JP2012093977A - 画像処理装置及び方法、並びにプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空領域特定部42は、原画像のデータについて、空の像を含む領域を空領域として特定する。空画像生成部43は、空領域の基本となる基本色を設定し、空領域の各画素が示す空の高度をそれぞれ求め、基本色及び高度に基づいて、空領域の各画素が示す空の色をそれぞれ変換するための補正情報として、空画像のデータを生成する。合成部44は、原画像のデータと、空画像生成部43により補正情報として生成された画像のデータとを合成することによって、原画像のデータに対して、空領域の色が補正後の色に変換された合成画像のデータを生成する。
【選択図】図2
Description
一方、ユーザがカメラを用いて撮像画像を撮像する、といった撮像技術の分野も存在する。このような撮像技術の分野でも、デジタルカメラの登場により、撮像画像の表示が可能になり、さらに近年では、画像処理が施された撮像画像を表示することも可能になっている。
一方で、表示技術の分野においては、表示対象の画像は、ユーザとは別の他人が創造した画像であることが多い。そして、このような他人が創造した画像を鑑賞したり確認する行為が、ユーザの主要な行為となる。即ち、表示技術の分野とは、撮像行為等の能動的行為よりも、一方的に提示された画像をユーザが鑑賞又は確認するという受動的な行為が主要な行為であるとして、発達してきた分野である。
よって、表示技術の分野の技術、例えば特許文献1乃至4に記載の技術をそのまま撮像技術の分野に適用しても、ユーザの撮像行為の目的に合致した画像処理を撮像画像のデータに施すことは困難である。
ここで、同一の所定場所であっても、時が違えば、空の状態は異なる。例えば、一日の間であっても異なる時刻では、具体的には例えば明け方と夕暮れとでは、空の状態、特に空の色は大きく異なる。
そこで、ユーザは、その撮像行為の目的を達成すべく、所定場所まで赴き、空が所望の状態になっていると想定される時刻になるまで待機して、空の景観の画像を撮像する。
しかしながら、この場合に得られる撮像画像は、必ずしも所望の状態の空が写っている画像、即ち撮像行為の目的が達成されている画像とは限らない。
例えば、連続する2日間の其々の同一時刻であっても、2日間の天気が異なれば、具体的には例えば前の日が快晴であったのに対して次の日が曇りや雨であったならば、空の状態、特に空の色は大きく異なる。さらに、たとえ2日間で天気が変化しなくても、例えば晴れが続いたとしても、其々の同一時刻における各種条件、例えば、気圧、温度、湿度、水蒸気、塵、エアロゾル等が異なってくるため、空の状態、特に空の色も異なってくる。
さらにまた、例えば、同日同時刻であっても、異なる場所では、具体的には例えばユーザの居所と、そこから遠隔の所定場所(撮像場所)とでは、気候、水蒸気、塵、煤煙等の各種条件が異なってくるために、空の状態、特に空の色も異なってくる。
そこで、デジタルカメラが、撮像画像のデータに対して画像処理を施して、撮像行為の目的が達成された画像のデータに変換することが要求される。
即ち、特許文献1乃至4に記載の技術とは、時間変化や天候変化に応じて、表示する絵柄や画像を自動的に選択して表示する第1技術か、或いは、色や輝度等の表示用調整データを予め設定しておき、現在の季節、日時、天候等に応じて画像全体を補正する第2技術である。
前者の第1技術では、選択して表示する絵柄や画像は予め用意しておく必要があるところ、所定場所から見える景観の画像を予め用意しておくことは現実的でない。後者の第2の技術では、空の色だけでなく、画像全体の色や輝度が一律に補正されてしまうため、不自然で現実味に欠ける補正しかできない。
しかしながら、これらのシミュレーションソフトウェアにより得られる画像は、実世界を撮像した結果得られる撮像画像(写真画像)と比較すると、仮想的かつ人工的な画像であることが明らかであり、不自然で現実味に欠けるものであった。
さらにまた、これらのシミュレーションソフトウェアは、そもそも設計データや3次元形状モデル等実世界とは別なものに基づいて、シミュレーション描画することが前提とされている。このため、これらのシミュレーションソフトウェアを、実世界の景観等を撮像した結果得られる撮像画像の加工用としてそのまま適用することは非常に困難である。
空の像を含む原画像のデータを取得する原画像取得手段と、
前記原画像取得手段により取得された前記原画像のデータについて、前記空の像を含む領域を空領域として特定する空領域特定手段と、
前記空領域特定手段により特定された前記空領域の基本となる色を、基本色として設定し、前記空領域の各部分における空の高度をそれぞれ求め、前記基本色及び前記高度に基づいて、前記空領域の前記各部分における空の状態をそれぞれ変換するための補正情報を生成する補正情報生成手段と、
