形状記憶合金ワイヤを有し、該形状記憶合金ワイヤに電力を供給して該形状記憶合金ワイヤを通電による発熱によって変形させることで、前記被駆動体を前記バイアスばねの復元力に抗して移動させる駆動手段と、を備えた駆動モジュールであって、前記保持部及び前記引掛部のうちの少なくとも一方が、前記形状記憶合金ワイヤが通電によって変形することで前記バイアスばねを弾性変形させることなく一定範囲で移動可能な可動部に設けられていることを特徴としている。
上記した駆動モジュールでは、入力電力を無通電状態から漸次増加させながら形状記憶合金ワイヤに対して通電すると、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値は、図11に示すように、入力電力が増加するに従って、まず、単調増加する。そして、形状記憶合金ワイヤの変態(収縮)が開始した時点で単調増加から単調減少に切り替わる(変態開始点)。このとき、形状記憶合金ワイヤが収縮することによって可動部に外力が加わって可動部が移動するが、バイアスばねは弾性変形せず、被駆動体にバイアスばねの復元力(バイアス力)は作用しない。なお、このとき、バイアスばねが微小に弾性変形してもよく、極めて小さい復元力が作用する場合であってもよい。その後、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値は、可動部が所定位置まで移動して停止した時点で単調減少から単調増加に切り替わり(極小点)、続いて、バイアスばねの復元力に抗して被駆動体が動き出した時点で単調増加から単調減少に切り替わる(極大点)。そして、形状記憶合金ワイヤが変態終了点まで達した時点で単調減少から単調増加に切り替わる。
また、上記した駆動モジュールでは、当初は被駆動体にバイアスばねの復元力が作用せず、形状記憶合金ワイヤの収縮によって可動部が所定位置まで移動した後、被駆動体にバイアスばねの復元力が作用する。したがって、「変態開始点」から「極小点」までの動作時間が十分に長くなり、「変態開始点」の電気抵抗値(Rmax)と「極小点」の電気抵抗値(Rlocal-min)との差が十分に大きくなる。これにより、変態開始点及び極小点が読み取りやすくなり、基準点を確実に検出することが可能である。
また、本発明に係る駆動モジュールは、無通電状態の前記形状記憶合金ワイヤに張力が付与されていることが好ましい。
これにより、形状記憶合金ワイヤの中間部が引掛部から外れにくくなる。
また、本発明に係る駆動モジュールは、前記可動部として、前記バイアスばねに対して前記被駆動体の往復移動方向に隙間をあけて離間配置されて前記形状記憶合金ワイヤの収縮変形による移動によって前記バイアスばねに係合可能なばね係合部が前記被駆動体に設けられており、前記ばね係合部に前記引掛部が設けられていることが好ましい。
これにより、入力電力を無通電状態から漸次増加させながら形状記憶合金ワイヤに対して通電すると、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が単調増加し、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が変態開始点に達した時点で形状記憶合金ワイヤが収縮し始めて形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が単調増加から単調減少に切り替わる。そして、形状記憶合金ワイヤが収縮することにより、引掛部に外力が加わってばね係合部(可動部)がバイアスばね側に向かって動かされ、このばね係合部と一体に被駆動体が移動する。そして、ばね係合部がバイアスばねに係合した時点で被駆動体が停止して形状記憶合金ワイヤの収縮が規制され、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が単調減少から単調増加に切り替わる(極小点)。その後、バイアスばねの復元力に抗して形状記憶合金ワイヤが再度収縮することで、引掛部に外力が加わってばね係合部と一体に被駆動体が動き出す。これにより、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が単調増加から単調減少に切り替わり(極大点)、そして、形状記憶合金ワイヤが変態終了点まで達すると単調減少から単調増加に切り替わる。
また、本発明に係る駆動モジュールは、前記可動部として、前記バイアスばねよりもばね定数が小さく一定範囲で弾性変形可能な極軟ばねが前記被駆動体に突設されており、前記極軟ばねに前記引掛部が設けられている構成であってもよい。
これにより、入力電力を無通電状態から漸次増加させながら形状記憶合金ワイヤに対して通電すると、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が単調増加し、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が変態開始点に達した時点で形状記憶合金ワイヤが収縮し始めて形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が単調増加から単調減少に切り替わる。そして、形状記憶合金ワイヤが収縮することにより、引掛部に外力が加わって極軟ばね(可動部)が弾性変形する。このとき、バイアスばねは、極軟ばねよりもばね定数が大きくて殆んど弾性変形しないため、被駆動体の移動量は極めて微小となる。そして、極軟ばねが係止された時点で形状記憶合金ワイヤの収縮が規制され、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が単調減少から単調増加に切り替わる(極小点)。その後、バイアスばねの復元力に抗して形状記憶合金ワイヤが再度収縮することで、引掛部に外力が加わって極軟ばねを介して被駆動体が押圧され、被駆動体が動き出す。これにより、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が単調増加から単調減少に切り替わり(極大点)、そして、形状記憶合金ワイヤが変態終了点まで達すると単調減少から単調増加に切り替わる。
また、本発明に係る駆動モジュールは、前記可動部が、前記バイアスばねよりもばね定数が小さく一定範囲で弾性変形可能な極軟ばね部を介して支持され、前記可動部に前記保持部が設けられていることが好ましい。
これにより、入力電力を無通電状態から漸次増加させながら形状記憶合金ワイヤに対して通電すると、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が単調増加し、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が変態開始点に達した時点で形状記憶合金ワイヤが収縮し始めて形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が単調増加から単調減少に切り替わる。そして、形状記憶合金ワイヤが収縮することにより、保持部に外力が加わって極軟ばね部が弾性変形して可動部が移動する。このとき、バイアスばねは、極軟ばね部よりもばね定数が大きくて殆んど弾性変形しないため、被駆動体の移動量は極めて微小となる。そして、可動部が係止された時点で形状記憶合金ワイヤの収縮が規制され、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が単調減少から単調増加に切り替わる(極小点)。その後、バイアスばねの復元力に抗して形状記憶合金ワイヤが再度収縮することで、引掛部に外力が加わって被駆動体が動き出す。これにより、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値が単調増加から単調減少に切り替わり(極大点)、そして、形状記憶合金ワイヤが変態終了点まで達すると単調減少から単調増加に切り替わる。
