JP2012105512A - 触媒燃焼型熱電発電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】供給燃料気流の酸化熱を電気に変換する触媒燃焼型熱電発電機を提供する。
【解決手段】メンブレン部を含む基板上に、熱電変換材料からなるサーモパイル素子が配置し、当該サーモパイル素子のうち、メンブレン中心部に対応する位置に、酸化触媒が塗布により設置された触媒塗布部分(高温部)と、残りのサーモパイル素子の両端部(低温部)とを含むサーモパイル素子ユニットが、複数個、直列に接続されてなる熱電発電機デバイスであって、上記複数個のユニットの直列接続は、1つのサーモパイル素子ユニット上のメンブレンを中心に両側に配置されている2つのサーモパイルの片側のN型パターンの低温部が、次のユニットのサーモパイルのP型パターンの低温部に、直列に電気的に接続されたアレー型構造を有する、上記熱電発電機デバイス。
【効果】mW級以上の高い発電を実現する熱電発電機を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、マイクロ触媒熱電発電素子を三次元的に集積化した触媒燃焼型熱電発電機に関するものであり、更に詳しくは、BiTe系、Si系等の薄膜を用いたサーモパイル素子ユニットを、複数個並べて集積した平面状のアレー型デバイスを、上下方向に積層化し、積層構造を有するモジュールとして構築した、高出力の発電を実現する触媒燃焼型熱電発電機の構造に関するものである。本発明は、既存の熱電サーモパイル素子と比べて、その発電性能を大幅に向上させて、mW級以上の発電を実現する触媒燃焼型熱電発電機に関する新技術・新製品を提供するものである。
近年、石油代替エネルギーの利用促進、温室効果ガスの排出抑制の観点から、バイオマスエネルギーの利用が、重要な課題となっている。しかし、バイオマスの発生状況を考慮し、各地域の状況に合わせた、小規模・分散型システムの開発は、十分ではないのが実情である。その理由は、バイオマスガスは、含まれる可燃性ガス濃度が数%と低く、そのまま燃料として使えないためである。
バイオマスガスを、タービンの様な内燃機関に使用するには、カロリーを高めるため、通常、水素・メタンを加えることが必要とされる。また、バイオマスガスを、外燃機関のボイラー、スターリングエンジン等に使うとしても、バイオマスのガス化(BTL)等、高価な設備の建設や管理等に、大きなコスト負担が不可欠である。
一方、未利用熱エネルギーを、電力として直接回収する熱電変換技術は、駆動部が無く、システムの小型化が可能であり、変換効率が、サイズに左右されない特徴がある。この様な熱電変換技術に関して、これまでに、本発明者らは、触媒塗布技術の基である熱電サーモパイル素子を開発し、水素濃度3%のガスで、出力328nWの発電を確認している(特許文献1)。
この1μW未満の出力の発電を、様々な応用に使える1W級の発電に増強するためには、同等の性能であれば、約100万個のサーモパイル素子を、高密度で集積化するモジュール技術が必要である。しかも、その場合、サーモパイル素子を高密度で集積化することは、サーモパイル素子の低温部、高温部の集積化の設計が容易ではなく、平面状のデバイスを高密度で三次元に集積化するための、新しい技術が必要である。
このサーモパイル素子の高密度の集積化を行うには、基本構造である、サーモパイル素子、温度差をつけるための基板、及びメンブレン構造、触媒の構造、燃料ガスを流すための構造等の、基本的な特徴を理解し、各性能を保ちながら、電力を上げる新しい工夫が求められる。その場合、基本構造のサーモパイル素子のユニットを、高い密度で集積化し、全体の出力密度を上げる必要があるが、実際には、そのための配置及び配線が複雑になり、全体の効率が下がるという問題がある。サーモパイル素子ユニットの高温部が載るメンブレンは、1μm程度の薄いガラス部材に近い膜であるので、これを、高密度にすると、基板の強度が弱くなるという問題もある。
また、サーモパイル素子ユニットがアレー状に配置された、平面型のデバイスを積層して、三次元にモジュール化した発電機を製造する場合、特に、終電用の電極の取り出しが難しいという問題がある。更に、三次元にモジュール化した発電機を実用化可能にするには、三次元にモジュール化した発電機のマニフォールドに流す燃料ガスの流量、ガス濃度等が異なるシステムに対して、同じデバイスで対応できる新しい製造技術の開発が必要不可欠である。
