JP2012065485A - 振動型駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】長時間の駆動においても摩擦接触によって発生した摩耗粉を掻き落とす機能の低下を抑制することができ、安定した駆動が可能となる振動型駆動装置を提供する。
【解決手段】電気−機械エネルギー変換素子と、前記電気−機械エネルギー変換素子が接合された振動部とを有し、前記振動部に楕円運動が生成可能に構成された振動子と、
前記振動子の振動部と摩擦接触し、前記楕円運動によって該振動子に対して相対移動する被駆動体と、を有する振動型駆動装置であって、
前記振動子及び前記被駆動体に設けられた摩擦摺動部材の少なくとも一方の摩擦接触面に、前記摩擦接触によって発生した摩耗粉を掻き落とす溝を備え、
前記溝は、該溝における深さ方向の少なくとも一方の面と前記摩擦摺動面とのなす角が鋭角となるように形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】電気−機械エネルギー変換素子と、前記電気−機械エネルギー変換素子が接合された振動部とを有し、前記振動部に楕円運動が生成可能に構成された振動子と、
前記振動子の振動部と摩擦接触し、前記楕円運動によって該振動子に対して相対移動する被駆動体と、を有する振動型駆動装置であって、
前記振動子及び前記被駆動体に設けられた摩擦摺動部材の少なくとも一方の摩擦接触面に、前記摩擦接触によって発生した摩耗粉を掻き落とす溝を備え、
前記溝は、該溝における深さ方向の少なくとも一方の面と前記摩擦摺動面とのなす角が鋭角となるように形成されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、振動型駆動装置に関する。詳しくは、電気−機械エネルギー変換素子に電圧を印加する事により、振動子に振動波を生じさせ、この振動子に接触する移動体との間で、摩擦駆動により相対移動を起こさせる振動型駆動装置における摺動部構造に関するものである。
従来、振動波駆動を行う超音波モータである振動型駆動装置として、突起を備えた平板振動子を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この振動型駆動装置の原理に関しては、既に周知であるからその説明は省略する。
このような振動型駆動装置の構成について、図10を用いて説明する。
図10において104は板状の弾性部材で、片面側に圧電素子105が接合されている。
もう一方の面には摩擦摺動部材である突起106が形成され振動子102が構成される。
突起106に移動体103であるリニアスライダを加圧接触させ相対移動させる。
一般に振動型駆動装置は、振動子の摩擦摺動部材に楕円運動を励起させ、これに押圧された移動体を摩擦駆動するように構成されている。
振動波発生装置の振動子及び移動体には摩擦摺動部材が取り付けられ、振動子に発生した振動が効率良く移動体に伝わるようになっている。
このような振動型駆動装置の構成について、図10を用いて説明する。
図10において104は板状の弾性部材で、片面側に圧電素子105が接合されている。
もう一方の面には摩擦摺動部材である突起106が形成され振動子102が構成される。
突起106に移動体103であるリニアスライダを加圧接触させ相対移動させる。
一般に振動型駆動装置は、振動子の摩擦摺動部材に楕円運動を励起させ、これに押圧された移動体を摩擦駆動するように構成されている。
振動波発生装置の振動子及び移動体には摩擦摺動部材が取り付けられ、振動子に発生した振動が効率良く移動体に伝わるようになっている。
このようなことから、振動子及び移動体の摩擦摺動面の状態が非常に重要となる。
特に、摩耗により発生した粉が摩擦摺動面等に付着し、振動型駆動装置の動作に支障を生じることから、特許文献2では摩擦摺動面等に付着した摩耗粉を掻き落すようにした振動型駆動装置が提案されている。
