JP2012072154A - 微生物の光力学的抑制のための調製物及び該調製物の使用 - Google Patents

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Abstract

【課題】微生物の光力学的抑制のための調製物の提供。
【解決手段】液体又はペースト形態であり、染料を含み、且つ光を照射されたときに一重項酸素を産生する光増感剤を含有する調製物。微生物は、染料を用いて印を付けることが可能である。改善された光力学的抑制を可能とするために、前記調製物は、染料又は染料のナノ環境の化学的操作によって、一重項酸素の酸化的作用を増幅又は弱化するための活性成分を含有する。実施形態のある形態では、照射の前にリンス溶液が使用される。
【選択図】なし

Description

本発明は、請求項1に列記されている特徴に従う、微生物の光力学的抑制のための調製物に関する。本発明は、さらに、このような調製物の使用に関する。
光力学的療法(PDT:Photodynamic Therapy)から知られた、光活性化可能な物質を使用して、細菌などの微生物を抑制又は破壊するための処置及び方法が、WO01/87416号A1から公知である。光活性化可能な物質、特に色素を使用すると、微生物は増感及び/又は染色され、適切な波長とエネルギー密度を有する光を照射した後に、死滅する。選択的効果及び/又は微生物の染色後、PDTの作用の原理は、光活性化可能な物質(光増感剤とも称される。)へのエネルギーの転移の物理的作用を基礎としている。そこから、反応のためのエネルギーを、細胞膜に対して利用可能とすることができる。照射装置、特にレーザー装置を用いて生成されたエネルギーは、このため、微生物に対して集中され、「通常の」環境下、非照射条件でも起こる反応の平衡が崩され、その結果、微生物が破壊される。
さらに、疾病に関連し、及び歯と歯茎の間の領域中にある歯周ポケット中に存在する微生物を破壊することによる、口腔内の組織又は口腔内の創傷若しくは病変の消毒又は滅菌中に使用するための医薬の製造における、光増感物質又は化合物又は光増感剤(PS)の使用が、EP 0 637 976 B1から公知である。この場合には、光増感剤は組織、創傷又は病変に対して適用され、疾病に関連する微生物は光増感剤を吸収する。組織、創傷又は病変に、光増感剤が吸収する波長でレーザー光を照射する。この染色及びレーザーの組み合わせ処理に対する微生物の減少は、様々な微生物について、並びに、とりわけ、メチレンブルー及びトルイジンブルーを、様々な極めて小さな濃度で、具体的には、0.01から0.00125%(容量当たりの重量)で含む溶液の形態の光増感剤について記載されており、適用されるエネルギー密度の効果についても言及されている。634nmの波長及び7.3mWの出力を有するHeNeレーザー及び660nmの波長と11mWの出力を有するGaAsレーザーが、光源用に使用される。
光力学的治療は、以前には、主として癌の治療において使用されていた光化学的方法である。一般に「光力学的療法」という用語は、細胞、微生物及び分子の、光によって誘導された不活性化であると理解される。
この原理に対する変形が、微生物を抑制するために、今日使用されている−「抗微生物光力学的療法(APT:Antimicrobial Photodynamic Therapy)」。最終目標は、内在性(腫瘍)細胞を破壊することではなく、局所的な感染の精緻な抑制、微生物の抑制である。APTの作用の原理は、いわゆる光増感剤を使用するバイオフィルム中での微生物の選択的染色と、光増感剤に適合する適切なレーザーによる照射を用いた微生物の破壊に基づいている。
光増感剤のために使用可能な物質、例えば、チアジン色素は、適切な波長の光を吸収することが可能であり、これにより、励起されたいわゆる三重項状態へと変換することができる。
Figure 2012072154
発色団分子の基礎成分としての芳香族炭素環
全身的に適用可能な光増感剤は、主に、癌の治療において使用される。これらは、腫瘍に光増感剤を集積し、次いで、光による照射を用いて光増感剤を活性化するために、これらを内在性細胞に対して誘導し、ある種の薬理学的原理に従って、全身的に投与する。この適用は、表在感染を抑制するためのものとは、原理的に区別される。
ある物質が、この臨床用途のための効果的な光増感剤として使用可能であるためには、多数の要件を充足しなければならない。活性物質は、
1.無毒でなければならない。
2.適切な浸透特性と高い細菌親和性を保有しなければならない。
3.適切なスペクトル特性を有しなければならない。
