JP2012090690A - 診断支援装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】胆道・膵管等の平坦な表面を有する生体内の内壁部において、病変部の疑いのある、「内壁部の表面(最表面)において乳頭状隆起が発生している領域」、及び、「内壁部の表面(最表面)においてランダムに細胞(上皮細胞)が増殖している領域」が存在する場合に、その領域を自動で検出して診断支援を行う診断支援装置を提供する。
【解決手段】OCT装置1の演算処理装置90は、立体構造データにより胆道・膵管の内壁部の表面の位置が検出され、その表面形状から面粗さが算出される。そして、面粗さが粗い領域が「内壁部の表面(最表面)において乳頭状隆起が発生している領域」、又は、「内壁部の表面(最表面)においてランダムに細胞(上皮細胞)が増殖している領域」として検出される。
【選択図】図1
【解決手段】OCT装置1の演算処理装置90は、立体構造データにより胆道・膵管の内壁部の表面の位置が検出され、その表面形状から面粗さが算出される。そして、面粗さが粗い領域が「内壁部の表面(最表面)において乳頭状隆起が発生している領域」、又は、「内壁部の表面(最表面)においてランダムに細胞(上皮細胞)が増殖している領域」として検出される。
【選択図】図1
Description
本発明は診断支援装置に係り、特に光干渉断層(OCT:Opticl Coherence Tomography)計測を利用したOCT装置により取得された立体構造情報を用いて診断支援を行う診断支援装置に関する。
従来、OCT計測を利用した光断層画像取得装置(OCT装置)を用いて生体組織の光断層画像を取得することが行われている。このOCT装置は、光源から射出された低コヒーレント光を測定光と参照光とに分割した後、該測定光が測定対象に照射されたときの測定対象からの後方散乱光と参照光とを合波し、後方散乱光と参照光との干渉光の強度に基づいて光断層画像を取得するものである(特許文献1)。上記のOCT計測には、大きくわけてTD−OCT(Time Domain OCT)計測とFD−OCT(Fourier Domain OCT)計測の2種類がある。TD−OCT計測は、参照光の光路長を変更しながら干渉光強度を測定することにより、測定対象の深さ方向の位置(以下、深さ位置という)に対応した後方散乱光強度分布を取得する方法である。
一方、FD−OCT計測は、参照光と信号光の光路長は変えることなく、光のスペクトル成分毎に干渉光強度を測定し、ここで得られたスペクトル干渉強度信号を計算機にてフーリエ変換に代表される周波数解析を行うことで、深さ位置に対応した反射光強度分布を取得する方法である。TD−OCTに存在する機械的な走査が不要となることで、高速な測定が可能となる手法として、近年注目されている。
FD−OCT計測を行う装置構成で代表的な物としては、SD−OCT(Spectral Domain OCT)装置とSS−OCT(Swept Source OCT)装置の2種類が挙げられる。SD−OCT装置は、SLD(Super Luminescence Diode)やASE(Amplified Spontaneous Emission)光源、白色光といった広帯域の低コヒーレント光を光源に用い、マイケルソン型干渉計等を用いて、広帯域の低コヒーレント光を測定光と参照光とに分割した後、測定光を測定対象に照射させ、そのとき戻って来た後方散乱光と参照光とを干渉させ、この干渉光をスペクトロメータを用いて各周波数成分に分解し、フォトダイオード等の素子がアレイ状に配列されたディテクタアレイを用いて各周波数成分毎の干渉光強度を測定し、これにより得られたスペクトル干渉強度信号を計算機でフーリエ変換することにより、光断層画像を構成するようにしたものである。
このようなOCT装置は、測定光の光軸を2次元的に走査することで、測定対象の3次元的な構造情報(立体構造情報という)を取得することが可能である。従来、人体の体腔内の部位の立体構造情報をOCT装置により取得し、立体構造情報を画像化(可視化)してモニタに3次元画像を表示することや、立体構造情報を解析して病変部を自動で検出することによって、画像診断を支援することが提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
ところで、胆道や膵管(胆道・膵管)は、癌になった場合に治癒率が非常に低い領域として知られている。胆道・膵管の診断には、まず1次スクリーニングとして腹部超音波や血液検査、2次スクリーニングとしてX線CT(Computed Tomography)、MRCP(Magnetic Resonance Cholangiopancreatography)による画像診断、内視鏡下の胆管造影(ERCP:Endoscopic Retrograde Cholangio-pancreatography)、内視鏡下超音波EUS(Endoscopic Ultrasoundscopy)、胆管内超音波プローブ(IDUS:intraductal ultrasonography)といったモダリティ(医療機器)が用いられ、癌の場所の特定、深達度、伸展度の診断が行われている。そして、総合的な判断の結果、外科的な切除が有効と診断された場合は、切除する領域が決められて、外科的に切除される。切除された組織は、病理組織学的な検索がなされ、切除断端にまで癌が這っているかどうかの診断がなされる。癌が切除断端に残っている場合は、癌の取り残しがある事が強く推定され、追加切除、あるいは放射線化学療法が必要となる。
しかしながら、腹部超音波や内視鏡下超音波EUSは、管壁の形態変化の観察には向いていない。X線CTやERCPでは、管壁の形状が画像化され、1mm以上の大きな腫瘍がある場合はこれらで診断できるが、それ以下の変化を見わけることは困難である。IDUSは直接管内にプローブを挿入する手法であるため、管壁の観察には向いているが、分解能が100μm程度である。一方、胆管や膵管の上皮内を横方向に進展した癌の形態変化は20μm程度の場合もあり、それを観察するには、分解能が不十分であった。
そのため、従来の診断方法では横方向の進展の精度が悪く、外科的な切除を行った後の病理組織学的な診断により、切除断端陽性、すなわち癌の切り残しが判明するケースが発生する事が問題であった。従って、高感度な癌の横方向進展の診断、そして精度の高い外科的切除線の決定が、重要な課題となっている。
一方、OCT装置は、分解能が高く、胆道・膵管の画像診断に有効であるとともに、胆道・膵管の立体構造情報を解析して自動で病変部を検出する自動診断も医師の診断支援として有益なものと考えられる。しかしながら、現在のところ、胆道・膵管での正常部位と異常部位とを見わける自動診断的な試みはなされていない。特許文献2、3には、自動診断的な試みが提案されているが、主として大腸を対象とするものであり、胆道・膵管特有の病変部の形態変化を検出するものではない。
ここで、胆道・膵管の内壁部において、癌等の疑いのある形態変化(特徴的構造)として、内壁部の表面(上皮)において、乳頭状隆起が発生した場合と、ランダムに細胞(上皮細胞)が増殖した場合が知られている。他にも癌等の疑いのある形態変化が知られているが、少なくともこれらの2つの形態変化を自動で検出することができれば、胆道・膵管の診断支援に有益である。
また、胆道・膵管にかかわらず、正常時において平坦な上皮構造を有する臓器、例えば気管支、咽頭、食道、尿管等においても、癌などによる同様の形態変化を自動で検出することができれば診断支援に有益なものとなる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、胆道又は膵管のように正常時に平坦な表面を有する生体内部の内壁部において、病変部の疑いのある、「内壁部の表面(最表面)において乳頭状隆起が発生している領域」、及び、「内壁部の表面(最表面)においてランダムに細胞(上皮細胞)が増殖している領域」が存在する場合に、その領域を自動で検出して診断支援を行う診断支援装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に係る診断支援装置は、正常時に平坦な表面を有する生体内部の内壁部に対する光干渉断層計測により得られた該内壁部の立体的な領域の断層情報からなる立体構造データを取得する立体構造データ取得手段と、前記立体構造データ取得手段により取得された立体構造データに基づいて、前記内壁部の表面における各位置の面粗さの評価値を算出する面粗さ算出手段と、前記面粗さ算出手段により算出された前記評価値が所定の閾値を超えている前記表面における位置に基づいて病変部の領域を抽出する病変部抽出手段と、前記立体構造データを可視化した画像上に前記病変部抽出手段により抽出された前記病変部の領域を示す情報を表示する病変部表示手段と、を備えたことを特徴としている。
本発明によれば、胆道又は膵管のように正常時に平坦な表面を有する生体内部の内壁部において、癌などの病変部の疑いのある、「内壁部の表面において乳頭状隆起が発生している領域」、又は、「内壁部の表面においてランダムに細胞(上皮細胞)が増殖している領域」が存在する場合には、内壁部の表面が粗くなることから、内壁部の表面が粗い領域を検出し、表示することで、それらの病変部の疑いのある領域を観察者が容易に把握することができるようになる。
請求項2に係る診断支援装置は、請求項1に係る発明において、前記面粗さ算出手段は、前記内壁部の深さ方向に対する前記立体構造データの値の変化に基づいて、前記表面の位置を検出する表面検出手段と、前記表面検出手段により検出された前記表面の位置に基づいて、前記表面の所定範囲における前記深さ方向の平均位置を求める平均位置算出手段と、を備え、前記表面の所定範囲において前記平均位置算出手段に算出された平均位置を前記深さ方向の一定位置とした場合に、前記深さ方向に関して前記表面の最も深い位置と最も浅い位置との差分量を前記評価として算出することを特徴としている。
本発明は、面粗さの評価値を算出する好適な具体的態様を示したものである。
請求項3に係る診断支援装置は、請求項1又は2に記載の発明において、前記病変部抽出手段は、前記評価値が所定の閾値を超えている前記表面における位置によって所定の大きさ以上の連続した領域が形成されている場合に、該領域を病変部の領域として抽出することを特徴としている。
本発明は、内壁の表面が微少な領域のみ粗いと判断されるような場合には、「内壁部の最表面において乳頭状隆起が発生している領域」や「内壁部の表面においてランダムに細胞(上皮細胞)が増殖している領域」に該当しないため、それを排除するものである。
請求項4に係る診断支援装置は、請求項1、2、又は3に係る発明において、前記病変部表示手段は、前記立体構造データを可視化した画像上における前記病変部の領域に所定の色を付けて表示することを特徴としている。
本発明によれば、検出した病変部の領域を観察者が一目瞭然に把握できるようになる。
請求項5に係る診断支援装置は、請求項1〜4のいずれか1に記載の発明において、前記病変部表示手段は、前記立体構造データを可視化した画像として、透視投影処理による3次元画像、平行投影処理による3次元画像、所定断面における断層像のうち少なくともいずれか1つの画像を表示することを特徴としている。
本発明は、立体構造データは3次元の構造情報を有しているため様々な形態の画像が生成可能であり、立体的に見せるための3次元画像や特定の断面のみの断層像の表示が可能であることを示す。いずれの画像でも病変部の表示は可能である。
請求項6に係る診断支援装置は、請求項1〜5のいずれか1に記載の発明において、前記内壁部は、正常時に平坦な上皮構造を有する胆道、膵管、気管支、咽頭、食道、又は、尿管の内壁部であることを特徴としている。
請求項1〜5に係る発明が特に有効な生体内の部位を限定したものである。
本発明によれば、胆道又は膵管のように正常時に平坦な表面を有する生体内部の内壁部において、病変部の疑いのある、「内壁部の表面(最表面)において乳頭状隆起が発生している領域」、及び、「内壁部の表面(最表面)においてランダムに細胞(上皮細胞)が増殖している領域」が存在する場合に、その領域を自動で検出することができ、診断支援を行うことができる。
以下、本発明に係る診断支援装置を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本実施の形態において測定対象とする胆道・膵管の内壁部の断層情報の測定に使用されるOCT装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、OCT装置1は、測定対象の断層情報を例えば波長1.3μmを中心とするSS−OCT計測により取得し、取得した断層情報によりOCT画像の表示等を行うものであって、OCT光源10、OCT干渉計30、演算処理装置(コンピュータ)90及びモニタ100等を備えて構成される。
OCT光源10は周波数を一定の周期で掃引させながら赤外領域のレーザ光Lを射出する光源である。
OCT光源10から射出されたレーザ光Lは、OCT干渉計30内の光分波部3により測定光L1と参照光L2とに分波される。光分波部3は、例えば、分岐比90:10の光カプラから構成され、測定光:参照光=90:10の割合で分波する。
OCT干渉計30では、光分波部3により分波された参照光L2は、サーキュレータ5aを介して光路長調整部80により光路長が調整されて反射される。
この光路長調整部80は、断層画像の取得を開始する位置を調整するために参照光L2の光路長を変更するものであり、コリメータレンズ81、82および反射ミラー83を有している。そして、サーキュレータ5aからの参照光L2はコリメータレンズ81、82を透過した後に反射ミラー83により反射され、参照光L2の戻り光L2aは再びコリメータレンズ81、82を介してサーキュレータ5aに入射される。
