JP2012133270A - 波長板、偏光変換素子、偏光変換ユニット及び投写装置 - Google Patents

波長板、偏光変換素子、偏光変換ユニット及び投写装置 Download PDF

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Abstract

【課題】波長板を構成する水晶基板に対して位相差補正素子を積層して、波長板全体として任意に位相差を調整することで、異なるピーク波長の光に対して波長板として機能可能な波長板を実現し、これを用いた低コスト且つ高性能な偏光変換素子を提供する。
【解決手段】2つ以上の波長板ユニットを備えて波長λの光に対して位相差δを与える積層波長板ユニットであり、それぞれの波長板ユニット(20A、20B)は、波長λに対して位相誤差を加味した位相差を与える水晶波長板(30A、30B)と、誤差を相殺する補正を行う液晶素子と、液晶素子に、誤差を相殺する位相差を発生させるように電圧を印可する電圧源と、を備えた。
【選択図】図9

Description

本発明は、水晶のような複屈折性を有する無機光学結晶材料からなる位相差板と、液晶素子からなる位相差調整素子と、配置してなる波長板に関する。
従来、液晶プロジェクター等の投射装置は、特許文献1や特許文献2に開示されているような構造を有する偏光変換素子を備えている。前記偏光変換素子は、光源から出射されるランダム偏光光束(互いに偏光面が直交するP偏光光束とS偏光光束や偏光面の方向がさまざまな直線偏光が混在した光束)を所定の直線偏光光束に統一して出射する素子である。
かかる偏光変換素子は、一般に、両主面にPBS膜(互いに直交関係のP偏光とS偏光のうち、何れか一方の直線偏光を透過させ、他方の直線偏光を反射させる機能を有する光学機能膜、所謂偏光分離膜)と反射ミラー膜とを夫々形成された無色透明なガラス等の透光性基板を幾重にも交互に積層してなる積層体を作成し、入射面(積層面)に対して所定の角度、例えば45度(あるいは135度)の角度に切断して得た偏光ビームスプリッター(PBS:Polarizing Beam Splitter)アレイの出射側表面に、有機系材料、例えばポリカーボネートフィルム製の1/2波長板を有機系の接着剤により接着した構成を備えており、光源からのランダム偏光光束は、光路上に配置された遮光板により選択的にPBS膜に入射してS偏光光束とP偏光光束とに分離され、P偏光光束は、前記PBS膜を透過し、S偏光光束は、前記PBS膜を反射する。
前記PBS膜を透過したP偏光束は、1/2波長板に入射すると、位相が180度ずれることにより、S偏光の光に変換されて1/2波長板から入射し、前記PBS膜を反射したS偏光束は、反射ミラー膜でさらに反射して、前記PBSアレイの1/2波長板が配置されていない領域の出射面から出射する。
結果として、前記偏光変換素子から出射する光は、S偏光の光に統一されることとなる。
ところで、かかる構成を有する偏光変換素子を採用した液晶プロジェクター等に用いられる光源としての白色の光源ランプは、近年、高出力化、短アーク長化が進行しおり、上述のPBSアレイ、及び1/2波長板に対する熱負荷が増大している。特に、樹脂フィルムからなり、光や熱による性能劣化(偏光回転効率や光透過性の劣化)を生じ易い1/2波長板への熱負荷の影響は顕著である。
かかる問題に対し、特許文献3、特許文献4には、少なくとも一方の偏光光束(直線偏光光束)の偏光方向を回転させる1/2波長板を構成する材料として、一般的な透明ガラス(熱伝導率:0.8W/m/K)よりも高い熱伝導性を有する水晶を用いることが提案されている。
すなわち、同文献では、水晶1/2波長板をPBSの出射側面に、耐熱・耐光性に優れた紫外線硬化樹脂又は無機系材料の接着剤を用いることで、冷却ファンによる強制冷却を不要とする液晶プロジェクターを実現しようとしている。
特開2000−298212公報 特許第3309846号 特開2004−309853公報 特開2009−103863公報
しかしながら、1/2波長板の材料として水晶を用いる場合、以下のような問題がある。すなわち、プロジェクターのメーカー毎に、光源光量の波長分布、特に、ピーク波長に微妙な違いがあるため、顧客の要求仕様に基づいて、水晶等の複屈折光学結晶から形成される1/2波長板を設計しようとした場合、設計波長が微妙に異なってくるため、仕様毎に新規に設計せざるを得ない。異なる設計波長に対応するために、水晶波長板の厚みも異なってくるため、光学部品の共有化もできない。従って、製造コスト削減という観点から大きな問題点となっていた。
本発明は、以上の問題点を考慮して、1/2波長板を構成する水晶基板(水晶波長板)に対して位相差補正素子を積層して、1/2波長板全体として、入射光に与える位相差を任意に調整することで、波長分布が異なる光に対して正確に1/2波長板として機能することが可能な1/2波長板を実現し、これを用いた低コスト且つ高性能な偏光変換素子を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例の波長板は、波長λの光に対して全体として位相差δを与えて、入射する前記光の直線偏光の偏光面を回転させた直線偏光に変換して出射する波長板であって、前記波長λの光に対して位相誤差aを有し位相差δ±aを与え、材料が無機光学結晶からなる位相差板と、該位相差板に積層され、前記位相誤差aを補正する液晶素子を備えた位相差補正素子と、を備え、前記位相差補正素子は、前記液晶素子に電圧を印加する電圧源を備えた。
本適用例によれば、波長板を組み込むプロジェクター等の光源の波長分布、特にピーク波長が異なったとしても、電圧源の電圧を調整して、位相差補正素子に発生させる位相差を適宜調整することで、全体として入射光に対して所望の位相差を正確に与えることが可能となる。
[適用例2]本適用例の波長板は、適用例1に記載の波長板において、請求項1に記載の波長板において、前記位相誤差aが正の値の場合は、前記液晶素子における液晶の配向方向が前記位相差板の光学軸と直交するように配向し、前記位相誤差aが負の値の場合は、前記液晶素子における液晶の配向方向が前記位相差板の光学軸と平行となるように配向した。
本適用例によれば、光源の、波長分布、特にピーク波長が異なることで、水晶波長板で発生する位相差に誤差が発生する場合に、位相差が大きすぎる場合は、位相差補正素子の配向方向を水晶波長板の結晶軸と直交させて逆向きの位相差を与えて相殺し、小さすぎる場合は、位相差補正素子の配向方向を水晶波長板の結晶軸と平行にすることで、水晶波長板と同じ向きの位相差を与えて補完することにより、容易に波長板ユニットの位相差を調整して偏光変換効率を高めることが出来る。
[適用例3]本適用例の波長板は、光路上に配置された第1の波長板と第2の波長板とを備え、波長λの光に対して位相差δを与えて、入射する前記光の直線偏光の偏光面を回転させた直線偏光として出射する、或いは前記光の直線偏光を円偏光に変換して出射する波長板であって、前記第1の波長板は、前記光の直線偏光の偏光面と光学軸とのなす角を方位角θ1とし、前記波長λの光に対して位相誤差aを有し位相差δ1±aを与え、材料が無機光学結晶からなる第1の位相差板と、該第1の位相差板に積層され、前記位相誤差aを補正する第1の液晶素子を備えた第1の位相差補正素子と、を備え、前記第1の位相差補正素子は、前記第1の液晶素子に電圧を印加する第1の電圧源を備え、前記第2の波長板は、前記光の直線偏光の偏光面と光学軸とのなす角を方位角θとし、前記波長λの光に対し位相誤差bを有し位相差δ2±bを与え、材料が無機光学結晶からなる第2の位相差板と、該第2の位相差板に積層され、前記位相誤差bを補正する第2の液晶素子を備えた第2の位相差補正素子と、を備え、前記第2の位相差補正素子は、前記第2の液晶素子に電圧を印加する第2の電圧源を備えた。
本適用例によれば、波長板を組み込むプロジェクター等の光源光量の波長分布、特にピーク波長が異なったとしても、電圧源の電圧を調整して、位相差補正素子に発生させる位相差を適宜調整することで、全体として、入射光に対して所望の位相差を正確に与えることが可能となる。
[適用例4]本適用例の波長板は、適用例3に記載の波長板において、入射する前記光の直線偏光の偏光面を回転させた直線偏光に変換して出射し、前記方位角θ1を45°、前記方位角θ2を135°とし、位相差δ1を360°×N1+180°、位相差δ2を360°×N2とし(N1及びN2はそれぞれ0から始まる自然数)、前記位相誤差a又は位相誤差bが正の値の場合は、前記第1の位相差補正素子又は前記第2の位相差補正素子における液晶の配向方向を、前記第1の位相差板又は前記第2の位相差板の光学軸と直交するように配向し、前記位相誤差a又は位相誤差bが負の値の場合は、前記第1の位相差補正素子又は前記第2の位相差補正素子における液晶の配向方向を、前記第1の位相差板又は前記第2の位相差板の光学軸に対して平行になるように配向した。
本適用例によれば、光源光量の波長分布、特にピーク波長が異なることで、複数枚の水晶波長板において発生する位相差に誤差が生じる場合、位相差が大きすぎる場合は、位相差補正素子の配向方向を水晶波長板の結晶軸と直交させて逆向きの位相差を与えて相殺し、小さすぎる場合は、位相差補正素子の配向方向を水晶波長板の結晶軸と平行にすることで、水晶波長板と同じ向きの位相差を与えて補完することにより、容易に積層1/2波長板ユニットの位相差を調整して、複数波長(広帯域)における偏光変換効率を高めることが出来る。
[適用例5]本適用例の波長板は、適用例3に記載の波長板において、入射する前記光の直線偏光の偏光面を回転させた円偏光に変換して出射し、前記方位角θ1を45°、前記方位角θ2を135°とし、位相差δ1を360°×N1+(90°又は270°)、位相差δ2を360°×N2とし(N1及びN2はそれぞれ0から始まる自然数)、前記位相誤差a又は位相誤差bが正の値の場合は、前記第1の位相差補正素子又は前記第2の位相差補正素子の配向方向を、前記第1の位相差板又は前記第2の位相差板の光学軸と直交するように配向し、前記位相誤差a又は位相誤差bが負の値の場合は、前記第1の位相差補正素子又は前記第2の位相差補正素子の配向方向を、前記第1の位相差板又は前記第2の位相差板の光学軸に対して平行になるように配向した。
本適用例によれば、光源光量の波長分布、特にピーク波長が異なることで、複数枚の水晶波長板において発生する位相差に誤差が生じる場合、位相差が大きすぎる場合は、位相差補正素子の配向方向を水晶波長板の結晶軸と直交させて逆向きの位相差を与えて相殺し、小さすぎる場合は、位相差補正素子の配向方向を水晶波長板の結晶軸と平行にすることで、水晶波長板と同じ向きの位相差を与えて補完することにより、容易に積層λ/4波長板ユニットの位相差を調整して、複数波長における偏光変換効率を高めることが出来る。
[適用例6]本適用例の波長板は、適用例3に記載の波長板において、入射する前記光の直線偏光の偏光面を回転させた直線偏光に変換して出射し、前記方位角θ1を22.5°、前記方位角θ2を67.5°とし、位相差δ1を196°、位相差δ2を196°とし、前記位相誤差a又は位相誤差bが正の値の場合は、前記第1の位相差補正素子又は前記第2の位相差補正素子の配向方向を、前記第1の位相差板又は前記第2の位相差板の光学軸と直交するように配向し、前記位相誤差a又は位相誤差bが負の値の場合は、前記第1の位相差補正素子又は前記第2の位相差補正素子の配向方向を、前記第1の位相差板又は前記第2の位相差板の光学軸に対して平行になるように配向する。