4.適用が単純で、且つ安全でなければならない。
5.治療領域を完全にカバーしなければならない。
6.適切な粘度、可能な限り大きな揺変特性を保有しなければならない。
7.開放創に対しても使用可能でなければならない
8.使用するために、可能な限り無痛でなければならない。
9.高い三重項量子収率を達成しなければならない(高い一重項酸素の産生)
10.長時間安定でなければならない
11.薬事法に従って承認を受けなければならない
光増感剤は、光(エネルギー)をそれらの構造中に吸収し、次いで、化学的エネルギーとして、さらなる反応のために、再度利用可能とすることができる。次いで、励起された光増感剤分子の環境中に存在する酸素分子から、酸素の特別な励起された、及び極めて反応性の形態(いわゆる一重項酸素)が形成される。
原理的に、且つ簡略化された以下の反応が起こる。
Figure 2012072154
適切な光及び酸素の影響下において、増感物質は、所定の反応経路に従って反応する。抗微生物光力学的療法中に放射されるフォトンhは、その高い吸収性のために、微生物に結合された光増感剤(増感剤)を励起する(式1)。ナノ秒以内に、励起された増感剤分子は、式(2)に従って、さらに長い寿命を有する準安定状態の三重項状態へと変わる。三重項状態にある時間(マイクロ秒の範囲)は、他の励起状態(ピコ秒及びナノ秒の範囲)に比べて比較的長く、従って、例えば、励起エネルギーの酸素分子への転移などの、光化学的反応に対する出発点として理想的である。励起された酸素は、比較的長い寿命を有する、エネルギー的に上昇した一重項状態を採る(式3)。
抗微生物光力学効果の基礎原理は、このように、一重項酸素の、従って、反応性ラジカルの局所的な形成に基づいている。この活性化された一重項酸素は、主に、微生物の細胞壁中の分子の酸化を開始して、細胞融解を開始する。エネルギーの供給が途絶えると、活性化された分子の極めて短い寿命のために、このプロセスは、一秒未満で極めて迅速に停止する。このいわゆる光退色においては、光による光増感剤分子の破壊は検出することができず、組織中又は組織上に残存するので、エネルギー用量が3J/cm2ないし6J/cm2の範囲に存在すれば、もはや、光増感剤は、適用されるエネルギー用量によって消費されない。このため、例えば、日光に曝露された被処理領域は、望ましくない様式で反応を継続し、副次的効果を引き起こし得る。
国際公開第01/87416号 欧州特許第0637976号明細書
この点から進んで、本発明の目的は、微生物の改善された抑制が達成されるように、調製物をさらに開発することである。
この目的は、請求項1に記載されている特徴に従って達成される。
液体又はペースト形態において、その光吸収に関して色素の活性化又は非活性化と連動して、前記色素で細菌を染色する、本発明によって提案された調製物を使用することによって、発生する一重項酸素の酸化的効果の強化又は弱化が、色素又はそのナノ環境の化学的操作を用いて達成される。
本発明に従えば、例えば、フェノチアジン色素など(これに限定されない。)の光増感剤は、メチレンブルーに対する以下の記載のように、ナノ環境に応じて、様々な構造的に類似の形態で反応することが可能であると仮定される。
Figure 2012072154
メチレンブルーのロイコ型は、例えば、光活性でなく、無色であるのに対して、o−及びp−キノイド型は、適切な光増感剤である。
分子のナノ環境への精緻な変化を用いて、このように、化学的プロトン供与体を用いたプロトン化によって、吸収された光増感剤分子の作動又は作動停止が可能となるように、前記効果を意図的に作動及び作動停止することが可能である。
本発明の調製物は、単純な化学反応を用いて、活性型から不活性型へと可逆的に変換されることが可能であり、及びこの逆も可能な色素を含有する。治療の後、色素は、無害の分子として体内に存在し、分解されて、排泄され得る。他方、期間x(x=時間又は日)後になお残存し得る色素は、ナノ環境を精緻に変化させることによって、再度「活性化」することが可能である。
「スイッチング」に特に適する「スイッチング」物質の候補及び代謝における、還元剤としてのそれらの一般的な重要性について、以下で説明を加えるが、これによって限定をするものではない。
1.グルタチオン
還元された形態(GSH)及び酸化された(GSSG)形態のグルタチオンは、以下の構造を有する。
Figure 2012072154
