JP2012064895A - 集光装置、光発電装置及び光熱変換装置 - Google Patents

集光装置、光発電装置及び光熱変換装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光エネルギーを効率的に利用可能な新たな集光手段を提供する。
【解決手段】本発明を例示する態様の集光装置1は、集光レンズ10と、透明部材を基材21として構成され集光レンズ10により集光されて入射する入射光を導く集光光学素子20とから構成される。基材21は、入射光を透過する上面22及び上面と対向して延びる下面23と、上面22及び下面23を繋いで周囲を囲む側面25とを有する。集光光学素子20は、入射光の入射位置に対応して基材21に設けられた光学構造を30有し、集光レンズ10により集光されて集光光学素子20に入射した入射光が、光学構造30により散乱され、散乱された散乱光が上面22及び下面23による全反射を利用して側面25に導かれるように構成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、光を集光する装置に関し、なお詳細には、集光レンズを介して厚さ方向に入射する光を側面方向に集光する集光装置、これを用いた光発電装置並びに光熱変換装置に関する。
近年、CO2排出量の削減が全世界的に求められ、自然エネルギーの利用が進められている。太陽光のエネルギー利用では、旧来より太陽熱温水器等により太陽光の熱エネルギー利用が用いられてきたほか、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換して利用する太陽光発電システムが一般家庭に導入され、大規模な太陽光発電所も各国で実用化段階に入りつつある。
光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池セルは、光電変換する材料分類上、シリコン系、化合物系、有機系、色素増感系などに分類される。このような材料により構成される一般的な太陽電池のセルは、電力への変換効率が概ね10〜20%程度である。これに対し、太陽光の放射スペクトル範囲を複数の波長帯域に分割し、各波長帯域の光を光電変換するのに最適なバンドギャップの半導体層を複数積層して、電力への変換効率を40%程度まで高めた多接合型(タンデム型、積層型などとも称される)の太陽電池セルが開発されている。
しかし、上記のような高効率の太陽電池セルは極めて高価であり、航空宇宙などの特殊な用途以外では使用することが困難である。そこで、小型のセルに太陽光を集光して入射させることでコストを低減し、高効率で太陽光発電を行う集光型の太陽電池モジュールが考案されている。集光形式として、太陽光をフレネルレンズや反射鏡(レンズ等)により集光して太陽電池セルに直接入射させるレンズ集光型(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)、多数の蛍光粒子が均一分散された蛍光プレートに太陽光を入射させ、各蛍光粒子により発生された蛍光をプレート側方に導出して集光する蛍光プレート集光型(例えば、特許文献3を参照)、ホログラムフィルム及び太陽電池セルが挟み込まれたプレートに太陽光を入射させ、ホログラムフィルムにより回折した光を太陽電池セルに導く分光集光型(例えば、特許文献4を参照)などが提案されている。
特表2005−142373号公報 特開2005−217224号公報 米国特許出願公開第2006/0107993号明細書 米国特許第6274860号明細書
しかしながら、上記各集光方式には一長一短がある。例えば、太陽光をフレネルレンズや反射鏡等により集光し、収束光を太陽電池セルに直接入射させる従来のレンズ集光型では、比較的大型のレンズ等と各レンズ等に対応した太陽電池セルが設けられている。このため、レンズ等の焦点距離に応じて装置が大型化するという課題がある。また、多数の太陽電池セルがレンズ等の焦点位置に分散配置されるため装置が複雑化するという課題がある。一方、蛍光プレート集光型や分光集光型は、モジュールの光軸方向寸法(厚さ)を薄くできるが、波長依存性や変換効率の面で改善すべき余地がある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、太陽光等の光エネルギーを、簡明な装置で効率的に利用可能な新たな集光手段を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明を例示する第1の態様は集光装置である。