JP2012067126A - 血液製剤からソラレンを除去するための方法およびデバイス - Google Patents

血液製剤からソラレンを除去するための方法およびデバイス Download PDF

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Abstract

【課題】血液製剤からソラレンを除去するための方法およびデバイスを提供すること。
【解決手段】.以下の工程を含む血液製剤中の核酸含有病原菌を不活性化させる方法:
a)任意の順序で、i)ソラレン、ii)光活性化手段、iii)該病原菌に汚染されていることが疑われるインビボでの使用の為の血液製剤、を提供する工程;
b)該ソラレンを該血液製剤に添加して、ある濃度のソラレン溶液を調製する工程;
c)該溶液を光活性化手段で処理し、処理血液製剤を調製する工程であって、該病原菌が
不活性化され、かつ該溶液中の該ソラレン濃度の少なくとも一部がフリーである、工程;および
d)該処理血液製剤中の溶液でフリーである該ソラレン濃度の部分の実質的にすべてを除
去する工程。
【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、血液製剤から物質を除去するための方法および装置、さらに詳しくは、血小板機能に有意に影響することなく、血小板を含有する血漿からソラレンおよびソラレン光化学反応生成物を除去するための方法および装置に関する。
背景
血液供給内の病原体汚染は世界中で重要な医学的問題のままである。B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、およびHIVについての改良された試験方法は輸血関連病の発生を顕著に減少させたが、公衆はこれらのウイルスの輸血関連伝播の場合の公表性のため血液供給の安全性に信頼性を失いつつある。
例えば、HCVについての血液試験の最近の導入は、このウイルスの伝播を低下させるであろうが、恐らく感染性である血液ユニットの検出の67%に過ぎない感度を有する。HCVは輸血関連肝炎の90%の原因である。Melnick,J.L.,Abstract of Virological Safety Aspects of Plasma,Cannes,11月3〜6日(1992)(9頁)。適した試験では、感染の危険は輸血された3300ユニットのうち1であると見積もられる。
同様に、より感度の良い血清学的アッセイはHIV−1およびHBVに適するが、これらの病原体はそれにも拘わらず血清反応陰性血液ドナーによって伝播され得る。国際フォーラム:Vox Sang 32:346(1977)。Ward,J.W.ら,N.Engl.J.Med.,318:473(1988)。全輸血関連肝炎の多くとも10%、およびひどい黄疸ケースの25%が、B型肝炎表面抗原(HBasAg)陰性ドナーによって伝播されたHBVに起因する。現在、輸血関連HIV感染の15例が、HIV−1に対する抗体について陰性と予備試験された血液の受容者の間で、Center for Disease Control(CDC)によって報告されている。
さらに、他のウイルス、細菌、および薬剤は輸血の安全性について規定通りには試験されず、輸血の安全性に対する潜在的脅威は残っている。Schmunis,G.A.,Transfusion 31:547−557(1992)。加えて、試験は、ドナー集団に侵入し得る将来の未知病原体に対する血液提供の安全性を保証せず、この結果、感度良好な試験が実施できるようになる前に輸血関連伝播が起こることとなる。
血清変換試験が十分なスクリーニングであったとしても、それらは、利用する際現実的ではないであろう。例えば、ヒトにおけるCMV(ヘルペスウイルス)およびパルボB19ウイルスは一般的である。それらが健康で免疫能の正常な成人で発生した場合、それらはほとんど常に無徴候血清変換をもたらす。集団のかかる大部分は血清反応陽性であるので、陽性ユニットの排除の結果、血液供給の実質的制限をもたらす。
血液製剤を介するウイルス病の伝播を排除するためのもう1つのアプローチは、輸血製品中の病原体を不活性化する手段を開発することである。血液製剤中の感染性病原体を不活性化するための効果的技術の開発は、血液供給の安全性を改良し、恐らくは、低頻度病原体については、最近導入されたHIV−2試験のごとき新しい試験の導入を遅らせる可能性を供する。結局は、除染技術は血液製剤のコストをおおいに下げ、稀な血液製剤の利用性を増大させる。
有用であるためには、かかる不活性化方法は、i)血液製剤が輸血される機能に悪影響を与えてはならず、ii)血液製剤中の存在する病原体を徹底的に不活性化しなければならず、そしてiii)血液製剤の受容者に悪影響を与えてはならない。無赤血球血液製剤中のウイルス病原体の不活性化または排除につきいくつかの方法が報告されている。しかしながら、これらの技術のほとんどが、血小板(重要な血液製剤)の機能の維持に完全には適合しない。これらの技術の例は加熱(Hilfenhous,J.ら,J.Biol.Std.70:589(1987))、溶媒/界面活性剤処理(Horowitz,B.ら,Transfusion 25:516(1985))、ガンマ線照射(Moroff,G.ら,Transfusion 26:453(1986))、ベータプロプリオラクトンと組み合わせた紫外線照射(Prince A.M.ら,Reviews of Infect.Diseases 5:92−107(1983))、ヘマトポルフィリンと組み合わせた可視レーザー光(Matthews J.L.ら,Transfusion 28:81−83(1988);North J.ら,Transfusion 32:121−128(1992))、光活性色素アルミニウムフタロシアニンおよびメロシアニン540の使用(Sieber F.ら,Blood 73:345−350(1989);Rywkin S.ら,Blood 78(補遺1):352a(アブストラクト)(1991)または紫外線単独(Proudouz,K.N.ら,Blood 70:589(1987))である。
他の方法は、紫外線の存在下でソラレンのごときフロクマリンで処理することによってウイルス病原体を不活性化する。ソラレンは、フラン環とクマリンとの直線状縮合によって形成される三環性化合物である。ソラレンは二本鎖核酸の塩基対の間にインターカレートでき、長波長紫外線(UVA)の吸収に際して、ピリミジン塩基への共有結合付加生成物を形成する。G.D.Ciminoら,Ann.Rev.Biochem.54:1151(1985);Hearstら,Quart Rec.Biophys.17:1(1984)。対向ストランドにソラレン−ピリミジン一付加生成物(モノアダクト)に隣接して第2のピリミジンがある場合、第2のフォトンの吸収によりストランド間架橋として機能する二付加生成物(ダイアダクト)の形成に至る。S.T.Isaacsら,Biochemistry 16:1058(1977);S.T.Isaacsら,Trends in Photobiology(Plenum) 279−294頁(1982);J.Tessmanら,Biochem.24:1669(1985);Hearstら,米国特許第4,124,598号、同第4,169,204号および同第4,196,281号。出典明示してこれらを本明細書の一部とみなす。
共有結合したソラレンはDNA複製の阻害剤として作用し、かくして、複製プロセスを停止させる能力を有する。このDNA結合能力のため、ソラレンは無病原体血液供給を生産し維持することにおける固有の問題を解決することに関して特別に興味深い対象である。いくつかの公知のソラレンはいくつかの血液製剤でウイルスを不活性化することが示されてきた。出典明示して本明細書の一部とみなすH.J.Alterら,The Lancet(ii:1446)(1988);L.Linら,Blood 74:517(1989)(除染血小板濃縮液);G.P.Wiesehahnら,米国特許第4,727,027号および同第4,748,120号は、8−メトキシソラレン(8−MOP)および照射の組合せの使用を記載している。P.Morelら,Blood Cells 18:27(1992)は、300μg/mLの8−MOPと紫外線の10時間の照射は、ヒト血清中のウイルスを効果的に不活性化できることを示す。8−MOPおよびアミノメチルトリメチルソラレン(AMT)を用いる同様の研究が他の研究者によって報告されてきた。Dodd R Yら,Transfusion 31:483−490(1991);Margolis−Nunno,H.ら,Thromb Haemostas 65:1162(アブストラクト)(1991)。事実、本発明で用いるものと異なる条件下にて、かつ従前に知られたソラレン誘導体を用いて、HBV、HCVおよびHIVを含めた広範囲スペクトルの微生物の光不活性化が確立されてきた[Hanson,C.V.,Blood Cells,18:7−24(1992);Alter,H.J.ら,The Lancet ii:1446(1988);Margolis−Nunno,H.ら,Thromb Haemostas 65:1162(アブストラクト)(1991)]。
ソラレン光不活性化は、ウイルスを不活性化するソラレンの能力が、完全に不活性化が起こる安全域を保証するのに十分である場合のみ可能である。他方、ソラレンは、血液製剤に損傷を引き起こすようであってはならない。丁度述べた方法は、公知のソラレンを用いて利用されると、血液製剤に対する損傷を回避するためには困難で費用のかかる手法の使用が必要である。例えば、いくつかの化合物およびプロトコルは、照射の間に生じる酸素ラジカルから血液製剤に対する損傷を防止するために、光に曝露する前に反応物から分子酸素を除去することを必要とする。L.Linら,Blood 74:517(1989);Wiesehahnに対する米国特許第4,727,027号参照。これは費用がかかり、時間を消費する手法である。
最後に、光化学除染(PCD)で使用されるいくつかの通常に知られた化合物は、ウイルスを殺す能力が増大するにつれ増大するように見える望ましくない変異原性を示す。換言すれば、公知の化合物がより効果的にウイルスを不活性化すれば、該化合物は受容者に対してより有害であり、かくして、それらはインビボ使用では製品の不活性化系においていずれの時点でも有用性が低い。
新しいソラレン化合物が要望されており、新しいソラレン化合物は、それが使用される血液製剤に対して有意な損傷を引き起こすことなく、かつ酸素を除去する必要なくして、それにより血液除染方法において病原体の安全で完全な不活性化を確実とする、病原体を不活性化する改良された能力および低い変異原性を示す。加えて、適当なソラレンによって生じた光化学反応生成物および残存レベルのソラレンの両方を血液製剤から除去することができ、それにより、かかる血液製剤のPCD処理の効果的で経済的な広く行き渡る使用を可能とする装置が要望される。
発明の要旨
本発明は、新しいソラレン、ならびに変異原性には関連せず、紫外線の存在下で病原体を不活性化する能力が増強された新しいソラレンの合成方法を提供する。また、本発明は、インビボおよびインビトロにて、特に、血液製剤および合成培地中の血液製剤で使用される健康関連製品において病原体を不活性化する新しい化合物および公知の化合物を使用する方法を提供する。
本発明は、以下の順序で、a)任意の順序で、i)4’−第一級アミノ置換ソラレンおよび5’−第一級アミノ置換ソラレンよりなる群から選択される化合物を含む合成培地;ii)該化合物を光活性化するための光活性化手段;およびiii)核酸を有する病原体で汚染されたことが疑われる血小板調製物を供する工程、b)該合成培地を該血小板調製物に添加する工程、次いで、c)該化合物を光活性化して、該血小板調製物の生物学的活性を有意に変化させることなく、該病原体核酸の実質的に全ての複製を妨げる工程を包含する血小板調製物中の病原体を不活性化する方法を企図する。該病原体はウイルスまたは細菌であってよい。その核酸は一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAであってよい。光活性化手段は、180nmおよび400nmの間の波長を含む所与の強度の電磁放射線のスペクトルを放射できる光活性化装置を含む。該強度は1〜30mW/cmの間であってよく、血小板調製物は1秒および30分間の間、該強度に曝露される。電磁放射線のスペクトルは320nmおよび380nmの間の波長であってよい。
1つの具体例において、該化合物は低変異原性を示す。該化合物は0.1μM〜250μMの間の濃度で血小板調製物に添加される。該方法は分子酸素の濃度を制限することなく行うことができる。
4’−第一級アミノ置換ソラレンは、a)
[式中、R、RおよびRは、独立して、OおよびNHよりなる群から選択され、ここに、uは1ないし10の整数であり、wは1ないし5の整数であり、xは2ないし5の整数であり、yは2ないし5の整数であり、zは2ないし6の整数である]よりなる群から選択される4’位炭素原子上の置換基R;およびb)各々、独立して、Hおよび(CHCH[ここに、vは0ないし5の整数である]よりなる群から選択される、4、5’および8位炭素原子上の置換基R、RおよびR;あるいはその塩を含むことができる。
また、5’−第一級アミノ置換ソラレンは、a)
[式中、R、RおよびRは、独立して、OおよびNHよりなる群から選択され、ここに、uは1ないし10の整数であり、wは1ないし5の整数であり、xは2ないし5の整数であり、yは2ないし5の整数であり、zは2ないし6の整数である]よりなる群から選択される5’位炭素原子上の置換基R;およびb)各々、独立して、Hおよび(CHCH[ここに、vは0ないし5の整数である]よりなる群から選択される、4、4’および8位炭素原子上の置換基R、RおよびR;あるいはその塩を含むことができ、ここに、Rが−(CH−NHから選択される場合、RはHである。
最後に、5’−第一級アミノ置換ソラレンは、a)
[式中、R、RおよびRは、独立して、OおよびNHよりなる群から選択され、ここに、uは3ないし10の整数であり、wは1ないし5の整数であり、xは2ないし5の整数であり、yは2ないし5の整数であり、zは2ないし6の整数である]よりなる群から選択される5’位炭素原子上の置換基R;およびb)各々、独立して、Hおよび(CHCH[ここに、vは0ないし5の整数である]よりなる群から選択される、4、4’および8位炭素原子上の置換基R、RおよびR;あるいはその塩を含むことができる。
1つの具体例において、少なくとも2つの化合物が存在する。もう1つの具体例において、合成培地は、さらに、酢酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムおよび塩化マグネシウムを含み、また、マンニトールおよび/またはグルコースを含むことができる。
1つの具体例において、合成培地は、第1の血液バッグに含まれ、該血小板調製物は第2のバッグに含まれ、合成培地は、滅菌連結を介して、第1の血液バッグからの合成培地を第2の血液バッグに絞り出すことによって、工程(b)において血小板調製物に添加される。
好ましい具体例において、該化合物は5’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,4’,8−トリメチルソラレンまたは4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンである。
1つの具体例において、前記した方法は、静脈内注入によって該血小板調製物を哺乳動物に投与することを含む。
本発明は、以下の順序で、a)任意の順序で、i)第1の血液バッグに含まれた、緩衝化生理食塩水ならびに4’−第一級アミノ置換ソラレンおよび5’−第一級アミノ置換ソラレンよりなる群から選択される低変異原性を示す化合物を含む合成培地:ii)該化合物を光活性化するための光活性化手段;およびiii)第2の血液バッグに含まれた、核酸を有する病原体で汚染されたことが疑われる血小板調製物を供する工程;b)滅菌連結手段を介して該合成培地を該第1の血液バッグから該第2の血液バッグに絞り出すことによって、該合成培地を該血小板調製物に添加する工程;次いで、c)該化合物を光活性化させて、該血小板調製物の生物学的活性を有意に変化させることなく、該病原体核酸の実質的に全ての複製を妨げる工程を包含する、血小板調製物中の病原体を不活性化する方法を企図する。該病原体はウイルスまたは細菌であってよい。その核酸は一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAであってよい。光活性化手段は、180nmおよび400nmの間の波長を含む所与の強度の電磁放射線のスペクトルを放射できる光活性化装置を含む。該強度は1および30mW/cmの間であってよく、血小板調製物は1秒〜30分の間、該強度に曝露される。電磁放射線のスペクトルは320nm〜380nmの間の波長であってよい。
1つの具体例において、該化合物は低変異原性を示す。該化合物は0.1μM〜250μMの間の濃度で血小板調製物に添加することができる。該方法は分子酸素の濃度を制限することなく行うことができる。
4’−第一級アミノ置換ソラレンは:a)
[式中、R、RおよびRは、独立して、OおよびNHよりなる群から選択され、ここに、uは1ないし10の整数であり、wは1ないし5の整数であり、xは2ないし5の整数であり、yは2ないし5の整数であり、zは2ないし6の整数である]
よりなる群から選択される4’位炭素原子上の置換基R;およびb)各々、独立して、Hおよび(CHCH[ここに、vは0ないし5の整数である]よりなる群から選択される、4、5’および8位炭素原子上の置換基R、RおよびR;あるいはその塩を含むことができる。
また、5’−第一級アミノ置換ソラレンは、a)
[式中、R、RおよびRは、独立して、OおよびNHよりなる群から選択され、ここに、uは1ないし10の整数であり、wは1ないし5の整数であり、xは2ないし5の整数であり、yは2ないし5の整数であり、zは2ないし6の整数である]
よりなる群から選択される5’位炭素原子上の置換基R;およびb)各々、独立して、Hおよび(CHCH[ここに、vは0ないし5の整数である]よりなる群から選択される、4、4’および8位炭素原子上の置換基R、RおよびR;あるいはその塩を含むことができ、ここに、Rが−(CH−NHを含む群から選択される場合、RはHである。
最後に、5’−第一級アミノ置換ソラレンは、a)
[式中、R、RおよびRは、独立して、OおよびNHよりなる群から選択され、ここに、uは3ないし10の整数であり、wは1ないし5の整数であり、xは2ないし5の整数であり、yは2ないし5の整数であり、zは2ないし6の整数である]
よりなる群から選択される5’位炭素原子上の置換基R;およびb)各々、独立して、Hおよび(CHCH[ここに、vは0ないし5の整数である]よりなる群から選択される、4、4’および8位炭素原子上の置換基R、RおよびR;あるいはその塩を含むことができる。
1つの具体例において、少なくとも2つの化合物が存在する。もう1つの具体例において、合成培地は、さらに、酢酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムおよび塩化マグネシウムを含み、また、マンニトールおよび/またはグルコースを含むことができる。
1つの具体例において、合成培地は、第1の血液バッグに含まれ、血小板調製物は第2のバッグに含まれ、合成培地は、滅菌連結を介して、第1の血液バッグから合成培地を第2の血液バッグに絞り出すことによって、工程(b)において血小板調製物に添加される。
好ましい具体例において、該化合物は5’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,4’,8−トリメチルソラレンまたは4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンである。
1つの具体例において、前記した方法は、静脈内注入によって該血小板調製物を哺乳動物に投与することを含む。
また、本発明は、a)4,8−ジアルキル−7−(1−メチル−2−オキソプロピルオキシ)ソラレンを供する工程;d)4,8−ジアルキル−4’,5’−ジメチルソラレンを四塩化炭素中で撹拌して、4,8−ジアルキル−5’−ブロモメチル−4’−メチルソラレンを得る工程を包含する、クロロメチル化を行うことなく、4,8−ジアルキル−5’−ブロモメチル−4’−メチルソラレンを合成する方法を企図する。a)4,8−ジアルキル−7−(1−メチル−2−オキソプロピルオキシ)ソラレンを供する工程;d)4,8−ジアルキル−4’,5’−ジメチルソラレンを塩化メチレン中で撹拌して4,8−ジアルキル−4’−ブロモメチル−5’−メチルソラレンを得る工程を包含する、クロロメチル化を行うことなく、4,8−ジアルキル−4’−ブロモメチル−5’−メチルソラレンを合成する方法も企図される。
式:
を有する新規化合物またはその塩も企図される。
最後に、本発明は、抗ウイルス特性を有する組成物を企図する。最初のものは、4’−第一級アミノ置換ソラレンおよびインビボ使用に適した血小板の水溶液を含む。1つの具体例は、さらに合成培地を含み、この合成培地は、酢酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムおよび塩化マグネシウムを含み、所望によりマンニトールまたはグルコースを含んでもよい。4’−第一級アミノ置換ソラレンよりもむしろ5’−第一級アミノ置換ソラレンを含むこれらの同組成物が企図される。
また、45〜100mM塩化ナトリウム;
4〜5mM塩化カリウム;
10〜15mMクエン酸ナトリウム;
20〜27mM酢酸ナトリウム;
0〜2mMグルコース;
0〜30mMマンニトール;
ほぼ20mMのリン酸ナトリウム;
2〜3mM塩化マグネシウム;および
4’−第一級アミノソラレンおよび5’−第一級アミノソラレンよりなる群から選択されるほぼ0.1〜ほぼ250μMの間の濃度のソラレン
の水溶液を含む新規合成血小板貯蔵培地も企図される。
本発明は、任意の順序で、ソラレン、光活性化手段、少なくとも1種の病原体で汚染されたことが疑われるインビボ使用を意図した血液製剤を供する工程、ソラレンを血液製剤に添加して特定の濃度のソラレンの溶液を生成する工程、該溶液を光活性化手段で処理して処理後血液製剤を生成する工程であって、ここに病原体は不活性化され、ここに、ソラレン濃縮物の少なくとも一部は溶液中で遊離している、工程;および、処理後血液製剤において溶液中に遊離しているソラレン濃縮物の一部の実質的に全てを除去する工程を包含する、血液製剤中の核酸含有病原体を不活性化する方法を提供する。
1つの具体例おいて、除去工程は、処理後血液製剤を樹脂と接触させる工程を包含する。限定されるものではないが、吸着剤、ポリスチレン、ポリアクリルエステル、シリカ、活性炭、およびポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)で被覆した活性炭を含めた、種々の樹脂が本発明で使用されると考えられる。別の具体例において、接触工程は、樹脂を含有するインラインカラムに血液製剤を灌流させる工程を包含する。
もう1つの具体例において、本発明の方法は、血液製剤をインラインカラムに通した後に、血液製剤をインラインカラムに流体接触したフローアダプターに通す工程を包含する。もう1つの具体例において、接触は、樹脂を含有するバッグ中で起こる。特に好ましい具体例において、樹脂をバッグ中のメッシュエンクロージャー(mesh enclosure)内に含有させ、ここに、該メッシュエンクロージャーは、血液製剤が樹脂と接触するように適合させられる。
もう1つの具体例において、本発明の方法は、さらに、パーティションがバッグの外部にバッグと接触して設けられる工程を包含し、ここに、該パーティションは、血液製剤をメッシュエンクロージャーから分離するように適合させられ、また所定の時間にバッグから除去されるように適合させられる。別の具体例において、該方法は、さらに、樹脂含有バッグを振盪装置で混合する工程を包含する。限定されるものではないが、4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンを含めた種々のソラレン化合物が本発明で有用であることが企図される。また、限定されるものではないが、血小板、血漿、赤血球、および白血球、ならびに全血を含めた、任意の血液成分を血液製剤が含むことが企図される。
もう1つの具体例において、本発明は、任意の順序で、4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレン、光活性化手段、病原体に汚染されたことが疑われるインビボ使用を意図した血小板混合物を供する工程、4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンを血小板混合物に添加して特定の濃度の4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンの溶液を生成する工程;該溶液を光活性化手段で処理して処理後血小板混合物を生成する工程であって、ここに病原体は不活性化され、4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレン濃縮物の少なくとも一部は溶液中で遊離している、工程;および、処理後血小板混合物において溶液中に遊離した4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレン濃縮物の一部の実質的に全てを除去する工程を包含する、血液製剤中の核酸含有病原体を不活性化する方法を提供する。
この方法の1つの具体例において、除去工程は、処理後血小板混合物を樹脂と接触させる工程を包含する。本発明は、樹脂と接触させることで、2時間で4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンの99%超を除去することを企図する。限定されるものではないが、吸着剤、ポリスチレン、ポリアクリルエステル、シリカ、活性炭、およびポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)で被覆した活性炭を含めた、種々の樹脂が本発明で使用されることが企図される。別の具体例において、接触工程は、樹脂を含有するインラインカラムに血液製剤を灌流させることを包含する。さらにもう1つの具体例において、この方法は、さらに、血液製剤をインラインカラムに通した後に、血液製剤をインラインカラムと流体接触したフローアダプターに通す工程を包含する。
この方法のもう1つの具体例において、接触工程は、樹脂を含有するバッグ内で起こる。好ましい具体例において、樹脂をバッグ中のメッシュエンクロージャー内に含有させ、ここに、該メッシュエンクロージャーは、血液製剤を樹脂と接触させるように適合させられる。もう1つの好ましい具体例において、該方法は、さらに、パーティションがバッグの外部でバッグと接触して設けられる工程を包含し、ここに、該パーティションは、血液製剤をメッシュエンクロージャーから分離するように適合させられ、また該パーティションが所定の時間にバッグから除去されるように該パーティションが適合させられる。この方法は、さらに、樹脂含有バッグを振盪装置で混合する工程を包含することが企図される。
また、本発明は、血液除染システムを提供し、この血液除染システムは、第1の血液バッグおよびソラレンを除去できる樹脂を除去できるインラインカラムを含み、ここに、該インラインカラムは第1血液バッグと流体連絡した入力端部、出力端部、およびキャパシティーを有する。1つの具体例において、出力端部は、第2血液バッグと流体接触している。好ましい具体例において、インラインカラムのキャパシティーはほぼ5〜10mLである。もう1つの具体例において、該方法は、さらに、インラインカラムと流体接触して位置付けされ、かつインラインカラムの出力端部の後であって第2のバッグの前に位置付けされたフローアダプターを含む。
この方法の1つの具体例において、除去工程は、処理後血小板混合物を樹脂と接触させる工程を包含する。限定されるものではないが、吸着剤、ポリスチレン、ポリアクリルエステル、シリカ、活性炭、およびポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)で被覆した活性炭を含めた、種々の樹脂が本発明で使用されることが企図される。別の具体例において、接触工程は、樹脂を含有するインラインカラムに血液製剤を灌流させる工程を包含する。さらにもう1つの具体例において、この方法は、さらに、血液製剤をインラインカラムに通した後に、血液製剤をインラインカラムと流体接触したフローアダプターに通す工程を包含する。
また、本発明は、生体適合性ハウジング、およびソラレンを除去できる樹脂を含有する該ハウジング内の区画を含む血液バッグを提供する。1つの具体例において、血液バッグは、さらに、該区画内に配され、かつ樹脂を含有するメッシュエンクロージャーを含み、ここに、該メッシュエンクロージャーは、血液製剤を樹脂と接触させるように適合させられる。メッシュエンクロージャーは該区画内の位置に指定することが企図される。
別の具体例において、該血液バッグは、さらに、該生体適合性ハウジングの外部に該生体適合性ハウジングと接触して設けられたパーティションを含み、ここに、該パーティションが血液製剤をメッシュエンクロージャーから分離し、所定の時間にバッグから該パーティションが取り出されて、血液製剤を樹脂と接触させるように該パーティションが適合させられる。さらにもう1つの具体例において、該血液バッグは、さらに、該生体適合性ハウジングと流体接触し、かつ50〜100μmメッシュフィルターを有するフローアダプターを含む。本発明の樹脂は、限定されるものではないが、吸着剤、ポリスチレン、ポリアクリルエステル、シリカ、活性炭、およびポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)で被覆した活性炭を含めた種々の物質を含むことが企図される。
種々の血液バッグが使用されることが企図される。血液バッグが特定タイプまたは入手源に限定する意図はない。事実、いずれの商業的入手源から得られた血液バッグも本発明で有用であることが企図される。また、本発明の光活性化装置はいずれの商業的入手源から得られるものであってもよいことが企図される。かくして、本発明はいずれか1つの入手源の血液バッグまたは光活性化装置に限定する意図はない。
本発明は、a)生体適合性ハウジング;b)血液製剤からソラレンを除去できる樹脂であって、該樹脂は該生体適合性ハウジング内に含有される、樹脂;およびc)該生体適合性ハウジング内の樹脂を保持するための手段を含む、血液製剤のための容器を企図する。
また、本発明は、a)生体適合性ハウジング;b)血液製剤からアミノソラレンを除去できる樹脂であって、該樹脂は該生体適合性ハウジング内に含有される、樹脂;およびc)該生体適合性ハウジング内の樹脂を保持するための手段を含む、血液バッグを企図する。
いくつかの具体例において、容器または血液バッグの保持手段は、生体適合性ハウジング内に配されたメッシュエンクロージャーを含み、該メッシュエンクロージャーは樹脂を含有し、該メッシュエンクロージャーは、血液製剤を樹脂と接触させるように適合させられる。さらなる具体例において、該メッシュエンクロージャーは30μm孔を含む。特別の具体例において、該メッシュエンクロージャーはポリエステルを含む。
さらなる具体例において、容器または血液バッグは、さらに、流入口/流出口ラインを含む。なおさらなる具体例において、該保持手段は、流入口/流出口ライン中に位置付けされ、生体適合性ハウジングと流体連絡しているメッシュフィルターを含む。メッシュフィルターは特別の具体例では30μm孔を含み、他方、メッシュフィルターのメッシュはさらにもう1つの具体例ではポリエステルを含む。
本発明の特別の具体例において、樹脂は吸着剤である。樹脂が吸着剤である場合、樹脂はある具体例ではポリマーを含む。該ポリマーはさらなる具体例においてポリスチレンであり得、該ポリスチレンはなおさらなる具体例において架橋されている。
ある具体例では、アミノソラレンは4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンである。
また、本発明は、a)任意の順序で、i)ソラレン、ii)光活性化手段、iii)病原体で汚染されたことが疑われるインビボ使用を意図した血液製剤を含有する第1の容器を供する工程、b)ソラレンを第1の容器中の血液製剤に添加して特定の濃度のソラレンの溶液を生成する工程、c)該溶液を光活性化手段で処理して処理後血液製剤を生成する工程であって、ここに病原体は不活性化され、ここに、ソラレン濃縮物の少なくとも一部は溶液中で遊離している、工程;および、d)処理後血液製剤において溶液中に遊離しているソラレンの一部のいくらかを除去する工程を包含する、血液製剤中の核酸含有病原体を不活性化する方法も企図する。本発明は、溶液中の遊離しているソラレンの特定量の除去に限定されないことを強調しなければならない。事実、本発明は、溶液中の遊離しているソラレンの任意の部分の除去を企図する。
特別の具体例において、ソラレンは4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンである。他の具体例において、ソラレンは臭素化される。臭素化ソラレンを用いる場合、臭素化ソラレンは5−ブロモ−8−メトキシソラレンまたは5−ブロモ−8−(ジエチルアミノプロピルオキシ)−ソラレンであり得る。さらに、ソラレンはいくつかの具体例では第四級アミンであり、該第四級アミンソラレンはなおさらなる具体例において4’−(トリエチルアミノ)メチル−4,5’,8−トリメチルソラレンである。
本発明のいくつかの具体例では、該除去工程は、i)生体適合性ハウジング、ii)血液製剤からソラレンを除去できる樹脂であって、該樹脂は該生体適合性ハウジングに含有される、樹脂;およびiii)溶液中の遊離しているソラレン濃縮物の一部のうちのいくらかが処理後血液製剤において除去されるような条件下で、樹脂を生体適合性ハウジング内に保持する保持手段を含む第2の容器に、処理後血液製剤を移行させる工程を含む。
いくつかの具体例において、容器または血液バッグの保持手段は生体適合性ハウジング内に配されたメッシュエンクロージャーを含み、該メッシュエンクロージャーは樹脂を含有し、血液製剤を樹脂と接触させるように該メッシュエンクロージャーを適合させる。さらなる具体例において、メッシュエンクロージャーは30μm孔を含む。特別の具体例において、該メッシュエンクロージャーはポリエステルを含む。
さらなる具体例において、容器または血液バッグは、さらに、流入口/流出口ラインを含む。なおさらなる具体例なおいて、保持手段は、流入口/流出口ライン中に位置付けされ、かつ生体適合性ハウジングと流体連絡したメッシュフィルターを含む。該メッシュフィルターは特別の具体例では30μm孔を含む、メッシュフィルターのメッシュはなおさらなる具体例ではポリエステルを含む。
また、本発明は、a)任意の順序で、i)病原体で汚染されていることが疑われる血液を供することができる、ドナー、ii)血液を血液製剤中に分離するための血液分離手段、iii)ソラレン、iv)光活性化手段、およびv)ソラレン除去手段を供する工程;b)血液をドナーから採血し、血液を該血液分離手段に導入する工程;c)アフェレーシスシステムで血液から血小板を単離する工程;d)ソラレンを血液製剤に添加して特定の濃度のソラレンの溶液を生成する工程;e)該溶液を光活性化手段で処理して処理後血液製剤を生成する工程であって、ここに病原体は不活性化され、ここに、ソラレン濃縮物の少なくとも一部は溶液中で遊離している、工程;および、f)処理後血液製剤において溶液中に遊離しているソラレンの一部の実質的に全てを該ソラレン除去手段で除去する工程を包含する、血液製剤中の核酸含有病原体を不活性化する方法も企図する。
特別の具体例において、血液分離手段は、アフェレーシスシステムである。血液製剤は、ある具体例では血小板であり、他の具体例では血漿である。
いくつかの具体例では、ソラレン除去手段は、樹脂を含有するメッシュエンクロージャーを含み、血液製剤を樹脂と接触させるように該メッシュエンクロージャーを適合させる。該樹脂はいくつかの具体例では吸着剤である。樹脂が吸着剤である場合、それはさらなる具体例ではポリマーであってよい。特別の具体例では、該ポリマーはポリスチレンを含み、他方、なおさらなる具体例ではポリスチレンは架橋されている。
ソラレンはいくつかの具体例ではアミノソラレンであってよく、他の具体例では臭素化ソラレンであってよい。
加えて、本発明は、a)任意の順序で、i)病原体で汚染されていることが疑われる血液を供することができる、ドナー、ii)血液から血小板を分離するためのアフェレーシスシステム、iii)アミノソラレン、iv)光活性化手段、およびv)ソラレン除去手段を供する工程;b)血液をドナーから採血し、血液を該アフェレーシスシステムに導入する工程;c)アフェレーシスシステムで血液から血小板を単離する工程;d)血小板を含む血小板混合物を生成する工程;e)アミノソラレンを血小板混合物に添加して特定の濃度のアミノソラレンの溶液を生成する工程;f)該溶液を光活性化手段で処理して処理後血小板混合物を生成する工程であって、ここに病原体は不活性化され、ここに、アミノソラレン濃縮物の少なくとも一部は溶液中で遊離している、工程;および、g)処理後血小板混合物において溶液中に遊離しているアミノソラレンの一部の実質的に全てをソラレン除去手段で除去する工程を包含する、血液製剤中の核酸含有病原体を不活性化する方法を企図する。
いくつかの具体例では、ソラレン除去手段は、樹脂を含有するメッシュエンクロージャーを含み、該メッシュエンクロージャーは、血小板混合物を樹脂と接触させるように適合させられる。該樹脂はいくつかの具体例では吸着剤である。樹脂が吸着剤である場合、それはさらなる具体例ではポリマーであってよい。特別の具体例では、該ポリマーはポリスチレンを含み、他方、なおさらなる具体例ではポリスチレンは架橋されている。最後に、該樹脂はなおさらなる具体例では湿潤プロセスに付される。
なおさらなる具体例では、アミノソラレンは4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンである。
また、本発明は、a)任意の順序で、i)病原体で汚染されていることが疑われる血液を供することができる、ドナー、ii)血液から血小板を分離するためのアフェレーシスシステム、iii)合成培地、iv)血小板収集容器、v)4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレン、vi)光活性化手段、およびvii)ソラレン除去手段を供する工程;b)血液をドナーから採血し、血液を該アフェレーシスシステムに導入する工程;c)アフェレーシスシステムで血液から血小板を単離する工程;d)一定の時間にわたって血小板容器中の血小板を収集する工程;e)合成培地を血小板容器中の血小板に添加し、それにより、血小板および合成培地を含む血小板混合物を生成する工程;f)4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンを血小板混合物に添加して、特定の濃度の4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレン溶液を生成する工程;g)該溶液を光活性化手段で処理して処理後血小板混合物を生成する工程であって、ここに病原体は不活性化され、ここに、4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレン濃縮物の少なくとも一部は溶液中で遊離している、工程;および、h)処理後血小板混合物において溶液中に遊離している4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンの一部の実質的に全てをソラレン除去手段で除去する工程を包含する、血液製剤中の核酸含有病原体を不活性化する方法を企図する。
いくつかの具体例において、合成培地はホスフェートを含む。なおさらなる具体例において、合成培地を一定の時間にわたって血小板に添加し、血小板は収集される。
いくつかの具体例において、ソラレン除去手段は、樹脂を含有するメッシュエンクロージャーを含み、該メッシュエンクロージャーは、血小板混合物を樹脂と接触させるように適合させられる。該樹脂はいくつかの具体例では吸着剤である。樹脂が吸着剤である場合、それはさらなる具体例ではポリマーであってよい。特別の具体例では、該ポリマーはポリスチレンを含み、他方、なおさらなる具体例ではポリスチレンは架橋されている。最後に、該樹脂はなおさらなる具体例では湿潤プロセスに付される。
定義
「血液製剤」なる用語は、身体の循環系を通る(赤血球、白血球、血小板等のごとき)流体および/または関連細胞要素等の全ての処方物をいい;血液製剤は、限定されるものではないが、血小板混合物、血清、および血漿を含む。「血小板混合物」なる用語は、細胞要素が主として血小板または血小板のみである血液製剤の1つのタイプをいう。血小板濃縮液(PC)は血小板が血漿の正常な一部よりも少ない血小板混合物の1つのタイプである。合成培地は血漿によって通常占められる容量を補ってよい;例えば、血漿濃縮物は35%血漿/65%合成培地中に懸濁した血小板を含意し得る。しばしば、合成培地はホスフェートを含む。
「光化学反応生成物」なる用語は、ソラレンが紫外線照射への曝露に際して受ける光化学反応から得られる生成物をいう。
「樹脂」なる用語は、溶液または流体(例えば、血液製剤)中のソラレンを含めた種々の要素と相互作用し、それに付着することができ、それにより、それらの要素を除去できる(ビーズ/粒子等のごとき)固体支持体をいう。除去プロセスは特定のメカニズムに限定されない。例えば、ソラレンは、吸着剤によって、または電荷(例えば、アフィニティー相互作用)によって除去することができる。「吸着剤樹脂」なる用語は、広く、天然有機物質および合成物質を共にいう。
種々の吸着剤樹脂は表面積、孔サイズ、化学的性質(例えば、ポリスチレンジビニルベンゼンおよびアクリルエステル)、極性等の点で異なって、特定の用途(例えば、医薬の吸着)で最適性能を可能とする。吸着剤樹脂は、カラム(このカラムを通して血液のような物質が灌流され得る)、およびメッシュによって規定される領域内に吸着剤樹脂を保持しつつ、吸着剤と物質との接触を可能とするサイズの開口を有するメッシュを含めた、多数の装備の中に充填することができる。
「ソラレン除去手段」なる用語は、ソラレンを例えば血液製剤から除去できる物質または装置をいう。ソラレン除去手段はソラレン光化学反応生成物のごとき血液製剤の他の成分を除去することもできる。好ましいソラレン除去手段は吸着剤樹脂である。
「インラインカラム」なる用語は、入力端部および出力端部を有し、その中に配された、血液製剤から物質類を除去するための物質を含有する、通常は円筒形状の容器をいう。本発明は、血液製剤からソラレンおよびソラレン光化学反応生成物を除去するための吸着剤樹脂が充填された少なくとも1mL、好ましくは5〜10mLの容量を有するカラムの使用を企図する。血液製剤は入力端部に入り、吸着剤樹脂と接触し、次いで、出力端部から出る。
「パーティション」なる用語は、全体をセクションまたは部分に分離または分割できる装置または要素のいずれのタイプもいう。例えば、本発明は、血液製剤を含有するのに適合した血液バッグを2つの部分に分割するパーティションの使用を企図する。血液製剤は処理に先立っておよび処理の間にバッグの1つの部分を占め、他方、吸着剤樹脂はもう1つの部分を占める。1つの具体例において、血液製剤の処理の後、パーティションを除去し(すなわち、区画の一体性を変え)、それにより、処理後血液製剤を吸着剤樹脂と接触させる。該パーティションはバッグの内部またはその外部上に位置させることができる。「パーティション」なる用語と共に使用する場合、「除去」なる用語は、血液バッグの2つの部分の隔離がもはや存在しないことを意味する;それは、パーティションが何らかの方法でバッグともはや結合しないことを必ずしも意味しない。
「フローアダプター」なる用語は、血液製剤のような特定の物質の流れを制御できる装置をいう。該フローアダプターは吸着剤樹脂材料片の通過を防ぐごとき、さらなる機能を行うことができる。
「樹脂保持手段」なる用語は、生体適合性ハウジングのような規定された領域に樹脂を拘束するいずれのメカニズムもいう。例えば、血小板貯蔵容器内に収容されたメッシュエンクロージャーを用いて、樹脂を容器内に保持することができる。同様に、フィルター(例えば、メッシュフィルター)は血液製剤貯蔵バッグの流入口/流出口ラインに位置させることができる。「流入口/流出口ライン」なる用語は、血液製剤貯蔵バッグに結合し、それと流体連絡したチューブをいう。バッグに結合された単一の流入口/流出口ラインまたは2つ以上のラインであってよい。
「メッシュエンクロージャー」、「メッシュポーチ」等の用語は、多数の孔を含有させるために製造したエンクロージャー、ポーチ、バッグ等をいう。例えば、本発明は、血液製剤を吸着剤樹脂に接触させるが、樹脂をポーチ内に保持するサイズの孔を持つ、吸着剤樹脂を含有するポーチを企図する。本発明の目的では、吸着剤含有メッシュエンクロージャーをRDという。好ましい具体例において、RDは血液製剤貯蔵容器(例えば、血小板貯蔵容器)に収容される。本発明は、メッシュエンクロージャーが織られた、医療用グレードのポリエステルメッシュまたはナイロンのような他の適当な材料から構成されることを企図する。メッシュ材料の孔サイズの好ましい範囲はほぼ10μmないし50μmであり、他方、本発明の好ましい具体例はほぼ30μmの孔を持つメッシュを利用する。
「流体接触」、「流体結合」等の用語は、1の要素から他の要素に流動する流体成分(例えば、血液製剤)の能力をいう。例えば、血液成分は血小板バッグからチューブを通ってフローアダプターまで流動することができ、フローアダプターは血小板バッグと直接接触する必要はない。同様に、2つ以上の血液製剤容器の各々からのチューブは滅菌結合装置を用いて結合して(例えば、滅菌溶接)、流体が1の容器から他の容器に移動するのを可能とする。
「血液製剤を該樹脂と接触させるように適合させられる」なる語句は、樹脂が血液製剤からの成分(例えば、ソラレンおよびソラレン光化学反応生成物)を吸着できるように、血液製剤を樹脂と接触させ相互作用させる能力をいう。該語句はしばしば使用され、血液製剤貯蔵容器内に収容されたメッシュエンクロージャーの孔を通過する、血液製剤貯蔵容器内に含有された、ソラレン−および照射−処理された血液製剤の能力を記載し、そうする場合において、樹脂はソラレンおよびソラレン光化学反応生成物を吸着できる。
「振盪装置」なる用語は、血小板濃縮液のような血液成分を完全に混合できるいずれのタイプの装置もいう。該装置は、混合を特定の継続時間に制限するための計時メカニズムを有することもできる。
「生体適合性ハウジング」なる用語は、広く、全血、血小板濃縮液および血漿のごとき生物学的物質を含有するのに適したハウジング、容器、バッグ、収容器、収納具等をいう。適当な容器がその中に含有されるべき生物学的物質に対して、仮に有するとして、最小の効果を有する場合には、その適当な容器は生体適合性である。「最小」効果とは、有意な差異が対照実験と比較して観察されないことを意味する。かくして、血液製剤は受容者への輸液に先立って生体適合性ハウジングに貯蔵することができる。好ましい具体例において、生体適合性ハウジングは血小板貯蔵容器である。
「血液分離手段」なる用語は、広く、血液を血液製剤(例えば、血小板および血漿)に分離できる装置、機械等をいう。アフェレーシスシステムは血液分離手段の1つのタイプである。アフェレーシスシステムは、一般に、血液分離装置、チューブおよびフィルターの複雑なネットワーク、収集バッグ、抗凝集剤、および全ての成分を制御するコンピュータ化手段よりなる。血液分離装置は、最も一般的には、遠心機である。少なくとも1つのポンプを用いて、血液、分離された血液成分、および流体添加物を動かし、アフェレーシスシステムを通して、最後にはドナーまたは収集バッグに返す。いずれかの特定のタイプのアフェレーシスシステムに限定されるものではないが、本発明は、特に、特定量の所望の血液製剤混合物を収集できる自動システムの使用を企図する。
「単離する」なる用語は、1を超える成分を含有する混合物からある物質を分離することをいう。例えば、血小板は全血から分離することができる。単離された製品(例えば、血小板)は他の成分からのその製品の完全な分離を必ずしもいわない。例えば、アフェレーシスシステムによって単離された血小板は、しばしば、小容量の血漿と共にある。この例では、血小板は全血から分離されたとみなされるであろう。
「フィルター」なる用語は、広く、他の成分を保持しつつ、混合物に対する特定の成分を通すことができる装置、材料等をいう。例えば、フィルターは、樹脂粒子のごとき他の成分を保持しつつ、血液成分(例えば、血漿)を通すことができる孔サイズを持つメッシュを含むことができる。「フィルター」なる用語は、特定の成分が保持される手段に限定されない。
「ポリエステル」なる用語は、広く、[ポリ(エチレンテレフタレート)]を含む物質をいう。ポリエステル物質は限定的サイズの孔を持つメッシュ材料の形態であってよい。
「ポリマー」なる用語は、広く、繰り返される同一の「ベースユニット」の鎖から構成される物質をいう。該用語は「ポリスチレン網状組織」ということができる、スチレン(CCH=CH)モノマーを含有する物質を含む。
「架橋した」なる用語は、広く、相互に結合して二次元または三次元ネットワークを形成する線状分子をいう。例えば、ジビニルベンゼン(DVB)はスチレン−ジビニルベンゼンコポリマーの形成において架橋剤として働く。該用語は、超架橋ネットワークが、二官能性剤(後記)で、溶液または膨潤状態で線状ポリスチレン鎖を架橋することによって生じる「超架橋」も含む。
「アミノソラレン」「アミノ化ソラレン」などの用語は、炭化水素鎖によってソラレンの4’位(4’−第一級アミノ置換ソラレン)又は5’位(5−第一級アミノ置換ソラレン)に結合したNH基を含有するソラレン化合物を意味する。4’−第一級アミノ置換ソラレンでは、その炭化水素鎖の全長が2〜20個の炭素であり、それら炭素の0〜6個は独立にNH又は0で置換されていて、各置換点は他の各置換点から少なくとも2個の炭素によって隔てられており、ソラレンとは少なくとも1個の炭素によって隔てられている。4’−第一級アミノ置換ソラレンは、ソラレンの4、5’及び8位にさらに置換基を持ってもよく、その置換基としては次の基が挙げられる(ただしこれらに限らない):Hおよび(CHCH(ここにn=0〜6)。これに対して、5’−第一級アミノ置換ソラレンでは、炭化水素鎖の全長が1〜20個の炭素であり、それらの炭素のうち0〜6個は独立にNH又は0で置換されていて、各置換点は他の各置換点から少なくとも2個の炭素によって隔てられており、ソラレンとは少なくとも1個の炭素によって隔てられている。5’−第一級アミノ置換ソラレンは、ソラレンの4、4’および8位にさらに置換基を持ってもよく、その置換基としては次の基が挙げられる(ただしこれらに限らない):Hおよび(CHCH(ここにn=0〜6)。
「臭素化ソラレン」という用語は、臭素(Br)原子が結合しているソラレン化合物を意味する。好ましい臭素化ソラレンは5位に結合した臭素を含有する。臭素化ソラレンの例としては、5−ブロモ−8−メトキシソラレン及び5−ブロモ−8−(ジエチルアミノプロピルオキシ)−ソラレンが挙げられる。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
1.以下の工程を含む血液製剤中の核酸含有病原菌を不活性化させる方法:
a)任意の順序で、i)ソラレン、ii)光活性化手段、iii)該病原菌に汚染されているこ
とが疑われるインビボでの使用の為の血液製剤、を提供する工程;
b)該ソラレンを該血液製剤に添加して、ある濃度のソラレン溶液を調製する工程;
c)該溶液を光活性化手段で処理し、処理血液製剤を調製する工程であって、該病原菌が
不活性化され、かつ該溶液中の該ソラレン濃度の少なくとも一部がフリーである、工程;および
d)該処理血液製剤中の溶液でフリーである該ソラレン濃度の部分の実質的にすべてを除
去する工程。
2.前記除去工程が、前記処理血液製剤を樹脂に接触させる過程を含む、項目1に記載の
方法。
3.前記樹脂が吸着剤である、項目2に記載の方法。
4.前記樹脂がポリスチレンを含む、項目3に記載の方法。
5.前記樹脂がポリアクリルエステルを含む、項目3に記載の方法。
6.前記樹脂が活性炭を含む、項目3に記載の方法。
7.前記接触させる過程が、前記血液製剤を前記樹脂を含むインラインカラムに通して注
ぐことを含む、項目2に記載の方法。
8.前記接触させる過程が、前記樹脂を含むバッグ内で行われる、項目2に記載の方法。
9.前記樹脂が、前記バッグ中のメッシュエンクロージャーに含まれ、該メッシュエンク
ロージャーが前記血液製剤を該樹脂に接触させるように適合している、項目8に記載の方法。
10.項目9に記載の方法であって、さらに、前記バッグの外側に接触するように備えら
れるパーティションを含み、該パーティションが、前記血液製剤を前記メッシュエンクロージャーから隔てるように適合しており、かつ該バッグから所定の時間に取り除かれるように適合している、方法。
11.前記ソラレンが、4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンである、項目1に記載の方法。
12.前記血液製剤が、血小板を含む、項目1に記載の方法。
13.前記血液製剤が、血漿を含む、項目1に記載の方法。
14.血液の汚染除去システムであって、第一の血液バッグおよびソラレンを除去し得る