ところで、上記した「変態開始点」は、形状記憶合金ワイヤが収縮開始する点であってばらつきが生じやすいが、上記した「極大点」は、被駆動体が移動開始する移動開始点であって一定である。
そこで、本発明に係る駆動モジュールは、前記形状記憶合金ワイヤの電気抵抗の指令値を設定して前記形状記憶合金ワイヤに対する通電を制御することで前記駆動手段の駆動制御を行う制御手段が備えられ、該制御手段に、前記形状記憶合金ワイヤに対して通電を行う通電手段と、前記形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値を検出する抵抗検出手段と、前記被駆動体の移動量に応じた電気抵抗値の変化幅を基準値から減算して前記指令値を生成する指令値生成手段と、が備えられており、前記抵抗検出手段によって前記形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値を検出しつつ、前記通電手段によって入力電力を漸次増大させながら前記形状記憶合金ワイヤに対して通電を行い、入力電力値を独立変数とする電気抵抗値を表す関数において、前記バイアスばねの弾性変形前の極小点の後に現れる極大点における電気抵抗値を前記基準値として前記指令値生成手段が前記指令値を生成することが好ましい。
これにより、極小点後の極大点における電気抵抗値を基準値として指令値を生成することにより、被駆動体の移動開始基準点が一定となり、駆動精度に個体差が生じにくい。
また、本発明に係る電子機器は、上記した駆動モジュールを備えたことを特徴としている。
このような特徴により、基準点を確実に検出することが可能な駆動モジュールを備えているので、電子機器の品質向上を図ることができる。
本発明に係る駆動モジュール及び電子機器によれば、被駆動体の移動開始基準点の正確性を向上させることができる。
本発明の第一実施形態における駆動モジュールの斜視図である。 本発明の第一実施形態における駆動モジュールの構成を示す分解斜視図である。 本発明の第一実施形態における駆動ユニットの構成を示す分解斜視図である。 本発明の第一実施形態における駆動ユニットを示す斜視図である。 図4のA−A線に沿う断面図である。 本発明の第一実施形態における駆動モジュールの一部分を模式的に表した断面図である。 本発明の第一実施形態における駆動モジュールの一部分を表した平面図である。 本発明の第一実施形態における駆動モジュールの機能ブロック図である。 本発明の第一実施形態における駆動モジュールの駆動モードを示すグラフである。 本発明の第一実施形態における駆動モジュールの制御方法を示すフローチャート図である。 本発明の第一実施形態における駆動モジュールの入力電力値を独立変数とする電気抵抗値を表す関数を示すグラフである。 本発明の変形例における駆動モジュールの駆動モードを示すグラフである。 本発明の変形例における駆動モジュールの駆動モードを示すグラフである。 本発明の第二実施形態における駆動モジュールの一部分を模式的に表した断面図である。 本発明の第三実施形態を説明するためのワイヤ保持部材の斜視図である。 本発明の第三実施形態における駆動モジュールの一部分を模式的に表した断面図である。 本発明の実施形態における電子機器の図面であり、(a)表面斜視図、(b)裏面斜視図、(c)(b)のF−F線に沿う断面図である。
以下、本発明に係る駆動モジュール及び電子機器の実施の形態について、図面に基いて説明する。
[第一実施形態]
まず、本発明に係る駆動モジュールの第一実施形態について説明する。
なお、一部の図面では見易さのため、例えば図5に示すレンズユニット12などの構成部材を適宜省略して図示している。
また、図中の符号Mは、図5に示すレンズ50の光軸に一致する駆動モジュール1の仮想的な軸線であり、後述するレンズ枠4の移動方向を示している。以下では、説明を簡単にするため、分解された各構成部材の説明においても、組立時の軸線Mとの位置関係に基づいて、位置や方向を参照する場合がある。例えば、構成部材に明確な円、円筒面が存在しない場合でも、誤解のおそれのない限り、軸線Mに沿う方向を単に「軸方向」と称し、軸線Mに直交する方向を単に「径方向」と称し、軸線M回りの方向を単に「周方向」と称する場合がある。また、軸方向のうちの後述する制御基板32側を「下方」とし、その反対側を「上方」とする。
まず、本実施形態における駆動モジュール1の構成について説明する。
図1、2に示すように、本実施形態の駆動モジュール1は、図5に示すレンズ50(レンズユニット12)を軸方向に沿って往復移動させるための駆動モジュールであり、電子機器などに搭載されるものである。この駆動モジュール1は、制御手段となる制御基板32と、制御基板32上に位置するアダプタ30と、アダプタ30上に配設される駆動ユニット31と、駆動ユニット31を覆うように配設されたカバー11と、を備えている。
図3に示すように、駆動ユニット31は、被駆動体となるレンズ枠4、支持体となるモジュール枠5、上板ばね6と下板ばね7、モジュール下板8、給電部材9、及び形状記憶合金(Shape Memory Alloy、以下、SMAと略称する)ワイヤ10を主な構成部材とするものであって、これら構成部材が一体に組み立てられることで1つのアクチュエータを構成する。
図3〜5に示すように、上記したレンズ枠4はモジュール枠5の内側に軸方向に移動可能に挿入されており、これらレンズ枠4とモジュール枠5の上端部に上板ばね6が配設されていると共にレンズ枠4とモジュール枠5の下端部に下板ばね7が配設されており、これらの上板ばね6及び下板ばね7によってレンズ枠4及びモジュール枠5が挟持されている。上板ばね6はレンズ枠4及びモジュール枠5の各上端部にそれぞれ加締めにより固定されている。また、下板ばね7の下方にはモジュール下板8が積層されており、そのモジュール下板8の下方には給電部材9が積層されており、これら下板ばね7、モジュール下板8及び給電部材9はモジュール枠5の下端部に加締めによりそれぞれ共に固定され、さらに、下板ばね7はレンズ枠4の下端部に加締めにより固定されている。また、上記したモジュール下板8の上面に上記したカバー11が載置されて固定されている。
上記したレンズ枠4は、軸線Mを中心軸線として軸方向に沿って延設された略円筒形状の筒状部材であり、図5に示すように、軸方向に貫通する横断面視円形の収容部4Aの内周面4Fに雌ネジが形成されている。そして、収容部4Aの内周面4Fにはレンズユニット12が螺合されており、これによりレンズユニット12がレンズ枠4に保持されている。なお、レンズユニット12は、外周面に雄ネジが形成された円筒形状の筒部51と、その筒部51の内側に嵌合されたレンズ50と、から構成されている。
レンズ枠4の外壁面4Bには周方向に略90度の間隔をおいて、径方向外方に向けて突出する突出部4C(凸部)が軸方向に延設されており、それら各突出部4Cの上端面4aと下端面4bには、上側固定ピン13A、下側固定ピン13Bがそれぞれ立設されている。上側固定ピン13Aは上板ばね6を保持し、下側固定ピン13Bは下板ばね7を保持するためのものである。
上側固定ピン13A及び下側固定ピン13Bは、軸線Mに平行な同軸位置に配置されているため、上板ばね6及び下板ばね7における、上側固定ピン13A及び下側固定ピン13Bの挿通位置はそれぞれ共通化されている。
なお、上側固定ピン13Aおよび下側固定ピン13Bの平面視の位置が異なっていてもよく、例えば4本の突出部4Cのうちの2つの突出部4Cの各上端面4aに上側固定ピン13Aをそれぞれ立設し、残りの2本の突出部4Cの各下端面4bに下側固定ピン13Bをそれぞれ立設してもよい。