ここで、反射ミラー83は可動ステージ84上に配置されており、可動ステージ84はミラー移動部85により矢印X方向に移動可能に設けられている。そして可動ステージ84が矢印A方向に移動することにより、参照光L2の光路長が変更するようになっている。そして、光路長調整部80からの参照光L2の戻り光L2aは、サーキュレータ5aを介して光合分波部4に導光される。
一方、光分波部3により分波された測定光L1は、サーキュレータ5b、光ファイバFB1及び光学ロータリコネクタ部41を介して光ファイバFB2によりOCTプローブ40の先端の光出射端まで導光され、光出射端から出射されて測定対象Tに照射される。また、OCTプローブ40は、測定光L1が測定対象Tに照射されたときの測定対象Tからの後方散乱光3を導光する。
詳細を後述するOCTプローブ40は、プローブ外筒内に光ファイバFB2が挿入配置されており、光走査部42内の図示しないモータにより、光学ロータリコネクタ部41から先となる光ファイバFB2がプローブ外筒内で回転する構成となっている。また、光出射端から測定対象Tに向けて出射される測定光L1は、光ファイバFB2の光軸に対して偏向した方向(略垂直な方向)となっており、光ファイバFB2が回転することによって、光出射端から出射される測定光L1の出射方向もOCTプローブ40の長軸周りに回転するようになっている。
ここで、本実施の形態では、OCTプローブ40の光出射端から出射される測定光L1の出射方向(測定光L1の光軸方向であって、測定対象Tの深さ方向とする方向)をA軸方向又はA軸、OCTプローブ40の長軸方向(光ファイバFB2の光軸方向)をC軸方向又はC軸、A軸とC軸とからなるAC面に直角な方向をB軸方向又はB軸とする。また、本実施の形態のOCTプローブ40のように、光出射端からの測定光L1の出射方向をOCTプローブ40の長軸周りに回転させる構成の場合においては、A軸方向も長軸周りに回転するため、A軸方向というときにはOCTプローブ40の長軸から見て放射方向を示し、B軸方向という場合にはOCTプローブ40の長軸周りの円周方向を示す。
これによれば、上記のように光ファイバFB2が回転した場合には、測定光L1がB軸方向に走査されるため、A軸とB軸とからなるAB面の断層情報が取得される。なお、この測定光L1のB軸方向の走査をB走査というものとする。
また、OCTプローブ40の光出射端は、光走査部42内の図示しないモータにより光ファイバFB2と共にC軸方向に進退移動するようになっている。これによって測定光L1がC軸方向に走査されるため、AC面の断層情報が取得される。なお、この測定光L1のC軸方向の走査をC走査というものとする。
このC走査をB走査と同時又は交互に行うことによって、A軸、B軸、C軸からなる3次元空間における立体的な領域の断層情報が取得される。本明細書では立体的な領域の断層情報を立体構造情報又は立体構造データという。
後方散乱光L4は、OCT干渉計30に導光され、OCT干渉計30にてサーキュレータ5bを介して光合分波部4に導光される。そして、この光合分波部4において測定光L1の後方散乱光L4と参照光L2の戻り光L2aとを合波し干渉情報検出部70側に射出するようになっている。
干渉情報検出部70は、光合分波部4により合波された測定光L1の戻り光L4と参照光L2の戻り光L2aとの干渉光L5を、所定のサンプリング周波数で検出するものであり、干渉光L5の光強度を測定するInGaAsフォトディテクタ71aおよび71bと、InGaAsフォトディテクタ71aの検出値とInGaAsフォトディテクタ71bの検出値のバランス検波を行なう干渉光検出部72とを備えている。なお、干渉光L5は、光合分波部4において2分され、InGaAsフォトディテクタ71aおよび71bにおいて検出され、干渉光検出部72に出力される。干渉光検出部72は、OCT光源10の掃引トリガ信号に同期して、干渉光L5をフーリエ変換することにより、A軸方向の各位置における後方散乱光L4の強度を検出する。
演算処理装置90は、汎用のコンピュータの本体と同様の構成を有する構成部であり、図示しないプロセッサ、記憶装置、通信インターフェースなどを備えている。また、演算処理装置90には、操作パネル、キーボード、マウスなどの入力装置94やモニタ100が接続されている。なお、演算処理装置90は、上記のOCT光源10及びOCT干渉計30と共に、OCT装置1本体の筐体内に一体的に組み込まれたものであっても良いし、OCT装置1本体にケーブルなどで接続されたコンピュータであっても良い。
演算処理装置90は、OCT光源10、ミラー移動部85、光走査部42等のOCT装置1の各部を統括的に制御する制御機能、干渉光検出部72により検出された後方散乱光L4の強度の情報を取得して、測定対象Tの断層像等のOCT画像を生成しモニタ100に表示する表示(画像生成)機能、表示機能と併せて実施される診断を支援する診断支援機能などを備えている。これらの機能の実施において必要な操作は入力装置92を用いて行われ、必要な情報の表示はモニタ100に表示されるようになっている。なお、干渉光検出部72において後方散乱光L4の強度を検出するためのフーリエ変換などの処理もこの演算処理装置90において行うようにしてもよい。
また、演算処理装置90は、LANなどの通信回線を介して図2のように通信機能を有するX線透視装置110やその他の任意の医療機器(内視鏡、CT、MRI、EUS、IDUS、MRI、THz等の装置)と通信を行うことができるようになっている。また、通信回線を介してデータベース112とも接続されている。
データベース112は、演算処理装置90により生成されたOCT画像のデータ等を管理するファイリングシステムであり、例えば、データを保管する大容量記憶装置と、この大容量記憶装置に保管されたデータを管理するデータベースソフトウェアとを含んで構成されている。演算処理装置90はデータベース112に保管されているデータを適宜取得することができ、過去にデータベースに保管したOCT画像等のデータや他の医療機器によってデータベースに保管されたデータを適宜取得することができるようになっている。また、データベース112には、パソコン等の任意の端末を通信回線を介して接続することができ、データベース112に保管されているOCT画像等のデータを端末で読み出して、演算処理装置90における診断支援機能等の処理を、端末のソフトウェア処理によって実施することもできる。
なお、データベースには、例えば任意の医療機器で取得された画像データ用のファイリングシステムの他に電子カルテ等の他用途のファイリングシステムを含ませることが可能である。
次に、本実施の形態において測定対象とする胆道・膵管の内壁部の測定に使用されるOCT装置1におけるOCTプローブ40の構成について図3を用いて説明する。
同図に示すようにOCTプローブ40の先端部は、プローブ外筒(シース)44と、キャップ46と、光ファイバFB2と、バネ48と、固定部材50と、光学レンズ52とを有している。
シース44は、OCTプローブ40全体を覆う可撓性を有する筒状の部材であり、測定光L1および後方散乱光L3が透過する材料からなっている。
キャップ46は、シース44の先端に設けられ、シース44の先端を閉塞している。
また、キャップ46には、ガイドワイヤを挿通するためのガイドワイヤ用孔54が形成されており、ガイドワイヤ用孔54は、キャップ46の側面に一方の開口54Aを有し、前面に他方の開口54Bを有している。ガイドワイヤは、事前に測定部位に配置されてOCTプローブ40をその位置に案内するためのものであり、測定位置に配置したガイドワイヤをこのガイドワイヤ用孔54に挿通させ、OCTプローブ40を先方に進行させることによって、OCTプローブ40をガイドワイヤに案内させて測定部位まで移動させることができる。このようにガイドワイヤを使用してOCTプローブ40を案内することによって、OCTプローブ40を直接進入させることが難しい胆管や膵管へのOCTプローブ40の配置を容易に行うことができる。
光ファイバFB2は、シース44内に挿入配置されており、OCTプローブ40の基端側において図1にも示したように光ファイバFB1と光学ロータリコネクタ部41を介して光学的に接続される。この光ファイバFB2により、光ファイバFB1から射出された測定光L1が光学レンズ52まで導波され、光学レンズ52で取得された測定対象Tからの後方散乱光L3が光ファイバFB1まで導波される。
バネ48は、光ファイバFB2の外周に固定されていており、これによって、基端側の光学ロータリコネクタ部41において与えられた回転力が光ファイバFB2の先端まで伝達される。
光学レンズ52は、固定部材50によって光ファイバFB2の先端側に固定されており、略半球状に形成されている。この光学レンズ52により、光ファイバFB2から出射された測定光L1がA軸方向に偏向されると共に所定位置に集光するようになっている。また、光学レンズ52により、測定対象Tからの後方散乱光L3が集光されて光ファイバFB2に入射する。
なお、光ファイバFB2の光軸と、光学レンズ52によって偏向された測定光L1の光軸とが交わる点が、OCTプローブ40の光出射端に相当する。また、上記のように、OCTプローブ40の光出射端から出射される測定光L1の出射方向(測定光L1の光軸方向であって、測定対象Tの深さ方向とする方向)をA軸方向又はA軸、OCTプローブ40の長軸方向(光ファイバFB2の光軸方向)をC軸方向又はC軸、A軸とC軸とからなるAC面に直角な方向をB軸方向又はB軸と定義しており、光学レンズ52によって偏向された測定光L1の出射方向がA軸方向となる。本実施の形態における光学レンズ52では、C軸方向に対して測定光L1を略直角の方向に偏向しているため、A軸方向はC軸方向に略直角の方向となる。
OCTプローブ40の基端側には、図1に示した光学ロータリコネクタ部41や光走査部42を内包した駆動装置56が設置される。
駆動装置56は、筐体58の内部に配置されたフレーム60内に上記の光学ロータリコネクタ部41が配置されており、光学ロータリコネクタ部41は、フレーム60に固定された光コネクタ部61と光コネクタ部61に対して回動可能に支持された回転筒62とを備えている。
光コネクタ部61及び回転筒62には両方を貫通する導光用孔が形成される共に、その導光用孔に所要の光学系が組み込まれており、導光用孔の光コネクタ部61側の開口端に図1に示した光ファイバFB1の端部が固定され、導光用孔の回転筒62側の開口端にOCTプローブ40の光ファイバFB2の端部が固定される。これによって、光ファイバFB1と光ファイバFB2が光学的に接続され、光ファイバFB1から射出された測定光L1が光ファイバFB2に入射し、光ファイバFB2から射出された後方散乱光L3が光ファイバFB1に入射するようになっている。
また、回転筒62には光ファイバFB2の外周に固定されたバネ48が光ファイバFB2と共に固定され、筐体58にはシース44が固定されている。従って、回転筒62が光コネクタ部61に対して回転すると、光ファイバFB2全体が光ファイバFB1に対して回転すると共に、シース44内において回転し、光ファイバFB2の先端側に固定された光学レンズ52もシース44内で回転するようになっている。
一方、フレーム60には、図1の光走査部42の構成要素となるモータ63が固定されており、このモータ63が、ギヤ64を介して回転筒62に連結されている。これによって、モータ63の駆動によって回転筒62が回転し、上記のように光ファイバFB2及び光学レンズ52がシース44内で矢印R2方向(B軸方向)に回転するようになっている。これによって、光学レンズ52から出射される測定光L1がB軸方向に走査(B走査)される。
また、筐体58には、図1の光走査部42の構成要素となる他のモータ65が固定されており、このモータ65によって進退移動用ボールネジ66が回転するようになっている。進退移動用ボールネジ66は、フレーム60に設けられた支持部材67のネジ孔に螺合しており、進退移動用ボールネジ66が回転するとフレーム60が光ファイバFB2の光軸方向に進退移動するようになっている。従って、モータ65の駆動によって、光ファイバFB2及び光学レンズ52がシース44内で矢印S1及びS2方向(C軸方向)に進退移動するようになっている。これによって、光学レンズ52から出射される測定光L1がC軸方向に走査(C走査)される。
上記モータ63、65は、例えば図1の入力装置92による操作者の操作等に従って演算処理装置90から与えられる駆動信号により駆動し、又は、駆動装置56自体に設けられる操作部の操作により駆動し、測定光L1のB走査とC走査を適宜行わせることができるようになっている。また、図では省略したが、駆動装置56には、光ファイバFB2の回転角度の情報と光ファイバFB2のC軸方向の位置の情報を取得する位置センサが設けられており、位置センサで取得されたそれらの情報が演算処理装置90に与えられるようになっている。これによって、演算処理装置90において、測定光L1のB走査やC走査の走査位置の関する制御が行われると共に、干渉光検出部72から取得されるA軸方向の後方散乱光L4の強度が測定されたときのB軸方向及びC軸方向の位置を把握することができるようになっている。ただし、走査位置を制御する方法やB軸方向及びC軸方向の位置を把握する方法はこれに限らない。
また、シース44の外周面の2箇所には、C走査の範囲を示すマーカ(プラチナマーカ)68A、68Bが付着されている。後述のように胆道・膵管のOCT測定の際にはX線透視装置を使用したX線透視画像の撮影が行われる。そのとき、シース44とマーカ68A、68BとのX線透過率が異なるため(シース44はX線を透過し、マーカ68A、68Bは不透過)、マーカ68A、68Bの位置をX線透視画像上で把握することができる。一方、これらのマーカ68A、68Bは、予め決められたC走査の始点の位置と終点の位置に付着されているため(図面上では実際より狭い間隔位置に示している)、X線透視画像上のマーカ68A、68Bの位置によってC走査の範囲をX線透視画像により把握することが可能である。なお、マーカ68A、68BはC走査の始点と終点の位置のわずかに外側(C走査範囲の外側)に付着されており、測定光L1を遮断しないようになっている。また、マーカ68A、68Bのいずれが始点の位置と終点の位置を示すかはC走査の向きによって入れ替わる。更に、マーカ68A、68Bの材質は、X線透過率がシース44と異なるものであればよい。
