JP2012107546A - ロータリー圧縮機 - Google Patents

ロータリー圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JP2012107546A
JP2012107546A JP2010255703A JP2010255703A JP2012107546A JP 2012107546 A JP2012107546 A JP 2012107546A JP 2010255703 A JP2010255703 A JP 2010255703A JP 2010255703 A JP2010255703 A JP 2010255703A JP 2012107546 A JP2012107546 A JP 2012107546A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hole
head
stage
cylinder
bolt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2010255703A
Other languages
English (en)
Inventor
Yorihide Higuchi
順英 樋口
Keiji Komori
啓治 小森
Chihiro Endo
ちひろ 遠藤
Masaaki Adachi
将彬 足立
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP2010255703A priority Critical patent/JP2012107546A/ja
Publication of JP2012107546A publication Critical patent/JP2012107546A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】ボルト締めによってシリンダ(22)に固定されるヘッド部材(23)がシリンダ室(25)へ膨出するのを抑制する。
【解決手段】駆動軸(13)に回転駆動されるピストン(21)と、ピストン(21)を収容するシリンダ室(25)が内部に形成されボルト(45)が締結されるボルト穴(22a)が軸方向に形成されるシリンダ(22)と、シリンダ(22)の軸方向の開口端を覆うように形成されボルト穴(22a)と同軸上に位置する貫通穴(23f)が形成されるヘッド部材(23)とを備えるスクロール圧縮機に、貫通穴(23f)の軸方向両端に亘って延びて該貫通穴(23f)に内嵌し内方に上記ボルト(45)が挿通される挿通穴(27a)が形成される筒状のスリーブ(27)を設ける。スリーブ(27)のヤング率は、ヘッド部材(23)のヤング率よりも大きい。
【選択図】図5

Description

本発明は、ロータリー圧縮機に関し、特に圧縮機構のピストンをスムーズに動作させるための対策に係るものである。
従来より、流体を圧縮するための圧縮機として、ロータリー圧縮機が知られている。この種のロータリー圧縮機は、特許文献1の図5などに開示されるように、電動モータに連結される駆動軸により回転駆動されるピストンと、該ピストンを内部に収容する環状のシリンダと、該シリンダの軸方向の開口端を覆う2つのヘッド部材としてのフロントヘッド及びリアヘッドとを含む圧縮機構を備えている。この圧縮機構は、ピストンがシリンダ室に内接しながら旋回運動することにより、冷媒を徐々に圧縮するように構成されている。
上記フロントヘッド及びリアヘッドは、ボルトによってシリンダに固定されている。具体的には、シリンダには複数のボルト穴が形成され、フロントヘッド及びリアヘッドには、それぞれ、上記シリンダの複数のボルト穴に対応する位置に、複数の貫通穴が形成されている。シリンダに対して各ヘッド部材がボルト締めされることにより、シリンダに対して各ヘッド部材が固定される。
特開2008−163876号公報
ところで、上述のようにシリンダに対してヘッド部材をボルト締めすると、ヘッド部材のうちボルト締めによる圧力を受けやすい部位、即ちヘッド部材においてボルトが貫通される貫通穴付近の部位は、圧縮されてその厚さが薄くなる。そうなると、ヘッド部材のうちボルト締めによる圧力を受けにくい部位、つまりヘッド部材のうちシリンダ室に臨んでいる部位は、シリンダ室内に膨出する。その結果、シリンダ室内で旋回運動するピストンとヘッド部材との間のクリアランスが小さくなるため、ピストンとヘッド部材との間の摺動抵抗が増大し、最終的には圧縮機構の圧縮性能の低下やピストンの焼付き等に至ってしまう。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ボルト締めによってシリンダに固定されるヘッド部材がシリンダ室側へ膨出するのを抑制することである。
第1の発明は、ロータリー圧縮機を対象とし、ケーシング(11)と、該ケーシング(11)内に収容され、駆動軸(13)を有する駆動機構(12)と、該駆動軸(13)に回転駆動されるピストン(21)と、該ピストン(21)を収容するシリンダ室(25)が内部に形成され、ボルト(45)が締結されるボルト穴(22a)が軸方向に形成されるシリンダ(22)と、該シリンダ(22)の軸方向の開口端を覆うように形成され、上記ボルト穴(22a)と同軸上に位置する貫通穴(23f)が形成されるヘッド部材(23)と、上記貫通穴(23f)の軸方向両端に亘って延びて該貫通穴(23f)に内嵌し、内方に上記ボルト(45)が挿通される挿通穴(27a)が形成される筒状のスリーブ(27)と、を備え、該スリーブ(27)のヤング率は、上記ヘッド部材(23)のヤング率よりも大きいことを特徴とする。
第1の発明では、駆動機構(12)の駆動軸(13)がピストン(21)を回転駆動させる。ピストン(21)は、シリンダ(22)の内部に形成されたシリンダ室(25)内において、該シリンダ室(25)に内接しながら旋回運動することにより、流体を徐々に圧縮する。
