JP2012102039A - ベタイン型化合物及び界面活性剤組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、新規なベタイン型化合物とその製造方法、並びにそれを含む界面活性剤組成物、化粧料及び洗浄剤に関する。より詳細には、本発明は、界面活性作用を有するとともに、カチオン・アニオン両界面活性剤に対して高い性能向上作用を有する新規なベタイン型化合物とその製造方法、並びにそれを含む界面活性剤組成物、化粧料及び洗浄剤に関する。
昨今の洗浄剤配合物は、ますます皮膚に対する低刺激性を求められている。例えばラウリルサルフェートにオキシエチレン基を導入して得られるラウリルエーテルサルフェートは、蛋白変性試験などによればオキシエチレン基を有していないラウリルサルフェートに対して優位に低刺激であり、現在多数の洗浄剤組成物において広く使用されている。しかし、サルフェート系界面活性剤類を低刺激化するために挿入されるオキシアルキレン基の種類、量、連結方法、並びにその低刺激化効果には限界がある。そこで界面活性剤の改良研究が続けられ、例えば、親水基が蛋白変性の少ないアミノ酸で構成された界面活性剤(例えば、特開昭63−2962号公報)、及びカルボベタイン類(例えば、特開昭56−10156号公報)等が開発されてきた。しかしながら、これら従来の界面活性剤は、蛋白変性がかなり小さくはなっているものの、なお不十分であり、さらに蛋白刺激性が低く、且つ実用上十分に高い界面活性を有する界面活性剤の開発が熟望されている。
一般的に、アニオン界面活性剤は蛋白刺激性が高い。臨界ミセル濃度が高いアニオン界面活性剤は、系中でモノマー分散している分子がより多い。そのため、見かけの分子量が小さいモノマー分散している分子は皮膚を容易に突き抜けるため、刺激性が強く、また蛋白刺激性が高くなる原因となる。蛋白刺激性を低くするためには、カチオン−アニオン効果が有効であると考えられる。例えばアニオン界面活性剤に特定量のカチオン活性剤を配合することで、系中で擬似ジェミニ型の塩を形成し、アニオン界面活性剤同士の静電反発を抑制することで、臨界ミセル濃度を低下させることが可能になるからである。
しかしながら、カチオン−アニオン効果のみでは、系中で塩形成を起こしてしまうため、その配合比率がモル等量に近づけば近づくほど水に対する溶解性が低下し、例えば製品として使用した場合には保存安定性に対する問題が出てくる。
従って、本発明の目的は、カチオン又はアニオン両界面活性剤に対する性能向上作用が高く、しかも水溶性に優れたベタイン型界面活性化合物とその工業的に効率の良い製造方法、並びにそれを含む界面活性剤組成物、化粧料及び洗浄剤を提供することを目的とする。
従って、本発明の目的は、カチオン又はアニオン両界面活性剤に対する性能向上作用が高く、しかも水溶性に優れたベタイン型界面活性化合物とその工業的に効率の良い製造方法、並びにそれを含む界面活性剤組成物、化粧料及び洗浄剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、低刺激性界面活性剤として知られている従来のベタイン型界面活性化合物に注目し、これにグリセリル基(2,3−ジヒドロキシプロピル基)を導入することにより、従来のベタイン型界面活性化合物の界面活性能力を損なうことなく、それよりも低刺激性を向上させ得ること、及びアニオン及びカチオンの界面活性作用を大幅に向上し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記式(1)
(式中、Rは、ヒドロキシル基により置換されていてもよい炭素数6〜22の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を示す。mは1又は2、nは0又は1を示す。但し、m=1の場合は、n=1であり、m=2の場合は、n=0である)
で表されるベタイン型化合物を提供する。
で表されるベタイン型化合物を提供する。
本発明は、また、下記式(2)
RNH2 (2)
(式中、Rは、ヒドロキシル基により置換されていてもよい炭素数6〜22の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を示す)
で表される脂肪族アミンとグリシドールとを反応させて、下記式(3)
(式中、Rは前記に同じ。mは1又は2、nは0又は1を示す。但し、m=1の場合は、n=1であり、m=2の場合は、n=0である)
で表されるモノ又はジグリセリルアミン化合物を得、このモノ又はジグリセリルアミン化合物にモノハロ酢酸又はその塩を反応させて、下記式(1)
(式中、R、m、nは前記に同じ)
で表されるベタイン型化合物を得ることを特徴とするベタイン型化合物の製造方法を提供する。
RNH2 (2)
(式中、Rは、ヒドロキシル基により置換されていてもよい炭素数6〜22の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を示す)
で表される脂肪族アミンとグリシドールとを反応させて、下記式(3)
で表されるモノ又はジグリセリルアミン化合物を得、このモノ又はジグリセリルアミン化合物にモノハロ酢酸又はその塩を反応させて、下記式(1)
で表されるベタイン型化合物を得ることを特徴とするベタイン型化合物の製造方法を提供する。
本発明は、さらに、前記ベタイン型化合物を含む界面活性剤組成物を提供する。
前記界面活性剤組成物は、式(1)においてm=1で且つn=1である化合物、及びm=2で且つn=0である化合物の両化合物を含んでいてもよい。
前記界面活性剤組成物において、式(1)で表される化合物の含有量は50重量%以上であってもよい。
前記界面活性剤組成物は、式(1)で表される化合物に加え、さらにアニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤から選択された少なくとも1種の界面活性剤を含んでいてもよい。この場合、式(1)で表される化合物とアニオン界面活性剤及び/又はカチオン界面活性剤との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=5/95〜90/10の範囲である。