ここで、本実施の形態で使用する用語を説明しておく。上記のように定義したA軸、B軸、C軸に対して、A軸とB軸とで作られる面(A軸がC軸に直交する場合はC軸に直交する面)を ‘AB面’、A軸とC軸によって作られる面を‘AC面’、B軸とC軸とで作られる面を‘BC面’、AB面によって切断された切断対象の断面を‘AB断面’、AC面で切断された切断対象の断面を‘AC断面’、BC面で切断された切断対象の断面を‘BC断面’というものとする。
また、図1の演算処理装置90において、干渉光検出部72から得られた後方散乱光L4の強度の値又はこれに所定の変換処理を施した値を‘散乱光強度’又は‘散乱光強度データ’(主として散乱光強度データを用いる)、各散乱光強度データが得られた位置(又はこれに対応する位置)に各散乱光強度データを対応付けたものを‘断層情報’又は‘断層データ’(主として断層データを用いる)、AB断面の断層データを‘AB断層データ’、AC断面の断層データを‘AC断層データ’ 、BC断面の断層データを‘BC断層データ’、例えばB走査とC走査を同時に(いわゆるスパイラル走査)又は交互に(C軸方向に一定距離ずつ移動しながらB走査)行うこと等によって得られる立体的な領域の断層情報であって、立体的な領域の各位置に各散乱光強度データを対応付けたものを‘立体構造情報’又は‘立体構造データ’(主として立体構造データを用いる)というものとする。
更に、モニタに表示可能なAB断面、AC断面、BC断面の画像を各々‘AB断層像’、‘AC断層像’、‘BC断層像’、これらを総称して‘断層像’といい、立体構造データから生成されたモニタに表示可能な画像を‘立体構造像’、これらのOCT装置1の測定によって得られたモニタに表示可能な画像を‘OCT画像’というものとする。
次に、上記のOCT装置1を用いて胆道・膵管を観察する際の手順について説明する。
まず、図2に示したようにOCT装置1と通信可能なX線透視装置110が設置されている部屋において患者をX線透視装置110の撮影台に乗せ、X線透視できる状態にする。
続いて、図4に示すように、内視鏡200の挿入部202を図示しない患者の口から挿入し、食道・胃を経由して挿入部202の先端を十二指腸にあるファーター乳頭(十二指腸乳頭部)の近傍位置まで挿入する。
詳細については省略するが、内視鏡200は周知のように体腔内に挿入される挿入部202や操作者が把持して各種操作を行う操作部材が設けられた手元操作部等を備えている。挿入部202の内部には、鉗子等の処置具を挿通させる鉗子チャンネルが設けられており、その鉗子チャンネルに処置具を挿入する鉗子口(鉗子導入口)204が手元操作部に設けられ、鉗子導入口204から挿入した処置具を導出する鉗子口(鉗子導出口)206が挿入部202の先端面に設けられている。
また、同図には、十二指腸の横に膵臓が示され、その上方に肝臓が示されている。肝臓の下には胆嚢が示されている。
周知のように肝臓により作られた胆汁は、胆管により十二指腸まで運ばれてファーター乳頭の開口から十二指腸内に送り出されるようになっている。胆嚢は胆嚢管により胆管に繋がれており、胆汁を蓄積する。
また、膵臓により作られた膵液は、膵臓内の膵管を通って十二指腸まで運ばれる。細かい膵管は十二指腸に向けて寄り集まり、主膵管、副膵管と呼ばれる太い二本の管になって、十二指腸に繋がる。主膵管は、十二指腸壁内で総胆管と合流して短い共通管となり、ファーター乳頭において十二指腸に開口されている。
胆管は、肝臓から十二指腸まで胆汁を運ぶ管腔構造物の総称であり、部位に応じた名称が付けられている。肝臓の中にある胆管は肝内胆管と称され、肝臓の外から十二指腸までの胆管は肝外胆管と称されている。肝内胆管は大きく2つに枝分かれしており、それぞれ左肝管、右肝管と称される。胆外肝管は左肝管と右肝管とが合流する肝門部から十二指腸までの部分であり、肝門部から胆嚢管が合流する三管合流部までの部分は総肝管と称され、三管合流部から十二指腸までは総胆管と称されている。
また、胆管(肝内胆管、肝外胆管)の他に胆嚢やファーター乳頭を含む部位は胆道と称されており、本発明は、胆道の全ての部位を診断等の対象として適用可能である。
上記のように内視鏡200の挿入部202の先端を十二指腸のファーター乳頭の近傍まで挿入すると、次に、図3のOCTプローブ40を所望位置に案内するためのガイドワイヤ210を、鉗子口(鉗子導入口)204から鉗子チャンネルに挿入して鉗子口(鉗子導出口)206から導出させる。そして、X線透視装置110により十二指腸付近のX線透視画像を確認しながら、ガイドワイヤ210を、ファーター乳頭の開口から胆道又は膵管に挿入し、図4のようにOCT装置1により観察(測定)したい部位に配置する。
続いて、図3に示したOCTプローブ40のガイドワイヤ用孔54にガイドワイヤ210を基端側から通して、ガイドワイヤ210に沿ってOCTプローブ40を進行させる。そして、OCTプローブ40を鉗子口(鉗子導入口)204から鉗子チャンネルに挿入して鉗子口(鉗子導出口)206から導出させ、ガイドワイヤ210に沿ってファーター乳頭の開口から胆道又は膵管に挿入し、観察したい部位に配置する。
また、このような作業時において、OCT装置1の演算処理装置90にリアルタイム観察モードの処理を実行させておくことによって、演算処理装置90は、OCTプローブ40でB走査を繰り返し行いながらAB断層データを取得し、円形のAB断層像をリアルタイムにモニタ100に表示する。観察者は、そのリアルタイムに表示されるAB断層像を観察しながら、OCTプローブ40の位置を動かして、病変部の中心、側方進展領域の概要を確かめる。そして、C走査を行う範囲が適切となるようにOCTプローブ40の位置を決めた後、C走査測定開始の指示操作を入力装置92により行う。
C走査測定開始の指示操作を行うと、C走査が開始される前にOCT装置1から通信回線を介してX線透視装置110にトリガ信号が与えられ、そのトリガ信号によりX線透視装置110がOCTプローブ40の周辺領域のX線透視画像を撮影し、そのX線透視画像を通信回線を通じて演算処理装置90に与え、又は、データベース112に登録する。上述のようにOCTプローブ40のシース44には、C走査の始点と終点を示すマーカ68A、68Bが付与されており、X線透視画像にそのマーカ68A、68Bが造影されるため、胆道又は膵管の全域のうちのどの範囲をC走査の範囲(測定領域)としたかがそのX線透視画像により特定される。
X線透視画像の撮影及び記憶が終了すると、OCT装置1は、OCTプローブ40の光出射端(光学レンズ52)をC走査の始点位置に移動させてC走査を開始する。このときB走査とC走査とを例えば同時(いわゆるスパイラル走査)に行い、例えば長さ100mmの範囲の立体構造データを取得する。C走査中において観察者は、内視鏡200およびOCTプローブ40を静止させた状態に保持する。モニタ画面中には、測定中のAB断層像と共に、特定のAC断層像がC走査に従って展開される。なお、図6のようにOCTプローブ40のシース44の外周面の例えばC走査範囲外の2箇所に膨縮可能なバルーン220、222を設置すると好適である。これによれば、測定部位にOCTプローブ40を配置した後にそれらのバルーン220、222に流動体を注入することによってバルーン220、222を膨らませて測定部位の内壁に当接させることができる。これによって体動の影響を受けることなく、OCTプローブ40と測定部位の内壁との相対的な位置を固定することができる。
C走査が終了すると、モニタ100により視覚的に、又は、スピーカにより聴覚的に測定終了の合図がOCT装置1から発せられる。そして、OCTプローブ40の光出射端である光学レンズ52がC走査の始点位置に戻された後、リアルタイム観察モードに復帰し、OCTプローブ40でB走査が行われると共に、これにより取得されたAB断層像、AC断層像がリアルタイムでモニタ100に表示される。観察者は、別の場所を測定する場合には上記の操作を繰り返し、観察を終了する場合には、OCTプローブ40を内視鏡200の挿入部202の鉗子チャンネルから抜き取ると共に、OCT装置1の動作を停止させる。
なお、OCTプローブ40を胆道・膵管に挿入する方法は、経内視鏡観察法の他に、経皮度肝観察法があり、これを用いてもよい。また、ガイドワイヤを使用する方法ではなく、カテーテル内部を通してファーター乳頭部からOCTプローブ40を胆道・膵管に挿入する方法でもよい。ERCP(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography)手技における造影剤注入、または、IDUS(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)プローブの挿入で使用されている方法は、いずれも使用可能である。
また、上記説明ではOCT装置1と共にX線透視装置110を使用する場合について説明したが、X線透視装置110ではなくCT、MRI、THzイメージング装置等の他の透視装置を用いてもよい。透視装置によって撮影された画像はリアルタイムにそれらの透視装置が備えるモニタに表示させるだけでなく、OCT装置1に通信回線を介してOCT装置1に取り込み、OCT装置1のモニタ100に、OCT画像と共にリアルタイムに表示させるようにしてもよい。
以上のようにしてOCT装置1により取得された立体構造データはOCT装置1の演算処理装置90により画像処理されて立体構造像として可視化され、モニタ100に表示される。立体構造像は、後述のように各種可視化技法によって異なる表示形態に切り替えて表示されることができるようになっている。
また、OCT装置1の演算処理装置90は、病変部(病変部として疑われる特徴的な構造)を自動検出する診断支援機能も備えており、後述のように立体構造データに基づいて病変部を自動検出してモニタ100に病変部を表示させることもできるようになっている。
更に、OCT装置1により取得された立体構造データ、又は、これにより生成された立体構造像は、患者情報などの各種付帯情報に関連付けられて、通信回線により接続されたデータベース112に保存される。患者情報は、患者IDや患者氏名等の患者を特定する情報である。
なお、立体構造データを取得した後も演算処理装置90における立体構造像を表示する表示機能や診断支援する診断支援機能の処理に関しては、データベース112に通信回線を介して接続されたOCT装置1以外の端末(電子カルテシステムのコンピュータ等)においても実施可能である。即ち、OCT装置1の演算処理装置90と同様の処理を実施するためのソフトウェア(OCT表示ソフト)を演算処理装置90以外の端末において実行し、データベース112から立体構造データを取得して演算処理装置90の処理を実施することができる。
次にOCT装置1(演算処理装置90)にける診断支援機能について説明する。
上記のように胆道・膵管の所定部位の立体構造データが取得されると、演算処理装置90の表示機能によって立体構造像等の表示が行われる(後述)。病変部が存在する場合には、観察者はその病変部を特定し、切除する場合には切除線を決めることによって切除する範囲を決定する。
一方、演算処理装置90は、病変部(病変部として疑われる部位)を自動で検出し、立体構造像と合わせてその病変部の領域の情報を表示する診断支援機能を備えており、観察者は、入力装置92を所定操作によって適宜その診断支援機能を実行させて病変部の特定や切除線の決定の参考にすることができるようになっている。
なお、立体構造像等を表示する表示機能については、診断支援機能においても同様に実施されるものであり、診断支援機能の説明の中で行うものとする。
まず、診断支援機能の説明の前に胆道・膵管の内壁部の構造と癌などの病変が生じた場合の形態変化について説明する。
胆道及び膵管の各部位における内壁部の構造は、略同様の層構造を有しており、例えば胆管では図7のように内腔側の表面(内壁部の表面)から外側へ順に、組織構造の異なる粘膜上皮層、繊維筋層、漿膜下層により形成されている。ただし、各層の正確な構造や名称は部位によって相違するため、本実施の形態では、各層を内腔側から外側へ順に第1層、第2層、第3層と称し、内壁部表面(第1層の表面)を最表面(又は上皮細胞)と称する。上記のOCT測定によって得られた立体構造データにおいては、正常部位(正常組織)であれば第2層で最も強い散乱光強度データが得られ、次いで第1層で強い散乱光強度データが得られ、第3層で最も弱い散乱光強度データが得られる。
胆道・膵管における内壁部に癌、あるいは将来的に癌へと変化する可能性の高い前癌状態等の切除が必要となる病変部が存在する場合、図7のような正常部位に対して次の病変タイプ1〜6のような形態変化が病理学的に知られている。
1、最表面に乳頭状隆起ができる。
2、第1層が肥厚する。
3、繊維化が進行する。
4、ランダムに最表面の細胞(上皮細胞)が増殖する。
5、第2層に癌性腺管が発生する。
6、血管の形態が変化する。または新生血管ができる。
1、最表面に乳頭状隆起ができる。
2、第1層が肥厚する。
3、繊維化が進行する。
4、ランダムに最表面の細胞(上皮細胞)が増殖する。
5、第2層に癌性腺管が発生する。
6、血管の形態が変化する。または新生血管ができる。
演算処理装置90は、診断支援機能の実行によって上記のような病変タイプ1〜6の病変部が示す特徴的な構造(形態)を立体構造データの中から検出し、特徴領域として抽出する。その検出処理の方法として、以下に示す検出処理タイプ1〜9の9通りの態様が考えられ、各々、検出可能な病変タイプが異なり、以下で説明する各検出処理タイプ1〜9は各々、次の病変部タイプを検出することができる。
