JP2012076093A - レーザー加工装置、被加工物の加工方法および被加工物の分割方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被加工物に分割起点を形成するための加工方法が、被加工物を第1の方向と第2の方向とに移動可能なステージに載置する載置工程と、ステージを第1の方向に移動させつつ、所定の光源から出射させた予備加工用レーザー光を照射することにより、被照射領域において下地基板を露出させる予備加工工程と、所定の光源から出射させた、パルス幅がpsecオーダーの超短パルス光である本加工用レーザー光の、個々の単位パルス光ごとの被照射領域が、下地基板の露出部分において離散的に形成されるように、ステージを第2の方向に移動させつつ本加工用レーザー光を被加工物に照射することによって、被照射領域同士の間で下地基板の劈開もしくは裂開を生じさせる本加工工程と、を備えるようにする。
【選択図】図9
Description
本実施の形態においては、異種材料付き基板に対する分割起点の形成について説明する。ここで、異種材料付き基板とは、下地基板(具体的には、サファイアなどの硬脆性の基板)の上に金属薄膜層や半導体層などの異種材料層が形成されてなるものをいう。下地基板の厚みや異種材料層の厚みには特段の制限はないが、通常、前者は取り扱いの容易さの観点から数百μm〜数mm程度の厚みを有し、後者はnmオーダーからμmオーダー程度の厚みに形成されてなる。すなわち、異種材料層に比して下地基板の厚みが相対的に大きいのが異種材料付き基板の一般的な態様である。
まず、本発明の実施の形態において行われる加工の一態様である、劈開/裂開加工の原理を説明する。劈開/裂開加工とは、概略的に言えば、パルスレーザー光(以下、単にレーザー光とも称する)を走査しつつ被加工物の上面(被加工面)に照射することによって、個々のパルスごとの被照射領域の間で被加工物の劈開もしくは裂開を順次に生じさせていき、それぞれにおいて形成された劈開面もしくは裂開面の連続面として分割のための起点(分割起点)を形成するものである。
第1加工パターンは、a1軸方向、a2軸方向、a3軸方向のいずれかと加工予定線とが平行な場合の劈開/裂開加工の態様である。より一般的にいえば、劈開/裂開容易方向と加工予定線の方向とが一致する場合の加工態様である。
第2加工パターンは、a1軸方向、a2軸方向、a3軸方向のいずれかと加工予定線とが垂直な場合の劈開/裂開加工の態様である。なお、第2加工パターンにおいて用いるレーザー光の条件は、第1加工パターンと同様である。より一般的にいえば、相異なる2つの劈開/裂開容易方向に対して等価な方向(2つの劈開/裂開容易方向の対称軸となる方向)が加工予定線の方向となる場合の加工態様である。
第3加工パターンは、超短パルスのレーザー光を用いる点、a1軸方向、a2軸方向、a3軸方向のいずれかと加工予定線とが垂直である(相異なる2つの劈開/裂開容易方向に対して等価な方向が加工予定線の方向となる)点では、第2加工パターンと同様であるが、レーザー光の照射態様が第2加工パターンと異なる。
次に、上述した劈開/裂開加工を、異種材料付き基板に対する分割起点の形成に適用する場合について説明する。具体的には、異種材料付き基板に対して、金属薄膜層もしくは半導体層の側から分割起点を形成しようとする場合を対象に説明する。
次に、上述した二段階加工を実現可能なレーザー加工装置について説明する。
観察部50Bは、ステージ7に載置された被加工物10に対してステージ7の上方から落射照明光源S1からの落射照明光L1の照射と斜光照明光源S2からの斜光透過照明光L2の照射とを重畳的に行いつつ、ステージ7の上方側からの表面観察手段6による表面観察と、ステージ7の下方側からの裏面観察手段16による裏面観察とを、行えるように構成されている。
コントローラ1は、上述の各部の動作を制御し、被加工物10の加工処理を実現させる制御部2と、レーザー加工装置50の動作を制御するプログラム3pや加工処理の際に参照される種々のデータを記憶する記憶部3とをさらに備える。
レーザー加工装置50においては、加工処理に先立ち、観察部50Bにおいて、被加工物10の配置位置を微調整するアライメント動作が行えるようになっている。アライメント動作は、被加工物10に定められているXY座標軸をステージ7の座標軸と一致させるために行う処理である。係るアライメント処理は、上述した加工パターンでの加工を行う場合に、被加工物の結晶方位と加工予定線とレーザー光の走査方向とが各加工パターンにおいて求められる所定の関係をみたすようにするうえで重要である。
次に、異種材料付き基板である被加工物10に対する二段階加工を実現するためにレーザー加工装置50が備える具体的構成(主に、レーザー光源SLを含めた光学系5の構成)と、当該構成に基づくレーザー加工装置50の動作態様について説明する。二段階加工を実現するための光学系5の具体的な構成としては、主に2通りのものがあり、それぞれに、二段階加工を実現するための動作態様が異なる。以下、それぞれの態様の詳細について順次に説明する。