ここで、第1の発明では、ヘッド部材(23)はボルト(45)によってシリンダ(22)に固定されている。そして、ボルト(45)が挿通されるヘッド部材(23)の貫通穴(23f)の内周面には、ヘッド部材(23)よりもヤング率の大きい筒状のスリーブ(27)が、該貫通穴(23f)の軸方向両端に亘って内嵌している。つまり、ヘッド部材(23)の貫通穴(23f)には、ヘッド部材(23)を構成する材質よりも圧縮されにくい材質で構成された部材が挿通されている。これにより、ヘッド部材(23)をシリンダ(22)に対してボルト締めしても、軸方向に圧縮されにくいスリーブ(27)によって、ヘッド部材(23)のうち貫通穴(23f)付近の部位が圧縮されるのが抑制される。その結果、ヘッド部材(23)のうちシリンダ室(25)に臨む部位がシリンダ室(25)側へ膨出するのが抑制される。
第2の発明は、第1の発明において、上記ヘッド部材(23)は、上記シリンダ(22)の軸方向の開口端を覆う板状に形成され、上記貫通穴(23f)が形成される閉塞部(23a)と、上記駆動軸(13)を回転可能に支持するように、上記閉塞部(23a)から上記シリンダ(22)と反対側に延出する筒状の軸受部(23b)とを含み、上記閉塞部(23a)との間に上記シリンダ室(25)と連通する消音空間(26)を形成するように上記軸受部(23b)の延出端から径方向外方に拡がる板状に形成され、上記スリーブ(27)の挿通穴(27a)と同軸上に位置して上記ボルト(45)が挿通される貫通穴(24a)が形成されるカバー部材(24)を更に備えることを特徴とする。
第2の発明では、ヘッド部材(23)とカバー部材(24)との間には、シリンダ(22)内と連通する消音空間(26)が形成される。シリンダ室(25)内で圧縮された流体がシリンダ室(25)から吐出される際に発生する流体の騒音や、消音空間(26)からシリンダ室(25)へ吸入される流体の騒音は、上記消音空間(26)によって低減される。
また、ヘッド部材(23)とカバー部材(24)とは、ヘッド部材(23)の軸受部(23b)の延出端とカバー部材(24)とが当接した状態でボルト締めされるため、軸受部(23b)の延出端に対してカバー部材(24)が押しつけられることにより軸受部(23b)とカバー部材(24)とが密着する。これにより、上記消音空間(26)の気密性が確保される。
ここで、上述のように、ヘッド部材(23)の軸受部(23b)がカバー部材(24)によって押しつけられているため、軸受部(23b)はカバー部材(24)側へ膨出しにくい反面、シリンダ室(25)側へ膨出しやすい。軸受部(23b)のうちシリンダ室(25)に臨む部位は、ピストン(21)のスラスト軸受となるため、軸受部(23b)がシリンダ室(25)側へ膨張すると、ピストン(21)とヘッド部材(23)との摺動抵抗が増大しやすい。これに対して、第2の発明では、ヘッド部材(23)の貫通穴(23f)に挿通されたスリーブ(27)によって、該ヘッド部材(23)の貫通穴(23f)近傍の部位が圧縮されにくくなる。その結果、軸受部(23b)がシリンダ室(25)へ膨出するのが抑制される。
第3の発明は、第2の発明において、上記ヘッド部材(23)には、上記消音空間(26)と上記ケーシング(11)の外部とを連通する連通管(41)が挿通される連通穴(23e)が、上記ヘッド部材(23)に形成された貫通穴(23f)の近傍に形成されていることを特徴とする。
第3の発明では、シリンダ室(25)において圧縮された流体をケーシング(11)の外部へ導くため、ヘッド部材(23)に、消音空間(26)とケーシング(11)の外部とを連通する連通管(41)が挿通される連通穴(23e)が形成されている。シリンダ室(25)で圧縮されて消音空間(26)へ流入した流体は、上記連通管(41)を通じてケーシング(11)外へ吐出される。
ここで、ヘッド部材(23)における連通穴(23e)近傍の部位は、連通穴(23e)から離れた部位と比べて剛性が低く、ボルト締めされると比較的圧縮されやすい。これに対して、第3の発明では、ヘッド部材(23)よりもヤング率の高いスリーブ(27)が挿通された貫通穴(23f)の近傍に連通穴(23e)を形成した。こうすると、ヘッド部材(23)において剛性の低い連通穴(23e)近傍の部位が、ボルト締めによって過剰に圧縮されてしまうのが抑制され、その分、ヘッド部材(23)がシリンダ室(25)へ膨出するのが抑制される。
第4の発明は、第2又は第3の発明において、上記カバー部材(24)の貫通穴(24a)の軸方向両端に亘って延びて該貫通穴(24a)に内嵌し、内方に上記ボルト(45)の挿通穴(28a)が形成されるカバー部材側スリーブ(28)を更に備え、該カバー部材側スリーブ(28)のヤング率は、上記カバー部材(24)のヤング率よりも大きいことを特徴とする。
第4の発明では、カバー部材(24)の貫通穴(24a)にも、ヘッド部材(23)の貫通穴(23f)と同様、圧縮されにくい筒状の部材が挿通されている。具体的には、カバー部材(24)に形成された貫通穴(24a)には、カバー部材(24)よりもヤング率の大きい筒状のカバー部材側スリーブ(28)が、貫通穴(24a)の軸方向両端に亘って設けられている。これにより、カバー部材(24)をヘッド部材(23)に対してボルト締めしても、カバー部材側スリーブ(28)によって、カバー部材(24)のうち貫通穴(24a)付近の部位が圧縮されるのが抑制される。その結果、カバー部材(24)における軸受部(23b)との当接部が膨出しにくくなる。従って、カバー部材(24)における軸受部(23b)との当接部が膨出することに起因して軸受部(23b)がシリンダ室(25)側へ押圧されて撓んでしまうのが抑制される。
第5の発明は、第1から第4の発明のうちいずれか1つにおいて、上記シリンダ(22)には、複数の上記ボルト穴(22a)が形成され、上記ヘッド部材(23)には、複数の上記ボルト穴(22a)のそれぞれに対応する複数の上記貫通穴(23f)が形成され、複数の上記貫通穴(23f)のそれぞれには、上記スリーブ(27)が内嵌されていることを特徴とする。
第5の発明では、ヘッド部材(23)には、シリンダ(22)に形成された複数のボルト穴(22a)のそれぞれに対応する複数の貫通穴(23f)が形成されているため、複数のボルト(45)によってヘッド部材(23)がシリンダ(22)に固定される。従って、ヘッド部材(23)のシリンダ(22)に対する密着性が高くなるため、シリンダ室(25)の気密性が高まる。そして、上記複数の貫通穴(23f)の全てにスリーブ(27)が内嵌しているため、ヘッド部材(23)における上記複数の貫通穴(23f)付近の部位が圧縮されるのが抑制され、その分、ヘッド部材(23)がシリンダ室(25)へ膨出したり撓んだりするのが抑制される。