検出処理タイプ1:病変タイプ1〜3
検出処理タイプ2:病変タイプ1、2、4
検出処理タイプ3:病変タイプ1、4
検出処理タイプ4:病変タイプ1
検出処理タイプ5:病変タイプ1
検出処理タイプ6:病変タイプ5
検出処理タイプ7:病変タイプ3
検出処理タイプ8:病変タイプ3
検出処理タイプ9:病変タイプ6
まず、検出処理タイプ1〜9のいずれの処理を行う場合においても演算処理装置90により前処理として実施される処理について説明すると、OCT測定により取得された立体構造データからノイズを除去するノイズ除去処理が行われる。このノイズ除去処理は、例えばぼかし処理によるものである。
検出処理タイプ1:病変タイプ1〜3
検出処理タイプ2:病変タイプ1、2、4
検出処理タイプ3:病変タイプ1、4
検出処理タイプ4:病変タイプ1
検出処理タイプ5:病変タイプ1
検出処理タイプ6:病変タイプ5
検出処理タイプ7:病変タイプ3
検出処理タイプ8:病変タイプ3
検出処理タイプ9:病変タイプ6
まず、検出処理タイプ1〜9のいずれの処理を行う場合においても演算処理装置90により前処理として実施される処理について説明すると、OCT測定により取得された立体構造データからノイズを除去するノイズ除去処理が行われる。このノイズ除去処理は、例えばぼかし処理によるものである。
ここで、立体構造データは、3次元空間を最小単位のボクセルで細分化したボクセル空間で示すと、各ボクセルの位置に対応する測定領域の各位置での散乱光強度データが各ボクセルのボクセル値として割り当てられた構造を有している。散乱光強度データが割り当てられたボクセルの領域は、測定領域と同様に略円柱状の立体形状を有し、A軸(A軸方向)、B軸(B軸方向)、C軸(C軸方向)は、ボクセル空間においても同様に定義されるものとする。
ぼかし処理では、立体構造データが割り当てられた全てのボクセルの各々が順に着目ボクセルに設定されるとともに、着目ボクセルを中心とする所定領域内のボクセル(例えば着目ボクセルに隣接する9×9×9=27個のボクセル)の散乱光強度データの平均値が着目ボクセルの散乱光強度データとして変換される。これによって立体構造データからノイズが除去される。
続いて、立体構造データからOCTプローブ40のシース44での散乱光強度データを取り除くシース除去処理が行われる。このシース除去処理では、まず、A軸方向のラインが通過する位置(A軸方向の各位置)の散乱光強度データの値を示す信号をA軸方向散乱光強度信号というものとすると、BC面の各位置において、A軸方向散乱光強度信号が微分されて微分信号が生成される。
なお、A軸方向のラインを想定した場合、そのようなラインがB軸方向とC軸方向の異なる位置に多数存在しており、A軸方向に着目する場合に、全てのラインについて着目するときには、「BC面の各位置において」等と表現するものとする。
次に、BC面の各位置において、微分信号が最大値を示すA軸方向の位置が検出される。微分信号が最大値を示す位置は、シース44の内壁面の位置を示しており、その最大値の位置から既知のシースの厚さ分A軸方向の外側に離間した位置までの範囲がシース44での散乱光強度データとなる。そして、その範囲の散乱光強度データがノイズレベルまで低減した値に変換される。これによって、立体構造データからシース44での散乱光強度データが取り除かれる。
以上の前処理が実施された後、以下の各検出処理タイプ1〜9に応じた検出処理が演算処理装置90により実施される。
1.検出処理タイプ1
検出処理タイプ1の処理は、立体構造データが取得された胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において第1層の散乱光強度が所定値の範囲から外れている部位が存在する場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。
検出処理タイプ1の処理は、立体構造データが取得された胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において第1層の散乱光強度が所定値の範囲から外れている部位が存在する場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。
図8(A)は、本検出処理タイプ1により検出される病変タイプ1〜3のうちの病変タイプ2、3の病変部を有する生体内壁の立体構造データを、その病変部を通過するAC断層像により例示したものである。図8(A)には、第1層において繊維化が進行した部位が示され、図8(A)の一部を拡大した図8(B)において第1層が周辺よりも肥厚している部位が示されており、これらの部位が病変タイプ2、3の病変部に該当する。
このような病変部を特徴領域として検出するため、本検出処理タイプ1では以下の手順で各処理が行われる。図29のフローチャートを参照する。
まず、前処理におけるシース除去処理時と同様に、BC面の各位置において、A軸方向散乱光強度信号を微分した微分信号が求められる(ステップS50)。
次に、各BC面の各位置において、求めた微分信号が最大値を示すA軸方向の位置が検出される。微分信号が最大値を示す位置は生体内壁部の第1層の表面の位置、即ち、最表面の位置であり、これによって、図8(A)のようにBC面の各位置における生体内壁部の最表面のA軸方向の位置が検出される(ステップS52)。
なお、上記の処理をBC面の各位置において行う順序としてC軸方向の位置を固定し、B軸方向の位置を順次変更してB軸方向の全ての位置において上記処理を行った後、C軸方向の位置をずらして同じことを繰り返すようにする場合やその逆の場合等が考えられるが、どのような順序でもよい。
生体内壁部の最表面の位置が検出されると、次に、BC面の各位置において、図8(B)のように最表面の位置からA軸方向外側の所定長さ分の範囲(例えば、100μmの長さ範囲であり、第2層を含む範囲)でのA軸方向散乱光強度信号(散乱光強度データ)が積算される(ステップS54)。これによって生体内壁部の最表面から組織内の所定深さまでの範囲での散乱光強度の積算値が得られる。図8(C)はこれによって得られた積算値の分布を例示したものである。
次に、積算値が所定値の範囲から外れている位置が検出される(ステップS56)。即ち、積算値が所定の上限値よりも大きい位置と、所定の下限値よりも小さい位置が検出される。病変タイプ1、2のように内壁部の最表面に乳頭状隆起ができた場合や第1層が肥厚した場合には積算値が小さくなり、病変タイプ3のように第1層での繊維化が進行した場合には積算値が大きくなることから、閾値(上限値と下限値)を適切な値に設定すれば、この検出によって病変部の可能性がある位置が検出される。
そして、積算値が所定値の範囲から外れているとして検出された位置によって形成された3次元的に一定の広がりを有する領域(所定の大きさ以上の連続的な領域)の検出が行われ、検出された場合に最終的にその領域が病変部(病変部の領域)と判断される(ステップS58)。
以上の処理手順によって検出処理タイプ1の処理が行われ、病変タイプ1〜3のいずれかに該当する病変部の検出が行われると共に、その検出された病変部の領域が、後述の病変部の表示の際の特徴領域として抽出される。
なお、この検出処理タイプ1に類似する検出処理として、上記のように最表面の位置からA軸方向外側の所定長さ分の範囲においてA軸方向散乱光強度信号を積算することなく、その範囲内で散乱光強度データが所定の閾値よりも大きい値を示す位置を検出し、検出した位置が3次元的に一定の広がりを有する領域を形成している場合にその領域を病変部の領域として検出し、特徴領域として抽出するようにしてもよい。
2.検出処理タイプ2
検出処理タイプ2の処理は、立体構造データが得られた胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において第1層の厚みが所定の閾値を超えている部位が存在する場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。
検出処理タイプ2の処理は、立体構造データが得られた胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において第1層の厚みが所定の閾値を超えている部位が存在する場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。
図9(A)は、本検出処理タイプ2により検出される病変タイプ1、2、4のうちの病変タイプ2の病変部を有する生体内壁部の立体構造データを、その病変部を通過するAC断層像により例示したものである。同図には、第1層が肥厚している部位が示されており、この部位が病変タイプ2の病変部に該当する。
このような病変部を検出するため、本検出処理タイプ2では以下の手順で各処理が行われる図30のフローチャートを参照する。
まず、前処理におけるシース除去処理時と同様に、BC面の各位置において、A軸方向散乱光強度信号を微分した微分信号が求められる(ステップS70)。
次に、BC面の各位置において、微分信号に基づいて、図9(B)のように生体内壁部の最表面の位置と、第1層と第2層の境界の位置が検出される。例えば、生体内壁部の最表面の位置と、第1層と第2層の境界の位置とではA軸方向散乱光強度信号の変化が大きく、微分信号において比較的大きな極大値を示すため、微分信号においてA軸方向の最も内側に存在する大きな極大値と最も外側に存在する大きな極大値を示す位置が該当位置として検出される(ステップS72)。
次に、生体内壁部の最表面の位置と、第1層と第2層の境界の位置との間隔が求められる。これによって、BC面の各位置における第1層の厚みが求められる(ステップS74)。
次に、図9(C)のように、第1層の厚みが所定の閾値より大きい値を示すBC面での位置が検出される(ステップS76)。これによって、病変タイプ2のように肥厚した病変部の位置が検出される。また、病変タイプ1、4の病変部についても第1層の厚みが増えることから、それらの病変部の位置も検出される。
そして、第1層の厚みが所定の閾値より大きいとして検出された位置によって形成された3次元的に一定の広がりを有する領域(所定の大きさ以上の連続的な領域)の検出が行われ、検出された場合に最終的にその領域が病変部(病変部の領域)と判断される(ステップS78)。
以上の処理手順によって検出処理タイプ2の処理が行われ、病変タイプ1、2、4のいずれかに該当する病変部の検出が行われると共に、その検出された病変部の領域が、後述の病変部の表示の際の特徴領域として抽出される。
なお、この検出処理タイプ2に類似する検出処理として、ある一定範囲の散乱光強度データを示す位置を検出し、検出した位置が3次元的に一定の広がりを有する領域を形成している場合にその領域を病変部の領域として検出し、特徴領域として抽出するようにしてもよい。
3.検出処理タイプ3
検出処理タイプ3の処理は、立体構造データが得られた胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において最表面の面粗さが所定の閾値を超えている部位が存在する場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。
検出処理タイプ3の処理は、立体構造データが得られた胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において最表面の面粗さが所定の閾値を超えている部位が存在する場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。
図10(A)は、本検出処理タイプ3により検出される病変タイプ1、4のうちの病変タイプ4の病変部を有する生体内壁部の立体構造データを、その病変部を通過するAC断層像により例示したものである。同図には、最表面の細胞がランダムに増殖した病変タイプ4の病変部が示されている。
このような病変部を検出するため、本検出処理タイプ3では以下の手順で各処理が行われる。図31のフローチャートを参照する。
まず、前処理におけるシース除去処理時と同様に、BC面の各位置において、A軸方向散乱光強度信号を微分した微分信号が求められる(ステップS90)。
次に、BC面の各位置において、求めた微分信号が最大値を示すA軸方向の位置が検出され、図10(B)のようにBC面の各位置における生体内壁部の最表面のA軸方向の位置が検出される(ステップS92)。ここでは、この検出した位置を計測位置という。
なお、上記の処理をBC面の各位置において行う順序としてC軸方向の位置を固定してB軸方向の位置を順次変更してB軸方向の全ての位置において上記処理を行った後、C軸方向の位置をずらして同じことを繰り返すようにする場合やその逆の場合等が考えられるが、どのような順序でもよい。
次に、図10(B)のように最表面のA軸方向の平均位置が算出される(ステップS94)。具体的には、BC面のある位置を着目位置として、その着目位置を中心としてBC面に所定の大きさの算出領域が設定される。そして、その算出領域における最表面のA軸方向の計測位置(座標値)の平均値が算出される。これによって算出された平均値がBC面での着目位置における最表面のA軸方向の平均位置として得られる。この処理がBC面での着目位置を順次変更しながら繰り返され、BC面の全範囲において最表面のA軸方向の平均位置が算出される。
次に、BC面の各位置において、最表面の計測位置の平均位置に対する差分(差分値)が算出される(ステップS96)。このときBC面の各位置において平均位置のA軸方向の座標値が0(一定位置)となるように最表面の計測位置の座標値をシフトすると、図10(C)のように最表面の計測位置を示す曲線の値が差分値を示す。