レンズ枠4には、複数の突出部4Cのうちの1つの下端部の外周面に一体に接合されたばね係合部4Dが設けられている。このばね係合部4Dは、図6に示すように、SMAワイヤ10が通電によって変形することでバイアスばね34を弾性変形させることなく一定範囲で移動可能な可動部であり、バイアスばね34に対して軸方向(レンズ枠4の往復移動方向)に隙間をあけて離間配置されており、SMAワイヤ10の収縮変形による移動によってバイアスばね34に係合可能となっている。
詳しく説明すると、図2、6(a)に示すように、アダプタ30の上面のうち、ばね係合部4Dに対応する位置、つまりアダプタ30の上面の角部には、ばね係合部4Dの軸方向移動を許容しつつバイアスばね34を弾性保持する架台40が配設されている。この架台40は、アダプタ30の上面に立設された脚部40Aと、脚部40Aの上端に配設されてバイアスばね34の下端を係止する係止部40Bと、を備えている。脚部40Aは、ばね係合部4Dの側方に配設されている。係止部40Bは、図7に示すように、ばね係合部4Dが上下に挿通可能な平面視コ字状に形成されている。そして、図6(a)に示すように、この係止部40Bとカバー11の上壁部11Eの裏面に形成された凹部11Bとの間にバイアスばね34が介装されている。このバイアスばね34は、レンズ枠4を弾性保持するためのばね部材であり、軸方向に弾性変形可能なコイルスプリングである。このバイアスばね34は、軸方向に弾性的に圧縮した状態で係止部40Bと凹部11Bとの間に挟持されており、バイアスばね34の下端にばね係合部4Dが係合することでばね係合部4Dを介してレンズ枠4を下向きに付勢する。
ばね係合部4Dは、平面視において上記した係止部40Bの内側に配置されていると共に、上記したバイアスばね34の軸方向下側に隙間をあけて配置されており、ばね係合部4Dの上面は、係止部40Bの下方に位置していると共にバイアスばね34の下端に対して隙間をあけて軸方向に対向している。
また、図2〜4、6(a)に示すように、ばね係合部4Dには、SMAワイヤ10の中間部を掛ける先端鍵部(引掛部)4D1が形成されている。この先端鍵部4D1は、そこに掛けられたSMAワイヤ10が収縮することによりレンズ枠4を上方に持ち上げて軸方向に沿って上方に移動させるものである。
また、図3〜5に示すように、レンズ枠4には、図2に示すバイアスばね34を保持するスプリング保持部33が設けられている。このスプリング保持部33はばね係合部4Dの上端面に立設された柱状の凸部であり、このスプリング保持部33には図2に示すバイアスばね34が挿通されている。これにより、バイアスばね34の位置ずれや離脱を防止することができる。
なお、レンズ枠4は、熱加締めまたは超音波加締めが可能な熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネート(PC)、液晶ポリマー(LCP)樹脂などにより一体成形されている。
モジュール枠5は、軸線Mを中心軸線として軸方向に沿って延設された筒状部材であり、平面視の外形が全体として略矩形状に形成され、かつその中央部に、軸方向に貫通する横断面視円形の収容部5Aが形成されている。この収容部5A内には、上記したレンズ枠4が収容されている。モジュール枠5の上部及び下部の四隅には、軸線Mに対する仮想垂直面に沿って形成された平面状の上下端面5a、5bがそれぞれ形成され、各上端面5aには上側固定ピン14Aが上方に向けてそれぞれ突設され、各下端面5bには下側固定ピン14Bが下方に向けてそれぞれ突設されている。
上側固定ピン14Aは上板ばね6を保持し、下側固定ピン14Bは下板ばね7、モジュール下板8及び給電部材9を保持するためのものである。なお、上側固定ピン14Aの平面視の位置は、下側固定ピン14Bの配置と異なっていてもよいが、本実施形態では、それぞれ軸線Mに平行な同軸位置に配置されている。このため、上板ばね6、下板ばね7における、上側固定ピン14A及び下側固定ピン14Bの挿通位置は、それぞれ共通化されている。また、上記した上下端面5a、5bの間の距離は、レンズ枠4の上下端面4a、4bの間の距離と略同一距離に設定されている。
モジュール枠5の一隅の下部には平面視の溝幅がレンズ枠4のばね係合部4Dに軸方向に移動可能に嵌合する大きさを有する切欠き5Bが形成されている。この切欠き5Bは、レンズ枠4をモジュール枠5内に下方から挿入して収容した状態で、レンズ枠4のばね係合部4Dを貫通させ、ばね係合部4Dの先端鍵部4D1をモジュール枠5の径方向外部に突出させるとともに、レンズ枠4の周方向の位置決めを行うためのものである。
また、図3、4に示すように、モジュール枠5の切欠き5Bに隣り合う2つの隅部には、切欠き5Bが設けられた隅部と同方向側の側面において、SMAワイヤ10を保持するワイヤ保持部材(保持端子)15A、15Bを取り付けるための一対の係止溝5Cが形成されている。
モジュール枠5の側面におけるワイヤ保持部材15A,15Bが配される位置には、ピン35A,35Bがそれぞれ形成されている。さらに、ピン35A,35Bが形成された下方には、接着剤が充填されてモジュール枠5とワイヤ保持部材15A,15Bとを固定する溝部36が形成されている。そして、ワイヤ保持部材15A,15Bをモジュール枠5に固定する際に、ワイヤ保持部材15A,15Bが回動するのを抑制することができる壁部35Cが形成されている。壁部35Cは、モジュール枠5の側面から側方(側面に対して鉛直方向)に延出されている。
また、モジュール枠5は、本実施形態ではレンズ枠4と同様に、熱加締めまたは超音波加締めが可能な熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネート(PC)、液晶ポリマー(LCP)樹脂などにより一体成形されている。
ワイヤ保持部材15Aは、駆動モジュール1から給電部材9の一対の端子部9Cが突出される側の側面に取り付けられ、ワイヤ保持部材15Bは、駆動モジュール1から給電部材9の一対の端子部9Cが突出されない側の側面に取り付けられている。
図4に示すように、ワイヤ保持部材15A、15Bは、ワイヤ保持部15bにSMAワイヤ10の端部を加締めてなる鍵状に形成された金属板などの導電性部材である。ワイヤ保持部材15A,15Bには、モジュール枠5のピン35A,35Bに嵌合する貫通孔36A,36Bがそれぞれ形成されている。また、貫通孔36A,36Bの軸方向下方には接着剤を流し込むための貫通孔37A,37Bがそれぞれ形成されている。そして、モジュール枠5とワイヤ保持部材15A,15Bとを固定する際に、モジュール枠5の壁部35Cに当接して、ワイヤ保持部材15A,15Bの回動を抑止するための腕部38A,38Bがそれぞれ形成されている。係止溝5Cおよびピン35A,35Bに側方から嵌合させ、壁部35Cと腕部38A,38Bとを当接させることで、SMAワイヤ10の端部を位置決めして保持するものである。
ワイヤ保持部材15A、15Bは、SMAワイヤ10のワイヤ保持部15b(加締め位置)と反対側に片状の端子部15aを備え、モジュール枠5に対する取付状態において、端子部15aがモジュール枠5の下方に積層されたモジュール下板8の下方にわずかに突出されるようになっている。
また、一対のワイヤ保持部材15A、15Bによって両端が保持されたSMAワイヤ10の中間部は、モジュール枠の切欠き5Bから突出されたレンズ枠4のばね係合部4Dの先端鍵部4D1に下方から係止されている。このSMAワイヤ10は、組み付け時において張架させた状態となっており、無通電状態のSMAワイヤ10に張力が付与されている。
図3,4に示すように、モジュール枠5及びモジュール枠5内に挿入されたレンズ枠4のそれぞれの上部と下部には、それぞれ上板ばね6と下板ばね7とが積層されている。上板ばね6及び下板ばね7は、略同一形状に打ち抜かれた平板状の板ばね部材であり、例えば、ステンレス(SUS)鋼板などの金属板からなる。
