JP2012107247A - 電気接点用グリース組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】微小電流の接点でも低温域での使用においてチャタリング(電圧降下)を発生させることなく、銅表面、銅合金表面、貴金属表面(銀メッキ表面、金メッキ表面等)の摩耗を有効に低減し得る電気接点用グリース組成物を提供すること。
【解決手段】増ちょう剤、基油、及び添加剤を含む電気接点用グリース組成物において、基油として40℃における動粘度が9〜40mm2/sである合成炭化水素油を含み、添加剤としてチアジアゾール系化合物を含む電気接点用グリース組成物、好ましくは、さらにチタネート系カップリング剤及び/又はアルミニウム系カップリング剤を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気接点用グリース組成物に関する。さらに詳細には、電気製品、OA機器、車載電装部品等の通電する電流が微小電流でも低接触抵抗を維持し、低温領域でも電圧降下を生じることなく、表面摩耗を抑制する電気接点用グリース組成物に関する。
電気製品、OA機器、車載電装部品や各種設備用機器などの各種摺動電気接点には摩耗防止の目的でグリースが塗布され使用されている。最近、この分野の電気接点は、電気信号を断続させる微小電流で使用されている。接点材料としては、以前は銅、銅合金接点が多く使用されていたが、最近では良好な導電性を確保するため、金属の中で最も導電性が優れ、また酸化されない銀メッキや耐腐食性が優れる金メッキなど貴金属のメッキを施した接点材料が主流となってきた。一般的には、これら貴金属メッキの下地金属には、銅または銅合金が使用されている。
従来は、大電流用のグリースがそのまま微小電流接点にも使用されていた。微小電流用接点グリースには接点材料を摩耗から保護する性能が求められる。しかし、従来のグリースは摩耗抑制効果が弱いため、高い摩擦を受けている接点材料表面、特に貴金属表面接点の貴金属メッキを摩耗させてしまう。また、摩耗により下地金属が表れた場合、銅および銅合金は貴金属と異なり酸化皮膜を形成し易く不導通膜となって電気接点としての機能が失われてしまう。また、接点材料の表面が銀メッキの場合は、空気中に極僅かに存在する硫化性ガスによっても容易に侵され、接触安定性を損なう厚く強固な硫化皮膜を生成するため、銀表面を大気中に存在する硫化性ガスから保護しなければならない。さらに、低温使用時には塗布した接点グリースが増粘により硬くなり過ぎ、そのグリースの絶縁性と相俟って皮膜抵抗となり、通電性を損ない電圧降下(チャタリング)が発生する。
このような課題に対し、チタネート系カップリング剤及びアルミニウム系カップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含む電気接点用グリース組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、水酸基を含む脂肪酸および水酸基を含む脂肪酸エステルを含有したグリースが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、近年の厳しい使用条件下では、接点表面の摩耗抑制効果や低温域でのチャタリング性が不十分なケースが発生している。特に、微小電流の接点材料として銀メッキ材を使用した場合、硫化性ガスからの保護、摩耗抑制効果の改善および低温域でのチャタリング性(電圧降下)に充分に効果的なグリースはない。
特開平11‐61172号公報 特開2004‐67711
本発明は、微小電流の接点でも低温域での使用においてチャタリング(電圧降下)を発生させることなく、銅表面、銅合金表面、貴金属表面(銀メッキ表面、金メッキ表面等)の摩耗を有効に低減し得る電気接点用グリース組成物を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の添加剤を含むグリース組成物により、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記の電気接点用グリース組成物及びその摺動電気接点における使用を提供するものである。
1.増ちょう剤、基油、及び添加剤を含む電気接点用グリース組成物において、基油として40℃における動粘度が9〜40mm2/sである合成炭化水素油を含み、添加剤として有機亜鉛化合物及びチアジアゾール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む電気接点用グリース組成物。
2.添加剤として有機亜鉛化合物を含む上記1記載の電気接点用グリース組成物。
3.有機亜鉛化合物が亜鉛ジチオホスフェートである上記2記載の電気接点用グリース組成物。
