JP2012097673A - 発電装置および発電方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】風を効率よく利用して安定な電力を供給でき、かつ省スペースな風力発電技術を提供する。
【解決手段】ハーモニカ、アコーディオン等で用いられるフリーリード(自由簧)の原理を利用する。発電装置1は、窓12が形成されたプレート15と、一方の端部131がプレート15に固定され、風を受けて他方の端部132が窓枠12内を出入りするリード13と、リード13に固着された圧電素子14と、を有する。風を受けて振動するリード13に固定された圧電素子14で、この振動エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発電技術に関し、特に圧電素子を用いた風力発電技術に関する。
近年、二酸化炭素削減等の観点より、自然環境からエネルギーを取り出すエネルギーハーベスト(環境発電)が注目されている。エネルギーハーベストの一つに、例えば、風力から電力を取り出す風力発電がある。風車を利用して風力から電力を取り出す発電装置等の風力発電装置は、一般に、構造が複雑かつ部品点数も多く、またメンテナンス要素も多い。
そこで、構造が比較的簡単であり、かつメンテナンスが容易な風力発電装置として、以下のような、圧電素子を利用して風力から電力を取り出す発電装置が提案されている。
特許文献1には、圧電素子を保持する振動板の端部に渦発生部材が設けられた発電装置が開示されている。この発電装置は、風を受けた際に、渦発生部材により渦を発生させて振動板の端部を自由端として振動板を屈曲振動させ、その振動エネルギーを圧電素子で電気エネルギーに変換する。
また、特許文献2には、圧電素子を保持する振動板の先端に吹き流し部材が取り付けられた発電装置が開示されている。この発電装置は、風を受けた際に、吹き流し部材が吹き流され、これにより振動板の先端を自由端とする振動板の屈曲振動が助勢され、その振動エネルギーを圧電素子で電気エネルギーに変換する。
特開平11−303726号公報 特開2009−24583号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発電装置は、振動板の端部に渦発生部材を設ける必要がある。また、振動板を効率よく振動させるためには、カルマン渦を発生させる必要がある。つまり、カルマン渦の発生条件を満たす風を受けた場合にしか、振動板を効率よく振動させることができず、風の利用効率が悪い。さらに、振動板の後方にカルマン渦のためのスペースが必要になる。
また、特許文献2に記載の発電装置は、振動板の先端に、風を受けて吹き流れる吹き流し部材を設ける必要がある。また、この吹き流し部材のために、この発電装置には広い設置スペースが必要である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、風を効率よく利用して安定な電力を供給でき、かつ省スペースな風力発電技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、ハーモニカ、アコーディオン等で用いられるフリーリード(自由簧)の原理を利用する。そして、風を受けて振動するリードに固着された圧電素子で、この振動エネルギーを電気エネルギーに変換する。
例えば、本発明は、風力を利用して発電する発電装置であって、
窓が形成されたプレートと、
一方の端部が前記プレートに固定され、前記風力により振動して、他方の端部が前記窓内を出入するリードと、
前記リードに固着された圧電素子と、を有する。
ここで、前記プレートには、一対の前記窓が並列して形成されており、
前記リードは、前記一対の窓に対応して配置された一対のリード部と、前記リード部各々の一方の端部を連結するアーム部と、前記アーム部に設けられ、前記プレートに固定された取付部と、を有し、前記風力により振動して、前記リード部各々の他方の端部が前記窓内を出入りする音叉型リードであり、
前記圧電素子は、前記音叉型リードの前記リード部各々に固着されているものでもよい。
本発明によれば、風を効率よく利用して安定な電力を供給でき、かつ省スペースな風力発電技術を提供することができる。