上板ばね6(下板ばね7)の形状は、平面視の外形が、モジュール枠5の上側(下側)の端部と同様な略矩形状とされ、中央部に軸線Mと同軸でレンズ枠4の内周面4Fよりわずかに大きな円状の開口6C(7C)が形成され、全体としてリング状とされている。
上板ばね6(下板ばね7)の隅部近傍には、モジュール枠5の隅部近傍に形成された上側固定ピン14A(下側固定ピン14B)の配置位置に対応して、各上側固定ピン14A(下側固定ピン14B)にそれぞれ挿通可能な4つの貫通孔6B(7B)が形成されている。これにより、モジュール枠5に対する軸線Mに直交する平面内の位置決めが可能となっている。
また、上板ばね6(下板ばね7)には、レンズ枠4に形成された上側固定ピン13A(下側固定ピン13B)の配置位置に対応して、各上側固定ピン13A(下側固定ピン13B)にそれぞれ挿通可能な4つの貫通孔6A(7A)が形成されている。
また、開口6C(7C)の径方向外側には、リング部6F(7F)が形成され、軸線Mを挟んで互いに対角方向に対向する貫通孔6A(7A)の近傍位置から、周方向に略半円弧状に延びる4つのスリット6D(7D)がそれぞれ、略四分円弧ずつ径方向に重なった状態に形成されている。
これにより、上板ばね6(下板ばね7)の外側の矩形状枠体から、略四分円弧状に延ばされた4つのばね部6E(7E)が、それぞれ1つずつ貫通孔6A(7A)近傍に延ばされた板ばね部材が形成されている。
このように、上板ばね6(下板ばね7)の外形が、モジュール枠5の外形に略合わせた矩形状に設けられ、ばね部6E(7E)、リング部6F(7F)が開口6C(7C)に沿うリング状の領域に形成されている。そして、上板ばね6(下板ばね7)をモジュール枠5に固定する上側固定ピン14A(下側固定ピン14B)の配置に応じて、スペースに余裕のある隅部に被固定部である貫通孔6B(7B)が設けられるため、貫通孔6B(7B)の形状が、ばね部6E(7E)から離すことができるので、精密な打ち抜きによる製造やエッチングでの製造が容易となる。
モジュール下板8は、モジュール枠5の各下側固定ピン14Bを下板ばね7の貫通孔7Bに貫通させるとともに、モジュール枠5内に収容したレンズ枠4の各下側固定ピン13Bを下板ばね7の貫通孔7Aに貫通させた状態で、モジュール枠5との間で、下板ばね7を下方側から挟んで積層し、下板ばね7の矩形状の外形枠をモジュール枠5の端面5bに対して押圧状態に固定するものである。
モジュール下板8の形状は、モジュール枠5の外形と略同様の矩形状外形を有する板状部材であり、中央部に軸線Mを中心とする略円形状の開口8Aが厚さ方向に貫通して形成されている。そして、組立時に下板ばね7に積層される上面8a側には、レンズ枠4の各下側固定ピン13Bの配置位置に対応する位置に、後述する加締め部との干渉を避けるための4つのU字状の凹部8Bが形成されている。また、モジュール下板8の周縁に位置する各隅部にはモジュール枠5の各下側固定ピン14Bの配置位置に対応して、これら下側固定ピン14Bをそれぞれ挿通させる貫通孔8Cが形成されている。モジュール下板8の材質は、例えば、電気絶縁性および遮光性を有する合成樹脂を採用している。また、モジュール下板8が電気絶縁性を有することで、給電部材9を下板ばね7に対して電気的絶縁状態で固定する絶縁部材となっている。
給電部材9は、それぞれ板状の金属板からなる一対の電極9a、9bからなる。電極9a、9bは、いずれも、モジュール下板8の外形に沿う略L字状の配線部9Bと、配線部の端部からモジュール下板8の外形の外側に突出する端子部9Cとを備える折れ線状の金属板からなる。そして、それぞれの配線部9Bには、モジュール下板8の下面から下方に突出されるモジュール枠5の下側固定ピン14Bのうち、モジュール下板8の外形に沿って隣り合う2つの下側固定ピン14Bを、それぞれ挿通させて、電極9a、9bをモジュール枠5に対して位置決めを行う2つの貫通孔9Aが設けられている。
また、図4に示すように、一対の電極9a、9bの端子部9Cは、モジュール枠5において、ワイヤ保持部材15Aが取り付けられた側の側面から軸方向下方に並列して突出するように設けられている。
このため、一方の電極9aには、貫通孔9Aと端子部9Cとの間の配線部9B上の側面に、ワイヤ保持部材15Aの端子部15aを電気的に接続するために凹状に切り欠かれた導電接続部9Dが設けられている。
これに対し、他方の電極9bには、配線部9Bの側面におけるワイヤ保持部材15Bの端子部15aとの接続箇所に、切り欠かれた導電接続部9Dが形成されている。この導電接続部9Dにおいて、他方の電極9bとワイヤ保持部材15Bとが電気的に接続されている。
また、それぞれの導電接続部9Dを、端子部15aと電気的に接続する手段としては、例えば、半田付けまたは導電性接着剤による接着を採用することができる。
図2にように、カバー11は、上壁部11Eの外縁部から下方側に、モジュール枠5を外嵌可能に覆う側壁部11Dが延ばされ、下方側に矩形状の開口11Cが形成された部材であり、上壁部11Eの中央部に軸線Mを中心とした円状の開口11Aが設けられている。開口11Aの大きさは、レンズユニット12を出し入れ可能な大きさとされる。
図1,2に示すように、制御基板32は、SMAワイヤ10の電気抵抗の指令値を設定してSMAワイヤ10に対する通電を制御することで駆動ユニット31の駆動制御を行う制御手段であり、駆動ユニット31に制御信号や電力を供給する基板である。この制御基板32の概略構成としては、一対の電極9a、9bの各端子部9Cに電気的に接続されるプリント配線39,39が表面に形成されたプリント基板と、そのプリント基板上に実装された図示しない制御回路と、からなる。詳しく説明すると、制御基板32は、プリント配線39,39を介して一対の電極9a、9bに通電してSMAワイヤ10を適宜伸縮変形させる制御手段であり、SMAワイヤ10を伸縮させることでレンズ枠4をモジュール枠5に対して相対的に軸方向に沿って移動させてレンズ枠4を所望の位置(合焦位置)に配置させるものである。
上記した制御基板32には、図8に示すように、SMAワイヤ10の電気抵抗値を検出する抵抗検出手段320と、SMAワイヤ10の制御の指令値Rtを生成する指令値生成手段321と、抵抗検出手段320によって検出された検出値Rが指令値生成手段321によって生成された指令値Rtと一致するようにSMAワイヤ10に対して通電を行う通電手段322と、が備えられている。
次に、上記した構成の駆動モジュール1の組立方法について順を追って説明する。
第1工程では、まず、モジュール枠5の収容部5A内に下方からレンズ枠4を挿入し、モジュール枠5の上端面5aと、レンズ枠4の上端面4aとを同一高さに揃える。そして、モジュール枠5の各上側固定ピン14Aとレンズ枠4の各上側固定ピン13Aとを上板ばね6の各貫通孔6B、6Aにそれぞれ挿通する。
その後、上板バネ6の各貫通孔6A、6Bを貫通して上方に突き出された各上側固定ピン13A、14Aの先端部を図示しないヒータチップにより熱加締めして、図4、5に示すようにそれぞれ第1の固定部である加締め部16と、第2の固定部である加締め部17を形成する。
このとき、レンズ枠4の上端面4aとモジュール枠5の上端面5aとは、同一平面上に整列されており、平板状の上板ばね6を変形させることなく配置して、熱加締めを行うことができる。そのため、変形する上板ばね6を押さえる必要がないので、容易に加締め作業を行うことができる。また、上板ばね6の変形による浮きなどの発生を防止することができる。
また、各ヒータチップの高さを共通とすることができるので、双方の加締め部16、17を同時に形成しても、加締め精度のバラツキを低減することができる。
