JP2012062638A - 棟瓦梁支持金具 - Google Patents

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Abstract

【課題】傾斜する棟のどの方向に取り付けても上下の部材が抜けず、なお且つ上下にがたつきが生じない棟瓦梁支持金具。
【解決手段】棟瓦梁支持金具の屋根の棟の位置に固定される下部材1は、屋根の棟部分の両側に跨って野地板に固定される脚部20と、この脚部20から立設された柱状の下部材支柱部10とを有する。この下部材1の上に継ぎ合わせられ、屋根の棟に沿って積み上げる棟瓦を支持する棟瓦梁を支持する上部材2は、前記棟瓦梁を支持する梁支持部40と、この梁支持部40から垂下された柱状の上部材支柱部30とを有する。下部材支柱部10と上部材支柱部30とに、それらが継ぎ合わせられるときに互いに係合するスリット13と突起34とがそれぞれ設けられている。前記スリット13は、前記突起34を挿入する差込口14、同突起34を挿入口14から抜け止めする抜止部15及び同突起34の上下動を規制する上下動規制部18を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、屋根の棟に沿って棟瓦を設けるに当たり、棟瓦の内部で同棟瓦を支持する棟瓦梁を支持、固定するため、屋根の棟に沿って設置される棟瓦梁支持金具に関し、特に寄せ棟屋根や入母屋々根のように、傾斜棟を有する場合に、その傾斜棟に設置しても安定して棟瓦梁を支持することが出来るようにした棟瓦梁支持金具に関する。
棟瓦は屋根の棟に沿って構築される瓦であり、のし瓦やかんむり瓦を積み上げて構築される。最近、地震被害の一つとして屋根瓦の倒壊が問題視されており、そのなかでもとりわけ棟瓦の倒壊が問題となっている。従来の家屋では、棟瓦は粘土や漆喰により固めて固定していたが、この構造では棟瓦の大規模地震による倒壊を防ぐことは困難である。
そこで、金具を用いて棟に沿って棟瓦梁を架設し、この棟瓦梁で棟瓦全体を固定する構造が採用されている。このような棟瓦梁を架設するための棟瓦梁支持金具は、鋼板製で、ハの字形をなす脚部と、この脚部から立設した柱部と、この柱部の上部に設けられ、上側が開いた側面コ字形をなす梁支持部とを有するものである。
このような棟瓦梁支持金具を使用し、家屋の屋根の棟に沿って野地板の上に固定し、棟の尾根線と平行に棟瓦梁を架設する。棟の両側に桟瓦を葺き、棟に沿ってのし瓦を1段以上積み、これを金属線等で棟瓦梁に固定する。さらに、のし瓦の上に棟瓦梁を覆うように丸瓦の一種であるかんむり瓦を並べて乗せ、これを棟瓦梁に固定し、棟瓦が完成する。なおかんむり瓦の下側ののし瓦との隙間を埋めるように、予め粘土や漆喰等のふき土を充填することもある。
このようにして棟瓦を施工する場合、棟の野地板の尾根部分から丸瓦までの高さは、積み上げるのし瓦の枚数等により各家屋毎に異なる。また、野地板の棟の部分が一定の高さにならず、多少の高さの違いが生じることがある。
このような高を調整し、棟瓦梁を一定の高さに架設するための手段として、例えば特開2000−145038号公報や特開2004−225323号公報に記載されたように、棟瓦梁支持金具を上下別の部材に分離したものが使用されている。このような棟瓦梁支持金具では、下側の部材の脚部から立設した柱状の部分の側壁に一定の高さ間隔で幅方向に延びる複数のスリットを設け、上側の部材の梁支持部から垂下した柱状の部分に前記スリットと同じ高さ間隔で幅方向に延びる複数の突起を設け、上下の部材の柱状の部分を互いに嵌め込むとき、前記の突起をスリットに差し込んで固定する。スリットと突起は一定の高さ間隔で複数設けられているため、嵌め込むスリットと突起とを選択することにより、スリットと突起の高さ間隔で棟瓦梁支持金具の高さ、つまり脚部から梁支持部までの高さを可変、調整することが出来る。
