JP2012091266A - 軟質材料の表面加工を行うラッピング装置及びラッピング加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ラッピング装置2は、端子部11を備えたラッピング工具1と、テーブル23上に設けられかつラップ剤4を貯留して該ラップ剤中に工作物3を浸漬させるための加工槽24などを有する。工作物3には軟質材料が用いられ、端子部11には、熱可塑性樹脂からなる端子本体12と、端子本体を加熱するための加熱手段13と、が設けられる。加熱手段の加熱量を制御して端子本体の表面温度を最適温度に調節するための温度制御手段をさらに有する。最適温度は、工作物3の硬度と端子本体表面12aの硬度との硬度比が0.4以下になるように設定されている。
【選択図】図1
Description
端子部と前記端子部を弾性的に支持する弾性支持部とを備えたラッピング工具と、工作物を取り付けるためのテーブルと、前記ラッピング工具と前記テーブルとを相対的に移動させる送り機構と、前記テーブル上に設けられかつラップ剤を貯留して該ラップ剤中に前記工作物を浸漬させるための加工槽と、を有したラッピング装置であって、
前記工作物には、軟質材料が用いられ、
前記端子部には、熱可塑性樹脂からなる端子本体と、前記端子本体を加熱するための加熱手段と、が設けられ、
前記加熱手段の加熱量を制御して前記端子本体の表面温度を最適温度に調節するための温度制御手段をさらに有し、
前記最適温度は、前記工作物の硬度と前記端子本体の硬度との硬度比が0.4以下になるように設定されていることを特徴とするラッピング装置。
図1は、本発明のラッピング工具1の構成を一部断面で示す正面図である。本発明のラッピング工具1は、軟質材料からなる工作物3(図2参照)に対して加工欠陥の無く鏡面研磨加工(本明細書では「ラッピング加工」とも呼ぶ。)を可能にする構造を有している。ここで、軟質材料とは、硬度(例えば、ビッカース硬度)が比較的低い材料のことをいい、より好適には、100以下の範囲のビッカース硬さを有した材料である。本発明の軟質材料として、例えば、プラスチック、アルミニウム、黄銅、鉛などが挙げられる。なお、本発明においては、軟質材料の硬度と、後述する熱可塑性樹脂の硬度と、に対して、単一のスケールで両者を比較できる理由から、ビッカース硬度を用いることが好ましい。
図2は、本発明のラッピング装置2の構成を示す図である。ラッピング装置2は、在来の工作機械を利用することができ、図示のような立形の工作機械(例えば、マシニングセンタやフライス盤)の主軸21にラッピング工具1を取り付けることにより、本発明のラッピング装置2とすることができる。そのため、専用のラッピング装置を設置する必要がなく、設置スペースの確保や設備コストの大幅増加という問題を避けることができる。その結果として、製品の加工・製造コストを低減することができる。
本発明のラップ剤4には、水に水飴と砥粒(例えば、ダイアモンド砥粒やアルミナ砥粒)とを添加した混合液や、水に水溶性ポリマーと砥粒とを添加した混合液を使用することが可能である。なお、後者のラップ剤4を使用することにより、長時間均一に砥粒を浮遊させることができるため、長時間の加工時間を要するラッピング加工を行う場合には非常に有効である。
図4に代表的な熱可塑性樹脂における硬度と温度との関係を示す。図4では、熱可塑性樹脂がエポキシ樹脂、ナイロン、及びポリプロピレン樹脂(PP)のいずれの樹脂でも、樹脂の温度が上昇するに従い、そのビッカース硬度が低下していく傾向を示している。従って、図1に示すラッピング工具1のように、端子本体12に熱可塑性樹脂を採用し、端子本体12に隣接したヒータ13を設置し、このヒータ13の通電及びその出力調整を行うことにより、端子本体12を加熱及び温度制御することによって、端子本体12(特に、その外側表面12a)を、工作物3の硬度に比べて所望の硬度まで軟化させることが可能になる。
図5に、端子本体12と工作物3との硬度比と加工限界粗さRzとの関係を示す。なお、硬度比を変化させるために、端子本体12を構成する材料と工作物3を構成する材料との組合せを種々用意してみた。ここで、図中の黒色四角形で示した4つのプロットは、工作物3に軟質材料であるアクリルを採用し、かつ、端子本体12に夫々、アクリル、ナイロン、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)を採用して、実際に加工した際の加工限界粗さRzである。一方、図中の複数の白抜き丸印で示したプロットは、工作物3に夫々、超硬合金(V10)、ステンレス(SUS304)、黄銅(Brass)を採用し、かつ、端子本体12にポリプロピレン樹脂(PP)を採用して、実際に加工した際の加工限界粗さRzである。
