JP2012116901A - 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 - Google Patents
成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2012116901A JP2012116901A JP2010265812A JP2010265812A JP2012116901A JP 2012116901 A JP2012116901 A JP 2012116901A JP 2010265812 A JP2010265812 A JP 2010265812A JP 2010265812 A JP2010265812 A JP 2010265812A JP 2012116901 A JP2012116901 A JP 2012116901A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- molding material
- cellulose
- carbon atoms
- general formula
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
- 0 CCC*(CC)O[C@@](C(C1O)O*)OC(CO*)[C@]1*(CC)=CC Chemical compound CCC*(CC)O[C@@](C(C1O)O*)OC(CO*)[C@]1*(CC)=CC 0.000 description 1
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08L—COMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
- C08L1/00—Compositions of cellulose, modified cellulose or cellulose derivatives
- C08L1/08—Cellulose derivatives
- C08L1/32—Cellulose ether-esters
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08B—POLYSACCHARIDES; DERIVATIVES THEREOF
- C08B13/00—Preparation of cellulose ether-esters
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Polymers & Plastics (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
Abstract
【解決手段】セルロースに含まれる水酸基の水素原子が、下記A)で置換された基、及び下記B)で置換された基を含むセルロース誘導体と、下記一般式(p1)又は(p2)で表される繰り返し単位を含み、かつ末端基が下記一般式(p1−1)、(p1−2)、(p2−1)、又は(p2−2)で表される基であるポリエーテル化合物とを含有する成形材料。A)炭化水素基:−RA。B)アシル基:−CO−RB(RBは炭化水素基を表す。)。−CH2CH(Rp)O−(p1)。−(CH2)pO−(p2)。−CH2CH(Rp)O−Rm1(p1−1)。Rm2−CH2CH(Rp)O−(p1−2)。−(CH2)pO−Rm1(p2−1)。Rm2−(CH2)pO−(p2−2)。
【選択図】なし
Description
ところで、石油、石炭、天然ガス等の化石資源は、長年月の間、地中に固定されてきた炭素を主成分とするものである。このような化石資源、又は化石資源を原料とする製品を燃焼させて、二酸化炭素が大気中に放出された場合には、本来、大気中に存在せずに地中深くに固定されていた炭素を二酸化炭素として急激に放出することになり、大気中の二酸化炭素が大きく増加し、これが地球温暖化の原因となっている。したがって、化石資源である石油を原料とするABS、PC等のポリマーは、電気電子機器用部材の素材としては、優れた特性を有するものであるものの、化石資源である石油を原料とするものであるため、地球温暖化の防止の観点からは、その使用量の低減が望ましい。
一方、植物由来の樹脂は、元々、植物が大気中の二酸化炭素と水とを原料として光合成反応によって生成したものである。そのため、植物由来の樹脂を焼却して二酸化炭素が発生しても、その二酸化炭素は元々、大気中にあった二酸化炭素に相当するものであるから、大気中の二酸化炭素の収支はプラスマイナスゼロとなり、結局、大気中のCO2の総量を増加させない、という考え方がある。このような考えから、植物由来の樹脂は、いわゆる「カーボンニュートラル」な材料と称されている。石油由来の樹脂に代わって、カーボンニュートラルな材料を用いることは、近年の地球温暖化を防止する上で急務となっている。
このため、PCポリマーにおいて、石油由来の原料の一部としてデンプン等の植物由来資源を使用することにより石油由来資源を低減する方法が提案されている(特許文献2)。
しかし、より完全なカーボンニュートラルな材料を目指す観点から、さらなる改良が求められている。
また、特許文献7や特許文献8には、セルロースエステルとポリエーテルを含有する組成物が記載されている。
例えば、上記特許文献3、及び4に記載のセルロース誘導体は水可溶性又は膨潤性であり、強度が不足しており成形材料として好ましくない。また、特許文献7及び8のようにセルロースエステルとポリエーテルを含有する組成物から得られた成形体は落球衝撃強度に劣る。
これらの様に、従来、公知のセルロース系樹脂に対して可塑剤や滑剤を任意量添加して様々な改良がされてきたが、電気電子機器筐体外装などの大型成形体として利用する上で、特に重要な特性である落球衝撃強度を改善することはできておらず、この分野での利用は断念せざるをえなかった。
すなわち、上記課題は以下の手段により達成することができる。
セルロースに含まれる水酸基の水素原子が、
下記A)で置換された基を少なくとも1つ、及び
下記B)で置換された基を少なくとも1つ含むセルロース誘導体と、
下記一般式(p1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(p2)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一方を含み、かつ少なくとも1つの末端基が下記一般式(p1−1)、(p1−2)、(p2−1)、又は(p2−2)で表される基であるポリエーテル化合物とを含有する成形材料。
A)炭化水素基:−RA
B)アシル基:−CO−RB(RBは炭化水素基を表す。)
−CH2CH(Rp)O− ・・・(p1)
−(CH2)pO− ・・・(p2)
[一般式(p1)及び(p2)中Rpは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、又はハロゲン原子を表す。該アルキル基はハロゲン原子、アリルオキシ基を置換基として有してもよい。pは2〜5の整数を表す。]
−CH2CH(Rp)O−Rm1 ・・・(p1−1)
Rm2−CH2CH(Rp)O− ・・・(p1−2)
−(CH2)pO−Rm1 ・・・(p2−1)
Rm2−(CH2)pO− ・・・(p2−2)