グルタチオンは、細胞の代謝において異なる重要な役割を果たし、高濃度で存在するアミノ酸誘導体である。グルタチオンは、酸化還元サイクルに含まれ、その中で、グルタチオンは、酸化された形態(GSSG)及び還元された形態(GSH)で存在する。酸化されたグルタチオンは、ジスルフィド化合物によって互いにつながれた2つのトリペプチドを含むのに対して、還元されたチオール型は、1つの遊離スルフヒドリル基を有する単一のトリペプチドを表す。この酸化還元系では、GSSGのGSHへの還元は、グルタチオン還元酵素によって触媒される。平衡は、還元されたグルタチオンを好むように鋭く移動され、補因子として、NADPHが必要とされる。
動物細胞中では、体内生化学的プロセスにおいて、グルタチオンは多数の重要な地位を占め、抗酸化剤効果が、おそらく極めて重要である。さらに、グルタチオンは、システイン含有タンパク質の代謝において、膨大な役割を担っており、硫黄化合物によって触媒される酵素輸送の間、有毒な求電子剤の非活性化に関与している。
代謝において、GSHは、とりわけ、ヘモグロビン及び他の赤血球タンパク質のシステイン基を還元型で取得するためのスルフヒドリルバッファの作業を行っている。GSHの水準が僅かに低下しただけでも、通常の場合に比べて、血球が溶血し易くなることが示されているので、赤血球の天然構造にとって、還元されたグルタチオンが必須であることが、試験によって実証された。同様に重要なのは、正常なミトコンドリア機能を保持するためのグルタチオン酸化還元サイクルであり、このサイクルによって、ここでのGSHレベルは、カルニチンアシルカルミチン(acylcarmitine)転移酵素の活性と相関し、これにより、細胞中のグルタチオンの存在に対する指標となる。
グルタチオンは、好気的生物では避けられない過酸化水素及び天然の過酸化物などの副産物の産生中に、重要な解毒機能を有している。グルタチオンは、数多くの変化を誘発する酸素ラジカルを打ち消すための、細胞の特異的スカベンジャー系に関与している。このため、例えば、過酸化水素及び過酸化脂質は、多数の細胞中で生じる水と酸素を形成しながら、グルタチオンペルオキシダーゼによって触媒される還元されたグルタチオンとの反応で、グルタチオンサイクルにおいて代謝される。このようにして形成されたグルタチオン(GSSG)の酸化された二量体は、次いで、その後の酸化還元サイクルにおいて、再度、その後、GSHへと還元される。
これらの反応種による損傷に対する細胞内の保護における、還元されたグルタチオンとグルタチオンペルオキシダーゼの支持効果は、数多くの研究で確認された。
酸化剤の多すぎる数がグルタチオン代謝の能力を超えると、重い病態生理的結果が存在することが可能であり、次いで、これは、酸化的ストレスをもたらす。その後、解毒されていない酸化剤は、タンパク質、酵素、膜脂質及び核酸の構造を攻撃することが可能であり、このため、細胞機能を著しく制約する。
ミトコンドリア又は解糖経路は、解毒されなかった過酸化物のために、ATP合成の阻害を引き起こすことが可能である。それ自体、過剰になると損傷を引き起こし得るGSSG(タンパク質の、遊離のスルフヒドリル基との反応)の細胞内蓄積は、ATP依存性の担体関連機序の機能を使用して、迅速に還元される。
この場合には、保護物質としてのグルタチオンの重要性は、細胞に対する設計された保護機構へと後退し、この機構は、グルタチオン及び他の還元等価物を用いることによって、過酸化物の形成が(脂肪酸鎖上に)生じるのを妨げる。他の臓器の細胞同様、反応性化合物によってそれ自体が損傷されるのを保護するために、筋細胞も、グルタチオン酸化還元系の他に、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)及びカタラーゼを含有するこのような抗酸化酵素系が天然に搭載されている。グルタチオンが、そのチオール基からの水素原子を電子供与体として使用し、多くの炭素、酸素又は硝酸塩を有するラジカルに結合し、従って、該ラジカルを非活性化する能力のみが、抗酸化剤としての効力を作り出す。
グルタチオンは、心臓中で重要な抗酸化物質であり、このため、保護物質であることが明らかとなっているので、心筋梗塞時の外来グルタチオン供給の潜在的な治療的有用性の問題に関して、多数の科学的研究が存在する。
さらに、グルタチオンの外来供給の有用性が調べられた。この事例では、後に、非処置動物を用いて、酸化的ストレス後の損傷の程度を決定することを可能とするために、まず、強力なグルタチオン合成阻害剤を使用して、予め処置された動物(「ヨークシャーブタ」)の心筋のグルタチオンを消費させた。この外来グルタチオン供給を用いると、心筋のグルタチオン含量が虚血中に増加し、再灌流によって誘導された損傷又は心筋梗塞の程度が軽減され得るので、静脈内グルタチオン投与を使用すると、正の効果を得ることができた。単離された灌流心臓モデルに対する様々な他の研究も、灌流液のGSHを濃縮すると、明確に、虚血及び再灌流後に、心室機能のより優れた回復をもたらすことを示している。しかしながら、改善された機能は、細胞外グルタチオンの未だ説明されていない効果に比べて、細胞内GSHレベル(GSHは、効果的に、細胞中に輸送されることができない。)の増加に基づく程度が少ない。低酸素で損傷された尿細管のモデルに対する試験の後、外来グルタチオンの細胞保護的効果は、おそらく、GSHからの分解によって生じるグリシンによるものであり得ると結論付けられた。