特に、摩耗により発生した粉が摩擦摺動面等に付着し、振動型駆動装置の動作に支障を生じることから、特許文献2では摩擦摺動面等に付着した摩耗粉を掻き落すようにした振動型駆動装置が提案されている。
上記したように、振動型駆動装置は摩擦摺動面の状態が重要であるが、摩擦により駆動するといった特性上、駆動時間が増加するに従い摺動面の状態が変化して性能変化が起こる。
特に、摩耗により発生した粉が摩擦摺動面にまばらに付着することにより、振動子と移動体との接触状態に不均一が生じ、振動型駆動装置の特長である静粛で高精度かつスムーズな動作を損なうことが問題となっている。
このような課題に対して従来、摩擦摺動面の材質を工夫するなどの対策を行い耐摩耗性をある程度向上させているが、現実的に摩耗を無くすことは困難である。
特に、摩耗により発生した粉が摩擦摺動面にまばらに付着することにより、振動子と移動体との接触状態に不均一が生じ、振動型駆動装置の特長である静粛で高精度かつスムーズな動作を損なうことが問題となっている。
このような課題に対して従来、摩擦摺動面の材質を工夫するなどの対策を行い耐摩耗性をある程度向上させているが、現実的に摩耗を無くすことは困難である。
また、上記した特許文献2の振動型駆動装置における、摩擦摺動面に溝を設けて振動子側の溝により移動体摩擦摺動面に付着した摩耗粉を掻き落す構成では、初期の駆動時点では溝の角により効率よく摩耗粉が除去されるが、長時間駆動において効果が低くなる。
すなわち、長時間駆動することにより、溝の角が丸みを帯びてくるため摩耗粉を掻き落す効果が低くなってしまうこととなる。
すなわち、長時間駆動することにより、溝の角が丸みを帯びてくるため摩耗粉を掻き落す効果が低くなってしまうこととなる。
本発明は、上記課題に鑑み、長時間の駆動においても摩擦接触によって発生した摩耗粉を掻き落とす機能の低下を抑制することができ、安定した駆動が可能となる振動型駆動装置の提供を目的とするものである。
本発明の振動型駆動装置は、電気−機械エネルギー変換素子と、前記電気−機械エネルギー変換素子が接合された振動部とを有し、前記振動部に楕円運動が生成可能に構成された振動子と、
前記振動子の振動部と摩擦接触し、前記楕円運動によって該振動子に対して相対移動する被駆動体と、を有する振動型駆動装置であって、
前記振動子及び前記被駆動体に設けられた摩擦摺動部材の少なくとも一方の摩擦接触面に、前記摩擦接触によって発生した摩耗粉を掻き落とす溝を備え、
前記溝は、該溝における深さ方向の少なくとも一方の面と前記摩擦摺動面とのなす角が鋭角となるように形成されていることを特徴とする。
前記振動子の振動部と摩擦接触し、前記楕円運動によって該振動子に対して相対移動する被駆動体と、を有する振動型駆動装置であって、
前記振動子及び前記被駆動体に設けられた摩擦摺動部材の少なくとも一方の摩擦接触面に、前記摩擦接触によって発生した摩耗粉を掻き落とす溝を備え、
前記溝は、該溝における深さ方向の少なくとも一方の面と前記摩擦摺動面とのなす角が鋭角となるように形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、長時間の駆動においても摩擦接触によって発生した摩耗粉を掻き落とす機能の低下を抑制することができ、安定した駆動が可能となる振動型駆動装置を実現することができる。
本発明を実施するための形態を、以下の実施例により説明する。
[実施例1]
実施例1として、本発明を適用した振動型駆動装置の構成例について、図1を用いて説明する。
図1(a)は振動型駆動装置の側面図、図1(b)は下面図、図1(c)は図1(a)の丸印部における断面拡大図である。
本実施例の振動型駆動装置1は、振動子2及び移動体(被駆動体)3であるリニアスライダを備える。
振動子2は電気−機械エネルギー変換素子と、この電気−機械エネルギー変換素子が接合された振動部とを有し、この振動部に楕円運動が生成可能に構成されている。
また、移動体(被駆動体)3は、上記振動子の振動部と摩擦接触し、上記楕円運動によって該振動子に対して相対移動するように構成されている。