本発明は、さらにまた、前記ベタイン型化合物を含む化粧料を提供する。
本発明は、また、ベタイン型化合物を含む洗浄剤を提供する。
本発明のベタイン型化合物は、正電荷と負電荷とを同一分子内に有し、且つグリセリル基を有する特定に構造を持つため、界面活性作用を示すとともに、アニオン又はカチオン界面活性剤の両者に対し系内で相乗効果を発揮し、これらのアニオン又はカチオン界面活性剤の性能向上に大きく寄与して臨界ミセル濃度を大幅に低下させることができる。また、本発明のベタイン型化合物とアニオン又はカチオン界面活性剤との混合物は水溶性に優れ、形成される擬似ジェミニ型の塩は水溶液から析出することはなく安定な溶解状態を保持することができる。また、その低い臨界ミセル濃度から、アニオン又はカチオン界面活性剤の皮膚刺激性を大幅に緩和又は抑制することができる。このため、本発明のベタイン型化合物は洗浄剤及び化粧料成分として極めて有用である。また、本発明のベタイン型化合物の製造方法によれば、上記のように優れた特性を有する新規なベタイン型化合物を工業的に効率よく製造できる。
[ベタイン型化合物]
本発明のベタイン型化合物は、前記式(1)で表される化合物である。式(1)中、Rは、ヒドロキシル基により置換されていてもよい炭素数6〜22の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を示す。mは1又は2、nは0又は1を示す。但し、m=1の場合は、n=1であり、m=2の場合は、n=0である。なお、本明細書では、式(1)において、窒素原子に水素原子が結合している化合物(m=n=1である化合物)もベタイン型化合物と称する。
本発明のベタイン型化合物は、前記式(1)で表される化合物である。式(1)中、Rは、ヒドロキシル基により置換されていてもよい炭素数6〜22の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を示す。mは1又は2、nは0又は1を示す。但し、m=1の場合は、n=1であり、m=2の場合は、n=0である。なお、本明細書では、式(1)において、窒素原子に水素原子が結合している化合物(m=n=1である化合物)もベタイン型化合物と称する。
前記炭素数6〜22の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基としては、例えば、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、ドコシル基等の炭素数6〜22の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、イコセニル、ドコセニル基等の炭素数6〜22の直鎖状又は分岐鎖状アルケニル基が挙げられる。これらの炭素数6〜22の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基は1又は2以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。
上記の中でも、炭素数8〜18の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数14〜18の直鎖状又は分岐鎖状アルケニル基、ヒドロキシル基で置換された炭素数8〜18の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、ヒドロキシル基で置換された炭素数14〜18の直鎖状又は分岐鎖状アルケニル基が特に好ましい。
式(1)で表されるベタイン型化合物は、前記式(2)で表される脂肪族アミンとグリシドールとを反応させて、前記式(3)で表されるモノ又はジグリセリルアミン化合物を生成させ、生成したモノ又はジグリセリルアミン化合物にモノハロ酢酸又はその塩を反応させることにより製造できる。
式(2)中のR、式(3)中のR、m、nは前記に同じである。
式(2)で表される脂肪族アミンの代表的な例として、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミンなどが挙げられる。
前記モノハロ酢酸としては、モノクロロ酢酸、モノブロモ酢酸などが挙げられる。なかでも、モノクロロ酢酸が好ましい。
モノハロ酢酸の塩としては、モノハロ酢酸のナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;モノハロ酢酸のアルカリ土類金属塩;モノハロ酢酸の有機塩基との塩などが挙げられる。これらのなかでも、モノハロ酢酸(特に、モノクロロ酢酸)のアルカリ金属塩(特に、ナトリウム塩)が好ましい。
式(2)で表される脂肪族アミンとグリシドールとの反応は溶媒非存在下で又は不活性溶媒中で行われる。反応温度は、脂肪族アミンの種類によっても異なるが、通常、0〜150℃、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜90℃である。反応は、バッチ式、セミバッチ式、連続式等のいずれの方法で行うこともできる。脂肪族アミン中にグリシドールを滴下して反応させる方法が、反応温度のコントロール、収率等の点で好ましい。
グリシドールの使用量は、所望する目的化合物によって異なるが、式(2)で表される脂肪族アミン1モルに対して、例えば、0.5〜20モル、好ましくは0.7〜5モル、さらに好ましくは0.8〜2モルである。グリシドールの量が少ないほど、式(3)においてm=n=1である化合物とm=2で且つn=0である化合物の生成比(前者/後者)が高く、逆にグリシドールの量が多いほど、前記生成比が低くなる。
上記反応で生成した式(3)で表されるモノ又はジグリセリルアミン化合物とモノハロ酢酸又はその塩との反応は、好ましくは溶媒中で行われる。溶媒としては、水;メタノール、エタノール等のアルコール;エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;アセトニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒;その他の溶媒;これらの混合溶媒などが挙げられる。なかでも好ましい溶媒として、水、水と水溶性溶媒(特に、メタノール等のアルコール)との混合溶媒が挙げられる。式(1)で表されるベタイン型化合物の水溶液を得る場合には、溶媒として、水又は、水と水よりも沸点の低い水溶性溶媒(例えば、メタノール等)との混合溶媒を用いるのが好ましい。このような溶媒を用いると、反応後、該水溶性溶媒を蒸留により容易に除去でき、所望濃度の式(1)で表されるベタイン型化合物水溶液を簡易に製造することができる。
