JP2012125673A - 濁水処理システムおよび濁水処理方法 - Google Patents

濁水処理システムおよび濁水処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 薬剤を使用せず、濁水を処理することができ、脱水ケーキも再利用することができ、また、河川への放流のための水質汚濁に係る環境基準値以下のSS濃度の場合にのみ放流し、SSが高濃度の場合には放流しないように制御できるシステムを提供する。
【解決手段】 このシステムは、濁水に含まれる一部の粒子を捕捉し、捕捉された粒子からなる泥土が分離された第1処理水を送出する第1フィルタ22と、第1処理水中に残留する粒子を捕捉し、該残留する粒子が分離された第2処理水を排出する第2フィルタ27と、排出される第2処理水の濁度を計測するための濁度計測手段29と、計測された濁度が設定値を超える場合、河川等への第2処理水の放流を停止し、第1分離手段の前流側に戻すリターンライン30へ第2処理水の送出方向を切り替える切替手段31とを含む。
【選択図】 図2

Description

本発明は、凝集剤等の薬剤を一切使用することなく、工事濁水を処理することができる濁水処理システムおよび濁水処理方法に関する。
ダム工事やトンネル工事等で発生する工事濁水は、凝集沈殿方式による濁水処理装置やこの汚泥脱水装置を含む濁水処理設備により処理されている(例えば、特許文献1参照)。この工事濁水は、工事現場において発生する湧き水が土砂と混じり合って発生したり、掘削、ずり運搬、吹付けコンクリート、コンクリート打設、洗浄水等に伴い発生したりする。
ここで、図1に従来から用いられている濁水処理設備の一例を示す。工事濁水には、礫、砂、泥土が粒子として含まれる。このため、比較的大きい粒子径をもつ粒子を沈降させ、固液分離するために、まず、沈砂槽10へ供給される。沈砂槽10は、連続処理が可能なように一定量貯留し、比較的大きい粒子径を有する礫や砂を泥水と分離する。沈砂槽10では、礫や砂を自然に沈降させることにより礫や砂は底に集まり、上澄み液が泥水として分離される。
その後、上澄み液は、濁水処理装置11へ送られ、上澄み液のpH、濁度が計測される。セメント等のアルカリ成分の物質を含む場合、pHが高くなることから、濁水処理装置11へ流入する手前で炭酸ガス等の中和用ガスを注入し、液を中和する。その後、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄等の凝集剤が添加され、これにより、粒子径の小さい集合体が形成される。また、濁水処理装置11では、ポリアクリルアミド系の高分子凝集剤等が添加され、これにより、粒子径の小さい集合体が集められ、大きな集合体(フロック)が形成される。
濁水処理装置11は、フロックの沈降時間を確保するため、凝集沈殿槽(シックナー)12を備える。凝集沈殿槽12では、上記の2つの凝集剤が添加された上澄み液が、上層の上水と、下層の凝集されたフロックとに分離される。
上水は、凝集沈殿槽12からオーバーフローし、放流水槽13へ送られ、pH計でpHが、濁度計で濁度が計測され、予め求めておいた濁度と浮遊物質(SS)量との相関関係式により、計測された濁度をSS量へ換算し、放流基準を満たすpH値およびSS量であれば河川等に放流される。pH値またはSS量が放流基準を満たさない場合、破線で示されるように、沈砂槽10へ戻され、pHが調整される。
一方、凝集沈殿槽12に沈殿したフロックは、汚泥貯留槽14へ送られ、固液分離を容易にするために脱水剤等の薬剤が添加される。その後、フロックは、フィルタプレス等の汚泥脱水装置15へ送られ、圧縮ろ過されて脱水ろ液と脱水ケーキとに分離される。脱水ケーキは、脱水剤や凝集剤を含み、高含水となることもあるため、所定の強度が得られない場合もある。このため、一般的には再利用が困難であるため、産業廃棄物として処分される場合が一般的である。一方、脱水ろ液は、沈砂槽10へ戻される。
特開2007−307515号公報
濁水処理装置で処理された後の処理水は、pH値およびSS量を、河川への放流のための水質汚濁に係る環境基準値以下にして河川等に排水するのが一般的であるが、その処理の際、上記の凝集剤を使用するため、自然環境が豊かな河川等へ放流すると、河川等が汚染されてしまう。したがって、このような薬剤は使用しない方が好ましい。放流水中に薬剤が残留し、河川環境等への影響が懸念されるからである。
凝集剤を使用すると、フロックの沈降時間を確保する必要があることから、凝集沈殿槽12を設ける必要があり、その結果、濁水処理装置が大型化し、広い設置スペースが必要となり、装置コストが高くなるという問題があった。
また、脱水剤の使用も、その脱水剤が薬剤であるため、それが残留すると河川環境等への影響が懸念される。脱水剤を用いて脱水した脱水ケーキは、再利用が困難で、産業廃棄物として処分されることから、処分費用がかかる。
したがって、凝集剤や脱水剤等の薬剤を使用せず、濁水を処理することができ、脱水ケーキも再利用することができ、また、小型化して安価で提供することができ、容易にメンテナンスができるシステムや方法の提供が望まれていた。
そこで、フィルタを用いて土粒子を捕捉し分離することができるが、このフィルタのみでは、河川への放流のための水質汚濁に係る環境基準値(水域類型がAA、A、B型:25ppm)以下のSS濃度にすることは困難である。また、フィルタは次第に目詰まりしていくので、適宜洗浄が必要であるが、洗浄している間、高濃度のSSが一時的に放流される場合がありうる。このため、上記の環境基準値以下のSS濃度にして放流することができ、それを超える濃度になった場合に放流しないようにすることができるシステムや方法が望まれている。
本発明は、上記問題を解決するべく、濁水に含まれる一部の粒子を捕捉し、捕捉された粒子からなる泥土が分離された第1処理水を送出する第1分離手段と、第1処理水中に残留する粒子を捕捉し、該残留する粒子が分離された第2処理水を排出する第2分離手段と、排出される第2処理水の濁度を計測するための濁度計測手段と、計測された濁度が設定値、例えば上記の環境基準値以下である場合には河川等へ放流させ、設定値を超える場合は河川等への放流を停止し、上記第1分離手段の前流側に戻すリターンラインへ第2処理水の送出方向を切り替える切替手段とを備える構成を採用する。