次に、第2工程では、レンズ枠4の各下側固定ピン13Bを下板ばね7の各貫通孔7Aにそれぞれ挿通する。その際、同時にモジュール枠5の各下側固定ピン14Bを下板ばね7の各貫通孔7B、モジュール下板8の各貫通孔8C、給電部材9の各貫通孔9Aに挿通する。その後、下板ばね7の各貫通孔7Aを貫通して下方に突き出された各下側固定ピン13Bの先端部を図示しないヒータチップにより熱加締めして、図5に示すように第1の固定部である加締め部18を形成する。
このとき、レンズ枠4の上下端面4a、4b間の軸方向距離と、モジュール枠5の上下端面5a、5b間の軸方向距離とは等しいため、各下端面4b、5b同士は、同一平面上に整列されており、平板状の下板ばね7を変形させることなくモジュール下板8を積層配置して熱加締めを行うことができるので、下板ばね7の変形による浮きなどの発生を防止することができる。
また、各ヒータチップの高さを共通とすることができるので、加締め部18を同時に形成しても、加締め精度のバラツキを低減することができる。
次に、第3工程では、これら貫通孔7B、8C、9Aを貫通して下方に突き出された各下側固定ピン14Bの下端部を図示しないヒータチップにより熱加締めして、図5に示すように第2の固定部である加締め部19を形成する。
このとき、各ヒータチップの高さを共通とすることができるため、加締め部19を同時に形成しても、加締め精度のバラツキを低減することができる。
また、モジュール下板8に凹部8Bが形成されているため、第2工程で形成された加締め部18は、モジュール下板8とは接触しない。
これら第1〜第3工程の作業を行うことによって、レンズ枠4とモジュール枠5の両端部に、上板ばね6、下板ばね7、モジュール下板8、給電部材9が積層固定される。
なお、上側固定ピン13Aと下側固定ピン13B、また上側固定ピン14Aと下側固定ピン14Bが、それぞれ同軸に設けられているため、第1〜第3工程の加締めにおいて、加締め部16、18、加締め部17、19をそれぞれ形成するためのヒータチップの平面上の位置がそれぞれ共通となる。そのため、各加締めにおいて、ヒータチップ位置を変更する必要がないため効率よく加締め作業を行うことができる。
次に、第4工程(配設工程)では、SMAワイヤ10が取り付けられた一対のワイヤ保持部材15A、15Bを、モジュール枠5に固定する。具体的には、モジュール枠5に形成された2箇所のピン35A,35Bにワイヤ保持部材15A,15Bの貫通孔36A,36Bを嵌合するとともに、係止溝5Cにワイヤ保持部材15A,15Bをそれぞれ係止させる。その際、SMAワイヤ10の中間部を、ばね係合部4Dの先端鍵部4D1に下方から係止させる。また、ワイヤ保持部材15A、15Bの各端子部15aは、モジュール下板8の下方に突出され、それぞれ、モジュール下板8に固定された給電部材9である電極9a、9bの導電接続部9Dに係止されるか、もしくは近接して配置されている。なお、一対のワイヤ保持部材15A、15Bをモジュール枠5に組み付けたとき、SMAワイヤ10が弛まずに張架した状態で先端鍵部4D1に係止されるように、SMAワイヤ10の長さを調整しておく。
次に、第5工程(固定工程)では、貫通孔37A,37Bに熱硬化性接着剤を流し込み、モジュール枠5の溝部36内に充填する。溝部36に熱硬化性接着剤を充填したら、その接着剤を硬化させるために加熱炉の中に入れる。加熱炉内において、例えば約100℃で20〜30分程度加熱することにより接着剤が硬化してモジュール枠5とワイヤ保持部材15A,15Bとが接着固定される。
モジュール枠5とワイヤ保持部材15A,15Bとを接着固定した後、例えば、半田付けや導電性接着剤などを用いて、各端子部15aを、それぞれ導電接続部9Dに対して電気的に接続させる。
次に、第6工程では、駆動ユニット31の下方にアダプタ30を取り付ける。このとき、アダプタ30の上面の角部に予め架台40を固定しておき、その架台40の係止部40Bの下方にばね係合部4Dを配置すると共に平面視コ字状の係止部40Bの内側にスプリング保持部33を挿通させる。さらに、平面視においてコ字状の係止部40Bの開いた部分にばね係合部4Dの基端部が配置されるように位置合わせを行い、ばね係合部4Dがコ字状の係止部40B内を軸方向に挿通できるようにする。
次に、第7工程では、バイアスばね34にスプリング保持部33を挿通させつつバイアスばね34を係止部40B上に載せてバイアスばね34の下端を係止部40Bの上面に係止させた後、モジュール枠5の上方からカバー11を被せる。このとき、バイアスばね34の上端部をカバー11の上壁部11Eの裏面の凹部11Bに嵌め込ませる。これにより、バイアスばね34が係止部40Bと凹部11Bとの間に挟まれて軸方向に弾性的に圧縮される。また、カバー11の側壁部11Dとモジュール下板8とを接合する。例えば、側壁部11Dに係合爪などを設けてはめ込みによって接合したり、側壁部11Dとモジュール下板8とを接着、または溶着して接合したりする。また、加締め部16、17は、それぞれカバー11の上壁部11Eの裏面に対して、離間された状態にある。
以上により、駆動モジュール1が完成する。
その後、駆動モジュール1を制御基板32上に取り付ける。駆動モジュール1の制御基板32に対する取り付け手段としては、接着、嵌め込みなどの固定手段を採用することができる。なお、制御基板32は、駆動モジュール1に付属する独立した部材であってもよいし、電子機器等に接続、配置された部材であってもよい。
さらに、カバー11の開口11Aを通じてレンズ枠4内にレンズユニット12を螺合して取り付ける。このように、レンズユニット12を最後に取り付けているのは、組立作業により、レンズユニット12のレンズが汚れたり、ゴミなどが付着したりしないためであるが、例えば、駆動モジュール1をレンズユニット12が取り付けられた製品状態で出荷する場合や、カバー11の開口11Aをレンズユニット12の外形より小さくしたい場合、例えば開口絞りを兼用するような場合などには、この工程を、早い段階(第6工程の前)で実施してもよい。
次に、上記した駆動モジュール1の動作について説明する。
駆動モジュール1は、端子部9Cに電力が供給されない状態では、上板ばね6及び下板ばね7からの復元力などのレンズ枠4に作用する力がつり合い、レンズユニット12が取り付けられたレンズ枠4が、軸方向の一定位置に保持される。また、このとき、図6(a)に示すように、ばね係合部4Dがバイアスばね34の下方に間隔をあけて配置されており、ばね係合部4Dの上面とバイアスばね34の下端との間に隙間があけられている。
上記した駆動モジュール1を駆動させる際には、後述する制御方法に従って制御基板32から端子部9Cを介して給電部材9に電力を供給する。このとき、電極9a、ワイヤ保持部材15A、SMAワイヤ10、ワイヤ保持部材15B及び電極9bは、それぞれ導通されているため、SMAワイヤ10に電流が流れる。
したがって、SMAワイヤ10に対して通電すると、SMAワイヤ10にジュール熱が発生して、SMAワイヤ10の温度が上昇して所定の温度を越えると、SMAワイヤ10が温度に応じた長さに収縮し、その結果、SMAワイヤ10によってレンズ枠4のばね係合部4Dが押し上げられる。詳しく説明すると、SMAワイヤ10の収縮に伴い、まず、レンズ枠4が上昇し、上板ばね6及び下板ばね7がそれぞれ弾性変形する。このとき、当初はばね係合部4Dがバイアスばね34から離間しているので、バイアスばね34は変形しない。そして、図6(b)に示すようにばね係合部4Dがバイアスばね34の下端に当接した後、上板ばね6及び下板ばね7がそれぞれ弾性変形すると共に図6(c)に示すようにバイアスばね34が弾性変形し、各ばね6、7、34の変形量に応じた弾性復元力がレンズ枠4に作用する。そして、この弾性復元力がSMAワイヤ10の張力とつり合う位置でレンズ枠4が停止する。このとき、上板ばね6、下板ばね7は、平行ばねを構成しているため、レンズ枠4は、軸方向のガイド部材などに沿わせなくても、正確に軸線M上に沿って移動される。このため、部品点数を削減し、小型化することが可能となっている。また、ガイド部材に対する摺動負荷も発生しないので、低消費電力を実現することが可能となる。