特開2006−47276号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、様々な応用に使える1W級の発電を可能にする、三次元にモジュール化した新しい発電機の構造を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、サーモパイル素子を集積した平面状のデバイスを三次元に高密度に集積化した積層構造を有する新しい発電機を構築することに成功し、本発明を完成するに至った。
本発明は、低い発電出力の熱電サーモパイル素子ユニットを、セルの中に特定の配列で配置した平面状のアレー基板を、上下方向に積層してモジュール化することで、出力エネルギー密度を三次元的に増加可能とした熱電発電機デバイスを提供することを目的とするものである。また、本発明は、組立てが容易で、かつ1枚又は複数枚のアレー基板が不良になった際にも、簡易な取り換えができる特定構造を有する熱電発電機の構造を提供することを目的とするものである。また、本発明は、メンブレン部を含む基板の強度を保ちながら、電極の配線を最短距離に近くして集積度を向上させたアレー型基板を用いた熱電発電機を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、燃料ガスを層間に流す三次元構造のマニフォールドを持ち、高密度発電及び燃料利用効率を大幅に高めた熱電発電機を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)メンブレン部を含む基板上に、熱電変換材料からなるサーモパイル素子が配置しており、当該サーモパイル素子のうち、メンブレン部の中心部に対応する位置における、酸化触媒が塗布により設置された触媒塗布部分(高温部)と、残りのサーモパイル素子の両端部(低温部)とを含むサーモパイル素子ユニットが、複数個、直列に接続されたアレー基板からなる、供給燃料気流の酸化熱を電気に変換する1面の接触燃焼型熱電発電機デバイスであって、
前記複数個のユニットの直列接続は、1つのサーモパイル素子ユニット上のメンブレンを中心に両側に配置されている2つのサーモパイルの片側のN型パターンの低温部が、次のユニットのサーモパイルのP型パターンの低温部に、直列で電気的に接続された構造を有し、これを繰り返して形成してなるアレー型の構造を有することを特徴とする上記熱電発電機デバイス。
(2)ユニット列の位置を、隣列のユニット列とユニット半分の幅でずらして格子状に配置したアレーの配置にすることで、メンブレン部を含む基板の強度を保ちながら、電極を配線して集積度を向上させたアレー型の構造を有する、前記(1)記載の熱電発電機デバイス。
(3)メンブレン部を含む基板上に、当該メンブレン部を横切るように熱電変換材料からなるサーモパイル素子が配置している、前記(1)又は(2)記載の熱電発電機デバイス。
(4)1個又は複数のユニットが不良であっても、残りのユニットを、動作可能にして変更できるよう、電極パッドを伸ばし、近接できる構造を有する、前記(1)から(3)のいずれかに記載の熱電発電機デバイス。
(5)前記(1)から(4)のいずれかに記載の、アレー基板からなる1面の接触燃焼型熱電発電機デバイスを、複数枚積層させた積層構造を有し、燃料ガスを層間に流すことができる三次構造のマニフォールドを具備し、該マニフォールドにより高密度発電及び燃料利用効率を高めた、モジュール構造を有することを特徴とする熱電発電機。
(6)上記アレー基板を、三次元的に上下方向(複葉型)に集積するための支持体を有し、アレー基板を、該支持体に設けたアレー基板用レールにスライドするだけで、組立が可能で、支持体に設けられた終電端子部に、上記デバイスの終電用電極パターンを接続できる、スライド式の組み立て構造を有する、前記(5)記載の熱電発電機。
(7)レール間の間隔を、燃料のカロリー及び流速に合わせて、自由に調整可能な構造を有する、前記(5)又は(6)記載の熱電発電機。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