グリシンについても、言及されなければならない。グリシンは、おそらく、還元された筋細胞の分解後に、グルタチオンが消費された心臓中で形成する。限られた表面活性特性を有し、特に心筋虚血時に蓄積する両親媒性分子であるアシルcoAの解毒へのグリシンの関与は、取るに足らないものではない。このため、光増感剤の本発明のプロトン化に関して、グルタチオンの「機能をスイッチすること」に加えて、局所組織に対する一重項酸素の効果に起因する、損傷に対する保護効果も存在する。
2.アスコルビン酸
アスコルビン酸は、以下の構造を有する。
Figure 2012072154
プロトン供与体及び受容体としてのアスコルビン酸
Figure 2012072154
構造的には、アスコルビン酸は、グルコース及びその他のヘキソースに関連する六員の炭素ケトラクトンであり、水溶性ビタミンである。体内において、アスコルビン酸は、デヒドロアスコルビン酸へと可逆的に酸化される。このため、アスコルビン酸は、電子供与体及び電子受容体として酸化還元平衡のフレームワーク中で作用し、これも、アスコルビン酸の主な生物作用に対する基礎である。著しい酸化還元プロセスが、L−アスコルビン酸(1−電子供与体として作用する。)とラジカルL−セミヒドロアスコルビン酸との間で生じる。
アスコルビン酸が代謝において遂行しなければならない数多くの他の作業に加えて、この場合には、内在性「スカベンジャー」としてのアスコルビン酸の重要性は、我々にとって最も興味深い。ラジカルスカベンジャーとしてのこの機能は、心筋への損傷などの可逆的及び不可逆的な組織損傷を極めて明瞭にもたらし得る酸素ラジカル及び他の有毒な酸素代謝物から細胞自身を保護するために、細胞に搭載されている特異的なスカベンジャー系から生じる。フリーラジカルは、様々な損傷の種類を引き起こすことができ、膜のリン脂質の過酸化及びスルフヒドリル化合物の酸化が間違いなく最も重要である。リン脂質過酸化の骨格中では、脂質ラジカル、脂質アルコキシルラジカル、脂質過酸化物及び脂質ヒドロペルオキシドなど様々なラジカル種が生じることが可能であるが、スルフヒドリル化合物の酸化の場合には、不可欠な膜輸送タンパク質及び酵素が不活性化され、それ自体が、ある種の電解質の蓄積を引き起こして、細胞損傷をもたらす。内在性保護システム中に結合されている抗酸化剤(アスコルビン酸の他に、ビタミンE及びα−トコフェロール)の補助を受けて、細胞は、爆発的なラジカル産生によって開始された継続的連鎖反応を調節又は終結しようと試みる。
アスコルビン酸は、生物環境中で最も高度な還元剤の一つである。
光力学的効果は、光増感剤のプロトン化及びラジカル連鎖反応の調節を用いて調節することが可能である。
3.ヒドロキノン>キノン
キノンは、ミトコンドリア(呼吸鎖)及び葉緑体(光合成)中で、酸化還元反応とともに作用する。ユビキノンとプラストキノンの間で区別が為され、これらは、キノン環上の側鎖基の差によって特徴づけられる。「コエンザイムQ」として、ユビキノンは、光合成の光化学系IIにおける主要な電子受容体として重要な地位を占めている。
Figure 2012072154
ヒドロキノン(HQと略記される。)も、例えば、写真の現像における還元剤又はプロトン供与体として使用することができる。
Figure 2012072154
4.アルコール及びアルデヒド
脱水されてアルデヒドになる一価又は多価アルコールも、プロトン供与体として作用することが可能である。例えば、プロパノール又はグリセリン。
2.5 還元剤として0.05ないし3%のNa溶液
6.酵素的調節:
光増感剤のプロトン化及び脱プロトン化も、例えば、キサンチン脱水素酵素を用いるなど、適切な酵素を用いて強化及び調節することが可能である。キサンチン脱水素酵素は、比較的低い基質特異性を有する酵素である。キサンチンオキシダーゼは、例えば、ホルムアルデヒド又はアセトアルデヒドから適切な受容体へ水素を伝達する。これは、例えば、先述したメチレンブルーを用いて行うことができる。酵素キサンチン脱水素酵素は、ウレタンを用いて阻害することも可能である。
