JP2012061383A - 中空糸膜ユニット、水処理装置および水処理方法 - Google Patents

中空糸膜ユニット、水処理装置および水処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 薬品による洗浄頻度を抑制し得る中空糸膜ユニットを提供することにある。
【解決手段】 中空糸膜によって原水が膜分離されるように構成されてなる中空糸膜ユニットであって、
前記中空糸膜の内径Din(m)、前記中空糸膜により膜分離された水の粘性係数μ(Pa・s)、前記中空糸膜の孔の透過抵抗r0 (Pa・m-2・s)、及び原水が膜分離されて一端側に流される、前記中空糸膜の部分における長手方向の長さL(m)が下記数式1を満たすことを特徴とする中空糸膜ユニットを提供する。
【数1】
Figure 2012061383

【選択図】 なし

Description

本発明は、中空糸膜ユニット、水処理装置および水処理方法に関し、詳しくは、中空糸膜によって原水が膜分離されるように構成されてなる中空糸膜ユニット、該中空糸膜ユニットを備えてなる水処理装置、及び該中空糸膜ユニットを用いて原水を膜分離する水処理方法に関する。
従来より、この種の水処理装置は、例えば、工場(鉄鋼、食品、電力、電子、医薬、自動車等の工場)の廃水、生活廃水、ゴミ浸出水等の廃水、工業用水等の用水、河川水、湖沼水、及び海水等の原水を膜分離することによって透過水たる処理水を得るのに用いられている(例えば、特許文献1、2)。
斯かる水処理装置は、具体的には、該中空糸膜ユニットを浸漬膜として備え、更に、該中空糸膜ユニット及び原水を収容する槽と、吸引により該中空糸膜ユニットに原水を圧送するポンプとを備えてなる。
斯かる水処理装置では、原水が膜分離されるに従い、原水に含まれる不純物が、ケーキとして中空糸膜の表面に付着したり、中空糸膜の孔に詰まることによって、中空糸膜の孔が徐々に閉塞されてしまうという問題がある。従って、処理水を一定水量で得るには、閉塞に合わせて、ポンプで原水を圧送するための圧力を上昇させる必要がある。
しかし、ポンプには能力に限りがあるため、使用中のポンプで圧力をあまり大きく上昇させることが難しいという問題がある。一方で、圧力を大きくかけることのできるポンプを用いると圧力を大きくかける必要のない初期の状態においては、不要にエネルギーコストがかかってしまうという問題がある。
そこで、中空糸膜の閉塞を抑制すべく、逆洗(通常のろ過をする際の水の流れとは逆の方向に水を流して、中空糸膜に蓄積した不純物を除去すること。)が定期的に実施されている。
しかるに、逆洗では、ケーキとして中空糸膜の表面に付着した不純物は除去できるが、中空糸膜の孔に詰まった不純物はあまり除去できないという問題がある。
斯かる観点から、逆洗に加えて、中空糸膜の孔に詰まった不純物を溶解し除去すべく薬品(例えば、酸、アルカリ、酸化剤、キレート剤、界面活性剤等)による洗浄が行われている。
特開2008−296136号公報 特開2006−21109号公報
しかしながら、斯かる薬品による洗浄には、膜を損傷してしまい膜の寿命を短くしてしまうという問題がある。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、薬品による洗浄頻度を抑制し得る中空糸膜ユニット、水処理装置、および水処理方法を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意研究したところ、一般に、膜間差圧の上昇速度を抑制できれば、薬品による洗浄頻度を抑制できることに着目し、モデル計算によって、前記中空糸膜の内径、前記中空糸膜の孔の透過抵抗、及び原水が膜分離されて一端側に流される、前記中空糸膜の部分における長手方向の長さが所定の関係の範囲にあることにより、膜間差圧の上昇速度を小さくすることができること、即ち、薬品による洗浄頻度を抑制し得ることを見出し、本発明の完成を想到するに至った。