先ず、サーモパイル素子ユニットについて説明する。本発明では、サーモパイル素子ユニットを作製するに際して、例えば、可燃性ガスと触媒材との触媒反応による発熱を電気に変換する熱電発電器として、その基板上に触媒又は抵抗体の微細パターンを形成する。その方法として、好適には、例えば、触媒又は抵抗体の原料の機能性材料を、その所定の微細構造を制御して設計、調製し、ディスペンサを三次元的に移動させながら、触媒又は抵抗体の原料の機能性材料を吐出させることにより、基板上の所定の位置に、所定のパターンで塗布し、それによって、機能性材料の主成分である粒子の形状及び分布状態を含む微細構造が制御されたままの状態で所定の微細パターンを形成する方法が例示される。
本発明において、触媒又は抵抗体としては、好適には、貴金属が分散した酸化物又は結晶質の酸化物、例えば、アルミナ、酸化スズ等が例示されるが、これらに制限されるものではない。また、機能性材料の主成分である粒子の形状及び分布状態を含む所定の微細構造が制御されたままの状態で微細パターンを形成するために、例えば、粒子サイズがナノメートルの大きさで、貴金属が分散された酸化物、又は結晶質の酸化物の粒子からなる所定の微細構造を有する機能性材料を、その微細構造を維持して微細パターン化する。また、ディスペンサを三次元的に移動させながら、触媒又は抵抗体を吐出させる。そのために、例えば、ディスペンサを用いて、触媒又は抵抗体の原料を、微細な電極の上、又はメンブレン等の特定の部分に、選択的に形成する。
本発明では、好適には、例えば、素子に発生した局部的な温度差を電力源とする素子の構成要素の一つである触媒部材の形成が、ディスペンサを用いた方法で行われ、また、触媒の性能を高めるために、触媒の原料となるペーストの粒子サイズがナノメートルレベルのものが用いられ、それにより、所定の形状、構造、及び微細構造を持つ微細パターンが形成される。本発明では、それらの具体的な構成は、素子の形状、構造、利用目的等に応じて任意に設計することができる。
可燃性ガス燃料と空気の混合ガスを触媒反応によって発熱すると、熱と光が発生する。この燃焼反応の発熱によって発生する局部的な温度差を、熱電変換材料を利用して電気エネルギーに変えることができる。本発明では、触媒の形成においてディスペンサを使用することで、より高性能の熱電発電機を提供することができる。本発明では、例えば、安定した触媒反応による温度差発生を促すため、シリコン基板上に厚さ1μm以下のメンブレンに乗せた構造とし、それにより、素子の熱容量を低減するとともに、基板への熱伝達を極限まで低減し、素子の応答性を向上させることが可能である。
本発明では、この燃焼反応の発熱によって発生する局部的な温度差を、熱電変換材料を利用して電気エネルギーに変えて、これを動力源として利用するためのシステムである燃焼熱電発電機素子とすることができる。近年、携帯電子機器、小型医療機器、自立ロボット技術の発達にともない、リチウム電池に代わって、数ワット級の超小型エネルギー源が必要とされ、マイクロ燃焼熱電発電器は、マイクロタービン等とは異なり、駆動部がないため、小型で信頼性の高い、マイクロ燃焼熱発電機を用いた超小型発電システムが望まれている。
本発明では、ペースト状に素子表面に形成してから加熱処理して焼成することで、最終的な触媒の構造が、酸化物のナノ粒子と、更にその表面に数ナノメートル大きさの貴金属が分散された複合体となるように、原料のペーストを調製する。即ち、触媒は、ペースト状の材料を素子表面に形成してから加熱処理して焼成することで、最終的な触媒の構造が、酸化物のナノ粒子と、更に、その表面に数ナノメートルの大きさの貴金属とが分散された複合体となるように、あらかじめ原料配合及びそれらの微細構造を設計し、原料のペーストを調製する。酸化物のナノ粒子としては、例えば、アルミナ、シリカ、酸化スズ、貴金属としては、例えば、Pt、Pd、Au、微細構造としては、例えば、酸化物の表面に、金属のナノ粒子が所定の分散状態で分散されている構造が例示される。
触媒からの発熱エネルギーが周辺に伝わらないように、熱伝導の低いメンブレインの上に触媒が形成される。本発明において、ディスペンサを用いる利点としては、種々のニードル径の選択が可能であり、格子状等の複雑な形状の触媒パターンを容易に作製できること、また、機械的強度に劣る薄い膜上にも塗布することができ、基板形状に捕らわれず幅広い応用が可能であること、この触媒を用いることで、デバイスの室温作動が可能となること、等が挙げられる。