第1分離手段は、一次処理として、流入する濁水に含まれる粒子を減少させるべく、その濁水に含まれる一部の粒子を捕捉し分離する。第1分離手段は、水を通過させ、その一部の粒子を捕捉するための複数の孔を有する。この第1分離手段として、例えば、天然ヤシ繊維フィルタを用いることができ、再利用不能になった後は、現場内で緑化基盤材等に有効利用することができる。
第2分離手段は、二次処理として、残留する粒子を捕捉し、SS濃度を、上記の環境基準値以下にして送出する。これら2つの分離手段により、凝集剤や脱水剤等の薬剤を使用せず、濁水を処理することができ、また、上記の泥土を回収し、脱水することで、脱水ケーキを得、その脱水ケーキを再利用することができる。
また、濁度計測手段で放流する第2処理水の濁度を計測し、切替手段により放流する処理水とリターンする処理水を切り替え制御することで、高濃度のSSが一時的に送出された場合であっても、河川等への放流を阻止することができ、自然環境へ影響が及ぶのを防止することができる。2つの分離手段としての2つのフィルタと、濁度計測手段としての濁度計と、切替手段としての2つの電磁弁とから構成することで、凝集沈殿槽を用いる必要がないので、小型化して安価で提供することができ、また、メンテナンスも容易となる。
第2分離手段としての第2フィルタは、第1処理水が放出される水平方向に対して傾斜させて配置される。このように傾斜させて配置する構成を採用することで、粒子による第2フィルタの目詰まりを防止することができる。また、第2フィルタとしては、高強度フィルタを採用することで、濁水の供給圧力を高めることができ、粒子の濃度が高い濁水の処理を実現することができる。高圧の濁水中の水は、第1分離手段を介して第2フィルタへ送られ、第2フィルタを通して水平方向へ放出され、第1処理水に含まれる粒子は、第2フィルタの下側に向いた面に捕捉され、連続的に放出される第1処理水によりその面に捕捉された粒子は剥離し、装置の下部に粒子からなる泥土が堆積する。
第2フィルタは、第1処理水中のSSを除去するが、第1処理水中にコロイドおよび粘土のような細かな土粒子分が多く混入していると、非常に細かな目幅のフィルタを選定する必要がある。しかし、フィルタの目幅を細かくすると、第1処理水中の粒子が時間の経過とともに圧密され、固結化されて、圧力上昇と目詰まりを発生させる。また、非常に細かな目幅のフィルタを使用すると一定の厚みがあるものの、軟らかいスクリーンが多く、SSを除去するためにブラッシングを行うと、擦り切れるおそれがある。
本発明では、第2フィルタを、そのフィルタの孔径より大きい孔径の複数の孔を有するベーススクリーンと、厚さ方向へV字状に打ち抜かれて形成された複数の孔を有するパンチングスクリーンとで挟み込んだものを採用することができる。このようにフィルタを挟み込む構成を採用することにより、フィルタの劣化を防止することができる。また、泥水は、パンチングスクリーンの複数の孔内へ集中して流れ、それらの孔内に略円錐状のSS塊を形成し、そのSS塊の第1処理水の流入側の断面が流出側の断面に比較して大きく、かつ傾斜して配置されることから、水流により容易に剥がれ、装置の下部に堆積させることができるので、フィルタ全面にSSが張り付くことをなくすことができる。これにより、凝集沈殿方法と同様な効果を期待できる。回収された泥土は、凝集剤等を一切使用していないため、産廃とはならず、現場内で有効利用することが可能である。
第2フィルタは、1つに限られるものではなく、水平方向に配列して複数設置することができ、複数設置した場合、そのフィルタに設けられる複数の孔の孔径を、第1処理水の流入側から順に小さくしていくことができる。このように複数のフィルタを設置することで、より確実に粒子を捕捉することができ、孔径を小さくしていくことで、より小さな粒径の粒子まで捕捉することができる。この場合も、上記のようなフィルタをベーススクリーンとパンチングスクリーンとで挟み込んだものを採用することができる。
また、第1分離手段により分離された粒子からなる泥土を受け入れる脱水容器を備え、その脱水容器内のガスを吸引することにより泥土に含まれる水分を除去する脱水装置をさらに含むことができる。
脱水装置は、脱水容器内の空気および水蒸気を吸引するために真空ポンプといったガス吸引手段を備えることができる。脱水容器内を吸引していくと、泥土に含まれる水分が気化し、それを吸引することにより泥土を乾燥させることができる。この乾燥を促進するために、マグネトロンや遠赤外線ヒータ等の加熱装置を採用することができる。また、脱水容器内へ圧縮ガスを送り、圧縮ガス中へ水分を気化させ、それを上記のガス吸引手段により吸引して乾燥を促進させることができ、そのために、空気圧縮機といった圧縮ガス供給手段を備えることができる。
脱水容器は、水平方向に対し傾斜させて配置され、泥土を上方から入れ、脱水容器内を滑らせ、下方から取り出すようにすることで、脱水容器内において泥土を搬送するための搬送手段を設ける必要がなくなる。
第2分離手段としての第2フィルタを洗浄する場合、水を噴射し、フィルタ表面に捕捉された粒子を剥離させて除去することができるが、その粒子を含む水は洗浄水として第1分離手段の前流側へ戻すことができる。
本発明では、このシステムを用いた濁水処理方法も提供することができる。この方法は、複数の孔を有する第1分離手段で、濁水に含まれる一部の粒子を捕捉し、捕捉された粒子からなる泥土が分離された第1処理水を第2分離手段へ送出する工程と、第1処理水が送出される水平方向に対して傾斜させて配置される第2分離手段の下側に向いた面に、該第1処理水中に残留する粒子を捕捉し、該残留する粒子が分離された第2処理水を排出する工程と、排出される第2処理水の濁度を計測する工程と、計測された濁度が設定値以下である場合には河川等へ放流させ、設定値を超える場合は河川等への放流を停止し、上記第1分離手段の前流側に戻すリターンラインへ第2処理水の送出方向を切り替える工程とを含む。
この方法は、濁水供給手段により濁水を第1分離手段へ供給する工程を含むことができ、また、上部に、第1処理水を受け入れるための入口ノズルおよび第1処理水中に残留する粒子が分離された後の第2処理水を排出するための出口ノズルと、底部に、分離された粒子を含む水を排出するための排出口とを備え、入口ノズルと出口ノズルとの間に第2分離手段が配置された1以上の分離容器の排出口から排出された泥水を第1分離手段の前流側へ戻す工程を含むことができる。
また、第1分離手段により捕捉され分離された泥土を搬送手段により搬送する工程と、泥土を受け入れる脱水容器を備え、その脱水容器内のガスを吸引する脱水装置により、泥土に含まれる水分を除去する工程をさらに含むことができる。
