JP2012067908A - 鋼管用ねじ継手 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ボックス部材1のノーズ部内周面20は、軸方向断面視で内側に凸状の曲線をなし、該凸状の曲線は、雌ねじ部5に隣接する部分に相異なる曲率半径Rを有する内側に凸状の複数の円弧を順次接続してなる複合R曲線Nを、雌ねじ部5から遠ざかるにつれて円弧の曲率半径Rが大きくなり、かつ、円弧の接続点上の接線が接続相手の円弧のそれと一致するような曲線形状としてなり、ピン部材3のノーズ部外周面は、ボックス部材1との結合時にボックスノーズ内周面20と干渉するテーパ面20とした。
【選択図】図1
Description
これら、特許文献1,2に記載されるように、シール部位置をピンのねじ部位置近くに置き、ピンノーズ先端から離すことは、耐外圧性能、耐引張性能の向上とともに、ねじに対して安定的な性能を持たせる上で有効であり、それはFEMシミュレーション等からも確認できる。またシール部と不連続な形状となるピンノーズは、強い軸圧縮力が負荷された場合に、それ自体が変形し、ボックス部材のトルクショルダ部の塑性変形を軽減させる効果もある。しかし、一方で、不連続部に不正な変形が入ることもあり、これは締付けトルクに依存すると考えられる。
以上説明したように、従来提案されているねじ継手においては、未だ何らかの問題を有しており、上述した耐圧縮性能、耐曲げ性能、外圧シール性能など、ねじ継手への要求性能の多様化に十分応えるためには、更なる改良の余地がある。本発明は、このような事情に鑑みて、シール性と耐圧縮性、さらには、耐ゴーリング性を向上させた、鋼管用ねじ継手を提供することを目的とする。
(1) 雄ねじ部と、該雄ねじ部より管端側に延在するノーズ部と、該ノーズ部の先端に設けられたショルダ部とを有するピン部材と、
前記雄ねじ部とねじ結合される雌ねじ部と、前記ピン部材のノーズ部外周面に相対するノーズ部内周面と、前記ピン部材のショルダ部に当接するショルダ部とを有するボックス部材とを有し、
前記ねじ結合により前記ピン部材とボックス部材とが結合されてピン部材の前記ノーズ部外周面とボックス部材の前記ノーズ部内周面とがメタル‐メタル接触しその接触界面がシール面をなす鋼管用ねじ継手であって、
前記ボックス部材の前記ノーズ部内周面は、ボックス部材の軸方向断面視で内側に凸状の曲線をなし、該凸状の曲線は、相異なる曲率半径Rを有する内側に凸状の複数の円弧を順次接続してなる複合R曲線を、雌ねじ部から遠ざかるにつれて円弧の曲率半径Rが大きくなり、かつ、円弧の接続点上の接線が接続相手の円弧のそれと一致するような曲線形状としたものであり、
前記ピン部材の前記ノーズ部外周面は、ボックス部材との結合時にボックス部材の前記ノーズ部内周面と干渉するテーパ面とした
ことを特徴とする、鋼管用ねじ継手。
(2) 前記複合R曲線内の各円弧がなす角度は、前記雌ねじ部に近い円弧のものほど大きいことを特徴とする前記(1)に記載の鋼管用ねじ継手。
(3) 前記複合R曲線内の前記接続点のいずれかが前記テーパ面のタンジェントポイントになることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の鋼管用ねじ継手。
(4) 前記テーパ面は、継手の軸方向となす角度が10度以内であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
(5) 前記ピン部材のノーズ部の長さが20mm以上であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
(6) 前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とは、スタブフランク角度が0度〜30度の範囲内であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
(7) 前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とは、ロードフランク角度が−5度〜4度の範囲内であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
(8) 前記ショルダ部のショルダ角度が0度〜20度の範囲内であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
(9) 前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とは、ねじ隙間が0.01〜0.1mmの範囲内であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
(10) 前記(1)〜(9)のいずれかにおいて、相異なる曲率半径Rを有する複数の円弧を順次接続した複合R曲線に代えて、相異なる曲率半径Rを有する複数の円弧を直接もしくは線分を介して順次接続した複合R曲線としたことを特徴とする鋼管用ねじ継手。
