JP2012104358A - 接点装置 - Google Patents

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純久 福田
Ritsu Yamamoto
律 山本
Hideki Enomoto
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Yoji Ikeda
陽司 池田
Ryosuke Ozaki
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Abstract

【課題】接点間の接圧、及びアーク遮断性能を効率よく高めることが可能な接点装置を提供する。
【解決手段】 固定接点32を有する一対の固定端子33、及び前記一対の固定接点32にそれぞれ接離する一対の可動接点34が一面に並設される可動接触子35からなる接点ブロック3と、前記固定接点32に前記可動接点34が接離するように前記可動接触子35を駆動する駆動手段8と、前記駆動手段8の駆動力によって移動しない容器61と、前記可動接点34の並設方向において前記接点ブロック3を介して互いに対向して設けられ、互いに対向する面の各極性が異極である一対の永久磁石46と、前記容器61に固定されて前記一対の永久磁石46間に配設され、前記可動接触子の一面に対向するヨーク体63とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、接点装置に関するものである。
従来から、可動接点が配設された可動接触子の一面に対向してヨーク板を配設することで、接点間が導通して可動接触子に電流が流れた際、可動接触子に固定接点側への電磁力を発生させ、接点間の接圧の増大を図った接点装置がある(例えば特許文献1参照)。
上記接点装置の一例として、例えば、図23に示すように、固定接点32を有した一対の固定端子33と、可動接点34を有した可動接触子35と、接圧ばね71と、保持体72と、容器73と、ヨーク板74と、可動軸75とを備えたものがある。以下、図23における上下左右を基準として説明を行う。
固定端子33は、略円柱状に形成されて下端面に固定接点32が固着されている。
容器73は、セラミック材料等の耐熱材料により、下端が開口した中空略矩形箱型に形成される。そして、容器73の上面に一対の固定端子33が貫設されることで、容器73内に固定接点32が並設される。
可動接触子35は、導電性材料から略矩形板状に形成され、上面の左右両端側に可動接点34が各々配設されている。そして、可動接触子35は、容器73内において可動接点34を固定接点32に対向させた状態で配設される。
接圧ばね71は、コイルスプリングからなり、上端が可動接触子35の下面略中央に当接する。
保持体72は、断面略矩形枠型に形成され、電磁石ブロック2によって軸方向に駆動する可動軸75が連結される。
ヨーク板74は、磁性材料から略矩形板状に形成され、保持体72の上面内側に固定されている。
そして、保持体72の底面とヨーク板74との間に、可動接触子35及び接圧ばね71
が配設される。ここで、接圧ばね71は、圧縮状態で配設される。そして、接圧ばね71の下端が保持体72の下面に当接し、可動接触子35は、接圧ばね71によって上方へ押圧されてヨーク板74に当接する。
上記接点装置では、電磁石ブロックによって可動軸75が上方向へ移動し、当該移動に伴って保持体72が上方向、つまり、固定接点32側へ移動する。続いて、保持体72に保持された可動接触子35も当該保持体72の移動に伴って上方向へ移動し、可動接点34が固定接点32に当接し、接点間が導通する(図24(a)参照)。
そして、可動接点34が、固定接点32に当接することで、可動接触子34の固定接点32側への移動が規制され、可動軸75が更に上方向へ移動しても可動接触子35の位置は変化しない。一方、保持体72は、上方へ移動を続けるため、その下面と可動接触子35との間の距離が短くなり、接圧ばね71が更に圧縮されて可動接触子35に対する固定接点32側への押圧力が増大し、接点間の接圧が大きくなる。以下、接点間が導通した後に、保持体72が移動する距離をオーバートラベル量(OT量)と称する。
また、ヨーク板74は、保持体72に固定されていることから、保持体72の上方向への移動に連動して上方向へ更に移動し、可動接触子35との距離(以下、ギャップG5と称する)が上記OT量に比例して大きくなる。
また、可動接触子35は、接点間が導通して電流が流れることで、その周囲に磁束が形成される。ここで、図25(a)に示すように、可動接触子35の近傍にヨーク(例えばヨーク板74)が配設されていない場合には、可動接触子35の周囲には略同心円状の磁束が形成される。一方、図25(b)に示すように、可動接触子35の近傍にヨーク板74が配設されている場合、可動接触子35の周囲に発生する磁束がヨーク板74側へ引き寄せられ、可動接触子35の周囲に発生する磁束のバランスが崩れる。具体的に説明すると、図25(b)において紙面の奥側から手前側へ向かって可動接触子35に電流が流れている場合、可動接触子35内を右から左へ通過する磁束の数よりも、可動接触子35内を左から右へ通過する磁束のほうが多くなる。ここで、可動接触子35内を右から左へ通過する磁束は、可動接触子35に対して下向きの電磁力を発生させる。一方、可動接触子35を左から右へ通過する磁束は、可動接触子35に対して上向きの電磁力を発生させる。つまり、可動接触子35には、下向きの電磁力よりも上向きの電磁力が大きく働く。従って、可動接触子35には、接圧ばね71から受ける押圧力と上記電磁力との2つの上向きの力が働く。ここで、可動接触子35に発生する上記電磁力は、上記ギャップG5が小さいほど大きくなり、上記ギャップG5が大きいほど上記電磁力は小さくなる。
また、上記接点装置において、可動接点34が固定接点32に接離する際、接点間で発生するアーク電流を短時間で消弧するために、接点部を介して互いに対向する一対の永久磁石46を備えたものがあった。上記一対の永久磁石46を備えた接点装置では、ヨーク板74が、一対の永久磁石46と共に、接点部の近傍を通る磁路を形成することで、各接点部における磁束密度の向上を図り、アーク遮断性能を高めようとするものであった。
特開2010−010056号