一方、電力の供給を停止してSMAワイヤ10に対する通電を停止すると、SMAワイヤ10が伸長可能となり、上記した弾性復元力によってレンズ枠4が押し下げられ、レンズ枠4は下方のつり合い位置まで移動する。
このようにして、制御基板32によって電力供給量を制御することで、レンズ枠4を軸線M方向に移動する。
なお、SMAワイヤ10は昇温時と降温時との間で温度ヒステリシスが現れるが、ソフト等で補正することで対応可能である。
次に、駆動モジュール1の制御方法について説明する。
上記した構成からなる駆動モジュール1は制御基板32によって図9、図10に示す方法でオートフォーカス動作することが可能である。
まず初めに、図9に示すように、電子機器の電源を入れるたびにキャリブレーション動作を行う。すなわち、SMAワイヤ10に通電して当該SMAワイヤ10を一旦変態終了点まで収縮させてレンズ枠4を最大まで移動させた後、SMAワイヤ10に対する通電を停止してSMAワイヤ10の温度を低下させ、SMAワイヤ10を伸び変形させてレンズ枠4を元の基準位置(下側の基準位置)に戻す。このとき、図10に示すように、抵抗検出手段320によってSMAワイヤ10の電気抵抗の最大値Rmaxと極小値Rlocal-minと極大値Rlocal-maxと最小値Rminをそれぞれ検出し、上記した極大値Rlocal-maxと最小値Rminとに基づいてレンズ枠4の移動可能範囲を算出する。
詳しく説明すると、抵抗検出手段320によってSMAワイヤ10の電気抵抗値を検出しつつ、通電手段322によって無通電状態から入力電力を漸次増大させながらSMAワイヤ10に対して通電を行うと、まず、SMAワイヤ10が加熱されてSMAワイヤ10の電気抵抗値が図11に示すように単調増加する。そして、SMAワイヤ10の電気抵抗値が、変態開始点である最大値Rmaxに達すると、SMAワイヤ10が収縮(変態)し始め、SMAワイヤ10の電気抵抗値は、図11に示すように単調増加から単調減少に切り替わる。このとき、前記変態開始点Aにおける電気抵抗値(最大値Rmax)を抵抗検出手段320によって検出する。また、SMAワイヤ10が収縮することで先端鍵部4D1に上向きの外力が加わり、図6(a)に示すようにバイアスばね34を弾性変形させることなくばね係合部4Dが引き上げられ、このばね係合部4Dと一体にレンズ枠4全体が上方に移動する。
続いて、図6(b)に示すように、ばね係合部4Dがバイアスばね34の下端に当接した時点でレンズ枠4の上昇が停止してSMAワイヤ10の収縮が停止し、SMAワイヤ10の電気抵抗値が図11に示すように単調減少から単調増加に切り替わる。このとき、その切り替わり点(極小点B)における電気抵抗値(極小値Rlocal-min)を抵抗検出手段320によって検出する。
その後、SMAワイヤ10が再び収縮して先端鍵部4D1が上向きに押圧され、図6(c)に示すように、レンズ枠4がバイアスばね34、上板ばね6及び下板ばね7の弾性復元力に抗して上方に移動すると、SMAワイヤ10の電気抵抗値が図11に示すように単調増加から単調減少に切り替わる。このとき、その切り替わり点(極大点C)における電気抵抗値(極大値Rlocal-max)を抵抗検出手段320によって検出する。
その後、SMAワイヤ10が変態終了点まで達すると、SMAワイヤ10の電気抵抗値は単調減少から単調増加に切り替わる。このとき、その切り替わり点(極小点D)における電気抵抗値(最小値Rmin)を抵抗検出手段320によって検出する。
次に、SMAワイヤ10の電気抵抗を一定幅で段階的に低下させることでレンズ枠4を全移動範囲に亘って移動させて焦点を探査する。このとき、上記した指令値生成手段321によって指令値Rtを生成し、抵抗検出手段320によってSMAワイヤ10の電気抵抗値の検出値Rをフィードバックしながら上記指令値Rtに基づいて通電手段322によってSMAワイヤ10に対して通電を行う。
詳しく説明すると、まず、基準値R0を設定する。具体的には、前記した抵抗検出ステップにおいてレンズ枠4が移動開始する前に、入力電力値を独立変数とする電気抵抗値を表す関数(図11に示す。)において極小点Bの後に現れる極大点Cにおける電気抵抗値(極大値Rlocal-max)を基準値R0とする。
次に、指令値生成手段321によって最初の指令値Rt(0)を設定する。具体的には、上記した基準値R0を最初の指令値Rt(0)として設定する。続いて、抵抗検出手段320による検出値Rが指令値Rt(0)と一致するように通電手段322によってSMAワイヤ10に対して通電を行う。そして、抵抗検出手段320による検出値Rが指令値Rt(0)(基準値R0)と一致した時点で画像を取り込んで記憶する。これにより、レンズ枠4が基準位置にある状態における画像が取得される。
次に、レンズ枠4が一定幅で間欠的に移動するように、指令値生成手段321によって一定の変化幅ΔRで指令値Rt(n)を段階的に低下させる。具体的には、初めに、指令値生成手段321によって指令値Rt(1)を設定する。この指令値Rt(1)としては、上記した最初の指令値Rt(0)、つまり基準値R0から変化幅ΔRを引いた値(R0−ΔR)を設定する。なお、この変化幅ΔRは、レンズ枠4の一定幅の移動量に応じた電気抵抗値の変化幅であり、適宜設定可能である。続いて、抵抗検出手段320による検出値Rが指令値Rt(1)と一致するように通電手段322によってSMAワイヤ10に対して通電(加熱)を行う。そして、抵抗検出手段320による検出値Rが指令値Rt(1)(=R0−ΔR)と一致した時点で画像を取り込んで記憶する。
その後、指令値生成手段321によって、前回の指令値Rt(1)(R0−ΔR)から変化幅ΔRを引いた値(R0−2・ΔR)を指令値Rt(2)として設定し、抵抗検出手段320による検出値Rが指令値Rt(2)と一致するように通電手段322によってSMAワイヤ10に対して通電(加熱)し、抵抗検出手段320による検出値Rが指令値Rt(2)(=R0−2・ΔR)と一致した時点で画像を取り込んで記憶し、さらに、これらの処理を繰り返す。すなわち、指令値生成手段321によって、前回の指令値(R0−(n−1)・ΔR)から変化幅ΔRを引いた値(R0−n・ΔR)を指令値Rt(n)として設定し、抵抗検出手段320による検出値Rが指令値Rt(n)と一致するように通電手段322によってSMAワイヤ10に対して通電(加熱)し、抵抗検出手段320による検出値Rが指令値Rt(n)(R0−n・ΔR)と一致した時点で画像を取り込んで記憶し、このような処理を指令値Rt(n)が最小電気抵抗値Rminに達するまで繰り返す。
次に、最後の指令値Rt(n)における画像を取り込んで記憶した後、記憶した全画像に基づいて焦点を探査して合焦位置を判定する。
そして、指令値生成手段321によって合焦位置における電気抵抗値RAFを指令値Rt(AF)として設定し、抵抗検出手段320による検出値Rが指令値Rt(AF)と一致するように通電手段322によってSMAワイヤ10に対する通電を制御(冷却)し、抵抗検出手段320による検出値Rを指令値Rt(AF)(RAF)と一致させることでオートフォーカス動作が完了する。