このような高さ調整機能を有する棟瓦梁支持金具では、下側と上側の部材の柱状の部分の側面にそれぞれ設けた幅方向に延びるスリットと突起とを一方から嵌め込むだけの構造のため、一旦差し込んだスリットと突起が抜けやすい。このため、寄せ棟や入母屋の屋根における傾斜棟にこれらの棟瓦梁支持金具を取り付ける場合は、棟瓦梁支持金具の方向を選び、スリットから突起が抜けない方向に棟瓦梁支持金具を取り付ける必要がある。
しかしながら、通常の家屋の建築工事において、屋根葺き工事は元請けからの下請けとして発注される。このようの条件の中で、屋根葺き工事にかけることが出来る時間は限られており、必然的に能率重視のもとで屋根葺き工事が行われる。そのため、棟瓦梁支持金具の取付方向を一々選んでいる余裕はなく、スリットと突起が抜けやすい方向に棟瓦梁支持金具を取り付けてしまうことが多々ある。
そこで特開2006−219928号に記載されたように、下側と上側の部材の柱状の部分をどの方向から継ぎ合わせてもスリットと突起が抜けないように、スリットに突起を差し込んだときに、突起の長手方向への移動を阻止するストッパを備えた棟瓦梁支持金具が提案されている。例えば、スリット内に突起を一段下に嵌め込むことが出来る凹部を設けている。
しかしながら、スリット内で突起を凹部に嵌め込むことが出来るようにすると、その分だけスリットの凹部において、突起とスリットとの間に上下に余裕が生じることになる。その結果、下側と上側の部材の柱状の部分を継ぎ合わせた状態で、下側と上側の部材の間に上下のがたつきが生じ、これが不安定要素となる。
特開2006−219928号公報 特開2000−145038号公報 特開2004−225323号公報 特開2001−355318号公報 特開2001−279872号公報 特開平11−172857号公報 特開平11−36523号公報
本発明は、前記のような上下2つの部材に分かれた従来の棟瓦梁支持金具における課題に鑑み、上下2つの部材の組立時の抜け止めを確実にし、なお且つ組み立て作業の中で簡単な動作により上下のがたつきも解消することが出来る棟瓦梁支持金具を提供することを目的とする。
本発明では、前記の目的を達成するため、上部材2の上部材支柱部30の突起34が係合される下部材1の下部材支柱部10のスリット13に、前記突起34を挿入する差込口14と同突起34を挿入口14から抜け止めする抜止部15の外に、同突起34の上下動を規制する上下動規制部18を設けた。
すなわち、本発明による棟瓦梁支持金具は、屋根の棟の位置に固定される下部材1とこの下部材1の上に継ぎ合わせられ、屋根の棟に沿って積み上げる棟瓦を支持する棟瓦梁を支持する上部材2とかならなり、下部材1は屋根の棟部分の両側に跨って野地板に固定される脚部20と、この脚部20から立設された柱状の下部材支柱部10とを有し、上部材2は、前記棟瓦梁を支持する梁支持部40と、この梁支持部40から垂下された柱状の上部材支柱部30とを有し、前記下部材1の下部材支柱部10と上部材2の上部材支柱部30とに、それら下部材支柱部10と上部材支柱部30とが継ぎ合わせられるときに互いに係合するスリット13と突起34とがそれぞれ設けられている。前記スリット13は、前記突起34を挿入する差込口14、同突起34を挿入口14から抜け止めする抜止部15及び同突起34の上下動を規制する上下動規制部18を有する。
この本発明による棟瓦梁支持金具において、前記スリット13の抜止部15は具体的には、同スリット13の差込口14の奥の1段低くなった凹部からなる。また、前記スリット13の上下規制部18は、同スリット13の抜止部15の奥に設けられた上下幅が狭くなったスリット状部分からなる。