すなわち、本発明は、中空糸膜によって原水が膜分離されるように構成されてなる中空糸膜ユニットであって、
前記中空糸膜の内径Din(m)、前記中空糸膜により膜分離された水(膜分離水)の粘性係数μ(Pa・s)、前記中空糸膜の孔の透過抵抗r0(Pa・m-2・s)、及び原水が膜分離されて一端側に流される、前記中空糸膜の部分における長手方向の長さL(m)が下記数式1を満たすことを特徴とする中空糸膜ユニットにある。
Figure 2012061383
また、本発明は、前記中空糸膜ユニットを備えてなる水処理装置にある。
さらに、本発明は、前記中空糸膜ユニットを用いて原水を膜分離する水処理方法にある。
以上のように、本発明によれば、薬品による洗浄頻度を抑制し得る。
一実施形態に係る中空糸膜の概略図。 一実施形態に係る中空糸膜の概略図。 一実施形態に係る水処理装置の概略図。 本実施形態のモデルにおける処理水の流れの概略図。 本実施形態のモデルにおける、中空糸膜の孔が不純物により閉塞される状態の概略図。 kに対する圧力上昇速度の比例定数。 実験装置の概略図。 膜間差圧に対する透過流束。 中空糸膜ユニットの概略図。 膜間差圧/フラックスの時間変化。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
まず、本実施形態の中空糸膜ユニットについて説明する。
本実施形態の中空糸膜ユニットは、中空糸膜によって原水が膜分離されるように構成され、さらに、通常、浸漬膜として用いられる。
さらに、本実施形態の中空糸膜ユニットは、前記中空糸膜の内径Din(m)、前記中空糸膜により膜分離された水の粘性係数μ(Pa・s)、前記中空糸膜の孔の透過抵抗r0 (Pa・m-2・s)、及び原水が膜分離されて一端側に流される、前記中空糸膜の部分における長手方向の長さL(m)(以下、「原水の一端側流路の長さL」ともいう。)が下記数式2を満たすように構成されてなる。
尚、下記数式2の128の単位は、無次元である。
Figure 2012061383
図1に示すように、前記中空糸膜5は、一端が封止され他端から処理水Bが吸引されるタイプのものであってもよく、図2に示すように、両端から処理水Bが吸引されるタイプのものであってもよい。前記中空糸膜5が、図1に示すように、一端が封止され他端から処理水Bが吸引されるタイプのものである場合には、前記原水の一端側流路の長さLは、中空糸膜の長手方向の長さ自体を意味する。また、前記中空糸膜5が、図2に示すように、両端から処理水Bが吸引されるタイプのものであり、中空糸膜5の内径が均一で且つそれぞれの端から吸引される浄化水Bの量が同程度である場合には、前記原水の一端側流路の長さLは、中空糸膜の長手方向の長さの半分の長さを意味する。
前記中空糸膜の素材としては、例えば、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリビニールアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
前記内径Dinは、好ましくは0.1〜2.0mm、より好ましくは0.3〜2.0mmである。
前記中空糸膜により膜分離された水の粘性係数μは、好ましくは0.001〜1Pa・s、より好ましくは0.001〜0.1Pa・sである。なお、前記中空糸膜により膜分離された水が不純物を含まない場合には、粘性係数μは0.001Pa・sである。
前記原水の一端側流路の長さLは、好ましくは0.3〜3m、より好ましくは0.5〜2mである。
前記中空糸膜の孔の透過抵抗r0 は、好ましくは1×1010〜1×1012Pa・m-2・s、より好ましくは3×1010〜6×1011Pa・m-2・sである。
尚、中空糸膜の孔の透過抵抗r0 は、後述する「孔の透過抵抗の測定」に記載の方法で測定した初期(孔が不純物により目詰まりされる前)の中空糸膜の孔の透過抵抗を意味する。