上記第1の発明によれば、ヘッド部材(23)の貫通穴(23f)に、該ヘッド部材(23)よりもヤング率の大きい筒状のスリーブ(27)を設けたため、ヘッド部材(23)の貫通穴(23f)付近の部位がボルト締めによって圧縮されるのを抑制できる。従って、ヘッド部材(23)のうちシリンダ室(25)へ臨む部分が、シリンダ室(25)へ膨出するのを抑制できる。
また、上記第2の発明によれば、カバー部材(24)によってシリンダ室(25)側へ押しつけられた軸受部(23b)が、シリンダ室(25)へ膨出するのを抑制できる。
また、上記第3の発明によれば、連通管(41)が挿通される連通穴(23e)を、ヘッド部材(23)の貫通穴(23f)の近傍に形成したため、ヘッド部材(23)において比較的剛性の低い貫通穴(23f)近傍の部位が過剰に圧縮されるのを抑制できる。これにより、ヘッド部材(23)がシリンダ室(25)に膨出するのを抑制できる。
また、上記第4の発明によれば、カバー部材(24)の貫通穴(23f)に、該カバー部材(24)よりもヤング率の大きい筒状のカバー部材側スリーブ(28)を設けたため、カバー部材(24)の貫通穴(24a)付近の部位がボルト締めによって圧縮されるのを抑制できる。従って、カバー部材(24)における軸受部(23b)との当接部の膨出が低減され、軸受部(23b)がシリンダ室(25)側へ撓むのを抑制できる。
また、上記第5の発明によれば、ヘッド部材(23)に形成した複数の貫通穴(23f)のそれぞれにスリーブ(27)を内嵌したため、ヘッド部材(23)が広範囲に亘って圧縮されるのを抑制でき、その分、ヘッド部材(23)がシリンダ室(25)側に膨出したり撓んだりするのを抑制できる。
図1は、本実施形態に係るロータリー圧縮機の縦断面図である。 図2は、図1のII−II線における断面図である。 図3は、図1のIII−III線における断面図である。 図4は、図1のIV−IV線における断面図である。 図5は、図2のV−V線における断面図であって、リアヘッド側スリーブ及びリアカバー側スリーブの構成を示す図である。 図6は、その他の実施形態に係るロータリー圧縮機の縦断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
−全体構成−
本実施形態のロータリー圧縮機(10)は、冷媒を二段階で圧縮するように構成されたいわゆる二段圧縮機で構成されている。ロータリー圧縮機(10)は、図1に示すように、縦長円筒状の密閉ドーム型のケーシング(11)と、上下方向に延びる駆動軸(13)を有する電動機(12)で構成された駆動機構と、駆動軸(13)によって駆動され、低段側圧縮機構(20)及び高段側圧縮機構(30)で構成される圧縮機構(14)と、油供給機構(15)とを備えている。
ケーシング(11)は、上下方向に延びる円筒状のケーシング本体(11a)と、該ケーシング本体の上下の開口部をそれぞれ閉塞する上壁部(11b)及び底壁部(11c)とを備えている。ケーシング本体(11a)には、圧縮前の冷媒を低段側圧縮機構(20)へ導く吸入管(40)と、低段側圧縮機構(20)で圧縮された中間圧冷媒を吐出する中間圧吐出管(41)で構成された連通管と、気液分離器(図示省略)によって液冷媒が分離された中間圧ガス冷媒を高段側圧縮機構(30)へ導く中間圧吸入管(42)とが挿通固定されている。また、上壁部(11b)には、高段側圧縮機構(30)で圧縮された高圧冷媒を吐出する吐出管(43)が挿通固定されている。また、底壁部(11c)には、各圧縮機構(20,30)の摺動部を潤滑するための潤滑油が貯留されている。
電動機(12)は、ステータ(12a)とロータ(12b)とを備えている。ステータ(12a)は、圧縮機構(14)の上方に配置されケーシング本体(11a)の内壁に固定されている。ロータ(12b)は、ステータ(12a)を軸方向に貫通しており、駆動軸(13)と連結している。
駆動軸(13)は、主軸部(13a)と、第1偏心部(13b)及び第2偏心部(13c)とを備えている。第1偏心部(13b)は駆動軸(13)のうち低段側圧縮機構(20)を貫通する部分に形成されている一方、第2偏心部(13c)は駆動軸(13)のうち高段側圧縮機構(30)を貫通する部分に形成されている。第1偏心部(13b)は、第2偏心部(13c)の下方に配置されている。第1偏心部(13b)及び第2偏心部(13c)は、ともに外径が主軸部(13a)の外径よりも大きな円柱状に形成されている。各偏心部(13b,13c)の軸心は、主軸部(13a)の軸心に対して偏心している。第1偏心部(13b)の主軸部(13a)に対する偏心方向と、第2偏心部(13c)の主軸部(13a)に対する偏心方向とは、駆動軸(13)の回転方向において180°ずれている。つまり、第1偏心部(13b)と第2偏心部(13c)とでは、主軸部(13a)に対する偏心方向が逆方向となっている。
圧縮機構(14)を構成する低段側圧縮機構(20)及び高段側圧縮機構(30)は、ともにいわゆる揺動ピストン型の圧縮機構で構成され、ケーシング(11)内において電動機(12)の下方に配置されている。低段側圧縮機構(20)は、吸入管(40)から圧縮前の冷媒を吸入し、該冷媒を徐々に圧縮して中間圧冷媒とし、該中間圧冷媒を中間圧吐出管(41)から吐出するように構成されている。高段側圧縮機構(30)は、中間圧吸入管(42)から上記中間圧冷媒を吸入し、該中間圧冷媒を徐々に圧縮して高圧冷媒とし、該高圧冷媒を吐出管(43)から吐出するように構成されている。各圧縮機構(20,30)の構成については、詳しくは後述する。
油供給機構(15)は、ポンプ(15a)と、ケーシング(11)の底壁部(11c)に貯留された潤滑油を各圧縮機構(20,30)の摺動部へ導くための給油路(50)とを備えている。ポンプ(15a)は、例えば遠心ポンプで構成されていて、ケーシング(11)の底壁部(11c)に溜められた潤滑油の浸漬されている。給油路(50)は、駆動軸(13)に形成されている。給油路(50)は、駆動軸(13)の下端から第2偏心部(13c)のやや上方まで垂直方向に延びる主給油路(50a)と、該主給油路(50a)から分岐して径方向外方へ延びる分岐路(50b,50c)と、を備えている。
−低段側圧縮機構の構成−