この集光装置は、集光レンズと、透明部材を基材として構成され集光レンズにより集光されて入射する入射光を導く集光光学素子とからなる。前記基材は、入射光を透過する上面及び上面と対向して延びる下面と、上面及び下面を繋いで周囲を囲む側面とを有し、前記集光光学素子は、入射光の入射位置に対応して基材に設けられ入射光を散乱する光学構造を有し、前記集光レンズにより集光されて集光光学素子に入射した入射光が光学構造により散乱され、散乱された散乱光が上面及び下面による全反射を利用して側面に導かれるように構成される。なお、便宜的に、入射光が入射する面を「上面」とし、この上面に対向して延びる面を「下面」と表記するが、集光装置の配設姿勢は光が入射する方位等に応じて任意であり、位置や姿勢を規定するものではない。
なお、前記光学構造は、入射光のスポット径が略最小となる位置に設けることができる。また、前記光学構造の大きさ(例えば、実施形態における光学構造の直径D)は、集光レンズに入射する光の入射光軸(実施形態における光軸LA)に対する角度幅に基づいて設定することができる。
また、前記集光レンズが複数設けられ、前記集光光学素子は、各集光レンズの入射位置に対応して設けられた複数の光学構造を有して一体に形成されるように構成しても良い。
本発明を例示する第2の態様は光発電装置である。この態様の光発電装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の集光装置と、集光装置により出射面に導かれた光を光電変換する光電変換素子とを備えて構成される。
本発明を例示する第3の態様は光熱変換装置である。この態様の光熱変換装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の集光装置と、集光装置により出射面に導かれた光を光熱変換する光熱変換素子とを備えて構成される。
本発明の第1の態様の集光装置は、集光レンズを介して上面から入射し光学構造により散乱された散乱光が上下面による全反射を利用して出射面に導かれるように構成される。従って、このような態様の集光装置によれば、太陽光等の光エネルギーを効率的に利用可能な、新たな集光手段を提供することができる。
本発明の第2の態様の光発電装置は、上記のような集光装置と、集光装置により集光された光を光電変換する光電変換素子とを備えて構成される。このため、薄型かつ簡明な構成で太陽光等の光エネルギーを効率的に利用可能な光発電装置を提供することができる。
本発明の第3の態様の光熱変換装置は、上記のような集光装置と、集光装置により集光された光を光電変換する光熱変換素子とを備えて構成される。このため、薄型かつ簡明な構成で太陽光等の光エネルギーを効率的に利用可能な光熱変換装置を提供することができる。
本発明の態様を例示する光発電装置の外観斜視図である。 本発明の態様を例示する集光装置の原理を説明するための概念図である。 上記集光装置における集光光学素子を斜め上方から見た斜視図である。 上記集光光学素子に集束光を入射したシミュレーションデータの一例である。 集光光学素子に閉じ込められる散乱光の条件を説明するための説明図である。 集光光学素子に設けられる光学構造の大きさに関する条件を説明するための説明図である。 計算式に基づいて算出されるレンズ焦点距離と光学構造の大きさとの関係を示すグラフである。 集光レンズ及び集光光学素子の模式的な斜視図である。 上記集光レンズ及び集光光学素子からなる集光装置における光線追跡のシミュレーションデータである。 PMMAにおける波長と屈折率との関係を示す図表である。 太陽光の放射スペクトル分布を表すグラフである。 光学構造の大きさを変化させたときの、集光レンズ〜集光光学素子間距離と集光効率との関係を示すシミュレーションデータである。 集光レンズと集光光学素子及び光学構造の上下方向の位置関係を示す模式図である。 光学構造の大きさを変化させたときの、集光レンズに入射する光の光軸に対する傾き角度と集光効率との関係を算出したシミュレーションデータである。 光学構造の構成を例示する模式図である。 集光光学素子からの光エネルギーの取り出し手法を例示する概念図である。
[光発電装置の概要]
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。まず、装置全体の概要を把握するため、光発電装置PVSの全体構成について図1及び図2を参照して概要説明する。図1は本発明の態様を例示する光発電装置PVSの外観斜視図、図2は光発電装置PVSにおける集光装置1の原理を説明するための概念図である。