前記原画像取得手段により取得された前記原画像のデータを、前記補正情報生成手段により生成された前記補正情報に基づいて補正することによって、状態が変換した空の像を含む画像のデータを生成する補正手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
図1は、本発明の画像処理装置の第1実施形態としての撮像装置1のハードウェアの構成を示すブロック図である。撮像装置1は、例えばデジタルカメラにより構成することができる。
RAM13にはまた、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
フォーカスレンズは、イメージセンサの受光面に被写体像を結像させるレンズである。ズームレンズは、焦点距離を一定の範囲で自在に変化させるレンズである。
光学レンズ部にはまた、必要に応じて、焦点、露出、ホワイトバランス等の設定パラメータを調整する周辺回路が設けられる。
光電変換素子は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の光電変換素子等から構成される。光電変換素子には、光学レンズ部から被写体像が入射される。そこで、光電変換素子は、一定時間毎に被写体像を光電変換(撮像)して画像信号を蓄積し、蓄積した画像信号をアナログ信号としてAFEに順次供給する。
AFEは、このアナログの画像信号に対して、A/D(Analog/Digital)変換処理等の各種信号処理を実行する。各種信号処理によって、ディジタル信号が生成され、撮像部17の出力信号として出力される。
なお、以下、撮像部17の出力信号を、「撮像画像のデータ」と呼ぶ。従って、撮像部17からは撮像画像のデータが出力されて、CPU11等に適宜供給される。
表示部19は、液晶ディスプレイ等で構成され、各種画像を表示する。
記憶部20は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、撮像部17から出力された撮像画像のデータを一時記憶する。また、記憶部20は、各種画像処理に必要な各種データ、例えば、画像のデータ、各種フラグの値、閾値等も記憶する。
通信部21は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(図示せず)との間で行う通信を制御する。
ここで、画像合成処理とは、空の像を含む原画像のデータと、空画像のデータとを合成するまでの一連の処理をいう。空画像とは、原画像内において、空の像を含む領域(以下、「空領域」と呼ぶ)の色が変化し、空領域以外の領域が例えば透明になっている画像をいう。
しかしながら、これは例示であって、原画像取得部41乃至表示制御部45の機能の少なくとも一部を、CPU11以外の他の構成要素に移譲させることも当然可能である。
なお、空色記憶部51が記憶部20の一領域として設けられていることは例示にすぎず、その他例えばリムーバブルメディア31の一領域として設けられるようにしてもよい。また、空色記憶部51は、撮像装置1に設けられている必要は特になく、例えば通信部21を介して接続される他の装置内に設けられていてもよい。
例えば、原画像取得部41は、リムーバブルメディア31から読み出される画像のデータや、通信部21を介するインターネット等から供給される画像のデータを、原画像のデータとして取得することもできる。なお、この場合、撮像時における撮像装置(撮像装置1とは限らない)の傾きの度合いも併せて取得可能であるものとする。
即ち、空領域特定部42は、撮像部17から撮像画像(原画像)のデータが出力された時(以下、「撮像時」と呼ぶ)における、撮像装置1の傾きの度合いを傾き検出部22から取得する。
ここで、原画像が正しく垂直に立つとは、撮像時点の地上の3次元実空間における垂直方向に相当する原画像内の方向が、当該原画像の縦方向(画素の上下の配列方向)に一致することをいう。
ここで、色領域のサイズ(解像度)は、特に限定されないが、本実施形態では、例えば、kを1以上の整数値として、横方向にk個の画素が配置され、縦方向にk個の画素が配置されるサイズ(k×kのサイズ)とされている。
また、色の特性の所定範囲としては、本実施形態では、空の色として認定し得る範囲として予め定められた色の範囲(彩度、明度、色相の範囲)が採用される。このため、撮像部17から出力された撮像画像のデータが、RGB色空間で表現されている場合、HSV色空間(彩度、明度、色相をパラメータとする色空間)のデータに変換された後、上述の色領域の探索が行われる。