なお、これらの部材の外にも、振動子2への給電を行う通電用の部材などが必要になる。これらの部材は、従来技術と同様であるため、説明を省略する。
具体的には、本実施例の振動子2は、矩形の薄板状に形成された電気−機械変換素子である積層圧電素子5と、この積層圧電素子5の上面に接合されて一体化される振動部を構成する弾性部材4とを備える。
また、弾性部材4の上面に形成された突起6と移動体3であるリニアスライダとが摩擦接触して相対移動するように構成されている。
移動体3は、振動子への加圧接触部材を兼ねる棒状のマグネット7に摩擦摺動部材8を接合し一体化されている。
実施例1として、本発明を適用した振動型駆動装置の構成例について、図1を用いて説明する。
図1(a)は振動型駆動装置の側面図、図1(b)は下面図、図1(c)は図1(a)の丸印部における断面拡大図である。
本実施例の振動型駆動装置1は、振動子2及び移動体(被駆動体)3であるリニアスライダを備える。
振動子2は電気−機械エネルギー変換素子と、この電気−機械エネルギー変換素子が接合された振動部とを有し、この振動部に楕円運動が生成可能に構成されている。
また、移動体(被駆動体)3は、上記振動子の振動部と摩擦接触し、上記楕円運動によって該振動子に対して相対移動するように構成されている。
なお、これらの部材の外にも、振動子2への給電を行う通電用の部材などが必要になる。これらの部材は、従来技術と同様であるため、説明を省略する。
具体的には、本実施例の振動子2は、矩形の薄板状に形成された電気−機械変換素子である積層圧電素子5と、この積層圧電素子5の上面に接合されて一体化される振動部を構成する弾性部材4とを備える。
また、弾性部材4の上面に形成された突起6と移動体3であるリニアスライダとが摩擦接触して相対移動するように構成されている。
移動体3は、振動子への加圧接触部材を兼ねる棒状のマグネット7に摩擦摺動部材8を接合し一体化されている。
本実施例の振動型駆動装置1の振動子2は、周波数が略一致する2つの曲げ振動モードを励起し、接触バネ部材を介してリニアスライダを相対移動させるように構成されている。
図2(a)、(b)に、振動子2の振動モードである2つのモード形状をそれぞれ模式的に示す。
また、本実施例における積層圧電素子5は、表面に電極を持つ薄板状の圧電素子膜を複数枚、積層して一体化したものである。
振動型駆動装置における摩擦摺動部材は摩擦係数が高く、耐摩耗性に優れたものである必要があり、本実施例では振動子側の摩擦摺動部材にはステンレス材に熱処理を行うことにより一定の耐摩耗性を確保している。
また、ステンレス材は振動特性にも優れた材料であり、弾性部材4は摩擦摺動部材と振動部材としての機能を兼ね備えた部材である。
一方、移動体側の摩擦摺動部材8には窒化処理を行ったステンレス板材を用いており、熱処理を行ったステンレス材よりも硬く、さらに耐摩耗性に優れたものである。接触する面積が広い相対的に移動体側の摩擦摺動部材8を、振動子側の摩擦摺動部材である突起6の硬度に対して、相対的に硬くすることにより、接触面積が狭い弾性部材4の突起6を優先的に摩耗させている。
これにより、移動体側の摩擦摺動部材8の摩耗を低減させ、移動位置による接触状態の不均一を防いでいる。
図2(a)、(b)に、振動子2の振動モードである2つのモード形状をそれぞれ模式的に示す。
また、本実施例における積層圧電素子5は、表面に電極を持つ薄板状の圧電素子膜を複数枚、積層して一体化したものである。
振動型駆動装置における摩擦摺動部材は摩擦係数が高く、耐摩耗性に優れたものである必要があり、本実施例では振動子側の摩擦摺動部材にはステンレス材に熱処理を行うことにより一定の耐摩耗性を確保している。
また、ステンレス材は振動特性にも優れた材料であり、弾性部材4は摩擦摺動部材と振動部材としての機能を兼ね備えた部材である。
一方、移動体側の摩擦摺動部材8には窒化処理を行ったステンレス板材を用いており、熱処理を行ったステンレス材よりも硬く、さらに耐摩耗性に優れたものである。接触する面積が広い相対的に移動体側の摩擦摺動部材8を、振動子側の摩擦摺動部材である突起6の硬度に対して、相対的に硬くすることにより、接触面積が狭い弾性部材4の突起6を優先的に摩耗させている。