樹脂を含むインラインカラムを含み、該インラインカラムは、該第一の血液バッグとの流体的に連結するインプットエンド、アウトプットエンド、およびキャパシティを含む、血液の汚染除去システム。
15.前記アウトプットエンドが、第二の血液バッグと流体的に接触している、項目14
に記載のシステム。
16.項目15に記載のシステムであって、さらに、前記インラインカラムと流体的に接
触するよう配置され、かつ該インラインカラムの前記アウトプットエンドの後で、前記第二のバッグの前に配置されたフローアダプターを含む、システム。
17.前記樹脂が吸着剤である、項目14に記載のシステム。
18.以下を含む血液バッグ:
a)生物学的適合性のハウジング;および
b)ソラレンを除去し得る樹脂を含む、該ハウジング内のコンパートメント。
19.さらに合成媒体を含む、項目18に記載の血液バッグ。
20.項目18に記載の血液バッグであって、さらに、前記コンパートメント内に配置さ
れた、樹脂を含むメッシュエンクロージャーを含み、該メッシュエンクロージャーが血液製剤を該樹脂に接触させるように適合している、血液バッグ。
21.項目20に記載の血液バッグであって、さらに、前記生物学的適合性のハウジング
の外側に接触するように備えられたパーティションを含み、該パーティションが、前記血液製剤を前記メッシュエンクロージャーから隔てるように適合しており、かつ該バッグから所定の時間に取り除かれ、該血液製剤が該樹脂に接触するように適合している、方法。22.前記樹脂が吸着剤である、項目18に記載の血液バッグ。
23.以下の工程を含む血液製剤中の核酸含有病原菌を不活性化させる方法:
a)任意の順序で、i)該病原菌に汚染されていることが疑われる血液を提供しうるドナー、ii)該血液を血液製剤に分離する分離手段、iii)ソラレン、iv)光活性化手段、およ
びv)ソラレン除去手段、を提供する工程;
b)該血液を該ドナーから取り、そして、該血液を該血液分離手段に導入する工程;
c)該血液分離手段で、該血液から血液製剤を単離する工程;
d)該ソラレンを該血液製剤に添加して、ある濃度のソラレン溶液を調製する工程;
e)該溶液を光活性化手段で処理し、処理血液製剤を調製する工程であって、該病原菌が
不活性化され、かつ該溶液中の該ソラレン濃度の少なくとも一部がフリーである、工程;および
f)該ソラレン除去手段で、該処理血液製剤中の溶液でフリーである該ソラレン濃度の部
分の実質的にすべてを除去する工程。
24.前記血液分離手段が、アフェレーシスシステムである、項目23に記載の方法。
25.前記血液製剤が、血小板である、項目23に記載の方法。
26.前記血液製剤が、血漿である、項目23に記載の方法。
27.項目23に記載の方法であって、前記ソラレン除去手段が、樹脂を含むメッシュエ
ンクロージャーを含み、該メッシュエンクロージャーが血液製剤を該樹脂に接触させるように適合している、方法。
28.前記樹脂が吸着剤である、項目27に記載の方法。
29.前記樹脂がポリマーを含む、項目28に記載の方法。
30.前記ソラレンがアミノソラレンである、項目23に記載の方法。
31.前記アミノソラレンが、4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンである、項目30に記載の方法。
32.前記ソラレンが、臭素化ソラレンである、項目23に記載の方法。
33.以下の工程を含む血液製剤中の核酸含有病原菌を不活性化させる方法:
a)任意の順序で、i)該病原菌に汚染されていることが疑われる血液を提供しうるドナー、ii)血小板を該血液から分離するアフェレーシスシステム、iii)合成媒体、iv)血小
板回収コンテナ、v)4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレン、vi)光活性化手段、およびvii)ソラレン除去手段、を提供する工程;
b)該血液を該ドナーから取り、そして、該血液を該アフェレーションシステムに導入す
る工程;
c)該アフェレーションシステムで、該血液から血小板を単離する工程;
d)該血小板を血小板コンテナに所定の時間に回収する工程;
e)該合成媒体を該血小板コンテナ中の血小板に加える工程であって、これによって、血
小板および合成媒体を含む血小板混合物をつくる、工程;
f)4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンを該血小板混合物に添加して、ある濃度の4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチル
ソラレン溶液を調製する工程;
g)該溶液を該光活性化手段で処理し、処理血小板混合物を調製する工程であって、該病
原菌が不活性化され、かつ該溶液中の4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−
トリメチルソラレン濃度の少なくとも一部がフリーである、工程;および
h)該ソラレン除去手段で、該処理血小板混合物中の溶液でフリーである該4’−(4−ア
ミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレン濃度の部分の実質的にすべてを
除去する工程。
34.前記合成媒体がリン酸塩を含む、項目33に記載の方法。
35.項目33に記載の方法であって、前記ソラレン除去手段が、樹脂を含むメッシュエ
ンクロージャーを含み、該メッシュエンクロージャーが、血小板混合物を該樹脂に接触させるように適合している、方法。
36.前記樹脂が吸着剤である、項目35に記載の方法。
37.前記樹脂がポリマーを含む、項目36に記載の方法。
38.前記ポリマーがポリスチレンを含む、項目37に記載の方法。
39.以下を含む血液製剤用のコンテナ:
a)生物学的適合性のハウジング;
b)該血液製剤からソラレンを除去し得る樹脂であって、該生物学的適合性のハウジング
内に含まれる、樹脂;および
c)該樹脂を該生物学的適合性のハウジング内に保持する手段。
40.項目39に記載のコンテナであって、前記保持する手段が、前記生物学的適合性の
ハウジング内に配置されたメッシュエンクロージャーを含み、該メッシュエンクロージャーが、前記樹脂を含みかつ血液製剤を該樹脂に接触させるように適合している、コンテナ。
41.さらに入口/出口ラインを含む、項目40に記載のコンテナ。
42.項目41に記載のコンテナであって、前記保持する手段が、前記入口/出口ライン
中に、前記生物学的適合性のハウジングに流体的に連結するよう配置されたメッシュフィルターを含む、コンテナ。
43.前記樹脂が、吸着剤である、項目39に記載のコンテナ。
44.前記ソラレンが、アミノソラレンである、項目39に記載のコンテナ。
45.前記アミノソラレンが、4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンである、項目44に記載のコンテナ。
46.以下の工程を含む血液製剤中の核酸含有病原菌を不活性化させる方法:
a)任意の順序で、i)ソラレン、ii)光活性化手段、iii)該病原菌に汚染されているこ
とが疑われるインビボでの使用の為の血液製剤を含む第一のコンテナ、を提供する工程;b)該ソラレンを該第一のコンテナ中の該血液製剤に添加して、ある濃度のソラレン溶液
を調製する工程;
c)該溶液を光活性化手段で処理し、処理血液製剤を調製する工程であって、該病原菌が
不活性化され、かつ該溶液中の該ソラレン濃度の少なくとも一部がフリーである、工程;および
d)該処理血液製剤中の溶液でフリーである該ソラレン濃度の部分のいくらかを除去する
工程。
47.前記ソラレンが、4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンである、項目46に記載の方法。
48.前記ソラレンが、臭素化されている、項目46に記載の方法。
49.前記臭素化ソラレンが、5−ブロモ−8−メトキシソラレンである、項目48に記載の方法。
50.前記臭素化ソラレンが、5−ブロモ−8−(ジエチルアミノプロピルオキシ)−ソラレンである、項目48に記載の方法。
51.前記ソラレンが、第四級アミンである、項目46に記載の方法。
52.前記第四級アミンソラレンが、4’−(トリエチルアミノ)メチル−4,5’,8−トリ
メチルソラレンである、項目51に記載の方法。
53.項目46に記載の方法であって、前記除去工程が、前記処理血液製剤を第二のコン
テナに移す過程を包み、該第二のコンテナが、
i)生物学的適合性のハウジング;
ii)該血液製剤からソラレンを除去し得る樹脂であって、該生物学的適合性のハウジング内に含まれる、樹脂;および
iii)該処理血液製剤から、溶液でフリーである前記ソラレン濃度の部分のいくらかが除
去されるような条件下で、該樹脂を該生物学的適合性のハウジング内に保持する手段。
54.項目53に記載の方法であって、前記保持する手段が、前記生物学的適合性のハウ
ジング内に配置されたメッシュエンクロージャーを含み、該メッシュエンクロージャーが、前記樹脂を含み、血液製剤を該樹脂に接触させるように適合している、方法。
55.前記第二のコンテナが、さらに、入口/出口ラインを含む、項目54に記載の方法

56.項目55に記載の方法であって、前記保持する手段が、前記入口/出口ライン中に、前記生物学的適合性のハウジングと流体的に連結するように配置されたメッシュフィルターを含む、方法。
図1は、本発明装置の一態様の透視図である。 図2は、図1に示す装置の線2−2に沿った断面図である。 図3は、図1に示す装置の線3−3に沿った断面図である。 図4は、図1に示す装置の線4−4に沿った断面図である。 図5Aは、本発明の化合物8、13および14の合成経路および化学構造のダイヤグラムである。 図5Bは、本発明の化合物2、4および7の合成経路および化学構造のダイヤグラムである。 図5Cは、本発明の化合物1、5、6、9および10の合成経路および化学構造のダイヤグラムである。 図5Dは、本発明の化合物12および15の合成経路および化学構造のダイヤグラムである。 図5Eは、本発明の化合物3の合成経路および化学構造のダイヤグラムである。 図5Fは、本発明の化合物16および17の合成経路および化学構造のダイヤグラムである。 図6は、本発明の化合物1〜3を光活性化した場合の対数R17の死滅に対する濃度のインパクトを示す。 図7は、本発明の化合物3〜6を光活性化した場合の対数R17の死滅に対する濃度のインパクトを示す。 図8は、本発明の化合物2および6を光活性化した場合の対数R17の死滅に対する濃度のインパクトを示す。 図9は、本発明の化合物6および18を光活性化した場合の対数R17の死滅に対する濃度のインパクトを示す。 図10は、本発明の化合物16を光活性化した場合の対数R17の死滅に対する濃度のインパクトを示す。 図11は、本発明の化合物6についての対数R17滴定値に対する変化するジュール/cm(ワット秒/cm)の照射のインパクトを示す。 図12は、本発明の化合物7、9および10についての対数R17滴定値に対する変化するジュール/cmの照射のインパクトを示す。 図13は、本発明の化合物7および12についての対数R17滴定値に対する変化するジュール/cmの照射のインパクトを示す。 図14は、本発明の化合物15についての対数R17滴定値に対する変化するジュール/cmの照射のインパクトを示す。 図15は、本発明の化合物17についての対数R17滴定値に対する変化するジュール/cmの照射のインパクトを示す。 図16は、本発明の化合物6および17についての対数R17滴定値に対する変化するジュール/cmの照射のインパクトを示す。 図17は、本発明の化合物6および15についての対数R17滴定値に対する変化するジュール/cmの照射のインパクトを示す。 図18は、血漿における、本発明の化合物2および6の変化させる濃度の効果を示す。 図19は、合成培地における、本発明の化合物2および6の変化させる濃度の効果を示す。 図20Aは、血液バングで現在使用される標準的血液製剤分離アプローチを模式的に示す。 図20Bは、本発明の具体例を模式的に示し、それにより、合成培地を図20Aにおけるごとく調製した血小板濃縮液に導入する。 図20Cは、図20Bにおけるごとき合成培地で希釈した血小板濃縮液に特異的に適用した本発明の除染アプローチの1の具体例を模式的に示す。 図21Aは、血小板カウントによって測定した血小板機能に対する5日貯蔵(D5)、紫外線(uv)および100μMでの化合物2での処理(PCD)の影響を比較するグラフである。「n」はデータポイントによって表される実験の番号を表す。図21Bは、血小板凝集によって測定した血小板機能に対する5日貯蔵(D5)、紫外線(uv)および100μMでの化合物2での処理(PCD)の影響を比較するグラフである。「n」はデータポイントによって表される実験の番号を表す。 図21Cは、GMP−140によって測定した血小板機能に対する5日貯蔵(D5)、紫外線(uv)および100μMでの化合物2での処理(PCD)の影響を比較するグラフである。「n」はデータポイントによって表される実験の番号を表す。図21Dは、pHによって測定した血小板機能に対する5日貯蔵(D5)、紫外線(uv)および100μMでの化合物2での処理(PCD)の影響を比較するグラフである。「n」はデータポイントによって表される実験の番号を表す。 図22Aは、血小板カウントによって測定した血小板機能に対する5日貯蔵(D5)、紫外線(uv)および100μMでの化合物6での処理(PCD)の影響を比較するグラフである。「n」はデータポイントによって表される実験の番号を表す。図22Bは、血小板凝集によって測定した血小板機能に対する5日貯蔵(D5)、紫外線(uv)および100μMでの化合物6での処理(PCD)の影響を比較するグラフである。「n」はデータポイントによって表される実験の番号を表す。 図22Cは、GMP−140によって測定した血小板機能に対する5日貯蔵(D5)、紫外線(uv)および100μMでの化合物6での処理(PCD)の影響を比較するグラフである。「n」はデータポイントによって表される実験の番号を表す。図22Dは、pHによって測定した血小板機能に対する5日貯蔵(D5)、紫外線(uv)および100μMでの化合物6での処理(PCD)の影響を比較するグラフである。「n」はデータポイントによって表される実験の番号を表す。 図23Aは、血小板カウントによって測定した血小板機能に対する5日貯蔵(D5)、紫外線(uv)および100μMでの化合物17での処理(PCD)の影響を比較するグラフである。「n」はデータポイントによって表される実験の番号を表す。図23Bは、血小板凝集によって測定した血小板機能に対する5日貯蔵(D5)、紫外線(uv)および100μMでの化合物17での処理(PCD)の影響を比較するグラフである。「n」はデータポイントによって表される実験の番号を表す。 図23Cは、GMP−140によって測定した血小板機能に対する5日貯蔵(D5)、紫外線(uv)および100μMでの化合物17での処理(PCD)の影響を比較するグラフである。「n」はデータポイントによって表される実験の番号を表す。図23Dは、pHによって測定した血小板機能に対する5日貯蔵(D5)、紫外線(uv)および100μMでの化合物17での処理(PCD)の影響を比較するグラフである。「n」はデータポイントによって表される実験の番号を表す。 図24Aは、血小板カウントよって測定した血小板機能に対する5日貯蔵(D5)、紫外線(uv)および100μMでの化合物18での処理(PCD)の影響を比較するグラフである。「n」はデータポイントによって表される実験の番号を表す。図24Bは、血小板凝集よって測定した血小板機能に対する5日貯蔵(D5)、紫外線(uv)および100μMでの化合物18での処理(PCD)の影響を比較するグラフである。「n」はデータポイントによって表される実験の番号を表す。 図24Cは、GMP−140よって測定した血小板機能に対する5日貯蔵(D5)、紫外線(uv)および100μMでの化合物18での処理(PCD)の影響を比較するグラフである。「n」はデータポイントによって表される実験の番号を表す。図24Dは、pHよって測定した血小板機能に対する5日貯蔵(D5)、紫外線(uv)および100μMでの化合物18での処理(PCD)の影響を比較するグラフである。「n」はデータポイントによって表される実験の番号を表す。 図25Aは、経時的な血小板によるS−59(C=50μM)摂取(頂部)および経時的な血小板によってS−59放出(底部)をグラフ表示する。 図25Bは、吸着剤の添加の前における、S−59と共に24時間プレインキュベートするまたはしない、Amberlite XAD−4TM(0.1g/3.0mL)による35%血漿/65%PAS IIIからの光照射S−59(C=150μM)の吸着の動態をグラフ表示する。 図26は、1cm直径のカラムにおけるAmberlite XAD−16TM(10g/300mL)でのS−59吸着に対する流速の効果を示すグラフである。35%血漿/65%PAS IIIにおける血小板に対するデータを四角で示す一方、35%血漿/65%PAS IIIに対するデータを丸で示す;塗りつぶしていない三角はAmberchrom cg−161TM(120直径ポリスチレン、5g/300mL)でのS−59吸着の残存レベルを示す。 図27は、Amberlite XAD−4TM(10g/300mL)を35%血漿/65%PAS IIIにおける照射血小板と接触させるバッチ式についての吸着の動態をグラフ表示する。パーセントは非照射血小板混合物に対するものである。 図28Aは、処理無し(頂部)、Amberlite XAD−16TMでの吸着(中央)、およびHermosorba CH−350TM(底部)後における、照射35%血漿/65%PAS IIIのHPLCクロマトグラムを示す。 図28Bは、非照射S−59(頂部)、照射S−59(中央)、およびAmberlite XAD−4TMで処理した照射S−59(底部)を含有する35%血漿/65%PAS IIIのHPLCクロマトグラムを示す;吸着剤は30μmナイロンメッシュエンクロージャー/ポーチに含有され、接触時間は3時間であった。 図29は、カートリッジを通して灌流されるS−59でスパイクした血漿の容量の関数としての吸着から逃げる(破過として示す)S−59のパーセントを示す;2つの異なる流速(2.5mL/分および5.0mL/分)における100%血漿中の非照射S−59(150μM)を示す。 図30Aは、Hermosorba CH−350TMおよびシリカでのS−59 PCDおよびS−59除去後のフィブリノーゲンレベルをグラフ表示する;非照射および照射試料を共に分析した。 図30Bは、Amberlite XAD−4TM、Amberlite XAD−16TM、およびBio−Rad t−ブチルHICTMでのS−59 PCDおよびS−59除去後のおけるフィブリノーゲンレベルをグラフ表示する;非照射および照射試料を共に分析した。 図30Cは、Amberlite XAD−4TM、Amberlite XAD−16TM、およびBio−Rad t−ブチルHICTMでのS−59 PCDおよびS−59除去後のおけるPT、aPTT、およびTT凝集機能をグラフ表示する;非照射および照射試料を共に分析した。 図30Dは、Amberlite XAD−4TM、Amberlite XAD−16TM、およびBio−Rad t−ブチルHICTMでのS−59 PCDおよびS−59除去後のおける第V因子、第VIII因子、および第IX因子活性をグラフ表示する;非照射および照射試料を共に分析した。 湿潤溶液のエタノール含有量および10分間の得られた吸着剤の吸着容量の間の関係をグラフ表示する。Amberlite(登録商標)XAD−4(丸)およびXAD−16(四角)吸着剤でのバッチ式湿潤プロセス。 図32は、35%血漿、65%PAS IIIからのS−59の除去が、Amberlite(登録商標)XAD−16についての水含有量の低下と共に減少することをグラフ表示する。 図33は、室温および標準的湿度における27時間のインキュベーションの間の室温および標準的湿度における27時間のインキュベーションの間のAmberlite(登録商標)XAD−16(四角)およびAmberlite(登録商標)XAD−4(丸)による水の減少をグラフ表示する。 図34Aおよび34Bは、Amberlite(登録商標)XAD−4の2つの異なるロットによる35%血小板濃縮液からのS−59の除去についての吸着動態に対するγ線照射(四角=0Mrad;丸=5Mrad;三角=10Mrad)による滅菌の効果をグラフ表示する。 図34Aおよび34Bは、Amberlite(登録商標)XAD−4の2つの異なるロットによる35%血小板濃縮液からのS−59の除去についての吸着動態に対するγ線照射(四角=0Mrad;丸=5Mrad;三角=10Mrad)による滅菌の効果をグラフ表示する。 図35Aおよび35Bは、Amberlite(登録商標)XAD−16の2つの異なるロットによる35%血小板濃縮液からのS−59の除去についての吸着動態に対するγ線照射(四角=0Mrad;丸=5Mrad;三角=10Mrad)による滅菌の効果をグラフ表示する。 図35Aおよび35Bは、Amberlite(登録商標)XAD−16の2つの異なるロットによる35%血小板濃縮液からのS−59の除去についての吸着動態に対するγ線照射(四角=0Mrad;丸=5Mrad;三角=10Mrad)による滅菌の効果をグラフ表示する。 図36は、湿潤(暗い陰影)および乾燥(明るい陰影)状態双方における吸着剤についてのS−59吸着定数をグラフ表示し、パーセントは各試料における水の量をいう。 図37は、除去装置を血小板貯蔵容器内に含ませる方法を示す本発明の除去装置を示す。 図38は、バッチ式除去装置の製造で使用される工程の多くの生産フローチャートを示す。 図39は、S−59ならびに3.0J/cmのUVAでの照射に続く、PC(35%血漿/65%PAS III、150μMのS−59[15.2mg/300mL])において形成されたS−59光化学反応生成物のHPLCクロマトグラムを表す。 図40は、主要S−59光化学反応生成物ピーク:i)S−59(HPLCピークF)、ii)S−59のヘテロダイマー(HPLCピークD)、およiii)S−59のホモダイマー(HPLCピークE)の化学構造を示す。 図41は、UVAでの照射前における(頂部)、UVAの照射後における(中央)、およびUVAの照射およびDowex(登録商標)XUS−43493を含有するRDとの8時間インキュベーション後における(底部)S−59および遊離光化学反応生成物のレベルを示す、150μMのS−59(15.2mg/300mL)を含有し、PL2410プラスチック容器(Baxter)内に収容されたPCのクロマトグラムを示す。 図42は、完全なPC(すなわち、血小板を含有するPC)からの未結合光化学反応生成物D、EおよびS−59の除去の動態を示す。 図43は、血漿/PAS III中の未結合光化学反応生成物の別の分析を可能するための血小板を除去するのに遠心機にかけたPCからの未結合光化学反応生成物D、EおよびS−59の除去の動態を示す。 図44は、本発明の実験のいくつかで使用する3つの異なるソラレンの化学構造を示す:ソラレンA[4’−(トリエチルアミノ)−メチル−4,5’,8−トリメチルソラレン];ソラレンB[5−ブロモ−8−メトキシソラレン;およびソラレンC[5−ブロモ−8−(ジエチルアミノプロピル)−ソラレン]
スキームAは、UVAの照射後における35%血漿/65%PAS IIIに懸濁させた、血小板中のS−59の分布をダイヤグラム表示する。
スキームBは、必要な吸着剤の量に対する最終S−59濃度の効果を示すグラフである(初期濃度、C=30μMおよび容量、V=300mL)。各曲線についての「K値」は凡例にリストする。
スキームCは、バッチ式RDについての2つの可能な構成を示す。構成Aは2バッグ設計を示し、他方、構成Bは単一バッグ設計を示す。
スキームDはS−59還元プロセスをダイヤグラム表示する。S−59を含有するPCを照射した後、RDを収容する容器にPCを移し、撹拌しつつインキュベートして、残存S−59および未結合光化学反応生成物の量の時間依存性還元を行い、次いで、貯蔵容器に移す。
スキームEは、本発明のRDの一の具体例を使用できる仮想アフェレーシスシステムの操作をまとめるフローダイアグラムを示す。
スキームFは、PAS IIIを血小板収集手法の間に添加する、本発明の別の具体例を示す。
スキームGは、PAS IIIをS−59と組合せ、次いで、血小板収集手法の間に添加する本発明の別の具体例を示す。
発明の説明
本発明は紫外線存在下で病原体を不活性化する能力を高める新しいソラレンと新しいソラレン合成方法を示している。新しいソラレンは幅広い種類の病原体に対して効果的である。本発明はまた、インビボおよびインビトロで使用する健康関連の製品、特に血液製剤において、血液製剤の機能に著しく影響を及ぼすことも変異原性を示すこともなしに、病原体を不活性化するための新しいおよび既知の試薬を使った方法を示している。
本発明に記した、不活性化法は病原体、特にインビトロまたはインビボで使用される前に血液製剤中のウイルスを不活性化する方法である。これまでのアプローチに対して、この方法は短い照射時間のみを要求し、分子酸素濃度を制限することを必要としない。
本発明の記述は次に示すセクションに分けられる:I)光活性化装置、II)化合物合成、III)核酸への化合物の結合、IV)夾雑物の不活性化、V)処理された物質の生化学的特性の保存、VI)ソラレンおよびソラレン光化学反応生成物を除去する装置および方法、VII)吸着におけるソラレン構造特性の効果、およびVIII)バッチ式ソラレン除去装置の製造。
I.光活性化装置
本発明は、光活性化のための、装置と方法、特に光反応性の核酸結合化合物の光活性化の装置と方法を企図する。本発明はユニット中に組み込まれた電磁放射線の安価な供給源をもつ装置企図する。一般に、本発明はa)少なくとも一つの光反応性化合物の光活性化を引き起こす電磁放射線の適した波長を提供する手段、b)光活性化の間、上記放射提供手段と一定の関係で、複数の試料を支持する手段、およびc)光活性化の間、希望する温度範囲の中で試料の温度を維持する手段、を含む光反応性化合物を処理するための光活性化装置を企図する。本発明はまた、a)電磁放射線の蛍光供給源と一定の関係で、一つあるいは複数の光反応性化合物を含んだ複数の試料容器を支持する工程、b)少なくとも一つの光反応性化合物の光活性化を引き起こす電磁放射線と同時に複数の試料容器を照射する工程、およびc)光活性化の間に希望の温度範囲の中で試料の温度を維持する工程を包含する方法を企図する。
本発明における装置の一具体例の大きな特徴は、A)試料容器を支持する手段と一定の関係で紫外線放射の安価な供給源、B)素早い光活性化、C)大量の試料の処理、D)照射された試料の温度制御、E)固有の安全性を含んでいる。
A.電磁放射線の供給源
多くの紫外線照射の供給源は、ソラレンを使った除染プロトコルで使用することができる。例えば、あるグループは、冷却のためにその領域をゆっくりと電気扇風機で風を送りながら、General ElectricのタイプF20T12−BLB蛍光UVA電球によって上および下から試料に照射している。Alter,H.J.,ら.The Lancet.24:1446(1988).他のグループは、ウイルスの試料の上で、試料を含むペトリ皿のふたに直接接触するようにP.W.Allen Co.,London社製のType A405−TLGW/05長波長紫外線ランプを使用し、室温で作動させた。
これらの条件下での試料へ送達される全強度はペトリ皿中で1.3×1015 フォトン/秒 cm(または0.7mW/cmまたは0.0007J/cm sec)であった。Hearst,J.E.,およびThiry,L.,Nucleic Acids Research,4:1339(1977).しかしながら、任意のタイプの光活性化装置に制限されることを意図することなく、本発明は以下に示すように、光活性化装置への適した改良を企図する。
本発明の好ましい光活性化装置は、試料容器を支持する手段と一定の関係で紫外線放射の安価な供給源をもっている。紫外線放射は電磁放射線スペクトル(宇宙線から電波までの電磁放射線スペクトル)の一部を占めるエネルギー形態である。紫外線放射は多くの自然および人工の供給源に由来する。
紫外線照射の供給源によっては、他(非紫外線)の型の電磁放射線(例えば、可視光線)を伴うかもしれない。
紫外線放射の特別な種類については、波長の点から本明細書中で述べられる。波長はナノメートル(「nm」;10−9メートル)として本明細書中で述べられている。本明細書中における目的に対して、紫外線放射は、およそ180nmから400nmまで及ぶ。フィルターまたは他の手段によって、放射源が特有の波長(例えば、320nm)より下での放射を許容しない場合、その波長において下限「カットオフ(遮断)」をもっているという(例えば、「300ナノメートルで波長をカットオフ」)。同様に、放射源が特有の波長(例えば、360nm)より下での放射を許容する場合、その波長(例えば、360ナノメートルで波長をカットオフ)において上限「カットオフ(遮断)」をもっているという。
任意の光化学反応について、いずれの害のある副反応を排除または極力最小限にしたいと考える。これらの副反応の一部は光活性化行程の間に存在できる内在性の発色団の励起によって引き起こされる。核酸とソラレンだけが存在する系において、内在性の発色団は核酸の塩基それ自身である。核酸による313nmより長波長側の吸収はほとんど無いため、光活性化プロセスを320nmより長波長側の波長に制限することが、直接的な核酸のダメージを最小限にする。
ヒトの血清または血漿においては、例えば、核酸は典型的には、さらなる生物構成要素とともに存在する。
もし、生物学的流体が全くのタンパク質なら、320nmでの遮断は副反応を最小限にするには適切である(芳香族アミノ酸は320nmより大きい光は吸収しない)。
もし、生物学的流体が他の分析物を含むならば、光の特別な波長に対して敏感な構成要素があるかもしれない。それらの内在的構成要素の存在を考慮して、特異的かつ望ましい波長の狭い範囲内での照射を可能にし、このように血液構成成分へのダメージを防ぐように本発明の装置は設計されていることが意図される。その望ましい波長の範囲は320nmと350nmの間である。
ある選択性は、市販の照射源から選ぶことによっても可能である。例えば、典型的な蛍光チューブが300nmから400nmよりさらに長波長側にわたる波長の光を放つ一方(360nm付近を中心に幅広いピークがある)、BLBタイプの蛍光ランプは400nmより大きい波長を取り除くように設計されている。しかし、これは単に上端の遮断を行っているだけである。
よりよい実施態様においては、本発明の装置は付加的なフィルター手段を含む。1つの実施様態では、フィルター手段は一片のコバルトガラスのようなガラス遮断フィルターを含む。もう一つの実施様態では、フィルター手段はCo(NO水溶液のように特定領域の電磁スペクトルのみを通す液体フィルター溶液を含む。この塩溶液により320〜400nmの透過領域が生じる。よりよい実施態様において、Co(NO水溶液は、使用される蛍光またはアーク源の発光スペクトルの365nm成分を取り除くためにNiSOと組み合わせて用いられる。そのCo−Ni溶液は何十時間も高エネルギー源の直接光にさらした後でさえ、初期の透過能を非常によく保つ。
本発明を、使用される特別なフィルターにより制限するつもりはない。いくつかの無機塩およびガラスは必要とされる条件を満たす。例えば、紫外線のみを分離しなくてはならないとき、硫酸銅(II)は赤外線を取り除くのに最も有用な一般的フィルターである。その強烈な光源における安定性はかなり良い。他の塩についても専門家に知られている。レンズの口径または反射ランプもまた、特異的な波長および強度を達成するのに用いられ得る。
本明細書中において、紫外線放射が照射の点で記されるとき、それは強度束によって表現される(センチ四方あたりミリワット、または「mW cm−2」または「J/cmsec」)。本明細中において「出力」とは照射レベルならびに、放射線の発光(はいまたはいいえ、オンまたはオフ)の両方を含むものと定義される。
よりよい実施態様において、強度は照射平面の各側に対して2カ所の計4カ所でモニターされる。
紫外線放射のよりよい供給源は蛍光源である。蛍光とは発光の特別な事例である。
発光は、物質による電磁放射線の吸収、及び異なる波長の放射へのエネルギー変換を伴う。蛍光の場合、電磁放射によって励起された物質は、電磁放射の量子を放射することによって基底状態にもどる。従来から蛍光源は強度が低すぎて光活性に有用でないと考えられているが、本発明では実施態様の一つとして、今までは高価な装置でしか達成できなかった結果を達成する蛍光源を採用している。
ここで言う、一定の関係とは、試料照射の間、試料と光源の間の一定の距離と幾何状態を含むものと定義される。距離は、それが支持されているため光源と試料との間の距離に関係する。点源からの光強度は、点源からの距離の2乗に反比例していることが知られている。このように、光源からの距離における小さな変化が、強度について大きな影響を与え得る。強度の変化は光活性化の結果に影響をもたらし得るため、本発明の装置において、そうした距離の変化を回避するように工夫されている。これにより、再現性と反復可能性が得られる。
幾何状態とは光源のポジショニングに関係する。例えば、光源は試料ホルダーの周りで多くの様式(側面に、底部に、環状に、など)で配置し得ると想定できる。本発明のよりよい実施態様に用いられた幾何状態は、迅速な光活性化のための適切な強度の一様な露光を可能にする。本発明のよりよい装置の幾何状態は、単一の点源とは対照的に、直線状のランプの複数の供給源を含む。加えて、いくつかの反射面と吸収面がある。この複雑な幾何状態によって、照射される試料の位置に対するランプの位置または数の違いによる強度変化は、そのような変化が強度変化をもたらすという点で回避されるべきである。
B.迅速な光活性化
本発明のよりよい実施態様における光源は、迅速な光活性化を可能にする。照射装置の強度特性は、複数の試料の多くのセットを処理する必要があり得るという予想のもと、都合の良いものが選ばれている。この予想のもと、15分の露光時間またはそれ以内が実際上の目標である。
本発明の装置を設計するにあたり、よりよい装置の構成要素の相対的な位置は、およそ15分という照射時間を可能にするよう最適化されている。その結果、320nmと350nmの間の波長を測定するとき、およそ1mWcm−2(0.001J/cmsec)以上の強度束が試料容器に与えられる。
C.多数の試料の処理
既に述べたように、本発明の光活性装置におけるもうひとつの重要な特徴は、多数の試料の処理を提供するということである。この点で、本発明の装置における一つの構成要素は、複数の血液バッグを支持する手段である。本発明におけるよりよい実施態様において、支持手段は光源の両側に位置した血液バッグサポートを含む。一般的に使用されている市販のバッグを受容することにより、本発明の装置は多数の試料を都合の良い処理を可能にする。
D.温度コントロール
既に述べたように、本発明の光活性化装置の重要な特徴の1つは温度コントロールである。温度コントロールは重要である、というのも、露光する時の試料の温度はその結果に劇的に影響を及ぼし得るからである。例えば、核酸での二次構造を促進する条件もまた、核酸に対する多くのソラレン誘導体の親和定数を高める。HydeおよびHearst,Biochemistry,17,1251(1978).これらの条件は溶媒の組成と温度の両方の混ざったものである。一本鎖5SリボゾームRNAに関しては、低温での照射は20℃と比較して4℃ではHMTの5SrRNAへの共有結合的付加が2倍に増す。Thompsonら,J.Mol.Biol.147:417(1981).温度により引き起こされるソラレンの結合のさらなる増進さえも合成ポリヌクレオチドに関して報告されている。Thompsonら、Biochemistry 21:1363(1982)。
E.固有の安全性
紫外線の放射は深刻なやけどを引き起こし得る。露光の性質次第では発ガン性となり得る。本発明のよりよい実施態様の光源は使用者から遮蔽されている。これは、大規模な高強度の光源、ならびに、市販のハンディータイプの紫外線源とも対照的である。よりよい実施態様において、照射源はその放射エネルギーの伝達を妨げる物質でできた覆い(すなわち、不伝導性の覆い)内に収容されている。
使用者に伝わる照射はない。これは、使用者に対する独自の安全性を念頭に入れているからである。
II.化合物の合成
A.一般の光活性化合物
「光活性化合物」(または「光反応性化合物」)は、電磁放射への応答において化学変化を受ける化合物ファミリーと定義する。表1は光活性化合物の一部分を記した表である。
本明細書中において述べられている、先取権のある光化学反応化合物は、通常フロクマリンと呼ばれる。特に、本発明では、ソラレンつまり、[7H−フロ(3,2−g)−(1)−ベンゾピラン−7−オンまたは6−ヒドロキシ−5−ベンゾフランアクリル酸のβ−ラクトン]といわれるこれらの化合物を企図する。
これらの化合物は直線状で、中心の芳香環に付いた2つの酸素残基は、1、3に配向している。さらに、フラン環部分は、2環から成るクマリン系の6位に結合している。
ソラレン誘導体は、3、4、5、8、4’、または5’位で直線状フロクマリンを置換することにより誘導される。
8−メトキシソラレン(文献では、キサントトキシン,メトキサレン、8−MOPなど様々な名前で記されている)は、天然由来のソラレンであり、核酸に比較的弱く光活性化結合し、エイムスアッセイにおいては弱い変異原性をもつ。これについては以下の実験セクションで記述する。4’−アミノメチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(AMT)は、3.5DNA塩基対当たり1AMT付加生成物までという条件においては、最も反応性に富む核酸結合ソラレン誘導体の一つである。S.T.Isaacs,G.WiesehahnおよびL.M.Hallick,NCI Monograph 66:21(1984)しかしながら、AMTはかなりのレベルの変異原性も示す。8−MOPおよびAMT双方の最良の特徴、つまり、病原体の完全な不活性化と安全を確保するための低い変異原性と高い核酸結合性をもつ、新しいソラレンのグループが求められた。本発明においては、このような特徴をもつ化合物の設計を行った。
「4’−第一級アミノ置換ソラレン」は以下のように定義されるソラレン化合物である。ソラレンの4’位に、2から20個の炭素の全長を有する炭化水素鎖によってNH基がつながっており、これらの炭素のうち0から6個は独立にNHまたは0に置換される。さらに、各置換部位は、他の置換部位から少なくとも炭素二つ分離れており、また、ソラレンから少なくとも炭素一つ分離れている。4’−第一級アミノ置換ソラレンは、ソラレンの4、5’および8位にさらなる置換があり得、この置換基としては、限定はされないが、Hおよび(CHCH(式中n=0〜6)の群が挙げられる。
「5’−第一級アミノ置換ソラレン」は以下のように定義されるソラレン化合物である。ソラレンの5’位に、1から20個の炭素の全長を有する炭化水素鎖によってNH基がつながっており、これらの炭素のうち0から6個は独立にNHまたは0に置換される。さらに、各置換部位は、他の置換部位から少なくとも炭素二つ分離れており、また、ソラレンから少なくとも炭素一つ分離れている。5’−第一級アミノ置換ソラレンは、ソラレンの4、4’および8位にさらなる置換があり得、この置換基としては、限定はされないが、Hおよび(CHCH(式中n=0〜6)の群が挙げられる。
B.ソラレンの合成
本発明は、本発明の新しい化合物の合成法と、これまでに知られている中間体の新しい合成法を企図する。特に、その新しい化合物とは、モノ、ジ、もしくはトリアルキル化4’−第一級アミノ置換ソラレン、またはモノ、ジ、もしくはトリアルキル化5’−第一級アミノ置換ソラレンである。このセクションで議論されるスキームのいくつかの例が図5A〜5Fに示してある。参考のため、本明細書で議論されるソラレン誘導体に対して用いられている学名を、表2に示す。化合物1〜18についてはまた、その構造を図5A〜5Fに描いてある。このセクション(「B.ソラレンの合成」と題する)では、化合物を同定するために使用されるローマ数字はスキーム1〜6のみに該当しており、表2および図5A〜5Fの化合物番号には該当しないことに注意すること。
最初に、本発明で述べる化合物の多くを合成するのに有用な種々の中間体の合成について述べるのが最も論理的である。この本発明は4,5’,8−トリメチル−4’−第一級アミノ置換ソラレンまたは4,4’,8−トリメチル−5’−第一級アミノ置換ソラレンに限ったものではないが、トリメチルソラレンおよびテトラメチルソラレン、4’−ハロメチル−4,5’,8−トリメチルソラレン、および5’−ハロメチル−4,4’,8−トリメチルソラレンを含む重要な中間体もある。これらの不安定な中間体の調製はなかなかの難題である。
中間体の合成
4’−クロロメチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(4’−CMT)および4’−ブロモメチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(4’−BrMT)の前合成は、市販されている4,5’,8−トリメチルソラレン(5’−TMP)(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)から始めるか、または、他のアルキル化ソラレンについては、以下に述べる4つのステップで調製することができる。高発癌性で揮発性のクロロメチルメチルエーテルを大量に(20〜50当量)用いることによって、5’−TMPは、4’−CMTに転換される。クロロメチルメチルエーテルまたはブロモメチルメチルエーテルを用いた4,5’,8−トリアルキルソラレンのハロメチル化については、Hearstに対する米国特許第4124598号で記述されている。臭素化合物である4’−BrMTは同様に、幾分か揮発性のより低いブロモメチルメチルエーテルを用いて調製される。必要とする中間体はわずか30〜60%の収率で得られる。5’−クロロメチル−4,4’,8−トリメチルソラレン(5’−CMT)および5’−ブロモメチル−4,4’,8−トリメチルソラレン(5’−BrMT)は、異性体の出発化合物である、4,4’,8−トリメチルソラレン(4’−TMP)を用いて同様に調製した[Kaufmanに対する米国特許第4,294,822号;McLeodら「ベンゾフラノイド系の合成。I.フロクマリン、ベンゾフランおよびジベンゾフラン」、Tetrahedron Letters 237(1972)]。
本明細書中においては、より改良した生産方法を記載する。注意深く反応条件を調節しながら、同じソラレン前駆体から、ブロモメチルトリアルキルソラレンの異性体のどちらかを合成する。スキーム1を見よ。
4,8−ジアルキル−7−ヒドロキシクマリンと2−クロロ−3−ブタノンを典型的な塩基性条件下で反応させると、4,8−ジアルキル−7−(1−メチル−2−オキソ)プロピルオキシクマリン(I)を生ずる。この物質は、水酸化ナトリウムの水溶液中で加熱することにより環化し、4,8−ジアルキル−4’,5’−ジメチルソラレン(II)となる。4個置換されたソラレンとN−ブロモスクシンイミドを室温から150℃までで溶媒中で処理すると、使用された条件に応じて4’または5’位が臭素化する。ジベンゾイルペルオキシドのような触媒が加えられる場合もあるが、それは必ずしも必要ではない。もしその溶媒として、四塩化炭素を還流させて用いたら、4,8−ジアルキル−5’−ブロモメチル−4’−メチルソラレン(IV)が50%またはそれ以上生産される。もし塩化メチレンを室温で用いたら、4,8−ジアルキル−4’−ブロモメチル−5’−メチルソラレン(III)のみが80%以上生ずる。その他の溶媒でもベンゾイルの臭素化は起こりえる。その場合、異性体の一つを純品または混合物として生産する。これらの溶媒には1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ブロモトリクロロメタン、およびベンゼンが挙げられるが、これらに限定した訳ではない。
4’−置換ソラレンの合成の一般的手法
現在では、線状ソラレンのサブクラスである4,5’,8−トリアルキルソラレンは以下のように合成できる。4,8−ジアルキルクマリンは、2−アルキルレゾルシノールと3−オキソアルカノエートエステルからPechmann反応(Organic Reactlions VOL VII,Chap 1,Adamsら編,Wiley,NY(1953))によって調製される。水酸基は、アリル化試薬であるCH=CHX−CH(R)−Yで処理される(式中、Xは、ハロゲン化物または水素であり、Yはハロゲン化物またはスルホネートであり、Rは水素または(CHCHであり、ここでVは、0〜4の整数である)。その結果として生ずるアリルエーテルのクライゼン転移によって、4,8−ジアルキル−6−アリル−7−ヒドロキシクマリンができる。クマリンは、いくつかの以前に書かれた方法の一つに類似した方法を用いると、4,5’,8−トリアルキルソラレンに変換される(すなわち、Benderら,J.Org.Chem.44:2176(1979);Kaufmann,米国特許第4,235,781号および同4,216,154号を参照のこと。また、これらは本明細書で参考として援用される。)。
4,5’,8−トリメチルソラレンは天然の産物で市販品として入手できる(Aldrich Chemical Co.,Miwaukee WI)。
5’−置換ソラレンの合成の一般的スキーム
4,4’,8−トリアルキルソラレンも、これまでに論じた4,8−ジアルキル−7−ヒドロキシクマリンから始めて2段階で調製できる。クマリンを塩基性の条件下でα−クロロケトンで処理すると、4,8−ジアルキル−7−(2−オキソアルコキシ)クマリンを生ずる。この中間物から4,4’,8−トリアルキルクマリンへの環化は、水性塩基中で加熱することにより起こる。
長鎖4’−(ω−ハロアルキル)トリアルキルソラレン(本明細書においては長鎖4’−HATPと呼ぶ)は、アルキル基は(CH基から(CH10基までのものから選ばれ、別に論じているフリーデル−クラフツ条件(OlhaおよびKahn,J.Org.Chem.,1964,29,2317;フリーデル−クラフツ反応およびそれに関係する反応,VOL.II,part 2,Olah編,Interscience,NY,1964,p749)下で調製できる。ハロメチル中間体とアミンの反応(例えば、Hearstら.,米国特許第4,124,598号)、およびアルコールとの反応(例えば、Kaufmann,米国特許第4,269,852号)はすでに書かれているが、第一級アミンの伸長鎖形成についてはたった2報の原案報告書のみしか存在しない。それらは、4’−クロロメチル−4,5’,8−トリメチルソラレンとHN−(CH−NH(n=2,4,6)の反応(Lee,B.ら、「ソラレン由来のオリゴデオキシリボヌクレオシドメチルホスフェートと一本鎖DNAとの相互作用(Interaction of Psoralen−Derivatized Oligodeoxyribonucleoside Methylphosphonates with Single−Stranded DNA)」、Biochemistry 27;3197(1988))、ならびに、4’−クロロメチル−4,5’,8−トリメチルソラレンとHNCHCHSSCHCHNHとの反応(Goldenberg,M.,ら.,「新規ソラレン誘導体の合成と特性(Synthesis and Properties of Novel Psoralen Derivatives)」、Biochemistry 27;6971(1988))を記載する。核酸光反応の結果生じる化合物の有用性は、今まで報告されていない。これらの物質の特性(例えば、減少した変異原性)は、AMTのような以前に調製された化合物について公知であることに基づいて予期できないものである。
いくつかの合成経路を以下のスキーム2に示す。まず4’−HATPから始め、過剰のビスヒドロキシ化合物HO−(B)−OHと、ハロメチルより長い炭素鎖としての塩基と、ニートかアセトンのような溶媒中かのどちらかで20〜80℃で反応させると(ω−ヒドロキシアルコキシ)アルキルソラレンが生ずる(式中、Bは、アルキル鎖(例えば、HO−(B)−OHは1,3−プロパンジオール)もしくはモノエーテル(例えば、ジエチレングリコール)もしくはポリエーテル(例えば、テトラエチレングリコール)のどれかである)。
末端の水酸基は、いろいろな条件下(例えば、Larock,「分かりやすい有機置換(Comprehensive Organic Transformations)」,VCH Publishers,NY,1989を参照)でアミノ基に変換できる。とりわけ、水酸基は、メタンスルホン酸エステルに転換し得る(構造VI)。これは、その後エタノールが還流しているときアジドに転換し構造VIIのように、アジドは最終的にアミンに還元される(例えば2、4、7の化合物)。本明細書中に記載の方法は、還元のためにTHF中でトリフェニルホスフィンと水を利用するが、他の方法が企図される。
構造VIIの調製に適した方法によると、4’−HATPと、末端位に保護したアミノ基を含む(例えば、フタルイミド基)第一級直鎖アルコールを、DMFのような適した溶媒中で、25〜150℃で反応させるとIが生ずる。アミンは、標準的な条件で脱保護されてVIIを生成する(例えば、ヒドラジンまたは水性MeNHはフタルイミド基を脱保護する[ベンジルヒドラジンのような高級アルキルヒドラジンもまた企図される。])
逆にいうと、構造VIはジアミンNH−(B’)−NH(構造VI)と反応できて、最終生産物として化合物VIIIを生ずる(例えば、化合物8、13および14)(B’は、アルキル鎖(例えば、1,4−ブタンジアミン)、モノエーテル(例えば、3−オキサ−1,5−ペンタンジアミン)またはポリエーテル(例えば、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジアミン)を示す)。この反応は、ジアミンを過剰に加え、アセトニトリル中で還流することで起こるが、他の溶媒や温度でも同様に起こりえる。
最終反応物のうち、炭素鎖がソラレン環の4’位にオキシアルキル基[O(CH]で結合したものよりもむしろアミノアシル基[NH(CH]で結合したものが望まれる場合もある。これらの化合物の合成経路を以下の図3に示す。この窒素と末端の窒素の間の結合が、他に全く窒素が存在せずに(CH)サブユニットと酸素のみを含む場合(構造X)(例えば化合物1、5、6、9、10および11)には、その生成物は4’−HATP及び構造IXの適当なジアミンから都合よく調製され得る。この方法は、構造XIIのポリアミン(例えば、ノルスペルミジンあるいはスペルミン[Aldrich(Milwaukee,WI)から市販されている])から始まる、窒素を鎖中に2個より多く含む最終生産物(構造XIII)(例は化合物12および15である。)にも適用可能である。けれども、この場合は異性体構造物もかなりの量で形成される。構造XIIIの調製のための好ましい方法は、構造XIIのポリアミンとシアノ水素化ホウ素ナトリウムのような還元試薬でのソラレン−4’−アルカナール(XI)の還元的アミノ化である。この還元的アミノ化は、化合物Xの合成にも適用できる。カルボキシアルデヒド(構造XI、w=0)は4’−ハロメチル化合物の加水分解、及び、得られた4’−ヒドロキシメチル化合物のその後の酸化によって、以前に調製されている(Isaacsら,J.Labelled Cmpds,Radiopharm,1982,19,345)。これらの化合物も、ホルムアミドおよびPOClと、または、酸中でのヘキサメチレンテトラアミンと、4’−ヒドリド化合物との配合によって都合よく調製できる。長鎖アルカナールは4’−HATP化合物から、末端のハロ基をアルデヒド官能基に転換することによって調製できる(例えば、Durst,Adv.Org.Chem.6:285(1969))。
その他の最終生産物は末端のアミンがアルキル鎖によってソラレンに結合している。以下のスキーム4に示すように、4’−HATPとフタルイミドカリウムまたはアジドとの反応、及び以前に示した通りの所望のアミンのその後の遊離か、あるいは4’−HATPのシアニド化合物への転換、および、例えばNaBH−CFCOHでの還元のいずれかによって、これらの化合物(構造XIV)(一つの例として化合物3)が調製される。
4,5’,8−トリアルキルソラレンから4’−アミノ官能基化−4,5’,8−トリアルキルソラレンへの転換についての議論は、4位及び/もしくは8位が水素だけで置換される場合に同じように十分当てはまり、したがって、4’−第一級アミノ置換−5’,(4または8)−ジアルキルソラレンおよび4’−第一級アミノ置換−5’−アルキルソラレンが得られる。
5’誘導体の合成
これまでに示した条件で、4,4’,8−トリアルキルソラレンまたは4,4’,8−トリアルキル−5’−メチルソラレンは5’−(ω−ハロアルキル)−4,4’,8−トリアルキルソラレン(本明細書においては5’−HATPと呼ぶ)に転換される。以下のスキーム5に詳しく示す(Kaufman,米国特許第4,294,822号および同4,298,614号を参照)。
4,4’,8−トリアルキルソラレンから5’−第一級アミノ置換−4,4’,8−トリアルキルソラレンへの変換についての議論は、4位、4’位および/または8位が単に水素で置換される場合に同じように十分当てはまり、したがって、4位、4’位および/または8位にアルキル基を有する、5’−第一級アミノ置換−ジアルキルソラレンおよび5’−第一級アミノ置換−アルキルソラレンが得られる。