なお、式(2)で表される脂肪族アミンとグリシドールとの反応生成物を、そのままモノハロ酢酸又はその塩との反応に供してもよく、また、前記反応生成物を精製(濃縮、蒸留、抽出、晶析、沈殿、カラムクロマトグラフィー等)に付し、式(3)で表される化合物を単離した上で、モノハロ酢酸又はその塩との反応に供してもよい。
反応にモノハロ酢酸を用いる場合は、反応系内に塩基を存在させるのが好ましい。塩基としては、無機塩基又は有機塩基を使用できる。無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム等のなどアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。有機塩基としては、トリエチルアミン等の第三級アミン、含窒素複素環化合物などが挙げられる。塩基の使用量は、モノハロ酢酸に対して、例えば、0.5〜2当量、好ましくは0.8〜1.3当量である。
式(3)で表されるモノ又はジグリセリルアミン化合物とモノハロ酢酸又はその塩との反応において、反応温度は、例えば、20〜150℃、好ましくは50〜100℃である。反応は、バッチ式、セミバッチ式、連続式等のいずれの方法で行うこともできる。式(3)で表されるモノ又はジグリセリルアミン化合物を含む溶液中に、モノハロ酢酸又はその塩を含む溶液を滴下して反応させる方法が、反応温度のコントロール、収率等の点で好ましい。
反応終了後、必要に応じて、濃縮、抽出、晶析等の慣用の精製に付すことにより、式(1)で表されるベタイン型化合物を得ることができる。例えば、前記のように、溶媒として水を用いることにより、式(1)で表されるベタイン型化合物の水溶液を得ることができる。
なお、反応過程において、モノハロ酢酸由来のハロゲン原子を含む塩(ハロゲン化アルカリ金属等)が副生しうる。例えば、モノクロロ酢酸ナトリウムを反応に用いた場合には、塩化ナトリウムが副生する。このようなハロゲン化アルカリ金属塩等の塩が界面活性剤の用途、例えば洗浄剤としての用途に悪影響がなければ、それを除去することなく使用してもよい。しかし、例えば界面活性剤に高分子化合物などを配合する際に、ハロゲン化アルカリ金属等の塩の存在が悪影響を及ぼす場合には、それを逆浸透膜処理、或は電気透析処理などにより除去してもよい。
[界面活性剤組成物]
こうして得られる式(1)で表されるベタイン型化合物は、ベタイン型両性界面活性剤本来の特徴を残しながら、高い水溶性を保持し、カチオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤と併用した場合に、カチオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の両者に対して、系中で擬似ジェミニ構造を形成する。そのため、その両者のパフォーマンスを向上させることができ、臨界ミセル濃度の低下により、その両者の蛋白変性作用も緩和することができる。
こうして得られる式(1)で表されるベタイン型化合物は、ベタイン型両性界面活性剤本来の特徴を残しながら、高い水溶性を保持し、カチオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤と併用した場合に、カチオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の両者に対して、系中で擬似ジェミニ構造を形成する。そのため、その両者のパフォーマンスを向上させることができ、臨界ミセル濃度の低下により、その両者の蛋白変性作用も緩和することができる。
本発明の界面活性剤組成物は、前記式(1)で表される化合物を必須成分として含有する。本発明の界面活性剤組成物において、式(1)で表される化合物の含有量は、用途等によって適宜選択でき、一般には10重量%以上(例えば、10〜90重量%)、好ましくは25重量%以上(例えば、25〜85重量%)、さらに好ましくは50重量%以上(例えば、50〜80重量%)である。
式(1)で表される化合物は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。特に、製造の容易性、性能等の点から、式(1)においてm=1で且つn=1である化合物と、m=2で且つn=0である化合物の両化合物(とりわけ、Rが同一である2種の化合物)をともに含むのが好ましい。m=1で且つn=1である化合物と、m=2で且つn=0である化合物の両化合物を用いる場合、これらの割合は広い範囲で選択できる。例えば、前者/後者(重量比)=1/99〜99/1、好ましくは、10/90〜90/10、さらに好ましくは、30/70〜80/20である。この割合は、例えば、前記製造方法において、式(2)で表される脂肪族アミンに対するグリシドールのモル比を調整することによりコントロールできる。
本発明の界面活性剤組成物は、式(1)で表される化合物のほか、溶媒、他の界面活性剤などを含んでいてもよい。溶媒としては、水;メタノール等の水溶性溶媒;これらの混合液などが挙げられる。好ましい溶媒は水である。
他の界面活性剤としては、特に限定されず、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤のいずれであってもよい。上記の理由により、特に、カチオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤から選択された少なくとも1種の界面活性剤を含むのが好ましい。この場合、式(1)で表される化合物と、カチオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤(カチオン界面活性剤とアニオン界面活性剤の両方を用いる場合はそれらの合計)との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=5/95〜90/10、好ましくは、10/90〜80/20、さらに好ましくは、15/85〜60/40である。式(1)で表される化合物と、カチオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤とを等モル量使用しても、沈殿が生じることなく、均一性を保持できる。