これにより、移動体側の摩擦摺動部材8の摩耗を低減させ、移動位置による接触状態の不均一を防いでいる。
しかし、振動子側から発生する摩耗粉が互いの摩擦摺動面に堆積することにより接触状態が不均一になることから摩耗粉が摩擦摺動面に付着しないことや、または付着しても除去される必要がある。
そこで、本実施例の移動体3の摩擦摺動部材8には、摩耗粉を除去するための溝9が形成されている。
この溝9は、溝9における深さ方向の面9−1と、摩擦摺動部材8の摺動面8−1とのなす角αが鋭角をもっているため、初期でも掻き取る効果が高い。
本実施例においては角度αは60°とした。
また本発明において上記角度αの好ましい範囲は40°以上90°未満である。40°未満になると、摩擦摺動部材8の摺動部分が薄くなり剛性が下がるため、変形などにより摩擦摺動部材8の耐久性が下がるため好ましくない。一方、90°以上になると、摩耗粉の除去効果が小さくなるため好ましくない。本発明において角度αのより好ましい
範囲は、40°以上80°以下である。
更には、長時間駆動後に摩擦摺動部材が摩耗しても角度αが鋭角を維持するため、長期に渡り摩耗粉の除去機能を維持して摩耗粉を除去することが可能となる。本実施例では摩擦摺動部材8の溝9を放電加工によりテーパー状に形成してから、加工面側をマグネットの下面に接着材により接合している。
本実施例では複数の溝を形成しているが、1つの溝でも十分に効果を得ることができる。
移動体3の摩擦摺動部材を別部材にすることにより、アンダーカット形状の溝を摩擦摺動部材に形成することが可能となる。
なお、溝の形成はエッチングやレーザーによる除去加工でも良い。また、テーパー状のパンチを用いた絞りプレス加工を行っても良い。
そこで、本実施例の移動体3の摩擦摺動部材8には、摩耗粉を除去するための溝9が形成されている。
この溝9は、溝9における深さ方向の面9−1と、摩擦摺動部材8の摺動面8−1とのなす角αが鋭角をもっているため、初期でも掻き取る効果が高い。
本実施例においては角度αは60°とした。
また本発明において上記角度αの好ましい範囲は40°以上90°未満である。40°未満になると、摩擦摺動部材8の摺動部分が薄くなり剛性が下がるため、変形などにより摩擦摺動部材8の耐久性が下がるため好ましくない。一方、90°以上になると、摩耗粉の除去効果が小さくなるため好ましくない。本発明において角度αのより好ましい
範囲は、40°以上80°以下である。
更には、長時間駆動後に摩擦摺動部材が摩耗しても角度αが鋭角を維持するため、長期に渡り摩耗粉の除去機能を維持して摩耗粉を除去することが可能となる。本実施例では摩擦摺動部材8の溝9を放電加工によりテーパー状に形成してから、加工面側をマグネットの下面に接着材により接合している。
本実施例では複数の溝を形成しているが、1つの溝でも十分に効果を得ることができる。
移動体3の摩擦摺動部材を別部材にすることにより、アンダーカット形状の溝を摩擦摺動部材に形成することが可能となる。
なお、溝の形成はエッチングやレーザーによる除去加工でも良い。また、テーパー状のパンチを用いた絞りプレス加工を行っても良い。
つぎに、本実施例におけるいくつかの構成例について説明する。
図3に示すものは、図1のように移動体における摩擦摺動部材の溝を駆動方向と直交する方向に形成したものと相違し、摩擦摺動部材の溝を駆動方向対し斜めに(即ち直交しないように)形成した構成例である。
この構成例では、図3に示すように、移動体3に接合された摩擦摺動部材8には駆動方向Xに対し45°の角度を有した溝9が形成されている。本発明において、駆動方向Xに対する摩擦摺動部材の溝の角度とは、駆動方向Xと摩擦摺動部材の溝の方向との交差する角度のうち、小さい方の角度をいう。
本発明において上記駆動方向Xに対する摩擦摺動部材の溝の角度の範囲は、特に制限はないが、摩耗粉の除去効果の観点からは30°以上、60°以下が好ましい。さらに、摩擦接触する相手側である振動子の振動部の全面を必ず溝が通る(摩耗粉を除去する)ように、振動部の駆動方向と直交する方向の幅と溝の幅、及び角度を調整することが好ましい。
