JP2012122792A - 磁気センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 特に、従来に比べて外乱磁場及び強磁場耐性に優れた磁気センサを提供することを目的とする。
【解決手段】 磁気抵抗効果を発揮する素子部は平面視にて第1素子部15aと第2素子部15bとが交互にY方向に間隔を空けて配列されている。各素子部との間に永久磁石層14が配置されている。平面視にて磁気抵抗効果素子13a〜13dに対しX方向の両側に磁気抵抗効果素子と非接触の軟磁性体33が配置されている。X方向が感度軸方向Pである。各永久磁石層14はX方向に着磁されるとともに、永久磁石層14から第1素子部15aに対してY2方向に向く第1のバイアス磁界が供給されて、フリー磁性層の磁化方向FがY2方向に向けられ、第2素子部15bに対して第1バイアス磁界とは逆方向の第2バイアス磁界が供給されて、フリー磁性層の磁化方向FがY1方向に向けられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、外乱磁場及び強磁場耐性に優れた磁気センサに関する。
磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサは例えば、携帯電話等の携帯機器に組み込まれる地磁気を検知する地磁気センサとして使用できる。
特許文献1には磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサに関する発明が開示されている。例えば特許文献1には、磁気抵抗効果素子と永久磁石層とを有する磁気センサが開示されている。永久磁石層からのバイアス磁界により磁気抵抗効果素子を構成するフリー磁性層の磁化方向が一方向に揃えられる。
ところで磁気センサは、磁気抵抗効果素子の感度軸方向と直交する方向からの外乱磁場に対して優れた耐性を備えていなければならない。そして今日、従来にも増して、外乱磁場に対する適用磁場範囲の拡大が要求されている。
しかしながら特許文献1に記載された発明では、外乱磁場耐性について特に対策がなされていない。
また永久磁石層の着磁方向と直交する方向から強磁場が作用すると永久磁石層の着磁方向が傾き、磁気センサの中点電位ずれが生じる不具合があった。
特開2006−66821号公報
本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、従来に比べて外乱磁場及び強磁場耐性に優れた磁気センサを提供することを目的とする。
本発明における磁気センサは、
磁気抵抗効果を発揮する素子部と、前記素子部にバイアス磁界を供給するための永久磁石層とを備えてなる磁気抵抗効果素子を有し、
前記素子部は平面視にて第1素子部と第2素子部とが交互に第1の水平方向に間隔を空けて配列されており、
前記第1素子部と前記第2素子部との間に前記永久磁石層が配置されており、
平面視にて前記磁気抵抗効果素子に対し前記第1の水平方向に直交する第2の水平方向の両側に前記磁気抵抗効果素子と非接触の軟磁性体が配置されており、
前記第2の水平方向が前記素子部の感度軸方向であり、
各永久磁石層は前記第2の水平方向に着磁されるとともに、前記永久磁石層から前記第1素子部に対して前記第1の水平方向に向く第1のバイアス磁界が供給され、前記第2素子部に対して前記第1バイアス磁界とは逆方向の第2バイアス磁界が供給されることを特徴とするものである。これにより、従来よりも外乱磁場及び強磁場耐性に優れた構成にできる。
本発明では、平面視にて各永久磁石層の前記第1素子部及び前記第2素子部と対向する端面が、前記第1水平方向及び前記第2水平方向に対して斜めに形成されていることが好ましい。これにより第1素子部及び第2素子部に対して互いに逆方向のバイアス磁界を供給することができる。