図1(A)は、本発明の第一実施の形態に係る発電装置1の概略正面図であり、図1(B)は、図1(A)に示す発電装置1のA−A断面図であり、図1(C)は図1(A)に示す発電装置1のB−B断面図である。 図2(A)は、本発明の第二実施の形態に係る発電装置2の概略正面図であり、図2(B)は、図2(A)に示す発電装置2のA−A断面図であり、図2(C)は図2(A)に示す発電装置2のB−B断面図である。 図3(A)および図3(B)は、本発明の第二実施の形態に係る発電装置2の配線例を説明するための図である。 図4(A)は、音叉型リード23の形状を説明するための図であり、図4(B)は、図4(A)に示す音叉型リード23の振動形態を説明するための図である。 図5(A)は、音叉型リード23Aの形状を説明するための図であり、図5(B)は、図5(A)に示す音叉型リード23Aの振動形態を説明するための図である。 図6(A)は、本発明の第三実施の形態に係る発電装置3の概略正面図であり、図6(B)は、図6(A)に示す発電装置3のA−A断面図であり、図6(C)は図6(A)に示す発電装置3の右側面図である。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
<第一実施の形態>
図1(A)は、本発明の第一実施の形態に係る発電装置1の概略正面図であり、図1(B)は、図1(A)に示す発電装置1のA−A断面図、図1(C)は、図1(A)に示す発電装置1のB−B断面図である。
図示するように、発電装置1は、ベース11と、圧電素子14が固着されたリード13と、を有する。
ベース11は、中空構造を有し、その一面は、矩形の窓12を有するプレート15により形成されている。窓12のサイズは、図1(A)に示すように、窓12に面したリード13よりも一回り大きく、窓12の縁部とリード13との間には、気体Fが通過するわずかな隙間が形成されている。また、ベース11の一方の端部(窓12の長手方向に垂直な側面)には開口部111が形成されている。このため、ベース11は、窓12から侵入した気体Fを開口部111へ導くダクトとしての機能を有する。ただし、ベース11は、窓12が形成されたプレート15を有するものであればよく、ダクトとしての機能はなくてもよい。
リード13は、板厚方向に屈曲振動可能な可撓性を有している。例えば、リード13は、FRP(Fiber Reinforced Plastics)等で形成されたフレキシブルプリント基板であり、圧電素子14の出力端子(不図示)を有する。このリード13の一方の端部131は、窓12に対して開口部111側の位置でプレート15の上面(ベース11の外面)に固定され、他方の端部132は、窓12を自由に出入りできるように窓12に面して位置付けられている。
また、図1(B)に示すように、リード13は、端部132が窓12の外側(気体Fが流れ込んでくる側)に位置するように、プレート15の上面に対してわずかに傾斜している(上がっている)。ここで、振動していない状態におけるリード13の端部132から窓12(プレート15の上面)までの距離tは、利用する風の強さに応じて設定されていることが好ましい。例えば、風力が弱いときでもリード13を振動させるために、距離tをリード13の端部132の板厚程度にしてもよく、あるいは、風力が強いときに大きなエネルギーを取り出すために、距離tを大きくしてもよい。また、リード13は、振動していない状態において、途中で窓12内に潜らないように湾曲していることが好ましい。
圧電素子14は、バイモルフ圧電素子であり、図1(B)、(C)に示すように、リード13の表裏両面に固着されている。ただし、圧電素子14は、リード13の表面および裏面の一方に固着されたユニモルフ圧電素子でもよい。
以上のような構成において、プレート15およびリード13は、ハーモニカ、アコーディオン等で用いられるフリーリード(自由簧)と同様な機能を有する。本実施の形態の発電装置1は、以下に示すように、このフリーリードの原理を利用して、風力から電力を取り出す。
すなわち、図1(B)、(C)に示すように、リード13の上面(ベース11の外面)に気体Fが当たると、窓12の縁部とリード13との隙間から窓12内に気体Fが流れ込む。このとき、窓12内を流れる気体Fの流速が、リード13の上面側を流れる気体Fの流速よりも速くなって、窓12内の気圧が下がり、リード13の上面側と窓12内との間に圧力差が生じる。このため、リード13が、窓12の内側に吸い寄せられ、下方へ屈曲する。これにより、リード13の上面側と窓12内との間の圧力差が解消され、リード13はその弾性により元の状態に戻る。以上の動作を繰り返すことにより、リード13がその固有振動数と略同じ振動数で上下(リード13の板厚方向)に屈曲振動する。そして、圧電素子14は、リード13に加えられた振動エネルギーを電気エネルギーに変換して出力する。
なお、本発明者等は、風の向きに対して、開口部111を風下側にしてリード13上面に風を斜めに当てたときに、最も効率よく風力から電力を取り出せることを見いだした。