この構成によれば、振動子側の摩擦摺動部材である突起6の摺動面の一駆動方向に対して直交する稜線の全域が溝にあたることなく、常に稜線の一部は移動体3の摩擦摺動部材と接している。
そのため、振動子と移動体のどの接触位置においても均一な接触状態とすることができる。溝は直線に限らず曲線形状でも良い。
また、摩擦摺動部材8はチップ状に形成されており、複数個接合されているため移動体側面に溝が開口している。
そのため、溝の角によって除去された摩耗粉が前記移動体側面の溝の開口部から排出されるといった効果も得られる。
複数個の摩擦摺動部材は1枚の板を分割した摩擦摺動部材を分割前と同位置になるように配置してもよく、別々に製作したチップ状部材をランダムに並べてもよい。前記チップ状部材はプレス打抜きにより形成することができる。
また、図4(a)に示すものは、図1(c)のように溝の幅が摩擦接触する上記振動子または上記被駆動体のいずれか一方の相手側に向かって狭くなるように形成されているものと相違し、溝の深さ方向の一方の面が摩擦摺動面と鋭角を成すようにした構成例である。
この構成例では、図4(a)に示すように、溝の深さ方向の面側が略並行に形成されている、溝幅が均一な列であり、一方に傾斜させている。本実施例においては角度αは45°とした。
この構成によれば、一方の方向に移動した時に効果的に摩耗粉が除去される。
また、図4(b)に示すものは、深さ方向に略並行に形成された溝が交互に傾斜方向とは逆にして配置された構成例である。本実施例においては角度αは45°とした。
この構成例では、往復運動のどちらの方向へ移動した時でも同様に摩耗粉の除去効果が得られる。
また、溝の深さ方向の面は平面に限らず、図5に示すようにR形状でも良い。
また、図6に示すものは、複数の溝が交差した格子状に形成された構成例である。
本実施例においては、駆動方向Xに対する角度(駆動方向Xと溝の方向とのなす角の小さい方の角度)はそれぞれ45°とした。
図3に示す形状では、振動子と移動体の相対的な移動方向に対し、溝の形成される方向によって側力を発生することで、接触状態の均一性を損なうおそれがある。
これに対して、この図6の構成例によれば、溝による側力が相殺されることから、駆動方向によらず均一な接触状態を得ることができる。
なお、図6では複数の溝が交差した格子状に形成された例について説明したが、このような構成に限られるものではなく、複数の溝が少なくとも1ヵ所で交差しているものにおいても十分に効果を得ることができる。
図3に示すものは、図1のように移動体における摩擦摺動部材の溝を駆動方向と直交する方向に形成したものと相違し、摩擦摺動部材の溝を駆動方向対し斜めに(即ち直交しないように)形成した構成例である。
この構成例では、図3に示すように、移動体3に接合された摩擦摺動部材8には駆動方向Xに対し45°の角度を有した溝9が形成されている。本発明において、駆動方向Xに対する摩擦摺動部材の溝の角度とは、駆動方向Xと摩擦摺動部材の溝の方向との交差する角度のうち、小さい方の角度をいう。
本発明において上記駆動方向Xに対する摩擦摺動部材の溝の角度の範囲は、特に制限はないが、摩耗粉の除去効果の観点からは30°以上、60°以下が好ましい。さらに、摩擦接触する相手側である振動子の振動部の全面を必ず溝が通る(摩耗粉を除去する)ように、振動部の駆動方向と直交する方向の幅と溝の幅、及び角度を調整することが好ましい。
この構成によれば、振動子側の摩擦摺動部材である突起6の摺動面の一駆動方向に対して直交する稜線の全域が溝にあたることなく、常に稜線の一部は移動体3の摩擦摺動部材と接している。
そのため、振動子と移動体のどの接触位置においても均一な接触状態とすることができる。溝は直線に限らず曲線形状でも良い。
また、摩擦摺動部材8はチップ状に形成されており、複数個接合されているため移動体側面に溝が開口している。