この場合、本実施形態では、空画像における空領域以外の色は、透明として取り扱われるものとする。そして、本実施形態では、透明の画素は、データ上、所定の画素値が与えられずに、「画素値がない」というフラグが立てられることにより、表現されるものとする。
具体的には例えば、地域、時間帯、及び天候がパラメータとして採用され、これらの3つのパラメータにより特定される状態で実際に観測された空の色が、当該3つのパラメータの組み合わせにより特定されるパターンについての、空の基本色として設定される。
例えば、「日本国の東京都のA区」という地域において、「夕方」という時間帯に、「晴れ」という天候であったという状態で実際に観測された空の色が、「日本国の東京都のA区」、「夕方」、及び「晴れ」という組み合わせのパターンについての、空の基本色として設定される。
ここで、パラメータとして採用される「時間帯」は、本例の「夕方」のように1日のスパンで区分することも可能であるが、特に本例に限定されず、日本国でみられる春夏秋冬のように長期のスパンで区分することも当然可能である。
本手法では、地域、時間帯、及び天候の組み合わせによって特定されるパターン毎に、実際の観測に基づいて設定された空の基本色を示す情報(以下、「基本色情報」と呼ぶ)が、空色記憶部51に記憶されていることが前提となる。
具体的には、明度、彩度、色相の補正データが高度補正情報として空色記憶部51に記憶されていることが前提となる。
即ち、同一パターンであっても、空の色は、その高度によって異なってくる。そこで、高度に応じて空の色を補正するための情報が、高度補正情報として空色記憶部51に記憶されていることが前提となる。
この場合のパターンの指定手法は、撮像装置1側で各種パターンを一意に特定できる手法であれば足り、特に限定されない。
例えば、ユーザが、地域、時間帯、及び天候の各々を独立して1つずつ入力した場合、入力された地域、入力された時間帯、及び入力された天候の組み合わせから特定されるパターンが指定されたことになる。
また例えば、撮像画像の撮像時の状態で特定されるパターンを基礎パターンとして、ユーザが、地域、時間帯、及び天候のうち変更を所望するパラメータのみについて、変更後の値等を入力した場合、基礎パターンに対して、入力された値等が変換されたパターンが指定されたことになる。
さらに例えば、複数のパターンが予めユーザに提示される場合(図1の表示部19に表示される場合)、ユーザは、提示された複数のパターンの中から所望の1つを選択すると、その選択されたパターンが指定されたことになる。
また、空画像生成部43は、空領域特定部42から通知された空領域の高度範囲に基づいて、空領域を構成する各画素の高度をそれぞれ算出する。
次に、空画像生成部43は、空領域を構成する各画素のそれぞれを、処理の対象として注目すべき画素(以下、「注目画素」と呼ぶ)として設定して、注目画素の色を次のようにして設定する。即ち、空画像生成部43は、注目画素の高度に応じた補正内容を空色記憶部51から認識し、当該補正内容に基づいて仮設定した色(空の基本色)を補正し、補正後の色を注目画素の色として設定する。
また、空画像生成部43は、空領域以外の領域を構成する各画素の色については、透明を設定する。
即ち、このような色の設定がなされた画像のデータが、空画像のデータとして生成される。
具体的には例えば、空領域については透明度が0%(非透明)にされ、それ以外については透明度が100%(透明)にされた状態で、空画像が原画像の上に重畳されるように、合成画像のデータが生成される。
ここで、空領域の透明度は、0%(非透明)にする必要は特になく、例えば30%などの半透明にしてもよい。これにより、原画像の色を合成画像に反映させることができる。
具体的には例えば、地域、時間帯、及び天候の3つのパラメータのうち、地域を変更する場合には透明度を0%にして全く違う空に変更するが、地域を変更せずに時間帯や天候だけを変更する場合には透明度を70%などの半透明にし、時間帯や天候に応じた若干の色変化を表現するようにしてもよい。
また例えば、時間帯を変更する場合には、昼間の青く明るい空に対して夕方の赤みや暗さを表現するために、主に色相や明度の補正度合いを強くし、天候を変更する場合には、例えば晴天の鮮やかさに対して曇天の濁りを表現するために、主に彩度の補正度合いを強くするようにしてもよい。
つまり、地域、時間帯、天候のうちどの内容を変更するかに応じて、色相、彩度、明度のうちどの内容の補正度合いを強くするかを決定するようにしてもよい。
すると、表示制御部45は、合成部44から供給されたデータが表現する合成画像、即ち、原画像に対して空領域の色が変化した画像を表示部19に表示させる。
図3は、図2の機能的構成を有する撮像装置1が実行する画像合成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
