JP2012130512A - ガイディングカテーテル - Google Patents

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Abstract

【課題】治療デバイスの導入および回収のいずれか(好ましくは双方)において、よりスムーズな操作を可能とする手段を提供する。
【解決手段】本発明に係るガイディングカテーテル1は、基端側から先端側へ連通したルーメン12aを有する可撓性チューブ10と、前記可撓性チューブ10の先端部に非全周的に配置された、膨張−収縮可能な膨張部Bとを有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、カテーテル等の治療デバイスを用いた処置において、当該治療デバイスをガイドするのに用いられるガイディングカテーテルに関する。
従来、血管内に挿入・留置するカテーテルを介して、血管内に生じた狭窄部や閉塞部を拡張させたり、血管内に薬液や栄養液を注入したり、血液を採取して検査したり、血液を体外に循環させて血液を透析するなどの医療行為が広く行われている。
また、先にガイディングカテーテルを導入して血管内の所定部位に留置し、その中にマイクロカテーテルやバルーンカテーテルなどの治療デバイスを挿入して所定の治療を行うことが行われている。
ここで、例えば経皮的冠状動脈形成術(PTCA)は、脚または腕の動脈からガイディングカテーテルに沿って拡張カテーテルを挿入し、この拡張カテーテルを用いて冠動脈を拡張させることにより処置が行われる。そして、この際に用いられるガイディングカテーテルに、冠動脈の入口の血管形状に対応させるための湾曲部を形成する技術が知られている。
しかし、冠動脈の入口の血管形状に対応した湾曲部が形成されてなるガイディングカテーテルを用いた場合であっても、治療デバイスの導入時にガイディングカテーテルが移動してしまい、治療デバイスを所望の病変部位に送り込むことができないという問題があった。
かような問題を解決するための手段として、腹部大動脈の下流側の腸骨動脈以下の末梢動脈の治療に使用するガイディングカテーテルにおける技術ではあるが、可撓性チューブの先端部の末梢動脈部位に相当する位置に位置固定用のバルーン部材を設ける技術が提案されている(特許文献1を参照)。特許文献1に記載のガイディングカテーテルを用いて処置を行う際には、可撓性チューブを所望の末梢動脈まで挿入し、バルーン部材を拡張する。これにより、ガイディングカテーテルは血管内の所定位置に留置される。
ところで、特許文献1のガイディングカテーテルのようなバルーン部材を用いて当該カテーテルの位置固定を行うと、固定部位において血管が閉塞されてしまう可能性が高い。このように血管が閉塞された状態で治療デバイスの挿入やそれに続く処置を長時間行うことは、生体に対して危険であり、好ましくない。このことは、特に動脈(なかでも冠動脈)における処置において、特に顕著である。
ガイディングカテーテルにおける技術ではないものの、バルーンカテーテルのバルーンの拡張時における血管の閉塞を防止することを目的として、バルーンのカテーテル軸に対して垂直方向の断面形状が放射線状に複数の凸部を有するように構成する技術が提案されている(特許文献2を参照)。この技術によれば、カテーテルの留置部位における血管の閉塞が防止されうる。
特開2009−273641号公報(請求項1、図1、2、4、5) 特開平8−112351号公報(請求項1、図2)
ガイディングカテーテルを用いて処置を行う際、その中を通る治療デバイスを所望の位置に挿入するのが難しいことがある。例えば、ガイディングカテーテルの先端部の形状(屈曲度など)や進入位置によっては、ガイディングカテーテルの先端部を通過した治療デバイスが血管の屈曲部等に引っかかり、そこから先に進入していかないことがある。また、治療デバイスが血管の屈曲部等に引っ掛かった際に、ガイディングカテーテルの先端部に負荷が掛かってバックアップが取れず、ガイディングカテーテルが冠動脈等の入口から外れてしまうことがある。さらに、治療デバイスがその役割を果たした後には当該デバイスを回収する必要があるが、その際に治療デバイスの先端部が血管の屈曲部等に引っかかり、スムーズに回収できないこともある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、治療デバイスの導入および回収のいずれか(好ましくは双方)において、よりスムーズな操作を可能とする手段を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係るガイディングカテーテルは、基端側から先端側へ連通したルーメンを有する可撓性チューブと、前記可撓性チューブの先端部に非全周的に配置された、膨張−収縮可能な膨張部とを有する点に特徴がある。