4’−第一級アミノソラレンおよび5’−第一級アミノソラレンの合成についての上記の考察は、直鎖でないクマリン、具体的には、イソソラレンまたはアンゲリシンにも拡張できる。このように4’−ハロメチルアンゲリシン(XIX)および5’−ハロメチルアンゲリシン(XX)は、それに似た直鎖の物質と似た手法で調製され得る(スキーム6を見よ)。上記に示した合成経路と同様にして、アルキル鎖が一つ以上の酸素原子および窒素原子を含有し得る4’−(ω−アミノ)アルキルアンゲリシンおよび5’−(ω−アミノ)アルキルアンゲリシンの合成法が予想できる。
III.化合物の核酸への結合
本明細書は、新規の化合物および既知の化合物と、ウイルス及び細菌の核酸(それに限った訳ではない)などの核酸との結合を企図する。光活性化合物と核酸の結合に対する一つのアプローチとして光結合がある。光結合とは、光活性化する波長の光の存在下での光結合化合物の結合として定義される。
光結合化合物とは、光活性化する波長の光の存在下で核酸と結合する化合物である。本発明は、本発明の光結合化合物と光結合する方法を企図する。
光結合についての本発明の一具体例は、以下の工程を含む、a)本発明の光結合化合物を供給する工程と、b)その光結合化合物と核酸を、光活性化する波長の電磁放射線の存在下で混合する工程を包含する。
本発明はさらに核酸を修飾する方法を企図しており、この方法は、a)本発明の光結合化合物と核酸を供給する工程と、b)化合物:核酸複合体が形成されるように光結合化合物を核酸に光結合させる工程を包含する。本発明の化合物が複製を妨げるいずれかの方法に制限されることを意図することなく、化合物:核酸複合体の構造が、化合物が結合した領域で必要なポリメラーゼが作用するのを妨げることによって、核酸の複製を妨げると考えられる。
IV.病原体の不活性化
本発明は、血液製剤を光活性化合物で処理すること、および血液製剤を使う前に汚染した病原体の核酸配列を不活性化するために照射することを企図する。
A.一般的な不活性化
「不活性化」という言葉はここでは、病原体の一個体の複製を不可能にするために、その個体の核酸を変化させることと定義される。これは、与えられた試料中に存在するすべての病原体の個体が複製を不可能にされる「完全な不活性化」や、存在する病原体の個体のほとんどが複製を不可能にされる「実質的な不活性化」とは区別される。化合物の「不活性化効率」は、その化合物が、所与の濃度で達成しうるまたは照射の線量で達成しうる、不活性化のレベルと定義される。例えば、100μMの仮想の化合物XがHIVウイルスを5対数不活性化させるのに対して同濃度の化合物Yが同じ実験条件でウイルスを1対数しか不活性化しない場合、化合物Xは化合物Yよりも「不活性化効率」が良いことになる。
「不活性化」の方法が「完全な不活性化」を達成し得るかし得ないかを評価する為には、特定の例を考えることは有用である。細菌の培養では、その細菌の培養のアリコットを新鮮なプレート培地に移し成長させたとき、一定時間後に検出可能でない場合、不活性化しているといわれる。生存可能な細菌の最小の数が、検出できるシグナルとしてプレートに用いられなければならない。最適な検出方法では、これの最小数は1つの細菌細胞である。準最適な検出方法では、シグナルが観察されるように利用された細菌細胞の最小数は、1よりはるかに大であり得る。検出方法は、「限界(閾)」を決定し、限界(閾)未満では「不活性化法」が完全に効果的であるように思われる(限界(閾)より上での「不活性化」は、実際には、部分的にだけ効果がある。
B.潜在する病原体の不活性化
核酸への不活性化法における感度の限界を決定する際に、検出方法とその限界に対する同様の配慮が要求される。再度繰り返すが、「不活性化」とは1個体の病原体が複製を不可能にされることを意味する。
人によって物質が使われる不活性化法の場合、インビトロであろうとインビボであろうと、その検出方法は、その物質への曝露の結果としての、病気の感染レベルの測定であると理論的に考えられうる。次いで、その限界未満では不活性化法が完全である限界は、物質と接触することに起因して病気が起きるのを防ぐのに十分な不活性化レベルであると考えられる。この実用的なシナリオでは、本発明の方法が「完全な不活性化」をもたらすことが必須ではないことが認識される。つまり、いわゆる「実質的な不活性化」は、生存可能な部分が、病気を引き起こすには不十分である限りは適切である。
したがって、残存している病原体の生存可能ないずれかの部分が病気を引き起こすのに不十分である場合、病原体の「実質的に全て」が不活性化される。本発明の不活性化方法は、病原体の核酸を実質的に不活性化する。一つの具体例として、血液製剤中の病原体の核酸を実質的に不活性化する。
本発明の化合物が病原体を不活性化するいずれの方法にも限定されることを意図することなく、不活性化は、病原体の核酸へのソラレンの、光に誘発された結合に起因すると考えられる。更に、本発明の不活性化法は核酸の性質によって限定されるものではないことが意図される一方で、不活性化法はすべての形態の核酸(DNA,mRNAなど)を実質的に不活性化することが企図される。
光活性化合物を核酸修飾に用いる際、病原体の核酸(DNA,mRNAなど)と光活性化合物との相互作用は、好ましくは病原体の複製を防止し、その結果、人が処置後の病原体にさらされても感染は起きない。
「合成培地」は本明細書中において合成血液、または血液製剤貯蔵培地と定義される。一実施態様として、本発明は緩衝化生理食塩水を含む合成培地中で血液製剤の不活性化を企図する。この方法は血液製剤への損害を減少させ、大変低濃度での光活性化合物の使用を可能にする。
ソラレン光不活性化法は血液中に存在する病原体に基づく核酸を単一の手順によって不活性化する。それ故に、細菌、原生生物、およびウイルスを同様に除外する潜在能力を有する。効果的な除染法がAIDSの世界的流行の出現以前から利用可能であったのであれば、輸血に連同したHIVの伝達が起こっていなかったであろう。ソラレンに基づく除染は、含有される病原体に関係なく、血液供給からすべての感染因子を除去する潜在能力を有する。加えて、ソラレンに基づく除染は収集および処理後の血液製剤を滅菌する能力を有し、血小板濃縮液においては低いレベルの細菌汚染の問題を解決し、貯蔵寿命を引き延ばす結果となり得た。Morrow J.F.らJAMA 266:555−558(1991);Bertolini F.らTransfusion 32:152−156(1992)
1つまたは複数のソラレン誘導体によって光化学的に不活性化されるウイルスのリストを表3に示す(Hanson,C.V.Blood Cells 18:7(1992)の表1から)。このリストは網羅的ではなく、単にソラレンが不活性化できる多種多様な病原体のうちの代表的なものだけを示している。本発明は本明細書中に述べられている化合物による、これら、およびその他のウイルスの不活性化を企図する。本発明の化合物は特にHIVウイルスのようなエンベロープウイルスを不活性化することにとても適している。
C.病原体不活性化のための光不活性化合物の選択
本発明の光化学除染(PCD)法において有用である化合物を評価するために2つの重要な特性が考慮された。すなわち1)病原体を不活性化する化合物の能力、および2)その変異原性である。病原体を不活性化する化合物の能力はいくつかの方法によって決定し得る。1つの技術はバクテリオファージスクリーンを行うことである。すなわち試験化合物の核酸結合を決定するアッセイである。このタイプのスクリーン、すなわちr−17スクリーンは下記実施例12の項目で詳細に述べる。もしr−17スクリーンで不活性化活性を示すならば、ウイルスを不活性化する化合物の能力を直接試験するのに有用である。直接的なウイルス不活性化スクリーンを行う1つの方法を、細胞を含まないHIVについての下記実施例13の項目において詳細に述べる。
R17バクテリオファージスクリーンは、HIV不活性化効率と同様にその他多くのウイルスに対する化合物の効率についても予測可能であると考えられている。R17が選ばれ、それは、不活性化することが大変難しい病原体であると予想されていたからである。それは小さく、一本鎖RNAウイルスである。本発明が実行するいずれかの手段に限定されることを意図するものではなく、短い核酸断片を不活性化することは、長い核酸断片を不活性化するよりもソラレン付加物を形成する高い頻度を要求するために難しいと予想されている。さらに一本鎖RNA病原体を不活性化することはより困難である。なぜならソラレンが二本鎖核酸の場合と同じように塩基対の間に挿入され得もせず、鎖内架橋として機能する二付加物を形成し得もしないからである。それ故にR17の不活性化が達成されれば、同条件において多くのウイルスおよび細菌の不活性化がもたらされると予想される。
セルフリーHIVスクリーンは、r−17にポジテイブな化合物が実際にウイルス不活性化に効果的であることを肯定することによって、r−17スクリーンを相補する。それ故に、もし化合物がr−17スクリーンにおいて活性を示せば、次にウイルス不活性化スクリーンで試験される。
本発明の方法に用いられる化合物の試験において重要な2つめの特性は変異原性である。最も広く用いられる変異原/発ガン物質スクリーニングアッセイはエイムス試験である。このアッセイはD.M.MaronおよびB.N.AmesによってMutation Research 113:173(1983)に述べられており、具体的なスクリーンは下記実施例17の項目に述べる。エイムス試験は、成長についてヒスチジン要求性であり、かつ通常のDNA修復酵素を欠損させたSalmonella typhimuriumのいくつかの特異的な株を利用する。細菌をヒスチジン非要求性にする変異の頻度(自発的復帰変異の頻度)は低い。つまり、この試験は化合物の影響を復帰変異の頻度で評価するのである。
いくつかの物質はそれら自身では突然変異誘発性を示さず、代謝作用によって変異原に転換されるため、試験される化合物は、肝臓抽出物に加えて寒天培地上の細菌と混合される。肝臓抽出物は動物の代謝作用を模倣するのに役立つ。対照実験プレートは細菌と抽出物のみである。
混合物は保温され、(もしあれば)細菌の成長はコロニー計数によってチェックされる。エイムス試験におけるポジテイブとは化合物を含むプレート上のコロニー数が、対照実験プレート上のコロニー数を大幅に上回ったときを指す。
既知の発ガン物質をエイムス試験によってスクリーンすると約90%がポジテイブになる。既知の非発ガン物質に同様の試験を行うと約90%がネガテイブになる。
表4に示す通り、新しい化合物(X)は潜在的な血液の光除染化合物として評価され得る。Xは最初に工程Iで評価される。Xは実施例12に説明するように4〜320μMの間のいくつかの異なる濃度においてr−17アッセイでスクリーンされる。もし化合物が任意の濃度でのr−17スクリーンにおいて、r−17の1対数の不活性化(対数 死滅)よりも大きな不活性化活性を示すならば、その化合物は実施例13に説明するセルフリーHIVアッセイでスクリーンされる。もし化合物がセルフリーHIVアッセイにおいてHIVの1対数不活性化(対数 死滅)よりも大きな不活性化活性を示すならば、その化合物およびAMTはエイムスアッセイでスクリーンされる。最後に、もし化合物がエイムスアッセイにおいてAMTよりも低い変異原性を示すならば、新しい化合物は病原体の不活性化に対する有用な薬剤として認定される。
これらの指示に従うことにより、いずれの化合物が本発明の方法における使用に適しているかを迅速に決定することができる。
D.光不活性化のための化合物の配送
本発明は、本明細書中において述べられる化合物が不活性化法で配送され得るための、いくつかの異なった処方物および経路を企図する。この欄は単に実例であり、化合物を導入するいずれの方法、または形状も発明を制限することは意図されない。
本発明の化合物はいくつかの形状において不活性化法に導入し得る。化合物は、水溶液、食塩水、「SterilyteTM 3.0」(下記の実施例セクションの最初に示される内容)のような合成培地、またはその他の溶媒状態において導入し得る。化合物はさらに、アジュバントの有無に関わらず乾燥処方物として供給し得る。
新しい化合物はまた多くの異なった経路によって供給され得る。例えば、化合物は製造時において血液バッグのような反応器に導入され得る。他方、化合物は反応器に移された後の滅菌された材料に加えられ得る。さらに化合物は単一、または「カクテル」、またはいくつかの異なった化合物の混合物として導入し得る。
V.処理された原料の生物学的特性の保存
インビボで使用するための血液製剤を扱う場合、2つの要因が、使用する化合物および方法を開発する際に最も重要である。まず使用されるプロセスまたは化合物が、処理された材料のインビボにおける活性を変えるかどうかを問わねばならない。例えば、血小板輸血は血小板減少症の患者の出血に対する有効な治療として十分確立されている。しかしながら、用いられる除染処理が血小板の凝固活性を著しく減少させるのであれば、その処理に実用的な意義はないことになる。ソラレンは不活性化手順において有用であり、それはその反応が血液および血液製剤の生物学的特性の保持できる温度範囲内で実施可能であるからである(Hanson.C.V.,Blood Cells 18:7(1992))。しかし、すべてのソラレンまたは方法が、除染された物質の生物学的活性を著しく低下させずに除染するわけではない。これまでの化合物やプロトコルでは、照射中に生じる酸素ラジカルに由来する血液製剤の損傷を防ぐために、光に当てる前に反応物からの分子酸素の除去が必要であった(L.Linら,Blood 74:517(1989);Wiesehahnに対する米国特許第4,727,027を参照)。本発明は、酸素存在下で、血液製剤が調製される目的であるインビボ活性を破壊せずに、血液製剤を除染するために使用され得る。本発明は、本発明の方法で除染される血液製剤試料を、通常に機能する血液製剤試料を血液製剤の機能についての公知のアッセイにおいて試験したのと同様に試験した場合、血液製剤のインビボ活性は破壊もされず、著しい減少もないことを企図する。例えば血小板に関しては、血小板が本発明による方法で処理され、かつ未処理試料中に5日間保存されるのと同様に5日間保存された血小板と、血小板の凝集及びpHが実質的に同じである場合、そのインビボ活性は破壊もされず、著しい減少もない。「実質的に同じ」pH及び凝集性とは、特定のデータポイントが示す周辺の誤差の範囲内であることを意味している。
2つ目の要因は、使用される化合物が治療を行う患者に対して毒性があるか、あるいは変異原性があるかどうかである。「低い変異原性を示す」化合物とは、下記の実験のセクションに叙述したエイムス試験において250μM未満の濃度で試験した場合、AMTよりも低い変異原性を呈する化合物と定義される。本発明の不活性化合物および方法は特に有用であり、それは、それらが病原体の不活性化効率と変異原性とが無関係であることを示すからである。これらの化合物は、変異原性の付随的上昇なしに強力な病原体不活性化を呈する。AMTのような一般的に知られている化合物が光不活性化プロトコルで試験され、これまでは分割できないと思われた病原体不活性効率と変異誘発作用の間に、ある関係があるように見える。
本発明は、は病原体不活性化効率が変異原性と無関係であるための任意の理論に限定されることは意図されないが、その無関係さはソラレン上に置換された基の長さおよび化合物上の電荷の位置の結果起こると仮定している。変異原性の化合物の一端または両端上の正電荷は、DNAのリン酸エステル主鎖と非共有結合性の相互作用をすると仮定している。これらの相互作用は、光の存在下にかかわらず起こると推認している(「暗結合」と呼ぶ)。理論上、ソラレンは立体的にポリメラーゼによるDNAの開裂をブロックし、変異原性を引き起こす。逆に、本発明の化合物は、長鎖置換基上に正あるいは中性電荷を持っている。これらの置換された基は暗結合の間中、立体的なバリアを形成しており、それがDNAから相当たやすく自由にはずれ、ポリメラーゼの通過が可能となる。よって、変異原性は結果的にない事になる。
VI.ソラレンおよびソラレン光化学反応生成物の除去に対する装置および方法
光化学的除染(PCD)の次には、形成されるソラレン光生成物、そして残存ソラレンが処理された血液製剤から除去されなければならない。本質的には、除去は安全面での予防策である。もし、ソラレンおよびソラレン光生成物が受容者に注入される前に血液製剤から除去されないと、受容者の核酸とコンジュゲートを形成する間接的な可能性がある。
血液製剤から物質を除去することに関しては、非常に多くの研究例が存在している。この研究の多くは白血球の減少に関する(M.N.Boomgaardら、Transfusion 34:311(1994);F.Bertoliniら、Vox Sang 62:82(1992);A.M.Joustra−Dijkhuisら、Vox Sang 67:22(1994))。白血球細胞の減少は重要である。なぜならば、多くの白血球細胞を含む血液成分の輸血を受けた患者は、非溶血性熱性(nonhemolytic febrile)輸血反応やヒト白血球抗原(HLA)同種免疫、移植片対宿主反応、そして無作為のドナーからの血小板の輸血に対する不応状態(refractoriness to random−donor platelet transfusion)といった、いくつかの有害反応を経験し得るからである(T.Shimizuら,Transfusion 33:730(1993);H.Wadenvik,上記)。血小板のろ過はPCの白血球細胞の減少に使われる一般的な方法である。数多くのフィルターがPC中のWBCの量を上述した有害反応を生じないレベルにまで減少させるのに首尾よく用いられた。(K.J.Kao,上記(PL−100フィルター,Pall Corp.,Glen Cove,NY);M.Boeckら,Transfusion 31:333(1991)(Sepacell PL−5A,Asahi,東京,日本);J.D.Sweeneyら,Transfusion 35:131(1995)(Leukotrap,Miles Inc.,Covina,CA);およびM.van Marwijkら,Transfusion 30:34(1990)(Cellselect,NPBI,Emmer−Compascuum,The Netherlands;Immugard Ig−500,Terumo,東京,日本))。不運にも、これらのフィルターは、これら比較的低分子量の化合物が現在のろ過メカニズムで容易に除去されないのと同様に、ソラレン光付加生成物もソラレン自身も除去できない。
PCから不要生成物を除去する方法として、吸着法も実行可能な方法である。数日貯蔵されたPCはアナフィラトキシンを発生させ得、アナフィラトキシンが血小板輸血時に血管内皮損傷や末梢循環不全といった悪影響を引き起こし得る(T.Shimizuら,Vox Sang 66:161(1994))。C3aといったアナフィラトキシンは正に帯電しており、静電力によって負に帯電したフィルター膜に吸着すると考えられている。というのは、多くの血漿タンパクは負に帯電しており、これらが吸着しないため、アナフィラトキシンの単離および保持を可能にする。T.ShimizuらはPCに対しある市販品のポリエステル繊維製フィルターが、C3aアナフィラトキシンレベルを以前のろ過レベルの約12%にまで減少させることを発見した。理論上、ある種のアナフィラトキシンと同様に、フィルターに結合可能な荷電分子であるソラレンが開発され得る。しかしながら、フィルターへ吸着しないアナフィラトキシンの割合に基づいて考えると、フィルターの限られた表面積と吸着容量が原因で、その方法ではソラレン光化学反応生成物、及び残存ソラレンはPC中におそらく残存すると考えられる。
吸着のプロセスはまた、リン脂質ポリマー上に選択された血液成分を単離するために用いられてきた。例えば、様々な電荷を持ついくつかのポリマーは血小板の付着やタンパクの吸着を含めた血液成分とのそれらの相互作用について評価されてきた。[K.Ishiharaら、J.Biomed.Mat.Res.28:1347(1994)]しかし、これらのポリマーは、ソラレンやソラレン光化学反応生成物といった低分子量化合物の吸着のために設計されてはいない。
様々な透析手段により、血漿および血液全体から低分子量化合物をうまく除くことができる。例えば、透析は、低分子量毒素および薬学的化合物を首尾よく除去し得る。よって、透析は血液製剤からソラレン及びソラレン光化学反応生成物を除去するのに用いられ得る。不運なことに、現在の透析手順は大変複雑かつ高価な装置を必要とする。そのために、透析機械の使用は、大量の血液製剤の除染において実用的ではない。PCDと組み合わせた、より簡単でさらに経済的な手段を開発する必要がある。
上記の通り、PCから望ましくない生成物を単離するための現在の方法及び装置は、PCDとソラレンの技術の使用に適さない。このように、他のアプローチをみつけなくてはならない。適当な装置の開発に際して重要な考えは、装置を用いてプロセスを進めたとき、血液製剤それ自体への有害な変化を避ける必要性があることである(J.M.Coutneyら,Artificial Organs 17(4):260(1993))。血小板が含まれている場合特に重要なのは、血小板の機能及び完全さの維持である。その目的を達するために、血小板の数、ならびにGMP−140による活性化、pH、およびATPの含有量といった血小板機能の指標となる値は、装置の使用によって悪い方向に変化すべきでない。さらに、満足できる装置は凝固カスケードに対して著しい影響を与えるべきではない。そして最後に、ソラレンはソラレンを除去するために使用される装置と共存可能でなければならないし、適当なサイズの装置を用いて所望されるソラレンの除去を達成するのに十分な吸着容量を持たねばならない。
本発明のこの局面に関係があるのは、血液製剤から物質を除去するために用いられる装置、特に血小板に有害な影響を及ぼさずに血小板混合物からソラレン及びソラレン光化学反応生成物を吸着させるために用いられる装置である。今後、このような装置は「スクラブ装置(scrub device)」または「捕獲装置」と互換性を持って呼ばれ得る。一方で、除去のプロセスは、「スクラブプロセス」または「捕獲プロセス」と言われ得る。
以下に続く装置の記述は、下記の各部分に分かれている。
(A)血小板濃縮液中でのソラレンの分離(B)吸着物の説明及び選択(C)吸着法の研究(D)ソラレン除去装置(E)血漿からのソラレンの吸着
A.血小板濃縮液中のソラレンの分離
新しいソラレンS−59は、光化学的処理(PCT)のプロセス内で使用する物質の有力候補である。S−59即ち4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンの化学構造は以下の通りである。
以下に続く記述中に示されるプロセスは、35%血漿/65%合成培地(PAS III)中に懸濁させた血小板へのS−59の添加(最終濃度は150μM)、その後のUVA照射が含まれている。本明細書中今後、35%PCと言うのは35%血漿/65%PAS III中に懸濁した血小板の事を意味する。構造的に類似のソラレンおよび異なる血小板処方物についても同様の分離が結果として生じ得る。ソラレンの除去を目的とする「捕獲」または「スクラブ」装置の設計の際重要な考えとなるのは、低分子量光化学反応生成物の同定およびその残存レベルの定量化である。血小板混合物のいくつかの特性(脂質含量、血小板量、ヘモグロビン/RBC含量)が最終的なソラレンの分離、及び捕獲またはスクラブのプロセスの間に除去されなくてはならない各光化学反応生成物の量に影響する。
「光化学反応生成物」は、化合物と活性化波長の電磁放射線との反応の生成物と定義される。活性化波長の電磁放射線にさらされたとき、光反応性化合物のとりうる反応を考えることで「光化学反応生成物」はよく理解できる。いずれの正確なメカニズムにも限定されることはないが、基底状態(「C」)にある光反応性化合物と活性化波長の電磁放射線との反応は、短命の励起状態種(「C」)を生成する:
次に起こる現象は主として、どんな潜在的な反応物が遷移状態種に利用可能であるかということの結果である。それは短命であるから、この種と核酸(「NA」)の反応は、遷移状態種が生じた時に核酸が存在すれば唯一可能であると信じられている。その反応は以下のように示される。
この反応を記述すると、化合物が活性化波長の電磁放射線にさらされたときに、核酸は結合に利用されない状況を考える人もいるだろう。励起状態種は短命で、反応する核酸がないと、励起状態種は単に基底状態に戻る。
他方、励起状態種はそれ自身と(基底状態種または励起状態種と)反応し、基底状態での複合体(「C:C」)を形成し得る。2つの化合物が反応してできるこれらの自己反応の生成物は、「光二量体」または単なる「二量体」と呼ばれる。しかしながら、自己反応とは2つの化合物に限られるわけでなく、多量体(三量体など)も形成され得る。
励起状態種は自己反応のみに限られない。それは、溶媒(「E」)の要素といった周辺環境(イオンや気体など)と反応し、他の生成物を生じ得る。
さらに、それは、単なる基底状態の誘導体(「
」)への内的な再編成(「異性化」)も起こし得る。
最後に、遷移状態種はここで述べたもの以外の他の反応に進み得る。
本発明および「光化学反応生成物」の理解は、(もしあるのなら)これらの1つの反応が実際におこるかどうかとは無関係である。本発明は血液製剤の光活性化を伴う光化学反応生成物の除去のための方法及び装置についてのみ記述する。
S−59を血小板に添加するとS−59は迅速に分配され、血漿中のS−59と血小板中のS−59との間に平衡状態を形成する。おおよそ初めのS−59のうち25%が血小板へ分配されるが、その割合は血小板の数及び血小板の生存性に依存する(すなわち、死んだ血小板はソラレンを取り込まない)。さらに、S−59の添加とUVA照射の間に長い培養期間(例えば、60分より長く)をもうければ、高い割合のS−59が血小板に分配される。血小板に分配されるS−59の量は最終的に、どのくらいの量のS−59が血小板と会合したままであるか、血漿巨大分子とどれくらい会合するのか、遊離光化学反応生成物としてどれくらいが残るのかで決まるのである。
UVAの照射プロセスの間、S−59は光化学反応を経て、いくつかの低分子量の光化学反応生成物を形成し、その上、血小板および血漿画分中の巨大分子と会合する。初期濃度150μMのS−59のうちおよそ20%が血小板と会合する。つまりは8〜9%がS−59と低分子量光化学反応生成物であり、11〜12%が巨大分子と会合したS−59である。残る80%のS−59は血漿中に残る。つまり、65%はS−59と低分子量光化学反応生成物であり、約15%が血漿巨大分子と会合したS−59である。低分子量光化学反応生成物が血小板および血漿中に残っており、総じて、150μMのS−59のおよそ73%である。この画分の低分子光化学反応生成物は、スクラブプロセスの間に除去され、それらの除去はHPLCおよびH標識したS−59を使った放射能測定により追跡した。スキームAは、UVAの照射後、35%血漿/65%PAS IIIのなかに懸濁した血小板の中のS−59の分布を図表で描いている。
スクラブ/捕獲プロセスで除去されないS−59もまたH標識したS−59を使ってモニターできる。初期の150μMのS−59の27%に当たる除去出来ない画分は血小板および血漿のなかの巨大分子と共有結合的に会合している。
B.吸着剤の評価および選択
血小板混合物からのソラレンおよびそれに関係した低分子光化学反応生成物の除去は、薬物の過剰摂取によって苦しんでいる患者を治療する情況に似ている。
薬物中毒で苦しんでいる患者は、血液中の低分子の薬物を除去する固体の吸着剤の入ったカラムを使うことで、うまく治療される。治療は患者から血液を取り除き、生体外循環系経由で、吸着剤の入ったカラムに血漿(血漿灌流)または、全血(血液灌流)を通して患者に血液を戻すことで行われる。血液灌流に関係する論文の大部分は、2つのグループの吸着樹脂に焦点をあてている:(i)アンバーライト、これは重合性の樹脂である〔J.L.Rosenbaumら,Archives of Internal Medicine 136:263−66(1976);R.Hughesら,Artificial Organs 3(1):23−26(1979)〕および(ii)活性炭、これは、血液適合性のポリマーで覆われている〔D.Webb,British J.of Hospital Medicine 49(7):493−96(1993)〕。
血小板混合物からソラレン光化学反応生成物を除くのに適した樹脂は幾つかの重要な特性を持っていなければならない。吸着剤は、化学的・物理的安定性、浸出性、粒子サイズ、表面積などの完全な特徴をふくめて、薬学的な利用に適した品質でなければならない。樹脂はオートクレーブまたはガンマ線照射で滅菌できなければならない。最後に、樹脂は血小板の機能および/または血漿凝固因子を重視するような血液適合性でなければならない。この樹脂は、コレステロール、脂質、脂肪酸、サイトカイン、エンドトキシンの除去に有効であると思われる本発明に使用されることを予期していることも明記しておくべきである。
表Aは最初のスクリーニング手順で選んだ幾つかの樹脂について要約している。表Aに記載されている樹脂に加えて、特に安価な樹脂も選んだ。このリストに記載されていない、他の有効な樹脂も効果的であり得る。伝統的にクロマトグラフィーに使われてきた樹脂も最近、血液灌流の潜在的吸着剤として別の医学的指標で調査されている。このような利用があるので、C−4、C−8およびC−18樹脂を選択範囲の中に加えた〔D.J.Heiら、「シリカへの吸着によるHSAを含む溶液からのサイトカインの除去(Removal of Cytokines from HSA−Containing Solutions by Adsorption onto Silica)」、Biotechnology and Bioengineering 44:1023−30(1994);S.Murugavel、「逆相シリカゲルの全血および血漿灌流の吸着剤としての効果に関する試験管内での研究(In Vitro Studies of the Efficacy of Reversed Phase Silica Gel as a Sorbent for Hemo− and Plasmaperfusion)」、Clinical Toxicology 30(1) 69−82(1992)〕。
後に詳細に述べるように以下の樹脂は最初のスクリーニング手順ですぐれた結果を示した:Amberlite XAD−4TM,Amberlite XAD−16TM,Amberchrom CG−161cdTM,Hemosorba CH−350TM,およびBio−Beads SM−4TM(300〜1180μm直径)
アンバーライト樹脂
アンバーライト樹脂は急性の薬物中毒〔J.L.Rosenbaumら,Archives of Internal Medicine 136:263−66(1976)〕および肝機能不全〔R.Hughesら,Artificial Organs 3(1):23−26(1979)〕の患者を治療するために使用されてきた。他にも、アンバーライト吸着剤は医薬品工業において最近様々な用途に使われている。Supelco,Inc.(Bellefonte,PA)はRohm and Haas(Chauny,France)が製造したAmberlite XAD−4TMおよびAmberlite XAD−16TM樹脂を特に薬学的応用のために加工処理した。Supelco,Inc.は、浸出物(例えば、ジビニルベンゼン、DVB)を除去し、粒子を最小の直径に制限するために、吸着剤を処理した。最終的な吸着剤は、滅菌された(USP XXI)、発熱物質のない(LAL)、検出しうる浸出物(DVBおよびすべての有機物)の含まれていないことが証明されている。
チャーコール樹脂
チャーコール樹脂を使った血液灌流装置は最近、幾つかの日本の会社で製造され、米国およびヨーロッパで市販されている。Asahi Medical Co.(東京,日本)が製造している活性炭を含んだ二種の血液灌流装置は、薬物過量摂取および肝性昏睡の治療のためのFDAに提出する510(k)書類に記載されている。血液灌流装置Hemosorba CH−350の吸着剤はとても耐久性がある、大きな直径の粒子であり、この粒子は、低分子量の薬物および毒素を、PCのような細胞が含まれている流体から除去することを特に目的として設計されている。チャーコール吸着剤は普通は石油のピッチから作られ、ポリ(HEMA)(メタクリル酸ヒドロキシエチル)のような血液適合性のポリマーでおおわれている;ポリマーで覆われることによって血液適合性が増加し、機械の故障の原因となる微小粒子の発生の危険を減らしている。
チャーコール樹脂を使った血液灌流装置は、いくつかの理由により米国ではあまり使われていない。理由の第一に、多くの情況において、血液透析のようなより良い二者択一的な治療法があること。理由の第二に、ある型の薬物中毒(drug intoxcation)や薬物中毒(drug poisoning)では、毒素が体の区画(例えば、組織、肺など)に強く分配されているので血液灌流が容易に出来ないということがあげられる。しかしながら、まだ血液灌流はセオフィリン過量摂取などの特定の臨床的な情況において推薦される〔D.Webb,British J.of Hospital Medicine 49(7):493−96(1993)〕。
C.吸着に関する研究
吸着平衡
S−59を除去する能力のある吸着剤をスクリーニングする最も簡単な方法に、PCからのS−59の平衡吸着を調査する方法がある。吸着実験において放射能標識されたS−59を使用することで、残留放射能の測定が、吸着後に残っているS−59の指標として使用されることを可能にする。様々な吸着剤の候補を比べるために、各々の吸着剤を約0.1gずつ150μMのH−S−59(照射していない)を含む3.0mlのPCに加えた。試料は密閉したチューブで血小板回転機の上で、24時間室温でインキュベートした。速度論的測定は、完全な平衡はバッチ式インキュベーションの約6時間後に達せられたことを示した。インキュベーション後に、各チューブからPC試料を除去し、それぞれの吸着剤に残っている放射能レベルを各吸着剤について決定した。
表Bには、S−59の残存レベルを、その他の事項と一緒に記載している。それゆえ、表Bは、各々の吸着剤の相対的な効果の良い指標を提供する。平衡に達したことを保証するために、24時間のインキュベーション後にこれらの残存レベルを決定した。
各々の吸着剤について吸着等温線が描かれ、この吸着等温線の傾きから平衡吸着定数(K)が決定された(吸着定数は表Bの3番目の欄に記載した)。表Bの4番目の欄では、S−59のレベルを30μM(150μMの20%)から5μMにまで減らすのにかかる樹脂の全コスト($/装置)が決定された。表Bの5番目の欄では、S−59のレベルを30μMから1μMにまで減らすのにかかる樹脂の全コスト($/装置)が決定された。書き加えておくと、血小板の混合物への照射は光分解反応によりS−59のレベルを150μMから30μMにまで減らす。Hemosorba CH−350のコストが見積られた(140gの吸着剤を含んでいる一つの吸着装置当たり$350)。最後に、「ND」はその値が決められていないことを示している。
実行した試験には、血液から薬剤を固相抽出(SPE)するときに普通使われている、幾つかの逆相樹脂(すなわち、いくつかの製造業者からのC−18、ならびにBaker製のC−4およびC−8)の解析も含まれている。
幾つかの逆相樹脂は良い吸着性を示したが、これらの樹脂は水性の溶液で樹脂を湿らせることに関係する問題点を抱えている。逆相吸着剤は、エタノール中に懸濁し、遠心分離し、エタノールをデカントした後、水性の溶液を加えることによって、エタノールで前もって湿らせておかなくてはならない。エタノールで前もって湿らせなかった逆相吸着剤は互いに凝集し、チューブの側面にくっつく傾向があり、不均一な分布および接触をもたらした。樹脂を湿らせる事の他にも問題点を付け加えると、逆相媒体は他の媒体と比べて、値段が高い傾向がある。さらに、逆相媒体は普通小さな粒子サイズでのみ供給される(50μm未満の直径)。その結果、C−4、C−8、およびC−18を含む逆相樹脂やAmberchrom樹脂(表B)やWaters Porapak RDXTM(Waters,Milford,MA)(表Bには記載されていない)などの水性の溶液で容易に湿潤しない他の樹脂は好まれないことになる。
表Bに示された、アンバーライトに関するデータについての考察によって、Amberlite XAD−4TMおよびAmberlite XAD−16TMが好ましいということが明らかになった。特にこれら二つのアンバーライトのS−59の残存レベルは、他のアンバーライト(Amberlite XAD−2TM、Amberlite XAD−7TM)に比べて十分低い(3倍以上の違いがみられる)。
幾つかの、活性炭(表Bには記載されていない)も試験された。標準的な、活性炭は物理的に安定ではなく、こわれて、とても細かい粒子になる傾向があった。
吸着性の研究中に採られた試料は高いレベルの炭の微粒子(吸着剤の細かい粒子)をしばしば含み、この炭の微粒子は血小板から分離することが出来なかった。血液灌流のために、特別に生産された活性炭(例えば、Hemosorba CH−350;Asahi;表Bに記載)は石油のピッチから作られ、この石油ピッチは、とても固い、耐久性のある炭ビーズを与える。前述のように、血液灌流のために開発された活性炭はさらに、ポリマーで覆われている。このポリマーは、血液適合性を増加させ、機械の故障の原因となる微小粒子の発生の危険を減らしている。
表Bには樹脂のそれぞれについてS−59の残存レベルに関連したデータに加えて、他の平衡吸着のデータも要約されている。このデータを使って、残存S−59の希望の終濃度における、各樹脂の平衡容量を見積もることができる。S−59の初期濃度は150μMであり、かつ初期のS−59の99%超を除去する目標を設定した場合に、S−59の最終濃度は約1μMになる。線形の等温線(Langmuir,低濃度)を仮定すると同時に下記の方程式を用いれば、各樹脂の容量を見積ることができる。
ここで、q(μmol S−59/g樹脂)は樹脂容量、C(μM)はS−59の最終の平衡溶液濃度、K(L/g)は樹脂の特性である吸着定数である。表Bの二列目に示すデータと同様なデータを用いて、Kの値を見積り得る。次に、Kについて算出された値と、1μMのS−59での最終濃度目標としてのCとを用いて樹脂容量(q)を見積り得る。
樹脂の容量を計算した後、下記の方程式を用いて、所与の量のPCを処理するのに必要とする樹脂量を見積り得る。
ここでM(g)は吸着剤の質量、V(L)は溶液の体積、CはS−59の初期濃度、C(μM)はS−59の最終濃度(この計算のために1μM)、q(μmol S−59/g樹脂)は式1により定義された樹脂容量である。
代表的な35%PC(つまり35%血漿/65%PAS III)の場合に、原液150μMのS−59の約20%が光照射後も残存し、それゆえに、Cは約30μMであると見積ることができる。処理されたPCの体積(V)は300mLである。従って、容量qを持つ各樹脂について、S−59の濃度をCからCまで下げるのに必要とされる吸着剤の質量Mを計算し得る。
最終の平衡溶液濃度Cは、樹脂容量qと除かれるべきS−59の全量の両方を決定するので、最終の平衡濃度は重要なパラメーターである。式1と式2を組み合わせて下記の関係が得られる。
が低い値の場合に、必要とされる樹脂の質量MはCと反比例にする。Cに対する、吸着剤の質量の漸近的性質をスキームBに示す。スキームBに示される曲線を導き出すのに方程式3を用いた。その時の計算は、初期濃度Cは30μM、体積Vは300mLに基づいた。
吸着動態
以下に述べるように、選択される吸着剤とPCとを接触させる2つの可能な方法は、流動装置の使用とバッチ式(batch)装置の使用を含む。PCまたは血漿からのソラレンの吸着についての動力学は、潜在的には、流動スクラブ装置の有効性を決定する際に最も重要な因子の一つである(下で詳しく議論する)。流動装置を使用中の遊離のソラレンと固体吸着剤との不完全な平衡によって、所与のレベルの残存ソラレンに達するのに必要な吸着剤の量が実質的に増加する結果になり得る。
吸着速度はしばしば、吸着剤表面への吸着質の拡散を含む、物質移動プロセスに制限される。小分子の拡散性は相対的に高いので、低分子量の化合物(例えばS−59)の吸着は一つ代表的な速いプロセスである。しかし、吸着速度が拡散以外のプロセスによって制限される場合、S−59と細胞および/または血漿分子との相互作用はより遅い吸着動態を示す。
D.ソラレンの除去装置
概要
本発明はソラレンの除去のための、二種類の明確に異なる型式の装置の使用を企図する:流動装置とバッチ式装置。流動装置においては、枕元でPCを、照射後かまたは注入前かどちらかにおいて吸着剤カラムに通して灌流させることによってソラレンを除去する。
逆に、バッチ式装置は、照射の後、直接吸着剤を血小板バッグに加えるかまたは血小板を、照射の後、吸着剤を含むバッグに移すかどちらかをし、その次に血小板を特定の時間かき回すことを伴う。
前にも述べたような、150μMのS−59原液の約73%はS−59と低分子量の光化学反応生成物として存在する。S−59原液の約20〜30%は残っており、他の40〜50%はS−59の光化学反応生成物を表す。バッチ式装置を用いた研究の結果、適当な吸着剤を用いて、S−59の99%超と低分子量の光化学反応生成物をPCから吸着することができることが示された。適当な流動装置またはバッチ式除去装置を選択することにより、同様な除去レベルを達成することを可能にすべきである。
流動装置
前にも述べた通り、本発明はUVAで血小板を照射した後かまたは調製物を受容者に注入する前のいずれかに、流動装置を用いて血小板の調製物が灌流され得ることを企図する。代表的には、流動装置は、吸着剤が充填された5〜10mLの容量のインラインカラムを伴う。
この装置の本体としては、取り扱っている間に樹脂が粉砕されるのを防ぐために十分に丈夫である血液適合性プラスチック(ポリカーボネート、ポリプロピレン)で製造しなければならない。この装置はフローアダプター、特に50〜100μmのナイロンメッシュフィルターを持ち、このフローアダプターは細胞の通過を最小の圧力低下で可能にする一方で、細粒(吸着剤の微粒子)の通過を防げるに違いない。多くの実施態様では、この装置は、血小板調製物がカラムを通過して灌流した後血小板調製物を貯蔵するための追加のバッグ、ならびに、吸着剤微粒子の注入を防ぐためのインラインフィルターを伴う。
操作の点から、重力流によりこの装置は作動するべきである。この除去プロセスは、ある時間枠内で完結されるべきであり、この時間枠は、血小板調製物の処理では、30分から3時間まで、好ましくは、1から2時間の最小時間により定義され、そして、血小板調製物のウイルス試験に必須の、約12時間の最少時間により定義される。血小板及び液量のいずれについても、それらの減少は無視できる程度でならなければいけない。
製造プロセスと関連して幾つかの考慮がされている。第一に、カラム床体積は除去される薬物の予想量を考慮して考えるべきである。より多量の薬物を除去するには、より大きなカラム床体積が必要とされる。第二に、所与のカラム床体積に対して、カラム床直径は圧力によって決まる。この直径は、一定のカラム床体積でのソラレンの除去に影響を与えるかもしれない。第三に、組立と滅菌の前に、この装置は、湿潤したカラムで充填され、受容可能な溶液(例えば、合成培地PAS III)を注入されるべきである。第四に、この装置は血小板の収集/処理や貯蔵用のバッグに連結されるべきである。また、その後、最後のアセンブリは、滅菌され封入されるべきである。血小板バッグとカラムとの間に装置を詰めるとき、注意して行う必要がある。大きな空気泡が導入されると、装置中の偏流、および不完全なソラレンの除去を引き起こす。
現在、Supelco株式会社は大容量(250〜1500mL,Porozorb CartridgesTM)と小容量(5mL,Rezorian CartridgesTM)の両方を製造しており、それらは、AmberliteTM樹脂およびAmberchromTM樹脂を含む。これらの装置は臭化エチジウム、洗剤や抗生物質などのような小分子を蛋白質溶液から除去するために市販されている。さらに、Waters(Milford,MA)は現在小容量(1mL)のType I Medical Devicesに分類される吸着装置を製造している。
ここまでで、議論されてきた実験と設計への考慮は、平衡(バッチ式)吸着データに基づく。流動吸着装置において、吸着剤の必要量へ影響を与え得る因子は幾つかあり、それゆえ装置の全体的な設計にも影響を与え得る。第一に、この前に少し述べたように、吸着時における動力学な限界が、流体と吸着剤との間に不完全な平衡状態が生じ、必要な吸着剤の量の増加をもたらし得る。しかし、吸着装置を通過する流速を下げて、十分な接触時間を与えることによって、動力学的限界を打ち消し得る。第二に、装置を通過する不完全な流動によって引き起こされる分散が、流動装置中の大量の吸着剤の必要性もまた、もたらし得る。装置の適切な設計や製造は分散効果を最小限に抑える。
吸着剤とカラムの位置関係が流動装置内でのソラレンの残存レベルに及ぼす影響について考察した。表Cにまとめた幾つかの流動の設定で得られた結果から幾つかの重要なポイントが明らかになった。第一に、一定の樹脂量で流動装置の直径が大きくなると、処理される血小板ユニット中のS−59の残存レベルも増加する。第二に、長くて細いカラムを使えば、S−59の残存レベルが低くなるが、許容できない重力流に対して大きな圧力低下をもたらすかもしれない。第三に、S−59の除去時にAmberlite XAD−4TMはAmberlite XAD−16TMほど効果が良くない。Amberlite XAD−4TMのより小さな直径の孔によって、実質的により遅い吸着動態がもたらされ得る。
表Cは、Amberlite XAD−4TMの量を二倍にすることは、流動装置内のS−59の除去の不釣り合いなわずかな増加という結果をもたらすということを示した。また、このデータから、血小板含有溶液からS−59を除去する際の制限因子は、S−59を血小板の内部から運び出すことであることが示唆された。流動装置内の動力学的限界に対する可能な解決法は、より大きな流動装置を使って流速を下げることによって、血小板の滞留時間を長くにすることを包含する。
バッチ式装置
前に示唆したように、流動装置に代わって選べるのはバッチ式吸着である。
バッチ式吸着では、照射後に吸着剤を直接血小板バッグに入れるか、または照射後に血小板を、吸着剤を含むバッグまで移動させるかのどちらかを含む。その次に血小板を特定の時間かき回す。その後、一つ加えられた安全な予防策として、あらゆる固体樹脂粒子を除去するために、インラインフィルター/ふるいを通して血小板を別のバッグに移してもよい。
ある実施態様において、血小板は、吸着剤を用いて直接処理される(つまり、どの型の包装(packaging)の内部にも吸着剤は含まれない)。このような実施態様において、バッチ式装置中に、処理後に血小板から吸着剤を除去するために50〜100μmのナイロンメッシュフィルターを付けたフローアダプターまたは他の濾過装置のような除去装置が含まれる。他の実施態様において、吸着剤はメッシュエンクロージャー/ポーチの内側に入れられ、このメッシュエンクロージャー/ポーチは血小板バッグそれ自体の内側に入れられる。実験的目的で、血小板バッグの側面に沿ってスリットを切って作り、メッシュエンクロージャーをこのスリットを通して挿入した後、血小板バッグをヒートシールすることによって、メッシュエンクロージャーを血小板バッグの中に入れる。しかし、大規模製造では、メッシュエンクロージャーは血小板バッグに固定されていても固定されていなくともよい。この完全なアセンブリを熱またはγ線照射により滅菌し得る。
流動装置の場合と同様に、多くの実施態様においてバッチ式装置もまた、微小な吸着剤粒子の注入を防ぐためのインラインフィルター、ならびに処理された血小板を貯蔵するための追加のバッグを伴う。別の実施態様において、取り扱っている間、樹脂を保護する外部区画に吸着剤は包まれる。この外部区画は滅菌吸着剤のための包装として、および処理後に吸着剤を除去するための装置として働き得る。この外部区画は、バッグと区画の間に壊れやすいクロージャー、および流出口で吸着剤を保持するのに適したフィルターメッシュを備える滴下チャンバーと似ている。照射後、壊れやすい物は壊れ、吸着剤は、処理された血小板を含むバッグの中に移される。除去が完了した後、血液製剤が外部チャンバーを通過し、そこで吸着剤が除去される。本発明と共に使用するのに適したメッシュ材料の製造者が幾つか存在する。例えば、Saati Corp.(Stamford,CT)とTetko,Inc.(Buffalo,NY)らは様々な医療用グレードのメッシュ材料を製造する。
スキームCにバッチ式RDの2つの可能な構成を示す。構成A(いわゆる二つバッグ設計)では、照射した後、血小板が第2のバッグに移され、この第2のバッグは、メッシュエンクロージャー/ポーチ中の吸着剤を含む。限られた接触時間が望ましい場合、血小板は元のバッグに戻され得る。構成B(いわゆるただ一個のバッグ設計)では、照射後、外部パーティションがはがされ、それにより血小板が自由に吸着剤バッグ/ポーチと混ざることを可能にする。もちろん、バッチ式RDに対して、他の構成も可能である。
バッチ式RDを選ぶ時に、幾つかの因子を考慮しないといけない。第一に、吸着剤との接触時間が延びると、最終のPC中に存在する吸着剤からの浸出物のレベルが上がる。第二に、一般的にバッチ式RDは、流動装置より血液製剤との接触時間が長い。従って、血液適合性(いわゆる血小板機能と凝固因子の過度の減少)を監視することが非常に重要である。第三に、バッチ式RDは、吸着プロセス中に血小板/血漿を撹拌するための追加装置(つまり振とう機)を含む。使用された装置は、装置の不調により吸着時間が短くならないことを保証するための安全装置を有するべきである。
血液適合性の検討
血小板機能についての検討はバッチ式装置と流動装置両方を用いて行った(実施例25と実施例−29)。それらの結果から、幾つかの特殊な吸着剤は血小板機能を良好に維持することが示された。流動装置に関する問題は主に、装置内で形成し得る血小板凝集塊の除去を伴っている。しかし、凝集塊は一般的には、注入前に集合体フィルター(aggregate filter)により除去されるので、凝集塊の除去は大きな問題を生み出さないようである。バッチ式装置での血小板機能についての検討結果から、Amberlite XAD−4TMとAmberlite XAD−16TMは満足な血液適合性特性が持つことが示唆された。
特に注意するのは、たとえ同じ吸着剤を使っても、流動装置が必ずしも、バッチ式装置を用いて得られる結果と類似の結果をもたらすわけではないことである。流動装置の場合に血小板と吸着剤との接触時間が短いが、機械的応力や他のカラム成分との接触のような他の因子が血小板に有害な影響を与えるという可能性がある。
凝塊に関する検討を100%の血漿で実施した。Amberlite XAD−4TMおよびHemosorba CH−350TMを使うと、一番良い結果(後掲の実施例30)が得られた。このAmberlite XAD−4TMおよびHemosorba CH−350TMは両方とも、試験されたパラメーターのいずれに対しても影響はほとんど無かった。凝固因子アッセイに関する実験を、バッチ式で、吸着実験で典型的に用いられる吸着剤対血漿の割合より高い吸着剤対血漿の割合で行った。また、流動装置は、より短い接触時間と共に、付随して血ぺい形成に関与するタンパク質の高い回収率をもたらす。
バッチ式装置と流動装置の比較
以上議論した流動式とバッチ式は、ソラレンの除去を行う際に起きる、血液製剤と吸着剤の間の直接接触という点が似ている。しかし、この二種類の装置の間に著しい差異が幾つもある。第一に、バッチ式吸着はソラレンと光化学反応生成物の残存レベルを<1%まで低下させることが可能であるのに対して、流動吸着での場合にはその残存レベルが約5%でありやすい。前にも指摘したように、血小板からソラレンを移すための接触時間の減少に起因する動力学的制限によって、流動式を用いての残存ソラレンの完全な除去が妨げられる可能性がある。逆に、バッチ式吸着での延びた接触時間は除去時により効果的である。
第二に、バッチ式での延びた接触時間により、最終血小板混合物中に存在する浸出物のレベルが増加し得る。しかし、現在Supelco,Inc.は、AmberliteTMの吸着剤を加工処理しており、この吸着剤は、浸出物のレベルを検出できないレベルまで効果的に減少させる。第三に、どちらの種類の装置を用いても、吸着剤の微粒子が最終的に血液製剤の受容者に注入され得るという可能性がある。流動装置は樹脂にとって、より安定な構成を提供しているが、流動式のためのフローアダプターは血小板凝集塊による流路の詰まりを防ぐために、約60μmの最小メッシュサイズを必要とする。
しかし、バッチ式装置は、血小板がメッシュそのものを通過して流れる必要はないので、より小さいメッシュサイズ(例えば約10μm)を使用し得る。したがって、バッチ式には、より小さいメッシュを使用する能力は、バッチ式において微粒子を注入する可能性を減少させ得る。
以上議論したすべての因子に基づいて、バッチ式アプローチは流動設計より好ましい。バッチ式吸着に関して行われた検討において、Amberlite XAD−4TMやAmberlite XAD−16TMやHemosorba CH−350TMは高いS−59の吸着容量、かつ良い血液適合性特性を呈する吸着剤であった。これらの樹脂のうち、Supelco,Inc.により加工されたAmberlite XAD−4TMとAmberlite XAD−16TMが好ましく、Amberlite XAD−4TMは凝固因子に有害な影響が少ないので、最も好ましい。
