JP2012066514A - 木質建材の防虫方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
木質床板、木質壁板、木質建具または階段板などの木質建材を作製するにあたり、その品質や作業性を低下させず、最低限の薬剤使用で、ヒラタキクイムシなどの乾材害虫から最大の防虫効果を上げることが本発明の課題である。
【解決手段】
木材基材の表面に被覆物を付着させて製造する木質建材において、木質基材と被覆物との間に防虫剤を存在させることによって非常に防虫効果の高い木質建材になり、上記課題を解決することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は住宅その他の建築に使用される木質建材に関するものであり、特に乾材害虫による虫害を予防する防虫性の優れた木質建材の食害防止方法に関する発明である。
近年、住宅その他の建築に使用される木質建材の低ホルムアルデヒド化対策が盛んに叫ばれており、合板基材やそれを使用した木質床板等において遊離のホルムアルデヒドが削減されている。それに従ってヒラタキクイムシなどの害虫にとっては生息し易くなってきた。
従来から行われてきた防虫処理方法に防虫合板の使用があった。防虫合板は、合板は木材の単板を貼り合わせる接着剤に防虫剤を混入し製造するものである。接着剤中に混入する方法では合板を構成する木質単板の厚み方向の中心部付近まで薬剤が達しにくく、確実な防虫効果が得られにくかった。
また、大量に防虫剤を使用すると作業性が低下し、また、薬剤使用量が増え、経済的に不利となる。上記理由より、限られた薬剤使用量、処理条件のなかで的確に木質建材の表面貫通を防止する効果を向上させるかが大きな課題となっていた。
特開2000−153505号公報 特開2000−280204号公報
木質床板、木質壁板、木質建具または階段板などの木質建材を作製するにあたり、その品質や作業性を低下させず、最低限の薬剤使用で最大の防虫効果を上げることが、本発明の課題である。
上記課題を解決するため、木材基材の表面に被覆物を付着させて製造する木質建材において、木質基材と被覆物を付着させる接着剤に防虫剤を混入するによって上記課題を解決したものである。
本発明により、効率良く安価にしかも高い貫通防止効果を持った木質建材の防虫方法を提供することが可能となる。
本発明の木質建材の食害防止方法について以下詳しく述べる。
本発明に用いられる25℃における水溶解度が100ppm以上である防虫剤としては、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン(一般名、イミダクロプリド)、(E)−N−〔(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル〕N`−シアノ−N−メチルエタンイミダミド(一般名、アセタミプリド)、3−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−5−メチル−N−ニトロ−1,3,5−オキサジアジナン−4−イリデンアミン(チアメトキサム)、(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(一般名、クロチアニジン)、3−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−1,3−チアゾリジン−2−イリデンシアナミド(一般名、チアクロプリド)、N−((6−クロロ−3−ピリジニル)メチル)−N−エチル−N‘−メチル−2−ニトロ−1,1−エチンジアミン(一般名、ニテンピラム)などのネオニコチノイド系化合物、アセフェート、メチダチオン、ジメトエート等の有機リン系化合物、メトルカルブ、メソミル等のカーバメート系化合物、ホウ酸などが挙げられる。特に、(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(一般名、クロチアニジン)及び1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン(一般名、イミダクロプリド)が特に好ましい。
本発明の防虫剤は、有効成分をそのまま用いても良いが、通常製剤化して用いる。製剤の種類は特に限定されないが、扱いやすさの点から液状の製剤が好ましい。液状の製剤としては、水溶剤、乳剤、油剤、フロアブル剤等を挙げることができるが、これらの製剤に限定されない。上記製剤は通常の農薬の製剤と同様の方法で調製することができる。さらに、製剤自体の安定化や、処理時の薬液の安定化のために一般の細菌に有効な防腐剤、安定剤、酸化防止剤、キレート剤、防錆剤、消泡剤、pH調節剤等を添加しても良い。また、防虫スペクトルの拡大のために他の防虫剤を混合しても良い。
または25℃における水溶解度が100ppm未満の殺虫組成物を混合してもよい。
例えば、フェニトロチオン、フェンチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、ジクロルボス、プロペタンホスなどの有機リン系化合物、カルバリル、フェノブカルブ、プロポキスルなどのカーバメート系化合物、アレスリン、プラレトリン、フタルスリン、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、エンペントリン、イミプロトリン、ビフェントリン、シペルメトリン、フェンバレレート、トラロメトリン、エトフェンプロクス、シラフルオフェン及びそれらの光学異性体や幾何異性体などのピレスロイド系化合物、フィプロニルなどのフェニルピラゾール系化合物、インドキサカルブなどのオキサダイアジン系化合物、ピリプロキシフェン、フェノキシカルブ、ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ビストリフルロン、シロマジンなどの昆虫成長調節剤、その他の殺虫剤などが挙げられる。
対象とする木質基材は、合板や無垢木材、LVL、MDF、パーティクルボード、OSBボードであれば良い。より好ましくは、合板や無垢木材が良い。その木質基材の表面に被覆物を付着させ、基材と被覆物の間に防虫層を設ける。