前記カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤としては、後述の界面活性剤を用いることができる。
[化粧料及び洗浄剤]
第四級窒素原子含有界面活性剤は、界面活性剤の分類においてはカチオン界面活性剤に属するものであって、その分子中に正の電荷を有しているため、蛋白質、特に髪への吸着性を利用してヘアリンス剤等によく利用されている。また、一般的に、カチオン界面活性剤には殺菌力があることも知られている。例えば、塩化ベンザルコニウム液等の、いわゆる逆性石鹸と称されるカチオン界面活性剤は殺菌洗浄剤として広く用いられている。しかし、逆性石鹸等のカチオン界面活性剤を含む洗浄剤は、皮膚刺激が強く、長期間の使用による肌荒れは避けがたいことが知られている。これはカチオン界面活性剤は、その臨界ミセル濃度が高く、モノマー分散する分子が多いため、界面活性能を発現させるためには大量の分子を使用しなければならないためであり、蛋白質を変性させるほどの強い刺激性を有する。この特性は、卵白に、逆性石鹸、ヘアリンス、ハンドソープ等のようなカチオン含有組成物又はカチオン界面活性剤を単独に加えたとき、卵白中の水溶性蛋白質が変性を受け、白濁或は固化する現象により容易に検出することができる。このような蛋白変性はカチオン性界面活性剤のみならず一部のアニオン性界面活性剤、特に硫黄原子含有界面活性剤にもしばしば見られる現象である。
第四級窒素原子含有界面活性剤は、界面活性剤の分類においてはカチオン界面活性剤に属するものであって、その分子中に正の電荷を有しているため、蛋白質、特に髪への吸着性を利用してヘアリンス剤等によく利用されている。また、一般的に、カチオン界面活性剤には殺菌力があることも知られている。例えば、塩化ベンザルコニウム液等の、いわゆる逆性石鹸と称されるカチオン界面活性剤は殺菌洗浄剤として広く用いられている。しかし、逆性石鹸等のカチオン界面活性剤を含む洗浄剤は、皮膚刺激が強く、長期間の使用による肌荒れは避けがたいことが知られている。これはカチオン界面活性剤は、その臨界ミセル濃度が高く、モノマー分散する分子が多いため、界面活性能を発現させるためには大量の分子を使用しなければならないためであり、蛋白質を変性させるほどの強い刺激性を有する。この特性は、卵白に、逆性石鹸、ヘアリンス、ハンドソープ等のようなカチオン含有組成物又はカチオン界面活性剤を単独に加えたとき、卵白中の水溶性蛋白質が変性を受け、白濁或は固化する現象により容易に検出することができる。このような蛋白変性はカチオン性界面活性剤のみならず一部のアニオン性界面活性剤、特に硫黄原子含有界面活性剤にもしばしば見られる現象である。
本発明の前記式(1)で表されるベタイン型化合物は、前記のように、アニオン界面活性剤及びカチオン性界面活性剤の両者の界面活性能を著しく向上させることができ、かつその両者に対して、例えば等モル量添加しても、系内で不溶物は発生しない。前記式(1)で表されるベタイン型化合物のアニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤に対する活性能向上効果の機構は、必ずしも明らかではないが、前記式(1)で表されるベタイン型化合物が、カチオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤(特に硫黄原子含有界面活性剤)と静電的に弱い会合状態を形成することで、モノマー分散濃度が低下するため、少量のカチオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤の使用で界面活性能が発揮されるものと考えられる。
本発明の化粧料及び洗浄剤は、それぞれ、前記式(1)で表されるベタイン型化合物を必須成分として含有する。本発明の化粧料、洗浄剤における式(1)で表されるベタイン型化合物の含有量は、それぞれ、例えば、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜30重量%である。
式(1)で表されるベタイン型化合物は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。特に、式(1)においてm=1で且つn=1である化合物と、m=2で且つn=0である化合物の両化合物(とりわけ、Rが同一である2種の化合物)をともに含むのが好ましい。m=1で且つn=1である化合物と、m=2で且つn=0である化合物の両化合物を用いる場合、これらの割合は、前記界面活性剤組成物の場合と同様、例えば、前者/後者(重量比)=1/99〜99/1、好ましくは、10/90〜90/10、さらに好ましくは、30/70〜80/20である。
本発明の化粧料、洗浄剤は、それぞれ、式(1)で表されるベタイン型化合物のほか、界面活性化合物を含む一般的な化粧料あるいは洗浄剤に通常に用いられている成分が配合されていてもよい。このような成分として、例えば、動物、植物、魚貝類又は微生物由来の抽出物、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、被膜剤、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、低級アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、合成樹脂エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水などが挙げられる。これらの成分は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