E.血漿からのソラレンの吸着
概要
ここで、RDに関する議論はPC、特に、血小板は35%血漿/65%PAS III中の血小板からのソラレンの除去に集中していった。しかし、本発明は、血漿や血清のような他の血液製剤からのソラレンの除去も企図する。このセクションでは血漿からのソラレンの除去について議論する。
一般的に、PCからのソラレンの除去に適用されるのと同じ原理が、血漿からのソラレンの除去に適用される。従って、バッチ式と流動式の両方が、光処理した血漿からソラレンを除去するのに使用され得る。血漿(または血清)の場合、ソラレンを除去しなければならない血小板は存在しないので、滞留時間は重要な因子ではない。
血漿からS−59の除去に関する主な制限は血漿蛋白質、主に血清アルブミンによる、遊離S−59と光化学反応生成物との結合をめぐる競合である。
上記に述べたPCの場合と同様に、潜在的な吸着剤は、それらの有効性を決定するためにスクリーニングされた。表Dに幾つかの吸着剤についてコストとS−59容量を示す。Amberlite XAD−1600のコスト(四列目)は決定しなかった。
また、二つ異なる流速で流動装置を用いた吸着データも得られた。その吸着データは実施例30に示す。
凝固因子のアッセイ
血漿製剤に使用される吸着剤は、凝固カスケードにおいて重要なタンパク質のレベルを著しく激減させることなくS−59を除去することが可能でなければならない。S−59に対する様々な樹脂の選択性については、バッチ式吸着実験(下記の実施例31参照)を行い、凝固時間および凝固因子レベルについてのアッセイに処理後の血漿を供することによって解析した。使用した吸着剤はAmberlite XAD−4TM、Amberlite XAD−16TM、Hemosorba CH−350TM、BioRad t−ブチル HICTM(Macro−Prep)、およびDavision Silica(Grade 15)である。
凝固因子のアッセイに関する実験は、吸着実験で典型的に使用される吸着剤対血漿の割合よりも高い吸着剤対血漿の割合で、バッチ式でおこなった。流動吸着装置は、より短い接触時間と共に、付随して血ぺい形成に関与するタンパク質の高い回収率をもたらすべきである。
VII.バッチ式除去装置の性能と製造
本発明の望ましい実施態様は、バッチ式除去装置を伴う。バッチ式除去装置はある種の血液製剤に対しては流動装置よりも望ましい。例えば血小板濃縮液とバッチ式装置を使用することにより、血小板からのソラレンの光化学反応生成物の除去の動力学的限界を超える。同様に新鮮凍結血漿(FFP)も動力学的限界(例えば、血清アルブミンや他の血漿タンパク質による、遊離S−59と光化学反応生成物との結合をめぐる競合)を有しており、この動力学的限界はバッチ式装置を用いて克服される。
「除去装置」および「RD」といった用語は、メッシュポーチ/バッグ(例:ポリエステルメッシュ)、透過膜から構築されるポーチ、カートリッジ(例:インラインカラム)、または他の適した手段に保持された、公知の多くの医療用/製薬用グレードの吸着剤(例:ポリマー性吸着剤ビーズ)を意味する。本発明は、ソラレンおよびソラレンの光化学反応生成物を除去するためのRDの使用を企図している。一般的にいうと、RDとの接触時間が長いほどソラレンおよびソラレンの光化学反応生成物は多く除去される。しかしながら血液貯蔵の手順により課される実施上の限界が、利用可能な接触時間を制限する。
好ましい実施態様ではRD(例:吸着剤を含んだポーチ)は血液製剤貯蔵容器(例:血小板貯蔵バッグの中に含まれている。本発明品はまた、詳細は後述するが、他の実施態様を企図しており、この他の実施態様は、S−59と光化学反応生成物の除去に吸着剤を利用するものである。
このセクションではバッチ式RDの性能の必要条件、そのようなRDに特に適した吸着剤、ならびにRD製造プロセス全体について記述する。
A.バッチ式除去装置の条件
本発明品の一実施態様では血液製剤はまず照射容器中でソラレンとUVAによる処理がおこなわれる。例えばS−59(15.2mg)が、300ml(35%血漿/65%PAS III)中に懸濁したおよそ4.0×1011個の血小板に加えられ、3J/cmの長波長のUVA(320〜400nm)で照射され得る。照射後、残存S−59が存在する。さらに低分子量の光化学反応生成物が存在すると考えられる。その後、血液製剤は例えば、RDを含んだ改良型のPL2410プラスチック容器(Baxter)に移され、特定された時間(例:血小板振盪機で8時間より長い時間)インキュベートされる。このインキュベートにより、血液製剤がヒトへの注入のために放出され得るような十分に低いレベルまで残存ソラレンおよびソラレン光化学反応生成物を除去する(すなわち、S−59の減少)ことが可能となる。インキュベートした後、血液製剤は、注入を延期する(例えば、血小板については最長で5日)ために、他の貯蔵容器(例:PL2410プラスチック容器;Baxter)に移される。スキームDは上述したS−59の減少プロセスを図で示す。
代替の実施態様ではUVAの照射とRD処理が1つの血液製剤バッグ中でおこなわれる。この実施態様では、血液製剤のバッグが除去可能な外部パーティションによって2つの区画に分けられる(スキームC、構成B参照)。スキームC、構成Bによると、血液製剤が下の区画で照射されている。照射後、パーティションは除去され、照射された血液製剤は上の区画内に固定されたRDと接触する。インキュベーションののち、血液製剤バッグはつりさげられ、パーティションが元の所に戻され得、その結果、RDから血液製剤が隔離され得る。あるいは、RDから血液製剤を隔離するために、バッグを溶接(例:ヒートシールまたはインパルス溶接)してもよい。次いで、血液製剤バッグ全体(すなわち、照射されかつRD処理された血液製剤とRD自体を含んでいる)は貯蔵され得、注入を延期し得る。
さらにS−59と光化学反応生成物の効果的な除去のために、インビボでの条件でRDは注入された血液製剤の性能に有害な影響を及ぼしてはならない。PCについては、pH、形態スコア(morphology score)、血小板の形状変化、および低浸透圧ショック応答を含む、幾つかのインビトロでの血小板機能試験が、インビボでの注入後の回収率と残存物と相関があることが報告されている[S.Murphyら、「インビトロでの貯蔵された血小板濃縮液の質の評価(In Vitro Assessment of the Quality of Stored Platelet Concentrates)」、Transfusion Med.Rev.VIII(1):29−36(1994)]。RDは血小板の機能に悪影響を及ぼす物質を有しないことが望ましい。
下記の表AAには、バッチ式RDに対する、特定の示唆された最小限の必要条件が列挙される。
これらの必要条件は単に好ましいだけであることが強調されるべきである。したがって、必要条件の改変は本発明の範囲内であると理解されるべきである。これらの必要条件はS−59の除去のためのバッチ式除去装置に具体的に適合するが、使用されるソラレンにかかわらず多くの必要条件が応用可能である。
B.除去装置に特に適した吸着剤
前のセクションにおいて、血液製剤からソラレンの光化学反応生成物を除去する際の使用について企図された特定の吸着剤の概要について説明した(例えば、表Aを参照)。バッチ式除去装置での使用に適した多くのポリマー吸着剤があり、例えば、Dow Chemical Company(例:Dowex(登録商標)XUS−40323,XUS−43493,およびXUS−40285)、Mitsubishi Chemical(例:Diaion(登録商標)HP20)、Purolite(例:Hypersol−Macronet(登録商標)Sorbent Resins MN−150およびMN−400)、およびRohm and Haas(例:Amberlite(登録商標)XAD−2,XAD−4,およびXAD−16)により製造されるものが挙げられる。最も好ましい吸着剤はDow Chemical Companyにより製造された不活性ポリマーのDowex(登録商標)XUS−43493である。Dowex XUS−43493はOptipore(登録商標)L493として商業的に知られている。
本発明の中で最も有用なポリマー吸着剤は非イオン性のマクロ多孔性かつマクロ網状の樹脂である。「マクロ多孔性」という用語は、一般に樹脂の20%以上が架橋しているものをいう(架橋については後述)。「マクロ多孔性」は「マクロ孔」とは区別可能であり、孔の直径が500Åより大きいことをいう。最後に「マクロ網状」という用語は、その構造が高い物理的多孔性を有している(すなわち多数の孔が存在する)ことを意味する関連用語である 。
非イオン性のマクロ多孔性樹脂かつマクロ網状の樹脂は特に血小板濃縮液からのソラレン光化学反応生成物の除去に有効である。非イオン性のマクロ多孔性かつマクロ網状のDowex(登録商標)XUS−43493が望ましい第一の理由は、S−59への高い親和性に加えて、優れた湿潤特性も有しているためである。以下で詳細に論議する通り、「優れた湿潤特性」とは、乾燥した(すなわち本質的に無水の)吸着剤は、残存S−59および光化学反応生成物を吸着剤が効果的に除去する目的で、照射されたPCと接触する前に湿潤剤(例えば、エタノール等)で湿らせる必要がないことを意味する。メチレン架橋された、スチレンとジビニルベンゼンのコポリマーである吸着剤ビーズは、直径およそ300〜850μmの範囲の球状粒子の形態である。Dowex(登録商標)XUS−43493は極めて大きい内部表面積(1100m/g)および比較的小さい孔(46Å)を有し、この内部表面積および小さい孔が、S−59や光化学反応生成物のような小さい疎水性分子を除去する際にDowex(登録商標)XUS−43493をとても効果的なものにする。本発明が、除去が行われる機構に制限されることを意図しないが、疎水性相互作用は吸着の主要な機構であると考えられる。Dowex(登録商標)XUS−43493は強酸、強塩基および有機溶媒には不溶である。その多孔性の性質は、大分子(すなわちタンパク質)および細胞と比較して表面領域のより多くの部分に小分子が接近することを可能にすることにより、吸着プロセスに対し選択性を与える。Purolite(登録商標)MN−150はS−59への高い親和性および優れた湿潤特性といった、Dowex(登録商標)XUS−43493に似た特徴を多く有しており、好ましい吸着剤である。
疎水性のマクロ網状樹脂のビーズを含んだ、Amberlite(登録商標)XADシリーズの吸着剤もまた効果的である。さらにAmberchrom(登録商標)CGシリーズの吸着剤(Amberliteの小粒子のもの)のような様々な種類のAmberliteもRDでの使用に適している。Amberchrom吸着剤はFFP(新鮮凍結血漿)に関連するソラレン除去についてのよい結果が示されている(データは示さず)。さらにRohm and Haasも炭素質の(すなわち炭素の豊富な)Ambersorb吸着剤を製造しており、このAmbersorb吸着剤の各々が広範な範囲の孔サイズを有している。
上述の吸着剤の構造関連の特徴の一部を表BBにまとめた。それらの構造関連特性に加えて、表BB中に列挙された吸着剤は、吸着剤をバッチ式除去装置での使用に適切にする他の特徴を有する。その多くを前に述べた、それらの特徴としてはソラレン(特にS−59)への高い親和性、ソラレンに対する良好な選択性、良好な血液適合性、および安価であることが挙げられる。製造者により供給される吸着剤は一般的には製薬的および医学的な応用に対して受容可能ではないので、そういった応用に対して受容可能な高純度状態を作り出すために、吸着剤を処理しなければならない(後述)。そのような高純度状態を達成する吸着剤の能力は他の望ましい特徴を表す。
表BBによればポリ芳香族は全てポリスチレン−ジビニルベンゼンのコポリマーである。RDでの効果の点からみると、一般的にいって、ポリメタクリレートは有用でないことに注意しなければならない。このことは、ポリメタクリレートは疎水性ではないという事実の結果であるか、樹脂とソラレンの間に芳香族スタッキング相互作用がないからであり得る。最後に、Dowex(登録商標)XUS−43493で使用されている吸着剤は乾燥型と湿潤型の両方が商業的に入手可能である(それぞれ、Dowex(登録商標)XUS−43493.00およびDowex XUS−43493.01)。
任意の特定の組成を有する吸着剤または任意の特定の手順で得られる吸着剤の使用に限定はされていないが、本発明の好ましい吸着剤はポリスチレン網状組織である。「ポリスチレン網状組織」という用語は、スチレン(CCH=CH)モノマーを含むポリマーのことを幅広く意味する。
このポリマーは、フェニル置換基を有する単一の共有結合性アルカン鎖からなる直鎖であっても、二次元ポリマー主鎖を形成するために一般にm−またはp−フェニレン残基と架橋してもよい。ポリスチレン網状組織は、それらの合成機構ならびに物理的特徴および機能的特徴に基づいて、i)在来網状組織とii)超架橋網状組織としてさらに分類し得る。これらの各分類については後述する。本発明の最も望ましい吸着剤は超架橋網状組織に分類される。
在来網状組織は主に、ジビニルベンゼン(DVB)が架橋剤(すなわち、直線状ポリスチレン鎖を一つに結合する剤)の役割を果たす、スチレンジビニルベンゼンのコポリマーである。これらのポリマーの網状組織は「ゲルタイプ」のポリマーを含む。ゲルタイプポリマーは、モノマーのコポリマー化で得られる、均質で非多孔性のスチレン−DVBコポリマーである。このようなポリマーはイオン交換樹脂の調製において頻繁に使用される。マクロ多孔性の吸着剤は在来網状組織の2つめの分類を表す。マクロ多孔性の吸着剤は成長中のポリスチレン鎖を沈殿させる希釈剤の存在下でのモノマーのコポリマー化で得られる。この手順で形成されるポリスチレン網状組織は比較的大きな内部表面積を有する(ポリマー1gあたり数百mまで)。Amberlite(登録商標)XAD−4はこのような手順で生産されている[DavankovおよびTsyurupaら、「超架橋されたポリスチレンの構造と特性−ポリマー網状組織の新たな種の第一報(Structure And Properties Of Hypercrosslinked Polystyrene − The First Representative Of A New Class of Polymer Networks)」、Reactive Polymers 13:27−42(1990);Tsyurupaら、「超架橋ポリスチレン吸着剤’Styrosorb’による水相からの有機化合物の吸着(Sorption of organic compounds from aqueous media by hypercrosslinked polystyrene sorbents ’Styrosorb’)」、Reactive Polymers 25:69−78(1995)]。
上述した在来網状組織とは対照的に本発明の好ましい吸着剤(例:Dowex(登録商標)XUS−43494)は超架橋網状組織である。これらの網状組織は溶液中または膨張した状態のいずれかで二価性剤を用いて直鎖のポリスチレン鎖を架橋することで生産される。好ましい二価性剤は配座が限定された架橋を形成し、この架橋は、吸着剤が本質的に無水状態(すなわち乾燥)のときに孔がつぶれるのを防ぐと考えられている。
超架橋網状組織は3つの主な特徴を有しており、これらの特徴により在来網状組織から区別されると考えられる。第一にポリスチレン鎖を離して固定する架橋に起因する低密度のポリマー鎖が存在する。その結果、吸着剤は一般的に比較的大きな多孔性表面の面積および孔径を有する。第二にこの網状組織は膨張しうる。つまりポリマー相の体積が有機分子に接触したときに増加する。最後に超架橋ポリマーは乾燥状態で「変形」する。つまり、乾燥状態の網状組織の堅さが、鎖同士が引き合うのを防ぐ。しかし、吸着剤が湿潤したとき変形が和らぎ、このことが液状媒体中で膨張する網状組織の能力を増加させる[DavankovおよびTsyurupa、「超架橋されたポリスチレンの構造と特性−ポリマー網状組織の新たな種の第一報(Structure And Properties Of Hypercrosslinked Polystyrene - The first Representative Of A New Class of Polymer Networks)」、Reactive Polymers 13:27−42(1990);Tsyurupaら、「超架橋ポリスチレン吸着剤’Styrosorb’による水相からの有機化合物の吸着(Sorption of Organic compounds from aqueous media by hypercrosslinked polystyrene sorbents‘Styrosorb’)」、Reactive Polymers 25:69−78(1995)]。
p−キシレンジクロライド(XDC)、モノクロロジメチルエーテル(MCDE)、1,4−ビス−クロロメチルジフェニル(CMDP)、4,4’−ビス−(クロロメチル)ビフェニル(CMB)、ジメチルホルマール(DMF)、p,p’−ビス−クロロメチル−1,4−ジフェニルブタン(DPB)、およびトリス−(クロロメチル)−メシチレン(CMM)のようないくつかの架橋剤がポリスチレン鎖間の架橋を形成するために首尾よく使用されている。この架橋は、これらの架橋剤の一つとスチレンのフェニル環とをFriedel−Crafts反応によって反応させることにより、ポリスチレン鎖間で形成される。このようにして得られる架橋は、異なる2つのポリスチレン鎖に存在するスチレンのフェニル環をつなげる[例えば、本明細書中で参考として援用される米国特許第3,729,457号を参照のこと]。
前述したとおり架橋は吸着剤がRDで使用されるとき特に重要である。なぜなら架橋は一般的に「湿潤」剤の必要性を排除するからである。つまり、架橋は、吸着剤が本質的に無水(すなわち「乾燥」)状態の時に孔がつぶれるのを防ぎ、その結果照射された血小板濃縮液に吸着剤が接触する前に湿潤剤による「再開孔」の必要がなくなる。孔がつぶれるのを防ぐために配座が限定された架橋が形成されるべきである。DPBのようないくつかの二価性剤は一般的に限定された配座はもたらさない。例えばDPBは配座転移を受けやすい4つの連続したメチレン単位を有する。このようなことからDPBは本発明と使用するのに好ましい二価性剤ではない。
C.除去装置の製造プロセス
吸着剤の加工
上述した吸着剤は代表的な大量に入手可能なものであり、比較的安価である。上述したように吸着剤は医学的/製薬的応用に対して受容可能ではない。滅菌されなければいけないことに加えて、吸着剤は代表的には、微粒子、塩、潜在的抽出可能物、およびエンドトキシンを除去するためにさらに加工されなければならない。これらの抽出可能成分の除去は代表的には、有機溶媒、蒸気または超臨界流体のいずれかを用いて処理することによってなされる。
いくつかの企業が目下、ポリマー吸着剤の「きれいな」(すなわち加工された)バージョンを販売している。
この樹脂を加工することに加えて、これらの企業が吸着剤を試験し、最終の吸着剤は、保証された滅菌済(USP XXI)の、発熱物質を含まない(LAL)、検出可能な抽出可能物(DVBおよび全有機物)を含まない。さらに詳細を述べるとDowex(登録商標)XUS−43493は熱加工され得る。同様に、Amberlite樹脂は熱加工されてもよく、有機溶媒で加工されてもよい。超臨界流体によるクリーニングは費用がかかるため、決まって使用されない。
有機溶媒の使用に関しては、有機溶媒の残存レベルと関連づけられる潜在的な問題が不利な点の1つである。残存溶媒は吸着に干渉し得、また吸着のプロセスにおいて血液製剤中に浸出し得、もしかすると注入受容者への悪影響を引き起こすかもしれない。これは特に最も一般的に使用される溶媒であるメタノールで起こる。加えて溶媒処分のコストに大きく起因して、有機溶媒は一般的に蒸気を使うよりもコストがかかる。
熱加工(たとえば蒸気)は吸着剤樹脂を加工するための効果的な方法である。確かに、ポリマー加工の標準的な参考書では蒸気による抽出はポリスチレンをクリーニングするための典型的な処理であると記載されている。[F.Rodriguez,Principles Of Polymer Systems,(Hemisphere Publishing Corp.),pp.449−53(3rd.Ed.,1989)]。Supelco,Inc.(Bellefonte,PA)は、溶媒を使わない独占的な熱処理法を使って、Dowex(登録商標)XUS−43493とAmberlite吸着剤をクリーニングする。蒸気を使う主な利点は、それが吸着剤に任意の可能性のある抽出可能物を加えないことである。しかしながら1つの大きな欠点は、この処理は樹脂のビーズの孔から水を取り除き得ることである。つまり、いくつかの吸着剤の効果的な性能は、照射後の血液製剤と接触させる前にビーズを再び湿らせることを必要とする。確かに、実験セクションのところで細かく述べるが、もしいくつかの吸着剤が乾いていたなら、吸着剤はそれらの吸着容量の大部分を失うのである。
重要なことに、異なる吸着剤はそれぞれ独特の湿潤必要条件を有する。汚れているAmberlite樹脂とは対照的に、きれいなAmberliteは湿らすのが難しく、水溶液の表面に浮く傾向がある。蒸留水中の(15〜30%)エタノールで10分間吸着剤を再湿潤させることはビーズの内部の細孔から、閉じ込められたガスを放出するという結果をもたらすことが発見された。一度、残存エタノールを除くために蒸留水でリンスすると、ビーズはそれらの吸着容量を回復する。実際、蒸留水中の15%のエタノールの最小量に10分さらすとAmberlite(登録商標)XAD−4およびXAD−16(後掲の実施例32を参照のこと)の両方でほぼ最大レベルの吸着容量にまで戻る。吸着容量は水含有量の緊密な関数であることを示し、Amberlite(登録商標)XAD−16は50〜65%の水分で、Amberlite XAD−4は40〜55%の水分で最適吸着容量を持つ。つまり吸着容量は水含有量の減少により減少する。
それとは反対に、Dowex(登録商標)XUS−43493はAmberlite吸着剤と関連付けられる多くの湿潤問題の多くを排除することがわかった。なぜなら効果的性能のために血液製剤を接触させる前に再び湿らせる必要がないからである。確かにDowex(登録商標)XUS−43493(および別の「架橋」吸着剤(この架橋吸着剤は高度架橋構造を有し、それゆえ、乾いたときにも崩壊しない))の「湿潤性」はそのもっとも好ましい特徴の1つです。
最後に、きれいな/加工された吸着剤の鍵となる特徴の1つは直径30μm未満の直径を有する、非常に低いレベルの粒子である。Supelcoによって処理された吸着剤(Dowex(登録商標)XUS−43493およびAmberlite(登録商標)XAD−16)の予備試験は分子の数を決定するために行われた。これらの試験の結果は外来粒子(たとえば、ほこり、繊維、非吸着剤粒子および同定されていない粒子)は存在せず、微粒子(<30μm)は本質的に存在しないことを示す。加工後、吸着剤は大量に詰め込まれ、もし必要であれば、メッシュポーチに導入されるようにアセンブリ場所に輸送される。
メッシュポーチの組立
本発明は血液製剤貯蔵容器(例えば血小板貯蔵容器)中に収納されるバッチ式RD(メッシュバック/ポーチ中に保持される吸着剤。)を企図する。本発明は、メッシュポーチが織られた、医療用グレードのポリエステルメッシュから構成される事を企図する。ポリエステルメッシュは血液濾過装置を製造する際に使われる標準的な材料であり、したがって、ポリエステルメッシュはバッチ式RDで使うのには特に十分に適合する。任意の会社で製造されているメッシュ材料に限定されないが、Tetko,Inc.(Depew,NY)およびSaati(Stamford,CT)は現在、本発明と共に使用するのに適しているメッシュ材料を製造する。
もちろん別の適した材料(例えばナイロン)もまた使用され、本発明の範囲内にある。実際、発明者によって以前為された研究において、ポリエステルとナイロンの両方がRDに使うのに同程度に良く機能したことが示されていた(データは載せていない)。しかしながらポリエステルが血液適合性特性でナイロンよりも勝っているので、好ましい実施態様はポリエステルを使う。加えて本発明は膜(例えばSupor(登録商標)200,800,1200(Gelman Sciences,Ann Arbr,MI)およびDurapore(登録商標)親水性改質ポリビニリデンジフルオリド(Millipore,Milford,MA)から構築されたポーチの使用を企図する。
より望ましい実施態様において、メッシュポーチは4つの端と2つの表面を持ったポケットのような容器として組み立てられる。これらの容器はいくつかの方法の1つで製造されうる。例えば、ポーチは(ほぼ同じ寸法の)2片の材料を、3つの端で一緒にして溶接する(つまりシールを作るためにいっしょにする)ことによって作製され得る。4つの端は吸着剤でポーチを一杯にすることを可能にする目的で開いたままにしておく。つまり下で述べるが、4つの端も満たしてから密封する。あるいは、ポーチは、最初に一片の材料自身上にその材料の1部を折り返すことによって、一片の材料から作られうる。次いで、材料がそれ自身と重なっている領域が溶接(下で述べられる)され得、その結果、円筒チューブの形成をもたらし得る。その後、ポケットはシリンダーのオープンエンドの1つを溶接して閉じることによって形成され得、吸着剤で満たすために他のエンドを開いたままにし得た。つまりこのポーチのデザインは、より溶接されないものを要求する利点がある。本発明は4つの端のポケットとして組み立てられたポーチに限定されず、上で議論しているメッシュポーチを構築する技術にも限定されない。例えば、環状ポーチはまた本発明で使われるかもしれない。環状ポーチは一般に製造しにくく、環状ポーチは、溶接がメッシュの織りと平行ではないのでより強いという利点がある。
ポーチの組み立てについては、超音波溶接は、超音波溶接の優れた強度に起因して、熱溶接より好ましい。超音波溶接の技術は医薬工業のための濾過装置を製造する分野で良く知られている。[例えば、米国特許第4,576,715号および同5,269,917号参照。]本発明は特定の溶接/密封技術に限定されない。つまり実際に本発明と共に、任意の適した密封技術(この技術は超音波密封および無線周波数(RF)密封、ヒートシール、およびインパルス密封を含むが限定されない)が使われ得る。使用される密封技術に関係なく、例えば、ポーチのオープンエンド(つまりスリット)のメッシュ材料の端は、製造中および取扱い中にポリエステル繊維がこぼれるのを妨げるようにヒートシールされる。本発明はまた、医療用装置の製造において標準である技術である、溶媒または洗浄剤溶液でメッシュ材料をリンスしエンドトキシンを除去することを企図する。
本発明は、血小板ユニットが含まれる場合、約30μmの開口部を有するメッシュ材料を使うことを企図している。このサイズは、部分的に、粒子注入限界のため選択された。10μmの開口部を有するメッシュと30μmの開口部を有するメッシュの間で、注入された粒子の数に重要な違いはない(データは載せてない。)。医療器具開発協会(AAMI)ガイドラインは直径10μm−25μmを有する3000個未満の粒子が注入されるべきであることを規定していることに注目すべきである。30μmの開口部を有するメッシュ材料は血小板ユニットへの微粒子の流出を妨げると考えられるが、別のサイズの開口部を有する材料は本発明の範囲内にある。しかしながら、極めて小さな開口部(例えば5μm)を有する材料はRD(つまり吸着剤を含むポーチ)内または外への流動体の動きを妨げ得、それによって吸着プロセスに対して決定的な影響を及ぼし得る。そのため約10μmから50μmの間が好ましい範囲である。
除去装置の組立
メッシュポーチの構築後、吸着剤の明記された量がRDを形成するためにポーチに分配される。メッシュポーチは、吸着剤の添加、および医療用装置組立業者(例えば、Baxter Healthcare Corp.,Round Lake,IL)によるさらなる加工のためにポーチを別の場所に構築したり輸送したりする同じ場所で、吸着剤で満たされうる。
ポーチを吸着剤で満たした後、超音波溶接はオープンエンド(つまりスリット)を密封するのに使われる。もし望むなら密封されたポーチ中の吸着剤は次いで再湿潤され得る。Dowex(登録商標)XUS−43493は効果的性能のために再湿潤を必要としないけれども、それはこの段階で再湿潤させてもよく、望むなら、血小板が吸着剤と最初に接触したとき「ガスの発生」を妨げるかまたは最小限にするために再湿潤させてもよい。
いくつかの理由で製造するこの段階で、湿潤工程が行われる。第1に、吸着剤でのメッシュバックの自動充填は、吸着剤が自由に流動することを必要とする。きれいな吸着剤は比較的乾燥しており、かつ自由に流動する一方、吸着剤を再湿潤したとき、湿った砂のように一部の吸着剤が凝集する傾向がある。このように吸着剤を充填後に再湿潤することが好ましい。第2にメッシュバッグを充填した後のリンス工程は、微粒子がバッグの外側表面から洗われることを可能にし、最後のRDにおいて微粒子の汚染を減らす助けとなる。最後に、リンスプロセスは吸着剤から残存エタノールを除く働きをする。もちろん本発明は、このステージで吸着剤の再湿潤に限定されるものではない。もう一度、加工された吸着剤の再湿潤は多くの吸着剤の充分な性能に必要であることが見出されてきた一方で、いくつかの吸着剤(例えば、Dowex(登録商標)XUS−43493)は効果的に作動させるのに湿潤させる必要はない。
RDはそれから血液製剤貯蔵容器に挿入されうる(このプロセスは実験セクションで詳細に述べる。)。血液製剤貯蔵容器中に含まれるRDは、貯蔵している間、乾燥を妨げるように耐湿バリアー内に包まれうる。本明細書中で使用されているように「耐湿バリアー」という用語は、貯蔵中にRDの水分含有量を維持することが可能な任意の容器、パッケージ、またはオーバーラップなどを取り囲むことを意味している。例えばRDを含んでいる血液製剤はホイルオーバーラップで密封されうる。その後、ポーチは貯蔵中に微生物の成長を妨げるように(例えばγ線照射、電子ビーム(つまりEビーム)、またはオートクレーブにより)最終的には滅菌すべきである。好ましい血小板貯蔵容器であるPL2410プラスチック容器(Baxter)はオートクレーブできないことに注目すべきである。
このように、PL2410プラッチック容器がRDを収容するのに使用されるとき、γ線照射かEビームのいずれかによって滅菌されなければならない。
最後に、実験セクションで細かく述べるが、Amberlite(登録商標)XAD−4およびAmberlite(登録商標)XAD−16の両方の「乾燥動態」は室温の標準的な研究室条件下で決められた。5Mradおよび10Mradの線量でのガンマ線滅菌はAmberlite(登録商標)XAD−16の吸着動態には影響がなく、Amberlite(登録商標)XAD−4にはほんのわずかだけ影響があった。ガンマ線滅菌は、両方の吸着剤について吸着剤に対してわずかな影響を及ぼしたが、吸着容量は受容可能なままであった。5MradまでのEビーム滅菌についてのデータはまた滅菌後に両吸着剤について受容可能な機能を示している。最後にDowex(登録商標)XUS−43493を含むガンマ線滅菌された装置は試験され効果的だと分かった。
D.性能を高めるための除去装置への改変
Dowex(登録商標)XUS−43493は好ましい実施態様を表す一方で、RDでのその使用はいくつかの欠点と結びついている。これらの問題はDowex(登録商標)XUS−43493に特異的でなく、同様にその他の吸着剤と結びつけられ得ることに注目すべきである。このセクションはそのような欠点の性質について述べ、潜在的な溶液を示す。
ガス発生/泡立ち
乾燥した吸着剤の孔に含まれる空気は最初に吸着剤を湿らせる間に放出される。
この「ガス発生」プロセスは、貯蔵の最初の約4時間の間、血小板濃縮液中での泡立ちをもたらす。処理中の泡の出現は好ましくないけれども、S−59除去動態、血小板収量およびインビトロ血小板機能に対するその影響は有意ではない。
ガス発生の問題は、いくつかの潜在的な解決策によって緩和され得る。第一に、RDは食塩水またはPASで湿潤され得る。Dowex(登録商標)XUS−43493の結果はRDが等張液中で前もって湿潤されるとき、最小限の収量および血小板機能の増加しか示さなかった。このアプローチの主な欠点は製造プロセスでの複雑さの増加、滅菌関係、および抽出可能物によるRDの貯蔵寿命の潜在的減少である。
第二に、RDは、水溶液中の溶解度が高い不活性ガス中に貯蔵され得る。CO(溶解度=170mL/mL)を用いた前の実験は、水溶液中の溶解度が高いガス中でのRDの貯蔵はまた泡立ちを最小限にし得る(データ示さず)。しかしながら、COの使用は、最初に血小板と接触している間にpHの大きな低下をもたらす(pH<6.5)。共通して使用され、水溶液中の溶解度が高い唯一他のガスは一酸化二窒素(溶解度=130mL/mL)である。
最後にRDは真空中で貯蔵されうる。例えば、RDを含んでいるPL2410プラッチック容器(Baxter)を真空にするのにシリンジが使われ得、それゆえ最初に血小板と接触する間のガス発生を最小化する。真空下での貯蔵は、PL2410プラスチック容器がガス透過性であるので、RDを含んでいるPL2410プラスチック容器が真空密封されたホイルオーバーラップで包まれることを必要とする。実際にこれは本発明の好ましい実施態様に対する解決策である。
血小板収量と血小板機能
表AAに示されるように、血小板の10%未満の減少を達成することがこう望ましい。8時間の接触後、空のPL2410プラスチック容器(Baxter)に血小板を移す研究は血小板の10%未満の減少を証明してきた。最近の研究は、RDとの5日間の接触後の血小板の10〜30%の減少を伴う血小板ユニットの中での広範な可変性を示している。完全に確立されていないけれども、吸着剤および/またはメッシュに血小板が粘着することが、おそらく血小板減少の主な原因である。
研究は、形状変化アッセイの重要さは明確に理解されていないけれども、形状変化は血小板機能に対する本発明のRDの効果を監視するためのもっとも敏感なアッセイであることを示してきた。RDから移し、PL2410プラスチック容器(Baxter)中で同量の自己由来の血漿をインキュベートした後、血小板は形を変化させる能力を再び得ることができる。別のアッセイ(pH、低浸透圧ショック応答、形態スコア、P−セレクチン発現(GMP−140)、分泌されたATPや集合体)はRDによって悪影響を及ぼされるようには思われない一方で、ラクテート、グルコースおよびpO/pCOのアッセイは、血小板代謝は、本発明のRDと接触中はわずかに抑制され得ることを示唆する。
血小板収量および血小板機能に対する悪影響を克服するためのいくつかの潜在的な解決策が存在する。第一に、ポーチ内で使用されるポリエステルメッシュ材料は膜材料で置き換えられうる。5μm以下のカットオフを有する膜材料を利用するRDは、吸着剤との接触から効果的に血小板を排除しうる。つまり吸着剤への輸送はバルクな流れよりもむしろ拡散によって行われているので、S−59と光化学反応生成物の除去動態は悪影響を受けうる。S−59除去のための必要条件を満たす際に効果的であることが証明されうる、潜在的な商業的に入手可能な膜としてはSupor(登録商標)200,800,1200(Gelman Sciences,Ann Arbor,MI)およびDurapore(登録商標)親水性改質ポリビニリデンジフルオリド(Millipore,Milford,MA)が挙げられる。これらの膜は特徴と結びついた低分子量タンパク質を持つ。
第二に、吸着剤は、血液適合性を改良するために、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート(pHEMA)およびセルロースベースのポリマーのような血液適合性ポリマーでコーティングされうる。これらのポリマーは、S−59のような低分子化合物が吸着剤へ通り抜けられるようにする一方で、細胞が、吸着剤の表面と相互作用するのを妨げるヒドロゲルである。pHEMAでコーティングされたDowex(登録商標)XUS−43493の研究は、血小板の形状変化に対する劇的な影響と同じくらい血小板収量の増加を実証した。つまりS−59吸着動態においてほんのわずかな減少がある(データは示していない)。pHEMAのコーティングを増加(0〜15%)させた試料はWursterコーティングプロセス(International Processing Corp.,Winchester,KYで実行されている)を使い生み出される。タンパク質結合を減少させるヒドロゲルはまた、本発明の吸着剤のコーティングについて考慮され得る。
第三に、吸着剤表面は固定されたヘパリンで修飾されうる。加えて強陰イオン交換ポリスチレンジビニルベンゼン吸着剤はヘパリン吸着によって修飾されうる。ヘパリン(ポリアニオン)は強陰イオン交換の特徴を持つ吸着剤の表面に非常に強く吸着する。四級アミンで修飾されたポリスチレンジビニルベンゼン吸着剤の種々のものが商業的に入手可能である。このアプローチの主な問題は、強陰イオン交換樹脂が正電荷を有することであり、この正電荷はまたS−59と低親和力をもたらす。しかしながらXUS−40285(Dow)およびMN−400(Purolite)は標準的なイオン交換樹脂よりも電荷密度が約10倍低い。これらの吸着剤は、その修飾されていない対照物(それぞれXUS−43493およびMN−150)と比べてS−59に対する約半分の容量を有し、修飾されていない対照物はS−59に対する高い親和性を有する。
VIII.吸着に対するソラレンの構造的特徴の効果
前のセクションで、血液製剤からソラレンS−59[4’−(4−アミノ−2−オキサ)−ブチル−4,5’8−トリメチルソラレン]およびS−59光化学反応生成物の除去を示した。しかしながら本発明は、S−59または構造的に関連するソラレンの使用および除去に限定されない。実際に、はっきりした構造特徴を持つソラレン除去は本発明により企図される。
このセクションは、血液製剤からのいくつかの構造の異なるソラレンの除去の実験を伴う。光除染プロセスで使われうる多様な構造変異体を反映するように、試験されたソラレンは選択された。無電荷ソラレン、および正に帯電したソラレンは、核酸が負に帯電しているので効果的である主な変異体であると期待される。つまり試験されたソラレンの化学構造はそれに応じて選択された。特に強力な塩基性(4級アミン)ソラレン、ならびに、異なる側鎖基を持つ2つの臭素化ソラレン(1つは正に帯電し、1つは負に帯電している)が試験された。
吸着の研究で、これらのソラレンはアンバーライトイオン性吸着剤とアンバーライト非イオン性吸着剤と組み合わされた。実験の手順は実施例39で詳しく述べる。
本発明は特定のメカニズムに限定されることはないけれどもソラレン除去の最初のメカニズムはソラレンの芳香環と吸着剤の側鎖(例えばポリスチレン)の間の親油性相互作用を伴うと考えられる。このように、非常に極性の高いソラレンは、親油性吸着剤との親和性が減少するので、除去しにくくなりうる。実験のセクションで詳しく述べるがHPLC保持時間は親油性のおおよその目安として使われ得る。さらに親油性に加えて別のファクターがソラレン吸着に影響を与える。例えば、ソラレンは血液製剤中にある細胞または血漿タンパク(例えば血清アルブミン)と相互作用しうる、つまり、これらの競合相互作用は理論的に樹脂結合とソラレン除去に干渉することができる。
実験のセクションで論証するが、広範な構造特徴を有するソラレンは血液製剤から除去される能力がある。本発明は、具体的に試験されたソラレンにも、実験で使われた吸着剤樹脂にも限定されないことが理解されるべきである。
IX.血小板収集プロセスへのバッチ式除去装置の組み込み
2つ以上の特定の成分(例えば赤血球や血小板)への全血の分離は最近の薬における日常業務である。分離された成分を単独でまたは添加物と組み合わせて、治療用途、研究用途および別の関連用途で利用されうる。いくつかの血液分離手順は被験体から全血を取り出すこと、全血を分離手順に供すること、および1つ以上の成分を被験体に再注入することを含む。再注入されない成分(単数または複数)は、第VIII因子を含むフラクションといった血液製剤を調製するために使用され得る。つまり逆に、これらの成分は薬理学的処理、放射線学的処理または同様の処理に供され得、その後ドナーまたは別の被験体に戻され得る。
A.アフェレーシス
用語「アフェレーシス」は、ドナーから血液を除き、様々な成分に分離する手順を広範に意味し、ここで、関心のある成分は収集されて保持され、他の成分はドナーに戻される。ドナーは、成分除去により引き起こされる体積や圧力の減少を補うのをたすけるために、再注入プロセスの間に置換流体を受け取る。透析センターや血液バンクを含め、アフェレーシスは多くの入院患者および外来患者の設定で実行され得る。
アフェレーシスには白血球アフェレーシス(白血球が、収集される、関心のある成分である)、血小板アフェレーシス(plateletpheresis)または血小板アフェレーシス(thrombocytapheresis)(血小板が、収集される、関心のある成分である)または血漿アフェレーシス(血漿が、収集される、関心のある成分である)を含む、いくつかの特定のタイプのアフェレーシスがある。
別のタイプのアフェレーシスは、ドナーの血漿の一部が置き換えられる治療的血漿交換、および、収集された血液成分がいくつかの種類のプロセス(例えば、トキシンの除去)に供され、その後ドナーに戻される、治療的血漿プロセスを含んでいる。
[本明細書中で参考として援用される、Princeらに対する米国特許第5,112,298号を参照のこと。]
通常最もよく使われるアフェレーシスの一つは、一人または複数の受容者へ注入するために一人または複数のドナーからの血液成分の収集である。アフェレーシスは、成分の治療用量を得るためにランダムなドナーでの手順よりも少数のドナーを必要とするという点で有利である。例えば、血小板の1ユニットの収集には一般的にランダムドナー法を用いると約6人必要であるが、アフェレーシスを用いるとたった一人しか必要としない。
自動アフェレーシス機の出現よりも前に、アフェレーシスは手動で行われていた;つまり、取り出された血液は手動で分離され(例えば、遠心分離を行い)、維持される予定ではなかった成分が手動で再びドナーへ注入された。反対に、近代的な自動的な方法は手動方法とほぼ同じように大きな労力を強いることなしに、希望の成分の素早く正確な収集を可能にした。自動アフェレーシスはアフェレーシスユニットまたはアフェレーシスシステムとして典型的には言及されるが、ヘムフェレーシスまたはプラズマフェレーシスユニット、細胞分離機、または血球のプロセッサとしても知られる装置を利用している;以下、これらの機械は「アフェレーシスシステム」と呼ばれる。
B.アフェレーシスシステムの操作
アフェレーシスシステムの操作法は当該分野で知られている。例えば、Princeらに対する米国特許第5,112,298号では、はじめにアフェレーシスシステムの主たる構成部品およびそれらの使用方法を記述し、そして流体の単純化された分離についてのシステムを記述している。同様に、Jonssonに対する米国特許第5,147,290号(この米国特許は本明細書中で参考として援用される)では、溶血性フェレーシス、例えば血小板フェレーシスのための方法および装置について述べ、そしてアフェレーシスの一般的な原理を示している。アフェレーシスシステムの操作の簡単な概観は本発明のある側面を理解するのを助け、以下に提供する。
自動化したアフェレーシスシステムは一般的に血液分離装置、チューブおよびフィルターの入り組んだネットワーク、収集バッグ、抗凝血剤、ならびにすべての構成部品を制御するコンピュータ化された手段を備える。血液分離装置は密度に基づいて血液を異なる成分に血液を分離する通常最もよく使われる遠心分離機である。少なくとも一つのポンプがアフェレーシスシステムを通して血液、分離した血液成分、および流体添加物を移動させ、最後にドナーへ戻されるか、または収集バッグへ移動させるかのどちらかである。滅菌されたチューブのセット(フェレーシスセット)は操作者(通常看護婦か訓練された技術者)によってアフェレーシスシステムおよび処置をされるドナーまたはヒトへつながれる。
血液がドナーからアフェレーシスシステムへポンプで輸送される間、酸性クエン酸デキストロース(ACD)またはヘパリンのような抗凝血剤は、自動的に血液に加えられる。
そして血液が遠心分離チャンバーへ入り、そこで血液は様々な成分に分離される。分離に続いて、希望の成分が含まれる相は一つまたは複数の収集バッグへサイホンで移され、残りの成分はドナーへ戻される。このプロセスの間、血液の体外循環によって生じる、圧力および体積の減少を補うのを助けるために、ドナーは置換流体を投与されている;置換流体の性質は、アフェレーシスの型および目標に依存して異なっており、この置換流体は、生理食塩水、通常の血清アルブミンおよび血漿タンパク質画分を含む。
アフェレーシスシステムはいくつかの重要なパラメーターを監視および制御することができるセンサーをもっている。例えば、いくつかのセンサーは汚染物質を検出することおよび汚染を最少にするのを容易にすることができる。加えて、センサーは危険な条件、例えば、空気の泡の存在、が、顕著あるいは存在するとき検出でき、そして条件の操作者を刺激する信号を放つことができる。最後に、多くのシステムが、抗凝血剤のような成分の要求量を決定するか、制御するか、または確立するセンサーおよび他の機構を利用している(本明細書中で参考として援用される、Langleyらに対する米国特許第5,421,812号を参照してください)。同様にそのような機構は除去された成分を補うために再び注入される置換流体の量の計算するために使うことができる。より洗練されたアフェレーシスシステムがプログラムできる;このようにして、操作者は再び注入されるために、重さおよび体積のように患者に特異的なパラメーターを入力することができ、そしてシステムが自動的に希望する分離を行う。
本発明は特に血小板フェレーシスのためのアフェレーシスシステムの使用を企図している;次いで、収集した血小板は光化学的処理、つづいてRDでの処理に供される。あるアフェレーシスシステムは光学的なセンサーを用いて収集ラインチューブ中の血小板の濃度を監視することによって、血小板収集バッグ中の血小板の量を得ることができることは注目すべきである。さらに、本発明は、血小板の純度と収量を増加させるための新しく記述された技術の使用を想像している(本明細書中で参考として援用される、Latham,Jr.らに対する米国特許第5,494,592号を参照)。
アフェレーシスシステムは間欠的なまたは連続的な遠心分離を行い得る。簡単に言うと、間欠的な遠心分離は、一本の静脈ラインを使用することによって、上で示した全ての工程(血液を引き出すこと、血液をその成分に分離し希望の成分を収集すること、および残りの成分を再注入すること)を行うことを含んでいる。一方、連続的な遠心分離は連続的に、すべての上記の工程を、少量のアリコットの血液で行い、別個のラインを通じてドナーに血液を戻す。したがって、連続的な遠心分離は、2つの静脈穿刺を必要とするが、間欠的な遠心分離は1つだけ必要とする。
上記のように、チュービングおよび他の成分のネットワークは、フェレーシスセットを構成する。2つの主なタイプのフェレーシスセットがあり、閉鎖型と開放型とがある。閉鎖型フェレーシスセットは、自己充足式である。すなわち、このセットは、セットの構成部品(収集バッグ、針および抗凝固剤含有バッグおよび生理食塩水含有バッグ)のすべてが、すべてすでに互いに接続された状態で購入される。開放型フェレーシスセットは、通常、上記の構成部品のすべてまたはほとんどを含むが、其の構成部品は接続されていない。開放型フェレーシスセットは、閉鎖型セットに比べて安いが、閉鎖型アフェレーシスセットは、自己充足式なので汚染の機会が減ることから、血液製剤の貯蔵期間が増大するという利点がある。例示すると、血小板のような輸血可能血液製剤は、通常、閉鎖系では5日間保存されうるが、これらは、開放型では24時間までしか保存され得ない。
C.アフェレーシスシステムと連結するソラレン除染とソラレン除去装置
本発明はソラレン除染およびアフェレーシスシステムを用いたバッチ式RDの使用を企図している。いくつかの手順を下にまとめているが、本発明はアフェレーシスシステムの操作へバッチ式RDを組み込むどんな特定の手段にも制限されていない。以下につづく考察を理解することを助けるために仮想のアフェレーシスシステムの操作をまとめた流れ図をスキームEに描いている。スキームEにおける流れ図はアフェレーシスシステムの実例となるデザインを通じて、流体の起こり得る流れを描くことが意図されており、任意の実際のアフェレーシスの手順を描くつもりはないことが強調されるべきである。当業者は、アフェレーシスの手順が、スキームEで示したものよりも、異なる流体の流れ道および異なる構成部品または構成部品の異なる配置を含んでいるかもしれないことを理解している。
スキームEによると、全血はドナー500から取り出され、流入口ライン502へと運ばれる。抗凝血用ポンプ506は抗凝血剤を抗凝血剤容器508から、流入口502へ出る抗凝血剤ライン509を通して運ぶ。次いで、抗凝血剤を含んだ全血は流入口ポンプ516によって遠心分離器520へ運ばれる。いくつかのアフェレーシス機は分離された抗凝血剤ポンプおよび流入口ポンプの代わりに、一つのポンプを利用していることを留意するべきである。遠心分離器520は血液を白血球、赤血球、血小板および血漿のような、さまざまな成分に分離する。
次に、収集される細胞成分(例えば、血小板)は、細胞ポンプ536によって遠心分離器から、細胞収集ライン532を通して、収集容器538(例えば、血小板貯蔵容器)へ取り出され得る。類似の方法で、血漿は血漿ポンプ526によって遠心分離器から、血漿収集ライン522を通して、血漿収集容器528へ取り出される。残りの成分は返還ライン542を通してドナーへ返還される。置換流体は、置換流体容器558から置換流体ポンプ556を経由して返還ライン542に流体接触している置換流体ライン552へ取り出される。コンピュータ制御機550はポンプを監視および制御し、流体体積、汚染物質、および同類のものを監視するさまざまなセンサーにつながれ得る。
任意の特別なアフェレーシス システムの使用に制限されないが、本発明の好ましい実施態様は、商業的に入手可能なBaxter Biotech CS−3000TM(Baxter Healthcare Corp.,Fenwal Division)を利用する。当業者はこのシステムの特異的な特徴およびその操作の機構(下にまとめてある)に精通している;しかしながら、アフェレーシスシステムの実例となるデザインについて上で記述した基本的な機構および構成部品は、このシステムと一緒に同様に適用できることを留意するべきである。
簡単に言えば、Baxter Biotech CS−3000TMはBaxter’s Closed System Apheresis KitTMと共同して使われ得このBaxter’s Closed System Apheresis KitTMは注入用の通常の生理食塩水およびACDの、あらかじめ取り付けられたバッグを有する。このキットは通常の生理食塩水で自動的に満たされる。操作者が示した速度で、全血−ACDポンプの複合ポンプによってドナーから取り出された全血に、抗凝血剤は加えられる。その後、ACDを含む血液は遠心分離チャンバー内にある2つの容器のうちの1つである、分離用容器への多数の管腔チューブのうち一つの管腔を通してポンプにより輸送される。分離用容器を通って加工血液は血小板を多く含む血漿および赤血球に分離される。「多数の管腔チューブ」という言葉は、一を超える別個でありかつ異なる流体通路を含んでいるチューブを意味する。
分離のあと、赤血球は多数の管腔チューブの別個の管腔を通してドナーに戻され、血小板を多く含む血漿は収集容器(遠心分離チャンバー内の2つの容器の2番目のもの)へポンプにより移される。血小板を多く含む血漿は収集容器を通って進み、血小板は濃縮されて保有される一方で、血漿がドナーへ戻されてもよい;しかしながら、一般的に血小板の再懸濁および貯蔵のためにドナーからの血漿の一部を同時収集する。
最後に、血小板は先に取り付けた貯蔵容器に移され、この貯蔵容器からの血小板がドナーへ注入される前にさらに加工され得る。
本発明の一つの実施態様において、血小板は最初に収集され(すなわち、先に取り付けた貯蔵バッグの中に)、そして照射するための準備において加工される。
より具体的には、自己由来の血漿の適した量が濃縮した血小板へ最初に加えられ、その後、希望の組成(例えば、35%自己由来の血漿、65%PAS III中、4.0×1011個の血小板/300mL)になるような量でPASを加えられ得る。その後、PC/PAS III溶液はS−59と混ぜられ、適した容器中で照射される。照射後、PCはRDを収容する容器に加えられ、S−59と光化学反応生成物の除去に必要な時間インキュベートされ、そして血小板貯蔵容器へ移される;生じたPCは次いで、血小板貯蔵容器から受容者へ投与され得る。
実験のセクションで詳しく述べられるように、先に記述した実施態様は血漿−血小板混合物の収集の後にのみPAS IIIの添加を含み、そして最終血小板生産物が容器へ注入するための準備ができる前にいくつかの容器を輸送することを要求している。しかしながら、本発明は特定の実施態様に制限されない。実際は、本発明は、バッチ式RDがアフェレーシスと共同で使われるときに、全体の工程の数、例えば、溶液の輸送の数を減らすための代替の手順の使用を企図している。