従来の濁水処理設備の構成を示した図。 本発明の濁水処理システムの構成を例示した図。 濁水処理システムに用いられる第2分離手段の1つの構成例を示した図。 濁水処理システムに用いられる第2分離手段の別の構成例を示した図。 濁水処理システムに用いられる第2分離手段のさらに別の構成例を示した図。 図5に示す第2分離手段に用いられるパンチングスクリーンを例示した図。 第2分離手段に付着したSS塊を除去する除去手段の1つの構成を示した図。 第2分離手段に付着したSS塊を除去する除去手段の別の構成を示した図。 濁水処理システムに用いられる脱水装置の1つの構成例を示した図。 図9に示す脱水装置の詳細を示した図。 脱水装置に用いられるガス吸引手段を例示した図。 脱水装置の別の構成例を示した図。
本発明の濁水処理システムは、自然環境に優しいシステムであり、ゼロエミッション化(廃棄物ゼロ)を実現するものである。図2は、濁水処理システムの1つの構成例を示した図である。図2に示すシステムは、1つの例であり、本発明はこれに限定されるものでないことは言うまでもない。
ダム工事やトンネル工事等においては、湧き水が発生し、この湧き水と掘削することにより発生する土砂とが混じり合い、また、掘削、ずり運搬、吹付けコンクリート、コンクリート打設、洗浄水等に伴い、濁水が発生する。この濁水には、コンクリート吹き付け等によりセメント材料の一部等も含まれるが、その多くは土砂である。濁水処理システムを連続運転するために、濁水は一度、図示しない原水槽へ貯留される。この原水槽への貯留により、比較的粒子径の大きい礫や砂は沈殿し、分離される。
粒子径の小さい土粒子は、水とともに濁水を構成して図2に示すシステム内へ供給される。濁水処理システムは、高圧ポンプといった濁水供給手段20を備え、濁水供給手段20により濁水を圧送する。濁水供給手段20により圧送される濁水は、配管21を通り、第1分離手段としての第1フィルタ22へ供給される。配管21は、後述する2つのリターンラインが接続される。
なお、濁水をシステム内へ供給する際、必要に応じてpHを調整することができる。ダム工事やトンネル工事において発生する濁水は、ほぼ中性であるか、アルカリ性を呈することが多い。アルカリ性を呈する場合、炭酸ガスを注入し、液を中和することができる。一般排水基準値のpH値は5.8〜8.6であるから、この範囲に入るように、炭酸ガスを注入することができる。中和剤としては、炭酸ガスのほか、希硫酸を用いることができる。
第1分離手段としての第1フィルタ22は、水を通過させ、濁水に含まれる粒子を捕捉するための複数の孔を有し、例えば、天然ヤシ繊維フィルタを用いることができる。このヤシ繊維フィルタは、例えば、約3000ppmの粒子が含まれる濁水からその粒子を捕捉して分離し、500〜1000ppm程度の粒子濃度の処理水である第1処理水を後流側の分離容器23の入口ノズル24へ送出する。ヤシ繊維フィルタは、表面に付着した粒子からなる泥土を取り除き、再使用することができるが、使用に伴ってフィルタとしての機能が低下していく。そして、最終的には再利用不能になるが、このヤシ繊維は、現場内で緑化基盤材等に有効利用することができるので、産廃になることはない。
ヤシ繊維フィルタに捕捉された粒子がある程度蓄積されたところで、そのフィルタが取り出され、その表面に付着した粒子からなる泥土は取り除かれ、後述する搬送手段により脱水装置へ搬送される。脱水装置では、その搬送された泥土を、再利用のために脱水する。
ヤシ繊維フィルタは、例えば、100%天然ヤシ繊維を円筒状に形成し、同じ天然ヤシ繊維からなるネットで包んで作製されたものとされ、濁水中の土粒子を吸着し、濁水を濾過することができる。このフィルタは、濁度の平均低減率が約45%と高い濾過性能を有し、一般に水と土砂とを分離するために用いられる沈砂池に比較して約30〜50%の省スペース化を図ることができる。
このフィルタへの通水は、円筒状のフィルタの長手方向と通水方向が同じになるように配置し、その長手方向へ向けて行うこともできるし、図2に示すようにフィルタの長手方向と通水方向が垂直となるように配置し、フィルタ側面の水平方向の一方の側から他方の側へ向けて行うことができる。この図2では、3本の円筒状のフィルタが互いに隣接して設置されているのが示されている。
また、通水は、フィルタ側面の鉛直方向の下側から上側へ向けて行うこともできる。このように鉛直方向への通水は、フィルタ下面に捕捉された土粒子が自然沈降するので、フィルタの目詰まりを低減し、その結果、フィルタの交換頻度が減少する事ができる点で好ましい。この場合、第1フィルタ22の構成は、ヤシ繊維フィルタを容器の中央部分に複数本配置し、その下部へ濁水を供給し、その濁水がヤシ繊維フィルタを上部方向へ濾過しつつ移動する構成とすることができる。しかしながら、濁水の供給速度が低下することから、第1フィルタ22を出た第1処理水を、次の分離容器23へ供給する際、ポンプ等により圧送することが望ましい。
分離容器23は、FRP等のプラスチック樹脂や、炭素鋼あるいはステンレス鋼等の金属材料から製造され、第1処理水を受け入れる入口ノズル24のほか、処理された第2処理水を排出するための出口ノズル25と、第2フィルタ27により捕捉され分離された粒子(主に土粒子)を含む排水を排出するための排出口26とを備えている。分離容器23の形状は、中空円筒と、その下側に頂点を下にした中空円錐状のものとが合体した形状とされている。入口ノズル24と出口ノズル25は、上部の円筒部分の曲面に、対向して配設され、排出口26は、円錐状のものの頂点部分に設けられている。このように下側を円錐状のものとしたのは、分離された粒子を、洗浄水で洗浄したときに容易に1箇所に集めることができるからである。排水口26から排出される、集められた粒子と洗浄水とを含む排水は、リターンラインを通して第1フィルタ22の前流側へ戻され、再び第1フィルタ22によりその中に含まれる粒子が捕捉、分離される。
また、分離容器23内には、入口ノズル24と出口ノズル25との間に、複数の孔を有する板状部材から構成される第2分離手段としての第2フィルタ27が、入口ノズル24から放出される第1処理水の送出方向に対し傾斜させて配置されている。第1処理水の送出方向は、地面に対して略水平方向であり、その水平方向に対し、下方に約45°傾斜させて配置されている。
図2では、この分離容器23が、水平方向に3つ設けられ、隣り合う分離容器の出口ノズルと入口ノズルとをフランジ接続することにより連結されている。また、各分離容器23の排出口26には、弁28が設けられ、ある程度の粒子からなる泥土を含む排水が貯留したところで弁28を開き、排出することができるようになっている。