前記中空糸膜の孔の透過抵抗r0は、膜の細孔径、空隙率及び膜の厚さによって調整することができる。また、処理水の粘性係数μは、処理される原水を処理水で希釈すること等によって調整することができる。
前記原水としては、工場(鉄鋼、食品、電力、電子、医薬、自動車等の工場)の廃水、生活廃水、ゴミ浸出水等の廃水、工業用水等の用水、河川水、湖沼水、及び海水等が挙げられる。また、下水や各種工場廃水等を生物処理して生じた汚泥含有水等も挙げられる。
本実施形態の中空糸膜ユニットは、上記の如く構成されてなるが、次ぎに、本実施形態の水処理装置について説明する。
図3に示すように、本実施形態の水処理装置1は、本実施形態の中空糸膜ユニット2を浸漬膜として備え、更に、該中空糸膜ユニット2及び原水Aを収容する槽3と、本実施形態の中空糸膜ユニット2に原水Aを吸引するポンプ4とを備えてなる。
尚、中空糸膜ユニット2の構造としては、特開2006−21109号公報に開示された一端が封止され他端から処理水Bが吸引されるタイプのものや、特開2008−296136号公報に開示された両端から処理水Bが吸引されるタイプのもの、などがある。
本実施形態の中空糸膜ユニット2は、前記槽3内の原水Aに浸漬されるように配置されてなる。
本実施形態の水処理装置1は、本実施形態の中空糸膜ユニット2によって原水Aが膜分離されて生成された透過水たる処理水Bが回収されるように構成されてなる。
また、本実施形態の水処理装置1は、中空糸膜内において処理水Bを層流で移送するように構成されてなる。
本実施形態の中空糸膜ユニット、及び水処理装置は、上記の如く構成されてなるが、次ぎに、本実施形態の水処理方法について説明する。
本実施形態の水処理方法は、ポンプ4により本実施形態の中空糸膜ユニット2の透過側、即ち、中空糸膜5の中空部分を吸引し、本実施形態の中空糸膜ユニット2によって原水Aを膜分離して処理水Bを生成し回収する。
尚、本実施形態の中空糸膜ユニット、水処理装置、及び水処理方法は、上記構成により、上記利点を有するものであったが、本発明の中空糸膜ユニット、水処理装置、及び水処理方法は、上記構成に限定されず、適宜設計変更可能である。
例えば、本実施形態の中空糸膜ユニットは、浸漬膜として用いられるが、本発明の中空糸膜ユニットは、圧力容器に濾過膜(中空糸膜)が収納されたタイプであり且つ原水がポンプを介して加圧されてから供給されるように構成されてもよい。
本発明の中空糸膜ユニットが圧力容器に濾過膜が収納されたタイプの場合には、本発明の水処理方法では、中空糸膜ユニットに原水が流入する入口の静圧に対する中空糸膜ユニットから濃縮水(非透過水)が流出する出口での静圧の差が、好ましくは±30%以内であり、より好ましくは±20%以内、さらに好ましくは±10%以内となるように原水を膜分離する。尚、下記に示すモデルでは、前提として全体での静圧が一定であるとしてモデル化したものであるので、中空糸膜ユニットは、静圧が一定であれば、下記に示すモデルの関係を満たすことから、更に、数式2の条件を満たせば、薬品による洗浄頻度が抑制されたものとなる。
本発明の中空糸膜ユニット、水処理装置、及び水処理方法は、上記数式2を満たすように構成されてなることにより、薬品による洗浄頻度を抑制し得る。このことは、下記のモデル計算の結果から明らかとなる。モデルについて以下に説明する。
<モデルについて>
(1)モデルの概要
中空糸膜で得られる処理水の流量及び処理水によって生じる中空糸膜への圧力について、1次元モデルでモデル化した。
本実施形態のモデルにおける処理水の流れの概略図を図4に示す。
本実施形態のモデルでは、原水が中空糸膜5表面を覆い、ポンプにより中空糸膜5の中空部分が吸引され、原水に含まれる水Cが、中空糸膜5の孔を透過し、その後、中空糸膜5の中空部分(中空領域5a)を通過し透過水たる処理水Bとして回収されるものとした。
また、本実施形態のモデルでは、中空糸膜5の長手方向をx軸とし、処理水Bが中空領域5aを出る出口の位置をx軸の原点とした。