本適用例によれば、光源光量の波長分布、特にピーク波長が異なることで、複数枚の水晶波長板において発生する位相差に誤差が生じる場合、位相差が大きすぎる場合は、位相差補正素子の配向方向を水晶波長板の結晶軸と直交させて逆向きの位相差を与えて相殺し、小さすぎる場合は、位相差補正素子の配向方向を水晶波長板の結晶軸と平行にすることで、水晶波長板と同じ向きの位相差を与えて補完することにより、容易に積層1/2波長板ユニットの位相差を調整して、複数波長における偏光変換効率を高めることが出来る。
[適用例7]本適用例の波長板は、適用例3に記載の波長板において、入射する前記光の直線偏光の偏光面を回転させた直線偏光に変換して出射し、前記方位角θ1を22.5°、前記方位角θ2を67.5°とし、位相差δ1を360°×N1+180°、位相差δ2を360°×N2とし(N1及びN2はそれぞれ1から始まる自然数)、前記位相誤差a又は位相誤差bが正の値の場合は、前記第1の位相差補正素子又は前記第2の位相差補正素子における液晶の配向方向を、前記第1の位相差板又は前記第2の位相差板の光学軸と直交するように配向し、前記位相誤差a又は位相誤差bが負の値の場合は、前記第1の位相差補正素子又は前記第2の位相差補正素子における液晶の配向方向を、前記第1の位相差板又は前記第2の位相差板の光学軸に対して平行になるように配向する。
本適用例によれば、光源光量の波長分布が異なることで、複数枚の水晶波長板において発生する位相差に誤差が生じる場合、位相差が大きすぎる場合は、位相差補正素子の配向方向を水晶波長板の結晶軸と直交させて逆向きの位相差を与えて相殺し、小さすぎる場合は、位相差補正素子の配向方向を水晶波長板の結晶軸と平行にすることで、水晶波長板と同じ向きの位相差を与えて補完することにより、容易に積層1/2波長板ユニットの位相差を調整して、複数波長における偏光変換効率を高めることが出来る。
[適用例8]本適用例の波長板は、適用例3乃至7の何れか一項に記載の波長板において、前記波長λの光に対する前記第1の位相差補正素子の位相差が前記位相誤差aとなり、前記波長λに対する光に対する前記第2の位相差補正素子の位相差が前記位相誤差bとなるように、液晶の常光屈折率no、異常光屈折率ne、屈折率差Δn=(ne−no)としたとき、a=2Π/λ×Δn×T1(但し、T1は、第1の液晶素子の厚み)となるように、前記第1の電圧源により前記第1の液晶素子に電圧を印加して屈折率差Δnを可変し、b=2Π/λ×Δn×T2(但し、T2は、第2の液晶素子の厚み)となるように、前記第2の電圧源により前記第2の液晶素子に電圧を印加して屈折率差Δnを可変する。
本適用例によれば、位相差補正素子を構成する液晶素子において、液晶層に印加する電圧を可変して、屈折率差を調整することにより、容易に位相差調整素子で発生する位相差を調整して水晶波長板における位相誤差を補償し、偏光変換効率を高めることが出来る。
[適用例9]本適用例の偏光変換素子は、互いに略平行な光入射面及び光出射面を有し、前記光出射面に対して所定の傾斜角度を有した接合面によって接合された複数の透光性基板と、複数の前記透光性基板の接合面間に交互に設けられ、前記光入射面に入射した光束を偏光方向が互いに直交して異なる2種類の直線偏光光束に分離して一方の直線偏光光束を透過させ、他方の直線偏光光束を反射させる偏光分離手段と、反射された前記他方の直線偏光光束を反射し、光路の向きをかえる反射手段と、前記光出射面側に配置され、前記2種類の偏光光束のうち何れか一方の直線偏光光束の偏光面を回転させて他方の直線偏光光束の偏光面と平行な直線偏光光束に変換して出射する偏光回転素子と、を備え、前記偏光回転素子は、適用例1、2、3、4、6又は7に記載の波長板であることを特徴とする。
本適用例によれば、低コスト且つ耐熱性が強く、偏光変換効率が高い偏光変換素子を提供することが出来る。
[適用例10]本適用例の偏光変換ユニットは、適用例9に記載の偏光変換素子と、当該偏光変換素子及び光源からの光束を選択的に前記偏光分離膜に入射させるための遮光板と、を着脱可能に組み込むための治具と、を備える。
本適用例によれば、適用例9の偏光変換素子を投写装置等の装置に組み込む際に、最も偏光変換効率の高い方向から光が入射するように、正確に位置決めをして組み込むことが出来る。
[適用例11]本適用例の投写装置は、前記光源と、適用例10に記載の偏光変換ユニットと、前記偏光変換ユニットから出射された光を画像信号に基づいて変調する光変調手段と、前記光変調手段から射出された変調光を投写する投写光学系と、を備える。
本適用例によれば、適用例10の偏光変換ユニットを組み込むことで、低コスト且つ耐熱性能が高く高性能な投写装置を提供することが出来る。
本発明の実施の形態に係る偏光変換素子を適用した液晶プロジェクターの一例を示す図。 本発明の実施の形態に係る偏光変換素子を組み込んだ偏光変換ユニットの外観を示す図。 図2に示す偏光変換ユニットの分解図。 本発明の実施の形態に係る偏光変換素子の一例を示す断面図。 本発明の実施の形態に係る偏光変換素子の一例を示す分解斜視図。 本発明の実施の形態に係る偏光回転素子の断面図。 水晶波長板30に、位相差補正素子40を積層した場合の偏光状態の遷移をポアンカレ球で示す図。 本発明の実施の形態にかかる広帯域積層波長板の構成例を示す図。 第1のタイプの積層1/2波長板において、光源光量のピーク波長が異なることで位相のずれが足りない倍の位相差補正を示す図。 図9の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図。 第1のタイプの積層1/2波長板において、光源光量のピーク波長と設計波長が異なることで位相のずれが過剰となる場合の位相差補正を示す図。 図11の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図。 第1のタイプの積層λ/4波長板において、光源光量のピーク波長が異なることで位相のずれが足りない倍の位相差補正を示す図。 図13の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図。 第1のタイプの積層λ/4波長板において、光源光量のピーク波長と設計波長が異なることで位相のずれが過剰となる場合の位相差補正を示す図。 図15の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図。 第2のタイプの積層1/2波長板において、光源光量のピーク波長が異なることで位相のずれが足りない倍の位相差補正を示す図。 図17の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図。 第2のタイプの積層1/2波長板において、光源光量のピーク波長と設計波長が異なることで位相のずれが過剰となる場合の位相差補正を示す図。 図19の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図。 第3のタイプの積層1/2波長板において、光源光量のピーク波長が異なることで位相のずれが足りない倍の位相差補正を示す図。 図21の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図。 第3のタイプの積層1/2波長板において、光源光量のピーク波長と設計波長が異なることで位相のずれが過剰となる場合の位相差補正を示す図。 図23の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図。 第2のタイプの積層λ/4波長板において、光源光量のピーク波長が異なることで位相のずれが足りない倍の位相差補正を示す図。 図25の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図。 第2のタイプのλ/4波長板において、光源光量のピーク波長と設計波長が異なることで位相のずれが過剰となる場合の位相差補正を示す図。 図27の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図。 第3のタイプの積層λ/4波長板において、光源光量のピーク波長が異なることで位相のずれが足りない倍の位相差補正を示す図。 図29の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図。 第3のタイプの積層λ/4波長板において、光源光量のピーク波長と設計波長が異なることで位相のずれが過剰となる場合の位相差補正を示す図。 図31の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図。 第1のタイプの波長板ユニットの偏光変換効率を示す図。 第1のタイプの波長板ユニットの偏光変換効率を示す図。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る偏光変換素子を適用した液晶プロジェクターの一例を示す図である。
図1に示す投写型表示装置(液晶プロジェクター)100は、光源110と、第1のレンズアレイ111と、本発に係る偏光変換素子を組み込んだ偏光変換ユニット120と、重畳レンズ121と、で構成される照明光学系を備えている。また、ダイクロイックミラー131、132と、反射ミラー133とを含む色光分離光学系130を備えている。さらに、入射側レンズ140と、リレーレンズ141と、反射ミラー142、143とを含む導光光学系を備えている。また、3枚のフィールドレンズ144、145、146と、3枚の液晶ライトバルブ150R、150G、150Bと、クロスダイクロイックプリズム160と、投写レンズ170とを備えている。
反射ミラー147は、重畳レンズから射出された光を色光分離光学系130の方向に反射する機能を有している。色光分離光学系130は、2枚のダイクロイックミラー131、132により、重畳レンズ121から射出される光を、赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。第1のダイクロイックミラー131は、重畳レンズ121から射出される光のうち赤色光成分を透過させるとともに、青色光成分と緑色光成分とを反射する。第1のダイクロイックミラー131を透過した赤色光は、反射ミラー133で反射され、フィールドレンズ144を通って赤光用の液晶ライトバルブ150Rに達する。このフィールドレンズ144は、重畳レンズ121から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶ライトバルブの前に設けられたフィールドレンズ145、146も同様である。
第1のダイクロイックミラー131で反射された青色光と緑色光のうちで、緑色光は第2のダイクロイックミラー132によって反射され、フィールドレンズ145を通って緑光用の液晶ライトバルブ150Gに達する。一方、青色光は、第2のダイクロイックミラー132を透過し、導光光学系、すなわち、入射側レンズ140、反射ミラー142、リレーレンズ141、反射ミラー143を通り、さらに、フィールドレンズ146を通って青色光用の液晶ライトバルブ150Bに達する。