このような本発明による棟瓦梁支持金具においては、下部材1に上部材2を取り付けるときは、下部材1の下部材支柱部10に上部材2の上部材支柱部30を嵌め込むが、このとき下部材1の下部材支柱部10のスリット13に上部材2の上部材支柱部30の突起34を係合する。この上部材支柱部30の突起34は、まず差込口14からスリット13に挿入され、その奥の抜止部15に差し込まれて、抜け止めされる。さらに同突起34をスリット13の中で上下動規制部18に差し込むことにより、下部材1の下部材支柱部10と上部材2の上部材支柱部30との上下動が規制される。
より具体的に説明すると、突起34はまず差込口14からスリット13に挿入された後、その奥の1段低くなった凹部からなる抜止部15に差し込まれる。ここで下部材支柱部10に対して上部材支柱部30を下に押し込むことにより、突起34が凹部からなる抜止部15に嵌まり込み、同突起34が差込口14から抜けるのが防止される。この状態から下部材支柱部10に対して上部材支柱部30を押し込み、突起34をスリット13のさらに奥に挿入することにより、同突起34が同スリット13の抜止部15の奥に設けられた上下幅が狭くなったスリット状部分からなる上下規制部18に差し込まれる。これにより、下部材1に対する上部材2の上下動が規制される。
このように本発明による棟瓦梁支持金具では、下部材1に上部材2を取り付けるに際して、上部材2の上部材支柱部30の突起34を下部材1の下部材支柱部10のスリット13に差し込む作業の中で、簡単な差込動作により下部材1の下部材支柱部10に対して上部材2の上部材支柱部30が抜け止めされる。加えて前者に対して後者の上下方向のがたつきも容易に防止することが出来る。これにより、下部材1と上部材2の抜けやがたつきの無い組立状態を容易に実現することが出来る。
本発明の第一の実施例による瓦梁支持金具を示す下部材と上部材とを分離した状態の斜視図である。 同実施例による瓦梁支持金具を示す下部材に上部材を取り付ける途中の状態の斜視図である。 同実施例による瓦梁支持金具を示す下部材に上部材の取り付けが完了した状態の斜視図である。 同実施例による瓦梁支持金具を示す突起とスリットとの係合途中の状態(A)と係合完了の状態(B)とを示す部分拡大斜視図である。 同実施例による瓦梁支持金具を使用して吹いた屋根の棟瓦の部分を示す要部正面図である。
本発明では、下部材1の脚部20から立設された平面コ字形の柱状の下部材支柱部10に設けた複数のスリット13と、上部材2の梁支持部40から垂下され、前記下部材1の下部材支柱部10側にコ字形に開いた側から嵌め込み可能な柱状の上部材支柱部30に設けた複数の突起34とにストッパ機能と上下動規制機能とを設け、その目的を達成するものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例をあげて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例による棟瓦梁支持金具の構成部材を分離して示したものである。この図1に示すように、棟瓦梁支持金具は下部材1と上部材2とからなり、例えば何れも鋼板等の金属板をプレスで打ち抜き、折り曲げて作られる。
下部材1は、正面「ハ」の字形状となった両側広がりの一対のプレート状の脚部20、20を有し、この脚部20、20には複数の釘穴21が設けられている。この脚部20、20の傾斜角は、通常30゜程度であるが、これは屋根勾配に合わせて設定される。手で折り曲げ角度を強制的に変えて使用することもある。
この脚部20、20の最も高い部分から平面「コ」の字形の下部材支柱部10が起立している。この下部材支柱部10の両側の側壁11は前記脚部20と一体であり、その折り曲げ部分に剛性を高めるための補強用のリブ22、22が設けられている。
この下部材支柱部10の両側の側壁11には、上下に一定の間隔で複数のスリット13が設けられている。このスリット13の数は図示の例では3つであるが、使用目的により任意の数とすることが出来る。下部材支柱部10の両側の側壁11の最上部には、窓状のスリット13の代わりに凹部13’が設けられている。