[一般式(p1−1)、(p1−2)、(p2−1)、及び(p2−2)中Rpは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、又はハロゲン原子を表す。該アルキル基はハロゲン原子、アリルオキシ基を置換基として有してもよい。pは2〜5の整数を表す。Rm1は水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。Rm2は水素原子、炭素数1〜20のアルコキシル基、水酸基、又は炭素数2〜20のアシロキシ基を表す。]
[2]
前記ポリエーテル化合物が、前記一般式(p2)で表される繰り返し単位を有し、一方の末端基が前記一般式(p2−1)で表され、Rm1が水素原子であり、もう一方の末端基が前記一般式(p2−2)で表され、Rm2が水酸基である、上記[1]に記載の成形材料。
[3]
前記セルロース誘導体が、更に、セルロースに含まれる水酸基の水素原子が下記C)で置換された基を少なくとも1つ含む、上記[1]又は[2]に記載の成形材料。
C)アルキレンオキシ基:−RC2−O−とアシル基:−CO−RC1とを含む基(RC1は炭化水素基を表し、RC2は炭素数が2〜4のアルキレン基を表す。)
[4]
前記C)アルキレンオキシ基とアシル基とを含む基が、下記一般式(3)で表される基である、上記[3]に記載の成形材料。
[5]
前記RAが炭素数1〜4のアルキル基である、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の成形材料。
[6]
前記RAがメチル基又はエチル基である、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の成形材料。
[7]
前記RB及びRC1が、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基である、上記[3]〜[6]のいずれか1項に記載の成形材料。
[8]
前記RB及びRC1が、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、又はプロピル基である、上記[3]〜[7]のいずれか1項に記載の成形材料。
[9]
前記RBが、炭素数3〜10の分岐構造を有する炭化水素基である、上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の成形材料。
[10]
前記アルキレンオキシ基が下記式(1)又は(2)で表される基である、上記[3]〜[9]のいずれか1項に記載の成形材料。
前記セルロース誘導体が、カルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩を実質的に有さない、上記[1]〜[10]のいずれか1項に記載の成形材料。
[12]
前記セルロース誘導体が水に不溶である、上記[1]〜[11]のいずれか1項に記載の成形材料。
[13]
前記ポリエーテル化合物が、ポリエチレングリコール、及びエチレングリコール/プロピレングリコール共重合体から選択される少なくとも一つである、上記[1]〜[12]のいずれか1項に記載の成形材料。
[14]
前記ポリエーテル化合物が、質量平均分子量10,000〜10,000,000である、上記[1]〜[13]のいずれか1項に記載の成形材料。
[15]
上記[1]〜[14]のいずれか1項に記載の成形材料を成形して得られる成形体。
[16]
上記[1]〜[14]のいずれか1項に記載の成形材料を加熱し、成形する工程を含む、成形体の製造方法。
[17]
上記[15]に記載の成形体から構成される電気電子機器用筐体。
下記A)で置換された基を少なくとも1つ、及び
下記B)で置換された基を少なくとも1つ含むセルロース誘導体と、
下記一般式(p1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(p2)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一方を含み、かつ少なくとも1つの末端基が下記一般式(p1−1)、(p1−2)、(p2−1)、又は(p2−2)で表される基であるポリエーテル化合物とを含有する成形材料。
A)炭化水素基:−RA
B)アシル基:−CO−RB(RBは炭化水素基を表す。)
−CH2CH(Rp)O− ・・・(p1)
−(CH2)pO− ・・・(p2)
[一般式(p1)及び(p2)中Rpは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、又はハロゲン原子を表す。該アルキル基はハロゲン原子、アリルオキシ基を置換基として有してもよい。pは2〜5の整数を表す。]
−CH2CH(Rp)O−Rm1 ・・・(p1−1)
Rm2−CH2CH(Rp)O− ・・・(p1−2)
−(CH2)pO−Rm1 ・・・(p2−1)
Rm2−(CH2)pO− ・・・(p2−2)
[一般式(p1−1)、(p1−2)、(p2−1)、及び(p2−2)中Rpは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、又はハロゲン原子を表す。該アルキル基はハロゲン原子、アリルオキシ基を置換基として有してもよい。pは2〜5の整数を表す。Rm1は水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。Rm2は水素原子、炭素数1〜20のアルコキシル基、水酸基、又は炭素数2〜20のアシロキシ基を表す。]
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の成形材料に含まれるセルロース誘導体は、セルロースに含まれる水酸基の水素原子が、
下記A)で置換された基を少なくとも1つ、及び
下記B)で置換された基を少なくとも1つ含むセルロース誘導体である。
A)炭化水素基:−RA
B)アシル基:−CO−RB(RBは炭化水素基を表す。)
すなわち、本発明におけるセルロース誘導体は、セルロースエーテルエステルであり、セルロース{(C6H10O5)n}に含まれる水酸基の水素原子の少なくとも一部が、A)炭化水素基:−RA、B)アシル基:−CO−RB(RBは炭化水素基を表す。)により置換されている。
より詳細には、本発明におけるセルロース誘導体は、下記一般式(A)で表される繰り返し単位を有する。
更には、セルロースは完全な植物由来成分であるため、カーボンニュートラルであり、環境に対する負荷を大幅に低減することができる。
より具体的な態様としては、例えば以下の態様が挙げられる。
(1)R2、R3及びR6の少なくとも1つが、A)炭化水素基で置換されている繰り返し単位と、R2、R3及びR6の少なくとも1つが、B)アシル基で置換されている繰り返し単位と、から構成されるセルロース誘導体。
(2)ひとつの繰り返し単位のR2、R3及びR6のいずれか少なくとも1つがA)炭化水素基で置換され、それとは別のいずれか少なくとも1つがB)アシル基で置換されている(すなわち、ひとつの繰り返し単位中に前記A)及びB)の置換基を有する)同種の繰り返し単位から構成されるセルロース誘導体。
(3)置換位置や置換基の種類が異なる繰り返し単位が、ランダムに結合しているセルロース誘導体。
また、セルロース誘導体には、無置換の繰り返し単位(すなわち、前記一般式(A)において、R2、R3及びR6すべてが水素原子である繰り返し単位)を含んでいてもよい。