スクシナート>フマラート段階(クエン酸サイクル中で起こる反応)を触媒するコハク酸脱水素酵素系を用いて、同様の反応を行うことも可能である。これは、スクシナートに類似する多数の物質を用いて、競合的に阻害することが可能である。
最もよく知られた、最も一般的な水素受容体は、ニコチンアミドアデニン二ヌクレオチド(NAD)である。
NAD+2e+2H<>NADH+H
又は、例えば、
NAD+R−CHOH−R’<>NADH+H+R−CO−R’
プロトンの一方は、NADによって、ニコチンアミド環へ直接結合され、他方は溶液中に残存する。
NDAは、補酵素である。NDAは、決して単独では作用せず、タンパク質への結合後にのみ作用する。NAD結合タンパク質(酵素)は、脱水素酵素クラスに属する。これらは全て、同一の化学反応を触媒するが(上記参照)、基質特異性の点で互いに異なる。このように、多くの他の脱水素酵素としては、アルコール脱水素酵素、乳酸脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、グリセリンアルデヒドホスフェート脱水素酵素などが存在する。
7.水素/重水素比を変更することによる一重項効果の強化
照射中に発生する一重項酸素も、水中に存在する水素原子によって迅速に消去される。自然の環境中では、化学的に等価な同位体である重水素は極めて稀である。化学的に等価な重水素によって、水素原子の一部を交換することによって、この消去は著しく減少され、このように、結合された励起状態の光増感剤分子及びこれらによって放出された一重項酸素のナノ環境が水素環境ではなく、むしろ重水素環境であるので、抗菌効果は強化される。一重項酸素の寿命が延びるということは、細菌膜分子に対する反応性が向上することを意味する。これは、0ないし100%の範囲で水素を重水素で置換することによって達成することが可能である。
本発明の特別な一実施形態は、それを用いることによって光力学的抑制がさらに最適化されるリンス溶液である。以下に、先述されている調製物及びリンス溶液の両方に対して、作用が記載されている。
微生物の光化学的不活化には、一連の複雑な化学反応が関与する。原理上、以下の3つの基礎的な反応が存在する。
・光化学的に活性な色素で目的の微生物を染色する
・適切な波長及びエネルギー密度の光で色素を活性化する
・必要とされる不活化反応の連なり(ラジカル/一重項酸素を用いた膜酸化)
このように、臨床工程にとっては、2つの工程が不可欠である。
・光増感色素による染色
・標的領域の照射
組織学的染色用の色素は、2つの不可欠な成分から構成される。
1.発色団群(色素担体)
例えば、アゾ−、ベンゼン化合物。
発色団群は化学物質を色素にすることはないが、目に対しては着色されたように見え得る。
第二の成分(助色団(発色補助)と呼ばれる。)は、このために必要とされる。
2.助色団(発色補助)
は、何れかの酸の基、例えば、
R−O(−)ヒドロキシル−、
R−COO(−)カルボキシル−、
R−NO2(−)ニトロ基であり、又は
塩基性の基、例えば、
R−NH3(+)基である。
助色団の種類が、酸又は塩基性色素としての分類を決定する。それらは、一般に、会合された塩の形態で存在する。
染色の理論(Harms)は、正に帯電された塩基性色素は、酸の細胞及び組織成分上に蓄積し、次いで、好塩基性の効果を示すことを述べている。反対に、負に帯電された酸色素は、正に帯電された、すなわち、好酸性の細胞中成分及び組織中成分に結合する。
Figure 2012072154
Robert Kochの業績を基礎として、Paul Ehrlichは、文献「“Ueber das Methylenblau und seine klinischbakterioskopische Verwertung”,Zeitschrift fuer klinische Medizin 1881;2;710−3」の中で、細菌を可視化するためのフェノチアジン色素の使用について記載した。色素溶液は、多かれ少なかれ、膜に対して特異的に反応する溶解された色素分子を含む。細菌は、メチレンブルーによって染色され、いわゆる単純染色で検出することが可能である。
微生物及び細胞の細胞膜は、高度に特異的な構造である。環境との相互作用は、局所的な濃度と電荷条件によって決定される。例えば色素の分子が反応するためには、膜との接触が必要とされる。
細菌のこの染色は、0.1%ないし1%の水溶液中で起こり、概ね、これらは、3ないし4のpHを有する。染色分子部分である色素陽イオンは、その正の表面電荷を用いて、細菌の壁上に堆積され、このため、これらの色素は生体染色色素とも呼ばれる。