4.添加剤としてチアジアゾール系化合物を含む上記1〜3のいずれか1項記載の電気接点用グリース組成物。
5.チタネート系カップリング剤及びアルミニウム系カップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含む上記1〜4のいずれか1項記載の電気接点用グリース組成物。
6.合成炭化水素油がポリ‐α‐オレフィンである上記1〜4のいずれか1項記載の電気接点用グリース組成物。
7.チアジアゾール系化合物が、アルキルメルカプトチアジアゾール及び2,5‐ビス(アルキルジチオ)−1,3,4‐チアジアゾールからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1〜6のいずれか1項記載の電気接点用グリース組成物。
8.チタネート系カップリング剤が、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートである上記5〜7のいずれか1項記載の電気接点用グリース組成物。
9.アルミニウム系カップリング剤が、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートである上記5〜7のいずれか1項記載の電気接点用グリース組成物。
10.増ちょう剤が12‐ヒドロキシステアリン酸リチウムである上記1〜9のいずれか1項記載の電気接点用グリース組成物。
11.銅、銅合金又は貴金属表面を有する摺動電気接点用の上記1〜10のいずれか1項記載の電気接点用グリース組成物。
12.銅、銅合金又は貴金属表面を有する摺動電気接点における上記1〜11のいずれか1項記載の電気接点用グリース組成物の使用。
本発明の電気接点用グリース組成物は、微小電流の接点でも低温域での使用においてチャタリング(電圧降下)を発生させることなく、銅表面、銅合金表面、貴金属表面(銀メッキ表面、金メッキ表面等)の摩耗を有効に低減し得る。
以下本発明について詳細に説明する。
本発明のグリース組成物に使用される有機亜鉛化合物としては、亜鉛ジチオホスフェート、亜鉛ジチオカーバメート、脂肪酸亜鉛塩、サリチル酸亜鉛塩、アセト酢酸エステル亜鉛錯体、硫化オキシ亜鉛キサンテート、酸化亜鉛と酸性リン酸エステルとの反応物、酸化亜鉛とグリセリンモノ脂肪酸エステルとの反応物が挙げられる。好ましいものは、亜鉛ジチオホスフェートであり、特に下記の一般式(1)で表される亜鉛ジアルキルジチオホスフェートが好ましい。
(R1O)2PS−S−Zn−S−PS(OR12 (1)
式中R1は同一でも異なっていても良く、炭素原子数1〜24,好ましくは4〜5のアルキル基である。
本発明のグリース組成物中、有機亜鉛化合物の含有量は、低温時のチャタリング防止の観点から、グリース組成物全体に対して、好ましくは0.1〜5.0質量%、さらに好ましくは0.3〜3.0質量%、最も好ましくは0.5〜1.0質量%である。
本発明に使用されるチアジアゾール系化合物としては、下記の一般式(2)で示されるものが挙げられる。
Figure 2012107247
式中、R2は同一でも異なっていても良く、炭素原子数4〜18、好ましくは8〜12のアルキル基である。具体例としては、2,5‐ビス(n‐ブチルジチオ)‐1,3,4‐チアジアゾール、2,5‐ビス(n‐ペンチルジチオ)‐1,3,4‐チアジアゾール、2,5‐ビス(n‐オクチルジチオ)‐1,3,4‐チアジアゾール等が挙げられる。特に好ましい化合物は、R2がn‐オクチル基のチアジアゾール化合物である。
本発明のグリース組成物中、チアジアゾール系化合物の含有量は、低温時のチャタリング防止の観点から、グリース組成物全体に対して、好ましくは0.01〜3.0質量%、さらに好ましくは0.05〜1.0質量%、最も好ましくは0.1〜0.5質量%である。
本発明のグリース組成物には、有機亜鉛化合物とチアジアゾール系化合物を併用しても良い。その場合の各化合物の含有量は、上記含有量を考慮して適宜決定すればよい。
本発明のグリース組成物に使用されるチタネート系カップリング剤は、加水分解されやすい少なくとも1つの親水性基と加水分解されにくい少なくとも1つの疎水性基がチタンに結合してなる化合物である。このようなチタネート系カップリング剤は各種市販されており、例えば、下記の一般式(3)で表されるものが挙げられる。
(R3O)n−Ti−(OR44-n (3)
式中、R3は炭素原子数1〜10のアルキル基またはアルコキシ基を示し、R4は炭素原子数1〜20のアシル基を示し、nは1〜4の整数を示す。
具体例としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキスアセテートチタネート、トリス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。市販品としてはプレンアクト(登録商標)KRTTS、KR46B、KR55、KR41B、KR38S、KR138S、KR 238S、338X、KR44、KR9SA、KR ET(以上、味の素株式会社製)がある。