また、セルロース誘導体は、水素原子、A)炭化水素基、及びB)アシル基以外のその他の置換基を有していても良い。
RAが脂肪族基である場合は、直鎖、分岐、及び環状のいずれでもよく、不飽和結合を持っていてもよい。脂肪族基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
RAが芳香族基である場合は、単環、及び縮環のいずれでもよい。RAが芳香族基である場合の好ましい炭素数は6〜18であり、より好ましくは6〜14、更に好ましくは6〜10である。芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基等が挙げられる。
A)炭化水素基は、得られる成形材料(以下「樹脂組成物」と称する場合がある。)の耐衝撃性が優れることから、脂肪族基であることが好ましく、メルトフローレート等の成形加工性が優れることから、より好ましくはアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基(低級アルキル基)である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、tert−ブチル基、イソヘプチル基等が挙げられ、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
RBが脂肪族基である場合は、直鎖、分岐、及び環状のいずれでもよく、不飽和結合を持っていてもよい。脂肪族基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
RBが芳香族基である場合は、単環、及び縮環のいずれでもよい。芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基等が挙げられる。
RBは、好ましくはアルキル基又はアリール基である。RBは、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基であり、更に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基であり、Tgが高く、曲げ弾性率及び荷重たわみ温度が向上するという理由から特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり(好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基)、最も好ましくは炭素数1又は2のアルキル基(すなわち、メチル基又はエチル基)である。
また、RBは、炭素数3〜10の分岐構造を有する炭化水素基であることも耐衝撃性及び成形性の観点から好ましく、炭素数3〜10の分岐構造を有するアルキル基であることがより好ましく、炭素数7〜9の分岐構造を有するアルキル基であることが更に好ましい。
RBとしては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、tert−ブチル基、及びイソヘプチル基等が挙げられる。好ましくは、RBはメチル基、エチル基、プロピル基、又は3−ヘプチル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、又は3−ヘプチル基である。
C)アルキレンオキシ基:−RC2−O−とアシル基:−CO−RC1とを含む基(RC1は炭化水素基を表し、RC2は炭素数が2〜4のアルキレン基を表す。)
アルキレンオキシ基(−RC2−O−)としては、炭素数2又は3のアルキレンオキシ基が好ましい。アルキレンオキシ基としては具体的には下記構造が好ましく挙げられる。
RC2が複数存在する場合には互いに同じでも異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
また、本発明におけるセルロース誘導体は、アルキレンオキシ基を1つだけ含む前記C)の基(上記一般式(3)においてnが1である基)と、アルキレンオキシ基を2以上含む前記C)の基(上記一般式(3)においてnが2以上である基)とを含んでいてもよい。
なお、「カルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩を実質的に有さない」とは、本発明におけるセルロース誘導体が全くカルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩を有さない場合のみならず、本発明におけるセルロース誘導体が水に不溶な範囲で微量のカルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩を有する場合を包含するものとする。例えば、原料であるセルロースにカルボキシル基が含まれる場合があり、これを用いて前記A)〜C)の置換基を導入したセルロース誘導体はカルボキシル基が含まれる場合があるが、これは「カルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩を実質的に有さないセルロース誘導体」に含まれるものとする。
この場合、カルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩の好ましい含有量としては、セルロース誘導体に対して1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
アセチルメチルセルロース、アセチルエチルセルロース、アセチルプロピルセルロース、アセチルブチルセルロース、アセチルペンチルセルロース、アセチルヘキシルセルロース、アセチルシクロヘキシルセルロース、アセチルフェニルセルロース、アセチルナフチルセルロース、
B)アシル基(−CO−RB)の置換度DSB(繰り返し単位中、β−グルコース環のセルロース構造の2位、3位及び6位の水酸基に対する−CO−RBの数)は、0.1<DSBであることが好ましく、0.1<DSB<2.0であることがより好ましい。
C)アルキレンオキシ基:−RC2−O−とアシル基:−CO−RC1とを含む基の置換度DSC(繰り返し単位中、β−グルコース環のセルロース構造の2位、3位及び6位の水酸基に対するC)アルキレンオキシ基:−RC2−O−とアシル基:−CO−RC1とを含む基の数)は、0<DSCであることが好ましく、0<DSC<1.0であることがより好ましい。0<DSCであることにより、セルロース誘導体の溶融開始温度を低くできるので、熱成形をより容易に行うことができる。
上記のような範囲の置換度とすることにより、機械強度及び成形性等を向上させることができる。
分子量分布(MWD)は1.1〜10.0の範囲が好ましく、1.5〜8.0の範囲が更に好ましい。この範囲の分子量分布とすることにより、成形性等を向上させることができる。
本発明における、数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)及び分子量分布(MWD)の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて行うことができる。具体的には、N−メチルピロリドンを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から予め求められた換算分子量較正曲線を用いて求めることができる。