また本発明では、前記磁気抵抗効果素子は、前記第1素子部及び前記第2素子部と、前記永久磁石層とを平面視にて前記第1水平方向に連ねた素子連設体が、複数本、前記第2水平方向に間隔を空けて配置され、各素子連設体の端部が電気的に接続されたミアンダ形状で形成されており、
各素子連設体の間及び、前記第2水平方向の両側に位置する前記素子連設体の外側に前記軟磁性体が配置されていることが好ましい。これにより、ミアンダ状に形成された各素子連設体に対して軟磁性体による外乱磁場に対するシールド効果、及び感度磁界増幅効果を向上させることができる。
また本発明では、前記素子部は、固定磁性層とフリー磁性層とが非磁性材料層を介して積層された積層構造を備え、
前記固定磁性層は、第1磁性層と前記非磁性材料層に接する第2磁性層とが非磁性中間層を介して積層され、前記第1磁性層と前記第2磁性層とが反平行に磁化固定されたセルフピン止め型であることが好ましい。セルフピン止め型の磁気抵抗効果素子では、反強磁性層を用いず、よって磁場中熱処理を施すことなく固定磁性層を構成する第1磁性層と第2磁性層とを反平行に磁化固定できる。
また本発明では、4つの前記磁気抵抗効果素子にてブリッジ回路が構成され、各磁気抵抗効果素子は、二つの前記磁気抵抗効果素子の感度軸方向と残り二つの前記磁気抵抗効果素子の感度軸方向とが逆方向とされた前記セルフピン止め型の磁気抵抗効果素子で構成されていることが好ましい。セルフピン止め型の磁気抵抗効果素子を用いることで、同一基板上に感度軸方向が異なる複数の磁気抵抗効果素子を形成することができる。
本発明によれば、従来に比べて外乱磁場及び強耐性に優れた磁気センサに出来る。
図1(a)は、本実施形態における磁気センサの一部の構成を示す平面図、(b)は、図1(a)に示すA−A線に沿って切断し矢印方向から見た磁気センサの部分縦断面図、 本実施形態におけるミアンダ形状からなる磁気抵抗効果素子の部分平面図、 図1に示す磁気抵抗効果素子の一部を拡大して示した部分拡大平面図、 本実施形態における磁気センサの回路図、 本実施形態における別の構成を示す磁気抵抗効果素子の部分平面図、 図6(a)は図1に示すB−B線に沿って切断し矢印方向から見た磁気抵抗効果素子の部分縦断面図であり(b)(c)はその変形例、 本実施形態における素子部の部分拡大縦断面図、 本実施形態の磁気センサに対する外乱磁場耐性の説明図。
図1(a)は、本実施形態における磁気センサの一部の構成を示す平面図、(b)は、図1(a)に示すA−A線に沿って切断し矢印方向から見た磁気センサの部分縦断面図、図2は、本実施形態におけるミアンダ形状からなる磁気抵抗効果素子の部分平面図、図3は、図1に示す磁気抵抗効果素子の一部を拡大して示した部分拡大平面図、図4は、本実施形態における磁気センサの回路図、図5は、本実施形態における別の構成を示す磁気抵抗効果素子の部分平面図、図6(a)は図1に示すB−B線に沿って切断し矢印方向から見た磁気抵抗効果素子の部分縦断面図であり(b)(c)はその変形例、図7は、本実施形態における素子部の部分拡大縦断面図、である。
本実施形態における磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサ10は、例えば携帯電話等の携帯機器に搭載される地磁気センサとして構成される。
各図に示すX方向、及びY方向は水平面内にて直交する2方向を示し、Z方向は前記水平面に対して直交する方向を示している。X方向及びY方向の一方が「第1の水平方向」であり、他方が「第2の水平方向」である。
図4に示すように、磁気センサ10は、4つの磁気抵抗効果素子13a〜13dによりブリッジ回路を構成している。
図4に示すように、磁気抵抗効果素子13aと磁気抵抗効果素子13bとは直列に接続され、磁気抵抗効果素子13cと磁気抵抗効果素子13dとは直列に接続されている。図4に示すように磁気抵抗効果素子13aと磁気抵抗効果素子13cとは入力端子Vddに接続されており、磁気抵抗効果素子13bと磁気抵抗効果素子13dとはグランド端子GNDに接続されている。そして、磁気抵抗効果素子13aと磁気抵抗効果素子13bとの間及び、磁気抵抗効果素子13cと磁気抵抗効果素子13dの間に夫々、出力端子V1,V2が接続されている。