前記動物、植物、魚貝類、微生物由来の抽出物としては、例えば、茶エキス、アロエエキス、イチョウエキス、センブリエキス、ヨモギエキス、ニンニクエキス、オウゴンエキス、ローズマリーエキス、ニンジンエキス、ヘチマエキス、胎盤抽出物、乳酸菌培養抽出物、海草エキス等の抽出物、これらの抽出物から精製された薬効成分などが挙げられる。
前記粉末成分としては、例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーキュムライト、炭酸マグネシウム、珪酸ジルコニウム、珪酸アルミニウム、珪酸バリウム、珪酸カルシウム、珪酸亜鉛、珪酸マグネシウム、珪酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、燐酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)、窒化ホウ素等の無機粉末;例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等の有機粉末などを使用できる。また、粉末成分として、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄、γ−酸化鉄、黄酸化鉄、黄土、黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト、群青、紺青等の無機顔料を用いることもできる。さらに、粉末成分として、例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料;例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料;例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号等の有機顔料;例えば、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミキレートなどの有機顔料;例えば、クロロフィル、β−カロチン等の天然色素などを使用することもできる。これらの粉末成分は、そのまま用いてもよいが、必要に応じて、メチルハイドロジェンポリシロキサン又はシランカップリング剤等によるシリコーン処理、金属石鹸処理、パーフルオロアルキル燐酸ジエタノールアミン塩、又はパーフルオロアルキルシランなどによるフッ素処理などの疎水化処理を施されたものを用いることもできる。
前記液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、グレープシード油、タートル油、マカディミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ヒマワリ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリンなどを用いることができる。
前記固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核脂、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油などを用いることができる。
前記ロウとしては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ホホバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水添ラノリンアルコールエーテルなどが挙げられる。
前記炭化水素(炭化水素油)としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどを挙げることができる。
前記高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などが挙げられる。
前記高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノリルアルコールなどが挙げられる。
前記エステル類(合成エステル油等)としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル−2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸−2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、パルミチン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸−2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチルなどを挙げることができる。
前記シリコーンとしては、例えば、メチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、高重合度メチルポリシロキサン等のジメチルシリコーンオイル類;例えば、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン等の環状ポリシロキサン類;例えば、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体等のポリエーテル変性シリコーン類;例えば、アモジメチコーン等のアミノ変性シリコーン類;並びに、その他のメチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシ珪酸、3次元網目構造を形成しているシリコン樹脂、及びシリコンゴムなどを挙げることができる。