本発明におけるセルロース誘導体の製造方法は特に限定されず、セルロースを原料とし、セルロースに対しエーテル化及びエステル化することにより本発明におけるセルロース誘導体を製造することができる。セルロースの原料としては限定的でなく、例えば、綿、リンター、パルプ等が挙げられる。
前記セルロースエーテルとしては、例えば、セルロースに含まれるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位の水酸基の水素原子の少なくとも一部が、炭化水素基に置換されたものを用いることができ、具体的には、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ブチルセルロース、アリルセルロース、ベンジルセルロース等が挙げられる。
また、別の態様として、例えばメチルセルロース、エチルセルロース等のセルロースエーテルにプロピレンオキサイド等によりエーテル化するか、又はセルロースにメチルクロライド、エチルクロライド等のアルキルクロライド/炭素数3のアルキレンオキサイド等を作用させた後、更に酸クロライド又は酸無水物等を反応させることにより、エステル化する工程を含む方法も挙げられる。
酸クロライドを反応させる方法としては、例えばCellulose 10;283−296,2003に記載の方法を用いることができる。
炭化水素基とヒドロキシエチル基を有するセルロースエーテルとしては、具体的には、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルアリルセルロース、ヒドロキシエチルベンジルセルロース等が挙げられる。好ましくは、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロースである。
炭化水素基とヒドロキシプロピル基を有するセルロースエーテルとしては、具体的には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルアリルセルロース、ヒドロキシプロピルベンジルセルロース等が挙げられる。好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロースである。
なお、前述したとおり、本発明におけるセルロース誘導体は置換基としてカルボン酸を有さないことが好ましいため、例えば無水フタル酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸等、セルロースと反応させてカルボキシル基が生じる化合物を用いないことが好ましい。
本発明の成形材料は、前記セルロース誘導体と、下記一般式(p1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(p2)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一方を含み、かつ少なくとも1つの末端基が下記一般式(p1−1)、(p1−2)、(p2−1)、又は(p2−2)で表される基であるポリエーテル化合物とを含有する。
−CH2CH(Rp)O− ・・・(p1)
−(CH2)pO− ・・・(p2)
[一般式(p1)及び(p2)中Rpは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、又はハロゲン原子を表す。該アルキル基はハロゲン原子、アリルオキシ基を置換基として有してもよい。pは2〜5の整数を表す。]
−CH2CH(Rp)O−Rm1 ・・・(p1−1)
Rm2−CH2CH(Rp)O− ・・・(p1−2)
−(CH2)pO−Rm1 ・・・(p2−1)
Rm2−(CH2)pO− ・・・(p2−2)
[一般式(p1−1)、(p1−2)、(p2−1)、及び(p2−2)中Rpは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、又はハロゲン原子を表す。該アルキル基はハロゲン原子、アリルオキシ基を置換基として有してもよい。pは2〜5の整数を表す。Rm1は水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。Rm2は水素原子、炭素数1〜20のアルコキシル基、水酸基、又は炭素数2〜20のアシロキシ基を表す。]
ポリエーテル化合物は、一般式(p1)で表される繰り返し単位を有する場合は少なくとも1つの末端基が一般式(p1−1)又は(p1−2)で表されることが好ましく、一般式(p2)で表される繰り返し単位を有する場合は少なくとも1つの末端基が一般式(p2−1)又は(p2−2)で表されることが好ましい。
一般式(p1−1)及び(p2−1)におけるRm1は、前記セルロース誘導体との相溶性がより優れるため、好ましくは水素原子又は炭素数1〜16のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基であり、最も好ましくは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基である。
炭素数1〜20のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、tert−ブチル基、イソヘプチル基、ステアリル基、ラウリル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、tert−ブチル基、イソヘプチル基が好ましい。
一般式(p1−2)及び(p2−2)におけるRm2が炭素数1〜20のアルキル基を表す場合、該アルキル基の具体例及び好ましい範囲は上記Rm1がアルキル基を表す場合の具体例及び好ましい範囲と同様である。
一般式(p1−2)及び(p2−2)におけるRm2が炭素数2〜20のアシロキシ基を表す場合、該炭素数2〜20のアシロキシ基としては具体的には、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレロイルオキシ基、2−エチルヘキサノイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ラウロイルオキシ基等が挙げられ、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレロイルオキシ基、2−エチルヘキサノイルオキシ基が好ましい。
前記ポリエーテル化合物における末端基は同じでも異なっていてもよい。
ポリエーテル化合物が一般式(p1)で表される繰り返し単位及び一般式(p2)で表される繰り返し単位を両方有する場合、一般式(p1)で表される繰り返し単位と一般式(p2)で表される繰り返し単位との含有比はモル比で2:98〜50:50が好ましく、5:95〜25:75がより好ましい。
本発明において、ポリエーテル化合物が、前記一般式(p2)で表される繰り返し単位を有し、一方の末端基が前記一般式(p2−1)で表され、Rm1が水素原子であり、もう一方の末端基が前記一般式(p2−2)で表され、Rm2が水酸基であることが得られる成形体の耐衝撃性が優れることから好ましい。
本発明におけるポリエーテル化合物において、一般式(p1)で表される繰り返し単位、及び一般式(p2)で表される繰り返し単位の含有量は本発明のセルロース誘導体との相溶性に優れることから、全繰り返し単位に対して一般式(p2)の繰り返し単位の比率が70〜100モル%であることが好ましく、85〜100モル%であることがより好ましい。