しかしながら、上記接点装置では、OT量に比例してギャップG5が大きくなることから、OT量を大きくすると、接圧ばね36から受ける押圧力は増大するが、ヨーク板74による電磁力は減少してしまう。そのため、接点間の接圧を効率良く高めることができないといった問題があった。
また、上記接点装置では、OT量が大きくなるに従って、ヨーク板74と各接点部との距離が長くなり、接点部における磁束密度を効率良く高めることができなかった。そのため、アーク遮断性能の向上を効率よく行うことができないといった問題があった。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、接点間の接圧、及びアーク遮断性能を効率よく高めることが可能な接点装置を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明の接点装置は、固定接点を有する一対の固定端子、及び前記一対の固定接点にそれぞれ接離する一対の可動接点が一面に並設される可動接触子からなる接点ブロックと、前記固定接点に前記可動接点が接離するように前記可動接触子を駆動する駆動手段と、前記駆動手段の駆動力によって移動しない固定部材と、前記可動接点の並設方向において前記接点ブロックを介して互いに対向し、互いに対向する面の各極性が異極である一対の永久磁石と、前記一対の永久磁石間において前記固定部材に固定され、前記可動接触子の一面に対向する第一のヨークとを備えることを特徴とする。
また、この接点装置において、前記固定部材は、前記可動接触子を収納する容器であることが好ましい。
また、この接点装置において、前記駆動手段は、前記可動接触子を前記固定接点側へ付勢する接圧ばねと、前記可動接触子の一面に当接して当該可動接触子の前記固定接点側への移動を規制する規制部と、前記可動接触子に形成される挿通孔を移動自在に挿通して前記規制部に連結される可動軸と、前記可動接点が前記固定接点に接離するように前記可動軸を駆動させる電磁石ブロックとを備えることが好ましい。
また、この接点装置において、前記駆動手段は、前記可動接触子を前記固定接点側へ付勢する接圧ばねと、前記接圧ばねを保持する保持体と、当該保持体に連結される可動軸と、前記可動接点が前記固定接点に接離するように前記可動軸を駆動させる電磁石ブロックとを備え、前記保持体は、前記可動接触子の一面に当接して当該可動接触子の前記固定接点側への移動を規制する規制部を有することが好ましい。
また、この接点装置において、前記可動接触子は、平板状に形成され、前記第一のヨークは、前記規制部と対向する位置に当該規制部を収納可能な凹部が形成されることが好ましい。
また、この接点装置において、前記可動接触子は、一面に前記規制部を収納する凹部が形成されることが好ましい。
また、この接点装置において、前記可動接触子は、一面に前記規制部を収納する第一の凹部が形成され、前記第一のヨークは、前記第一の凹部と対向する位置に前記規制部を収納可能な第二の凹部が形成されることが好ましい。
また、この接点装置において、前記可動接点の並設方向、及び前記可動接点と前記固定接点との接離方向に直交する方向における前記可動接触子の各端面に各々対向して前記一対の永久磁石間を接続する一対の第二のヨークが設けられることが好ましい。
また、この接点装置において、前記第一のヨークは、平板状に形成されることが好ましい。
また、この接点装置において、前記第一のヨークは、前記可動接触子に対向する平板状の基部と当該基部の端部から可動接触子側へ向けて延設される一対の延設部とから略断面略コの字状に形成されることが好ましい。
また、この接点装置において、前記固定接点は、前記固定端子に一体、または、別体に設けられることが好ましい。
また、この接点装置において、前記可動接点は、前記可動接触子に一体、または、別体に設けられることが好ましい。
以上説明したように、本発明では、接点間の接圧、及びアーク遮断性能を効率よく高めることが可能な接点装置を提供することができるという効果がある。
本発明の実施形態1における接点装置の概略斜視図を示す。 同上における接点装置の断面図を示す。 同上における接点装置の要部概略図を示す。 同上における接点装置の要部概略図を示す。 同上における接点装置の要部概略図を示す。 同上における接点装置を備えた電磁継電器の断面図を示す。 同上における接点装置を備えた電磁継電器の外観図を示す。 同上における接点装置を備えた電磁継電器の分解斜視図を示す。 同上における接点装置の別形態における要部概略図を示す。 本発明の実施形態2における接点装置の概略斜視図を示す。 同上における接点装置が備えるヨーク体の斜視図を示す。 同上における接点装置の要部概略図を示す。 本発明の実施形態3における接点装置の概略斜視図を示す。 同上における接点装置の断面図を示す。 同上における接点装置の断面図を示す。 同上における接点装置の要部概略図を示す。 本発明の実施形態4における接点装置の断面図を示す。 同上における接点装置の斜視図を示す。 同上における接点装置の要部断面図を示す。 同上における接点装置の要部断面図を示す。 同上における接点装置の別形態の要部断面図を示す。 同上における接点装置の別形態の要部断面図を示す。 従来例における接点装置の断面図を示す。 同上における接点装置の断面図を示す。 同上における接点装置の要部概略図を示す。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本実施形態の接点装置について図1〜4を用いて説明を行う。なお、図1における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
本実施形態の接点装置は、図1に示すように、固定端子33及び可動接触子35及び接圧ばね36及び容器61からなる接点ブロック3と、駆動ユニット8と、ヨーク体(第一のヨーク)63と、一対の永久磁石46とを備えている。以下、可動接点34が、固定接点32に接離する箇所を接点部と称する。
容器61は、セラミック等の耐熱性材料により、下面か開口した中空矩形箱型に形成されている。また、容器61の上面には、一対の貫通孔61aが左右に並設されている。
固定端子33は、銅等の導電性材料により略円柱状に形成され、上端部が拡径されて円板状の鍔部33aが形成され、下端面には、固定接点32が固着されている。なお、固定接点32は、固定端子33と一体に形成されていてもよい。そして、固定端子33は、その下端側が容器61の貫通孔61aに上方から挿入されて容器61内に突出する。続いて、鍔部33aが貫通孔61aの周縁部にろう付けされることで、固定端子33が容器61に固定される。