このスリット13は、下部材支柱部10の側壁11、11が前壁12で連なっている前面側の反対側、つまり平面「コ」字形の「コ」の字が開いた背面側に挿入口14を有している。このスリット13は、挿入口14の奥側で下方に1段深くなり、凹部15となっている。この凹部15の深さは、後述する上部材2を構成する金属板の板厚の1倍以上とする。さらにこのスリット13の凹部15の奥、すなわち挿入口14が設けられた下部材支柱部10の背面側と反対側に、その前面側に向けて上下幅が狭くなったスリット状の上下規制部18が切り込まれている。この上下規制部18の上下幅は、後述する上部材2を構成する金属板の板厚の1倍強、すなわち同金属板の板厚より僅かに大きくする。その深さ、すなわち前後の寸法は、凹部15の半分以下程度で差し支えない。
この下部材支柱部10の両側の側壁11には、スリット13の前方に穴17が設けられている。この穴17は図1に示すように1個でもよいが、スリット13と同じ間隔で複数個設けることも出来る。
さらに図示の例では、下部材支柱部10の前壁12にも窓状の矩形の開口部16が設けられている。この開口部16の上下の間隔は、前記スリット13と同じであり、またその開口部16の上下の高さは、前記スリット13の凹部15と同じである。下部材支柱部10の前壁12の最上部には、窓状の開口部16の代わりに凹部16’が設けられている。
他方、上部材2は、最上端に上が開いた正面横コ字形の梁支持部40を有し、この梁支持部40の中央から下方に柱状の上部材支柱部30が一体に連なり、垂下している。この上部材支柱部30の平面形状は、背面が開いた平面コ字形をしている。梁支持部40の曲がり角と梁支持部40と上部材支柱部30との曲がり角には、補強用のリブ41、41、42、42が形成されている。また、棟支持部40の両側壁には、棟瓦梁を固定するための釘穴43が穿孔されている。
前記上部材支柱部30の正面外側幅寸法と側面外側幅寸法は、前記下部材1の下部材支柱部10の正面内側幅寸法と側面内側幅寸法よりやや小さく、従ってこの上部材支柱部30は、前記下部材1の下部材支柱部10の開いた後方からその中に差し込むことが出来る。また、この上部材支柱部30の高さは、前記下部材1の下部材支柱部10よりやや高い。
この上部材2の上部材支柱部30の側壁31には、その側壁31を一部切り出して形成した突起34が上下に一定の間隔で突設してある。その突起34の上下の間隔は前記下部材1の下部材支柱部10に設けたスリット13及び凹部13’と同じ間隔である。図示の実施例ではこの突起34は、上部材支柱部30の下方に2つ設けられているが、同じ間隔で3つ以上或いはスリット13及び凹部13’と同じ数の4つ設けることも出来る。
この突起34の先端部は基部より幅が広くなっており、先端部両側が基部より外側に突出している。この突起34の基部の幅は、前記スリット13の奥の凹部15よりやや狭い。また、この突起34の先端部の幅は、前記スリット13の奥の凹部15より広い。
これらの突起34は、上部材支柱部30を前記下部材1の下部材支柱部10の後方からその中に差し込む際に、スリット13の挿入口14から同スリット13の中に差し込むことが出来る。上部材支柱部30を前記下部材1の下部材支柱部10の後方からその中に差し込んだ状態では、突起34の基部は、スリット13の挿入口14より奥の凹部15の位置に達する。
上部材2の上部材支柱部30の側壁31には、これら突起34の前方に穴36が設けられている。これらの穴36の間隔は、突起34と同じ間隔である。図示の例では、穴36は同じ間隔で3つ設けられている。