本発明において、ポリエーテル化合物は一般式(p1)、(p2)以外のその他の繰り返し単位を有していてもよいが、本発明のセルロース誘導体との相溶性が低下し、得られる成形体の落球衝撃強度が低下することから有さないことが好ましい。すなわち、ポリエーテル化合物は一般式(p1)で表される繰り返し単位のみからなる場合、一般式(p2)で表される繰り返し単位のみからなる場合、又は、一般式(p1)で表される繰り返し単位及び一般式(p2)で表される繰り返し単位のみからなる場合が好ましい。ポリエーテル化合物がその他の繰り返し単位を有する場合は全繰り返し単位に対して1〜30モル%であることが好ましく、1〜20モル%であることがより好ましい。
これらポリエーテル化合物は工業的に入手可能であり、住友精化工業(株)、明成化学工業(株)、日本ゼオン(株)などから種々の構造、分子量のものが販売されている。
本発明の成形材料は、上記で説明したセルロース誘導体とポリエーテル化合物を含有しており、必要に応じてその他の添加剤を含有することができる。
本発明の成形材料に含まれる成分の含有割合は、特に限定されない。好ましくはセルロース誘導体を50質量%以上、より好ましくは60質量%以上99質量%以下、更に好ましくは80質量%以上95質量%以下、特に好ましくは80質量%以上90質量%以下含有する。
フィラーとしては、公知のものを使用できる。フィラーの形状は、繊維状、板状、粒状、粉末状等いずれでもよい。また、無機物でも有機物でもよい。
具体的には、無機フィラーとしては、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維及び硼素繊維等の繊維状の無機フィラーや;ガラスフレーク、非膨潤性雲母、カーボンブラック、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト、白土等の板状や粒状の無機フィラーが挙げられる。
難燃剤は、特に限定されず、常用のものを用いることができる。例えば、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン含有難燃剤、ケイ素含有難燃剤、窒素化合物系難燃剤、無機系難燃剤等が挙げられる。これらの中でも、樹脂との複合時や成形加工時に熱分解してハロゲン化水素が発生して加工機械や金型を腐食させたり、作業環境を悪化させたりすることがなく、また、焼却廃棄時にハロゲンが気散したり、分解してダイオキシン類等の有害物質の発生等によって環境に悪影響を与える可能性が少ないことから、リン含有難燃剤及びケイ素含有難燃剤が好ましい。
これらのリン含有難燃剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのケイ素含有難燃剤は1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の成分としては、例えば、前記セルロース誘導体以外のポリマー、可塑剤、安定剤(紫外線吸収剤など)、帯電防止剤、難燃助剤、加工助剤、ドリップ防止剤、抗菌剤、防カビ剤等が挙げられる。更に、染料や顔料を含む着色剤などを添加することもできる。
また、各種アクリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩(いわゆるアイオノマー)、エチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体)、ジエン系ゴム(例えば、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン)、ジエンとビニル単量体との共重合体(例えば、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエンにスチレンをグラフト共重合させたもの、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体)、ポリイソブチレン、イソブチレンとブタジエン又はイソプレンとの共重合体、ブチルゴム、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、その他ポリウレタン系やポリエステル系、ポリアミド系などの熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
これらのポリマーは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
着色剤としては公知の顔料、染料等が挙げられ、好ましい顔料としては、有機顔料としては、モノアゾ及び縮合アゾ系、アンスラキノン系、イソインドリノン系、複素環系、ペリノン系、キナクリドン系、ペリレン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系等が挙げられる。無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、焼成顔料、メタリック顔料等が挙げられる。
ここで、カーボンブラックとしては、チャネルブラック系、ファーネスブラック系、ランプブラック系、サーマルブラック系、ケッチェンブラック系、ナフタレンブラック系等が好ましく用いられる。これらのカーボンブラックは1種で用いても良いし、又、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、他の着色剤と併用してもよい。メタリック顔料としては、アルミニウム、着色アルミニウム、ニッケル、スズ、銅、金、銀、白金、酸化鉄、ステンレス、チタン等の金属粒子、マイカ製パール顔料、カラーグラファイト、カラーガラス繊維、カラーガラスフレーク等を挙げることができる。
本発明の成形体の製造方法は、前記成形材料を加熱し、成形する工程を含む。
成形方法としては、例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形等が挙げられる。
加熱温度は、通常160〜300℃であり、好ましくは180〜260℃である。
<合成例1:アセトキシプロピルメチルアセチルセルロース(C−1)の合成>
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた5Lの三ツ口フラスコにヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名メトローズ90SH−100;信越化学製)60g、N,N−ジメチルアセトアミド2100mLを量り取り、室温で攪拌した。反応系が透明になり完溶したことを確認した後、アセチルクロライド101mLをゆっくりと滴下し、系の温度を80〜90℃に昇温した。このまま3時間攪拌した後、反応系の温度を室温まで冷却した。反応溶液を水10Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量の水で3回洗浄を行った。得られた白色固体を100℃で6時間真空乾燥することにより目的のセルロース誘導体(C−1)(アセトキシプロピルメチルアセチルセルロース)を白色粉体として得た。このセルロース誘導体(C−1)の25℃での水への溶解度は0.1質量%未満であった(不溶)。