このようなステップS2の処理を、以下、図3の同ステップの記載にあわせて「空領域特定処理」と呼ぶ。空領域特定処理の詳細については、図4のフローチャートを参照して後述する。
空領域特定処理の結果として、空領域の座標位置及び高度範囲が空画像生成部43に通知されると、処理はステップS3に進む。
即ち、上述したように、ユーザは、操作部18を操作することで、所望のパターンを指定することができる。例えば、撮像画像の撮像時の状態で特定されるパターンを基礎パターンとして、ユーザが、地域、時間帯、及び天候のうち変更を所望するパラメータのみについて、変更後の値等を入力した場合、基礎パターンに対して、変更を所望するパラメータが入力値等に変換されたパターンが指定されたことになる。
そこで、空画像生成部43は、このようなユーザによる操作部18の操作内容を解釈し、その解釈結果に基づいて、ユーザにより指定されたパターンを認識する。
このようなステップS4の処理を、以下、図3の同ステップの記載にあわせて「空画像生成処理」と呼ぶ。空画像生成処理の詳細については、図5のフローチャートを参照して後述する。
空画像生成処理の結果、空画像のデータが得られて合成部44に供給されると、処理はステップS5に進む。
これにより、画像合成処理は終了する。
図4は、空領域特定処理の詳細な流れを説明するフローチャートである。
即ち、空領域特定部42は、探索された色領域を空領域の最上端領域として、所定条件が満たされる範囲内で、当該最上端領域から連続する領域を拡張していくことにより、空領域を特定する。
すると、上述したように、ステップS3の処理で、ユーザにより指定されたパターン(地域、時間帯、天候)が認識され、ステップS4の空画像生成処理で、当該パターンに応じた色の空領域を含む空画像のデータが生成される。
図5は、図3の画像合成処理のうち、ステップS4の空画像生成処理の詳細な流れを説明するフローチャートである。
即ち、空領域の高度範囲がそれほど大きくない場合には、空領域内の2点間の距離の垂直成分と当該2点間の高度差は近似的に比例すると考えてよい。
このように考えた場合、空画像生成部43は、空領域の最下部を起点として、起点から注目画素までの距離の垂直成分の、起点から空領域の最上部までの距離の垂直成分に対する比率を求める。
次に、空画像生成部43は、当該比率と、空領域の最下部から最上部までの高度差とを乗算し、その結果得られる角度を、高度差として求める。
そして、空画像生成部43は、基準高度に対して高度差を加えることにより、注目画素の高度を算出する。
なお、この高度補正情報は、上記全てのパターンで共通のものを用いてもよいが、空の基本色と同様に、ユーザにより指定されたパターンに応じて選択するようにしてもよい。
空領域を構成する各画素の中に、未だ注目画素に設定されていない画素が存在する場合、当該画素の色は未だ設定されていないので、ステップS37においてYESであると判定されて、処理はステップS32に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、空領域を構成する各画素のそれぞれが注目画素に設定される毎に、ステップS33乃至S36の処理が繰り返し実行されて、注目画素となった画素の色がその都度設定される。
このように、ステップS32乃至S37のループ処理が繰り返し実行されることによって、空領域を構成する画素毎に、高度に応じて空の基本色が補正された色がそれぞれ設定される。これにより、空領域の色は、一律に同一色になるのではなく、空の基本色をベースにしつつも画素単位で微妙に変化する(高度に応じた変化をしていく)ので、自然な空の色に近付くことになる。
その後、空領域を構成する各画素のうち、最後に注目画素に設定された画素についてのステップS36の処理が終了すると、即ち、空領域の全画素について色が設定されると、ステップS37においてYESであると判定されて、処理はステップS38に進む。
ステップS5の処理で、原画像と空画像とが合成された合成画像のデータが生成され、ステップS6の処理で、当該合成画像が表示される。
まず、空画像生成部43は、地域、時間帯、天候のうちどの内容を変更するかに応じて、色相、彩度、明度の各々の補正度合いを取得する。
次に、空画像生成部43は、原画像のデータを色相、彩度、明度の3つの成分に分割し、色相成分原画像、彩度成分原画像、及び明度成分原画像の各データを生成する。
空画像生成部43は、空画像のデータについても同様にして、色相成分空画像、彩度成分空画像、明度成分空画像の各データを生成する。
そして、空画像生成部43は、色相成分空画像の透明度を、色相の補正度合に対応する値に設定し、透明度が設定された色相成分空画像と色相成分原画像との各データを合成することによって、色相成分合成画像のデータを生成する。