1つの分離容器23の入口ノズル24へ供給された第1処理水は、例えば0.5〜2MPaといった高圧であり、ほぼ直進的に放出され、直進的に進む。したがって、その分離容器のフィルタおよび出口ノズル、隣り合う分離容器の入口ノズルおよびフィルタおよび出口ノズル、さらに隣り合う分離容器の入口ノズルおよびフィルタおよび出口ノズルを通り、第2処理水として排出される。
その間、第1処理水中に残留する粒子は、各分離容器23内に配設される第2フィルタ27に捕捉される。ここでの粒子は、主に土粒子であり、土粒子はその表面が水により覆われているため、土粒子同士が水を介在させてくっつき、ある程度の数の土粒子が集まって1つの集合体を形成する。しかしながら、この集合体は、傾斜した第2フィルタ27の下側に向いた面に形成されるため、連続して放出される第1処理水により容易に剥がれ落ち、分離容器23の底部へ向けて落下し、その途中、分離容器23の円錐状とされた内壁面を滑り落ち、その頂点部分に集められる。これを繰り返すことにより、泥土として分離容器23の底部に堆積する。このとき、一部の水も分離容器23の底に貯留し、洗浄の際、洗浄水も貯留し、泥土を含む排水を構成する。
このように第2フィルタ27は、傾斜させて配置されるため、水を適切に通すことができ、粒子が付着したとしても容易に剥がれ落ちるので、粒子による目詰まりを防止することができる。また、後述する高強度フィルタを採用することで、濁水(ポンプで圧送する場合には第1処理水)の供給圧力を高めることができる。
第2フィルタ27の傾斜は、30°〜60°程度とすることができるが、図2に示すように45°が好ましい。傾斜角度が30°より小さくなると、水が第2フィルタ27を通りにくくなり、粒子の捕捉も困難になる。一方、傾斜角度が60°より大きくなると、粒子を捕捉するための面が第1処理水の放出口である入口ノズル24に向いた状態となるため、粒子を捕捉することができるにしても、連続的に供給される第1処理水によりその粒子が孔内へ押し込まれ、目詰まりを起こしてしまうからである。
また、分離容器23は、その頂部に、開閉可能な蓋を備えており、第2フィルタ27のメンテナンスを行うことができるようになっている。このため、第2フィルタ27は、取り外し可能とされ、必要に応じてこのシステムの外部において簡易に洗浄するように構成されていてもよい。
第2フィルタ27は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂材料から製造される樹脂フィルタを用いることが可能であるが、セラミックスや窒化ケイ素セラミックス等から製造されるセラミックフィルタ、チタンやステンレス鋼等の金属材料から製造される金属フィルタ等の高強度フィルタが好ましい。この高強度フィルタを採用することで、さらに濁水の供給圧力を高めることができるため、粒子の濃度が高い濁水の処理を実現することができる。第2フィルタ27は、上記の樹脂フィルタと高強度フィルタといったように、フィルタを組み合わせて使用することも可能である。
土質材料は、粘土、シルト、細砂、中砂、粗砂、細礫、中礫、粗礫に分けることができ、粗粒分である細砂、中砂、粗砂、細礫、中礫、粗礫は、原水槽にて沈殿し、分離される。したがって、原水槽から濁水処理システムへ供給される濁水中には、粘土およびシルトが主成分として含まれる。粘土は、粒径が0.001mm〜0.005mm未満のものをいい、シルトは、粒径が0.005mm〜0.075mmの範囲のものをいう。
第2フィルタ27は、複数の孔を有する板状部材とされ、その孔数および孔径は、放流基準に応じて適切なものを採用することができる。第2フィルタ27は、高強度のものが好ましいことから板状部材が好ましいが、網状に形成された布状物であってもよいものである。具体的には、上記の粘土やシルトを捕捉することができる複数の細孔を有する細目スクリーンを挙げることができる。
図2に示す実施形態では、第2フィルタ27が水平方向に3つ配置されているが、分離容器23を1つもしくは2つ、または4つ以上とし、第2フィルタ27を1つもしくは2つ、または4以上としてもよい。第2フィルタ27の孔径は、配置する複数のフィルタのすべてにつき、同じ孔径のものを採用することができる。しかしながら、第1処理水中の粒子の小さいものまで確実に捕捉するために、すべてにつき、小さく同じ径のフィルタを採用すると、第1処理水の流入側にあるフィルタでほとんどの粒子が捕捉され、そのフィルタが目詰まりを起こしやすくなり、後流側へ水が通らなくなってしまう場合がありうる。このため、複数のフィルタを配置する場合、互いに異なる孔径のフィルタを採用することができ、また、第1処理水中の粒子の径に応じて分離することができるように、第1処理水の流入側から順に孔径が小さくなるように配置することができる。
第2フィルタ27は、具体的には、図3に示すような構成とすることができる。なお、図3は、分離容器23の蓋を開き、上から見た図である。分離容器23の内部には、第2フィルタ27を傾斜させて差し込むことができる片側につき2枚の板から構成されるガイド23aが対向して設けられ、そのガイド23aに差し込むことにより設置することができる。第2フィルタ27は、分離容器23の内部を、入口ノズルおよび底部がある領域と出口ノズルがある領域の2つに分離し、中央部分に円形で、水が通過可能な複数の孔を有するフィルタ部27aと、分離容器23の内部を分離し、フィルタ部27aを通して以外、第1処理水を通過させないように遮蔽する遮蔽部27bとから構成される。
フィルタ部27aは、円形の薄板状のものに限られるものではなく、矩形等であってもよい。遮蔽部27bは、略台形の薄板の中央部分を円形にくり抜いて形成され、フィルタ部27aを通過した水が、入口ノズルおよび底部がある領域へ逆流しないように、ガイド23aに挿嵌される。
また、第2フィルタ27は、図4に示すような構成にすることもできる。図4も、分離容器23の蓋を開き、上から見た図である。図4に示す第2フィルタ27は、矩形で、水が通過可能な複数の孔を有するフィルタ部27aと、分離容器23の内部を分離し、フィルタ部27aを通して以外、第1処理水を通過させないように遮蔽する遮蔽部27bとから構成されるが、遮蔽部27bが、内部が中空とされ、一端と他端とに開口を有し、出口ノズルに取り外し可能に接続される一端から他端へ向けて拡張された構造とされ、他端の開口を覆うように、ゴムパッキン等のシール材を介してフィルタ部27aが連結されている。