色素反応は、一つには、染色されるべき試料のpHにも依存する。酸性pHは、塩基性のメチレンブルー(青色色素)との反応を強化する。
光化学的な細菌の活性化の間、蓄積された色素陽イオンは、レーザー光を吸収する「光化学機械」として使用され、化学的エネルギーへと変換され、この化学的エネルギーが、一重項酸素の産生のために使用される。
照射は、主に、適切な波長(波長は、色素に対する吸収極大に近づくべきである。)の選択ならびに十分な表面及びエネルギー密度の選択によって影響を受けるが、光の均一な空間分布によっても主に影響を受ける。これは、単一の領域中の歯、骨及び粘膜など、異なる光学特性を有する複雑な構造を処理しなければならない場合には、特に重要である。
驚くべきことに、微生物の光化学的不活化の効果は、第三の工程が導入されると、大幅に改善され得ることが示された。
本発明に従えば、適切なリンス溶液を用いて、色素溶液を濯いで除去することによって、染色後且つ照射前に、治療領域が調製される。
臨床試験では、歯周ポケット中に実証された細菌感染を有する患者の歯周ポケットを、メチレンブルーの0.1%溶液で濯ぎ、このようにして、そこに存在する細菌及び歯垢を染色した。
最後に、光学系を用いて、ポケットにレーザーを照射した後、できるだけ多くの残存色素を除去するために、水溶液で全てのポケットを完全に濯いだ。
リンス溶液で濯いだ後、残存する細菌コロニーを測定するために、ポケットから、再度試料を採取した。
拡張されたシリーズの試験の間、残存色素を除去するために慎重に濯いだ後、ポケットにレーザー及び光学を1分間再照射した。2人の患者に対して得られた細菌の計測数が表1に示されている。
Figure 2012072154
色素溶液を濯いで除去した後に再照射することによって、光化学的殺菌効果が驚くほど強化されることが明らかである。
色素を濯いで除去した直後、再照射せずに試料を採取した場合には、同様の効果を達成することはできなかった。このため、この効果は、細菌を「濯いで除去する」ことによっては達成されなかった。
濯ぎの後、2回照射することによっては、同等の効果を達成することができなかった。この効果は、照射量の増加に基づくものでもない。
このように、照射の効果は、照射の前にリンス溶液で治療領域を濯ぐことによって、驚くほど明瞭に改善された。
リンス溶液に対する重要なパラメータの研究は、治療領域の以下の化学的及び光学的パラメータが変化されたことを示した。
・pH
・イオン濃度
・光学的透明度
・タンパク質濃度
微生物の染色後、照射前に濯ぎを行うと、光学的及び化学的パラメータの精緻な調整によって、光の効果を改善することが可能であり、光化学的反応鎖に対して最も平穏な進行を確保することができる。
リンス溶液は、以下の特性の少なくとも一つを有するべきである。
・治療領域のpHは、微生物の染色にとって最も好ましい範囲である3ないし4の範囲から、一重項酸素形成にとって好ましい7ないし9の範囲まで変化する。一重項酸素の形成及び微生物の膜に対する酸化的攻撃は、pH3ないし4の範囲に比べて、7ないし9のpHを有する溶液では、最大5倍まで高い。
・イオン濃度は変化し、緩衝系は弱められる(例えば、血液及び唾液からの)。一重項酸素の形成は、pH5ないし6の無緩衝溶液又は弱緩衝溶液を用いることによって、同じpHを有する高度に緩衝された溶液と比較すると、量が2倍増加する。
・治療領域中の液体のエクスティンクションは減少する。色素溶液の濃度に依存して、1%のメチレンブルー溶液に対する200μmのコーティングは、光の95%吸収をもたらす。他方、色素分子が微生物の膜へ静電的に直接結合されれば、色素分子は治療という意味で活性である。光化学反応に対する決定的反応物質の寿命は、以下のとおりである。
・励起された光増感剤分子=1×10−9
・一重項酸素=1×10−4ないし10−7
反応性一重項酸素分子に対する平均自由行程長は約0.2nmである。従って、これらの反応オプションは、分子周囲のこの半径にも限定される。このため、遊離溶液中に残存する色素分子は、治療という意味では有用でなく、むしろ、吸光を増加することによって治療効果を妨害する場合さえある。
・これらは、一重項酸素及び形成されたラジカルに対して競合する反応対として作用することも可能であるので、止血効果を有し、及び/又は血漿タンパク質の濃度を一般的に減少する。
このため、以下の特性の少なくとも一つを有する水性又は非水性基剤を有するリンス溶液が提供される。
・7ないし9のpHを有し、
・緩衝系として作用することが可能であり得る化合物(例えば、ホスファート、シトラート、カルボナート)の濃度を含有せず、
・使用されるレーザー光のエクスティンクションを増加させず、