図4に示す[P]は感度軸方向を示しており、磁気抵抗効果素子13aと磁気抵抗効果素子13dとの感度軸方向Pは同方向であるが、磁気抵抗効果素子13b,13cとの感度軸方向Pは、磁気抵抗効果素子13a及び磁気抵抗効果素子13dに対し反対方向を向いている。感度軸方向Pは後述する固定磁性層の固定磁化方向を指す。
図1に示すように図示左側の磁気抵抗効果素子が図4に示す磁気抵抗効果素子13a,13dであり、図示右側の磁気抵抗効果素子が図4に示す磁気抵抗効果素子13b,13cである。各磁気抵抗効果素子13a〜13dにおいて、感度軸方向P以外の構成は同じである。
図1に示すように各磁気抵抗効果素子13a〜13dは、磁気抵抗効果を発揮する素子部15と、素子部15にバイアス磁界を供給する複数の永久磁石層14とを有して構成される。永久磁石層14はCoPt、CoPtCr等である。
図1(a)に示す各磁気抵抗効果素子13a〜13dは、Y1−Y2方向に帯状に長く延びて形成されている。
図1(b)に示すように、各磁気抵抗効果素子13a〜13dは、基板29上に絶縁層30を介して形成されている。
図1(a)に示すように、各磁気抵抗効果素子13a〜13dは、図1(a)の平面視にて、複数の第1素子部15aと複数の第2素子部15bとが交互にY1−Y2方向に間隔を空けて配置された構造となっている。
そして各素子部15a,15bの間に、永久磁石層14が配置されている。
図1(a)に示す各磁気抵抗効果素子13a〜13dは夫々、複数の素子部15a,15bと複数の永久磁石層14とをY1−Y2方向に連ねた素子連設体17が一本で構成されているが、実際には、図2に示すように、複数の素子連設体17がX1−X2方向に間隔を空けて配置され、各素子連設体17のY1側端部17a同士、あるいはY2側端部17b同士が導電層18を介して電気的接続されてミアンダ形状に構成されている。なお図2には図1に示す永久磁石層14の図を省略している。
図7に示すように、素子部15は、下から、シード層2、固定磁性層3、非磁性材料層4、フリー磁性層5及び保護層6の順に積層されて成膜される。磁気検出素子1を構成する各層は、例えばスパッタにて成膜される。
シード層2は、NiFeCrあるいはCr等で形成される。
固定磁性層3は、第1磁性層3aと第2磁性層3cと、第1磁性層3a及び第2磁性層3c間に介在する非磁性中間層3bとのSFP(Synthetic Ferri Pin)構造である。
図7に示すように第1磁性層3aの固定磁化方向(P1)と、第2磁性層3cの固定磁化方向(P2)は反平行となっている。
図7に示すように、第1磁性層3aはシード層2上に形成されており、第2磁性層3cは、後述する非磁性材料層4に接して形成されている。
本実施形態における第1磁性層3aは、第2磁性層3cよりも高保磁力材料のFeCo合金で形成されることが好適である。
非磁性材料層4に接する第2磁性層3cは磁気抵抗効果(GMR効果)に寄与する層であり、第2磁性層3cには、アップスピンを持つ伝導電子とダウンスピンを持つ伝導電子の平均自由行程差を大きくできる磁性材料が選択される。
図7に示す構成では、第1磁性層3aと第2磁性層3cの磁化量(飽和磁化Ms・膜厚t)の差が実質的にゼロとなるように調整されている。
本実施形態における固定磁性層3は、SFP構造によるセルフピン止め型である。すなわち反強磁性層を備えない構成であり、これにより素子部15の温度特性が反強磁性層のブロッキング温度に制約を受けない。
固定磁性層3の磁化固定力を高めるには、第1磁性層3aの保磁力Hcを高めること、第1磁性層3aと第2磁性層3cの磁化量の差を実質的にゼロに調整すること、更に非磁性中間層3bの膜厚を調整して第1磁性層3aと第2磁性層3c間に生じるRKKY相互作用による反平行結合磁界を強めることが重要とされている。