合成例1におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名メトローズ90SH−100;信越化学製)をヒドロキシエチルメチルセルロース(商品名マーポローズME−250T;松本油脂製)、メチルセルロース(商品名マーポローズM−4000:松本油脂製株式会社製)、エチルセルロース(商品名エトセル300CP:ダウケミカル製)に変更した以外は合成例1と同様にしてアセトキシエチルメチルアセチルセルロース(C−2)、メチルアセチルセルロース(C−3)、エチルアセチルセルロース(C−4)を得た。このセルロース誘導体(C−2)、(C−3)、(C−4)の25℃での水への溶解度はいずれも0.1質量%未満であった(不溶)。
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた3Lの三ツ口フラスコにメチルセルロース(和光純薬製:メチル置換度1.8)80g、ピリジン1500mLを量り取り、室温で攪拌した。ここに水冷下、2−エチルヘキサノイルクロリド173mLをゆっくりと滴下し、更に60℃で6時間攪拌した。反応後、室温に戻し、氷冷下、メタノール200mLを加えてクエンチした。反応溶液を水12Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノール溶媒で3回洗浄を行った。得られた白色固体を100℃で6時間真空乾燥することによりメチルセルロース−2−エチルヘキサノエート(C−5)を得た。このセルロース誘導体(C−5)の25℃での水への溶解度は0.1質量%未満であった(不溶)。
合成例5におけるメチルセルロース(和光純薬製:メチル置換度1.8)に変えて、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名メトローズ90SH−100;信越化学製)、及び2−エチルヘキサノイルクロリドに変えてバレロイルクロライドを用いた以外、合成例5と同様にして、バレロキシプロピルバレロイルセルロース(C−6)を得た。このセルロース誘導体(C−6)の25℃での水への溶解度は0.1質量%未満であった(不溶)。
合成例6におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名メトローズ90SH−100;信越化学製)をヒドロキシブチルメチルセルロースを用いた以外、合成例6と同様にしてバレロキシブチルメチルバレロイルセルロース(C−7)を得た。このセルロース誘導体(C−7)の25℃での水への溶解度は0.1質量%未満であった(不溶)。
また、コロイド滴定法を行い、上記セルロース誘導体(C−1)〜(C−7)におけるカルボキシル基又はスルホン酸基の置換度が0.02未満(すなわち、カルボキシル基又はスルホン酸基の含有量がセルロース誘導体に対して0.5質量%未満)であることを確認した。
得られたセルロース誘導体について、数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、を測定した。これらの測定方法は以下の通りである。
[分子量及び分子量分布]
数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いた。具体的には、N−メチルピロリドンを溶媒とし、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から予め求められた換算分子量較正曲線を用いて求めた。GPC装置は、HLC−8220GPC(東ソー社製)を使用した。
セルロース誘導体(C−1〜C−7、H−1)、及びポリエーテル化合物(P−1〜P−11)、可塑剤(S−1)を下記表2に記載の質量部で添加し、酸化防止剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製「イルガノックス1010」)0.5質量部を添加後、ヘンシェルミキサーで混合して成形材料用混合物を作製した。この混合物をバレル温度210℃に設定した二軸混練押出機(テクノベル(株)製、Ultranano)に供給しペレットを作製した。続いて、得られたペレットを小型射出成形機(ファナック(株)Roboshot S−2000i、自動射出成形機)に供給して、幅4mm×長さ10mm×厚み80mmの多目的試験片(曲げ試験片、HDT試験片)及び幅8cm×長さ5cm×厚み2mmの板状試験片を成形した。
[ポリエーテル化合物]
(P−1)ポリエチレングリコール(質量平均分子量500,000、明成化学工業社製「アルコックスE−30」)
(P−2)ポリエチレングリコール(質量平均分子量2,000、和光純薬工業社製試薬)
(P−3)ポリエチレングリコール(質量平均分子量20,000、和光純薬工業社製試薬)
(P−4)ポリエチレングリコール(質量平均分子量200,000、明成化学工業社製「アルコックスR−400」)
(P−5)ポリエチレングリコール(質量平均分子量2,000,000、明成化学工業社製「アルコックスE−75」)
(P−6)ポリエチレングリコール(質量平均分子量3,500,000、明成化学工業社製「アルコックスE−130」)
(P−7)エチレングリコール−1,2−プロピレングリコール共重合体(モル比率90/10、質量平均分子量1,000,000、明成化学工業社製「アルコックスEP−10」)
(P−8)ポリエピクロルヒドリン(質量平均分子量350,000、日本ゼオン社製)
(P−9)ポリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)(質量平均分子量2,000、アルドリッチ社製試薬)
(P−10)ポリエチレングリコールジメチルエーテル(質量平均分子量2,000、アルドリッチ社製試薬)
(P−11)ポリ1,3−プロピレングリコール(質量平均分子量2,000、アルドリッチ社製試薬)
また、比較となる可塑剤として、以下を準備した。
(S−1)アジピン酸−エチレングリコール共重合体(質量平均分子量550、アデカ社製「アデカサイザーRS−1000」)
得られた多目的試験片及び板状試験片を用いて、以下の項目について評価した。評価結果等を表2に示す。
JIS K7211−1に準じて、板状試験片の両端(幅8cmのうち、各1cm)を固定し、筒状ガイドを使用して500g鋼球を、所定の高さから試験片の中心に落下させ、試験片にクラックが貫通したか否かを観察した。複数の試験片について、試験を行い試験片にクラックが貫通する確率が50%であるときの高さを求めた。その結果から、破壊エネルギー(単位J)を求め、表2に示した。試験は23℃にて行った。
ISO178に準拠して、射出成形にて成形した試験片を23℃±2℃、50%±5%RHで48時間以上調製した後、インストロン(東洋精機製、ストログラフV50)によって支点間距離64mm、試験速度2mm/minで測定した。測定は3回測定の平均値である。結果を表2に示す。なお、曲げ弾性率が1GPa以上であることは、成形材料が実用上良好に使用可能であることを意味する。
ISO75−1、2の方法に準拠して、射出成形にて成形した試験片を1.8MPa荷重にて測定した。結果を表2に示す。
JIS K−7210に準拠して、テクノセブン(株)製L251−11型MFR測定機を用いて、220℃、荷重10kgで10分間に流出したポリマー量(cm3)で示した。結果を表2に示す。
Claims (17)