なお、青色光に導光光学系が用いられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ140に入射した光束をそのまま、フィールドレンズ146に伝えるためである。
3つの液晶ライトバルブ150R、150G、150Bは、入射した光を、与えられた画像情報(画像信号)に従って変調する光変調手段としての機能を有している。これにより、3つの液晶ライトバルブ150R、150G、150Bに入射した各色光は、与えられた画像情報に従って変調されて各色光の画像を形成する。
3つの液晶ライトバルブ150R、150G、150Bから射出された3色の変調光は、クロスダイクロイックプリズム160に入射する。
クロスダイクロイックプリズム160は、3色の変調光を合成してカラー画像を形成する色光合成部としての機能を有している。クロスダイクロイックプリズム160には、赤光を反射する誘電体多層膜と、青光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に略X字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3色の変調光が合成されて、カラー画像を投写するための合成光が形成される。クロスダイクロイックプリズム160で生成された合成光は、投写レンズ170の方向に射出される。投写レンズ170は、この合成光を投写スクリーン上に投写する機能を有し、投写スクリーン上にカラー画像を表示する。
図2は、図1の液晶プロジェクターの光学エンジン内に搭載される、本発明の実施の形態に係る偏光変換素子を組み込んだ偏光変換ユニットの外観を示す図である。
図3は、図2の偏光変換ユニットの分解斜視図である。
図2、図3に示す偏光変換ユニット120は、ユニット枠200と、本発明の偏光変換素子1、遮光板210と、レンズアレイ220と、クリップ230と、を備えている。ユニット枠200の一方の開口面(図3では下面)側からは、後述する2つの偏光変換素子本体を有する偏光変換素子1が挿入され、もう一方の開口面(図3では上面)側からは、遮光板210とレンズアレイ220とがこの順に挿入される。これらの光学素子210、220は、ユニット枠200に収納された状態で、4つのクリップ230で上下2方向から挟持される。クリップ230は弾性体で形成されているので容易に着脱することができ、偏光変換ユニット120の各部品もユニット枠に容易に着脱することができる。
かかるユニット枠200によって、液晶プロジェクターに対して、偏光変換素子1を、光源からの光束が偏光変換素子1(特に後述のPBS膜)に入射する角度が常に一定になって、PS変換が正確に行える姿勢で組み込むことが出来る。
後述するような、耐熱・耐光性能に優れた本発明の偏光変換素子を備えた偏光変換ユニットを組み込むことで、高輝度・高発熱の光源を使って鮮明な映像を長時間投影可能な液晶プロジェクターとすることが出来る。
図4は、本発明の実施の形態に係る偏光変換素子の一例を示す断面図である。
図4に示す偏光変換素子1は、互いに略平行な光入射面11及び光出射面12を備え、図1に示す遮光板210からのランダム偏光光束の、光入射面11への入射方向と直交する方向に2つ結合された素子本体としての偏光分離手段(偏光分離スプリッター。以下、PBSと称する)10(10A、10B)アレイと、PBSアレイ10の出射面上に接着された、水晶波長板を含む偏光回転素子(以下、1/2位相差素子と記載する)20と、を備えている。
PBSアレイ10上の1/2位相差素子20は、変性アクリルレート又は変性メタクリレートを主成分とする接着剤あるいはプラズマ重合法(特開2010−113056号公報)などでなどを用いて接合することが可能である。
各PBSアレイ10は、互いに略平行な光入射面13a及び光出射面13b、並びに前記光出射面に対して所定の傾斜角度(例えば、45度あるいは135度)を有した接合面13cを備え、且つ互いの接合面によって直列に接合された透光性ユニット13と、透光性ユニット13の間に交互に設けられた偏光分離膜(PBS膜)14及び反射ミラー膜15と、を備えている。
なお、PBSアレイ10は、ガラス等の無色透明基板、PBS膜14、及び反射ミラー膜15を、接着剤(変性メタクリレートを主成分とするUT20、あるいは変性アクリルレートを主成分とするフォトボンドPB300等)により交互に幾重にも積層・接着し、上述の光出射面に対する角度で切断して形成している。
偏光分離膜14は、互いに偏光面が直交するP偏光光束及びS偏光光束が混在したランダム偏光光束が入射すると、P偏光光束を選択的に透過させ、S偏光光束を反射させる。
従って、光入射面11から入射したランダム偏光光束は、偏光分離膜14に入射すると、偏光分離膜14によってP偏光光束とS偏光光束に分離される。
分離された偏光光束のうち、P偏光光束は、偏光分離膜14を透過し、PBSアレイ10の出射面から出射される。
さらに、偏光分離膜14で反射されたS偏光光束は、反射ミラー膜15で反射されて、1/2位相差素子20に入射する。
1/2位相差素子20に入射したS偏光光束は、1/2位相差素子を透過する過程で、180度位相がずれるので偏光面が90度回転されて、P偏光光束に変換されて出射されることになる。
これにより、偏光変換素子1に入射したランダム偏光光束は、すべて1種類の偏光光束(P偏光光束)に揃えられて出射されることになる。
図5は、本発明の実施の形態に係る偏光変換素子の一例を示す分解斜視図である。
図6は、本発明の実施の形態に係る偏光回転素子の断面図である。
図5、6に示すように、偏光回転素子20は、水晶波長板30に、位相差補正素子40を積層して構成されている。
位相差補正素子40は、一対の対向するガラス基板等の透明基板42間に挟持され、且つ周囲をシール43で封じた液晶層41からなる液晶セルで構成されている。
各透明基板42の対向面には、夫々透明電極44が形成され、且つその上に配向膜41a、41bが形成されている。また、透明電極44は、電圧源45に接続されている。
液晶層41は、例えばネマティック液晶よりなり、配向膜41a、41bにより、透明電極44への印加電圧が0の時に、液晶分子の長軸が透明基板42間で一定方向に揃うように配向されている。
液晶層41において、液晶分子の屈折率差の大きさをΔn(異常光屈折率neと常光屈折率noの差)及び液晶層の厚みをTとしたときに、リタデーション値RがΔn・Tとして定義される。
さらに、液晶層41を通過すべき光束の波長(設計波長)をλとすると、位相差補正素子40で発生する位相差ψと、波長λ、リタデーション値Rとの間の関係は、ψ=2π/λ・R(=Δn・T)で定義出来る。
すなわち、液晶層41の厚みTが一定の場合、電圧源45により電圧を印加して、Δnの調整することで、位相差ψを任意に調整することが可能になる。
液晶層41に、誘電率異方性Δεが正の液晶を用いる場合は、液晶分子の配向方向を、印加電圧が0の状態において、XY面内でX軸と45°の角度をなす方向に揃える。
ここで、XY面は、透明基板42の基板面に平行な平面であり、X軸方向は、位相差補正素子を積層する水晶波長板の光学軸の向きと一致するか、又は直交させる。
液晶層41は、透明電極42への印加電圧の増加と共に、液晶分子の配向方向が透明基板42の基板面に対して垂直な方向に立ち上がる。
この液晶分子の立ち上がりの程度(角度)により、入射光に対して、液晶分子の長軸と短軸との屈折率の差(複屈折の差)に基づく任意の位相差を与えることが出来る。
さて、入射する直線偏光を90°回転させて出射させる場合には、方位角θは、水晶波長板(光学時)と位相差補正素子(液晶分子の配向方向)ともに45°に設定する。
また、入射する直線偏光を所定の角度αだけ回転させて出射させたい場合は、方位角θは、水晶波長板と位相差補正素子ともに、θ=α/2に設定する。
例えば、本実施形態の偏光回転素子(積層波長板ユニット)20を、プロジェクター等に適用する場合、白色光源のピーク波長に基づいて、設計波長λが設定される。
図7は、水晶波長板30に、位相差補正素子40を積層した場合の偏光状態の遷移をポアンカレ球で示す図である。
波長λにおける水晶波長板30の位相差をΓ1とし、位相差補正素子40の位相差ψをΓ2としたときに、この積層型1/2波長板は、位相差が180°となる。すなわち、
Γ1(λ)+Γ2(λ)=180°
Γ2(λ)=180°−Γ1(λ)
となる。
水晶波長板30は、板厚を固定されており、設計波長λにより位相差が決定される。
しかしながら、本実施形態の積層波長板ユニットを、プロジェクター等の製品に組み込む場合、光源光量の波長分布、特にピーク波長がメーカーによって微妙に異なるため、ある設計波長(ピーク波長)に基づいて位相差を決定した水晶波長板に対して、この設計波長とは異なるピーク波長の光が入光した場合は、位相誤差(位相のずれが付き過ぎたり、足らなかったりする)が生じ、正確にPS変換等が出来なくなるという問題がある。
そこで、水晶波長板30に、上述の液晶層41を有する位相差補正素子40を積層し、誤差分の位相差を補正する。
図7(a)のポアンカレ球を用いて説明すると、座標P1に直線偏光が入射する。上記のように水晶波長板30の方位角θは45°であるので、水晶波長板30に板厚誤差がなければ、S2軸を中心に回転して北極を経て座標P3に達し、偏光面が90°回転された状態で出射される。ただし、光源光量のピーク波長と、設計波長が異なることで、水晶波長板30の位相差Γ1が、Γ1=180°−aであるとすると、液晶型位相差補正素子40の位相差Γ2を、Γ2=aとなるように構成する。
ここで、位相差補正素子40の方位角を45°としておけば、水晶波長板30の場合と同方向に回転するため、−a分を補完して座標P3に到達し、偏光面が90°回転された直線偏光として出射される。
逆に、位相差が過剰(位相がずれすぎる)となる場合は、水晶波長板30の光学軸と位相差補正素子40の液晶分子の配向方向を直交させる。
図7(b)のポアンカレ球を用いて説明すると、水晶波長板30に余剰な位相差が付いた場合、P1に入射した直線偏光光は、座標P3よりも+aだけ余分に回転したP2に至る。
そこで、位相差補正素子40の方位角を水晶波長板30と直交する135°することで、S2軸を中心に、水晶波長板30の場合とは逆方向に−aだけ回転し、座標P3に至る。
なお、液晶素子によって発生させる位相差φは、上述したように、図6に示す電圧源45によって液晶分子に印加する電圧を調整し、液晶分子の複屈折率Δnの値を可変させることにより調整可能である。
よって、位相差補正素子の位相差が、a=Γ2=2Π/λ×Δn×Tを満足するようにΔnの値を決定すれば良い。
が求められる。
なお、位相差補正素子40は、液晶型位相差補正素子であるので、耐熱性の観点から耐久性の問題があるものの、熱伝導性の高い水晶に積層されているために、位相差補正素子に熱が滞留することを防止でき、劣化の心配がなく、長寿命化を図ることが可能である。
なお、以上説明してきたのは、水晶基板を1枚使用したタイプの波長板であるが、1枚の水晶波長板の場合、波長依存性が強く、複数の波長帯(広帯域)で、高い偏光変換効率を確保するのが難しいという問題がある。