例えば、一つの代替の実施態様として、血小板収集容器に最後に収集された血小板は、すでに適した量の血小板および適した量のPASおよび血漿を含んでいる。スキームFはこの代替の実施態様の中で、血小板収集手順を描いているスキームEの改変版である。血漿貯蔵容器538および自己由来の血漿容器528を有することに加え、この実施態様は先に決定した量のPAS III(または他の適した合成培地)を含むバッグ539を含んでいる。血漿収集の後またはそれと同時に、収集された自己由来の血漿(例えば、105mL)の適した量、およびPAS IIIの適した量(例えば、180mL)が自動的に血小板に加えられる;これは遠心分離機520を迂回し、血小板貯蔵容器538に入るチューブ562を通って、PAS IIIおよび血漿を加えることによって行われ得る。このようにして、PAS IIIの添加は血小板収集手順に組み込まれるので、この実施態様は、滅菌結合手順(実験セクションを参照のこと)を排除し、別の方法でPAS III溶液を加えることを必要とされた。
PAS IIIの適した量は、重力によって、ポンプによって(示さない)、または他の適した手段によって、血小板貯蔵容器538へ加えられ得る。一つの実施態様において、PAS IIIバッグ539は先に決められた量を含んでおり、その結果、その全量が血小板貯蔵容器538の中に収集される規定量の血小板に加えられ得る。加えて、本発明は収集された血小板の量に基づいてリザーバーから適した量のPAS IIIを加えるためのマイクロプロセッサの使用を企図している。もし同時に加えられる場合、PAS III対血漿の一定の比が維持されることが好ましい。
同様な手順が自己由来の血漿の収集および添加に利用され得る。すなわち、先に決定した量の血漿は同時にドナーから収集され得、続いて全量が血小板の再懸濁に用いられる。このことは、希望の量に達するためにさらに血漿を加える前に、どれくらい血漿が血小板と会合するかを決定する必要性を排除する。説明すると、遠心分離に続いて、収集容器中の血小板は一般に少量の残存血漿(例えば、およそ30mL)と会合する;さらに、通常、属すると考えられなければならないアフェレーシスシステムのチューブの中に残存血漿がある(例えば、およそ18〜20mL)。したがって、もし例えば105mLの全血漿量が所望される場合、およそ約55〜57mLの血漿が同時にドナーから収集され、続いて血小板の再懸濁のために添加される。
収集に続いて、PC/PAS III溶液はS−59と混合され、平衡に達するまでインキュベートされ、照射される。その後、照射された血小板調製物は、S−59および光化学反応生成物の除去を可能にする規定された時間でRDを収容する血小板貯蔵容器へ移される。最後に、処理された血小板調製物は容器へ輸送できるものから血小板貯蔵バッグへ移され、この血小板貯蔵バッグから上記処理された血小板調製物は、受容者に注入され得る。
本発明の他の実施態様もまた可能である。しかしながら、代替の実施態様は特定の実際の考えによって制限されることが指摘されるべきである。
例えば、S−59および合成培地溶液PAS IIIは特に滅菌(例えば、オートクレーブ)および貯蔵についてともに両立可能であると考えられていない。同様に、S−59は通常血小板貯蔵容器中に直接入れるべきではない。なぜならば、入手できる薬の量は血小板の取り込みによって減るので、長い時間にわたって、血小板によるS−59の取り込みが微生物の不活性化に影響を与え得るからである。
本発明により企図された他の実施態様はPAS IIIを含むバッグ539および血小板収集容器538の間にあるS−59を含む容器560の使用を含んでいる(スキームG参照)。PAS IIIがPCに加えられているように、PAS IIIはS−59と混ぜられ、そして迅速に血小板収集容器に入れられる。したがって、追加的滅菌結合手順はこの実施態様によって回避される。
実験
以下に示す実施例は本発明の特定の好ましい実施態様および局面を示すのに役立っており、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
以下に示す実験の開示の中で、以下に示す略号を当てている:eq(当量);M(モル濃度);μM(マイクロモル濃度);N(規定);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);g(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);Kg(キログラム);L(リットル);mL(ミリリットル);μL(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);min.(分);sおよびsec.(秒);J(ジュール、ワット秒、図6,8〜17では、ジュール/cmをジュールまたはJとしていることに注意);℃(摂氏度);TLC(薄膜クロマトグラフィー);HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);HEMA(ポリヒドロキシエチルメタクリレート);PC(血小板濃縮液);PT(プロトロンビン時間);aPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間);TT(トロンビン時間);HSR(低浸透圧ショック応答);FDA(米国食品医薬品局);GMP(医薬品の製造および品質管理に関する基準);DMF(薬物マスターファイル);SPE(固相抽出);Asahi(Asahi Medical Co.,Ltd.,東京,日本);Baker(J.T.Baker.Inc.,Phillipsburg,NJ);Barnstead(Barnstead/Thermolyne Corp.,Dubuque,IA);Bio−Rad(Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA);エッペンドルフ(Eppendorf North America Inc.,Madison,WI);Grace Davison(W.R.Grace & Co.,Baltimore,MD);NIS(Nicolet,a Thermo Spectra Co.,San Diego,CA);Rohm and Haas(Chauny,France);Sigma(Sigma Chemical Company,St.Louis,MO);TosoHaas(TosoHaas,Montgomeryville,PA);Wallac(Wallac Inc.,Gaithersburg,MD);YMC(YMC Inc.,Wilmington,NC);DVB(ジビニルベンゼン);LAL(Limulus Amoebocyte Lystate);USP(米国薬局方);EAA(エチルアセトアセテート);EtOH(エタノール);HOAc(酢酸);W(ワット);mW(ミリワット);NMR(核磁気共鳴;Varian Germini 200MHzフーリエ変換分光器で、室温で得られたスペクトル);m.p.(融点);UV(紫外線);THF(テトラヒドロフラン);DMEM(ダルベッコ変法イーグル培地);FBS(胎児のウシ血清);LB(ルリア培養液(Luria Broth));EDTA(エチレンジアミン四酢酸);酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA);リン酸緩衝生理食塩水(PBS);AAMI(医療器具開発協会(Association for the Advancement of Medical Instruments));ISO(国際標準化機構);EU(エンドトキシンユニット);LVI(大容量注射可能物質);GC(ガスクロマトグラフィー);M(メガ);kGy(1000グレイ=0.1 Mrad);MΩ(メガオーム);PAS III(血小板を加えた溶液III);RD(除去装置);SCD(滅菌連結装置)。
参照を容易にする目的で、本発明のいくつかの化合物に1〜18の数字を割り当てた。参照番号は表2で割り当てられている。それらの構造は図5A〜5Fに示す。参照番号は実験のセクション全体にわたって使われている。
酸付加塩の形態で本発明の化合物を単離するとき、好ましくは、酸は、少なくとも通常の治療薬量で無毒および薬理学的に許容できる陰イオンを含むように選択される。この好ましい群に含まれる代表的な塩は塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硝酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩または酒石酸水素塩、およびマレイン酸塩である。他の酸も同様に適していて、所望されるように使用され得る。例えば、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、こはく酸、サリチル酸、ビスメチルエチレンサリチル酸、プロピオン酸、グルコン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、ケイ皮酸、シトラコン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコン酸、ベンゼンスルホン酸、およびスルファミン酸もまた酸付加塩形成酸として使用され得る。
下に示した実施例のうちの一つはHEPES緩衝液に言及する。この緩衝液は137mMのNaClを8.0g、2.7mMのKClを0.2g、1mMのMgCl(6HO)を0.203g、5.6mMのグルコースを1.0g、1mg/mlのウシ血清アルブミン(BSA)(Sigma(St.Louis,MO)より入手)を1.0g、および20mMのHEPES(Sigma(St.Louis,MO)より入手)を4.8g含んでいる。
下に示した実施例のうちの一つにおいて、リン酸緩衝合成培地は血小板処理のために配合される。これは一段階で配合され得、蒸留水2リットル中に以下に示す試薬を合わせることによって、pHが平衡化した溶液(例えば、pH7.2)をもたらし得る。
次いで、溶液は混ぜられ、(0.2ミクロンフィルターで)滅菌濾過され、冷蔵される。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)はいくつかの化合物によるウイルスの不活性化が完全であるかどうかを測定するために実施例の一つにおいて使われる。PCRはクローニングまたは精製することなしにゲノムDNAの混合物中の標的配列のセグメントの濃度を増加させる方法である。本明細書中で参考として援用される、K.B.Mullisら米国特許第4,683,195および同第4,683,202号を参照してください。標的配列を増幅するこのプロセスは、希望する標的配列を含むDNA混合物へ大過剰の2つのオリゴヌクレオチドプライマーの導入、その後の、DNAポリメラーゼ存在下での正確な順序の熱サイクルからなる。
二本のプライマーは、二本鎖の標的配列の各々の鎖に相補的である。効果の増大のために、混合物は変性され、次いで、プライマーは標的分子内のプライマーの相補的な配列にアニールされる。アニーリングに続き、プライマーはポリメラーゼによって伸長され、新しい相補鎖の対が形成される。変性、プライマーのアニーリング、およびポリメラーゼの伸長の工程は何度も繰り返され(すなわち、変性、アニーリング、伸長は一つの「サイクル」を構成しており、多数の「サイクル」が存在し得る)、高濃度の、希望する標的配列の増幅セグメントが得られる。希望する標的配列の増幅セグメントの長さはプライマー同士の相対的な位置によって確定され、したがって、この長さは制御可能なパラメーターである。プロセスの繰り返す局面に起因して、この方法は発明者から「ポリメラーゼ連鎖反応」と呼ばれる。標的配列の希望する増幅セグメントが混合物中で優位な配列(濃度に換算して)になるため、それは「PCR増幅された」と呼ばれる。
PCRによって、いくつかの異なった方法(例えば、標識されたプローブとのハイブリダイゼーション;ビオチン化させたプライマーとの結合後の、アビジン−酵素コンジュゲートの検知;32Pで標識された、dCTPやdATPといったデオキシヌクレオチド三リン酸との結合)で探知できる程度にまで、ゲノムDNAの特異的な標的配列の単一コピーを増幅させることができる。ゲノムDNAに加え、どんなオリゴヌクレオチド配列も適切なプライマー分子の組によって増幅させることができる。
PCR増幅プロセスでは特異的な標的配列が約10−8Mのプラトー濃度に達することがしられている。一般的な反応体積は100μlであり、6×1011個の二本鎖産物分子の収量に対応する。
PCRはポリヌクレオチドの増幅プロトコルである。観察されている増幅要因は、行われる際のPCRのサイクルの数(n)、および各々のサイクル(E)での複製の効率に関連しており、これは同様に、各々のサイクル中のプライミングと伸長の効率の関数である。増幅は高濃度のPCR産物が作製されるまではEの形に従うことが観察されている。
これらの高濃度(約10−8M/l)では複製の効率は劇的に低下する。これはおそらく、短いオリゴヌクレオチドプライマーがより長鎖のPCR産物の相補鎖と置換するためである。10−8Mを超える濃度ではプライミング反応中に二本の相補的なPCR増幅産物の鎖がお互いを認識する速さは十分速くなり、このことはPCR手順の伸長工程以前か、あるいは同時におこる。このことは、ついにはプライミングの効率の低下、そしてそれ故、サイクルの効率の低下を引き起こす。連続したPCRのサイクルはPCR産物分子の増加の減退を引き起こす。PCR産物分子はついにはプラトー濃度に達する。
この実験セクションで用いられたポリヌクレオチドプライマーの配列は次の通りである:
共通の前進プライマーとしてのDCD03を用いる場合、その組み合わせは、127,327と1072bpの長さのアンプリコンを生み出す。これらのオリゴはサギHBV(HHBV4)に由来する単離物と同様に5つの異なるdHBV単離物(DHBV1,DHBV3,DHBV16,DHBV22,およびDHBV26)の間で完全に保存されている領域から選択されている。
次に示す実施例は本発明の特定の好ましい実施態様と局面を示すのに役立っており、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
実施例 1
前述のように、本発明では光反応性の核酸結合化合物の光活性化のための装置と方法を企図している。この実施例では、光活性化装置は、本発明の方法による血液製剤の除染に関して記述されている。この装置はa)少なくとも一つの光反応性化合物を光活性化させるのに適切な波長の電磁放射線を供給する手段、b)光活性化の間、放射線を供給する手段との固定された関係の中で複数の血液製剤を支持するための手段、およびc)血液製剤を光活性化中に望ましい温度範囲内の温度に維持するための手段を含む。
図1は上に示した特徴を組み込んでいる一実施態様の一つの透視画である。この図には不透明な外被(100)が、それの一部が取り去られて示されており、この外被は、プレートのアセンブリ(103,104)の間に置かれた複数の代表的な血液製剤を含んでいる手段(102)の上や下に位置するバルブ(101)の列を含んでいる。プレートのアセンブリ(103,104)は後にさらに詳しく描かれている。
電源(示さず)に接続可能なバルブ(101)は電磁放射線源としての役目をはたしている。しかし、特定のバルブのタイプに限定されず、実施態様は、業界標準のデュアル二ピンランプ(dual bipin lamp)を受容するように構成されている。
外被(100)は血液製剤が適切に位置することが可能であるように掛け金(105)によって開けることができる。図1に示されているように、外被(100)が閉じられているときは完全にバルブ(101)からの照射を抑えている。照射の間、使用者は、使用者に紫外線が届かない安全な観測点(106)から装置が動いていることを確認することができる。
外被(100)はまた、例えば主電源スイッチ、カウントダウンタイマー、および時間メーターといったものを含むコントロールボード(107)上の幾つかの電子部品のための台としての役割をもっている。簡単のために、電源スイッチはカウントダウンタイマーにつなぐことができ、このカウントダウンタイマーは同様に時間メーターや電磁放射線源を並列につなぐことができる。カウントダウンタイマーは、使用者が希望のレベルの曝露になるように照射時間を先にセットすることを可能にする。
時間メーターは電磁放射線源によって供給される放射時間の合計を記録し続ける。この特徴はバルブ(101)をモニターされた状態にし、それらの出力が迅速な光活性化に必要な最小レベルを下回る前にバルブ(101)を変更することを可能にする。
図2は図1で示された装置の2−2線に沿った断面図である。図2は外被(100)が解放された際のバルブ(101)の配置を示している。反射物(108A,108B)は完全に各々のバルブ(101)の列を取り巻いている。血液製剤を含む手段(102)はプレートアセンブリの上部(103)と下部(104)の間に位置する。各々のプレートアセンブリは上部(103A,104A)や下部(103B,104B)のプレートから構成される。プレートアセンブリ(103,104)は、血液製剤を含む手段(102)によって作られる空間に対応するように設計されたヒンジ(109)によって接続されている。上部のプレートアセンブリ(103)は下部プレートアセンブリ(104)の下部プレート(104B)によって支えられている血液製剤を含む手段(102)の上部のちょうど上に置くように持ってくる。
検出器(110A,110B,110C,110D)はプレートアセンブリ(103,104)のプレート(103A,103B,104A,104B)の間に便利よく設置されている。それらは、プリント基板(111)につながれており、このプリント回路基板はさらにコントロール盤(107)につながっている。
図3は図1に示された装置の3−3線に沿って描かれた断面図である。6つの血液製剤が入った手段(102)(例えば、TeflonTM血小板ユニットバッグ)はバルブ(101)の列の上に、固定された関係で置かれる。血液製剤の温度はファン(112)のみ、あるいはより好ましくは冷却源(示さず)に接続された冷却用流入力口ポート(114)および出力口ポート(115)をもった熱交換器(113)を使用することによってコントロールできる。
図4は図1に示された装置の4−4線に沿って描かれた断面図である。図4には、装置の望ましい実施態様の温度コントロールへのアプローチをよりはっきり示している。上部のプレートアセンブリのプレート(103A,103B)と、下部のプレートアセンブリ(104A,104B)は各々温度コントロールチャンバー(103C,104C)を作っている。ファン(112)はチャンバー(103C、104C)の中や間に空気を循環させることができる。
熱交換器(113)が使用されると、循環している空気は冷やされ、プレートの間を通り抜ける(103A,103B,104A,104B)。
実施例 2
4’−ブロモメチル−4,5’,8−トリメチルソラレンの合成
この例では4’−ブロモメチル−4,5’,8−トリメチルソラレンの3段階の合成について書かれている。この合成はブロモメチル化のステップなしで行われていて、このことがこの合成を既知の合成法よりも安全にしている。
ステップ1:アセトン(500mL)中の、機械的にかき混ぜられた7−ヒドロキシ−4,8−ジメチルクマリン(50.00g,0.263mol)とパウダー状のKCO(54g,0.391mol)の縣濁物に3−クロロ−2−ブタノン(29.2mL,0.289mol)が加えられた。スラリーは一晩還流され、その後溶媒は取り去られた。塩を取り除くため、固体は1.2Lの水中でかき混ぜられ、ろ過され、母液のpHが中性(pH5〜7)になるまで水でリンスされた。褐色のろ過物は沸騰したメタノール(150mL)に溶かされ、濃いペースト状になるまで冷やされ、氷冷したメタノールで、大半の褐色の不純物を取り去るためにリンスされ、オフホワイトの固体である4,8−ジメチル−7−(1−メチル−2−オキソ)プロピルオキシ−クマリン(67.7g,収率99.0%)が得られた。融点95〜96℃。
ステップ2:4,8−ジメチル−7−(1−メチル−2−オキソ)プロピルオキシ−クマリン(67.5g,0.260mol)と10%NaOH水溶液(114mL,0.286mol)と水(900mL)の縣濁物が70〜85℃で2〜4時間熱せられた。混合物は室温まで冷やされた。固体はろ過され、母液が無色でpHが中性(pH5〜7)になるまで冷水(1.5L)でリンスされた。生成物は、空気乾燥および真空乾燥され4,4’,5’,8−テトラメチルソラレン(56.3g,89.5%)の白色固体が得られた。
ステップ3:乾燥した4,4’,5’,8−テトラメチルソラレン(10.00g,41.3mmol)は室温でメチレンクロライド(180mL)に溶かされた。N−ブロモスクシンイミド(8.09g,45.3mmol)が加えられ反応混合物は4.5時間撹拌された。溶媒は完全に取り除かれ、生じた固体は0.5〜1時間水(200mL)と撹拌され、ろ過され、スクシンイミドの副生成物を取り除くために低温で水(約500mL)を加えてすり潰された。粗生成物(すなわち4’−ブロモメチル−4,5’,8−トリメチルソラレン)はPを用いて真空デシケーター中で乾燥され、最小限の量の沸騰トルエン(200〜300mL)によって再結晶化され4’−ブロモメチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(10.2g)の淡黄色の固体を得た。母液は取り除かれ、再びトルエン(60mL)で再結晶化され2次的な生成物(1.08g、合わせた収率=85.1%、NMRによると>99%純度)が得られた。
実施例 3
5’−ブロモメチル−4,4’,8−トリメチルソラレンの合成
この例では5’−ブロモメチル−4,4’,8−トリメチルソラレンの3段階の合成について書かれている。実施例2に書かれた合成と同様、この方法はブロモメチル化を必要としないため、既知の合成スキームから改良された。
4,4’,5’,8−トリメチルソラレン(2.33g,9.59mmol)(合成法は実施例2、ステップ1と2に書かれている)は溶けるまでカーボンテトラクロライド(100mL)中で還流した。N−ブロモスクシンイミド(1.88g,10.5mmol)とベンゾイルペルオキシド(80mg)が添加され、この混合物を15時間還流した。室温まで冷やした後、固体を溶かすためにメチレンクロライド(100mL)が加えられ、溶液は水(4×150mL)、次いで食塩水で洗浄され、無水のNaSOで乾燥させた。溶媒は取り去られ、5’−ブロモメチル−4,4’,8−トリメチルソラレン、4’−ブロモメチル−4,5’,8−トリメチルソラレン、および4’,5’−ビス(ブロモメチル)−4,8−ジメチルソラレンの混合物(3.0g、粗生成物)が得られ、それぞれの比はH NMRにより55/25/20と決定された。
実施例 4
4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンヒドロクロリド(化合物2)と関連化合物(化合物4)の合成
この例では化合物2の2つの合成方法が書かれている。化合物2はまたS−59として知られており、下および図40で描かれている化学構造をもっている。第一の方法は次に示した通りである:
ステップ1:4’−ブロモメチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(3.09g,9.61mmol)、(合成法は実施例2で書かれている)とN−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド(4.05g,21.2mmol)は乾燥ジメチルホルムアミド(65mL)中でかき混ぜられた。反応混合物に乾燥したNガスが穏やかに通気された。反応混合物は100℃で4.5時間熱せられ、室温まで冷やされ、数時間冷凍庫に入れられた。結晶状の生成物はろ過され、MeOH、その後に水で洗浄された。不純物を取り除くために、固体はさらにMeOH(100mL)で摩砕された。粗生成物は風乾され、CHCl(150mL)中で溶かされた。活性化炭素とシリカゲルが脱色するために加えられ、そしてCHClを完全に除いた。得られた白色生成物である4’−[4−(N−フタルイミド)−2−オキサ]ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(1.56g,収率37.5%)は、NMRおよびHPLCの両方で≧99%の純度であった。
ステップ2:4’−[4−(N−フタルイミド)−2−オキサ]ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(1.56g,3.61mmol)は室温でテトラヒドロフラン(75mL)に懸濁させた。メチルアミン(40%水溶液,25mL,290mmol)が懸濁液に加えられ、一晩撹拌された。溶媒とメチルアミンは完全に取り除かれた。生成した固体は0.3N HCl水溶液(25mL)に溶かされた。酸性の懸濁液は40mLのCHClで3回リンスされ、20%NaOH水溶液でpH11にした。CHCl(3×60mL)が生成物(すなわち4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレン)を塩基性の層から抽出するために用いられた。合わせたCHClの層はHO(100mL)、続いて食塩水(100mL)で洗浄され、無水NaSOで乾燥し、濃縮され、4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(mp139〜141℃)が得られた。純度はNMRで99%より高かった。
4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンは無水エタノール(150mL)に溶かされ、エーテル中のHClの1.0M溶液(10mL)が加えられ、懸濁液は冷蔵庫で一晩冷やされた。ろ過とエーテルでの洗浄の後、固体は真空乾燥され、淡黄色の結晶(0.76g,収率62%)(mp235〜236℃)が得られた。
最初の方法は収率と純度が高いので本発明の好ましい実施態様である。
2つめの方法は、上に示した通り、商業的に手に入る4,5’,8−トリメチルソラレンから4’−クロロメチル−4,5’,8−トリメチルソラレンを調製することから始まる。4’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンヒドロクロリドの合成は4つのステップで達成される。
ステップ1:4’−クロロメチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(550mg,1.99mmol)とエチレングリコール(6.8mL,121.9mmol)はアセトン(6mL)中で50〜60℃に3.5時間熱せられた。2時間の加熱後、白色の懸濁液ははっきりしたライトイエローの溶液に変化していた。アセトンとエチレングリコールはロータリーエバポレーターで取り去られ、残留物には水(50mL)が加えられた。生じた懸濁液はろ過され、冷水で洗浄され、真空オーブンで乾燥させられて574mg(96%)の4’−(4−ヒドロキシ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンが得られた。
ステップ2:4’−(4−ヒドロキシ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(574mg,1.9mmol)はNの下で≦10℃でCHCl(6mL)に溶かされた。トリエチルアミン(359mg,3.55mmol)が加えられた。メタンスルホニルクロライド(305mg,266mmol)が、温度が10℃未満に保たれるようにゆっくり滴下された。添加が完了した後、混合物はさらに15分撹拌され、室温で10時間撹拌された。反応後の懸濁液にCHCl(45mL)が添加され、混合物は水(3×20mL)で洗浄され、無水NaSOで乾燥させた。≦30℃で濃縮し、その後の真空乾燥によって、4’−[(4−メタンスルホニルオキシ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンが黄色の固体(706mg,98%)として得られた。
ステップ3:4’−[(4−メタンスルホニルオキシ−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(706mg,1.86mmol)とアジ化ナトリウム(241mg,3.71mmol)は95%エタノール(5mL)中で8時間還流させた。反応溶液は冷やされ、冷水(55mL)が加えられた。オフホワイトの固体はろ過され冷水で洗浄された。真空乾燥によりアジド(すなわち、4’−(4−アジド−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレン)は明るい黄色がかった固体(575mg,95%)として得られた。mp 105〜106℃。
ステップ4:4’−(4−アジド−2−オキサ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(1.65g,5.05mmol)はテトラヒドロフラン(10mL)中に溶かされた。トリフェニルホスフィン(1.59g,6.08mmol)と6滴の水が前述の溶液に添加された。室温で一晩かき混ぜられた後、ライトイエローの溶液は濃縮された。残留物はCHCl(90mL)に溶かされ、0.3N HCl水溶液(30mL,その後2×5mL)によって抽出された。
合わせたHClの層は飽和するまで慎重にKCOで処理された。塩基性の溶液をCHCl(3×60mL)で抽出した。合わせたCHCl層は60mLの水と60mLの食塩水で洗浄され、無水NaSOで乾燥させた。濃縮と真空乾燥の後、アミンが黄色の固体(1.25g,82%)として得られた。
アミンは無水エタノール(40mL)中に溶かされ、エチルエーテル中の1N HClの20mLが加えられた。5℃で一晩静置した後沈殿物はろ過され、エーテルでリンスされ、1.25gの化合物2が得られた。mp 236℃(decomp)。13C NMR:
ステップ1と同様に4’−CMTを1,3−プロパンジオールと反応させ、そしてステップ4まで同様に行われると4’−(5−アミノ−2−オキサ)ペンチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(化合物4)が得られた。m.p.212〜214℃(decomposed)。遊離塩基のNMR:
実施例 5
5’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,4’,8−トリメチルソラレン(化合物18)の合成
この例では化合物18の合成について書かれている。アセトニトリル(130mL)中でかき混ぜられているN−メチルホルムアニリド(16.0mL,0.134mol)の溶液にオキシ塩化リン(12.5mL,0.134mol)そして4,4’,8−トリメチルソラレン(5.0g,21.9mol)(McLeodら,Tetrahedron Letters No.3:237(1972)に記載される)が加えられた。ソラレンの添加中は、氷水浴を使用して温度は0〜10℃に保たれた。スラリーはドライエライト乾燥管によって湿気から守られながら50℃で2日間かき混ぜられた。反応混合物は室温まで冷やされ、そして氷水浴で冷やされた。
アセトニトリルはデカンテーションで除かれ、次いで氷水(150mL)が橙色のスラリーに加えられ、1時間撹拌した。橙色の固体を濾過して取り除き、冷水および冷やしたアセトニトリルでリンスした。粗生成物は再結晶化し、ジクロロエタン(600mL)中で炭を用いて脱色し、淡黄橙色の固体として4,4’,8−トリメチル−5’−ソラレンカルボキシアルデヒド(3.59g,64.0%)を得た。
4,4’,8−トリメチル−5−ソラレンカルボキシアルデヒド(7.50g,29.3mmol)を200強度のエタノール(250mL)中で撹拌した。水素化ホウ素ナトリウムを加え、スラリーを一晩撹拌した。氷水(150mL)と10%炭酸ナトリウム水溶液(50mL)を反応停止のために加えた。45分間撹拌した後に沈澱物を濾過により除去し、濾液が中性(pH5〜7)になるまで水でリンスした。生成物は五酸化二リンで真空デシケーター中で乾燥させ、淡黄色の固体として5’−ヒドロキシメチル−4,4’,8−トリメチルソラレン(7.46g,98.5%)を得た。
氷水中で冷却した、ジクロロエタン(500mL)中の5’−ヒドロキシメチル−4,4’,8−トリメチルソラレン(15.42g,59.7mmol)のスラリーに、一滴ずつ三臭化リン(6.17mL,65.7mmol)を加えた。反応は湿気から保護され、室温で一晩撹拌した。その後、混合物を300mLの氷水と共に一時間撹拌した。固体を濾過により除去し、乾燥させた後、温めたトルエンに溶解させ、縦に溝を付けた濾紙で濾過し、蒸発させて揮発成分を取り除くと5’−ブロモメチル−4,4’,8−トリメチルソラレン(3.43g)が得られた。反応溶媒(ジクロロエタン及び水)は分離させ、水層を三回ジクロロエタンで抽出した。有機層を合わせ、食塩水でリンスした後、乾燥させ(無水硫酸ナトリウム)減圧下で蒸発させて揮発成分を取り除くと、淡黄色の固体として5’−ブロモメチル−4,4’,8−トリメチルソラレン(13.13g、合わせた収率86.4%)の大部分が得られた。融点
N−ヒドロキシエチルフタルイミド(3.00g,15.5mmol)を60〜64℃でDMF(5mL)に溶解させる一方、窒素を溶液に通した。ヨウ化ナトリウム(0.01g,0.067mmol)と5’−ブロモメチル−4,4’,8−トリメチルソラレン(1.00g,3.11mmol)を加え、スラリーを、これらの条件下で、一晩撹拌した。濃い黄色の反応混合物を室温まで冷却し、更に氷水浴により冷却した後濾過し、氷冷メタノールでリンスすることにより、粗生成物(1g)を得た。固体を、ジクロロエタン(100mL)中で再結晶化させると、オフホワイトの固体として4,4’,8−トリメチル−5’−[2−(N−フタルイミド)−2−オキサ]ブチルソラレン(0.68g,50.8%)が得られた。
4,4’,8−トリメチル−5’−[4’−(N−フタルイミド)−2−オキサ]ブチルソラレン(1.61g,3.73mmol)をTHF(40mL)と40重量%のメチルアミン水溶液(20mL,257mmol)と共に一晩撹拌した。溶媒を取り除き、残留物は水性希塩酸とジクロロメタンに分配された。
水層はジクロロメタンで数回さらにリンスした後、炭酸カリウムで塩基性にした。塩基性層はジクロロメタンで三回抽出した。合わせた、塩基からの有機抽出物は食塩水と共に振とうし、乾燥させ(無水硫酸ナトリウム)た後、蒸発させて揮発成分を取り除くと、5’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,4’,8−トリメチルソラレン(0.71g,63.4%)が得られる。融点126〜129℃。
上記のアミン(0.71g,2.36mmol)を温めたエタノールに溶かし、ジエチルエーテル中の1M HCl(3mL,3mmol)を加えて酸性にし、炭で脱色し、冷却した後収集した。固体を再度炭で脱色し、蒸発させて揮発成分を取り除き、白い固体として5’−(4−アミノ−2−オキサ)ブチル−4,4’,8−トリメチルソラレンヒドロクロリド(0.39g,収率49.3%)を得た。融点235〜236℃。(注:この物質を他の方法で調製すると、NMRスペクトルは一致するが、明らかに融点が低い生成物がもたらされる)。
実施例 6
4’−(7−アミノ−2,5−オキサ)ヘプチル−4,5’,8−トリメチルソラレンヒドロクロリドの合成(化合物7)
この例においては、化合物7の合成について詳述する。4’−(7−アミノ−2,5−オキサ)ヘプチル−4,5’,8−トリメチルソラレンヒドロクロリドは四ステップで進行する。
ステップ1:4’−クロロメチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(589mg,2.13mmol)と、ジエチレングリコール(15.4g,145mmol)とアセトン(13mL)を11.5時間還流させた。
反応溶液からアセトンとジエチレングリコールの一部を除去するために濃縮した。得られた薄茶色の溶液にCHCl(40mL)を加えた後、水で数回洗浄した。CHCl層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、781mgの4’−(7−ヒドロキシ−2,5−オキサ)ヘプチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(約100%)を得た。
ステップ2:4’−(7−ヒドロキシ−2,5−オキサ)ヘプチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(781mg,2.25mmol)を<10℃で窒素気流下にて、CHCl(2.5mL)に溶かした。トリエチルアミン(363mg,3.59mmol)を加えた。メタンスルホニルクロリド(362mg,3.16mmol)を、10℃未満に温度を保つためにゆっくりと滴下した。添加が終了した後、混合物をさらに15分間10℃未満に保った。混合物を室温で一晩撹拌し、その後ジクロロメタン(50mL)を加えた。溶液を水(3×60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ30℃以下で濃縮した。減圧乾燥して、残った薄茶色のシロップ状の液体[4’−(7−メタンスルホニルオキシ−2,5−オキサ)ヘプチル−4,5’,8−トリメチルソラレン];437mg(76%)を得た。
ステップ3:4’−(7−メタンスルホニルオキシ−2,5−オキサ)ヘプチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(288mg,0.678mmol)とアジ化ナトリウム(88.2mg,1.36mmol)を3mLの95%エチルアルコールで8時間還流した。
反応液を冷却し、冷水(50mL)を加えた。水層は流して捨てられた。粗生成物質は(クロロホルム溶出によるシリカゲル)クロマトグラフィーChromatotron(Harrison Research,Inc.,Palo Alto,CA)により精製し、減圧乾燥して、明るい黄色いシロップ状の液体として4’−(7−アジド−2,5−オキサ)ヘプチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(123mg,49%)を得た。
ステップ4:4’−(7−アジド−2,5−オキサ)ヘプチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(122mg,0.33mmol)と、トリフェニルホスフィン(129mg,0.49mmol)と数滴の水を、テトラヒドロフラン(2mL)に溶かした。明るい黄色の透明な溶液を、室温で週末の間撹拌した。出発物質はTLCで確認されなかった。反応溶液を濃縮し、残留物をトリクロロメタン(20mL)に溶かした。溶液を0.15N塩酸(10mL、その後2×5mL)で抽出し、塩酸層は20%水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH13にした。塩基性溶液をトリクロロメタンで抽出した(3×15mL)。合わせたトリクロロメタン層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮、減圧乾燥し63.9mgの生成物、4’−(7−アミノ−2,5−オキサ)ヘプチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(56%)を得た。TLCでは単一スポットのみが確認された。
固体を無水エタノールに溶かし、エチルエーテル中の1M塩酸を加え、懸濁液を濾過し生成物をエーテルでリンスし、乾燥させた。
実施例 7
4’−(12−アミノ−8−アザ−2,5−ジオキサ)ドデシル−4,5’,8−トリメチルソラレンジヒドロクロリド(化合物8)の合成
4’−(12−アミノ−8−アザ−2,5−ジオキサ)ドデシル−4,5’,8−トリメチルソラレンジヒドロクロリドは、実施例5、方法2、ステップ2の生成物から、一段階で合成される。8mLのアセトニトリル中の4’−(7−メタンスルホニルオキシ−2,5−オキサ)ヘプチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(108mg,0.253mmol)の溶液を、2.8mLのアセトニトリル中の1,4−ジアミノブタン(132mg,1.49mmol)の溶液にゆっくりと加えた。8時間還流した後、出発物質はTLCで確認されなかった。反応混合物を室温までさまし、トリクロロメタン(25mL)と1N水酸化ナトリウム水溶液(25mL)を加えた。層を分離し、トリクロロメタン(2×10mL)を用いて水層を洗浄した。塩酸(0.3N,3×10mL)を用いて、合わせた有機層から生成物を抽出した。塩酸層をpH13になるまで20%水酸化ナトリウム水溶液で処理した。その後、合わせた塩基性層を、トリクロロメタン(3×20mL)で抽出した。トリクロロメタン層は、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮後、減圧乾燥させると、63mgの生成物、4’−(12−アミノ−8−アザ−2,5−ジオキサ)ドデシル−4,5’,8−トリメチルソラレンジヒドロクロリドが得られた(60%)。
実施例 8
4’−(2−アミノエチル−4,5’,8−トリメチルソラレンヒドロクロリド(化合物3)の合成
4’−(2−アミノエチル)−4,5’,8−トリメチルソラレンヒドロクロリドの合成は一段階で行われる:水素化トリフルオロアセトキシホウ素ナトリウムは、2mLのTHF中のトリフルオロ酢酸(296mg,2.60mmol)を、2mLのTHF中の水素化ホウ素ナトリウム(175mg,4.63mmol)の懸濁液を撹拌した物に、室温で10分かけて加えることにより生成した。得られた懸濁液を、2mLのTHF中の4’−シアノメチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(Kaufmanら、J.Heterocyclic Chem.19:1051(1982))(188mg,0.703mmol)の懸濁液に加えた。
混合物を室温で一晩撹拌した。10℃未満で、余分な試薬を分解するために、数滴の水を明るい黄色の透明な溶液に加えた。その結果得られた混合物を濃縮し、1N水酸化ナトリウム水溶液(30mL)を加えた。クロロホルム(30mL、続いて10mL、5mL)を用いて、生じたアミンを抽出した。合わせたトリクロロメタン層を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。アミンは0.3Nの塩酸(10mL,5mL,5mL)で抽出し、酸性層を20%水酸化ナトリウム水溶液でpH13にした。トリクロロメタン(3×10mL)を用いて、合わせた塩基性層からアミンを抽出し、水(2mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮し減圧乾燥させた後、アミンは、95%より高い純度(NMRによる)で固体として得られた。
上記固体を無水エタノールに溶かした。ジエチルエーテル中の塩化水素溶液(1N,1mL)を加えた。懸濁液を濾過し、明るい紫色の固体として化合物3(32.7mg,収率15%)を得た。
実施例 9
4’−(6−アミノ−2−アザ)ヘキシル−4,5’,8−トリメチルソラレンジヒドロクロリド(化合物6)
4’−(6−アミノ−2−アザ)ヘキシル−4,5’,8−トリメチルソラレンジヒドロクロリドの合成は次に示すように1段階で行われた:30mLのアセトニトリル中の4’−クロロメチル−4,5’,8−トリメチルソラレン(188mg,0.68mmol)を、7mLのアセトニトリル中の1,4−ジアミノブタン(120mg,1.4mmol)の溶液に加えた。一晩撹拌した後、減圧下で、溶媒を除去した。クロロホルム(10mL)と1N水酸化ナトリウム(10mL)を残留物に加え、混合物を振とうし、分離した。水溶液をさらに2×10mLのトリクロロメタンで抽出し、合わせた抽出物を水でリンスした。生成物をトリクロロメタン溶液から0.3N塩酸で抽出し、酸性層に濃い水酸化ナトリウム溶液でpH12にした。塩基性の懸濁液をトリクロロメタンで抽出し、その後水でリンスし、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮すると遊離塩基であるアミンが得られた。
約6mLの無水エタノールに溶かした遊離塩基を、エーテル中のHClの溶液(1.0M,3mL)で処理した。生じた塩酸塩を濾過し、無水エタノールでリンスした後減圧乾燥させると、150mgの化合物6が得られた(55%)、融点290℃(分解)。Analysis calculated for C192612・HO:C,54.42;H,6.73;N,6.68。Found: C,54.08;H,6.45;N,6.65。
次に示す化合物は同様な方法で調製した。合成する上での相違点を示す:
a)4’−(4−アミノ−2−アザ)ブチル−4,5’,8−トリメチルソラレンジヒドロクロリド(化合物1)、融点320〜322℃(分解)。この合成においてエチレンジアミンはジアミンとして用いられた。
b)4’−(5−アミノ−2−アザ)ペンチル−4,5’,8−トリメチルソラレンジヒドロクロリド(化合物5)、融点288℃(分解)。遊離塩基のNMR:d1.33(brs,3H),1.66(pent,J=6.8Hz,2H),2.47(s,3H),2.50(d,J=1Hz,3H),2.55(s,3H),2.6−2.85(m,4H),3.89(s,2H),6.22(apparent d,J=1Hz,1H),7.62(s,1H)。この合成において、1,3−ジアミノプロパンをジアミンとして用いた。
c)4’−(7−アミノ−2−アザ)ヘプチル−4,5’,8−トリメチルソラレンジヒドロクロリド(化合物10)、融点300℃(分解)。遊離塩基のNMR:
ここでは、1,5−ジアミノペンタンをジアミンとして用いた。
実施例10
5’−(6−アミノ−2−アザ)ヘキシル−4,4’,8−トリメチルソラレンジヒドロクロリド(化合物17)
5’−(6−アミノ−2−アザ)ヘキシル−4,4’,8−トリメチルソラレンジヒドロクロリドは次に示す一段階で合成された:30mLのアセトニトリル中の5’−クロロメチル−4,4’,8−トリメチルソラレン(190mg,0.68mmol)の懸濁液を、7mLのアセトニトリル中の1,4−ジアミノブタン(120mg,1.4mmol)の溶液にくわえた。
室温で一晩撹拌した後、減圧下で溶媒を除去した。クロロホルム(10mL)と1N水酸化ナトリウム(10mL)を残留物に加え、混合物を振とうし分離した。水層を、さらに2×10mLのトリクロロメタンで抽出し、合わせた抽出物を水でリンスした。生成物はトリクロロメタン溶液から0.3N塩酸で抽出し、酸性層は、濃い水酸化ナトリウム溶液でpH約12にした。塩基性の懸濁液をトリクロロメタンで抽出し、その後水でリンスし、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。
残留物を、トリクロロメタン:エタノール:EtN(9:1:0.25)を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物を含む画分を合わせ、溶媒から取り除き、遊離アミンを得た。NMR(CDCl):
無水エタノール(約6mL)に溶かした遊離塩基をエーテル中のHClの溶液(1.0M,約3mL)で処理した。生じた塩酸塩を濾過し、無水エタノールでリンスした後減圧乾燥させると100mg(36.3%)の生成物、5’−(6−アミノ−2−アザ)ヘキシル−4,4’,8−トリメチルソラレンジヒロドクロリドが得られた。融点288℃(分解)。
5’−(4−アミノ−2−アザ)ブチル−4,4’,8−トリメチルソラレンジヒドロクロリド(化合物16)は、エチレンジアミンをジアミンとして用いたことを除いては、同様な方法で調製された。遊離の塩基のNMR:
実施例 11
4’−(14−アミノ−2,6,11−トリアザ)テトラデシル−4,5’,8−トリメチルソラレンテトラヒドロクロリド(化合物15)
4’−(14−アミノ−2,6,11−トリアザ)テトラデシル−4,5’,8−トリメチルソラレンテトラヒドロクロリドの合成は次に示すように一段階で行われる。10mLのメタノール中の0.5g(2.5mmol)のスペルミン(Aldrich,Milwaukee,WI)の溶液に、HClのメタノール溶液(5N)(濃塩酸を5Nになるようにメタノールで希釈した)をpH5〜6になるように添加し、続いて0.128g(0.5mmol)の4,5’,8−トリメチルソラレン−4’カルボキシアルデヒド、20mg(0.3mmol)のNaBHCNを、及び3mLのメタノールを添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。HClのメタノール溶液(5N)をpHが2未満になるまで加えたのち、減圧下でメタノールを除去した。残留物を約100mLの水に溶かし、25mLのトリクロロメタンで3回リンスした。水溶液は濃水酸化ナトリウムでpHが10より高くなるようにし、25mLのトリクロロメタンで3回抽出した。これら最終抽出物を合わせ、水で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、留去するとアミンの有機塩基が95%以上の純度(NMRによる)で得られた。NMR(CDCl):
遊離アミンを無水エタノールに溶かし、HCl(無水、エチルエーテル中に1N)を加えた。塩酸塩を濾過し、無水エタノールで洗浄し、室温で減圧乾燥させ、80.2mgの生成物、4’−(14−アミノ−2,6,11−トリアザ)テトラデシル−4,5’,8−トリメチルソラレンテトラヒドロクロライドを明るい黄色の固体として得た。
実施例 12
ここでは、r−17バクテリオファージアッセイを病原体の不活性化効率を予測するため及び、本発明の光活性結合化合物の核酸への結合を測定するためにこの実施例中で用いた。r−17アッセイでは、各試験化合物を含む溶液中にバクテリオファージを加え、光を照射した。ファージの、その後の細菌への感染能力および成長阻害能力を測定した。試験化合物による核酸の損傷を培養成長阻害が正確に反映するように、相対的に影響を受けやすい核酸に対してバクテリオファージが選択された。試験化合物への核酸の結合についてのバクテリオファージアッセイは、効果的な病原体の不活性化を示しそうな化合物を特定する、安全で安価な方法を提供する。これまでの実験では、r−17アッセイは、同様な化合物に対するHIV−1の感受性を正確に測定することを支持している。
Rl7はHfr 300の細菌内で、力価約5×1011に増殖した。(R17及びHfr 3000は国際細菌命名規約(American Tissue Culture Collection)(ATCC)(Washington,D.C.)より得た)R17ファージ保存液を、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中の15%ウシ胎児血清溶液に、最終ファージ濃度が10/mLになるように加えた。アリコット(0.5mL)を、1.5mLスナップトップポリエチレンチューブに移した。水、エタノール、もしくは、ジメチルスルホキシド中に0.80〜8.0mMになるように調製された試験化合物保存溶液のアリコット(0.004〜0.040mL)をチューブに加えた。化合物は4μMから320μMの間の濃度で試験した。(AMTはHRI,Inc.(Concord,CA)から商品として入手可能;8−MOPはSigma(St.Louis,MO)から商品として入手可能。)チューブを実施例1に詳述したような光照射装置中におき、1分から10分間光を照射した。滅菌した13mLの希釈用チューブを用意した;各々の試験化合物は0.4mLのルリア培養液(LB)を含む1本のチューブと、0.5mLのLB培地を含む5本のチューブを必要とした。希釈物を作製するために、ファージと試験化合物の光照射した溶液の0.100mLアリコットを、0.4mLの培地の第一の希釈用チューブに加え、次いで、この溶液の0.020mLを0.5mLの培地の別のチューブに加えた(1:25)。次いで、第二の溶液を残りのチューブに連続的に希釈した(1:25)。
希釈したそれぞれの試料に、一晩培養したHfr 3000細菌を0.050mL及び溶解したLBトップアガーを3mL加え、その混合物質をLB培地プレートに注いだ。トップアガーが固まった後、プレートを37℃で一晩インキュベートした。その後、プラーク形成単位を翌朝カウントし、光処理後に残ったファージの力価を、希釈比をもとに算出した。
次に示すような対照実験を行った:ファージは試験化合物で処理されず、光照射もされなかった、「ファージのみ」(下表では「開始力価」として列挙した);試験化合物無しでファージを光照射した、「UVのみ(紫外線のみ)」;ファージ/試験化合物溶液を、希釈及び平板培養する前に光照射しなかった「暗」対照実験。
下記の表5は、ちょうど記載したR17実験計画に従って化合物1について試験した、3種類の異なる実験について示している。1〜3の実験(値を太字で表記)について、対照実験試料の値と比較すると、「UVのみ」対照実験も「暗」対照実験のどちらも、細菌の有意な死滅をもたらさないことが示される(多くとも、「UVのみ」対照実験で0.3対数が死滅し、「暗」対照実験で0.1対数が死滅した)。