本発明に係るガイディングカテーテルによれば、膨張−収縮可能な膨張部が可撓性チューブの先端部に非全周的に配置されているため、治療デバイスの導入および回収のいずれか(好ましくは双方)において、よりスムーズな操作が可能となる。
前記膨張部が、それぞれ独立して複数配置されていれば、治療デバイスの導入時にガイディングカテーテルによるバックアップを確実に取ることができる。
また、複数の前記膨張部が、前記可撓性チューブの周方向に等間隔に配置されていれば、治療デバイスの導入時にガイディングカテーテルによるバックアップを確実に取るという効果がより一層発現しうる。
ガイディングカテーテルが、前記可撓性チューブの基端部に配置された、前記膨張部の膨張−収縮を制御する膨張−収縮制御手段をさらに有するようにすれば、基端側に位置する術者が、簡便な手法によって膨張部の膨張−収縮を制御することが可能となる。
前記膨張部が、それぞれ独立して複数配置され、前記膨張−収縮制御手段が、複数の前記膨張部に対応するように複数配置されていれば、治療デバイスの導入および回収のいずれか(好ましくは双方)において、よりスムーズな操作が可能となる。
前記膨張部をバルーンから構成することで、本発明のガイディングカテーテルをより安価に製造することが可能となる。
少なくとも1つの前記膨張部の膨張時の断面形状において、最大膨張幅(W)に対する最大膨張長さ(L)の比の値(L/W)として定義される膨張アスペクト比が1以上であれば、治療デバイスの導入および回収のいずれか(好ましくは双方)において、よりスムーズな操作が可能となる。
ガイディングカテーテルが、基端側から先端側へ連通したルーメンを有する可撓性チューブと、前記可撓性チューブの先端部に、当該可撓性チューブの半径方向に突出可能なように配置された、突出部とを有するようにしても、上述したのと同様の作用効果を得ることが可能である。
図1は、本発明の第1実施形態に係るガイディングカテーテルの概略図である。 図2は、本発明の第1実施形態に係るガイディングカテーテルの先端部の、バルーンが膨張した状態における、チューブ本体の中心軸に沿った概略断面図である。 図3は、図2の3−3線に沿う概略断面図である。 図4は、図2の4−4線に沿う概略断面図である。 図5は、本発明の第2実施形態に係るガイディングカテーテルの先端部の、バルーンが膨張した状態における、チューブ本体の中心軸に垂直な概略断面図である。 図6は、本発明の第3実施形態に係るガイディングカテーテルの先端部の、チューブ本体の中心軸に沿った概略断面図である。 図7は、本発明の第3実施形態の変形例を示す、チューブ本体の中心軸に沿った概略断面図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るガイディングカテーテル1は、図1に示すように、チューブ本体10(可撓性チューブ)と、チューブ本体の先端部に設けられたバルーンB(膨張部)と、チューブ本体10の基端に固着されたハブ20とを有している。なお、チューブ本体10の長さは任意であり、ガイディングカテーテル1の用途に応じて、適宜設定されうる。さらに、チューブ本体10の形状についても特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。チューブ本体10は、例えば直線状であってもよいし、一部に屈曲部が設けられていてもよい。また、「先端」とは、使用の際に血管等の体腔の内部に挿入される側に位置する端部を意味し、「基端」とは、使用の際にガイディングカテーテル1を操作する術者側に位置する端部を意味する。
図2および図3に示すように、チューブ本体10は、内管12および外管14を備えている。そして、内管12は、基端側から先端側へと連通したマイクロカテーテルやバルーンカテーテル等の治療デバイスまたはガイドワイヤを挿通させるための挿通用ルーメン12a(ルーメン)を有している。これにより、ガイディングカテーテル1はオーバー・ザ・ワイヤタイプ(治療デバイスまたはガイドワイヤが基端側から先端側まで通る構造)とされている。一方、外管14は内部に内管12を挿通しており、チューブ本体10の先端側では、外管14の先端が内管12の先端よりやや後退した位置に設けられるように、外管14と内管12との間が接着剤または熱融着により封止されている。
内管12および外管14の構成材料としては、ある程度の可撓性を有する材料が好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、またはこれら2種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が用いられうる。