以上、本発明の第一実施の形態を説明した。
本実施の形態の発電装置1は、ハーモニカ、アコーディオン等で用いられるフリーリードの原理を利用することにより、風力の強弱によらずリード13をその固有振動数と略同じ振動数で振動させ、この振動エネルギーを、リード13に固着された圧電素子14で電気エネルギーに変換する。したがって、本実施の形態によれば、風を効率よく利用して、周波数の安定した電力を供給することができる。
また、渦発生部材、吹き流し部材等を取りつけなくてもリード13を振動させることができるので、省スペースな風力発電を実現できる。
なお、本実施の形態では、図1(B)、(C)に示すように、気体Fが、リード13の上面側(ベース11の外部側)から、窓12の縁部とリード13との隙間を介してベース11の内部に流れ込み、開口部111から排出される場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。気体Fが開口部111からベース11の内部に流れ込むようにしてもよい。
この場合、プレート15を裏返して、リード13をベース11の内部に配置すればよい。開口部111からベース11の内部に流れ込んだ気体Fは、リード13の上面に当たると、窓12の縁部とリード13との隙間から窓12内に流れ込んでベース11の外部に排出される。このとき、窓12内を流れる気体Fの流速が、リード13の上面側を流れる気体Fの流速よりも速くなって、窓12内の気圧が下がり、リード13の上面側(ベース11の内部)と窓12内との間に圧力差が生じる。このため、本実施の形態と同様に、リード13がその固有振動数と略同じ振動数で上下(リード13の板厚方向)に屈曲振動する。
<第二実施の形態>
図2(A)は、本発明の第二実施の形態に係る発電装置2の概略正面図であり、図2(B)は、図2(A)に示す発電装置2のA−A断面図、図2(C)は、図2(A)に示す発電装置2のB−B断面図である。
図示するように、発電装置2は、ベース21と、圧電素子24A、24Bが固着された音叉型リード23と、を有する。
ベース21は、中空構造を有し、その一面は、並列された一対の矩形の窓22A、22Bを有するプレート25により形成されている。各窓22A、22Bのサイズは、図2(A)に示すように、窓22A、22Bに面した音叉型リード23(後述のリード部231A、231B)よりも一回り大きく、窓12の縁部と音叉型リード23との間には、気体Fが通過するわずかな隙間が形成されている。また、ベース21の一方の端部(窓22A、22Bの長手方向に垂直な側面)に開口部211が形成されている。このため、ベース21は、窓22A、22Bから侵入した空気Fを開口部211へ導くダクトとしての機能を有する。ただし、ベース21は、窓22A、22Bが形成されたプレート25を有するものであればよく、ダクトとしての機能はなくてもよい。
音叉型リード23は、窓22A、22Bに対応するように並列された一対のリード部231A、231Bと、リード部231A、231Bを互いに連結するアーム部232と、アーム部232の中央部分に対して、リード部231A、231Bが設けられている側とは反対側に設けられた取付部235と、を有する。
取付部235は、窓22A、22Bに対して開口部211側の位置でプレート21の上面(ベース21の外面)に固定されている。
リード部231A、231Bは、それぞれ、板厚方向に屈曲振動可能な可撓性を有している。例えば、リード部231A、231Bは、FRP等で形成された同様なフレキシブルプリント基板であり、自身に固着された圧電素子24A、24Bの出力端子(図3の241、242)を有する。両リード部231A、231Bの一方の端部233A、233Bはアーム部232に固定され、他方の端部234A、234Bは、対応する窓22A、22Bを自由に出入りできるように、窓22A、22Bに面して位置付けられている。
また、リード部231A、231Bは、図2(B)に示すように、端部234A、234Bが窓22A、22Bの外側(気体Fが流れ込んでくる側)に位置するように、プレート21の上面に対してわずかに傾斜している(上がっている)。例えば、振動していない状態におけるリード部231A、231Bの端部234A、234Bから窓22A、22B(プレート25の上面)までの距離tは、利用する風の強さに応じて設定されていることが好ましい。例えば、風力が弱いときでもリード部231A、231Bを振動させるために、距離tをリード部231A、231Bの端部234A、234Bの板厚程度にしてもよく、あるいは、風力が強いときに大きなエネルギーを取り出すために、距離tを大きくしてもよい。また、リード部231A、231Bは、振動していない状態において、途中で窓12内に潜らないように湾曲していることが好ましい。