説明を明瞭化するため、相互に直行するx軸、y軸、z軸から成る座標系を規定し図1中に示す。ここで、z軸は光発電装置PVSにおける集光装置1の厚さ方向(集光レンズの光軸方向)に延びる軸、x軸及びy軸は、z軸と垂直に交わる面内で相互に直行する二軸であり集光装置1により集光される光の導出方向に延びる軸である。なお、説明の便宜上から、図2に示す姿勢をもって上下左右ということがあるが、光発電装置PVSの配設姿勢は光の入射方位に応じて任意であり、位置や姿勢を規定するものではない。
光発電装置PVSは、大別的に、入射する光を集光する集光装置1と、集光装置1により集光された光を光電変換する光電変換素子5とを備えて構成される。集光装置1は、上方から入射する光(例えば太陽光)を集光する集光レンズ10と、集光レンズ10により集光されて入射する入射光を側端部に導く集光光学素子20とを備えて構成される。集光レンズ10及び集光光学素子20は、各々、例えば光学ガラス等の無機材料やPMMA(ポリメチルメタクリレート)等の樹脂材料を用いて作製される。
図1に示す構成形態は、複数の集光レンズ10(1011,1012,…10m1,10m2,…10mn)をx軸方向及びy軸方向に複数行×複数列(m行×n列、m及びnは自然数)並べてマトリクス状に配設し、方形のレンズアレイを形成した構成を示す。レンズアレイは複数の集光レンズ10をマトリクス状に一体成型して構成し、あるいは個々に形成した集光レンズ10を枠体等にマトリクス状に配置固定して構成することができる。
集光光学素子20は、集光レンズ10により集光されてz軸方向に入射する入射光を散乱する光学構造30を有し、散乱された散乱光をx軸方向及びy軸方向の両側面25に導くように構成される。図1に示す構成形態は、複数の集光レンズ10により集光入射する各入射光に対応する複数(m行×n列)の光学構造30,30,…を有し、一体の方形プレート状に形成した構成例を示す(図8を参照)。光電変換素子5は、集光光学素子20の側面25に対向して集光光学素子20の周囲を囲むように設けられており、例えば、前述した種々の形態の太陽電池セルを用いて構成することができる。なお、集光光学素子20を円盤状に形成した場合には、集光光学素子5を円筒状とし一体に構成することができる。
図3に集光光学素子20の模式的な斜視図(部分拡大図)を示し、集光光学素子20に集光レンズ10を介して集束光を入射したときの光線追跡のシミュレーションデータの一例を図4に示す。集光光学素子20は、入射する光の波長帯域において透明な透明部材を基材21として構成される。基材21は、入射光を透過する上面22及び上面と対向して平行に延びる下面23と、上面22及び下面23を繋いで周囲を囲む側面25とを有する。集光光学素子20は、入射光の入射位置に対応して基材21に設けられ入射光を散乱する光学構造30を有し、集光レンズ10により集光されて素子内に入射した入射光が光学構造30により散乱され、散乱された散乱光が上面22及び下面23による全反射を利用して側面25に導かれるように構成される。
光学構造30は、上面22及び下面23を含む基材内部に、入射光の入射位置に対応して設けられた散乱構造体であり、集光レンズ10により集光されて光学構造30に入射する入射光を周囲に散乱する。光学構造30の具体的な構成例については後述する。
いま、集光レンズ10を介して基材21に入射した入射光が、光学構造30によりx,y,z方向の全方位に(球面状に)散乱される場合を考える。図5に示すように、媒体(空気)の屈折率をn0、基材21の屈折率をn1とし、集光レンズ10の中心を通りz軸方向に延びる入射光の光軸LAに対する散乱光の光線のなす角度をθとしたとき、散乱光が上面22において全反射される臨界条件は、スネルの法則により下記(1)式で求められる。
1sinθ=n0・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
(1)式から角度θは
θ=sin(n1/n0)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
散乱が全方位に生じるとすると、立体角Ωは
Ω=2π(1−cosθ)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