前記アニオン界面活性剤としては、例えば、セッケン用素地、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ヤシカリセッケン等の脂肪酸セッケン類;例えば、POEラウリルエーテルカルボン酸塩、POP・POEエーテルミリスチン酸塩等のエーテルカルボン酸類;例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等の高級アルキル硫酸エステル塩類;例えば、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩類;例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルグリシンナトリウム、ラウロイル−β−アラニンナトリウム、ラウロイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム、N − パルミトイルアスパラギン酸ジエタノールアミン、ヤシ脂肪酸シルクペプチド等のN−アシルアミノ酸塩類;例えば、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、POEラウリルアミドエーテル酢酸ナトリウム等の高級脂肪酸アミド酢酸塩類;例えば、POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸、POEラウリルアミドエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩類;例えば、ジ−2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールコハク酸ナトリウム等のコハク酸塩類;例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類;高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩類、例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム、ロート油などの硫酸化油;その他のα−オレフィン硫酸塩類、高級脂肪酸エステル硫酸塩類、二級アルコール硫酸エステル塩類、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩類、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、カゼインナトリウムなどが挙げられる。
前記カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩類;例えば、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム塩等のジアルキルジメチルアンモニウム塩類;例えば、塩化セチルピリジウム等のアルキルピリジウム塩類;並びに、その他のアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩類、塩化ベンゼトニウム類、塩化ベンザルコニウム類などを挙げることができる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、N−ラウロイル−N′−カルボキシメチル−N′−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ脂肪酸アシル−N′−カルボキシエチル−N′−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のアミドアミン系両性界面活性剤類;例えば、ヤシ脂肪酸アミドプロピルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルベタイン等のアミド酢酸ベタイン型両性界面活性剤類;例えば、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシベタイン等のベタイン型両性界面活性剤類;例えば、ラウリルトリメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルアミンオキシド等のアミンオキサイド型両性界面活性剤類;アルキル酢酸ベタイン型両性界面活性剤類;アルキルベタイン型両性界面活性剤類などが挙げられる。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、モノステアリン酸グリセリル、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル類;例えば、モノステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEグリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類;例えば、モノステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル類;例えば、ポリグリセリンモノラウリルエーテル、グリセリンモノイソステアリルエーテル、ポリグリセリンモノミリスチルエーテル、グリセリン−2−エチルヘキシルエーテル等のポリグリセリンアルキルエーテル類;例えば、モノラウリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;例えば、モノヤシ脂肪酸POEソルビタン、トリステアリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;例えば、モノラウリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビット等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類;例えば、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類;例えば、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;例えば、POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、POE分鎖オクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類;例えば、POEステアリルアミン、POEオレイルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン類;例えば、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類;例えば、POEラウリン酸モノエタノールアミド、POEヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、POE牛脂脂肪酸モノエタノールアミド等のポリオキシエチレンアルカノールアミド類;並びに、その他アセチレングリコール、POEアセチレングリコール、POEラノリン、POEラノリンアルコール、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POEフィトステロール、POEコレスタノール、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物などを挙げることができる。