また、リード部231A、231Bは、同一の固有振動数を有しており、これらの端部233A、233Bがアーム部232で互いに連結されることにより、音叉型リード23は、この固有振動数と略同じ振動数で共振し、リード部231A、231Bは、互いに逆位相で上下に屈曲振動する。なお、リード部231A、231B間の距離dは、音叉型リード23の固有振動波の波長より十分に短くされていることが好ましい。
圧電素子24A、24Bは、同様な電気的特性を有するバイモルフ圧電素子であり、図2(B)、(C)に示すように、対応するリード部231A、231Bの表裏両面に固着されている。ただし、圧電素子24A、24Bは、対応するリード部231A、231Bの表面および裏面の一方に固着された、同様な電気的特性を有するユニモルフ圧電素子でもよい。
以上のような構成において、本実施の形態の発電装置2は、第一実施の形態の発電装置1と同様、以下に示すように、フリーリードの原理を利用して、風力から電力を取り出す。
すなわち、図2(B)、(C)に示すように、音叉型リード23の上面(ベース11の外面)に気体Fが当たると、窓22Aとリード部231Aとの隙間、および窓22Bとリード部231Bとの隙間から窓22A、22B内に気体Fが流れ込む。
このとき、窓22A内を流れる気体Fの流速がリード部231Aの上面側を流れる気体Fの流速より速くなって、窓22A内の気圧が下がり、リード部231Aの上面側と窓22A内との間に圧力差が生じる。このため、リード部231Aが窓22A内に吸い寄せられ、下方へ屈曲する。これにより、リード部231Aの上面側と窓22A内との間の圧力差が解消され、リード部231Aはその弾性により元の状態に戻る。
同様に、窓22B内を流れる気体Fの流速がリード部231Bの上面側を流れる気体Fの流速より速くなって、窓22B内の気圧が下がり、リード部231Bの上面側と窓22B内との間に圧力差が生じる。このため、リード部231Bが窓22B内に吸い寄せられ、下方へ屈曲する。これにより、リード部231Bの上面側と窓22B内との間の圧力差が解消され、リード部231Bはその弾性により元の状態に戻る。
以上の動作を繰り返すことにより、音叉型リード23は共振し、リード部231A、231Bが、その固有振動数と略同一の振動数で、互いに逆位相で上下に屈曲振動する。圧電素子24A、24Bは、対応するリード部231A、231Bに加えられた振動エネルギーを電気エネルギーに変換して出力する。
なお、本発明者等は、風の向きに対して、開口部211を風下側にして音叉型リード23上面に風を斜めに当てたときに、最も効率よく風力から電力を取り出せることを見いだした。
ここで、リード部231A、231Bは互いに逆位相で振動するので、同様な電気的特性を有する圧電素子24A、24Bの出力波形も互いに逆位相となる。このため、圧電素子24A、24B間を配線接続するだけで、圧電素子24A、24Bのいずれか一方の出力波形の位相を反転させて、両者の位相を揃えることができ、交流のまま両者を加算することができる。
例えば、図3(A)に示すように、圧電素子24Aの第一端子241と圧電素子24Bの第二端子242とを接続するとともに、圧電素子24Aの第二端子242と圧電素子24Bの第一端子241とを接続して、圧電素子24Bを逆にして圧電素子24Aに並列接続させることにより、圧電素子単体の場合に比べて、負荷25に、より大きな電流を供給できる。
また、図3(B)に示すように、圧電素子24Aの第二端子242と圧電素子24Bの第二端子242とを接続して、圧電素子24Bを逆にして圧電素子24Aに直列接続し、圧電素子24Aの第一端子241と圧電素子24Bの第二端子242とを負荷25に接続することにより、圧電素子単体の場合に比べて、負荷25に、より大きな電圧を印加できる。
以上、本発明の第二実施の形態を説明した。
本実施の形態の発電装置2は、上述した第一実施の形態の発電装置1が有する効果に加えて、つぎの効果を有する。すなわち、音叉型リード23を用いて共振させることにより、音叉型リード23の振動に際しての重心移動が少なくなってより振動しやすくなり、かつ振動が継続するようになる。また、リード部231A、231B間の距離dが音叉型リード23の固有振動の波長より十分に短くされている場合、共振時にリード部231A、231Bが互いに逆位相で振動するため、リード部231A、231Bの屈曲によって生じる振動波が正帰還し、互いに他のリード部231B、231Aの屈曲を付勢する。これにより、音叉型リード33の振動が増幅する。したがって、第一実施の形態の発電装置1に比べ、同じ風力で、より大きな電力を継続して安定的に取り出すことができる。