そのため、溝の角によって除去された摩耗粉が前記移動体側面の溝の開口部から排出されるといった効果も得られる。
複数個の摩擦摺動部材は1枚の板を分割した摩擦摺動部材を分割前と同位置になるように配置してもよく、別々に製作したチップ状部材をランダムに並べてもよい。前記チップ状部材はプレス打抜きにより形成することができる。
また、図4(a)に示すものは、図1(c)のように溝の幅が摩擦接触する上記振動子または上記被駆動体のいずれか一方の相手側に向かって狭くなるように形成されているものと相違し、溝の深さ方向の一方の面が摩擦摺動面と鋭角を成すようにした構成例である。
この構成例では、図4(a)に示すように、溝の深さ方向の面側が略並行に形成されている、溝幅が均一な列であり、一方に傾斜させている。本実施例においては角度αは45°とした。
この構成によれば、一方の方向に移動した時に効果的に摩耗粉が除去される。
また、図4(b)に示すものは、深さ方向に略並行に形成された溝が交互に傾斜方向とは逆にして配置された構成例である。本実施例においては角度αは45°とした。
この構成例では、往復運動のどちらの方向へ移動した時でも同様に摩耗粉の除去効果が得られる。
また、溝の深さ方向の面は平面に限らず、図5に示すようにR形状でも良い。
また、図6に示すものは、複数の溝が交差した格子状に形成された構成例である。
本実施例においては、駆動方向Xに対する角度(駆動方向Xと溝の方向とのなす角の小さい方の角度)はそれぞれ45°とした。
図3に示す形状では、振動子と移動体の相対的な移動方向に対し、溝の形成される方向によって側力を発生することで、接触状態の均一性を損なうおそれがある。
これに対して、この図6の構成例によれば、溝による側力が相殺されることから、駆動方向によらず均一な接触状態を得ることができる。
なお、図6では複数の溝が交差した格子状に形成された例について説明したが、このような構成に限られるものではなく、複数の溝が少なくとも1ヵ所で交差しているものにおいても十分に効果を得ることができる。
[実施例2]
実施例2として、実施例1のリニアスライダとは異なる形態の振動型駆動装置の構成例について、図7を用いて説明する。
図7(a)は本実施例の振動型駆動装置における振動子の外観斜視図であり、図7(b)はその丸印部の拡大図である。
本実施例の振動子2は、円形の薄板状に形成された電気−機械変換素子である圧電素子(図示せず)と、この圧電素子の一端面に接合されて一体化される弾性部材4とにより構成されている。
弾性部材4のもう一方の端面の摩擦摺動部に形成された櫛歯10と移動体3である円環状スライダ(図示せず)とが摩擦接触して相対移動する。
本実施例では振動子の櫛歯上面の上記円環状スライダとの摩擦接触面に、該摩擦接触面と対向する方向に深さを有する溝が形成されており、該溝の深さ方向の一方の面が該摩擦摺動面と鋭角を形成している。本実施例においては、溝の深さ方向の一方の面と該摩擦摺動面との角度αは80°とした。
実施例1と同様、長時間駆動後に摩擦摺動部材が摩耗しても鋭角を維持するため効果的に摩耗粉を除去することができる。
本実施例での溝は、放射状に且つ直線的に形成されているが、中心点と直交しない斜めの方向や曲線形状、螺旋形状に形成されても効果が得られる。
実施例2として、実施例1のリニアスライダとは異なる形態の振動型駆動装置の構成例について、図7を用いて説明する。
図7(a)は本実施例の振動型駆動装置における振動子の外観斜視図であり、図7(b)はその丸印部の拡大図である。
本実施例の振動子2は、円形の薄板状に形成された電気−機械変換素子である圧電素子(図示せず)と、この圧電素子の一端面に接合されて一体化される弾性部材4とにより構成されている。
弾性部材4のもう一方の端面の摩擦摺動部に形成された櫛歯10と移動体3である円環状スライダ(図示せず)とが摩擦接触して相対移動する。
本実施例では振動子の櫛歯上面の上記円環状スライダとの摩擦接触面に、該摩擦接触面と対向する方向に深さを有する溝が形成されており、該溝の深さ方向の一方の面が該摩擦摺動面と鋭角を形成している。本実施例においては、溝の深さ方向の一方の面と該摩擦摺動面との角度αは80°とした。