・色素溶液を効果的に濯いで除去し、
・止血効果を有する。
本発明に従えば、色素を含有し、又は色素である調製物は、治療を施す領域に、最初、高濃度で適用された後、リンス溶液、特に水又は可能な限り高い塩基性pHを有するリンス溶液を用いて濯ぎを行う。次いで、照射装置からの光を用いて照射を行い、生じる細胞損傷を、好ましい様式で最適化する。まず、治療を施す領域に高濃度で調製物を適用し、次いで、リンス溶液、特に、水及び/又は可能な限り高い酸素分圧を有するリンス溶液で濯ぎ、最後に、先述の光源から得られる光を用いて照射を行い、最適化された細胞損傷が好ましく生じることが、特に効果的であることが明らかとなった。さらに、治療を施す領域に、高濃度で調製物を適用した後、且つ光源から得られる光を用いた照射の前に、特に、拭き取り及び/又はブロッティング及び/又は吸引及び/又は吹き払いによって、調製物の量を減少させることが特に有用であることが明らかとなった。
光活性化可能な物質の適用は、ゆっくりと開始され、感染した組織領域の表面を覆うように、注射器を用いて適用される。感染した領域の表面が光活性化可能な物質の可能な限り薄いコーティングによって湿らされるように、その量を選択しなければならない。組織中の間隙及びポケットが完全に湿らされることを確保しなければならない。同様に、複雑な形態が存在する場合には、送風機を使用すべきである。光活性化可能な物質への曝露時間は少なくとも60秒である。過剰な溶液の同時吸引を用いて、少なくとも3秒間濯いだ後(色素の堆積を除去すべきである。)、照射装置で照射する。エネルギーの正しい量(照射)は、細菌抑制効果の観点から重要であり、このため、治療結果にとって重要である。
本発明に従って、調製物又は光増感剤(PS)に対する曝露時間(少なくとも60秒である。)が経過した後、過剰のPSを濯いで除去し、リンス溶液を同時に吸引する。このようにして、PS及び浸出液を除去し、残存する残留物のみが経口摂取のために利用可能となる。
Figure 2012072154
濯ぎ後の希釈及びPSの吸引の表
上記表から明らかであるように、PSの濯ぎ、希釈及び吸引を与えると、10倍の希釈によって0.5mgの物質が残存し、100倍の希釈を与えると、0.05mgがなお残存する。100倍希釈(水での濯ぎ)の場合、総残量が経口的に摂取され、再吸収されると仮定すると、65kgの平均仮定体重を有する成人では、これは、0.0008mg/kg体重、すなわち0.08μg/kg体重に相当するであろう。20kgの仮定体重を有する子供では、これは、0.0025mg/kg体重、すなわち2.5μg/kg体重となるであろう。
最大200mgに達する一日最大投与量が、解毒剤として使用される注射のために、1%溶液に対して与えられる。これは、成人の場合、約3mgのkg当たり一日投薬量を意味し、子供の場合、10mg/日/kgの投薬量を意味する。
1%溶液0.5mL中に、最大5mgのMBを溶解する。たとえ、患者がその全部を嚥下したとしても、約80μgのkg当たり一日投薬量にすぎず、子供の場合、250μgにすぎない。照射前の治療的に推奨される希釈を考慮しなければ、これは、解毒に対して推奨される投薬量の僅か約2.5%に等しい。
照射前の、調製物又は光増感剤(PS)の濯ぎによる除去に関する別の重要な因子は、与えられる光の波長域での調製物又は光増感剤(PS)の高い吸収である。組織上に静置されている100μmの調製物又は光増感剤の液体フィルムは、有効エネルギー密度を97%減少させることが、測定によって示される。ベール/ランペルトの法則に従えば、コーティング厚が倍増すると、光はさらに弱められる。このため、過剰な調製物又は光増感剤が存在する場合には、治療的に有効な照射は可能でない。
可能な限り最低のイオン濃度を有するリンス溶液、特に水による濯ぎのために、これによって作り出される浸透圧勾配の故、細菌及び/又は細胞膜が脅かされる。例えば、生理的食塩溶液は、比較的高いイオン濃度のために好ましくないと考えられることに留意すべきである。リンス溶液に対するpH値は、好ましくは、さらに塩基性である。リンス溶液に対するpH値は、好ましくは7ないし9のpHを有する。酸素分圧は、高いことが好ましい。本発明では、リンス溶液、特に調製された水道水は、濯ぎのために、4ないし6mg/Lの範囲の酸素分圧を有する。リンス溶液は、通常、最大14mg/Lまで、分子酸素が濃縮されている。さらに、本発明に従えば、過酸化物の濃縮、具体的には、好ましくは0.5%ないし3%の過酸化水素溶液が有用であることが明らかとなった。