本実施形態のモデルでは、中空糸膜5の中空領域5aにおける処理水Bが層流で流れている(中空領域5aにおけるレイノルズ数(Re(−))は、2000未満である)と仮定した。
即ち、中空糸膜5の内径Din、処理水Bの密度ρ、中空糸膜5の中空領域5aにおける処理水Bの流速ν、及び処理水Bの粘性係数μが下記数式3を満たすと仮定した。
Figure 2012061383
尚、処理水Bが不純物を含まないものとすると、処理水Bの密度ρが1,000kg/m3 、処理水Bの粘性係数μが0.001Pa・sとなるので、この場合において、中空糸膜5の内径Dinの単位を「m」、中空糸膜5の中空領域5aにおける処理水Bの流速νの単位を「m/s」とすると、該内径Dinと該流速νとの関係は、下記数式4のようになる。
Figure 2012061383
ここで、通常の中空糸膜5の使用形態に於いて、中空糸膜5の中空領域5aにおける処理水Bが層流で流れていること(中空領域5aにおけるレイノルズ数(Re(−))は、2000未満である)は、以下のようにして確認できる。即ち、ケーススタディーとして、中空糸膜5の内径Dinが0.6mmであり、更に、原水の一端側流路の長さLが1mである中空糸膜5を使用し、中空糸膜5のフラックス(透過流束)が1.0m/日となるように原水を処理したことを仮定すると、中空領域5aにおける処理水Bの流速は、0.15m/s程度となる。この場合、中空領域5aにおけるレイノルズ数Reは下記数式5のようになる。
Figure 2012061383
(2)初期状態(原水の膜分離開始時)のモデル化
本実施形態のモデルで使用するパラメータを下記表1に示す。
Figure 2012061383
本実施形態のモデルでは、位置xにおいて中空糸膜を透過する、中空糸膜のx方向の単位長さ当たりに得られる処理水の量をf (x)、位置xにおいて中空領域を流れる処理水の量をI(x)とすると下記数式6,7のようになる。
尚、以下の数式に於いて、f0 (x)、I0 (x)、I0 、r0 、P0 は、それぞれf(x)、I(x)、I、r、Pの初期状態のものを意味する。
Figure 2012061383
Figure 2012061383
また、原点から中空糸膜を通過するまでの圧力損失は経路によらず一定(P0 =一定)で、かつ中空糸膜を透過する処理水の流量は局所的な膜間差圧に比例する(局所的な膜の透過量は、局所的な膜間差圧に比例する。)(数式8のr0 0 (x)の項)と仮定すると、下記数式8のようになる。
Figure 2012061383
下記数式9とおき、上記数式6〜8からf0 (x)、I0 を解くと下記数式10、11のようになる。
Figure 2012061383
Figure 2012061383
Figure 2012061383
(3)原水の膜分離開始後の不純物によって生じる、膜への影響のモデル化
原水の膜分離開始後、図5に示すように、原水が膜分離されるに従い、中空糸膜の孔5bが不純物Dにより閉塞されることによって、膜間差圧が上昇することから、斯かる状態を時間経過に応じて膜間差圧が上昇するものとしてモデル化した。
尚、閉塞の原因としては、不純物Dがケーキとして中空糸膜5の表面に付着することと、不純物Dが中空糸膜の孔5bに詰まることとが考えられるが、本実施形態のモデルでは、中空糸膜5の表面に付着する不純物Dは、逆洗によって除去する状態を仮定し、閉塞の原因として不純物Dが中空糸膜の孔5bに詰まる状態のみを考慮し、不純物Dがケーキとして中空糸膜5の表面に付着することは無視した。
本実施形態のモデルでは、中空糸膜の膜自体の厚みの部分の内部を充填層と考えた。
膜の孔内部に異物(不純物)が流入すると、処理水の経路(孔)は部分的に閉塞され、処理水が透過できなくなって、孔の透過抵抗が上昇する。以下の数式では、膜の孔内部に流入するような異物(不純物)は水中に均一に存在しており、その一部が膜の孔内部に捕捉されると仮定した。