すなわち、光学構造30により上半球に散乱される散乱光のうち、立体角がΩである錐面を境界とし、境界外側の領域に散乱する光線は上面22において全反射され、境界内側の領域に散乱する光線は上面22から出射する。光学構造30により下半球に散乱される散乱光についても同様である。
以上から、基材21に入射する入射光の全光量に対して、4つの側面25に到達する散乱光の光量の割合、すなわち集光光学素子20の理論的な集光効率ηth(概算値)は、下記(4)式で求められる。
ηth=(4π−2Ω)/4π=cosθ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
いま、n0=1、n1=1.5とすると、(2)式及び(4)式から、θ=41.8度、ηth=74.5%となる。
ところで、集光レンズ10に入射する光が、集光レンズ10の中心を通る光軸LAに対して角度幅を持つ場合には、集光スポット位置がx−y平面内で変化する。例えば、太陽は有限の大きさ(視直径で0.52度)を有することから太陽光は完全な平行光ではなく、中心値に対して±0.26度の角度幅を持つ。そのため、集光レンズ10により集光されて入射する入射光を、入射位置に対応して設けた光学構造30で効率的に散乱させるためには、入射光の角度幅に応じた大きさが必要となる。
図6に示す集光モデルにおいて、焦点距離fの集光レンズ10に、光軸LAに沿って入射した集束光の集光スポット位置をH、光軸LAに対して角度α傾いて入射した集束光の集光スポット位置をHαとすると、x−y平面上における集光スポット位置の変化量ΔHは
ΔH=(Hα−H)=ftanα・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
光学構造30を球形または円盤状としたとき半径(異形形状の場合には相当円の半径)をRとすれば
R=(Hα−H)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
いま、集光装置1により太陽光を集光するとすれば、角度αは太陽の視直径0.52度の半角であり、α=0.26度となる。これを(5)(6)式に代入すると、光学構造30の最小半径Rminは概略下記(7)式で求められる。
min=ftan(0.26°)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
(7)式に基づいて求めた集光レンズ10の焦点距離f[mm]と、光学構造30の最小直径Dmin=2Rmin[μm]との関係を図7に示す。図7から、集光レンズ10の焦点距離fと光学構造30の最小直径がDminとは比例関係にあり、焦点距離f=20[mm]の場合に最小直径がDmin≒180[μm]、焦点距離f=30[mm]の場合に最小直径Dmin≒270[μm]となっている。なお、より詳細には、集光レンズ10の各種の収差や基材21の屈折率等により光学構造30の最小直径は変化し、光学構造30の直径に応じて集光効率が変化する。そこで、発明者らは光学設計者に広く用いられているモンテカルロ法による計算モデルを用い光線追跡によるシミュレーションを行った。
[光線追跡によるシミュレーション]
図8はシミュレーションに用いた集光レンズ10及び集光光学素子20の模式的な斜視図である。集光レンズ10は、一辺の長さが10×10[mm]、焦点距離f=20[mm]の集光レンズを、10行×10列(図1におけるm=n=10)x軸方向及びy軸方向にマトリクス状に並べ、複数の集光レンズ1011,1012…10110,10101,10102…101010(以下、個々の集光レンズを指すときに便宜的に「単位集光レンズ」ということがある)からなる100×100[mm]の方形のレンズアレイとした。
集光光学素子20は、一辺の長さが100×100[mm]、厚さが1[mm]のPMMAを基材21とし、レンズアレイと組み合わせたときに各単位集光レンズの光軸LAが通る対応位置の板厚中心に光学構造30,30…を設けた。集光光学素子20の4つの側面25にはARコートが施され、集光光学素子内を伝播して側面に到達した光は全光量が側面25から出射するものとした。各光学構造30は、直径D[μm]の球体とし、各集光レンズを介して球心に集光入射する入射光をx,y,z方向の全方位に(球面状に)均一に散乱させるものとした。
集光レンズ10に入射する光は、光軸LAに対する角度幅が±0.26度で波長λ=350〜1100[nm]の太陽光とした。この波長帯域におけるPMMAの屈折率は図10に示す表の値を直線補間したものを用い、入射光のスペクトル密度は太陽光の放射スペクトルに基づいて図11に示すものとした。