また、容器61における上面内側には、一対の固定端子33間にヨーク体63が固定されている。ヨーク体63は、軟鉄等の磁性材料から略直方体状に形成され、下面の左右方向の略中央には、前後方向に沿って凹部63aが形成されている。
可動接触子35は、導電性材料から略矩形平板状に形成されて、その略中央には挿通孔35aが穿設され、更に、上面における長手方向(左右方向)の両端側に可動接点34が各々固着される。そして、可動接触子35は、可動接点34と固定接点32とが互いに対向した状態で配設される。
接圧ばね36は、コイルスプリングからなり、軸方向を上下方向へ向けて圧縮状態で配設され、上端が可動接触子35の下面略中央に当接することで当該可動接触子35を上方へ押圧する。ここで、可動接触子35の下面略中央には、円板状の突部35bが形成され、当該突部35bが接圧ばね36の上端側内径部に嵌まり込むことで、接圧ばね36の位置決めがなされている。
駆動ユニット(駆動手段)8は、可動軸5と、可動軸5を駆動する電磁石ブロック2とから構成される。
可動軸5は、可動接触子35における挿通孔35aを移動自在に挿通する軸部51と、当該軸部51の上端に接続される矩形板状の規制部52とから構成される。そして、軸部51の下端には、電磁石ブロック2が接続され、当該電磁石ブロック2によって軸方向へ移動される。また、規制部52は、可動接触子35の上面に対向し、接圧ばね36によって上方へ付勢された可動接触子35の固定接点32側への移動を規制する。
永久磁石46は、略矩形板状に形成され、容器61の左右側面にそれぞれ対向して配設される。ここで、永久磁石46は、固定接点32と可動接点34とのギャップ(接点ギャップ)を介して互いに対向し、対向する一対の永久磁石46は、互いに対向する各面の極性が異極となっている。具体的には、左側の永久磁石46は、右面がN極で左面がS極となるように設けられ、右側の永久磁石46は、左面がS極で右面がN極となるように設けられている。これにより、一対の永久磁石46間に左から右へ向かう磁束が発生し、各接点部近傍を当該磁束が通過する。
また、一対の永久磁石46は、互いに対向する各面の中心が、一対の固定接点32を結ぶ直線の延長線上に位置するように配設されている。加えて、左側の永久磁石46と左側の接点部との間の距離と、右側の永久磁石46と右側の接点部との間の距離とが、略等しくなるように配設されている。従って、各接点部の周囲における磁束密度が、略等しくなっている。
更に、一対の永久磁石46間に、ヨーク体63が位置することから、当該ヨーク体63が一対の永久磁石46と共に磁路を形成し、当該磁路が接点部近傍を通ることで、接点部におけるアーク遮断性能が向上する。
本実施形態の接点装置では、電磁石ブロック2によって可動軸5が上方へ移動されると、可動接触子35に対する固定接点32側への規制が解除され、可動接触子35は、接圧ばね36の付勢力によって固定接点32側へ移動する。これにより、図2に示すように、可動接点34が固定接点32に当接して接点間が導通する。
そして、接点導通時に、固定接点32と可動接点34との間(接点間)で発生するアークは、可動接触子35を流れる電流の方向がいずれの方向であっても、各接点部の周囲に形成される上記磁場によって互いに離れる方向へ引き伸ばされる。詳しく説明すると、図3において、電流が可動接触子35を左から右へ流れる場合、左側の接点間で発生するアークは前方へ引き伸ばされ、右側の接点間で発生するアークは後方へ引き伸ばされる。
また、図3において、電流が可動接触子35を右から左へ流れる場合、左側の接点間で発生するアークは後方へ引き伸ばされ、右側の接点間で発生するアークは前方へ引き伸ばされる。
更に、図4に示すように、可動接触子35の短手方向の各端面にそれぞれ対向して一対の永久磁石46を接続する一対のヨーク体47を設けることができる。ヨーク体(第二のヨーク)47は、矩形板状の基部47a、及び基部47aの両端から当該基部47aに対して略垂直に各々延設されて互いに対向する矩形板状の一対の延設片47bとから略コの字状に形成されている。そして、ヨーク体47は、容器61の前方、及び後方にそれぞれ配設され、基部47aが容器61の前面または後面に対向している。また、一対の延設片47bの内、一方(左側)の延設片47bは、左側の永久磁石46の左面(S極面)に接続され、他方(右側)の延設片47bは、右側の永久磁石46の右面(N極面)に接続される。
これにより、接点ブロック3は、一対の永久磁石46及び一対のヨーク体47によって囲まれ、一対の永久磁石46間の磁気ギャップで発生する漏れ磁束が抑制される。従って、各接点近傍の磁束密度が向上し、接点間に発生するアークを引き伸ばす力が増大する。つまり、ヨーク体47を設けることで、永久磁石46のサイズを小さくしてもアークを引き伸ばす力を維持できるため、アーク遮断性能を維持しつつ、更なる接点装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
また、図25(a)を用いて説明した通り、一般的に近傍にヨークが設けられていない導体(接触子35)に電流が流れると、導体の中心を磁界の中心として同心円状に磁束が発生する。その際、図25(a)において、導体内を右から左へ向かう磁束の数と導体内を左から右へ向かう磁束の数とが略等しくなるため、導体に電磁力は発生しない。
しかし、本実施形態の接点装置では、接点間が導通した際、図5に示すように、可動接触子35の上面に近接するヨーク体63の影響を受けて、当該可動接触子35の周囲に発生する磁界のバランスが崩れる。具体的に説明すると、図5において、右から左に向かう磁束の多くはヨーク体63に引き寄せられて、ヨーク体63が可動接触子35の近傍に設けられていない場合に比べて、可動接触子35内を右から左に向かう磁束の数が減少する。
一方、図5において、左から右へ向かう磁束はヨーク体63側へ移動し、図5に示すようにヨーク体63が可動接触子35の近傍に設けられていない場合に比べて、可動接触子35内を左から右へ向かう磁束の数が増加する。