非磁性材料層4は、Cu(銅)などである。また図7に示すフリー磁性層5は、CoFe合金層5aとNiFe合金層5bとの積層構造で構成されるが、これに限定するものでない。保護層6はTa(タンタル)などである。
図7に示す素子部15では、第2磁性層3cの固定磁化方向(P2)が、X2方向であるが、この第2磁性層3cの固定磁化方向(P2)が固定磁性層3における固定磁化方向、すなわち感度軸方向である。よって図7に示す素子部15は図1に示す磁気抵抗効果素子13a,13dを構成する素子部である。一方、図7に示す第1磁性層3aの固定磁化方向(P1)をX2方向に向け、第2磁性層3cの固定磁化方向(P2)をX1方向に向けることで、図1に示す磁気抵抗効果素子13b,13cの素子部15を構成することが出来る。
図1(a)に示す実施形態では、複数の永久磁石層14が略台形状(台形を横に傾けたような形状)で形成されている。図1(a)に示すように各永久磁石層14は、Y1−Y2方向に間隔を空けた各素子部15a,15b間に配置される。
ここで、図1(a)に示すように、永久磁石層14のうち、永久磁石層14a,14c,14eは、同じ向きに配置されており、またこれらの永久磁石層14a,14c,14eは、Y1−Y2方向への同位置に配置されている。また、永久磁石層14b,14dは永久磁石層14a,14c,14eを平面内にて180度反転させた向きで配置されている。そして永久磁石層14b,14dはY1−Y2方向の同位置に配置されている。永久磁石層14a,14c,14eと、永久磁石層14b,14dとはX1−X2方向にややずれて配置されている。
図3の部分拡大平面図に示すように、各永久磁石層14は平面視にて各素子部15a,15bと対向する端面14f,14g,14h,14iが、X1−X2方向及びY1−Y2方向の双方に対して斜めに傾いて形成されている。ここで、相対向する永久磁石層14bと永久磁石層14cとの端面14g,14hは、間隔を空けて略平行に形成されており、相対向する永久磁石層14cと永久磁石層14dとの端面14i,14fは間隔を空けて略平行に形成されている。そして永久磁石層14bと永久磁石層14cとの間に第1素子部15aが配置され、永久磁石層14cと永久磁石層14dとの間に第2素子部15bが配置されている。図3に示す領域以外についても上記と同様に形成されている。
図3に示すように、例えば、各永久磁石層14b,14c,14dはX2方向に着磁されている。図3には着磁方向を太い矢印Cで示した。
そして図3に示すように、永久磁石層14cのY2側の端面14hから永久磁石層14bのY1側の端面14gに向けて、第1バイアス磁界HB1が生じる。また、永久磁石層14cのY1側の側面14iから永久磁石層14dのY2側の端面14fに向けて第2バイアス磁界HB2が生じる。図3に示すように第1バイアス磁界HB1はY2方向に向けて生じ、第2バイアス磁界HB2はY1方向に向けて生じる。
したがって、第1素子部15aには第1バイアス磁界HB1が供給され、第2素子部15bには、第2バイアス磁界HB2が供給される。第1バイアス磁界HB1と第2バイアス磁界HB2は互いに逆方向であり、且つ固定磁性層3の固定磁化方向(感度軸方向)Pに対して直交する方向である。
上記により第1素子部15aのフリー磁性層5の磁化方向はY2方向に揃えられ、第2素子部15bのフリー磁性層5の磁化方向はY1方向に揃えられる。
図6(a)の縦断面図に示すように、基板29上に絶縁層30を介して素子部15が形成されている。図6(a)では、第1素子部15aと第2素子部15bとが一体化された素子部15の構造となっている。素子部15上には、図2に示す各素子連設体17間を埋める絶縁層31が設けられ、前記絶縁層31は素子部15上にも形成されて平坦化面となっている。
図6(a)に示すように、各永久磁石層14は絶縁層31の平坦化面上に形成される。そして各永久磁石層14間に第1素子部15aと第2素子部15bとが交互に現れる。