低段側圧縮機構(20)は、図1に示すように、低段側ピストン(21)、低段側ピストン(21)を内部に収容する環状に形成された低段側シリンダ(22)と、低段側シリンダ(22)の上側の開口端を覆うミドルプレート(44)と、低段側シリンダ(22)の下側の開口端を覆うリアヘッド(23)で構成されたヘッド部材と、リアヘッド(23)の下側を覆うリアカバー(24)で構成されたカバー部材とを備えている。低段側圧縮機構(20)は、低段側ピストン(21)が、低段側シリンダ(22)、ミドルプレート(44)及びリアヘッド(23)で囲まれた低段側シリンダ室(25)に内接しながら偏心回転運動することにより、圧縮前の冷媒を徐々に圧縮して中間圧冷媒とするように構成されている。
低段側ピストン(21)は、やや肉厚の円筒状に形成されている。低段側ピストン(21)の内周面には、駆動軸(13)の第1偏心部(13b)が内嵌している。低段側ピストン(21)は、駆動軸(13)の回転によって偏心回転する第1偏心部(13b)とともに偏心回転する。
低段側シリンダ(22)は、内部に低段側ピストン(21)を収容する肉厚の円筒状であって、高さが低段側ピストン(21)よりも僅かに高くなるように形成されている。低段側シリンダ(22)には、低段側シリンダ室(25)から径方向外方へ延びる連通穴(22b)が形成されていて、該連通穴(22b)には吸入管(40)が挿通固定されている。また、低段側シリンダ(22)には、図4及び図5に示すように、上下方向に貫通する6つのボルト穴(22a)が形成されている。これらのボルト穴(22a)は、周方向に間隔をおいて配置されている。
ミドルプレート(44)は、外径が低段側シリンダ(22)と同径の円板状に形成され、その中央部には、駆動軸(13)よりも大径の貫通穴が形成されている。この貫通穴には、駆動軸(13)が挿通している。ミドルプレート(44)は、図1に示すように、低段側シリンダ(22)と後述する高段側シリンダ(32)との間に配置されている。なお、このミドルプレート(44)は、高段側圧縮機構(30)の一部も構成している。
リアヘッド(23)は、例えば鋳物や焼結鉄により形成されている。閉塞部(23a)と軸受部(23b)とを備えている。閉塞部(23a)は、軸方向から視た中央部に駆動軸(13)が挿通される環状のプレートで構成された平板部(23c)と、該平板部(23c)の外周縁から下方へ延びる周縁部(23d)とを含んでいる。軸受部(23b)は、上記平板部(23c)の内周縁から下方へ延びる筒状に形成されている。リアヘッド(23)は、低段側シリンダ(22)の下側の開口端を覆っている。軸受部(23b)及び周縁部(23d)の延出端は、軸方向における同じ高さ位置まで延びている。また、リアヘッド(23)には、周縁部(23d)を径方向へ貫通する連通穴(23e)が形成されている。この連通穴(23e)には、中間圧吐出管(41)が内嵌している。
リアヘッド(23)には、図3及び図5に示すように、上下方向に貫通する6つの貫通穴(23f)が形成されている。これらの貫通穴(23f)は、軸方向から視て、低段側シリンダ(22)のボルト穴(22a)と重なる位置に形成されている。
そして、上記リアヘッド(23)に形成された各貫通穴(23f)には、円筒状のリアヘッド側スリーブ(27)で構成されたスリーブが挿通固定されている。リアヘッド(23)は、低段側シリンダ(22)に形成されたボルト穴(22a)と同数のボルト(45)によって、低段側シリンダ(22)に締結されている。このリアヘッド側スリーブ(27)の形状等については、ボルト(45)の形状等と合わせて、詳しくは後述する。
リアカバー(24)は、円板状に形成され、その中央部に駆動軸(13)が挿通される貫通穴が形成されている。リアカバー(24)は、リアヘッド(23)の軸受部(23b)の延出端及び周縁部(23d)の延出端と密着して、リアヘッド(23)の下側を覆っている。これにより、リアヘッド(23)とリアカバー(24)との間に密閉状の空間が形成される。この空間は、低段側吐出ポート(図示省略)を通じて低段側シリンダ室(25)と連通していて、中間圧冷媒が低段側シリンダ室(25)から吐出される際に発生する騒音を低減する低段側消音空間(26)を構成している。
リアカバー(24)には、上下方向に貫通する6つの貫通穴(24a)が形成されている。これらの貫通穴(24a)は、リアヘッド(23)に形成された貫通穴(23f)と同様、軸方向から視て、低段側シリンダ(22)のボルト穴(22a)と重なる位置に形成されている。この貫通穴(24a)の内径は、上記リアヘッド(23)に形成された貫通穴(23f)の内径と概ね等しい。
そして、上記リアカバー(24)に形成された各貫通穴(24a)には、円筒状のリアカバー側スリーブ(28)で構成されたカバー部材側スリーブが挿通固定されている。リアカバー(24)は、リアヘッド(23)とともにボルト(45)によって低段側シリンダ(22)に締結されている。このリアカバー側スリーブ(28)についても、リアヘッド側スリーブ(27)及びボルト(45)と同様、詳しくは後述する。
−高段側圧縮機構の構成−
高段側圧縮機構(30)は、図1に示すように、高段側ピストン(31)と、高段側ピストン(31)を内部に収容する環状に形成された高段側シリンダ(32)と、高段側シリンダ(32)の上側の開口端を覆うフロントヘッド(33)と、高段側シリンダ(32)の下側の開口端を覆うミドルプレート(44)と、フロントヘッド(33)の上側を覆うフロントカバー(34)とを備えている。高段側圧縮機構(30)は、高段側ピストン(31)が、高段側シリンダ(32)、フロントヘッド(33)、及びミドルプレート(44)で囲まれた高段側シリンダ室(35)に内接しながら旋回運動することにより、中間圧吸入管(42)から流入する中間圧冷媒を徐々に圧縮して高圧冷媒とするように構成されている。
高段側ピストン(31)は、低段側ピストン(21)と同様、やや肉厚の円筒状に形成されている。高段側ピストン(31)の内周面には、駆動軸(13)の第2偏心部(13c)が内嵌していて、これにより、高段側ピストン(31)は、駆動軸(13)の回転によって偏心回転する第2偏心部(13c)とともに回転する。
高段側シリンダ(32)は、内部に高段側ピストン(31)を収容する肉厚の円筒状であって、高さが高段側ピストン(31)よりも僅かに高くなるように形成されている。高段側シリンダ(32)には、内部に形成された高段側シリンダ室(35)から径方向外方へ延びる連通穴(32b)が形成されていて、該連通穴(32b)には中間圧吸入管(42)が挿通固定されている。また、高段側シリンダ(32)には、上下方向に貫通する複数のボルト穴(32a)が形成されている。