図2および図3に示すように、外管14の内面と内管12の外面とで規定される空間には、流通管16が挿通されている。一方、当該空間において、流通管16の外部は、充填材Fが充填されることにより封止されている。流通管16は、基端側から先端側へと連通した膨張用ルーメン16aを有している。この膨張用ルーメン16aは、バルーンBの膨張−収縮を制御するための作動流体を流通させるためのものであり、その先端がバルーンBの基端部と連通していることで、作動流体給排手段の一部を構成している。なお、作動流体は、ヘリウムガス、COガス、Oガス等の気体でもよいし、生理食塩水、造影剤等の液体でもよい。
ハブ20は、図1に示すように、膨張用ルーメン16aと連通したポート22を備えている。このポート22は、膨張用ルーメン16aを介した作動流体の供給・排出を制御することにより、作動流体給排手段として機能する。ハブ20の構成材料としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が用いられうる。
バルーンBは、袋状の膜体18からなり、膜体18の基端部は外管14の先端部と、膜体18の先端部は内管12の先端部と、それぞれ気密または液密に固着されている。バルーンBを構成する膜体18の構成材料としては、ある程度の可撓性を有する材料が好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、またはこれら2種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が用いられうる。
図2および図4に示すように、膜体18の内面と内管12の外面とによって膨張空間Sが規定され、当該膨張空間Sは、その基端部において膨張用ルーメン16aと連通している。なお、本実施形態において、バルーンBは、チューブ本体10の周方向に等間隔に、互いに独立して(つまり、膨張空間Sが空間的に隔離されるように)3つ設けられている。そして、膨張用ルーメン16aを有する流通管16もまた、3つのバルーンBのそれぞれと対応するように、チューブ本体10の周方向に等間隔に、互いに独立して3本設けられている。なお、図1〜図4で示される本実施形態のガイディングカテーテル1の構成は、本発明に係るガイディングカテーテルの一形態にすぎない。ここでは3つのバルーンBが互いに独立してチューブ本体10の周方向に等間隔に設けられる形態を例示したが、バルーンBが可撓性チューブの先端部に「非全周的に」設けられている限り、本発明の技術的範囲に包含されうる。例えば、チューブ本体10の先端部に配置されるバルーンBの数は3つでなくてもよいし、後述するように1つであってもよいし、2つであってもよいし、あるいは4つ以上であってもよい。また、複数のバルーンBが設けられる場合、その配置はチューブ本体10の周方向に等間隔でない間隔で設けられてもよい。なお、バルーンBが「非全周的に設けられる」とは、図4に示すように、バルーンBの膨張により規定される膨張空間Sの、チューブ本体10の中心軸に垂直な任意の断面において、内管12の外表面の少なくとも一部に膨張空間Sと接しない部位が存在することを意味する。
また、本実施形態では、独立して配置された3つの膨張部(バルーンB)に対して、それぞれ対応するように膨張−収縮制御手段としての膨張用ルーメン16aやポート22が設けられているが、かような形態のみには制限されない。複数の膨張部(バルーンB)が互いに独立して設けられる場合であっても、2つ以上(例えば、すべて)の膨張部(バルーンB)の膨張−収縮が、1つの膨張−収縮制御手段によって同時に制御されるように構成されていてもよい。ただし、本実施形態のようにそれぞれの膨張部の膨張−収縮が互いに独立して行われることで、治療デバイスの導入および回収のいずれか(好ましくは双方)において、よりスムーズな操作が可能となる。
さらに、膨張部としての構成もまた、バルーンBに限られたものではなく、バルーンBに代えて水膨潤性ゲル、pH応答性ゲル、熱応答性金属などを膨張部を構成するのに用いてもよい。
次に、血管(例えば、冠動脈)の狭窄部を治療する場合を例に挙げて、本実施形態に係るガイディングカテーテル1の作用を説明する。
まず、バルーンBおよび膨張用ルーメン16a内の空気を可能な限り抜き取り、バルーンBおよび膨張用ルーメン16a内を作動流体に置換しておく。この際、バルーンBは、折り畳まれた状態となっている。