同様にして、空画像生成部43は、彩度成分合成画像と明度成分合成画像との各データも生成する。
最後に、空画像生成部43は、これら生成された色相成分合成画像、彩度成分合成画像、明度成分合成画像の各データを合成することによって、合成画像のデータを生成する。
原画像取得部41は、空の像を含む原画像のデータを取得する。
空領域特定部42は、原画像のデータについて、空の像を含む領域を空領域として特定する。
空画像生成部43は、空領域の基本となる基本色を設定し、空領域の各画素が示す空の高度をそれぞれ求め、基本色及び高度に基づいて、空領域の各画素が示す空の色をそれぞれ変換するための補正情報として、空画像のデータを生成する。即ち、空画像生成部43は、基本色及び高度に基づいて、空領域の各部分の補正後の色を設定し、補正後の色をそれぞれ有する各部分から構成される空領域を含む空画像のデータを、補正情報として生成する。
合成部44は、原画像のデータと、空画像生成部43により補正情報として生成された画像のデータとを合成することによって、原画像のデータに対して、空領域の色が補正後の色に変換された合成画像のデータを生成する。
この場合、空画像生成部43は、基本色として適切な色を設定することで、空領域の各画素が示す空の色として、ユーザの所望の色を設定することが可能になる。このようにして、ユーザの撮像行為の目的に合致した画像処理が実現される。
さらに、空領域に対しては、基本色等の同一色が一律に設定されるわけではなく、各画素の高度に応じて基本色が画素単位で補正された色(補正後の色)がそれぞれ設定されるので、空領域の色は、より自然で現実味のある空の色に変換されることになる。このようにして、より自然で現実味のある空の色を表現できる画像処理が実現可能になる。
そして、ユーザは、操作部18を操作することによって、複数のパターンのうち、所定のパターンを指定することができる。
この場合のパターンの指定手法は、結果としてパターンを指定できたのと等価になっていれば足り、特に限定されない。
上述したように、例えば、ユーザが、地域、時間帯、及び天候の各々を独立して1つずつ入力した場合、入力された地域、入力された時間帯、及び入力された天候から特定されるパターンが指定されたことになる。
また例えば、撮像画像の撮像時に特定されるパターンを基礎パターンとして、ユーザが、地域、時間帯、及び天候のうち変更を所望するパラメータのみについて、変更後の値等を入力した場合、基礎パターンに対して、パラメータが入力値等に変換されたパターンが指定されたことになる。
さらに例えば、複数のパターンが予めユーザに提示される場合(図1の表示部19に表示される場合)、ユーザは、提示された複数のパターンの中から所望の1つを選択すると、その選択されたパターンが指定されたことになる。
これにより、空画像生成部43は、指定された所定のパターンに対応する色を、基本色として設定することができるので、ユーザの撮像行為の目的により合致した画像処理が実現可能になる。
即ち、ユーザは、地域、時間帯、及び天候の各パラメータを全く独立に選択して組み合わせることによって、各種各様のパターンを指定することができる。
従って、撮像画像に写る空の色として、撮像地点とは全く別の地域の空の色や、撮像時点とは全く別の時間帯の空の色を反映させることが容易に可能になる。
さらに、パラメータとしての時間帯は、1日単位のスパンのみならず、月単位や年単位のスパンで設定することが可能である。これにより、四季の移り変わり等の長期のスパンでの、空の色の変化を撮像画像に反映させることが容易に可能になる。
このように、ユーザは、撮像画像に写る空の色を、撮像後の任意の時点で、任意の色に変換することができる。従って、ユーザは、景観を撮像する場合、撮像時点の空の状態を何ら考慮する必要がなくなる。
これにより、最終的にデータとして記録される画像について、作画表現の幅や範囲を広げ、ユーザにとって失敗と認識される率を大幅に低減することが可能になる。また、ユーザは、レタッチソフトで修正加工する手間も必要としない。
即ち、他の被写体と比べて、空という被写体は、田舎や都会、海辺や山裾等の場所の違いによらず、屋外であればどんな場所にでも存在し、撮像画像に写る可能性が高く、かつ写る面積も広い。従って、空の状態によって撮像画像の雰囲気が大きく変化することも多々あるため、空は被写体としての影響力が強い。
本発明の第1実施形態の撮像装置1は、この空の状態のうち、特に影響力の強い空の色を、撮像時とは異なる色であるが、違和感の無い自然な空の色へと自由に変更することが可能となる。
次に、本発明の画像処理装置の第2実施形態としての撮像装置1について説明する。
本発明の第2実施形態に係る撮像装置1は、第1実施形態に係る撮像装置1と基本的に同様のハードウェア構成を取ることができる。