図2に示すように、本発明では、砥粒が浮遊したラップ剤4中に工作物3をドブヅケ状態にして、ラッピング工具1の端子部11を工作物3に対して押圧・摺動させながらラッピング加工を行うため、端子本体表面12aは100W/m2K以上の高い熱伝達率で冷却されることになる。しかしながら、本発明者らの試験によれば、ヒータ13の出力を40W/cm2(好ましくは、65W/cm2)程度まで上げれば、端子本体表面12aの温度を(上記硬度比との関係から算出される)所望の最適温度まで加熱し、維持できることが確認されている。
図9は、本発明のラッピング加工方法のフローチャートの一例を示す。先ず、加熱手段(例えば、ヒータ)13が端子部11に設けられたラッピング工具1を用意する(工程S1)。なお、工程S1の「用意」には、ラッピング工具1をラッピング装置2の主軸21に取り付けることを含む。
2 ラッピング装置
3 工作物
4 ラップ剤
11 端子部
12 端子本体
12a 端子本体の表面
13 加熱手段(ヒータ)
13a 加熱手段(ヒータ)の表面
14 断熱材
15 温度測定手段(熱電対)
16 コイルばね
17 弾性支持部
18 取付部
21 主軸
22 ベッド
23 テーブル
24 加工槽
Claims (9)
- 端子部を備えたラッピング工具と、工作物を取り付けるためのテーブルと、前記ラッピング工具と前記テーブルとを相対的に移動させる送り機構と、前記テーブル上に設けられかつラップ剤を貯留して該ラップ剤中に前記工作物を浸漬させるための加工槽と、を有したラッピング装置であって、
前記工作物には、軟質材料が用いられ、
前記端子部には、熱可塑性樹脂からなる端子本体と、前記端子本体を加熱するための加熱手段と、が設けられ、
前記加熱手段の加熱量を制御して前記端子本体の表面温度を最適温度に調節するための温度制御手段をさらに有し、
前記最適温度は、前記工作物の硬度と前記端子本体の硬度との硬度比が0.4以下になるように設定されていることを特徴とするラッピング装置。 - 前記硬度比が0.2以下であることを特徴とする請求項1に記載のラッピング装置。
- 前記硬度はビッカース硬度であることを特徴とする請求項1又は2に記載のラッピング装置。
- 前記軟質材料が、プラスチック、アルミニウム、黄銅、又は鉛を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のラッピング装置。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリプロピレン樹脂、又はポリスチレン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のラッピング装置。
- 前記ラップ剤は、水又は低級アルコールの少なくともいずれかの液体と、水溶性ポリマーと、砥粒と、を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のラッピング装置。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のラッピング装置に使用されるラッピング工具。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のラッピング装置を用いたラッピング加工方法であって、
前記工作物に用いられる前記軟質材料の硬度を取得する工程と、
前記端子本体に用いられる前記熱可塑性樹脂における硬度の温度依存性を取得する工程と、
前記設定された硬度比になるように前記最適温度を設定する工程と、
前記加熱手段及び前記温度制御手段により前記表面温度を前記最適温度に加熱・維持する工程と、を含むことを特徴とするラッピング加工方法。 - 前記最適温度を設定する工程は、前記加熱手段の温度を実測した上で数値解析により前記最適温度を推定する工程をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のラッピング加工方法。
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JPH074156A (ja) * | 1991-01-30 | 1995-01-10 | Nichibei Kaihatsu:Kk | ブラインド用スラット |
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