JP2012107102A - 液体洗浄剤組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
このAESを製造する際、アルコールにエチレンオキシドを付加する反応により、エチレンオキシドの付加モル数が幅広い分布を持つ生成物が得られ、該生成物を硫酸化することにより、約30質量%のアルキル硫酸エステル塩(AS)が共存する。低温安定性の確保が難しい理由としては、このASと組成物中のアルカリ土類金属とのコンプレックスが低温条件で析出するため、と考えられていた。
これに対して、プロピレンオキシドを最初にアルコールに少量付加し、その後にエチレンオキシドを付加させて製造されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(AES(p))を液体洗浄剤組成物の洗浄成分として用いることで、優れた低温安定性が確保される。これは、アルコールに最初にプロピレンオキシドが付加することにより、洗浄力に寄与するエチレンオキシドが1モルの付加体、及び2モルの付加体の割合を減少させることなく反応が進むため、と推察されている。
特許文献1には、かかるAES(p)と、無機性の水溶性アルカリ土類金属化合物と、ハイドロトロープ剤及び有機溶剤から選ばれる相安定化剤と、水とを含有する液体洗浄剤組成物が提案されている。この液体洗浄剤組成物によれば、高い洗浄力と優れた低温安定性を発現できるとされている。
近年、消費者の環境や経済性に対する意識が高まるなか、台所用の洗浄剤においては、食器や調理器具等を洗浄する際、その使用量を減らしても優れた洗浄効果が得られる液体洗浄剤が求められている。
食器や調理器具等の洗浄は、通常、液体洗浄剤を食器洗い用のスポンジに注ぎ足しながら行われている。
液体洗浄剤をスポンジに注ぎ足すタイミングとしては、「スポンジを揉んだ際に視認できる泡量が少なくなったとき」、が挙げられる。
従来の液体洗浄剤においては、洗い始めてから洗い終わるまでを通じて泡量が少ない、又は洗い始めは泡量が多くてもその後は泡質が水っぽくなっていき、泡量の多い状態が続かないため、液体洗浄剤をスポンジに注ぎ足す回数が多い傾向にあった。そのため、油汚れ等を除去するのに本来必要な使用量を超えて、液体洗浄剤が過剰に使用されていた。
このように、台所用の洗浄剤には、油汚れに対する洗浄性に加えて、泡立ち性(洗い始めの泡立ちの良さ、洗い始めてから洗い終わるまでの泡量の持続性)も要求される。
すなわち、本発明の液体洗浄剤組成物は、下記一般式(a1)で表される化合物(a)と、下記一般式(b1)で表される化合物(b)と、両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤(c)とを含有することを特徴とする。
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸塩、安息香酸、安息香酸塩及びエタノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のハイドロトロープ剤(d)をさらに含有することが好ましい。
本発明の液体洗浄剤組成物は、一般式(a1)で表される化合物(a)と、一般式(b1)で表される化合物(b)と、両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤(c)とを含有する。
本発明における化合物(a)は、下記一般式(a1)で表されるもの(以下「(a)成分」という。)であり、アルコールにオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基が導入され、疎水部(炭化水素基)がβ位の炭素原子でCxH2x+1とCyH2y+1とに分岐した構造を有する化合物である。
(a)成分を含有することにより、主として、液体洗浄剤組成物を油共存下で使用しても泡立ちと泡量の持続性がいずれも良好となる。加えて、液体洗浄剤組成物をスポンジに含ませて握った際に弾力感が感じられるようになる。この弾力感が感じられることで、後述のように、食器や調理器具等を洗浄する際、液体洗浄剤をスポンジに注ぎ足す回数を少なくでき、液体洗浄剤の使用量を減らすことができる。
AOがオキシエチレン基とオキシプロピレン基とが混在しているものである場合、油共存下で使用した際の泡立ちと泡量の持続性、及び液体洗浄剤組成物をスポンジに含ませて握った際の弾力感に優れることから、オキシプロピレン基の平均繰返し数は3以下であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。
AOにおいて、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とが混在している場合、これらはランダム状に混在していてもよく、ブロック状に混在していてもよい。
なお、ここでのmは、AOの「平均」繰返し数を示している。したがって、式(a1)で表される化合物は、AOの繰返し数が異なる分子の集合体である。