フロントヘッド(33)は、例えば鋳物や焼結鉄により形成されている。フロントヘッド(33)は、中央部に駆動軸(13)が挿通される環状のプレートで構成された平板部(33a)と、平板部(33a)の内周面から上方へ延びる筒状の軸受部(33b)と、平板部(33a)の周縁部から上方へ延びる環状の周縁部(33c)と、を備えている。フロントヘッド(33)は、平板部(33a)の下面側で高段側シリンダ(32)の上側の開口端を覆っている。軸受部(33b)の延出端は、周縁部(33c)の延出端よりもやや上方に位置している。フロントヘッド(33)には、高段側シリンダ(32)のボルト穴(32a)と対応する位置に設けられた貫通穴(33d)が形成されている。フロントヘッド(33)は、複数のボルト(46)によって高段側シリンダ(32)と締結されている。
フロントカバー(34)は、環状のプレートで構成された平板部(34a)と、平板部(34a)の内周面から縮径しながら上方へ延びる縮径部(34b)とを備えている。平板部(34a)はボルト(46)によってフロントヘッド(33)に締結されていて、縮径部(34b)の延出端は、フロントヘッド(33)の軸受部(33b)の内周面と当接している。これにより、フロントヘッド(33)とフロントカバー(34)との間に密閉状の空間が形成される。この空間は、高段側吐出ポート(図示省略)を通じて高段側シリンダ室(35)と連通していて、高圧冷媒が高段側シリンダ室(35)から吐出される際に発生する騒音を低減する高段側消音空間(36)を構成している。なお、フロントカバー(34)の縮径部(34b)には、吐出口(図示省略)が形成されていて、高段側消音空間(36)内の高圧冷媒は、該吐出口を通じて上方へ流れた後、吐出管(43)から外部へ吐出される。
−リアヘッド側スリーブ及びリアカバー側スリーブ周辺の構成−
図3及び図5に示すように、リアヘッド(23)に形成された6つの貫通穴(23f)のそれぞれには、ボルト(45)が挿通される挿通穴(27a)が形成された円筒状のリアヘッド側スリーブ(27)が内嵌されている。リアヘッド側スリーブ(27)の外径は、貫通穴(23f)の内径とほぼ同等か又は僅かに大きくなるように形成されていて、これにより、リアヘッド側スリーブ(27)は、圧入により貫通穴(23f)に強固に固定される。このリアヘッド側スリーブ(27)は、リアヘッド(23)の貫通穴(23f)の両端に亘って延びるように形成されている。つまり、リアヘッド側スリーブ(27)の長さは、貫通穴(23f)の長さと概ね同等である。なお、本実施形態では、リアヘッド側スリーブ(27)を圧入により貫通穴(23f)に固定しているが、この限りでなく、摩擦圧接やねじ込み等により貫通穴(23f)に固定してもよい。
そして、このリアヘッド側スリーブ(27)は、リアヘッド(23)よりもヤング率の高い材料で構成されている。リアヘッド(23)は、上述のように鋳物で形成されているのに対して、リアヘッド側スリーブ(27)は、上記鋳物に用いられた鋳鉄等の材料よりもヤング率の高い鋼材等で構成されている。
一方、リアカバー(24)に形成された6つの貫通穴(24a)のそれぞれには、ボルト(45)が挿通される挿通穴(28a)が形成された円筒状のリアカバー側スリーブ(28)が内嵌されている。リアカバー側スリーブ(28)の外径及び内径は、それぞれ、リアヘッド側スリーブ(27)の外径及び内径と概ね等しい。すなわち、リアカバー側スリーブ(28)は、軸方向から視て、リアヘッド側スリーブ(27)と重なるような形状に形成されている。また、このリアカバー側スリーブ(28)の外径は、貫通穴(24a)の内径とほぼ同様か又は僅かに大きくなるように形成されていて、これにより、リアカバー側スリーブ(28)は、圧入によりその外周面が貫通穴(24a)の内周面に対して強固に固定される。また、リアカバー側スリーブ(28)は、リアカバー(24)の貫通穴(24a)の両端に亘って延びるように形成されている。つまりリアカバー側スリーブ(28)の長さは、貫通穴(24a)の長さと概ね同等である。
そして、このリアカバー側スリーブ(28)は、リアカバー(24)よりもヤング率の高い材料で構成されている。例えば、リアカバー側スリーブ(28)は、リアカバー(24)よりもヤング率の高い鋼材等で構成されている。
リアヘッド(23)は、軸方向から視て、該リアヘッド(23)に挿通固定されたリアヘッド側スリーブ(27)の挿通穴(27a)が低段側シリンダ(22)のボルト穴(22a)と重なるように配置されている。同じように、リアカバー(24)は、軸方向から視て、該リアカバー(24)に挿通固定されたリアカバー側スリーブ(28)の挿通穴(28a)が、上記リアヘッド側スリーブ(27)の挿通穴(27a)と重なるように配置されている。
ボルト(45)は、やや厚い略円板状の頭部(45a)と、頭部(45a)から軸方向に延びる棒状に形成され先端がネジ切りされた軸部(45b)とを有している。頭部(45a)と軸部(45b)とは一体に形成されている。頭部(45a)は、外径がリアカバー(24)に形成された貫通穴(24a)よりもやや大きくなるように形成されている。また、軸部(45b)は、外径が上記リアヘッド側スリーブ(27)及びリアカバー側スリーブ(28)に形成された各挿通穴(27a,28a)よりも僅かに小さくなるように形成されている。
上記ボルト(45)により、上述のように配置されたリアヘッド(23)及びリアカバー(24)が、低段側シリンダ(22)に固定される。具体的には、ボルト(45)は、図5に示すように、軸部(45b)がリアカバー側スリーブ(28)の挿通穴(28a)及びリアヘッド側スリーブ(27)の挿通穴(27a)に挿通され、低段側シリンダ(22)のボルト穴(22a)に所定のトルクで締め付けられている。ボルト(45)の頭部(45a)は、上述のようにリアカバー(24)の貫通穴(24a)よりも大きいため、図5に示すように、ボルト(45)の頭部(45a)の背面側が、リアカバー側スリーブ(28)の下端面全体及びリアカバー(24)の貫通穴(24a)近傍の部分を上方に押圧することにより、リアヘッド(23)及びリアカバー(24)が低段側シリンダ(22)に固定される。