図6(a)では、素子部15と永久磁石層14との間に絶縁層31が介在するが、このような構成は後述する図5のように永久磁石層14jを隣り合う素子連設体17間で共有する形態に適用される。よって、永久磁石層を隣り合う素子連設体間で共有せず、各素子連設体で永久磁石層を分離している場合は、絶縁層31は必要なく、素子部15上に直接、永久磁石層14を形成することができる。
あるいは図6(b)に示すように、素子部15の一部を除去して、その除去された凹部15c上に永久磁石層14を形成してもよい。例えば図7に示す保護層6、フリー磁性層5及び非磁性材料層4までを削って凹部15cを形成する。
または図6(c)に示すように、永久磁石層14の形成位置における素子部15を全て削除して、第1素子部15aと、第2素子部15bとに分離し、第1素子部15aと第2素子部15bとの間に永久磁石層14を介在させる構成とすることも出来る。
なお図6(b)(c)では図6(a)のように素子部15と永久磁石層14との間に絶縁層31を介在させていないが、永久磁石層14を隣り合う素子連設体17間で共有する場合には図6(a)と同様に絶縁層31が必要である。
図1(b)に示すように、各磁気抵抗効果素子13a〜13d上は絶縁層32で覆われており、絶縁層32の上面は平坦化面とされている。
そして図1(a)の平面視にて各磁気抵抗効果素子13a〜13dのX1−X2方向の両側であって絶縁層32上に軟磁性体33が配置されている。各軟磁性体33はY1−Y2方向に平行に延出して形成されている。各軟磁性体33のY1−Y2方向の長さ寸法L1は、各磁気抵抗効果素子13a〜13dよりも長く形成されていることが好適である。図1(b)に示すように、各軟磁性体33と各磁気抵抗効果素子13a〜13dとは絶縁層32を介して非接触となっている。
図2に示すように、磁気抵抗効果素子が複数の素子連設体17によるミアンダ形状であるとき、軟磁性体33は平面視にて、各素子連設体17の間、及びX1−X2方向の両側に位置する素子連設体17の外側に夫々、設けられる。
各軟磁性体33はNiFe、CoFe、CoFeSiBやCoZrNb等で形成される。
次に、感度軸方向からの外部磁界、及び感度軸方向に対して直交する方向からの外乱磁場が作用したときの各磁気抵抗効果素子13a〜13dの抵抗変化について説明する。
各磁気抵抗効果素子13a〜13dの感度軸方向は、X1−X2方向である。例えば図1(a)に示すように外部磁界H1がX2方向に作用すると、フリー磁性層5の磁化方向がY1−Y2方向からX2方向に変動する。磁気抵抗効果素子13a,13dの固定磁性層3の固定磁化方向(P)はX2方向であるため、フリー磁性層5の磁化方向がX2方向に向けて変化すると電気抵抗値は小さくなる。一方、磁気抵抗効果素子13b,13cの固定磁性層3の固定磁化方向(P)はX1方向であるため、フリー磁性層5の磁化方向がX2方向に向けて変化すると電気抵抗値は大きくなる。よって図4に示すブリッジ回路での出力端子V1,V2の中点電位が変動し、センサ出力を得ることができる。
次に図1(a)に示すように、外乱磁場H2が感度軸方向と直交するY2方向に作用したとき、第1素子部15aのフリー磁性層5の磁化方向Fは図3で説明した第1バイアス磁界HB1によりY2方向を向いているから、第1素子部15aでのフリー磁性層5の磁化は、外乱磁場H2(なお素子部15に作用する外乱磁場H2は後述する軟磁性体33のシールド効果により小さくなる)により強められる。このように外乱磁場H2が印加した状態で感度軸方向(X1−X2)に外部磁界H1が作用すると第1素子部15aでの電気抵抗変化は、外乱磁場H2が無い状態に比べて小さくなる(図8も参照。第1素子部15aでの抵抗変化(あるいはΔMR)は、図8の外乱磁場(+)のグラフに相当する)。