単位長さ当たりの圧力損失、すなわち孔の透過抵抗が増加すると、それに応じて流動状態も変化する。すなわち、局所的な透過抵抗(孔の透過抵抗)rが、初期状態であるr0 から下記数式12のように変化すると、透過量(処理水の流量)f(x)も初期状態であるf0 (x)から下記数式13のように変化し、膜間差圧Pは下記数式14のように変化する。ただし、ここで、εは時間経過によって増加する微小量である。
Figure 2012061383
Figure 2012061383
Figure 2012061383
この時の透過量の変化を摂動法によって求めるため、r及びf(x)から数式6〜8と同様の考え方で導くと、I(x)、P(t)は下記数式15、16となる。
Figure 2012061383
Figure 2012061383
さらに、εについてまとめ、各次数で上記数式が成立すると考えれば、下記数式17〜19のようになる。
Figure 2012061383
Figure 2012061383
Figure 2012061383
ここで、時刻tにおける位置xでのr1 (r1 (x))は、以下の仮定から下記数式20となる。尚、比例定数をαとおいて、εを、下記数式21と表した。また、mは、εが1だけ増加した際に抵抗が初期のr0 に対して何倍になるかを示すための比例定数である。仮定としては、局所的な抵抗の上昇速度は、局所的な透過水量、すなわちf0 (x)に比例し、更に、膜の形状による影響を除するために膜内部に流入する異物(不純物)の量が一定であるとする。すなわち、下記数式22がk、L及びr0 によらないようにしながら流量分布のみを変化させるために与えてある。
Figure 2012061383
Figure 2012061383
Figure 2012061383
数式21は、充填率の低下を直線近似できる比較的運転初期に相当する。r1 (x)の係数は、数式22に示すものが、kやLによらない、すなわち孔の透過抵抗の平均値を一定にしながら分布のみを変化させた時に膜間差圧の変化を明確化できるようにした。数式21は、単位時間あたりに膜で捕捉される異物のトータル量は水中に浮遊している異物濃度によってのみ決まるとしたことに相当する。
また、局所的な膜間差圧はその位置を透過した水の総量に比例すると仮定した。また、mは、ε=1とした時に抵抗が初期状態に対して何倍に増加するかを表すための比例定数である。
1 (x)は、初期状態からの流動状態の変化が小さく、局所的な膜間差圧の上昇も初期状態の流量に比例する運転初期に相当する。そのため、これによって求められるf1 (x)も、初期状態からの変化が小さな状態に相当する。
上記前提のもとで数式21を数式18に代入して解くと、下記数式23のようになる。ただし、下記数式23のA1 及びB1 は、それぞれ下記数式24、下記数式25となり、P1は、下記数式26となる。
Figure 2012061383
Figure 2012061383
Figure 2012061383
Figure 2012061383
実際の運転では、全処理水量を一定にするように膜間差圧を上昇させる。そこで、I(t)が時間によらず一定である(I(t)=I0 )とおくと、時刻tにおける膜間差圧P(t)は、下記数式27のように表される。
Figure 2012061383
従って、P1が大きいほど圧力上昇速度も大きくなる。数式26において、m=10、r0=1としたときにkが膜間差圧の上昇速度(P1/P0(−))に与える影響をグラフに表すと、図6のようになる。尚、図6においては、膜のフラックスを統一するため、L=0.5、1、2(m)のとき、それぞれI0=0.5、1、2(m3・S-1)とした。図6より、フラックスを一定にした場合であっても、膜長さが大きくなり、kが大きくなる程、膜間差圧の上昇速度(P1/P0(−))も大きくなる。