x+yが6以上であると、表面活性を示し、液面への吸着性が高まる。また、液体洗浄剤組成物をスポンジに含ませて握った際に弾力感が感じられるようになる。x+yが12以下であると、油共存下で使用しても泡立ちと泡量の持続性に優れる。
CxH2x+1、CyH2y+1としてはそれぞれ、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、直鎖状のアルキル基であることが好ましく、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好適なものとして挙げられる。
なかでも、CxH2x+1、CyH2y+1は、エチル基とブチル基との組合せ、プロピル基とペンチル基との組合せ(以上、いずれの組合せも一方がどちらの基であってもよい)が好ましく、プロピル基とペンチル基との組合せ(一方がどちらの基であってもよい)が特に好ましい。
上記のなかでも、(a)成分としては、前記式(a1)におけるAOがオキシエチレン基であり、mが9又は10であり、xとyの一方が3で、他方が5であるものが好ましい。
また、(a)成分としては、ガーベット反応による2分子縮合で得られた、β位に分岐構造を有するアルコールのエチレンオキシド付加物が特に好適なものとして挙げられる。
このような市販品としては、BASF社製のポリオキシエチレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテルが挙げられ、具体的には、上記一般式(a1)におけるm=6の化合物で商品名「Lutensol XP60」、上記一般式(a1)におけるm=9の化合物で商品名「Lutensol XP90」、上記一般式(a1)におけるm=10の化合物で商品名「Lutensol XP100」が挙げられる。
また、BASF社製のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテルも挙げられ、具体的には、上記一般式(a1)におけるm=9の化合物(オキシエチレン基とオキシプロピレン基とが混在したもの)で商品名「Lutensol XL90」、上記一般式(a1)におけるm=10の化合物(オキシエチレン基とオキシプロピレン基とが混在したもの)で商品名「Lutensol XL100」が挙げられる。
(a)成分の含有量が下限値以上であると、液体洗浄剤組成物の泡立ちと泡量の持続性がより向上し、また、低温安定性がより良好となる。一方、上限値以下であると、油汚れに対する洗浄力がより向上する。
本発明における化合物(b)は、下記一般式(b1)で表されるもの(以下「(b)成分」という。)である。
(b)成分を含有することにより、主として、油汚れに対する洗浄力に優れると共に、低温条件における貯蔵安定性が良好となる。
0<p<1であると、アルキル硫酸エステル塩(AS)の含有割合が制限され、低温安定性が良好となる。0<q≦3であると、油汚れに対する洗浄力が良好となり、油共存下で使用しても泡立ちと泡量の持続性に優れる。
なお、ここでのp、qは、それぞれPO、EOの「平均」繰返し数を示している。したがって、式(b1)で表される化合物は、PO、EOの繰返し数が異なる分子(PO又はEOを有しない分子を含む)の集合体である。また、R5の炭素数が異なる分子の集合体であってもよい。
アルカリ金属イオンを提供するアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属イオンを提供するアルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。アンモニウムイオンを提供するものとしては、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
液体洗浄剤組成物における(b)成分の含有量は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましく、15〜25質量%であることがさらに好ましい。
(b)成分の含有量が下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力がより向上し、低温安定性もより良好となる。また、液体洗浄剤組成物の泡立ちと泡量の持続性がより向上する。一方、上限値以下であると、特に低温条件で透明外観をより保ちやすくなる。
本発明においては、前記(b)成分と、両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤(c)(以下「(c)成分」という。)とを組み合わせて用いることにより、主として、油汚れに対して高い洗浄効果が得られる。
両性界面活性剤としては、たとえば、アミノ酢酸ベタイン(アルキルベタイン、アルキルアミドベタインなど)、スルホベタイン(アルキルヒドロキシスルホベタインなど)等のベタイン型のもの;グリシン系のもの(イミダゾリニウムベタインなど)、アミノプロピオン酸系のもの等のアミノ酸型のものが挙げられる。