「UVのみ」対照実験については、本発明の他の化合物を用いて多くの同様の実験を繰り返したところ、一貫して有意な死滅を示さなかった。(データ不記載)。「UVのみ」対照実験は、この実施例でどの実験においても行っているが、以下の表及び図には示していない。「暗」対照実験に関しては、本発明の種々の化合物について何度も実験を試みた結果、ソラレンの4’位の置換基の種類に関わらず、暗所では実験的に有意な細菌の不活性化は認められないことが明らかになった。(データ不記載)。例えば、表5において、実験1では暗所において化合物1を用いた場合、0.1対数の死滅を示した。これとは対照的に、化合物1に丁度1分間光を照射すると、その結果生じる力価の下落は6.7対数より大きい。それゆえに、その他の試験化合物については「暗」対照実験を行わず、また、行った場合でも以下に示す表および図に結果は記載していない。
下の表6〜9および図6〜8は、本発明の4’−第一級アミノ置換ソラレン化合物のそれぞれに対するR17アッセイの結果を表す。表7および8でのデータは、それぞれ図6および7に対応する。本発明の化合物の5’−第一級アミノ置換ソラレン化合物は、4’−第一級アミノ置換ソラレン化合物と同様に5’位に置換基を有し、この実施例で先に述べたように、さまざまな濃度で試験した。そして、その結果、匹敵する不活性化効率を現すことが示されている。
これらの化合物に対する結果を、下の図9および10に示す。
ソラレンの4’位に置換基を有する本発明の化合物は上記の表で示されるようにR17の死滅において活性があると証明された。表7では、本発明の化合物1が8−MOPよりもずっと高いR17不活性化効率を表すことが明らかである。表7および図6で示されるように、化合物1は、本発明のより活性でない化合物のうちの1つである。化合物2および3はどちらもそれぞれの濃度において化合物1よりも高い対数不活性化を示す。これらの結果は、本発明の化合物が、一般に8−MOPよりもずっと高い活性があることを支持する。
本発明の化合物はまた、AMTと同等、あるいはより強いR17不活性化効率を有する。
表7および8、図6〜10で、本発明の化合物はすべてAMTに匹敵するレベルでR17対数不活性化を達成している。化合物2および化合物3(表6,図6)、化合物5および化合物6(表8,図7)、および化合物16(図10)は、AMTよりも顕著に高い不活性化効率を示している。
本発明の化合物をまた、一定の濃度で、紫外線の様々な線量について試験した。DMEM中のR17のアリコット0.6mLを含む3本の1.5mLチューブを用意した(上で述べたように用意された)。試験化合物を所望される濃度で加え、試料を激しく撹拌した。その後、試料に1.0J/cmの間隔で、3.0J/cmに達するまで照射した。各1.0J/cmの間隔の間に、それぞれの試料から100μLを取り、第一の対応する希釈チューブに入れ、その後この実施例の前に述べたようにそれぞれの試験化合物に対し、3つの照射線量すべてで5つの連続した希釈を行った。
その後、50μLのHfr 3000細菌をそれぞれのチューブに加え、3mLのトップアガーを加え、そのチューブの内容物を激しく撹拌した。それぞれのチューブの内容物をLBプレートにまき、そのプレートを37℃で一晩インキュベートした。
明朝、プラークを目で数えた。
4’−第一級アミノ置換ソラレン化合物および5’−第一級アミノ置換ソラレン化合物のそれぞれに対するアッセイの結果は、図11〜17に示している。このデータはさらに、本発明の化合物は、R17を不活性化する能力において、AMTに匹敵することを支持している。さらに、化合物6(図11)、化合物10(図12)、化合物12(図13)、化合物15(図14および17)、および化合物17(図15)はすべて、R17の不活性化においてAMTよりも効率的である。
実施例 13
本発明の化合物それぞれの、病原体不活性化効果は、無細胞ウイルス(HIV)を不活性化するという化合物の能力を試験することで評価した。無細胞HIVの不活性化は、次のように行った。
R17アッセイでのように、下の表10および11に列挙された化合物の小アリコットを、表で列挙された濃度で、総量が0.5mLになるようにHIV−1株に加えた。HIV株(10〜10プラーク形成単位/mL)は、DMEM/15%FBS中にあった。0.5mLの試験アリコットを24穴のポリスチレン組織培養プレート中に置き、320〜400nm(20mW/cm)で、実施例1の装置に類似する装置にて1分間照射した。ここで用いられた光活性化装置は、あらかじめ試験され、実施例1の装置に匹敵する光への曝露をもたらすことが分かった。(データは示していない。)対照実験としては、HIV−1株のみ、HIV−1にUVAのみ加えたもの、ならびに、HIV−1に、UVAなしで、試験する各ソラレンを最も高濃度で加えたものが挙げられた。照射後、試料はすべて、マイクロタイタープラークアッセイにより感染力を分析するまで、−70℃で凍結保存した。
本発明の化合物で処理された試料での残存HIV感染力を測定するためのアリコットを回収し、培養した。
残存HIV感染力は、MT−2感染力アッセイを用いて分析した。(以前、Hanson,C.V.,Crowford−Miksza,L.and Sheppard,H.W.,J.Clin.Micro 28;2030(1990)で述べられていた。)アッセイ培地は、1mLにつき100μgのストレプトマイシン、100Uのペニシリン、50μgのゲンタマイシン、1μgのアンフォテリシンBを含む85% DMEM(高濃度のグルコースを含む)、15% FBS、および1mLにつき2μgのポリブレン(Sigma Chemical Co.,St Louis,Mo.)であった。不活性化処置からの試験試料、および対照実験試料を、50%アッセイ培地、および50%正常ヒトプール血漿で希釈した。続いて、試料を96穴プレート(Corning Glass Works,Corning,N.Y.)で直接希釈した。プレートを振動撹拌器で30秒混合し、5% COの雰囲気にて37℃で1から18時間インキュベートした。MT−2細胞(0.025mL)[National Institutes of Health AIDS Research and Reference Reagent Program(Rockville,Md.)より手に入れられる(カタログ番号237)クローンアルファ−4]を一つの穴につき80,000細胞の濃度になるようにそれぞれの穴に加えた。さらに1時間5% CO中37℃でインキュベートした後1.6% Sea Plaqueアガロース(FMC Bioproducts,rockland,Maine)を含み、あらかじめ38.5℃に温められたアッセイ培地の0.075mLをそれぞれの穴に加えた。それぞれのプレートにたまるまで、プレートを数分間37℃で保ち、その後、10℃に冷やされた遠心機においてプレートキャリア中にて600×gで20分間遠心機にかけた。遠心の際、細胞の単層は、アガロース層のゲル化よりも先に形成された。プレートを5% CO中37℃で5日間インキュベートし、リン酸緩衝生理的食塩水(PH7.4)中の50μg/mLのヨウ化プロピジウム(Sigma Chemical Co.)を0.05mL加えることで染色した。24から48時間後、プレートを8,000μW/cmの304nm紫外線箱(Fotodyne,Inc.,New Berlin,Wis.)に置くことで赤色蛍光染色されたマイクロプラークが目に見えるようになった。立体顕微鏡により、×20から×25の倍率で、プラークを数えた。結果を下の表10および11に示す。数値「n」は、試験の回数を表しており、データポイントはそれらの試験の平均値である。
結果より、本発明の化合物は、HIVの不活性化において効果的であることが証拠づけられる。事実、64μM、あるいはもっと高濃度の化合物に対するデータでは、化合物2および3は、以前最も活性のある抗ウイルス性のソラレンであると考えられていたAMTよりも有意に高い活性があることを支持している。より低い濃度では、化合物6は、AMT(32μMで2.5対数)よりも高い対数のHIV(32μMで3.1対数)を死滅させ得る。表9に列挙された他の化合物は、AMTと同じ範囲での不活性化効率を示す。
実施例 14
この実施例は、本発明の化合物を用い、B型肝炎ウイルスのモデルとしてアヒルのB型肝炎ウイルス(DHBV)を不活性化する手法を記述している。
アヒルの卵黄中のDHBVを、血小板濃縮液(PC)へ最終濃度が1mLにつき2×10個の粒子になるよう加え、15分以上穏やかに振盪した。ソラレンS−70,S−59およびAMTをTeflonTMミニバッグ中のPCのアリコット3mLに、35,70,および100mMの濃度で加えた。ソラレンを加えていない対照実験を含む試料に5J/cmのUVAを照射し、1J/cmずつ増分を加えた。照射後、白血球と血小板を、遠心によりウイルスと分離した。DHBVを含む上清を、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム、20mMトリス緩衝液(pH8.0)、5mM EDTAを含む緩衝液中で、50μg/mLのプロテイナーゼKで、55℃で一晩消化した。試料を、フェノール−クロロホルム、およびクロロホルムで抽出し、続いてエタノールで沈殿させた。その後、それぞれの試料から10個のDHBVゲノムを最初に投入したPCR増幅反応に、精製されたDNAを用いた。PCRアンプリコンは、DCD03/DCD05(127bp)、DCDO3/DCD06(327bp)およびDCD03/DCD07(1072bp)のプライマーの組を用いて生じた。PCRは、0.2mMの各デオキシリボヌクレオチド5’−三リン酸(dATP、dGTP、dCTP、およびdTTP)、0.5mMの各プライマー、および100mLの反応液につき0.5単位のTaqポリメラーゼを含む標準PCR緩衝液中で行った。30サイクルの増幅を、以下の温度プロフィール、すなわち、95℃30秒、60℃30秒、72℃1分で行った。十分な長さの生成物を生じさせるために、増幅の後、72℃で7分間インキュベートした。生成物を検出し、その量を測るために、[ラムダ−32P]dCTPを、100mLにつき10mCiの量で加えた。生成物を、変性しているポリアクリルアミド平板ゲル上で、電気泳動により分離し、数えた。所定の反応でのシグナルの消失は、DHBVを効果的に不活性化していることを指し示すと理解された。
この結果は、より小さいアンプリコンほど、試験した全てのソラレンについてソラレン濃度の関数として、高い不活性化を呈したことを示した。等濃度では、S−59およびS−70は、より小さいアンプリコンのPCRを、AMTよりも阻害した。1072bpのアンプリコンについては、S−59およびS−70のすべての濃度で、完全なPCRの阻害が観察された。ところが、ソラレンなしの試料は、強いシグナルを与えた。AMTは、70および100mMのレベルで、1072bpのアンプリコンのPCR増幅を阻害した。しかし、AMTを最終濃度35mMで用いた際には、シグナルを検出し得た。
実施例 15
実施例13では、本発明の化合物を、DMEM/15% FBS中においてウイルスを不活性化するそれらの能力について試験した。この実施例では、本発明の方法が、どんな特別なタイプの培地にも限定されないことを示すために、100%の血漿および大部分が合成培地の両方で、化合物を試験した。
合成培地中の試料について:標準ヒト血小板濃縮液を、血漿を分離するために遠心機にかけた。その後、85%の血漿を絞り出し、20mMの酢酸ナトリウム、2mMのグルコース、4mMのKCl、100mMのNaCl、10mMのクエン酸三ナトリウム、20mMのNaHPO/NaHPO、および2mMのMgClを含む合成培地(「SterilyteTM3.0」と呼ばれる)と取り替えた。HIVに感染したH9細胞を、85%のSterilyteTM3.0血小板濃縮液、または標準ヒト血小板濃縮液(1濃縮液につき2.5×10細胞)のどちらかに、最終濃度が5×10細胞/mLの濃度となるよう加えた。血小板濃縮液は、TeflonTMで改良されたFL20、あるいはTeflonTMミニバッグ(American Fluoroseal Co.,Silver Springs,MD)に入れ、図18および19で示す化合物のうちの1つで、示す濃度で処理し、その後、実施例1の装置と類似の装置で、320〜400nm(20mW/cm)で、5J/cm(血小板試料に対し)または2J/cm(85%のSterilyteTM3.0に対し)照射した。ここで用いられた光活性化装置は、あらかじめ分析され、実施例1の装置と比較できる光照射内であると分かった(データは示していない)。本発明の化合物で処理された試料における残存HIV感染力の測定のためのアリコットを回収し、培養した。
血漿中の試料について:HIVに感染したH9細胞を、標準ヒト血小板濃縮液(1濃縮液につき2.5×10細胞)に、最終濃度が5×10細胞/mLとなるよう加えた。HIVで汚染された血小板濃縮液のアリコット(5mL)を水で覆われたPyrex(登録商標)チャンバー中に入れた。そのチャンバーは、あらかじめ、内側をシリコンで覆ってあった。血小板濃縮液を、下の表10および11で列挙された化合物のうちの1つで、表に列挙された濃度で処理し、実施例1の装置と類似の装置で、320〜400nm(20mW/cm)で1分間照射した。ここで用いられた光活性化装置は、あらかじめ試験され、実施例1の装置に匹敵する光への曝露をもたらすと分かった(データは示していない)。本発明の化合物で処理された試料における残存HIV感染力の測定のためのアリコットを回収し、培養した。残存HIV感染力は、血漿と、85%のSterilyteTM試料との両方について、MT−2感染力アッセイを用いて分析した(先の実施例13にて詳述、および以前Hanson,C.V.ら、J.Clin.Micro 28;2030(1990)で述べられている)。その結果を、図18、および19に示す。
その結果は、本発明の化合物が、血漿中、および合成培地中のどちらともでHIVの不活性化において効果的であることを支持している。図18、および19を比べると、不活性化曲線は、同じ様であり、64μMの化合物濃度で、およそ5対数の不活性化を達成している。しかしながら、合成培地中での不活性化は、血漿中で同じ不活性化を達成するために必要とされる値よりも低い、ほんの2J/cm、3J/cmの照射で行った。従って、そのデータから、合成培地は、本発明の不活性化方法を促進することが明らかである。
実施例 16
この実施例では、核酸と結合している光反応性の本発明の化合物による細菌の不活性化を、後で自己複製する細菌の能力の関数として測定した。グラム陰性菌を、不活性化することがもっと困難である細菌株の代表として選んだ。
細菌としてPseudomonasの菌株を、滅菌ループでLB中に植菌し、37℃にて振盪器で一晩増殖させた。610nmで1ODが、5×10コロニー形成単位(cfu)/mLに等しい。1:10の培地の希釈物を、分光光度計(Shimatsuにより製造された)で測定した。細菌培養物を、DMEM中15%のウシ胎児血清の溶液に、最終細菌濃度がおよそ10/mLになるように加えた。アリコット(0.8mL)を1.5mLスナップトップ(snap−top)ポリエチレンチューブに移した。水、エタノールまたはジメチルスルホキシドで0.80〜8.0mMに調製された試験化合物保存溶液のアリコット(0.004〜0.040mL)を、チューブに加えた。化合物は、16μMの濃度で試験した。チューブを、実施例1で述べたような光装置の中に置き、1.3J/cm、1.2J/cm、そして最後に2.5J/cmで、総量が5J/cmとなるように照射した。それぞれのパルス期間の後に、試験するために150μL取り除いた。滅菌した13mLの希釈チューブを用意した。それぞれの試験化合物に、0.4mLのLB培地の入った1本のチューブと、0.5mLのLB培地を含む4本のチューブが必要である。希釈物を作るために、ファージと試験化合物の照射された溶液のアリコット0.050mLを0.5mLの培地の第1の希釈チューブに加えた。その後、この溶液の0.050mLを、0.5mLの培地の第2のチューブに加えた(1:10)。その後、第2の溶液を、続けて残りのチューブ内で希釈した(1:10)。100μLの元の試料とそれぞれの希釈物を別々にLBアガープレート上にまき、37℃で一晩インキュベートした。コロニー形成単位を明朝数え、光処理後に残っているファージの力価を希釈比にもとづいて計算した。
次の対照実験を行った。試験化合物で処理せず、照射しない「細菌のみ」(下の表中では、「開始力価」として列挙した。)、試験化合物なしで細菌を照射した「紫外線のみ」である。暗対照実験は、実施例12に示された理由で、ここでは行わなかった。
結果は以下の通りである。細菌の開始力価は、6.5対数であった。5J/cmでの照射後、さまざまな試験化合物についての死滅の対数は以下の通りであった。8−MOPは1.9対数、AMTは5.2対数、化合物2は>5.5、化合物6は>5.5であった。これらの結果から、本発明の化合物が、AMTおよび8−MOPのどちらよりも、グラム陰性菌の不活性化においてより効率的であることが明らかである。
実施例 17
上述の実施例において、本発明のソラレンは細菌(Pseudomonas)、バクテリオファージ(R17)およびウイルス(HIVおよびDHBV)のような病原体を不活性化するのに効果的であることが実証された。本発明の化合物が病原体を不活性化するどんな方法にも限定されることを意図しないが、不活性化は光に誘導されたソラレンの病原体の核酸への結合に起因するということが考えられている。すでに論議されたように、AMTはその病原体を不活性化する効率と、低濃度で暗下にて付随して起きる変異原性作用の両方で知られている。対照的に、前に調査された8−MOPのような活性の低いソラレンほど、有意に変異原性が低い。この実施例では、光結合と変異原性が、本発明の化合物において関連のある現象ではないということを確立する。本発明のソラレンは、最小の変異原性のみを呈する一方で、例外的な病原体不活性化効率を持つ。
この実施例において、本発明の化合物は、暗下での変異原性についてエイムスアッセイを用い試験される。MaronおよびAmesにより詳細に述べられているように、Salmonella変異原性試験に対して使われた手順は、Maron,D.M.およびB.N.Ames,Mutation Research 113:173(1983)に正確に従った。各手順の簡単な説明をここに紹介する。試験菌株TA97a,TA98,TA100,TA102,TA1537およびTA1538はDr.Amesより頂いた。TA97a,TA98,TA1537およびTA1538は、フレームシフトの試験菌株である。TA100およびTA102は、塩基置換の試験菌株である。受け取り次第、各菌株は、菌株に特異的な遺伝子型を確かにするため、様々な条件下で培養した。
この研究で使われた標準のSalmonella試験菌株は、各試験菌株がヒスチジンオペロンに異なるタイプの変異を含んでいるので、その成長にヒスチジンを必要とする。ヒスチジンの変異に加え、これらの試験菌株は以下に述べる他の変異を含んでおり、これらの変異はそれらの変異原の検出能力を大いに増加させる。
ヒスチジン依存性:ヒスチジン要求性は、まずビオチンのみ補った最小グルコースプレートに、各菌株を筋状に撒き、それからビオチンとヒスチジンを補った最小グルコースプレートに筋状に撒くことにより試験した。
すべての菌株は、ヒスチジンがない状態で、その成長が減少した。
rfa変異:細菌の表面を覆い、大分子に対する浸透性を増しているリポ多糖類壁の部分的な損失を引き起こす変異を、試験菌株で覆われ、筋状に撒かれた栄養寒天プレートをクリスタルバイオレットにさらすことにより確かめた。まず、各培養菌100μLを2mLの溶解した最小トップアガーに加え、栄養寒天プレート上に注いだ。それから、クリスタルバイオレットで飽和させた滅菌フィルターペーパーディスクを各プレートの中央に置いた。37℃で16時間インキュベートした後、プレートを評価し、細菌の成長が見られない明瞭な領域がディスクのまわりに見られ、rfa変異を確認した。
uvrB変異:この研究で使われた3つの菌株は、UV修復システムに欠陥を含んでいる(TA97a,TA98,TA100,TA1537およびTA1538)。この特性を、菌株を栄養寒天プレート上に筋状に撒き、プレートの半分を覆い、プレートのさらされた側に滅菌ランプを照射することにより試験した。培養後、プレートの、UV照射から保護された側にのみ成長が見られた。
Rファクター:試験菌株(TA97a,TA98,TA100およびTA102)は、変異原に対する感受性を増加させるpKM101プラスミドを含んでいる。このプラスミドは、細菌にアンピシリン耐性も与える。これはアンピシリンの存在するところでの菌株の成長により確かめられた。
pAQ1:菌株TA102も、変異原に対するその感受性をより増強させるpAQ1プラスミドを含んでいる。このプラスミドも、テトラサイクリン耐性をコードしている。このプラスミドの存在を試験するため、TA102をヒスチジン、ビオチンおよびテトラサイクリンを含む最小グルコースプレート上に筋状に撒いた。プレートを、37℃で16時間インキュベートした。この菌株は普通の増殖を示し、このことはpAQ1プラスミドの存在を示した。
遺伝子型試験に使った同じ培養菌を再度培養し、制御された条件下でアリコットを凍結した。凍結された永久不変のものを調製するときの操作の際の遺伝子型の忠実度を確認するために、再度、培養菌を遺伝子型について試験した。
この菌株で行った最初の試験は、各菌株の自発的復帰変異の範囲を決定することだった。
各変異原性実験で、ヒスチジン非依存性への試験菌株の自発的復帰変異が測定され、それはプレートごとの自発的復帰変異体の数として表された。これはバックグラウンド対照実験として役立った。変異原性の陽性対照実験は、その菌株に適する、診断用変異原を使うことにより、各試験菌株に設けられた(TA98に対しては5mg/プレートの2−アミノフルオレンおよびTA100に対しては1.5mg/プレートのアジ化ナトリウム)。
すべての実験に対して、前培養の手順が用いられた。この手順においては、各試験菌株の1つのバイアルを解凍し、この培養菌20μLを6mLのOxoid Nutrient Broth #2に加えた。この溶液を、その後37℃で10時間振とうした。前培養の手順で、この一晩置いた培養菌の0.1mLを必要な数の滅菌試験管にそれぞれ加えた。
試験管の半分に、Aroclor 1254に誘導されたラットの肺抽出物(Molecular Toxicology Inc.,Annapolis,MD)を含む0.5mLの10% S−9溶液、MgCl、KCl、グルコース−6−リン酸、NADPおよびリン酸ナトリウムバッファー(Sigma,St.Louis,Missouri)を加えた。試験管のもう半分には、S−9混合物(S9試料)の代わりに、0.5mLの0.2Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7.4)を使用した。最後に、0,0.1,0.5,l,5,10,50,100,250または500μg/mLのいずれかの試験化合物を含む試験溶液0.1mLを加えた。その0.7mLの混合物を撹拌し、それから37℃で20分間振とうしながらプリインキュベートした。振とう後、ヒスチジンとビオチンを補った2mLの溶解したトップアガーを、その0.7mLの混合物に加え、即刻最小グルコース寒天プレートに注いだ(基本培地の量は20mLだった)。そのトップアガーを固まらせるため30分間放置し、それからプレートを逆さにして、37℃で44時間インキュベートした。インキュベート後、各プレートの復帰変異体のコロニーの数を数えた。結果は、以下の表12(A)−18(B)に示してある(nは各データポイントで行われた反復回数を表す。)。
MaronとAmes(1983)は、この試験から生まれたデータの統計的な扱いに関して、相対する見解を述べている。この点を考慮して、この実施例は、薬物に対する用量依存性変異原性応答と同様、復帰変異体の数における、バックグラウンドを越えての2倍または2倍超の増加により特徴づけられている変異原性の簡単なモデルを採用している。
8−MOPに関しては、検出された唯一の変異原性応答は、TA102において500μg/プレートで弱い塩基置換変異原だった(表13(B))。
はっきりとした対比では、AMT(表12(A)および12(B))は、TA97aおよびTA98において5μg/プレートと10μg/プレートの間、TA1537において5μg/プレート、およびTA1538において1μg/プレートでフレームシフト変異原性を示した。AMTは意味ある塩基置換変異を示さなかった。
化合物1を見ると、検出された唯一の変異原性の応答は、S9の存在下、5μg/プレートでTA1538における弱いフレームシフト変異原であった。化合物1はTA100株においても変異を示したが、S9の非存在下でのみであった。化合物2も、TA98およびTA1537においてS9の存在下、弱いフレームシフト変異原性を示した。化合物3および4は変異原性を示さなかった。化合物6は塩基置換変異原性を持たなかったが、250μg/プレート以上の濃度で、S9の存在下、TA98においてフレームシフト応答を示した。化合物6はTA1537においても、S9の存在下、50μg/プレートで応答を示した。化合物18はTA9o株とTA1537株において、S9の存在下、高い濃度で弱い応答を示しただけだった。その応答はS9の非存在下ではより高かったが、それでもなお、はるかに低い濃度(5μg/プレート)で変異原性を示すAMTの応答より充分下であった。
このデータから、本発明の化合物はエイムス試験により定義されたように、AMTより変異原性が低い。同時に、これらの化合物は実施例12と16で示されたように、8−MOPよりはるかに高い不活性化効率を示す。これら2つのファクターは、本発明の化合物がAMTと8−MOP両方の一番良い特徴、すなわち高い不活性化効率と低い変異原性を兼ね合わせているということを支持している。
実施例18
実施例15において、本発明の化合物が、合成培地中で病原体を不活性化する能力を示した。この実施例は、合成培地および本発明の化合物が、血液中で病原体を不活性化するために導入され、使用されるかもしれない方法を述べている。図20Aは、現在、血液銀行で使用されている標準的な血液製剤分離アプローチを概略的に示している。血液輸送セット(200)(例えば、商業的にBaxter(Deerfield,Ill)から入手可能)を作製するために、三つのバッグを曲げやすいチューブで統合している。
血液が第1のバッグ(201)に送り込まれた後、全セットを遠心分離(例えば、SorvallTM回転バケット遠心機、Dupont)により処理し、その結果、第1のバッグ(201)に赤血球および血小板が豊富な血漿が詰められる。血漿は第1のバッグ(201)からチューブを通って第2のバッグ(202)に絞り出される(例えば、血漿圧搾用のFenwallTM装置を使用)。それから第1のバッグ(201)は取り外され、二つのバッグのセットを遠心機にかけ、血小板濃縮液と血小板が少ない血漿を作製する。後者は第2のバッグ(202)から第3のバッグ(203)に絞り出される。
図20Bは、合成培地および光活性化合物が、図20Aと同様に調製された血小板濃縮液に導入される本発明の実施態様を、概略的に示している。二つのバッグのセット(300)は、血小板濃縮液のバッグ(202)(「P.C.」と記す)と滅菌連結される。滅菌連結は、当該分野でよく知られている。例えば、D.W.C.Spencerに対する米国特許第4,412,835号を参照のこと。この米国特許は本明細書により参考として援用される。また、米国特許第4,157,723号及び第4,265,280号を参照のこと。これらの米国特許は本明細書により参考として援用される。滅菌連結装置は、商業的に入手可能である(例えば、Terumo,日本)。
二つのバッグのセット(300)のバッグのうち一つ(301)は、本発明の合成培地の処方物を含んでいる(「STERILYTE」と記す)。図20Bに示されている第二段階で、滅菌接続手段で第1の血液バッグから第2の血液バッグに血小板濃縮液を絞り出すことにより血小板濃縮液を合成培地バッグ(301)に移すことによって、血小板濃縮液を合成培地と混合する。光活性化合物は合成培地を含むバッグ(301)に存在し得、製造の間際に加えられる。あるいは、製造の間際に化合物が血液収集バッグ(図20A,201)に加えられる場合、化合物は収集の間際に血液と混合され得る。化合物は、血液の維持と両立可能な、乾燥した状態で存在しても、溶液中に存在してもどちらであっても良い。
図20Cは、図20Bと同様に、特に合成培地で希釈された血小板濃縮液に適用した本発明の除染アプローチの一実施態様を概略的に示している。この実施態様で、血小板は合成培地バッグ(301)に移された。光活性化合物は、すでに血液収集バッグ(201)に導入されたか、または合成培地バッグ(301)中に存在するかのいずれかである。次いで、血小板は滅菌接続手段によって(示されているように)合成培地バッグに絞り出されるか、または合成培地が血小板バッグに絞り出されるかのいずれかである。血小板濃縮液と合成培地(301)の混合物を含んだバッグは、UV光透過特性と本発明に適した他の特徴を有し、それから、(上述の実施例1で述べられたような)装置の中に置き、照射される。
光処理に続いて、除染した血小板は二つのバッグのセット(300)の合成培地バッグ(301)から貯蔵バッグ(302)に移される。貯蔵バッグは、商業的に入手可能な貯蔵バッグであり得る(例えば、Cutter製のCLXバッグ)。
実施例 19
この例は、血小板機能に対する本発明の化合物および方法の影響の評価を含んでいる。血小板生存能力および機能の四つの指標が使用されている。つまり、1)GMP−140の発現、2)pHの維持、3)血小板の凝集、4)血小板の数。
これらの四つの指標を用いて、血小板機能に対する本化合物および除染の方法の効果を測定するため、それぞれの試験化合物のために四つの試料を調製した。つまり、二つは対照実験試料および二つは化合物を含んでいる試料である。3ユニットのヒト血小板はSacramento Blood Center(Sacramento,CA)から入手した。これらは、滅菌条件下でそれぞれ50ml遠心チューブに移し、それから、各ユニットのアリコットを、50ml滅菌遠心チューブの第2のセットに移した。血小板濃縮液(PC)を含んだそれぞれの遠心チューブに、貯蔵された化合物のアリコットを化合物の最終濃度が100μMに達するように加えた。この実験で試験される化合物は、化合物2(36μLの10mMストックを4mlのPCに添加)、化合物6(173.5μLの9.8mMストックを16.8mlのPCに添加)、化合物17(2.0mlの1mMストックを18mlのPCに添加)、および化合物18(0.842mlの2.0mMストックを16mlのPCに添加)であった。試料は穏やかにピペッティングし、混合した。それから、それぞれの試料のアリコット(3mlか、または8ml)を、二本の滅菌TeflonTM Medi−bagsTM(American Fluoroseal Co.,Silver Springs,MD)(現在、The West Company(Lionville,PA)により所有される)に移した。試料は、3mlまたは8mlの容量の二つの異なったサイズのバッグのうち一つの中で扱った。バッグは共に、大体同じ、表面積対体積の比を持っており、前の実験は二つのバッグが試料を照射している間、大体等しい特性を表していることを示している(データ示さず)。それぞれの試験化合物について、化合物を含まない二つの対照実験試料を、以前と同様に、化合物試料が抜かれた50ml遠心チューブの第1のセットのうち同じチューブから血小板濃縮液のアリコット(8mlのバッグを使用するならば17ml、3mlのバッグを使用するならば4ml)再び取り除き、Medibagに分配することによって調製した。化合物を含んだそれぞれの組のMedibagのうち一つと、対照実験のそれぞれの組のMedibagのうち一つを、上述の実施例1で述べられた装置上で、5ジュール/cmで照射した。それから、全ての実験のMedibagと対照実験のMedibagを五日間貯蔵のため血小板振とう器に置いた。同じ実験を統計上、より意味があるデータを得るために数回繰り返した。以下に議論されている図21〜24のグラフに「n」と表されているのは、データポイントの数を表している。
第一日目に対照実験試料のデータを得るために、3ユニットのそれぞれの残量から約3mlを取り除き、二本の1.5mlチューブに分配した。これらの試料を以下に述べられているようにpHについて試験した。血小板の数に関してもまた以下に述べられているように1:3希釈で行った。それぞれのユニットから残存血小板濃縮液を、Sorval RC3B(Dupont Company,Wilmington,Delaware)で10分間、3800rpm(3000g)で遠心機にかけ、ペレット状濃縮物にした。それから、血漿は凝集アッセイで使用するために、二本の滅菌した50mlチューブ(一本を第一日目に、他を第五日目のために4℃で保存)にデカントして移した。
1)GMP−140の発現
血小板が活性化すると、p−セレクチン(GMP−140)と呼ばれるα顆粒膜糖タンパク質が、血小板表面に露出される。(5%)未満の新鮮で正常な刺激されていない血小板しか、フローサイメトリーで検出可能なGMP−140レベルを発現していない。M.J.Metzelaarによる、Studies On The Expression Of Activation−Makers On Human Platelets(ヒト血小板の活性化マーカーの発現における研究)(Thesis 1991)に概要参照。
GMP−140を測定するために、血小板が多い血漿の小アリコットを、GMP−140結合抗体またはアイソタイプのコントロールマウスIgGを含むHEPES緩衝液に加える。
CD62はGMP−140に結合する商業的に入手可能なモノクローナル抗体である(Sanbio,Uden,the Netherlands;Caltag Labs,So.San Francisco,CAおよびBecton Dickinson,Mountain View,CAから入手可能)。室温で15分間インキュベート後、FITC(Caltag Laboratories,So,San Francisco,CA)に結合したヤギF(ab’)抗マウスIgGを飽和量で、チューブに加え、15分間、室温(RT)でインキュベートを行った。最終的に、細胞をリン酸塩緩衝液中1%のパラホルムアルデヒドで希釈し、FACSCANTM(Becton Dickinson,Mountain View,CA)で分析した。陽性対照実験を、酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)を最終濃度が2×10−7Mになるように試験系に加えることによって作製した。
この実施例では、もしあれば、血小板活性化に対する本発明のいくつかの化合物存在下で照射の影響を測定するために、CD62を使用した。抗体をHEPES緩衝液(10μLの抗体[0.1mg/ml]:2.49mLの緩衝液)と混合し、使用前に−40℃で50μLのアリコットで保存した。陽性対照実験は10μLのCD62、8μLのPMA、および2.482mLのHEPES緩衝液からなった。5倍に濃縮されたマウスIgG1対照実験(0.05mg/ml)(Becton Dickinson,Mountain View,CA #9040)もまた使用した。抗体をHEPES緩衝液(20μLの抗体:2.48mlの緩衝液)で希釈し、−40℃で保存した。酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)(Sigma,St.Louis,MO)は−40℃で保存した。使用時には、これをDMSO(作用濃度は10μg/mL)に溶解させた。
1%パラホルムアルデヒド(PFA)(Sigma,St.Louis,MO)を、10gのパラホルムアルデヒドを1LのPBSに加えて調製した。これを70℃に熱し、その後、溶液が透明になるまで3M NaOHを滴下して添加した。この溶液を冷まし、pHを1N HClで7.4に調節した。これを濾過し、保存した。
処理後、血小板濃縮液のそれぞれの試料の処理は、HEPES緩衝液で1:3に希釈した5μLの血小板濃縮液を、抗体CD62および適当な試薬を含んだそれぞれの微量遠心チューブへ添加すること、および、ボルテックスによって大変穏やかに混合することを含んでいた。それから、試料を15分間、室温でインキュベートした。
ヤギ抗マウスIgG−FITC(HEPES緩衝液で1:10に希釈)を(5μL)それぞれのチューブに加え、溶液を穏やかにボルテックスで混合した。試料をさらに15分間、室温でインキュベートした。次に、PBS中1%のPFAの1mLをそれぞれのチューブに加え、穏やかに混合した。血小板はFACSCANTMで分析した。その結果を、図21C、22C、23C、および24Cに示している。(図21は化合物2に、図22は化合物6に、図23は化合物17に、図24は化合物18にそれぞれ対応している。)明らかに、四つの試験化合物のうち三つ、すなわち2,6、および17は第五日目の非処理対照実験(D5)および光とソラレン化合物(PCD)の両方で処理した試料間で、わずかあるいは全く違いが見られなかった。化合物18だけが対照実験以上に顕著な上昇が見られた。しかしながら、値は、依然として陽性対照実験の値に比べてずっと低かった。
2)pHの維持
濃縮液中の血小板のpHの変化は、形態的な特徴および輸血後の生存を変化させ得る。Moroff,G.ら、「20〜24℃で血小板濃縮液の貯蔵の間、pHの変化に影響を与える因子(Factors Influencing Changes in pH during Storage of Platelet Concentrates at 20−24℃)」、Vox Sang.42:33(1982)。血小板が正常に作用するpHの範囲は、約6.0〜6.5から7.6である。Stack,G.およびE.L.Snyder、「血小板濃縮液の貯蔵」、Blood Separation and Platelet Fractionation 99,at 107(1991)。pHを測定するため、CIBA−CORNING 238 pH/血液ガス分析器(CIBA−CORNING,Norwood,MA)を用いた。
それぞれの試料から少量の血小板濃縮液をpH/血液ガス分析器に注入した。
pHの測定は全ての試料について時間0と五日間の貯蔵後に行った。図21D、22D、23D、および24Dは、光を照射しない(暗)対照実験、光を照射した対照実験、および光に化合物を加えた実験についてのpHの結果を示す棒グラフである。これらのグラフは、化合物のうちいずれか一つの存在下で照射後の血小板濃縮液試料のpHは6.5を超えたままであることを示している。このようにして、血小板は本発明の化合物を用いた光活性化処理後の貯蔵血小板が許容できるpHを維持している。
3)凝集
血小板の凝集は、凝集を刺激する際に呈する血小板試料の光透過の変化により測定した。血小板の凝集は、Whole Blood Aggregomator(Chorono−Log Corp.,Havertowm,PA,モデル560VS)により測定した。各試料における血小板の数は各測定において一定になるように調節した。モデルF800 Sysmex細胞カウンター(Toa Medical Electronics,神戸,日本)は、血小板試料の血小板数測定に用い、同一血漿は血小板数を300000血小板凝集物/mlに調節することに用いた。
手順中で、すべての試料は活性化のために37℃で30分間密栓したプラスチックチューブでインキュベートした。凝集計は37℃まで加温した。光学チャンネルは血小板凝集測定に用いた。凝集計の磁気速度は600/minに設定した。得られたユニットから処理用の試料として寄せ集めた残存血小板凝集物は、実験試料と同一の血小板に乏しい血漿から含有物を得るために微量遠心機で高速(14000g)で5分間遠心機にかけた。
開始するにあたり、0.45mlの同一の血小板に乏しい血漿を0.5mlの食塩水とともにガラスキュベット内に添加し、PPPチャンネルに置いた。それから、0.45mlの血小板凝集物試料および0.50mlの食塩水は試料チャンネルの方へガラスキュベット(小さい磁石を含む)に添加した。1分後、ADPおよびコラーゲン試薬(10μl)それぞれは試料キュベットに添加した。ADPの最終濃度は10μM、そしてコラーゲンの最終濃度は5μg/mlであった。血小板の凝集は約8から10分間、あるいは最大示度に到達するまで記録された。
その結果は図21B,22B,23Bおよび24Bに表している。100%凝集ラインは、記録計がゼロに設定される値である。0%凝集ラインはADPおよびコラーゲンが添加される以前に血小板が透過されるところである。試料に対する凝集値は最大凝集値を全範囲の百分率としてとることにより決定した。化合物処理された試料と5日間保持された化合物処理していない試料との間で、凝集度における相違は、試験された4つの化合物のうちの3つにおいては非常にわずかであるか、または全く見られなかった。化合物2は、1日目の対照実験から約8%の僅かな凝集の減少を呈した。化合物ならびにUVで処理した試料に対する凝集はUV単独で処理したものと同様であった。このことは本発明の方法において用いられる場合の、試験された除染化合物は、血小板の凝集に対して有意な効果をもたないことを支持する証拠である。
4)計数
Sysmex細胞カウンターは血小板試料中の血小板数を測定するために用いた。試料は血液銀行の食塩水で1:3に希釈した。
図21A,22A,23Aおよび24Aに血小板数測定の結果が現している。それぞれの化合物に対して、5日目の対照実験と5日目の処理された試料との間で血小板数においてほとんどあるいは全く減少が見られない。興味深いことに、化合物6,17及び18で処理した試料は全て、光単独で処理した試料より高い血小板数を表している。例として、化合物6で処理した試料は5日目の対照実験と等しい数であったが、紫外線単独で処理した試料は血小板数において、約33%の減少を示した。ゆえに、本発明の化合物での処理は血小板数の維持と両立可能であるだけでなく、紫外線への曝露に起因する、数の減少を実際に防ぐようである。
実施例 20
血液を除染するための好ましい化合物であって、除染後にインビボで使われる化合物は、受容者の血液に対し変異原性であるべきではない。この実験の第一部において、アミノメチルトリメチルソラレンと比較して遺伝毒性レベルを決定するために幾つかの化合物を検査した。第二部では本発明のいくつかの化合物のインビボの染色体異常誘発能が、マウスの網状赤血球における微小核形成を検索することによって測定した。
1)遺伝毒性
哺乳類細胞培養は化学薬品の染色体異常誘発能評価のために有用な手段である。このような研究では、細胞は、ラットS−9代謝活性化システム(S−9)を用いて、そして/または、用いずに化学試薬に供し、後に細胞の生存性(遺伝毒性での検査のため)あるいは染色体構造の変化(染色体異常のアッセイのため)を試験する。
チャイニーズハムスター子宮細胞(CHO;ATCC CCL 61 CHO−K1,プロリン要求性)はインビトロで遺伝毒性および染色体異常の試験に用いた。CHO細胞は、細胞発生試験に広く使用される。なぜなら、CHO細胞は相対的に少数の染色体数を有し(2n=20)、ならびに増殖速度が高い(約12から14時間以内、培養状態に依存する)からである。細胞は、指数関数的増殖を維持する目的で、15%ウシ胎児血清(FBS)、2mM L−グルタミン酸、および1%ペニシリン−ストレプトマイシン溶液を含有するMcCoyの5a培地中で、5%,CO雰囲気下にて約37℃で培養した。この培地はまた、S−9を用いなかった際に試験化合物へ細胞をさらす間に用いられた。T−75またはT−25フラスコにおいて、細胞培養を維持し、細胞への曝露を実行した。
それぞれの試料化合物は7段階の希釈物、1,3,10,33,100,333および1000μg/mlで試験した。化合物は不完全McCoyの5a培地に添加した。
化合物が添加された後、暗中で、約37℃で3時間細胞を増殖させた。次いで、試験化合物を含む培地は、吸引し、細胞は37℃で、リン酸緩衝化食塩水(PBS)で3度洗浄し、新鮮な完全McCoyの5a培地が添加された。陽性の対照実験はメチルメタンスルホン酸であった。溶媒の対照実験は、培養培地で希釈したジメチルスルホキシド(DMSO)であった。代謝活性化(以下に示す)を用いたアッセイのために、活性化混合物もまた溶媒対照実験に添加した。次いで、培養液は、細胞を回収する前に約12時間追加してインキュベートした。コルヒチンは(最終濃度0.4μg/ml)を、回収より約2.5時間先立って添加した。
コルヒチンで約2.5時間後、上記細胞を収穫した。細胞を、セルスクレイパーを用いてフラスコ表面から除去した。得られた細胞縣濁液を遠心機にかけ、上清を吸引し、4mlの0.075M KCl低張液を37℃で15分間細胞に添加した。それから細胞は遠心機にかけられ、上清は吸引し、細胞はメタノール:酢酸(3:1)の固定液に懸濁した。固定液の三度の交換ののち、すべてのフラスコ由来の細胞を用いて、風乾させたスライドを調製した。それぞれのフラスコ由来の初期のスライド上での細胞密度と中期の品質を、位相差顕微鏡を用いて観察し、少なくとも2つの適切な細胞密度のスライドを各フラスコから調製した。スライドは3%Giemsaで20分間染色し、脱イオン水中でリンスし、キシレン中に通した。カバーガラスはパーマウントで取り付けた。スライドはそれぞれの試験化合物のどれだけの濃度が中毒量を表すかを決定するために検査された。
結果の分析により、AMTは30μg/mlで遺伝毒性であることがわかった。対比して、化合物2および化合物6はAMTの中毒量の3倍超の100μg/mlで遺伝毒性のみを呈した。
本発明の化合物と構造的に異なるソラレン化合物である8−アミノメチル−4,4’,5’−トリメチルソラレンもまたこの実験で試験し、10μg/mlで毒性を持つことを証明した。8−置換アミノメチル化合物および類似の構造物は本発明の方法に適し得えないが、代替の目的に有用であり得る。核酸複製を妨害する化合物の能力を考慮して、例えば、それらの非常に強い毒性と組み合わせて、ガンのような細胞増殖が制御不能であることで特徴づけられる病気を処置するために使用しうる。
2)微小核評価プロトコル
食塩水を化合物2,6,17および18に対して様々な濃度で調製した。次いで、雄Balb/cマウスに0.1mlの化合物溶液を、尾静脈を経由して注入した。少なくとも3匹のマウスは用量レベルごとに注入された。塩類のみは陰性対照実験として用いた。陽性対照実験としてシクロホスファミド(cycloPP)を30mg/kgの用量で投与した。実験集団には、注入を1日につき一度を4日間繰り返した。陽性対照実験の集団には3日目に一度だけ投与した。5日目にそれぞれの被験体から数μlの血液を抜き取り、ガラススライド上に塗布した。細胞は無水メタノールで固定し、スライドラックに貯蔵した。
分析には、アクリジンオレンジで細胞を染色し、(1)5000個の赤血球当たりの網状赤血球数(2)1000個の網状赤血球当たりの微小核赤血球数を計数することによって蛍光顕微鏡のもとで可視化した。網状赤血球をRNAの存在に起因する赤色蛍光で判別した。微小核はDNAの存在に起因する緑色蛍光で判別した。次いで、網状赤血球の割合(PCE%)を計算した。網状赤血球細胞の割合の増加によって説明される赤血球の頻度の低下は骨髄毒性を示唆している。微小核を伴う網状赤血球の割合(MNを伴うPCE%)も計算した。MNを伴うPCE%の増加が染色体異常誘発能の尺度である。
初期の結果を決定した後、(1)微小核形成を観察するか、(2)骨髄毒性を観察するか、(3)致死量に至るか、あるいは、(4)用量が5g/kgが投与されるまで用量レベルを増加させて、実験を繰り返した。化合物2,6,17および18のそれぞれを用いたアッセイにおいては、骨髄毒性あるいは微小核形成の兆候のいずれかが見られる前に急性致死量に到達した。その実験結果を上の表20に表した。表から明らかなように、試験した用量でのどの化合物でも骨髄毒性は観察されなかった。それぞれの化合物で処理した網状赤血球の割合の値は陰性対照実験の値に近いままであった。
陽性対照実験に観察される約2〜2.5%PCE/RBCの減少と比べて、骨髄毒性に起因する赤血球の枯渇を表している。どの化合物も染色体異常誘発作用を現さなかった。
実施例 21
実施例13で、本発明の化合物および手法を用いる、無細胞HIVウイルスの不活性化を示している。この実施例は、本発明の化合物を用いてもまた細胞親和性HIVの不活性化を示している。
長期間HIVIIIB感染されたH9細胞を用いた(H9/HTLV−III−B NIH 1983 Cat.#400)。
これらの細胞の培養は、2mMのL−グルタミン、200u/mlのペニシリン、200μg/mlのストレプトマイシンおよび9%ウシ胎児血清(Intergen Company,Purchase,N.Y.)を追加した高グルコースダルベッコ変法イーグル培地で継代した。継代は、週に一度3×10〜4×10細胞/mlの密度へ分割し、分割の約4日後、3.3%の炭酸水素ナトリウムを適宜添加し、培養液を交換した。不活性化の手順で、培地を分割した後3日の細胞を用いた。400g×10分で培養培地を小球形にし、上清を捨て、細胞を1から5日令のヒト血小板濃縮液(PC)(PH7.5〜6.5)へ2×10細胞/mlの濃度になるように再懸濁した。PC感染細胞懸濁物のアリコットは、ソラレン非存在下での暗対照実験、ソラレン非存在下でのUVAのみの対照実験、ソラレン存在下での暗対照実験、および、ソラレン存在下およびUVA実験試料のために調製した。それぞれの水中のソラレンの濃縮フィルター滅菌保存液を最終濃度が150μMになるように適当なアリコットに希釈した(10mMの化合物18の保存液は67倍に希釈し、2mMの化合物2の保存液は13倍に希釈した)。室温で30分平衡化させたのち、0.5mlのそれぞれの暗対照実験を凍結バイアル中に置き−80℃で暗中に貯蔵した。バッグのポリプロピレンポートの1つに連結されたプラスチック製の使い捨て10mlシリンジを経由して、UVA照射のために、8mlのソラレンが非存在のアリコットと8mlのそれぞれのソラレン含むアリコットを、改良Fl20 TeflonTMバッグ(総表面積が92cmに改良されたもの、The West Co.,Phoenixvill,PA)に導入した。これは0.17cmの平均経路長であった。バッグは、4℃に設定された循環冷却水槽(バッグ内をおおよそ22〜25℃に維持する)に連結した、上記実施例1に記述されている装置で、総曝露が3ジュール/cmになるように照射した。曝露中、この装置を血小板振盪機(Helmer Labs,Noblesville,IN)で振盪した。曝露後、バッグの内容物はバッグ上の残りの未使用のポートから新しいシリンジで回収し、分析するまで凍結バイアル中に置き−80℃で暗中に貯蔵した。
貯蔵した試料は37℃で解凍し、以下の改変を伴いつつ、Hanson,C.V.,Crawford−Miksza,L.、およびShepprd,H.W.,J Clin.Micro 28:2030(1990)および上の実施例13に記述されるように、HIVマイクロプラークアッセイで滴定される。各試料からの血ぺいの除去を、塗布の前に実行した。血ぺいの除去後に目標体積の4mlの塗布が望まれるから、過剰の試料(6ml)をポリプロピレンチューブに移し、最終体積が60mlになるようにTestで希釈し、不活性化の手順に由来する対照実験の試料は、50%アッセイ培地と50%の正常ヒトプール血漿で希釈した。試料は直接96ウェルプレート(Corning Glass Works,Corning,N.Y.)にて段階的に希釈した。プレートは振動振盪器で30秒間混合し、1から18時間5% CO雰囲気下37℃でインキュベートした。MT−2細胞(0.025ml)[クローンα−4,これはNational Institutes of Health AIDS Research and Reference Reagent Program,Rockville,Mdから入手可能(カタログ番号237)]は1ウェル当たり80000細胞の濃度になるように、各ウェルに添加した。37℃で5% CO下でさらに1時間のインキュベーションののち、1.6% Sea Plaqueアガロース(FMC Bioproducts,Rockland,maine)を含み38.5℃に前もって温められた0.075mlのアッセイ培地をそれぞれのウェルに添加した。プレートは、いくつかのプレートが蓄えられるまで37℃に2、3分間保たれ、あらかじめ10℃に冷却した遠心器で600×gで,20分間プレート台で遠心機にかけた。遠心器内で、アガロース層のゲル化に先立って細胞単層が形成した。プレートは5日間37℃で5% CO下でインキュベートし、リン酸緩衝化食塩水(pH7.4)中の50μg/mlのヨウ化プロピジウム(Sigma Chemical Co.)0.05mlをそれぞれのウェルへの添加することで染色した。24から48時間後、8000μW/cmの304nm紫外線箱(UV light box)(Fotodyne,Inc.,New Berlin,Wis.)にプレートを置くことで赤色蛍光染色されたマイクロプラークは可視化された。プラークは立体顕微鏡で20倍から25倍の倍率で計数した。
結果は以下の通りであった。化合物2(150μM)は、3ジュール/cmの照射後に、6.7対数を超えるHIV(0対数不活性化の暗対照実験および明対照実験と比較して、対数滴定を6.1プラーク形成単位/mlで開始する)を不活性化した。同一濃度と同一照射時間で化合物18は7.2対数を超えるHIV(0対数の暗対照実験および0.1対数の明対照実験と比較して、開始滴定は6.6)を不活性化した。この実施例は、本発明の化合物が細胞親和性ウイルスの不活性化に効果的であることを支持するものである。
実施例 22
この実施例には、以下のインビトロの血小板機能アッセイ:1)pHの維持、2)血小板凝集(「Agg」)および、3)GMP140発現により測定される通り、新しい合成培地の評価が含まれている。
S2.19,S2.22,S3.0およびS4.0の4種の処方物を調製した。合成培地処方物の組成は以下の表2に示した。