また、アルミニウム系カップリング剤の具体例としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが挙げられ、市販品としてはプレンアクト(登録商標)AL−M(味の素株式会社製)がある。
本発明のグリース組成物中、チタネート系カップリング剤の含有量は、低温時のチャタリング防止の観点から、グリース組成物全体に対して、好ましくは0.1〜5.0質量%、さらに好ましくは0.3〜3.0質量%、最も好ましくは0.5〜1.0質量%である。
本発明のグリース組成物中、アルミニウム系カップリング剤の含有量は、低温時のチャタリング防止の観点から、グリース組成物全体に対して、好ましくは0.1〜5.0質量%、さらに好ましくは0.3〜3.0質量%、最も好ましくは0.5〜1.0質量%である。
本発明のグリース組成物には、チタネート系カップリング剤とアルミニウム系カップリング剤を併用しても良い。その場合の各化合物の含有量は、上記含有量を考慮して適宜決定すればよい。
本発明のグリース組成物に使用する増ちょう剤としては、既知の脂肪酸金属塩、好ましくは炭素原子数16〜20の脂肪酸金属塩が挙げられる。脂肪酸金属塩の具体例としては、炭素数12のラウリン酸、炭素数14のミリスチン酸、炭素数16のパルミチン酸、炭素数18のステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸とNa,Liなどの1価の金属塩、Ba,Caなどの2価の金属塩あるいはアルミニウム(Al)などの3価の金属塩が挙げられる。また二塩基酸を含む2種以上の脂肪酸とAl,Ca,Liなどの金属塩、すなわちコンプレックス石けんも挙げられる。12−ヒドロキシステアリン酸リチウムは、その耐水性、耐熱性および機械安定性が優れており、最も好ましい。
本発明のグリース組成物中、増ちょう剤の含有量は、通常3〜30質量%であり、好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは、5〜15質量%である。これは、本発明のグリース組成物の硬さ(ちょう度)200〜400を得るためのものであり、増ちょう剤の含有量が3質量%以下では得られたグリースは流動状で軟らかすぎ、30質量%を超えると硬すぎる傾向がある。
本発明に基油として使用する合成炭化水素油としては、例えば、PAO(ポリα‐オレフィン)、ポリブデン、ポリエチレン、α‐オレフィンとエチレンの共重合体などのオレフィン重合物が挙げられる。基油として合成炭化水素油を使用することにより、本発明のグリース組成物は耐樹脂性に優れており、接点周辺で使用されている樹脂材に応力割れを発生させることがない。本発明のグリース組成物の基油には、合成炭化水素油以外の基油(例えば、鉱物油、動植物油、エステル油、エーテル油、ポリグリコール油、シリコーン油)を含むこともできるが、その量は、少ない方が良く、5.0質量%以下、好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下であり、合成炭化水素油のみであることが最も好ましい。
本発明に使用する基油は、40℃の動粘度が9〜40mm2/sであり、好ましくは17〜30mm2/sである。動粘度が低すぎると、基油が蒸発しやすくなり、耐熱性が低下する。また、動粘度が高すぎると、潤滑油膜が厚くなり電気が通り難くなる。即ち、低温領域で基油の粘度増加が大きく、接触安定性に悪影響を与え、チャタリング(電圧降下)が発生し易くなる。
本発明のグリース組成物が適用される電気接点の材料は、特に限定されないが、銅、銅合金、金、銀等の貴金属、あるいは銅や銅合金の表面に金メッキや銀メッキ等の貴金属メッキを施したものが好ましい。金メッキや銀メッキ等の貴金属メッキ表面をもつ電気接点には、有機亜鉛化合物及びチアジアゾール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、かつ、チタネート系カップリング剤及びアルミニウム系カップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含むものが好ましい。
本発明のグリース組成物には、その他の添加剤を含有させてもよい。例えば、酸化防止剤、錆止め剤、金属不活性化剤、清浄分散剤、極圧添加剤、消泡剤、抗乳化剤、油性向上剤など、グリースに通常使用される添加剤を単独又は2種以上混合して用いることができる。なお、これら添加剤の添加量は、必要に応じて0.1〜10質量%添加するが、本発明の目的を損なわない程度であれば特に限定されるものではない。