そこで、以下では、2枚以上の水晶波長板を積層した広帯域の積層波長板の場合について説明する。
複屈折性を有する水晶波長板を積層することで、広帯域で偏光変換効率を高めることが出来る。
また、本実施形態に特徴的な液晶素子を用いた水晶波長板の位相差調整は、上記したプロジェクター等に用いられる1/2波長板のみならず、光ピックアップ装置などに用いられるλ/4波長板にも当然適用出来るものである。
以下では、2枚の水晶波長板を用いる場合で、光源光量のピーク波長と設計波長が何れの水晶波長板についても異なって、位相誤差が発生する場合について説明する。
出来る。
図8は、本発明の実施の形態にかかる広帯域積層波長板の構成例を示す図である。
図8(a)は、水晶波長板30Aに位相差補正素子40Aを積層した第1の波長板ユニットに、水晶波長板30Bに位相差補正素子40Bを積層した第2の波長板ユニットを積層した構成である。
また、位相差補正素子40A、位相差補正素子40Bによって発生させる位相差は、それぞれの位相差補正素子の透明電極に接続した電圧源45A、45Bにより印加する電圧によって調整するものする。
また、図8(b)は、2枚の水晶波長板30A、30Bにより、位相差補正素子40A、位相差補正素子40Bを挟持し、位相差補正素子間をガラス等の透明基板で仕切ったものである。
なお、以下に例示する積層波長板ユニットの構成は、図8(a)の構成で、2枚の水晶波長板双方の板厚がずれている場合の位相差補正を示すものである。
図9は、第1のタイプの積層1/2波長板において、光源光量のピーク波長が異なることで位相のずれが足りない倍の位相差補正を示す図である。
図9に示す積層波長板ユニットにおいて、第1の波長板ユニット20Aを構成する水晶波長板30Aの方位角θ1はθ1=45°、第2の波長板ユニット20Bを構成する水晶波長板30Bの方位角θ2は、θ2=135°であり、両水晶波長板の光学軸は直交している。
また、両水晶波長板のカット角は、いずれも90°Z(Yカット)となっている。
この場合、両水晶波長板の設計波長と、光源光量のピーク波長が一致していれば、第1の水晶波長板30Aの位相差δ1が、設計波長λに対してδ1=360°×N+180°(Nは0以上の正の整数)、第2の水晶波長板の位相差δ2が、設計波長λに対してδ2=360°×N(Nは0以上の正の整数)となる。この場合、積層波長板ユニット20全体の位相差は180°となり、完全に広帯域1/2波長板として機能し得る。
ここで、水晶波長板(水晶基板)30Aの位相差δ1は、δ1=360×N1+150(N1は0以上の正の整数)となっている。
また、水晶波長板30Bの位相差δ2は、δ2=360°×N2−30°(N2は0以上の正の整数)となっている。
この場合、第1の水晶波長板30A、第2の水晶波長板30Bについて、位相差補正素子によって位相差を30°加えることで、両水晶波長板について、光源光量の波長分布の違いによる影響を回避して、積層波長板ユニット全体として完全に広帯域1/2波長板として機能させることが出来る。
そのために、まず、第1の水晶波長板30Aに積層する第1の位相差補正素子40Aにおいて、第1の水晶波長板30Aの位相差にさらに位相差を加えるために、液晶分子の配向方向を、第1の水晶波長板30Aと同じく(平行に)している。
また、第2の水晶波長板30Bに積層する第2の位相差補正素子40Bにおいても、第2の波長板30Bの位相差にさらに位相差を加えるために、液晶分子の配向方向を、第2の水晶波長板30Bと同じく(平行に)にしている。
こうすることで、δ1=360°×N1+150°+30°、δ2=360°×N2となり、積層波長板ユニット20は、完全に1/2波長板として機能する。
ところで、水晶波長板の位相差を調整するための位相差補正素子について、何度の位相差を調整できるかは、液晶素子の屈折率差(複屈折)、液晶層の厚み等によって決定される。
第1の位相差補正素子40Aと第2の位相差補正素子40Bの液晶層41の厚みをそれぞれT1、T2とし(本実施形態においては固定とする)、第1の位相差補正素子40A、第2の位相差補正素子40Bで調整すべき位相差(ここでは30°)を、それぞれa、bで表す場合、下記の式においてΔnが、それぞれ、
a=2Π/λ×Δn×T1
b=2Π/λ×Δn×T2
(但し、屈折率Δnは、液晶の常光屈折率no−異常光屈折率ne)
を満たすように、図8に示す電圧源45A、45Bにより電圧を印加してΔnを調整すればよい。
液晶素子で発生させる位相差の調整は、下記の実施例においても同様に適用するものとする。
図10は、図9の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図であり、(a)は、第1の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図、(b)は、第2の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図である。ただし、図9で示した式において、N=1とする。
図10(a)において、座標P1(S1,S2,S3)=(1,0,0)に入射したPBSアレイ10からの直線偏光(S偏光)は、第1の水晶波長板30Aの光学軸(方位角)が45°であるので、X1軸を中心に、北極、南極を経由して、510°回転した座標P2に到達する。
さらに、第1の位相差補正素子40Aは、光学軸(方位角)が同じく45°であるので、同じ回転軸X1で同方向に30°回転し、座標P2(−1,0,0)に到達する。
すなわち、入射した直線偏光に対して180°位相がずれた、偏光面が直交する直線偏光として出射される。
次に、図10(b)において、第1の波長板ユニット20Aを出射した直線偏光は、座標P4に入射する。
第2の波長板ユニットの第2の水晶波長板30Bは、第1の水晶波長板30Aとは光学軸が直交する135°である。従って、回転方向が、図10(a)の場合とは逆になる。
直線偏光は、座標P4から、X2軸を中心に図10(a)とは逆方向に回転し、北極、南極を経て、330°回転した座標P5に至る。
次いで、第2の水晶波長板30Bと光学軸が平行である第2の位相調整素子40Bによって、X2軸を中心に座標P4(−1,0,0)まで30°回転される。
座標P4における光は、P1の直線偏光と偏光面が直交する光、すなわちP偏光である。
これにより、図9の積層波長板ユニットが全体として1/2波長板として機能していることが分かる。
図11は、第1のタイプの積層1/2波長板において、光源光量のピーク波長と設計波長が異なることで位相のずれが過剰となる場合の位相差補正を示す図である。
図11に示す積層波長板ユニットにおいて、第1の波長板ユニット20Aを構成する水晶波長板30Aの光学軸(直線偏光の偏光面と光学軸とのなす角:方位角)θ1はθ1=45°、第2の波長板ユニット20Bを構成する水晶波長板30Bの光学軸(直線偏光の偏光面と光学軸とのなす角:方位角)θ2は、θ2=135°であり、両水晶波長板の光学軸は直交している。
また、両水晶波長板のカット角は、いずれも90°Z(Yカット)となっている。
この場合、図9の場合と同様に、両水晶波長板の設計波長と、光源光量のピーク波長が一致していれば、第1の水晶波長板の位相差δ1が、設計波長λに対して、δ1=360°×N1+180°(N1は0以上の正の整数)、第2の水晶波長板の位相差δ2が、設計波長λに対してδ2=360°×N2(N2は0以上の正の整数)となり、積層波長板ユニット20全体の位相差は180°となり、完全に広帯域1/2波長板として機能し得る。
ここで、水晶波長板(水晶基板)30Aの位相差δ1は、δ1=360°×N1+210°(Nは0以上の正の整数)となっている。
また、水晶波長板30Bの位相差δ2は、δ2=360°×N2+30°(Nは0以上の正の整数)となっている。
この場合、第1の水晶波長板30A、第2の水晶波長板30Bについて、位相差補正素子によって位相差を30°戻す(減らす)ことで、両水晶波長板について、光源光量の波長分布の違いによる影響を回避して、積層波長板ユニット全体として完全に広帯域1/2波長板として機能させることが出来る。
そのために、まず、第1の水晶波長板30Aに積層する第1の位相差補正素子において、第1の水晶波長板30Aの位相を戻すために、液晶分子の配向方向を、第1の水晶波長板30Aと直交するようにしている(112.5°)。
また、第2の水晶波長板30Bに積層する第2の位相差補正素子40Bにおいても、第2の水晶波長板30Bの位相を戻す(減らす)ために、液晶分子の配向方向を、第2の水晶波長板30Bと直交するようにしている(157.5°)。
こうすることで、δ1=360°×N1+210°−30°、δ2=360°×N2+30°−30°となり、積層波長板ユニット20は、完全に1/2波長板として機能する。
図12は、図11の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図であり、(a)は、第1の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図、(b)は、第2の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図である。ただし、図11で示した式において、N=1とする。
図12(a)において、座標P1(S1,S2,S3)=(1,0,0)に入射したPBSアレイ10からの直線偏光(S偏光)は、第1の水晶波長板30Aの光学軸(方位角)が45°であるので、X3軸を中心に北極、南極を経由して、570°回転した座標P2に到達する。
さらに、第1の位相差補正素子40Aは、光学軸(方位角)が第1の水晶波長板30Aと直交する135°であるので、X4軸を中心に逆方向に30°回転し、座標P2(−1,0,0)に到達する。
すなわち、入射した直線偏光に対して直交する直線偏光として出射される。
次に、図12(b)において、第1の波長板ユニット20Aを出射した直線偏光は、座標P4に入射する。
第2の波長板ユニットの第2の水晶波長板30Bは、第1の水晶波長板30Aとは光学軸が直交する135°である。従って、回転方向が、図12(a)の場合とは逆になる。
直線偏光は、座標P4から、X5軸を中心に図12(a)とは逆回転に北極、南極を経て、390°回転した座標P5に至る。
次いで、第2の水晶波長板30Bと光学軸が直交し、回転方向が逆になる第2の位相調整素子40Bによって、X6軸を中心に、座標P4(−1,0,0)まで30°回転される。
座標P4における光は、P1の直線偏光と偏光面が直交する偏光、すなわちP偏光である。
これにより、図11の積層波長板ユニットが全体として1/2波長板として機能していることが分かる。
図13は、第1のタイプの積層λ/4波長板において、光源光量のピーク波長が異なることで位相のずれが足りない倍の位相差補正を示す図である。
図13に示す積層波長板ユニットにおいて、第1の波長板ユニット20Aを構成する水晶波長板30Aの方位角θ1はθ1=45°、第2の波長板ユニット20Bを構成する水晶波長板30Bの方位角θ2は、θ2=135°であり、両水晶波長板の光学軸は直交している。
また、両水晶波長板のカット角は、いずれも90°Z(Yカット)となっている。