ピンノーズ長さLは、20mm以上であることが好ましい。これによれば、シール部がピンノーズ先端から十分離間し、その結果、この離間距離範囲内の弾性変形により、シール部へのダメージをより大きく軽減できるため、シール性能の安定化に効果的である。シール性能が安定化するため、シール干渉量S(図1(c)参照)は、半径方向シール方式としては比較的小さくとることが可能であり、ゴーリングリスクが小さい。
スタブフランク角度γの好適範囲は0度〜30度であり、該好適範囲の下限はねじ部の耐ゴーリング性と工具寿命、締め付け性の観点から、上限は耐軸圧縮性の観点から、それぞれ定められた。
また、ショルダ部のショルダ角度δ(ショルダ部の継手軸方向の端面が継手軸直交面に対してなす角度であり、当該界面のピン外周側がピン内周側からみて継手軸方向外側に張り出す場合を正の角度とする)は、0度〜20度であることが好ましい。ショルダ角度が0度未満ではシール性能や、締め付け特性の点で不利となり、一方、20度超ではボックスショルダ部の塑性変形や、シール部の局所変形が発生し易いという点で不利となる。好ましくは15度以下が良い。更に状況に応じては、7度以下が好ましい。
また、比較として、
・比較例1:ボックス部材のシール部の内周面の母線を単一のRを有する凸状の曲線(図1に破線で示した単一R曲線M)形状とした場合、
・比較例2:ボックス部材のシール部の内周面の母線を複合R曲線としたが、円弧のRが雌ねじ部5から遠ざかるほど大きくなるという要件を満たさないとした場合、
について、同様に接触面積圧およびゴーリング指標を求めた。
3 ピン(ピン部材)
5 雌ねじ(雌ねじ部)
5a 雌ねじのねじ溝
7 雄ねじ(雄ねじ部)
7a 雄ねじのねじ山
8 ノーズ部(ピンノーズ)
11、13、40 シール部(詳しくはメタルタッチシール部)
12、14 ショルダ部(詳しくはトルクショルダ部)
18 ロードフランク面
19 スタブフランク面
20 ボックス部材のノーズ部内周面(ボックスノーズ内周面)
30 ピン部材のノーズ部外周面(ピンノーズ外周面)をなすテーパ面
40 シール部
40a 干渉域
Claims (10)
- 雄ねじ部と、該雄ねじ部より管端側に延在するノーズ部と、該ノーズ部の先端に設けられたショルダ部とを有するピン部材と、
前記雄ねじ部とねじ結合される雌ねじ部と、前記ピン部材のノーズ部外周面に相対するノーズ部内周面と、前記ピン部材のショルダ部に当接するショルダ部とを有するボックス部材とを有し、
前記ねじ結合により前記ピン部材とボックス部材とが結合されてピン部材の前記ノーズ部外周面とボックス部材の前記ノーズ部内周面とがメタル‐メタル接触しその接触界面がシール面をなす鋼管用ねじ継手であって、
前記ボックス部材の前記ノーズ部内周面は、ボックス部材の軸方向断面視で内側に凸状の曲線をなし、該凸状の曲線は、相異なる曲率半径Rを有する内側に凸状の複数の円弧を順次接続してなる複合R曲線を、雌ねじ部から遠ざかるにつれて円弧の曲率半径Rが大きくなり、かつ、円弧の接続点上の接線が接続相手の円弧のそれと一致するような曲線形状としたものであり、
前記ピン部材の前記ノーズ部外周面は、ボックス部材との結合時にボックス部材の前記ノーズ部内周面と干渉するテーパ面とした
ことを特徴とする、鋼管用ねじ継手。 - 前記複合R曲線内の各円弧がなす角度は、前記雌ねじ部に近い円弧のものほど大きいことを特徴とする請求項1に記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記複合R曲線内の前記接続点のいずれかが前記テーパ面のタンジェントポイントになることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記テーパ面は、継手の軸方向となす角度が10度以内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記ピン部材のノーズ部の長さが20mm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とは、スタブフランク角度が0度〜30度の範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とは、ロードフランク角度が−5度〜4度の範囲内であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記ショルダ部のショルダ角度が0度〜20度の範囲内であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とは、ねじ隙間が0.01〜0.1mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手。
- 請求項1〜9のいずれかにおいて、相異なる曲率半径Rを有する複数の円弧を順次接続した複合R曲線に代えて、相異なる曲率半径Rを有する複数の円弧を直接もしくは線分を介して順次接続した複合R曲線としたことを特徴とする鋼管用ねじ継手。
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