−運転動作−
ロータリー圧縮機(10)の運転動作について説明する。
吸入管(40)へ流入した低圧冷媒は、低段側シリンダ室(25)へ吸入される。低段側圧縮機構(20)では、駆動軸(13)によって駆動された低段側ピストン(21)が低段側シリンダ(22)内において偏心回転し、低段側シリンダ室(25)内の冷媒が圧縮される。低段側シリンダ室(25)で圧縮された中間圧冷媒は、低段側吐出ポート、低段側消音空間(26)を順に通じて中間圧吐出管(41)から吐出される。この中間圧冷媒は、気液分離器によってガス冷媒に分離された後、中間圧吸入管(42)へ流入する。
中間圧吸入管(42)へ流入した中間圧冷媒は、高段側シリンダ室(35)へ吸入される。高段側圧縮機構(30)では、駆動軸(13)によって駆動された高段側ピストン(31)が高段側シリンダ(32)内において偏心回転し、高段側シリンダ室(35)内の冷媒が圧縮される。高段側シリンダ室(35)で圧縮された高圧冷媒は、高段側吐出ポート、高段側消音空間(36)を順に通じて吐出管(43)から吐出される。
一方、ロータリー圧縮機(10)の運転中には、ケーシング(11)の底壁部(11c)に貯留された潤滑油が、ポンプ(15a)によって上方へ汲み上げられる。潤滑油は、主給油路(50a)及び分岐路(50b,50c)を順に通じて、圧縮機構(14)の各摺動部へ供給される。
ロータリー圧縮機(10)の運転中において、低段側ピストン(21)の下面は、リアヘッド(23)の上面と摺接しながら、低段側シリンダ室(25)を旋回している。この低段側ピストン(21)の下面とリアヘッド(23)の上面との間に適切なクリアランスが保たれていれば、低段側ピストン(21)は低段側シリンダ室(25)内でスムーズに旋回する。しかし、リアヘッド(23)が低段側シリンダ室(25)内へ膨出したり撓んだりすると、低段側ピストン(21)のリアヘッド(23)に対する摺動抵抗が高くなり、その結果、低段側圧縮機構(20)の圧縮性能の低下や低段側ピストン(21)の焼付きが発生してしまう。
これに対して、本実施形態では、リアヘッド(23)の各貫通穴(23f)に、リアヘッド(23)よりもヤング率の高い材料で構成されたリアヘッド側スリーブ(27)を貫通穴(23f)両端に亘って設けた。これにより、リアヘッド(23)を低段側シリンダ(22)にボルト締めしても、軸方向に圧縮されにくいリアヘッド側スリーブ(27)によってリアヘッド(23)の貫通穴(23f)付近の部分が圧縮されにくくなる。そうなると、リアヘッド(23)のうちボルト締めによる圧力を受けにくい部位、つまり低段側シリンダ室(25)に面する部位の膨出が抑制される。その結果、低段側ピストン(21)の下面とリアヘッド(23)の上面との間に適切なクリアランスが保たれるため、低段側圧縮機構(20)の圧縮性能の低下や、低段側ピストン(21)の焼付きを防止することができる。
更に、リアヘッド側スリーブ(27)は、リアヘッド(23)に形成された全ての貫通穴(23f)に挿通されているため、リアヘッド(23)における全ての貫通穴(23f)付近の部位の圧縮が抑制され、リアヘッド(23)の低段側シリンダ室(25)への膨出を更に抑制できる。
また、図5にも示すように、リアヘッド(23)の軸受部(23b)は、リアカバー(24)によって上方に押しつけられている。これにより、軸受部(23b)はリアカバー(24)側に膨出しにくい反面、低段側シリンダ室(25)側へ膨出しやすい。軸受部(23b)のうち低段側シリンダ室(25)に面する部分は、図1等にも示すように、全周に亘って低段側ピストン(21)と摺接しているため、軸受部(23b)が低段側シリンダ室(25)に膨出すると、低段側ピストン(21)とリアヘッド(23)との間の摺動抵抗が増大してしまう。これに対して、本実施形態では、上述のようにリアヘッド側スリーブ(27)が設けられているため、リアヘッド(23)に形成された貫通穴(23f)近傍の部位が圧縮されにくくなり、その分、軸受部(23b)が低段側シリンダ室(25)へ膨出するのが抑制される。
更に、リアカバー(24)の各貫通穴(24a)には、リアカバー(24)よりもヤング率の高い材料で構成されたリアカバー側スリーブ(28)を貫通穴(24a)の両端に亘って設けた。これにより、リアカバー(24)における貫通穴(24a)付近の部位が圧縮されにくくなるため、リアカバー(24)において軸受部(23b)と当接している部位が膨張しにくくなる。その結果、軸受部(23b)がリアカバー(24)によって上方へ過剰に押圧されるのが抑制されるため、該軸受部(23b)が低段側シリンダ室(25)内へ撓むのを抑制できる。しかも、リアカバー側スリーブ(28)は、リアカバー(24)に形成された全ての貫通穴(24a)に挿通されているため、リアカバー(24)の圧縮を効率的に抑制できる。
また、リアヘッド側スリーブ(27)は、リアヘッド(23)において複数形成された貫通穴(23f)のうち、リアヘッド(23)に形成された連通穴(23e)の近傍に形成された貫通穴(23f)(図3における左側の2つの貫通穴)にも挿通されている。リアヘッド(23)における連通穴(23e)付近の部位は、他の部位と比べて剛性が低いため、ボルト締めによって圧縮されやすい。これに対して、上述のように、連通穴(23e)近傍の貫通穴(23f)にリアヘッド側スリーブ(27)を設けることにより、リアヘッド(23)の圧縮を抑制でき、その結果、リアヘッド(23)が低段側シリンダ室(25)へ膨出したり撓んだりするのを抑制できる。
−実施形態の効果−
以上のように、本実施形態に係るロータリー圧縮機(10)では、低段側シリンダ(22)の下側の開口端を覆うリアヘッド(23)に形成されたボルト締結用の貫通穴(23f)に、リアヘッド(23)よりもヤング率の高い筒状のリアヘッド側スリーブ(27)を、該貫通穴(23f)の両端に亘って内嵌させた。これにより、リアヘッド(23)における該貫通穴(23f)近傍の部分が圧縮されるのを抑制できるため、リアヘッド(23)が低段側シリンダ室(25)へ膨出するのを抑制できる。従って、低段側ピストン(21)とリアヘッド(23)との間の摺動抵抗が増大するのを抑制できるため、低段側圧縮機構(20)の圧縮性能の低下や低段側ピストン(21)の焼付きを抑制できる。