図4に示す構成では、他端の開口を覆うようにゴムパッキンを介してフィルタ部27aが連結され、一端が出口ノズルと接続されるため、遮蔽部27bの内部へ流れた水が、入口ノズルおよび底部がある側へ逆流するのを防止し、適切に次の分離容器23へ、あるいは第2処理水として排出することができる。このように、水が逆流し、底部に堆積する泥土へと流れるのを防止することで、泥土の脱水が容易になる。
また、一端と出口ノズルとが、ボルトおよびナットによりフランジ接続される場合、ボルトおよびナットを外すことで、容易に第2フィルタ27を取り外すことができ、このシステムの外部において、遮蔽部27bからフィルタ部27aを取り外し、フィルタ部27aを洗浄することができる。
この構成では、ガイド23aが存在しないので、フィルタ部27aの面積を大きくとることができる。また、一端の開口の高さ位置を、他端の開口の高さ位置より低くし、遮蔽部27b内に傾斜を設けることにより、遮蔽部27bの内部へ流れた水が、入口ノズルおよび底部がある側へ逆流するのを確実に防止することができる。
第2フィルタ27は、第1処理水中のSSを除去するが、近年では、浄化目的でコロイド分の除去も進められており、コロイド分が微粒子であることから、フィルタの目が細かくなってきている。このため、第2フィルタ27を通過する水の流量は低下し、目詰まりが起こりやすくなる。コロイド分は、目の細かいフィルタに張り付き、時間の経過とともに圧密され、固結化されて、圧力上昇と目詰まりを発生させるからである。第2フィルタ27として上記の細目スクリーンを採用することができるが、この細目スクリーンの場合、一定の厚みがあるものの、軟らかいスクリーンが多く、SSを除去するためにブラッシングを行うと、擦り切れるおそれがある。
このため、第2分離手段として、図5に示すように、第2フィルタ27を、第2フィルタ27の孔径より大きい孔径の複数の孔を有するベーススクリーン40と、プレス加工により厚さ方向へV字状に打ち抜かれて形成された複数の孔を有するパンチングスクリーン41とで挟み込んだものを採用することができる。このように両側から複数の孔を有する補強部材で挟み込んで補強する構成を採用することにより、第2フィルタ27の劣化を防止することができる。また、上記の構造を有するパンチングスクリーン41を採用することで、第1処理水は、パンチングスクリーン41の複数の孔41a内へ集中して流れ、SS塊42が、それらの孔41a内に形成されるものの、その孔41aが、第1処理水の流入側の断面が流出側の断面に比較して大きく、その流入側が流出側より下方に位置する構造であることから、流入側へ滑り落ちやすく、また、水流により容易に剥がれ、分離容器23の下部に堆積させることができる。これにより、第2フィルタ27の全面にSSが張り付くことをなくすことができ、凝集沈殿方法と同様な効果を期待できる。
パンチングスクリーン41は、図6に示すように、一定間隔でプレス加工により円形に打ち抜かれた複数の孔41aを有し、その孔41aは、図5にも示すように、その厚さ方向へ行くにつれて孔径が小さくなるように形成されている。また、パンチングスクリーン41は、網目状のものではなく、一定の厚さを有しているので、その強度も高く、高圧で放出される第1処理水にも変形することなく充分に耐えうるものである。パンチングスクリーン41は、ベーススクリーン40とともに、第2フィルタ27を挟み込むように設けられ、第1処理水が放出される水平方向に対し、傾斜させて配置されるため、第1処理水の水圧を第2フィルタ27が直接受けることはなく、これにより、第2フィルタ27の劣化を防止している。
この構成を採用することにより、SS塊42が容易に剥がれおちることから、パンチングスクリーン41の表面を洗浄する必要はないが、パンチングスクリーン41の複数の孔41a内に強く付着している場合、水流だけでは除去することができない場合がある。このため、図7に示すように、パンチングスクリーン41の表面にブラシ43を接触させ、ブラシ43を揺動もしくは往復動させることにより、パンチングスクリーン41の複数の孔41a内に形成されたSS塊42を除去することができる。ブラシ43には、動力手段としてのモータ44が取り付けられ、モータ44の回転数を制御することによりブラシ43の揺動もしくは往復動の速度を調節することができる。したがって、洗浄手段としてのブラシ43と、動力手段としてのモータ44とからなる除去手段を備えることができる。このモータ44は、放出される第1処理水と接触する可能性があることから、耐水圧型水中モータを採用することができる。
そのほか、除去手段としては、図8に示すように、パンチングスクリーン41の表面に向けて配設されるノズル45と、ノズル45を接続し、高圧の水を噴射させる高圧洗浄機46とから構成されるものを用いることも可能である。ノズル45は、一定方向に回転させることができるようになっていて、高圧洗浄機46は、水を加圧してノズル45へと供給し、ノズル45から高圧水を回転させつつ噴射させることができる。このように高圧水を回転させつつ噴射することで、パンチングスクリーン41の複数の孔41a内に形成されたSS塊42を充分に除去することができる。高圧洗浄機46のほか、空気圧縮機を設けることもでき、パンチングスクリーン41の下方から圧縮空気を噴射させ、SS塊42を除去することも可能である。また、これらを併用し、圧縮空気と、高圧水とによりSS塊42を充分かつ効率的に除去することも可能である。
再び図2を参照して、本発明の濁水処理システムは、さらに、分離容器23から排出される水の濁度を計測するための濁度計測手段29と、計測された濁度が設定値以下である場合には河川等へ放流させ、設定値を超える場合は河川等への放流を停止し、第1フィルタ22の前流側に戻すリターンライン30へ送出方向を切り替える切替手段31とを備える。第2フィルタ27を洗浄している間、高濃度のSSが一時的に放流される場合がありうる。このため、これにより、設定値以下の濁度の水のみを処理水として河川等に放流することができ、自然環境へ影響が及ぶのを防止することができる。
濁度計測手段29としては、濁度計を用いることができ、切替手段31としては、河川等への放流側とリターンライン30とに設けられる電磁弁とすることができる。これらの電磁弁は、濁度計と電気的に接続される制御回路を備えており、この制御回路は、濁度計により計測される濁度を取得し、これを予め設定されている設定値と比較し、設定値以下の場合は処理水として河川等へ放流する側の電磁弁を開き、リターンライン30側の電磁弁は閉じるように制御する。これに対し、設定値を超える場合は放流することはできないと判断し、リターンライン30側放流する側の電磁弁を開き、放流する側の電磁弁は閉じるように制御する。