一方、第2素子部15bでのフリー磁性層5の磁化方向は、図3で説明した第2バイアス磁界HB2によりY1方向であるから、第2素子部15bでのフリー磁性層5の磁化は、外乱磁場H2により弱められる。このように外乱磁場H2が印加した状態で感度軸方向(X1−X2)に外部磁界H1が作用すると第2素子部1bでの電気抵抗変化は、外乱磁場H2が無い状態に比べて大きくなる(図8も参照。第2素子部15bでの抵抗変化(あるいはΔMR)は、図8の外乱磁場(−)のグラフに相当する)。
このように本実施形態では、外乱磁場H2が作用したとき、各磁気抵抗効果素子13a〜13dに、フリー磁性層5の磁化が強められる素子部とフリー磁性層5の磁化が弱められる素子部とが夫々存在するため、互いのキャンセル効果により、磁気抵抗効果素子13a〜13d全体における抵抗変化を、フリー磁性層の磁化方向を一方向に揃えていた従来構造に比べて、外乱磁場H2が作用しない状態での抵抗変化に近づけることができる。
本実施形態では、磁気抵抗効果素子13a〜13dの素子構成に加えて、磁気抵抗効果素子13a〜13dのX1−X2方向の両側に軟磁性体33を設けた。これにより軟磁性体33を外乱磁場H2に対するシールド層として機能させることができる。このため、外乱磁場H2を軟磁性体33内部に優先的に通すことができ、磁気抵抗効果素子13a〜13dに影響を与える外乱磁場H2を小さくすることができ、上記のキャンセル効果を十分に発揮させることができる。つまり軟磁性体33を設けずに、上記したキャンセル効果だけに頼ると、外乱磁場が強くなればそれだけキャンセル効果のずれも大きくなり、外乱磁場耐性の低下を招く。そこで本実施形態では軟磁性体33を設けることで、磁気抵抗効果素子13a〜13dに影響を与える外乱磁場H2を小さくしたうえで、上記したキャンセル効果を効果的に発揮させて外乱磁場耐性を向上させているのである。
また図1(a)、図3に示すように外乱磁場H2の方向は永久磁石層14の着磁方向Cに対して直交しているが、直交方向から強磁場が作用しても、軟磁性体33のシールド効果により、永久磁石層14の着磁方向Cの変化を低減でき、永久磁石層14の着磁方向Cの変動に伴う中点電位ずれを小さくできる。
以上により、優れた外乱磁場及び強磁場耐性を得ることができ、従来に比べて外乱磁場の適用磁場範囲を拡大させることが可能である。
また磁気抵抗効果素子13a〜13dのX1−X2方向の両側に軟磁性体33を配置したことで、感度軸方向(X1−X2)からの外部磁界H1に対して磁界増幅効果を有する。すなわち素子部15に対して外部磁界H1よりも見かけ上、強い外部磁界を作用させることができる。よって、永久磁石層14の膜厚を厚くしたり材質を変更したりして永久磁石層14のバイアス磁化量を増加させても、上記の磁界増幅効果により、優れたセンサ感度を維持することが可能である。
このように永久磁石層14のバイアス磁化量を増加させることで、外乱磁場、特に強磁場に対する耐性をより効果的に向上させることが可能になる。
永久磁石層14の形状は図1(a)、図3に示すものに限定されない。ただし図3に示したように、各永久磁石層14b〜14dのY1側の端面14g,14i、及びY2側の端面14f,14hを、X1−X2方向及びY1−Y2方向の双方に対して斜めに形成して、第1素子部15a及び第2素子部15bに対して適切にY1−Y2方向に向くバイアス磁界HB1,HB2を供給できるようにすることが好ましい。
また図2に示すように各磁気抵抗効果素子13a〜13dを、複数の素子連設体17によりミアンダ形状に形成した構成では、例えば図5に示すように、隣り合う素子連設体17間に共有する永久磁石層14jを設けることで、簡単な構成にでき且つ小型化を実現できる。ただしかかる場合、図6(a)で説明したように、永久磁石層14と素子部15との間に絶縁層31を設けて、センス電流が永久磁石層14(14j)を介して隣り合う素子連設体17に流れないようにすることが必要である。
また図2に示すように磁気抵抗効果素子13a〜13dを素子連設体17によりミアンダ形状で形成した構成では、各素子連設体17間、及びX1−X2方向の両側に位置する素子連設体17の外側に夫々軟磁性体33を配置することで、全ての素子連設体17に対して軟磁性体33による外乱磁場に対するシールド効果、及び感度磁界増幅効果を得ることができる。