次に、図10(C)のようにBC面が所定の大きさの領域で区分され(B軸方向とC軸方向が所定長さ単位で区分され)、各領域ごとに差分値の最大値と最小値との差が求められる(ステップS98)。そして、その差が図10(D)のように各領域における最表面の面粗さを示す値(評価値)として設定される。
次に、各領域における最表面の面粗さが所定の閾値よりも大きい値を示す領域(位置)が検出される(ステップS100)。これによって、病変タイプ4のように最表面の細胞がランダムに増殖した病変部の位置が検出される。また、病変タイプ1のように最表面に乳頭状隆起が発生している場合も面粗さが大きくなることから、病変タイプ1の病変部の位置も検出される。
そして、検出された領域(位置)によって形成された一定の広がりを有する領域(所定の大きさ以上の連続的な領域)の検出が行われ、検出された場合に最終的にその領域が病変部(病変部の領域)と判断される(ステップS102)。
以上の処理手順によって検出処理タイプ3の処理が行われ、病変タイプ1、4のいずれかに該当する病変部の検出が行われると共に、その検出された病変部の領域が、後述の病変部の表示の際の特徴領域として抽出される。
なお、ステップS98のようにBC面を所定の大きさの領域で区分するのではなく、B方向とC方向のいずれか一方向に等間隔のラインを設定し、各ラインにおいて所定長さの範囲ごとに差分値(最表面の計測位置の平均位置に対する差分値)の最大値と最小値との差を求め、これによって求めた差をその範囲での面粗さの値としてもよい。また、面粗さの値の求め方は上記の方法に限らない。例えば、図10(C)に示した様な、所定の大きさの領域内における平均値からの差分値を求めた後、所定領域内における平均線からの絶対偏差の平均値を評価値としてもよい。あるいは、偏差の二乗値から評価値を算出する方法、最大値あるいは最小値を評価値とする方法、差分値の標準偏差や分散から評価値を求める方法、ピークの数を評価値とする方法、など、面の粗さを示す値を求めるものであればどのような方法であってもよい。病変タイプ4のランダムな細胞増殖を検知するためには、細胞1個の直径が約10μmであることから、所定領域の大きさは少なくとも1辺が40μm以上であることが望ましい。一方、病変タイプ1の乳頭状隆起を検知するためには、30μm程度の隆起を検知するために、少なくとも1辺が120μm以上であることが望ましい。この様に、所定領域の大きさを変化させて、異なる病変タイプの検出を行ってもよい。
また、本検出処理タイプ3の処理は、胆道・膵管に限らず、胆道・膵管と同様に正常時に平坦な上皮構造を有する他の臓器、例えば気管支、咽頭、食道、尿管等における病変部の検出に有効であり、これらの部位に関して診断支援を行う場合に、病変部(特徴領域)の検出処理として本検出処理タイプ3を用い、検出した病変部の表示等に関して本実施の形態と同様に方法を用いて診断支援を行うことができる。
4.検出処理タイプ4
検出処理タイプ4の処理は、立体構造データが得られた胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において最表面近傍に略球形の組織形態を有する部位が存在する場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。
検出処理タイプ4の処理は、立体構造データが得られた胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において最表面近傍に略球形の組織形態を有する部位が存在する場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。
図11(A)は、本検出処理タイプ4により検出される病変タイプ1の病変部を有する生体内壁部の立体構造データを、その病変部を通過するAC断層像により例示したものである。同図には、最表面に乳頭状隆起が発生している病変タイプ1の病変部が示されている。
このような病変部を検出するため、本検出処理タイプ4では以下の手順で各処理が行われる。図32のフローチャートを参照する。
まず、検出処理タイプ2と同様の処理により、生体内壁部の最表面の位置と、第1層と第2層の境界の位置の検出が行われる(ステップS110、S112)。
次に、BC面の各位置において、A軸方向散乱光強度信号を微分した微分信号が求められる(ステップS114)。なお、ステップS110で求めた微分信号を記憶しておいたものを用いてもよい。
次に、最表面より外側で、第1層と第2層の境界より内側となる位置範囲においてA軸方向散乱光強度信号の傾きが急峻に立ち上がる位置の検出が、BC面の各位置における微分信号に基づいて行われる(ステップS116)。例えば、図11(A)において符号aと符号bで示す位置のA軸方向散乱光強度信号を図11(B)に示すと、病変部が存在しない符号aの位置のA軸方向散乱光強度信号には、上記の位置範囲において傾きが急峻に立ち上がる位置は存在しない。一方、病変部が存在する符号bの位置のA軸方向散乱光強度信号には、上記の位置範囲において傾きが急峻に立ち上がる位置が存在し、その位置が検出される。
そして、検出された位置によって形成された3次元的に一定の広がりを有する領域(所定の大きさ以上の連続的な領域)の検出が行われ、検出された場合に最終的にその領域が病変部(病変部の領域)と判断される(ステップS118)。
以上の処理手順によって検出処理タイプ4の処理が行われ、病変タイプ1に該当する病変部の検出が行われると共に、その検出された病変部の領域が、後述の病変部の表示の際の特徴領域として抽出される。
5.検出処理タイプ5
検出処理タイプ5の処理は、立体構造データが得られた胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において最表面近傍のBC断面に略円形(泡形状)の高散乱領域を有する部位が存在する場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。これによって、最表面に乳頭状隆起が発生している病変タイプ1の病変部の検出が行われる。
検出処理タイプ5の処理は、立体構造データが得られた胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において最表面近傍のBC断面に略円形(泡形状)の高散乱領域を有する部位が存在する場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。これによって、最表面に乳頭状隆起が発生している病変タイプ1の病変部の検出が行われる。
本検出処理タイプ5では以下の手順で各処理が行われる。図33のフローチャートを参照する。
まず、検出処理タイプ1と同様にBC面の各位置における生体内壁部の最表面のA軸方向の位置が検出される(ステップS130、S132)。
次に、図12(A)のように最表面の位置からA軸方向に一定距離離間した位置におけるBC断面のBC断層像(リスライス画像)が図12(B)のように生成される(BC断面における散乱光強度データが抽出される)(ステップS134)。
次に、BC断面において所定の大きさの領域で区分けされ、各領域ごとに断層像(散乱光強度データ)がフーリエ変換されて各領域の断層像の周波数成分が求められる(ステップS136)。
次に、所定の閾値を超える周波数成分を有する領域が検出される(ステップS138)。例えば、図12(B)において符号aと符号bで示す領域の断層像をフーリエ変換したときの各周波数の周波数成分の値を図12(C)に示すと、病変部が存在しない符号aの領域での周波数成分には閾値を超えるような値は存在しない。一方、最表面近傍のBC断層像に泡形状の文様が存在する場合には最表面に乳頭状隆起が発生している病変タイプ1の病変部であり、その病変部が存在する符号bの領域での周波数成分には閾値を超えるような値を示す周波数ピークが存在し、その周波数ピークが上記処理により検出される。
そして、所定の閾値を超える周波数成分を有するとして検出された領域によって形成された一定の広がりを有する領域(所定の大きさ以上の連続的な領域)の検出が行われ、検出された場合に最終的にその領域が病変部(病変部の領域)と判断される(ステップS140)。
以上の処理手順によって検出処理タイプ5の処理が行われ、病変タイプ1に該当する病変部の検出が行われると共に、その検出された病変部の領域が、後述の病変部の表示の際の特徴領域として抽出される。
6.検出処理タイプ6
検出処理タイプ6の処理は、立体構造データが得られた胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において第2層に所定値を超えた直径の球状又は半球状の低散乱領域を有する部位が存在する場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。
検出処理タイプ6の処理は、立体構造データが得られた胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において第2層に所定値を超えた直径の球状又は半球状の低散乱領域を有する部位が存在する場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。
図13(A)は、本検出処理タイプ6により検出される病変タイプ5の病変部を有する生体内壁部の立体構造データを、その病変部を通過するAC断層像により例示したものである。同図には、第2層に癌性腺管が発生している病変タイプ5の病変部が示されている。
このような病変部を検出するため、本検出処理タイプ6では以下の手順で各処理が行われる。図34のフローチャートを参照する。
まず、検出処理タイプ2と同様の処理により、生体内壁部の最表面の位置と、第1層と第2層の境界の位置の検出が行われる(ステップS150、152)。
次に、BC面の各位置において、A軸方向散乱光強度信号を微分した微分信号が求められる(ステップS154)。なお、ステップS150で求めた微分信号を記憶しておいたものを用いてもよい。
次に、第1層と第2層の境界より外側となる位置範囲においてA軸方向散乱光強度信号の傾きが急峻に立ち上がる位置の検出が、BC面の各位置における微分信号に基づいて行われる(ステップS156)。例えば、図13(A)において符号aと符号bで示す位置のA軸方向散乱光強度信号を図13(B)に示すと、病変部(癌性腺管)が存在しない符号bの位置のA軸方向散乱光強度信号には、上記の位置範囲において傾きが急峻に立ち上がる位置は存在しない。一方、病変部が存在する符号aの位置のA軸方向散乱光強度信号には、上記の位置範囲において傾きが急峻に立ち上がる位置が存在し、その位置が検出される。
そして、検出された位置によって形成された3次元的に一定の広がりを有する領域(所定の大きさ以上の連続的な領域)の検出が行われ、検出された場合に最終的にその領域が病変部(病変部の領域)と判断される(ステップS158)。
以上の処理手順によって検出処理タイプ6の処理が行われ、病変タイプ5に該当する病変部の検出が行われると共に、その検出された病変部の領域が、後述の病変部の表示の際の特徴領域として抽出される。
7.検出処理タイプ7
検出処理タイプ7の処理は、立体構造データが得られた胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において最表面から散乱光強度が信号限界(ノイズレベル)となっている位置までのA軸方向の距離が所定の閾値よりも短い部位が存在する場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。
検出処理タイプ7の処理は、立体構造データが得られた胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において最表面から散乱光強度が信号限界(ノイズレベル)となっている位置までのA軸方向の距離が所定の閾値よりも短い部位が存在する場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。
図14(A)は、本検出処理タイプ7により検出される病変タイプ3の病変部を有する生体内壁部の立体構造データを、その病変部を通過するAC断層像により例示したものである。同図には、第1層において繊維化が進行した病変タイプ3の病変部が示されている。
このような病変部を検出するため、本検出処理タイプ7では以下の手順で各処理が行われる。図35のフローチャートを参照する。
まず、検出処理タイプ1と同様の処理により、図14(A)のようにBC面の各位置における生体内壁部の最表面のA軸方向の位置が検出される(ステップS170、S172)。
次に、BC面の各位置において、A軸方向散乱光強度信号の信号値がA軸方向のある位置から外側でノイズレベルと同等の信号限界を示す値(信号限界とする所定の閾値より小さい値)となっている領域が図14(B)のように抽出される(ステップS174)。これによって、BC面の各位置において、信号限界の領域のA軸方向の最も内側となる境界の位置が検出される。
次に、BC面の各位置において、生体内壁部の最表面の位置から信号限界の領域の境界の位置までのA軸方向の長さ(信号有効長)が図14(C)のように算出される(ステップS176)。
次に、図14(C)のようにA軸方向の信号有効長が、所定の閾値より小さい値を示すBC面での位置が検出される(ステップS178)。病変タイプ3のように第1層または第2層での繊維化が進行すると、その部分での後方散乱光の強度が大きくなり、その分、A軸方向の信号有効長が短くなることから、病変タイプ3の病変部の位置が検出される。
そして、検出された位置によって形成された一定の広がりを有する領域(所定の大きさ以上の連続的な領域)の検出が行われ、検出された場合に最終的にその領域が病変部(病変部の領域)と判断される(ステップS180)。
以上の処理手順によって検出処理タイプ7の処理が行われ、病変タイプ3に該当する病変部の検出が行われると共に、その検出された病変部の領域が、後述の病変部の表示の際の特徴領域として抽出設定される。