すると、可動接触子35内を左から右に向かう磁束によって当該可動接触子35に作用する上向きの電磁力は、可動接触子35内を右から左に向かう磁束によって当該可動接触子35に作用する下向きの電磁力に比べて大きくなり、可動接触子35には上向きの電磁力が働く。つまり、可動接触子35には、当該可動接触子35の変位方向と略平行である鉛直上向きの固定接点側への力が働く。
ここで、可動接触子35に作用する鉛直上向きの電磁力は、可動接触子35に発生する接点反発力(下向きの力)とは、180度反対方向の力であるため、当該接点反発力を最も効率よく打ち消す方向に働く力となっている。そのため、上記電磁力によって接点反発力を効率よく打ち消すことができ、接点間における接点圧の低下を低減することができる。
従って、本実施形態の接点装置は、第一のヨーク52によって、可動接触子35に対して固定接点32側への電磁力が作用し、安定した接点の開閉性能を有している。
また、本実施形態の接点装置では、ヨーク体63は、駆動ユニット8から独立して容器63に固定されていることから、駆動ユニット2における可動軸5の移動にヨーク体63は連動しない。そのため、接点導通後は、ヨーク体63と、可動接触子35との間の距離(ギャップG1)は、接点導通後の可動軸5の移動量(以下、OT量と称する)に拠らず従来よりも短く設定できると共に、ギャップG1を一定に保つことができる。つまり、OT量を増加させたとしてもギャップG1が大きくなることが無く、可動接触子35に作用するヨーク体63による上向きの電磁力の減少を防止でき、接点間の接圧を効率よく高めることができる。
また、ギャップG1の値をOT量とは独立して設定することができるため、ギャップG1の値を調整することで、接点間の接圧を高めるために上記電磁力が最も効果を発揮できる設計を容易に行うことができる。
また、上記上向きの電磁力を安定して得られることから、電磁石ブロック2を小さくしたとしても、短絡電流に対する耐力(接圧)を維持することができ、接点装置の小型化を図ることができる。これにより、接点装置の消費電力の低減、及びコストダウンを図ることができる。
また、本実施形態の接点装置では、ヨーク体63が容器61に固定されていることから、OT量に拠らずヨーク体63と接点部との間の距離が変化しない。従って、OT量が大きくなった場合であっても、接点部における磁束密度が低下せず、アーク遮断性能を効率良く高めることができ、アーク電流を安定して消弧することができる。
更に、容器61に固定されたヨーク体63が設けられてアーク遮断性能が向上したことで、永久磁石46のサイズを小さくした場合であっても、アークを消弧するために必要な力を維持することができる。すなわち、本実施形態の接点装置は、小型化を図りつつも、負荷短絡時の電磁反発力に対する耐量をアップさせて安定したアーク遮断性能を備え、より安定した接点の開閉性能を得ることができる。
また、上記記載の通り、各接点部における磁束密度が略等しいことから、各接点部においてアークを引き伸ばす力が略等しく、より安定したアーク遮断性能を得ることができる。
なお、本実施形態の接点装置では、ヨーク体63に凹部63aを形成しているが、当該凹部63aは、規制部813を収納可能であれば、前後両端が開放したものであっても、閉塞したものであってもよい。
そして、上記本実施形態の接点装置は、例えば、図6に示すような電磁継電器に用いられる。
上記電磁継電器は、図6(a)、(b)、図7(a)、(b)、図8(a)〜(c)に示すように、中空箱型のケース4内に、接点ブロック3と、電磁石ブロック2を有する駆動ブロック8と、永久磁石46と、ヨーク体63と、ヨーク体47を収納する。以下、図6(a)における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向とする。
電磁石ブロック2は、コイルボビン21と、励磁巻線22の両端がそれぞれ接続される一対のコイル端子23と、コイルボビン21内に配設固定される固定鉄芯24と、可動鉄芯25と、継鉄26と、復帰ばね27とを備える。
コイルボビン21は、樹脂材料により上端及び下端に鍔部21a、21bが形成された中空円筒状に形成され、円筒部21cの外周には励磁巻線22が巻回されている。そして、円筒部21cの下端側の内径は、上端側の内径よりも拡径されている。
励磁巻線22は図8(c)に示すように、コイルボビン21の鍔部21aに設けられる一対の端子部121に端部が各々接続され、端子部121に接続されるリード線122を介して一対のコイル端子23とそれぞれ接続される。
コイル端子23は、銅等の導電性材料から形成され、半田等によりリード線122と接続される基部23aと、当該基部23aから略垂直に延設される端子部23bとから形成されている。
継鉄26は、図8(b)に示すように、コイルボビン21の上端側に配設される略矩形板状の第一の継鉄板26Aと、コイルボビン21の下端側に配設される略矩形板状の第二の継鉄板26Bと、第二の継鉄板26Bの左右両端より上方へ向けて延設され、第一の継鉄板26Aに接続される一対の第三の継鉄26Cとから構成される。
そして、第一の継鉄板26Aの上面側略中央には凹部26aが形成されており、当該凹部26aの略中央には挿通孔26cが形成されている。そして、当該挿通孔26cには、上端に鍔部28aが形成される有底円筒状の円筒部材28が挿通し、鍔部28aが凹部26aに接合される。ここで、円筒部材28の円筒部28b内の下端側には、磁性材料から略円柱状に形成された可動鉄芯25が配設され、更に円筒部28bに磁性材料から略円柱状に形成された固定鉄芯24が挿入されて、固定鉄芯24と可動鉄芯25とが対向配置される。
また、第一の継鉄板26Aの上面には、周縁部が第一の継鉄板26Aに固定され、略中央に固定鉄芯24の上端に形成される鍔部24aを収納する空間を形成する凸部45aが設けられた金属からなるキャップ部材45が設けられており、当該キャップ部材45によって固定鉄芯24の抜け止めがなされる。
そして、コイルボビン21の下端側の内周面と円筒部材28の外周面との間に形成される隙間部分には、磁性材料からなる円筒状のブッシュ26Dが嵌合されており、継鉄26と固定鉄芯24と可動鉄芯25と共に磁気回路を形成している。
復帰ばね27は、固定鉄芯24の軸方向に形成される挿通孔24bを挿通して上端がキャップ部材45に当接し、下端が可動鉄芯25の上面と当接に当接する。そして、復帰ばね27は、可動鉄芯25とキャップ部材45との間に圧縮状態で設けられており、可動鉄芯25を下方へ弾性付勢する。