また、本実施の形態の発電装置2は、共振時に互いに逆位相で振動するリード部231A、231Bに、同じ電気的特性を有する圧電素子24A、24Bを固着させ、圧電素子24A、24Bのいずれか一方の出力波形の位相を反転させて、両者を直列接続または並列接続している。このように、交流のまま両者の電流または電圧を加算することにより、圧電素子24A、24Bそれぞれの出力を整流してから加算する場合に比べて、部品点数を少なくすることができ、また電力ロスが低減する。
なお、本実施の形態では、並列された一対の窓22A、22Bが形成された一枚のプレート25に音叉型リード23を固定しているが、本発明はこれに限定されない。音叉型リード23のリード部231A、231B毎にプレートを設けてもよい。例えば、第一実施の形態の発電装置1に用いたベース11を二台用意し、これらのベース11のプレート15に音叉型リード23を固定して、リード部231A、231Bが、対応するプレート15の窓12内を自由の出入りできるようにしてもよい。
また、本実施の形態では、図4(A)に示すように、リード部231A、231Bの表面(裏面)が同一平面上に位置する音叉型リード23を用いているが、本発明はこれに限定されない。例えば、図5(A)に示すように、リード部231A、231Bの表面(裏面)が対向する音叉型リード23Aを用いてもよい。リード部231A、231Bが共振時に互いに逆位相で振動するため、図4(A)に示す音叉型リード23では、図4(B)に示すように、軸φ周りの回転モーメントが発生するが、図5(A)に示す音叉型リード23Aでは、図5(B)に示すように、軸φ周りの回転モーメントが発生しない。このため、図5(A)に示す音叉型リード23Aによれば、ベースをより小さくできるなどの利点を有する。ただし、リード部231A、231Bに当てる風の誘導に工夫が必要である。
また、本実施の形態では、図2(B)、(C)に示すように、気体Fが、リード部231A、231Bの上面側(ベース21の外部側)から、窓22A、22Bの縁部とリード部231A、231Bとの隙間を介してベース21の内部に流れ込み、開口部211から排出される場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。気体Fが開口部211からベース21の内部に流れ込むようにしてもよい。
この場合、プレート25を裏返して、音叉型リード23をベース21の内部に配置すればよい。開口部211からベース21の内部に流れ込んだ気体Fは、リード部231A、231Bの上面に当たると、窓22A、22Bの縁部とリード部231A、231Bとの隙間から窓22A、22B内に流れ込んでベース21の外部に排出される。このとき、窓22A、22B内を流れる気体Fの流速が、リード部231A、231Bの上面側(ベース21の内部)を流れる気体Fの流速よりも速くなって、窓22A、22B内の気圧が下がり、リード部231A、231Bの上面側(ベース21の内部)と窓22A、22B内との間に圧力差が生じる。このため、本実施の形態と同様に、音叉型リード23は共振し、リード部231A、231Bが、その固有振動数と略同一の振動数で、互いに逆位相で上下に屈曲振動する。
<第三実施の形態>
図6(A)は、本発明の第三実施の形態に係る発電装置3の概略正面図であり、図6(B)は、図6(A)に示す発電装置3のA−A断面図であり、図6(C)は図6(A)に示す発電装置3の右側面図である。
図示するように、発電装置3は、並列された一対の共鳴管30A、30Bと、圧電素子34A、34Bが固着された音叉型リード33と、を有する。
共鳴管30A、30Bは、一方の端部のみに開口部301A、301Bが形成された閉管であり、隙間を介して開口部301A、301Bが対向するように配置され、その結果、全体として、U字形状をなしている。共鳴管30A、30Bの他方の端部(閉口端)側の上面には、音叉型リード33を搭載するためのプレート部31A、31Bが形成されている。