さらに、図示の実施例では、上部材2の上部材支柱部30の前壁32にも、その前壁32を一部切り出して形成した突起35が上下に一定の間隔で突設してあり、その上下の間隔は前記下部材1の下部材支柱部10に設けた開口部16及び凹部16’と同じである。これらの突起35の幅は、開口部16よりやや狭い。図示の実施例ではこの突起35、35は、上部材支柱部30の下方に2つ設けられているが、同じ間隔で3つ以上或いはスリット13及び凹部13’と同じ数の4つ設けることも出来る。それらの上下を位置は、上部材2の上部材支柱部30の側壁31に設けた突起34と一つずつ対応している。
このような下部材1と上部材2は、次のようにして組み立てられる。まず、図1に示すような位置関係とし、次に矢印で示すように、下部材1の下部材支柱部10の後方からその中に前記の上部材2の上部材支柱部30を差し込む。この時、上部材2の上部材支柱部30の側壁31に設けた一部の突起34を下部材1の下部材支柱部10の側壁11に設けたスリット13の挿入口14から差し込む。或いは凹部13’に嵌め込む。さらに下部材1の下部材支柱部10に対して上部材2の上部材支柱部30を前方にスライドさせ、突起34をスリット13の奥に差し込むと、突起34はスリット13の凹部15の位置に達する。このとき、上部材支柱部30の前壁32の一部の突起35は、開口部16或いは凹部16’に差し込まれる。
次にこの状態から、上部材2を下部材1に対して上から下へと押し込むと、図2及び図4(A)に示すように、前記突起34の基部がスリット13の凹部15に嵌り込む。この状態では、突起34の基部がスリット13の凹部15に嵌り込むことでストッパとして機能し、突起34がスリット13の挿入口14から抜け出ないので、上部材2の上部材支柱部30が下部材1の下部材支柱部10から抜け出ない。
さらにこの図2及び図4(A)に示す状態から、矢印で示すように、下部材1の下部材支柱部10に対して上部材2の上部材支柱部30を前方にスライドさせ、突起34をスリット13の奥に差し込むと、図3及び図4(B)に示すように、突起34の先端部が凹部15より上下幅が狭くなったスリット状の上下規制部18に差し込まれる。これにより、下部材1の下部材支柱部10に対して上部材2の上部材支柱部30の上下動が規制される。これにより、下部材1への上部材2の取り付けが完了する。図2はこのようにして下部材1に上部材2を取り付けた状態の棟瓦梁支持金具の全体の図である。
このようにして上部材2の上部材支柱部30を下部材1の下部材支柱部10に差し込む際には、脚部20から梁支持部40までの必要な高さを決定し、下方から幾つの突起34をスリット13に差し込むか決定する。すなわち、下方から幾つの突起34をスリット13に差し込むかで脚部20から梁支持部40までの高さが選択出来る。
このようにして下部材1に上部材2を取り付けた後は、下部材支柱部10の孔17と上部材支柱部30の孔36とが一部一致するので、そこに針金等を通し、括り付けると下部材1と上部材2との固定をより確実にすることが出来る。
図5は、組み立てた瓦梁支持金具を屋根の棟に立て、上部材2の梁支持部40に棟瓦梁を載せて架設し、棟瓦を葺いた状態を示す屋根の棟部の正面図である。棟瓦の中の充填物は除いて示してある。
まず前記のようにして高さを調節して上部材1と下部材2とを組み立てた瓦梁支持金具が一定の間隔で屋根の棟に沿って立設される。下部材2の脚部20が釘等で棟の両側の野地板52に固定される。瓦梁支持金具は野地板52を下から支持しているたる木51の部分に固定するとしっかりと固定出来る。
次に、屋根の野地板52の上に桟瓦53を葺く。桟瓦53は、屋根の軒先側から屋根の勾配に沿って棟側へ、つまり下から上側へと順次重ね葺きされる。
その後、桟瓦53及び棟瓦支持部材のフレーム本体1の上に棟瓦を積み上げる。例えば、面戸瓦、のし瓦54、55及びかんむり瓦57を棟の長手方向に継ぎ合わせながら積み上げて、棟瓦を構築する。