上記した駆動モジュール1では、図11に示すように、変態開始点Aにばらつきが生じるが、上記した極大点Cは一定である。したがって、極大点Cにおける電気抵抗値Rlocal-maxを基準値R0として指令値Rt(n)を生成することにより、レンズ枠4の移動開始基準点が一定となる。これにより、レンズ枠4の移動開始基準点を安定化することができ、駆動精度の個体差を抑制することができ、オートフォーカス精度の向上を図ることができる。
また、上記した駆動モジュール1では、当初はレンズ枠4にバイアスばね34の復元力が作用せず、SMAワイヤ10の収縮によってレンズ枠4が移動してばね係合部4Dがバイアスばね34の下端に当接した後、レンズ枠4にバイアスばね34の復元力が作用する。したがって、変態開始点Aから極小点Bまでの動作時間が十分に長くなり、変態開始点Aにおける電気抵抗値(Rmax)と極小点Bにおける電気抵抗値(Rlocal-min)との差が十分に大きくなる。これにより、変態開始点A及び極小点Bが読み取りやすくなり、極小点B後の極大点C(基準点)を確実に検出することが可能であり、レンズ枠4の移動開始基準点の正確性を向上させることができる。
特に上記した駆動モジュール1では、無通電状態のSMAワイヤ10に張力が付与されているため、SMAワイヤ10の中間部が先端鍵部4D1から外れることを防止することができる。なお、SMAワイヤ10の張りすぎによってレンズ枠4の初期位置が上方にずれるおそれがあるが、レンズ枠4の基準位置よりも下方の範囲(ばね係合部4Dがバイアスばね34の下端に係合しない範囲)であれば、レンズ枠4に浮きが生じても構わない。
なお、上記した駆動モジュール1におけるオートフォーカス動作は、SMAワイヤ10の電気抵抗を段階的に低下させることでレンズ枠4を全移動範囲に亘って移動させて焦点を探査し、その後、SMAワイヤ10の電気抵抗を上昇させて合焦位置までレンズ枠4を移動させているが、図12に示すように、SMAワイヤ10の電気抵抗を漸次上昇させることでレンズ枠4を全移動範囲に亘って移動させて焦点を探査し、その後、SMAワイヤ10の電気抵抗を低下させて合焦位置までレンズ枠4を移動させてもよい。
さらに、図13(a)、(b)に示すように、SMAワイヤ10に対して通電してSMAワイヤ10の電気抵抗を段階的に低下若しくは上昇させることでレンズ枠4を移動させて焦点を探査し、焦点が検出された後、山登り法によってSMAワイヤ10の電気抵抗を上下させながらレンズ枠4の位置を微調整してレンズ枠4を合焦位置まで移動させてもよい。
また、上記した駆動モジュール1では、バイアスばね34の下端を係止する架台40がアダプタ30の上面に固定されているが、架台40はモジュール下板8やモジュール枠5に固定されていてもよい。さらに、本発明は、架台40を省略することも可能であり、カバー11の上壁部11Eの裏面にバイアスばね34が垂設された構成であってもよい。
[第二実施形態]
次に、本発明に係る駆動モジュールの第二実施形態について説明する。
なお、上述した第一実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図14(a)に示すように、レンズ枠104の下面に極軟ばね100が設けられている。詳しく説明すると、レンズ枠104の下端側の外縁部には、縦断面視矩形状の切欠き部104Aが形成されている。そして、レンズ枠104の下端面には、切欠き部104A側に突出した板状の極軟ばね100が突設されている。この極軟ばね100は、上下方向に弾性変形可能な板ばねであり、バイアスばね34よりもばね定数が小さく一定範囲で弾性変形可能となっている。極軟ばね100には、レンズ枠104の下端面に固定された固定部110と、固定部110にヒンジ部111を介して一体に連結されて該ヒンジ部111回りに回動可能な回動部112と、が備えられている。回動部112の先端部分には、SMAワイヤ10が引っ掛けられる凹溝状の引掛部112Aが形成されている。また、回動部112は、切欠き部104Aの水平な切欠き面(係止面)104Bに上下に間隔をあけて対向配置されており、回動部112が上向きに回動することで上記切欠き面104Bに係止されるようになっている。
上記した構成では、図14(a)に示すように当初はSMAワイヤ10に対して無通電状態であり、極軟ばね100が弾性変形してなく、固定部110と回動部112とが略同一の仮想平面上に配設されている。使用時には、入力電力を無通電状態から漸次増加させながらSMAワイヤ10に対して通電する。これにより、SMAワイヤ10の電気抵抗値が単調増加する。そして、SMAワイヤ10の電気抵抗値が図11に示す変態開始点Aに達した時点でSMAワイヤ10が収縮し始めてSMAワイヤ10の電気抵抗値が単調増加から単調減少に切り替わる。また、SMAワイヤ10が収縮することにより、引掛部112Aに上向きの外力が加わり、図14(b)に示すように極軟ばね100が弾性変形する。すなわち、回動部112がヒンジ部111回りに上向きに回動する。このとき、バイアスばね34は、極軟ばね100よりもばね定数が大きくて殆んど弾性変形しないため、レンズ枠104の移動量は極めて微小となる。そして、極軟ばね100が切欠き面104Bに係止された時点でSMAワイヤ10の収縮が規制され、SMAワイヤ10の電気抵抗値が単調減少から単調増加に切り替わる(極小点B)。その後、バイアスばね34の復元力に抗してSMAワイヤ10が再度収縮することで、極軟ばね100の引掛部112Aに上向きの外力が加わり、極軟ばね100を介してレンズ枠104が引き上げられ、図14(c)に示すようにレンズ枠104が上方に動き出す。これにより、SMAワイヤ10の電気抵抗値が単調増加から単調減少に切り替わり(極大点C)、そして、SMAワイヤ10が変態終了点Dまで達すると単調減少から単調増加に切り替わる。
[第三実施形態]
次に、本発明に係る駆動モジュールの第三実施形態について説明する。
なお、上述した第一実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図15に示すように、ワイヤ保持部材215は、一枚の板材からなる一部品の部材であり、その概略構成としては、片状の端子部215aを有する本体部215Aと、ワイヤ保持部215bを有する可動部215Bと、本体部215Aと可動部215Bを連結する極軟ばね部215Cと、を備えている。
本体部215Aは平板状の板部であり、本体部215Aの下端に端子部215aが垂下されている。本体部215Aの上端には、平板状の係止部215cが形成されている。この係止部215cは、本体部215Aに対して垂直に配設されており、本体部215Aの上端に突設された板片部を折り曲げ加工することにより形成される。また、上記した本体部215Aには、上述した第一実施形態におけるワイヤ保持部材15A、15Bと同様に、図4に示すモジュール枠5のピン35A,35Bに嵌合する貫通孔236と、接着剤を流し込むための貫通孔237と、がそれぞれ形成されており、さらに、本体部215Aの回動を抑止するための腕部238が設けられている。
可動部215Bは、上記した本体部215Aの上方に間隔をあけて配設されている。可動部215Bの下端には、係止部215cの上方に間隔をあけて対向する平板状の被係止部215dが形成されている。この被係止部215dは、可動部215Bに対して垂直に配設されており、可動部215Bの下端に突設された板片部を折り曲げ加工することにより形成される。
極軟ばね部215Cは、バイアスばね34よりもばね定数が小さく一定範囲で弾性変形可能な矩形板状の板ばね部である。極軟ばね部215Cは、本体部215A及び可動部215Bに対して垂直に配設されており、本体部215Aと可動部215Bとの間に架設された板片部を折り曲げ加工することにより形成される。