8.検出処理タイプ8
検出処理タイプ8の処理は、立体構造データが得られた胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において正常な層構造が消失している部位が存在している場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。これによって、繊維化が進行して層構造が消失した病変タイプ3の病変部の検出が行われる。
検出処理タイプ8の処理は、立体構造データが得られた胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において正常な層構造が消失している部位が存在している場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。これによって、繊維化が進行して層構造が消失した病変タイプ3の病変部の検出が行われる。
本検出処理タイプ8では以下の手順で各処理が行われる。図36のフローチャートを参照する。
まず、AC面の各位置において、B軸方向に散乱光強度データが加算される(ステップS190)。これによって、C軸方向の各位置において、A軸方向の各位置での散乱光強度データの加算値が求められる。図15(A)は第1層と第2層を有する正常な内壁部に対してこの処理が行われた場合のC軸方向のある位置におけるA軸方向の各位置での加算値を示し、図15(B)は、病変タイプ5のように繊維化が進行して層構造が消失した病変部を有する内壁部に対してこの処理が行われた場合のC軸方向のある位置におけるA軸方向の各位置での加算値を示している。
次に、C軸方向の各位置においてA軸方向の外側に向けて加算値が一定の減衰を示す(図15(B)の場合)か否かの判断が行われ、肯定された場合のC軸方向の位置が検出される(ステップS192)。
そして、検出された位置によって形成された一定の広がりを有する領域(所定の大きさ以上の連続的な領域)の検出が行われ、検出された場合に最終的にその領域が病変部(病変部の領域)と判断される(ステップS194)。これによって、図15(B)のように層構造を消失している部位が病変部として検出される。
以上の処理手順によって検出処理タイプ8の処理が行われ、病変タイプ3に該当する病変部の検出が行われると共に、その検出された病変部の領域が、後述の病変部の表示の際の特徴領域として抽出される。
9.検出処理タイプ9
検出処理タイプ9の処理は、立体構造データが得られた胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において線状または網状に分布している低散乱領域が発生している部位が存在する場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。
検出処理タイプ9の処理は、立体構造データが得られた胆道・膵管の内壁部(生体内壁部)において線状または網状に分布している低散乱領域が発生している部位が存在する場合にその部位を特徴的な構造を有する病変部(特徴領域)として検出する処理である。
図16(A)は、本検出処理タイプ7により検出する病変タイプ6の病変部を有する生体内壁部の立体構造データを、その病変部を通過するAC断層像により例示したものである。同図には、第2層に血管(新生血管)が発生した病変タイプ6の病変部が示されている(図16(C)参照)。
このような病変部を検出するため、本検出処理タイプ9では以下の手順で各処理が行われる。図37のフローチャートを参照する。
まず、検出処理タイプ2と同様の処理により、第1層と第2層の境界の位置が検出される(ステップS210、S212)。
次に、BC面の各位置において、A軸方向散乱光強度信号を微分した微分信号が求められる(ステップS214)。なお、ステップS150で求めた微分信号を記憶しておいたものを用いてもよい。
次に、第1層と第2層の境界より外側となる位置範囲においてA軸方向散乱光強度信号の傾きが急峻に立ち上がる位置の検出が、BC面の各位置における微分信号に基づいて行われる(ステップS216)。例えば、図16(A)において符号aと符号bで示す位置のA軸方向散乱光強度信号を図16(B)に示すと、血管が存在しない符号bの位置のA軸方向散乱光強度信号には、上記の位置範囲において傾きが急峻に立ち上がる位置は存在しない。一方、血管が存在する符号aの位置のA軸方向散乱光強度信号には、上記の位置範囲において傾きが急峻に立ち上がる位置が存在し、その位置が検出される。
そして、検出された位置によって形成された3次元的に一定の広がりを有する領域(所定の大きさ以上の連続的な領域)、かつ、線状または網状に分布している領域(図16(C)参照)の検出が行われ、検出された場合には最終的にその領域が病変部(病変部の領域)と判断される(ステップS218)。
以上の処理手順によって検出処理タイプ9の処理が行われ、病変タイプ9に該当する病変部の検出が行われると共に、その検出された病変部の領域が、後述の病変部の表示の際の特徴領域として抽出される。
なお、OCT測定時においてOCTプローブ40のシース44が生体内壁部の最表面に接触している部分と接触していない部分とが存在する場合がある。生体内壁部の最表面にシース44が接触している場合、その押し付け効果により内壁部が圧縮されるため、検出処理タイプ2のように第1層の厚みが所定の閾値より大きい場合に病変部と判断するような場合には、病変部が生じていても、病変部とは判断されない恐れがある。
そこで、生体内壁部の最表面にシース44が接触している領域と、接触していない領域とを検出して分離し、各々の領域ごとにシース44の接触状態、非接触状態に応じた閾値を設定するようにしてもよい。
シース44が接触している領域(接触領域)と接触していない領域(非接触領域)の検出は、次のように行うことができる。図17(A)は、シース44の散乱光強度データを取り除く前の立体構造データを、AC断層像により例示したものであり、同図には、シース44の接触領域と非接触領域が示されている。この立体構造データにおいて、例えば、図17(A)の符号aで示す非接触領域の位置のA軸方向散乱光強度信号は図17(B)のような信号を示し、図17(A)の符号bで示す接触領域の位置のA軸方向散乱光強度信号は図17(C)のような信号を示す。これによれば、非接触領域では図17(B)のようにシース44の内壁l、外壁m、生体内壁部の最表面n、第1層と第2層の境界oが異なる位置で特徴的な変化を示す。一方、接触領域では、図17(C)のようにシース44の外壁mと最表面nの位置が略一致しているため、非接触領域のように4つの特徴的な変化が存在しない。
従って、BC面の各位置において、A軸方向散乱光強度信号を微分し、微分信号に基づいてA軸方向散乱光強度信号のl、m、n、oの位置を検出することによって、シース44の接触領域と非接触領域とを検出することができる。
以上の検出処理タイプ1〜9の説明では、また、上記説明では、第1層より第2層の方が強い散乱光強度データが得られるものとしたが、測定条件によっては反対となる場合があるため、その場合には、それを考慮して各検出処理タイプ1〜9の処理を変更すればよい。
次に、OCT装置1の演算処理装置90における診断支援機能について説明する。
図18は、診断支援機能の第1の実施の形態の処理手順の示したフローチャートであり、以下、これに従って診断支援機能の第1の実施の形態について説明する。なお、同図のフローチャートは演算処理装置90における機能ブロックも示すものであり、各ステップの処理は演算処理装置90における各処理部としての処理も表している(図21のフローチャートも同様)。
まず、演算処理装置90は、診断を行う胆道・胆管の内壁部(生体内壁部)の立体構造データを取得する(ステップS10)。OCT測定後に直接取得する場合以外にデータベース112に保管されている立体構造データを取得することも可能である。
次に、観察者が診断支援機能の実行を入力装置92によって指示すると、演算処理装置90は、特徴抽出処理を実行する(ステップS12)。この特徴抽出処理では、上記の各検出処理タイプ1〜9の処理が実行され、上記のように病変部の疑いがある特徴領域が抽出される。ただし、必ずしも全ての検出処理タイプ1〜9の処理を実行する必要はなく、いずれか1つ又は複数の検出処理タイプの処理を実行するようにしてもよいし、どの検出処理タイプの処理を実行するかを操作者が選択できるようにしてもよい。1つの検出処理タイプの処理のみを実行する場合には、後述のステップS16における色付け処理において特徴領域に対応付ける色が1色となるため、次のステップS14における特徴分類処理は実行不要である。
次に、演算処理装置90は、特徴分類処理を実行する(ステップS14)。この特徴分類処理では、特徴抽出処理により抽出した各特徴領域が所定の分類項目別に分類される。例えば、各特徴領域を抽出した検出処理タイプの種類、抽出対象の種類(特徴的な形態の種類)を分類項目として分類する方法や、各特徴領域を病変部の疑いの強い粘膜形態の変化によって抽出されたもの(検出処理タイプ1〜5、8によって抽出されたもの)と、正常部でも存在し得る腺管や血管網の存在によって抽出された棒変部の疑いの弱いもの(検出処理タイプ6、9によって抽出されたもの)とに分類する方法等がある。これらの分類方法は操作者が適宜変更できるようにしてもよい。
次に、演算処理装置90は、色付け処理を実行する(ステップS16)。この色付け処理では、上記特徴分類処理により分類した各分類項目に属する特徴領域別に異なる色が色情報が対応付けられる。
次に、演算処理装置90は、立体構造データと色付けした各特徴領域との合成処理を実行する(ステップS18)。この合成処理では、立体構造データの各特徴領域に対応するボクセルに、各特徴領域に対応付けられた色情報が付与され、特徴領域情報付きの立体構造データ(特徴領域情報付き立体構造データという)が生成される。
次に、演算処理装置90は、特徴領域情報付きの立体構造データを可視化処理してモニタ100に表示する表示処理(ステップS20)を実行する。この表示処理では、例えば、図19、又は、図20のように複数形態の立体構造像を表示する表示画面を生成し、モニタ100に表示する処理が行われる。
図19と図20の表示画面の構成を比較すると、図19の構成部は全て図20に含まれるため、図19には図20の同一種の構成部と同一符号を付して説明を省略し、図20の表示画面の構成について説明する。
図20の表示画面300には、文字情報を表示する文字情報表示部302と、立体構造データを3次元画像で表示する3次元画像表示部304と、BC断層像を表示するBC断層像表示部306と、AC断層像を表示するAC断層像表示部308と、AB断層像を表示するAB断層像表示部310と、モダリティ画像を表示するモダリティ画像表示部312とが設けられている。
文字情報表示部302には、測定が行われた日付や患者情報など、各種文字情報が表示される。
3次元画像表示部304には、立体構造データの全体を外側の斜め方向から見た3次元画像(後述の「斜視モード」の画像)や、胆道・膵管の内腔に挿入した内視鏡で見ているかのような3次元画像(後述の「内視鏡モード」の画像)等、立体構造データを立体的に表示する立体構造像が表示される。同図には「斜視モード」の3次元画像が示されているが、観察者が入力装置92を操作して表示する3次元画像の形態(表示モード)を切り替えることが可能である。この3次元画像は、演算処理装置90の表示処理により、特徴領域情報付きの立体構造データに対して、選択された表示モードでの可視化処理が実行されて、3次元画像表示部304に表示される。また、3次元画像表示部304に表示される3次元画像には、BC断層像表示部306に表示されるBC断層像の位置及び範囲を示すBC断面線320、AC断層像表示部308に表示されるAC断層像の位置及び範囲を示すAC断面線322、AB断層像表示部310に表示されるAB断層像の位置及び範囲を示すAB断面線324が立体構造像に合成されて表示される。
BC断層像表示部306には、演算処理装置90の表示処理により、3次元画像表示部304に表示されたBC断面線320の位置における特徴領域情報付きの立体構造データのボクセル値(散乱光強度データ及び色情報)が可視化されて同図のBC断層像が表示される。同図のBC断層像には、特徴抽出処理(図18ステップS12)により抽出され、特徴分類処理(図18ステップS14)により異なる分類項目に分類された2つの特徴領域330、332が含まれており、それらの特徴領域330、332には、対応付けられた各色が半透明で生体内壁部の画像に重畳表示されている。このような特徴領域の色付け表示は、図では示されていないが、3次元画像表示部304の3次元画像、AC断層像表示部308のAC断層像、AB断層像表示部310のAB断層像においても特徴領域を含む場合には同様に行われる。また、特徴領域の色付け表示が生体内壁部の画像の観察を阻害する場合には観察者の所定操作で色付けを消すことも可能であり、その場合には、立体構造データと色付けした各特徴領域との合成処理を行う前の立体構造データにより各表示部の画像が再生成されて表示される。即ち、診断支援機能を実行しない場合においても、演算処理装置90の表示機能により、図19や図20と同様に構成された表示画面が表示される。そのときには、立体構造データがそのまま使用されて各表示部の画像が表示される。診断支援機能を実行した後であっても、適宜、そのような診断支援機能を使用しない場合の表示に切り替えることが可能である。