このような条件のもと、光学構造30の直径をD=400[μm]として光線追跡を行ったときのシミュレーションデータの一例を図9に示す。図9において、(a)は集光装置1をx軸に沿って側方から見た側面視のシミュレーションデータ、(b)は集光装置1を斜め下方(集光光学素子20の下面側)から見た斜視のシミュレーションデータである。なお、本シミュレーションでは、集光レンズ10を介して集光光学素子20に入射した入射光が、集光光学素子20の4つの側面25に到達するか、上面22または下面23から出射するまでを光線追跡している。
図9(a)(b)から、各集光レンズ10を介して集光光学素子20に集光入射し光学構造30により散乱された散乱光が、上面22及び下面23により全反射されて4つの側面25に到達していることがわかる。また、散乱光の一部が、光学構造30近傍の上面22及び下面23から外部に出射する様子が見られる。外部に出射する漏出光には、その出射角度から、光学構造30により散乱されて一旦集光光学素子20の内部に閉じ込められた散乱光が、伝播過程で他の光学構造30に入射して再び散乱され、上面22または下面23への入射角が全反射角未満になって出射するものが含まれると考えられる。
図12は、光学構造30の直径Dをパラメータとし、集光レンズ10〜集光光学素子20間の距離dと、集光効率(集光光学素子20に入射した入射光の全光量に対する4つの側面25に到達した散乱光の光量の割合)ηとの関係を算出したシミュレーションデータである。図中に枠囲みして示すように、本実施例では、光学構造30の直径Dを50〜800[μm]の範囲において7段階に変化させてシミュレーションを行った。
このとき、集光レンズ10と集光光学素子20及び光学構造30の位置関係を図13に示す。集光レンズ10は上面(太陽光の入射面)が平面、下面(同出射面)が非球面で厚さt10=3[mm]、d線において波面収差が小さくなるように設計した非球面レンズを用いた。また、図12における集光レンズ10〜集光光学素子20間の距離d[mm]は、集光レンズ10の上面から集光光学素子20の下面まで距離である。なお、集光光学素子20の板厚t20は1[mm]であり、光学構造30は上面22及び下面23からt20/2の位置、すなわち板厚中心に配設されている。
図12から、光学構造30の直径Dが50,100[μm]では、最大値でも集光効率ηが40%未満である。これは、太陽光を集光する集光モデルでは、集光レンズ10に入射する光が光軸LAに対して±0.26度の角度幅を有し、焦点距離f=20[mm]の場合に、前述した(7)式により算出される光学構造の最小直径がDmin≒180[μm]であることによる。すなわち、光学構造30の直径Dが50,100[μm]では、上記最小直径Dminよりも小さく、光学構造30により散乱されずに側方を通って下面23から出射する光量が多いためと考えられる。
計算上の最小直径Dmin≒180[μm]に近い光学構造30の直径D=200[μm]では、集光効率ηの最大値は55%程度まで高まるが、本パラメータ下における最高値にはなっていない。集光効率ηが最高値となるのは、本パラメータ下において光学構造30の直径D=400[μm]、集光レンズ10〜集光光学素子20間の距離d=23.4[mm]のときであり、最高効率ηMAX=63.8%であった。
最高効率となる光学構造の直径Dが計算上の最小直径Dminよりも大きいのは、入射光が波長λ=350〜1100[nm]の帯域幅を有することから、集光レンズ10の色収差に基づき焦点位置において所定のスポット径を有することによると考えられる。また、シミュレーションにより算出された最高効率ηMAXが、(2)式及び(4)式により算出された理論的な集光効率ηth(概算値)よりも低いのは、集光光学素子20に100か所の光学構造30が設けられていることによると考えられる。
つまり、任意の光学構造30により散乱されて集光光学素子内部に閉じ込められた散乱光の一部が、側面25への伝播過程で他の光学構造30に入射して再び散乱(多重散乱)され、上面22または下面23から出射することによると考えられる(図9を参照)。逆説すれば、光学構造30を入射光のスポット径が最小となる位置に設けることにより、光学構造30の必要直径を最小化し集光効率を高めることができる。