術者は、予め生体内に挿入されたガイドワイヤをガイドとしてガイディングカテーテル1のチューブ本体10の先端部を生体の所定位置から挿入し、冠動脈の入口まで到達させる。ただし、可能であれば、ガイドワイヤをガイドとして用いることなく、同様の手技を行ってもよい。
ガイディングカテーテル1のチューブ本体10の先端部が冠動脈の入口に到達した後、ガイディングカテーテル1の挿通用ルーメン12aを通じてバルーンカテーテル等の治療デバイスを冠動脈の所望の位置に挿入させるが、この際、ガイディングカテーテルの先端部の形状(屈曲度など)や進入位置によっては、ガイディングカテーテルの先端部を通過した治療デバイスが血管の屈曲部等に引っかかり、そこから先に進入していかないことがある。このような場合には、必要に応じてチューブ本体10の基端部を周方向に回転させることによりチューブ本体10の先端部も同様に周方向に回転させてチューブ本体10の周方向の配置を確定した後、適宜選択された1つ以上のバルーンBを膨張させる。バルーンBを膨張させるには、1つ以上の所望のバルーンBに対して、ハブ20に設けられたポート22より、インデフレータ、シリンジ、ポンプ等を用いて作動流体を所定量供給し、膨張用ルーメン16aを通じて当該バルーンBの膨張空間Sに作動流体を送り込めばよい。そして、バルーンBを膨張させる過程において、バルーンBを血管壁の所望の位置に当接させるようにする。これにより、血管壁の当接部位から受ける反作用力によってチューブ本体10の先端部の向きが変わって、挿通用ルーメン12aが屈曲部等より先の血管に類似した方向を向くようになり、引っかかり等の箇所よりも先へと治療デバイスを進入させることができる。なお、膨張させるバルーンBは2つ以上であってもよく、また3つであってもよい(なお、図2および図4で示される断面図は、本実施形態において3つのバルーンBを完全に膨張させた状態に対応するものである)。また、2つ以上のバルーンBを膨張させる場合、それぞれのバルーンBに異なる量の作動流体を送り込むことにより、チューブ本体10の先端部の向きの変化量を調節してもよい。
また、バルーンBを膨張させることにより、ガイディングカテーテル1(チューブ本体10)の先端部を冠動脈の入口強固に固定(留置)することができ、ガイディングカテーテル1の先端部を通過した治療デバイスが血管の屈曲部等にさしかかった際に、ガイディングカテーテル1によるバックアップを確実に取ることができ、ガイディングカテーテルが冠動脈等の入口から外れてしまうことがない。したがって、治療デバイスの所望の位置への導入が確実に、かつ比較的強い力によって行われうる。なお、本実施形態によれば、すべてのバルーンBが完全に膨張した場合であっても、バルーンB同士の間には間隙が存在する。このため、血管の断面全体が閉塞されることがなく、血流が確保されるという利点もある。血管(特に動脈(なかでも冠動脈))が閉塞された状態で治療デバイスの挿入やそれに続く処置を長時間行うことは、生体に対して危険であり、好ましくないが、本実施形態ではこの危険性が回避されるため、治療上極めて有利である。
さらに、治療デバイスがその役割を果たした後には、当該デバイスを回収する。従来技術によれば、治療デバイスの回収時にも当該デバイスの先端部が血管の屈曲部等に引っかかり、スムーズに回収できないという問題があったが、本実施形態によれば、治療デバイスの回収時にも、その導入時と同様にして少なくとも1つのバルーンBを膨張させることで、治療デバイスの先端部の引っかかりを解消することができる。その結果、治療デバイスの回収もまた、スムーズに行われうるのである。なお、本実施形態によれば、膨張部としてのバルーンBが、チューブ本体10の周方向に等間隔に、それぞれ独立して複数配置されていることで、治療デバイスの導入時にガイディングカテーテル1によるバックアップを確実に取るという効果も得ることができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るガイディングカテーテル2は、バルーンBの形状およびその配置形態、並びにこれに対応した作動流体給排手段の構成が、第1実施形態に係るガイディングカテーテル1とは異なる。なお、それ以外の構成は、第1実施形態に係るガイディングカテーテル1と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する(以下同様)。