これらの成分の配合量としては、特に制限はなく、用途に応じて適宜選択できる。
本発明の化粧料、洗浄剤は、上記成分の中でも、前述した理由から、特に、カチオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤から選択された少なくとも1種の界面活性剤を含むのが好ましい。この場合、式(1)で表される化合物と、カチオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤(カチオン界面活性剤とアニオン界面活性剤の両方を用いる場合はそれらの合計)との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=5/95〜90/10、好ましくは、10/90〜80/20、さらに好ましくは、15/85〜60/40である。
化粧料、洗浄剤の調製法としては、特に制限はなく、通常行われる方法を採用できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例1(ラウリルアミングリセリンの合成)
500mLの四つ口フラスコに、ラウリルアミン185g(1モル)を仕込み、フラスコ内を窒素ガスで置換した後、グリシドール74g(1モル)を10時間かけて、系内が70℃になるように温度調整しながら滴下し、滴下後さらに1時間熟成して反応を終了させ、反応生成物259gを得た。
反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、N−グリセリルラウリルアミン[前記式(3)において、R=ドデシル基、m=n=1である化合物]が172g、N,N−ジグリセリルラウリルアミン[前記式(3)において、R=ドデシル基、m=2、n=0である化合物]が56g生成していた。また、反応生成物中には、未反応のラウリルアミンが31g残存していた。
500mLの四つ口フラスコに、ラウリルアミン185g(1モル)を仕込み、フラスコ内を窒素ガスで置換した後、グリシドール74g(1モル)を10時間かけて、系内が70℃になるように温度調整しながら滴下し、滴下後さらに1時間熟成して反応を終了させ、反応生成物259gを得た。
反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、N−グリセリルラウリルアミン[前記式(3)において、R=ドデシル基、m=n=1である化合物]が172g、N,N−ジグリセリルラウリルアミン[前記式(3)において、R=ドデシル基、m=2、n=0である化合物]が56g生成していた。また、反応生成物中には、未反応のラウリルアミンが31g残存していた。
図1に、実施例1で得られた反応生成物の1H−NMRスペクトルを示す。1H−NMR測定条件は以下の通りである。
<1H−NMR測定条件>
装置 :BRUKER AVANCE 600
測定プローブ :5mmBBO-Probe
試料濃度 :121mg + 0.6ml DMSO-d6
測定温度 :25℃
パルス :zg45(90°パルス幅 10.2μs)
積算回数 :16回
<1H−NMR測定条件>
装置 :BRUKER AVANCE 600
測定プローブ :5mmBBO-Probe
試料濃度 :121mg + 0.6ml DMSO-d6
測定温度 :25℃
パルス :zg45(90°パルス幅 10.2μs)
積算回数 :16回
実施例2(ベタイン型化合物の合成)
500mLの四つ口フラスコに、実施例1で得られた反応生成物88g、蒸留水60g 、メタノール60gを入れ、70℃ に加熱し、これに80重量%クロロ酢酸ナトリウム水溶液49.8g(クロロ酢酸ナトリウム:0.34モル)を4時間かけて滴下した。その後、系内温度を80℃として、50時間熟成を行った。引き続き系内を80℃として、20時間かけてメタノールの除去を行い、反応生成物184gを得た。
反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、前記式(1)において、R=ドデシル基、m=n=1である化合物が72g、式(1)において、R=ドデシル基、m=2、n=0である化合物が23g、未反応のラウリルアミンがジカルボン酸化された化合物が13g生成していた。カールフィッシャー装置を用いて水分測定を行った結果、反応生成物には56gの水分が含有されており、さらに残りの20gは塩化ナトリウムが含有されているものと推算された。
500mLの四つ口フラスコに、実施例1で得られた反応生成物88g、蒸留水60g 、メタノール60gを入れ、70℃ に加熱し、これに80重量%クロロ酢酸ナトリウム水溶液49.8g(クロロ酢酸ナトリウム:0.34モル)を4時間かけて滴下した。その後、系内温度を80℃として、50時間熟成を行った。引き続き系内を80℃として、20時間かけてメタノールの除去を行い、反応生成物184gを得た。
反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、前記式(1)において、R=ドデシル基、m=n=1である化合物が72g、式(1)において、R=ドデシル基、m=2、n=0である化合物が23g、未反応のラウリルアミンがジカルボン酸化された化合物が13g生成していた。カールフィッシャー装置を用いて水分測定を行った結果、反応生成物には56gの水分が含有されており、さらに残りの20gは塩化ナトリウムが含有されているものと推算された。