両性界面活性剤として具体的には、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン;N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−プロピルスルホベタイン、N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホベタイン、N−ラウリル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−1−スルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン等のスルホベタイン;2−ラウリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム等のグリシン系のもの;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム等のアミノプロピオン酸系のものが挙げられる。
本発明において、「半極性界面活性剤」とは、半極性結合(無極性結合及び極性結合の中間の性質を有する結合)を有する界面活性剤のことであり、半極性界面活性剤が溶解する溶液または分散する分散系のpHにより、陽イオン性、陰イオン性、または両極性となるものをいう。
半極性界面活性剤のなかで好適なものとしては、たとえばアミンアルキレンオキサイド型界面活性剤、アミンオキシド型界面活性剤が挙げられる。なかでも、油汚れに対する洗浄力及び泡立ちが良好であることから、アミンオキシド型界面活性剤が好ましい。
アミンオキシド型界面活性剤としては、たとえばアルキルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシドが挙げられ、なかでも下記一般式(c1)で表される化合物が好適なものとして挙げられる。
R1のアルキル基、アルケニル基において、炭素数は8〜18であり、油汚れに対する洗浄力がより向上することから、10〜14であることが好ましい。
R2、R3は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましく、R2およびR3はいずれもメチル基であることがさらに好ましい。
R4は、炭素数1〜4のアルキレン基である。
Bは−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−又は−O−である。
rは、0又は1の数であり、0が好ましい。
上記のなかでも、(c)成分としては、(b)成分と併用して油汚れに対する洗浄力が特に良好であることから、半極性界面活性剤が好ましい。
(c)成分として具体的には、アミノ酢酸ベタイン、スルホベタイン、アルキルジメチルアミンオキシド系のもの、又はアルカノイルアミドアルキルジメチルアミンオキシド系のものが好ましく、アルキルジメチルアミンオキシド系のものが特に好ましい。
(c)成分の含有量が下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力がより向上する。さらに、液体洗浄剤組成物をスポンジに含ませて握った際、弾力感が良好に得られるようになる。一方、上限値以下であると、液体洗浄剤組成物の泡立ちと泡量の持続性がより向上する。
当該質量比が2以上であると、油汚れに対する洗浄力がより向上する。また、液体洗浄剤組成物をスポンジに含ませて握った際、弾力感が良好に得られるようになる。一方、当該質量比が10以下であると、液体洗浄剤組成物の泡立ちと泡量の持続性がより向上する。また、粘度の増加が抑制され、液体洗浄剤組成物をスポンジに含ませて握った際、適度な弾力感が得られ、かつ、泡量を持続できる。
このように、(a)成分を、(b)成分及び(c)成分と、特定の質量比で用いることにより、油汚れに対する洗浄力が高くなり、連続的に洗浄を続けても、泡立ちが衰えることなく泡量が持続しやすい。
本発明の液体洗浄剤組成物には、上記の(a)〜(c)成分以外に、必要に応じて通常、硬質表面用又は衣料用等の洗浄剤組成物に用いられている成分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜、配合することができる。
本発明の液体洗浄剤組成物においては、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸塩、安息香酸、安息香酸塩及びエタノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のハイドロトロープ剤(d)(以下この群から選ばれるハイドロトロープ剤を「(d)成分」という。)をさらに含有することが好ましい。
(d)成分を含有することにより、主として、液体洗浄剤組成物の保存安定性(特に低温安定性)が向上して、透明外観をより安定に確保しやすくなる。
トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩、安息香酸塩における塩の形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩が挙げられる。なかでも、アルカリ金属の塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
(d)成分として、前記(d1)成分とエタノールとを併用する場合、(d1)成分とエタノールとの混合割合は、質量比で、(d1)成分/エタノール=0.05〜2.5であることが好ましく、0.063〜1であることがより好ましい。
エタノールに対する(d1)成分の配合割合が下限値以上であると、特に低温条件で透明外観をより保ちやすくなる。一方、上限値以下であると、低温安定性がより向上する。また、洗浄剤組成物の高粘度化が抑制されて流動性が良好になる。
(d)成分の含有量が下限値以上であると、低温条件でも、経時保存において液体洗浄剤組成物の透明外観をより安定に保ちやすくなる。一方、上限値以下であると、液体洗浄剤組成物の泡立ちと泡量の持続性がさらに向上する。
(a)成分以外のノニオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、エステル型ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルポリグリコシド、アルキルグルコシド、アルキルモノグリセリルエーテル;脂肪酸アルカノールアミド、アルキルメチルグルカミド等の脂肪酸アミド誘導体;ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、脂肪酸グリコシドエステル、脂肪酸メチルグリコシドエステル等の長鎖脂肪酸エステル系化合物等が挙げられる。これらのノニオン界面活性剤をさらに含有することにより、手荒れが生じにくくなり、高い手肌マイルド性が付与される。
(b)成分以外のアニオン界面活性剤としては、スルホン酸塩タイプ(アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、スルホコハク酸塩等)、硫酸エステル塩タイプ(アルキル硫酸エステル塩、アルケニル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩等)、カルボン酸塩タイプ(アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、スルホコハク酸塩、アミノ酸系アニオン界面活性剤等)、リン酸エステルタイプなどが挙げられる。
液体洗浄剤組成物のpHが5以上であると、(b)成分と(c)成分との相互作用が強すぎず、適度に抑えられるため、両成分とも良好に溶存し、液体洗浄剤組成物の透明外観をより安定に保ちやすくなる。また、液体洗浄剤組成物のゲル化又は固化がより起きにくくなる。一方、pHが8以下であると、(b)成分と(c)成分との相互作用が弱くなりすぎず、油汚れに対する洗浄力がより向上する。また、液体洗浄剤組成物の泡立ちと泡量の持続性がより向上する。
液体洗浄剤組成物(25℃に調温)のpHは、pHメータ(製品名:ホリバF−22、(株)堀場製作所製)を用い、JIS K3362−1998に準拠した方法により測定される値を示す。
(b)成分及び(c)成分を洗浄成分とした従来の液体洗浄剤組成物では、泡立ち性が劣っていたところ、(a)成分を併用したことにより、泡立ち性が格段に向上する。かかる効果が得られる理由としては、定かではないが以下のように推測される。
分岐構造を有する化合物は、一般に会合状態を形成しにくいため、泡立ちを抑えるのに(制泡剤、低起泡性組成物用などとして)用いられることが多い。
しかしながら、β位に分岐鎖を有する分岐構造「CxH2x+1(CyH2y+1)CH−CH2−」を有し、かつ、オキシアルキレン基の平均繰返し数(m)が6〜12である(a)成分は、
(i)洗浄の際、気液界面に配向するのが速い特性を有する。これにより、(b)成分及び(c)成分の気液界面への配向も速くなり、これら界面活性剤分子膜の形成が促進される。そのため、洗い始めにおいて、油共存下であっても泡立ちが早く、豊富な泡が素早く形成する。
(ii)気液界面に配向した後、(a)成分中の適度な繰返し数のオキシアルキレン基と、(b)成分及び(c)成分における親水性の部分との間の相互作用により、安定な会合状態が形成される。
以上により、本発明の液体洗浄剤組成物は、油共存下で使用しても洗い始めから泡量が多く、その泡量の持続性も良好であり、泡立ち性に優れる、と考えられる。