可動軸5は、非磁性材料から上下方向に長い長尺丸棒状に形成される軸部51と、当該軸部51の上端に軸部51と一体に形成される矩形板状の規制部52とから構成される。
軸部51は、キャップ部材45の凸部45aの略中央に形成される挿通孔45b、及び復帰ばね27を挿通し、下端部に形成されるねじ部51aが、可動鉄芯25の軸方向に形成されるねじ孔25aに螺合することで可動鉄芯25と接続される。
規制部52は、可動接触子35の一面に当接して当該可動接触子35の固定接点32側への移動を規制する。
また、固定端子33の上面から軸方向へねじ孔33bが穿設されており、図示しない外部負荷等のねじ部が当該ねじ孔33bに螺合されることで接続される。
また、図8(a)に示すように、容器61の開口周縁にはフランジ38の一端がろう付けにより接合される。そして、フランジ38の他端が第一の継鉄板26Aとろう付けにより接合されることで容器61は密閉される。
更に、容器61の開口部には、固定接点32と可動接点34との間で発生するアークを、容器61とフランジ38との接合部から絶縁するための絶縁部材39が設けられている。
絶縁部材39は、セラミックや合成樹脂等の絶縁性材料から上面が開口した略中空直方体状に形成され、下面略中央に形成される矩形枠39a内の凹部に前記キャップ部材45の凸部45aが嵌合される。また、絶縁部材39の周壁の上端側が容器61の周壁の内面に当接することで、固定接点32と可動接点34とからなる接点部から、容器61とフランジ部38とからなる接合部の絶縁を図っている。
更に、絶縁部材39の内底面の略中央には、接圧ばね36の内径と略同サイズの内径を有する円形枠39cが形成され、当該円形枠39cの略中央には、可動軸5が挿通する挿通孔39bが形成される。
ケース4は、樹脂材料によって略矩形箱状に形成され、上面が開口した中空箱型のケース本体41と、ケース本体41の開口に覆設する中空箱型カバー42とから構成される。
ケース本体41は、左右側壁の前端に電磁継電器を取り付け面にねじ留めにより固定する際に用いられる挿通孔141aが形成された突部141が設けられている。また、ケース本体41の上端側の開口周縁には段部41aが形成されており、下端側に比べて外周が小さくなっている。そして、段部41aよりも上方の前面にはコイル端子23の端子部23bが嵌め込まれる一対のスリット41bが形成されている。更に、段部41aよりも上方の後面には、一対の凹部41cが左右方向に並設されている。
カバー42は、下面が開口した中空箱型に形成されており、後面にはケース本体41に組み付ける際にケース本体41の凹部41cに嵌まり込む一対の突部42aが形成されている。また、カバー42の上面には、上面を左右に略2分割する仕切り部42cが形成され、当該仕切り部42cによって2分割された上面にはそれぞれ、固定端子33が挿通する一対の挿通孔42bが形成される。
そして、図8(c)に示すように、ケース4に電磁石ブロック2及び接点ブロック3からなる内器ブロック1収納する際には、コイルボビン21の下端の鍔部21bとケース本体41の底面との間に略矩形状の下側クッションゴム43を介装し、容器61とカバー42との間に固定端子33の鍔部33aが挿通する挿通孔44aが形成された上側クッションゴム44を介装する。
上記電磁継電器では、復帰ばね27が接圧ばね36よりも高いばね係数を有しており、復帰ばね27の付勢力によって可動鉄芯25が下方へ摺動し、それに伴って可動軸5も下方へ移動する。これにより、可動軸5の当接部52の移動に伴って可動接触子35も下方へ移動するため、初期状態では可動接点34が固定接点32と離間した状態で設けられる。
そして、励磁巻線22が通電されると可動鉄芯25が固定鉄芯24に吸引されて上方へ摺動し、可動鉄芯25に連結された可動軸5も連動して上方へ移動する。これと同時に、可動軸5の当接部52が、固定接点32側へ移動してヨーク体63の凹部63a内に収納され、接圧ばね36の付勢力により可動接触子35が固定接点32側へ移動して可動接点34と固定接点32とが当接して接点間が導通する。
上記構成からなる本実施形態の電磁継電器は、上記接点装置を備えていることから、アーク遮断性能、及び接点開閉性能の優れたものであると共に、小型化、低消費電力化、製造コストの抑制を図ることが可能となっている。
また、励磁巻線22への通電がオフされると、復帰ばね27の付勢力によって可動鉄芯25が下方へ摺動し、それに伴って可動軸5も下方へ向かって移動する。そのため、当接部52が下方へ移動して可動接触子35も下方へ移動するので、固定接点32と可動接点34とが離間し、接点間が遮断される。
なお、規制部52を、図9に示すように、その前端及び後端がケース4の内壁に当接して設けることで、接圧ばね36のばねの巻き方向の回転力等を受けた場合であっても別途部品を設けることなく回転を防止できる。なお、規制部52の一部のみがケース4の内壁に当接して規制部52の回転が防止されるものであってもよい。
また、本実施形態の接点装置は、封止接点装置であってもよい。
(実施形態2)
本実施形態の接点装置について図10〜12を用いて説明を行う。なお、本実施形態の接点装置は、ヨーク体63の代わりにヨーク体64を用いている点のみが実施形態1の接点装置と異なる。なお、その他の構成については、実施形態1と共通であるため、共通の符号を付して説明を省略する。なお、図10における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
本実施形態のヨーク体64は、図11に示すように、略直方体状の基体641と、当該基体641の前後両端から下方へ向けて延設されて互いに対向する矩形板状の一対の延設壁642とから断面略コの字状に形成されている。また、基体641の下面には、直方体状の凹部64aが前後方向に沿って形成されている。
そして、接点間が導通した際には、図12に示すように、凹部64a内に規制部52が収納されると共に、ヨーク体64における基体641の下面が可動接触子35の上面に近接し、更に、一対の延設壁642が可動接触子35の前端及び後端に各々近接する。