第2フィルタ27により処理水中のSS濃度が25ppm以下となれば、河川へ放流することができる。この25ppmは、SSの河川への放流のための水質汚濁に係る環境基準値である。このため、上記の設定値を25ppmとし、濁度計でSS濃度が25ppm以下である場合には放流する側の電磁弁を開き、河川等へ放流することができ、25ppmを超える場合はリターンライン30側の電磁弁を開き、河川等へ放流する側の電磁弁を閉じて、その処理水を第1フィルタ22の前流側へ戻し、再び第1フィルタ22および第2フィルタ27によりSSを捕捉し、分離することができる。なお、設定値は、上記の25ppmに限定されるものではなく、任意に設定することができるものである。したがって、湖沼へ放流する場合は、その環境基準値に対応し、1ppm(水域類型がAA型)や5ppm(水域類型がA、B型)といった値を設定することも可能である。
第1フィルタ22により捕捉され、濁水から分離された粒子は、それが多数集まって泥土を形成し、形成された泥土は、例えば、図9に示すような、コンベアといった搬送手段50により脱水装置へと送られる。搬送手段50としては、スクリューフィーダー等を用いることができる。
搬送手段50により搬送された泥土は、水分を多く含み、埋め立てや地盤改良等に再利用するにはその含水率が高い。したがって、再利用するためには、泥土を脱水しなければならない。
脱水するための装置として脱水装置が挙げられるが、1つの実施形態として、脱水装置を、脱水容器51と、空気圧縮機といった圧縮ガス供給手段52と、真空ポンプといったガス吸引手段53とから構成することができる。
脱水容器51は、中空円筒状の容器とされ、その両端に開閉可能な蓋51a、51bが設けられている。脱水容器51は、水平方向に対し傾斜させて配置され、搬送手段50により搬送された泥土が落下し、脱水容器51内へ受け入れる。このとき、蓋51aは開かれ、蓋51bは閉じられる。
所定の量の泥土が入れられたところで、蓋51aを閉じ、圧縮ガス供給手段52により圧縮ガスを供給し、脱水容器51内の泥土をブローする。これにより、脱水容器51内は加圧されることになるため、脱水容器51は、耐圧性を有するものとされ、密閉性が良好なものとされる。このため、本体は、所定の厚さを有する炭素鋼やステンレス鋼等の金属から製造される中空円筒状のものとされ、蓋51a、51bも同様の金属から製造される円形の蓋とされ、その蓋には、密閉性を良好にするためにゴムパッキン等が設けられる。
圧縮ガス供給手段52が空気圧縮機である場合、圧縮された空気は高温となり、この高温の圧縮空気が脱水容器51内へ供給される。すると、泥土に含まれる水分は、高温の空気によって蒸発し始め、また、内部の圧力が上昇することにより粒子間に介在する水分が押し出される。
押し出された水分は、脱水容器51の傾斜した底面に沿って下方へ流れ、脱水容器51の下方に設けられた排水口54から適宜抜き出される。排水口54から抜き出された水分は、原水槽に戻すことができる。
空気圧縮機を停止した後、真空ポンプを起動し、真空ポンプによって空気を吸引するとともに蒸発した水分も吸引する。脱水容器51内を減圧すると、泥土に含まれる水分が気化して水蒸気となり、その水蒸気が吸引されて除去され、その分の減容化が図られる。内部にある泥土は、水分の除去によりその容積が減少する。
このようにして脱水された泥土は、傾斜した脱水容器51の蓋51bを開くことにより自然落下し、薬剤を含まないので地盤改良等に再利用することができる。なお、脱水された泥土は、容積および質量が減少するため、搬送が容易となる。
圧縮ガスは、高圧窒素、高圧酸素や高圧炭酸ガス等であってもよいが、漏洩した場合の安全性を考慮すると、圧縮空気が好ましく、泥土に含まれる水分を除去する点において乾燥空気が好ましい。なお、高圧窒素、高圧酸素、高圧炭酸ガス等を供給する場合、ボンベやカードル等により供給することができる。
図2では、濁水処理システムとして、濁水供給手段20と、第1フィルタ22と、分離容器23と、第2フィルタ27と、濁度計測手段29と、リターンライン30と、切替手段31とを備える構成としたが、所定圧力で濁水が供給されるのであれば、濁水供給手段20は備えていなくてもよい。また、第2フィルタ27により適切に処理水と泥土とに分離できれば分離容器23も備えていなくてもよい。したがって、本発明の濁水処理システムは、第1フィルタ22と、第2フィルタ27と、濁度計測手段29と、リターンライン30と、切替手段31とから構成するものであってもよいものである。
濁水処理システムは、さらに、搬送手段50と、脱水装置とを備えることができ、脱水装置は、脱水容器51と、圧縮ガス供給手段52と、ガス吸引手段53とを備えることができる。しかしながら、ガス吸引手段53により、泥土に含まれる水分を気化させ、水蒸気として吸引することができるため、脱水装置は、圧縮ガス供給手段52を備えていなくてもよい。
脱水装置は、脱水容器51内にろ布を備える構成にすることもできる。例えば、脱水装置は、図10に示すようなろ布からなる袋60を脱水容器51の中に備えることができる。この場合、その袋60の中に泥土61を入れ、その袋60の上に、下部に水分の排水が可能となるように隙間を設けた図示しない不透水製シートをかぶせ、または、その不透水製シートからなる袋で覆い、袋60の口を排水口54の方へ向けて配置し、蓋51a、51bを閉じ、圧縮ガス供給手段52を起動させて圧縮ガスを供給し、脱水容器51内を加圧する。ろ布は、泥土61の表面の水分を吸収し、また、不透水製シートは、脱水容器51内が加圧されることにより、周囲のガスによって内側に押し込まれ、それが押し込まれることにより袋60を内側へ押し込み、さらに内部にある泥土61を圧縮し、泥土61に含まれる水分を絞り出す。絞り出された水は、排水口54へと流れ、適宜排出される。
その後、圧縮ガス供給手段52を停止させ、ガス吸引手段53により脱水容器51内のガスを、ガス中に蒸気として存在する水分とともに吸引する。このとき、ろ布に吸収された水分も吸い取られる。脱水容器51内を減圧すると、このようにして水分が除去され、その分の減容化が図れるため、内部にある泥土61もその容積が減少する。