この場合、両水晶波長板の設計波長と、光源光量のピーク波長が一致していれば、第1の水晶波長板の位相差δ1が、設計波長λに対して、δ1=360°×N1+90°(Nは0以上の正の整数)、第2の水晶波長板の位相差δ2が、設計波長λに対してδ2=360°×N2(Nは0以上の正の整数)となり、積層波長板ユニット全体の位相差δ1+δ2は90°となり、完全に広帯域λ/4波長板として機能し得る。
ここで、水晶波長板(水晶基板)30Aの位相差δ1は、δ1=360×N1+60(N1は0以上の正の整数)となっている。
また、水晶波長板30Bの位相差δ2は、δ2=360°×N2−30°(N2は0以上の正の整数)となっている。
この場合、第1の水晶波長板30A、第2の水晶波長板30Bについて、位相差補正素子によって位相差を30°加えることで、両水晶波長板について、光源光量の波長分布の違いによる影響を回避して、積層波長板ユニット全体として完全に広帯域λ/4波長板として機能させることが出来る。
そのために、まず、第1の水晶波長板30Aに積層する第1の位相差補正素子において、第1の水晶波長板30Aの位相差にさらに位相差を加えるために、液晶分子の配向方向を、第1の水晶波長板30Aと同じく(平行に)している。
また、第2の水晶波長板30Bに積層する第2の位相差補正素子40Bにおいても、第2の波長板30Bの位相差にさらに位相差を加えるために、液晶分子の配向方向を、第2の水晶波長板30Bと同じく(平行に)にしている。
こうすることで、δ1=360°×N1+60°+30°、δ2=360°×N2−30°+30°となり、積層波長板ユニット20は、完全にλ/4波長板として機能する。
図14は、図13の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図であり、(a)は、第1の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図、(b)は、第2の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図である。ただし、図13で示した式において、N=1とする。
図12(a)において、座標P1(S1,S2,S3)=(1,0,0)に入射した直線偏光は、第1の水晶波長板30Aの光学軸(方位角)が45°であるので、X7軸を中心に北極、南極を経由して、420°回転した座標P2に到達する。
さらに、第1の位相差補正素子40Aは、光学軸が第1の水晶波長板30Aと平行であるので、同じX7軸で同方向に30°回転し、座標P3(0,0,1)に到達する。
座標P3は赤道であり円偏光として出射される。
次に、図12(b)において、第1の波長板ユニット20Aを出射した直線偏光は、座標P4に入射する。
第2の波長板ユニットの第2の水晶波長板30Bは、第1の水晶波長板30Aとは光学軸が直交する135°である。従って、回転方向が、(a)の場合とは逆になる。
直線偏光は、座標P4から、X8軸を中心に、(a)とは逆回転に北極、南極を経て、330°回転した座標P5に至る。
次いで、第2の水晶波長板30Bと光学軸が平行であり、回転方向が同じである第2の位相調整素子40Bによって、X8軸を中心に、座標P4まで30°回転される。
北極である座標P4における光は円偏光である。これにより、図11の積層波長板ユニットが全体としてλ/4波長板として機能していることが分かる。
図15は、第1のタイプの積層λ/4波長板において、光源光量のピーク波長と設計波長が異なることで位相のずれが過剰となる場合の位相差補正を示す図である。
図15に示す積層波長板ユニットにおいて、第1の波長板ユニット20Aを構成する水晶波長板30Aの方位角θ1はθ1=45°、第2の波長板ユニット20Bを構成する水晶波長板30Bの方位角θ2は、θ2=135°であり、両水晶波長板の光学軸は直交している。
また、両水晶波長板のカット角は、いずれも90°Z(Yカット)となっている。
この場合、両水晶波長板の設計波長と、光源光量のピーク波長が一致していれば、第1の水晶波長板の位相差δ1が、設計波長λに対して、δ1=360°×N+90°(Nは0以上の正の整数)、第2の水晶波長板の位相差δ2が、設計波長λに対してδ2=360°×N(Nは0以上の正の整数)となり、積層波長板ユニット全体の位相差δ1+δ2は90°となり、この場合、完全に広帯域λ/4波長板として機能し得る。
ここで、水晶波長板(水晶基板)30Aの位相差δ1は、δ1=360×N1+60°(Nは0以上の正の整数)となっている。
また、水晶波長板30Bの位相差δ2は、δ2=360°×N2+30°(Nは0以上の正の整数)となっている。
この場合、第1の水晶波長板30A、第2の水晶波長板30Bについて、位相差補正素子によって位相差を30°戻すことで、両水晶波長板について、光源光量の波長分布の違いによる影響を回避して、積層波長板ユニット全体として完全に広帯域λ/4波長板として機能させることが出来る。
そのために、まず、第1の水晶波長板30Aに積層する第1の位相差補正素子において、第1の水晶波長板30Aの位相を戻す(減らす)ために、液晶分子の配向方向を、第1の水晶波長板30Aに対して直交させている。
また、第2の水晶波長板30Bに積層する第2の位相差補正素子40Bにおいても、第2の波長板30Bの位相差を30°戻すために、液晶分子の配向方向を、第2の水晶波長板30Bに対して直交させている。
こうすることで、δ1=360°×N1+120−30°、δ2=360°×N2+30°−30°となり、積層波長板ユニット20は、完全にλ/4波長板として機能する。
図16は、図15の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図であり、(a)は、第1の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図、(b)は、第2の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図である。ただし、図13で示した式において、N1、N2=1とする。
図16(a)において、座標P1(S1,S2,S3)=(1,0,0)に入射した直線偏光は、第1の水晶波長板30Aの光学軸(方位角)が45°であるので、X9軸を中心に北極、南極を経由して、480°回転した座標P2に到達する。
さらに、第1の位相差補正素子40Aは、光学軸が第1の水晶波長板30Aと直交するので、X10軸を中心に逆方向に30°回転し、座標P3(0,0,1)に到達する。
座標P3は赤道であり円偏光として出射される。
次に、図12(b)において、第1の波長板ユニット20Aを出射した直線偏光は、座標P4に入射する。
第2の波長板ユニットの第2の水晶波長板30Bは、第1の水晶波長板30Aとは光学軸が直交する135°である。従って、回転方向が、(a)の場合とは逆になる。
直線偏光は、座標P4から、X11軸を中心に、(a)とは逆回転に北極、南極を経て、390°回転した座標P5に至る。
次いで、第2の水晶波長板30Bと光学軸が直交し、回転方向が逆になる第2の位相調整素子40Bによって、X12軸を中心に、座標P4まで30°回転される。
北極である座標P4における光は円偏光である。これにより、図15の積層波長板ユニットが全体としてλ/4波長板として機能していることが分かる。
図17は、第2のタイプの積層1/2波長板において、光源光量のピーク波長が異なることで位相のずれが足りない倍の位相差補正を示す図である。
図17に示す積層波長板ユニットにおいて、第1の波長板ユニット20Aを構成する水晶波長板30Aの方位角θ1はθ1=22.5°、第2の波長板ユニット20Bを構成する水晶波長板30Bの方位角θ2は、θ2=67.5°である。
また、両水晶波長板のカット角は、いずれも13°Z(Yカット)となっている。
この場合、両水晶波長板の設計波長と、光源光量のピーク波長が一致していれば、第1の水晶波長板の位相差δ1が、設計波長λに対して、δ1=196°、第2の水晶波長板の位相差δ2が、設計波長λに対して196°となり、この場合、完全に広帯域1/2波長板として機能し得る。
設計波長に対して必要な位相差が196°であるのは、水晶波長板のカット角が13°Zであるからである。
ここで、水晶波長板(水晶基板)30Aの位相差δ1は、166°となっている。
また、水晶波長板30Bの位相差δ2は、166°となっている。
この場合、第1の水晶波長板30A、第2の水晶波長板30Bについて、位相差補正素子によって位相差を30°加えることで、両水晶波長板について、光源光量の波長分布の違いによる影響を回避して、積層波長板ユニット全体として完全に広帯域1/2波長板として機能させることが出来る。
そのために、まず、第1の水晶波長板30Aに積層する第1の位相差補正素子において、第1の水晶波長板30Aの位相差にさらに位相差を加えるために、液晶分子の配向方向を、第1の水晶波長板30Aに対して平行にしている。
また、第2の水晶波長板30Bに積層する第2の位相差補正素子40Bにおいても、第2の波長板30Bの位相差にさらに位相差を加えるために、液晶分子の配向方向を、第2の水晶波長板30Bに対して平行にしている。
こうすることで、δ1=196°、δ2=196°となり、積層波長板ユニット20は、完全に1/2波長板として機能する。
図18は、図17の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図であり、(a)は、第1の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図、(b)は、第2の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図である。
図18(a)において、座標P1(S1,S2,S3)=(1,0,0)に入射した直線偏光(S偏光)は、第1の水晶波長板30Aの光学軸(方位角)が22.5°であるので、X13軸を中心に、北極、南極を通らずに166°回転した座標P2に到達する。
さらに、第1の位相差補正素子40Aは、光学軸が第1の水晶波長板30Aと平行であるので、X13軸を中心に、同方向に30°回転し、座標P3(0,1,0)に到達する。
次に、図18(b)において、第1の波長板ユニット20Aを出射した直線偏光は、座標P4に入射する。
第2の波長板ユニットの第2の水晶波長板30Bは、光学軸(方位角)が67.5°である。(a)の場合とは異なるX14軸を中心に、北極、南極を経ずに、166°回転した座標P5に至る。
次いで、第2の水晶波長板30Bと光学軸が平行であり、回転方向が同じになる第2の位相調整素子40Bによって、X14軸を中心に、座標P6(−1,0,0)まで30°回転される。
座標P6における光は、P1の直線偏光と偏光面が直交する偏光、すなわちP偏光である。
これにより、図17の積層波長板ユニットが全体として1/2波長板として機能していることが分かる。
図19は、第2のタイプの積層1/2波長板において、光源光量のピーク波長と設計波長が異なることで位相のずれが過剰となる場合の位相差補正を示す図である。
図19に示す積層波長板ユニットにおいて、第1の波長板ユニット20Aを構成する水晶波長板30Aの方位角θ1はθ1=22.5°、第2の波長板ユニット20Bを構成する水晶波長板30Bの方位角θ2は、θ2=67.5°である。
また、両水晶波長板のカット角は、いずれも13°Z(Yカット)となっている。