また、上記リアヘッド側スリーブ(27)は、中間圧吐出管(41)が挿通される連通穴(23e)近傍に形成された貫通穴(23d,23d)にも挿通されているため、リアヘッド(23)の圧縮を低減でき、リアヘッド(23)の低段側シリンダ室(25)への膨出や撓みを抑制できる。更に、上記リアヘッド側スリーブ(27)は、リアヘッド(23)に形成された全ての貫通穴(23f)に挿通されているため、リアヘッド(23)の圧縮を効果的に低減でき、リアヘッド(23)の低段側シリンダ室(25)への膨出や撓みを効果的に抑制できる。
また、本実施形態に係るロータリー圧縮機(10)では、リアヘッド(23)の軸受部(23b)の延出端が、リアカバー(24)によって上方へ押しつけられている。このような構成において、上記貫通穴(23f)にリアヘッド側スリーブ(27)が挿通されているため、リアヘッド(23)の軸受部(23b)が低段側シリンダ室(25)へ撓むのを抑制できる。
更に、リアカバー(24)に形成されたボルト締結用の貫通穴(24a)に、リアカバー(24)よりもヤング率の高い筒状のリアカバー側スリーブ(28)を該貫通穴(24a)の両端に亘って内嵌させた。これにより、リアカバー(24)における貫通穴(24a)近傍の部分が圧縮されるのを抑制できるため、リアカバー(24)のうち軸受部(23b)と当接する部分の膨出を抑制できる。その結果、リアヘッド(23)の低段側シリンダ室(25)への撓みを抑制できる。しかも、上記リアカバー側スリーブ(28)は、リアカバー(24)に形成された全ての貫通穴(24a)に挿通されているため、リアカバー(24)の圧縮を効果的に低減でき、リアヘッド(23)の低段側シリンダ室(25)への膨出や撓みを効果的に抑制できる。
−その他の実施形態−
上記実施形態については、以下のような構成にしてもよい。
上記実施形態では、リアヘッド(23)を、平板部(23c)及び周縁部(23d)を有する閉塞部(23a)と軸受部(23b)とで構成し、略円板状に形成されたリアカバー(24)でリアヘッド(23)の下側を覆って低段側消音空間(26)を形成したが、この限りでない。例えば、図6に示すように、リアヘッド(23)を、平板部(23c)と軸受部(23b)とで構成し、リアカバー(24)を、略円板状の平板部(24b)と、該平板部(24b)の外周縁から上方へ延びる周縁部(24c)とで構成してもよい。このような構成であっても、リアヘッド(23)とリアカバー(24)との間に低段側消音空間(26)を形成することができる。
また、上記実施形態では、低段側シリンダ室(25)から吐出された冷媒の騒音が低段側消音空間(26)によって低減される構成としたが、この限りでなく、低段側消音空間(26)によって騒音を低減された冷媒が低段側シリンダ室(25)内へ吸入されるような構成であってもよい。
また、上記実施形態では、リアヘッド(23)に形成した6つの貫通穴(23f)全てにリアヘッド側スリーブ(27)を設けたが、この限りでなく、少なくとも1つの貫通穴(23f)に設けられていればよい。この場合、例えば、リアヘッド(23)のうち比較的剛性の低い連通穴(23e)近傍の部位に形成された貫通穴(23f,23f)(図2,3における左側の2個のボルトが挿通されている貫通穴)にリアヘッド側スリーブ(27,27)を設ければ、リアヘッド側スリーブ(27)の本数を6本から2本に減らしつつ、リアヘッド(23)の圧縮を効率的に抑制できる。
また、上記実施形態では、リアカバー(24)に形成した6つの貫通穴(24a)全てにリアカバー側スリーブ(28)を設けたが、この限りでなく、一部の貫通穴(24a)に設けられていてもよく、更にはリアカバー側スリーブ(28)が設けられていなくてもよい。
また、上記実施形態では、リアヘッド(23)及びリアカバー(24)にリアヘッド側スリーブ(27)及びリアカバー側スリーブ(28)を設けたが、フロントヘッド(33)及びフロントカバー(34)に、同様の部材を設けてもよい。これにより、フロントヘッド(33)が高段側シリンダ室(35)に膨出したり撓んだりするのを抑制できる。
また、上記実施形態では、ロータリー圧縮機として低段側圧縮機構(20)と高段側圧縮機構(30)とを含む圧縮機構(14)によって、いわゆる二段圧縮を行う圧縮機を対象としたが、1つの圧縮機構によって、いわゆる単段圧縮を行う圧縮機を対象とすることもできる。更に、上記実施形態では、リアカバー(24)でリアヘッド(23)を覆うことにより消音空間(26)が形成されるロータリー圧縮機を対象としたが、この限りでなく、リアカバー(24)が設けられていないロータリー圧縮機を対象とすることもできる。
以上説明したように、本発明は、ヘッド部材との間に消音空間を形成するためのカバー部材が、ボルト締めによりヘッド部材とともにシリンダに固定される圧縮機構を有するロータリー圧縮機に特に有用である。
10 ロータリー圧縮機
11 ケーシング
12 電動機(駆動機構)
13 駆動軸
21 低段側ピストン(ピストン)
22 低段側シリンダ(シリンダ)
22a ボルト穴
23 リアヘッド(ヘッド部材)
23a 閉塞部
23b 軸受部
23e 連通穴
23f 貫通穴
24 リアカバー(カバー部材)
24a 貫通穴
25 低段側シリンダ室(シリンダ室)
26 消音空間
27 リアヘッド側スリーブ(スリーブ)
27a 挿通穴
28 リアカバー側スリーブ(カバー部材側スリーブ)
41 中間圧吐出管(連通管)
45 ボルト

Claims (5)

  1. ケーシング(11)と、
    上記ケーシング(11)内に収容され、駆動軸(13)を有する駆動機構(12)と、
    上記駆動軸(13)に回転駆動されるピストン(21)と、
    上記ピストン(21)を収容するシリンダ室(25)が内部に形成され、ボルト(45)が締結されるボルト穴(22a)が軸方向に形成されるシリンダ(22)と、
    上記シリンダ(22)の軸方向の開口端を覆うように形成され、上記ボルト穴(22a)と同軸上に位置する貫通穴(23f)が形成されるヘッド部材(23)と、
    上記貫通穴(23f)の軸方向両端に亘って延びて該貫通穴(23f)に内嵌し、内方に上記ボルト(45)が挿通される挿通穴(27a)が形成される筒状のスリーブ(27)と、を備え、
    上記スリーブ(27)のヤング率は、上記ヘッド部材(23)のヤング率よりも大きいことを特徴とするロータリー圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記ヘッド部材(23)は、