上述の方法では、機能性材料のペーストの主成分である粒子の形状及び分布状態を含む所定の微細構造が制御されたままの状態で所定の微細パターンを形成することが可能であり、例えば、機能性材料として、あらかじめ微細構造を制御して調製した酸化物と触媒のペーストを用いた場合、その微細構造を完全に維持した形で所定の微細パターンを形成することが可能である。この方法は、機能性材料の高機能性化と微細パターンの高精度化とを同時的に達成することを可能とするものであり、特に、ナノ材料の機能性の発現手段として重要である。この方法では、あらかじめ設計、調製した、特定の微細構造を有する機能性材料の原料を、その微細構造を維持して微細パターン化することで、触媒反応による発熱を電気に変換する熱電堆を高精度に作製することが可能である。
また、微細パターンに使われる触媒粉末又は触媒ペーストの作製において、例えば、金属の塩化物及び酸化物粉末を有機物分散材と直接混合し、パターン形成した後、150℃から300℃までの温度で加熱処理することで、ナノメートルの金属超微粒子の複合体のパターン形成が可能である。また、例えば、塩化物と有機分散材を混合して加熱することによって、150℃程度の低い温度でも金属超微粒子として還元され、粒成長を抑えることができる。
本発明では、例えば、ディスペンサを用いて触媒の微細パターンを形成してマイクロ触媒熱電発電素子を作製する(図7、図8)。この熱電発電素子は、熱電対の直列した熱電堆となって、より電圧を大きくすることが可能であり、この素子は、例えば、20個の熱電対からなる熱電堆(サーモパイル)であり、この熱電堆をセンサ素子に応用すると、その自発電圧信号を飛躍的に大きくすることができる。
熱電変換原理から考えると、単純に熱電対の数分だけ電圧が大きくなるため、20対の熱電体を用いると、1対の熱電素子より20倍大きい電圧信号が得られる。熱電堆の場合、約3.2℃の温度差から、約13.4mVの電圧を発生する。単位温度差当たりの電圧で換算すると、それぞれ0.1mV/℃、4.2mV/℃となり、数十倍の電圧信号向上となる。理論予測の20倍と異なる倍数が得られるのは、表面温度計測の誤差によるものであると考えられる。
次に、上記サーモパイル素子ユニットを積層、モジュール化した熱電発電機について説明する。本発明では、熱電材料の薄膜プロセスの技術、マイクロデバイス製造技術等を開発し、BiSbTe系サーモパイル素子をアレー化した、1面の接触燃焼型熱電発電機デバイスを製作し、1面のアレー型発電デバイス中の十数個のサーモパイル素子を、すべてそろって燃焼発電させ、更には、それを積層し、且つ燃料を流す、燃焼モジュール構造を構築することで、高い燃焼発電性能を実証した。
本発明では、供給燃料気流中の燃料濃度が薄く、熱絶縁されたメンブレン状の触媒が小さいため、極めて低い発電出力のサーモパイル素子を、メンブレンの片方のサーモパイルのN型パターンの低温部を、次のサーモパイルのP型パターンの低温部に、直列で、最短距離でつなげることを繰り返して、アレー化することで、高い出力が得られる。具体的には、セルのマージンを十分に確保し、且つセルの中にアレーを作製し、P−Nの順番を修正し、セル内部はすべて直列であるが、2つの並列にもなるようにする。
本発明では、例えば、22個のサーモパイルを一つの単位とし、これを、更に、並列又は直列に容易につなげる、電極構造を確立した。現在の素子性能では、これで、約1V(水素3%基準)の電圧が得られ、例えば、この電圧が十分であれば、次は、全体のインピーダンスを減らすことになる。そのためには、この一つの単位を、並列につなげ、電圧が更に必要な場合は、直列につなげ、シリコンの太陽電池と同じような単位で構成する。
この場合、本デバイスは、メンブレン構造の加工の際、背面の面積から、ある角度による傾斜面を持つため、単純にならべると、基板全体の強度が弱くなる。そのため、メンブレンの中心を半分にずらした配列として工夫し、強度を保ちながら、集積度を上げるようにする。これに合わせて、電極を構築する。これにより、基板の肉厚の薄い部分の間の距離を変化させ、強度を保つことができるようにすると同時に、電極の配線も最短距離に近くなるようにする。
メンブレンの中心を半分にずらした配列として工夫し、強度を保ちながら、集積度を上げることを可能とする。これに合わせて、電極を構築する。それにより、基板の肉厚の薄い部分の間の距離を変化させ、強度を保つことができるようにすると同時に、電極の配線を最短距離に近くなるようにする。