この場合、両水晶波長板の設計波長と、光源光量のピーク波長が一致していれば、第1の水晶波長板の位相差δ1が、設計波長λに対して、δ1=196°、第2の水晶波長板の位相差δ2が、設計波長λに対して196°となり、この場合、完全に広帯域1/2波長板として機能し得る。
設計波長に対して必要な位相差が196°であるのは、水晶波長板のカット角が13°Zであるからである。
ここで、水晶波長板(水晶基板)30Aの位相差δ1は、226°となっている。
また、水晶波長板30Bの位相差δ2は、226°となっている。
この場合、第1の水晶波長板30A、第2の水晶波長板30Bについて、位相差補正素子によって位相差を30°戻すことで、両水晶波長板について、光源光量の波長分布の違いによる影響を回避して、積層波長板ユニット全体として完全に広帯域1/2波長板として機能させることが出来る。
そのために、まず、第1の水晶波長板30Aに積層する第1の位相差補正素子において、第1の水晶波長板30Aの位相を戻すために、液晶分子の配向方向を、第1の水晶波長板30Aに対して直交させている。
また、第2の水晶波長板30Bに積層する第2の位相差補正素子40Bにおいても、第2の波長板30Bの位相を戻すために、液晶分子の配向方向を、第2の水晶波長板30Bに対して直交させている。
こうすることで、δ1=196°、δ2=196°となり、積層波長板ユニット20は、完全に1/2波長板として機能する。
図20は、図19の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図であり、(a)は、第1の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図、(b)は、第2の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図である。
図20(a)において、座標P1(S1,S2,S3)=(1,0,0)に入射した直線偏光(S偏光)は、第1の水晶波長板30Aの光学軸(方位角)が22.5°であるので、X15軸を中心に、北極、南極を通らず266°回転した座標P2に到達する。
さらに、第1の位相差補正素子40Aは、光学軸が第1の水晶波長板30Aと直交するので、X16軸を中心に、逆方向に30°回転し、座標P3(0,1,0)に到達する。
次に、図20(b)において、第1の波長板ユニット20Aを出射した直線偏光は、座標P4に入射する。
第2の波長板ユニットの第2の水晶波長板30Bは、光学軸(方位角)が67.5°である。(a)の場合とは異なるX17軸を中心に、北極、南極を経ずに、166°回転した座標P5に至る。
次いで、第2の水晶波長板30Bと光学軸が直交する第2の位相調整素子40Bによって、X18軸を中心に、座標P6(−1,0,0)まで逆方向に30°回転される。
座標P6における光は、P1の直線偏光と偏光面が直交する偏光、すなわちP偏光である。
これにより、図19の積層波長板ユニットが全体として1/2波長板として機能していることが分かる。
図21は、第3のタイプの積層1/2波長板において、光源光量のピーク波長が異なることで位相のずれが足りない倍の位相差補正を示す図である。
図21に示す積層波長板ユニットにおいて、第1の波長板ユニット20Aを構成する水晶波長板30Aの方位角θ1はθ1=22.5°、第2の波長板ユニット20Bを構成する水晶波長板30Bの方位角θ2は、θ2=67.5°である。
また、両水晶波長板のカット角は、いずれも90°Z(Yカット)となっている。
この場合、両水晶波長板の設計波長と、光源光量のピーク波長が一致していれば、第1の水晶波長板の位相差δ1が、設計波長λに対して、δ1=360°×N1+180、第2の水晶波長板の位相差δ2が、設計波長λに対してδ2=360°×N2となり、この場合、完全に広帯域1/2波長板として機能し得る。
ここで、水晶波長板(水晶基板)30Aの位相差δ1は、δ1=360°×N1+150°となっている。
また、水晶波長板30Bの位相差δ2は、δ2=360×N2−30°となっている。
この場合、第1の水晶波長板30A、第2の水晶波長板30Bについて、位相差補正素子によって位相差を30°加えることで、両水晶波長板について、光源光量の波長分布の違いによる影響を回避して、積層波長板ユニット全体として完全に広帯域1/2波長板として機能させることが出来る。
そのために、まず、第1の水晶波長板30Aに積層する第1の位相差補正素子において、第1の水晶波長板30Aの位相差にさらに位相差を加えるために、液晶分子の配向方向を、第1の水晶波長板30Aに対して平行にしている。
また、第2の水晶波長板30Bに積層する第2の位相差補正素子40Bにおいても、第2の波長板30Bの位相差にさらに位相差を加えるために、液晶分子の配向方向を、第2の水晶波長板30Bに対して平行にしている。
こうすることで、δ1=360°×N1+180、δ2=360°×N2となり、積層波長板ユニット20は、完全に1/2波長板として機能する。
液晶層の板厚の設定は、上記の場合と同様である。
図22は、図21の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図であり、(a)は、第1の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図、(b)は、第2の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図である。
図22(a)において、座標P1(S1,S2,S3)=(1,0,0)に入射した直線偏光(S偏光)は、第1の水晶波長板30Aの光学軸(方位角)が22.5°であるので、X19軸を中心に、北極、南極を通らず510°回転した座標P2に到達する。
さらに、第1の位相差補正素子40Aは、光学軸が第1の水晶波長板30Aと平行であるので、同じX19軸を中心に、同方向に30°回転し、座標P3に到達する。
次に、図22(b)において、第1の波長板ユニット20Aを出射した直線偏光は、座標P4に入射する。
第2の波長板ユニットの第2の水晶波長板30Bは、光学軸(方位角)が67.5°であり、(a)の場合とは異なるX20軸を中心に、北極、南極を経ずに、330°回転した座標P5に至る。
次いで、第2の水晶波長板30Bと光学軸が平行である第2の位相調整素子40Bによって、同じX20軸を中心に、座標P6(−1,0,0)まで逆方向に30°回転される。
座標P6における光は、P1の直線偏光と偏光面が直交する偏光、すなわちP偏光である。
これにより、図21の積層波長板ユニットが全体として1/2波長板として機能していることが分かる。
図23は、第3のタイプの積層1/2波長板において、光源光量のピーク波長と設計波長が異なることで位相のずれが過剰となる場合の位相差補正を示す図である。
図23に示す積層波長板ユニットにおいて、第1の波長板ユニット20Aを構成する水晶波長板30Aの方位角θ1はθ1=22.5°、第2の波長板ユニット20Bを構成する水晶波長板30Bの方位角θ2は、θ2=67.5°である。
また、両水晶波長板のカット角は、いずれも90°Z(Yカット)となっている。
この場合、両水晶波長板の設計波長と、光源光量のピーク波長が一致していれば、第1の水晶波長板の位相差δ1が、設計波長λに対して、δ1=360°×N+180、第2の水晶波長板の位相差δ2が、設計波長λに対してδ2=360°×Nとなり、δ1+δ2=180°となって完全に広帯域1/2波長板として機能し得る。
ここで、水晶波長板(水晶基板)30Aの位相差δ1は、δ1=360°×N+210°となっている。
また、水晶波長板30Bの位相差δ2は、δ2=360×N+30°となっている。
この場合、第1の水晶波長板30A、第2の水晶波長板30Bについて、位相差補正素子によって位相差を30°戻すことで、両水晶波長板について、光源光量の波長分布の違いによる影響を回避して、積層波長板ユニット全体として完全に広帯域1/2波長板として機能させることが出来る。
そのために、まず、第1の水晶波長板30Aに積層する第1の位相差補正素子において、第1の水晶波長板30Aの位相を戻すために、液晶分子の配向方向を、第1の水晶波長板30Aに対して直交させている。
また、第2の水晶波長板30Bに積層する第2の位相差補正素子40Bにおいても、第2の波長板30Bの位相を戻すために、液晶分子の配向方向を、第2の水晶波長板30Bに対して平行にしている。
こうすることで、δ1=360°×N1+180、δ2=360°×N2となり、積層波長板ユニット20は、完全に1/2波長板として機能する。
図24は、図23の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図であり、(a)は、第1の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図、(b)は、第2の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図である。
図24(a)において、座標P1(S1,S2,S3)=(1,0,0)に入射した直線偏光(S偏光)は、第1の水晶波長板30Aの光学軸(方位角)が22.5°であるので、X21軸を中心に、北極、南極を通らず570°回転した座標P2に到達する。
さらに、第1の位相差補正素子40Aは、光学軸が第1の水晶波長板30Aと直交するので、X22軸を中心に、逆方向に30°回転し、座標P3に到達する。
次に、図24(b)において、第1の波長板ユニット20Aを出射した直線偏光は、座標P4に入射する。
第2の波長板ユニットの第2の水晶波長板30Bは、光学軸が67.5°であり、(a)の場合とは異なるX23軸を中心に、北極、南極を経ずに、390°回転した座標P5に至る。
次いで、第2の水晶波長板30Bと光学軸が直交する第2の位相調整素子40Bによって、X24軸を中心に、座標P6(−1,0,0)まで逆方向に30°回転される。
座標P6における光は、P1の直線偏光と偏光面が直交する偏光、すなわちP偏光である。
これにより、図21の積層波長板ユニットが全体として1/2波長板として機能していることが分かる。
図25は、第2のタイプの積層λ/4波長板において、光源光量のピーク波長が異なることで位相のずれが足りない倍の位相差補正を示す図である。
図25に示す積層波長板ユニットにおいて、第1の波長板ユニット20Aを構成する水晶波長板30Aの方位角θ1はθ1=15.0°、第2の波長板ユニット20Bを構成する水晶波長板30Bの方位角θ2は、θ2=76.0°である。
また、第1の水晶波長板のカット角は、16.3°Z、第2の水晶波長板のカット角は14.5°Zである。
この場合、両水晶波長板の設計波長と、光源光量のピーク波長が一致していれば、第1の水晶波長板の位相差δ1が、設計波長λに対して、δ1=180°、第2の水晶波長板の位相差δ2が、設計波長λに対してδ2=100°となって完全に広帯域λ/4波長板として機能し得る。
ここで、水晶波長板(水晶基板)30Aの位相差δ1は、δ1=150°となっている。
また、水晶波長板30Bの位相差δ2は、δ2=70°となっている。