プレート部31A、31Bは、図6(B)に示すように、共鳴管30A、30Bの閉口端へ向けて下方に傾斜しており、音叉型リード33の端部334A、334Bとの間に隙間を形成する。ここで、振動していない状態における音叉型リード33の端部334A、334B(後述するリード部331A、331Bの端部334A、334B)からプレート部31A、31Bの上面(気体Fが流れ込んでくる側の面)までの距離tは、利用する風の強さ応じて設定されていることが好ましい。例えば、風力が弱いときでも音叉型リード33を振動させるために、距離tを音叉型リード33の端部334A、334Bの板厚程度にしてもよく、あるいは、風力が強いときに大きなエネルギーを取り出すために、距離tを大きくしてもよい。また、プレート部31A、31Bには、それぞれが互いに平行となるように矩形の窓32A、32Bが形成されている。窓32A、32Bのサイズは、図6(A)に示すように、窓32A、32Bに面した音叉型リード33(後述するリード部331A、331B)に対して一回り大きく、窓32A、32Bの縁と音叉型リード33との間には、気体が通過するわずかな隙間が形成されている。
また、共鳴管30A、30Bは、音叉型リード33の共振振動数で共鳴し、この共鳴波を音叉型リード33に正帰還させる長さ(例えば、音叉型リード33の共振振動波形の1/4波長の長さ、共鳴管30A、30B全体として、音叉型リード33の共振振動波形の1/2波長の長さのU字形状)を有する。
音叉型リード33は、窓32A、32Bに対応するように並列された一対のリード部331A、331Bと、リード部331A、331Bを互いに連結するアーム部332と、アーム部332の中央部分に対して、リード部331A、331Bが設けられている側とは反対側に設けられた取付部335と、を有する。
取付部335は、窓32A、32Bに対して開口部301A、301B側の位置でプレート部31A、31Bの上面に固定されている。
リード部331A、331Bは、それぞれ、板厚方向に屈曲振動可能な可撓性を有している。例えば、リード部331A、331Bは、FRP等で形成されたフレキシブルプリント基板であり、自身に固着された圧電素子34A、34Bの出力端子(不図示)を有する。両リード部231A、231Bの一方の端部333A、333Bは、アーム部332に固定され、他方の端部334A、334Bは、対応する窓32A、32Bを自由に出入りできるように、窓32A、32Bに面して位置付けられている。
また、リード部331A、331Bは、同一の固有振動数を有しており、これらの端部333A、333Bがアーム部332で互いに連結されることにより、音叉型リード33は、この固有振動数と略同一の振動数で共振し、リード部231A、231Bは、互いに逆位相で上下に屈曲振動する。
以上のような構成において、本実施の形態の発電装置3は、第一、第二実施の形態の発電装置1、2と同様、以下に示すように、フリーリードの原理を利用して、風力から電力を取り出す。
すなわち、リード部331A、331Bの上面(窓32A、32Bに対向する側の面と反対側の面)に気体を当てると、窓32Aの縁部とリード部331Aとの隙間、および窓32Bの縁部とリード部331Bとの隙間から、共鳴管30A、30B内に気体が流れ込む。
このとき、窓32A内を流れる気体の流速が、リード部331Aの上面側を流れる気体の流速より速くなって、窓32A内の気圧が下がり、リード部331Aの上面側と窓32A内との間に圧力差が生じる。このため、リード部331Aが、窓32A内に吸い寄せられ、下方へ屈曲する。これにより、リード部331Aの上面側と窓32A内との間の圧力差が解消され、リード部331Aはその弾性により元の状態に戻る。
同様に、窓32B内を流れる気体の流速が、リード部331B上方を流れる気体の流速より速くなって、窓32B内の気圧が下がり、リード部331Bの上面側と窓32B内との間に圧力差が生じる。このため、リード部331Bが、窓32B内に吸い寄せられ、下方へ屈曲する。これにより、リード部331Bの上面側と窓32B内との間の圧力差が解消され、リード部331Bはその弾性により元の状態に戻る。
以上の動作を繰り返すことにより、音叉型リード33は共振し、リード部331A、331Bが、その固有振動数と略同一の振動数で、互いに逆位相で上下に屈曲振動する。また、共鳴管30A、30Bは、音叉型リード33の共振振動数で共鳴し、この共鳴波を音叉型リード33に正帰還させることができる長さ(例えば音叉型リード33の共振振動波形の1/4波長の長さ)を有するので、音叉型リード33の一方のリード部331A、331Bの振動波形が、1/2波長(位相180度)遅れで他方のリード部331B、331Aに伝わり、共振時に互いに逆位相で振動するリード部331A、331Bに正帰還として働いて、音叉型リード33の共振振動波形を増幅させる。
圧電素子34A、34Bは、対応するリード部331A、331Bに加えられた振動エネルギーを電気エネルギーに変換して出力する。