低イオン濃度を有するリンス溶液で予め濯ぐために、レーザー光を用いた照射中に、最適な細胞損傷が達成される。本発明による調製物及びリンス溶液との組み合わせは、以下の3段階で、作業領域中のpHを精緻に変化させる。
・酸性域、特に、3から5の間のpHで染色する
・リンス溶液、特にアスコルビン酸を用いて、より酸性域中に調整、又は遮断する
・中性から弱塩基性域で、特に7から9の間のpHで照射する。

Claims (10)

  1. 色素又はそのナノ環境の化学的操作を用いて一重項酸素の酸化的効果を強化又は弱化するための活性物質を含有することを特徴とする、光によって照射されたときに一重項酸素を形成する色素を有する光増感剤を含有し、前記色素によって微生物が染色されることが可能である、液体又はペースト形態の、微生物の光力学的抑制のための調製物。
  2. 前記色素が、光吸収に関して、活性化可能又は不活化可能であることを特徴とする、請求項1に記載の調製物。
  3. 吸収された光増感剤分子が、化学的プロトン供与体を用いたプロトン化によって作動又は作動停止されることが可能であり、及び/又は光力学的効果が、前記光増感剤のプロトン化及びラジカル連鎖反応の調節を用いて調節されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の調製物。
  4. グルタチオンアスコルビン酸又はヒドロキノン又はキノン又はアルコール又はアルデヒド又は酵素又は水素又は重水素が、予め特定された及び/又は修飾可能な比で、活性物質として提供されることを特徴とする、請求項1ないし3の何れかに記載の調製物。
  5. 特に請求項1ないし4の何れかに記載の前記調製物の効力を改善するための物質を作製するための方法であって、前記物質が、治療領域のpHが、一重項酸素の形成に対して好ましい7ないし9の範囲に移動され、及び/又はイオン濃度が変化され、及び/又は緩衝系が弱化され、及び/又は治療領域中の液体のエクスティンクションが低減され、及び/又は局所止血効果が達成され、及び/又は血漿タンパク質の濃度が減少されるリンス溶液であることを特徴とする、前記方法。
  6. 水性及び/又は非水性基剤を有する前記リンス溶液が、以下の特性:
    −pHが7ないし9である;
    −緩衝系として作用し得るいかなる化合物の濃度を有さない;
    −使用される光のエクスティンクションが増加されない;
    −前記調製物及び/又は色素溶液が、効果的に濯ぎ除かれる;
    −止血効果を有する、
    の少なくとも一つを有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 前記光増感剤が溶媒中、特に、容量当たりの重量、0.1%を超える、好ましくは0.5%を超える濃度、特に、概ね、1%の濃度で使用され、及び/又は10%、好ましくは4%、特に3%の上限が前記濃度に対して提供されることを特徴とする、請求項1ないし4の何れかに記載の前記調製物の使用。
  8. 前記光増感剤が、最初、治療を施すべき領域へ高濃度で適用され、次いで、前記リンス溶液、特に水及び/又は可能な最低のイオン濃度を用いて行われ、及び、最後に、前記レーザー光を用いて前記照射が行われ、好ましくは、これにより、最適化された細胞の損傷が起こること、又は、前記光増感剤が、最初、治療を施すべき前記領域へ高濃度で適用され、次いで、溶媒、特に水、及び/又は可能な限り高い塩基性pHを用いて、濯ぎが行われ、及び、最後に、前記レーザー光を用いて前記照射が行われ、これにより、好ましくは最適化された細胞の損傷が起こること、を特徴とする、請求項5又は6に記載のリンス溶液と組み合わされた請求項7に記載の使用。
  9. 前記光活性化可能な物質が、最初、治療を施すべき領域へ高濃度で適用され、次いで、溶媒、特に水及び/又は可能な最高の酸素分圧を用いて濯ぎが行われ、及び、最後に、前記レーザー光を用いて前記照射が行われ、これにより、好ましくは最適化された細胞の損傷が起こること、又は、前記光活性化可能な物質が、最初、治療を施すべき部位へ高濃度で適用され、前記照射の後及び前に、拭き取り、ブロッティング、吸引又は吹き払いによって、色素の量が減少されること、を特徴とする、請求項7又は8に記載の使用。
  10. 前記リンス溶液が、特に、調製された水道水、4ないし6mg/Lの酸素分圧を有し、及び/又は分子酸素によって最大14mg/Lまで上げられていること、及び/又は、前記溶媒が過酸化物によって上げられていること、特に、0.5ないし3%の過酸化水素溶液によって上げられていることを特徴とする、請求項8又は9の何れかに記載の使用。
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