また、光学構造30の直径がD=600,800[μm]の場合、集光効率ηの最大値はD=400[μm]の場合よりも幾分低いが60%を超えており、集光レンズ10〜集光光学素子20間の距離dについてD=400[μm]の場合よりも広い範囲でη≧60%を確保可能なことがわかる。
次に、光学構造30の直径Dをパラメータとし、集光レンズ10に入射する光(太陽光光線の中心値)の光軸LAに対する傾き角度と、集光効率ηとの関係を算出したシミュレーションデータを図14に示す。図中に枠囲みして示すように、本実施例では、光学構造30の直径Dを200,400,600[μm]の3段階に変化させてシミュレーションを行った。
このシミュレーションデータから、光学構造30の直径Dが大きい方が、光軸LAに対する傾き角度の大きい範囲まで高い集光効率を維持可能であること、換言すれば、光軸LAに対する入射角の許容幅が広いことがわかる。
以上の実施例は、基材21の屈折率n1が図10に示す屈折率特性の場合、すなわち屈折率の平均値がn1≒1.5の場合を例示した。(2)式、(4)式及びこれまでの説明から理解されるように、基材21の屈折率n1をより高い屈折率とすることにより、光軸LAに対する全反射条件を満たす角度θを小さくし、集光効率ηを高めることが可能である。例えば、基材21の屈折率がn1=1.5の場合の理論的な集光効率ηth=74.5%に対して、n1=1.6の場合の理論的集光効率ηth=78.1%、n1=1.8の場合の理論的集光効率ηth=83.1%、n1=2.0の場合の理論的集光効率ηth=86.6%であり、基材21の屈折率を高めることにより集光光学素子20の集光効率ηをさらに向上させることが可能である。
次に、光学構造30の具体的な構成例について図15を参照して説明する。図15における(a)は、集光光学素子20の内部(例えば板厚中心)に光学構造30を形成する場合の構成例である。このような構成は、基材21中に光散乱性を有する異種材料や気泡等を混入して形成し、あるいは基材21に対して比較的吸収率が低いレーザ光を集光入射し、基材内部の焦点位置にマーキングを施すようにして形成することができる。
図15(b)は、集光光学素子21の上面22または下面23に光学構造30を形成する場合の構成例である。このような構成は、基材21の表面にサンドブラスト等の手法により形成し、あるいは基材21に対して比較的吸収率が高いレーザ光を入射して基材表面にマーキングを施すようにして形成することができる。
[集光光学素子の端部における光エネルギーの取り出し手法]
次に、以上説明した集光装置1において、集光レンズ10及び集光光学素子20により集光されて四方の側面25,25…から出射する光のエネルギー取り出し手法について、幾つかの代表的な概念を例示する図16(a)〜(e)を参照しながら簡明に説明する。なお、集光光学素子20の四方の側面25には、太陽光の波長帯域の光に対して反射を防止するARコートが施されている。
(a)は、集光光学素子20の四方の側面25まで導かれた光を、各側面25からそのまま取り出し、光として利用する構成例の概念図である。この場合において、集光光学素子20の側面25から出射する光をシリンドリカルレンズ91や集光ロッド92等を介して集光し、集光された光を光ファイバー93により所望位置に導光するような構成が例示される。
(b)は、集光光学素子20の各側面25に導かれた光を、電気エネルギーまたは熱エネルギーに変換して利用する場合の第1構成例の概念図である。この図は、光電変換素子5を集光光学素子20の出射端部に結合し、電気エネルギーとして取り出す構成例を示す。なお、集光された光を熱エネルギーとして取り出す光熱変換装置とする場合には、集光された光を熱エネルギーに光熱変換する光熱変換素子として、光吸収体付きのヒートパイプ等が好適に用いられる。
(c)は、側面25に導かれた光を、電気エネルギーまたは熱エネルギーに変換して利用する場合の第2構成例の概念図である。本構成例は、集光光学素子20の端部を斜めにカットして側面25にミラー94を配設し(あるいは側面25に反射膜を形成し)、集光光学素子20の上面側(または下面側)に設けた光電変換素子5に集光させる構成例である。これにより、集光光学素子20が薄いシート状の場合であっても、所定面積の光電変換素子5を安定的に取り付けることができる。なお、集光された光を熱エネルギーとして取り出す場合には、上記同様に光吸収体付きのヒートパイプ等が好適に用いられる。
(d)は、側面25に導かれた光を、電気エネルギーまたは熱エネルギーに変換して利用する場合の第3構成例の概念図である。本構成例は、集光光学素子20の側面25を斜めにカットしてダイクロイックミラー95を配設し(あるいは側面25に波長選択性のある反射膜を形成し)、集光光学素子20の上面側(または下面側)と、集光光学素子20の側方とに設けた光電変換素子5,5′に分割して集光させる構成例である。このような構成によれば、分割された各波長帯域について高効率な光電変換素子を用いるこができるため、比較的低コストで変換効率の高い光発電装置を構成することが可能となる。
なお、分割した光のうち一方(例えば赤外領域の光)を光吸収体付きのヒートパイプ等に入射して熱エネルギーとして利用し、他方(例えば可視領域及び紫外領域の光)を光電変換素子5に入射して電気エネルギーとして利用するような構成も好適な適用例である。
(e)は、端部に集光された光を、さらに厚さ方向に集光して取り出す構成例の概念図である。本構成の集光光学素子20は、側面25の近傍領域で厚さが徐々に薄くなるパラボリック状に形成されており、素子内部をx軸方向に進む光が、上面あるいは下面で全反射されて厚さ方向に集光されるようになっている。これにより、例えば光をそのまま利用する場合にシリンドリカルレンズ等を用いずに構成することができ、また光電変換素子5やヒートパイプに入射させる場合に、簡明な構成で入射光のパワー密度を高めることができる。
以上説明したように、集光装置1においては、集光光学素子20は、集光レンズ10を介して入射する入射光の入射位置に対応して設けられた光学構造30を有し、集光レンズ10により集光されて集光光学素子20に入射した入射光が光学構造30により散乱され、散乱された散乱光が上面22及び下面23による全反射を利用して側面25に導かれるように構成される。従って、このような集光装置1によれば、薄型かつ簡明な構成で、太陽光等の光エネルギーを効率的に利用可能な、新たな集光手段を提供することができる。また、このような集光装置1を備えた光発電装置PVSや光熱変換装置は、光軸方向の厚さが薄く小型軽量であり、新たな太陽光発電手段または光熱変換手段として好適に適用することができる。
PVS 光発電装置
1 集光装置
5 光電変換素子
10(1011,1012,…10m1,10m2,…10mn) 集光レンズ
20 集光光学素子
21 基材
22 上面
23 下面
25 側面
30 光学構造
LA 光軸
D 光学構造の直径

Claims (6)

  1. 集光レンズと、透明部材を基材として構成され前記集光レンズにより集光されて入射する入射光を導く集光光学素子とからなり、
    前記基材は、前記入射光を透過する上面及び前記上面と対向して延びる下面と、前記上面及び前記下面を繋いで周囲を囲む側面とを有し、
    前記集光光学素子は、前記入射光の入射位置に対応して前記基材に設けられ前記入射光を散乱する光学構造を有し、
    前記集光レンズにより集光されて前記集光光学素子に入射した前記入射光が前記光学構造により散乱され、前記散乱された散乱光が前記上面及び前記下面による全反射を利用して前記側面に導かれるように構成したことを特徴とする集光装置。
  2. 前記光学構造は、前記入射光のスポット径が略最小となる位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の集光装置。
  3. 前記光学構造の大きさは、前記集光レンズに入射する光の入射光軸に対する角度幅に基づいて設定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の集光装置。
  4. 前記集光レンズが複数設けられ、
    前記集光光学素子は、各前記集光レンズの入射位置に対応して設けられた複数の前記光学構造を有して一体に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の集光装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の集光装置と、
    前記集光装置により前記出射面に導かれた光を光電変換する光電変換素子とを備えた光発電装置。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の集光装置と、
    前記集光装置により前記出射面に導かれた光を光熱変換する光熱変換素子とを備えた光熱変換装置。
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