第2実施形態に係るガイディングカテーテル2のバルーンBは、第1実施形態のバルーンBと同様に、袋状の膜体18からなり、膜体18の基端部は外管14の先端部と、膜体18の先端部は内管12の先端部と、それぞれ気密または液密に固着されている。一方、バルーンBは1つのみ配置されてなる点で、チューブ10本体の周方向に等間隔に、互いに独立して3つ設けられている第1実施形態のバルーンBとは異なる。具体的には、図5に示すように、チューブ本体10を構成する内管12の外表面において、内管12の周方向の約80%が膨張空間Sと接するように設けられている。換言すれば、内管12の周方向の約20%に対応する内管12の外表面は、膨張空間Sと接することなく露出されている。ただし、かような形態のみには限られず、内管12の周方向の約80%未満または約80%超が膨張空間Sと接するように設けられていてもよいことはもちろんである。
第2実施形態に係るガイディングカテーテル2の使用時には、必要に応じてチューブ本体10の先端部を周方向に回転させてチューブ本体10の周方向の配置を確定した後、バルーンBを膨張させる。これにより、図5に示すように、バルーンBはチューブ本体10の中心軸に対して等方的にではなく、異方的に膨張する。この性質を利用することで、バルーンBが1つしか設けられていなくとも、第1実施形態のガイディングカテーテル1と同様に、バルーンBを膨張させる過程において、バルーンBを血管壁の所望の位置に当接させるようにし、血管壁の当接部位から受ける反作用力によってチューブ本体10の先端部の向きを変えることができる。その結果、治療デバイスの血管の所望の部位への進入をスムーズに行うことができる。
なお、上述した作用効果をより一層顕著に発揮させるという観点からは、バルーンBの膨張がより異方性をもったものであることが好ましい。これを定量的に表現すれば、バルーンBの膨張時の断面形状において、最大膨張幅(図5に示す幅W)に対する最大膨張長さ(図5に示す長さL)の比の値(L/W)として定義される膨張アスペクト比が1以上であるとよい。ここで、最大膨張長さ(L)とは、バルーンBの膨張時の、チューブ本体10の中心軸に垂直な任意の断面の形状における、チューブ本体10の中心軸とバルーンBを構成する膜体18の外表面上の任意の点との最大距離をいうものとする。また、最大膨張幅(W)とは、最大膨張長さ(L)に対応する線分に垂直な方向のバルーンBの膨張幅をいうものとする。
また、第2実施形態の作用効果として、治療デバイスの導入時にガイディングカテーテル1によるバックアップを確実に取ることができることや、使用後の治療デバイスの回収がスムーズに行われうることについても、上述した第1実施形態と同様である。さらに、第2実施形態においても、バルーンBの形状や配置形態を適宜調節することにより、ガイディングカテーテル1を血管の所定位置に固定する際の血流を確保することも可能である。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係るガイディングカテーテル3は、バルーンBのような膨張部を採用することなく、第1実施形態および第2実施形態に係るガイディングカテーテル(1,2)と同様の作用効果を発揮させることを企図するものである。ただし、チューブ本体10の中心軸から半径方向に特定の部材を拡張させて血管壁と接触させることで、血管壁から受ける反作用力によってチューブ本体10の向きを変えるという技術的思想は、第3実施形態を含めてすべての実施形態に共通している。すなわち、本明細書に開示されている実施形態(およびすべての変形例)は、単一の一般的発明概念を構成するものである。
具体的には、第3実施形態に係るガイディングカテーテル3は、図6に示すように、内管12の外表面と外管14の内表面とで規定される空間に、第1実施形態および第2実施形態における膨張用ルーメン16aを有する流通管16に代えて、ワイヤ挿通用ルーメン24aを有する挿通管24が配置されている。挿通管24の有するワイヤ挿通用ルーメン24aの先端側は、外管14の先端部近傍において外管14の外表面に開口している。
ワイヤ挿通用ルーメン24aの内部には、球状に加工されてなる先端部26aを有するワイヤ26が挿通されている。なお、ワイヤ挿通用ルーメン24aは、術者がワイヤ26の位置を移動させることができるように基端側にも開口している。そして、ワイヤ26は、先端部26aがワイヤ挿通用ルーメン24a内に収納されるように配置されている。
第3実施形態に係るガイディングカテーテル3の使用時には、第1実施形態や第2実施形態におけるバルーンBの膨張に代えて、ワイヤ26を基端側から押し込むことにより、ワイヤ26をワイヤ挿通用ルーメル24aの先端側の開口部から突出させる(図6に示す二点鎖線を参照)。これにより、バルーンBを用いなくとも、第1実施形態や第2実施形態のガイディングカテーテル1と同様に、ワイヤ26を突出させる過程において、ワイヤ26の先端部26aを血管壁の所望の位置に当接させるようにし、血管壁の当接部位から受ける反作用力によってチューブ本体10の先端部の向きを変えることができる。その結果、治療デバイスの血管の所望の部位への進入をスムーズに行うことができる。なお、ワイヤ26の先端部26aが球状に加工されていることによって、ワイヤ26と血管壁との接触時に血管壁が損傷を受ける危険性が低減されうる。