図12は、第1の態様において二段階加工に用いるレーザー加工装置50が備える光学系5の構成を、レーザー光源SLを含めて示す図である。なお、図12においては、図面視左右方向が、一の加工予定線に対する加工の際のステージ7の移動方向であるとする。
第2の態様は、第1の態様とは異なる構成によって二段階加工を実現するものである。図13は、第2の態様において二段階加工に用いるレーザー加工装置50が備える光学系5の構成を、レーザー光源SLを含めて示す図である。
ここまでは、光学系の構成の違いに伴う動作態様の違いについて説明したが、実際に異種材料付き基板である被加工物10に対して二段階加工を行うにあたっては、加工予定線の設定やアライメントなどを、本加工での劈開/裂開加工に採用する加工パターン(上述の第1ないし第3加工パターンのいずれか)に応じて適切に行う必要がある。あるいは、本加工の加工パターンに応じて、予備加工の条件等を調整する必要がある。以下、この点を説明する。
2 制御部
3 記憶部
4 固定シート
5 光学系
7 ステージ
7m 移動機構
10 被加工物
10a (被加工物の)載置面
50 レーザー加工装置
50A レーザー光照射部
51 ビームエキスパンダー
52 対物レンズ系
52e (出射源となる)対物レンズ
53 対物レンズ昇降機構
54 光路切替機構
101 下地基板
102 金属薄膜層
103 半導体層
C1〜C3、C11a、C11b、C21〜C24 劈開/裂開面
Ea (予備加工用レーザー光の)出射源
Eb (本加工用レーザー光の)出射源
L 加工予定線
LB レーザー光
LBa 予備加工用レーザー光
LBb 本加工用レーザー光
OP 光路
RE、RE1〜RE4、RE11〜RE15、RE21〜RE25 被照射領域
SL レーザー光源
Claims (19)
- レーザー光を発する少なくとも1つの光源と、
被加工物が載置されるステージと、
を備えるレーザー加工装置であって、
前記レーザー光として、予備加工用レーザー光と本加工用レーザー光とを選択的に照射可能であり、
前記本加工用レーザー光が、パルス幅がpsecオーダーの超短パルス光であり、
前記ステージが第1の方向と第2の方向とに移動可能とされてなり、
前記被加工物が下地基板の上に異種材料層が形成された異種材料付き基板である場合に、
前記ステージを前記第1の方向に移動させつつ前記予備加工用レーザー光を照射することにより、被照射領域において前記下地基板を露出させる予備加工を行い、
前記本加工用レーザー光の個々の単位パルス光ごとの被照射領域が前記下地基板の露出部分において離散的に形成されるように、前記ステージを前記第2の方向に移動させつつ前記本加工用レーザー光を前記被加工物に照射することによって、前記被照射領域同士の間で前記下地基板の劈開もしくは裂開を生じさせる本加工を行うことにより、前記被加工物に分割のための起点を形成する、
ことを特徴とするレーザー加工装置。 - 請求項1に記載のレーザー加工装置であって、
前記少なくとも1つの光源が、照射条件を違えることによって前記予備加工用レーザー光と前記本加工用レーザー光とを選択的に出射可能な単一の光源である、
ことを特徴とするレーザー加工装置。 - 請求項2に記載のレーザー加工装置であって、
前記光源から前記ステージに至る前記レーザー光の光路上に設けられてなり、前記レーザー光の焦点位置を調整する対物レンズ系、
をさらに備え、
前記予備加工の間は前記予備加工用レーザー光の焦点位置を前記被加工物の表面よりも上方に設定し、前記本加工の間は、前記本加工用レーザー光の焦点位置を前記下地基板の露出部分に一致させる、
ことを特徴とするレーザー加工装置。 - 請求項1に記載のレーザー加工装置であって、
前記少なくとも1つの光源が、前記予備加工用レーザー光を出射する第1の光源と前記本加工用レーザー光を出射する第2の光源であり、
前記被加工物を載置した前記ステージが前記第1の方向に移動する間は前記第1の光源から前記予備加工用レーザー光を出射して前記予備加工を行い、前記被加工物を載置した前記ステージが前記第2の方向に移動する間は前記第2の光源から前記本加工用レーザー光を出射して前記本加工を行う、
ことを特徴とするレーザー加工装置。 - 請求項4に記載のレーザー加工装置であって、
前記第1の光源から前記ステージに至る第1の光路での前記予備加工用レーザー光の照射と前記第2の光源から前記ステージに至る第2の光路での前記本加工用レーザー光の照射とを切り替え可能な光路切替手段、
をさらに備え、
前記光路切替手段から前記ステージまでの前記第1と第2の光路が共通化されてなる、