ヒトの血小板に富む血漿(PRP)の一ユニットをSacramento Blood Bankより得た。そのユニットは室温で、6分間4000回転で遠心機にかけ、ユニットプレスに移した。接合した輸送経路を用いて血漿は上記ユニットから圧搾され、残存血漿の約9.4mlを残した。
そのユニットを一時間放置し、その後、血小板を再懸濁するために穏やかに練った。0.6mlの懸濁液へ2.4mlの血漿を添加しその全内容物をTeflonTMミニバッグへ移した。再構成されたユニットには翌日pHや他の試験を施し、以下の結果を得た。
残りのユニットは、光除染して、または光除染せずに血小板を貯蔵するための合成培地を評価するために用いた。上記ユニットからのアリコット(0.8ml)はチューブ中のそれぞれの処方物(3.2ml)へ加えた。3mlのそれぞれの混合物をTeflonTMミニバッグへ移した(最終血漿濃度20%)。
5日後、上述された試験のバッテリーを用いて血小板の機能を評価した。それぞれの合成培地処方物の結果は以下の表3に示した。
GMP140または凝集によって測定する場合、2mMグルコースを含有する合成培地(即ちS2.22)はグルコースを含まない合成培地(即ちS2.19)より良く血小板の機能が保持されていることが明らかとなった。
上の知見を確認するため、これらの処方物と同様に、追加のグルコースの存在しない処方物(3.0および4.0)で実験を繰り返した(「n」は繰り返された実験の回数である)。血小板の機能は貯蔵の前後の両方で試験し、光除染と連結した。結果の要約は以下の表4,5および6に示した。
実施例 23
S−59の血小板への分配の吸着動態に対する効果
先に述べたように、血小板によるS−59の取り込みは、飽和が起こる前に数時間にかけて起こりうる。図25Aは、経時的な血小板によるS−59(C=50μM)の取り込み(上)、および経時的な血小板によるS−59の放出(下)を図的に描写している。上のグラフに示したようにS−59の平衡はおおよそ2時間で到達される。
この実施例は、血小板へのS−59の分配が、吸着動態に対して有意な効果を有するかどうかという問いに向けられている。S−59と共に、吸着に先立って24時間プレインキュベートしたPCの吸着動態はプレインキュベートしないPCの吸着動態と比較された。両方の場合(24時間のプレインキュベートする期間の有無)の吸着の動態は固体吸着剤(Amberlite XAD−4TM;0.1g/3.0ml)を伴う150μM(C)のS−59を打ち込んだ35%のPC(即ち35%が血漿で65%がPAS III)との接触によって決定した。PCの試料は様々な時点で除去し、残りのS−59のレベルを分析した。
図25Bは図的に結果を表現しており、そのデータは四角と実線でプレインキュベートしない吸着データを表し、円と破線でプレインキュベートした吸着データを表している。その結果は、S−59を含む血小板のプレインキュベーションが著しく緩やかなバッチ式吸着を導かないことが示唆された。バッチ式吸着の動態は血小板のソラレンの取り込みによって逆に影響されるように見えない。しかし、流動吸着器は、もっと短い接触時間をしている。図25Aに示されたデータは、血小板の内部からのS−59の輸送は、短い所在時間での機器内でのS−59の除去の主要な限界となり得るということが示唆された。
実施例 24
流動吸着による、照射されたPCおよび照射された血漿に由来する残存S−59及びS−59光化学反応生成物の除去
流動実験は、特別な80μmナイロンメッシュフローアダプターと適合するPharmacia Cカラム(ホウケイ酸ガラス)(Pharmacia Biotech,Inc.,Piscataway,NJ)で行われた。それぞれの実験の前にカラムは滅菌した樹脂で調製し、滅菌したPAS IIIでリンスした。血小板は35%の血漿と65%のPAS III中で150μMのS−59と共に調製し、大きなPL−2410血小板貯蔵バッグ中で3.0J/cmで照射した。照射の次に血小板は、S−59吸着器を通過する前に少なくとも1時間撹拌した。血小板混合物は、流速が正確に制御されうるようにぜん動ポンプでカラムを通して押し出された。血小板ユニットが1つのPL2410バッグから滅菌吸着カラムを通じて別のPL2410バッグに汚染せずに移すことができるように滅菌連結部位を使用した。スクラブされた血小板混合物の試料を、残存S−59および光生成物についてHPLCを用いて分析した。加えて、ユニットはPL2410バッグ中で貯蔵され、貯蔵する間血小板機能を監視した。
図26に示されているデータは、照射した血小板ユニット内の残存レベルのS−59に対する、直径1cmのカラムの流速、粒子経および血小板の効果について要約する。流速の低下はAmberlite XAD−16TM(10g/300ml)での流動吸着のためのS−59の除去量の増加につながった。興味深いことに、Amberlite XAD−16TM(直径250〜850μm)の小さな粒子径型である(120μm)のAmberchrom cg−161TMについて流速依存性は観察されなかった。照射した35%血漿/65%PAS IIIからのS−59の吸着を試験することにより、S−59の除去における血小板の効果を示した。残存S−59のレベルは35%血漿/65%PAS III試料よりずっと小さかった。このことは血小板からのS−59および光化学反応生成物の輸送はS−59吸着に対し主に動力学的に抵抗性であることを示している。図26で、35%血漿、65%PAS III中の血小板には四角で、一方で35%血漿、65%PAS IIIに対するデータは円で示している。三角はAmberchrom cg−161(直径120、ポリスチレン5g/300ml)によるS−59吸着の残存レベルを示唆する。
実施例 25
流動吸着後の血小板の機能
この実施例は血小板の機能の研究及び凝固因子の研究が含まれている。凝固因子の研究は、the UCSF Hematology Laboratory(San Francisco,CA)により実施された。血小板は流動吸着器(Pharmacia Cカラム:Pharmacia Biotech,Inc.,NJ)を通過してPL2410血小板貯蔵バッグに収集された。血小板ユニットは標準的な条件下(血小板が22℃で振盪される)で貯蔵され、3日間の貯蔵後に血小板機能について分析された。吸着剤(10g/300mL)で処置されて2日間PL2410バッグ中で貯蔵された血小板についての血小板機能のデータは、表Eに要約される。
表Eに要約されたデータに加えて、5日間の貯蔵期間を通してpHやpO、pCOの測定が行われた。処理されたユニットと、対照実験のユニットとの差において、重要な違いは観察されなかった。最後に、特筆すべきことは、これらの実験は標準的なAmberliteTM樹脂(すなわちSupelco,Inc.によって処理されなかった樹脂)で行われた。Supelco,Inc.の洗浄プロセスによって除かれる浸出物は、インビトロアッセイで示される通り、血小板機能に対して実質的な影響を与えないように思われる。
実施例 26
バッチ式吸着による、照射されたPCに由来する残存S−59及びS−59光化学反応生成物の除去
バッチ式吸着による、照射されたPCに由来する残存S−59及びS−59光化学反応生成物の除去が調査された。1ユニットの新鮮な血小板(すなわち35%血漿/65%PAS III)は、150μMのH−S−59を注入され、PL2410バッグ(Baxter)に移された。そのバッグは3.0J/cmで照射され、照射されたPCの20mLのアリコットは0.67gの吸着剤Amberlite XAD−4TMまたはAmberlite XAD−16TMが入っているPL2410バッグに移された(10g/300mL)。それらのバッグは、血小板インキュベーターに移された。2つの別個の血小板がそれぞれの吸着剤に対して処理された。一方のユニットは、3時間撹拌され、その後血小板が吸着剤から分離されて別のバッグに移された。もう一方の血小板ユニットは吸着剤と接触してから4日間そのままにされた。試料は、処理前のユニット、吸着剤と接触してから3時間のユニット、4日間おかれたユニットから除去された。
試料は、残存S−59と血小板機能が分析された。S−59除去の結果は、表Fに要約されている。
表Fのデータは、接触してから3時間後であればS−59の光化学反応生成物の吸着はほぼ完了していることを示唆している。36〜37%の吸着されなかった放射能は、血漿高分子(約18%)、血小板高分子(約15%)及びHが入れ替わった水(約10%)に関するカウントに相当する。高分子または水に関する残存放射能(43%)は、4日間処理されていた試料の残存カウントによく一致する。吸着後のPCに見られる、低いレベルの残存放射能は、水に関するカウントに対する高い概算、もしくはS−59と共有結合で会合する血漿高分子の実際の除去のどちらかに起因し得る。
実施例 27
バッチ式吸着による、照射されたPCに由来する残存S−59およびS−59光化学反応生成物の除去
バッチ式吸着による、照射された血小板混合物に由来する残存S−59及びS−59光化学反応生成物の除去の実験がなされているこの実施例は、実施例26から継続している。35%血漿/65%PAS III中に懸濁している1ユニットの新鮮な血小板は、150μMのS−59を注入され、大きなPL2410血小板貯蔵バッグで3.0J/cmで照射した。照射された血小板混合物は、Amberlite XAD−4TM(10g/300mL)と接触させた。
血小板混合物の試料は、様々な時間間隔で除去され、HPLCを用いての残存S−59及び光化学反応生成物についての解析がなされた。
HPLCのプロフィールは、2時間でS−59が検出できないレベルにあり、99%超のS−59が除去されたことを示している。その結果は、図27に図示されている。図27において、四角は「フリー」(すなわちメッシュのエンクロージャー/ポーチを包んでいない)のAmberlite XAD−4TMを含んだ、1ユニットの血小板中のS−59残存レベルを示している。30μmのメッシュのエンクロージャー/ポーチ(スペクトル/メッシュ30μmナイロン,開口部面積=21%)及び60μmのメッシュのエンクロージャー/ポーチ(スペクトル/メッシュ60μmナイロン,開口部面積=45%)によって包まれたAmberlite XAD−4TMを含んだ、ユニット中のS−59の残存レベルは丸と三角でそれぞれ示されている。パーセンテージは照射されていない血小板混合物(150μM S−59)に対しての値で示されている。
実施例 28
照射されたPCのHPLC解析
照射された35%血漿/65%PAS IIIの20mLの試料を、Amberlite XAD−16TM及びHemosorba CH−350TMと4日間接触させた後、HPLC解析に供する研究を実行した。図28Aは、照射された35%血漿/65%PAS IIIの処理されていないもの(すなわち吸着剤なし)(図上)、0.033g/mLのAmberlite XAD−16TMで吸着処理後のもの(図中央)、および0.033g/mLのHemosorba CH−350TMで吸着処理後のもの(図下)のHPLCクロマトグラムの図である。
元のS−59は、どちらの吸着剤のケースもほとんど完全に除去されており、光化学反応生成物はB,D,及びEは微量である。光化学反応生成物Bは、もっとも除去するのが困難なように見えるが、おそらくモル基準で1%未満のもとのS−59を表している。図28.Aの解析によると、注入ピーク(保持時間=3分)の減少が示しているように、Hemosorba CH−350は、光化学反応生成物に加えて化合物も除去するらしいことを示している。故にHemosorba CH−350は、栄養分などの必要な化合物の除去により血小板機能に対する悪影響を潜在的に及ぼし得る。
図28Bは、150μMの照射されていないS−59を含む35%PC(すなわち35%血漿/65%PAS III)(図上)、150μMの照射されたS−59を含むもの(図中央)、300mLあたり10.0gのAmberlite XAD−4TMで処理されたS−59であって、150μMの照射されたS−59を含むもの(図下)のHPLCのクロマトグラムの図である。吸着剤は、30μmナイロンメッシュのエンクロージャー/ポーチの中に含まれていて、接触させる時間は3時間であった。S−59に相当するピークは、照射されていないS−59(図上)および照射されたS−59(図中央)を表すクロマトグラム中で保持時間が約12分の地点に存在する。照射されたS−59(図中央)を表すクロマトグラム中の他のピーク(約3分地点の注入ピークは除く)は、照射中に形成されたS−59の光化学反応生成物に相当する。特筆すべき事は、時間(t)=18分およびt=20分において現れるピークは血漿種であり、S−59とは関係がないことである。下のパネルにおいて残っているピークはS−59の光化学反応生成物ではないことから、S−59及び光化学反応生成物の除去は、HPLCにより示された通り、今回の場合は本質的に完全であった(すなわちHPLCでは検出できなかった)。Amberlite XAD−4TMによって処理されたもののクロマトグラムの解析では、ほとんどのS−59およびS−59光化学反応生成物が吸着されたことを示している。
実施例 29
バッチ式吸着後の血小板の機能
1ユニットの新鮮な血小板(35%血漿/65%PAS III)は、150μMのS−59を注入され、PL2410バッグに移された。バッグが3.0J/cmで照射され、照射されたPCの20mLのアリコットを、0.67gの吸着剤を含んだ小さなPL2410バッグに移された(10g/300mL)。吸着剤としては、Amberlite XAD−4TM、Amberlite XAD−16TM、Amberlite 200及び標準的な活性炭が使われた。小さなポリPL2410バッグは血小板振盪機中にて22℃で貯蔵された。それぞれの吸着剤に対して、2つの別個の血小板ユニットが処理された。それぞれの組の1ユニットは、吸着剤と3時間接触させた後、吸着剤のない血小板バッグに移された。もう一方の血小板ユニットは4日間の保存期間を通して吸着剤と接触させ続けた。
24時間後に試料はユニットから除去され、血小板の数とpHについて分析された。さらに5日後、試料を採り、血小板の数とpH、ならびに、ATP含有量及びGMP−140による活性化についても分析された。対照実験には、PCD処理されていて吸着剤が含まれていないPCの試料(吸着剤の無い対照実験)と処理されなかったPCの試料が含まれた。それぞれの血小板機能アッセイの結果は表Gにある(表Gの「*」は反応時間が3時間であることを示す。)。
表Gに要約されたpHの測定値と血小板の数は、Amberlite樹脂との接触がPCのpH及び血小板の数ともにそれほどの影響を及ぼしていなかったことを示している。活性炭によって処理されたPCは高いpHであったが、炭はPCに対して緩衝効果を及ぼしていた可能性があることを示している。加えて、血小板の数は、活性炭によって処理されたPCについては有意により低い。もっとも敏感なアッセイであるGMP−140は、Amberlite XAD−4とAmberlite XAD−16はともによい血液適合性の特徴を持っていることを示している。Amberlite XAD−4及びAmberlite XAD−16に処理されたPCは、PCD処理された吸着剤のない対照実験に比べて低いレベルの活性化であった。そのうえ、5日間吸着剤と接触させ続けたAmberlite XAD−4及びAmberlite XAD−16の両試料は、3時間だけ接触させた対応する試料に比べ低いレベルの活性であった。Amberlite XAD−4及びAmberlite XAD−16とPCとの接触時間が延びることが、血小板機能に悪影響を及ぼすことはないことをこの観察は示唆している。
逆に、Amberlite 200は、吸着剤のない対照実験と比較して血小板を有意に活性化した。血小板機能の研究は、Amberlite XAD−4およびAmberlite XAD−16は十分な血液適合性の特徴を持っていることを示唆した。
表Hでは、Amberlite XAD−4での同じバッチ式吸着実験から得られる追加のインビトロアッセイについてのデータが示されている。血小板機能に対する悪影響はないことが再度示された。
再度特筆すべき事は、これらの実験は標準的なAmberlite樹脂を使用して行われ、このAmberlite樹脂はSupelco,Inc.によって処理されていないということです。インビトロアッセイで示されているように、Supelco,Inc.の洗浄プロセスによって除かれる浸出物は、血小板機能に対して実質的な影響を及ぼすようではない。
実施例 30
血漿の流動吸着
この実施例では、流動装置を用いた血漿試料からのソラーレンの除去について述べている。血漿中では、吸着というのは血小板からのS−59の輸送に依存しないので、滞留時間は他の血液製剤(例えばPC)ほど重要ではない。
先に特記したように、Supelco,Inc.(Bellefonte,PA)はある種の薬剤や低分子の蛋白質の吸着など多くの目的で使用することができる疎水性の吸着剤を含むカートリッジを販売している。Supelco,Inc.が販売するRezorianTM A161 Cartridge(5mlベッド体積)は、インラインカートリッジ(すなわち流動装置タイプ)で、血漿からのS−59の除去に適している。ポリマー吸着ビーズは平均孔径が120Åで、表面積はおよそ800〜900m/gである。
100%ヒト血漿を用いて2種類の異なった流速2.5mL/min.および5.0mL/min.で研究が行われた。結果を図29にグラフで表している。図29では、S−59を注入した血漿であって、カートリッジの中に注がれた血漿の量の関数として吸着から逃れる(漏出として示している)S−59の割合を示している。この研究は100%血漿中の未照射のS−59(150μM)で行われた。予想どおりに、S−59の吸着が少ないほどカートリッジを流れる流速は高い。
もし、血小板混合物からの除去を行う場合は、フローアダプターが血小板に害を及ぼすので、RezorianTMカートリッジの焼結したプラスチックフローアダプターを適切なフローアダプター(例えば80μmのナイロンメッシュ)に交換しなければならない。
実施例 31
血漿のバッチ式吸着後の凝固因子アッセイ
血漿製剤に使用した吸着剤は、凝固カスケードで重要な蛋白質のレベルを有意に下げることなくソラーレンを除くこともできなければならない。この実施例ではバッチ式吸着実験を行うことによって、および処理した血漿の凝固因子及び凝固時間のレベルを分析することによって、S−59に対する様々な樹脂の選択性を分析した。
100%血漿の1.0mlのアリコットを0.1gの吸着剤に加え、ポリプロピレンチューブに密封した。チューブは室温で3時間穏やかに撹拌した。血漿試料は吸着剤を静置させたままにしておくことによって、または試料を0.2μmのフィルターで濾過して吸着剤を除くことによって得られた。血漿試料の標準凝固アッセイをUCSF Hematology Laboratory(San Francisco,CA)に委託した。行われたアッセイとしてはフィブリノーゲンレベル、第V因子レベル、第VIII因子レベル、第IX因子レベル、活性化部分トロンボプラスチン時間、プロトロンビン時間、トロンビン時間、およびリストセチンレベルが挙げられた。表Iでは血漿アッセイのデータを要約している。図30A〜30Dにおいて、凝固機能のある指標に対するS−59 PCDおよびS−59の除去の影響をグラフで表している。表Iにおいて、「+S−59/+UVA」と表示しているのは、3J/cmの紫外線照射に曝露された150μMのS−59を含む血漿試料から得られたデータを意味し、さらに「PT」はプロトロンビン時間、「aPTT」は活性化部分トロンボプラスチン時間、「TT」はトロンビン時間を示している。
試料は2つのグループに分けて(表Iに分離して結果を示しているように)UCSF Hematology Laboratoryに委託した。各グループの対照実験の血漿試料はS−59およびUVAで処理したが、吸着剤とは接触していない。第V因子、第VIII因子の活性のレベルはS−59での処理前の血漿試料中では抑制された。このことはS−59での処理は原因ではなかったことを示している。Amberlite XAD−4およびHemosorda CH−350は試験されたどのパラメーターにもほとんど影響を及ぼさず、最良の結果を示した。第IX因子のレベルは両方の場合で少しだけ減少した。
Amberlite XAD−16はフィブリノーゲンレベルの減少を示したが、第V因子および第IX因子のレベルはほんの少しだけ減少しただけで、活性化部分トロンボプラスチン時間およびトロンビン時間は少し増加した。Amberlite XAD−16(160Å)における孔サイズの増加が、孔サイズがかなり小さい(40Å)Amberlite XAD−4と比較して凝固因子の吸着が増加した原因でありうる。孔サイズの減少はそれゆえ、S−59のような低分子の吸着に対して特異性を示し、蛋白質のような高分子の吸着を妨げ得る。最後に、BioRadのt−ブチル HIC(Macro−Prep)はほとんど完全に第V因子、第VIII因子を除去し、プロトロンビン時間および活性化部分トロンボプラスチン時間が大幅に増加するというとても残念な結果となった。
凝固因子アッセイに関する実験は、一般的に吸着実験で使用されているよりも血漿に対する吸着剤の割合が高いバッチ式で行われた。さらに、流動装置は、より短い接触時間をもたらし、付随して、凝血形成に関与する蛋白質のより高い回収率を伴うはずである。
実施例 32
Amberlite吸着剤の機能に対する水含有量の影響
先に紹介したように、Amberlite(登録商標)XAD−4およびAmberlite(登録商標)XAD−16吸着剤(Rohm and Haas)は光化学的除染後に輸血用血液製剤(例えば血小板濃縮液[PC]および新鮮凍結血漿[FFP])から化合物を除去し、それらを輸血用血漿製剤として使用しようするのにふさわしくさせる役割がある。実際に、非イオン性マクロ孔質ポリスチレンジビニルベンゼン吸着剤であるAmberlite(登録商標)XAD−4およびAmberlite(登録商標)XAD−16はS−59に対して高い容量を示した。PC除去装置の開発の初期に、創案者らはAmberlite吸着剤の蒸気処理または乾燥はその吸着剤の孔から水分を除去することを発見した。その結果、洗浄した吸着剤は湿潤した吸着剤よりもS−59に対する吸着容量が大幅に低下した。この実施例では、Amberlite吸着剤の吸着容量に対する水分の影響、および吸着剤を湿らせて、処置後に吸着剤の機能を回復させるための条件に対する水分の影響について述べている。
血小板のRDの開発において創案者によって行われた初期の研究では、Rohm & Haasから直接購入したAmberlite吸着剤を使用した。これらの吸着剤は一般的に50〜65%の重量の水分を含んでいるAmberlite(登録商標)XAD−16および約40〜55%の重量の水分を含んでいるAmberlite(登録商標)XAD−4の高水和物の状態で入手した。しかしながら、最近Supelco(Bellefonte,PA)で行われた熱による洗浄プロセスでは、水含有量の減少(5%)およびそれに付随して大幅な吸着容量の低下という結果になった。さらに水和した吸着粒子とは異なり、乾燥吸着粒子はビーズ孔に空気を含み、これは水溶液にビーズが浮く原因となり、これもまた吸着容量の低下という結果をもたらした。
A.RD製造における湿潤手順
Amberlite(登録商標)XAD−4およびAmberlite(登録商標)XAD−16のようなポリマー吸着剤の湿潤は、湿潤している溶液の表面張力を減少させ、吸着剤の湿潤性を高める有機溶媒を使用することによって達成される。このプロセスのための有機溶媒としてエタノールを選択した。湿潤プロセスにおいて調節することができる2つの変数としては、(i)エタノール濃度、および(ii)湿潤溶液との接触時間が挙げられる。吸着剤の湿潤のための望ましい処理時間に基づいて、接触時間は10分間とした。
10分のバッチ手順で湿潤させるために必要とされるエタノール濃度を決定する研究を行った。洗浄したAmberlite(登録商標)XAD−4(Supelco ロットSC−27)およびAmberlite(登録商標)XAD−16(Supelco ロットSC−30)の試料を、0〜50%体積のエタノールを含んだエタノール/水溶液に懸濁した。5mlの湿潤溶液に対して1gの吸着剤の割合で、吸着剤を溶液に接触させた。10分間インキュベートする間に定期的に吸着剤試料を撹拌した。10分後にエタノール溶液を除去し、蒸留水に交換した。蒸留水によるバッチリンス工程を、5mlの水に対して1gの吸着剤の割合で3回連続して(各10分間)行った。次に水を除去し、吸着剤粒子を乾燥させた。
各吸着剤試料の水含有量は、前もって乾燥させ重量を測定しておいた容器(シンチレーションバイアル)内で吸着剤試料の重量を正確に測定することにより決定した。試料を120℃の乾燥したオーブン中に放置し、24時間乾燥させた。乾燥させた試料の重量を測定し、水含有量(mass%)を算出した。注意点としては、24時間以上乾燥させてもそれ以上水分は減少しなかった。
各吸着剤の試料を、平衡吸着容量についても試験を行った。およそ0.1gの吸着剤を量りとり、5mlのポリプロピレンチューブに移した。150μMのH−S−59を含んだ35%血漿,65%PAS IIIの3.0mlのアリコットを各チューブに加えた。チューブを回転機上に放置し、24時間室温でインキュベートした。インキュベートした後、試料をチューブから除去し、エッペンドルフチューブに移した。各エッペンドルフチューブから35%血漿のうちの200μlの試料を除去し、5.0mLのHiSafe LSCカクテル(Wallac)で希釈した。各試料中のS−59の残存レベルを決定するために、Wallac LSCで試料を計測した。乾燥した吸着剤の質量あたりの、各試料から除去されたS−59の全μmol数を決定することによって、容量を算出した。図31には、10分間のバッチ湿潤プロセスでの、湿潤溶液中のエタノール含有量と、得られる吸着剤の吸着容量との関係を示している。吸着容量は35%血漿,65%PAS III溶液からのS−59の除去ついてのものである。容量はC=150μMでの単独吸着測定から見積もられた。
図31に要約している結果から、エタノール濃度が15%(v/v)超のエタノール水溶液でAmberlite吸着剤を湿潤させると、ほぼ最大限に吸着容量が回復することが示唆されている。このデータは10分間のバッチプロセスについて集められたことを注意しておかなければならない。接触時間をもっと長くすれば、さらに低レベルのエタノールを使用することも可能である。さらに、湿潤溶液中での微生物の成長を防止するためには最低20%エタノールが必要であることを強調しておかなければならない。エタノールのコスト、およびその後の水によるリンスによって除去しなければならないエタノールのレベルを減少させるために、極端に高レベルの工タノールは避けなければならないことは明白である。
B.水含有量の関数としての吸着容量
先に述べた湿潤研究で用意された試料はまた、水含有量と吸着容量との関係を決定するために解析することができる。Amberlite(登録商標)XAD−16についての結果は図32に要約している。図32では、水含有量が減少するにつれて、35%血漿,65%PAS III溶液からS−59を除去するためのAmberlite(登録商標)XAD−16の吸着容量(すなわち吸着したS−59のμmol数/乾燥吸着剤1g)は減少することを示している。図32に示しているデータは様々な濃度のエタノール水溶液で吸着剤を湿潤させた後に得られたものである。吸着容量と水含有量の関係は、同じ吸着剤であってもそれに事前に施された処理によって異なることを指摘しておかなければならない(すなわち湿潤または乾燥によって達した水含有量)。
図32で参照しているように、水含有量が質量の50%未満に減少すると、吸着容量は非常に低レベルになる。反対に、水含有量が70〜75%の間では、吸着容量は安定して最大値へと増加する。吸着容量は吸着剤の乾燥質量を基準にして補正されたものであるから、容量の増加は吸着剤の作用の真の変化を反映している。
図32に示している相関関係は注目すべきものであるけれども、水含有量の異なった試料は、吸着剤を異なった条件下で湿潤させることによって得られたものであることを強調することは重要なことである。確証はないが、十分に水和した吸着剤試料を乾燥させることにより水含有量の異なる吸着剤試料を生産すれば、さらに適切なデータが得られうる。吸着剤を湿潤させることによって得られた試料は、吸着ビーズの外表面に高い率の水分を含み得ると思われる。反対に、乾燥させることによって調製された吸着剤はおそらく、最初にビーズの外表面を覆っていた水分が失われていると思われる。すなわち、吸着剤の孔から多くの水分が除去されなくとも、吸着剤の外観の変化をもたらすが吸着容量に影響を及ぼし得ない。室温でのAmberlite吸着剤からの水分減少のおよその割合を示している予備実験のデータは次のセクションで示している。
C.Amberlite吸着剤の使用中の乾燥
先に述べたように、ポリエステルのメッシュポーチは本発明のRDの製造中に、乾燥Amberlite吸着剤で満たされ、超音波またはインパルス溶接によって密封され得る。密封されたポーチは次に、エタノール水溶液中での湿潤プロセス、続いての蒸留水での最終的なリンスに供される。最終的なRDはホイル包装で密封されたPL2410プラスチック容器(Baxter)中に組み入れられる。ホイル包装は液体バリアとして役に立ち、貯蔵中の吸着剤の乾燥を妨げる。製造プロセス中のAmberlite吸着剤の潜在的な乾燥を最も受けやすい期間は、最終的なリンス工程完了からホイル包装でRDを包装するまでの期間である。製造中の吸着剤の乾燥についての可能性をさらに理解するために、室温でのAmberlite吸着剤の乾燥の速度を評価する研究が行われた。
本研究において、Amberlite(登録商標)XAD−16(Supelco ロットSC−30)およびAmberlite(登録商標)XAD−4(Supelco ロットSC−27)の試料を、30%エタノール水溶液中で吸着剤を湿潤させることによって調製した。吸着剤をエタノール水溶液中で10分間のインキュベーション後、蒸留水で完全にリンスした。およそ50gの各吸着剤を、乾燥させ、次にプラスチック容器に入れた。その容器をそのまま室温に放置し、空気流が増加する状態には晒さなかった(例えば、ラミナーフローフード(laminar flow hood))。ある時間間隔で容器から試料を除去し、気密性のポリプロピレンバイアルに入れた。各試料の水含有量は先に述べたように決定した。
Amberlite(登録商標)XAD−4およびAmberlite(登録商標)XAD−16の両方からの水分減少の動態を示しているデータは、図33に表している。特に図33では、室温および標準湿度で27時間インキュベーション中のAmberlite(登録商標)XAD−16(■)およびAmberlite(登録商標)XAD−4(●)からの水分減少を表している。図33の結果から、水分減少はAmberliteを含むRDの製造および貯蔵の両方において考慮されなければならない潜在的な問題であることが示唆される。
実施例 33
ガンマ線による湿潤Amberlite吸着剤の滅菌
先に示したように、本発明における組立後のRDを含む貯蔵容器は、ホイル包装で密封されており、最後に滅菌される。一般的に、ポリスチレンジビニルベンゼン吸着剤は繰り返しのオートクレーブに安定である。しかしながら、ある貯蔵容器(例えばPL2410プラスチック容器(Baxter))はその中に使われている素材のためにオートクレーブすることができないため、望ましくはガンマ線またはEビームによって滅菌されなければならない。
この実施例では湿潤Amberlite吸着剤の滅菌において、ガンマ線またはEビームのどちらが適しているかを決定するために行われた研究の方法と結果を述べている。吸着動態および吸着容量を含む、様々な吸着特性に対する滅菌の効果についてのデータは、以下に示される。
A.吸着動態に対するガンマ線の影響
原料としての(すなわち加工していない)吸着剤はSupelcoによって加工され、次にガンマ線に曝露された。2つに分けられたたくさんの原料としての吸着剤は次に述べる手順に従って、Supelcoによって加工された。まず、1回分の原料としての吸着剤(例えば18リットル)を74μmのふるいのある洗浄容器に入れ、蒸留水でリンスした。リンス中の水流の伝導率は継続的に監視された。リンスは、リンス水流の抵抗が18MΩまで上昇したときに完了させた。次に、1回分の吸着剤(例えば6リットル、1.6kg)から、残留抽出可能物を、専有(Supelco,Inc.)の溶媒を使用しない熱洗浄プロセスによって除去した。その後、吸着剤は梱包され(2Lの褐色ガラス容器)、液体循環式で蒸気滅菌された(20分、121℃)。
この手順の後、吸着剤のビーズは、10%未満の水分を含んだ。30%のエタノール水溶液に10分間懸濁することによって吸着剤を湿潤させた。残留エタノールを除去するために、吸着剤を蒸留水で完全にリンスした。その後、吸着剤試料をガラス容器に入れ、2種類の異なった線量のガンマ線(Isomedix;Morton Grove,IL)、すなわち、単回線量(49.9〜50.7kGy)、倍加線量(112.4〜114.8kGy)に晒した。
照射した試料を、吸着作用について試験した。最初の研究では、未滅菌(すなわちガンマ線に晒していないが加工した)の吸着剤と滅菌済みの吸着剤の吸着動態を比較した。35%同一の血漿,65%PSA III中で調製された、1ユニットの新鮮な血小板濃縮液(4.0×1011血小板/300mL)は、150μMのH−S−59を注入された。吸着剤試料(およそ0.1g)を5mlのポロプロピレンチューブに正確に量り取った。各チューブに、血小板混合物の3.0mlのアリコットを加え、室温で回転機(Barnstead,Thermolyne Model 400110)上に置いた。様々な時点でチューブからPC試料を除去した。放射能レベルは、5.0mlのHiSafe LSCカクテル(Wallac)中の各試料の200μlを計数することによって決定した。残存S−59濃度を測定し、吸着剤の質量あたりの吸着したS−59の量(μmol/g)を、放射能の残りによって測定した。本研究において、吸着剤の質量は吸着剤試料の湿重量に基づいている。
PCからのS−59の除去における吸着動態データは図34A,Bおよび35A,Bに示している。特に、図34、35のデータは、それぞれAmberlite(登録商標)XAD−4(2つのロット、図34AおよびB)およびAmberlite(登録商標)XAD−16(2つのロット、図35AおよびB)による35%血小板濃縮液からのS−59の除去における吸着動態に対するガンマ線による滅菌の影響を表している。先に述べたように、容量(すなわち吸着剤の質量あたりの吸着したS−59の量;μmol/g)は吸着剤の湿重量に基づいて決定された。
全体的に、ガンマ線による滅菌は吸着動態に有意の影響を及ぼさなかった。Amberlite(登録商標)XAD−4の吸着動態に対して、滅菌はほんの少し悪影響を及ぼした。反対に、滅菌したAmberlite(登録商標)XAD−16はAmberlite(登録商標)XAD−16の未滅菌試料と同じぐらい、またはよりよい吸着動態を有するようであった。2種類の吸着剤の比較から、滅菌したAmberlite(登録商標)XAD−16は滅菌したAmberlite(登録商標)XAD−4よりも実質的によりよい吸着動態および吸着容量を示したことが分かった。図に示しているように、Amberlite(登録商標)XAD−16は約120分間のインキュベーションで平衡状態に達したようであったが、Amberlite(登録商標)XAD−4は平衡状態に達するまでに180分超必要であった。計算は吸着剤の湿重量に基づいていることを強調することが重要である。XAD−16は一般的にXAD−4よりも多くの水分を含んでいるので、乾燥重量に基づいた吸着容量は、XAD−16が有意により高い(図32参照)。
Amberlite(登録商標)XAD−16は迅速な吸着動態および比較的高い吸着容量のためにより好ましいAmberlite吸着剤と考えられる。特に、先に述べたように、またこれから述べるように、Dowex(登録商標)XUS−43493は総合的に見ると好ましい吸着剤と現在考えられる。
B.吸着容量に対するガンマ線の影響
各吸着剤の試料はまた、滅菌後の平衡吸着容量についても試験された。およそ0.1gの吸着剤を5mLのポリプロピレンチューブに正確に量り取った。500μMから15μMまでの濃度のH−S−59を含む、35%血漿,65%PSA III中のS−59の希釈系列が調製された。各希釈液の3mlのアリコットを別個のチューブに加えた。チューブを回転機(Barnstead,Thermolyne Model 400110)上に置き、室温で24時間インキュベートした。インキュベートした後、試料を各チューブから除去し、エッペンドルフチューブに移した。35%血漿の200μlの試料を各エッペンドルフチューブから除去し、5.0mlのHiSafe LSCカクテル(Wallac)で希釈した。各試料のS−59の残存レベルを決定するために、Wallac LSCで計数した。湿潤吸着剤の質量あたりの、各試料から除去されたS−59の全μmol数を決定することによって容量を計算した。5および10Mradの線量のガンマ線で処理されたAmberlite(登録商標)XAD−4およびAmberlite(登録商標)XAD−16の吸着容量を表Jに要約している。
表Jのデータに示されているように、Amberlite(登録商標)XAD−4の吸着容量に対するガンマ線の影響は、10Mradまでの線量でさえとても小さい。Amberlite(登録商標)XAD−16の吸着容量にばらつきがあるのは、おそらくあまり重要なことではない。ガンマ線で滅菌したRD中のどちらの吸着剤にも有意な影響を及ぼさないので、吸着容量に対する滅菌の影響は十分に少ない。
C.EビームによるAmberlite吸着剤の滅菌
上記のように、γ線は一般的に好ましい滅菌法として見られている。Amberlite吸着剤の機能に対するEビームの影響は、γ線滅菌について実行された研究と類似した研究で調べられた。その研究の方法と結果は以下に報告している。
この研究では、Amberlite(登録商標)XAD−4、及びXAD−16の試料はエタノール水溶液(30%)で湿潤させ、25mLシンチレーションバイヤルに入れた。さらに、ポリエステルのメッシュポーチ(Saati polyester 29/16,10cm×10cm)に湿らせた吸着剤を10g入れ、開封口を熱で密封することで、模型装置を用意した。この得られた模型除去装置を、小さな切り口からPL2410プラスチック容器(Baxter)の中に導入した。その後、その切り口は、熱で密封することで再び閉じた。
これらの吸着剤試料と模型装置はNIS(San Diego,CA)に提出し、そこで5Mradの線量のEビームに晒された。バイアル中で滅菌した試料は湿潤している必要はなかった。しかし、水分バリアが使用されなかったので、模型装置からの吸着剤試料が貯蔵中に乾燥した。そこで、これらの試料は、模型装置から回収され、機能実験を行う前にエタノール水溶液で湿らせた。35%血漿、65%PAS IIIからS−59を除去するための吸着剤の容量を、前述した通りに調べた。この研究結果を、表Kにまとめた。
表Kに示したデータから示唆されるように、吸着剤単独(「5Mラド−吸着剤」)に対して、またはPL2410プラスチック容器(Baxter)(「5Mラド−模型装置」)に収容されたポリエステルのメッシュポーチの中に保たれた吸着剤に対して滅菌を行った場合、5MradのEビーム照射による滅菌吸着剤の機能に対して有意な影響を及ぼさなかった。
実施例 34
S−59吸着定数、及び、吸着剤の機能に対する水含有量の影響
以前の実施例では、Amberlite(登録商標)XAD−4、及び、XAD−16の機能に対する水含有量の影響に特に視点が向けられていた。この実施例では、湿潤状態、及び、乾燥状態の両方について、数種の追加の吸着剤についてのS−59吸着定数を比較する。
吸着剤の試料は、蒸留水で徹底的にリンスした。次いで、それぞれの試料の一部は、120℃で4時間、乾燥オーブンに置き、乾燥した吸着剤試料を得た。それぞれの吸着剤の水含有量は、湿潤状態、および、乾燥状態の両方で、前もって乾燥させて重量のはかってある容器(シンチレーションバイアル)中に吸着剤試料を入れ、正確に吸着剤試料の重量を量ることによって決定した。試料は、120℃24時間で乾燥させ、再び減少した水の質量を決定するために、重量を測定した。次いで、質量%で水含有量を算出した。
それぞれの吸着剤の試料は平衡吸着容量についても試験した。前述したように、平衡吸着容量は、特定の樹脂が吸着することのできるソラレンの量を意味する。つまり、平衡に達した後は、残存したソラレンの量に対する吸着されたソラレンの量は、本質的に変化しない。24時間インキュベーションで、平衡状態ができることが以前に示された。
吸着剤(約0.1g)を量りとり、5mlのポリプロピレンのチューブに移した。150μMのH−S−59を含む35%の血漿、65%PAS IIIの3.0mLのアリコットをそれぞれのチューブに加えた。そのチューブを回転機に置き、24時間室温でインキュベートした。インキュベートした後、試料をそれぞれのチューブから除去し、エッペンドルフチューブに移した。35%の血漿の試料200μLをエッペンドルフチューブから取り除き、5.0mLのHiSafe LSCカクテル(Wallac)で希釈した。試料をWallac LSCで計数することによって、それぞれの試料中のS−59の残存レベルを決定した。容量は、乾燥吸着剤の質量あたりの、それぞれの試料から除去されたS−59の全μmol数を決定することによって、算出した。その結果を図36に示し、湿潤状態(深い陰)と乾燥状態(明るい陰)(各試料中の水の量をパーセンテージで示した)における吸着剤のS−59吸着定数を棒グラフが示し、表Lにまとめた。(150μMのS−59=61754.725 DPM;バックグラウンド30 DPM;C=S−59の最終平衡溶液濃度)
実施例 35
発明の説明のセクションではRDの製造プロセスや貯蔵容器への取り込みの一般的な特徴を述べた。この実施例では、好ましいバッチ式RDの明確な特性、及び、バッチ式RDのための好ましい製造プロセス、そして、貯蔵容器への取り込み法を説明する。
ある。Supelco,Inc.は、赤外線分光器を用いて、洗浄されていない吸着剤を同定した後、低レベルの抽出可能物や微粒子を確保するために、その吸着剤をさらに加工した。そのプロセスの第一工程として、微粒子や塩を蒸留水で吸着剤を徹底的にリンスすることで除去する。一回分の吸着剤(例えば、2.0kg)は、このリンスプロセスの間に孔径74μmのふるい保持器に入れた(すなわち、このプロセスは、直径約74μm以上の粒子を保持することができる)。そのプロセスの第二工程は、専有の溶媒を使用しない熱洗浄プロセスによって残存抽出可能物を除去することを包含する。もし必要なら、洗浄した吸着剤は、RD製造部に発送する前に、大きなバッグに包装し、蒸気滅菌することもできる。
(>90%)、及び、ふるい分析による粒子サイズ制限(<2%が16メッシュで保持されるもの;<3%が50メッシュで通過するもの)の詳細を記した分析証明書を伴っている。Supelco,Inc.洗浄プロセスに供された吸着剤は、ジビニルベンゼン(例えば、<50ppb、1:1=イソプロパノール:吸着剤;22℃で2時間抽出)やエチルビニルベンゼンのような潜在的な抽出可能物を監視している。加えて、塩化メチレン抽出物のGC分析は全クロマトグラフ的有機物(Total Chromatographic Organics)(例えば、<20μg/mL全抽出可能物)を評価するために用いられている。
洗浄した吸着剤についても、追加的に試験が行われた。例えば、エンドトキシンのレベルを、Limulus Amaebocyte Lysis(LAL)試験を用いて決定した。水含有量(例えば、乾燥による質量の減少度=最高10%、最低5%)と同様に粒子のサイズ分布(例えば、直径90μm未満が<0.01%;直径1400μm超が<2.0%)も、吸着剤の各バッチについて測定した。最後に、吸着剤の各バッチの機能特性を、血清アルブミンを含む緩衝食塩液中のHでラベルしたS−59を用いて、S−59吸着アッセイを行うことによって評価した。
メッシュポーチとポートフィルター
図37は血小板貯蔵容器(例えば、PL2410プラスチック容器,Baxter)内に備えられる好ましいバッチ式RDを図式化したものである。加えて、図38のフローチャートでは、組み立てたRDとフィルターポートを血小板貯蔵容器内に組み込む工程を含む、血小板貯蔵容器内に備えられるバッチ式RDの好ましい製造プロセスの初期工程を図に表した。それらの図を参照することが後に続く論述を理解する助けになる。
ポリエステルのメッシュポーチとポートフィルターは、同じ技術を用いて製造された(下記のように)。メッシュポーチは吸着剤を密封するために用いられ、それによって、後に受容者に吸着剤が移入するのを妨げている。ポートフィルターは小さな粒子が移入することから守る予備の仕組みとして働いている;血小板貯蔵容器を出入りする溶液はポートフィルターを通過しなければならない。ポリエステルのメッシュポーチ、及び、ポートフィルターは共に、孔径30μmの穴のある医療用の織られたポリエステル(例えば、Baxter製の、PL1144プラスチックと呼ばれるTetko Medifab 07−30/21)を利用している。30μmのメッシュ孔径は、血漿/PAS混合物は自由に吸着剤と接触することができるが、小さな粒子が移入することを妨げるのに大きな安全域を提供する。血小板は実際には吸着剤と接触する必要はないが、残存ソラレンとソラレン光化学反応生成物を除去する目的で、吸着剤に沿って溶液が自由に通過するようにしている。
メッシュポーチとポートフィルターの製造のために、ロールから一片のメッシュを縦に折り畳み、インパルスシーラーで横を密封する。インパルスシーラーは、密封する一方で同時に、そのシールの中央でメッシュを切り取る。その結果、長方形のポケットになり、この長方形のポケットは、i)折り畳まれた下方末端、ii)ヒートシールされた2つの縁部、およびiii)開口している上側縁部を備えている。
そのポケットの幅、および二つのヒートシール間の距離に依存して、ポケットはポートフィルター、または、吸着剤を含むメッシュポーチ(すなわち、RD)のいずれかになる。例えば、本発明の一実施態様ではメッシュ材料の切り口を約76mmの幅にしてポートフィルターとして、また約154mmの幅にしてRDポーチとして利用する。
メッシュの小さなポケットはポートフィルター401になる。ポートフィルターは流入口/流出口ライン403をプラスチック容器に付けるために用いられるブッシング402(すなわち、ポートブッシング)に接続された。プラスチック容器は、ポートフィルター401上でPL2410プラスチック(Baxter)の2個の積み重ね(すなわち、2つの層)を高周波溶接することにより形成される。PL2410プラスチック容器(Baxter)の後ろは、RDを挿入するために、開いたままになっている。その後、流入口/流出口ライン(すなわち、ドナーリード線(doner lead))403はポートブッシング402に、溶剤(例えば、シクロヘキサン)を用いて結合させ、後の工程で粒子が混入しないように、端を密封した。
メッシュの大きなポケットは、RDを作製するのに用いられる。簡潔には、上記のように作製したポリエステルのメッシュポーチ404(例えば、一辺の長さが5cmの正方形、または円形)を、まだ密封していない4番目の縁部を通して、吸着剤のビーズ405(例えば、2.5±0.1g乾燥重量)で、満たした。満たされるメッシュポーチを、固定具で保持し、充填システムの方に動かした(示さず)。本発明は如何なる適切な充填システム(例えば、振動性充填システム)の使用を企図する。吸着剤を分配するためにオーガーを用いる充填システムもまた利用できるが、充填システムが機械的な劣化を引き起こし得るので好ましくない。充填システムは典型的に釣り合いを取るものと、振動供給装置とコントローラーから成る。次いで、メッシュポーチの開口縁部はヒートシーラーで密封される。その後、メッシュポーチは、「イオン化した空気シャワー」に晒されるか、RDの外側表面から自由な粒子を除去するために減圧状態に晒され、重量が量られ、そして、固定されていない粒子や欠陥が調べられる。もちろん、メッシュポーチを充填する任意の精密な手段を好ましい実施態様と合わせて、用いることができる。
血小板貯蔵容器内に備えられたバッチ式RD
RDは単一ドナーリード線403を装備したPL2410プラスチック容器(Baxter)406の中に置く(図37)。同定ラベル408を取り付けるためのフラップ(flap)を後に提供する長方形の部分407を作り出すために最後に底面を密封した。RDを収容する完全に組み立てられた容器は、好ましい実施態様では使い捨てであり、視覚的に検査され、ドナーリード線を通して圧縮した空気を送り込むことで漏出試験を行った。
その後、血小板貯蔵容器406は容器内の残存空気を除去するために空気を抜かれ、ドナーリード線がヒートシールされ、真空密封されたホイルポーチのなかに入れた。
真空状態での容器の貯蔵は、血小板の混合物とRDが最初に接触する際の泡の形成(すなわち、ガス発生/発泡)を排除するのに役立つ。最後に、ホイルポーチの中に入れられたアセンブリを、輸送箱に入れる。次いで、包装した箱は滅菌保証水準(Sterilization Assurance Level)(SAL)の10−6(すなわち、10−6未満の微生物が、γ線照射の後に存在する)を達成するのに十分な線量でのγ線照射によって滅菌する。
好ましい実施態様の主な部品は、表Mに表した。
本発明における好ましい実施態様において、血小板貯蔵容器(または、他の容器、もしくはバッグ)内にRDを配置することも含まれる一方、本発明はまた、吸着剤が血小板貯蔵容器内で固定されていないという実施態様も企図している。前述した設計図と全体的に同じ型の設計図であるが、ただメッシュポーチのない設計図が、代用の実施様態で用いられうる。特に、固定されていない吸着剤は血小板貯蔵容器406内で、ポートフィルター401によって保持されている。このように、ポートフィルター401は、図37に描いた実施態様においては第二の防御法として(すなわち、吸着剤粒子の漏出を防ぐように)働いているが、代用の実施様態においては、吸着剤を含むメッシュポーチがないので、第一の防御法として働いている。必要ならば、大集塊用フィルター(もしくは類似したフィルター)409は流入口/流出口ライン403に組み入れることもできる;そのようなフィルターは、ポートフィルター401が保持し損なうに違いない場合、粒子を保持することで、第二の防御手段として働くであろう。
代用の実施態様には吸着剤を含むメッシュバッグを利用する実施態様よりもいくつかの利点がある。例えば、メッシュバッグへの血小板の付着が避けられ、それゆえ、もたらされる血小板が増加する。類似して、流体付着のための表面が少ないので、体積減少も少なくなるに違いない。加えて、この実施態様はメッシュポーチ内にガスが詰まる問題も除かれる。逆に、メッシュポーチがないと、代用の実施態様は吸着剤粒子や他の汚染物質の後の不慮の注入をさける主な機構が全くない。
本発明は、血液製剤貯蔵容器内の吸着剤粒子/ビーズを固定するための他
離に並んだ粒子と共に繊維の3次元網を含む濾過システムを作製するために、繊維網中に組み込まれ得る。繊維網はそれから、血小板貯蔵容器内に入れる。繊維は血液と接触する装置での使用において建設的な歴史を持っていることから、ポリエステルから構成されることが好ましい。付着性プロセス、もしくは付着性のないプロセスは、繊維網に吸着剤を固定するのに利用され得る(Hoechst Celanese,Charlotte,NC)。均一な繊維網は表面積あたりの吸着剤の公知の量で作製され得ることが企図されている;この均一性に起因して、適当な量の吸着剤を、単に繊維網の所定の領域を切り取ることで測定し得る(すなわち、吸着剤の重さを量っていない)。このように、この実施態様は、RDの必要性もない。
実施例 36
Dowex(登録商標)XUS−43493を含むRDを用いた還元後の残存S−59およびS−59光化学反応生成物のHPLC解析
先に示したように、S−59を含むPCへのUVA照射により生じた光化学反応生成物はHPLCアッセイを用いることにより監視し得る。本実施例では最初に、光照射中に形成される光化学反応生成物のあらましを提供する。その後、この実施例は、Dowex(登録商標)XUS−43493を含むRDの還元特性を例証する。
A.残存S−59およびS−59光化学反応生成物の特性
光化学的処理のプロセスは、S−59(例えば15.2mg)を約300mlの35%血漿/65%PAS III中に懸濁した血小板(約4.0×1011)へ添加することが含まれる。その後、UVA光により光照射を行う間に、S−59はPC中で光化学反応生成物に変換される。その光化学反応生成物は透析実験(スキームA参照)に基づいて、結合するか、結合しないかで分類され得る。結合していない光化学反応生成物は標準的なHPLCアッセイにより監視、定量され得る。
下記の実施例39に示される一般的手順に従ってHPLC解析のために、試料を調製した。簡単にまとめると、解析を行うために、血小板を溶解させ、S−59および光化学反応生成物を溶解させた、初期試料の調製を行った。次いで、試料調製物の上清は、C−18逆相カラムにより、KHPO緩衝液中のメタノール濃度を増加させる濃度勾配を用いて解析した。主要なピークは光学吸光度で検出した。