従って、図1は、第2実施形態に係る撮像装置1のハードウェアの構成を示すブロック図でもある。第2実施形態に係る撮像装置1は、第1実施形態と同様に、例えばデジタルカメラにより構成することができる。
ただし、空画像生成部43に適用されている空画像のデータの生成手法が、第1実施形態と第2実施形態とでは異なる。即ち、第1実施形態では、実際の観測に基づく空の基本色に基づいて空画像のデータを生成する手法が採用されていた。これに対して、第2実施形態では、シミュレーションに基づいて空画像のデータを生成する手法が採用されている。
即ち、気象状態記憶部61は、空の色を発現させる原因となる太陽や大気の状態を示す情報(以下、「気象状態情報」と呼ぶ)を複数のパターン毎に記憶している。ここで、パターンは、第1実施形態と同様に、地域、時間帯、及び天候の各パラメータの組み合わせにより特定される。
次に、空画像生成部43は、認識された状態を用いて、所定のシミュレーションを実行する。具体的には、空画像生成部43は、認識された状態に基づいてパラメータを設定し、当該パラメータを用いた大気光散乱シミュレーションを実行する。
そして、空画像生成部43は、当該シミュレーションの結果に基づいて、空領域の各部分の色を設定し、その後、第1実施形態と同様の手法により、空画像のデータを生成する。
そこで先ず、光の波長毎に、多数の光子が、撮像装置1から空領域の各方向に向けて放出されたという仮想の下、空画像生成部43は、次のようなシミュレーションを実行する。
即ち、空画像生成部43は、上述の仮想の下に、光子がレイリー散乱を起こしながら大気圏の外に出るまでのシミュレーションを実行する。空画像生成部43は、シミュレーションの実行中に、光子の軌跡を追い、当該光子が大気圏を出た位置と方向によって、当該光子が撮像装置1に伝達するエネルギーを決定する。
空画像生成部43は、放出された全光子について、このようなエネルギーの決定を行い、光子の波長毎、また、撮像装置1から放出された方向毎に、各光子のエネルギーの和を取ることにより、各波長の各方向における分光強度を求める。
このようにして、レイリー散乱についての分光強度が、光の波長毎、また、空領域の方向毎に求められる。
なお、このシミュレーションの詳細は、非特許文献1にも記載されている。
そこで、空画像生成部43は、エアロゾルなどの大気の状態を気象状態記憶部61から認識し、当該大気の状態をパラメータにして、レイリー散乱についてのシミュレーションと同様のシミュレーションを実行する。
これにより、ミー散乱についての分光強度が、光の波長毎、また、空領域の方向毎に求められる。
そして、空画像生成部43は、各方向の波長毎の分光強度に基づいて、空領域の各部分の色をそれぞれ設定する。
なお、第2実施形態に係る空画像生成部43に適用可能な、空領域の各部分の色の設定手法は、上述の例に特に限定されず、各種各様の手法を採用することが可能である。
ただし、上述したように、空画像のデータを生成する手法が、第1実施形態と第2実施形態とでは異なる。このため、ステップS4の空画像生成処理も、第1実施形態と第2実施形態とでは異なる。
そこで、以下、図7を参照して、第2実施形態に係る撮像装置1が実行する空画像生成処理について説明する。
ステップS5の処理で、撮像画像と空画像とが合成された合成画像のデータが生成され、ステップS6の処理で、当該合成画像が表示される。
原画像取得部41は、空の像を含む原画像のデータを取得する。
空領域特定部42は、原画像のデータについて、空の像を含む領域を空領域として特定する。
空画像生成部43は、地域、時間帯、及び天候の3つのパラメータから特定される各種パターンのうち、ユーザにより指定されたパターンについての、太陽と大気の状態を認識する。次に、空画像生成部43は、これらの太陽と大気の状態に基づいて大気光散乱シミュレーションを実行し、その実行結果に基づいて、空領域特定処理の各部分の色を設定する。そして、空画像生成部43は、原画像と同一解像度であって、空領域については、ステップS53の処理で設定された色として、それ以外の領域については透明とする空画像のデータを、補正情報として生成する。
合成部44は、原画像のデータと、空画像生成部43により補正情報として生成された画像のデータとを合成することによって、原画像のデータに対して、空領域の色が補正後の色に変換された合成画像のデータを生成する。
即ち、上述の第2実施形態の説明では、空画像生成部43は、気象状態記憶部61にパターン毎に記憶されている太陽や大気の気象状態情報を用いて空の色をシミュレートしていたが、オプションとして、ユーザが太陽や大気の気象状態を変更できるようにすれば、ある地域において現実にはあり得ない気象状態を設定して、空の色をシミュレートすることも可能になる。