初期状態では、水の透過量は流出口付近で大きい。kが大きいと、膜を動径方向に進む時のエネルギーよりも内部を進む時のエネルギーロスの方が大きくなるため、流出口付近における局所的な流量が増加し、圧力損失も増大する。その結果、kLが大きな膜では、流出口から離れた部分を充分に利用することができない。
また、時間経過による膜の閉塞は、流量の大きな場所、すなわち流出口付近から進行する。流出口近傍における膜透過抵抗が増大すると、もともと流量の少なかった、すなわちエネルギーロスの大きな領域から水を強制的に吸い込むため、圧力上昇の速度も大きくなる。さらに膜が長い場合、フラックスを一定にしても水は流出口近傍を集中的に流れるため、局所的な流量は大きくなり全体の差圧も大きくなる。そのため、フラックスとkが同じでも膜の長さが大きい場合には、膜間差圧の上昇速度も大きくなると考えられる。
従来の中空糸膜ユニットの中空糸膜は、内径Dinが1mm程度、原水の一端側流路の長さLが2m程度、膜の孔の透過抵抗r0 が3×1011Pa・m-2・s程度であることから、粘性係数μを0.001Pa・sとすると、kLが5.56(−)程度である。
よって、下記数式28を満たす中空糸膜を用いることにより、図6に示すように、従来の中空糸膜よりも膜間差圧の上昇速度P1/P0(−)の傾きを緩やかにすることができ、該膜間差圧の上昇速度P1/P0(−)を抑制することができる。
即ち、下記数式28を満たす中空糸膜を用いることにより、薬品による洗浄頻度を抑制し得る。
また、膜間差圧の上昇速度をさらに抑制するという観点を考慮すると、かかるkLは、1.2未満が好ましく、1.0未満がより好ましい。
Figure 2012061383
尚、数式9よりkLは、下記数式29となる。
Figure 2012061383
また、本実施形態のモデルでは、「(1)モデルの概要」で記載したように、中空領域5aにおける処理水が層流で流れていることを仮定していることより、ハーゲンポアズイユの式から下記数式30のようになる。
Figure 2012061383
よって、数式29に数式30を代入することより下記数式31となる。したがって、数式28及び下記数式31より下記数式32が導かれ、下記数式32を満たす中空糸膜を用いることにより、薬品による洗浄頻度を抑制し得ることがわかる。
尚、ここで、下記数式32において、前記中空糸膜の内径Dinの単位は、「m」、前記中空糸膜により膜分離された水の粘性係数μの単位は「Pa・s」、前記中空糸膜の孔の透過抵抗r0 の単位は、「Pa・m-2・s」、原水が膜分離されて一端側に流される、前記中空糸膜の部分における長手方向の長さLの単位は、「m」である。また、下記数式32の係数「128」の単位は、無次元である。
Figure 2012061383
Figure 2012061383
<上記モデルの検証実験>
(1)初期状態における孔の透過抵抗r0 の測定及び膜の空隙率εの算出
モデルの検証に用いる中空糸膜の初期状態における孔の透過抵抗r0 を得るべく、図7に示す小型実験装置10を用いて該孔の透過抵抗r0 の測定を行った。
尚、モデルの検証に用いる中空糸膜としては、外径が1.2mm、内径が0.6mm、長さが1.0mである中空糸膜を使用したが、下記の実験では、同じ種類の中空糸膜を加工して長さを10.6cmにしたものを用いた。
まず、中空糸膜5のうち水の抜出し口の反対側を針で塞ぎ、もう片側は中空糸膜の内径と同程度の外径を持つ注射針を刺して固定してこれを試料とした。注射針を水の抜出し管に接続してセル6にセットし、セル6内部を純水で満たした。セル6の入口側に加圧ポンプ4をつないでセル6内部を加圧し、水を透過させた。加圧ポンプ4の出口とセル6の出口にはそれぞれ圧力計P1とP2とを設置し、2つの圧力計の差圧を膜間差圧とした。具体的には、セル6の出口には電子天秤7の上に乗せたビーカー8を設置して透過してきた水を回収し、その重量を連続的にモニタリングし、測定値をデータロガー9に転送した。水の透過速度を重量変化によって測定することで透過流束を求め、膜間差圧と透過流束との関係から、数式11を用いて該中空糸膜の孔の透過抵抗r0 を求めた。