例えば、前記棟瓦支持部材の両側に一対の面戸瓦を取り付けるが、図示の例では面戸瓦は使用されていないため、棟瓦支持部材とその両側の桟瓦53とにわたって、中央部で分割されていない一体ののし瓦54を乗せる。まず、棟に沿って複数ののし瓦54の端部を付き合わせて継ぎ合わせながら、屋根の棟に沿ってのし瓦54を葺いていく。次に、前記のし瓦54の上に、中央部を帯状に除去して2つ割りにした左右一対ののし瓦55、55を乗せる。このようにして中央部を帯状に除去して2つ割にした左右一対ののし瓦55、55を乗せるのは、下ののし瓦54より上ののし瓦55、55の設置幅を狭くするためである。なお、こののし瓦55、55の長さは、その下ののし瓦54と同じである。こののし瓦55、55もまた、棟に沿って端部を付き合わせて継ぎ合わせながら、順次複数組ののし瓦54の上に積み上げて行く。のし瓦55、55は、の中間部の対向する部分に穴を設けておき、この穴を利用して一対ずつののし瓦55、55を結束し、互いに固定する。
またこれらのし瓦54、55を葺くのと前後して、上部材2の上端の梁支持部40に角材等からなる棟瓦梁56を嵌め込み、梁支持部56の側面の釘穴43から釘を打ち込んで固定する。これにより、棟瓦梁56をのし瓦55、55の間の上に水平になるよう保持し、架設する。
最後にのし瓦55の上にかんむり瓦57を乗せ、図5に示すように、その円筒部の中央部が棟瓦梁56の上にほぼ乗る状態とする。かんむり瓦57は、端部の太くなった紐部を隣接する他のかんむり瓦57の円筒部の端部に重ねて継ぎ合わせながら、棟瓦梁56に被せるようにし、棟瓦梁56からその両側ののし瓦55、55の一部を覆うように葺いていく。そして、かんむり瓦57を木ねじ等で前記棟瓦梁56に固定する。これにより、棟瓦葺きの施工が完了する。
本発明では、寄せ棟屋根や入母屋々根のように、傾斜棟を有する場合に、その傾斜棟に設置しても安定して棟瓦梁を支持することが出来るようにした棟瓦梁支持金具を提供することが出来るので、屋根瓦の特に棟瓦の施工を容易にすることが出来るという産業上の利用可能性を有する。
1 下部材
2 上部材
10 下部材支柱部
13 スリット
14 スリットの挿入口
15 スリットの凹部
18 スリットの上下規制部
20 下部材の脚部
30 上部材支柱部
34 突起
40 上部材の梁支持部

Claims (3)

  1. 屋根の棟の位置に固定される下部材(1)とこの下部材(1)の上に継ぎ合わせられ、屋根の棟に沿って積み上げる棟瓦を支持する棟瓦梁を支持する上部材(2)とかならなり、下部材(1)は屋根の棟部分の両側に跨って野地板に固定される脚部(20)と、この脚部(20)から立設された柱状の下部材支柱部(10)とを有し、上部材(2)は、前記棟瓦梁を支持する梁支持部(40)と、この梁支持部(40)から垂下された柱状の上部材支柱部(30)とを有し、前記下部材(1)の下部材支柱部(10)と上部材(2)の上部材支柱部(30)とに、それら下部材支柱部(10)と上部材支柱部(30)とが継ぎ合わせられるときに互いに係合するスリット(13)と突起(34)とがそれぞれ設けられている棟瓦梁支持金具において、前記スリット(13)は、前記突起(34)を挿入する差込口(14)、同突起(34)を挿入口(14)から抜け止めする抜止部(15)及び同突起(34)の上下動を規制する上下動規制部(18)を有することを特徴とする棟瓦梁支持金具。
  2. スリット(13)の抜止部(15)は、同スリット(13)の差込口(14)の奥の1段低くなった凹部からなることを特徴とする請求項1に記載の棟瓦梁支持金具。
  3. スリット(13)の上下規制部(18)は、同スリット(13)の抜止部(15)の奥に設けられた上下幅が狭くなったスリット状部分からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の棟瓦梁支持金具。
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