また、第3実施形態の作用効果として、使用後の治療デバイスの回収がスムーズに行われうることについても、上述した第1実施形態および第2実施形態と同様である。さらに、第3実施形態において、挿通管24およびワイヤ26を、第1実施形態の流通管16およびバルーンBと同様にそれぞれ独立して複数(例えば、3つ)設けることにより、治療デバイスの導入時にガイディングカテーテル1によるバックアップを確実に取るという効果も得ることができる。また、第3実施形態においては、バルーンBを採用していないことから、ガイディングカテーテル1を血管の所定位置に固定する際に血流が閉塞されてしまう心配はない。
第3実施形態の変形例として、図7に示す形態が挙げられる。図7に示す形態においては、ワイヤ26の先端側の形状が、ワイヤ挿通用ルーメン24aからその先端側の開口部に位置する屈曲部26bを経て外管14の先端部外表面に沿うように形成されている。
図7に示す形態のガイディングカテーテル3の使用時には、図6に示す形態とは異なり、ワイヤ26を基端側から引くことによって、ワイヤ26の先端部に設けられた屈曲部26bを屈曲が解消するように弾性変形させる。これにより、ワイヤ26がワイヤ挿通用ルーメル24aの先端側の開口部から突出するようにする(図7に示す二点鎖線を参照)。このようにして、図6に示す形態と同様の作用効果を得ることができる。
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。
1,2,3 ガイディングカテーテル、
10 チューブ本体(可撓性チューブ)、
12 内管、
12a 挿通用ルーメン(ルーメン)、
14 外管、
16 流通管、
16a 膨張用ルーメン(膨張−収縮制御手段)、
18 膜体、
20 ハブ、
22 ポート(膨張−収縮制御手段)、
24 挿通管、
24a ワイヤ挿通用ルーメン、
26 ワイヤ、
26a 先端部、
26b 屈曲部、
B バルーン(膨張部)、
F 充填材、
L 最大膨張長さ、
S 膨張空間、
W 最大膨張幅。

Claims (8)

  1. 基端側から先端側へ連通したルーメンを有する可撓性チューブと、
    前記可撓性チューブの先端部に非全周的に配置された、膨張−収縮可能な膨張部と、
    を有する、ガイディングカテーテル。
  2. 前記膨張部は、それぞれ独立して複数配置されてなる、請求項1に記載のガイディングカテーテル。
  3. 複数の前記膨張部は、前記可撓性チューブの周方向に等間隔に配置されてなる、請求項2に記載のガイディングカテーテル。
  4. 前記可撓性チューブの基端部に配置された、前記膨張部の膨張−収縮を制御する膨張−収縮制御手段をさらに有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガイディングカテーテル。
  5. 前記膨張部は、それぞれ独立して複数配置されてなり、前記膨張−収縮制御手段は、複数の前記膨張部のそれぞれに対応するように複数配置されてなる、請求項4に記載のガイディングカテーテル。
  6. 前記膨張部は、バルーンから構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガイディングカテーテル。
  7. 少なくとも1つの前記膨張部の膨張時の断面形状において、最大膨張幅(W)に対する最大膨張長さ(L)の比の値(L/W)として定義される膨張アスペクト比が1以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガイディングカテーテル。
  8. 基端側から先端側へ連通したルーメンを有する可撓性チューブと、
    前記可撓性チューブの先端部に、当該可撓性チューブの半径方向に突出可能なように配置された、突出部と、
    を有する、ガイディングカテーテル。
JP2010284972A 2010-12-21 2010-12-21 ガイディングカテーテル Pending JP2012130512A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101778463B1 (ko) 2016-09-13 2017-09-13 (의료)길의료재단 직장수술용 지지장치

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