図2に、実施例2で得られた反応生成物の1H−NMRスペクトルを示す。1H−NMR測定条件は以下の通りである。
<1H−NMR測定条件>
装置 :BRUKER AVANCE 600
測定プローブ :5mmBBO-Probe
試料濃度 :27mg + 0.6ml DMSO-d6 + TFA
測定温度 :333K(60℃)
パルス :zg45(90°パルス幅 10.2μs)
積算回数 :64回
<1H−NMR測定条件>
装置 :BRUKER AVANCE 600
測定プローブ :5mmBBO-Probe
試料濃度 :27mg + 0.6ml DMSO-d6 + TFA
測定温度 :333K(60℃)
パルス :zg45(90°パルス幅 10.2μs)
積算回数 :64回
実施例3
実施例2で得られた反応生成物とラウリル硫酸ナトリウム(アニオン界面活性剤)の混合物の臨界ミセル濃度(重量ppm;水溶液)を、自動表面張力測定機を用いて測定した。その結果を表1に示す。なお、実施例2で得られた反応生成物は、精製することなくそのまま使用した。表中、ベタイン型化合物とは、式(1)において、R=ドデシル基、m=n=1である化合物と、R=ドデシル基、m=2、n=0である化合物の総和を意味する。
実施例2で得られた反応生成物とラウリル硫酸ナトリウム(アニオン界面活性剤)の混合物の臨界ミセル濃度(重量ppm;水溶液)を、自動表面張力測定機を用いて測定した。その結果を表1に示す。なお、実施例2で得られた反応生成物は、精製することなくそのまま使用した。表中、ベタイン型化合物とは、式(1)において、R=ドデシル基、m=n=1である化合物と、R=ドデシル基、m=2、n=0である化合物の総和を意味する。
実施例4
実施例2で得られた反応生成物とラウリン酸カリウム(アニオン界面活性剤)の混合物の臨界ミセル濃度(重量ppm;水溶液)を、自動表面張力測定機を用いて測定した。その結果を表2に示す。なお、実施例2で得られた反応生成物は、精製することなくそのまま使用した。表中、ベタイン型化合物とは、式(1)において、R=ドデシル基、m=n=1である化合物と、R=ドデシル基、m=2、n=0である化合物の総和を意味する。
実施例2で得られた反応生成物とラウリン酸カリウム(アニオン界面活性剤)の混合物の臨界ミセル濃度(重量ppm;水溶液)を、自動表面張力測定機を用いて測定した。その結果を表2に示す。なお、実施例2で得られた反応生成物は、精製することなくそのまま使用した。表中、ベタイン型化合物とは、式(1)において、R=ドデシル基、m=n=1である化合物と、R=ドデシル基、m=2、n=0である化合物の総和を意味する。
実施例5
実施例2で得られた反応生成物と塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(カチオン界面活性剤)の混合物の臨界ミセル濃度(重量ppm;水溶液)を、自動表面張力測定機を用いて測定した。その結果を表3に示す。なお、実施例2で得られた反応生成物は、精製することなくそのまま使用した。表中、ベタイン型化合物とは、式(1)において、R=ドデシル基、m=n=1である化合物と、R=ドデシル基、m=2、n=0である化合物の総和を意味する。
実施例2で得られた反応生成物と塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(カチオン界面活性剤)の混合物の臨界ミセル濃度(重量ppm;水溶液)を、自動表面張力測定機を用いて測定した。その結果を表3に示す。なお、実施例2で得られた反応生成物は、精製することなくそのまま使用した。表中、ベタイン型化合物とは、式(1)において、R=ドデシル基、m=n=1である化合物と、R=ドデシル基、m=2、n=0である化合物の総和を意味する。
表1〜3に示されるように、本発明のベタイン型化合物とアニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤とを併用する場合、等モル量付近であっても、界面活性剤の水溶性が損なわれず、系中で水に溶解可能な塩を形成することにより、界面活性剤の臨界ミセル濃度を著しく低下させることができる。
Claims (9)
- 請求項1記載のベタイン型化合物を含む界面活性剤組成物。
- 式(1)においてm=1で且つn=1である化合物、及びm=2で且つn=0である化合物の両化合物を含む請求項3記載の界面活性剤組成物。
- 式(1)で表される化合物の含有量が50重量%以上である請求項3又は4記載の界面活性剤組成物。
- 式(1)で表される化合物に加え、さらにアニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤から選択された少なくとも1種の界面活性剤を含む請求項3〜5の何れかの項に記載の界面活性剤組成物。
- 式(1)で表される化合物とアニオン界面活性剤及び/又はカチオン界面活性剤との割合が、前者/後者(モル比)=5/95〜90/10の範囲である請求項6記載の界面活性剤組成物。
- 請求項1記載のベタイン型化合物を含む化粧料。
- 請求項1記載のベタイン型化合物を含む洗浄剤。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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PL148063B1 (en) * | 1986-11-18 | 1989-09-30 | Method of obtaining novel n-alkyl-n,n-di/propano-2,5-diolo/n-acetates and n-alky-n,n-dipoly/3-oxy-2-propanol/-n-acetates | |
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-
2010
- 2010-11-09 JP JP2010251207A patent/JP2012102039A/ja active Pending
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