上記では、袋60の中に泥土を入れて圧縮および減圧して脱水する構成について説明したが、泥土61上を単にろ布および不透水製シートで覆った構成にすることもできる。この場合は、ろ布が、泥土61の表面の水分を吸収するとともに、脱水容器51内を加圧することにより、不透水製シートが内側へ押し込まれ、それが押し込まれることによりろ布を内側へ押し込み、さらに内部にある泥土61を圧縮し、泥土61に含まれる水分を絞り出すことができる。
真空ポンプによる気化乾燥では、使用される真空ポンプがオイル粘性を用いて負圧化している。この場合、気化する際、水蒸気がオイルに混合され、真空ポンプがキャビテーションを発生し、故障の原因となる。このため、一度サンプルを凍結して固体化し、直接気化させて乾燥するドライフリージングが一般的に採用される。しかしながら、凍結にコストおよび時間がかかることから、この方法は、現状において食品等に限定されている。また、真空釜乾燥により常温で乾燥する方法も知られているが、これでは乾燥するのに1日半以上もかかる。さらに、真空釜を利用し、水蒸気乾燥を行う方法では、釜のボリュームに対し試料が多い場合、結露が発生するという問題がある。
このため、真空ポンプを、オイル式から図11に示すような水封式のエルモ型ポンプにすることができる。エルモ型ポンプは、ケーシング70が円形とされていて、水が封入されたケーシング70内でインペラ71を回転させ、水面と回転子間にて圧力変化を持たせ、主にガスを吸引するポンプである。このポンプは、水蒸気を吸引することができるため、脱水装置に適用することで、ドライフリージングのように昇華で気化させるために凍結する必要はなく、コストダウンと時間を短縮することができる。
早期乾燥と結露を防止するために、脱水容器51内の泥土を加熱することができる。真空状態では熱を伝える物質が存在しないことから、図12に示すように、脱水容器51内に、マグネトロンによる電磁波や遠赤外線を利用して加熱する加熱手段80を設けることができる。また、上記の加熱手段80ではなく、脱水容器51内に伝熱ヒータを設けたり、脱水容器51の外部にジェットヒータを設け、脱水容器51内へジェットヒータからの熱風を供給して、脱水容器51内を予め所定温度に加熱しておいてから、ガス吸引手段53である真空ポンプで吸引することも可能である。
真空ポンプにより真空気化を行い、水蒸気を吸引する場合、泥土61から水蒸気が発生するが、脱水容器51は、密閉されているため、泥土61に水分が多く含まれている場合、脱水容器51内に結露が発生し、水が溜まることが多い。このため、上記の圧縮ガス供給手段52により脱水容器51内に圧縮ガスを噴射し、圧縮ガスの噴射と、ガス吸引手段53による吸引とを繰り返し、脱水容器51の内部に存在する水蒸気を除去することができる。なお、脱水容器51は、ガス吸引手段53を使用して、あるいはガス吸引手段53と加熱手段80もしくはヒータまたは圧縮ガス供給手段52を併用して、さらにはガス吸引手段53と加熱手段80もしくはヒータと圧縮ガス供給手段52のすべてを併用して適切に水分を除去し、泥土を乾燥させることができれば、図10に示すように傾斜させて設置する必要はなく、図12に示すように、脱水容器51の長手方向を水平にして設置することも可能である。
ここで、濁水処理システムを用いた濁水処理方法について簡単に説明する。供給される濁水に含まれる粒子を、まず、複数の孔を有する第1フィルタ22で分離する。粒子は、複数の孔を通さないため、第1フィルタ22の表面で捕捉され、粒子径の小さいもののみが水とともに通過する。次に、複数の孔を有する板状部材から構成され、水平方向に対して傾斜させて配置される第2フィルタ27に向けて、第1フィルタ22から排出された第1処理水を送出すると、第2フィルタ27は複数の孔を有するため、水は孔を通して水平方向へ放出され、第1処理水に含まれる土粒子は孔を通らないため、第2フィルタ27の下側に向いた面に捕捉される。土粒子は、その面に連続的に捕捉されるが、連続して供給される第1処理水により容易に剥がれ落ち、第2フィルタ27の下方にその粒子を含む排水が貯留する。
第2フィルタ27を通過し、分離容器23から排出された第2処理水の濁度を濁度計測手段29により計測する。計測された濁度が設定値を超える場合、切替手段31により処理水の放流を停止し、第1フィルタ22の前流側に戻すリターンライン30へ送出方向を切り替える。これにより、設定値よりSS濃度が高い場合に河川等へ放流されることを防止し、自然環境へ影響を及ぼすことを防止することができる。なお、SS濃度が高い処理水は、リターンライン30を通して第1フィルタ22の前流側へ供給され、濁水供給手段20により供給される濁水とともに第1フィルタ22へ導入される。
第1フィルタ22で分離された泥土を脱水容器51内に入れ、蓋をして密閉した後、図9に示す実施形態では、脱水容器51内に圧縮ガスを供給し、圧縮ガス中へ水分を蒸発させるとともに、泥土中の土粒子間に介在する水分を押し出して脱水し、その後、蒸発した水分を含むガスを吸引することにより、泥土に含まれる水分を除去し、泥土の容積を減少させる。これにより、低含水率で低容量化した脱水泥土となり、薬剤を含まず、コーン指数も200kN以上とすることができるので、この脱水泥土は、現場内で再利用することが可能となる。
また、第1フィルタ22により捕捉され分離された泥土を、搬送手段50により搬送することができる。泥土を受け入れる脱水容器51を備える、その脱水容器51内のガスを吸引する脱水装置により、搬送された泥土に含まれる水分を除去することができる。
濁水処理システムを用いた濁水処理方法では、必要に応じて濁水供給手段20により濁水を高圧にして第1フィルタ22を介して第2フィルタ27へ向けて放出させることができ、また、第2フィルタ27により土粒子を分離した後、分離容器23の排出口26から排出された泥土を搬送手段50により搬送し、自動で脱水容器51内へ入れ、その後、泥土を脱水することができる。
これまで本発明の濁水処理システムおよび濁水処理方法について図面に示した実施形態を参照しながら詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。したがって、脱水装置は上述した構成のものに限られるものではなく、フィルタプレスを用いて脱水することも可能である。また、脱水装置から取り出される土は、脱水していることから、そのまま利用することもできるが、さらに天日乾燥した後に利用することも可能である。このようにさらに乾燥することでコーン指数を向上させ、地盤改良に再利用することができる。