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することはすべて本発明の技術範囲に包含される。
実施例1〜9、比較例1〜15
下記の表1〜表3に示すように、増ちょう剤、基油、添加剤を含有するグリース組成物を調製し、その特性を下記の方法により評価した。結果を表1〜表3に示す。表中の数字は質量部である。
実施例及び比較例のグリース組成物に使用した各成分は以下のとおりである。
増ちょう剤
リチウム石けん(12−ヒドロキシステアリン酸リチウム)
基油
1: PAO1:動粘度(40℃) 18mm2/s
2: PAO2:動粘度(40℃) 22.5mm2/s
3: PAO3:動粘度(40℃) 48mm2/s
4: 鉱物油 :動粘度(40℃) 17mm2/s
添加剤
1: 亜鉛ジアルキルジチオホスフェート(ZnDTP)(アルキル基:C4〜C5)
2: アルキルメルカプトチアジアゾール(アルキル基:C8〜C12)
3: 2,5−ビス(オクチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール
4: ステアリルメルカプタン
5: イソプロピルトリイソステアロイルチタネート
6: アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート(アルコキシ基:C18)
7: 酸化亜鉛
8: ひまし油
9: ベンゾトリアゾール系化合物
1.摩擦摩耗試験
A(実施例1〜4、比較例1〜7)
銅合金プレートに厚さ0.5mmのグリースを塗布し、2連型接点環境試験機(山崎精機研究所製)に銅ブラシと銅合金プレートをセットし、規定の荷重、摺動速度、摺動距離、温度条件、電圧・電流で、65万回往復摺動させた後の銅合金プレートの摩耗深さを確認する。
測定条件
荷重:200gf 摺動速度:70mm/s
摺動距離(片道):20mm 試験温度:25℃
摺動回数:65万回
B(実施例5〜9、比較例8〜15)
銀メッキプレートに厚さ0.5mmのグリースを塗布し、トライボギア試験機(新東科学製)に銀メッキリベットと銀メッキプレートをセットし、規定の荷重、摺動速度、摺動距離、温度条件で10万回往復摺動させた後の銀メッキプレートの摩耗深さを確認する。
測定条件
荷重:200gf 摺動速度:70mm/s
摺動距離(片道):20mm 試験温度:25℃
摺動回数:10万回
2.低温チャタリング試験
A(実施例1〜4、比較例1〜7)
銅合金プレートに厚さ0.5mmのグリースを塗布し、2連型接点環境試験機(山崎精機研究所製)に銅ブラシと銅合金プレートをセットし、規定の荷重、電圧・電流をかけ、25℃で3回摺動させる(慣らし運転)。規定の温度で2時間静置した後、5往復摺動させる(慣らし運転)。再び規定温度で30分保持した後、1摺動目のチャタリング発生時間を測定する。
測定条件
荷重:90gf 摺動速度:70mm/s 摺動距離(片道):20mm
電圧:12V 電流:25mA 試験温度:‐35℃
B(実施例5〜9、比較例8〜15)
銀メッキプレートに厚さ0.5mmのグリースを塗布し、2連型接点環境試験機(山崎精機研究所製)に銀メッキリベットおよび銀メッキプレートをセットする。規定の荷重、電圧・電流をかけ、規定の温度で2時間静置した後、10往復摺動させる(慣らし運転)。再び規定温度で30分保持した後、1摺動目のチャタリング発生時間を測定する。
測定条件
荷重:80gf 摺動速度:70mm/s 摺動距離(片道):20mm
電圧:5V 電流:10mA 試験温度:‐40℃
3.高温薄膜試験(実施例1〜4、比較例1〜7)
銅合金プレートに試験グリースを厚さ2mmで塗布し、120℃の恒温槽に200時間静置した後、銅合金への付着物の有無(表面外観の変色の有無)を確認する。銅及び銅合金が腐食すると表面に付着物(絶縁被膜)を生成し、導通不良を起こす。
○:付着物なし ×:付着物あり
4.接触抵抗(実施例5〜9、比較例8〜15)
銀メッキプレートに試験グリースを厚さ0.1mmで塗布し、80℃で120時間静置した後、銀メッキリベットおよび銀メッキプレートを電気接点シミュレータ(山崎精機研究所製CRS‐153‐AU)にセットし、規定の荷重、電流をかける。これを規定条件で2mm摺動させたときの接触抵抗を測定する。
測定条件
電流:10mA 接点端子:銀メッキリベット 接触荷重:100gf
実施例1〜4、比較例1〜7の成分及び試験結果を表1に示す。
Figure 2012107247
所定粘度の合成炭化水素油を基油とし、添加剤として有機亜鉛化合物及び/又はチアジアゾール系化合物を含む実施例1〜4のグリース組成物は、銅、銅合金プレートにおいて摩耗深さが小さく、低温域でのチャタリング(電圧降下)の発生時間が短く、表面付着物がなく、低温チャタリング性及び耐摩耗性に優れている。