また、BC断面線320の位置は、観察者の入力装置92の操作により変更することができるようになっており、例えば、マウスを用いて3次元画像表示部304のBC断面線320をドラッグ操作することによりBC断面線320の位置をA軸及びB軸の方向に変更することができ、また、BC断層像表示部306を選択状態にし、画面下の位置選択バー340のスライダ342を左右に動かすことにより、BC断面線320の位置をB軸方向に変更することができるようになっている。BC断面線320の位置を変更した場合は、変更した位置のBC断層像が特徴領域情報付きの立体構造データから再生成されてBC断層像表示部306のBC断層像の表示が更新される。なお、観察者の入力装置92の操作によってBC断面線320の範囲の大きさを変更してBC断面像として表示されるBC断面の領域を拡大又は縮小することもできる。
AC断層像表示部308には、演算処理装置90の表示処理により、3次元画像表示部304に表示されたAC断面線322の位置における特徴領域情報付きの立体構造データのボクセル値(散乱光強度データ及び色情報)が可視化されてAC断層像が表示される。
また、AC断面線322の位置は、BC断面線320と同様に観察者の入力装置92の操作により変更することができるようになっており、例えば、マウスを用いて3次元画像表示部304のAC断面線322をドラッグ操作することによりAC断面線322の位置をB軸の方向に変更することができ、また、AC断層像表示部308を選択状態にし、画面下の位置選択バー340のスライダ342を左右に動かすことにより、AC断面線322の位置をB軸方向に変更することができるようになっている。AC断面線322の位置を変更した場合は、変更した位置のAC断層像が特徴領域情報付きの立体構造データから再生成されてAC断層像表示部308のAC断層像が更新される。なお、観察者の入力装置92の操作によってAC断面線322の範囲の大きさを変更してAC断面像として表示されるAC断面の領域を拡大又は縮小することもできる。
更に、AC断層像表示部308には、AC断層像のC軸方向の実際の寸法を示すスケールが表示され、AC断層像上には後述の2本の切除線が表示される。
AB断層像表示部310には、演算処理装置90の表示処理により、3次元画像表示部304に表示されたAB断面線324の位置における特徴領域情報付きの立体構造データのボクセル値(散乱光強度データ及び色情報)が可視化されてAB断層像が表示される。
また、AB断面線324の位置は、AC断面線322等と同様に観察者の入力装置92の操作により変更することができるようになっており、例えば、マウスを用いて3次元画像表示部304のAB断面線324をドラッグ操作することによりAB断面線324の位置をC軸の方向に変更することができる。また、AB断層像表示部を選択状態にし、AB断層像表示部310内の位置選択バー344のスライダ346を左右に動かすことにより、AB断面線324の位置をC軸方向に変更することができるようになっている。なお、観察者の入力装置92の操作によってAB断面線324の範囲の大きさを変更してAB断面像として表示されるAB断面の領域を拡大又は縮小することもできる。
モダリティ画像表示部312には、CT透視装置、MRI装置、EUS装置などのOCT装置1以外の他の医療機器(モダリティ)で取得された同一患者等のモダリティ画像が表示される。表示するモダリティ画像は、通信回線を介して接続されたデータベース112に記憶されている画像データの中から観察者が選択することができるようになっており、演算処理装置90は、その選択された画像データをデータベース112から取得してモダリティ画像表示部312に表示する。
演算処理装置90の表示処理によって上記のような表示画面がモニタ100に表示され、観察者は、その表示画面に表示された各種立体構造像(3次元画像、断層像)を参考に病変部を特定する。このとき、BC断面線320、AC断面線322、AB断面線324の位置や大きさを変更して、測定領域のうちの任意の位置の断層像を詳細に観察して病変部を特定することができる。また、測定領域のC軸方向の長さは、A軸方向の長さに対して通常10倍から1000倍の範囲に達する。そのため、例えば、BC断層像、AC断層像、及び、AB断層像のように拡大されて表示される画像が測定領域全体のどの範囲の画像であるかを示す画像として、C軸を含む測定領域全体の画像が、3次元画像表示部304に同時に表示されることは、操作性の向上に大きく寄与している。更に、病変部であると疑われる特徴領域が色付けされて一目瞭然に表示されるため、測定領域全域を観察する場合に比べて観察時間が大幅に低減される。特徴領域の色も、所定の分類項目で分類した特徴領域ごとに異なる色で色分けして表示されるため、観察者の作業負担が軽減されている。病変部の疑いの強さに応じて各特徴領域が色分けして表示されるようにすればより効果的である。
また、観察者は、特徴抽出処理(ステップS12)により抽出された特徴領域のうち、特に重要となる正常部と特徴領域の境界領域を重点的に観察して、病変部の境界、あるいは、外科切除線を決定する。このとき、観察者は、マウス等を使用して図20のAC断層像表示部308に表示されている2本の切除線350、352の位置を所望の位置に設定することができるようになっている。2本の切除線350、352は切除する領域の両端を示し、規定の状態でAC断層像の両端の位置に設定されているが、各々、所望の位置に移動させて設定することが可能である。観察者はこの切除線350、352によって順次決定した切除領域の両端の位置をマークしておくことができる。
また、モダリティ画像表示部312には、OCT装置1のOCTプローブ40を胆道・膵管の測定部位に挿入して測定を行った際に、X線透視装置110で撮影した測定部位周辺のX線透視画像を表示させることが可能である。このとき、X線透視画像には、OCTプローブ40に付与されているC走査の始点及び終点を示すマーカ68A、68Bが造影されているため、そのマーカ68A、68Bの位置を目印にして測定領域が胆道又は膵管全体のどの位置かを把握することができる。そして、図20のAC断層像表示部308において設定した切除線350、352の位置は、スケールによって測定領域内のどの位置であるかが分かるようになっているため、切除領域が、胆道・膵管全体のどの範囲であるかも把握することが可能となる。演算処理装置90の処理として、モダリティ画像表示部312のX線透視画像上のマーカ68A、68Bの位置を目印にしてAC断層像表示部308において設定された切除線350、352の位置をX線透視画像上に重畳表示させることも可能である。また、最終的に決定した切除線350、352の位置をデータベース112に記憶させておくことや、モニタ100の表示画面をそのまま電子カルテ上に貼り付けて電子カルテ上で確認できるようにすることで、患者への説明時や医師間での確認等も簡単に実施することができる。
次に、診断支援機能の第2の実施の形態について図21の処理手順を示したフローチャートに従って説明する。
まず、演算処理装置90は、診断を行う胆道・胆管の内壁部(生体内壁部)の立体構造データを取得する(ステップS30)。OCT測定後に直接取得する場合以外にデータベース112に保管されている立体構造データを取得することも可能である。
次に、観察者が診断支援機能の実行を入力装置92によって指示すると、演算処理装置90は、特徴抽出処理を実行する(ステップS32)。この特徴抽出処理では、上記の各検出処理タイプ1〜9の処理が実行され、上記のように病変部の疑いがある特徴領域が抽出される。ただし、必ずしも全ての検出処理タイプ1〜9の処理を実行する必要はなく、いずれか複数の検出処理タイプの処理を実行するようにしてもよいし、どの検出処理タイプを実行するかを操作者が選択できるようにしてもよい。
次に、演算処理装置90は、特徴分類処理を実行する(ステップS34)。この特徴分類処理では、特徴抽出処理により抽出した各特徴領域が所定の分類項目別に分類される。例えば、各特徴領域を抽出した検出処理タイプの種類、抽出対象の種類(特徴的な形態の種類)を分類項目として分類する方法や、各特徴領域を病変部の疑いの強い粘膜形態の変化によって抽出されたもの(検出処理タイプ1〜5、8によって抽出されたもの)と、正常部でも存在し得る腺管や血管網の存在によって抽出された病変部の疑いの弱いもの(検出処理タイプ6、9によって抽出されたもの)とに分類する方法等がある。これらの分類方法は操作者が適宜変更できるようにしてもよい。
次に、演算処理装置90は、確度推定処理を実行する(ステップS36)。この確度推定処理では、特徴分類処理により各特徴領域を分類した分類項目ごとに病変部の可能性の度合いに応じた点数(1〜10)が割り当てられる。例えば、分類項目として次のa〜dを採用したとする。
a.層構造が消失した特徴領域
b.第1層が肥厚した特徴領域
c.面粗さ異常の特徴領域
d.管腔が存在する特徴領域
このとき、特徴領域が病変部(癌)である可能性の度合いにより、分類項目aに属する特徴領域を10点、分類項目bに属する特徴領域を3点、分類項目cに属する特徴領域を3点、分類項目dに属する特徴領域を2点とする。
a.層構造が消失した特徴領域
b.第1層が肥厚した特徴領域
c.面粗さ異常の特徴領域
d.管腔が存在する特徴領域
このとき、特徴領域が病変部(癌)である可能性の度合いにより、分類項目aに属する特徴領域を10点、分類項目bに属する特徴領域を3点、分類項目cに属する特徴領域を3点、分類項目dに属する特徴領域を2点とする。
なお、各検出処理タイプ1〜9において最終的に特徴領域か否かの判断に使用された値(特徴量)を考慮して点数を変えるようにしてもよい。
次に、演算処理装置90は、点数処理を行う(ステップS38)。この点数処理では、各特徴領域に割り当てられた点数に基づいて危険度が設定される。例えば、各特徴領域に割り当てられた点数が10点以上であれば、病変部(癌)の可能性が高いことを示す危険度Aに設定され、5点以上かつ10点未満であれば、病変部の可能性が中程度であること示す危険度Bに設定され、3点以上かつ5点未満であれば、病変部の可能性が低いが注意が必要であることを示す危険度Cに設定される。また、複数の特徴領域が重なる重畳領域に対しては、それらの特徴領域に割り当てられた点数が加算され、その加算値が割り当てられる。そして、その重畳領域には、その領域に割り当てられた点数に基づいて危険度A〜Cが設定される。
図22(A)には、図20のBC断層像表示部306に相当する表示部に表示されるBC断層像が示されており、そのBC断層像に特徴抽出処理により抽出された特徴領域が存在するものとし、かつ、それらの特徴領域が特徴分類処理により上記の分類項目a〜dで分類されているものとする。同図において、例えば、分類項目bの特徴領域において、他の特徴領域と重なっていない非重畳領域300には3点、分類項目cの特徴領域のみと重なる重畳領域302には3+3=6点、分類項目dの特徴領域と重なる重畳領域304には3+2=5点、分類項目b及び分類項目cの両方の特徴領域と重なる重畳領域306には3+3+2=8点が割り当てられる。同様にして他の特徴領域においても非重畳領域と重畳領域とに点数が割り当てられる。そして、点数が割り当てられた各非重畳領域及び重畳領域(以下、非重畳領域及び重畳領域の各々を評価領域という)に対して、点数に応じた危険度A〜Cが設定される。このようにして危険度A〜Cが設定された各評価領域は、図22(B)のようになる。
なお、危険度に変換する前の各評価領域に割り当てられた点数をそのまま危険度の値としてもよい。
次に、演算処理装置90は、色付け処理を実行する(ステップS40)。この色付け処理では、危険度が設定された各評価領域に対して危険度に応じた異なる色の色情報が対応付けられる。
次に、演算処理装置90は、立体構造データと色付けした各評価領域との合成処理を実行する。この合成処理では、立体構造データの各評価領域に対応するボクセルに、各評価領域に対応付けられた色情報が付与され、特徴領域情報付きの立体構造データが生成される。
次に、演算処理装置90は、特徴領域情報付きの立体構造データを可視化処理してモニタ100に表示する表示処理を実行する。この表示処理では、例えば、上記第1の実施の形態と同様に図19、又は、図20のように複数種の立体構造像を表示する表示画面を生成し、モニタ100に表示する処理が行われる。
表示画面の構成や、それを使用した診断、切除線の設定等の作業は第1の実施の形態と同様にあるため説明を省略するが、図19、図20において3次元画像表示部304に表示される3次元画像、BC断層像表示部306に表示されるBC断層像、AC断層像表示部308に表示されるAC断層像、AB断層像表示部310に表示されるとAB断層像における特徴領域の色付けが第1の実施の形態と異なる。本第2の実施の形態においては、例えばBC断層像表示部306のBC断層像には図22(B)のように病変部(癌)の可能性の度合いを示す危険度に応じて各評価領域が色分けされて表示される。従って、観察者とっては、重点をおいて観察すべき領域が一目瞭然であり、作業負担が軽減される。
次に、立体構造データを可視化処理してモニタ100に表示する画像の表示形態(表示モード)のうち、特に上記の特徴領域情報付きの立体構造データにより特徴領域の色付き表示を行う場合に好ましいと考える表示モードについて説明する。なお、モニタ100に表示する表示画面は必ずしも図19や図20の構成に限らず、以下で説明する各表示モードでの画像をどのようにモニタ100の画面に表示するかは特定の態様に限定されない。また、特徴領域を色付き表示する場合に限らず、診断支援機能を使用しない場合の表示に適用可能である。
図23(A)のように立体構造データ(特徴領域情報付きの立体構図データ)は、ボクセル空間で示すと、測定領域と同様に略円柱状の立体形状を有する。立体構造データの中心軸400は、C走査の際に光出射端(光学レンズ52)が移動した位置(OCTプローブ40の長軸)であり、中心軸400の近傍の円筒状の領域にOCTプローブ40のシース44での散乱光強度データが存在し、その外側の領域に内壁部の散乱光強度データが存在する。空洞の散乱光強度データは値が小さく、存在しないものとして扱うものとして、内腔部の空洞領域を除くと立体構造データは内側の円筒状のシース44の領域402と外側の円筒状の内壁部の領域404とから構成される。OCT装置1の演算処理装置90は、このような立体構造データに対して各種可視化処理(レンダリング処理)を施すことによってモニタ100に表示可能な各種表示形態の立体構造像を生成し、モニタ100に表示する。特に診断支援機能において特徴領域の色付き表示を行う場合に好適な表示モードの種類として例えば以下の(1)「内視鏡モード」、(2)「斜視モード」、(3)「長軸断面モード」、(4)「表面モード」がある。