本発明者らの検討によれば、油汚れ等を除去するのに必要な使用量の液体洗浄剤がスポンジに含まれている状態であっても、スポンジを握った際に軟らかい(弾力感がない)と感じる場合、スポンジに液体洗浄剤が充分に含まれていることを実感できないため、液体洗浄剤を余分に注ぎ足す行動をとりやすいことが分かった。加えて、スポンジを握った際に弾力感がないと感じる場合は、洗浄中にスポンジを効率良く食器等に押し当てることができないため、油汚れ等を擦り落としにくいことも分かった。
本発明の液体洗浄剤組成物を含ませた食器洗い用スポンジにおいては、(a)〜(c)成分が会合して形成されるクリーミィな泡が弾力感として感じられるため、スポンジに液体洗浄剤組成物が充分に含まれていることを実感できると考えられる。
かかる本発明の液体洗浄剤組成物は、台所用の洗浄剤として特に好適に利用できる。
表1〜4に示す配合組成に従って、以下に示す製造方法(未配合の成分がある場合、その成分は配合しない。)により、各例の液体洗浄剤組成物をそれぞれ調製した。
表1〜4中の配合量の単位は質量%であり、いずれの成分も純分換算量を示す。
なお、各例の液体洗浄剤組成物は、表に記載の各成分の合計が100質量%となるように調製した。各成分は50℃に保温したものを用いた。
(実施例1〜18、比較例1〜10)
まず、200mLビーカに、(a)成分又は(a’)成分と、(b)成分と、(d)成分と、PEG1000とを入れ、マグネチックスターラにより撹拌した。次に、(c)成分を入れて撹拌した。
次いで、全体量(全体量を100質量部とする。)が93質量部になるように水を入れて撹拌した。その後、pHを調整し、全体量が100質量部になるように残りの水を加えてバランスし、各例の液体洗浄剤組成物をそれぞれ製造した。
pHの調整は、所定量のグリコール酸を配合し、各例の液体洗浄剤組成物(原液)の25℃でのpHが7.0となるように、0.1N水酸化ナトリウムを適量添加することにより行った。
pH測定は、液体洗浄剤組成物を25℃に調整し、ガラス電極式pHメータ(製品名:ホリバF−22、(株)堀場製作所製)を用いて測定した。測定方法は、JIS K3362−1998に準拠して行った。
(実施例19〜26)
まず、200mLビーカに、(a)成分と、(b)成分と、(d)成分と、PEG1000とを入れ、マグネチックスターラにより撹拌した。次に、(c)成分を入れて撹拌した。次に、ノニオン1と、ノニオン2と、フェニルグリコールと、硫酸Mg・7水和物とを入れて撹拌し、その後、硫酸亜鉛・7水和物を入れて撹拌し、さらに香料を入れて撹拌した。
次いで、全体量(全体量を100質量部とする。)が93質量部になるように水を入れて撹拌した。その後、pHを調整し、全体量が100質量部になるように残りの水を加えてバランスし、各例の液体洗浄剤組成物をそれぞれ製造した。
pHの調整は、実施例19〜21においては、所定量のグリコール酸を配合し、各例の液体洗浄剤組成物(原液)の25℃でのpHが表中に示す値となるように、0.1N水酸化ナトリウムを適量添加することにより行った。実施例22〜26においては、各例の液体洗浄剤組成物(原液)の25℃でのpHが表中に示す値となるように、0.1N水酸化ナトリウムを適量添加するだけで行った。pH測定は、上記と同様にして行った。
以下に、表中に示した成分について説明する。
・(a)成分
a−1:ポリオキシエチレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテル、BASF社製、商品名「Lutensol XP60」、上記一般式(a1)におけるm=6の化合物。
a−2:ポリオキシエチレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテル、BASF社製、商品名「Lutensol XP90」、上記一般式(a1)におけるm=9の化合物。
a−3:ポリオキシエチレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテル、BASF社製、商品名「Lutensol XP100」、上記一般式(a1)におけるm=10の化合物。
a−4:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテル、BASF社製、商品名「Lutensol XL90」、上記一般式(a1)におけるm=9の化合物(オキシエチレン基とオキシプロピレン基とが混在したもの)。
a−5:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテル、BASF社製、商品名「Lutensol XL100」、上記一般式(a1)におけるm=10の化合物(オキシエチレン基とオキシプロピレン基とが混在したもの)。
a’−1:ポリオキシエチレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテル、BASF社製、商品名「Lutensol XP40」、上記一般式(a1)におけるm=4の化合物。
a’−2:ポリオキシエチレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテル、BASF社製、商品名「Lutensol XP140」、上記一般式(a1)におけるm=14の化合物。