実施例1と同様、長時間駆動後に摩擦摺動部材が摩耗しても鋭角を維持するため効果的に摩耗粉を除去することができる。
本実施例での溝は、放射状に且つ直線的に形成されているが、中心点と直交しない斜めの方向や曲線形状、螺旋形状に形成されても効果が得られる。
図8(a)は移動体である円環状スライダ11であり、図8(b)はその丸印部の拡大図である。
溝は移動体に形成されても良く、また振動子、移動体の両方に形成されても良い。本実施例においては、溝の深さ方向の一方の面と該摩擦摺動面との角度αは80°とした。
このように移動体の溝と振動子の櫛歯または溝が交差する位置に形成することによって、溝の接触位置における回転不均一を防ぐ事ができる。
また、溝形状は振動子同様、中心点と直交しない斜めの方向や曲線形状、螺旋形状に形成されても効果が得られる。
溝は移動体に形成されても良く、また振動子、移動体の両方に形成されても良い。本実施例においては、溝の深さ方向の一方の面と該摩擦摺動面との角度αは80°とした。
このように移動体の溝と振動子の櫛歯または溝が交差する位置に形成することによって、溝の接触位置における回転不均一を防ぐ事ができる。
また、溝形状は振動子同様、中心点と直交しない斜めの方向や曲線形状、螺旋形状に形成されても効果が得られる。
[実施例3]
実施例3として、振動型駆動装置における摩擦摺動部材の製造方法の構成例について、図9を用いて説明する。
図9は、本実施例におけるメッキによる摩擦摺動部材の形成工程の一例を示す図である。
本実施例では、無電解ニッケルメッキに硬質粒子であるSiCを含有させた複合メッキを摩擦摺動部材として施している。
移動体であるマグネット7の摩擦摺動部材を形成する面に形成する摩擦摺動部材と同形状のマスク11を配置(工程1)。
次に、樹脂材12をマスク11の上面から塗布を行う(工程2)。
このとき樹脂材12が液状であるため、アンダーカット状になったマスク11とマグネット7の接触面近傍まで十分に回り込むことが可能である。
次に、樹脂材12を硬化後、マスク11を外す(工程3)。
次に、摩擦摺動部材である複合メッキ13を施す(工程4)。
そして、複合メッキ13の表面を樹脂材12の面が出てくるまで研削を行い(工程5)、樹脂を溶剤により除去する(工程6)。
以上の工程により、移動体の摩擦摺動材を一体的に形成することが可能となる。これにより部品点数の低減化と、工数の低減化(接合工程廃止)や、一体的形成による品質の安定、等を図ることができる。
実施例3として、振動型駆動装置における摩擦摺動部材の製造方法の構成例について、図9を用いて説明する。
図9は、本実施例におけるメッキによる摩擦摺動部材の形成工程の一例を示す図である。
本実施例では、無電解ニッケルメッキに硬質粒子であるSiCを含有させた複合メッキを摩擦摺動部材として施している。
移動体であるマグネット7の摩擦摺動部材を形成する面に形成する摩擦摺動部材と同形状のマスク11を配置(工程1)。
次に、樹脂材12をマスク11の上面から塗布を行う(工程2)。
このとき樹脂材12が液状であるため、アンダーカット状になったマスク11とマグネット7の接触面近傍まで十分に回り込むことが可能である。
次に、樹脂材12を硬化後、マスク11を外す(工程3)。
次に、摩擦摺動部材である複合メッキ13を施す(工程4)。
そして、複合メッキ13の表面を樹脂材12の面が出てくるまで研削を行い(工程5)、樹脂を溶剤により除去する(工程6)。
以上の工程により、移動体の摩擦摺動材を一体的に形成することが可能となる。これにより部品点数の低減化と、工数の低減化(接合工程廃止)や、一体的形成による品質の安定、等を図ることができる。
以上に説明した振動子及び前記被駆動体に設けられた摩擦摺動部材の少なくとも一方の摩擦接触面に溝が形成された構成によれば、長時間の駆動においても安定した駆動が可能となる。