    上記シリンダ(22)の軸方向の開口端を覆う板状に形成され、上記貫通穴(23f)が形成される閉塞部(23a)と、
    上記駆動軸(13)を回転可能に支持するように、上記閉塞部(23a)から上記シリンダ(22)と反対側に延出する筒状の軸受部(23b)とを含み、
    上記閉塞部(23a)との間に上記シリンダ室(25)と連通する消音空間(26)を形成するように上記軸受部(23b)の延出端から径方向外方に拡がる板状に形成され、上記スリーブ(27)の挿通穴(27a)と同軸上に位置して上記ボルト(45)が挿通される貫通穴(24a)が形成されるカバー部材(24)を更に備えることを特徴とするロータリー圧縮機。
  3. 請求項2において、
    上記ヘッド部材(23)には、上記消音空間(26)と上記ケーシング(11)の外部とを連通する連通管(41)が挿通される連通穴(23e)が、上記ヘッド部材(23)に形成された貫通穴(23f)の近傍に形成されていることを特徴とするロータリー圧縮機。
  4. 請求項2又は3において、
    上記カバー部材(24)の貫通穴(24a)の軸方向両端に亘って延びて該貫通穴(24a)に内嵌し、内方に上記ボルト(45)の挿通穴(28a)が形成されるカバー部材側スリーブ(28)を更に備え、
    上記カバー部材側スリーブ(28)のヤング率は、上記カバー部材(24)のヤング率よりも大きいことを特徴とするロータリー圧縮機。
  5. 請求項1から4のうちいずれか1つにおいて、
    上記シリンダ(22)には、複数の上記ボルト穴(22a)が形成され、
    上記ヘッド部材(23)には、複数の上記ボルト穴(22a)のそれぞれに対応する複数の上記貫通穴(23f)が形成され、
    複数の上記貫通穴(23f)のそれぞれには、上記スリーブ(27)が内嵌されていることを特徴とするロータリー圧縮機。
JP2010255703A 2010-11-16 2010-11-16 ロータリー圧縮機 Withdrawn JP2012107546A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010255703A JP2012107546A (ja) 2010-11-16 2010-11-16 ロータリー圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010255703A JP2012107546A (ja) 2010-11-16 2010-11-16 ロータリー圧縮機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012107546A true JP2012107546A (ja) 2012-06-07

Family

ID=46493416

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010255703A Withdrawn JP2012107546A (ja) 2010-11-16 2010-11-16 ロータリー圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2012107546A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102013208524A1 (de) 2012-05-09 2013-11-14 Mold Technical Office Co., Ltd Fahrzeugsitz
CN104728111A (zh) * 2013-12-20 2015-06-24 珠海格力节能环保制冷技术研究中心有限公司 气缸的螺钉安装结构及压缩机

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102013208524A1 (de) 2012-05-09 2013-11-14 Mold Technical Office Co., Ltd Fahrzeugsitz
CN104728111A (zh) * 2013-12-20 2015-06-24 珠海格力节能环保制冷技术研究中心有限公司 气缸的螺钉安装结构及压缩机

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101473348B1 (ko) 셧다운 밸브를 가진 압축기
US9157438B2 (en) Scroll compressor with bypass hole
KR101133300B1 (ko) 로터리 압축기
KR100672283B1 (ko) 자전방지기구를 가지는 스크롤 압축기
JP2005264827A (ja) スクロール圧縮機
JP4822943B2 (ja) 流体機械
JP2012219654A (ja) 回転式流体機械
JP5195774B2 (ja) スクロール圧縮機
US9945378B2 (en) Scroll compressor
JP2012107546A (ja) ロータリー圧縮機
JP2007056680A (ja) ロータリコンプレッサ
JP6737308B2 (ja) スクロール圧縮機
JP2013108375A (ja) ロータリ圧縮機
EP2735742A1 (en) Fluid machine
US8939741B2 (en) Scroll compressor
JP2008274886A (ja) 吐出弁
JP2007056860A (ja) ロータリコンプレッサ
JP2013174180A (ja) スクロール圧縮機
JP2010127101A (ja) 吐出弁機構及び回転式圧縮機
JP2015105616A (ja) 回転式圧縮機
JP2017082842A (ja) 軸受構造、及びスクロール型圧縮機
JP6462265B2 (ja) 開放型圧縮機
JP2017082840A (ja) 軸受構造、及びスクロール型圧縮機
JP6432340B2 (ja) 回転式圧縮機
KR100608868B1 (ko) 스크롤 압축기의 조립구조

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20140204