a’−3:ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ライオン(株)製、商品名「レオックスLC−90」、炭素数12の直鎖状のアルキル基、エチレンオキシドの平均付加モル数9の化合物。
a’−4:ポリオキシエチレンデシルエーテル(オキソアルコールエトキシレート)、BASF社製、商品名「Lutensol ON80」、一般式R−O−(CH2CH2O)8−H(式中、Rは2−メチルノニル基である)で表される化合物。
a’−5:ポリオキシエチレンセチルエーテル、日本乳化剤(株)製、商品名「ニューコール1607」、炭素数16の直鎖状のアルキル基、エチレンオキシドの平均付加モル数7の化合物。
a’−6:アルキルグルコシド、花王株式会社製、商品名「マイドール12」。
a’−7:2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテル。
b−1:炭素数12の直鎖状のアルキル基をもつ1級アルコール(C12OH)と、炭素数14の直鎖状のアルキル基をもつ1級アルコール(C14OH)とがC12OH:C14OH=73:27(質量比)で混合した天然アルコールに、POを平均0.4モル付加、EOを平均1.5モル付加した後、三酸化イオウにより硫酸化し、水酸化ナトリウムで中和した(水で希釈し、10質量%水溶液のpHが11になるまで中和した)もの。
b−2:炭素数12の直鎖状のアルキル基をもつ1級アルコール(C12OH)と、炭素数14の直鎖状のアルキル基をもつ1級アルコール(C14OH)とがC12OH:C14OH=73:27(質量比)で混合した天然アルコールに、POを平均0.5モル付加、EOを平均1.5モル付加した後、三酸化イオウにより硫酸化し、水酸化ナトリウムで中和した(水で希釈し、10質量%水溶液のpHが11になるまで中和した)もの。
b−3:炭素数12の直鎖状のアルキル基をもつ1級アルコール(C12OH)と、炭素数14の直鎖状のアルキル基をもつ1級アルコール(C14OH)とがC12OH:C14OH=73:27(質量比)で混合した天然アルコールに、POを平均0.6モル付加、EOを平均1.5モル付加した後、三酸化イオウにより硫酸化し、水酸化ナトリウムで中和した(水で希釈し、10質量%水溶液のpHが11になるまで中和した)もの。
なお、前記の天然アルコールは、直鎖状のアルキル基をもつ化合物のみで構成されている。
c−1:C12アルキルジメチルアミンオキシド、ライオンアクゾ社製、商品名「アロモックスDM12D−W」。
c−2:ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、川研ファインケミカル社製、商品名「ソフタゾリンLAO」。
d−1:p−トルエンスルホン酸、テイカ(株)製、商品名「テイカトックス300」。
d−2:クメンスルホン酸ナトリウム、テイカ(株)製、商品名「テイカトックスN5040」。
d−3:安息香酸ナトリウム、(株)伏見製薬製。
d−4:エタノール、純正化学(株)製、試薬特級。
PEG1000:ポリエチレングリコール1000、ライオン株式会社製、商品名「PEG#1000」(平均分子量1000)。
グリコール酸:デュポン社製、商品名「グリピュア70」。
水酸化Na:水酸化ナトリウム、鶴見曹達(株)製。
水:水道水。
ノニオン1:a’−6と同じもの。
ノニオン2:a’−7と同じもの。
フェニルグリコール:日本乳化剤(株)製、商品名「PhG−H」。
硫酸亜鉛・7水和物:純正化学株式会社製、試薬特級。
香料:特開2002−327194号公報に記載の香料組成物A。
硫酸Mg・7水和物:硫酸マグネシウム・7水和物、和光純薬工業株式会社製、試薬特級。
各例の液体洗浄剤組成物について、以下に示す評価方法によって各評価を行い、その結果を表1〜4に併記した。
牛脂0.8gを、縦10cm×横15cm×高さ5cmのタッパ容器内面の全面に均一になるように塗布して汚垢モデルとした。
次いで、縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(住友スリーエム(株)製、商品名:スコッチブライト)に、25℃水道水38gと液体洗浄剤組成物2gをそれぞれ取り、数回手で揉んだ後、上記汚垢モデルを家庭で通常行われる方法と同様にして洗浄した。
次いで、25℃の水道水でよくすすいだ後、タッパ容器内面の牛脂が塗布されていた部位を手で触ったときの触感について評価した。
かかる評価は、下記の評価基準(◎〜○が合格範囲)に基づいて行い、油汚れに対する洗浄力の評価とした。
(評価基準)
◎:タッパ容器内面のいずれの部位を触っても、油による皮膜がなく、油の残留によるぬるつきはまったく感じられなかった。
○:タッパ容器内側の底面及び側面を触ると、油による皮膜がなく、油の残留によるぬるつきは感じられないが、タッパ容器内側の角の部位には僅かにぬるつきが残っていた。