すなわち、溝における深さ方向の少なくとも一方の面と上記摩擦摺動面とのなす角が鋭角となるように形成されることにより、長時間駆動後も溝の摩擦摺動面と鋭角が維持される。これにより、効果的に摩擦接触によって発生した摩耗粉を掻き落とすことができ、安定した性能を得ることができる。
すなわち、溝における深さ方向の少なくとも一方の面と上記摩擦摺動面とのなす角が鋭角となるように形成されることにより、長時間駆動後も溝の摩擦摺動面と鋭角が維持される。これにより、効果的に摩擦接触によって発生した摩耗粉を掻き落とすことができ、安定した性能を得ることができる。
1:振動型駆動装置
2:振動子
3:移動体
4:弾性部材
5:積層圧電素子
6:突起
7:マグネット
8:摩擦摺動部材
8−1:溝を有する摩擦摺動部材の摺動面
9:溝
9−1:溝の深さ方向の一方の面
2:振動子
3:移動体
4:弾性部材
5:積層圧電素子
6:突起
7:マグネット
8:摩擦摺動部材
8−1:溝を有する摩擦摺動部材の摺動面
9:溝
9−1:溝の深さ方向の一方の面
Claims (7)
- 電気−機械エネルギー変換素子と、前記電気−機械エネルギー変換素子が接合された振動部とを有し、前記振動部に楕円運動が生成可能に構成された振動子と、
前記振動子の振動部と摩擦接触し、前記楕円運動によって該振動子に対して相対移動する被駆動体と、を有する振動型駆動装置であって、
前記振動子及び前記被駆動体に設けられた摩擦摺動部材の少なくとも一方の摩擦接触面に、前記摩擦接触によって発生した摩耗粉を掻き落とす溝を備え、
前記溝は、該溝における深さ方向の少なくとも一方の面と前記摩擦摺動面とのなす角が鋭角となるように形成されていることを特徴とする振動型駆動装置。 - 前記摩擦摺動部材における摩擦接触面の溝の方向が、前記相対移動する方向に対して直交しないように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の振動型駆動装置。
- 前記摩擦摺動部材における摩擦接触面の溝は、該溝の幅が摩擦接触する前記振動子または前記被駆動体のいずれか一方の相手側に向かって狭くなるように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の振動型駆動装置。
- 前記摩擦摺動部材における摩擦接触面の溝は、該溝の深さ方向に略並行に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の振動型駆動装置。
- 電気−機械エネルギー変換素子と、前記電気−機械エネルギー変換素子が接合された振動部とを有し、前記振動部に楕円運動が生成可能に構成された振動子と、
前記振動子の振動部と摩擦接触し、前記楕円運動によって該振動子に対して相対移動する被駆動体と、を有する振動型駆動装置であって、
前記振動子及び前記被駆動体に設けられた摩擦摺動部材の少なくとも一方の摩擦接触面に形成された複数の溝を備え、
前記複数の溝の少なくとも一つの溝が、請求項1から4のいずれか1項に記載の溝で構成されていることを特徴とする振動型駆動装置。 - 前記摩擦接触面に形成された複数の溝が、少なくとも1ヵ所で交差していることを特徴とする請求項5に記載の振動型駆動装置。
- 前記摩擦摺動部材が、前記振動子または前記移動体に一体的に形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010208874A JP2012065485A (ja) | 2010-09-17 | 2010-09-17 | 振動型駆動装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015176078A (ja) * | 2014-03-17 | 2015-10-05 | オリンパス株式会社 | 超音波ステージ |
-
2010
- 2010-09-17 JP JP2010208874A patent/JP2012065485A/ja active Pending
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