この場合、その地域の気象状態としては現実にあり得ないとしても、空の色としては、あくまでも自然法則に則ってシミュレートされているわけであるから、現実に起こり得る自然な画像となるはずである。
このようにして、第2実施形態に係る撮像装置1は、ユーザの画像創作の可能性を、さらに広げることが可能となる。
例えば、本発明の画像処理装置は、地域(撮像地域等)と時間帯の少なくとも一方をパラメータとして用いて、基本色や、高度(仰俯角)に応じた補正内容を決定してもよい。
例えば、本発明の画像処理装置は、ユーザが任意に指定した天候を少なくともパラメータとして用いて、基本色や、高度(仰俯角)に応じた補正内容を決定してもよい。
例えば、本発明の画像処理装置は、ユーザが任意に指定した色を少なくともパラメータとして用いて、基本色や、高度(仰俯角)に応じた補正内容を決定してもよい。
ここで、撮像時点のパターン(地域、時間帯、天候)とは異なるパターンは、例えば、撮像時点の地域、撮像時点の時間帯、及び撮像時点の天候のうち、任意の数の任意のパラメータを変更させることで実現可能である。
即ち、第1実施形態では、このような第2画像処理は、空の状態を示す情報として、パターン(地域、時間帯、及び天候)毎の空の基本色を示す基本色情報や、高度(仰俯角)に応じた色の補正内容を示す高度補正情報が予め保持されることにより実現された。ここで、高度補正情報としては、例えば、明度、彩度、色相の補正データが採用される。
例えば、次のようにして実現される第2画像処理を実行する画像処理装置が、第2実施形態の撮像装置1であると把握することもできる。即ち、第2実施形態では、「撮像時点のパターン(地域、時間帯、及び天候)とは異なるパターンに対応する空の状態」が、当該パターンの大気状態等に基づく太陽光の散乱をシミュレーションすることにより求められる。当該シミュレーションの結果に基づいて、第2画像処理が実現される。
また例えば、各地域毎に属性や特徴が予め保持されていれば、本発明の画像処理装置は、ユーザにより指定されたパターンにより特定される地域の属性や特徴に基づいて、第2画像処理を実行することができる。ここで、地域の属性や特徴としては、海洋性、大陸性、海岸に近い、都市か田舎か、工場地帯、田畑、森林等を採用することができる。
また例えば、地域と時間帯の組み合わせ毎に、気象要素、エアロゾルの種類や成分や量、特にエアロゾル粒子の大きさ(これにより回折角度や波長等が異なる)、又はミー散乱の係数等を予め設定しておくことができる。この場合、本発明の画像処理装置は、これらの設定内容に基づいて、第2画像処理を実行することができる。
また例えば、シミュレーションに基づいて第2画像処理が実行される場合には、そのシミュレーションの種類やパラメータ等は、第2実施形態の例に特に限定されない。例えば、本発明の画像処理装置は、地域や時間に応じた気象要素若しくはエアロゾル粒子の大きさ等に基づいて、光の屈折若しくは反射、吸収、回折、散乱等の角度又は角度毎の強度といった要素を、シミュレーションを実行して求めてもよい。なお、これらの要素は、シミュレーションによらず、所定のアルゴリズムにより算出されてもよい。
例えば、本発明の画像処理装置は、雲の状態等を変換する第2画像処理を実行してもよい。
具体的には例えば、パターン(例えば、地域、時間帯、天候等から特定されるパターン)毎に、雲の画像のデータを予め関連付けておくことができる。これにより、本発明の画像処理装置は、原画像内の雲の状態を、撮像時点のパターンとは異なるパターンに対応する雲の状態に変換する、といった第2画像処理を容易に実行することができる。
さらにまた、本発明の画像処理装置は、原画像内より検出された空領域内を、更に、雲が存在する部分を雲部分とし、雲が存在しない部分を空部分として、それぞれ区分することで、空の色及び雲の状態の両状態を変換する第2画像処理を実行することができる。
Claims (10)
- 空の像を含む原画像のデータを取得する原画像取得手段と、
前記原画像取得手段により取得された前記原画像のデータについて、前記空の像を含む領域を空領域として特定する空領域特定手段と、
前記空領域特定手段により特定された前記空領域の基本となる色を、基本色として設定し、前記空領域の各部分における空の高度をそれぞれ求め、前記基本色及び前記高度に基づいて、前記空領域の前記各部分における空の状態をそれぞれ変換するための補正情報を生成する補正情報生成手段と、
前記原画像取得手段により取得された前記原画像のデータを、前記補正情報生成手段により生成された前記補正情報に基づいて補正することによって、状態が変換した空の像を含む画像のデータを生成する補正手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。 - 前記補正情報は、前記原画像のデータの色を補正する度合いを指定する情報を含み、