サーモパイルメンブレンは、熱の拡散を極力抑えるために、薄い膜となっているため、破損する場合がある。この場合、残りのサーモパイル素子を利用するためには、配置及び配線については、直列につながっている破損素子を回避した配線を、リペアー可能にすることが重要である。このような故障が発生することを、あらかじめ想定し、起きた際の被害を最小限にとどめるような工夫をした、フェイルセーフを取り込んだ、配列とする。
三次元的に上下方向(複葉型)に集積する場合、アレー基板をスライドさせるだけで、簡単に組立が可能で、端部に設けられた終電端子部のみを、通常ソルダーにより処理すればよく、モジュールを設計可能にすることで、容易に高集積度が実現できる。太陽電池は、一方向からの放射エネルギーを用いるため、三次元への展開は不可能であるが、本発明の発電デバイスでは、流体を用いて、触媒付近まで流せることで、三次元的に展開が可能であり、出力エネルギー密度が、三次元的に増加可能である、等のメリットを有する。
先行技術(特開2006−47276号公報)の微細パターンの製品は、供給気流中の燃料濃度が、ごく薄くても動作するため、バイオマスを濃縮せず、そのまま使用できる小型の素子である。しかし、その出力は、3%の水素で、出力328nWと低いため、1W級のモジュールにするには、約300万個の素子を、直列及び並列でつなげることで、電力を大きくする必要がある。この素子の集積を行うには、基本構造のサーモパイル、温度差をつけるための基板、メンブレン構造、触媒の構造、燃料ガスを流すための構造、等を組み合わせて、諸性能を保ちながら、電力を上げる新しい構造を構築することが不可欠である。
本発明では、熱電材料の薄膜プロセスの技術、マイクロデバイス製造技術、等を開発し、BiSbTe系サーモパイル素子をアレー化した、1面の接触燃焼型熱電発電機デバイスを作製し、1面のアレー型発電デバイス中の十数個のサーモパイル素子を、すべてそろって燃焼発電させ、更に、それを積層し、且つ燃料を流す、燃焼モジュール構造を構築することで、1mW/cmの燃焼発電を実証することに成功した。本発明では、BT系又はSi系の薄膜を用いたサーモパイル素子を、複数個並べて、アレー型デバイスとして、集積化した、積層構造のモジュールを構築して、mW級の以上の発電を実現した。本発明は、その応用製品(具体的な製品)として、mW級の以上の発電を実現できる高出力の発電機を提供するものとして有用である。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)BiTe系、Si系等の薄膜を用いたサーモパイル素子をアレー化し、積層構造のモジュールとして構築した、mW級以上の高い発電を実現する触媒燃焼型熱電発電機を提供することができる。
(2)組立てが簡便で、かつ不良になったアレー基板を簡易に取り換え可能な構造を有する熱電発電機デバイスを提供することができる。
(3)メンブレン部を含む基板の強度を保ちながら電極の配線を最短距離に近くして集積度を向上させたアレー基板と、それを積層化した熱電発電機デバイスの構造を提供することができる。
(4)上記熱電発電機デバイスは、燃料ガスを層間に流す三次元構造のマニフォールドを有し、高密度発電及び燃料利用効率を大幅に向上させることが可能である。
(5)本発明は、サーモパイルメンブレンから構成されるサーモパイル素子を集積化したアレー基板を、上下方向(複葉型)に積層し、高集積化することで、出力エネルギー密度を三次元的に増加させた熱電発電機デバイスを提供するものとして有用である。
本発明の熱電発電機デバイスの利用形態の一例を示す。 熱電サーモパイルをアレー化する工程の説明図である。 熱電サーモパイルをアレー化する場合の各熱電サーモパイルの配置の一例を示す。 三次元的に上下方向(複葉型)に集積する工程の説明図及びマニフォールドのイメージ図である P−Nをつなぐ方法とサーモパイルの配置を示す平面デバイスの全体図である。 BiTe系−Pt系のP−N熱電対のサーモパイルアレーデバイスの水素ガス接触燃焼による熱発電実験の様子を示す説明図である(熱カメラ画像、明るいところが約80℃)。 マイクロ触媒熱電発電素子の構造を示す。 マイクロ触媒熱電発電素子の上面図を示す。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
本実施例では、種々の微細構造を有するペーストを作製し、ディスペンサを用いて基板上に触媒の微細パターンを形成した。
(1)触媒用粉末及びペースト材料の調製