これに対して、添加剤として有機亜鉛化合物又はチアジアゾール系化合物を含まない、比較例1では、耐摩耗性が低く、表面付着物がある。
添加剤として有機亜鉛化合物又はチアジアゾール系化合物を含まず、かつ基油として動粘度の高い合成炭化水素油又は鉱物油を使用した比較例2及び3では、低温域でのチャタリングの発生があり、表面付着物もある。
添加剤として有機亜鉛化合物及びチアジアゾール系化合物を含むが、基油として動粘度の高い合成炭化水素油を使用した比較例4では、低温域でのチャタリングの発生がある。
実施例1において有機亜鉛化合物の代わりに酸化亜鉛、ひまし油、ベンゾトリアゾール化合物を使用した比較例5−7では低温域でのチャタリングの発生があり、表面付着物もある。
実施例5〜9、比較例8〜15のグリース組成物の成分及び試験結果を表2及び表3に示す。
Figure 2012107247
Figure 2012107247
所定粘度の合成炭化水素油を基油とし、添加剤として有機亜鉛化合物及び/又はチアジアゾール系化合物を含む実施例5〜9のグリース組成物は、銀メッキプレートにおいて摩耗深さが小さく、低温域でのチャタリング(電圧降下)の発生時間が短く、接触抵抗が低い。
これに対して、添加剤として有機亜鉛化合物又はチアジアゾール系化合物を含まない、比較例8では、摩耗深さが大きく、接触抵抗が高い。
添加剤として有機亜鉛化合物又はチアジアゾール系化合物を含まず、動粘度が高い基油を使用した比較例9では、低温域でのチャタリングの発生があり、接触抵抗が高い。
添加剤として有機亜鉛化合物又はチアジアゾール系化合物を含まないが、チタネートカップリング剤を含む比較例10及び11では、摩耗深さはやや小さくなるが、低温域でのチャタリングの発生がある。
添加剤としてチアジアゾール系化合物を含むが基油として鉱物油を使用した比較例12では、摩耗深さはやや小さくなるが、低温域でのチャタリングの発生がある。
り、接触抵抗が高い。
添加剤としてチアジアゾール系化合物又はチタネートカップリング剤を含まないが、ひまし油を使用した比較例13では、摩耗深さが大きく、低温域でのチャタリングの発生がある。
添加剤としてチアジアゾール系化合物又はチタネートカップリング剤を含まないが、ベンゾトリアゾール系化合物を使用した比較例14では、摩耗深さが大きく、低温域でのチャタリングの発生がある。
添加剤としてチアジアゾール系化合物又はチタネートカップリング剤を含まず、基油として鉱物油を使用し、ステアリルメルカプタンを使用した比較例15では、摩耗深さが大きく、低温域でのチャタリングの発生がある。

Claims (10)

  1. 増ちょう剤、基油、及び添加剤を含む電気接点用グリース組成物において、基油として40℃における動粘度が9〜40mm2/sである合成炭化水素油を含み、添加剤としてチアジアゾール系化合物を含む電気接点用グリース組成物。
  2. さらに、添加剤として有機亜鉛化合物を含む請求項1記載の電気接点用グリース組成物。
  3. チタネート系カップリング剤及びアルミニウム系カップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含む請求項1又は2記載の電気接点用グリース組成物。
  4. 合成炭化水素油がポリ‐α‐オレフィンである請求項1〜3のいずれか1項記載の電気接点用グリース組成物。
  5. チアジアゾール系化合物が、アルキルメルカプトチアジアゾール及び2,5‐ビス(アルキルジチオ)−1,3,4‐チアジアゾールからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項記載の電気接点用グリース組成物。
  6. チタネート系カップリング剤が、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートである請求項3〜5のいずれか1項記載の電気接点用グリース組成物。
  7. アルミニウム系カップリング剤が、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートである請求項3〜5のいずれか1項記載の電気接点用グリース組成物。
  8. 増ちょう剤が12‐ヒドロキシステアリン酸リチウムである請求項1〜7のいずれか1項記載の電気接点用グリース組成物。
  9. 銅、銅合金又は貴金属表面を有する摺動電気接点用の請求項1〜8のいずれか1項記載の電気接点用グリース組成物。
  10. 銅、銅合金又は貴金属表面を有する摺動電気接点における請求項1〜9のいずれか1項記載の電気接点用グリース組成物の使用。
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