すると、図12で示すように、可動接触子35の周囲に発生する磁束が、ヨーク体64の影響を受けてそのバランスを崩す。具体的に説明すると、図12において可動接触子35の周囲に発生する略同心円状の磁束は、ヨーク体64の影響を受けて全体的に上方へ移動する。その際、可動接触子35内を右から左に向かう磁束の多くは、ヨーク体64の基体641に引き寄せられて上方へ移動し、可動接触子35内を右から左へ向かう磁束の数が減少する。
一方、図12において、一方、可動接触子35内を左から右へ向かう磁束の数は増加する。すると、可動接触子35内を左から右に向かう磁束によって当該可動接触子35に作用する上向きの電磁力が、可動接触子35内を右から左に向かう磁束によって当該可動接触子35に作用する下向きの電磁力に比べて大きくなる。そのため、可動接触子35には、当該可動接触子35の変位方向と略平行でより大きな鉛直上向きの電磁力が働く。ここで、本実施形態の接点装置では、ヨーク体64の一対の延設壁642が、可動接触子35の前後両端に各々近接していることから、ヨーク体64と可動接触子35との間における漏れ磁束が減少する。これにより、可動接触子35内を左から右へ向かう磁束の数が、実施形態1のヨーク体63を用いる場合よりも更に多くなり、可動接触子35に発生する上記上向きの電磁力が更に大きくなる。
ここで、可動接触子35に作用する鉛直上向きの電磁力は、可動接触子35に発生する接点反発力(下向きの力)とは、180度反対方向の力であるため、当該接点反発力を最も効率よく打ち消す方向に働く力となっている。
以上により、本実施形態の接点装置は、実施形態1の接点装置に比べて可動接触子35により大きな上向きの電磁力を発生させることができ、接点間の接点圧の低下をより一層防止することができる。
従って、本実施形態の接点装置は、負荷短絡時の電磁反発力に対する耐量をアップさせつつ、安定したアーク遮断性能を備えてより安定した接点の開閉性能を得ることができる。
また、本実施形態の接点装置は、封止接点装置であってもよい。
(実施形態3)
本実施形態の接点装置について図13〜16を用いて説明を行う。なお、図13における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
本実施形態の接点装置は、図13,14に示すように、固定端子33、及び可動接触子35、及び接圧ばね36、及び容器(固定部材)61からなる接点ブロック3と、駆動ユニット(駆動手段)8と、ヨーク体(第一のヨーク)63とを備えている。
容器61は、セラミック等の耐熱性材料により、下面か開口した中空矩形箱型に形成されている。また、容器61の上面には、一対の貫通孔61aが左右に並設されている。
固定端子33は、銅等の導電性材料により略円柱状に形成され、上端部が拡径されて円板状の鍔部33aが形成され、下端面には、固定接点32が固着されている。なお、固定接点32は、固定端子33と一体に形成されていてもよい。そして、固定端子33は、その下端側が容器61の貫通孔61aに上方から挿入されて容器61内に突出する。続いて、鍔部33aが貫通孔61aの周縁部にろう付けされることで、固定端子33が容器61に固定される。
また、容器61における上面内側には、一対の固定端子33間にヨーク体63が固定されている。ヨーク体63は、軟鉄等の磁性材料から略直方体状に形成され、下面の左右方向の略中央には、前後方向に沿って凹部63aが形成されている。
可動接触子35は、導電性材料から略矩形平板状に形成され、上面における長手方向(左右方向)の両端側に可動接点34が各々固着される。そして、可動接触子35は、可動接点34と固定接点32とが互いに対向した状態で配設される。また、可動接触子35は、その前端中央及び後端中央に略直方体状の切り欠き35aがそれぞれ形成され、左右両端側に比べて幅寸法の小さい幅狭部351が中央部分に形成される。
接圧ばね36は、コイルスプリングからなり、軸方向を上下方向へ向けた状態で配設され、上端が可動接触子35の下面略中央に当接する。ここで、可動接触子35の下面略中央には、円板状の突部35cが形成され、当該突部35cが接圧ばね36の内径部に嵌まり込むことで、接圧ばね36の位置決めがなされている。
駆動ユニット8は,可動接触子35及び接圧ばね36を保持する保持体81と、保持体81に連結される可動軸82と、可動軸82を駆動する電磁石ブロック2とから構成される。
保持体81は、略矩形平板状のベース板811と、ベース板811の前後両端から各々上方へ延設されて互いに対向する一対の対向壁812と、一対の対向壁812の上端の略中央同士を連結する棒体状の規制部813とから、断面略矩形枠型に形成される。そして、ベース板811と規制部813との間には、可動接触子35と接圧ばね36とが配設される。ここで、接圧ばね36は、下端がベース板811に当接し、当該ベース板811と可動接触子35との間で圧縮状態で配設されて可動接触子35を上方へ押圧する。
そして、接圧ばね36に押圧された可動接触子35は、その上面が規制部813に当接することで上方(固定接点32側)への移動が規制される。
可動軸82は、長尺丸棒状に形成され、その上端がベース板811の略中央に連結され、下端に電磁石ブロック2が接続される。
そして、電磁石ブロック2によって可動軸82が上方へ移動されると、図15に示すように、当該移動に連動して保持体81も上方へ移動し、規制部813がヨーク体63の凹部63a内に収納される。それと同時に、保持体81に保持された可動接触子35が、固定端子33側へ移動し、可動接点34が固定接点32に当接して接点間が導通すると共に、可動接触子35がヨーク体63に近接する。ここでは、ヨーク体63の厚みは、容器61内に突出する固定端子33の突出長さと略等しい厚みに設定されている。
続いて、接点間が導通した後に、電磁石ブロック2によって可動軸82が更に上方へ移動されると、当該移動に連動して保持体81も更に上方へ移動する。その際、可動接触子35は、可動接点34が固定接点32に当接することで上方への移動が規制されてその位置が変化しない。そのため、保持体81の上方への移動に伴って、可動接触子35と保持体81のベース板811との間隔が狭くなり、接圧ばね36の圧縮量が大きくなって当該接圧ばね36の可動接触子35に対する押圧力が大きくなる。以下、接点導通後の可動軸82の移動量をオーバートラベル量(OT量)と称する。つまり、OT量に比例して接点間の接圧が大きくなる。