市販の塩化白金、塩化パラジウムの水溶液を作り、直接、酸化物の粉末と混ぜて、これを加熱乾燥することで出発原料の触媒用粉末を調製した。この粉末を、テルピネオールとエチルセルロースで作ったビークルと混合し、ペースト状の機能性材料を調製した。
(2)ディスペンサによる微細パターン形成
素子の所定の位置に、ディスペンサを用いて触媒を塗布し、300℃で1時間加熱して触媒を作製した。触媒の大きさは、直径約0.5〜2.0mmの円形、又は幅0.5〜1.5mmの正方形のパターンとして形成した。
パターンの大きさは、吐出ノズルの内径で制限されるが、実際のパターン形成においては、吐出量、吐出圧力、基板との距離等のパラメータに大きく依存する。ディスペンサでペーストを塗布するとき、空気圧が高いほど勢いよくペーストが出てくるため、太い線ができ、終点ではより太くなる。よりきれいで細い線を塗布するためには、例えば、粘度が約3000cPのペースト原料を用いた場合、0.05MPa以下の空気圧でペーストの勢いをある程度抑えるとともに、塗布する基板と注入針の先端の間隔は0.03mm以下でペーストを塗布することで微細パターンを形成できる。
熱電発電素子において、触媒からの発熱エネルギーが周辺に伝わらないように、熱伝導の低いメンブレンの上にディスペンサを用いて触媒の微細パターンを形成してマイクロ素子を作製した。メンブレン構造を有する熱電発電素子は、図7、図8に示したものである。図7、図8に示した熱電発電素子は、熱電対の直列した熱電堆となって、より電圧を大きくし、発電効率を高めた設計のものである。
(1)熱電発電機デバイスの作製
本実施例では、触媒からの発熱エネルギーが、周辺に伝わらないように、熱伝導の低いメンブレンの上に、触媒パターンを形成して、マイクロ素子を作製した。メンブレン構造を有する熱電発電素子は、図2の左、図7、8に示したものである。この熱電発電素子は、熱電対の直列した熱電堆、通称、サーモパイルという、からなる、より電圧を大きくし、発電効率を高めた構造のものである。
マイクロ熱電デバイスの作製プロセスは、本発明者らによる先の特許(特許第4576582号公報)で、詳細に記載されているように、基本的には、基板に、熱遮蔽のためのメンブレンを形成する工程、このメンブレン上に熱伝変換材料膜パターン、配線パターン、及び触媒材料パターンを形成する工程から構成した。
(2)BiTe系及びSi系薄膜のプロセス
サーモパイルのP,Nの材料は、P型材料をBi0.3Sb1.7Teの組成(以下からBiTe系とする)又はSiGe又はSi系の材料を用い、N型はPt薄膜で作成した。両方ともTa薄膜を蒸着してから成膜することで、薄膜が剥がれるのを防ぐための工夫を行った。
BiTe系薄膜は、成膜時の基板温度が200℃以上で、その後の加熱処理で熱電性能を向上できることを確認済みであり、Si系については、先の特許(特許第4576582号公報)で詳細に示したプロセスを基に作製した。Si系の薄膜の性能は、バルク性能以上を達成していた。
(3)BiTe系の成膜条件
BiTe系の成膜は、RF出力45W、基板温度140℃、Arフロー30sccm、膜厚は約450nmで成膜した後、加熱処理を実施した。これらの条件は、プロセス条件を変えて性能を確認した条件である。表1及び表2に、実験の一部の結果を示す。表1の結果の通り、350℃で加熱することで、熱電性能である出力因子が、約10倍大きくなった。これは、表2の結果から確認できるよう、移動度が改善され、導電性とゼーベック係数が向上されたためである。
表1に、ダミー基板を用いたBiSbTe(45W,140℃,Ar:30sccm,700sec)のTE測定結果を示す。
表2に、BiSbTe(45W,140℃,Ar:30sccm,700sec)のホール測定結果を示す。
(4)アレーパターン
図5に、P−Nのつなぐ方法と、サーモパイルの配置を説明する平面デバイスの全体図を示す。
(5)発電性能
上記の熱電発電機デバイスを、テストチャンバーに設置し、水素を空気に混合したガスを流しながら、触媒燃焼発電実験を行った。先行技術(特開2006−47276号公報の微細パターン製品)では、水素濃度3%、流量200ccmの条件で最大発電量約0.33μWが得られたが、本発明のデバイスでは、先発明のサーモパイルより小型のサーモパイルを11個配置したアレーであり、空気中水素3%の雰囲気で、0.213Vの電圧が得られた。