図7では固定磁性層3をセルフピン止め型としたが、これに限定されるものでない。すなわち反強磁性層を用いて固定磁性層3の磁化方向を固定する方式であってもよい。
ただしセルフピン止め型とすることで、磁場中熱処理が必要なく、したがって図1(a)に示すように固定磁性層3の固定磁化方向(P)が異なる磁気抵抗効果素子13a〜13dを同一基板上に形成することが可能になる。すなわち基板上に磁気抵抗効果素子13a,13bと磁気抵抗効果素子13b,13cとを夫々形成するときに、互いに逆磁場を印加しながら成膜すればよい。また図1(a)では、磁気抵抗効果素子13a〜13dを構成する全ての永久磁石層14をX2方向に着磁することができる。
図1に示す磁気センサ10は感度軸方向がX1−X2方向であるが、図1に示す磁気センサ10を平面内にて90度回転させることで、感度軸方向をY1−Y2方向に向けることができ、X軸−Y軸磁気センサを簡単且つ適切に構成することができる。
H1 外部磁界
H2 外乱磁場
HB1 第1バイアス磁界
HB2 第2バイアス磁界
3 固定磁性層
4 非磁性材料層
5 フリー磁性層
10 磁気センサ
13a〜13d 磁気抵抗効果素子
14 永久磁石層
15a 第1素子部
15b 第2素子部
17 素子連設体
33 軟磁性体

Claims (5)

  1. 磁気抵抗効果を発揮する素子部と、前記素子部にバイアス磁界を供給するための永久磁石層とを備えてなる磁気抵抗効果素子を有し、
    前記素子部は平面視にて第1素子部と第2素子部とが交互に第1の水平方向に間隔を空けて配列されており、
    前記第1素子部と前記第2素子部との間に前記永久磁石層が配置されており、
    平面視にて前記磁気抵抗効果素子に対し前記第1の水平方向に直交する第2の水平方向の両側に前記磁気抵抗効果素子と非接触の軟磁性体が配置されており、
    前記第2の水平方向が前記素子部の感度軸方向であり、
    各永久磁石層は前記第2の水平方向に着磁されるとともに、前記永久磁石層から前記第1素子部に対して前記第1の水平方向に向く第1のバイアス磁界が供給され、前記第2素子部に対して前記第1バイアス磁界とは逆方向の第2バイアス磁界が供給されることを特徴とする磁気センサ。
  2. 平面視にて各永久磁石層の前記第1素子部及び前記第2素子部と対向する端面が、前記第1水平方向及び前記第2水平方向に対して斜めに形成されている請求項1記載の磁気センサ。
  3. 前記磁気抵抗効果素子は、前記第1素子部及び前記第2素子部と、前記永久磁石層とを平面視にて前記第1水平方向に連ねた素子連設体が、複数本、前記第2水平方向に間隔を空けて配置され、各素子連設体の端部が電気的に接続されたミアンダ形状で形成されており、
    各素子連設体の間及び、前記第2水平方向の両側に位置する前記素子連設体の外側に前記軟磁性体が配置されている請求項1又は2に記載の磁気センサ。
  4. 前記素子部は、固定磁性層とフリー磁性層とが非磁性材料層を介して積層された積層構造を備え、
    前記固定磁性層は、第1磁性層と前記非磁性材料層に接する第2磁性層とが非磁性中間層を介して積層され、前記第1磁性層と前記第2磁性層とが反平行に磁化固定されたセルフピン止め型である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の磁気センサ。
  5. 4つの前記磁気抵抗効果素子にてブリッジ回路が構成され、各磁気抵抗効果素子は、二つの前記磁気抵抗効果素子の感度軸方向と残り二つの前記磁気抵抗効果素子の感度軸方向とが逆方向とされた前記セルフピン止め型の磁気抵抗効果素子で構成されている請求項4記載の磁気センサ。
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