この場合、第1の水晶波長板30A、第2の水晶波長板30Bについて、位相差補正素子によって位相差を30°加えることで、両水晶波長板について、光源光量の波長分布の違いによる影響を回避して、積層波長板ユニット全体として完全に広帯域1/2波長板として機能させることが出来る。
そのために、まず、第1の水晶波長板30Aに積層する第1の位相差補正素子において、第1の水晶波長板30Aの位相差にさらに位相差を加えるために、液晶分子の配向方向を、第1の水晶波長板30Aに対して平行にしている。
また、第2の水晶波長板30Bに積層する第2の位相差補正素子40Bにおいても、第2の波長板30Bの位相差にさらに位相差を加えるために、液晶分子の配向方向を、第2の水晶波長板30Bに対して平行にしている。
こうすることで、δ1=180°、δ2=100°となり、積層波長板ユニット20は、完全にλ/4波長板として機能する。
図26は、図25の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図であり、(a)は、第1の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図、(b)は、第2の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図である。
図26(a)において、座標P1(S1,S2,S3)=(1,0,0)に入射した直線偏光は、第1の水晶波長板30Aの光学軸(方位角)が15°であるので、X25軸を中心に、北極、南極を通らず150°回転した座標P2に到達する。
さらに、第1の位相差補正素子40Aは、光学軸が第1の水晶波長板30Aと平行であるので、同じX25軸を中心に、同方向に30°回転し、座標P3に到達する。
次に、図24(b)において、第1の波長板ユニット20Aを出射した直線偏光は、座標P4に入射する。
第2の波長板ユニットの第2の水晶波長板30Bは、光学軸(方位角)が76°であり、(a)の場合とは異なるX26軸を中心に、北極、南極を経ずに、70°回転した座標P5に至る。
次いで、第2の水晶波長板30Bと光学軸が平行となる第2の位相調整素子40Bによって、X26軸を中心に、座標P6まで同方向に30°回転される。
座標P6は北極であり、円偏光になっている。
これにより、図25の積層波長板ユニットが全体としてλ/4波長板として機能していることが分かる。
図27は、第2のタイプのλ/4波長板において、光源光量のピーク波長と設計波長が異なることで位相のずれが過剰となる場合の位相差補正を示す図である。
図27に示す積層波長板ユニットにおいて、第1の波長板ユニット20Aを構成する水晶波長板30Aの方位角θ1はθ1=15.0°、第2の波長板ユニット20Bを構成する水晶波長板30Bの方位角θ2は、θ2=76.0°である。
また、第1の水晶波長板のカット角は、16.3°Z、第2の水晶波長板のカット角は14.5°Zである。
この場合、両水晶波長板の設計波長と、光源光量のピーク波長が一致していれば、第1の水晶波長板の位相差δ1が、設計波長λに対して、δ1=180°、第2の水晶波長板の位相差δ2が、設計波長λに対してδ2=100°となって完全に広帯域λ/4波長板として機能し得る。
ここで、水晶波長板(水晶基板)30Aの位相差δ1は、δ1=210°となっている。
また、水晶波長板30Bの位相差δ2は、δ2=130°となっている。
この場合、第1の水晶波長板30A、第2の水晶波長板30Bについて、位相差補正素子によって位相差を30°戻すことで、両水晶波長板について、光源光量の波長分布の違いによる影響を回避して、積層波長板ユニット全体として完全に広帯域λ/4波長板として機能させることが出来る。
そのために、まず、第1の水晶波長板30Aに積層する第1の位相差補正素子において、第1の水晶波長板30Aの位相を戻すために、液晶分子の配向方向を、第1の水晶波長板30Aに対して直交させている。
また、第2の水晶波長板30Bに積層する第2の位相差補正素子40Bにおいても、第2の波長板30Bの位相を戻すために、液晶分子の配向方向を、第2の水晶波長板30Bに対して直交させている。
こうすることで、δ1=180°、δ2=100°となり、積層波長板ユニット20は、完全にλ/4波長板として機能する。
図28は、図27の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図であり、(a)は、第1の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図、(b)は、第2の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図である。
図28(a)において、座標P1(S1,S2,S3)=(1,0,0)に入射した直線偏光は、第1の水晶波長板30Aの光学軸(方位角)が15°であるので、X27軸を中心に、北極、南極を通らず210°回転した座標P2に到達する。
さらに、第1の位相差補正素子40Aは、光学軸が第1の水晶波長板30Aと直交するので、X28軸を中心に、逆方向に30°回転し、座標P3に到達する。
次に、図28(b)において、第1の波長板ユニット20Aを出射した直線偏光は、座標P4に入射する。
第2の波長板ユニットの第2の水晶波長板30Bは、光学軸(方位角)が76°であり、(a)の場合とは異なるX29軸を中心に、北極、南極を経ずに、130°回転した座標P5に至る。
次いで、第2の水晶波長板30Bと光学軸が直交する第2の位相調整素子40Bによって、X30軸を中心に、座標P6まで逆方向に30°回転される。
座標P6は赤道であり、円偏光になっている。
これにより、図27の積層波長板ユニットが全体としてλ/4波長板として機能していることが分かる。
図29は、第3のタイプの積層λ/4波長板において、光源光量のピーク波長が異なることで位相のずれが足りない倍の位相差補正を示す図である。
図29に示す積層波長板ユニットにおいて、第1の波長板ユニット20Aを構成する水晶波長板30Aの方位角θ1はθ1=15.0°、第2の波長板ユニット20Bを構成する水晶波長板30Bの方位角θ2は、θ2=75.0°である。
また、第1の水晶波長板のカット角は、90°Z、第2の水晶波長板のカット角は90°Zである。
この場合、両水晶波長板の設計波長と、光源光量のピーク波長が一致していれば、第1の水晶波長板の位相差δ1が、設計波長λに対して、δ1=360°×N+180°、第2の水晶波長板の位相差δ2が、設計波長λに対してδ2=360°×M+90°となって、この場合、完全に広帯域λ/4波長板として機能し得る。
ここで、水晶波長板(水晶基板)30Aの位相差δ1は、δ1=360×N+150°となっている。
また、水晶波長板30Bの位相差δ2は、δ2=360°×M+60°となっている。
この場合、第1の水晶波長板30A、第2の水晶波長板30Bについて、位相差補正素子によって位相差を30°加えることで、両水晶波長板について、光源光量の波長分布の違いによる影響を回避して、積層波長板ユニット全体として完全に広帯域λ/4波長板として機能させることが出来る。
そのために、まず、第1の水晶波長板30Aに積層する第1の位相差補正素子において、第1の水晶波長板30Aの位相を戻すために、液晶分子の配向方向を、第1の水晶波長板30Aに対して平行にしている。
また、第2の水晶波長板30Bに積層する第2の位相差補正素子40Bにおいても、第2の波長板30Bの位相を戻すために、液晶分子の配向方向を、第2の水晶波長板30Bに対して平行にしている。
こうすることで、δ1=360°×N+180°、δ2=360°×M+90°となり、この場合、積層波長板ユニット20は、完全にλ/4波長板として機能する。
図30は、図29の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図であり、(a)は、第1の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図、(b)は、第2の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図である。なお、図29の式において、N、Mは何れも1とする。
図30(a)において、座標P1(S1,S2,S3)=(1,0,0)に入射した直線偏光は、第1の水晶波長板30Aの光学軸(方位角)が15°であるので、X31軸を中心に、北極、南極を通らず510°回転した座標P2に到達する。
さらに、第1の位相差補正素子40Aは、光学軸が第1の水晶波長板30Aと平行であるので、X31軸を中心に、同方向に30°回転し、座標P3に到達する。
次に、図30(b)において、第1の波長板ユニット20Aを出射した直線偏光は、座標P4に入射する。
第2の波長板ユニットの第2の水晶波長板30Bは、光学軸(方位角)が75°であり、(a)の場合とは異なるX32軸を中心に、北極、南極を経ずに、420°回転した座標P5に至る。
次いで、第2の水晶波長板30Bと光学軸が平行となる第2の位相調整素子40Bによって、X32軸を中心に、座標P6まで同方向に30°回転される。
座標P6は赤道であり、円偏光になっている。
これにより、図27の積層波長板ユニットが全体としてλ/4波長板として機能していることが分かる。
図31は、第3のタイプの積層λ/4波長板において、光源光量のピーク波長と設計波長が異なることで位相のずれが過剰となる場合の位相差補正を示す図である。
図31に示す積層波長板ユニットにおいて、第1の波長板ユニット20Aを構成する水晶波長板30Aの方位角θ1はθ1=15.0°、第2の波長板ユニット20Bを構成する水晶波長板30Bの方位角θ2は、θ2=75.0°である。
また、第1の水晶波長板のカット角は、90°Z、第2の水晶波長板のカット角は90°Zである。
この場合、両水晶波長板の設計波長と、光源光量のピーク波長が一致していれば、第1の水晶波長板の位相差δ1が、設計波長λに対して、δ1=360°×N+180°、第2の水晶波長板の位相差δ2が、設計波長λに対してδ2=360°×M+90°となって、この場合、完全に広帯域λ/4波長板として機能し得る。
ここで、水晶波長板(水晶基板)30Aの位相差δ1は、δ1=360×N+210°となっている。
また、水晶波長板30Bの位相差δ2は、δ2=360°×M+120°となっている。
この場合、第1の水晶波長板30A、第2の水晶波長板30Bについて、位相差補正素子によって位相差を30°戻すことで、両水晶波長板について、光源光量の波長分布の違いによる影響を回避して、積層波長板ユニット全体として完全に広帯域λ/4波長板として機能させることが出来る。
そのために、まず、第1の水晶波長板30Aに積層する第1の位相差補正素子において、第1の水晶波長板30Aの位相を戻すために、液晶分子の配向方向を、第1の水晶波長板30Aに対して直交させている。
また、第2の水晶波長板30Bに積層する第2の位相差補正素子40Bにおいても、第2の波長板30Bの位相を戻すために、液晶分子の配向方向を、第2の水晶波長板30Bに対して直交させている。
こうすることで、δ1=360°×N+180°、δ2=360°×M+90°となり、この場合、積層波長板ユニット20は、完全にλ/4波長板として機能する。