- セルロースに含まれる水酸基の水素原子が、
下記A)で置換された基を少なくとも1つ、及び
下記B)で置換された基を少なくとも1つ含むセルロース誘導体と、
下記一般式(p1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(p2)で表される繰り返し単位のうち少なくとも一方を含み、かつ少なくとも1つの末端基が下記一般式(p1−1)、(p1−2)、(p2−1)、又は(p2−2)で表される基であるポリエーテル化合物とを含有する成形材料。
A)炭化水素基:−RA
B)アシル基:−CO−RB(RBは炭化水素基を表す。)
−CH2CH(Rp)O− ・・・(p1)
−(CH2)pO− ・・・(p2)
[一般式(p1)及び(p2)中Rpは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、又はハロゲン原子を表す。該アルキル基はハロゲン原子、アリルオキシ基を置換基として有してもよい。pは2〜5の整数を表す。]
−CH2CH(Rp)O−Rm1 ・・・(p1−1)
Rm2−CH2CH(Rp)O− ・・・(p1−2)
−(CH2)pO−Rm1 ・・・(p2−1)
Rm2−(CH2)pO− ・・・(p2−2)
[一般式(p1−1)、(p1−2)、(p2−1)、及び(p2−2)中Rpは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、又はハロゲン原子を表す。該アルキル基はハロゲン原子、アリルオキシ基を置換基として有してもよい。pは2〜5の整数を表す。Rm1は水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。Rm2は水素原子、炭素数1〜20のアルコキシル基、水酸基、又は炭素数2〜20のアシロキシ基を表す。] - 前記ポリエーテル化合物が、前記一般式(p2)で表される繰り返し単位を有し、一方の末端基が前記一般式(p2−1)で表され、Rm1が水素原子であり、もう一方の末端基が前記一般式(p2−2)で表され、Rm2が水酸基である、請求項1に記載の成形材料。
- 前記セルロース誘導体が、更に、セルロースに含まれる水酸基の水素原子が下記C)で置換された基を少なくとも1つ含む、請求項1又は2に記載の成形材料。
C)アルキレンオキシ基:−RC2−O−とアシル基:−CO−RC1とを含む基(RC1は炭化水素基を表し、RC2は炭素数が2〜4のアルキレン基を表す。) - 前記RAが炭素数1〜4のアルキル基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形材料。
- 前記RAがメチル基又はエチル基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形材料。
- 前記RB及びRC1が、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の成形材料。
- 前記RB及びRC1が、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、又はプロピル基である、請求項3〜7のいずれか1項に記載の成形材料。
- 前記RBが、炭素数3〜10の分岐構造を有する炭化水素基である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形材料。
- 前記セルロース誘導体が、カルボキシル基、スルホン酸基、及びこれらの塩を実質的に有さない、請求項1〜10のいずれか1項に記載の成形材料。
- 前記セルロース誘導体が水に不溶である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の成形材料。
- 前記ポリエーテル化合物が、ポリエチレングリコール、及びエチレングリコール/プロピレングリコール共重合体から選択される少なくとも一つである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の成形材料。
- 前記ポリエーテル化合物が、質量平均分子量10,000〜10,000,000である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の成形材料。
- 請求項1〜14のいずれか1項に記載の成形材料を成形して得られる成形体。
- 請求項1〜14のいずれか1項に記載の成形材料を加熱し、成形する工程を含む、成形体の製造方法。
- 請求項15に記載の成形体から構成される電気電子機器用筐体。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010265812A JP5639862B2 (ja) | 2010-11-29 | 2010-11-29 | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 |
PCT/JP2011/076323 WO2012073689A1 (ja) | 2010-11-29 | 2011-11-15 | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010265812A JP5639862B2 (ja) | 2010-11-29 | 2010-11-29 | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012116901A true JP2012116901A (ja) | 2012-06-21 |
JP5639862B2 JP5639862B2 (ja) | 2014-12-10 |
Family
ID=46171636
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010265812A Expired - Fee Related JP5639862B2 (ja) | 2010-11-29 | 2010-11-29 | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5639862B2 (ja) |
WO (1) | WO2012073689A1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016069419A (ja) * | 2014-09-26 | 2016-05-09 | 富士ゼロックス株式会社 | 樹脂組成物、及び樹脂成形体 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0760083A (ja) * | 1993-08-26 | 1995-03-07 | Teijin Ltd | セルロースエステル中空糸膜の製造方法 |
JP2004182979A (ja) * | 2002-11-21 | 2004-07-02 | Toray Ind Inc | 熱可塑性セルロースアセテートプロピオネート組成物およびそれからなる繊維 |
JP2005283997A (ja) * | 2004-03-30 | 2005-10-13 | Daicel Chem Ind Ltd | セルロースエーテルアセテート光学フィルム |