実験では、まず膜を接続せずに水のみを通じ、中空糸膜による圧力損失を求めた。さらに、同じ流量の水を通過させた時の圧力差から膜を透過させた時の差圧を求め、2つの値の差を膜間差圧とした。
上記試験の結果を図8に示す。数式11より、図8の直線の傾きから、k=2.78m-1、孔の透過抵抗r0 =4.06×1010Pa・m-2・sを得た。
また、ハーゲンポアゾイユの式に内径Din=0.6mmを代入すると、Rは、3.14×1011Pa・m-4・sとなった。さらに、得られた浸透率1/aが充填層の透過抵抗に等しいと仮定すると、初期状態の膜の空隙率δは、0.759(−)となった。
以上をまとめると表2のようになる。
Figure 2012061383
(2)モデルと実測値との比較
上記検討結果を基に、現実の装置における膜間差圧の上昇を検証した。運転(実験)で使用した膜の基本データを表3に示す。
Figure 2012061383
中空糸膜ユニットの概略図を図9に示す。実装置は中空糸膜をPVC製の外筒圧力容器内に設置し、原水を加圧して膜を透過させた。また、表面に付着した異物が蓄積しないよう逆洗しながら処理を行った。
実装置は、工業排水の処理で使用し、運転条件は長谷川ら(長谷川進、島田光重、塩田憲明:「水リサイクル技術への取組み」、神鋼環境ソリューション技報、Vol.15、No.1、P24−28(2008))と同様の方法で行った。
具体的には、中空糸膜ユニットの形式が外圧式円筒型、中空糸膜の材質がPVDF(ポリフッ化ビニリデン)、中空糸膜としては、内径が0.6mm、公称細孔径が0.1μm、膜面積が約7m2 、フラックスが1.44m/d、膜ユニット仕様が3インチ(外径)×1m(原水の一端側流路の長さ)である条件の下で実験を実施した。
尚、本実験では、原水が中空糸膜ユニットに流入する入口の静圧に対する濃縮水(非透過水)が膜ユニットから流出する出口での静圧の差が、±30%以内の条件下で実施した。
運転開始直後から7日間の(膜間差圧/フラックス)の時間変化を図10に示す。プロットは測定値、点線は本実施形態のモデルで求めた値(予測値)を示す。運転中はフラックスを約1.2m/日に維持した。出入口における圧力計の取付け高さの違いによるヘッド差から膜間差圧を補正し、さらに初期状態においてはフラックスが膜間差圧に比例することから、フラックスを1m/日に換算して(膜間差圧/フラックス)を求めた。数式26より、(膜間差圧/フラックス)は時間に対して線型となることが予測される。
図10に示すように、(膜間差圧/フラックス)は、時間に対して線形であり、膜間差圧が3倍程度(運転開始から4日間程度)になるまでの領域については、測定値と予測値とがよく一致した。
従って、本実施形態のモデルは、妥当なものと判断することができる。
1:水処理装置、2:中空糸膜ユニット、3:槽、4:ポンプ、5:中空糸膜、5a:中空領域、5b:孔、6:セル、7:電子天秤、8:ビーカー、9:データロガー、10:小型実験装置、A:原水、B:処理水、C:原水に含まれる水、D:不純物、P1:圧力計、P2:圧力計

Claims (3)

  1. 中空糸膜によって原水が膜分離されるように構成されてなる中空糸膜ユニットであって、
    前記中空糸膜の内径Din(m)、前記中空糸膜により膜分離された水の粘性係数μ(Pa・s)、前記中空糸膜の孔の透過抵抗r0(Pa・m-2・s)、及び原水が膜分離されて一端側に流される、前記中空糸膜の部分における長手方向の長さL(m)が下記数式1を満たすことを特徴とする中空糸膜ユニット。
    Figure 2012061383
  2. 請求項1に記載の中空糸膜ユニットを備えてなる水処理装置。
  3. 請求項1に記載の中空糸膜ユニットを用いて原水を膜分離する水処理方法。
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