10…沈砂槽、11…濁水処理装置、12…凝集沈殿槽、13…放流水槽、14…汚泥貯留槽、15…汚泥脱水装置、20…濁水供給手段、21…配管、22…第1フィルタ、23…分離容器、23a…ガイド、24…入口ノズル、25…出口ノズル、26…排出口、27…第2フィルタ、27a…フィルタ部、27b…遮蔽部、28…弁、29…濁度計測手段、30…リターンライン、31…切替手段、40…ベーススクリーン、41…パンチングスクリーン、41a…孔、42…SS塊、43…ブラシ、44…モータ、45…ノズル、46…高圧洗浄機、50…搬送手段、51…脱水容器、51a、51b…蓋、52…圧縮ガス供給手段、53…ガス吸引手段、54…排水口、60…袋、61…泥土、70…ケーシング、71…インペラ、80…加熱手段

Claims (15)

  1. 濁水を処理する濁水処理システムであって、
    前記濁水に含まれる一部の粒子を捕捉し、捕捉された前記粒子からなる泥土が分離された第1処理水を送出する第1分離手段と、
    前記第1処理水中に残留する前記粒子を捕捉し、該残留する粒子が分離された第2処理水を排出する第2分離手段と、
    排出される前記第2処理水の濁度を計測するための濁度計測手段と、
    計測された前記濁度が設定値を超える場合、前記第2処理水の放流を停止し、前記第1分離手段の前流側に戻すリターンラインへ前記第2処理水の送出方向を切り替える切替手段とを含む、濁水処理システム。
  2. 前記第1分離手段は、ヤシ繊維フィルタである、請求項1に記載の濁水処理システム。
  3. 前記第2分離手段が、複数の孔を備えるフィルタと、前記フィルタの孔径より大きい孔径の複数の孔を有するベーススクリーンと、厚さ方向へV字状に打ち抜かれて形成された複数の孔を有するパンチングスクリーンとから構成され、前記フィルタを、前記ベーススクリーンと前記パンチングスクリーンとで挟み込んだものとされる、請求項1または2に記載の濁水処理システム。
  4. 前記第2分離手段が、前記第1処理水が送出される水平方向に配列して複数設置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の濁水処理システム。
  5. 複数設置される前記第2分離手段は、互いに異なる孔径を有するフィルタを含み、前記第1処理水の流入側から順に前記フィルタの前記孔径が小さくなるように配置される、請求項4に記載の濁水処理システム。
  6. 前記濁水を供給するための濁水供給手段と、
    上部に、前記第1処理水を受け入れるための入口ノズルおよび前記粒子が分離された後の前記第2処理水を排出するための出口ノズルと、底部に、分離された前記粒子を含む排水を排出するための排出口とを備え、前記入口ノズルと前記出口ノズルとの間に前記第2分離手段が配置された1以上の分離容器と、
    前記第1分離手段から排出される前記泥土を搬送する搬送手段とをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の濁水処理システム。
  7. 前記第2分離手段は、前記粒子を分離させるフィルタ部と、前記分離容器の内部を分離し、前記第1処理水を通過させないように遮蔽する遮蔽部とから構成され、
    前記遮蔽部が、内部が中空で一端と他端とに開口を有し、前記分離容器の出口ノズルに取り外し可能に接続される前記一端から前記他端へ向けて拡張された構造とされ、前記他端の開口を覆うようにシール材を介して前記フィルタ部が連結された、請求項6に記載の濁水処理システム。
  8. 前記濁水処理システムは、前記搬送手段により搬送された前記泥土を脱水する脱水装置を含む、請求項6または7に記載の濁水処理システム。
  9. 前記脱水装置は、前記泥土を受け入れる脱水容器を備え、該脱水容器内のガスを吸引することにより、該泥土に含まれる水分を除去する、請求項8に記載の濁水処理システム。
  10. 前記脱水装置は、前記脱水容器内のガスを吸引するガス吸引手段を備え、さらに、前記脱水容器内へ圧縮ガスを供給する圧縮ガス供給手段もしくは前記脱水容器内に収容された泥土を加熱する加熱手段またはその両方を備える、請求項9に記載の濁水処理システム。
  11. 濁水を処理する濁水処理方法であって、
    複数の孔を有する第1分離手段で、前記濁水に含まれる一部の粒子を捕捉し、捕捉された前記粒子からなる泥土が分離された第1処理水を第2分離手段へ送出する工程と、
    前記第1処理水が送出される水平方向に対して傾斜させて配置される前記第2分離手段の下側に向いた面に、前記第1処理水中に残留する粒子を捕捉し、前記残留する粒子が分離された第2処理水を排出する工程と、
    排出される前記第2処理水の濁度を計測する工程と、
    計測された前記濁度が設定値を超える場合、前記第2処理水の放流を停止し、前記第1分離手段の前流側に戻すリターンラインへ前記第2処理水の送出方向を切り替える工程とを含む、濁水処理方法。
  12. 前記第1分離手段が、ヤシ繊維フィルタである、請求項11に記載の濁水処理方法。
  13. 前記2分離手段が、複数の孔を備えるフィルタと、前記フィルタの孔径より大きい孔径の複数の孔を有するベーススクリーンと、厚さ方向へV字状に打ち抜かれて形成された複数の孔を有するパンチングスクリーンとから構成され、前記フィルタを、前記ベーススクリーンと前記パンチングスクリーンとで挟み込んだものとされることを特徴とする、請求項11または12に記載の濁水処理方法。
  14. 濁水供給手段により前記濁水を前記第1分離手段へ供給する工程と、
    上部に、前記第1処理水を受け入れるための入口ノズルおよび前記第1処理水中に残留する前記粒子が分離された後の前記第2処理水を排出するための出口ノズルと、底部に、分離された前記粒子を含む水を排出するための排出口とを備え、前記入口ノズルと前記出口ノズルとの間に前記第2分離手段が配置された1以上の分離容器の排出口から排出された排水を前記第1分離手段の前流側へ戻す工程とを含む、請求項11〜13のいずれか1項に記載の濁水処理方法。
  15. 前記第1分離手段により捕捉され分離された前記泥土を搬送手段により搬送する工程と、
    前記泥土を受け入れる脱水容器を備え、前記脱水容器内のガスを吸引する脱水装置により、前記泥土に含まれる水分を除去する工程をさらに含む、請求項11〜14のいずれか1項に記載の濁水処理方法。
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