JP2006111858A (ja) * | 2004-09-17 | 2006-04-27 | Toray Ind Inc | 樹脂組成物ならびにそれからなる成形品 |
JP2006341434A (ja) * | 2005-06-08 | 2006-12-21 | Konica Minolta Opto Inc | 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 |
-
2010
- 2010-11-29 JP JP2010265812A patent/JP5639862B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
2011
- 2011-11-15 WO PCT/JP2011/076323 patent/WO2012073689A1/ja active Application Filing
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0760083A (ja) * | 1993-08-26 | 1995-03-07 | Teijin Ltd | セルロースエステル中空糸膜の製造方法 |
JP2004182979A (ja) * | 2002-11-21 | 2004-07-02 | Toray Ind Inc | 熱可塑性セルロースアセテートプロピオネート組成物およびそれからなる繊維 |
JP2005283997A (ja) * | 2004-03-30 | 2005-10-13 | Daicel Chem Ind Ltd | セルロースエーテルアセテート光学フィルム |
JP2006111858A (ja) * | 2004-09-17 | 2006-04-27 | Toray Ind Inc | 樹脂組成物ならびにそれからなる成形品 |
JP2006341434A (ja) * | 2005-06-08 | 2006-12-21 | Konica Minolta Opto Inc | 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016069419A (ja) * | 2014-09-26 | 2016-05-09 | 富士ゼロックス株式会社 | 樹脂組成物、及び樹脂成形体 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2012073689A1 (ja) | 2012-06-07 |
JP5639862B2 (ja) | 2014-12-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2011078275A1 (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
WO2011078285A1 (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP2011132448A (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに容器およびフィルム | |
JP5639863B2 (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP2012111925A (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP5639862B2 (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP2011132445A (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP5470030B2 (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP2011132459A (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP5486918B2 (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
WO2011078283A1 (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP2011132451A (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
WO2011078282A1 (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP2011132438A (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP5486917B2 (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP5364567B2 (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
WO2011078279A1 (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP2011132444A (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
WO2011078276A1 (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP2011149006A (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP2011132435A (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP2011132452A (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP2011132462A (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP2011132432A (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 | |
JP2011132467A (ja) | 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20121005 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130617 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140708 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140905 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140930 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20141027 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |