JP2012064453A - 有機発光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】寿命が長い有機発光素子を提供する。
【解決手段】第一電極(陽極20)と、第一発光層41と第二発光層42とからなる発光層40と、第二電極(陰極60)と、から構成され、第一発光層41と第二発光層42とが隣接しており、第一発光層41が、第一ホストと第一ゲストとを有し、第二発光層42が、第二ホストと第二ゲストとを有し、前記第一ゲストの発光色と前記第二のゲストの発光色が同一であり、前記第一ゲスト及び前記第二ゲストが、同一種の電荷をトラップし、前記同一種の電荷が電子又は正孔であり、前記同一種の電荷が注入される側の発光層のゲストの発光収率よりも、他方の発光層のゲストの発光収率の方が大きいことを特徴とする、有機発光素子。
【選択図】図1
【解決手段】第一電極(陽極20)と、第一発光層41と第二発光層42とからなる発光層40と、第二電極(陰極60)と、から構成され、第一発光層41と第二発光層42とが隣接しており、第一発光層41が、第一ホストと第一ゲストとを有し、第二発光層42が、第二ホストと第二ゲストとを有し、前記第一ゲストの発光色と前記第二のゲストの発光色が同一であり、前記第一ゲスト及び前記第二ゲストが、同一種の電荷をトラップし、前記同一種の電荷が電子又は正孔であり、前記同一種の電荷が注入される側の発光層のゲストの発光収率よりも、他方の発光層のゲストの発光収率の方が大きいことを特徴とする、有機発光素子。
【選択図】図1
Description
本発明は、有機発光素子に関する。
有機発光素子は、自発光型の電子素子であり、低電圧駆動、薄型、軽量等の特長を有している。このことから有機発光素子は、近年、フルカラーディスプレイへの応用が精力的に検討されている。しかし、寿命の面でまだ課題が残っている。
特に、フルカラーディスプレイの場合、焼き付き等を考案すると、有機発光素子を駆動し始めてから輝度が半減する(初期輝度に対して50%に減少する)までの時間に相当する半減寿命だけではなく、初期輝度に対して5〜10%程度減少する寿命も重要である。
一方、有機発光素子の長寿命化を目的として、劣化に強い材料の開発だけではなく、新規な素子構成の開発も行われている。
例えば、特許文献1にて開示される有機発光素子は、少なくとも2つの発光層を有する有機発光素子に関して、寿命が長く、かつエネルギーギャップの小さい発光性ゲストを適宜組み合わせることにより素子の長寿命化を達成している。また特許文献1にて開示される有機発光素子では、色純度を保つために、電荷再結合確率が大きい方の発光層にエネルギーギャップの大きい発光性ゲストを含有させ、電荷再結合が小さい方の発光層にエネルギーギャップの小さい発光性ゲストを含有させている。これにより、電荷の再結合確率が小さい方の発光層に含有しているエネルギーギャップが小さい発光性ゲストの発光を抑制している。
しかしながら、少なくとも2つの発光層を有する有機発光素子において、2つの発光性ゲストの発光収率の差を利用して素子の長寿命化を図る方法は未だ知られていない。本発明は上述した課題を解決するためになされるものであり、その目的は、寿命が長い有機発光素子を提供することである。
本発明の有機発光素子は、第一電極と、第一発光層と第二発光層とからなる発光層と、第二電極と、から構成され、
前記第一発光層と前記第二発光層とが隣接しており、
前記第一発光層が、第一ホストと第一ゲストとを有し、
前記第二発光層が、第二ホストと第二ゲストとを有し、
前記第一ゲストの発光色と前記第二のゲストの発光色が同一であり、
前記第一ゲスト及び前記第二ゲストが、同一種の電荷をトラップし、
前記同一種の電荷が電子又は正孔であり、
前記同一種の電荷が注入される側の発光層のゲストの発光収率よりも、他方の発光層のゲストの発光収率の方が大きいことを特徴とする。
前記第一発光層と前記第二発光層とが隣接しており、
前記第一発光層が、第一ホストと第一ゲストとを有し、
前記第二発光層が、第二ホストと第二ゲストとを有し、
前記第一ゲストの発光色と前記第二のゲストの発光色が同一であり、
前記第一ゲスト及び前記第二ゲストが、同一種の電荷をトラップし、
前記同一種の電荷が電子又は正孔であり、
前記同一種の電荷が注入される側の発光層のゲストの発光収率よりも、他方の発光層のゲストの発光収率の方が大きいことを特徴とする。
本発明によれば、寿命が長い有機発光素子を提供することができる。
本発明の有機発光素子は、第一電極と、第一発光層と第二発光層とからなる発光層と、第二電極と、から構成される。また本発明において、上記第一発光層と上記第二発光層とは隣接している。
本発明において、第一発光層は、第一ホストと第一ゲストとを有し、第二発光層は、第二ホストと第二ゲストとを有している。また第一ゲストの発光色と第二ゲストの発光色とが同一である。
ここで本発明においては、第一ゲスト及び第二ゲストが、同一種の電荷(電子又は正孔)をトラップし、この同一種の電荷が注入される側の発光層のゲストの発光収率よりも、他方の発光層のゲストの発光収率の方が大きいことを特徴とするものである。以下、「トラップされる電荷が注入される側の発光層」を第一発光層とし、「他方の発光層」を第二発光層として説明する。従って、第二発光層に含まれる第二ゲストの発光収率の方が第一発光層に含まれる第一ゲストの発光収率より大きい。
例えば、第一ゲスト及び第二ゲストが電子をトラップする電子トラップ型のゲストである場合、トラップされる電荷である電子が注入される側の発光層、即ち、陰極側の発光層が第一発光層となる。一方、他方の発光層、即ち、陽極側の発光層が第二発光層となる。そして、トラップされる電荷である電子が注入される側の発光層、即ち、陰極側の発光層である第一発光層に含まれる第一ゲストの発光収率よりも、他方の発光層、即ち、陽極側の発光層である第二発光層に含まれる第二ゲストの発光収率の方が大きい。一方、第一ゲスト及び第二ゲストが正孔をトラップする正孔トラップ型のゲストである場合、トラップされる電荷である正孔が注入される側の発光層、即ち、陽極側の発光層が第一発光層となる。一方、他方の発光層、即ち、陰極側の発光層が第二発光層となる。そして、トラップされる電荷である正孔が注入される側の発光層、即ち、陽極側の発光層である第一発光層に含まれる第一ゲストの発光収率よりも、他方の発光層、即ち、陰極側の発光層である第二発光層に含まれる第二ゲストの発光収率の方が大きい。
以下、図面を参照しながら、本発明の有機発光素子について説明する。図1は、本発明の有機発光素子における実施形態の例を示す断面模式図である。尚、図1において、(a)は、第1の実施形態を示し、(b)は、第2の実施形態を示す。
図1(a)の有機発光素子1は、基板10上に、陽極20(第一電極)、正孔輸送層30、発光層40、電子輸送層50及び陰極60(第二電極)がこの順に設けられている。発光層40は第一発光層41と第二発光層42とから構成され、第一発光層41及び第二発光層42が設けられる順番はトラップされる電荷に依存する。発光層40が電子トラップ型のゲストを有する場合、トラップされる電荷である電子が注入される側の発光層、即ち、陰極60側の発光層が第一発光層41であり、他方の発光層、即ち、陽極20側の発光層が第二発光層42である。発光層40が正孔トラップ型のゲストを有する場合、トラップされる電荷である正孔が注入される側の発光層、即ち、陽極20側の発光層が第一発光層41であり、他方の発光層、即ち、陰極60側の発光層が第二発光層42である。図1(a)は、上記2つの場合の内の正孔トラップ型の場合(発光層40が正孔トラップ型のゲストを有する場合)を表しているが、本発明は正孔トラップ型の場合に限定されるものではない。図1(a)の有機発光素子1は、キャリア輸送と発光の機能を分離した構成であり、正孔と電子とが再結合する領域は発光層内にある。正孔輸送性、電子輸送性、発光性の各特性を有した材料を適宜組み合わせて使用することができるので、極めて材料選択の自由度が増すとともに、発光波長を異にする種々の材料が使用できる。このため、発光色相の多様化が可能になる。さらに、第一発光層41及び第二発光層42に各キャリア又は励起子を有効に閉じこめて、発光効率の向上を図ることも可能となる。
図1(b)の有機発光素子2は、図1(a)の有機発光素子1において、陽極20と正孔輸送層30との間に、正孔注入層31がさらに設けられている。正孔注入層31を設けることにより、陽極20と正孔輸送層30との間の密着性、正孔注入性の改善や低電圧化に効果的である。また、発光層40は第一発光層41と第二発光層42とから構成され、第一発光層41及び第二発光層42が設けられる順番はトラップされる電荷に依存する。発光層40が電子トラップ型のゲストを有する場合、トラップされる電荷である電子が注入される側の発光層、即ち、陰極60側の発光層が第一発光層41であり、他方の発光層、即ち、陽極20側の発光層が第二発光層42である。発光層40が正孔トラップ型のゲストを有する場合、トラップされる電荷である正孔が注入される側の発光層、即ち、陽極20側の発光層が第一発光層41であり、他方の発光層、即ち、陰極60側の発光層が第二発光層42である。図1(b)は、上記2つの場合の内の電子トラップ型の場合(発光層40が電子トラップ型のゲストを有する場合)を表しているが、本発明は電子トラップ型の場合に限定されるものではない。
ただし、本発明の有機発光素子は、少なくとも一対の電極(陽極20、陰極60)と、この一対の電極に挟持され、第一発光層41と第二発光層42からなる発光層40とを有していれば、発光層40を含めた有機化合物層の層構成については、特に限定されるものではない。
例えば、電子輸送層の一種である正孔ブロック層を、発光層40と電子輸送層50との間に挿入しても良い。特に、HOMOエネルギーの低い材料を正孔ブロック層の構成材料として使用することで、発光層40から陰極60側への正孔漏れを改善し、発光効率の向上に効果的な構成である。
本発明の有機発光素子は、上述したように、互いに隣接する2種類の発光層(第一発光層41、第二発光層42)を有している。そして、この2種類の発光層は、それぞれ発光層を構成する主たる有機化合物であるホストと発光性ゲストとを有している。即ち、第一発光層41は、第一ホストと第一ゲストとを有する一方で、第二発光層42は、第二ホストと第二ゲストとを有している。尚、本発明において、第一ゲスト及び第二ゲストの発光色は同じである。
本発明において、発光性ゲスト(第一ゲスト、第二ゲスト)は、電子又は正孔(ホール)のいずれかをトラップするが、第一ゲスト及び第二ゲストは同一種の電荷をトラップする。ここで発光性ゲストが電子をトラップする場合、発光性ゲストの最低非占有分子軌道(LUMO)エネルギーの絶対値(|LUMO(G)|)とホストのLUMOエネルギーの絶対値(|LUMO(H)|)との間に以下の関係が成り立っている。
|LUMO(G)|−|LUMO(H)|≧0.15eV
|LUMO(G)|−|LUMO(H)|≧0.15eV
一方、発光性ゲストが正孔をトラップする場合、発光性ゲストの最高占有分子軌道(HOMO)エネルギーの絶対値(|HOMO(G)|)とホストのLUMOエネルギーの絶対値(|HOMO(H)|)との間に以下の関係が成り立っている。
|HOMO(H)|−|HOMO(G)|≧0.15eV
|HOMO(H)|−|HOMO(G)|≧0.15eV
また本発明において、トラップされる電荷が注入される側の発光層である第一発光層に含まれる第一ゲストの発光収率よりも、他方の発光層である第二発光層に含まれる第二ゲストの発光収率の方が大きい。つまり、発光性ゲストが正孔をトラップする場合では、トラップされる電荷が注入される側の発光層に相当する陽極側の発光層が第一発光層となり、この陽極側の発光層に含まれる第一ゲストの発光収率よりも、他方の発光層に相当する陰極側の発光層(第二発光層)に含まれる第二ゲストの発光収率の方が大きいことを意味する。一方、発光性ゲストが電子をトラップする場合では、トラップされる電荷が注入される側の発光層に相当する陰極側の発光層が第一発光層となり、この陰極側の発光層に含まれる第一ゲストの発光収率よりも、他方の発光層に相当する陽極側の発光層(第二発光層)に含まれる第二ゲストの発光収率の方が大きいことを意味する。
以下、電子をトラップする発光性ゲスト(電子トラップ型発光性ゲスト)が発光層40に含まれている有機発光素子について、図面を参照しながら定性的に説明する。
図2は、電子トラップ型発光性ゲストが発光層に含まれている有機発光素子における各層のエネルギー準位及び電荷移動の様子を示す図である。尚、図2において、(a)は、有機発光素子を駆動する直後(駆動時間:0時間)の様子を示す図であり、(b)は、有機発光素子を一定時間駆動した後(駆動時間:t時間(t>0))の様子を示す図である。また図2では、説明の都合上、陽極、発光層、陰極以外の部材は図示を省略している。
発光層内に注入された正孔は、ホストのHOMO準位(HOMO(H))を利用して陽極側界面から陰極側界面に向かって移動する。ここで発光層内での正孔の濃度分布は、陽極側界面から陰極側界面に向かって指数関数的に減少する。
一方、発光層内に注入された電子は、ゲストのLUMO準位(LUMO(G))にトラップされるため大幅に移動度が低下する。ここで発光層内での電子の濃度分布は、陰極側界面から陽極側界面に向かって指数関数的に減少し、その減衰の程度は正孔よりも大きい。
他方、電子と正孔とが再結合する確率は、電子の濃度と正孔の濃度との積に比例するため、電子トラップ型の有機発光素子では発光層の陰極側界面付近及び陽極側界面付近が極大になる。但し、電子トラップ型素子の場合、電子と正孔とが再結合する確率は、陰極界面付近の方が陽極側界面付近に比べて極端に大きい。
また発光領域は、電子と正孔とが再結合する領域と、励起子拡散距離とを考慮すると、主として発光層の陰極側界面から数十nm程度の範囲になると考えられる。
ところで本発明の有機発光素子は、駆動時間の経過と共に極僅かずつホストが変化(劣化)を起こし、いわゆる劣化物を生成する。この劣化物は、発光状態である励起子(励起状態)のクエンチャーとして働くため、有機発光素子の輝度低下(輝度劣化)を引き起こす。またこの劣化物は、図2(b)に示されるように、発光層を構成する有機化合物に比べてHOMOエネルギー(HOMO(D))の絶対値が小さくかつLUMOエネルギー(LUMO(D))の絶対値が大きい。この劣化物の濃度はゲストに比べて充分に低いため、ゲストがトラップしている電荷の移動度には影響を及ぼさないが、ゲストがトラップしていないあるいはトラップできない電荷をトラップして、その電荷の移動度を低下させることがある。
電子トラップ型ゲストの場合、上記劣化物は新たな正孔トラップ材として働く。このため、この劣化物により発光層内での正孔移動度が低下するので、発光層内の正孔濃度は、陽極側の界面付近では増加する一方で、陰極側の界面付近では減少することになる。従って、駆動前あるいは駆動直後(劣化前)と比べて、陰極側界面付近の電子と正孔との再結合確率は時間を追うごとに減少する一方で、陽極側界面付近での電子と正孔の再結合確率は時間を追うごとに増加する。以上より、駆動前あるいは駆動直後(劣化前)と比べて、トラップされる電荷である電子が注入される陰極側界面付近の発光量は減少し、他方の陽極側界面付近の発光量が増加するという発光領域の変化を引き起こす。
尚、上述した電子・正孔の再結合確率や発光領域の経時的な変化は、正孔をトラップする発光性ゲスト(正孔トラップ型発光性ゲスト)を発光層に含有する有機発光素子についても同様に説明ができる。
発光層内に注入された電子は、ホストのLUMO準位(LUMO(H))を利用して陰極側界面から陽極側界面に向かって移動する。ここで発光層内での電子の濃度分布は、陰極側界面から陽極側界面に向かって指数関数的に減少する。
一方、発光層内に注入された正孔は、ゲストのHOMO準位(HOMO(G))にトラップされるため大幅に移動度が低下する。ここで発光層内での正孔の濃度分布は、陽極側界面から陰極側界面に向かって指数関数的に減少し、その減衰の程度は電子よりも大きい。
他方、電子と正孔とが再結合する確率は、電子の濃度と正孔の濃度との積に比例するため、正孔トラップ型の有機発光素子では発光層の陽極側界面付近及び陰極側界面付近が極大になる。但し、正孔トラップ型素子の場合、陽極界面付近の方が陰極側界面付近に比べて極端に大きい。
また発光領域は、電子と正孔とが再結合する領域と、励起子拡散距離とを考慮すると、主として発光層の陽極側界面から数十nm程度の範囲になると考えられる。
上述したように本発明の有機発光素子は、駆動時間の経過と共に極僅かずつホストが変化(劣化)を起こし、いわゆる劣化物を生成する。この劣化物は、発光状態である励起子(励起状態)のクエンチャーとして働くため、有機発光素子の輝度低下(輝度劣化)を引き起こす。またこの劣化物は、図2(b)に示されるように、発光層を構成する有機化合物に比べてHOMOエネルギー(HOMO(D))の絶対値が小さくかつLUMOエネルギー(LUMO(D))の絶対値が大きい。この劣化物の濃度はゲストに比べて充分に低いため、ゲストがトラップしている電荷の移動度には影響を及ぼさないが、ゲストがトラップしていないあるいはトラップできない電荷トラップして、その電荷の移動度を低下させることがある。
正孔トラップ型ゲストの場合、上記劣化物は新たな電子トラップ材として働く。このため、この劣化物により発光層内での電子移動度が低下するので、発光層内の電子濃度は、陰極側の界面付近では増加する一方で、陽極側の界面付近では減少することになる。従って、駆動前あるいは駆動直後(劣化前)と比べて、トラップされる電荷である正孔が注入される側、即ち、陽極側の界面付近の電子と正孔との再結合確率は時間を追うごとに減少する。一方で、他方の側、即ち、陰極側の界面付近での電子と正孔の再結合確率は時間を追うごとに増加する。以上より、駆動前あるいは駆動直後(劣化前)と比べて、トラップされる電荷である正孔が注入される側、即ち、陽極側界面付近の発光量は減少し、他方の側、即ち、陰極側界面付近の発光量が増加するという発光領域の変化を引き起こす。
本発明の有機発光素子は、駆動時間とともに発光量が増加する発光層に含まれる発光性ゲストを、その発光収率が駆動時間とともに発光量が減少する発光層に含まれる発光性ゲストよりも大きいものとする。こうすることで駆動による輝度低下を補償し、有機発光素子の長寿命化を図ることができる。
次に、モデルを用いて本発明の原理を定量的に説明する。
本発明の有機発光素子を構成する第一発光層及び第二発光層のそれぞれのEL強度(EL1、EL2)の時間変化は以下の式(1)及び式(2)で示される。尚、式(1)及び式2を示すにあたり、第一発光層を、発光性ゲストによってトラップされる電荷の種類に関わらず「トラップされる電荷が注入される側の発光層」と仮定し、第二発光層を「他方の発光層」と仮定する。例えば、電子トラップ型のゲストの場合においては、トラップされる電荷が注入される側の発光層、即ち、陰極側の発光層(第一発光層)のEL強度がEL1であり、他方の発光層、即ち、陽極側の発光層(第二発光層)のEL強度がEL2である。また、正孔トラップ型のゲストの場合においては、トラップされる電荷が注入される側の発光層、即ち、陽極側の発光層(第一発光層)のEL強度がEL1であり、他方の発光層、即ち、陰極側の発光層(第二発光層)のEL強度がEL2である。
式(1)において、Aは、発光層内で生成した発光に関わる励起子(励起状態)密度を表す。χ(t)は、所定時間tにおける第一発光層にある励起子の割合を表す。Φ1は、第一発光層に含有される第一ゲストの発光収率を表す。N1(Aχ(t),t)は、規格化された第一発光層の輝度の駆動時間変化を表す。
式(2)において、A及びχ(t)は、式(1)と同様である。尚、所定時間tにおける第二発光層にある励起子の割合は、式(2)に示されるように、1−χ(t)と表すことができる。また式(2)において、Φ2は、第二発光層に含有される第二ゲストの発光収率を表す。N2(A(1−χ(t)),t)は、規格化された第二発光層の輝度の駆動時間変化を示す。
式(1)及び(2)に示されるように、χは、駆動時間とともに変化する量であるため時間(t)の関数である。また式(1)及び(2)に示されるように、Nは、駆動時間とともに変化する量であるため時間(t)の関数である。またNは、輝度を示すAχ(t)やA(1−χ(t))の関数でもある。
上述の通り、駆動直後はトラップされる電荷が注入される側の発光層である第一発光層の方が他方の第二発光層に比べて電子と正孔の再結合確率が大きいので、第一発光層にある励起子の割合χ(t)は第二発光層にある励起子の割合(1−χ(t))より大きい。
一方、駆動劣化寿命と輝度の関数として、一般に以下の下記式(3)がよく用いられている。
式(3)において、τ1、τ2は、それぞれ初期輝度EL1、EL2で駆動したときの寿命を表し、nは、加速係数を表す。
ところで有機発光素子を構成する発光層が一層である場合は、第一発光層と第二発光層とが同一である場合として取り扱うことができる。
従って、発光層として第一発光層のみを含む有機発光素子を比較対象とする場合、本発明の有機発光素子の輝度(EL(DoubleEML)、以下、ELDという。)と、比較対象の有機発光素子の輝度(EL(SingleEML1)、以下、ELS1という。)との比は、式(1)及び式(2)から下記式(4−1)で表される。
ここで、ELD及びELS1の駆動時間変化が指数関数で近似できると仮定すると、式(4−1)は、式(4−2)で表される。
式(4−2)において、EL(0)は、駆動開始直後の発光輝度を表し、kD、kS1は、それぞれ本発明の有機発光素子の駆動劣化速度、比較対象の有機発光素子の駆動劣化速度を表す。また、α1(=exp(−kS1t)≒χ(t)N1(Aχ(t),t)+(1−χ(t))N1(A(1−χ(t)),t))は、第一発光層のみを含む有機発光素子における初期輝度に対する駆動時間tでの輝度比(劣化率)を表す。例えば、α1=0.9とすると、駆動時間tでの輝度が初期輝度の0.9倍であることを示している。本発明の素子及び比較対象の素子の駆動寿命は、それぞれkDの逆数、kS1の逆数に比例するので、β(=kS1/kD)は、長寿命化率を表す。例えば、β=1.1とすると、本発明の有機発光素子は、比較対象となる有機発光素子に対して寿命が1.1倍であることを示している。
また、0<N1(A(1−χ(t)),t)≦1、0<N2(A(1−χ(t)),t)≦1であるから、式(4−2)から下記式(5)を導き出すことができる。
式(5)において、0≦α1<1かつβ>1かつ0≦χ(t)<1なので、Φ2/Φ1は1よりも大きくなる。Φ2/Φ1は、好ましくは、1.2以上である。
一方、発光層として第二発光層のみを含む有機発光素子を比較対象とする場合、本発明の有機発光素子の輝度(ELD)と、比較対象の有機発光素子の輝度(EL(SingleEML2)、以下、ELS2という。)との比は、式(4−2)と同様にして下記式(6)で表される。尚、係る場合においては、各有機発光素子における主発光領域での発光ゲストの発光収率が異なる。このため、各有機発光素子の初期輝度をそろえるために、本発明の有機発光素子における励起子(励起状態)密度をΦ2/Φ1倍する必要がある。
式(6)において、EL(0)は、駆動開始直後の発光輝度を表し、kD、kS2は、それぞれ本発明の有機発光素子の駆動劣化速度、比較対象の有機発光素子の駆動劣化速度を表す。また、α2(=exp(−kS2t)≒χ(t)N2(Aχ(t),t)+(1−χ(t))N2(A(1−χ(t)),t))は第二発光層のみを含む有機発光素子における初期輝度に対する駆動時間tでの輝度比(劣化率)を表す。例えば、α2=0.9とすると、駆動時間tでの輝度が初期輝度の0.9倍であることを示している。β(=kS2/kD)は、長寿命化率を表す。例えば、β=1.1とすると、本発明の有機発光素子は、比較対象となる有機発光素子に対して寿命が1.1倍であることを示している。
また0<N1(A(1−χ(t)),t)≦1、0<N2(A(1−χ(t)),t)≦1であるから、式(6)から下記式(7)を導き出すことができる。
式(7)において、0≦α2<1かつβ>1かつ0≦χ(t)<1なので、Φ2/Φ1は1よりも大きくなる。Φ2/Φ1は、好ましくは、1.2以上である。
以上より、本発明の有機発光素子において、第一ゲストの発光収率Φ1と、第二ゲストの発光収率Φ2との比であるΦ2/Φ1が1よりも大きければ長寿命を示すことになる。
<χ(t)の測定>
上述した式(1)等で示されるパラメータχ(t)は、例えば、以下に示す方法で評価することができる。
上述した式(1)等で示されるパラメータχ(t)は、例えば、以下に示す方法で評価することができる。
下記式で示される化合物1(ホスト)と、下記式で示される化合物2(発光性ゲスト)とからなる発光層と、下記式で示される化合物3からなる電子輸送層をこの順で形成した有機発光素子(以下、サンプル素子という場合がある。)を作製した。尚、このサンプル素子において発光層の膜厚は35nmであり、電子輸送層の膜厚は90nmである。また、この素子は、電子トラップ型でかつボトムエミッション型の有機発光素子であり、光学干渉により発光領域の変化が敏感にELスペクトルに現れる素子構成を有する有機発光素子である。このサンプル素子を使用して、駆動による発光寄与率の変化を観測した。
図3は、サンプル素子におけるα=1の時点(未劣化時)及びα=0.9の時のELスペクトルを示す図である。図3に示されるように、サンプル素子において、そのELスペクトルは駆動時間と共に変化していることが観測された。このことは、駆動時間と共にサンプル素子の発光領域が変化している(発光領域が移動している)ことを示している。
図4は、発光領域を陽極側から10nmと仮定した場合及び陰極側から10nmと仮定した場合のそれぞれの発光スペクトルのシミュレーションを示す図である。図4のシミュレーション結果から、「陽極側10nm」側に現れる450nm付近の強い鋭いピークは陽極側界面発光の特徴を示すものであり、「陰極側10nm」側に現れる500nm付近の幅広なピークは陰極側界面発光に特徴を示すものであると言える。図4のシミュレーション結果から、サンプル素子の発光特性は、定性的には、陰極側界面発光が主であるが、駆動時間が経過する(ホストの劣化)と共に、陽極側発光界面発光の寄与が高くなっていると言える。
さらにこのシミュレーションの発光幅等を最適化し、実験結果とフィッティングさせることにより、発光領域の変化について検討したところ、α=1のときには陰極側で全て光る。一方で、α=0.9のときには陰極側と陽極側との発光の比率が陰極側:陽極側=0.8:0.2となる。
この手法は、2種類の発光層を有する本発明の有機発光素子においても適用可能である。
ところで本発明において、2つの発光層のホスト及び発光性ゲストのHOMOエネルギー及びLUMOエネルギーがほぼ同じであることが好ましい。こうすると、2つの発光層界面にHOMOエネルギー又はLUMOエネルギーの差による障壁ができず、それに伴う電荷溜まり等も発生しないからである。このため、発光領域及び発光領域の駆動時間変化はいずれか1つの発光層と同一と考えることができるので、素子設計が容易になる。ここでHOMOエネルギー及びLUMOエネルギーがほぼ同じ場合とは、HOMOエネルギー又はLUMOエネルギーの差が0.1eV以下を指す。
本発明の有機発光素子において、駆動直後の最も強く発光している領域を含む発光層に含まれるゲストと、駆動直後には発光していないか僅かに発光している領域を含む発光層に含まれるゲストとは同一色であることが好ましい。本発明の有機発光素子は駆動時間と共に駆動直後の最も強く発光している領域を含む発光層の発光量は減少し、駆動直後には発光していないか僅かに発光している領域を含む発光層の発光量は増加する。このため、両発光層に含まれる発光性ゲストは同一色であることにより、駆動(劣化)による色度変化を抑制することができるからである。尚、ここでいう「同一色」とは2種類の発光性ゲストの発光ピーク波長の差が20nm以内であることを意味する。
尚、上述したサンプル素子の実験では、α=0.9かつχ(t)=0.8という結果を示したが、α=0.9となる時間(寿命、τα=0.9)を1.5倍にする場合では、式(5)及び式(7)からΦ2/Φ1を1.2にすればよいことになる。
次に、本発明の有機発光素子の構成部材について説明する。本発明で用いられる基板10は、特に限定するものではないが、具体的には、金属製基板、セラミックス製基板等の不透明性基板、ガラス、石英、プラスチックシート等の透明性基板が挙げられる。また、基板にカラーフィルター膜、蛍光色変換フィルター膜、誘電体反射膜等を用いて発色光をコントロールすることも可能である。
陽極20の構成材料としては、仕事関数がなるべく大きなものがよい。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン等の金属単体あるいはこれら金属単体を複数組み合わせてなる合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO),酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレンスルフィド等の導電性ポリマーも使用できる。これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陽極20は一層で構成されていてもよいし、複数の層で構成されていてもよい。
正孔輸送層30を構成する正孔輸送性材料としては、陽極からの正孔の注入を容易にし、また注入された正孔を発光層に輸送する優れたモビリティ(正孔注入輸送性能)を有する材料が好ましい。正孔注入輸送性能を有する低分子及び高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、オキサゾール誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、及びポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(シリレン)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。尚、有機発光素子に、正孔輸送層30と共に正孔注入層31が含まれる場合、正孔注入層31の構成材料として、上述した正孔輸送性材料と使用してもよい。
電子輸送層50を構成する電子注入輸送性材料としては、陰極からの電子の注入を容易にし、注入された電子を発光層に輸送する機能を有するものから任意に選ぶことができ、正孔輸送材料のキャリア移動度とのバランス等を考慮し選択される。電子注入輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フルオレノン誘導体、アントロン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機金属錯体等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。また、イオン化ポテンシャルの大きい材料については、正孔ブロック材料としても使用できる。
陰極60の構成材料としては、仕事関数の小さなものがよい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、銀、鉛、錫、クロム等の金属単体あるいはリチウム−インジウム、ナトリウム−カリウム、マグネシウム−銀、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−マグネシウム、マグネシウム−インジウム等の、複数の金属単体を組み合わせた合金を使用することができる。また酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陰極60は一層で構成されていてもよいし、複数の層で構成されていてもよい。
尚、陽極20及び陰極60は、少なくともいずれか一方が透明又は半透明であることが望ましい。
本発明の有機発光素子の有機材料からなる層は、発光層やその他有機層において種々の方法により得られる。一般には真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマCVDにより薄膜を形成する。あるいは、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により薄膜を形成する。特に塗布法で成膜する場合は、適当な結着樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
上記結着樹脂としては、広範囲な結着性樹脂より選択でき、例えば、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独又は共重合体ポリマーとして1種又は2種以上混合してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
また、素子の光取り出し方向に関しては、ボトムエミッション構成(基板側から光を取り出す構成)及び、トップエミッション(基板の反対側から光を取り出す構成)のいずれも可能である。
尚、作成した素子に対して、酸素や水分等との接触を防止する目的で保護層あるいは封止層を設けることもできる。保護層としては、ダイヤモンド薄膜、金属酸化物、金属窒化物等の無機材料膜、フッ素樹脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜、さらには、光硬化性樹脂等が挙げられる。また、ガラス、気体不透過性フィルム、金属等をカバーし、適当な封止樹脂により素子自体をパッケージングすることもできる。
[実施例1]
(使用した化合物)
本実施例で使用した化合物を以下に示す。
(使用した化合物)
本実施例で使用した化合物を以下に示す。
(化合物の合成例)
本実施例(実施例1)で使用した化合物の合成例を以下に説明する。
本実施例(実施例1)で使用した化合物の合成例を以下に説明する。
(1)化合物1の合成例
化合物1は、下記に示される合成スキームに従い合成した。以下に、合成方法の詳細を説明する。
化合物1は、下記に示される合成スキームに従い合成した。以下に、合成方法の詳細を説明する。
(1−1)中間体1の合成
反応容器内に以下の試薬、溶媒を仕込んだ。
2−(7−tert−ブチルピレン−1−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボラン:2.70g(7.02mmol)
2−ブロモ−6−ヨードナフタレン:2.57g(7.72mmol)
トルエン:70ml
エタノール:35ml
反応容器内に以下の試薬、溶媒を仕込んだ。
2−(7−tert−ブチルピレン−1−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボラン:2.70g(7.02mmol)
2−ブロモ−6−ヨードナフタレン:2.57g(7.72mmol)
トルエン:70ml
エタノール:35ml
次に、反応混合物を攪拌し、固形分を溶解した後、さらに以下の試薬、溶媒を反応容器内に投入した。
テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム:0.41g(0.35mmol)
10%炭酸ナトリウム水溶液:35ml
テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム:0.41g(0.35mmol)
10%炭酸ナトリウム水溶液:35ml
次に、反応溶液を加熱還流しながら3時間攪拌した。次に、反応溶液を室温まで冷却した。次に、この反応溶液について分液操作を行い、有機層を分離した。次に、この有機層を水で洗浄した後、硫酸ナトリウムにより乾燥し、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。次に、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘプタン=1/30)にて精製することにより、中間体1を2.23g(収率:89.2%)得た。
NMR測定により構造を確認した。ピークの帰属を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ(ppm)=8.25−8.20(m,3H),8.14−8.12(m,2H),8.09(m,2H),8.05(s,1H),8.02−8.00(m,2H),7.93(d,1H),7.82−7.79(m,2H),7.63(dd,1H),1.58(s,9H)
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ(ppm)=8.25−8.20(m,3H),8.14−8.12(m,2H),8.09(m,2H),8.05(s,1H),8.02−8.00(m,2H),7.93(d,1H),7.82−7.79(m,2H),7.63(dd,1H),1.58(s,9H)
(1−2)化合物1の合成
反応容器内に以下の試薬、溶媒を仕込んだ。
中間体1:600mg(1.29mmol)
2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボラン:456mg(1.42mmol)
トルエン:30ml
エタノール:15ml
反応容器内に以下の試薬、溶媒を仕込んだ。
中間体1:600mg(1.29mmol)
2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボラン:456mg(1.42mmol)
トルエン:30ml
エタノール:15ml
次に、反応混合物を攪拌し、固形分を溶解した後、さらに以下の試薬、溶媒等を反応容器に投入した。
テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム:74.5mg(0.06mmol)
10%炭酸ナトリウム水溶液:15ml
テトラキストリフェニルフォスフィンパラジウム:74.5mg(0.06mmol)
10%炭酸ナトリウム水溶液:15ml
次に、反応溶液を加熱還流しながら2時間半攪拌した。次に、室温まで反応溶液を冷却した。次に、この反応溶液について分液操作を行い、有機層を分離した。次に、この有機層を水で2回洗浄した後、硫酸ナトリウムにより乾燥し、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。次に、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘプタン=1/10)にて精製することにより、化合物1を585mg(収率:78.4%)得た。
NMR測定により構造を確認した。ピークの帰属を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ(ppm)=8.25−8.21(m,5H),8.12−8.10(m,4H),8.07−8.01(m,3H),7.91(dd,1H),7.87(d,1H),7.84−7.76(m,4H),7.48(d,1H),7.40−7.33(m,2H),1.60(s,6H)1.59(s,9H)
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ(ppm)=8.25−8.21(m,5H),8.12−8.10(m,4H),8.07−8.01(m,3H),7.91(dd,1H),7.87(d,1H),7.84−7.76(m,4H),7.48(d,1H),7.40−7.33(m,2H),1.60(s,6H)1.59(s,9H)
(2)化合物2の合成例
(2−1)中間体2−1の合成
反応容器内に以下の試薬、溶媒を仕込んだ。
5−ブロモアセナフチレン:14.5g(62.8mmol)
ジフェニルイソベンゾフラン:17.1g(63.3mmol)
キシレン:200ml
反応容器内に以下の試薬、溶媒を仕込んだ。
5−ブロモアセナフチレン:14.5g(62.8mmol)
ジフェニルイソベンゾフラン:17.1g(63.3mmol)
キシレン:200ml
次に、溶媒であるキシレン還流させながら反応溶液を5時間攪拌した。次に、反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。次に、無水トリフルオロ酢酸26mlとクロロホルム260mlとを加え、還流下で反応溶液を1時間攪拌した。次に、反応溶液室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去することで残渣(粗生成物)を得た。次に、この残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘプタン=1/3)で精製することにより、中間体2−1である4−ブロモ−7,12−ジフェニルベンゾ[k]フルオランテンを黄色固体として16g得た。
(2−2)化合物2の合成
反応容器内を窒素雰囲気にさせた後、以下に示す試薬、溶媒を反応容器に仕込んだ。
4−ブロモ−7,12−ジフェニルベンゾ[k]フルオランテン:0.7g(1.45mmol)
2−(フルオランテン−3−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン:0.48g(1.45mmol)
トルエン:100ml
エタノール:50ml)
反応容器内を窒素雰囲気にさせた後、以下に示す試薬、溶媒を反応容器に仕込んだ。
4−ブロモ−7,12−ジフェニルベンゾ[k]フルオランテン:0.7g(1.45mmol)
2−(フルオランテン−3−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン:0.48g(1.45mmol)
トルエン:100ml
エタノール:50ml)
次に、炭酸セシウム0.95g(2.90mmol)と蒸留水15mlとを混合して調製した炭酸セシウム水溶液を加えた後、反応溶液を50℃に加熱して、この温度(50℃)で30分攪拌した。
次に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.17g(0.145mmol)を加えた後、90℃に加熱したシリコーンオイルバス上で反応溶液を加熱しながら5時間攪拌した。次に、反応溶液を室温まで冷却させた後、水、トルエン、酢酸エチルを順次加え、分液操作を行って有機層と水層とを分離した。次に、水層について、さらにトルエン、酢酸エチルの混合溶媒で2回溶媒抽出操作を行い、得られた有機層を、はじめに分離した有機層に加えた。次に、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。次に、溶媒を減圧留去して得られた残渣(粗生成物)について、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘプタン=1/3)で精製して精製物を得た。次に、この精製物を、120℃で真空乾燥した後、昇華精製を行うことにより、化合物2を、淡黄色固体として0.6g得た。
MALDI−TOF MS(マトリックス支援イオン化−飛行時間型質量分析)によりこの材料のM+である604.2を確認した。
また、1H−NMR測定によりこの材料の構造を確認した。同定結果は以下のとおりである。
1H−NMR(400Hz、CDCl3):δ 8.01(d,1H),7.91−7.95(m,3H),7.58−7.71(m,13H),7.39−7.54(m,8H),7.22(q,1H),6.74(d,1H),6.63(d,1H)
1H−NMR(400Hz、CDCl3):δ 8.01(d,1H),7.91−7.95(m,3H),7.58−7.71(m,13H),7.39−7.54(m,8H),7.22(q,1H),6.74(d,1H),6.63(d,1H)
さらに得られた化合物2の純度を、日本分光株式会社製高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、下記に示した測定条件により測定した。その結果、UV及び蛍光検出器のいずれにおいても、化合物2の純度が共に99.9%以上であることが確認できた。
[サンプル] 化合物2:1mgと、THF:10gとを混合した溶液
[分析カラム] YMC M80
[カラム温度設定] 40℃
[注入量] 5.0μl
[展開溶媒] MeOH:CHCl3=90:10
[流速] 1.0ml/min
[測定時間]20min
[HPLC検出条件]
UV吸収波長:254nm
蛍光励起波長:350nm、蛍光検出波長:450nm
[サンプル] 化合物2:1mgと、THF:10gとを混合した溶液
[分析カラム] YMC M80
[カラム温度設定] 40℃
[注入量] 5.0μl
[展開溶媒] MeOH:CHCl3=90:10
[流速] 1.0ml/min
[測定時間]20min
[HPLC検出条件]
UV吸収波長:254nm
蛍光励起波長:350nm、蛍光検出波長:450nm
(3)化合物3の合成例
300mlの三ツ口フラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレン[3A]:5.8g(18.1mmol)
ジエチルエーテル:80ml
2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレン[3A]:5.8g(18.1mmol)
ジエチルエーテル:80ml
次に、反応容器内を窒素雰囲気にした後、反応溶液を−78℃に冷却した。次に、反応溶液をこの温度(−78℃)で撹拌しながら、n−ブチルリチウム(15%ヘキサン溶液)11.7ml(18.1mmol)を滴下した。次に、反応溶液を室温まで昇温し、この温度(室温)で1時間撹拌した後、−20℃に冷却した。次に、反応溶液をこの温度(−20℃)で攪拌しながら、フェナントロリン[3B]0.81g(4.51mmol)とトルエン100mlとを混合して得られた混合液を滴下した。次に、反応溶液を室温に昇温してこの温度(室温)で12時間撹拌した。次に、反の溶液に水を加え、有機層をクロロホルムで抽出して無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を減圧留去して曽生成物を得た。次に、この粗生成物を、アルミナを充填剤とするカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン−クロロホルム混合溶媒)で精製することにより、化合物3を白色結晶として2.04g(収率80%)を得た。
(4)化合物4の合成例
冷却管を取り付けた100mlのナスフラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
N,N’−ジフェニルベンジジン:4.88g(14.5mmol)
2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレン:6.40g(20mmol)
炭酸カリウム:4.00g
銅粉:3.0g
オルトジクロロベンゼン:30ml
N,N’−ジフェニルベンジジン:4.88g(14.5mmol)
2−ヨード−9,9−ジメチルフルオレン:6.40g(20mmol)
炭酸カリウム:4.00g
銅粉:3.0g
オルトジクロロベンゼン:30ml
次に、反応溶液を還流させながら20時間撹拌を行った。次に、反応溶液を冷却した後、濾過して得られたろ液を減圧濃縮した。次に、濃縮した濾液にメタノールを加えることで析出される粗製結晶を濾取した。次に、この粗製結晶を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン−ヘキサン混合溶媒)で精製することにより、化合物4を白色結晶として7.32g(収率70%)得た。
(5)化合物5の合成例
(5−1)中間体5−1の合成
非特許文献3を参考にして、2,7−ジターシャリブチルフルオレン(シグマアルドリッチ社)を原料として、4−ブロモ−2,7−ジターシャリブチルフルオレンを合成した後、ジメチル化することで中間体5−1を得た。
非特許文献3を参考にして、2,7−ジターシャリブチルフルオレン(シグマアルドリッチ社)を原料として、4−ブロモ−2,7−ジターシャリブチルフルオレンを合成した後、ジメチル化することで中間体5−1を得た。
(5−2)化合物5の合成
200mlの三ツ口フラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
中間体5−1:4.56g(12.0mmol)
化合物5−2:0.828g(4.00mmol)
ナトリウムターシャリーブトキシド:0.96g(10.0mmol)
キシレン:100ml
200mlの三ツ口フラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
中間体5−1:4.56g(12.0mmol)
化合物5−2:0.828g(4.00mmol)
ナトリウムターシャリーブトキシド:0.96g(10.0mmol)
キシレン:100ml
次に、フラスコ内を窒素雰囲気にした後、反応溶液を室温で攪拌しながら、トリターシャリーブチルフォスフィン34.4mg(0.17mmol)を添加した。次に、パラジウムジベンジリデンアセトン48.9mg(0.085mmol)を添加した。次に、反応溶液を125℃に昇温して、この温度(125℃)で3時間攪拌した。反応終了後、有機層をトルエンで抽出し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。次に、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。次に、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘプタン−トルエン混合溶媒)で精製することにより、化合物5を白色結晶として2.53g(収率78.0%)得た。
質量分析法により、この材料のM+である817.5を確認した。また、DSC示差走査熱量分析法により、融点267℃及びガラス転移点143℃を確認した。
(6)化合物6の合成
(6−1)化合物E3の合成
反応容器内に、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E1:9.1g(50mmol)
化合物E2:10.5g(50mmol)
エタノール:200ml
反応容器内に、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E1:9.1g(50mmol)
化合物E2:10.5g(50mmol)
エタノール:200ml
次に、反応溶液を60℃まで加熱した後、5M水酸化ナトリウム水溶液20mlを滴下した。滴下終了後、反応溶液を80℃に加熱して、この温度(80℃)で2時間攪拌した。次に、反応溶液を冷却したときに析出した析出物の濾過を行い、この析出物を水、エタノールで順次洗浄した。次に、この析出物を、80℃で減圧加熱乾燥することにより、化合物E3を濃緑色の固体として15.6g(収率:88%)得た。
(6−2)化合物E5の合成
反応容器内に、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E3:3.56g(10mmol)
化合物E4:2.59g(12mmol)
トルエン:50ml
反応容器内に、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E3:3.56g(10mmol)
化合物E4:2.59g(12mmol)
トルエン:50ml
次に、反応溶液を80℃まで加熱した後、亜硝酸イソアミル1.40g(12mmol)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応溶液を110℃に加熱して、この温度(110℃)で3時間攪拌した。次に、反応溶液を冷却した後、反応溶液を水100mlで2回洗浄して有機層を得た。次に、この有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。次に、この溶液を濾過した後、ろ液を減圧濃縮して茶褐色液体を得た。次に、得られた液体(茶褐色液体)をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/ヘプタン=2/3)で精製した。次に、クロロホルム/メタノール混合溶媒で再結晶を行うことにより、異性体の混合物である化合物E5を、黄色結晶として3.96g(収率:88%)得た。
(6−3)化合物E6の合成
反応容器内に、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
E5:2.42g(5mmol)
DMF:40ml
ビス(トルフェニルフォスフィン)パラジウム(II)ジクロライド:0.25g(0.5mmol)
1,8―ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン:2.28g(15mmol)
反応容器内に、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
E5:2.42g(5mmol)
DMF:40ml
ビス(トルフェニルフォスフィン)パラジウム(II)ジクロライド:0.25g(0.5mmol)
1,8―ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン:2.28g(15mmol)
次に、反応溶液を150℃に加熱して、この温度(150℃)で4時間攪拌を行った。次ぐに、反応溶液を冷却した後、メタノール30mlを加えて沈殿物を析出させた。次に、この沈殿物を濾取することで黄色固体を得た。次に、この黄色固体をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/ヘプタン=1:4)にて精製した後、クロロホルム/メタノール金剛溶媒で再結晶を2回行うことにより、化合物E6を、黄色結晶として1.35g(収率:67%)得た。
(6−4)化合物6の合成
30のmlナスフラスコ内に、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E6:0.87g(2mmol)
化合物E7:0.72g(2.2mmol)
酢酸パラジウム:0.4mg
2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル:0.9mg
トルエン:5ml
蒸留水:0.1ml
燐酸カリウム:1.27g
30のmlナスフラスコ内に、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。
化合物E6:0.87g(2mmol)
化合物E7:0.72g(2.2mmol)
酢酸パラジウム:0.4mg
2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル:0.9mg
トルエン:5ml
蒸留水:0.1ml
燐酸カリウム:1.27g
次に、フラスコ内に窒素をフローしながら、反応溶液を100℃に加熱して、この温度(100℃)で4時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却したときに得られた結晶を濾取し、水、エタノール、ヘプタンで順次分散洗浄を行った。次に、得られた結晶をトルエンにて加熱溶解した後、熱時濾過し、次いで、トルエン/エタノールで再結晶を行うことで結晶を得た。次に、この結晶を120℃で真空乾燥させた後、昇華精製を行うことにより、化合物6(化合物E8)を、淡黄色結晶として0.96mg(収率:80%)得た。
NMR測定によりこの化合物の構造を確認した。
1H−NMR(CDCl3,500MHz) σ(ppm):8.78(d,1H,J=7.05Hz),8.71(d,1H,J=7.75Hz),8.05−7.78(m,10H),7.63−7.48(m,8H),7.41−7.37(m,4H)、7.28−7.26(m,1H),6.75(d,1H,J=8.50Hz).
また例示化合物E8のトルエン溶液(濃度:1×10-5mol/l)の発光スペクトルについて、日立製F−4500を用いて、励起波長(350nm)におけるフォトルミネッセンスの測定を行った。その結果、450nmに最大強度を有するスペクトルであった。
(発光層の構成材料の物性の評価)
本実施例で使用される発光層の構成材料について物性(エネルギー順位、発光ピーク、発光収率)の評価を行った。結果を表1に示す。また以下に、各物性の測定・評価方法を説明する。
本実施例で使用される発光層の構成材料について物性(エネルギー順位、発光ピーク、発光収率)の評価を行った。結果を表1に示す。また以下に、各物性の測定・評価方法を説明する。
(i)HOMO
HOMOエネルギーは、大気下光電子分光法(測定器名AC−2 理研機器製)を用いて測定した。尚、HOMOは、イオン化ポテンシャルと同値である。
HOMOエネルギーは、大気下光電子分光法(測定器名AC−2 理研機器製)を用いて測定した。尚、HOMOは、イオン化ポテンシャルと同値である。
(ii)LUMO
LUMOエネルギーは、後述するエネルギーギャップ測定値と上記イオン化ポテンシャルから算出することができる。即ち、以下の式で算出することができる。尚、LUMOは、電子親和力と同じ値である。
[電子親和力]=[イオン化ポテンシャル]−[エネルギーギャップ]
LUMOエネルギーは、後述するエネルギーギャップ測定値と上記イオン化ポテンシャルから算出することができる。即ち、以下の式で算出することができる。尚、LUMOは、電子親和力と同じ値である。
[電子親和力]=[イオン化ポテンシャル]−[エネルギーギャップ]
(iii)エネルギーギャップ
エネルギーギャップの測定は、可視光−紫外吸収スペクトルから求めることができる。本発明においては、ガラス基板上に成膜した薄膜の吸収端から求めた。装置は日立製分光光度計U−3010を用いた。
エネルギーギャップの測定は、可視光−紫外吸収スペクトルから求めることができる。本発明においては、ガラス基板上に成膜した薄膜の吸収端から求めた。装置は日立製分光光度計U−3010を用いた。
(iv)発光スペクトル
発光性ゲストの発光スペクトルは、日立製蛍光光度計F4500にてフォトルミネッセンスを測定することで得た。本発明においてサンプルは、ガラス基板上に発光層と同様の構成の薄膜を成膜したものを用いた。
発光性ゲストの発光スペクトルは、日立製蛍光光度計F4500にてフォトルミネッセンスを測定することで得た。本発明においてサンプルは、ガラス基板上に発光層と同様の構成の薄膜を成膜したものを用いた。
(v)発光収率
発光性ゲストの発光収率は、浜松ホトニクス社製の絶対PL量子収率測定装置を用いて測定した。試料として発光性ゲストのトルエン溶液を用いた。これは、石英基板に蒸着したドープ膜の場合、ドープ膜と石英基板界面及びドープ膜と大気界面の反射による光学干渉で正確な測定が不可能なためである。
発光性ゲストの発光収率は、浜松ホトニクス社製の絶対PL量子収率測定装置を用いて測定した。試料として発光性ゲストのトルエン溶液を用いた。これは、石英基板に蒸着したドープ膜の場合、ドープ膜と石英基板界面及びドープ膜と大気界面の反射による光学干渉で正確な測定が不可能なためである。
また本実施例では、2種類のドーパントがいずれも電子トラップ型発光性ドーパントである。このため、上記表1より、電子が注入される側の発光層である第一発光層に含まれる第一ゲストよりも第二発光層に含まれる第二ゲストの方が発光収率が高いことが示された。
一方、本実施例における2種類のゲストの発光収率の比は、下記式の様に示された。
Φ2/Φ1=1.25
Φ2/Φ1=1.25
(有機発光素子の製造方法)
以下に、本実施例における有機発光素子の具体的な製造方法を説明する。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、本実施例における有機発光素子の具体的な製造方法を説明する。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
図1(b)に示される有機発光素子を、以下に示す方法により作製した。まずガラス基板(基板10)上に、スパッタ法により酸化錫インジウム(ITO)を成膜して陽極20を形成した。このとき陽極20の膜厚を130nmとした。次に、陽極20が形成されている基板10を、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。さらに、UV/オゾン洗浄した。このようにして処理した基板10を透明導電性支持基板として次の工程に使用した。
次に、化合物4(正孔注入材料)とクロロホルムとを混合して、濃度0.1重量%のクロロホルム溶液を調製した。次に、このクロロホルム溶液を陽極20上に滴下し、最初に回転数500RPMで10秒、次に、回転数1000RPMで1分間スピンコートを行い膜を形成した。この後10分間、80℃の真空オーブンで乾燥して薄膜中の溶剤を完全に除去して正孔注入層31を形成した。このとき正孔注入層31の膜厚は11nmであった。
次に、真空蒸着法により、正孔注入層31上に、化合物5を成膜して正孔輸送層30を形成した。このとき正孔輸送層30の膜厚を15nmとし、蒸着時の真空度を7.0×10-5Pa以下とし、成膜速度を0.08nm/sec以上0.10nm/sec以下の条件とした。
次に、化合物1(共通ホスト)と化合物2(第二ゲスト)とを、それぞれ別のボートから同時蒸着して、正孔輸送層30上に第二発光層42を形成した。このとき化合物2が層全体の2重量%になるように蒸着レートを調節し、膜厚を30nmとした。また第二発光層42を形成するに際し、蒸着時の真空度を7.0×10-5Pa以下とし、成膜速度を0.08nm/sec以上0.10nm/sec以下の条件とした。ただし、成膜速度は、ホスト及びドーパントの両者を合わせた蒸着速度である。尚、正孔輸送層30の蒸着を完了してから第二発光層42の成膜を開始するまでは真空状態を維持しており、この真空状態維持の時間を10分以内とした。
次に、化合物1(共通ホスト)と化合物6(第一ゲスト)とを、それぞれ別のボートから同時蒸着して、第二発光層42上に第一発光層41を形成した。このとき化合物6が層全体の5重量%になるように蒸着レートを調節し、膜厚を30nmとした。また第一発光層41を形成するに際し、蒸着時の真空度を7.0×10-5Pa以下とし、成膜速度を0.08nm/sec以上0.10nm/sec以下の条件とした。ただし、成膜速度は、ホスト及びドーパントの両者を合わせた蒸着速度である。尚、第二発光層42の蒸着を完了してから第一発光層41の成膜を開始するまでは真空状態を維持しており、この真空状態維持の時間を10分以内とした。
次に、真空蒸着法により、第一発光層41上に、化合物3を成膜して電子輸送層50を形成した。このとき電子輸送層50の膜厚を30nmとし、蒸着時の真空度を7.0×10-5Pa以下とし、成膜速度を0.08nm/sec以上0.10nm/sec以下の条件とした。尚、第一発光層41の蒸着を完了してから電子輸送層50の成膜を開始するまでは真空状態を維持しており、この真空状態維持の時間を10分以内とした。
次に、真空蒸着法により、電子輸送層50上にフッ化リチウム(LiF)を成膜してLiF膜を形成した。このとき、LiF膜の膜厚を0.5nmとし、蒸着時の真空度を1.0×10-4Paとし、成膜速度を0.05nm/secとした。次に、真空蒸着法により、LiF膜上にアルミニウムを成膜してAl膜を形成した。このときAl膜の膜厚を150nmとし、蒸着時の真空度を1.0×10-4Paとし、成膜速度を1.0nm/sec以上1.2nm/sec以下の条件とした。尚、上記LiF膜及びAl膜は、電子注入電極(陰極60)として機能する。
最後に、有機発光素子に水分の吸着が起こらないように、露点−70℃以下の窒素雰囲気中で保護用ガラス板をかぶせ、エポキシ系接着材で封止した。尚、保護ガラスの接着面側には掘り込みを入れ、水分吸着用のシート(有機EL用水分ゲッターシート、ダイニック株式会社製)を封入した。以上により有機発光素子を得た。
得られた有機発光素子について、ITO電極(陽極)を正極、アルミニウム電極(陰極)を負極にして、5.8Vの電圧を印加した。その結果、発光輝度2123cd/m2、発光効率6.7cd/A、CIExy色度(0.15、0.26)の、最大発光波長460nmの材料に由来する青色の発光が観測された。
また、この素子を輝度5000cd/m2になるよう電圧を印加したところ、初期の90%の発光輝度になるのは152時間であった。
(比較例1)
実施例1において、第一発光層41の形成を省略し、第二発光層42の膜厚を60nmとしたことを除いては、実施例1と同様の方法により有機発光素子を作製した。
実施例1において、第一発光層41の形成を省略し、第二発光層42の膜厚を60nmとしたことを除いては、実施例1と同様の方法により有機発光素子を作製した。
得られた素子について、ITO電極(陽極)を正極、アルミニウム電極(陰極)を負極にして、5.2Vの電圧を印加した。その結果発光輝度2525cd/m2、発光効率10cd/A、CIExy色度(0.15、0.24)、最大発光波長460nmの材料7に由来する青色の発光が観測された。
一方、この素子を輝度5000cd/m2になるよう電圧を印加したところ、初期の90%の発光輝度になるのは99時間であった。
以上より、実施例1の有機発光素子は、Φ2/Φ1=1.25となる発光性ゲストの組み合わせを用いたことにより、理論的に予想される通り、単層素子と比較して、α=0.9となる時間(寿命:τα=0.9)が1.5倍となった。
1(2):有機発光素子、10:基板、20:陽極、30:正孔輸送層、41:第一発光層、42:第二発光層、50:電子輸送層、60:陰極
Claims (5)
- 第一電極と、第一発光層と第二発光層とからなる発光層と、第二電極と、から構成され、
前記第一発光層と前記第二発光層とが隣接しており、
前記第一発光層が、第一ホストと第一ゲストとを有し、
前記第二発光層が、第二ホストと第二ゲストとを有し、
前記第一ゲストの発光色と前記第二ゲストの発光色が同一であり、
前記第一ゲスト及び前記第二ゲストが、同一種の電荷をトラップし、
前記同一種の電荷が電子又は正孔であり、
前記同一種の電荷が注入される側の発光層のゲストの発光収率よりも、他方の発光層のゲストの発光収率の方が大きいことを特徴とする、有機発光素子。 - 前記トラップされる電荷が注入される側の発光層のゲストの発光収率Φ1と、他方の発光層のゲストの発光収率Φ2との比(Φ2/Φ1)が1.2以上であることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
- 陽極と陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に挟持され、前記陰極側にある第一発光層と前記陽極側にある第二発光層とからなる発光層と、から構成され、
前記第一発光層と前記第二発光層とが隣接しており、
前記第一発光層が、第一ホストと第一ゲストとを有し、
前記第二発光層が、第二ホストと第二ゲストとを有し、
前記第一ゲストの発光色と前記第二ゲストの発光色が同一であり、
前記第一ゲスト及び前記第二ゲストが、電子をトラップし、
前記第一ゲストの発光収率よりも、前記第二ゲストの発光収率の方が大きいことを特徴とする、有機発光素子。 - 前記第一ゲストの発光収率Φ1と、前記第二ゲストの発光収率Φ2との比(Φ2/Φ1)が1.2以上であることを特徴とする、請求項3に記載の有機発光素子。
- 前記第一ホストと前記第二ホストとが同一の化合物であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機発光素子。
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