また、従来例において図25(a)を用いて説明した通り、一般的に、可動接触子35の近傍にヨークが設けられていない場合、電流が流れる可動接触子35の周囲には当該可動接触子35の中心を磁界の中心として同心円状に磁束が発生する。(図25において、紙面の奥側から手前側へ向かって電流が流れているものとする)。ここで、図25(a)において、可動接触子35内を右から左へ向かう磁束の数と、可動接触子35内を左から右へ向かう磁束の数とが略等しいため、可動接触子35に電磁力は発生しない。
一方、本実施形態の接点装置では、接点間が導通した際、図16に示すように、可動接触子35の上面に近接するヨーク体63の影響により、可動接触子35の周囲に発生する磁界のバランスが崩れる。具体的に説明すると、可動接触子35の周囲に発生する磁束がヨーク体63側へ引き寄せられ、可動接触子35内を右から左へ通過する磁束の多くが、ヨーク体63に引き寄せられて可動接触子35内を通る数が減少する。一方、可動接触子35内を右から左へ通過する磁束の数は増加する。つまり、可動接触子35内を右から左へ通過する磁束の数が、可動接触子35内を左から右へ通過する磁束の数よりも多くなる。ここで、可動接触子35内を右から左へ向かう磁束は、可動接触子35に対して下向きの電磁力を付与し、可動接触子35内を左から右へ向かう磁束は、可動接触子35に対して上向きの電磁力を付与する。そのため、可動接触子35には上向きの電磁力が働く。つまり、接点導通時には、可動接触子35に対して、接圧ばね36から受ける上向きの押圧力と、ヨーク体63による上向きの電磁力との2つの上向きの力が作用する。
また、本実施形態の接点装置では、ヨーク体63は、駆動ユニット2から独立して容器63に固定されていることから、駆動ユニット2における保持体81及び可動軸82の移動にヨーク体63は連動しない。そのため、接点導通後は、ヨーク体63と、可動接触子35との間の距離(ギャップG1)は、OT量に拠らず従来よりも短く設定できると共に、ギャップG1を一定に保つことができる。つまり、OT量を増加させたとしてもギャップG1が大きくなることが無く、可動接触子35に作用するヨーク体63による上向きの電磁力の減少を防止でき、接点間の接圧を効率よく高めることができる。
また、ギャップG1の値をOT量とは独立して設定することができるため、ギャップG1の値を調整することで、接点間の接圧を高めるために上記電磁力が最も効果を発揮できる設計を容易に行うことができる。
また、上記上向きの電磁力を安定して得られることから、電磁石ブロック2を小さくしたとしても、短絡電流に対する耐力(接圧)を維持することができ、接点装置の小型化を図ることができる。これにより、接点装置の消費電力の低減、及びコストダウンを図ることができる。
また、図23で示した従来例における接点装置では、ヨーク板74が、可動接触子35及び接圧ばね36と共に保持体81に保持されていた。ここで、接点装置を安定して動作させるためには、保持体81に対して可動接触子35及び接圧ばね36及びヨーク板74を精度よく組み付ける必要がある。
一方、本実施形態の接点装置では、ヨーク板63が、駆動ユニット2から独立して設けられ、可動接触子35及び接圧ばね36のみが、保持体81に保持されることから、保持体81に組み付ける部品点数を従来に比べて減少させることができる。そのため、従来の接点装置に比べて組み立てが容易となり、製造コストを低減することができる。
また、保持体81で保持する部品が減少するため、保持体81を駆動させる際に必要となる力を小さくすることができる。従って、電磁石ブロック2で発生させる電磁力を抑えつつも接圧を維持することができ、当該電磁石ブロック2の小型化及び省電力の低減及びコストダウンをより図ることができる。
なお、本実施形態の接点装置では、ヨーク体63に凹部63aを形成しているが、当該凹部63aは、規制部813を収納可能であれば、前後両端が開放したものであっても、閉塞したものであってもよい。
また、本実施形態の接点装置は、一対の永久磁石46が設けられたことによって左右各接点における接点消耗が略等しくなっている。
以上により、本実施形態の接点装置は、負荷短絡時の電磁反発力に対する耐量をアップさせつつ、安定したアーク遮断性能を備え、更に、より安定した接点の開閉性能を得ることができる。
なお、固定接点32は、固定端子33に一体に設けられるもの、若しくは、別体に設けられるもののいずれであってもよい。同様に、可動接点61は、可動接触子62に、一体に設けられるもの、若しくは、別体に設けられるもののいずれであってもよい。
また、本実施形態の接点装置は、封止接点装置であってもよい。
(実施形態4)
本実施形態の接点装置について図17〜20を用いて説明を行う。以下、図17における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
本実施形態の接点装置は、図17,18に示すように、ヨーク体63及び可動接触子35の代わりに、ヨーク体65及び可動接触子37が用いられている点が実施形態3の接点装置と異なっている。なお、その他の構成については、実施形態3と共通であるため共通の符号を付して説明を省略する。
ヨーク体65は、軟鉄等の磁性材料から略直方体状に形成され、容器61の上面内側に固定されている。
可動接触子37は、導電性材料から左右方向に長い略直方体状に形成され、その上面略中央には、前後方向に沿って凹部37aが形成されている。
そして、保持体81の一対の対向壁812間に可動接触子37及び接圧ばね36が配設される。その際、接圧ばね36は、保持体81のベース板811と可動接触子37の下面との間に圧縮状態で配設されて、可動接触子37を上方へ押圧する。ここで、可動接触子37の下面中央に形成される略円板状の突部37bが、接圧ばね36の上端側内径部に嵌まり込むことで、接圧ばね36の位置決めがなされている。
そして、接圧ばね36に押圧された可動接触子37が上方へ移動し、可動接触子37の凹部37aに保持体81の規制部813が収納される。ここで、図25(a)に示すように、可動接触子37は、その凹部37aの底面が規制部813に当接することで、上方向への移動が規制される。