この熱電動作試験から、素子全体の抵抗8kΩから、P=V/4Rの計算で、1.44μWの発電が実証できた。図6に、BiTe系−Pt系のP−N熱電対のサーモパイルアレーデバイスの水素ガス接触燃焼による熱発電実験の様子(熱カメラ画像、明るいところが約80℃)を示す。
(6)発電性能、ガス濃度
また、TPAD(BST100205Si(A)TPAD9)の異なる水素濃度での熱発電実験を行った。水素流入200sccm、セラミックヒーターの使用なしで、水素ガス濃度調節は、注射器を使用した。先行技術では、1%が下限であったが、本発明では、100ppmまで、発電することを確認した。表3に、その結果を示した。
以上詳述した通り、本発明は、触媒燃焼型熱電発電機に係るものであり、本発明により、BT系、Si系等の薄膜を用いたサーモパイル素子をアレー化し、積層構造のモジュールとして構築した、mW級以上の高い発電を実現する触媒燃焼型熱電発電機を提供することができる。組立てが簡便で、かつ不良になったアレー基板を簡易に取り換え可能な構造を有する熱電発電機デバイスを提供することができる。メンブレン部を含む基板の強度を保ちながら電極の配線を最短距離に近くして集積度を向上させたアレー基板と、それを上下方向に積層した熱電発電機デバイスの構造を提供することができる。上記熱電発電機デバイスは、燃料ガスを層間に流す三次元構造のマニフォールドを有し、高密度発電及び燃料利用効率を大幅に向上させることが可能である。本発明は、サーモパイルメンブレンから構成されるサーモパイル素子ユニットをアレー化し、上下方向(複葉型)に積層し、高集積化することで、出力エネルギー密度を三次元的に増加させた熱電発電機デバイスを提供するものとして有用である。
1 熱電変換材料膜
4 電極・配線
5 触媒パターン
6 シリコン基板
7 窒化物・酸化物の多層膜

Claims (7)

  1. メンブレン部を含む基板上に、熱電変換材料からなるサーモパイル素子が配置しており、当該サーモパイル素子のうち、メンブレン部の中心部に対応する位置における、酸化触媒が塗布により設置された触媒塗布部分(高温部)と、残りのサーモパイル素子の両端部(低温部)とを含むサーモパイル素子ユニットが、複数個、直列に接続されたアレー基板からなる、供給燃料気流の酸化熱を電気に変換する1面の接触燃焼型熱電発電機デバイスであって、
    前記複数個のユニットの直列接続は、1つのサーモパイル素子ユニット上のメンブレンを中心に両側に配置されている2つのサーモパイルの片側のN型パターンの低温部が、次のユニットのサーモパイルのP型パターンの低温部に、直列で電気的に接続された構造を有し、これを繰り返して形成してなるアレー型の構造を有することを特徴とする上記熱電発電機デバイス。
  2. ユニット列の位置を、隣列のユニット列とユニット半分の幅でずらして格子状に配置したアレーの配置にすることで、メンブレン部を含む基板の強度を保ちながら、電極を配線して集積度を向上させたアレー型の構造を有する、請求項1記載の熱電発電機デバイス。
  3. メンブレン部を含む基板上に、当該メンブレン部を横切るように熱電変換材料からなるサーモパイル素子が配置している、請求項1又は2記載の熱電発電機デバイス。
  4. 1個又は複数のユニットが不良であっても、残りのユニットを、動作可能にして変更できるよう、電極パッドを伸ばし、近接できる構造を有する、請求項1から3のいずれかに記載の熱電発電機デバイス。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の、アレー基板からなる1面の接触燃焼型熱電発電機デバイスを、複数枚積層させた積層構造を有し、燃料ガスを層間に流すことができる三次構造のマニフォールドを具備し、該マニフォールドにより高密度発電及び燃料利用効率を高めた、モジュール構造を有することを特徴とする熱電発電機。
  6. 上記アレー基板を、三次元的に上下方向(複葉型)に集積するための支持体を有し、アレー基板を、該支持体に設けたアレー基板用レールにスライドするだけで、組立が可能で、支持体に設けられた終電端子部に、上記デバイスの終電用電極パターンを接続できる、スライド式の組み立て構造を有する、請求項5記載の熱電発電機。
  7. レール間の間隔を、燃料のカロリー及び流速に合わせて、自由に調整可能な構造を有する、請求項5又は6記載の熱電発電機。
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