図32は、図31の場合における偏光状態の遷移をポアンカレ球により示す図であり、(a)は、第1の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図、(b)は、第2の波長板ユニットにおける偏光状態の遷移を示す図である。なお、図31の式において、N、Mは何れも1とする。
図32(a)において、座標P1(S1,S2,S3)=(1,0,0)に入射した直線偏光は、第1の水晶波長板30Aの光学軸(方位角)が15°であるので、X33軸を中心に、北極、南極を通らず570°回転した座標P2に到達する。
さらに、第1の位相差補正素子40Aは、光学軸が第1の水晶波長板30Aと直交しているので、X34軸を中心に、同方向に30°回転し、座標P3に到達する。
次に、図32(b)において、第1の波長板ユニット20Aを出射した直線偏光は、座標P4に入射する。
第2の波長板ユニットの第2の水晶波長板30Bは、光学軸(方位角)が75°であり、(a)の場合とは異なるX35軸を中心に、北極、南極を経ずに、480°回転した座標P5に至る。
次いで、第2の水晶波長板30Bと光学軸が直交する第2の位相調整素子40Bによって、X36軸を中心に、座標P6まで逆方向に30°回転される。
座標P6は赤道であり、円偏光になっている。
これにより、図31の積層波長板ユニットが全体としてλ/4波長板として機能していることが分かる。
次に、本発明の実施の形態に係る位相差補正素子の他の特徴について説明する。
上記の説明では、光源光量の波長分布、特に、ピーク波長が微妙に異なる場合に、水晶波長板に積層した位相差補正素子に含まれる水晶素子に印加する電圧を可変し、位相差を調整することで、異なるピーク波長の光に対して全体として1/2波長板、λ/4波長板として機能出来るようにしている。
それに対し、位相差補正素子で波長板ユニットの位相差を変更し、偏光変換効率が最大となる波長帯域を変更する。
図33は、上記した第1のタイプの波長板ユニットの偏光変換効率を示す図である。設計波長λは550nmであり、波長が550nmの直線偏光(グリーン帯域)に対して、偏光変換効率が最大になっている。図34の場合のように、位相差補正素子により、位相差をずらし、設計波長は550nmながら、偏光変換効率が最大となる帯域をブルー帯域にシフトさせ、プロジェクターなどでは、カラーバランスの調整に好適に用いることも出来る。
1 偏光変換素子、10、PBSアレイ、12 光出射面、13 透光性ユニット、13a 光入射面、13b 光出射面、13c 接合面、14 PBS膜、15 反射ミラー膜、20 位相差板、20 積層波長板ユニット、20 偏光回転素子、20A 波長板ユニット、20B 波長板ユニット、30 水晶波長板、30A 水晶波長板、30B 水晶波長板、30B 波長板、40 位相差補正素子、40A 位相差補正素子、40B 位相差補正素子、40B 位相調整素子、41 液晶層、41a 配向膜、42 透明基板、110 光源、111 レンズアレイ、120 偏光変換ユニット、121 重畳レンズ、130 色光分離光学系、131 ダイクロイックミラー、132 ダイクロイックミラー、133 反射ミラー、140 入射側レンズ、141 リレーレンズ、142 反射ミラー、143 反射ミラー、144 フィールドレンズ、145 フィールドレンズ、146 フィールドレンズ、146 反射ミラー、150B 液晶ライトバルブ、150G 液晶ライトバルブ、150R 液晶ライトバルブ、160 クロスダイクロイックプリズム、170 投写レンズ、200 ユニット枠、210 遮光板、220 レンズアレイ、230 クリップ

Claims (11)

  1. 波長λの光に対して全体として位相差δを与えて、入射する前記光の直線偏光の偏光面を回転させた直線偏光に変換して出射する波長板であって、
    前記波長λの光に対して位相誤差aを有し位相差δ±aを与え、材料が無機光学結晶からなる位相差板と、
    該位相差板に積層され、前記位相誤差aを補正する液晶素子を備えた位相差補正素子と、を備え、
    前記位相差補正素子は、前記液晶素子に電圧を印加する電圧源を備えたことを特徴とする波長板。
  2. 請求項1に記載の波長板において、
    前記位相誤差aが正の値の場合は、前記液晶素子における液晶の配向方向が前記位相差板の光学軸と直交するように配向され、
    前記位相誤差aが負の値の場合は、前記液晶素子における液晶の配向方向が前記位相差板の光学軸と平行となるように配向されたことを特徴とする波長板。
  3. 光路上に配置された第1の波長板と第2の波長板とを備え、
    波長λの光に対して位相差δを与えて、入射する前記光の直線偏光の偏光面を回転させた直線偏光として出射する、或いは前記光の直線偏光を円偏光に変換して出射する波長板であって、
    前記第1の波長板は、
    前記光の直線偏光の偏光面と光学軸とのなす角を方位角θ1とし、前記波長λの光に対して位相誤差aを有し位相差δ1±aを与え、材料が無機光学結晶からなる第1の位相差板と、
    該第1の位相差板に積層され、前記位相誤差aを補正する第1の液晶素子を備えた第1の位相差補正素子と、を備え、
    前記第1の位相差補正素子は、前記第1の液晶素子に電圧を印加する第1の電圧源を備え、
    前記第2の波長板は、
    前記光の直線偏光の偏光面と光学軸とのなす角を方位角θとし、前記波長λの光に対し位相誤差bを有し位相差δ2±bを与え、材料が無機光学結晶からなる第2の位相差板と、
    該第2の位相差板に積層され、前記位相誤差bを補正する第2の液晶素子を備えた第2の位相差補正素子と、を備え、
    前記第2の位相差補正素子は、前記第2の液晶素子に電圧を印加する第2の電圧源を備えたことを特徴とする波長板。
  4. 請求項3に記載の波長板において、
    入射する前記光の直線偏光の偏光面を回転させた直線偏光に変換して出射し、
    前記方位角θ1を45°、前記方位角θ2を135°とし、
    位相差δ1を360°×N1+180°、位相差δ2を360°×N2とし(N1及びN2はそれぞれ0から始まる自然数)、
    前記位相誤差a又は位相誤差bが正の値の場合は、前記第1の位相差補正素子又は前記第2の位相差補正素子における液晶の配向方向を、前記第1の位相差板又は前記第2の位相差板の光学軸と直交するように配向し、
    前記位相誤差a又は位相誤差bが負の値の場合は、前記第1の位相差補正素子又は前記第2の位相差補正素子における液晶の配向方向を、前記第1の位相差板又は前記第2の位相差板の光学軸に対して平行になるように配向することを特徴とする波長板。
  5. 請求項3に記載の波長板において、
    入射する前記光の直線偏光の偏光面を回転させた円偏光に変換して出射し、
    前記方位角θ1を45°、前記方位角θ2を135°とし、
    位相差δ1を360°×N1+(90°又は270°)、位相差δ2を360°×N2とし(N1及びN2はそれぞれ0から始まる自然数)、
    前記位相誤差a又は位相誤差bが正の値の場合は、前記第1の位相差補正素子又は前記第2の位相差補正素子の配向方向を、前記第1の位相差板又は前記第2の位相差板の光学軸と直交するように配向し、
    前記位相誤差a又は位相誤差bが負の値の場合は、前記第1の位相差補正素子又は前記第2の位相差補正素子の配向方向を、前記第1の位相差板又は前記第2の位相差板の光学軸に対して平行になるように配向することを特徴とする波長板。
  6. 請求項3に記載の波長板において、
    入射する前記光の直線偏光の偏光面を回転させた直線偏光に変換して出射し、
    前記方位角θ1を22.5°、前記方位角θ2を67.5°とし、
    位相差δ1を196°、位相差δ2を196°とし、
    前記位相誤差a又は位相誤差bが正の値の場合は、前記第1の位相差補正素子又は前記第2の位相差補正素子の配向方向を、前記第1の位相差板又は前記第2の位相差板の光学軸と直交するように配向し、
    前記位相誤差a又は位相誤差bが負の値の場合は、前記第1の位相差補正素子又は前記第2の位相差補正素子の配向方向を、前記第1の位相差板又は前記第2の位相差板の光学軸に対して平行になるように配向することを特徴とする波長板。
  7. 請求項3に記載の波長板において、
    入射する前記光の直線偏光の偏光面を回転させた直線偏光に変換して出射し、
    前記方位角θ1を22.5°、前記方位角θ2を67.5°とし、
    位相差δ1を360°×N1+180°、位相差δ2を360°×N2とし(N1及びN2はそれぞれ1から始まる自然数)、
    前記位相誤差a又は位相誤差bが正の値の場合は、前記第1の位相差補正素子又は前記第2の位相差補正素子における液晶の配向方向を、前記第1の位相差板又は前記第2の位相差板の光学軸と直交するように配向し、
    前記位相誤差a又は位相誤差bが負の値の場合は、前記第1の位相差補正素子又は前記第2の位相差補正素子における液晶の配向方向を、前記第1の位相差板又は前記第2の位相差板の光学軸に対して平行になるように配向することを特徴とする波長板。
  8. 請求項3乃至7の何れか一項に記載の波長板において、
    前記波長λの光に対する前記第1の位相差補正素子の位相差が前記位相誤差aとなり、前記波長λに対する光に対する前記第2の位相差補正素子の位相差が前記位相誤差bとなるように、
    液晶の常光屈折率no、異常光屈折率ne、屈折率差Δn=(ne−no)としたとき、
    a=2Π/λ×Δn×T1(但し、T1は、第1の液晶素子の厚み)となるように、前記第1の電圧源により前記第1の液晶素子に電圧を印加して屈折率差Δnを可変し、
    b=2Π/λ×Δn×T2(但し、T2は、第2の液晶素子の厚み)となるように、前記第2の電圧源により前記第2の液晶素子に電圧を印加して屈折率差Δnを可変することを特徴とする波長板。
  9. 互いに略平行な光入射面及び光出射面を有し、前記光出射面に対して所定の傾斜角度を有した接合面によって接合された複数の透光性基板と、
    複数の前記透光性基板の接合面間に交互に設けられ、前記光入射面に入射した光束を偏光方向が互いに直交して異なる2種類の直線偏光光束に分離して一方の直線偏光光束を透過させ、他方の直線偏光光束を反射させる偏光分離手段と、
    反射された前記他方の直線偏光光束を反射し、光路の向きをかえる反射手段と、
    前記光出射面側に配置され、前記2種類の偏光光束のうち何れか一方の直線偏光光束の偏光面を回転させて他方の直線偏光光束の偏光面と平行な直線偏光光束に変換して出射する偏光回転素子と、を備え、
    前記偏光回転素子は、請求項1、2、3、4、6又は7に記載の波長板であることを特徴とする偏光変換素子。
  10. 請求項9に記載の偏光変換素子と、当該偏光変換素子及び光源からの光束を選択的に前記偏光分離膜に入射させるための遮光板と、を着脱可能に組み込むための治具と、を備えることを特徴とする偏光変換ユニット。
  11. 前記光源と、請求項10に記載の偏光変換ユニットと、前記偏光変換ユニットから出射された光を画像信号に基づいて変調する光変調手段と、前記光変調手段から射出された変調光を投写する投写光学系と、を備えることを特徴とする投写装置。
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