なお、「内視鏡モード」と「斜視モード」においては、図23(A)のようにシース44の散乱光強度データ(領域402のデータ)が存在する立体構造データから、図23(B)のようにシース44の散乱光強度データを取いた立体構造データを用いて立体構造像が生成される。シース44の散乱光強度データを取り除く処理については上述の通りである。
(1)「内視鏡モード」
内視鏡モードは、胆道・膵管の内腔に挿入した内視鏡で測定領域を見ているかのような3次元画像を表示するモードであり、図19、図20の表示画面においては3次元画像表示部304に表示される3次元画像に相当する。この内視鏡モードでは、図24(A)のように立体構造データに対して、投影中心500が中心軸400上(又はその近傍)に設定され、投影面502が中心軸400に垂直に設定されて投影(透視投影又は中心投影)処理が行われ、図24(B)のように内視鏡で撮影する画像と同様の3次元画像が生成されて表示される。
内視鏡モードは、胆道・膵管の内腔に挿入した内視鏡で測定領域を見ているかのような3次元画像を表示するモードであり、図19、図20の表示画面においては3次元画像表示部304に表示される3次元画像に相当する。この内視鏡モードでは、図24(A)のように立体構造データに対して、投影中心500が中心軸400上(又はその近傍)に設定され、投影面502が中心軸400に垂直に設定されて投影(透視投影又は中心投影)処理が行われ、図24(B)のように内視鏡で撮影する画像と同様の3次元画像が生成されて表示される。
また、診断支援機能の実行時において、立体構造データとして特徴領域情報付きの立体構造データを用いて内視鏡モードの画像を生成した場合には、図24(B)のように抽出された特徴領域504に色(対応付けられた色)が付けられて表示される。
なお、内視鏡モードでは、通常、立体構造データの表面のみを投影(サーフィスレンダリング)した画像を表示するが、投影中心500からの投影面502への光線の経路上に存在する散乱光強度データを積算(積分)して投影する積算投影、光線の経路上に存在する散乱光強度データの最大値を投影する最大値投影(MIP: maximum intensity projection)、又は、光線の経路上に存在する散乱光強度データの最小値を投影する最小値投影(MinIP: minimum intensity projection)によって生成した画像を切り替えて表示できるようにしてもよい。また、投影中心500の位置や投影面502の位置、向きを観察者が変更できるようにしてもよい。
(2)「斜視モード」
斜視モードは、胆道・膵管の測定領域全体を外側の斜め方向から見た3次元画像を表示するモードであり、図19、図20の表示画面においては3次元画像表示部304に表示される3次元画像に相当する。この斜視モードでは、図25(A)のように立体構造データに対して、その中心軸400と平行ではなく、かつ、直交しない投影面520が設定されて平行投影処理が行われ、図25(B)のように円筒状の立体構造データ全体を斜めから見た3次元画像が生成されて表示される。また、斜視モードでは立体構造データ全体が半透明化(ボリュームレンダリング処理等)されて表示され、立体構造データの前後に重なる部分も透けて見えるようになっている。
斜視モードは、胆道・膵管の測定領域全体を外側の斜め方向から見た3次元画像を表示するモードであり、図19、図20の表示画面においては3次元画像表示部304に表示される3次元画像に相当する。この斜視モードでは、図25(A)のように立体構造データに対して、その中心軸400と平行ではなく、かつ、直交しない投影面520が設定されて平行投影処理が行われ、図25(B)のように円筒状の立体構造データ全体を斜めから見た3次元画像が生成されて表示される。また、斜視モードでは立体構造データ全体が半透明化(ボリュームレンダリング処理等)されて表示され、立体構造データの前後に重なる部分も透けて見えるようになっている。
また、立体構造データとして特徴領域情報付きの立体構造データを用いて斜視モードの画像を生成した場合には、図25(B)のように抽出された特徴領域504に色(対応付けられた色)が付けられて表示される。
なお、内視鏡モードと同様に、この斜視モードにおいても、投影面520への光線の経路上に存在する散乱光強度データを積算して投影する積算投影、又は、光線の経路上に存在する散乱光強度データの最大値を投影する最大値投影(MIP: maximum intensity projection)、光線の経路上に存在する散乱光強度データの最小値を投影する最小値投影(MinIP: minimum intensity projection)によって生成した画像を切り替えて表示できるようにしてもよい。更に、投影面520の位置、向きを観察者が変更できるようにしてもよい。
(3)「長軸断面モード」
長軸断面モードは、胆道・膵管の測定領域をOCTプローブ40の長軸方向(C軸方向)にリスライスした断面の断層像(AC断層像)を表示するモードであり、図19、図20の表示画面においてはAC断層像表示部308に表示される画像に相当する。この長軸断面モードでは、図26(A)のようにシース44(領域402)の散乱光強度データを含む立体構造データに対して、その中心軸400を一辺とする平面(AC面)が切断面530として設定される。そして、その切断面530で切断されたAC断面の立体構造データ(散乱光強度データ)が可視化処理され、図26(B)のようにAC断層像がスケールと共に表示される。
長軸断面モードは、胆道・膵管の測定領域をOCTプローブ40の長軸方向(C軸方向)にリスライスした断面の断層像(AC断層像)を表示するモードであり、図19、図20の表示画面においてはAC断層像表示部308に表示される画像に相当する。この長軸断面モードでは、図26(A)のようにシース44(領域402)の散乱光強度データを含む立体構造データに対して、その中心軸400を一辺とする平面(AC面)が切断面530として設定される。そして、その切断面530で切断されたAC断面の立体構造データ(散乱光強度データ)が可視化処理され、図26(B)のようにAC断層像がスケールと共に表示される。
また、立体構造データとして特徴領域情報付きの立体構造データを用いて長軸断面モードの画像を生成した場合には、図26(B)のようにAC断層像の下側に特徴領域表示部540が表示され、特徴領域に対応する位置に色(対応付けられた色)を付けらて表示される。また、切断面530の位置は、全周の中で最も特徴領域が多い断面を自動検出してその位置に設定するようにしても良いし、切断面530を自動で移動させる機能を持たせてもよい。
なお、この長軸断面モードにおいても、断面での散乱光強度データのみでなく、断面と直交する方向の散乱光強度データを積算して可視化処理した画像や、断面での散乱光強度データの最大値又は最小値のみを可視化処理した画像を切り替えて表示できるようにしてもよい。また、観察者が切断面530(AC断面)のB軸方向の位置やAC断層像としてモニタ100に表示する範囲、表示倍率等を変更できるようにしてもよい。
(4)「表面モード」
表面モードは、胆道・膵管の測定領域の内壁部の表面(最表面)またはその近傍をリスライスした断面のBC断面像を表示するモードであり、図20においてはBC断層像表示部306に表示される画像に相当する。この表面モードでは、図27(A)のようにシース44(領域402)の散乱光強度データを含む立体構造データに対してA軸方向(深さ方向)に同一位置に配置されたボクセル(BC断面のボクセル)の散乱光強度データが、同一平面上のボクセルのボクセル値として展開される。また、A軸方向の各位置におけるB軸方向の長さが基準の長さにとなるようにスケール変換されて、図27(B)のような直方体状の立体構造データが生成される。即ち、図27(A)の円柱状の立体構造データにおいて、BC面の各位置を通過するA軸方向の各ラインを、BC面を平面とし、A軸方向の各ラインを平行として各ライン上の散乱光強度データを配列したものが図27(B)の直方体状の立体構造データとなる。
表面モードは、胆道・膵管の測定領域の内壁部の表面(最表面)またはその近傍をリスライスした断面のBC断面像を表示するモードであり、図20においてはBC断層像表示部306に表示される画像に相当する。この表面モードでは、図27(A)のようにシース44(領域402)の散乱光強度データを含む立体構造データに対してA軸方向(深さ方向)に同一位置に配置されたボクセル(BC断面のボクセル)の散乱光強度データが、同一平面上のボクセルのボクセル値として展開される。また、A軸方向の各位置におけるB軸方向の長さが基準の長さにとなるようにスケール変換されて、図27(B)のような直方体状の立体構造データが生成される。即ち、図27(A)の円柱状の立体構造データにおいて、BC面の各位置を通過するA軸方向の各ラインを、BC面を平面とし、A軸方向の各ラインを平行として各ライン上の散乱光強度データを配列したものが図27(B)の直方体状の立体構造データとなる。
続いて、内壁部(領域404)の最表面の位置を検出して最表面を平坦化する処理により、BC面の各位置においてA軸方向のライン上に並ぶボクセルの散乱光強度データがA軸方向にシフトされ、図27(C)のようにA軸方向の所定位置におけるBC断面のボクセルに最表面の散乱光強度データが配置される。そして、そのBC断面、または、その近傍(内壁部側)のBC断面550における散乱光強度データが可視化処理され、図27(D)のようにBC断層像が表示される。
また、立体構造データとして特徴領域情報付きの立体構造データを用いて表面モードの画像を生成した場合には、図27(D)のように抽出された特徴領域504に色(対応付けられた色)が付けられて表示される。
なお、図27(A)の円柱状の立体構造データに対して内壁部の最表面を検出する処理を行い、検出した最表面を平面に展開して最表面の散乱光強度データを可視化した画像を表示するようにしてもよい。これによれば、測定領域内の管腔に狭窄部位が存在し、図28(A)のような形状の最表面が検出された場合に、図27(B)のような画像が表示されるため、狭窄部位を瞬時に把握できる。立体構造データとして特徴領域情報付きの立体構造データを用いた場合には、図27(B)のように特徴領域504に色(対応付けられた色)が付けられて表示される。
また、表面モードにおいても、管内壁表面(断面)と直交する方向の散乱光強度データを積算して可視化処理した画像や、表面での散乱光強度データの最大値又は最小値のみを可視化処理した画像を切り替えて表示できるようにしてもよい。また、観察者がBC断面550のA軸方向の位置やBC断面像としてモニタ100に表示する範囲、表示倍率等を変更できるようにしてもよい。
1…OCT装置、30…OCT干渉計、40…OCTプローブ、44…シース(プローブ外筒)、52…光学レンズ、68A、68B…マーカ、90…演算処理装置、92…入力装置、100…モニタ、110…X線透視装置、200…内視鏡、210…ガイドワイヤ
Claims (6)
- 正常時に平坦な表面を有する生体内部の内壁部に対する光干渉断層計測により得られた該内壁部の立体的な領域の断層情報からなる立体構造データを取得する立体構造データ取得手段と、
前記立体構造データ取得手段により取得された立体構造データに基づいて、前記内壁部の表面における各位置の面粗さの評価値を算出する面粗さ算出手段と、
前記面粗さ算出手段により算出された前記評価値が所定の閾値を超えている前記表面における位置に基づいて病変部の領域を抽出する病変部抽出手段と、
前記立体構造データを可視化した画像上に前記病変部抽出手段により抽出された前記病変部の領域を示す情報を表示する病変部表示手段と、
を備えたことを特徴とする診断支援装置。 - 前記面粗さ算出手段は、前記内壁部の深さ方向に対する前記立体構造データの値の変化に基づいて、前記表面の位置を検出する表面検出手段と、
前記表面検出手段により検出された前記表面の位置に基づいて、前記表面の所定範囲における前記深さ方向の平均位置を求める平均位置算出手段と、
を備え、
前記表面の所定範囲において前記平均位置算出手段に算出された平均位置を前記深さ方向の一定位置とした場合に、前記深さ方向に関して前記表面の最も深い位置と最も浅い位置との差分量を前記評価として算出することを特徴とする請求項1の診断支援装置。 - 前記病変部抽出手段は、前記評価値が所定の閾値を超えている前記表面における位置によって所定の大きさ以上の連続した領域が形成されている場合に、該領域を病変部の領域として抽出することを特徴とする請求項1又は2の診断支援装置。
- 前記病変部表示手段は、前記立体構造データを可視化した画像上における前記病変部の領域に所定の色を付けて表示することを特徴とする請求項1、2、又は3の診断支援装置。
- 前記病変部表示手段は、前記立体構造データを可視化した画像として、透視投影処理による3次元画像、平行投影処理による3次元画像、所定断面における断層像のうち少なくともいずれか1つの画像を表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の診断支援装置。
- 前記内壁部は、正常時に平坦な上皮構造を有する胆道、膵管、気管支、咽頭、食道、又は、尿管の内壁部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の診断支援装置。
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