△:タッパ容器内側の底面を触ると、油による皮膜がなく、油の残留によるぬるつきは感じられないが、タッパ容器内側の側面や角の部位にぬるつきが残っていた。
×:タッパ容器全体にぬるつきが感じられ、明らかに油が残留していることがわかった。
各例の液体洗浄剤組成物100mLを、直径50mm、高さ100mmの円筒ガラス瓶に充填し、フタを閉めて密封した。この状態で、−5℃(低温条件)の恒温槽内で1ヶ月間保存した後の液体洗浄剤組成物の外観について、目視により観察し、下記評価基準(◎〜○が合格範囲)に基づいて、液体洗浄剤組成物の保存安定性(外観)を評価した。
(評価基準)
◎:均一透明。
○:析出物が認められるものの、その析出している量が、円筒ガラス瓶の容積全体の5容積%未満であった。
△:析出物が認められ、その析出している量が、円筒ガラス瓶の容積全体の5容積%以上、10容積%未満であった。
×:析出物が認められ、その析出している量が、円筒ガラス瓶の容積全体の10容積%以上であった。
モデル油汚垢としてオリーブ油1gと水5gを採取した皿(直径21cm)をモデル油汚垢皿とし、当該モデル油汚垢皿を30皿用意した。
縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(住友スリーエム(株)製、商品名:スコッチブライト)に、25℃水道水38gと液体洗浄剤組成物2gをそれぞれ取り、3回手で揉んだ後の食器洗い用スポンジをモデル油汚垢皿と接触させ、モデル油汚垢と食器洗い用スポンジとを馴染ませた。その後、食器洗い用スポンジをモデル油汚垢皿に押さえつけた状態で円を2周描くように動かして擦り洗いを行った。
そして、食器洗い用スポンジには水道水と液体洗浄剤組成物を新たに注ぎ足すことなく、連続してモデル油汚垢皿を擦り洗い続け、擦り洗い後のモデル油汚垢皿の上に泡が残らない(確認できない)状態になるまで洗い続けた。
この時点で、泡が確認できなくなるまでに洗浄できた皿枚数が20枚未満であった液体洗浄剤組成物は、泡の持続性に劣ると判断し、次の泡量の評価対象外とした。この泡が確認できなくなるまでに洗浄できた皿枚数を表1〜4に示した。
なお、たとえば一回の食事に使用する食器の枚数を、お茶碗、おわん、お皿、小鉢2つ、と仮定すると5枚/人となり、一般的な4人家族の場合、食器の数は5枚×4人=20枚と想定されることから、皿枚数20枚未満を、泡の持続性の判断基準とした。
泡が確認できなくなるまでに洗浄できた皿枚数が20枚以上であった液体洗浄剤組成物について、洗浄後に各モデル油汚垢皿に存在している泡を500mLメスシリンダーに移し取り、その泡量(mL)を皿1枚毎に測定し、下記の評価基準(◎〜○が合格範囲)に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:洗浄後に100mL以上の泡量を確認できた皿枚数が5枚以上であった。
○:洗浄後に100mL以上の泡量を確認できた皿枚数が3〜4枚であった。
△:洗浄後に100mL以上の泡量を確認できた皿枚数が1〜2枚であった。
×:洗浄後に100mL以上の泡量を確認できた皿枚数が0枚であった。
表中、泡立ち性の評価における「−」は、泡量の評価対象外であったことを意味する。
縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(住友スリーエム(株)製、商品名:スコッチブライト)に、水道水38gと液体洗浄剤組成物2gをそれぞれ取り、10回手で揉んでいる際に掌で感じるスポンジ感触を、モニター10人により、下記の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:食器洗い用スポンジに適度な強さの弾力感を感じた。
○:食器洗い用スポンジにやや弾力感を感じた。
△:食器洗い用スポンジがやや軟らかく感じた。
×:食器洗い用スポンジが明らかに軟らかく感じた。
また、表1、2の結果から、(a)〜(c)成分に加えて、(d)成分をさらに含有することにより、低温安定性がさらに向上することが分かる。
表4に示す実施例19〜26の液体洗浄剤組成物においても、油汚れに対する洗浄力、低温安定性、泡立ち性、スポンジ感触のいずれについても良好な評価結果が得られた。
Claims (3)
- 前記化合物(a)は、前記一般式(a1)におけるAOがオキシエチレン基であり、mが9又は10であり、xとyの一方が3で、他方が5である請求項1記載の液体洗浄剤組成物。
- トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸塩、安息香酸、安息香酸塩及びエタノールからなる群から選ばれる少なくとも一種のハイドロトロープ剤(d)をさらに含有する請求項1又は請求項2記載の液体洗浄剤組成物。
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