上記構成からなる本実施形態の接点装置は、電磁石ブロック2によって可動軸82が上方へ移動すると、当該移動に伴って保持体81が上方へ移動し、当該保持体81内に設けられた可動接触子37も上方へ移動する。続いて、図20に示すように、可動接点34が、固定接点32に当接して接点間が導通すると、可動接触子37は、上方への移動が規制される。そのため、可動軸82が更に上方へ移動すると、可動接触子37と、保持体81のベース板811との間隔が狭くなり、接圧ばね36の圧縮量が大きくなって可動接触子37に対する押圧力が大きくなる。ここで、保持体81の規制部813は、OT量と同じ距離だけ可動接触子37の凹部37a内を上方へ移動するが、上記OT量が凹部37aの深さ寸法以下となるように、電磁石ブロック2は設計される。
上記本実施形態の接点装置では、規制部813が可動接触子37の凹部37aに嵌まり込んでいることから、当該規制部813によって可動接触子37の左右方向への移動が規制される。そのため、可動接触子37の位置ずれを防止でき、固定接点32に対して可動接点34の位置がずれることを防止でき、接点開閉性能を更に高めることができる。
また、本実施形態の接点装置において、図21に示すように、ヨーク体65の代わりに実施形態1で用いたヨーク体63を用いてもよい。上記の場合、ヨーク体63の溝(第二の凹部)63aが、上下方向において可動接触子37の溝(第一の凹部)37bに対向し、接点導通後には、図22に示すように、凹部63aの下端と凹部37bの上端が近接することで、凹部63aと凹部37bとで囲まれた矩形状の移動空間Sが形成される。そして、規制部831は、OT量が大きくなるに従って移動空間S内を、凹部37b側から凹部63a側へ移動する。このように、ヨーク体65の代わりにヨーク体63を用いることで、規制部831の可動距離を、凹部63aの深さ分だけ長くすることができ、OT量をより長く設定できてより大きな接圧を得ることが可能となる。
また、本実施形態における接点装置は、実施形態1で示した接点装置と同様に、一対の永久磁石46を備えていることから、一対の接点間で発生するアークが、互いに離れる方向へ引き伸ばされて接点開閉性能が高められる。
また、一対の永久磁石46から出る磁束は、ヨーク体65に引き寄せられて漏れ磁束が抑制され、各接点近傍の磁束密度を向上することができて接点間に発生するアークを引き伸ばす力が増大する。従って、ヨーク体65が設けられていることで、永久磁石46のサイズを小さくしても接点間で発生するアークを引き伸ばす力を維持できるため、アーク遮断性能を維持しつつ、更なる接点装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
2 電磁石ブロック
3 接点ブロック
5 可動軸
8 駆動ユニット(駆動手段)
32 固定接点
33 固定端子
34 可動接点
35 可動接触子
36 接圧ばね
46 永久磁石
47 ヨーク体(第二のヨーク)
51 軸部
52 規制部
63 ヨーク体(第一のヨーク)

Claims (12)

  1. 固定接点を有する一対の固定端子、及び前記一対の固定接点にそれぞれ接離する一対の可動接点が一面に並設される可動接触子からなる接点ブロックと、
    前記固定接点に前記可動接点が接離するように前記可動接触子を駆動する駆動手段と、
    前記駆動手段の駆動力によって移動しない固定部材と、
    前記可動接点の並設方向において前記接点ブロックを介して互いに対向し、互いに対向する面の各極性が異極である一対の永久磁石と、
    前記一対の永久磁石間において前記固定部材に固定され、前記可動接触子の一面に対向する第一のヨークとを備えることを特徴とする接点装置。
  2. 前記固定部材は、前記可動接触子を収納する容器であることを特徴とする請求項1記載の接点装置。
  3. 前記駆動手段は、前記可動接触子を前記固定接点側へ付勢する接圧ばねと、前記可動接触子の一面に当接して当該可動接触子の前記固定接点側への移動を規制する規制部と、前記可動接触子に形成される挿通孔を移動自在に挿通して前記規制部に連結される可動軸と、前記可動接点が前記固定接点に接離するように前記可動軸を駆動させる電磁石ブロックとを備えることを特徴とする請求項1または2記載の接点装置。
  4. 前記駆動手段は、前記可動接触子を前記固定接点側へ付勢する接圧ばねと、前記接圧ばねを保持する保持体と、当該保持体に連結される可動軸と、前記可動接点が前記固定接点に接離するように前記可動軸を駆動させる電磁石ブロックとを備え、
    前記保持体は、前記可動接触子の一面に当接して当該可動接触子の前記固定接点側への移動を規制する規制部を有することを特徴とする請求項1または2記載の接点装置。
  5. 前記可動接触子は、平板状に形成され、
    前記第一のヨークは、前記規制部と対向する位置に当該規制部を収納可能な凹部が形成されることを特徴とする請求項3または4記載の接点装置。
  6. 前記可動接触子は、一面に前記規制部を収納する凹部が形成されることを特徴とする請求項3または4記載の接点装置。
  7. 前記可動接触子は、一面に前記規制部を収納する第一の凹部が形成され、
    前記第一のヨークは、前記第一の凹部と対向する位置に前記規制部を収納可能な第二の凹部が形成されることを特徴とする請求項3または4記載の接点装置。
  8. 前記可動接点の並設方向、及び前記可動接点と前記固定接点との接離方向に直交する方向における前記可動接触子の各端面に各々対向して前記一対の永久磁石間を接続する一対の第二のヨークが設けられることを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の接点装置。
  9. 前記第一のヨークは、平板状に形成されることを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の接点装置。
  10. 前記第一のヨークは、前記可動接触子に対向する平板状の基部と当該基部の端部から可動接触子側へ向けて延設される一対の延設部とから略断面略コの字状に形成されることを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の接点装置。
  11. 前記固定接点は、前記固定端子に一体、または、別体に設けられることを特徴とする請求項1乃至10いずれか記載の接点装置。
  12. 前記可動接点は、前記可動接触子に一体、または、別体に設けられることを特徴とする請求項1乃至11いずれか記載の接点装置。
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