防虫層は、被覆物を付着させる為の接着剤などに混入したり、基材や被覆物の表面に薬剤を塗布したり、基材や被覆物自体を薬液に浸漬させる方法がある。特に、基材と被覆物を付着させる接着剤に混入する方法が好ましい。
防虫薬剤としては、ネオニコチノイド系の化合物が使用できるが、この限りではない。木質基材と被覆物間の防虫剤の存在量は、1mあたり0.0025g以上で存在することが好ましい。防虫薬剤は、もちろんこれら以外であってもよいし、処理条件もその薬剤に適する方法を適宜選択すればよい。薬剤処理方法として、木質基材への処理、被覆物への処理及び接着剤への混入が挙げられるが、特に、接着剤に混合する方法が好ましい。
基材や被覆物の表面に薬剤を処理する場合は、基材や被覆物自体を薬剤の溶液中に浸漬してもよいし吹きつけ塗布や、刷毛塗り、ロ−ル塗布であっても良い。塗布、吹きつけの場合の塗布量はウエットで約10〜400g/m程度でよい。防虫薬剤は、もちろんこれら以外であってもよいし、処理条件もその薬剤に適する方法を適宜選択すればよい。
被覆物を付着させる接着剤は、通常の木工用接着剤が使用できる。例えば、酢酸ビニル樹脂接着剤、ユリア樹脂接着剤、メラミン樹脂接着剤、ユリアメラミン樹脂接着剤、変性シリコーン、その他が使用できる。接着条件は、接着剤の接着条件に従えばよい。接着剤、製造条件は、もちろんこれら以外であってもよい。
以上詳述した木質基材としてその上に被覆物を付着させて木質建材とする。この時の被覆物は、例えばナラ、ケヤキ、サクラ、ブナなどの木材、その他の木質化粧単板や、合板、LVLなどの他、塩化ビニルフィルム、オレフィン樹脂フィルム、金属箔、合成樹脂成型品、合成木材、紙、布などが使用できる。特に、ブナなどの木材や、防虫合板以外の合板、オレフィン樹脂製の被覆物が好ましい。
〔実施例1〕
木質単板(樹種はブナ、厚み0.3mm)の片面に、クロチアニジンをN−メチルピロリドンで所定濃度に希釈し、この希釈液を100g/mになるように塗布した。つぎに、合板(ラワン、5プライ)の表面に木工用ボンド(コニシ社製、酢酸ビニル樹脂)で、上述の単板を薬剤処理面を合板側となるように付着させて試験体とした。
〔実施例2〕
実施例1のクロチアニジンをイミダクロプリドに変えて、試験体を作成した。
〔実施例3〕
合板(ラワン、5プライ)の片面に、クロチアニジンをN−メチルピロリドンで所定濃度に希釈し、100g/mになるように塗布した。この合板の薬剤処理面に、木質単板(樹種はブナ、厚み0.3mm)を木工用ボンド(コニシ社製、酢酸ビニル樹脂)で付着させ試験体とした。
〔実施例4〕
実施例3のクロチアニジンをイミダクロプリドに変えて、試験体を作成した。
〔実施例5〕
合板(ラワン、5プライ)の片面に、クロチアニジンをN−メチルピロリドンで所定濃度に希釈し、規定濃度となるように木工用ボンド(コニシ社製、酢酸ビニル樹脂)に添加し、良く混合した後、400g/mになるように塗布し、木質単板(樹種はブナ、厚み0.3mm)を付着させ、試験体を作成した。
〔実施例6〕
実施例5のクロチアニジンをイミダクロプリドに変えて、試験体を作成した。
〔比較例1〕
実施例1のクロチアニジンをペルメトリン(25℃での水溶解度が100ppm未満)に変え、試験体を作成した。
〔比較例2〕
実施例1のクロチアニジンをシラルオフェン(25℃での水溶解度が100ppm未満)に変え、試験体を作成した。
〔比較例3〕
実施例3のクロチアニジンをペルメトリンに変え、試験体を作成した。
〔比較例4〕
実施例5のクロチアニジンをペルメトリンに変え、試験体を作成した。
〔比較例5〕
実施例1の単板の薬剤処理面を合板側と反対側となるように付着させて試験体とした。
〔比較例6〕
実施例3の木質単板を付着させずに、試験体を作成した。
〔防虫性能試験方法〕
所定濃度となるように防虫剤を木質基材と被覆物間に存在させた試験体である実施例1〜6、および比較例1〜4の基材部の側面に孔を開け、そこにヒラタキクイムシ幼虫を1頭ずつ入れ、人工飼料粉末で埋めた後、アルミ栓をしたものをプラスチックカップ内に入れ、恒温室内で4ヶ月静置し、成虫となって脱出した際にできる脱出孔の発生の有無について観察した。結果を表1に示す。
Figure 2012066514
本発明の乾材害虫による貫通防止性能を有する木質建材は、害虫によって食害を受けやすい木質基材等を被覆物で被覆する際に、木質基材と被覆物の間に防虫剤を存在させることで、乾材害虫が被覆物を貫通することを防止する方法であり、効率良く安価にしかも高い貫通防止効果を持った木質建材の防虫方法を提供することが可能となる。

Claims (5)

  1. 木質基材の表面を、木材、合板、複合フローリング、LVL、MDF、パーティクルボード、OSBボード、プラスティック、紙および金属箔のいずれからなる構造物で被覆し、木材基材と木材基材を被覆する構造物との間に、温度25℃における水溶解度が100ppm以上である防虫剤を存在させることを特徴とする乾材害虫による木質建材の貫通防止方法。
  2. 請求項1記載の防虫剤がネオニコチノイド系化合物であることを特徴とする乾材害虫による木質建材の貫通防止方法。
  3. 請求項2に記載のネオニコチノイド系化合物が(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジンおよび1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミンから選択される少なくとも一種類の化合物であることを特徴とする乾材害虫による木質建材の貫通防止方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の乾材害虫がヒラタキクイムシ科に属する昆虫であることを特徴とする乾材害虫による木質建材の貫通防止方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の木質建材が、木質床板、木質壁板、木質建具または階段板であることを特徴とする乾材害虫による木質建材の貫通防止方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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