上記した構成では、図16(a)に示すように当初はSMAワイヤ10に対して無通電状態であり、極軟ばね部215Cが平板状に形成されている。使用時には、入力電力を無通電状態から漸次増加させながらSMAワイヤ10に対して通電する。これにより、SMAワイヤ10の電気抵抗値が単調増加する。そして、SMAワイヤ10の電気抵抗値が図11に示す変態開始点Aに達した時点でSMAワイヤ10が収縮し始めてSMAワイヤ10の電気抵抗値が単調増加から単調減少に切り替わる。また、SMAワイヤ10が収縮することにより、保持部215bに下向きの外力が加わり、図16(b)に示すように極軟ばね部215Cが弾性的に折り曲げ変形して可動部215Bが回動する。このとき、バイアスばね34は、極軟ばね部215Cよりもばね定数が大きくて殆んど弾性変形しないため、レンズ枠4の移動量は極めて微小となる。そして、被係止部215dが係止部215cに係止された時点でSMAワイヤ10の収縮が規制され、SMAワイヤ10の電気抵抗値が単調減少から単調増加に切り替わる(極小点B)。その後、図16(c)に示すようにバイアスばね34の復元力に抗してSMAワイヤ10が再度収縮することで、図4に示す先端鍵部4D1に上向きの外力が加わってばね係合部4Dが引き上げられ、図4に示すレンズ枠4が上方に動き出す。これにより、SMAワイヤ10の電気抵抗値が単調増加から単調減少に切り替わり(極大点C)、そして、SMAワイヤ10が変態終了点Dまで達すると単調減少から単調増加に切り替わる。
次に、本発明の実施形態に係る電子機器について説明する。
図17(a)、(b)は、本発明の実施形態に係る電子機器の表面、裏面の斜視外観図である。図17(c)は、図17(b)におけるF−F断面図である。
図17(a)、(b)に示す本実施形態のカメラ付き携帯電話20は、上記実施形態の駆動モジュール1を備えた電子機器の一例である。
カメラ付き携帯電話20は、受話部22a、送話部22b、操作部22c、液晶表示部22d、アンテナ部22e、不図示の制御回路部などの周知の携帯電話の装置構成をカバー22内外に備えている。
また、図17(b)に示すように、液晶表示部22dが設けられた側の裏面側のカバー22に、外光を透過させる窓22Aが設けられ、図17(c)に示すように、駆動モジュール1の開口11Aがカバー22の窓22Aを臨み、窓22Aの法線方向に軸線Mが沿うように、上記第一実施形態の駆動モジュール1が設置されている。
このような構成によれば、スキャンの間隔が一定となり、精度の高いオートフォーカスが可能となる。また、必要な移動量に対するステップ数が一定となるため、オートフォーカスが終了するまでの時間を早くできる、高性能のカメラ付き携帯電話20を提供することができる。
以上、本発明に係る駆動モジュール、電子機器及び駆動モジュールの制御方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、レンズ枠4を付勢するための板ばね部材である上板ばね6、下板ばね7に上側固定ピン13A、14A、下側固定ピン13B、14Bを挿通させて、これら固定ピンの先端部を熱カシメする場合の例で説明したが、ばね部材の固定方法は、これに限定されない。例えば、超音波加締めなどで固定してもよいし、ばね部材を、レンズ枠4やモジュール枠5に接着してもよい。本構造によれば、大きな接着面積が確保できるので接着剤を用いても大きな強度が得られる。さらに、本発明におけるばね部材は板ばねに限定されず、他の形状のばね部材であってもよい。
また、上記の説明では、モジュール枠5は、全体として略矩形状の部材として説明したが、略矩形状には限定されず、多角形状であってもよい。
また、上記の説明では、駆動モジュールを用いた電子機器として、カメラ付き携帯電話の例で説明したが、電子機器の種類はこれに限定されない。例えば、デジタルカメラ、パソコン内蔵のカメラなどの他の光学機器に用いることができる。
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
1…駆動モジュール 4、104…レンズ枠(被駆動体) 4D…ばね係合部(可動部) 4D1…先端鍵部(引掛部) 5…モジュール枠(支持体) 10…SMAワイヤ(形状記憶合金ワイヤ) 20…カメラ付携帯電話(電子機器) 32…制御基板(制御手段) 34…バイアスばね 100…極軟ばね(可動部) 215B…可動部 215b…ワイヤ保持部(保持部) 215C…極軟ばね部 320…抵抗検出手段 321…指令値生成手段 322…通電手段

Claims (7)

  1. 支持体と、
    該支持体に対して一定方向に沿って往復移動可能に設けられた被駆動体と、
    該被駆動体を弾性保持するためのバイアスばねと、
    前記被駆動体に設けられた引掛部に中間部が掛けられて両端部が保持部に保持された形状記憶合金ワイヤを有し、該形状記憶合金ワイヤに電力を供給して該形状記憶合金ワイヤを通電による発熱によって変形させることで、前記被駆動体を前記バイアスばねの復元力に抗して移動させる駆動手段と、
    を備えた駆動モジュールであって、
    前記保持部及び前記引掛部のうちの少なくとも一方が、前記形状記憶合金ワイヤが通電によって変形することで前記バイアスばねを弾性変形させることなく一定範囲で移動可能な可動部に設けられていることを特徴とする駆動モジュール。
  2. 請求項1に記載の駆動モジュールにおいて、
    無通電状態の前記形状記憶合金ワイヤに張力が付与されていることを特徴とする駆動モジュール。
  3. 請求項1又は2に記載の駆動モジュールにおいて、
    前記可動部として、前記バイアスばねに対して前記被駆動体の往復移動方向に隙間をあけて離間配置されて前記形状記憶合金ワイヤの収縮変形による移動によって前記バイアスばねに係合可能なばね係合部が前記被駆動体に設けられており、
    前記ばね係合部に前記引掛部が設けられていることを特徴とする駆動モジュール。
  4. 請求項1又は2に記載の駆動モジュールにおいて、
    前記可動部として、前記バイアスばねよりもばね定数が小さく一定範囲で弾性変形可能な極軟ばねが前記被駆動体に突設されており、
    前記極軟ばねに前記引掛部が設けられていることを特徴とする駆動モジュール。
  5. 請求項1から4の何れか一項に記載の駆動モジュールにおいて、
    前記可動部が、前記バイアスばねよりもばね定数が小さく一定範囲で弾性変形可能な極軟ばね部を介して支持され、
    前記可動部に前記保持部が設けられていることを特徴とする駆動モジュール。
  6. 請求項1から5の何れか一項に記載の駆動モジュールにおいて、
    前記形状記憶合金ワイヤの電気抵抗の指令値を設定して前記形状記憶合金ワイヤに対する通電を制御することで前記駆動手段の駆動制御を行う制御手段が備えられ、
    該制御手段に、前記形状記憶合金ワイヤに対して通電を行う通電手段と、前記形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値を検出する抵抗検出手段と、前記被駆動体の移動量に応じた電気抵抗値の変化幅を基準値から減算して前記指令値を生成する指令値生成手段と、が備えられており、
    前記抵抗検出手段によって前記形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値を検出しつつ、前記通電手段によって入力電力を漸次増大させながら前記形状記憶合金ワイヤに対して通電を行い、入力電力値を独立変数とする電気抵抗値を表す関数において、前記バイアスばねの弾性変形前の極小点の後に現れる極大点における電気抵抗値を前記基準値として前記指令値生成手段が前記指令値を生成することを特徴とする駆動モジュール。
  7. 請求項1から6の何れか一項に記載の駆動モジュールを備えたことを特徴とする電子機器。
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