前記補正手段は、前記補正情報で指定される補正度合いで前記原画像のデータの色を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記補正情報は、色相、彩度、明度のうち、いずれの色成分を補正するかを指定する情報を含み、
前記補正手段は、前記原画像のデータにおける前記補正情報で指定される色成分を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記補正情報は、色相、彩度、明度の各色成分毎に補正度合いを指定する情報を含み、
前記補正手段は、前記補正情報で指定される補正度合いで前記原画像のデータの色相、彩度、明度の各色成分を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記補正情報生成手段は、
前記基本色及び前記高度に基づいて、前記空領域の各部分の補正後の色を設定し、
前記補正後の色をそれぞれ有する前記各部分から構成される前記空領域を含む画像のデータを、前記補正情報として生成し、
前記補正手段は、
前記原画像のデータと、前記補正情報生成手段により前記補正情報として生成された前記画像のデータとを合成することによって、前記原画像のデータに対して、前記空領域の色が補正後の色に変換された画像のデータを生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記補正情報生成手段は、
前記補正後の色をそれぞれ有する前記空領域を含む画像のデータと、前記原画像のデータの色の補正度合いを指定する情報とを、前記補正情報として生成し、
前記補正手段は、
前記原画像のデータと、前記補正情報生成手段により生成された前記画像のデータとを前記補正度合いで指定される割合で合成することによって、前記原画像のデータに対して、前記空領域の色が指定された補正度合いで補正された画像のデータを生成する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。 - 地域、時間帯、及び天候を少なくともパラメータとして、複数のパラメータの組み合わせにより特定されるパターン毎に、前記基本色の候補となる色がそれぞれ予め対応付けられており、
複数の前記パターンのうち、所定のパターンを指定する指定手段をさらに備え、
前記補正情報生成手段は、前記指定手段により指定された前記所定のパターンに対応する色を、前記基本色として設定する、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像処理装置。 - 地域、時間帯、及び天候を少なくともパラメータとして、複数のパラメータの組み合わせにより特定されるパターン毎に、更に、色相、彩度、明度の各色成分毎の補正度合いがそれぞれ予め対応付けられており、
前記補正情報生成手段は、前記指定手段により指定された前記所定のパターンに対応する各色成分毎の補正度合いを、更に前記補正情報として生成する、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。 - 空の像を含む原画像のデータを対象に画像処理を実行する画像処理装置が実行する画像処理方法において、
前記原画像のデータについて、前記空の像を含む領域を空領域として特定する空領域特定ステップと、
前記空領域特定ステップの処理により特定された前記空領域の基本となる色を、基本色として設定し、前記空領域の各部分における空の高度をそれぞれ求め、前記基本色及び前記高度に基づいて、前記空領域の前記各部分における空の状態をそれぞれ変換するための補正情報を生成する補正情報生成ステップと、
前記原画像のデータを、前記補正情報生成ステップの処理により生成された前記補正情報に基づいて補正することによって、状態が変換した空の像を含む画像のデータを生成する補正ステップと、
を含むことを特徴とする画像処理方法。 - 空の像を含む原画像のデータを対象とする画像処理を制御するコンピュータを、
前記原画像のデータについて、前記空の像を含む領域を空領域として特定する空領域特定手段、
前記空領域特定手段により特定された前記空領域の基本となる色を、基本色として設定し、前記空領域の各部分における空の高度をそれぞれ求め、前記基本色及び前記高度に基づいて、前記空領域の前記各部分における空の状態をそれぞれ変換するための補正情報を生成する補正情報生成手段、
前記原画像のデータを、前記補正情報生成手段により生成された前記補正情報に基づいて補正することによって、状態が変換した空の像を含む画像のデータを生成する補正手段、
として機能させるためのプログラム。
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