なお、本発明者等は、風の向きに対して、開口部301A、301Bを風下側にして、音叉型リード33に風を斜めに当てたときに、最も効率よく風力から電力を取り出せることを見いだした。
以上、本発明の第三実施の形態を説明した。
本実施の形態の発電装置3は、上述した第一、第二実施の形態の発電装置1、2が有する効果に加えて、つぎの効果を有する。すなわち、共鳴管30A、30Bを介して、一方のリード部331A、331Bの振動波形を他方のリード部331B、331Aの振動波形に正帰還させることができるので、第一、第二実施の形態の発電装置1、2に比べ、リード部331A、331Bの振動が減衰しにくく、同じ風力で、より大きな電力を継続して安定的に取り出すことができる。
なお、本実施の形態において、共鳴管30A、30Bのそれぞれに、スライドして長さを調節する長さ調節機構302A、302Bを設けてもよい。このようにすることで、様々な共振振動数の音叉型リード33に対応することが可能となる。また、共鳴管30A、30Bの一部を屈曲可能に構成し、共鳴管30A、30Bの間に、アーム部332を固定するとともに、共鳴管30A、30Bの閉口端部側の傾斜及び位置を調整可能に保持する台を設けることによって、プレート部31A、31Bに対するリード部331A、331Bの傾斜、および、窓31A、31Bの縁部とリード部331A、331Bとの隙間を調整可能としてもよい。
また、本実施の形態においても、第二実施の形態と同様に、音叉型リード33を、リード部331A、331Bの表面(裏面)が互いに対向するように形成してもよい。
1:発電装置、2:発電装置、3:発電装置、11:ベース、12:窓、13:リード、14:圧電素子、15:プレート、21:ベース、22A、22B:窓、23:音叉型リード、23A:音叉型リード、24A、24B:圧電素子、25:プレート、30A、30B:共鳴管、31A、31B:プレート部、32A、32B:窓、33:音叉型リード、34A、34B:圧電素子、111:開口部、131:端部、132:端部、211:開口部、231A、231B:リード部、232:アーム部、233A、233B:端部、234A、234B:端部、235:取付部、301A、301B:開口部、302A、302B:スライド部、331A、331B:リード部、332:アーム部、333A、333B:端部、334A、334B:端部、335:取付部

Claims (6)

  1. 風力を利用して発電する発電装置であって、
    窓が形成されたプレートと、
    一方の端部が前記プレートに固定され、前記風力により振動して、他方の端部が前記窓内を出入りするリードと、
    前記リードに固着された圧電素子と、を有する
    ことを特徴とする発電装置。
  2. 請求項1に記載の発電装置であって、
    前記プレートには、一対の前記窓が並列して形成されており
    前記リードは、前記一対の窓に対応して配置された一対のリード部と、前記リード部各々の一方の端部を連結するアーム部と、前記アーム部に設けられ、前記プレートに固定された取付部と、を有し、前記風力により振動して、前記リード部各々の他方の端部が、対応する前記窓内を出入りする音叉型リードであり、
    前記圧電素子は、
    前記音叉型リードの前記リード部各々に固着されている
    ことを特徴とする発電装置。
  3. 請求項2に記載の発電装置であって、
    前記一対の窓に対応するように配列された一対の共鳴管をさらに有し、
    前記共鳴管は、
    閉口端側の側面に、当該共鳴管に対応する前記窓を含む前記プレート部が形成され、かつ開口端が隙間を介して他方の前記共鳴管の開口端と対向する
    ことを特徴とする発電装置。
  4. 請求項3に記載の発電装置であって、
    前記一対の共鳴管は、
    当該一対の共鳴管を介して、一方の前記リード部の振動波形を他方の前記リード部の振動波形に正帰還させる長さを有する
    ことを特徴とする発電装置。
  5. 請求項2ないし4のいずれか一項に記載の発電装置であって、
    前記音叉型リードの前記リード部各々に固着されている一対の前記圧電素子は、
    一方の出力波形の位相を反転させるように直列もしくは並列に接続されている
    ことを特徴とする発電装置。
  6. 風力を利用して発電する発電方法であって、
    前記風力により振動するフリーリードのリード部に固着された圧電素子により、当該リード部の振動エネルギーを電気エネルギーに変換する
    ことを特徴とする発電方法。
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