図39は、PC(35%血漿/65%PAS III,150μMのS−59[15.2mg/300mL]中で3.0J/cmのUVA(320〜400nm)照射後に形成された、S−5−59およびS−59光化学反応生成物の代表的なHPLCクロマトグラムを示したものである。図39については、縦座標は300nmの光学密度(OD)であり、一方横座標は時間を示している;「PPs」で示されるピークはS−59を含まない血漿のHPLCクロマトグラムにおける血漿ピークであり、「TMP」で示されるピークは、内部標準として使用した4,5’,8−トリメチルソラレンのピークを意味する。
図39には7本の主要ピークが観察され、それぞれピークA〜Gと名付けた。残存S−59はピークFであり、ピークA〜EおよびGは、他の光化学反応生成物を表している。UVAで処理した血小板混合物において、残存S−59の量は再現性があり、このことからUVAの送達を監視するための線量計として使用し得る。S−59光化学反応生成物のそれぞれはまた、再現性のある量で形成される。
本発明をうまく利用するには、正確なメカニズムや光化学反応生成物が公知である必要はないが、S−59の二量体化が光化学的崩壊の基本様式であると言われている。光照射した溶液から2つの主要な光化学反応生成物(図39のHPLCクロマトグラムではピークDおよびE)を単離し、それらの構造をGC/MSおよびNMR解析により決定し、その結果を図40に示す。図40に示されるように、ピークDはS−59のヘテロ二量体で、ピークEはS−59のホモ二量体である(本明細中、今後「光化学反応生成物D及びE」とする);残りの光化学反応生成物の構造は不明である。
先に示したように、PCへ加えられたS−59のおよそ25%を、血小板へ分配する(実際の量は、血小板数による)。血小板によるS−59の取り込みは、血小板内の、かなり高い濃度のS−59をもたらす。さらに、二量体化は生体分子反応であるため、光化学的処理の間に形成される二量体(ピークDおよびピークEで示される)の収量は、血小板に取り込まれるのと同様に増加する。このように、効果的なRDは、S−59および光化学反応生成物DおよびEを血小板内部から取り除けるように設計を行う必要がある。
B.Dowex(登録商標)XUS−43493含むRDの還元特性
上記に示したように、光照射後、S−59の最初の15.2mgの約74%は残存および非結合S−59光化学反応生成物として存在する。吸着の研究により、RDとともに光照射およびインキュベートしたPCから、S−59の初期の15.2mgの99%超を除去されることが示された。このセクションでは、S−59および結合していない光化学反応生成物の除去動態と、Dowex(登録商標)XUS−43493を用いたRD処理後のS−59の最終レベルを示す。
15.2mgのS−59を加えたPCを3.0J/cmのUVAを照射し、処理したPCをRD(PL2410プラスチック容器(Baxter)内に備えられている)とともに8時間インキュベートした。次いで、残存S−59およびS−59光化学反応生成物を検出するために、処理したPCの試料を取り、HPLCに供した。インキュベーション後の光化学反応生成物D,EおよびF(S−59)のレベルを表Nに示した;光化学反応生成物A,B,CおよびGはHPLCでは検出されなかった。残存光化学反応生成物のレベルは、6つの独立した、光化学的処理およびRD処理した血小板ユニットから得られた平均値である。HPLCアッセイでの定量限界値(LOQ)は、S−59で0.3μMであった。
図41には、RDで8時間インキュベートする前およびした後の、S−59および結合していない光化学反応生成物のレベルを示すPCの代表的HPLCクロマトグラフを示した。図41のクロマトグラフに、150μMのS−59(15.2mg/300mL)を含むPCについて、UVAを照射する前のもの(上)、UVAでの照射後のもの(中)、およびUVAを照射した後、RDでインキュベートしたもの(下)を示した。縦座標はHPLC検出器により測定された、300nmでの光学密度であり、横座標は分で示した時間である。
上記で示したデータにより、光照射後のPCにおいて、DおよびEの初期のレベルがS−59よりかなり少なくても、光化学反応生成物DおよびEは残存S−59のレベルよりも高いということが示された。光照射したPCから、残存S−59および光化学反応生成物DおよびEの除去について動態を調べることで、この観察結果をより簡単に理解し得る。本研究では、PCの試料を、8時間処理が完了する前にさまざまな時点でRDを収容しているPL2410プラスチック容器からPCの試料を取り除いた。結合していない光化学反応生成物について、上記のHPLCアッセイを用いて、PCを評価し、このHPLCアッセイは、血小板内部に存在する光化学反応生成物および血漿/PAS III混合物に存在する光化学反応生成物の両方を定量する。図42で示される結果では、完全なPCから光化学反応生成物D,EおよびS−59の除去動態を示した。光化学反応生成物DおよびEは平衡レベルに達したように見えるが、S−59はほとんど完全に取り除かれる。
完全なPCを評価することに加え、血漿/PAS III中の、結合していない光化学反応生成物を分離して解析し得るように、試料を遠心分離機にかけることで血小板を除いた。図43に示した結果では、全ての光化学反応生成物は比較的迅速に血漿/PAS III区画から取り除かれることが示されている。本発明を実施するために、光化学反応生成物の除去に影響を与える因子を正確に理解することは必要ではないが、結果より、光化学反応生成物DおよびEの除去は、血小板内部から血漿/PAS III区画への輸送により、動力学的に限定されることが示唆される。S−59よりも光化学反応生成物DおよびEを取り除くことは困難である原因は、光化学反応生成物DおよびEは電荷を持つアミノ基を2個持ち、これらのアミノ基は血小板膜を通過するときに中和される必要があるが、S−59は電荷を持つアミノ基を1つしか持たないためであり得る。
血小板内部から光化学反応生成物DおよびEを取り除くことに対する動力学的限界は、好ましい実施態様は流動プロセスよりむしろバッチ式接触プロセスを含むことを示唆する。
すなわち、樹脂との利用可能なインキュベーション時間を制限する血液保存手順により課される実用限界から考えれば、バッチ式RDを使用することにより、実現可能なレベルまで光化学反応生成物DおよびEが血小板内部から激減することを可能にするのに充分な時間が提供される。
実施例 37
Dowex(登録商標)XUS−43493を用いたバッチ式RD処理後のインビトロでの血小板機能試験
本実施例ではインビトロにおいて、光化学的処理、8時間のRD処理(Dowex(登録商標)XUS−43493)および貯蔵(PL2410プラスチック容器,Baxter社)に供したPCの血小板機能試験を示している。光化学的処理およびRD処理に供した血小板混合物の試験結果と、光化学的処理のみに供した同一の血小板混合物のものを比較した。以下に詳細に示すように、パラメーターそれぞれを1、5および7日について評価した;血小板を5日間貯蔵後、処理した血小板製剤と、処理しなかった血小板製剤は、類似のインビトロでの機能を実証した。
ABOが一致している単一のドナーからの2つのPCであって、約300mLの35%血漿および65%PAS III中に2×1011〜5×1011の血小板を含むPCを集め、これをPL2410プラスチック容器(Baxter)の2つの同一のユニットに再分配した。1ユニット(対照実験)は、直ちに血小板振盪機に置き、およそ22℃で貯蔵した。もう一方のユニット(試験)は150μMのS−59および3ジュール/cmのUVAで処理した。処理後、血小板懸濁液を、RDを含む第2のPL2410プラスチック容器に移した。血小板とRDをおよそ8時間接触させ、その後血小板懸濁液を新しいPL2410プラスチック容器に貯蔵のために移した。献血して頂いた時を第0日とした。S−59、UVA(320〜400nm)およびRDでの処理を第1日に行った。6回実験を繰り返し、いずれの場合でも、ABOが一致している単一のドナーからの2つの血小板濃縮液の異なる貯蔵液を使用した。
インビトロにおける血小板機能を評価するために、第2、5および7日において処理前、および処理後に分けて、対照実験および試験ユニットの両方から血小板試料を取り出した。以下のパラメーターつまり;pH、pO、pCO、重炭酸塩濃度、血小板数、形態、凝集、血小板の形状変化、低浸透圧ショック応答、ラクテートの形成、グルコースの消費、ATPの分泌、P−セレクチンの発現、および微小胞の形成について解析を行った。pH、形態スコア、血小板の形状変化および低浸透圧ショック応答などを含む、これらのアッセイのいくらかは、インビボにおける輸血後の回復および生存と相関するという文献報告がある。統計的な解析には、スチューデント対応t検定を利用した。
S−59の濃度を減少させるRDの効果を評価するために、試験ユニットの血小板試料をS−59含有量についてHPLCにより解析した。3ジュール/cmでの照射前の試料、照射後の試料および8時間のRD処理をした直後の試料を解析した。
結果を表Oおよび表Pに示す。表Oおよび表Pでの「ID」は、試料が試験ユニット(例「T」)あるいは対照実験(例「C」)かどうかを意味し、「*」は試験の血小板と対照実験の血小板の間でp≦0.05であることを示し、「n.d.」は測定が行われなかったことを示している。血小板数を測定するため、対照実験ユニットの体積は、対となる試験ユニットに対しておよそ5%少なくしてある;したがって、統計的に解析するために、試験ユニットのμL当たりの血小板数を、1.05のファクターにより調節した。処理後に7日間貯蔵する間、処理した血小板のpHを6.91±0.05に維持した。
この結果は、光化学的処理後に本発明のRDで処理することにより、血小板は悪影響を受けなかったということを示している。貯蔵した7日間にわたって、試験した血小板および対照実験の血小板の間で、血小板数、血小板の凝集、分泌性アデノシン3リン酸(ATP)および微小胞の形成について、統計的に有意な差はなかった(p>0.05)。血小板の形態および血小板の形状変化の測定では、試験した血小板において、経時的に統計的に有意な(p≦0.05)改善が示された。処理後の血小板について、pO、pCO、HCO 、血漿グルコースおよびラクテートの生産における統計的に有意な差(p≦0.05)は、代謝の緩徐化を示唆しており、この処理後の血小板は血小板の性質に悪影響を及ぼさなかったようである。第2日における低浸透圧ショック応答(HSR)、および第2および5日のP−セレクチン発現において、統計的に有意な差が検出された。
UVA照射前および後のS−59濃度、およびRD処理後の残存S−59濃度の減少をHPLC解析により測定した。0ジュール/cmでの照射の血小板濃縮液中の初期のS−59濃度は、およそ145±10μMであった。3ジュール/cmでの照射後では、初期のS−59の20.5%±2.3%が反応せず残った(表Q)。表Qの「n.a.」は、「適用外」および「n.d.」は「行っていない」を示している。残存S−59濃度は、RDで8時間処理することにより0.27±0.05μMまで減少した。このS−59における減少レベルは、およそ100倍であった。
これらの結果より、150μMのS−59および3ジュール/cmでのUVAの照射、およびRDで8時間処理することによるS−59の消耗後の、インビトロにおける血小板機能は、貯蔵した7日間、十分に維持されていた。
本研究で得た試験血小板についてのインビトロで測定した血小板機能の値は、初期の研究においてRDへ曝露することなく光化学的に処理した血小板について得られた値と同等である(結果は示さない)。一般ボランティアの人達について、光化学的に処理した血小板を評価すると、通常のインビボにおける回復と寿命を示してきた。これらのインビトロの研究に基づけば、RDによる処理は、インビボでの血小板の機能に対して付加的な効果を有するとは予想されない。
RDによる8時間の処理後、S−59濃度の100倍の減少が達成された。残存S−59の濃度は≦0.3μMに減少した。これらの結果は、血小板濃縮液に対する光化学的処理プロセスにRDを組み込むことで、患者がS−59に晒されることを効果的に減少させる実行可能な手段、ならびにこうして血小板輸血の安全域の向上が提供されることを示唆する。
実施例 38
バッチ式除去装置を用いた、新鮮凍結血漿からのソラレンの除去
Dowex(登録商標)吸着剤を含むバッチ式RDを用いた、血小板濃縮液からのソラレン除去を、前出のいくつかの例で示した。本実施例では、Dowex(登録商標)XUS43493(商品名Optipore(登録商標)L493としても知られる)を含むRDを用いた、新鮮凍結血漿(FFP)の実験について示す。本実験では、i)S−59を好ましいレベルまで除くために必要な吸着剤の量、ならびに、ii)凝固因子活性に対する、i)で決定された吸着剤の質量の影響について評価する。
以下に、詳細に示されるように、本実施例の実験の基本プロトコルは、血小板で行った実験と似ている。しかしながら、大変短い処理時間、例えば1時間が望ましいため、多量の吸着剤(および吸着剤を収容するためのより大きなメッシュポーチ)が使用された。凝固因子は室温にある場合継時的に分解し得るため、新鮮凍結血漿はすばやく加工されるのが好ましい。
A.S−59の除去動態と凝固因子活性の保持に対する吸着剤の質量の影響
毒物学的試験の結果(示していない)に基づけば、光化学的処理および除去装置(RD)による処理後の、S−59の好ましい残存レベルは5μM未満であり、好ましいのは1μM未満であり、最も好ましいのは0.75μM以下である。加えて、室温での血漿の取り扱いについて書かれている現在のFDAによる制限により、2時間より少なく、好ましくはおよそ1時間で≦0.75μMの望ましいレベルを達成することが好ましい。
これらを達成するために、以下の実験を行った。
それぞれが250〜325mLを含む、7つの新鮮な血漿ユニットを集め、250mLの血漿に分けた。それぞれの250mLの血漿をPL2410プラスチック溶液(Baxter)に加え、さらにある量のS−59溶液を、S−59の最終濃度が150μMになるように各容器に加えた。続いて、光化学的処理を行うために、容器をUltraviolet Illumination System(Steritech,Inc.およびBaxter Healthcare Corp.,Fenwal Division)の中に置き、光照射(3J/cmの長波長UVA(320〜400nm))した。
その後、各容器の血漿/S−59溶液を、RDと5,10,15あるいは20gの乾燥Dowex(登録商標)XUS 43493を30μmポリエステルメッシュの12cm×12cmポーチ内に含むRDを収容する別個のPL2410プラスチック容器(Baxter)に移した。
そして、容器を室温で振とうしながらインキュベートした。光照射前および1時間および8時間の光照射後に、それぞれの容器より試料を取り出した。これらの試料を−80℃で次の解析のために貯蔵した。
1時間インキュベートした後の各バッグから得た試料を、S−59および光化学反応生成物の除去について解析した。残存S−59および、光化学反応生成物DおよびE(上述したように、光照射を行う間に形成される2つの初期光化学反応生成物)に対する結果(n=7)を表Rに示した(ND=検出できない;1時間インキュベーション)。
RDと共に8時間インキュベートした後の、それぞれのバッグより得た試料を、凝固因子活性について解析した。異なった質量の吸着剤を含むRDを用いた結果(n=7)を表Sに示した(8時間インキュベーション)。
B.S−59の除去動態及び12.5gの吸着剤を含むRDを用いる血液凝固因子活性の維持
9及び光化学反応生成物を除去し、かつ血液凝固因子活性を維持するのに好ましい量であるように、バッグの大きさ、血漿の量、選択されたS−59の濃度、および所望される1時間の制限を考慮して決定した。このセクションでは、除去動態および12.5gの吸着剤を含むRDを用いる血液凝固因子活性の維持を評価するための実験について述べる。
実験は上述した方法で行った。残存S−59および光化学反応生成物ならびに血液凝固因子活性の解析を行うために照射前および照射後に各容器から取り出された試料は−80℃で貯蔵された。
一時間インキュベーション後に採取された試料から得られた残存S−59と光化学反応生成物D及びEの結果(n=7)は表Tに示している。表Tが示唆するようにRDは望む除去レベルに達していた(約一時間で残存S−59≦0.75μM)(ND=検出不能;一時間インキュベーション)。
RDと共に2時間インキュベートした後の血液凝固因子活性の結果(n=7)は表Uに示している。
結果から示唆されるように、プロトロンビン時間、部分トロンボプラスチン時間および第V因子に対する影響は、例えあるとしても少なかった。そのうえ、他の血液凝固因子に対する活性の低下は許容できるものであった。これらの結果
る。試験された条件下では、10gを超えることが望まれ、12.5gがより好ましい。
実施例 39
吸着作用に対するソラレンの構造的特徴の影響
これまでの実験のいくつかは、バッチ式装置および流動装置の両方による血小板濃縮液からのS−59の除去について論議した。この実施例では、ソラレンのどのような構造的特徴が、バッチ式吸着の間のアンバーライト吸着剤によるソラレンの除去に影響を与えて得るかについての決定を伴う。
つぎに示す3種類の構造の異なるソラレンをこの実施例での実験に用いた:ソラレンA、第4級アミンを有するソラレン[4’−(トリエチルアミノ)メチル−4,5’,8−トリメチルソラレン];ソラレンB、荷電していない臭素化ソラレン[5−ブロモ−8−メトキシソラレン];ソラレンC、正に荷電した臭素化ソラレン[5−ブロモ−8−(ジエチルアミノプロピルオキシ)−ソラレン]。これらソラレンの化学構造式は図44に示している;図44ではBrが対イオンとして描かれているが、一般的にはClが対イオンである。吸着作用に関する研究のために、これらのソラレンをAmberliteのイオン性および非イオン性吸着剤と組み合わせた。より明確に述べると、3種類の非イオン性ポリスチレン吸着
を使用した。
これらの吸着剤の特徴の一部は、前に表Aとして示した。
この実施例で、血小板濃縮液は、35%血漿/65%PAS IIIの混合物中に300mLあたり4.0×1011個の血小板を含んだ。それぞれのソラレン(つまり、ソラレンA、BおよびC)の保存液(15mM)をDMSOで調製した。それから、300μMから10μMの範囲の濃度で、PCで各ソラレンの段階希釈物を調製した;つぎに行う計算の目的のために、初期濃度をCとする。その後、対照実験試料と試験試料はHPLC分析用に調製された。それぞれの希釈物の3.0mLのアリコットを、0.1gの吸着剤を含む5mLポリプロピレンチューブに加えることにより、試験試料を調製した;対照実験試料は、吸着剤が省かれことを除いて、類似の方法で調製した。試験試料および対照実験試料をミキサー(Barnstead,Thermolyne Model 400110)上で、22℃で6時間、穏やかに回転させてインキュベーションを行った。
このインキュベーションは、先に行ったS−59を用いた平衡の研究に基づく、吸着したソラレンと遊離のソラレンとの間の完全な平衡をもたらした。
吸着に関するデータは試験試料と対照実験試料についてのHPLC解析から得られた。具体的には、試料体積200μlのPCをインキュベーション期間後に各チューブから取り除いた(吸着剤粒子が試験試料と共に除去されることがないことを保証するために特別な注意が払われた)。各々のPC試料を、内部標準としてトリメチルソラレン(TMP)を含む試料希釈液(終濃度:35%メタノール、25mMのKHPO、pH=3.5)を用いて5倍に希釈した。血小板内に含まれるソラレンがアッセイによって除外されないように、メタノール添加により血小板を溶解させ、血漿を沈殿させる。この試料調製技術により、研究に使用された各ソラレンの90%を超える回収率がもたらされた。試料を遠心分離し、上清を0.2μmのフィルターで濾過した。その後、C−18逆相カラム(YMC,ODS−AM型、4.6×250mm)で、溶媒A(25mMのKHPO、pH=3.5)65%と溶媒B(メタノール)35%から、20分間で溶液Bが80%に達する線形濃度勾配をかけて使用し、試料を分析した。
対照実験試料のHPLCの結果は、ソラレンA、B及びCの検量線を引くのに利用した(測定値不記載)。検量線は各々のソラレンについて、HPLCの面積(y軸)と濃度(x軸)に関して引いた。
検量線の傾きは線形最小二乗法により決定した(y切片を0とした)。傾きは、ソラレンを含むPCとAmberlite吸着剤の1つが接触してから6時間後に残っているソラレンの濃度を算出するのに用いた(以下参照)。
試験試料のHPLCの結果は、吸着剤と共にPCをインキュベートした後の、残存(すなわち遊離し、吸着していない)ソラレンの濃度、C(μmol/L)を決定するために、検量線と合わせて用いた。特に、HPLCの面積を、特定の吸着剤の検量線の傾きで除すると、Cが得られる。吸着剤がPCから除去されたソラレンの量(μmol)を算出した[V(C−C)]。吸着等温線は、吸着容量、q(μmol/g)をPC中のソラレンの最終濃度(μM)に対して値をプロットすることにより構築された。線形の等温線が得られた(q=KCで表記される(式1、すでに表記))。これまでに議論してきたように、吸着等温線の傾き、K(L/g)は吸着定数と呼ばれ、吸着データの線形回帰により決定され得る。式1は、目的終濃度、Cにおける所与のソラレンに対する吸着剤の容量(q)の評価に用いられる。残存ソラレン濃度(C)が1μM時の、種々のAmberlite吸着剤の吸着容量(μmol/g)は表Vで報告している。
吸着剤の容量を算出した結果として、特定の除去目標に到達する(つまり、所与の量のソラレンを除去する)のに必要な吸着剤の量を決定できる。その量は次に示す方程式から算出可能である:[M=V(C−C)/q](式2、すでに表記)。式2の目的のために、Mは吸着剤の質量(g)、Vは処理する試料の体積(L)を意味している。
PC中で、ウイルスが不活性化にいたる典型的な状況では、PCにソラレンを約150μMの濃度になるように加える。しかしながら、光照射中に、ソラレンは光分解を受ける;光分解プロセスは約30〜50μMというC濃度の低下をもたらす。このように、ソラレン濃度をC=50μMから望ましいC値に減少させるのに必要な吸着剤の量を決定できる。表Wに、式2を用いて、1μMのCに至るのに必要な吸着剤の量(g)を列挙した。表Wにおける量は、表Vに挙げた吸着容量(q)、C=50μM、V=0.3L(PCの典型的な治療時の投薬量)を用いて算出した。
表Wに示したデータから、(i)吸着剤自体の特性および、(ii)ソラレンの構造が、ソラレンの除去能力にどのように影響を与えているか、に関していくつかの結論
びXAD−16は十分なレベルでどのようなソラレンも除去できるように思われる。
は、疎水性の高いポリスチレン吸着剤ほど効果的ではない。同様に、イオン交換
ン吸着剤に匹敵するソラレン除去を引き起こさなかった。
本発明は、特定の機構に制限されるものではないが、ソラレン除去の初期反応機構は、おそらく、ソラレンと吸着剤のポリスチレン側鎖との芳香族のスタッキングを含む、疎水性相互作用である。このことは、疎水性ポリスチレン吸着剤の効果を、部分的に説明する。
ソラレン特性の考察は、HPLCの保持時間は、疎水性のおおよその評価として利用できることを明らかにする。各々のソラレンは同様な形式のHPLCアッセイによって解析されたので、ソラレンの相対的保持時間を疎水性の増加に応じてそれらを分類するのに利用することが可能である。疎水性が増加していく順番でのHPLCの保持時間は次のようになる;ソラレンAは7.8分、ソラレンCは12.0分、そしてソラレンBは20.0分であった。もし、疎水性がPCからのソラレンの除去可能性の主な決定要因だとしたら、ソラレンBが最も疎水性が高いので、最も容易に除去されると予想された。しかしながら、疎水性は中間を示しているにも関わらず、ソラレンCは最も容易にPCから除去された。このような結果に対する1つの可能性のある説明としては、ソラレンCはソラレンBほど強力に、PC中に存在する細胞または血漿タンパク質(つまり、血清アルブミン)と相互作用しないことが挙げられる。細胞または血漿タンパク質との強力な相互作用は吸着作用と競合し、結果的に樹脂との結合を阻害し得る。
加えて、ソラレンAのような非常に極性の高いソラレンは、疎水性の吸着剤に対する親和性が減少するので、除去はより困難であり得る。さらに、試験に
使用したすべてのソラレンに対してわずかな除去を呈した。この実施例の結果は、広範で多様な構造特性を示すソラレンがPCから除去可能であることを実証している。
実施例 40
アフェレーシスシステムと連結したRDの使用
以前に示したように、本発明により、アフェレーシスシステムと連結したRDの使用が企図される。この実施例では最初にアフェレーシスを介した単一ドナーの血小板や血漿の同時収集が記述されている。その後、血小板調製物へのPAS IIIおよびS−59の添加が述べられ、続いて、照射およびRD処理プロセスの議論が述べられる。
方法論
この実施例の実験はAccess Management SystemTMを伴うBaxter Biotech CS−3000TM Plus Blood Cell Separator(Baxter Healthcare Corp.,Fenwal Division)を、Closed System Apheresis Kit(Baxter Healthcare Corp.,Fenwal Division)と共に利用した。構成要素には、二つの空の1000ml血小板収集バッグ(PL3014プラスチック,Baxter),PL2410プラスチック容器(Baxter)およびPAS III含有バッグ(PL2411,Baxter)が挙げられた。上記アフェレーシスシステムの追加構成要素には、TNX−6TM分離チャンバー(Separation Chamber)、PLT−30TM回収チャンバー(Collection Chamber)、Accessory Weight Scale(すべてBaxter Healthcare Corp.,Fenwal Division)およびTerumo SCD 312−Sterile Tubing Welderが挙げられた。
アフェレーシスシステムの操作パラメーターは以下の通りであった。全血液の流速は50〜55ml/min、内部検出器オフセット設定は6、収量較正ファクターは1.13、血漿収集体積は155ml、および血小板の収量は3.7×1011血小板である。別の方法が記されていない場合は製造者の指図によって装置は設定及び操作を行った。
校正後、Accessory Weight Scaleは最初の血小板貯蔵容器の風袋控除をするために用いた。
この例で使われているように、「風袋控除(tare)」という語は貯蔵容器重量を決定し、貯蔵容器と溶液の総重量からその重さを差し引いて溶液重量の正確な測定を可能にすることを意味する。ローラークランプを閉じた。第2の貯蔵容器及び輸送パックはそれぞれ食塩水とACDバッグの正面の分離フックの上に置かれた。第2の血小板貯蔵容器のローラークランプを閉じ、一方で輸送パックのローラークランプは開けた。血漿輸送パックは最初の食塩水を収集するのに用いた。
食塩水を流入口ラインと戻り口ラインに注入し、ACD比をおおよそ10:1の抗凝固用の比で送達するように調節した。
血小板と血漿の収集
静脈穿刺に続いて、全血をドナーから取り出し、多重内腔管(multiple lumen tubing)の流入口ラインを通じて遠心分離機の分離容器へポンプで送った。分離容器は全血を、一方は血漿及び血小板(即ち血小板に富む血漿)を含み、他方は赤血球を含む、二つの区別しうる相に分離させた。赤血球はドナーに戻した。次いで、血小板に富む血漿は分離容器から遠心分離機の収集容器へポンプで送られた。血小板に富む血漿は収集容器を通過しながら、血漿が取り出されるので血小板は濃縮された。収集容器内の濃縮された血小板は約30mlの残存血漿と会合した。もちろん、異なる操作パラメーターや異なるアフェレーシスシステムによって血小板と会合する残存血漿の異なる量がもたらされうる。
PLT−30TM Collection Chamberを使用するとき、次の血小板再懸濁および貯蔵のための手順の間血漿の追加分が収集されなければならない。故に、400mlの血漿は血漿ポンプで加工されたあとでアフェレーシスシステムはあふれ出さず、血漿のオプションが選択され、システムは155mlの血漿を収集するようにプログラムした。適切なクランプを開けた後、55gの血漿(付属の量りで計量された)は、後の血小板の再懸濁のために第1の血小板貯蔵容器に収集し、100mlを次に第2の血小板貯蔵容器に収集した。
血漿の収集に続き、Baxter Biotech CS−3000TM Plus Blood Cell Separatorの再注入モデルを初期化した。戻り口ラインの注射針をドナーの腕から外した。
分離及び収集の後、容器はそれぞれのクランプアセンブリから外し、収集容器中で濃縮された血小板は、血小板の凝集物が見えなくなるまで再懸濁した。これにより第1の血小板収集バッグから収集容器へ55gの血漿の添加が行われた。次いで、血小板貯蔵容器および血漿輸送パックアセンブリは遠心分離区画の底部に置かれ、濃縮した血小板は第1の血小板収集バッグへ移した。最後に、この血小板貯蔵アセンブリは多岐管の下方約12インチで3つの密封シールを作り、後にPAS III溶液へ滅菌接合を経由して上記アセンブリを連結するために用いられる12インチの長さのチューブをもたらすことでアフェレーシスキットから分離される。二つのシールが血小板貯蔵容器アセンブリ上に残されるようそのチューブをシール間で切断した。
PAS III溶液のPCへの輸送後の貯蔵容器への輸送
PAS III溶液は次いで、滅菌接合手順によってPCへ添加された。Spencerに対する米国特許第4412835号(これは本明細書中で参考として援用される)滅菌接合装置を記述している。はじめに、血小板貯蔵容器アセンブリから12インチの長さのチューブを滅菌連結装置(SCD)の背面スロットに置いた。二つの血小板貯蔵容器および血漿輸送パックはSCDの右に吊るし、ローラークランプが確実に閉じていることを確かめた。PAS III溶液のはいったPL2411プラスチック容器(Baxter)からのラインは、PL2411プラスチック容器(Baxter)がSCDの左側になるように、SCDの正面のスロットに置いた。次いで、滅菌溶接操作を行い(Terumo SCD 312 Sterile Tubing Welder)、流動連結は漏れを検査した。PC容器のためにローラークランプを開けた後、PAS III溶液はPC中に送られ、PC由来の残存空気は空のPAS III容器に戻した。最後に、連結チューブをヒートシールし、PAS III容器を捨てた。
次に、PC/PAS III溶液を含む血小板貯蔵容器をPL2410プラスチック容器(Baxter)に連結した。空のPL2410プラスチック容器(Baxter)を計量した後、容器は、血漿輸送パック(PC/PAS III溶液を含む血小板貯蔵容器を備える)へ滅菌接合した(上述の手法を用いて)。滅菌溶接操作(Terumo SCD 312 Sterile Tubing Welder)の完了後、血漿輸送パックを捨てた。次いで、第1の血小板容器内のPC/PAS III溶液は、PL2410プラスチック容器(Baxter)中へ移され、ここで空の第1の血小板貯蔵容器に空気を戻した。
PC/PAS III溶液をその後計量した。全体積(PL2410プラスチック容器(Baxter)の風袋重量を除いて)は300±10mlとなるべきである。もし全体積(重量を測定することによる)が290ml未満なら、求まれる体積を得るために、第2の血小板貯蔵容器(同時に血漿を収集するのに使われた)から一定量の血漿は添加し得る。
おおよそ35%血漿/65%PAS III溶液の最終血小板濃縮液をもたらす。最終的に、PL2410プラスチック容器(Baxter)からのラインは容器からできるだけ離して完全密封し、PC/PAS III溶液を22±2℃で、平板型撹拌器で貯蔵した。
S−59溶液へのPC/PAS III溶液の滅菌連結
PC/PAS III溶液はS−59溶液に添加し、直ちに、次の照射のために空の容器に移した。はじめに、上述した滅菌接合/溶接手順は、PC/PAS III容器からのラインと、S−59(15ml;3mM)を伴うプラスチック容器のラインの一つ(PL2411プラスチック容器,Baxter)との間で流体連結を作ることを行った。滅菌溶接操作を行い、ラインは漏れを検査した。次に、滅菌溶接手順はS−59容器から空のPL2410プラスチック容器(Baxter)のより短いチューブへ接続されていないラインを連結するのに用いた。再び、滅菌溶接操作を行い、ラインは漏れを検査した。
適当なクランプの除去の後で、PC/PAS III溶液はS−59容器を通って、空のPL2410プラスチック容器(Baxter)へと送られた。S−59容器と、PL2410プラスチック容器(Baxter)の間のチューブは、できるだけS−59容器に近いところでヒートシールされ、2つの空の容器は廃棄された。S−59/PC/PAS III溶液容器はそれから、平板型撹拌器上に置かれた(最低5分間および最大1時間)。
先に示したように、この例は、S−59容器を通過して、PL2410プラスチック容器(Baxter)へPC/PAS III溶液を輸送することを含んでおり、そして、S−59容器を通過して輸送することで、このとき二つの溶液は混合される。しかしながら、もし、S−59溶液との混合に先立ち、PC/PAS III溶液がPL2410プラスチック容器(Baxter)にあるならば、照射のための分離容器への溶液の輸送は必要ない。むしろ、PC/PAS III溶液を含むPL2410プラスチック容器(Baxter)は、S−59溶液を伴った容器へ滅菌接合がなされ得、二つの溶液は完全に混合され、後の照射のためにPL2410プラスチック容器(Baxter)に全量が集められる。
もし望むのなら、得られた溶液試料は評価され得る(例えば、HPLCによって照射前S−59濃縮液の解析)。サンプリング手順はS−59/PC/PAS III溶液容器の残された長いチューブの部分に血小板試料を吸い上げるために、血小板製剤へのラインを除去(除去器/密閉シーラーモデル1301;Sebra)することが必要となる。それから後は、チューブは溶液容器から最低12インチ離れた点でヒートシールされ、試料が準備され、処理され得る。例えば、滅菌15mL遠心管の上でチューブの端が切断され得、溶液は遠心管へ排出され、アリコットを5mL微小遠心管(Vacutainer,Becton−Dickinson)に置く。溶液の試料(例えば、200μlのアリコット)はそれからポリプロピレンの微小遠心管に移すことができ、HPLCでの解析に先立ち−20℃にて貯蔵することができる。
光化学的処理
S−59/PC/PAS III溶液の容器はその後、光化学処理のために、紫外線照射システム(Steritech,Inc.およびBaxter Healthcare Corp.,Fenwal Division)に移された。容器は温度(処理前と後)と処理時間を記録しながら、照射(3J/cmで長波長UVA[320〜400nm])された。照射された溶液はそれから暗所で平板型撹拌器上に約22℃(22±2℃)にて、溶液がRDを収容している容器に加えられるまで貯蔵された。
RDによるS−59の減少
その使用に先立ち、RDを収容する容器は詳細なことが調べられた、それはRDの完全性、およびポートフィルターの完全性である。加えて、RDのなかのビーズを手で扱うことのないように、または壊すことはしないように注意しなければならない。図37はこの例で用いられたバッチ式除去装置(RD)を収容する容器の型を表している。
これまでに示した滅菌接合/溶接の手順が、処理されたS−59/PC/PAS III溶液容器からのラインと、RDを収容する容器からのラインとの間で行われた。滅菌溶接操作が行われ、それからラインは漏れが検査された。処理されたS−59/PC/PAS III溶液はRDを収容する容器へと移され、残存空気はもはや空となったS−59/PC/PAS III溶液の容器へ戻された。RDを収容する容器が真空状態で封入されたのであれば、たいてい残存空気は存在しない。二つのバッグをつなぐラインはヒートシールされ、空となったS−59/PC/PAS III溶液容器は廃棄された。新たにS−59/PC/PAS III溶液を含む容器はそれから連続的に22℃で8時間撹拌された(平板型血小板撹拌器モデル#PF48;Helmer Lab Co.)。
8時間の撹拌につづいて、RDを収容する容器からのラインが、空のPL2410プラスチック容器(Baxter)からのラインへと(上記手順を使用いて)滅接合/溶接された。ラインの漏れが検査された後、RD処理されたPCが貯蔵容器へと移された。連結しているチューブは、ヒートシールされ、空となったRDを収容する容器は廃棄された。それから、最終的なPCを含む貯蔵容器は平板型撹拌機上に22℃にて貯蔵された。最終処理溶液は受容者へのその後の注入のために貯蔵可能である(ドナーから全血が抜き取られたときから5日間まで)。
実施例 41
アフェレーシスシステムと連結させたRDの利用
多くの点で類似しているが、この実施例は、先の例で与えられたアフェレーシス手順のある変形を含んでいる。説明すると、この例のプロトコルは血漿収集のために2つの血小板貯蔵バッグの内ひとつだけを利用した。一方、先の実施例では血小板収集バッグが二つとも使われた。加えて、先の実施例では血小板貯蔵バッグはPL2410プラスチック容器(Baxter)であったのに対し、この実施例のプロトコルでは光化学的処理に対しては適さないPL3014プラスチック容器(Baxter)が利用された。これらの相違、およびドナーから血液製剤を収集する際に利用された手順や装備に関連する他の点、ならびに、いろいろな試薬をこれらの製剤に対して加える手順の詳細は以下に記される。
方法
この実施例の実験はClosed System Apheresis Kit(Baxter Healthcare Corp.,Fenwal Division)と連結したAccess Management System(Baxter Healthcare Corp.,Fenwal Division)とともにBaxter Biotech CS−3000TM Plus Blood Cell Separatorを利用した。構成要素としては2つの空の1000mL血小板収集バッグ(PL3014プラスチック容器、Baxter)とひとつのPL2410プラスチック容器(Baxter)および、PAS IIIを含むバッグ(PL−2411プラスチック容器、Baxter)を挙げられた。アフェレーシスシステムのさらなる構成要素としては、TNX−6TM Separation Chamber(BaxterHealthcare Corp.,Fenwal Division)、PLT−30TM Collection Chamber(Baxter Healthcare Corp.,Fenwal Division)、Accessory Weight Scale(Baxter Healthcare Corp.)滅菌連結装置(モデルSCD 312;Terumo)、およびチューブシーラー(モデル♯1090;Sebra Engineering およびReseach Associates)を含んでいた。これらの構成要素はAccess System Apheresis Kit(モデル4R2295;Baxter Healthcare Corp.,Fenwal Division)と連結して使われた。アフェレーシスシステムの操作パラメーターは以下に示す:血液流速50〜55mL/min;インターフェース検知器オフセット設定6;収量較正ファクター1.13;血漿収集体積155mL、および血小板収量3.7×1011血小板。装置の設置および操作は、もし他に記述のないときは、製造業者の使用説明書に従った。
較正の後、Accessory Weight Scaleは第1の血小板貯蔵容器を風袋控除した。
この実施例で使用される場合の用語、「風袋控除」とは、貯蔵容器の重量を決定し、溶液重量の正確な測定をするために、その貯蔵容器重量を貯蔵容器および溶液の総重量から差し引くことを意味する。ローラークランプはそれから閉じられた。第2の血小板貯蔵容器および輸送パックはそれぞれ生理食塩水バッグおよびACDバッグの前の別個のホックに置かれた。第2の血小板貯蔵容器の回転クランプは開けられ、一方で、輸送パックの回転クランプは閉じられた。第2の血小板貯蔵容器はこの手順の間、流入口ラインと戻り口ラインに注入するために使用された生理食塩水を含めた、「あふれ出たもの」のために使われた。それから、流入口ラインと戻り口ラインは生理食塩水を注入され、ACDの比率は抗凝血剤を10:1〜11:1の比で送達するように調節された。
血小板と血漿の収集
静脈穿刺につづいて、全血がドナーから取り出され、多重内腔管の流入口ラインを通して遠心分離機の分離容器に送出された。分離容器は全血を、血小板に富む血漿と赤血球に分離し、後者はドナーへと返された。その後、血小板に富む血漿は分離容器から遠心分離機の収集容器へと送出された。血小板に富む血漿が収集容器を通過する間に、血漿が取り出されるので血小板が濃縮された。
アフェレーシスシステムが血漿を集める準備が出来ているときに(すなわち、血漿ポンプで400mLの血漿が加工された後)、血漿オプションが選択され、約200mLの血漿が入れられる。過剰バッグが閉じられた後、付属の重量計につるされた第1の血小板収集バッグが開けられ、54gの血漿が後の血小板再懸濁液用に収集された。そのバッグのクランプはそれから閉じられた。その後即座に、輸送用パックへのクランプが開けられ、そのまま残っている同時に血漿が収集された。血漿の同時収集につづいて、そのクランプは閉じられ、過剰収集バッグのクランプが再び開かれた。収集の完了に際に、全てのクランプが閉じられ、ドナーはアフェレーシスシステムから解放される。
クランプアセンブリから収集容器が取り除かれた後、濃縮された血小板が収集容器中に存在する残存血漿中に均一に懸濁するまで、濃縮された血小板は収集容器中で、人の手で混合された。
次に、54gの血漿が含まれる第1の血小板収集バッグへのクランプが開けられ、血漿が収集容器に排出された。血小板と血漿が良く混合された後、それらは第1の血小板貯蔵容器に移された。輸送パック中に収集されたさらなる血漿は、血漿が総計105mLに達するまで加えられた。あふれた収集バッグはヒートシールされ、取り除かれ、そして廃棄された。収集チャンバーへと向かう血漿ラインをクランプから外した後、それぞれのバッグへと向かうチューブは密閉された(お互いのバッグを、滅菌接合させることを可能にするのに充分なチューブが残されるように)。
PL3014プラスチック容器(Baxter)および、同時に発生する血漿輸送パックはお互いに付着したままで、収集チャンバーおよび分離チャンバーはこれらのバッグから取り除かれ、廃棄された。最終的に、血漿の体積を決定するためにPCを含むバッグの中の重量が量られた。
PAS III溶液およびS−59のPCへの輸送
この実施例において、血漿を保存するため、および、効果的な除染を促進するために、血小板は105mLの自己由来の血漿、および180mLのPAS III(調製品はACDも15mL含む)へ濃縮された。光化学的処理システムはひとつのPL2410プラスチック容器(Baxter)、180mLのPAS III溶液を伴うバッグ、および、15mL(3mM)S−59溶液のバッグを含むものが使われた。空の血小板貯蔵バッグの重さを量った後、SCDが使われて、180mLのPAS IIIを含んでいる輸送パックは、PL3014プラスチック容器(Baxter)に、ある一人のドナーからのアフェレーシスユニットへ付着させられた。PAS III溶液はそれからPCに加えられた。それから、空のPAS IIIバッグとPCの間のチューブが、この後にS−59へ滅菌接合するのに充分なだけのPL3014(Baxter)へのチューブを残して、ヒートシールされた。空のPAS IIIバッグは廃棄され、それから血小板は2時間未満の間、平板型血小板撹拌器(モデル♯PF48;Helmer Lab Co.)上で、充分分離するまで静置された。
S−59バッグ中の望まれる量のS−59が血液製剤溶液と混合するのに利用可能であるように、S−59はバッグに結合しないことが好ましい。それゆえ、本発明の好まれる実施態様として、非ソラレン結合ポリマーがS−59バッグの構築の際用いられる(そして、このポリマーはそのバッグ中では、他のソラレンを収容するために用いられる)。
それから、S−59バッグは滅菌連結装置(SCD)によって(すでに述べられた手順を用いて)、PC/PAS III溶液を含むPL3014プラスチック容器(Baxter)に滅菌接合された。S−59バッグ中の望まれる量のS−59が血液製剤溶液と混合するのに利用可能であるように、S−59はバッグに結合しないことが好ましい。それゆえ、本発明の好まれる実施態様として、非ソラレン結合ポリマーがS−59バッグの構築の際用いられる(そして、このポリマーはそのバッグ中では、他のソラレンを収容するために用いられる)。滅菌接合手順のために、SCDを用いて、PL2410プラスチック容器(Baxter)の短い方のチューブを(もし望むなら、長い方のチューブは後で、サンプリングのために用いることができる)、S−59バッグの自由な管に付着させた。それから、PL3014プラスチック容器(Baxter)中のPC/PAS III溶液は、S−59バッグを通って、PL2410プラスチック容器(Baxter)へと移された。この輸送は、PL3014プラスチック容器は光照射に適さないという理由で必要であった。S−59バッグと、S−59/PC/PAS IIIを含んでいるPL2410プラスチック容器(Baxter)の間のラインは、その後、できるだけS−59バッグに近いところでヒートシールされた。一方で、空の貯蔵バッグおよびS−59バッグは廃棄された。S−59/PC/PAS IIIバッグはそれから、平板型撹拌器上に置かれた(最低5分間、最大1時間)。
もし望むのなら、得られた溶液試料は解析のために取り除かれ得る(例えば、HPLCによって照射前S−59濃縮液の解析)。サンプリング手順は、S−59/PC/PAS III溶液容器の残された長いチューブの部分に、血小板試料を吸い上げるために、血小板製剤へのラインを除去(除去器/密閉シーラーモデル1301;Sebra)することが必要となる。それから先は、チューブは溶液容器から最低12インチ離れた点でヒートシールされ、試料が準備され、処理され得る。例えば、滅菌15mL遠心管の上でチューブの端が切断され得、溶液は遠心管へ排出され、アリコットを5mL微小遠心管(Vacutainer,Becton−Dickinson)に置く。溶液の試料(例えば、200μlのアリコット)はそれからポリプロピレンの微小遠心管に移すことができ、HPLCでの解析に先立ち−20℃にて貯蔵することができる。
S−59/PC/PAS III溶液容器は紫外線照射システム(Steritech,Inc.およびBaxter Healthcare Corp.,Fenwal Division)へ移された。容器は照射され(3J/cm)、照射された溶液はそれから暗所の20〜24℃にて、平板型撹拌器上に置かれた。
ここで、自己由来血漿はインビトロで血小板機能について検査される。このため、前もって収集された同時に発生する自己由来血漿は遠心分離に供された。特に、SCDは血漿含有輸送パックのチューブを、空のl50mL輸送パック容器に付着させるのに使われた。自己由来血漿/新しい輸送パックは室温にて10分間、3000g(3800rpm)で遠心分離された(HA 6000ローターを伴うモデル♯RC−3B;Sorvall Instruments)。遠心分離された血漿は血漿抽出装置に移され、血小板に乏しい血漿の約半分が、新しい輸送パック中に搾り出された。チューブはヒートシールされ、新しい輸送パックはもとの血漿輸送パックから取り外された。最終的に、血漿輸送セット(4C2240,Baxter Healthcare Corp.,Fenwal Division)の突起末端(すなわち、他の構成要素(例えば、血液貯蔵容器)の受容口へ挿入され、チューブと構成要素の間で流体連結を形成するように適合した、一本のチューブの末端)は血漿輸送バッグのポートに挿入された。血小板が乏しい血漿の最小20mLが滅菌遠心管へ搾り出され、蓋をされ、血小板機能試験の準備のため約4℃で貯蔵された。
RDによるS−59の減少
すでに示したように、RDを収容する容器は好まれる実施態様において、真空密封されたホイルオーバーラップ中で貯蔵される。その使用に先立ち、RDを収容する容器はそのオーバーラップを取り除かれ、細かいことまで調べられる、つまり、RDの完全性、ポートフィルターの完全性である。加えて、RDのなかのビーズを手で扱うことのないように、または壊すことはしないように注意しなければならない。
図37はこの例で用いられたバッチ式除去装置(RD)を収容する容器の型を表している。
すでに述べられた、滅菌接合/溶接手順は、処理されたS−59/PC/PAS III溶液容器からのラインと、RDを収容する容器の単一の流入口/流出口ラインとの間でなされた。溶接に先立ち、RDを収容する容器の流入口/流出口ラインは2本の指の間で回転させ、SCDに置かれる前に、過大な崩壊がないことを確認した。滅菌溶接操作がなされ、ラインは漏れが検査され、ラインを開くために、二つの容器の間の連結部分が二本の指の間で回転させた。それから、処理されたS−59/PC/PAS III溶液はRDを収容する容器へと移され、残存溶液はその容器に手で搾り出された。二つのバッグを連結しているラインはヒートシールされた(最終血小板貯蔵容器へ移すことが十分に出来るようにRDを収容する容器へチューブを連結したままにする)。そして、空のS−59/PC/PAS III溶液容器は廃棄された。S−59/PC/PAS III溶液を含む容器はそれから連続的に、22℃で8時間撹拌された(平板型血小板撹拌器モデル#PF48;Helmer Lab Co.)。
8時間の撹拌につづいて、RDを収容する容器からの単一のラインが、空のPL2410プラスチック容器(Baxter)からのラインへ滅菌接合/溶接された。
ラインの漏れが検査された後、RD処理されたPCが貯蔵容器へと移され、残存溶液は貯蔵容器に手で搾り出された。連結しているチューブは、ヒートシールされ、空となったRDを収容する容器は廃棄された。それから、最終的なPCを含む貯蔵容器は平板型撹拌機上に22℃にて貯蔵された(ドナーから全血が抜き取られたときから4日間未満で、そして5日間以下で使用される)。もし望むのなら、血小板試料はこれまでに記したサンプリング手順を利用して、貯蔵容器の残っているチューブまで吸い上げることができる。
実施例 42
アフェレーシスシステムでの血小板収集の間のPAS IIIのPCへの添加
前に示したとおり、PAS III(または他の適した)合成培地は、アフェレーシスに続いて収集された血小板に加えられ、照射に適した調製物を作製することができる。しかしながら、PAS IIIを、収集された血小板に加えるために、滅菌接合手順を利用する前に、血小板が収集されるまでずっと、そのような手法は待つことが必要である。この実施例は代替えの実施態様を述べているが、その中で、アフェレーシスの間の血小板収集プロセスの間にPAS IIIが加えられ、その結果、最終的に収集された血小板はすでに適当量のPAS IIIを含んでいる。
論じられるべき逸脱を除けば、実施例41にある全ての装備および手順はここに於いて同等に適用できる。この実施例のプロセスは、上述され、かつスキームEに描写されたように3つのバッグの変化を利用する。第1のバッグは180mLのPAS IIIを含む。第2のバッグは所定の量で自己由来血漿を収集するために使われる。第3のバッグは、全ての添加剤が組み合わされる血小板収集バッグである。
アフェレーシスシステムは、血小板を再懸濁するのに用いられる血漿の、所定の量を収集するようにプログラムされている。しかしながら、遠心分離後の収集容器中の血小板、ならびに、アフェレーシスシステムのチューブ中の血小板と会合する残存血漿の必要な量を考慮に入れなければならない。例えば、収集された血小板を最終的に105mLの血漿に懸濁することが望ましいのならば、収集容器中の血小板と会合する約30mLの残存血漿、および、アフェレーシスシステムのチューブ中にある約18〜20mLの残存血漿が差し引かれなければならない。それゆえ、アフェレーシスシステムは後で血小板を再懸濁するためにドナーから約55〜57mLの血漿を同時に収集するようにプログラムされるべきである。
血漿の収集につづいて、遠心分離機の収集チャンバー内で濃縮された血小板(約4.0×1011)は血漿105mL(総量)に再懸濁され、血小板貯蔵容器に移される。その混合物が移される間に、望まれるPAS IIIに対する血漿の最終濃度を与えるために、必要量のPAS IIIがPAS III容器から加えられる。最終的に集められた血小板バッグは約300mLを含み、以下のものから構成される(おおよその量で示される):35%自己由来血漿、60%PAS III、5%ACD、および4.0×1011血小板。
その後で、PC/PAS III溶液は実施例41に記載された手順を使って、加工され得る。簡単には、得られたPC/PAS III溶液はS−59と組み合わされ、撹拌され、そして照射される。照射された血小板調製物はそれから約8時間かけてRDを収容する容器へと移され、S−59および光化学反応生成物を取り除く。最終的に、処理された血小板調製物は、血小板貯蔵バッグへ移され、この血小板貯蔵バッグから、受容者へと注入され得る。
当該分野の技術者にとって、その改変および均等物が明らかであるように、本発明は、操作の正確な詳細にも、正確な化合物にも、組成にも、方法にも、示された手順にも、描かれた手順にも限定されるものでないということが理解される。

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