ことを特徴とするレーザー加工装置。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のレーザー加工装置であって、
前記被加工物に前記分割のための起点を形成する際に、異なる前記単位パルス光によって形成する少なくとも2つの被照射領域を、前記被加工物の劈開もしくは裂開容易方向において隣り合うように形成する、
ことを特徴とするレーザー加工装置。 - 請求項6に記載のレーザー加工装置であって、
全ての前記被照射領域を、前記被加工物の劈開もしくは裂開容易方向に沿って形成する、
ことを特徴とするレーザー加工装置。 - 請求項6に記載のレーザー加工装置であって、
前記少なくとも2つの被照射領域の形成を、前記被加工物の相異なる2つの前記劈開もしくは裂開容易方向において交互に行う、
ことを特徴とするレーザー加工装置。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のレーザー加工装置であって、
前記被加工物に前記分割のための起点を形成する際に、前記被照射領域を、前記被加工物の相異なる2つの劈開もしくは裂開容易方向に対して等価な方向において形成する、
ことを特徴とするレーザー加工装置。 - 下地基板の上に異種材料層が形成された異種材料付き基板である被加工物に分割起点を形成するための加工方法であって、
被加工物を第1の方向と第2の方向とに移動可能なステージに載置する載置工程と、
前記ステージを前記第1の方向に移動させつつ、所定の光源から出射させた予備加工用レーザー光を照射することにより、被照射領域において下地基板を露出させる予備加工工程と、
所定の光源から出射させた、パルス幅がpsecオーダーの超短パルス光である本加工用レーザー光の、個々の単位パルス光ごとの被照射領域が、前記下地基板の露出部分において離散的に形成されるように、前記ステージを前記第2の方向に移動させつつ前記本加工用レーザー光を前記被加工物に照射することによって、前記被照射領域同士の間で前記下地基板の劈開もしくは裂開を生じさせる本加工工程と、
を備えることを特徴とする被加工物の加工方法。 - 請求項10に記載の被加工物の加工方法であって、
前記予備加工用レーザー光と前記本加工用レーザー光とが照射条件を違えることによって単一の光源から選択的に出射可能とされてなる、
ことを特徴とする被加工物の加工方法。 - 請求項11に記載の被加工物の加工方法であって、
前記単一の光源から前記ステージに至る前記レーザー光の光路上に設けられた対物レンズ系によって、前記レーザー光の焦点位置が調整可能とされてなり、
前記予備加工工程の間は前記予備加工用レーザー光の焦点位置を前記被加工物の表面よりも上方に設定し、前記本加工工程の間は、前記本加工用レーザー光の焦点位置を前記下地基板の露出部分に一致させる、
ことを特徴とする被加工物の加工方法。 - 請求項10に記載の被加工物の加工方法であって、
前記予備加工工程においては、第1の光源から前記予備加工用レーザー光を出射して前記予備加工を行い、前記本加工工程においては、前記第1の光源とは異なる第2の光源から前記本加工用レーザー光を出射して前記本加工を行う、
ことを特徴とする被加工物の加工方法。 - 請求項13に記載の被加工物の加工方法であって、
前記第1の光源から前記ステージに至る第1の光路での前記予備加工用レーザー光の照射と前記第2の光源から前記ステージに至る第2の光路での前記本加工用レーザー光の照射とを所定の光路切替手段によって切り替え可能とし、
前記光路切替手段から前記ステージまでの前記第1と第2の光路を共通化する、
ことを特徴とする被加工物の加工方法。 - 請求項10ないし請求項14のいずれかに記載の加工方法であって、
異なる前記単位パルス光によって形成する少なくとも2つの被照射領域を、前記被加工物の劈開もしくは裂開容易方向において隣り合うように形成する、
ことを特徴とする被加工物の加工方法。 - 請求項15に記載の加工方法であって、
全ての前記被照射領域を、前記被加工物の劈開もしくは裂開容易方向に沿って形成する、
ことを特徴とする被加工物の加工方法。 - 請求項15に記載の加工方法であって、
前記少なくとも2つの被照射領域の形成を、前記被加工物の相異なる2つの前記劈開もしくは裂開容易方向において交互に行う、
ことを特徴とする被加工物の加工方法。 - 請求項10ないし請求項14のいずれかに記載の加工方法であって、
前記被照射領域を、前記被加工物の相異なる2つの劈開もしくは裂開容易方向に対して等価な方向において形成する、
ことを特徴とする被加工物の加工方法。 - 被加工物を分割する方法であって、
請求項10ないし請求項18のいずれかに記載の方法によって分割起点が形成された被加工物を、前記分割起点に沿って分割する、
ことを特徴とする被加工物の分割方法。
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